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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230731BHJP
   F16K 27/12 20060101ALI20230731BHJP
   F16K 43/00 20060101ALI20230731BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20230731BHJP
   F16K 27/04 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
F16K27/12
F16K43/00
F16L55/00 C
F16K27/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019185743
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060105
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】堀川 剛
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 大介
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-078301(JP,A)
【文献】特開2019-143683(JP,A)
【文献】特開2004-294503(JP,A)
【文献】特開平01-150073(JP,A)
【文献】特開2016-173133(JP,A)
【文献】特開2011-075052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/06 - 15/12
F16K 27/00 - 27/12
F16K 43/00
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に装着可能な分割構造の外弁箱と、前記外弁箱の上部の弁挿入口部から挿入されて収容され、且つ、前記流体管内を流れる流体の流路を遮断又は切り換え可能な弁体を有する内弁箱と、を備え、前記内弁箱の外面には、前記外弁箱の内面における前記弁挿入口部側の環状パッキン接触面と、前記環状パッキン接触面の複数個所から底部側に連続する縦パッキン接触面、及び、前記縦パッキン接触面の下端に連続する底部パッキン接触面との間を密封するパッキンが設けられている弁装置であって、
前記パッキンは、前記環状パッキン接触面に接触する環状の第1パッキンと、前記縦パッキン接触面及び前記底部パッキン接触面に接触する第2パッキンとに分割構成され、前記第2パッキンの縦パッキン部の上端側は、前記第1パッキンの縦パッキン接続部位に上下動可能な状態で貫通支持されている弁装置。
【請求項2】
前記第1パッキンの縦パッキン接続部位には、前記縦パッキン部の上端側が下方から挿入されるパッキン挿通孔が貫通形成され、前記パッキン挿通孔の内周面と前記縦パッキン部の外周面との間に隙間が形成されている請求項1記載の弁装置。
【請求項3】
前記外弁箱の前記環状パッキン接触面には、前記外弁箱内の内弁箱収容位置に配置された前記内弁箱の前記第1パッキンにおける少なくとも前記縦パッキン部の貫通部位を径方向内方側に圧縮するパッキン圧縮部が設けられている請求項1又は2記載の弁装置。
【請求項4】
前記パッキン圧縮部は、前記外弁箱の前記環状パッキン接触面を下窄まりの傾斜面に形成することで構成されている請求項3記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に装着可能な分割構造の外弁箱と、前記外弁箱の上部の弁挿入口部から挿入され、且つ、前記流体管内を流れる流体の流路を遮断又は切り換え可能な弁体を有する内弁箱と、を備え、前記内弁箱の外面には、前記外弁箱の内面における前記弁挿入口部側の環状パッキン接触面と、前記環状パッキン接触面の複数個所から底部側に連続する縦パッキン接触面、及び、前記縦パッキン接触面の下端に連続する底部パッキン接触面との間を密封するパッキンが設けられている弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の弁装置として、特許文献1の図4図7に示すゲート弁が存在する。このゲート弁の外弁箱は、上下で二分割された割T字管から構成され、流体管の弁設置箇所の外周面に水密状態で外装固定される。外弁箱内において流体管の一部を切断除去したのち、流体管内の流路を遮断可能な弁体を有する内弁箱を、外弁箱の弁挿入口部から挿入する。この内弁箱の外面に装着されるパッキンは、外弁箱の内面の環状パッキン接触面に接触する環状パッキン部と、縦パッキン接触面に接触する縦パッキン部と、底部パッキン接触面に接触する底部パッキン部とを一体形成して構成されている。
また、外弁箱の両分割筐体の分割面には、流体管の外周面との間及び分割面間を水密状態に密封する分割面パッキンが設けられ、この分割面パッキンと内弁箱のパッキンの縦パッキン部とが接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-61391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の弁装置では、外弁箱の両分割筐体を既設流体管の外周面に外装固定したとき、両分割筐体の分割面に設けられた分割面パッキンが水密状態に圧縮され、外弁箱の内面側に露出する分割面パッキンの内側端面が外弁箱の内部空間側に膨出変形して突出する。そのため、弁体を有する内弁箱を、外弁箱の弁挿入口部から挿入する際、内弁箱の外面に装着されているパッキンの縦パッキン部が、外弁箱の内部空間側に突出している分割面パッキンの内側端面の膨出変形部で押圧されて擦り上げられ、内弁箱の挿入移動に伴ってパッキンの縦パッキン部が上方に延伸される。その結果、環状パッキン部の縦パッキン接続部位が上方に延伸される縦パッキン部で突き上げられて捲れ上がり、縦パッキン接続部位でのシール性能が低下するとともに、内弁箱の挿入抵抗も大きくなる不都合がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、内弁箱の挿入抵抗の軽減化を図りながら、内弁箱の外面に装着されているパッキンの縦パッキン部が、外弁箱の分割面パッキンの内側端面の膨出変形部で押圧されて擦り上げられることに起因するシール性能の低下を抑制することのできる弁装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、流体管に装着可能な分割構造の外弁箱と、前記外弁箱の上部の弁挿入口部から挿入されて収容され、且つ、前記流体管内を流れる流体の流路を遮断又は切り換え可能な弁体を有する内弁箱と、を備え、前記内弁箱の外面には、前記外弁箱の内面における前記弁挿入口部側の環状パッキン接触面と、前記環状パッキン接触面の複数個所から底部側に連続する縦パッキン接触面、及び、前記縦パッキン接触面の下端に連続する底部パッキン接触面との間を密封するパッキンが設けられている弁装置であって、
前記パッキンは、前記環状パッキン接触面に接触する環状の第1パッキンと、前記縦パッキン接触面及び前記底部パッキン接触面に接触する第2パッキンとに分割構成され、前記第2パッキンの縦パッキン部の上端側は、前記第1パッキンの縦パッキン接続部位に上下動可能な状態で貫通支持されている点にある。
【0007】
上記構成によれば、弁体を有する内弁箱を、外弁箱の弁挿入口部から挿入する際、内弁箱の外面に装着されている第2パッキンの縦パッキン部が、外弁箱の分割面パッキンのうち、外弁箱の内面よりも内部空間側に突出している内側端面の膨出変形部で押圧されて擦り上げられる。そのため、内弁箱の挿入移動に伴って第2パッキンの縦パッキン部が上方に延伸されても、この縦パッキン部の上端側は、第1パッキンの縦パッキン接続部位に上下動可能な状態で貫通支持されているため、第1パッキンに対して貫通状態にある縦パッキン部の上端側部位のみが上方に延伸する。そのため、上方に延伸される縦パッキン部で第1パッキンの縦パッキン接続部位が突き上げられることがなく、第1パッキンの縦パッキン接続部位が捲れ上がることを抑制することができる。
したがって、パッキンの上述の合理的な改造により、内弁箱の挿入抵抗の軽減化を図りながら、内弁箱の外面に装着されている第2パッキンの縦パッキン部が、外弁箱の分割面パッキンの内側端面の膨出変形部で押圧されて擦り上げられることに起因するシール性能の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記第1パッキンの縦パッキン接続部位には、前記縦パッキン部の上端側が下方から挿入されるパッキン挿通孔が貫通形成され、前記パッキン挿通孔の内周面と前記縦パッキン部の外周面との間に隙間が形成されている点にある。
【0009】
上記構成によれば、第1パッキンの縦パッキン接続部位に貫通形成されているパッキン挿通孔に対する、第2パッキンの縦パッキン部の挿入作業を容易に行うことができる。しかも、上方へ延伸する第2パッキンの縦パッキン部と第1パッキンのパッキン挿通孔との間での摩擦も軽減されるので、第1パッキンの縦パッキン接続部位が捲れ上がることを回避することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記外弁箱の前記環状パッキン接触面には、前記外弁箱内の内弁箱収容位置に配置された前記内弁箱の前記第1パッキンにおける少なくとも前記縦パッキン部の貫通部位を径方向内方側に圧縮するパッキン圧縮部が設けられている点にある。
【0011】
上記構成によれば、外弁箱内の内弁箱収容位置に内弁箱が配置されたとき、外弁箱の環状パッキン接触面に設けたパッキン圧縮部により、第1パッキンにおける少なくとも第2パッキンの縦パッキン部の貫通部位を径方向内方側に圧縮することにより、第1パッキンのパッキン挿通孔の内周面と第2パッキンの縦パッキン部の外周面とが密着し、第1パッキンにおける縦パッキン部の貫通部位での高いシール性能を確保することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記パッキン圧縮部は、前記外弁箱の前記環状パッキン接触面を下窄まりの傾斜面に形成することで構成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、外弁箱の環状パッキン接触面を下窄まりの傾斜面に形成することにより、第1パッキンの全周を径方向内方側に押圧して圧縮することができ、第2パッキンの縦パッキン部が貫通する第1パッキンの貫通部位でのシール性能をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の弁装置の斜視図
図2】弁装置の正面図
図3図2の縦断面図
図4図2の水平断面図
図5】弁装置の分解斜視図
図6】パッキンの分解拡大斜視図
図7】内弁箱の挿入時の半断面図
図8】縦パッキン部の貫通部位での拡大水平断面図(a)と拡大縦断面図(b)
図9】パッキン圧縮部での拡大縦断面図
図10】内弁箱が外弁箱内の内弁箱収容位置に配置されたときの半断面図
図11】縦パッキン部の貫通部位での拡大水平断面図(a)と拡大縦断面図(b)
図12】パッキンの変形例を示す要部の拡大水平断面図
図13】第2実施形態の弁装置の水平断面図
図14】内弁箱の拡大斜視図
図15】パッキンの分解拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1図4は、流体管の一例である既設水道管1の分岐管接続箇所の弁装置設置構造を示す。この弁装置設置構造に用いられる三方弁仕様の弁装置Vは、図5に示すように、既設水道管1の外周面に水密状態で装着可能な分割構造の外弁箱2と、外弁箱2の上部の弁挿入口部20から挿入されて収容され、且つ、既設水道管1内を流れる上水(流体)の流路を切り換え可能な弁体3を有する内弁箱4と、を備える。本実施形態においては、図1図2図4に示すように、外弁箱2の管軸芯方向両端部を既設水道管1の両管端部1A,1Bに抜け止め固定する分割構造の離脱防止金具5が設けられている。
【0016】
弁装置設置構造では、図示は省略するが、既設水道管1の外周面に水密状態で取付けられた外弁箱2の上側フランジ23に、作業用開閉弁を備えたハウジングを連結する。このハウジング内に配置された円筒状カッターを、開弁操作された作業用開閉弁を通過して送り込み、既設水道管1の弁設置箇所を不断水状態で切断する。切断作業後に、ハウジング内に搬入された内弁箱4を、開弁操作された作業用開閉弁を通過して外弁箱2の弁挿入口部20から挿入する。外弁箱2内の内弁箱収容位置に内弁箱4が配置されると、図1図3に示すように、外弁箱2の上側フランジ23に上蓋24を締結手段のボルト25・ナット26で水密に固定連結する。
【0017】
外弁箱2は、図1図2図5に示すように、上下に二分割可能な割T字管を用いて構成されている。外弁箱2を構成する上側分割筐体21と下側分割筐体22には、その分割面に沿って外側に突出する連結フランジ21A,22Aが形成されている。上側分割筐体21の連結フランジ21Aと下側分割筐体22の連結フランジ22Aは締結手段のボルト33・ナット34で締結固定されている。
上側分割筐体21及び下側分割筐体22には、図1図2図5に示すように、既設水道管1の管軸芯方向の二か所に保持される水道管保持部21B,22Bと、既設水道管1の管軸芯に対して直交する分岐軸心方向に沿って分岐短管27を水密状態で嵌合保持する分岐管保持部21C,22Cと、が形成されている。
【0018】
図3図4に示すように、上側分割筐体21の両水道管保持部21Bの内面と連結フランジ21Aの分割面及び分岐管保持部21Cの内面には、既設水道管1の上側外面と分岐短管27の上側外面及び分割面に沿って配設される環状の上側分割面パッキン28を装着するための上側パッキン装着溝29が形成されている。また、下側分割筐体22の両水道管保持部22Bの内面と連結フランジ22Aの分割面及び分岐管保持部22Cの内面には、既設水道管1の下側外面と分岐短管27の下側外面及び分割面に沿って配設される環状の下側分割面パッキン30を装着するための下側パッキン装着溝31が形成されている。
上側パッキン装着溝29に装着された上側分割面パッキン28及び下側パッキン装着溝31に装着された下側分割面パッキン30は、締結手段のボルト33・ナット34の締結操作によって高い面圧状態に圧縮される。
【0019】
図3図4に示すように、上側分割面パッキン28及び下側分割面パッキン30のうち、後述の内弁箱4の各パッキン装着用隆起部45に対応する部位には、外弁箱2の内面と面一状態で露出する内側端面28a,30aが形成されている。上側分割面パッキン28の内側端面28a及び下側分割面パッキン30の内側端面30aに、後述の内弁箱4の第2パッキン装着溝47に装着された第2パッキン62の縦パッキン部62Aと接触する。上側分割面パッキン28の内側端面28a及び下側分割面パッキン30の内側端面30aは、ボルト33・ナット34による締結操作で圧縮されて外弁箱2の内部空間側に膨出変形する。
【0020】
内弁箱4は、図3図5に示すように、円筒状の周壁41Aを有する内弁箱本体41と、内弁箱本体41の円環状の上側環状壁部41Bにボルト42で水密に固定連結される内弁蓋43とを備える。内弁箱本体41の周壁41Aには、既設水道管1の一方の管端部1Aに対向する第1連通孔32Aと、他方の管端部1Bに対向する第2連通孔32Bと、分岐短管27に対向する第3連通孔32Cと、が開口形成されている。
【0021】
内弁箱4の上側環状壁部41B及び底壁部41Cには、弁体3の上下軸部が縦軸芯周りで回動自在に軸支されている。弁体3は、弁軸44の回転操作により、内弁箱本体41の周壁41Aの内面に沿って回動し、第1連通孔32A~第3連通孔32Cの一つを選択的に閉塞する。
【0022】
内弁箱4の周壁41Aは、図4に示すように、第1連通孔32Aと第3連通孔32Cとの間に位置する第1細幅縦壁部41aと、第2連通孔32Bと第3連通孔32Cとの間に位置する第2細幅縦壁部41bと、第1連通孔32Aと第2連通孔32Bとの間に位置する円弧状の広幅縦壁部41cと、を備える。
第1細幅縦壁部41aの外面における第3連通孔32C側の端部と、第2細幅縦壁部41bの外面における第3連通孔32C側の端部及び、広幅縦壁部41cの外面における円周方向中央部には、外弁箱2の内面側に向かって突出するパッキン装着用隆起部45が形成されている。
【0023】
図3図4に示すように、内弁箱4の上側環状壁部41Bの外面に円環状の第1パッキン装着溝46が形成されている。内弁箱4の各パッキン装着用隆起部45の外面の各々には、第1パッキン装着溝46に連続する第2パッキン装着溝47が形成されている。内弁箱4の底壁部41Cの外面には、各第2パッキン装着溝の下端に連続する円環状の第3パッキン装着溝48が形成されている。
【0024】
図3に示すように、外弁箱2の内面のうち、内弁箱4の第1パッキン装着溝46に対向する部位が弁挿入口部20側の環状パッキン接触面2aとなり、各第2パッキン装着溝47に対向する部位が縦パッキン接触面2bとなり、第3パッキン装着溝48に対向する部位が底部パッキン接触面2cとなる。
【0025】
図3図5に示すように、内弁箱4の外面に形成されている第1パッキン装着溝46~第3パッキン装着溝48には、外弁箱2の内面における環状パッキン接触面2aと縦パッキン接触面2b及び底部パッキン接触面2cとの間を密封する内弁箱用パッキン6が装着されている。
内弁箱用パッキン6は、図5図6に示すように、環状パッキン接触面2aに接触する状態で第1パッキン装着溝46に装着される環状の第1パッキン61と、各縦パッキン接触面2b及び底部パッキン接触面2cに接触する状態で第2パッキン装着溝47及び第3パッキン装着溝48に装着される第2パッキン62とに分割構成されている。
【0026】
第2パッキン62は、図6に示すように、三つの第2パッキン装着溝47に装着される横断面形状が円形の縦パッキン部62Aと、第3パッキン装着溝48に装着される底部パッキン部62Bとを一体形成して構成されている。各縦パッキン部62Aの上端側部位62aは、図7図8に示すように、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに上下動可能な状態で貫通支持されている。詳しくは、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aには、第2パッキン62の各縦パッキン部62Aの上端側部位62aが下方から挿入されるパッキン挿通孔63が貫通形成されている。各パッキン挿通孔63の内径は、図8に示すように、縦パッキン部62Aの外径よりも少し大径に構成され、パッキン挿通孔63の内周面と縦パッキン部62Aの外周面との間に隙間Sが形成されている。
【0027】
そして、図5図7に示すように、弁体3を有する内弁箱4を、外弁箱2の弁挿入口部20から挿入する際、内弁箱4の外面に装着されている第2パッキン62の縦パッキン部62Aが、外弁箱2の両分割面パッキン28,30のうち、外弁箱2の内面よりも内部空間側に突出している内側端面28a,30aの膨出変形部で押圧されて擦り上げられる。そのため、内弁箱4の挿入移動に伴って第2パッキン62の縦パッキン部62Aが上方に延伸される。しかし、この縦パッキン部62Aの上端側部位62aは、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに上下動可能な状態で貫通支持されているため、第1パッキン61に対して貫通状態にある縦パッキン部62Aの上端側部位62aのみが上方に延伸する。そのため、上方に延伸される縦パッキン部62Aで第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aが突き上げられることがなく、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aが捲れ上がることを抑制することができる。
したがって、内弁箱用パッキン6の上述の合理的な改造により、内弁箱4の挿入抵抗の軽減化を図りながら、内弁箱4の外面に装着されている第2パッキン62の縦パッキン部62Aが、外弁箱2の両分割面パッキン28,30の内側端面28a,30aの膨出変形部で押圧されて擦り上げられることに起因するシール性能の低下を抑制することができる。
【0028】
さらに、図8に示すように、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに貫通形成されたパッキン挿通孔63の内周面と縦パッキン部62Aの外周面との間に隙間Sが形成されているので、第1パッキン61のパッキン挿通孔63に対する第2パッキン62の縦パッキン部62Aの挿入作業を容易に行うことができる。しかも、内弁箱4の挿入移動に伴って上方へ延伸される第2パッキン62の縦パッキン部62Aと第1パッキン61のパッキン挿通孔63との間での摩擦も軽減されるので、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aが捲れ上がることを回避することができる。
【0029】
尚、図3図5図11(b)に示すように、内弁蓋43の外周部における第1パッキン61の各パッキン挿通孔63に対応する部位には、上方に延伸される縦パッキン部62Aの上端側部位62aが通過可能な挿通孔43aが切欠き形成されている。本実施形態では、挿通孔43aをU字状に切欠き形成したが、丸孔等の閉ループ状に貫通形成してもよい。
【0030】
また、図7図11に示すように、外弁箱2の環状パッキン接触面2aには、外弁箱2内の内弁箱収容位置に配置された内弁箱4の第1パッキン61における少なくとも第2パッキン62の縦パッキン部62Aの貫通部位を径方向内方側に圧縮するパッキン圧縮部7が設けられている。このパッキン圧縮部7は、外弁箱2の環状パッキン接触面2aの全域を下窄まりの傾斜面に形成することで構成されている。
【0031】
そして、図11に示すように、環状パッキン接触面2aに設けたパッキン圧縮部7により、第1パッキン61における少なくとも第2パッキン62の縦パッキン部62Aの貫通部位を径方向内方側に圧縮することにより、第1パッキン61のパッキン挿通孔63の内周面と第2パッキン62の縦パッキン部62Aの外周面とが隙間の無い状態で密着する。これにより、第1パッキン61における縦パッキン部62Aの貫通部位での高いシール性能を確保することができる。しかも、第1パッキン61の圧縮によって第2パッキン62の縦パッキン部62Aの動きを固定することができる。
しかも、パッキン圧縮部7は、外弁箱2の環状パッキン接触面2aを下窄まりの傾斜面に形成することによって構成されているので、第1パッキン61の全周を径方向内方側に押圧して圧縮することができ、第1パッキン61の貫通部位でのシール性能をさらに高めることができる。
【0032】
外弁箱2内の内弁箱収容位置に内弁箱4が配置された状態では、内弁箱4の外面に装着されている第1パッキン61及び第2パッキン62が外弁箱2の内面における環状パッキン接触面2aと縦パッキン接触面2b及び底部パッキン接触面2cと密着する。
外弁箱2の内面のうち、下窄まりの傾斜面の上端に連続する上側内周面2dの半径は、内弁箱4の中心軸から第2パッキン62の縦パッキン部62Aの外面までの半径よりも僅かに大きく構成されている。そのため、図7図9に示すように、内弁箱4を外弁箱2の弁挿入口部20から挿入する際、外弁箱2の上側内周面2dと内弁箱4に装着された縦パッキン部62Aの外面との間に微小な隙間が発生する。この隙間により、内弁箱4の挿入抵抗の軽減化を図ることができる。
【0033】
〔第1実施形態の変形例〕
図12に示すように、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに、第2パッキン62の各縦パッキン部62Aの上端側部位62aが下方から挿入されるパッキン挿通孔63を貫通形成し、縦パッキン接続部位61aの外面を、他の部位の外面よりも径方向外方に突出する弧状外面61bに形成する。
この変形例では、環状パッキン接触面2aに設けたパッキン圧縮部7により、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aの弧状外面61bを径方向内方側に圧縮することになる。
【0034】
〔第2実施形態〕
図13図15は、バタフライ弁仕様の弁装置Vを示す。この弁装置Vは、既設水道管1の外周面に水密状態で装着可能な分割構造の外弁箱2と、外弁箱2の上部の弁挿入口部(図示省略)から挿入されて収容され、且つ、既設水道管1内を流れる流体の流路を遮断可能な弁体3を有する内弁箱4と、を備える。
【0035】
外弁箱2は、図13に示すように、上下に二分割可能な割T字管を用いて構成されている。外弁箱2を構成する上側分割筐体21と下側分割筐体22には、その分割面に分割面パッキン28,30を介装した状態で水密にフランジ接合されている。
分割面パッキン28,30のうち、後述の内弁箱4における仕切壁50の左右の側壁面50aに対応する部位には、外弁箱2の内面と面一状態で露出する内側端面28a,30aが形成されている。分割面パッキン28,30の内側端面28a,30aは、後述の内弁箱4の第2パッキン装着溝47に装着された第2パッキン62の縦パッキン部62Aと接触する。分割面パッキン28,30の内側端面28a,30aは、締結手段の締結操作で圧縮されて外弁箱2の内部空間側に膨出変形する。
【0036】
内弁箱4は、図13図14に示すように、略中央部に円形の連通口51が形成されている垂直姿勢の仕切壁50と、仕切壁50に設けた上下方向の開閉軸52を中心に回動して連通口51を開閉する弁体3と、仕切壁50の上端部に一体的に連設される水平姿勢の円形の上蓋部53と、を備える。
内弁箱4の上蓋部53の外周面には、円環状の第1パッキン装着溝46が形成されている。上蓋部53の外周面に連続する仕切壁50の左右の側壁面50aには、第1パッキン装着溝46に連続する第2パッキン装着溝47が形成されている。仕切壁50の底面には、各第2パッキン装着溝47の下端に連続する円環状の第3パッキン装着溝48が形成されている。
【0037】
外弁箱2の内面のうち、内弁箱4の第1パッキン装着溝46に対向する部位が弁挿入口部(図示省略)側の環状パッキン接触面(図示省略)となり、各第2パッキン装着溝47に対向する部位が縦パッキン接触面(図示省略)となり、第3パッキン装着溝48に対向する部位が底部パッキン接触面(図示省略)となる。
【0038】
図13図14に示すように、内弁箱4の外面に形成されている第1パッキン装着溝46~第3パッキン装着溝48には、外弁箱2の内面における環状パッキン接触面2aと縦パッキン接触面2b及び底部パッキン接触面2cとの間を密封する内弁箱用パッキン6が装着されている。内弁箱用パッキン6は、環状パッキン接触面2aに接触する状態で第1パッキン装着溝46に装着される環状の第1パッキン61と、各縦パッキン接触面2b及び底部パッキン接触面2cに接触する状態で第2パッキン装着溝47及び第3パッキン装着溝48に装着される第2パッキン62とに分割構成されている。
【0039】
第2パッキン62は、図15に示すように、二つの第2パッキン装着溝47に装着される横断面形状が円形の縦パッキン部62Aと、第3パッキン装着溝48に装着される底部パッキン部62Bとを一体形成して構成されている。各縦パッキン部62Aの上端側部位62aは、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに上下動可能な状態で貫通支持されている。詳しくは、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aには、第2パッキン62の各縦パッキン部62Aの上端側部位62aが下方から挿入されるパッキン挿通孔63が貫通形成されている。各パッキン挿通孔63の内径は、縦パッキン部62Aの外径よりも少し大径に構成され、パッキン挿通孔63の内周面と縦パッキン部62Aの外周面との間に隙間(図示省略)が形成されている。
【0040】
また、環状パッキン接触面2aに設けたパッキン圧縮部(図示省略)により、第1パッキン61における少なくとも第2パッキン62の縦パッキン部62Aの貫通部位を径方向内方側に圧縮することにより、第1パッキン61のパッキン挿通孔63の内周面と第2パッキン62の縦パッキン部62Aの外周面とが隙間の無い状態で密着する。これにより、第1パッキン61における縦パッキン部62Aの貫通部位での高いシール性能を確保することができる。
【0041】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、各縦パッキン部62Aの上端側部位62aを、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに上下動可能な状態で貫通支持させるにあたって、第1パッキン61の縦パッキン接続部位61aに、第2パッキン62の各縦パッキン部62Aの上端側部位62aが下方から挿入されるパッキン挿通孔63を貫通形成したが、このパッキン挿通孔63に代えて、U状の切欠き部を形成してもよい。
【0042】
(2)上述の第1実施形態では、三方弁仕様の弁装置Vを例示し、上述の第2実施形態では、バタフライ弁仕様の弁装置Vを例示したが、本願発明の技術は、ゲート弁様式等の他の仕様の弁装置Vに適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 流体管(既設水道管)
2 外弁箱
2a 環状パッキン接触面
2b 縦パッキン接触面
2c 底部パッキン接触面
3 弁体
4 内弁箱
6 パッキン(内弁箱用パッキン)
7 パッキン圧縮部
20 弁挿入口部
61 第1パッキン
62 第2パッキン
63 パッキン挿通孔
S 隙間
図1
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