IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 栄和化工株式会社の特許一覧

特許7321552シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法
<>
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図1
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図2
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図3
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図4
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図5
  • 特許-シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】シート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/14 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
E04D5/14 F
E04D5/14 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021019074
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122026
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503276034
【氏名又は名称】栄和化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 久貢
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-220616(JP,A)
【文献】特開2000-034807(JP,A)
【文献】特開2018-123585(JP,A)
【文献】特開2002-242383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、
前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、
前記固定ディスクに沿って予め設けられる加熱溶融可能な接着層と、
前記被覆シートの表側面から前記接着層に向けて加熱するヒータと、を備え、
前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面に亘って貫通する複数の窪み部を有し、
前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が前記ヒータによる加熱で溶融され、
前記被覆シートは、前記ヒータによる加熱変形で前記複数の窪み部に入り込む複数の凹部を有し、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とするシート固定装置。
【請求項2】
前記接着層が、誘導加熱により溶融される接着剤からなることを特徴とする請求項1記載のシート固定装置。
【請求項3】
前記下地に沿って敷設した前記防水シートの防水表面に対し、前記固定ディスクが固定され、
前記被覆シートは、前記固定ディスクの前記表面及び前記防水シートの前記防水表面の一部を覆うように設けられる保護シートであることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項4】
前記下地に対して固定した前記固定ディスクの前記表面を覆うように前記防水シートが敷設され、
前記被覆シートは、前記防水シートの一部として形成され、前記防水シートの防水裏面が前記接着層を介して前記固定ディスクの前記表面に接合固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項5】
下地に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、
前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、
前記固定ディスクに沿って予め設けられる加熱溶融可能な接着層と、を備え、
前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面に亘って貫通する複数の窪み部を有し、
前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が加熱溶融され、
前記被覆シートは、加熱変形で前記複数の窪み部に入り込む複数の凹部を有し、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とするシート固定具。
【請求項6】
下地に対して防水シートの一部を固定ディスクで固定するディスク固定工程と、
前記固定ディスクに沿って予め設けられる加熱溶融可能な接着層を介して、前記固定ディスクの表面に被覆シートが配置される重ね合わせ工程と、
ヒータで前記被覆シートの表側面から前記接着層及び前記固定ディスクに向けて加熱する加熱工程と、を含み、
前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面に亘って貫通する複数の窪み部を有し、
前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、
前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が溶融され、前記被覆シートの一部が熱変形して前記複数の窪み部に入り込んで複数の凹部となり、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とするシート固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根,屋上,ベランダ,バルコニーなどやその他の構造物などを防水する防水工法において、防水対象面となる下地に対し、防水シートの一部を固定ディスクにより固定するために用いられるシート固定具、及び、シート固定具に用いるシート固定装置、並びに、下地に対し防水シートの一部を固定ディスクによる機械的固定工法を用いて固定するシート固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械的固定工法の後付工法として、アンカー部材が防水シートを貫通して下地に対し固定される固定部材と、固定部材のディスクと防水シートとの間に配置されて防水シートと緩衝材とが摩擦により連動することで防水シートから受ける力を吸収する緩衝材と、ディスクを覆い防水シートに固定される防水部材(パッチ)と、を備えたシート固定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
下地上に防水シートが配置された後、緩衝材を介してディスクが配置され、ディスクの貫通穴を通したビスのねじ込みで、ディスクが下地に固定され、そして、ディスクを覆うようにパッチが配置され、パッチの下面を防水シート及びディスクの上面に熱融着又は溶剤で溶着し固定されている。
また、機械的固定工法の先付工法として、接合部に防水シートを接合固定させる固定部材と、固定部材のうち接合部よりも中央側の箇所を下地に支持させるアンカー部材と、固定部材において外端部よりも中央部が曲げ変形し難くなるように規制する規制機構と、が備えられたシート固定ユニットがある(例えば、特許文献2参照)
シート固定ユニットの固定部材が下地に載置され、規制機構の板バネを挿通支持させたアンカー部材が下地に捻じ込まれ、アンカー部材を介して固定部材を下地に支持する。固定部材の平坦面には、ホットメルト接着剤が塗布されて接合部を形成している。次に、固定部材に沿って防水シートが敷設され、防水シート越しに誘導加熱装置を固定部材の平坦面に当て付けて、防水シートの下面及び接合部(ホットメルト接着剤)が溶融されて固定部材の平坦面に熱融着し接合固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-034825号公報
【文献】特開2019-031782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ディスク(固定ディスク)の平滑な上面(表面)にパッチ(被覆シート)の下面(裏側面)が熱融着や溶着され、特許文献2では、固定部材(固定ディスク)の平坦面(表面)に防水シート(被覆シート)の下面(裏側面)が熱融着されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2は共に、固定ディスクの表面と被覆シートの裏側面を面状に接合させているのみである。このため、台風などで水平方向の強風(横風)が被覆シートの表側面に沿って吹き、この強風に伴い防水シートのうち固定ディスクで固定されていない箇所が浮き上がって波打つ現象(フラッタリング)が発生した時には、面状に接合した固定ディスクの表面と被覆シートの裏側面との間で位置ズレを生じて剥離するという問題があった。
さらに、特許文献1及び特許文献2は共に、固定ディスクの平滑な上面(表面)に接合した被覆シートの表側面が平滑状であり、熱融着などによる加熱作業後と、まだ加熱作業を行っていない加熱作業前で変化が無い。このため、加熱作業後の加熱接合箇所と加熱作業前の未加熱不接合箇所との見分けが困難であり、未加熱不接合箇所を簡単に確認できず、未加熱不接合箇所を見落としてしまい、被覆シートの剥離原因となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係るシート固定具は、下地に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、前記固定ディスクに沿って設けられる加熱溶融可能な接着層、前記被覆シートの表側面から前記接着層に向けて加熱するヒータと、を備え、前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面亘って貫通する複数の窪み部を有し、前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が前記ヒータによる加熱で溶融され、前記被覆シートは、前記ヒータによる加熱変形で前記複数の窪み部に入り込む複数の凹部を有し、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とする。
さらに、このような課題を解決するために本発明に係るシート固定装置は、下地に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、前記固定ディスクに沿って設けられる加熱溶融可能な接着層と、を備え、前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面亘って貫通する複数の窪み部を有し、前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が加熱溶融され、前記被覆シートは、加熱変形で前記複数の窪み部に入り込む複数の凹部を有し、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とする。
また、このような課題を解決するために本発明に係るシート固定方法は、下地に対して防水シートの一部を固定ディスクで固定するディスク固定工程と、前記固定ディスクの表面に加熱溶融可能な接着層を介して被覆シートが配置される重ね合わせ工程と、ヒータで前記被覆シートの表側面から前記接着層及び前記固定ディスクに向けて加熱する加熱工程と、を含み、前記固定ディスクは、前記表面及び裏面が扁平の板状に形成され、前記表面及び前記裏面に亘って貫通する複数の窪み部を有し、前記接着層は、少なくとも前記固定ディスクの前記表面及び前記被覆シートの裏側面の間に設けられる表側接着層と、前記複数の窪み部に沿って設けられる複数の内側接着層と、を有し、前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記表側接着層及び前記複数の内側接着層が溶融され、前記被覆シートの一部が熱変形して前記複数の窪み部に入り込んで複数の凹部となり、前記複数の凹部の裏側が溶融した前記複数の内側接着層で前記複数の窪み部の内面に接合固定されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態(第一実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す説明図であり、(a)が要部を部分拡大した縦断正面図、(b)が一部切欠平面図である。
図2】本発明の実施形態(第二実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す縦断面図である。
図3】本発明の実施形態(第三実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す縦断面図である。
図4】本発明の実施形態(第四実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す説明図であり、(a)が要部を部分拡大した縦断正面図、(b)が一部切欠平面図である。
図5】本発明の実施形態(第五実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施形態(第六実施形態)に係るシート固定具及びシート固定装置並びにシート固定方法の全体構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るシート固定具A及びシート固定装置は、図1図6に示すように、建物の屋根,屋上,ベランダ,バルコニーなどやその他の構造物などを防水する防水工法に用いられ、防水対象面となる下地Bに対して、防水シートCの一部を固定ディスク1により取り付ける固定構造である。
下地Bの材料としては、金属製,軽量発砲コンクリートなどを含むコンクリート製,木質製などが挙げられる。
防水シートCは、耐久性,加熱接着や溶剤による溶着接合性の点から塩化ビニル樹脂やその他の合成樹脂からなり、厚さが1.0~2.0mmの塩化ビニル樹脂系シートを用いることが好ましい。防水シートCの構造は単層体でも良いが、寸法安定性や強度の点から複数のシート層の間にガラス繊維やポリエステル繊維の織物や不織布などの繊維層が積層された複合シートや補強複合シートを用いることが好ましい。
このような下地Bに対する防水シートCの取り付けに固定ディスク1を用いる防水工法は、機械的工法(絶縁防水工法)と呼ばれ、一般的には下地Bに沿って断熱材Dが敷設される場合が多い。
断熱材Dは、スチレン樹脂,イソシアヌレート樹脂,硬質ウレタン樹脂,フェノール樹脂などで形成される。
【0008】
この種の機械的固定工法は、図1(a)(b)~図3に示されるような防水シートCの敷設後に固定ディスク1を固定する後付工法(後付固定工法)と、図4(a)(b)~図6に示されるような防水シートCの敷設前に固定ディスク1を固定する先付工法(先付固定工法)と、がある。
後付工法及び先付工法のどちらも下地Bを覆う防水シートCは、所定間隔毎に配置された複数の固定ディスク1により点状に固定されており、これら固定箇所を除く大部分は下地Bに対して固定されていない。
このため、防水シートCの非固定箇所は、台風などの強風や風圧により持ち上げられて波打つ状態(フラッタリング,フラッタリング現象)が発生すると、固定箇所に負荷がかかって破損や破断などの原因となる。
このような問題点を解決するため、本発明の実施形態に係るシート固定具Aは、下地Bに沿って敷設される防水シートCの一部を固定するために設けられる固定ディスク1と、固定ディスク1の表面1aに沿って設けられる防水性の被覆シート2と、少なくとも固定ディスク1の表面1a及び被覆シート2の裏側面2aの間に設けられる接着層3と、を主要な構成要素として備えている。
また、固定ディスク1の裏面1bに沿って設けられる補強層4を備えることが好ましい。
更に加えて、本発明の実施形態に係るシート固定装置は、被覆シート2の表側面2bから接着層3や固定ディスク1に向けて加熱するヒータHを備えている。
【0009】
固定ディスク1は、ステンレスや鋼材などの金属を含む導電材料又はそれに類似する硬質材料により、フラットな板状(薄板状)で円形状に形成される。特に固定ディスク1としては、その表面1a及び裏面1bが扁平で外周面1cを有し、且つ耐蝕性や強度に優れたステンレス板や亜鉛メッキ鋼板などを用いることが好ましい。
固定ディスク1の厚みは、約1.0~1.6mm、詳しくは1.1~1.5mmに設定することが好ましい。固定ディスク1の大きさ(直径)は、約55~65mm、詳しくは60~65mmに設定することが好ましい。
固定ディスク1の中央には、ビス,ボルトなどの締結部材やアンカー,釘などの固定部材からなる固定具1sが挿通される固定孔1dを開穿する。固定孔1dの形状は、固定具1sの頭部と嵌合して固定ディスク1の裏面1bから厚み方向へ突出する座ぐり1eを折曲成形することが好ましい。これにより、固定ディスク1の強度アップが図れる。
固定孔1dと外周面1cとの間には、貫通状又は凹状の窪み部1fが複数形成されている。複数の窪み部1fは、対称形状となるように4個,6個,8個など、それぞれ周方向へ所定間隔毎に配置される。複数の窪み部1fとしては、加工性に優れた円形の貫通孔が好ましい。複数の窪み部1fの大きさは、直径を約3~5mmに設定することが好ましい。
固定ディスク1の具体例として図1図6に示される場合には、下地Bに沿って敷設された断熱材Dの所定箇所、又は断熱材Dに沿って敷設した防水シートCの所定箇所に固定ディスク1が配置され、固定ディスク1の固定孔1dに挿通した固定具1sで、固定ディスク1が下地Bや断熱材Dなどに対して移動不能に取り付けられる。この取付け状態では、固定ディスク1の裏面1bから突出した座ぐり1eが、直接的に断熱材Dに嵌入されるか、又は防水シートCを貫通して断熱材Dに嵌入される。これにより、断熱材Dや防水シートCに対して固定ディスク1が位置ズレ不能に固定される。
【0010】
被覆シート2は、防水シートCと同様な材料で防水シートCと別個又は一体的に形成され、固定ディスク1の表面1aを覆うように配置して、その裏側面2aが固定ディスク1の表面1aと密閉状に接合固定される。このため、被覆シート2において固定ディスク1を覆う部位は、その周囲部位よりも厚み方向へ突出して、その表側面2bが凹凸形状となる場合がある。
被覆シート2において固定ディスク1の複数の窪み部1fを覆う部位は、後述するヒータHの加熱によって固定ディスク1の複数の窪み部1fに入り込む凹部2cを有する。
さらに、被覆シート2の詳細な構成は、後付工法と先付工法で異なる。
図1(a)(b)~図3に示した後付工法で用いられる被覆シート2は、防水シートCと別個に固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される保護シートであり、固定ディスク1の表面1aと、その周囲に配置される防水シートCの防水表面Caの一部とに亘って、これらを覆うように配置され、その裏側面2aが全体的に接合固定される。
被覆シート2となる保護シートの外周端面2dは、防水シートCの防水表面Caに亘り、シーラ2eで密閉されている。
また、図4(a)(b)~図6に示した先付工法で用いられる被覆シート2は、下地Bを覆うように敷設される防水シートCの一部として形成され、固定ディスク1の表面1aと対向する裏側面2aが部分的に接合固定される。
【0011】
接着層3は、後述するヒータHのよる加熱で溶融可能な接着材料からなる。接着層3の接着材料としては、ホットメルト接着剤などの熱可塑性接着剤を用いることが好ましい。具体例としては、ポリエステル樹脂系接着剤やポリアミド(ナイロン)系接着剤など、詳しくは融点又はR&B軟化点が100~160℃のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。また、その他の例として熱硬化性接着剤、例えば150℃以上で硬化開始するアクリル樹脂系接着剤を用いることも可能である。
接着層3は、少なくとも固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aとの間に設けられる表側接着層3aを有する。これに加えて、固定ディスク1の複数の窪み部1fに沿って設けられる内側接着層3bや、固定ディスク1の裏面1bと、防水シートCの防水表面Ca又は後述する補強層4の表面側との間に設けられる裏側接着層3cを有することが好ましい。その他には、固定ディスク1の外周面1c及び被覆シート2の裏側面2aの間に設けられる環状側接着層3dや、被覆シート2の裏側面2aと、防水シートCの防水表面Ca又は後述する補強層4の突出部4aとの間に設けられる外側接着層3eを有することが好ましい。
表側接着層3aは、固定ディスク1の表面1a又は被覆シート2の裏側面2aのいずれか一方、若しくは固定ディスク1の表面1a及び被覆シート2の裏側面2aの両方に形成される。それ以外の内側接着層3b,裏側接着層3c,環状側接着層3d,外側接着層3eも表側接着層3aと同様に、対向する面のいずれか一方若しくは両方に形成される。
接着層3の形成方法は、スプレー,刷毛やローラー,浸漬塗布により被覆するか、又はフィルムを積層するか、若しくは液状接着剤の塗工後にディスク形状にプレス加工することなども可能である。
接着層3の具体例として図1図6に示される場合には、固定ディスク1の表面1a及び裏面1bに加えて、外周面1cや複数の窪み部1fの内面にもホットメルト接着剤を積層形成している。
【0012】
補強層4は、防水シートCと同様な材料からなる単層体,防水シートCよりも強度や耐久性に優れた織物などからなる積層体などで、固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される。特に、補強層4は、アルミ箔などの導電材料からなる層を一体的に設けるか又は積層して、電磁誘導により発熱させることが好ましい。
なお、補強層4の材料は、前述した織物や導電材料と異なる補強体を組み合わせることで強度や耐久性が向上した補強構造となるように変更することも可能である。
このため、補強層4は、固定ディスク1の裏面1bに沿って配置されることにより、固定ディスク1の外周面1cから径方向へ突き出る突出部4aを有する。
また、補強層4は、固定ディスク1と厚み方向へ嵌合する凹状部4bを有することも可能である。
補強層4において防水シートCや被覆シート2と対向する面には、ホットメルト接着剤などの接着剤からなる接着部(図示しない)が形成され、後述するヒータHのよる加熱で溶融接合させることが好ましい。
【0013】
ヒータHは、被覆シート2の表側から加熱して、接着層3の少なくとも表側接着層3aを溶融させる熱源である。
ヒータHとしては、電磁誘導の原理を利用して金属などを加熱させる誘導加熱装置Ha,熱風ヒータ,熱線ヒータなどが挙げられる。特に、平滑な押圧面Hbを有する誘導加熱装置Haが用いられ、押圧面Hbを被覆シート2の表側面2bに圧接させることが好ましい。
押圧面Hbは、金属などの耐熱性に優れた硬質材料や、シリコーンゴムなどの耐熱性に優れ且つ弾性変形可能な材料で、固定ディスク1と略同じ大きさの円形状、又は固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される。
さらに、被覆シート2において固定ディスク1を覆う部位が、その周囲部位よりも突出した凹凸形状になった表側面2bを誘導加熱装置Haで加熱する場合には、周囲の凹状部位と対応したサイズの台座Hcを用いることが好ましい。台座Hcは、金属などの導電材料で形成され、電磁誘導により発熱するものが好ましい。
ヒータHの具体例として図1図6に示される場合には、被覆シート2において凹凸形状の表側面2bに、環状の台座Hcを挟んで誘導加熱装置Haが載置され、押圧面Hbとを凹凸形状の表側面2bにそれぞれ当接させている。このため、誘導加熱装置Haの重量により、被覆シート2において固定ディスク1を覆う部位の裏側面2aが、接着層3の表側接着層3aを挟んで固定ディスク1の表面1aに圧接される。これと同時に誘導加熱装置Ha及び台座Hcの重量で、被覆シート2において固定ディスク1を覆う部位よりも外側の周囲部位が、接着層3の外側接着層3eを挟んで防水シートCの防水表面Ca又は断熱材Dの表面側や補強層4の突出部4aに圧接される。
【0014】
次に、本発明の実施形態に係るシート固定具A及びシート固定装置を、後付工法に用いた第一実施形態~第三実施形態と、先付工法に用いた第四実施形態~第六実施形態について説明する。
図1(a)(b)に示される第一実施形態のシート固定装置A1は、下地B,断熱材D及び防水シートC(第一防水シートC1)に対して移動不能に取り付けられた固定ディスク1(第一固定ディスク11)の表面1aから第一防水シートC1の防水表面Caの一部に亘って、被覆シート2(第一保護シート21)を被せ、第一保護シート21の上に誘導加熱装置Ha及び台座Hcが載置される。
誘導加熱装置Haの押圧面Hbによる加熱で、第一保護シート21の中央部位21aを通して接着層3の表側接着層3aや内側接着層3bが溶融される。
これにより、中央部位21aの裏側面2aと、第一固定ディスク11の表面1aと、が表側接着層3aで接合固定される。これと同時に、押圧面Hbによる加熱で、中央部位21aの一部が熱変形して複数の窪み部(貫通孔)1fにそれぞれ入り込み、中央部位21aにおいて複数の窪み部1fを除いて覆う他の部位よりも落ち込んだ複数の凹部2cとなる。複数の凹部2cの裏側は、溶融した内側接着層3bで窪み部1fの内面に接合固定される。
これに加えて押圧面Hbの加熱で、接着層3の裏側接着層3cが溶融されて、第一固定ディスク11の裏面1bと第一防水シートC1の防水表面Caが、裏側接着層3cで接合固定される。
さらに台座Hcの発熱で、接着層3の環状側接着層3dが溶融されて、第一保護シート21の中央部位21aよりも外側の環状部位21bの裏側面2aと、第一固定ディスク11の外周面1cと、が環状側接着層3dで接合固定される。
これに加えて台座Hcの発熱で、接着層3の外側接着層3eが溶融されて、第一保護シート21の環状部位21bよりも外側の外周部位21cの裏側面2aと、第一防水シートC1の防水表面Caと、が外側接着層3eで接合固定される。
また、第一実施形態のシート固定装置A1と、同サイズの比較例を用い、同じ条件で引張試験(引張速度100mm/分)を行って、防水シートの破断強度を測定したころ、比較例よりも約20%向上した。
ここで用いた比較例は、複数の窪み部(貫通孔)が無い固定ディスクを用いた点で、第一実施形態のシート固定装置A1と相違している。
【0015】
図2に示される第二実施形態のシート固定装置A2は、固定ディスク1(第二固定ディスク12)の裏面1bに沿って補強層4(第二補強層42)が配置され、第二補強層42の突出部4aを被覆シート2(第二保護シート22)と接合した構成が、前述した第一実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態と同じものである。
第二補強層42の突出部4aは、第二保護シート22において環状部位22bと外周部位22cの間に形成される中間部位22dと対向するように配置されている。
これにより、台座Hcの発熱で接着層3の外側接着層3eが溶融されて、第二補強層42の突出部4aの表面側と、第二保護シート22の中間部位22dの裏側面2aが外側接着層3eで接合固定される。
第二保護シート22の外周部位22cの裏側面2aは、防水シートC(第二防水シートC2)の防水表面Caと、溶剤で溶着接合されている。
図2図5に示される例では、塩化ビニル樹脂系シートなどの可塑剤を含む防水シートC,スチレン製の断熱材Dが用いられ、防水シートCと断熱材Dの間には、絶縁層Eを積層している。
シート絶縁層Eは、ポリエチレンなどの発砲シート又はこれに類似するシート材料などからなり、防水シートCに含まれた可塑剤によりスチレン製の断熱材Dが浸食されることを防止している。
また、第二実施形態のシート固定装置A2と、第一実施形態のシート固定装置A1を用い、同じ条件で引張試験(引張速度100mm/分)を行って、防水シートの破断強度を測定したころ、第一実施形態のシート固定装置A1よりも約22%向上した。
【0016】
図3に示される第三実施形態のシート固定装置A3は、固定ディスク1(第三固定ディスク13)の裏面1bに沿って補強層4(第三補強層43)が配置され、第三補強層43の突出部4aを被覆シート2(第三保護シート23)と防水シートC(第三防水シートC3)の間に接合した構成が、前述した第一実施形態や第二実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態や第二実施形態と同じものである。
第三補強層43の突出部4aは、第三保護シート23の外周部位23cの裏側面2aと、第三防水シートC3の防水表面Caとの間に挟まれるように配置されている。
これにより、台座Hcの発熱で接着層3の外側接着層3eが溶融されて、第三補強層43の突出部4aの表面側と、第三保護シート23の外周部位23cの裏側面2aが外側接着層3eで接合固定される。第三補強層43の突出部4aの裏面側は、ホットメルト接着剤などの接着部(図示しない)で第三防水シートC3の防水表面Caに接合固定される。
【0017】
図4(a)(b)に示される第四実施形態のシート固定装置A4は、下地B,断熱材Dに対して移動不能に取り付けられた固定ディスク1(第四固定ディスク14)の表面1aと、断熱材Dの表面側に沿って防水シートC(第四防水シートC4)を被せ、第四防水シートC4の一部で第四固定ディスク14に重ね合わせた被覆部位24aが被覆シート2となり、被覆部位24aの上に誘導加熱装置Ha及び台座Hcが載置される。
誘導加熱装置Haの押圧面Hbによる加熱で、第四防水シートC4の被覆部位24aを通して接着層3の表側接着層3aや内側接着層3bが溶融される。
これにより、被覆部位24aの裏側面2aと、第四固定ディスク14の表面1aと、が表側接着層3aで接合固定される。これと同時に、押圧面Hbによる加熱で、被覆部位24aの一部が熱変形して複数の窪み部(貫通孔)1fにそれぞれ入り込み、被覆部位24aにおいて複数の窪み部1fを除いて覆う他の部位よりも落ち込んだ複数の凹部2cとなる。複数の凹部2cの裏側は、溶融した内側接着層3bで窪み部1fの内面に接合固定される。
これに加えて第四固定ディスク14の裏面1bと断熱材Dの表面側を接着する必要がある場合には、押圧面Hbの加熱で、接着層3の裏側接着層3cが溶融されて接合固定可能となる。
さらに台座Hcの発熱で、接着層3の環状側接着層3dが溶融されて、被覆部位24aよりも外側の環状部位24bの裏側面2aと、第四固定ディスク14の外周面1cと、が環状側接着層3dで接合固定される。
これに加えて台座Hcの発熱で、接着層3の外側接着層3eが溶融されて、環状部位24bよりも外側の外周部位24cの裏側面2aと、第四防水シートC4の防水表面Caと、が外側接着層3eで接合固定される。
【0018】
図5に示される第五実施形態のシート固定装置A5は、固定ディスク1(第五固定ディスク15)の裏面1bに沿って補強層4(第五補強層45)が配置され、第五補強層45の突出部4aに対して、被覆シート2となる防水シートC(第五防水シートC5)を段差状に接合した構成が、前述した第四実施形態とは異なり、それ以外の構成は第四実施形態と同じものである。
第五補強層45の突出部4aは、第五防水シートC5において環状部位25bと外周部位25cの間に段差状に形成される中間部位25dと対向するように配置されている。
これにより、台座Hcの発熱で接着層3の外側接着層3eが溶融されて、第五補強層45の突出部4aの表面側と、第五防水シートC5の中間部位25dの裏側面2aが外側接着層3eで段差状に接合固定される。
なお、第五防水シートC5の外周部位25cの裏側面2aは、断熱材Dの表面側と接合されていない。
【0019】
図6に示される第六実施形態のシート固定装置A6は、固定ディスク1(第六固定ディスク16)の裏面1bに沿って補強層4(第六補強層46)が配置され、第六補強層46の突出部4aに対して、被覆シート2となる防水シートC(第六防水シートC6)を略同一平面上に接合した構成が、前述した第四実施形態や第五実施形態とは異なり、それ以外の構成は第四実施形態や第五実施形態と同じものである。
第六補強層46の表面側には、第六固定ディスク16と厚み方向へ嵌合する凹状部4bが形成され、第六固定ディスク16の外周面1cから径方向へ突き出る突出部4aの表面側は、第六固定ディスク16の表面1aと略同一平面に配置される。
第六補強層46において凹状部4bを除いた突出部4aの表面側には、ホットメルト接着剤などの接着部(図示しない)が形成され、誘導加熱で溶融可能にしている。
第六補強層46の具体例として図6に示される場合には、円形のシート材料と環状のシート材料を積み重ねることで、環状のシート材料の中央に凹状部4bが形成されている。また、その他の例として図示しないが、第六補強層46を射出成型などで一体形成することや、プレス成型などで略同じ厚みに形成するなどの変形が可能である。
これにより、押圧面Hbの加熱で、接着層3の裏側接着層3c及び環状側接着層3dが溶融されて、第六固定ディスク16の裏面1b及び外周面1cと、第六補強層46の凹状部4bが、裏側接着層3c及び環状側接着層3dで接合固定される。
また、図6に示される例では、第四実施形態や第五実施形態と同様に誘導加熱装置Ha及び台座Hcを載置している。しかし、固定ディスク16の表面1aと第六補強層46の突出部4aの表面側が同一平面に配置される場合には、台座Hcに代えて大径な押圧面Hbを用いることも可能である。
これにより、台座Hcや押圧面Hbの加熱で、第六補強層46の凹状部4bを除いた突出部4aの表面側と、第六防水シートC6の防水裏面Cbとの間の接着部が溶融されて略同一平面に接合固定される。
【0020】
そして、本発明の実施形態に係るシート固定装置Aを用いたシート固定方法は、防水シートCの一部を固定ディスク1で固定するディスク固定工程と、固定ディスク1の表面1aに加熱溶融可能な接着層3を介して被覆シート2が配置される重ね合わせ工程と、ヒータHで被覆シート2の表側面2bから接着層3及び固定ディスク1に向けて加熱する加熱工程と、を主要な工程として含んでいる。
【0021】
このような本発明の実施形態に係るシート固定具A及びシート固定装置並びにシート固定方法によると、ヒータHで被覆シート2の表側面2bから接着層3(表側接着層3a)に向けて加熱することにより、接着層3(表側接着層3a)が溶融して固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aが接合固定される。
これと同時に、被覆シート2において固定ディスク1の窪み部1fを覆う対向部位が、ヒータHによる加熱で熱変形して窪み部1fに入り込み、被覆シート2において窪み部1fを除いて覆う他の部位よりも落ち込んだ凹部2cとなる。
これにより、被覆シート2の裏側面2aにおいて凹部2cの裏側は、溶融した接着層3(内側接着層3b)で窪み部1fの内面に対し、凹凸状に接合固定される。
したがって、固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aを凹凸状に接合させながらヒータHの加熱処理による形跡を被覆シート2の表側面2bに残すことができる。
その結果、パッチや防水シート(被覆シート)の表側面に沿った強風時に固定ディスクの表面と被覆シートの裏側面との間で位置ズレを生じて剥離する従来のものに比べ、固定ディスク1の表面1aに対して被覆シート2の裏側面2aが位置ズレ不能に接合され、両者の密着性を向上させて被覆シート2の動きが抑制され、両者間の剥離を長期に亘って防止できる。
さらに、被覆シート2の表側面2bに生じた凹部2cは、加熱作業を確認するための目印(指標)となるため、凹部2cの有無を確認するだけで、ヒータHによる未加熱不接合箇所を簡単に発見できて、作業性や保守性に優れる。
【0022】
特に、接着層3(表側接着層3a)が、誘導加熱により溶融される接着剤からなることが好ましい。
この場合には、ヒータH(誘導加熱装置Ha)の誘導加熱で被覆シート2の表側面2bから接着層3(表側接着層3a)を溶融することにより、被覆シート2の裏側面2aと固定ディスク1の表面1aが接着層3(表側接着層3a)を介して接着固定される。
したがって、簡単な誘導加熱作業で被覆シート2の裏側面2aと固定ディスク1の表面1aを確実に接合固定することができる。
その結果、作業性に優れる。
【0023】
図1(a)(b)~図3に示される第一実施形態~第三実施形態のシート固定装置A1,A2,A3によると、下地Bに沿って敷設された防水シートC1,C2,C3の防水表面Caに対し、固定ディスク11,12,13を配置した後に、固定ディスク11,12,13の表面1a及び防水シートC1,C2,C3の防水表面Caの一部に亘り、保護シート21,22,23が接着層3(表側接着層3a)を挟んで接合固定される。
したがって、防水シートCの敷設後に固定ディスク1を固定する後付工法で、固定ディスク11,12,13の表面1aと、被覆シート2となる保護シート21,22,23の裏側面2aを凹凸状に接合させながらヒータHの加熱処理による形跡を保護シート21,22,23の表側面2bに残すことができる。
その結果、後付工法であっても、固定ディスク11,12,13の表面1aと保護シート21,22,23の裏側面2aを位置ズレ不能に接合して密着性の向上が図れるとともに、凹部2cの有無を確認するだけで、ヒータHによる未加熱不接合箇所を簡単に発見できて、作業性や保守性に優れる。
【0024】
図4(a)(b)~図6に示される第四実施形態~第六実施形態のシート固定装置A4,A5,A6によると、下地Bに対して固定ディスク14,15,16を固定した後に、下地Bや固定ディスク14,15,16の表面1aを覆うように防水シートC4,C5,C6が敷設されるとともに、被覆シート2として防水シートC4,C5,C6の一部が、固定ディスク14,15,16の表面1aと接着層3(表側接着層3a)を挟んで接合固定される。
したがって、防水シートCの敷設前に固定ディスク1を固定する先付工法で、固定ディスク14,15,16の表面1aと、被覆シート2となる防水シートC4,C5,C6の一部の裏側面2aを凹凸状に接合させながらヒータHの加熱処理による形跡を防水シートC4,C5,C6の表側面2bに残すことができる。
その結果、先付工法であっても、固定ディスク14,15,16の表面1aと、防水シートC4,C5,C6の一部の裏側面2aを位置ズレ不能に接合して密着性の向上が図れるとともに、凹部2cの有無を確認するだけで、ヒータHによる未加熱不接合箇所を簡単に発見できて、作業性や保守性に優れる。
【0025】
なお、前示の実施形態(第一実施形態~第六実施形態)や図示例では、下地Bと防水シートC又は固定ディスク1との間に断熱材Dを敷設したが、これに限定されず、下地Bに沿って断熱材Dが敷設されることなく直接的に防水シートCを敷設することや、下地Bに対して断熱材Dが敷設されることなく直接的に固定ディスク1を固定してもよい。
さらに、ヒータHとして誘導加熱装置Haを用いたが、これに限定されず、誘導加熱装置Haに代えて熱風ヒータや熱線ヒータなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0026】
A,A1~A6 シート固定具及びシート固定装置
1,11~16 固定ディスク 1a 表面
1f 窪み部 2 被覆シート
21,22,23 保護シート 2a 裏側面
2b 表側面 2c 凹部
3(3a) 接着層(表側接着層) B 下地
C,C1~C6 防水シート Ca 防水表面
Cb 防水裏面 H ヒータ
Ha 誘導加熱装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6