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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021057640
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154549
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100148563
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 実
(72)【発明者】
【氏名】山本 恵輝
(72)【発明者】
【氏名】金川 勉
(72)【発明者】
【氏名】内村 研太
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 淳
(72)【発明者】
【氏名】松田 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】島 伸嘉
(72)【発明者】
【氏名】石塚 千花
(72)【発明者】
【氏名】肥田木 千明
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064074(JP,A)
【文献】特開2017-192490(JP,A)
【文献】特開2017-086291(JP,A)
【文献】特開2008-142460(JP,A)
【文献】特開2007-029656(JP,A)
【文献】特開2015-037476(JP,A)
【文献】特開2018-164524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機であって、当該遊技機の音量の強度をカスタマイズ可能とした遊技機において、
遊技者が操作可能な第1操作手段と、
遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、
前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、
前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、
前記所定遊技の実行中の演出には、前記第1操作を実行契機とする特定演出と、前記第2操作を実行契機とする特殊演出と、を含み、
前記特殊演出は、当該特殊演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる確定演出であるとともに前記所定遊技のステータスを選択可能とした選択演出であり、
前記特殊演出では、前記所定遊技のステータスを最初に戻すことと継続することを選択でき、
前記特定演出は、当該特定演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる場合と前記事象がその後に現れない場合とがある非確定演出であり、
前記特定演出は、前記特定状態が付与される場合に実行され易い演出である遊技機。
【請求項2】
前記ステータスに関する情報は、前記遊技機への電源投入時に初期化される請求項1に記載の遊技機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、例えば図柄変動ゲーム中の演出として大当りなど遊技者に有利な状態が生じる可能性があることを予告する演出が行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにパチンコ遊技機で行われる演出は、例えば遊技者が抱く大当りの期待感などを高揚させる目的において有効な演出である。このため、如何なる演出を出現させるかは、遊技の興趣を向上させるために重要な要素となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する遊技機は、所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機であって、当該遊技機の音量の強度をカスタマイズ可能とした遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、前記所定遊技の実行中の演出には、前記第1操作を実行契機とする特定演出と、前記第2操作を実行契機とする特殊演出と、を含み、前記特殊演出は、当該特殊演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる確定演出であるとともに前記所定遊技のステータスを選択可能とした選択演出であり、前記特殊演出では、前記所定遊技のステータスを最初に戻すことと継続することを選択でき、前記特定演出は、当該特定演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる場合と前記事象がその後に現れない場合とがある非確定演出であり、前記特定演出は、前記特定状態が付与される場合に実行され易い演出である。
【0006】
上記遊技機において、前記ステータスに関する情報は、前記遊技機への電源投入時に初期化されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、興趣の向上を図り得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】パチンコ遊技機を模式的に示す斜視図。
図2】遊技盤を模式的に示す正面図。
図3】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
図4】大当りの種類を説明する説明図。
図5】遊技モードの種類及び遊技モードの移行を説明する説明図。
図6】(a)~(h)は大当り遊技中の演出を説明する模式図。
図7】(a)~(d)は大当り遊技中の演出を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、パチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、枠体11を備える。例えば、枠体11は、パチンコ遊技機10を遊技場などの島設備に固定する設置枠11aと、各種の遊技部品を搭載する搭載枠11bと、を含んで構成されている。搭載枠11bは、設置枠11aに開閉可能に支持されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機10は遊技盤YBを備える。遊技盤YBの盤面には、正面視ほぼ円形状の遊技領域YBaが画成されている。また、パチンコ遊技機10は、遊技球を発射させるために遊技者が操作する発射ハンドルHDを備える。遊技領域YBaには、遊技者が発射ハンドルHDを操作することによって打ち出された遊技球が流下案内される。
【0013】
パチンコ遊技機10は、発光演出や、発光報知を実行する装飾ランプLaを備える。装飾ランプLaは、パチンコ遊技機10を構成する枠(例えば搭載枠11b)や遊技盤YBに配置されている。パチンコ遊技機10は、効果音や楽曲などの各種の音を出力し、音声演出や、音声報知を実行するスピーカSpを備える。本実施形態において、演出表示装置EH、スピーカSp、及び装飾ランプLaは、それぞれ演出を実行可能な演出装置であるとともに、それぞれ報知を実行可能な報知装置である。
【0014】
パチンコ遊技機10は、遊技者が操作可能な操作手段として、演出ボタンBT1、十字キーBT2及び特殊ボタンBT3を備える。演出ボタンBT1、十字キーBT2及び特殊ボタンBT3は、パチンコ遊技機10の前面に配設されている。演出ボタンBT1及び十字キーBT2は、押下操作を可能に構成されたボタン式の手段である。特殊ボタンBT3は、押し込み操作が可能に構成されたボタン式の手段である。演出ボタンBT1、十字キーBT2及び特殊ボタンBT3は、ボタン式であることに限らず、タッチセンサ式であってもよく、所定の表示装置をタッチパネル式の手段として機能させる構成であってもよい。十字キーBT2は、左キーLB、右キーRB、上キーUB及び下キーDBのように、操作可能な複数の部分を含んで構成される。演出ボタンBT1は、図3に示すように内部発光体BLを内蔵する。
【0015】
これらの操作手段である各種ボタンは、パチンコ遊技機10で実行される各種演出時や、カスタマイズの設定時に用いられる。各種演出には、例えばボタンを単押し、長押し、あるいは連打させることによって所定の結果を導き出す操作演出や、ボタンの操作によって選択肢の中から1つの選択肢を選択する選択演出を含む。カスタマイズには、演出の種類や出現率を設定すること、パチンコ遊技機10の音量や光量などの強度を設定すること、獲得出玉や大当り回数などの遊技情報を設定すること、を含む。各種ボタンは、その操作の有効期間が定められており、その有効期間内に操作すると、その操作が有効とされて反映される。有効期間は、特別図柄や演出図柄を変動させる変動ゲーム中、大当り遊技中、デモンストレーション演出が実行される待機状態中など、パチンコ遊技機10の仕様に応じて任意に設定可能である。また、このようなボタンを用いた演出や設定は、ボタン操作が有効であること、つまり操作の有効期間中であることを、積極的に報知して操作を促す場合と、報知を全くしないかあるいは目立たないように報知する場合とがある。後者のように積極的に報知しないボタンの操作は、隠しボタンの演出などとも言われている。なお、積極的な報知は、例えば演出を表示する画像表示装置に「ボタンを押せ」などのメッセージを表示したり、音声にて「ボタンを押して下さい」と出力したりして行われる。
【0016】
図2に示すように、パチンコ遊技機10は、第1特別図柄表示部13a及び第2特別図柄表示部13bを備える。第1特別図柄表示部13a及び第2特別図柄表示部13bは、特別図柄を変動させる変動ゲームを表示する。以下の説明では、特別図柄を変動させる変動ゲームを特別ゲームと示す場合がある。特別ゲームでは、所定の図柄が変動表示され、最終的に特別図柄が確定停止表示される。特別図柄は、内部抽選(後述する大当り抽選)の結果を報知するための図柄である。また、パチンコ遊技機10は、特別図柄として第1特別図柄と第2特別図柄を備える。第1特別図柄表示部13aは、第1特別図柄を変動させる第1特別ゲームを表示する。第2特別図柄表示部13bは、第2特別図柄を変動させる第2特別ゲームを表示する。本明細書において、「変動表示」とは、表示されている図柄の種類が時間の経過とともに変化している状態を意味する。本明細書において、「確定停止表示」とは、図柄が確定的に停止表示されており、表示されている図柄の種類が変化しない状態を意味する。パチンコ遊技機10において、第2特別ゲームは、第1特別ゲームに対して優先的に実行される。第1特別ゲーム及び第2特別ゲームは、同時に並行して実行されない。特別図柄には、大当り表示結果としての大当り図柄と、はずれ表示結果としてのはずれ図柄と、がある。パチンコ遊技機10では、大当り抽選にて大当りに当選すると、特別ゲームにて大当り図柄が導出され、当該大当りの特別ゲームの終了後、大当り遊技が付与される。
【0017】
パチンコ遊技機10は、特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示する第1特別保留表示部13c及び第2特別保留表示部13dを備える。第1特別保留表示部13cは、第1特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示する。第2特別保留表示部13dは、第2特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示する。本実施形態において、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームの各保留数の上限値は、4である。パチンコ遊技機10は、普通図柄表示部13eを備える。普通図柄表示部13eは、普通ゲームを表示する。普通ゲームでは、所定の図柄が変動表示され、最終的に普通図柄が確定停止表示される。普通図柄は、内部抽選(後述する普通抽選)の結果を報知するための図柄である。普通図柄には、普通当り表示結果としての普通当り図柄と、普通はずれ表示結果としての普通はずれ図柄とがある。パチンコ遊技機10では、普通抽選にて普通当りに当選すると、普通ゲームにて普通当り図柄が導出され、該普通当りの普通ゲームの終了後、普通当り遊技が付与される。パチンコ遊技機10は、普通保留表示部13fを備える。普通保留表示部13fは、普通ゲームの保留数を特定可能な情報を表示する。
【0018】
パチンコ遊技機10は、画像を表示する演出表示装置EHを備える。演出表示装置EHは、画像を表示可能な表示領域としての画像表示部GHを有し、該画像表示部GHに画像を表示させることにより各種の報知及び各種の演出を実行可能である。本実施形態において、演出表示装置EHは、演出を実行可能な演出手段である。以下の説明では、画像の表示による演出を「表示演出」と示す。画像表示部GHは、例えば、液晶パネルであってもよいし、有機ELパネルなどであってもよい。演出表示装置EHでは、表示演出の1つとして、演出図柄を変動させる変動ゲームを表示する。以下の説明では、演出図柄を変動させる変動ゲームを演出ゲームと示す場合がある。演出ゲームでは、複数列の演出図柄が変動表示され、最終的に演出図柄の組合せが導出される。演出図柄は、飾り図柄とも言われている。演出図柄は、キャラクタや模様等の装飾が施された図柄であって、表示演出を多様化させるための図柄である。一例として、本実施形態の演出ゲームは、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の演出図柄をそれぞれ所定方向に変動表示(スクロール表示)させて行われる。
【0019】
演出ゲームは、特別ゲームとともに開始され、特別ゲームとともに終了される。演出ゲームでは、特別ゲームで確定停止表示される特別図柄に応じた演出図柄の組合せが確定停止表示される。特別ゲームにおいて大当り図柄が確定停止表示されるとき、演出ゲームでは演出図柄による大当りの図柄組合せが確定停止表示される。大当りの図柄組合せは、「777」などのように全列の演出図柄が同一の演出図柄となる図柄組合せである。特別ゲームにおいてはずれ図柄が確定停止表示されるとき、演出ゲームでは演出図柄によるはずれの図柄組合せが確定停止表示される。はずれの図柄組合せは、一例として、「778」や「787」などのように少なくとも一部列の演出図柄が他列の演出図柄とは異なる図柄組合せである。本明細書において、「一旦停止表示」とは、ゆれ変動表示などのように、演出図柄が確定停止表示される前の仮停止状態である。
【0020】
パチンコ遊技機10は、第1始動口15を備える。第1始動口15は、遊技球を入球させることができるように、常に開口している。パチンコ遊技機10は、第1始動口15へ入球した遊技球を検知する第1始動センサSE1を備える(図3参照)。パチンコ遊技機10では、遊技球が第1始動センサSE1によって検知されると、第1特別ゲームの保留条件が成立し得るとともに、予め定めた個数の賞球の払出条件が成立する。
【0021】
パチンコ遊技機10は、遊技領域YBaに開口する第2始動口16を備える。パチンコ遊技機10は、第2始動口16へ入球した遊技球を検知する第2始動センサSE2を備える(図3参照)。パチンコ遊技機10では、遊技球が第2始動センサSE2によって検知されると、第2特別ゲームの保留条件が成立し得るとともに、予め定めた個数の賞球の払出条件が成立する。パチンコ遊技機10は、遊技球が第2始動口16へ入球可能な開状態と、遊技球が第2始動口16へ入球不能な閉状態と、に動作可能な普通可変部材17を備える。閉状態は、遊技球が第2始動口16へ入球し得るが、開状態に比して入球し難い状態であってもよい。パチンコ遊技機10は、普通可変部材17を動作させる第1アクチュエータA1を備える(図3参照)。普通可変部材17は、普通当り遊技において、開状態に動作される。
【0022】
パチンコ遊技機10は、遊技領域YBaに開口する大入賞口18を備える。パチンコ遊技機10は、遊技球が大入賞口18へ入球可能な開状態と、遊技球が大入賞口18へ入球不能な閉状態と、に動作可能な特別可変部材19を備える。パチンコ遊技機10は、特別可変部材19を動作させる第2アクチュエータA2を備える(図3参照)。特別可変部材19は、特別図柄の大当りを含む当り遊技において、開状態に動作される。パチンコ遊技機10は、大入賞口18へ入球した遊技球を検知するカウントセンサSE3を備える(図3参照)。パチンコ遊技機10では、遊技球がカウントセンサSE3によって検知されると、予め定めた個数の賞球の払出条件が成立する。
【0023】
パチンコ遊技機10は、遊技領域YBaを流下する遊技球が通過(入球)可能なゲート25を備える。パチンコ遊技機10は、ゲート25を通過する遊技球を検知するゲートセンサSE4を備える(図3参照)。パチンコ遊技機10では、遊技球がゲートセンサSE4によって検知されると、普通ゲームの保留条件が成立し得る一方、賞球の払出条件が成立しない。
【0024】
次に、パチンコ遊技機10の遊技状態について説明する。
パチンコ遊技機10は、大当り確率を高確率に変動させる確率変動機能と、第2始動口16への遊技球の入球を補助する入球補助機能と、特別ゲームの変動時間を短縮する時間短縮機能と、を搭載している。パチンコ遊技機10における遊技状態は、これらの機能の作動状態(作動及び非作動)を組み合わせて構成される。
【0025】
確率変動機能(以下、確変機能と示す)について説明する。
パチンコ遊技機10は、大当り確率が異なる状態として、複数の確率状態を備える。複数の確率状態には、低確率状態と、該低確率状態に比して、大当り確率が高い高確率状態と、がある。確変機能が作動すると、確率状態が低確率状態から高確率状態へと移行し、大当りに当選する可能性が高まる。このため、高確率状態は、遊技者にとって有利な状態となる。高確率状態は、所謂「確率変動状態(確変状態)」である。
【0026】
入球補助機能について説明する。
入球補助機能は、第2始動口16への遊技球の入球をサポートする機能であり、所謂「電サポ機能」である。パチンコ遊技機10は、第2始動口16への遊技球の入球率が異なる状態として、複数の入球率状態を備える。複数の入球率状態には、低入球率状態と、該低入球率状態に比して、入球率が高い高入球率状態と、がある。入球補助機能が作動すると、入球率状態が低入球率状態から高入球率状態に移行し、第2特別ゲームの始動条件を成立させ易くなる。このため、高入球率状態は、遊技者にとって有利な状態となる。
【0027】
例えば、高入球率状態は、次に説明する3つの補助制御のうち任意に選択できる1つの制御を実行することによって、又は複数の制御を組み合わせて実行することによって実現できる。第1補助制御は、普通ゲームの変動時間を、低入球率状態のときよりも短くする制御である。第2補助制御は、普通抽選における普通当り確率を、低入球率状態のときよりも高確率に変動させる制御である。第2補助制御は、低入球率状態では、普通抽選そのものを行わないが、高入球率状態では、所定の当選確率にて普通抽選を行う制御であってもよい。第3補助制御は、1回の普通当り遊技における普通可変部材17の合計開放時間を、低入球率状態のときよりも長くする制御である。なお、第3補助制御としては、1回の普通当り遊技における普通可変部材17の開放回数を、低入球率状態のときよりも多くする制御、及び、普通当り遊技における普通可変部材17の1回の開放時間を、低入球率状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方の制御を行うとよい。
【0028】
次に、変動時間短縮機能(以下、時短機能と示す)について説明する。
パチンコ遊技機10は、特別ゲームの変動時間(平均変動時間)が異なる状態として、複数の変動時間状態を備える。複数の変動時間状態には、長変動時間状態と、長変動時間状態に比して、少なくとも第2特別ゲームの平均変動時間が短い短変動時間状態と、がある。時短機能が作動すると、変動時間状態が長変動時間状態から短変動時間状態へ移行し、単位時間当りで実質的に実行可能な特別ゲームの回数が増加する。即ち、特別ゲームの保留の消化効率が向上する。なお、本実施形態において、時短機能は、入球補助機能に付随して作動する。つまり、時短機能は、入球補助機能とともに作動し、入球補助機能とともに非作動となる。
【0029】
次に、大当りについて説明する。
パチンコ遊技機10は、特別図柄の大当り図柄として、複数種類の大当り図柄を備える。大当り図柄の種類は、大当りの種類でもある。大当り図柄は、1又は複数の種類に分類される。パチンコ遊技機10では、大当り図柄の種類(大当りの種類)に応じて大当り遊技が付与される。大当り遊技は、所定の抽選である大当り抽選に当選した場合に付与される所定遊技である。
【0030】
大当り遊技では、最初に、予め定めた時間であるオープニング時間にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の開始を特定可能なオープニング演出である。大当り遊技では、オープニング時間の経過後に、大入賞口18を開放するラウンド遊技が予め定めた上限回数を上限として行われる。1回のラウンド遊技は、予め定めた上限個数の遊技球が入球するか、又は、予め定めた上限時間が経過すると終了する。ラウンド遊技において、大入賞口18は、所定の開放態様又は開放パターンにて開放される。各ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。大当り遊技では、最終回のラウンド遊技が終了すると、予め定めた時間であるエンディング時間にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の終了を特定可能なエンディング演出である。大当り遊技は、エンディング時間の経過に伴って終了する。パチンコ遊技機10では、大当り図柄の種類(大当りの種類)に応じて、大当り遊技の終了後の遊技状態が制御される。
【0031】
次に、パチンコ遊技機10の電気的構成を説明する。
図3に示すように、パチンコ遊技機10は、主基板40を備える。主基板40は、所定の処理を行い、当該処理の結果に応じて、制御情報の一例である制御コマンドなどの制御信号を出力する。パチンコ遊技機10は、副基板50を備える。主基板40及び副基板50は、主基板40から副基板50へ一方向に制御信号を出力可能に接続されている。副基板50は、主基板40から入力した制御信号に基づいて所定の処理を実行する。
【0032】
主基板40について詳しく説明する。
主基板40は、主制御CPU41と、主制御ROM42と、主制御RWM43と、を備える。主制御CPU41は、主制御用のプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。主制御ROM42は、各種の判定や抽選に用いる判定値やテーブルなどを記憶している。主制御ROM42は、変動ゲームの内容を特定可能な変動情報としての変動パターンを記憶している。具体的に、変動パターンは、特別ゲームが開始してから終了するまでの変動時間を特定可能な情報である。
【0033】
変動パターンには、大当り変動パターンと、はずれ変動パターンと、がある。大当り変動パターンは、演出ゲームにて、リーチ演出を行い、最終的に大当りの図柄組合せを確定停止表示する変動パターンである。はずれ変動パターンは、演出ゲームにて、最終的にはずれの図柄組合せを確定停止表示する変動パターンである。はずれ変動パターンには、リーチ演出を行う「リーチあり」の変動パターンと、リーチ演出を行わない「リーチなし」の変動パターンと、が含まれる。リーチなしのはずれ変動パターンには、特別ゲームの変動時間として特定の変動時間を特定可能な変動パターンと、特定の変動時間よりも短い変動時間を特定可能な変動パターンと、がある。なお、以下の説明では、特定の変動時間で特別ゲームが実行されるときの変動内容を「通常変動」と示す場合があるとともに、特定の変動時間よりも短い変動時間で特別ゲームが実行されるときの変動内容を「短縮変動」と示す場合がある。特別ゲームの変動内容が通常変動である場合、演出ゲームは、全ての図柄列の演出図柄が互いに異なるタイミングで一旦停止表示される態様で実行される。一方、特別ゲームの変動内容が短縮変動である場合、演出ゲームは、全ての図柄列のうち少なくとも一部である複数列の演出図柄が同一又は略同一のタイミングで一旦停止表示される態様で実行される。
【0034】
主制御RWM43は、主制御CPU41による処理の結果に応じて書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、主制御RWM43が記憶する情報は、フラグ、カウンタ及びタイマなどである。また、主基板40は、ハードウェア乱数を生成する図示しない乱数生成回路を備える。また、主基板40は、主制御CPU41による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能であってもよい。
【0035】
主制御CPU41は、第1始動センサSE1、第2始動センサSE2、カウントセンサSE3及びゲートセンサSE4の各センサと接続されている。主制御CPU41は、各センサSE1~SE4が遊技球を検知したときに出力する検知信号を入力可能である。主制御CPU41は、第1特別図柄表示部13a、第2特別図柄表示部13b、第1特別保留表示部13c、第2特別保留表示部13d、普通図柄表示部13e及び普通保留表示部13fの各表示部と接続されている。主制御CPU41は、各表示部13a~13fの表示内容を制御可能である。主制御CPU41は、第1アクチュエータA1と接続されている。主制御CPU41は、第1アクチュエータA1を制御することによって、普通可変部材17の動作を制御可能である。主制御CPU41は、第2アクチュエータA2と接続されている。主制御CPU41は、第2アクチュエータA2を制御することによって、特別可変部材19の動作を制御可能である。
【0036】
次に、副基板50について詳しく説明する。
副基板50は、副制御CPU51と、副制御ROM52と、副制御RWM53と、を備える。副制御CPU51は、副制御用のプログラムを実行することにより、演出に関する各種の処理を行う。副制御ROM52は、副制御プログラムや、所定の抽選に用いる判定値などを記憶している。副制御ROM52は、表示演出に用いる表示演出データ、発光演出に用いる発光演出データ、及び音声演出に用いる音声演出データなどを記憶する。
【0037】
副制御RWM53は、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、副制御RWM53が記憶する情報は、フラグ、カウンタ及びタイマなどである。また、副基板50は、副制御CPU51による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能である。なお、副基板50は、乱数生成回路を備え、ハードウェア乱数を生成可能であってもよい。
【0038】
副制御CPU51は、演出表示装置EHと接続されている。副制御CPU51は、演出表示装置EHの表示内容を制御可能である。副制御CPU51は、装飾ランプLaと接続されている。副制御CPU51は、装飾ランプLaの発光態様を制御可能である。副制御CPU51は、スピーカSpと接続されている。副制御CPU51は、スピーカSpの出力態様を制御可能である。本実施形態では、副制御CPU51が演出表示装置EH、装飾ランプLa及びスピーカSpのうち少なくとも1つの演出装置を制御することにより、遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段としての機能が実現される。
【0039】
副制御CPU51は、演出ボタンBT1、十字キーBT2及び特殊ボタンBT3が接続されている。副制御CPU51は、演出ボタンBT1が操作されたときに出力する第1操作信号(オン信号)を入力可能である。副制御CPU51は、十字キーBT2(左キーLB、右キーRB、上キーUB、下キーDB)が操作されたときに出力する第2操作信号(オン信号)を入力可能である。副制御CPU51は、特殊ボタンBT3が操作されたときに出力する第3操作信号(オン信号)を入力可能である。また、副制御CPU51は、内部発光体BLと接続されている。副制御CPU51は、内部発光体BLの発光態様を制御可能である。
【0040】
次に、主制御CPU41が行う各種の処理について説明する。
主制御CPU41は、所定の制御周期(例えば、4ms)毎に行うタイマ割り込み処理として、特別図柄入力処理及び特別図柄開始処理などを実行する。
【0041】
最初に、特別図柄入力処理について説明する。
特別図柄入力処理において主制御CPU41は、第1始動センサSE1から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第1始動口15へ入球したか否かを判定する。遊技球が第1始動口15へ入球した場合、主制御CPU41は、主制御RWM43に記憶されている第1特別ゲームの保留数が上限数(本実施形態では、4)未満であるか否かを判定する。第1特別ゲームの保留数が上限数未満である場合、主制御CPU41は、第1特別ゲームの保留数を1加算して更新する。続けて、主制御CPU41は、更新後の第1特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示するように、第1特別保留表示部13cを制御する。このように、第1特別ゲームの保留条件は、第1特別ゲームの保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第1始動センサSE1によって検知されると成立する。次に、主制御CPU41は、主基板40内で生成している乱数を取得し、該取得した乱数に基づく乱数情報を主制御RWM43に記憶させる。例えば、乱数は、大当り抽選に用いる特別当り乱数、当り図柄の決定に用いる当り図柄乱数及び変動パターンの決定に用いる変動パターン乱数などである。主制御CPU41は、第1特別ゲーム用の乱数情報であること及び乱数情報の記憶順序を特定可能に、乱数情報を記憶させる。乱数情報は、取得した乱数そのものであってもよく、乱数を所定の手法により加工した情報であってもよい。パチンコ遊技機10は、第1特別ゲームに用いる乱数情報を主制御RWM43に記憶させておくことで、当該第1特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。
【0042】
第1特別ゲーム用の乱数情報を主制御RWM43に記憶させた場合、第1始動口15へ遊技球が入球していない場合、及び、第1特別ゲームの保留数が上限数未満ではない場合、主制御CPU41は、第2始動センサSE2から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第2始動口16へ入球したか否かを判定する。遊技球が第2始動口16へ入球している場合、主制御CPU41は、主制御RWM43に記憶されている第2特別ゲームの保留数が上限数(本実施形態では、4)未満であるか否かを判定する。第2特別ゲームの保留数が上限数未満である場合、主制御CPU41は、第2特別ゲームの保留数を1加算して更新する。主制御CPU41は、更新後の第2特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示するように、第2特別保留表示部13dを制御する。このように、第2特別ゲームの保留条件は、第2特別ゲームの保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第2始動センサSE2によって検知されると成立する。次に、主制御CPU41は、主基板40内で生成している乱数を取得し、該取得した乱数に基づく乱数情報を主制御RWM43に記憶させる。主制御CPU41は、第2特別ゲームに用いる乱数情報であること及び乱数情報の記憶順序を特定可能に、乱数情報を記憶させる。パチンコ遊技機10は、第2特別ゲームに用いる乱数情報を主制御RWM43に記憶させておくことで、当該第2特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。第2特別ゲーム用の乱数情報を主制御RWM43に記憶させた場合、第2始動口16へ遊技球が入球していない場合、及び、第2特別ゲームの保留数が上限数未満ではない場合、主制御CPU41は、特別図柄入力処理を終了する。
【0043】
次に、特別図柄開始処理について説明する。
特別図柄開始処理において主制御CPU41は、特別ゲームの開始条件が成立しているか否かを判定する。主制御CPU41は、大当り遊技中ではなく、且つ特別ゲームの実行中ではない場合に肯定判定する一方、大当り遊技中又は特別ゲームの実行中である場合に否定判定する。特別ゲームの開始条件が成立していない場合、主制御CPU41は、特別図柄開始処理を終了する。特別ゲームの開始条件が成立している場合、主制御CPU41は、第2特別ゲームの保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第2特別ゲームの保留数が零である場合、主制御CPU41は、第1特別ゲームの保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第1特別ゲームの保留数が零である場合、主制御CPU41は、待機状態であることを特定可能な待機状態コマンドを生成して副基板50へ出力し、特別図柄開始処理を終了する。待機状態とは、変動ゲームが実行されておらず、大当り遊技が付与されておらず、且つ変動ゲームが保留されていないときの状態である。なお、待機状態中ではない期間は遊技期間である。言い換えれば、本実施形態において、遊技期間とは、特別ゲームの実行中、大当り遊技の実行中、又は保留中の特別ゲームの開始待ち中である期間である。
【0044】
第1特別ゲームの保留数が零よりも大きいと判定した場合、主制御CPU41は、第1特別ゲームを実行させる処理を行う。具体的に、主制御CPU41は、第1特別ゲームの保留数を1減算して更新する。主制御CPU41は、更新後の第1特別ゲームの保留数を特定可能な情報を表示するように、第1特別保留表示部13cを制御する。次に、主制御CPU41は、第1特別ゲーム用の乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を主制御RWM43から取得する。続けて、主制御CPU41は、取得した乱数情報から特定される特別当り乱数を用いて、大当りに当選とするか否かの大当り抽選を行う。主制御CPU41は、現在の確率状態(確変機能の作動の有無)に応じた大当り確率にて大当り抽選を行う。大当りに当選した場合、主制御CPU41は、大当り変動処理を行う。大当り変動処理において主制御CPU41は、乱数情報から特定可能な当り図柄乱数を用いて、大当り図柄抽選を行い、第1特別ゲームにて確定停止表示させる大当り図柄を決定する。主制御CPU41は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、大当り変動パターンを決定する。その後、主制御CPU41は、特別図柄開始処理を終了する。一方、大当りに当選しなかった場合、主制御CPU41は、はずれ変動処理を行う。はずれ変動処理において主制御CPU41は、第1特別ゲームにて確定停止表示させるはずれ図柄を決定する。はずれ変動処理において、主制御CPU41は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、リーチあり又はリーチなしのはずれ変動パターンを決定する。その後、主制御CPU41は、特別図柄開始処理を終了する。
【0045】
第2特別ゲームの保留数が零よりも大きいと判定した場合、主制御CPU41は、第2特別ゲームを実行させるための処理を行う。第2特別ゲームを実行させるための処理は、第1特別ゲームを実行させるための処理について、「第1特別ゲーム」を「第2特別ゲーム」に、「第1特別ゲームの保留数」を「第2特別ゲームの保留数」に、それぞれ読み替えた処理であるため、その詳細な説明を省略する。つまり、主制御CPU41は、第2特別ゲームの保留数の減算、大当り抽選、及び、大当り抽選の結果に基づく何れかの変動処理を行った後、特別図柄開始処理を終了する。
【0046】
特別図柄開始処理を終了すると、主制御CPU41は、特別図柄開始処理とは別の処理によって、第1特別ゲーム又は第2特別ゲームを実行させる。即ち、パチンコ遊技機10では、主制御CPU41が以下の処理を行うことにより、特別ゲームを実行可能である。
【0047】
具体的に、主制御CPU41は、第1特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第1特別図柄表示部13aを制御する。主制御CPU41は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。主制御CPU41は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄が確定停止表示するように、第1特別図柄表示部13aを制御する。一方、主制御CPU41は、第2特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第2特別図柄表示部13bを制御する。主制御CPU41は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。主制御CPU41は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄が確定停止表示するように、第2特別図柄表示部13bを制御する。
【0048】
主制御CPU41は、特別ゲームの開始に伴って、変動開始コマンド及び特別図柄コマンドを副基板50へ出力する。変動開始コマンドは、特別図柄開始処理において決定した変動パターンと、特別ゲーム(又は、演出ゲーム)の開始と、を特定可能な制御コマンドである。特別図柄コマンドは、特別図柄開始処理において決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を特定可能な制御コマンドである。また、主制御CPU41は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別ゲーム(又は、演出ゲーム)の終了を特定可能な変動終了コマンドを副基板50に出力する。なお、変動開始コマンド、特別図柄コマンド及び変動終了コマンドは、第1特別ゲームが実行されるときと、第2特別ゲームが実行されるときと、で異なる制御コマンドである。
【0049】
次に、大当り遊技処理について説明する。
大当り遊技処理は、大当り遊技を付与するための処理である。主制御CPU41は、特別ゲームにおいて大当り図柄を確定停止表示させると、大当りの特別ゲームの終了後に大当り遊技処理を実行する。主制御CPU41は、特別図柄開始処理にて決定した大当り図柄(即ち、大当りの種類)に基づいて、大当り遊技の種類を特定する。主制御CPU41は、特定した種類の大当り遊技を付与する。
【0050】
最初に、主制御CPU41は、オープニングの開始を特定可能な制御コマンドであるオープニングコマンドを副基板50に出力する。主制御CPU41は、オープニング時間が経過すると、ラウンド遊技を実行させるための処理を行う。即ち、主制御CPU41は、特定した大当り遊技用の開放制御データを用いて第2アクチュエータA2を制御し、大入賞口18を開状態とする。主制御CPU41は、カウントセンサSE3による遊技球の検知数が規定の上限個数に達するか、又は、規定の上限時間が経過すると、大入賞口18を閉状態とするように第2アクチュエータA2を制御することで、ラウンド遊技を終了させる。主制御CPU41は、このようなラウンド遊技を実行させるための処理を、大当り遊技に定められた上限回数のラウンド遊技が終了するまで繰り返し行う。主制御CPU41は、ラウンド遊技を開始する毎に、ラウンド遊技の開始を特定可能な制御コマンドであるラウンドコマンドを副基板50に出力する。主制御CPU41は、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディングの開始を特定可能な制御コマンドであるエンディングコマンドを副基板50に出力する。主制御CPU41は、エンディング時間が経過すると、大当り遊技を終了する。
【0051】
次に、確率状態を移行させる確率移行処理について説明する。
主制御CPU41は、大当り遊技の終了後、高確率状態に制御する場合、主制御RWM43に高確フラグをセットする。高確率状態は、大当り遊技を経て付与される遊技者に有利な特定状態である。一方、主制御CPU41は、大当り遊技の終了後、低確率状態に制御する場合、主制御RWM43に高確フラグをセットしない。主制御CPU41は、大当り遊技を開始させる場合であって、高確フラグがセットされているとき、当該高確フラグを消去する。即ち、主制御CPU41は、大当り遊技中、低確率状態に制御する。
【0052】
次に、入球率状態及び変動時間状態を移行させる処理について説明する。
主制御CPU41は、大当り遊技が終了すると、主制御RWM43に作動フラグをセットする。即ち、主制御CPU41は、高入球率状態に制御する。高入球率状態は、大当り遊技を経て付与される遊技者に有利な特定状態である。主制御CPU41は、大当り遊技の終了後、高入球率状態において特別ゲームを開始させる毎に、主制御RWM43に記憶されている実行カウンタの値を更新することによって、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数を計数する。主制御CPU41は、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数が作動回数に達した特別ゲームが終了すると、主制御RWM43に記憶されている作動フラグを消去する。そして、主制御CPU41は、作動回数目の特別ゲームが終了すると低入球率状態に制御する。主制御CPU41は、大当り遊技を開始させる場合であって、作動フラグがセットされているとき、当該作動フラグを消去する。即ち、主制御CPU41は、大当り遊技中、低入球率状態に制御する。なお、主制御CPU41は、高入球率状態に制御するときに短変動時間状態に制御し、低入球率状態に制御するときに長変動時間状態に制御する。
【0053】
次に、副制御CPU51が実行する各種の処理について説明する。
最初に、演出ゲーム処理について説明する。演出ゲーム処理は、特別ゲームの実行中、当該特別ゲームに関連した表示演出の1つとして、演出ゲームを実行させるための処理である。即ち、パチンコ遊技機10では、副制御CPU51が以下の処理を行うことにより演出ゲームを実行可能である。
【0054】
副制御CPU51は、変動開始コマンド及び特別図柄コマンドを入力すると、特別ゲームに対応する演出ゲームを実行するように演出表示装置EHを制御する。具体的に、副制御CPU51は、変動開始コマンドを入力すると、当該制御コマンドから特定可能な変動パターンに基づいて、演出ゲームの演出パターン(演出内容)を選択する。また、副制御CPU51は、特別図柄コマンドを入力すると、当該制御コマンドから特定可能な特別図柄に基づいて、演出ゲームにて確定停止表示させる図柄組合せを決定する。副制御CPU51は、特別図柄コマンドから大当り図柄を特定可能である場合、大当りの図柄組合せを決定する。副制御CPU51は、特別図柄コマンドからはずれ図柄を特定可能である場合、はずれの図柄組合せを決定する。
【0055】
また、副制御CPU51は、リーチ演出の実行条件(以下、リーチ条件と示す)が成立しているか否かを判定する。本実施形態においてリーチ条件は、リーチありの変動パターンが決定されることによって成立する。リーチ条件は、例えば、所定のリーチ演出抽選を行い、当該リーチ演出抽選に当選したことで成立するようにしてもよい。副制御CPU51は、リーチ条件が成立しており、且つ、特別図柄コマンドから大当り図柄を特定可能であるとき、大当りの図柄組合せを構成する演出図柄をリーチの演出図柄として決定する。副制御CPU51は、リーチ条件が成立しており、且つ、特別図柄コマンドからはずれ図柄を特定可能であるとき、リーチを含むはずれの図柄組合せを決定する。副制御CPU51は、リーチ条件が成立しておらず、且つ、特別図柄コマンドからはずれ図柄を特定可能であるとき、リーチを含まないはずれの図柄組合せを決定する。
【0056】
副制御CPU51は、変動開始コマンドの入力を契機として、各図柄列の演出図柄の変動表示を開始するように、演出表示装置EHを制御する。即ち、副制御CPU51は、演出ゲームを開始させる。そして、副制御CPU51は、演出ゲームを開始させてから、所定のタイミングが到来すると、各演出図柄を一旦停止表示させることにより図柄組合せを一旦停止表示させるとともに、変動終了コマンドの入力を契機に、各演出図柄を確定停止表示させることにより図柄組合せを確定停止表示させる。なお、副制御CPU51は、変動終了コマンドとは関係なく、変動パターンに定めた変動時間の経過を契機に図柄組合せを確定停止表示させてもよい。この場合、変動終了コマンドは省略してもよい。
【0057】
次に、大当り演出処理について説明する。
大当り演出処理は、大当り遊技中の演出である大当り演出を実行させるための処理である。副制御CPU51は、オープニングコマンドを入力すると、オープニング演出を実行するように演出装置群を制御する。本実施形態において、演出装置群には、演出表示装置EH、装飾ランプLa及びスピーカSpを含む。また、副制御CPU51は、ラウンドコマンドを入力すると、ラウンド演出を実行するように演出装置群を制御する。さらに、副制御CPU51は、エンディング開始コマンドを入力すると、エンディング演出を実行するように演出装置群を制御する。そして、副制御CPU51は、エンディング終了コマンドを入力すると、エンディング演出を終了するように演出装置群を制御する。
【0058】
次に、図4にしたがって、本実施形態のパチンコ遊技機10が備える特別図柄の種類及び大当りの種類を説明する。
パチンコ遊技機10は、第1特別図柄(図中の「第1特図」)の大当り図柄として、大当り図柄ZA、大当り図柄ZB、及び大当り図柄ZCを備える。パチンコ遊技機10は、第2特別図柄(図中の「第2特図」)の大当り図柄として、大当り図柄za、大当り図柄zb、及び大当り図柄zcを備える。
【0059】
大当り図柄ZA,zaに基づく大当りは、6回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与する大当りである。また、大当り図柄ZA,zaに基づく大当りは、大当り遊技の終了後の遊技状態として、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが、次回の大当りに当選するまで継続して作動する遊技状態を付与する大当りである。
【0060】
大当り図柄ZB,zb,ZC,zcに基づく大当りは、何れも3回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与する大当りであるが、大当り遊技の終了後に付与する遊技状態が異なる大当りである。具体的に言えば、大当り図柄ZB、zbに基づく大当りは、大当り遊技の終了後の遊技状態として、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが、次回の大当りに当選するまで継続して作動する遊技状態を付与する大当りである。一方、大当り図柄ZC,zcは、確変機能が作動せず、入球補助機能及び時短機能が大当り遊技の終了後、3回の特別ゲームに亘って継続して作動する遊技状態を付与する大当りである。
【0061】
次に、図5にしたがって、本実施形態のパチンコ遊技機10が備える遊技モードについて説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10は、通常モード、特別モード、及び特殊モードの3つの遊技モードを備える。通常モードは、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが作動していない遊技状態のときに滞在する遊技モードである。特別モードは、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが作動している遊技状態のときに滞在する遊技モードである。特殊モードは、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが作動している遊技状態、又は確変機能は作動していないが、入球補助機能と時短機能が作動している遊技状態の何れかであるときに滞在する遊技モードである。
【0062】
上記の遊技モードを備える本実施形態のパチンコ遊技機10は、3つの遊技モード間の移行条件を以下のように定めている。
通常モードに滞在しているときに、大当り図柄ZAに基づく大当りに当選した場合は、大当り遊技の終了後、特別モードへ移行する。特別モードの滞在期間は、次回の大当りに当選するまでである。また、通常モードに滞在しているときに、大当り図柄ZB又は大当り図柄ZCに基づく何れかの大当りに当選した場合は、大当り遊技の終了後、特殊モードへ移行する。特殊モードでは、後述する特別演出が実行される。特殊モードの滞在期間は、大当り遊技の終了後、3回の特別ゲームが終了するまでである。3回の特別ゲームは、第1特別ゲームと第2特別ゲームの合算回数である。
【0063】
特別モードに滞在しているときに、6回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与し得る大当り(大当り図柄ZA,za)に当選した場合は、大当り遊技の終了後、再び、特別モードへ移行する。特別モードに滞在しているときに、3回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与し得る大当り(大当り図柄ZB,zb,ZC,zc)に当選した場合は、大当り遊技の終了後、特殊モードへ移行する。
【0064】
特殊モードに滞在しているときに、後述する特別演出を経て第1移行条件(図中の「勝利」)が成立した場合、特別モードへ移行する。特殊モードに滞在しているときに、6回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与し得る大当り(大当り図柄ZA,za)に当選した場合は、大当り遊技の終了後、特別モードへ移行する。特殊モードに滞在しているときに、3回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与し得る大当り(大当り図柄ZB,zb,ZC,zc)に当選した場合は、大当り遊技の終了後、再び、特殊モードへ移行する。特殊モードに滞在しているときに、後述する特別演出を経て第2移行条件(図中の「敗北」)が成立した場合、通常モードへ移行する。
【0065】
以下、図6及び図7にしたがって、本実施形態のパチンコ遊技機10で実行可能な演出について説明する。
最初に、通常モードに滞在しているときに大当り図柄ZB,ZCに基づく大当りに当選した場合の大当り遊技中に実行可能な大当り演出を説明する。当該大当り演出が実行される状況は、所謂、初当りに基づく大当り遊技のときである。初当りとは、確変機能、入球補助機能及び時短機能の全てが作動していない遊技状態において当選した大当りである。因みに、確変機能が作動している遊技状態や、入球補助機能及び時短機能が作動している遊技状態において当選した大当りは連チャン中の大当りである。
【0066】
本実施形態のパチンコ遊技機10は、オープニング時間中のオープニング演出、ラウンド遊技中のラウンド演出、及びエンディング時間中のエンディング演出の他に、3種類の大当り演出を備える。3種類の大当り演出には、説明演出と、示唆演出と、選択演出と、を含む。
【0067】
説明演出は、特殊モード中に実行される特別演出の演出内容を説明する演出である。本実施形態の特別演出は、遊技者に見立てた第1キャラクタと対戦相手に見立てた第2キャラクタとが対戦し、勝敗を決める演出である。この対戦による勝敗のうち、「勝利」は特別モードへ移行すること、つまり大当り図柄ZBに基づく大当りに当選しており、大当り遊技の終了後から確変機能が作動していることに対応する。一方、上記対戦による勝敗のうち、「敗北」は特別モードへ移行せずに通常モードへ移行すること、つまり大当り図柄ZCに基づく大当りに当選しており、大当り遊技の終了後から確変機能が作動していないことに対応する。本実施形態の説明演出は、大当り遊技の実行中に実行される所定演出である。
【0068】
示唆演出は、説明演出から分岐し、当該説明演出をスキップして実行される演出であって、特殊モード中に実行される特別演出の結果を示唆する演出である。本実施形態において特別演出は勝敗を決める演出であり、示唆演出は特別演出が「勝利」となる可能性が高いか低いか連想させる内容で行われる。例えば、示唆演出の演出内容には「ゆっくりと見物を」、「勝敗は分からない」、「激闘」、「楽勝」などがある。この4例の場合、「ゆっくり見物を」、「勝敗は分からない」に比して「激闘」、「楽勝」の方が対戦の結果として「勝利」を連想し易く、「勝利」となる可能性が高いことを示唆する。示唆演出の内容は、大当りの種類をもとに副制御CPU51が抽選にて決定する。本実施形態では、特別演出の結果を「勝利」とする場合は「激闘」や「楽勝」に当選し易く、特別演出の結果を「敗北」とする場合は「ゆっくり見物を」や「勝敗は分からない」に当選し易くなるように抽選の振分けを定めている。本実施形態の「激闘」や「楽勝」の演出内容で実行される示唆演出は、特定状態が付与される場合に実行され易い特定演出である。
【0069】
選択演出は、当該パチンコ遊技機10で遊技を行った遊技者が自力で得て保有するステータス、あるいは他力も含めて当該パチンコ遊技機10が保有するステータスを、維持した状態で遊技を継続するか又は現在のステータスを破棄して最初から始めるかを選択する演出である。本実施形態でのステータスは、大当り遊技で得られた獲得出玉の総数と大当りの連チャン回数(連続大当り回数)である。本実施形態において選択演出は、初当りに基づく大当り遊技中の大当り演出として実行可能である。このため、選択演出は、通常モードに滞在しているときに大当り図柄ZAに基づく大当りに当選した場合の大当り遊技中でも実行可能な大当り演出である。なお、獲得出玉の総数と大当りの連チャン回数は、副基板50の副制御CPU51がカウントし、副制御RWM53に記憶保持している。副制御CPU51は、主基板40の主制御CPU41が送信する賞球に関する制御コマンドや大当りに関する制御コマンドを受信することによって獲得出玉の総数や大当りの連チャン回数をカウントする。そして、副制御CPU51は、ステータスの継続が選択されている場合には前回までの計数結果に今回の計数結果が加算された結果を大当り遊技中、所定の表示装置に表示する。一方、副制御CPU51は、ステータスとして最初から始めるが選択されている場合には今回の計数結果のみを大当り遊技中、所定の表示装置に表示する。所定の表示装置は、例えば演出表示装置EHであるが、パチンコ遊技機10が演出表示装置EHに加えて他の表示装置を備える場合、他の表示装置に表示してもよい。
【0070】
以下、通常モードに滞在しているときに大当り図柄ZB,ZCに基づく大当りに当選した場合の大当り遊技中に実行可能な大当り演出の流れを説明する。なお、図6及び図7は、演出表示装置EHの画像表示部GHに画像表示されている大当り演出を示す。これらの演出は、副制御CPU51が、主制御CPU41からの制御コマンドに基づいて実行させる。
【0071】
図6(a)に示すように、画像表示部GHでは、大当り遊技が開始すると、最初にオープニング演出が実行される。オープニング演出は、例えば「大当り!!」のような文字画像が表示される。
【0072】
図6(b)に示すように、画像表示部GHでは、オープニング演出が終了すると、続いて1回目のラウンド遊技が開始する。1回目のラウンド遊技が開始すると、画像表示部GHには、ラウンド演出としてラウンド回数が表示される。また、画像表示部GHには、選択演出を実行させるための選択画像IN1が表示される。副制御CPU51は、1回目のラウンド遊技のラウンドコマンドを受信することで選択画像IN1を表示させる。
【0073】
選択演出は、選択画像IN1に表記されている選択肢を十字キーBT2の左キーLBと右キーRBを操作して選択することで実行される。選択肢には、ステータス(獲得出玉の総数と大当りの連チャン回数)を最初に戻すか、継続させるかを含む。具体的に言えば、選択画像IN1には、選択を促す「選択せよ」の文字画像と、ステータスを最初に戻す場合の操作手段であることを示す「初回」の文字を付した左キーLBの意匠画像と、ステータスを継続する場合の操作手段であることを示す「継続」の文字を付した右キーRBの意匠画像と、を含む。なお、図6及び図7では、選択されていない側のキーの意匠画像を網掛けで図示している。例えば、図6(b)の選択画像IN1では、「初回」の文字を付した左キーLBの意匠画像を網掛けで図示する一方で、「継続」の文字を付した右キーRBの意匠画像を網掛けせずに図示しており、現在、ステータスの継続が選択されていることを示している。本実施形態の選択演出は、第2操作手段である左キーLB及び右キーRBの操作を実行契機とする特殊演出、又は説明演出とは異なる他の演出に相当する。また、本実施形態では、1回目のラウンド遊技の開始に伴って選択演出に用いる操作手段である左キーLBと右キーRBの操作の有効期間が設定される。また、選択演出において、「初回」を選択している場合には「初回」に対応するようにステータスが画像表示部GHに表示され、「継続」を選択している場合には「継続」に対応するようにステータスが画像表示部GHに表示される。図6及び図7では、ステータスである獲得出玉の総数と大当りの連チャン回数のそれぞれの表示の図示を省略している。なお、本実施形態のようにステータスを選択することは、遊技者の好みによって表示内容を選択することであり、カスタマイズの一種である。
【0074】
図6(c)に示すように、画像表示部GHでは、1回目のラウンド遊技が終了すると、続いて2回目のラウンド遊技が開始する。2回目のラウンド遊技が開始すると、画像表示部GHには、ラウンド演出としてラウンド回数が表示される。また、画像表示部GHには、1回目のラウンド遊技から続けて2回目のラウンド遊技においても選択画像IN1が表示される。つまり、選択演出に用いる操作手段である左キーLBと右キーRBの有効期間が継続する。
【0075】
また、画像表示部GHには、2回目のラウンド遊技が開始すると、説明演出が表示される。説明演出が開始すると、画像表示部GHには巻物を模した演出用の画像である巻物画像IN2が表示される。説明演出の開始直後の巻物画像IN2は、何の表記もされていない。つまり、説明演出の開始直後は、何の表記もされていない画像が表示される。また、画像表示部GHでは、選択画像IN1よりも巻物画像IN2の表示面積を大きく表示している。
【0076】
また、説明演出が表示された画像表示部GHには、示唆演出の実行契機となり得る演出ボタンBT1の操作を促す操作促進画像IN3が表示される。操作促進画像IN3は、説明演出の表示と同時又はほぼ同時でもよいし、説明演出が表示されてから若干遅れて表示されてもよい。本実施形態では、2回目のラウンド遊技の開始に伴って示唆演出に用いる操作手段である演出ボタンBT1の操作の有効期間が設定される。本実施形態では、1回目のラウンド遊技中、選択演出に用いる操作手段の有効期間のみが設定されているが、2回目のラウンド遊技の開始によって別の操作手段の有効期間も設定される。つまり、パチンコ遊技機10は、遊技者が操作可能な第1操作手段である演出ボタンBT1と演出ボタンBT1とは別の左キーLBと右キーRBと、を備えている。そして、演出ボタンBT1の操作である第1操作と、左キーLB及び右キーRBの操作である第2操作は、同時期に操作が有効とされている。
【0077】
以下、操作促進画像IN3に対応する演出ボタンBT1を操作しなかった場合の大当り演出の流れを説明する。
図6(d)に示すように、説明演出が開始されてから所定時間の経過後、画像表示部GHに表示されている巻物画像IN2には、「チャンスは3回」が表記される。続いて、画像表示部GHに表示されている巻物画像IN2には、「チャンスは3回」に代えて「3回以内に勝利すれば確変確定」が表記される。
【0078】
本実施形態のパチンコ遊技機10は、先に述べたように3回の変動ゲームが対象である特殊モード中に、第1キャラクタと第2キャラクタとが対戦し、勝敗を決める特別演出が実行される。そして、図6(c)~図6(e)に示す説明演出は、特別演出の演出内容を説明しており、3回の変動ゲームで遊技者に見立てた第1キャラクタが勝利すると特別モードへ移行すること、つまり確変機能が作動していることを説明する。本実施形態の説明演出は、図6(c)~図6(e)に示すように、表記される内容が相違することによって構成される複数の巻物画像IN2を用いて実行される。本実施形態の説明演出は、複数の画像を予め定めた順番に所定の間隔をおいて表示させることによって実行される。つまり、説明演出は、画像である巻物画像IN2を表示させる画像演出を含み、例えば「チャンスは3回」を第1画像としたとき、その第1画像の後に「3回以内に勝利すれば確変確定」という第2画像が表示されるというように表示される画像の順番が定められている。なお、図6(c)~図6(e)に示すように、2回目のラウンド遊技に亘って説明演出が実行されている間、第1操作手段である演出ボタンBT1と第2操作手段である左キーLB及び右キーRBのそれぞれの有効期間は継続されている。
【0079】
図6(f)に示すように、説明演出は、2回目のラウンド遊技が開始してから所定の演出時間の経過によって終了する。1回のラウンド遊技は、大入賞口18へ入球した遊技球が規定の上限個数に達するか、又は規定の上限時間が経過することにより終了する。本実施形態の説明演出は、規定の上限時間が経過する前に全ての説明を完結し得るように演出時間を定めている。しかしながら、ラウンド遊技が開始してから規定の上限個数に達する遊技球が入球するまでの時間は規定の上限時間とは異なり変動する時間である。このため、規定の上限時間よりも早く終了するように説明演出の演出時間を設定しても、当該演出時間よりも先に規定の上限個数に達する可能性もある。このような場合、本実施形態では、説明が完結しておらず、途中の段階であっても、ラウンド遊技の終了条件が成立した段階で説明演出も終了する。つまり、説明演出は、次回のラウンド遊技へ持ち越さない。
【0080】
また、説明演出の終了後は、演出ボタンBT1の操作を促す操作促進画像IN3も非表示とされており、演出ボタンBT1の有効期間も終了している。その一方で、選択演出は、説明演出の終了後も継続しており、選択演出に用いる操作手段である左キーLBと右キーRBの有効期間が継続する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、2回目のラウンド遊技において演出ボタンBT1の操作が行われないときには説明演出が継続して実行される。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機10は、説明演出を見ていたい遊技者に対して演出ボタンBT1を操作しないことで説明演出を継続させるという選択肢を与えている。
【0082】
また、ラウンド遊技中、選択演出は、左キーLB及び右キーRBの有効期間が継続している間、例えば説明演出が進行している状況であっても、実行可能である。つまり、遊技者は、ステータスを選択することが可能である。例えば、図6(b)~図6(d)では「継続」が選択されているが、図6(e)のタイミングで左キーLBを操作することでステータスは「継続」から「初回」に変更される。また、図6(f)のタイミングで右キーRBを操作することでステータスは「初回」から「継続」に変更される。左キーLB及び右キーRBの操作は、これらの操作が有効とされている有効期間中、複数回の操作が有効とされる。このため、ステータスは何度も変更可能であり、同じステータスを何度も選択することができる。具体的に言えば、選択演出は、「継続」が選択されているときに左キーLBを操作すれば「初回」を選択できるというように、操作手段の操作で一旦得られた結果を、再度、操作手段の操作を行うことで他の結果に変更可能である。さらに言えば、選択演出では、例えば「初回」を選択している結果を初期の結果としたとき、操作手段を操作して「継続」を選択した後でも、再度、操作手段の操作を行うことで初期の結果である「初回」に戻すことが可能である。また、ラウンド遊技中、選択演出で用いる左キーLB及び右キーRBの有効期間と重複して演出ボタンBT1の有効期間が設定されている。このような異なる操作手段の有効期間が設定されている重複期間において、選択演出では、操作手段の複数回の操作が有効とされている。
【0083】
図6(g)に示すように、画像表示部GHでは、2回目のラウンド遊技が終了すると、続いて3回目のラウンド遊技が開始する。3回目のラウンド遊技が開始すると、画像表示部GHには、ラウンド演出としてラウンド回数が表示される。本実施形態では、選択演出の終了条件を2回目のラウンド遊技の終了と定めている。このため、3回目のラウンド遊技が開始すると、2回目のラウンド遊技まで画像表示部GHに表示されていた選択画像IN1は非表示となる。また、選択演出の終了とともに選択演出に用いる操作手段である左キーLBと右キーRBの有効期間も終了する。また、選択演出が終了した時点で選択されているステータスが次回以降の大当り遊技で反映されるステータスの表示として確定する。
【0084】
その後、図6(h)に示すように、画像表示部GHでは、3回目のラウンド遊技が終了すると、続いてエンディング演出が開始する。エンディング演出では、大当り遊技の終了を報知する「END」の文字画像と、大当り遊技の終了後が特殊モードであることを報知する「特殊モード突入」の文字画像とが表示される。
【0085】
次に、操作促進画像IN3に対応する演出ボタンBT1を操作した場合の大当り演出の流れを説明する。
図7(a)に示すように、演出ボタンBT1の有効期間中に当該演出ボタンBT1を操作した場合、画像表示部GHでは、巻物画像IN2が高速回転を行う画像が表示される。巻物画像IN2は示唆演出でも用いられる画像であり、演出ボタンBT1の操作タイミングを問わずに高速回転を始める。つまり、巻物画像IN2は、図6(c)~図6(e)に示す、どのような内容が表示されているタイミングでも、演出ボタンBT1の操作を契機に高速回転を始める。なお、高速回転中、巻物画像IN2の表記内容は視認不能である。また、画像表示部GHでは、演出ボタンBT1が操作されたことで、操作促進画像IN3が非表示とされている。また、演出ボタンBT1が操作されたことで、演出ボタンBT1の有効期間も終了する。
【0086】
そして、図7(b)に示すように、巻物画像IN2が高速回転を始めてから所定の時間が経過すると、巻物画像IN2の回転が停止する。画像表示部GHでは、巻物画像IN2の回転が停止したことにより、示唆演出としての結果が導き出される。図7(b)の例示では、巻物画像IN2に「激闘!!」が表記される。これにより、遊技者は、大当り遊技の終了後に移行する特殊モードを経て移行する遊技モード、つまり大当り遊技の終了後の遊技状態を想定又は想像し得る。なお、本実施形態において示唆演出の結果は、説明演出の進行具合、具体的に言えば表示されている巻物画像IN2の種類とは関連付けられていない。このため、示唆演出の結果は抽選にて事前決定していることから、1回のラウンド遊技において何れのタイミングで演出ボタンBT1を操作しても同じである。また、画像表示部GHでは、選択画像IN1よりも巻物画像IN2の表示面積を大きく表示している。つまり、巻物画像IN2に表記された示唆演出としての結果は、選択画像IN1よりも表示面積が大きく、目立つように表示されている。
【0087】
本実施形態では、演出ボタンBT1を操作して示唆演出を開始させると、説明演出は当該演出の開始以降の演出内容が中断される。つまり、演出ボタンBT1の操作により、説明演出で説明すべき事柄が説明されずにスキップ又は省略される。本実施形態において示唆演出は、大当り遊技の終了後の展開を示唆する機能と説明演出の説明をスキップする機能(又は説明を省略する機能)とを備えている。なお、演出ボタンBT1を操作しても、選択画像IN1は非表示とならず、継続して表示される。
【0088】
また、ラウンド遊技中、選択演出は、示唆演出の実行中、すなわち演出ボタンBT1の操作後でも、左キーLB及び右キーRBの有効期間が継続している間、実行可能である。つまり、遊技者は、ステータスを選択することが可能である。例えば、図7(a)では「継続」が選択されているが、図7(b)のタイミングで左キーLBを操作することでステータスは「継続」から「初回」に変更される。左キーLB及び右キーRBの操作は、示唆演出が実行されている状況であっても、これらの操作が有効とされている有効期間中、複数回の操作が有効とされる。このため、選択演出では、ステータスを何度も変更可能であり、同じステータスを何度も選択することができる。
【0089】
ラウンド遊技中、演出ボタンBT1は、選択演出で用いる左キーLB及び右キーRBの有効期間と重複している有効期間において1回の操作が有効である。つまり、重複期間において演出ボタンBT1の操作が有効となる回数は、左キーLB及び右キーRBの操作が有効となる回数とは異なる。ここで言う、操作が有効となる回数は実際に操作した回数ではなく、操作が有効とみなされる回数、又は操作が許容される回数のことである。以上を踏まえると、演出ボタンBT1の1回の操作で実行される示唆演出は、当該示唆演出によって得られた結果を変更不能な演出であると言える。
【0090】
図7(c)に示すように、画像表示部GHでは、2回目のラウンド遊技が終了すると、続いて3回目のラウンド遊技が開始する。3回目のラウンド遊技が開始すると、画像表示部GHには、ラウンド演出としてラウンド回数が表示される。その後、図7(d)に示すように、画像表示部GHでは、3回目のラウンド遊技が終了すると、続いてエンディング演出が開始する。エンディング演出では、大当り遊技の終了を報知する「END」の文字画像と、大当り遊技の終了後が特殊モードであることを報知する「特殊モード突入」の文字画像とが表示される。なお、3回目のラウンド遊技及びエンディング演出の態様は、図6(g)及び図6(h)を用いて説明した態様と同じである。
【0091】
以上の説明により、示唆演出の実行契機となる演出ボタンBT1の操作である第1操作の有効期間と、選択演出の実行契機となる左キーLB及び右キーRBの操作である第2操作手段の有効期間は、ラウンド遊技において重複して設定されるが、その期間の長短が相違している。本実施形態では、左キーLB及び右キーRBの有効期間の方が、演出ボタンBT1の有効期間に比して長い。選択演出は、初当り以降、連続して到来する可能性がある大当りに関するステータスを選ぶ演出である。このため、長期に亘って大当りが連続することを想定した上でどのような遊技スタイルを望むかをゆっくりと考えさせる時間を与えている。ステータスとして「初回」を選んだ場合は初当りを区切りとして、以降、連チャンが途切れるまで何回の大当り遊技を経てどの程度の出玉を獲得できたかを把握できる。一方、ステータスとして「継続」を選んだ場合は例えば遊技者自身が引き当てた大当りの総回数によってどの程度の出玉を獲得できたかを把握できる。
【0092】
また、大当り遊技中、演出ボタンBT1の操作は、その操作によって説明演出が終了することから説明演出の終了契機になり得るとともに、説明演出に代えて実行される示唆演出の開始契機にもなり得る。つまり、演出ボタンBT1の1回の操作は、特別演出の説明と特別演出で得られる結果の示唆というように目的が異なる2つの演出に対する契機を兼用しており、同時に影響を及ぼす操作である。一方、大当り遊技中、左キーLBと右キーRBの操作は、ステータスを選択するという単一の目的に対して影響を及ぼすことから、説明演出の終了契機と示唆演出の開始契機の何れにもならず、選択演出の開始契機となり得る。つまり、左キーLBと右キーRBの操作は、単一の演出のみに影響を及ぼす。
【0093】
図6(h)又は図7(d)に示すように大当り遊技が終了すると、パチンコ遊技機10は、特殊モードへ移行する。特殊モードでは、特別演出が実行される。特殊モードは、3回の変動ゲームで構成されており、各回の変動ゲームにおいて第1キャラクタと第2キャラクタとが対戦する演出が実行される。そして、大当り図柄ZBの大当りに当選していた場合、つまり大当り遊技の終了後に確変機能が作動していた場合は、3回の変動ゲームのうち、何れかの変動ゲームで第1キャラクタが勝利するように演出が展開される。第1キャラクタが勝利した場合は、その変動ゲームの終了後、特別モードへ移行する。一方、大当り図柄ZCの大当りに当選していた場合、つまり大当り遊技の終了後に確変機能が作動していなかった場合は、3回の変動ゲームの何れでも第1キャラクタが敗北するように演出が展開される。3回の変動ゲームの全てで第1キャラクタが敗北した場合は、3回目の変動ゲームの終了後、通常モードへ移行する。
【0094】
本実施形態の示唆演出で得られた結果は、特殊モードで得られる結果を確定的に報知するものではない。例えば、示唆演出で得た結果が「激闘」や「楽勝」である場合、特殊モードで得られる結果として「勝利」の可能性は高いが、「敗北」の可能性もある。一方で、示唆演出で得た結果が「ゆっくりと見物を」や「勝敗は分からない」である場合、特殊モードで得られる結果として「敗北」の可能性は高いが、「勝利」の可能性もある。つまり、本実施形態の示唆演出は、当該示唆演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる場合と当該事象がその後に現れない場合とがある非確定演出である。示唆演出で得た結果に応じた事象とは、「激闘」や「楽勝」であるときには「勝利」、「特別モードへの移行」あるいは「確変機能が作動していることが確定する」が相当する。換言すれば、「激闘」や「楽勝」は、その後に遊技者に有利な状態が現れることを示しているとも言える。また、示唆演出で得た結果に応じた事象とは、「ゆっくり見物を」や「勝敗は分からない」であるときには「敗北」、「通常モードへの移行」あるいは「確変機能が作動していないことが確定する」が相当する。換言すれば、「ゆっくり見物を」や「勝敗は分からない」は、その後に遊技者に有利な状態が現れない、又は遊技者に不利な状態が現れることを示しているとも言える。
【0095】
なお、図6(h)又は図7(d)に示すように大当り遊技が終了した場合、その後は特殊モードへ必ず移行する。その移行の過程は、示唆演出を実行させて演出を視認する、示唆演出を実行させずに説明演出を視認する、選択演出で「初回」のステータスを選択する、選択演出で「継続」のステータスを選択する、などこれらの組み合わせによって多岐に亘る。そして、遊技者は、大当り遊技中、どのような演出を実行させるかを自らの意思で決定しつつ、大当り遊技の終了時点では3回分のラウンド遊技で得られる想定出玉分の遊技球を獲得して特殊モードへ移行する。つまり、大当り遊技を経て得られる想定出玉は、大当り遊技中にどのような演出を実行させたかに影響を受けることがなく、同じである。
【0096】
なお、上記の説明は、初当りに基づく大当り遊技の終了後の特殊モードについて説明したが、当該特殊モードや特別モードで3回のラウンド遊技からなる大当り遊技を付与する大当りに当選した場合に移行する特殊モードでも同様に特別演出が行われる。このような連チャン中の大当りに基づく大当り遊技でも、説明演出が実行されるとともに示唆演出を実行させることができる。
【0097】
一方、連チャン中の大当りに基づく大当り遊技では、選択演出が実行されない。その代わりに、連チャン中の大当りに基づく大当り遊技中は、初当りに基づく大当り遊技中の選択演出の結果にしたがってステータスが表示される。つまり、本実施形態の選択演出は、当該選択演出で得た結果に応じた事象がその後に現れる確定演出である。選択演出で得た結果に応じた事象とは、選択した結果に応じたステータスの表示が相当する。
【0098】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)大当り遊技中、実行契機とする操作手段の操作を異ならせた示唆演出と選択演出を実行可能とし、これらの演出の実行契機となる操作手段の操作が有効となる期間を同時期に設定している。このため、大当り遊技中は、異なる操作手段の操作によって異なる結果を得られる2つの演出を実行させることができ、興趣の向上を図り得る。
【0099】
(2)また、示唆演出の実行契機とした演出ボタンBT1の操作を行わない場合は、大当り遊技中に実行される説明演出を継続して実行させる。このため、示唆演出を実行させるか否か、選択演出によって何を選択するか、という選択肢に加え、説明演出を継続させるという選択肢もあり、所定遊技としての大当り遊技中に出現させる演出の組み合わせが多様化され、興趣の向上を図り得る。
【0100】
(3)また、示唆演出は、所定遊技としての大当り遊技の終了後に特定状態としての確変機能が作動している状態であるかを示唆し得る演出である。このため、大当りが連続することを期待する遊技者にとっては興味深い演出であり、演出ボタンBT1を操作することに対しての積極性を生じさせることができる。一方で、選択演出は大当りに関するステータスを選択する演出である。このため、示唆演出と同様に、大当りに結び付く演出であるから、左キーLB及び右キーRBを操作することに対しての積極性を生じさせることができる。つまり、遊技者にとっては興味深い2つの演出について大当り遊技中、同時期に実行契機を与えることができるので、大当り遊技を単に消化する遊技とせずに遊技に積極的に参加させる意欲を掻き立て、興趣の向上を図り得る。
【0101】
(4)左キーLB及び右キーRBの操作期間は、演出ボタンBT1の有効期間に比して長く設定されていることから、ステータスを選択する選択演出と遊技状態を示唆する示唆演出のそれぞれの特性に合った演出を提供することができる。
【0102】
(5)示唆演出の表示面積を選択演出の表示面積よりも大きくしている。示唆演出で得られる結果を強調することができ、その後の期待感を増幅させることに寄与し得る。また、示唆演出を目立たせることにより、演出ボタンBT1を操作することに対しての積極性を生じさせることもできる。
【0103】
(6)大当り遊技中に演出ボタンBT1を操作したか否かで、大当り遊技で得られる遊技者の利益に差を生じさせないようにしている。このため、大当り遊技中、示唆演出や選択演出を実行させることに対しての強制力が生じず、遊技者の意思に基づいて演出を実行させることができる。
【0104】
(7)選択演出は、示唆演出の実行中も実行可能としている。このため、選択演出によってステータスを選択する機会に制約を生じさせず、左キーLB及び右キーRBを操作し易い環境を提供することができる。
【0105】
(8)示唆演出はその演出結果とその後に現れる状況が一致しない非確定演出とし、選択演出はその演出結果とその後に現れる状況が一致する確定演出としている。このため、示唆演出と選択演出は演出の目的が異なるだけではなく、演出で得られた結果の意味合いも異なるものとすることができ、大当り遊技中に出現する演出の多様化を図ることができる。
【0106】
(9)選択演出は、選択する結果を初期の状態に戻すことができる演出である。このため、結果を1回しか導出できない示唆演出とは異なる演出の態様をとり得る。このため、大当り遊技中に出現する演出の多様化を図ることができる。
【0107】
(10)また、左キーLBと右キーRBの操作は、演出ボタンBT1の有効期間と重複する重複期間において複数回有効とされる。一方で、演出ボタンBT1の操作は、左キーLBと右キーRBの有効期間と重複する重複期間において1回有効とされる。これらの操作手段の操作を実行契機とする選択演出と示唆演出は、演出の目的が異なるだけではなく、操作手段の操作ができる回数も異ならせている。このため、大当り遊技中に出現する演出の多様化を図ることができる。
【0108】
(11)演出ボタンBT1の操作は示唆演出の開始契機と説明演出の終了契機を兼用する一方で、左キーLBと右キーRBの操作は選択演出の開始契機のみである。選択演出と示唆演出は、演出の目的が異なるだけではなく、これらの演出に関わる操作手段の操作自体が大当り遊技中の演出に与える影響も異ならせている。このため、大当り遊技中に出現する演出の多様化を図ることができる。
【0109】
上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。なお、上述した実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0110】
・パチンコ遊技機10は、複数の表示装置を備えていてもよい。複数の表示装置には、演出ゲームなどの遊技演出を主に行うメイン表示装置と、遊技演出などを補助的に行うサブ表示装置と、を含む。このような複数の表示装置を備えるパチンコ遊技機10において実施形態の大当り演出を行う場合、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出、説明演出、及び示唆演出をメイン表示装置で行い、選択演出をサブ表示装置で行うとよい。メイン表示装置の表示領域はサブ表示装置の表示領域に比して大きく、例えば示唆演出は選択演出に比して大きな表示面積を使って実行される。その結果、示唆演出は、選択演出に比して目立つように行われる。これにより、特殊モードの特別演出の結果を事前に示唆する示唆演出を実行させることへの興味を強く抱かせることが可能である。また、操作促進画像IN3をメイン表示装置に表示することで、演出ボタンBT1を操作させることを促進することもできる。
【0111】
・上記別例において、メイン表示装置に選択演出を表示する一方で、サブ表示装置に操作促進画像IN3と示唆演出を表示するようにしてもよい。
・上記別例において、サブ表示装置を複数設けてもよい。そして、選択演出で選択可能な選択肢を複数のサブ表示装置に分散して表示してもよい。
【0112】
・演出に用いる操作手段は、押しボタン式に限らず、タッチセンサ式の操作手段としてもよい。そして、操作促進画像IN3はタッチセンサ式の操作手段の操作を促す画像とし、タッチ操作を行うことで示唆演出を実行させるようにしてもよい。なお、示唆演出は、タッチセンサ式の操作手段のタッチ部を継続的にタッチ操作することで実行されるようにしてもよい。
【0113】
・上記別例においてタッチセンサ式の操作手段の配置は任意である。例えば、タッチセンサ式の操作手段は、遊技盤YBを視認可能にかつ保護するように当該遊技盤YBの前に配置されるガラスに配置されていてもよいし、遊技球を貯留する皿ユニットに配置されていてもよい。
【0114】
・示唆演出や選択演出の実行契機を与える操作手段を変更してもよい。
・パチンコ遊技機10は、音量や光量の強度をカスタマイズする機能を搭載していてもよい。これらの強度は、例えば十字キーBT2の上キーUB、下キーDBを使って調整するようにしてもよい。また、これらの強度の調整は、変動ゲーム中、大当り遊技中、及び待機状態中の全てで行えるようにしてもよいし、これらの状態の任意の1つの状態で行えるようにしてもよい。また、これらの強度の調整は、変動ゲーム中、大当り遊技中、及び待機状態中を任意に組み合わせた複数の状態で行えるようにしてもよい。
【0115】
・パチンコ遊技機10は、オートボタン機能を搭載していてもよい。オートボタン機能は、操作手段の操作を必要とする操作演出においてその操作タイミングが到来した時に実際に操作手段を操作しなくても、操作されたとみなして演出を実行させる機能である。オートボタン機能を有効とするか、無効とするかは遊技者の好みに応じて設定することができる。つまり、オートボタン機能はカスタマイズの一種である。また、オートボタン機能は、操作手段の操作を必要とする操作演出の全てで作動させる必要はなく、操作演出の種類に応じて作動させる演出と作動させない演出を設けてもよい。例えば、上記別例で記載したようにタッチセンサ式の操作手段を搭載する場合において、タッチセンサ式の操作手段を使用する操作演出は、オートボタン機能を作動させずに遊技者がタッチ操作することを、演出を実行させるための必要条件としてもよい。実施形態の示唆演出をタッチセンサ式の操作手段の操作を実行契機にすると、遊技者は示唆演出を実行させるためにはタッチ操作を行う必要がある。上記別例のようにタッチセンサ式の操作手段をガラスに配置した場合、遊技者は示唆演出を実行させるために手をガラスにかざす必要があり、恥ずかしさを感じる可能性もある。その結果、恥ずかしいという思いからタッチ操作を行う演出には参加しないことも考えられる。しかしながら、実施形態の示唆演出のように遊技者が知りたいと思う事柄を導出し得る演出をオートボタン機能が作動しないタッチ操作とすることで、タッチ操作を積極的に行う動機を遊技者に与えることができる。
【0116】
・実施形態の示唆演出は、特殊モードで実行される特別演出の勝敗を連想させる内容であるが、例えば「特別モードへの移行が濃厚」、「確変ゲット濃厚」など、有利な状態が付与されていることを直接的に示す内容であってもよい。つまり、示唆演出は、実施形態のように特別モードへ移行することや確変機能が作動することを間接的に示す内容に限らず、直接的に示す内容で実行させてもよい。
【0117】
・大当り遊技中、示唆演出を複数回実行させるようにしてもよい。この場合、各示唆演出で得た結果から特別モードへ移行するかを連想させてもよいし、複数回の示唆演出で得た結果の組み合わせから特別モードへ移行するかを連想させてもよい。
【0118】
・示唆演出における1回の操作は、演出ボタンBT1を単押しすることでもよいし、演出ボタンBT1を長押しすることでもよい。また、示唆演出における1回の操作は、操作する機会を1回としたものでもよい。つまり、演出ボタンBT1の連打を示唆演出の実行契機としてもよい。
【0119】
・大当り遊技のラウンド演出は、ラウンド回数を報知する演出に代えて又は加えてその他の演出を実行させてもよい。例えば、演出ゲームに登場するキャラクタを紹介する演出などでもよい。また、ラウンド遊技中に演出表示装置EHに表示される背景画像などが示唆演出の実行によって変化したり、非表示されたりしてもよい。
【0120】
・本実施形態のパチンコ遊技機10は、第2始動口16や大入賞口18が遊技者から遊技盤YBを見て右方の遊技領域YBaに配置されている。このため、本実施形態のパチンコ遊技機10は、第2始動口16や大入賞口18へ遊技球を入球させるために、遊技球を右方の遊技領域YBaに流下させるように遊技球の発射強度を調整する右打ち仕様である。右打ち仕様のパチンコ遊技機10では、大当り遊技中、オープニングやラウンド遊技において右打ちを促す画像が演出表示装置EHに表示される。このような右打ち報知を、大当り遊技中に実行される演出と捉えてもよい。
【0121】
・演出ボタンBT1の有効期間を変更してもよい。例えば、有効期間を、図6(c)のように何の表記もない巻物画像IN2が表示されている期間としてもよいし、図6(d)のように説明演出の途中の段階に至るまでの期間としてもよい。
【0122】
・選択画像IN1や操作促進画像IN3が非表示された後も、これらの画像に関係する操作手段(左キーLB、右キーRB、演出ボタンBT1)の有効期間は継続されていてもよい。つまり、画像の非表示と連動して有効期間を終了させなくてもよい。
【0123】
・示唆演出の演出内容である「激闘」や「楽勝」は、特別モードへ移行すること、あるいは確変機能が作動することを確定的に報知する演出内容としてもよい。つまり、これらの内容は、大当り図柄ZBの当選している場合に選択可能としてもよい。
【0124】
・また、示唆演出は、特別モードへ移行すること、あるいは確変機能が作動することが確定している場合、つまり大当り図柄ZBに当選している場合のみに何らかの演出が出現する確定的な演出としてもよい。ここで言う、何らかの演出とは、巻物画像IN2に「激闘」や「楽勝」などが表記されることである。なお、実行された段階で確定する演出を設ける場合、当該演出が実行されないと特別モードへ移行しないこと、あるいは確変機能が作動しないことが確定してしまうことにもなる。このため、特別モードへ移行する、あるいは確変機能が作動することが決まっている場合において、演出ボタンBT1を操作しても何らかの演出が実行されない場合を作るとよい。なお、確定的な演出は、報知演出と位置付けることができる。
【0125】
・選択演出で選択可能なステータスとしての情報、具体的には大当りに当選した回数分の大当り遊技で得た獲得出玉の総数と初回当りを契機に計数した獲得出玉の総数の情報は、副制御RWM53に記憶保持されている。これらの情報は、パチンコ遊技機10への電源投入から電源遮断まで記憶保持される。そして、パチンコ遊技機10への電源投入時、副制御RWM53が初期化されることでリセットされる。なお、副基板50がバックアップ機能を搭載している場合、上記ステータスに関する情報は、副制御RWM53の初期化を行わなければ日を跨いで記憶保持しておくことも可能である。
【0126】
・通常モードにおいて大当り図柄zb,zcに基づく大当りに当選した場合も、通常モードにおいて大当り図柄ZB,ZCに基づく大当りに当選した場合と同様に、大当り演出及び特殊モード中の演出を実行させてもよい。
【0127】
・通常モード中は普通抽選に当選しないようにパチンコ遊技機10を構成してもよい。普通抽選に当選しない構成としては、普通抽選の当選確率を零に設定する構成や、ゲート25を遊技球が通過しても普通抽選を行わない構成が考えられる。また、遊技球が通過して遊技領域YBaへ戻るように構成したゲート25に代えて、例えば第1始動口15のように遊技球を入球させて遊技領域YBaへは戻らない入球口を遊技領域YBaに配置してもよい。
【0128】
・特別モードや初当りに基づく大当り遊技の終了後に移行する特殊モードから移行可能な特殊モードにおいて説明演出と示唆演出を実行させてもよい。この場合、選択演出を実行させてステータスを変更可能としてもよいし、実行させずにステータスを変更不能としてもよい。
【0129】
・特別演出は、3回の演出ゲームに亘って対戦を行い、最後の演出ゲームで勝敗を導出させてもよい。また、特別演出は、対戦して勝敗を導出する演出に代えて、例えばダーツの要領で的あての演出としてもよい。つまり、特別演出の演出内容は任意に変更可能である。
【0130】
・パチンコ遊技機10のスペックは任意に変更可能である。スペックには、大当り確率、大当りの種類、大当り遊技の構成、大当り遊技終了後の遊技状態などを含む。
・副基板50に加えて、装飾ランプLaを専門に制御する発光制御基板、スピーカSpを専門に制御する音声制御基板、演出表示装置EHを専門に制御する表示制御基板を設けてもよい。また、このようなサブ制御基板とその他の演出、及び報知を制御する基板を含めて副基板としてもよい。
【0131】
・また、主基板40の主制御CPU41と、副基板50の副制御CPU51とを単一の基板に搭載してもよい。また、上記の別例において、発光制御基板、音声制御基板、及び表示制御基板を任意に組み合わせて単数の基板、若しくは複数の基板としてもよい。
【0132】
・パチンコ遊技機10を、遊技球が特定領域を通過することを契機に大当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。この遊技機に実施形態の技術を適用する場合、大当りの種類によって大当り遊技の終了後に付与される高入球率状態の付与期間を異ならせる。例えば、第2特別ゲームの回数が1000回に到達するまで高入球率状態とする大当りと、第2特別ゲームの回数が3回に到達するまで高入球率状態とする大当りと、を備える。特別モードは1000回の高入球率状態とする。特殊モードは1000回の高入球率状態を付与し得る大当りに当選した場合と3回の高入球率状態を付与し得る大当りに当選した場合の何れでも移行し、その特殊モードにおいて特別演出を実行させる。大当り遊技中の示唆演出は、1000回の高入球率状態を付与し得る大当りに当選しているか、換言すれば特別モードへ移行するかを示唆する演出となる。なお、選択演出は実施形態と同様に実行される。
【0133】
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の大当りに当選するまで確率変動状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで確率変動状態を付与する仕様(転落機)、あるいは予め定めた回数分の変動ゲームが終了するまで確率変動状態を付与する仕様(ST機)がある。また、確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機には、遊技球が特定領域を通過することを契機に確率変動状態を付与する仕様(V確変機)がある。実施形態のパチンコ遊技機10は、これらの何れの仕様のパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、パチンコ遊技機10は、上記した転落機とV確変機を混合させた仕様のパチンコ遊技機であってもよい。
【0134】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中には所定演出が実行され、前記所定遊技の実行中における前記第1操作手段による第1操作は特定演出の実行契機となり、前記第1操作が行われないときには前記所定演出が継続して実行され、前記第2操作手段による第2操作は、前記第1操作と同時期に操作が有効とされているが、前記特定演出の実行契機とはならず、他の演出の実行契機となり、前記特定演出は、前記特定状態が付与される場合に実行される演出又は実行され易い演出である遊技機。
【0135】
(ロ)所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、前記所定遊技の実行中の演出には、前記第1操作を実行契機とする特定演出と、前記第2操作を実行契機とする特殊演出と、を含み、前記特定演出は、前記特定状態が付与される場合に実行される演出又は実行され易い演出であり、前記特殊演出は、前記特定演出の実行中も前記第2操作を実行契機として実行可能である遊技機。
【0136】
(ハ)所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、前記所定遊技の実行中の演出には、前記第1操作を実行契機とする特定演出と、前記第2操作を実行契機とする特殊演出と、を含み、前記特定演出は、当該特定演出によって得られた結果を変更不能な演出であって、前記特定状態が付与される場合に実行される演出又は実行され易い演出であり、前記特殊演出は、当該特殊演出によって得られる結果を、再度、前記第2操作を行うことで他の結果に変更可能な演出であって、前記他の結果に変更される前の結果を初期の結果としたとき、前記他の結果に変更された後に、再度、前記第2操作を行うことで前記初期の結果に戻すことが可能である遊技機。
【0137】
(ニ)所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、前記所定遊技の実行中の演出には、前記第1操作を実行契機とする特定演出と、前記第2操作を実行契機とする特殊演出と、を含み、前記第1操作は、重複期間において1回の操作が有効とされ、前記第2操作は、前記重複期間において複数回の操作が有効とされ、前記特定演出は、当該特定演出によって得られた結果を変更不能な演出であって、前記特定状態が付与される場合に実行される演出又は実行され易い演出である遊技機。
【0138】
(ホ)所定の抽選に当選した場合には所定遊技を経て遊技者に有利な特定状態が付与される遊技機において、遊技者が操作可能な第1操作手段と、遊技者が操作可能であって、前記第1操作手段とは別の第2操作手段と、前記遊技機における演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記所定遊技の実行中、前記第1操作手段による第1操作と前記第2操作手段による第2操作は、同時期に操作が有効とされており、前記第1操作は、前記所定遊技の実行中に実行される所定演出の終了契機と当該所定演出に代えて実行される特定演出の開始契機を兼用しており、前記第2操作は、前記所定演出の終了契機及び前記特定演出の開始契機とはならず、前記所定演出又は前記特定演出と同時期に実行可能な特殊演出の開始契機となり得え、前記特定演出は、前記特定状態が付与される場合に実行される演出又は実行され易い演出である遊技機。
【符号の説明】
【0139】
10…パチンコ遊技機 40…主基板 41…主制御CPU 50…副基板 51…副制御CPU BT1…演出ボタン BT2…十字キー
図1
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図7