(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】エギ
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A01K85/00 301A
(21)【出願番号】P 2022039057
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000138358
【氏名又は名称】株式会社ヤマリア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】戎 宏章
(72)【発明者】
【氏名】河原 也寸志
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3051871(JP,U)
【文献】特開2000-342117(JP,A)
【文献】実開昭54-070886(JP,U)
【文献】特開2002-281866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣りに用いられるエギであって、
エギ本体と、
釣糸が取り付けられる釣糸取付部と、
錘が取り付けられる錘取付部と、を備え、
前記釣糸取付部及び前記錘取付部は、前記エギ本体の内部に配置される貫通部分を有し前記エギ本体を貫通する一本の棒状部材により形成され、
前記釣糸取付部は、前記貫通部分よりも前記棒状部材の一端部側の部分であって前記エギ本体の外部に配置される第1棒状部分により形成されており、
前記錘取付部は、前記貫通部分よりも前記棒状部材の他端部側の部分であって前記エギ本体の外部に配置される第2棒状部分により形成されており、
前記棒状部材の前記他端部は、前記エギ本体の外部に露出して
おり、
前記エギ本体は、内部に空隙が形成された中空部と、該中空部と隣り合うように設けられる中実部と、を有し、
前記貫通部分は、前記中実部の内部に配置され、曲げ加工が施されていることを特徴とする、エギ。
【請求項2】
前記第2棒状部分は、前記エギ本体から離れる方向に延びる主軸部と、前記他端部の周辺に設けられ前記主軸部に対して係止する係止部と、を有している、請求項
1に記載のエギ。
【請求項3】
前記第2棒状部分は、前記主軸部の端部から前記エギ本体側に折り返すように曲げ加工が施された折り返し部と、前記折り返し部の端部から前記エギ本体に近づく方向に延びる副軸部と、を有し、
前記主軸部及び前記副軸部は、直線状に延び、且つ、互いに対向している、請求項
2に記載のエギ。
【請求項4】
前記第2棒状部分は、前記エギ本体から離れる方向に延びる主軸部と、前記他端部の周辺に設けられ前記主軸部の周囲で巻回するように延びる巻回部と、を有している、請求項
1に記載のエギ。
【請求項5】
前記第2棒状部分の前記巻回部は、前記主軸部を中心として螺旋状に巻回するように延びている、請求項
4に記載のエギ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられるエギに関する。
【背景技術】
【0002】
「エギ(餌木)」と称され釣りに用いられる疑似餌が広く普及している。例えば、イカを獲物(捕獲対象)とする釣りでは、ユーザは、釣糸に取り付けたエギを海中で揺動させてイカを誘引し、エギを掴んだイカを針に引っ掛けて釣り上げる。
【0003】
特許文献1では、錘取付部を備えるルアーが提案されている。この錘取付部に取り付ける錘の重量を適宜選択することにより、ルアーを水中の所望の深さ位置に配置することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のルアーでは、釣糸取付部と錘取付部とをルアー本体に設けるにあたり、分品点数が増加し、製造コストの増加を招くおそれがあった。また、錘取付部の構造が、錘の着脱作業が煩雑なものになるおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの増加を抑制しつつ釣糸取付部と錘取付部とを設け、錘の着脱作業も容易なエギを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、釣りに用いられるエギであって、エギ本体と、釣糸が取り付けられる釣糸取付部と、錘が取り付けられる錘取付部と、を備え、釣糸取付部及び錘取付部は、エギ本体の内部に配置される貫通部分を有しエギ本体を貫通する一本の棒状部材により形成され、釣糸取付部は、貫通部分よりも棒状部材の一端部側の部分であってエギ本体の外部に配置される第1棒状部分により形成されており、錘取付部は、貫通部分よりも棒状部材の他端部側の部分であってエギ本体の外部に配置される第2棒状部分により形成されており、棒状部材の他端部は、エギ本体の外部に露出している。
【0008】
この構成によれば、エギ本体を貫通する一本の棒状部材により釣糸取付部及び錘取付部の双方が形成されているため、部品点数の増加を抑制することができる。また、錘取付部は、貫通部分よりも棒状部材の他端部側の部分である第2棒状部分により形成されており、棒状部材の他端部はエギ本体の外部に露出している。このため、ユーザは、棒状部材の他端部を錘に挿通させたり、挿通している他端部を錘から排出させたりするという簡単な作業により、錘を錘取付部に着脱することが可能になる。したがって、上記構成によれば、製造コストの増加を抑制しつつ釣糸取付部と錘取付部とを設け、錘の着脱作業も容易なエギを提供することが可能になる。
【0009】
また、エギ本体は、内部に空隙が形成された中空部と、中空部と隣り合うように設けられる中実部と、を有し、貫通部分は、中実部の内部に配置されている。
【0010】
この構成によれば、中空部を設けることによりエギ本体の軽量化を図り、エギを水中で揺動し易いものとすることが可能になる。また、棒状部材の貫通部分をエギ本体の中実部の内部に配置することにより、貫通部分を中空部の内部に配置した場合と比較して、貫通部分を広範囲にわたってエギ本体に接触させて固定することが可能になる。この結果、エギの揺動による獲物の誘引効果を高めつつ、棒状部材がエギ本体から抜けてしまうことを抑制できる。
【0011】
また、貫通部分は、曲げ加工が施されている。
【0012】
この構成によれば、曲げ加工が施されている貫通部分を中実部に対して係止させることができる。この結果、棒状部材がエギ本体から抜けてしまうことをさらに確実に抑制できる。
【0013】
本発明において、好ましくは、第2棒状部分は、エギ本体から離れる方向に延びる主軸部と、他端部の周辺に設けられ主軸部に対して係止する係止部と、を有している。
【0014】
この構成によれば、係止部が主軸部に対して係止することにより、錘取付部からの錘の離脱を防止することが可能になる。
【0015】
本発明において、好ましくは、第2棒状部分は、主軸部の端部からエギ本体側に折り返すように曲げ加工が施された折り返し部と、折り返し部の端部からエギ本体に近づく方向に延びる副軸部と、を有し、主軸部及び副軸部は、直線状に延び、且つ、互いに対向している。
【0016】
仮に、主軸部及び副軸部が湾曲形成されている場合、錘がその主軸部や副軸部に沿って無為に移動し、これによりエギの挙動が不安定となり、ユーザが釣糸を引いてエギを揺動させる際の操作性が悪化するおそれがる。上記構成によれば、主軸部及び副軸部のそれぞれの直線状に延びる部分が互いに対向することにより、錘を折り返し部に導く隙間を主軸部と副軸部との間に形成するとともに、錘が主軸部や副軸部に沿って無為に移動することを抑制できる。この結果、ユーザが釣糸を引いてエギを揺動させる際の操作性を高めることが可能になる。
【0017】
本発明において、好ましくは、第2棒状部分は、エギ本体から離れる方向に延びる主軸部と、他端部の周辺に設けられ主軸部の周囲で巻回するように延びる巻回部と、を有している。
【0018】
この構成によれば、錘取付部に取り付けた錘の離脱を巻回部により防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、好ましくは、第2棒状部分の前記巻回部は、前記主軸部を中心として螺旋状に巻回するように延びている。
【0020】
この構成によれば、錘取付部の大型化を抑制しつつ、錘取付部に取り付けた錘の離脱を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストの増加を抑制しつつ釣糸取付部と錘取付部とを設け、錘の着脱作業も容易なエギを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係るエギを示す側面図である。
【
図4】
図1の錘取付部及び錘の一部を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係るエギを示す拡大図である。
【
図6】第3実施形態に係るエギを示す拡大図である。
【
図7】第4実施形態に係るエギを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図3を参照しながら、第1実施形態に係るエギ1について説明する。
図1は、エギ1を示す側面図であり、
図2は、エギ1を示す分解斜視図である。
図3は、エギ1を示す拡大図であり、エギ本体2の内部を透視して示している。
【0025】
エギ1は、主にイカ釣り用として提供される疑似餌である。エギ1は、エギ本体2と、笠針3と、釣糸取付部41と、錘取付部42と、を備えている。
【0026】
エギ本体2は、ABS樹脂等のプラスチック材料により形成されている。その外観は、イカが好んで捕食する生物を模しており、前端部21から後端部22まで延びる細長形状を呈している。
【0027】
尚、本明細書では、
図1から
図3に示すように、鉛直上方向を「上」といい、鉛直下方向を「下」という。また、説明の便宜上、水平方向且つエギ本体2の前端部21が向く方向を「前」といい、後端部22が向く方向を「後」という。さらに、水平方向であって、前を向いた場合の左方向を「左」、右方向を「右」という。このようなエギ1の姿勢は、本発明に係るエギの使用態様を限定するものではない。
【0028】
図2に示されるように、エギ本体2は、分割体2a,2bにより構成されている。分割体2a,2bは、左右方向に互いに面対称の形状を呈している。分割体2a,2bのうち後端部22寄りの部位には、空隙23が形成されている。空隙23には、分割体2a,2bの剛性を高めるための複数のリブ24が設けられている。また、分割体2a,2bのうち前端部21寄りの部位には、湾曲溝27が形成されている。分割体2a,2bは、対称面において溶着することにより一体化する。分割体2a,2bが一体化した後、その外側面には、
図1に示す布29が貼付される。布29には、イカが好んで捕食する生物の色や模様を模した着色が施されている。
【0029】
このような分割体2a,2bにより構成されるエギ本体2は、
図2に示すように、中空部25及び中実部26を有している。中空部25は、エギ本体2のうち後端部22寄りの部位であり、その内部に空隙23が配置されている。中実部26は、前後方向において中空部25と隣り合うように設けられた中実の部位である。上述した湾曲溝27は、この中実部26の内部に配置されている。
【0030】
笠針3は、エギ本体2の後端部22に固定されている。笠針3は、放射状に配置された複数の針31を有している。各針31の先端は、いずれも前方に向けられている。
【0031】
釣糸取付部41は、エギ本体2の中実部26の上面から上方に突出するように設けられている。
図1に示すように、釣糸取付部41には、不図示の竿のリールから供給される釣糸8が接続される。釣糸8は、例えば、その端部に不図示の金具が取り付けられ、この金具を介して釣糸取付部41に接続される。
【0032】
錘取付部42は、エギ本体2の中実部26の下面から下方に突出するように設けられている。錘取付部42には、ユーザが選択した錘9が取り付けられる。錘9は、鉛により形成された錘本体91と、金属材料により形成された取付金具92と、を有している。取付金具92は、錘本体91の外側面との間に空間92a(
図4参照)を形成している。
【0033】
釣糸取付部41及び錘取付部42は、一本の棒状部材5により形成されている。棒状部材5は、ステンレス鋼等、所定の弾性を有する金属材料により形成されている。棒状部材5は、端部5aから端部5bまで直線状に延びる金属部材に、加工機械を用いて曲げ加工を施すことにより形成されている。端部5aは、本発明に係る「一端部」の一例である。また、端部5bは、本発明に係る「他端部」の一例である。
図2に示すように、棒状部材5は、端部5aと端部5bとの間に、貫通部分50と、第1棒状部分51と、第2棒状部分52と、を有している。
【0034】
貫通部分50は、棒状部材5のうち中央部に位置する部分である。貫通部分50は、曲げ加工が施されて略円弧形状を呈する湾曲部50aを有している。分割体2a,2bの湾曲溝27は、この湾曲部50aと相補的な形状を呈している。分割体2a,2bは、貫通部分50が湾曲溝27に配置された状態で溶着される。これにより、
図3に示すように、貫通部分50がエギ本体2の中実部26の内部に配置され、湾曲部50aが中実部26に対して係止し、棒状部材5がエギ本体2を貫通するように配置される。
【0035】
第1棒状部分51は、棒状部材5のうち貫通部分50よりも端部5a側に位置する部分である。
図3に示すように、貫通部分50がエギ本体2の中実部26の内部に配置された状態において、第1棒状部分51は、エギ本体2の外部に配置されている。第1棒状部分51は曲げ加工が施され、湾曲している。分割体2a,2bが、端部5aが溝28に配置された状態で溶着されることにより、第1棒状部分51は、閉じた環状の釣糸取付部41を形成する。
【0036】
第2棒状部分52は、棒状部材5のうち貫通部分50よりも端部5b側に位置する部分である。
図3に示すように、貫通部分50がエギ本体2の中実部26の内部に配置された状態において、第2棒状部分52は、エギ本体2の外部に配置されている。第2棒状部分52は曲げ加工が施されており、主軸部521と、折り返し部522と、副軸部523と、係止部524と、を有している。主軸部521は、エギ本体2の下面から下方に直線的に延び、折り返し部522は、この主軸部521の端部からエギ本体2側に折り返すように湾曲している。副軸部523は、折り返し部522の端部から上方に直線的に延びている。係止部524は、副軸部523の端部から主軸部521に向かって延び、端部5bの周辺で副軸部523側に折り返すように湾曲している。これにより、係止部524は、端部5bの周辺において主軸部521に係止するように構成され、第2棒状部分52が錘取付部42を形成する。
【0037】
[錘の着脱作業]
次に、
図4を参照しながら、錘9の着脱作業について説明する。
図4は、錘取付部42及び錘9の一部を示す斜視図である。
【0038】
錘9を錘取付部42に取り付ける場合、ユーザは、錘9を把持し、棒状部材5の端部5bを取付金具92の空間92aに挿通させるように、錘9を錘取付部42に接近させる。さらに、ユーザは、矢印A41で示すように、取付金具92を主軸部521と係止部524との間の隙間に進入させ、主軸部521の周りを旋回するように錘9を移動させる。このとき、錘取付部42は、取付金具92により主軸部521と係止部524との間の隙間が押し広げられることで弾性変形する。
【0039】
取付金具92が主軸部521と係止部524との間の隙間を通過すると、それまで弾性変形していた取付金具92は、元の形状に復帰する。ユーザは、矢印A42で示すように、取付金具92が折り返し部522に配置されるように、錘9を移動させる。これにより、錘9は、折り返し部522に吊り下げられるようにして、錘取付部42に取り付けられる。
【0040】
これに対し、錘9を錘取付部42から取り外す場合、ユーザは、錘9を把持し、矢印A42,A41とは逆方向に取付金具92が移動するように、錘9を移動させる。この際も、錘取付部42は、取付金具92により主軸部521と係止部524との間の隙間が押し広げられることで弾性変形する。取付金具92が主軸部521と係止部524との間の隙間を通過し、錘9が錘取付部42から取り外されると、それまで弾性変形していた取付金具92が元の形状に復帰する。
【0041】
[作用効果]
次に、第1実施形態に基づく作用効果について説明する。
【0042】
上記構成によれば、エギ本体2を貫通する一本の棒状部材5により釣糸取付部41及び錘取付部42の双方が形成されているため、部品点数の増加を抑制することができる。また、錘取付部42は、貫通部分50よりも棒状部材5の端部5b側の部分である第2棒状部分52により形成されており、棒状部材5の端部5bはエギ本体2の外部に露出している。このため、ユーザは、棒状部材5の端部5bを錘9に挿通させたり、挿通している端部5bを錘9から排出させたりするという簡単な作業により、錘9を錘取付部42に着脱することが可能になる。したがって、上記構成によれば、製造コストの増加を抑制しつつ釣糸取付部41と錘取付部42とを設け、錘9の着脱作業も容易なエギ1を提供することが可能になる。
【0043】
また、エギ本体2は、内部に空隙23が形成された中空部25と、中空部25と隣り合うように設けられる中実部26と、を有し、貫通部分50は、中実部26の内部に配置されている。
【0044】
この構成によれば、中空部25を設けることによりエギ本体2の軽量化を図り、エギ1を水中で揺動し易いものとすることが可能になる。また、棒状部材5の貫通部分50をエギ本体2の中実部26の内部に配置することにより、貫通部分50を中空部25の内部に配置した場合と比較して、貫通部分50を広範囲にわたってエギ本体2に接触させて固定することが可能になる。この結果、エギ1の揺動による獲物の誘引効果を高めつつ、棒状部材5がエギ本体2から抜けてしまうことを抑制できる。
【0045】
また、貫通部分50は、曲げ加工が施されている。
【0046】
この構成によれば、曲げ加工が施されている貫通部分50を中実部26に対して係止させることができる。この結果、棒状部材5がエギ本体2から抜けてしまうことをさらに確実に抑制できる。
【0047】
また、第2棒状部分52は、エギ本体2から離れる方向に延びる主軸部521と、端部5bの周辺に設けられ主軸部521に対して係止する係止部524と、を有している。
【0048】
この構成によれば、係止部524が主軸部521に対して係止することにより、錘取付部42からの錘9の離脱を防止することが可能になる。
【0049】
また、第2棒状部分52は、主軸部521の端部からエギ本体2側に折り返すように曲げ加工が施された折り返し部522と、折り返し部522の端部からエギ本体2に近づく方向に延びる副軸部523と、を有している。主軸部521及び副軸部523は、直線状に延び、且つ、互いに対向している。
【0050】
仮に、主軸部521及び副軸部523が湾曲形成されている場合、錘9がその主軸部521や副軸部523に沿って無為に移動し、これによりエギ1の挙動が不安定となり、ユーザが釣糸8を引いてエギ1を揺動させる際の操作性が悪化するおそれがる。上記構成によれば、主軸部521及び副軸部523のそれぞれの直線状に延びる部分が互いに対向することにより、錘9を折り返し部522に導く隙間を主軸部521と副軸部523との間に形成するとともに、錘9が主軸部521や副軸部523に沿って無為に移動することを抑制できる。この結果、ユーザが釣糸8を引いてエギ1を揺動させる際の操作性を高めることが可能になる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、
図5を参照しながら、第2実施形態に係るエギ1Aについて説明する。このエギ1Aは、第1実施形態と同様に、主にイカ釣り用として提供される疑似餌である。エギ1Aは、その錘取付部42Aの形状が第1実施形態と異なる。エギ1Aのうち、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0052】
図5は、エギ1Aを示す拡大図である。
図5(a)は、後述する副軸部523Aが主軸部521Aから離間している状態を示し、
図5(b)は、副軸部523Aが主軸部521Aに当接している状態を示している。
【0053】
エギ1Aの釣糸取付部41及び錘取付部42Aは、一本の棒状部材5Aにより形成されている。詳細には、一本の棒状部材5Aの第2棒状部分52Aが、錘取付部42Aを形成している。
【0054】
第2棒状部分52Aは曲げ加工が施されており、主軸部521Aと、折り返し部522Aと、副軸部523Aと、を有している。主軸部521Aは、エギ本体2の下面から下方に直線的に延び、折り返し部522Aは、この主軸部521Aの端部からエギ本体2側に折り返すように湾曲している。副軸部523Aは、折り返し部522Aの端部から上方に直線的に延びている。主軸部521Aには、環状のストッパ53が挿通されている。
図5(a)に示すように、第2棒状部分52Aは、副軸部523Aが主軸部521Aから離間するように形成されている。
【0055】
錘9を錘取付部42Aに取り付ける場合、ユーザは、錘9を把持し、棒状部材5Aの端部5bを取付金具92の空間92a(
図4参照)に挿通させるように、錘9を錘取付部42Aに接近させる。さらに、ユーザは、矢印A51で示すように、取付金具92を主軸部521Aと副軸部523Aとの間の隙間に進入させるようにして錘9を移動させる。
【0056】
取付金具92が折り返し部522Aに配置されると、錘9は、折り返し部522Aに吊り下げられるようにして、錘取付部42Aに取り付けられる。ここで、ユーザが主軸部521Aと副軸部523Aとを把持して双方を互いに接近させるように付勢すると、折り返し部522Aが弾性変形し、
図5(a)に矢印A52で示すように副軸部523Aが移動する。
【0057】
副軸部523Aが主軸部521Aと当接するまで移動すると、ユーザは、
図5(a)に矢印A53で示すようにストッパ53を折り返し部522A側に移動させる。これにより、
図5(b)に示すように、副軸部523Aは主軸部521Aと当接した状態で保持され、錘取付部42Aからの錘9の離脱が防止される。
【0058】
<第3実施形態>
次に、
図6を参照しながら、第3実施形態に係るエギ1Bについて説明する。このエギ1Bは、第1実施形態と同様に、主にイカ釣り用として提供される疑似餌である。エギ1Bは、その錘取付部42Bの形状が第1実施形態と異なる。エギ1Bのうち、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0059】
【0060】
エギ1Bの釣糸取付部41及び錘取付部42Bは、一本の棒状部材5Bにより形成されている。詳細には、一本の棒状部材5Bの第2棒状部分52Bが、錘取付部42Bを形成している。
【0061】
第2棒状部分52Bは曲げ加工が施されており、主軸部521Bと、巻回部54と、を有している。主軸部521Bは、エギ本体2の下面から下方に直線的に延びている。巻回部54は、主軸部521Bの端部から延びている。また、巻回部54は、主軸部521Bの周囲で巻回するように延びている。
【0062】
錘9を錘取付部42Bに取り付ける場合、ユーザは、錘9を把持し、棒状部材5Bの端部5bを取付金具92の空間92a(
図4参照)に挿通させるように、錘9を錘取付部42Bに接近させる。さらに、ユーザは、巻回部54において重なる第2棒状部分52Bの間の隙間に進入させ、矢印A6で示すように、旋回するように錘9を移動させる。このとき、巻回部54において重なる第2棒状部分52Bは、取付金具92により押し広げられることで弾性変形する。
【0063】
取付金具92が巻回部54の内部に配置されることにより、錘9は、巻回部54に吊り下げられるようにして、錘取付部42Bに取り付けられる。この構成によれば、錘取付部42Bに取り付けた錘9の離脱を巻回部54により防止することが可能になる。
【0064】
<第4実施形態>
次に、
図7を参照しながら、第4実施形態に係るエギ1Cについて説明する。このエギ1Cは、第1実施形態と同様に、主にイカ釣り用として提供される疑似餌である。エギ1Cは、その錘取付部42Cの形状が第1実施形態と異なる。エギ1Cのうち、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0065】
【0066】
エギ1Cの釣糸取付部41及び錘取付部42Cは、一本の棒状部材5Cにより形成されている。詳細には、一本の棒状部材5Cの第2棒状部分52Cが、錘取付部42Cを形成している。
【0067】
第2棒状部分52Cは曲げ加工が施されており、主軸部521Cと、折り返し部522Cと、巻回部55と、を有している。主軸部521Cは、エギ本体2の下面から下方に直線的に延び、折り返し部522Cは、この主軸部521Cの端部からエギ本体2側に折り返すように湾曲している。巻回部55は、折り返し部522Cの端部から、主軸部521Cを中心として、エギ本体2に向かって螺旋状に巻回するように延びている。
【0068】
錘9を錘取付部42Cに取り付ける場合、ユーザは、錘9を把持し、棒状部材5Cの端部5bを取付金具92の空間92a(
図4参照)に挿通させるように、錘9を錘取付部42Cに接近させる。さらに、ユーザは、矢印A7で示すように、取付金具92を主軸部521Cと巻回部55との間の隙間に進入させ、主軸部521Cの周りを旋回するように錘9を移動させる。このとき、錘取付部42Cは、取付金具92により主軸部521Cと巻回部55との間の隙間が押し広げられることで弾性変形する。
【0069】
取付金具92が折り返し部522Cに配置されることにより、錘9は、折り返し部522Cに吊り下げられるようにして、錘取付部42Cに取り付けられる。この構成によれば、錘取付部42Cの大型化を抑制しつつ、錘取付部42Cに取り付けた錘9の離脱を巻回部55により防止することが可能になる。
【0070】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,1A~1C:エギ
2 :エギ本体
23 :空隙
25 :中空部
26 :中実部
41 :釣糸取付部
42,42A~42C:錘取付部
5,5A~5C:棒状部材
5a :端部(一端部)
5b :端部(他端部)
50 :貫通部分
51 :第1棒状部分
52,52A~52C:第2棒状部分
521,521A~521C:主軸部
522,522A,522C:折り返し部
523,523A:副軸部
524 :係止部
54,55:巻回部
8 :釣糸
9 :錘
【要約】
【課題】製造コストの増加を抑制しつつ釣糸取付部と錘取付部とを設け、錘の着脱作業も容易なエギを提供することを目的とする。
【解決手段】エギ1は、エギ本体2と、釣糸8が取り付けられる釣糸取付部41と、錘9が取り付けられる錘取付部42と、を備えている。釣糸取付部41及び錘取付部42は、エギ本体2の内部に配置される貫通部分50を有しエギ本体2を貫通する一本の棒状部材5により形成されている。釣糸取付部41は、貫通部分50よりも棒状部材5の端部5a側の部分であってエギ本体2の外部に配置される第1棒状部分51により形成されている。錘取付部42は、貫通部分50よりも棒状部材5の端部5b側の部分であってエギ本体2の外部に配置される第2棒状部分52により形成されている。棒状部材5の端部5bは、エギ本体2の外部に露出している。
【選択図】
図1