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特許7321600新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体及びそれを用いた感熱記録材料
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  • 特許-新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体及びそれを用いた感熱記録材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体及びそれを用いた感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/74 20060101AFI20230731BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20230731BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20230731BHJP
   C09D 5/26 20060101ALI20230731BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C07C309/74 CSP
B41M5/333 220
C09D7/41
C09D5/26
C09D201/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022168801
(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公開番号】P2023067796
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2021178124
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】木西 良一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良三
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/225663(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/065704(WO,A1)
【文献】特開平11-123876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 309/76
B41M 5/333
C09D 7/41
C09D 5/26
C09D 201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

(式中、Rは、水素原子;炭素数1~12のアルキル基;無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基であり、
は、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基であり、
Qは、酸素原子または硫黄原子であり、および
Arは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基である。)
で表される化合物、またはその塩。
【請求項2】
一般式(1)の化合物が、下記式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【化2】

【化3】

【化4】
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物、またはその塩を含有する顕色剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物、またはその塩を含有する感熱記録塗料。
【請求項5】
請求項1または2に記載の化合物、またはその塩を含有する感熱記録層。
【請求項6】
請求項4に記載の感熱記録塗料を支持体に塗布してなる感熱記録体。
【請求項7】
支持体が、紙またはフィルムである、請求項6に記載の感熱記録体。
【請求項8】
常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、請求項1または2に記載の化合物またはその塩を少なくとも1種類含有することを特徴とする感熱記録材料。
【請求項9】
顕色剤として、請求項1または2に記載の化合物またはその塩と非フェノール顕色剤を併用することを特徴とする、請求項8に記載の感熱記録材料。
【請求項10】
非フェノール顕色剤が、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミドまたはN-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素である、請求項9に記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体及びそれを用いた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録材料は常温で無色ないし淡色の塩基性染料と有機顕色剤とをそれぞれ微細な粒子に粉砕分散した後、両者を混合し、これと増感剤、バインダー、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を、紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して感熱記録層を形成したものであり、感熱ヘッド、熱ペン等の熱エネルギー(ジュール熱)を加えることにより発色記録が得られるものである。このような感熱記録材料はすでに広く実用化されている。
【0003】
その感熱記録材料に求められる性能として、未印字部の白色度と種々の環境条件における未印字部の白色度、印字部の発色濃度とその印字部の保存性等が挙げられる。特に印字部の保存性に関しては、種々の試験耐性、例えば耐湿熱性、耐水性、耐光性、耐油性および耐可塑剤性等が求められる。
【0004】
これまで感熱記録材料の顕色剤として数多くの顕色剤が提案されてきた。例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン(特許文献1)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホン等のフェノール系顕色剤、4-(p-トルエンスルホニルアミノ)サリチル酸(特許文献2)、4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸及び亜鉛塩(特許文献3)、4-(4-カルボキシブチル)ウレイドサリチル酸(特許文献4)、(フェニルウレイド)安息香酸(特許文献5)等のアミノ安息香酸やアミノサリチル酸系顕色剤、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(特許文献6)、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献7)、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素(特許文献8)、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素(特許文献9)等の非フェノール系顕色剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-052842号公報
【文献】特開平07-246772号公報
【文献】特開平09-263058号公報
【文献】特開2005-145935号公報
【文献】特開平08-216526号公報
【文献】特表2002-532441号公報
【文献】国際公開第2014/080615号
【文献】国際公開第2017/111032号
【文献】国際公開第2019/044462号
【非特許文献】
【0006】
【文献】大饗茂編著、「有機硫黄化学」、化学同人社、1982年9月、p349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フェノール系顕色剤やアミノ安息香酸系顕色剤および置換されていないフェノール性ヒドロキシ基を有するアミノサリチル酸系顕色剤は印字部、非印字部の各種保存安定性が十分でない。又、非フェノール系顕色剤であるN-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(特許文献6)は発色感度や保存性は改善されているものの、十分なものでなく、更に改善が求められている。加えて、N-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素はトルエンスルホニルイソシナネ-トから誘導されるトルエンスルホニル尿素基およびトルエンスルホニルクロリドから誘導される芳香族スルホン酸アリールエステル基の2つの官能基を有し、芳香族スルホン酸アリールエステル基は水に対して安定であるものの(非特許文献1)、一方のトルエンスルホニル尿素基は元来アミノ基等の保護基として活用されてきたものであるが、水によって容易に加水分解される欠点がある。
【0008】
一方、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献7)や、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素(特許文献8)、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素(特許文献9)は未だ記録部の保存性に課題があり、感熱記録材料としての要求性能に関しては充分満足できるものでなく、特に印字部の保存性、なかでも耐油性や耐可塑剤性に更なる向上が求められている。
【0009】
更に近年は4,4’-イソプロピリデンジフェノールや4,4’-ビスフェノールスルホン等は、環境ホルモンや変異原性等の環境衛生上の問題が指摘されているため、これらの問題のない顕色剤として非フェノール系顕色剤が求められている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に耐油性や耐可塑剤性の保存性能に優れた感熱記録材料の顕色剤として好適な新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体及びそれを顕色剤として用いた感熱記録材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]一般式(1):
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、Rは、水素原子;炭素数1~12のアルキル基;無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基であり、
は、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基であり、
Qは、酸素原子または硫黄原子であり、および
Arは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;あるいは、無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基である。)
で表される化合物、またはその塩。
[2]一般式(1)の化合物が、下記式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、前記[1]に記載の化合物。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
[3]前記[1]または[2]に記載の化合物、またはその塩を含有する顕色剤。
[4]前記[1]または[2]に記載の化合物、またはその塩を含有する感熱記録塗料。[5]前記[1]または[2]に記載の化合物、またはその塩を含有する感熱記録層。
[6]前記[4]に記載の感熱記録塗料を支持体に塗布してなる感熱記録体。
[7]支持体が、紙またはフィルムである、前記[6]に記載の感熱記録体。
[8]常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、前記[1]または[2]に記載の化合物またはその塩を少なくとも1種類含有することを特徴とする感熱記録材料。
[9]顕色剤として、前記[1]または[2]に記載の化合物またはその塩と非フェノール顕色剤を併用することを特徴とする、前記[8]に記載の感熱記録材料。
[10]非フェノール顕色剤が、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミドまたはN-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素である、前記[9]に記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0018】
本発明の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を顕色剤として用いることにより、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、印字部の保存性が高く、耐油性、耐可塑剤性に優れた感熱記録材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)のIRチャ-トを示す。
図2】本発明に係る4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)のH-NMRスペクトルを示す。
図3】本発明に係る4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)のFDマススペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体)
本発明の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体は、下記一般式(1)~(2)で表される。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
一般式(1)~(2)中、
は、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1~12のアルキル基;ベンジル基、p-メチルベンジル基、p-イソプロピルベンジル基、p-tert-ブチルベンジル基、2,4-ジ-tert-ブチルベンジル基、p-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、2,4-ジメトキシベンジル基、フェネチル基、α-フェネチル基、フェニルプロピル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;フェニル基、トリル基、p-エチルフェニル基、p-キシリル基、m-キシリル基、メシチレン基、プソイドクメン基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニル基、ジメチルビフェニル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。
【0024】
好ましいRは、炭素数1~4のアルキル基である。
【0025】
は、ベンジル基、p-メチルベンジル基、p-イソプロピルベンジル基、p-tert-ブチルベンジル基、p-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、m-またはp-ジメトキシベンジル基、フェネチル基、α-フェネチル基、フェニルプロピル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、p-エチルフェニル基、p-キシリル基、m-キシリル基、メシチレン基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニル基、ジメチルビフェニル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。
【0026】
好ましいRは、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、メシチレン基、1-ナフチル基、または2-ナフチル基である。
【0027】
Arは、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-プロピルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基、4-ブチルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数7~15のアラルキル基;フェニル基、o-トリル基、p-トリル基、m-トリル基、o-キシリル基、p-キシリル基、m-キシリル基、メシチレン基、プソイドクメン基、4-tert-ブチルフェニル基、4-シクロへキシルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニル基、ジメチルビフェニル基等の無置換、または、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基で置換された炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。
【0028】
好ましいArは、フェニル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基、または2-ナフチル基である。
【0029】
本明細書中、「アルキル基」および「アルコキシ基」とは、直鎖状、分岐鎖状または脂環状の、「アルキル基」および「アルコキシ基」を意味する。中でも、直鎖状または分岐鎖状の、「アルキル基」および「アルコキシ基」が好ましい。
【0030】
Qは、酸素原子、または硫黄原子であり、好ましくは酸素原子である。
【0031】
一般式(1)~(2)中、Rが水素原子である場合、塩を形成していてもよい。かかる塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;N-メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4-ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩等の有機塩基塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられ、好ましくは、アルカリ金属塩である。
【0032】
本発明の一般式(1)または(2)で表される新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体として、以下に具体的化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0033】
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(4-メチルベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸ベンジル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ベンジル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(2,4-キシレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(2,5-キシレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(4-エチルベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(4-プロピルベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(メシチレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-フェニルウレイド)-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0034】
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-フェニルエチルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸イソプロピル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2,4-キシレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(4-エチルベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(メシチレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(ビフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸イソプロピル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ベンジル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(2,4-キシレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-p-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(4-エチルベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-o-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0035】
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸ベンジル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸イソプロピル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ブチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸ベンジル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸フェニル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0036】
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0037】
5-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸プロピル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸イソプロピル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(2,4-キシレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-フェニルウレイド)-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(4-エトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(3-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(3,4-ジメトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(ビフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-(3-p-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-o-トリルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-o-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-o-トリルウレイド)-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-(3-o-トリルウレイド)-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0038】
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンジルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(4-エトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(3-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-2-(3,4-ジメトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0039】
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(o-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
5-[3-(4-メトキシフェニル)ウレイド]-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0040】
2-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-3-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
2-(3-m-トリルウレイド)-4-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
2-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
2-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
2-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
【0041】
3-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
3-[3-(2-ナフチル)ウレイド]-4-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
3-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-4-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチル、
3-(3-m-トリルウレイド)-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
【0042】
4-(3-p-トリルウレイド)-3-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル、
4-(3-m-トリルウレイド)-3-(m-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸エチルが挙げられる。
【0043】
[式(1)の化合物の製造方法]
本発明の一般式(1)で表される置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体(すなわち、式(1)中のQが酸素原子である式(2)の化合物)は、下記反応式1および2(以下、「反応1」および「反応2」と称することもある。)で示される様に、式(3)で表されるヒドロキシ安息香酸エステル化合物に式(4)で表されるイソシアネート化合物を反応させて、式(5)で表される化合物を合成し、次に、式(5)で表される化合物に式(6)で表されるハロゲン化スルホニル化合物を反応させて容易に合成することができる。
【0044】
(反応式1)
【0045】
【化7】
【0046】
(反応式2)
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
(式中、Rは、前記と同義である。)
【0050】
【化10】
【0051】
(式中、Arは、前記と同義である。)
【0052】
【化11】
【0053】
(式中、ArおよびRは、前記と同義である。)
【0054】
【化12】
【0055】
(式中、Rは、前記と同義であり、Xは、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子を表す。)
【0056】
式(3)で表されるヒドロキシ安息香酸エステル化合物としては、例えば、4-アミノサリチル酸メチル、4-アミノサリチル酸エチル、4-アミノサリチル酸プロピル、4-アミノサリチル酸イソプロピル、4-アミノサリチル酸ブチル、4-アミノサリチル酸ベンジル、4-アミノサリチル酸フェニル、4-アミノサリチル酸p-クレジル、4-アミノサリチル酸m-クレジル、
5-アミノサリチル酸メチル、5-アミノサリチル酸エチル、5-アミノサリチル酸プロピル、5-アミノサリチル酸イソプロピル、5-アミノサリチル酸ブチル、5-アミノサリチル酸ベンジル、5-アミノサリチル酸フェニル、5-アミノサリチル酸p-クレジル、5-アミノサリチル酸m-クレジル、3-ヒドロキシアントラニル酸メチル、3-ヒドロキシアントラニル酸エチル、3-ヒドロキシアントラニル酸プロピル、3-ヒドロキシアントラニル酸ブチル、3-ヒドロキシアントラニル酸ベンジル、3-ヒドロキシアントラニル酸フェニル、5-ヒドロキシアントラニル酸メチル、5-ヒドロキシアントラニル酸エチル、5-ヒドロキシアントラニル酸プロピル、5-ヒドロキシアントラニル酸ブチル、5-ヒドロキシアントラニル酸ベンジル、5-ヒドロキシアントラニル酸フェニル、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸メチル、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸エチル、2-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸メチル、3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸エチル、3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、3-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸メチル、3-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸ブチル、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0057】
式(4)で表されるイソシアネート化合物としては、例えば、ベンジルイソシアネート、4-メチルベンジルイソシアネート、3-メチルベンジルイソシアネート、4-メトキシベンジルイソシアネート、2-フェネチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、4-メトキシフェニルイソシアネート、3,4-ジメトキシフェニルイソシアネート、p-トリルイソシアネート、m-トリルイソシアネート、o-トリルイソシアネート、p-エチル-フェニルイソシアネート、p-tert-ブチルフェニルイソシアネート、2,4,6-トリメチルフェニルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、2,5-ジメチルフェニルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート、4-イソシアナートビフェニル、1-ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
式(6)で表されるハロゲン化スルホニル化合物としては、例えば、ベンジルスルホニルクロリド、フェネチルスルホニルクロリド、4-メチルベンジルスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、4-メトキシベンゼンスルホニルクロリド、3,4-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、m-トルエンスルホニルクロリド、o-トルエンスルホニルクロリド、p-エチル-ベンゼンスルホニルクロリド、p-tert-ブチルベンゼンスルホニルクロリド、メシチレンスルホニルクロリド、p-キシレンスルホニルクロリド、4-ビフェニルスルホニルクロリド、1-ナフタレンスルホニルクロリド、2-ナフタレンスルホニルクロリド等が挙げられる。
【0059】
反応1、および反応2は、水、有機溶媒、または水-有機溶媒の2相溶媒系中で実施することができる。
【0060】
有機溶媒は、好ましくは非プロトン性溶媒であり、非プロトン性溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル等の酢酸エステル;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;アセトニトリル;ジメチルスルホンアミド;ジメチルスルホキシド;ジメチルイミダゾリジン等が挙げられる。
【0061】
反応温度は、通常、-10℃~150℃であり、好ましくは10℃~90℃である。溶媒の沸点や反応生成物の安定性に拠り、溶媒の種類や反応温度は、好適に選択される。
【0062】
前記各反応の実施に際し、反応1のN-ウレイド化を実施した後に、反応2のO-スルホン酸エステル化を実施するのが好適である。また、反応2のO-スルホン酸エステル化を実施した後に、反応1のN-ウレイド化を実施する事も可能である。
【0063】
反応の好適な実施方法としては、
[1]反応1の式(5)で表される生成物を単離し、次反応に供する方法で反応を実施する方法、または
[2]反応1の反応終了後、液温を反応2の反応温度に調整し、式(5)で表される生成物を単離せずに、反応1の反応液をそのまま次反応に供して反応を実施する方法
が挙げられる。
【0064】
また、一般式(1)中のQが硫黄原子である、置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体は、上記反応1で使用する式(4)で表されるイソシアネート化合物に代えて、下式(4’):
【0065】
【化13】
【0066】
(式中、Arは、前記と同義である。)で表されるイソチオシアネート化合物を使用して、前記と同様の反応を行うことにより容易に合成することができる。
【0067】
高純度品質の式(1)又は式(2)の化合物が要求される場合は、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソアミル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等を用いて結晶の洗浄や再結晶操作を実施してもよい。
【0068】
(感熱記録材料)
本発明の感熱記録材料は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、前記の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を含有する。又、本発明の化合物は既存の非フェノール顕色剤と併用して用いてもよく、既存の非フェノール顕色剤と併用して用いる場合、本発明の化合物は、既存の非フェノール顕色剤と任意の割合で用いる事ができ、既存の非フェノール顕色剤の保存性能を顕著に向上できる顕色機能を有する保存向上剤としても活用できる。
【0069】
既存の非フェノール顕色剤としては、例えば、N-3-[(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(商品名:PF-201)、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミド(商品名:NKK-1304)、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素(商品名:TGMD)、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素(特許文献9)、ジ-[3-メチル-N-{5-(フェノキシカルボニルアミノ)フェニル}ウレイド]フェニルスルホン(商品名:UU)、4,4’-ビス-(p-トリルスルホニルウレイド)-ジフェニルメタン(商品名:B-TUM)、5-(N-3-メチルフェニルスルホニルアミド)-N’,N’’-ビス-(3-メチルフェニル)-イソフタル酸-ジアミド(商品名:PF-425)、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニンおよびN-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン等の公知の非フェノール顕色剤等が挙げられる。
【0070】
更に、公知のフェノール顕色剤と併用する事も可能である。公知のフェノール顕色剤としては、例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BPA)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS-MAE)、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名:TGSA)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシスルホン(商品名:D-8)等のフェノール系顕色剤等の化合物が挙げられる。これらの顕色剤の併用により、これら顕色剤の課題である保存性を更に向上させることが可能となる。
【0071】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層は、例えば、前記塩基性染料と前記式(1)または式(2)で表される新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を微細な粒子に粉砕分散し、バインダー、増感剤、充填剤、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を調製し、これを紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して形成される。
【0072】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層に使用される、常温で無色ないし淡色の塩基性染料としては、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、スピロ系化合物、フルオレン系化合物、チアジン系化合物等が挙げられ、従来公知のロイコ染料から選ぶことができる。
【0073】
ロイコ染料としては、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(p-メチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
【0074】
3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3-(2-メチル-1-n-オクチルインド-ル-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、
【0075】
3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ]6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ヘキシル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
【0076】
2,2-ビス{4-[6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]-2’-イルアミノ]フェニル}プロパン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-ピロリジノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ジベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3,3’-ビス(1-n-アミル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3,3’-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-エチル-2-メチルインド-ル-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン等から選ぶことができるが、常温で無色ないし淡色の塩基性染料はこれらに限定されるものではない。また、塩基性染料として、上記例示した化合物を2種類以上併用してもよい。
【0077】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じ増感剤を使用することができ、増感剤としては従来公知の増感剤が使用できる。
【0078】
増感剤として、例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド;p-トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸等のカルシウム、亜鉛、アルミニウム等との脂肪酸金属塩;p-ベンジルビフェニル;ジフェニルスルホン;ベンジルオキシ安息香酸ベンジル;2-ベンジルオキシナフタレン;1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン;1,2-ビス(フェノキシ)エタン;1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン;1,3-ビス(フェノキシ)プロパン;シュウ酸ジベンジル;シュウ酸p-メチルベンジル;m-ターフェニル;1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等が挙げられる。中でも、特に1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタンが、感度の面で好適な増感剤である。
【0079】
本発明の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体は、特に耐油性、耐可塑剤性が良好であり、従来公知の顕色剤の保存安定剤としても使用することができるが、本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、従来公知の保存安定剤を更に併用することもできる。
【0080】
保存安定剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチルm-クレゾ-ル)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、トリス(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ-ト、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物;1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂型、クレゾ-ルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物;N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン;2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩または多価金属塩;ビス(4-エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン;4-[2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛、4-[3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸亜鉛、5-[2-(p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸亜鉛、4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛等のサリチル酸の亜鉛塩;下記一般式(7)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。中でも、特に、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1、3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、または下記一般式(7)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物が保存性改善には、更に好適である。
【0081】
【化14】
【0082】
(式中、nは1~7の整数を表す。)
【0083】
また、本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じて、助剤を使用することができる。
【0084】
助剤としては、例えば、ジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩;ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスタ-ワックス、エステルワックス等のワックス類;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;グリオキザ-ル、ホウ酸、ジアルデヒドスタ-チ、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤;消泡剤;着色染料;蛍光染料;顔料等が挙げられる。
【0085】
本発明において、感熱記録層に使用されるバインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エ-テル化澱粉等の澱粉類;メチルセルロ-ス、カルボキシメチルセルロ-ス、メトキシセルロ-ス、ヒドロキシエチルセルロ-ス等のセルロ-ス類;カゼイン;ゼラチン;完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、ならびに酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ビニルブチラール・スチロールおよびそれらの共重合体樹脂;アミド樹脂;シリコ-ン樹脂;石油樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;クロマン樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、溶剤に溶解して使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用することもできる。
【0086】
感熱記録層に配合される顔料としては、例えば、非晶性シリカ、非晶性珪酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、ポリスチレンパウダー、ナイロンパウダー、尿素-ホルマリン樹脂フィラー、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機または有機顔料等が挙げられる。
【0087】
本発明における感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料、およびその他助剤等の添加剤の種類や使用量は、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜決定される。
【0088】
本発明における感熱記録層に顕色剤として使用される、前記式(1)または(2)で表される新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体の含有量は、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料1質量部に対して、0.3~5質量部が好ましく、0.4~3質量部がより好ましい。
【0089】
また、増感剤の含有量は、塩基性染料1質量部に対し、0.2~4質量部であり、バインダーの含有量は、感熱記録層の全固形分中、5~50質量%が適当である。支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、金属箔等が挙げられ、これらを組み合せた複合シートも支持体として使用することができる。
【0090】
また、本発明における感熱記録層は、保存性を高める目的で有機顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けても良く、さらにサーマルヘッドヘの粕付着を防止、印字画質向上、感度を向上させる目的で有機顔料、無機顔料、中空微粒子、発泡粒子等を含有するアンダーコート層を設けても良い。
【0091】
本発明における感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、保存安定剤等は、例えば、水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散して使用される。
このように微分散された分散液に、必要に応じて、顔料、バインダー、助剤等を混合撹拌することにより、塗工液または感熱記録塗料が調製される。
【0092】
このようにして得られた感熱記録塗料を、乾燥後の塗布量が1~20g/m程度、好ましくは1.5~12g/m程度、より好ましくは2~7g/m程度、特に好ましくは3~7g/m程度になるように、支持体上に塗布し、乾燥することにより感熱記録層を形成する感熱記録体(感熱記録紙または感熱記録フィルム)が形成される。
【0093】
感熱層を形成するための塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、スライドビロードコーティング、オフセットグラビアコーティング、5本ロールコーティング等の適当な塗工方式により塗工することができる。
【0094】
このようにして調製される感熱記録用塗料を、支持体上に直接塗工することにより、支持体上に感熱記録層を積層してもよいし、支持体上にまず下塗り層を形成し、形成された下塗り層上に感熱記録層を形成してもよい。下塗り層を設けることにより、感度、画質の改善、印字粕吸収機能の改善ができる。
下塗り層の組成は、目的に応じて適宜選択すればよいが、通常、バインダー、顔料等が含まれる。
【0095】
下塗り層に用いられるバインダーとしては、感熱記録層で使用するような樹脂を用いることができる。すなわち、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類;メチルセルロース、カルボキシセルロース、メトキシセルロ-ス、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース樹脂;カゼイン;ゼラチン;完全(または部分)鹸化ポリビニアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;スチレン-無水マレイン酸共重合体系ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体系ラテックス、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス等のラテックス類を用いることができる。
【0096】
下塗り層に含有される無機顔料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物;金属水酸化物、硫酸塩、炭酸塩等の金属化合物;無定形シリカ、焼成カオリン、タルク等の無機白色顔料等が挙げられる。これらのうち、特に焼成カオリンは、発色感度および粕吸収性に優れていることから、好適に用いられる。無機顔料の粒子径は、好ましくは0.5~3.0μm程度である。
【0097】
また、下塗り層に含有される有機顔料としては、例えば、球状樹脂粒子(いわゆる、密実型樹脂粒子)、中空粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を変面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂等が挙げられる。中でも、中空粒子は、記録濃度を高めることから、好適に使用される。
【0098】
発色感度と粕吸着性を両立させるために、無機顔料と有機顔料を併用することが一般的に行われ、その際の無機顔料と有機顔料の使用比率は、質量比で90:10~30:70程度が好ましく、70:30~50:50がより好ましい。
【0099】
更に、感度の向上を図るため、発泡系樹脂を使用することもできる。
【0100】
下塗り層は、通常、水を分散媒体とし、無機顔料および有機顔料から選ばれる少なくとも1種とバインダーを混合攪拌して得られる下塗り層塗料を、支持体上に乾燥後の塗布量が1~20g/m、好ましくは5~15g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。前記バインダーおよび顔料の使用量は、下塗り層全固形分に対してバインダーが5~40質量%程度、顔料が10~95質量%程度が好ましい。また、下塗り層用塗料には、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤;蛍光染料、着色染料、界面活性剤、架橋剤等の各種助剤等を添加することもできる。
【0101】
下塗り層は、1層でも良く、必要に応じて2層以上設けてもよい。
【0102】
感熱記録層上に、成膜性を有するバインダーを主成分とする保護層を設けてもよい。保護層に用いられる保護層用塗料は、例えば、水を媒体とし、バインダー成分、顔料、及び、更に必要により助剤とを混合攪拌して調製される。
保護層に用いられるバインダー、顔料、助剤としては、上記した感熱記録層で用いられるものを使用することができる。
【0103】
また、保護層上に光沢層を設けてもよい。光沢層としては、例えば、電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする塗液を塗布後、電子線や紫外線を照射して硬化させる方法、超微粒子のコアシェル型アクリル樹脂を使用する方法等が挙げられる。
【0104】
更に、支持体の裏面側に帯電防止層を設けてもよい。
【0105】
下塗り層、保護層、光沢層等を形成するための塗料は、感熱記録層と同様に、ピュアーブレードコーディング、ロッドブレードコーディング、カーテンコーディング、オフセットグラビアコーディング等の適当な塗工方式により塗工することができ、塗工後、乾燥させることにより各層が形成される。
【0106】
各層を形成した後、スーパーキャレンダー処理する等の感熱記録材料製造分野における各種公知処理技術を適宜付加してもよい。
【実施例
【0107】
以下、合成例、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表わす。
【0108】
(合成例1)
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0109】
【化15】
【0110】
温度計、滴下ロート、攪拌機を付した四ツ口フラスコに、室温下、4-アミノサリチル酸メチル16.8g、酢酸エチル200gを仕込み攪拌した。反応液の内温を60℃に調整した後、滴下ロートを使用してm-トリルイソシアネート13.3gを、内温を保持しながら滴下した。反応液を同温で8時間攪拌した。反応液は、反応の進行にともなって結晶が析出しスラリー溶液となった。次に、反応液を室温まで冷却して結晶を濾別した。濾別した結晶を乾燥することにより、4-(3-m-トリルウレイド)-サリチル酸メチルの結晶21.2gを得た。
次に温度計、滴下ロート、攪拌機を付した四ツ口フラスコに、室温下、4-(3-m-トリルウレイド)-サリチル酸メチル9.0g、酢酸エチル70g、1-ナフタレンスルホニルクロリド7.9gを仕込み攪拌した。反応液の内温を60℃に昇温した後、滴下ロートを使用してトリエチルアミン4.0gを、内温を保持しながら滴下した。反応液を同温で8時間攪拌した後、反応液に水を加え、塩酸で水層を酸性化し、水層を分液除去した。有機層を更に、水、重曹水、水で順に水洗し、分液した。有機層を減圧濃縮し、濃縮残渣にトルエンを加え結晶化した。結晶析出液を15℃まで冷却し、析出した結晶を濾別して4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル13.5gを得た。融点158~162℃
機器分析結果から、この結晶が、4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルであることを確認した。図1にIRチャ-ト、図2H-NMRチャート、図3にFD-MSチャートを示す。
【0111】
(合成例2)
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0112】
【化16】
【0113】
合成例1の1-ナフタレンスルホニルクロリド7.8gを2-ナフタレンスルホニルクロリド7.8gに代えた以外は、合成例1と同様にして4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点147~151℃
【0114】
(合成例3)
4-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0115】
【化17】
【0116】
合成例1のm-トリルイソシアネート13.3gをフェニルイソシアネート11.9gに代え、4-(3-m-トリルウレイド)-サリチル酸メチル9.0gを4-(3-フェニルウレイド)-サリチル酸メチル8.58gに代えた以外は、合成例1と同様にして4-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点158~164℃
【0117】
(合成例4)
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0118】
【化18】
【0119】
合成例1のm-トリルイソシアネート13.3gを1-ナフチルイソシアネート13.5gに代え、4-(3-m-トリルウレイド)-サリチル酸メチル9.0gを4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-サリチル酸メチル10.1gに代えた以外は、合成例1と同様にして4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点191~198℃
【0120】
(合成例5)
4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0121】
【化19】
【0122】
合成例4の1-ナフタレンスルホニルクロリド7.9gを2-ナフタレンスルホニルクロリド7.9gに代えた以外は、合成例4と同様にして4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点197~205℃
【0123】
(合成例6)
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0124】
【化20】
【0125】
合成例1の1-ナフタレンスルホニルクロリド7.9gをp-トルエンスルホニルクロリド6.7gに代えた以外は、合成例1と同様にして4-(3-m-トリルウレイド)-2-(p-トルエンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点171~173℃
【0126】
(合成例7)
4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0127】
【化21】
【0128】
合成例3のp-トルエンスルホニルクロリド6.7gをベンゼンスルホニルクロリド6.2gに代えた以外は、合成例3と同様にして4-(3-フェニルウレイド)-2-(ベンゼンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点153~156℃
【0129】
(合成例8)
5-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0130】
【化22】
【0131】
合成例1の4-アミノサリチル酸メチル16.8gを5-アミノサリチル酸メチル5.85gに代え、酢酸エチル200gを100gに代え、m-トリルイソシアネート13.3gを4.66gに代えた以外は、合成例1と同様にして5-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。反応終了後、反応液に塩酸水溶液を加えると多量の結晶が析出した。冷却後、析出結晶を濾別し、水、重曹水溶液、メタノールの順に洗浄し、80℃減圧下で結晶を乾燥した。得られた結晶は、5-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの1水和物であった。融点122~131℃
【0132】
(合成例9)
2-(3-m-トリルウレイド)-5-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルの合成
【0133】
【化23】
【0134】
合成例8の5-アミノサリチル酸メチル5.85gを5-ヒドロキシアントラニル酸メチル5.85gに代えた以外は、合成例8と同様にして2-(3-m-トリルウレイド)-5-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチルを合成した。融点188~193℃
【0135】
[アンダーコート用塗料の調製]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイクSN-1055:中空率:55%(容積率)、固形分26.5%)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571 固形分48%)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部および水20部を混合して、アンダーコート用塗料を作成した。
【0136】
(実施例1)
[感熱記録用塗料の作成]
A液(染料分散液の調製)
3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン
10 部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10 部
水 16.7部
【0137】
B液(顕色剤分散液の調製)
4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1) 20 部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20 部
水 33.3部
【0138】
C液(増感剤分散液の調製)
1,2-ビス(m-トリルオキシ)エタン 15 部
10%ポリビニルアルコール水溶液 15 部
水 25 部
【0139】
上記A液、B液およびC液の分散液をサンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で分散液を混合して塗布液とした。
A液(染料剤分散液) 36.7部
B液(顕色剤分散液) 73.3部
C液(増感剤分散液) 55.0部
【0140】
水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP-527)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンZ-8-36)19.4部および水50部からなる組成分を混合して感熱記録用塗料を作製した。
【0141】
[感熱記録材料の作成]
支持体として坪量が53gの上質紙にアンダーコート用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/mとなるように塗布および乾燥し、その後、感熱記録用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/mになるように塗布、乾燥した。
このシートをスーパーカレンダ-で平滑度(JISP8155:2010)が900~1200sになるように処理して感熱記録材料を作成した。
【0142】
[各種試験]
1.感熱記録性試験(発色試験)
作成した感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(大倉電気社製TH-PMD)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印加した。記録部の印字濃度と未印字部はマクベス反射濃度計RD-914で測定した。これを試験前サンプル(ブランク)とした。
【0143】
2.耐湿熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片の画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0144】
3.耐熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度60℃の恒温環境下に24時間放置した後、試験片の画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0145】
4.耐水性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を水中に15時間浸漬し、その後、試験片を風乾させ、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0146】
5.耐油性試験-1
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に10分間浸漬し、その後、試験片の油をふき取り、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0147】
6.耐油性試験-2
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に3時間浸漬し、その後、試験片の油をふき取り、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0148】
7.耐可塑剤性試験感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料をポリカーボネートパイプ(48mmφ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップ(登録商標)KMA、三井化学製)を3重に巻き付け、感熱記録材料を乗せ、更にその上にラップフィルムを3重に巻き付け20℃65%RHの環境下で24時間放置し、その後、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0149】
(実施例2)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、4-(3-フェニルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例2)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例2の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0150】
(実施例3)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を4-(3-m-トリルウレイド)-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例3)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例3の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0151】
(実施例4)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例4)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例4の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0152】
(実施例5)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、4-[3-(1-ナフチル)ウレイド]-2-(2-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例5)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例5の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0153】
(比較例1)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例1の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0154】
(比較例2)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミドに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例2の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0155】
(比較例3)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、N-3-[(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル-N’-フェニル-尿素に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例3の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0156】
(比較例4)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、N,N’-ジ{[3-(p-トルエンスルホニル)オキシ]フェニル}尿素に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例4の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0157】
(比較例5)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、4,4’-イソプロピリデンジフェノールに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例5の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0158】
(比較例6)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例6の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0159】
(比較例7)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、特開平07-246772号公報(特許文献2)に記載の下記式:
【0160】
【化24】
【0161】
で表される4-N-フェニルカルバモイルアミノサリチル酸(別称:4-(3-フェニルウレイド)-サリチル酸)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例7の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0162】
(比較例8)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、特開平08-216526号公報(特許文献5)に記載の下記式:
【0163】
【化25】
【0164】
で表される4-(3-m-トリルウレイド)-安息香酸に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例8の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0165】
(比較例9)
実施例1のB液の4-(3-m-トリルウレイド)-2-(1-ナフタレンスルホニル)オキシ-安息香酸メチル(合成例1)を、特開平09-263058号公報(特許文献3)に記載の下記式:
【0166】
【化26】
【0167】
で表される4-(フェニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。比較例9の感熱記録材料の各種試験結果は、表1に記載の通りであった。
【0168】
【表1】
【0169】
上記実施例および表1によれば、本発明の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体から作製される感熱記録材料は、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、印字部の耐湿熱性、耐熱性、耐水性、耐油性、耐可塑剤性の全ての保存性試験に於いても良好であり、特に耐油性、および耐可塑剤性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明の新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体から作製される感熱記録材料は、顕色剤として、一般式(1)または(2)で表される新規な置換ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を使用することにより、非印字部の白色度が高く、良好な発色濃度を示し、更に全ての保存性試験において良好な保存性が得られ、従来の感熱記録材料に代わるものとして産業上の利用可能性は極めて有望である。
図1
図2
図3