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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】椎間体融合ケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022520058
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 KR2020013343
(87)【国際公開番号】W WO2021066524
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0120578
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515207651
【氏名又は名称】シージー バイオ カンパニー,リミテッド
【住所又は居所原語表記】244 Galmachi-ro,Jungwon-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13211 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】504314133
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウィス
(72)【発明者】
【氏名】ヒャン,ソンジェ
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-088791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173917(US,A1)
【文献】特表2019-503238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342748(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0021868(US,A1)
【文献】特表2019-500165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が開放されて形成される収容部、上部ガイド部および下部ガイド部を含む胴体と、
前記収容部内に配置される移動部材と、
前記胴体に螺合し、回転時に前記移動部材と一体に前記胴体に対して前方または後方に相対運動するネジと、
前記上部ガイド部によりガイドされる被ガイド部を有し、前記移動部材に係合して前記胴体の上部に配置される上部プレートと、
前記下部ガイドによりガイドされる被ガイド部を有し、前記移動部材に係合して前記胴体の下部に配置される下部プレートと、を含み、
前記移動部材は、両側壁に上下方向に形成されたグルーブをそれぞれ含み、
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前記グルーブに挿入される突出部をそれぞれ含み、
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前記突出部を通じて前記移動部材に係合する
椎間体融合ケージ。
【請求項2】
前記上部プレートおよび前記下部プレートが人体の脊椎体間に固設された状態で、前記ネジが一方向に回転時に、前記胴体が前記ネジおよび前記移動部材により前方に移動しつつ、前記上部プレートは、前記上部ガイド部に沿って上方向に移動し、前記下部プレートは、前記下部ガイド部に沿って下方向に移動する、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項3】
前記上部ガイド部は、前記胴体の上部に後方から前方に下方傾斜した形態で形成され、前記下部ガイド部は、前記胴体の下部に後方から前方に上方傾斜した形態で形成される、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項4】
前記胴体は、前方に形成されたネジホールをさらに含み、
前記ネジは、前記移動部材に回転自在に結合するヘッド部と、前記ネジホールに螺合するネジ山部と、を含む、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項5】
前記移動部材は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放されて形成され、前方側壁に前記ヘッド部が貫通して結合するように形成された螺合ホールを含む、請求項4に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項6】
前記胴体は、前記収容部と連通して後方に貫通形成された後方ホールをさらに含み、
前記移動部材は、前記後方ホールを通過したネジ回転ツールが前記ヘッド部に進入できるように後方側壁に貫通形成されたガイドホールをさらに含む、請求項5に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項7】
前記後方ホールは、前記椎間体融合ケージの人体への挿入のための手術ツールの結合インターフェースを提供する、請求項6に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項8】
前記上部ガイド部および前記下部ガイド部は、それぞれ、前記胴体の両側面に形成される、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項9】
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前方に一側方から他側方に行くほど前方に突出するように形成された前方傾斜部を含む、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項10】
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、上下対称を成して形成される、請求項に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項11】
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、それぞれ、上部および下部に前記前方傾斜部と平行に形成されたキール部を含む、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項12】
前記上部プレートおよび前記下部プレートは、上下方向に貫通したウィンドウ部をそれぞれ含む、請求項1に記載の椎間体融合ケージ。
【請求項13】
前記胴体は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放されて形成される、請求項12に記載の椎間体融合ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎間体融合ケージに関し、より詳細には、ディスクが切除された空間に挿入されて、隣接する脊椎体間の間隔を確保する椎間体融合ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
椎間体融合ケージは、脊椎疾患の手術的治療方法である融合術(fusion)に用いられる装置である。病気や事故によってディスクが破裂したり弱化すると、脊椎神経を圧迫して痛みが発生するが、このような場合、損傷したディスクを切除し、損傷部位が切除された椎間体に脊椎骨間の間隔および前彎(lordosis)を復旧し維持させる椎間体融合ケージを挿入して、脊椎骨間の融合術を実施する。
【0003】
このように椎間体融合ケージは、退行性ディスクが切除された脊椎骨間の椎間体に挿入されて、融合のために骨が成長して入る空間を確保する。また、椎間体融合ケージは、脊椎体間の間隔を確保して、痛みを軽減させ、脊椎の安定性を回復させる。
【0004】
従来、PEEK/Titanium椎間体融合ケージが多く使用されている。一般的に、PEEK/Titanium椎間体融合ケージの場合、各製品ごとに定められた大きさと高さを有している。したがって、患者によって差異が存在する脊椎骨間の間隔を患者オーダーメード型で適合に確保することが事実上不可能である。また、患者の脊椎骨間のディスク空間が狭い場合、椎間体融合ケージを挿入することが容易ではなかった。
【0005】
このような問題点を解決するために、高さの調節が可能な椎間体融合ケージが提案されているが、従来の製品は、高さの拡張の際に、高さの調節のための構成が内部中心に集まったり、一方向に移動して収縮する構造を有していて、内部空間が狭まくなって、骨移植材を充填する空間の確保が難しい問題を有している。また、椎間体融合ケージ内に骨移植材を充填した状態で患者体内に移植された後、高さが拡張された場合、拡張された空間にさらに骨移植材を充填することが不可能であるという点も、問題点として指摘されている。
【0006】
一方、一般的に、椎間体融合ケージは、椎間体への挿入時に、身体の冠状面(coronal plane)に対してななめに挿入される。ところが、従来の椎間体融合ケージは、通常、左右対称の四角構造を有していて、曲線形状からなる椎間体の最前方まで押し込むことが難しかった。これによって、椎間体融合ケージの上部および下部に形成されたキール(Keel)が冠状面に対して水平に配置されないため、椎間体融合の際に不安定性が誘発されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許登録第10-1371418号「椎間体融合ケージ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、
本発明の目的は、椎間体に挿入されて、隣接する脊椎体間の間隔を確保し、かつ、その高さを連続的なスケールで調節することができるので、患者オーダーメード型融合術を可能にするだけでなく、手術過程で医師の負担を軽減する椎間体融合ケージを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、椎間体の最前方まで押し込むのに適した構造を有していて、椎間体融合の際に物理的な安定性を確保する椎間体融合ケージを提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、高さの調節が可能ながら、内部に骨移植材の充填のための空間を効率的に確保する椎間体融合ケージを提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、これに限定されず、言及されていない他の目的は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、上下が開放されて形成される収容部、上部ガイド部および下部ガイド部を含む胴体と、前記収容部内に配置される移動部材と、前記胴体に螺合し、回転時に前記移動部材と一体に前記胴体に対して前方または後方に相対運動するネジと、前記上部ガイド部によりガイドされる被ガイド部を有し、前記移動部材に係合して前記胴体の上部に配置される上部プレートと、前記下部ガイドによりガイドされる被ガイド部を有し、前記移動部材に係合して前記胴体の下部に配置される下部プレートと、を含む椎間体融合ケージが提供される。
【0013】
ここで、前記上部プレートおよび前記下部プレートが人体の脊椎体間に固設された状態で、前記ネジが一方向に回転時に、前記胴体が前記ネジおよび前記移動部材により前方に移動しつつ、前記上部プレートは、前記上部ガイド部に沿って上方向に移動し、前記下部プレートは、前記下部ガイド部に沿って下方向に移動することができる。
【0014】
また、前記上部ガイド部は、前記胴体の上部に後方から前方に下方傾斜した形態で形成され、前記下部ガイド部は、前記胴体の下部に後方から前方に上方傾斜した形態で形成されてもよい。
【0015】
また、前記胴体は、前方に形成されたネジホールをさらに含み、前記ネジは、前記移動部材に回転自在に結合するヘッド部と、前記ネジホールに螺合するネジ山部と、を含んでもよい。
【0016】
また、前記移動部材は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放されて形成され、前方側壁に前記ヘッド部が貫通して結合するように形成された螺合ホールを含んでもよい。
【0017】
また、前記胴体は、前記収容部と連通して後方に貫通形成された後方ホールをさらに含み、前記移動部材は、前記後方ホールを通過したネジ回転ツールが前記ヘッド部に進入できるように後方側壁に貫通形成されたガイドホールをさらに含んでもよい。
【0018】
また、前記後方ホールは、前記椎間体融合ケージの人体への挿入のための手術ツールの結合インターフェースを提供することができる。
【0019】
また、前記移動部材は、両側壁に上下方向に形成されたグルーブをそれぞれ含み、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前記グルーブに挿入される突出部をそれぞれ含んでもよい。
【0020】
また、前記上部ガイド部および前記下部ガイド部は、それぞれ、前記胴体の両側面に形成されてもよい。
【0021】
また、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、前方に一側方から他側方に行くほど前方に突出するように形成された前方傾斜部を含んでもよい。
【0022】
また、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、上下対称を成して形成されてもよい。
【0023】
また、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、それぞれ、上部および下部に前記前方傾斜部と平行に形成されたキール部を含んでもよい。
【0024】
また、前記上部プレートおよび前記下部プレートは、上下方向に貫通したウィンドウ部をそれぞれ含んでもよい。
【0025】
また、前記胴体は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放されて形成されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態によれば、椎間体に挿入された椎間体融合ケージの高さを連続的なスケールで調節することができるので、患者オーダーメード型融合術が可能になり、手術過程で医師の負担が軽減される。
【0027】
また、椎間体の最前方まで押し込むのに適した構造を有する椎間体融合ケージを通じて椎間体融合の際に物理的な安定性を確保することができる。
【0028】
また、椎間体融合ケージの高さ調節後にも、その内部に骨移植材の充填のための空間を効率的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージを他の角度から示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの平面図である。
図4】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージを他の角度から示した分解斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す側面図である。
図7】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す縦方向断面図である。
図8】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの椎間体挿入状態を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージとインサータの結合状態、骨移植材カニューレおよび骨移植材プッシャーを示す図である。
図11】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの人体への挿入および骨移植材の注入過程を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの移植過程に使用されるロッキングスクリューおよびロッキングスクリュードライバーを示す図である。
図13】本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの人体への挿入および骨移植材の注入後にロッキングスクリューを結合させる過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、明細書全般にわたって同一または同様の構成要素については同じ参照符号を付けた。
【0031】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを説明しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0032】
図1および図2には、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージを上方から見た斜視図および下方から見た斜視図がそれぞれ示されており、図3には、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの平面図が示されている。また、図4および図5には、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージを前方から見た分解斜視図および後方から見た分解斜視図がそれぞれ示されている。
【0033】
図1図5を参照すると、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1は、胴体11、移動部材12、ネジ13、上部プレート14および下部プレート15を含む。
【0034】
胴体11は、移動部材12、ネジ13、上部プレート14および下部プレート15が配置される部分である。胴体11は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放されたフレーム形態を有する。
【0035】
本発明の一実施形態において、胴体11は、ネジホール111、収容部112、上部ガイド部113、下部ガイド部114、後方ホール115およびインサータ結合部116を含む。
【0036】
ネジホール111は、胴体11の前方に形成される。ネジホール111は、ネジ13のネジ山部132が結合する部分であり、ネジ13のネジ山部132と相補的に形成される。本発明の一実施形態において、ネジホール111は、胴体11の前方側壁を貫通して形成される。
【0037】
収容部112は、ネジホール111の後方にネジホール111と連通して形成される。収容部112は、胴体11の中央に上下が開放された空間で形成されている。収容部112には、移動部材12、ネジ13などが配置され、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージが、患者の脊椎のうちディスクが切除された空間に挿入された後に、収容部112の空いた空間を通じて骨移植材の充填が行われ得る。
【0038】
上部ガイド部113および下部ガイド部114は、上部プレート14の被ガイド部142および下部プレート15の被ガイド部152にそれぞれ当接する部分である。後から詳細に説明されるように、ネジ13が一方向に回転し、移動部材12が胴体11に対して後方に相対移動するとき、上部プレート14は、上部ガイド部113により押し上げられ、下部プレート15は、下部ガイド部114により押し下げられる。
【0039】
本発明の一実施形態において、上部ガイド部113は、胴体11の上部に後方から前方に下方傾斜した形態で形成され、下部ガイド部114は、胴体11の下部に後方から前方に上方傾斜した形態で形成されている。すなわち、本発明の一実施形態において、上部ガイド部113および下部ガイド部114は、互いに対称的な傾斜部で形成されている。
【0040】
上部ガイド部113および下部ガイド部114は、上部プレート14および下部プレート15の円滑な上下移動のために複数個形成されたり、胴体11の両側面に形成されたりしてもよい。上部ガイド部113および下部ガイド部114は、左右対称で形成されることが、左右均衡の観点から好ましい。図4および図5に詳細に示されたように、本発明の一実施形態において、上部ガイド部113および下部ガイド部114は、胴体11の左右側壁に対称的に形成されており、前方および後方にそれぞれ一対ずつ形成されている。
【0041】
後方ホール115は、収容部112と連通して後方に貫通形成される。本発明の一実施形態において、後方ホール115は、胴体11の後方側壁を貫通して形成される。本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1が手術部位に挿入された後、ネジ13の回転のためのネジ回転ツールが後方ホール115を通じて収容部112内に進入できる。
【0042】
また、後方ホール115は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1の人体への挿入のための手術器具が結合するインターフェースとして機能することもできる。本発明の一実施形態において、後方ホール115は、その内周面にネジ山が形成されているが、手術器具の端部が後方ホール115に螺合した状態で本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1が患者の椎間空間に挿入されることもできる。
【0043】
インサータ結合部116は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1の人体への挿入のためのインサータ2が結合する部分である。本発明の一実施形態において、インサータ結合部116は、胴体11の両側壁に所定の形状を有するリセス(recess)で形成されている。インサータ結合部116のリセス形状に相当する突出形状を有するインサータ2の端部が挿入されることによって、インサータ2の前方に椎間体融合ケージ1が結合することができる。
【0044】
移動部材12は、収容部112内に配置されて、ネジ13の回転時にネジ13とともに胴体11に対して後方または前方に相対移動する。移動部材12が胴体11に対して後方または前方に相対移動するにつれて、移動部材12に係合した上部プレート14および下部プレート15が上下に移動する。
【0045】
本発明の一実施形態において、移動部材12は、側壁により四方を囲まれ、上下が開放された形態で形成される。移動部材12は、ネジ13と結合して、ネジ13の後進または前進につれて共に後進または前進する。
【0046】
本発明の一実施形態において、移動部材12は、螺合ホール121、グルーブ122およびガイドホール123を含む。
【0047】
螺合ホール121は、移動部材12の前方側壁にネジ13のヘッド部131が挿入結合するように形成される。螺合ホール121は、ネジ13のヘッド部131が回転自在に結合できる形態を有する。螺合ホール121を通じて移動部材12とネジ13が結合し、ネジ13の回転時にネジ13と移動部材12も一体に挙動する。
【0048】
グルーブ122は、移動部材12の両側方の側壁に上下方向に形成されている。グルーブ122に上部プレート14の突出部141および下部プレート15の突出部151が挿入されることによって、移動部材12は、上部プレート14および下部プレート15に係合する。
【0049】
ガイドホール123は、移動部材12の後方側壁に貫通形成される。ガイドホール123は、胴体11の後方ホール115を通過したネジ回転ツールがヘッド部131に進入できる経路を提供する。
【0050】
一方、本発明の一実施形態において、移動部材12の中央部分は、上下が開放された空いた空間で形成されるが、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージが、ディスクが切除された患者の椎間空間に挿入された後に、当該空間に骨移植材の充填が行われ得る。
【0051】
ネジ13は、胴体11に螺合し、回転時に移動部材12と一体に胴体11に対して前方または後方に相対運動する。ネジ13が一方向に回転時に、ネジ13と移動部材12は、胴体11に対して後方に相対運動し、ネジ13が他方向に回転時に、ネジ13と移動部材12は、胴体11に対して前方に相対運動する。
【0052】
本発明の一実施形態において、ネジ13は、移動部材に回転自在に結合するヘッド部131と、ネジホール111に螺合するネジ山部132と、を含む。
【0053】
ヘッド部131は、移動部材12の螺合ホール121に回転自在な形態に結合する。ヘッド部131は、螺合ホール121に挿入結合し、移動部材12のガイドホール123を通じて進入するネジ回転ツールにより回転することができる。ヘッド部131が螺合ホール121に結合することによって、ネジ13は、移動部材12と一体に挙動することができる。
【0054】
ネジ山部132は、胴体11のネジホール111に螺合する。本発明の一実施形態において、ネジ山部132は、ネジホール111に結合した状態で一定範囲で後進または前進できる長さを有する。ヘッド部131の回転によってネジ山部132がネジホール111に係合した状態で直線挙動をする。
【0055】
上部プレート14および下部プレート15は、胴体11の上部および下部にそれぞれ配置される。上部プレート14および下部プレート15が患者の脊椎体間に固設された状態で、ネジ13が一方向に回転時に、胴体11がネジ13および移動部材12により前方に移動しつつ、上部プレート14は、上部ガイド部113に沿って上方向に移動し、下部プレート15は、下部ガイド部114に沿って下方向に移動する。これによって、患者オーダーメード型で椎間体内で椎間体融合ケージ1の高さを可変できる。
【0056】
上部プレート14および下部プレート15は、移動部材12のグルーブ122に挿入されて、上部プレート14および下部プレート15が移動部材12と係合する突出部141、151をそれぞれ具備する。突出部141、151は、上部プレート14と下部プレート15の内側面にそれぞれ形成されている。上部プレート14および下部プレート15は、突出部141、151を通じて移動部材12に係合する。
【0057】
また、上部プレート14は、上部ガイド部113によりガイドされる被ガイド部142を有し、下部プレート15は、下部ガイド部114によりガイドされる被ガイド部152を有する。本発明の一実施形態において、上部プレート14の被ガイド部142は、上部ガイド部113に相補的な傾斜部で形成されており、下部プレート15の被ガイド部152は、下部ガイド部114に相補的な傾斜部で形成されている。また、被ガイド部142、152は、上部プレート14および下部プレート15の内側面に形成されている。
【0058】
言い換えれば、上部プレート14は、上部ガイド部113に相補的な被ガイド部142を有し、移動部材12に係合して胴体11の上部に配置され、下部プレート15は、下部ガイド部114に相補的な被ガイド部152を有し、移動部材12に係合して胴体11の下部に配置される。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す側面図であり、図7は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す縦方向断面図である。また、図8は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの高さ調節過程を示す平面図である。
【0060】
図6図8を参照して本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1の高さ調節過程を説明する。以下で説明される椎間体融合ケージ1の高さ調節過程は、椎間体融合ケージ1が、患者の脊椎のうちディスクが切除された椎間空間に挿入されて、上部プレート14および下部プレート15が脊椎体により固設された状態で進行されることを前提とする。
【0061】
椎間体融合ケージ1が、患者の脊椎のうちディスクが切除された椎間空間に挿入されて、上部プレート14および下部プレート15が脊椎体により固設された状態で、ネジ13が一方向に回転時に、ネジ13と移動部材12に後進しようとする力が作用する。しかしながら、移動部材12は、上部プレート14および下部プレート15に係合しているので、反作用によって胴体11が前進する。これを他の観点から記述すると、ネジ13の一方向回転によってネジ13と移動部材12が胴体11に対して後方に相対移動する。
【0062】
これによって、移動部材12に係合した上部プレート14は、上部ガイド部113に乗って上方向に移動し、下部プレート15は、下部ガイド部114に乗って下方向に移動する。その結果、上部プレート14は上方向に、下部プレート15は下方向に移動して、椎間体融合ケージ1の高さが拡張される。
【0063】
このように本発明の一実施形態によれば、椎間体融合ケージ1の上下間隔を連続的なスケールで調節することができる。これを通じて、椎間体融合ケージ1の挿入および脊椎体の融合のための骨癒合空間の確保が容易になり、患者の脊椎体間の間隔に適した患者オーダーメード型融合術が行われ得る。
【0064】
また、本発明の一実施形態によれば、高さの拡張後、内部に骨移植材の充填のための空間が効率的に確保される。ここで、骨移植材は、胴体11後方の後方ホール115および移動部材12のガイドホール123を通じて注入されてもよい。
【0065】
一方、上部プレート14および下部プレート15は、それぞれ、前方に一側方から他側方に行くほど前方に突出するように形成された前方傾斜部143、153を含む。また、上部プレート14および下部プレート15は、上下対称を成している。このように上部プレート14および下部プレート15が構成されることによって、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1は、椎間体への挿入時に、椎間体の最前方まで押し込むのに適した構造を有する。
【0066】
図3を参照すると、前方傾斜部143、153は、前方の水平面と一定の角度θを成す。具体的に、TLIF(Transforaminal Lumbar Interbody Fusion)手術時に、椎間体融合ケージ1の挿入角度を考慮して、前方傾斜部143、153は、前方の水平面と20~50°程度の角度を成すことができ、好ましくは、25~35°の角度を成すことができる。
【0067】
図9には、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1の椎間体S挿入状態が示されている。図9を参照すると、椎間体融合ケージ1は、手術時に患者の椎間体Sの後方から前方に挿入されるが、椎間体Sの前方は曲線を成している。ここで、上部プレート14および下部プレート15の前方にそれぞれ形成された前方傾斜部143、153は、椎間体融合ケージ1を椎間体Sの前方の曲線に沿ってほぼ密着できるようにする。これを通じて、椎間体融合ケージ1は、椎間体S内で効果的に配置される。具体的に、前方傾斜部143が患者の冠状面(coronal plane)と平行に配置されるようにすることができる。
【0068】
また、本発明の一実施形態において、上部プレート14および下部プレート15は、上部プレート14と下部プレート15が胴体11に結合した状態でネジホール111を貫通して前方に露出するネジ13のネジ山部132を収容するために形成された溝部144、154をそれぞれ含んでおり、上部プレート14の溝部144および下部プレート15の溝部154は、共に貫通ホールの形状を成す。
【0069】
また、本発明の一実施形態において、上部プレート14は、上部に上部プレート14の前方傾斜部143と平行に形成されたキール部145を含み、下部プレート15は、下部に下部プレート15の前方傾斜部153と平行に形成されたキール部155を含む。具体的に、キール部144、154は、前方傾斜部143、153と平行に前後方にわたって繰り返して構成される凹凸からなり得る。
【0070】
椎間体融合ケージ1を椎間体に挿入するとき、上部プレート14のキール部145は、椎間体の上部に位置するエンドプレート(end plate)に打ち込まれ、下部プレート15のキール部155は、椎間体の下部に位置するエンドプレートに打ち込まれることによって、それぞれ上部プレート14および下部プレート15に固着力を提供する。
【0071】
前述したように、本発明の一実施形態によれば、前方傾斜部143、153は、患者の冠状面と平行に配置されるが、これによって、前方傾斜部143、153と平行に形成されたキール部145、155も、患者の冠状面と平行に配置され、その結果、椎間体融合ケージ1の固着時に、左右の均衡を保つことによって、物理的安定性を確保することができる。
【0072】
一方、本発明の一実施形態において、上部プレート14および下部プレート15は、それぞれ上下方向に貫通したウィンドウ部146、156を含む。ウィンドウ部146、156は、上下貫通する形態で形成されて、椎間体融合ケージ1と脊椎体間の骨結合(bone integration)が行われ得る通路を提供する。ウィンドウ部146、156を通じて移植された椎間体融合ケージ1と脊椎体間の骨結合(bone integration)が円滑に行われ得る。
【0073】
以下では、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージ1の移植時に使用される手術器具とこれを用いた椎間体融合ケージ1の移植過程をさらに説明する。
【0074】
図10は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージとインサータの結合状態、骨移植材カニューレおよび骨移植材プッシャーを示す図である。また、図11は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの人体への挿入および骨移植材の注入過程を示す図である。
【0075】
図10および図11を参照すると、インサータ2は、椎間体融合ケージ1を人体に挿入する手術器具であり、長さ方向に沿って貫通形成された中空部を具備している。上記で説明したように、インサータ2は、その前方端部が椎間体融合ケージ1のインサータ結合部116に結合されてもよいし、椎間体融合ケージ1は、インサータ2により椎間体Sに挿入されてもよい。
【0076】
椎間体融合ケージ1が椎間体Sに挿入された状態で、骨移植材カニューレ3をインサータ2の中空部に挿入し、骨移植材Bを注入することができる。ここで、骨移植材Bは、同種骨、異種骨、脱灰骨、人工骨(synthetic bone)などでありうる。
【0077】
ここで、骨移植材プッシャー4が骨移植材カニューレ3の内部に挿入されて、骨移植材Bを椎間体融合ケージ1の方向に押し出すことができる。具体的に、骨移植材プッシャー4は、骨移植材カニューレ3の内径以下の外径で形成された胴体部を具備しており、骨移植材カニューレ3内に挿入されて、骨移植材カニューレ3内部の骨移植材Bを椎間体融合ケージ1側に押し出すことができる。このように注入される骨移植材Bは、胴体11および移動部材12内部の空間を充填し、椎間体の融合を促進することができる。
【0078】
図12は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの移植過程に使用されるロッキングスクリューおよびロッキングスクリュードライバーを示す図である。また、図13は、本発明の一実施形態による椎間体融合ケージの人体への挿入および骨移植材の注入後にロッキングスクリューを結合させる過程を示す図である。
【0079】
図12および図13を参照すると、ロッキングスクリュー5は、椎間体融合ケージ1に骨移植材Bを注入した後、椎間体融合ケージ1の後方を閉鎖する。より詳細には、ロッキングスクリュー5は、椎間体融合ケージ1の後方ホール115を閉鎖できる形状を有する。ロッキングスクリュー5は、ロッキングスクリュードライバー6に結合されて、インサータ2の中空部を通じて椎間体融合ケージ1の後方に接近することができ、ロッキングスクリュードライバー6により椎間体融合ケージ1の後方、すなわち後方ホール115に締結できる。
【0080】
椎間体融合ケージ1の挿入と骨移植材Bの注入およびロッキングスクリュー5による後方ホール115の閉鎖まで終了すると、インサータ2を椎間体融合ケージ1から分離する。次いで、手術部位の縫合が行われ得る。
【0081】
本発明の一実施形態について説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施形態によって限定されず、本発明の思想を理解する当業者は、同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などにより他の実施形態を容易に提案することができるが、これも、本発明の思想範囲内に入るといえる。
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