(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置、及び、紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20230731BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20230731BHJP
B65H 31/02 20060101ALI20230731BHJP
G07D 11/10 20190101ALI20230731BHJP
【FI】
G07D11/12
B65H31/00 Z
B65H31/02
G07D11/10
(21)【出願番号】P 2022541030
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2020030096
(87)【国際公開番号】W WO2022029944
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】西田 光孝
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝男
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄二
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027847(JP,A)
【文献】特開昭51-115897(JP,A)
【文献】特開2015-088137(JP,A)
【文献】特開2018-144999(JP,A)
【文献】特開2016-012169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-11/50
B65H 31/00
B65H 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類よりも幅狭の収納空間において、水平に対して傾いた状態の前記紙葉類を収納する収納庫と、
前記収納庫の内壁から前記収納空間に向かって突出し、前記紙葉類をガイドする
第1のガイド部及び第2のガイド部を含む複数のガイド部と
を備え、
前記複数のガイド部は、前記内壁から前記収納空間に向かって水平方向よりも下方に傾斜したガイド面を有し、
前記第1のガイド部及び前記第2のガイド部は、前記内壁の同一面において互いに高さが異なる位置に横並びに配置されている
ことを特徴とする紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記複数のガイド部は、第3のガイド部及び第4のガイド部を更に含み、
前記第3のガイド部及び前記第4のガイド部は、前記内壁のうち前記第1のガイド部及び前記第2のガイド部が配置された面に対向する面において、前記第1のガイド部及び前記第2のガイド部よりも下方に、且つ、前記第1のガイド部と前記第2のガイド部との高さの差よりも小さい差で互いに高さが異なる位置に横並びに配置されている
ことを特徴とする請求項
1記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
前記ガイド部の前記内壁からの突出量よりも小さい突出量で前記内壁から前記収納空間に向かって突出し、前記紙葉類が前記ガイド面の上端に引っ掛かるのを抑制するリブを更に備える
ことを特徴とする請求項
1又は2記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
紙葉類収納装置を備える紙葉類取扱装置であって、
前記紙葉類収納装置は、
紙葉類よりも幅狭の収納空間において、水平に対して傾いた状態の前記紙葉類を収納する収納庫と、
前記収納庫の内壁から前記収納空間に向かって突出し、前記紙葉類をガイドする
第1のガイド部及び第2のガイド部を含む複数のガイド部と
を備え、
前記複数のガイド部は、前記内壁から前記収納空間に向かって水平方向よりも下方に傾斜したガイド面を有し、
前記第1のガイド部及び前記第2のガイド部は、前記内壁の同一面において互いに高さが異なる位置に横並びに配置されている
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類収納装置と、この紙葉類収納装置を備える紙葉類取扱装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部集積空間の幅が投入紙葉類を横たえた状態に集積できない薄型に設定された紙葉類収納箱において、投入口側の第1集積空間と下側の第2集積空間とを区分する仕切り板が所定負荷によって開放可能に設けられた紙葉類収納箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙幣等の紙葉類の収納は、紙葉類のサイズよりも少し大きい収納庫に、収納空間を有効に活用できるように紙葉類を整列させながら収納するのが一般的である。このように紙葉類を整列させながら収納するためには、紙葉類の収納空間が常に一定となるようにステージを昇降させる昇降機構などの設置が必要であった。この昇降機構は、例えば、紙葉類の重みに追従してステージの高さを可変にするためのスプリングや、電動の昇降機構などである。
【0005】
また、紙葉類のサイズよりも幅狭の収納空間に紙葉類を収納する場合でも、紙葉類が斜めに整列して収納されるよう床(ステージ)を斜めにしたり、昇降機構を設置したりする必要があった。
【0006】
上述のように、従来は収納枚数を安定させるために紙葉類を整列させながら収納してきたが、そのために必要な昇降機構や羽根車などの可動部品が必要であり、高価となっていた。ただし、これら可動部品が無い場合は紙葉類の挙動が安定しないため、紙葉類同士が衝突し収納枚数が極端に少なくなることがあり、特に収納庫に紙葉類を自由落下で収納する場合、紙葉類同士が縦に積み上がり少ない枚数で紙葉類のフル状態を検知する現象が発生することがある。
【0007】
近年のATM(Automated Teller Machine)では、取扱い金種を増やすためカセットの小型化や増加の要望があり、収納専用カセットの小型化(幅狭化)の要求がある。
【0008】
なお、上述のように、所定負荷によって開放可能に設けられた仕切り板を備える紙葉類収納箱は、開閉可能な仕切り板を配置することによって構成が複雑化する。
【0009】
本発明は、簡素な構成で、紙葉類よりも幅狭の収納空間における紙葉類の収納枚数を確保することができる紙葉類収納装置及び紙葉類取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の紙葉類収納装置は、紙葉類よりも幅狭の収納空間において、水平に対して傾いた状態の前記紙葉類を収納する収納庫と、前記紙葉類のすべての辺が水平方向とは異なる角度で前記収納空間を自由落下するように前記紙葉類をガイドするガイド部とを備える。
【0011】
開示の紙葉類取扱装置は、紙葉類収納装置を備える紙葉類取扱装置であって、前記紙葉類収納装置は、紙葉類よりも幅狭の収納空間において、水平に対して傾いた状態の前記紙葉類を収納する収納庫と、前記紙葉類のすべての辺が水平方向とは異なる角度で前記収納空間を自由落下するように前記紙葉類をガイドするガイド部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
開示の紙葉類収納装置及び紙葉類取扱装置によれば、簡素な構成で、紙葉類よりも幅狭の収納空間における紙葉類の収納枚数を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態における自動取引装置の内部構成を示す左側面図である。
【
図2A】一実施の形態における自動取引装置の入金時の一時保留部を経由する搬送経路を説明するための説明図(その1)である。
【
図2B】一実施の形態における自動取引装置の入金時の一時保留部を経由する搬送経路を説明するための説明図(その2)である。
【
図3】一実施の形態における自動取引装置の直接入金時の搬送経路を説明するための説明図である。
【
図4】一実施の形態における自動取引装置の出金時の搬送経路を説明するための説明図である。
【
図5】一実施の形態における第1リジェクト庫の一部の内部構成を示す斜視図である。
【
図6】一実施の形態における第1リジェクト庫の内部構成を示す左側面図である。
【
図7】一実施の形態における第1リジェクト庫の落下軌道を説明するための説明図である。
【
図8】一実施の形態における第1リジェクト庫の紙幣の収納状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る紙葉類収納装置及び紙葉類取扱装置について、紙葉類収納装置の一例を第1リジェクト庫1とし、紙葉類取扱装置の一例を自動取引装置100として、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、自動取引装置100の内部構成を示す左側面図である。
【0016】
なお、
図1並びに後述する
図2A~
図10に示す上下、前後、左右の各方向は、自動取引装置100の顧客側を前方向とした場合の一例にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。
【0017】
図1に示す自動取引装置100は、例えばATM、BRU(Bill Recycle Unit)、CD(Cash Dispenser)、TCR(Teller Cash Recycler)などであり、本体部110と、収納部120と、中間搬送部131,132とを備える。自動取引装置100においては、紙葉類の一例である紙幣Bの入金、出金などの処理が行われる。なお、紙葉類取扱装置としては、紙幣Bを一例とする紙葉類の受け入れ(入金)、排出(出金)、搬送などの何らかの処理を行うものであればよい。
【0018】
本体部110は、紙幣入出金部111と、本体搬送部112と、鑑別部113と、一時保留部114,115とを有する。
【0019】
紙幣入出金部111は、シャッタ111aを有し、入金時に紙幣Bが投入され、出金時に紙幣Bを排出する。
【0020】
本体搬送部112は、本体部110の下部に配置され、紙幣入出金部111と一時保留部114,115と後述する中間搬送部131,132との間で紙幣Bを搬送する。
【0021】
鑑別部113は、本体搬送部112の搬送経路に配置され、紙幣Bの真贋、汚れ、角折れ等を判定する。
【0022】
一時保留部114,115の一方の一時保留部114は、鑑別部113によって正常と判定された紙幣Bを例えば巻き取ることによって一時的に収納する。また、他方の一時保留部115は、鑑別部113によって異常と判定された紙幣Bを例えば巻き取ることによって一時的に収納する。
【0023】
収納部120は、本体部110の下方に配置され、収納搬送部121と、紙幣収納庫122~125と、第1リジェクト庫1と、第2リジェクト庫126とを有する。
【0024】
収納搬送部121は、収納部120の上部に配置され、本体部110(中間搬送部131及び中間搬送部132)と各収納装置(紙幣収納庫122~125、第1リジェクト庫1、及び第2リジェクト庫126)との間で紙幣Bを搬送する。
【0025】
紙幣収納庫122~125は、例えば互いに異なる金種の紙幣Bを収納する。また、紙幣収納庫122~125は、収納された紙幣Bを排出可能である。そのため、紙幣収納庫122~125に収納された紙幣Bは、出金に利用される。
【0026】
第1リジェクト庫1及び第2リジェクト庫126は、例えば、鑑別部113によって異常と判定された紙幣Bのうち返却されない紙幣Bを収納する。特に、第1リジェクト庫1には、偽造紙幣などの紙幣Bが収納されるとよい。なお、第1リジェクト庫1について詳しくは
図5~
図10を参照しながら後述する。
【0027】
上述の本体部110及び収納部120は、仕切り板200を介して異なる空間に配置されており、中間搬送部131,132は、仕切り板200を貫通するように紙幣Bを搬送する。
【0028】
中間搬送部131,132の一方の中間搬送部131は、自動取引装置100の前部側で、仕切り板200を貫通するように紙幣Bを搬送する。他方の中間搬送部132は、自動取引装置100の後部側で、仕切り板200を貫通するように紙幣Bを搬送する。
【0029】
次に、自動取引装置100における紙幣Bの搬送経路について説明する。
【0030】
図2A及び
図2Bは、自動取引装置100の入金時の一時保留部114,115を経由する搬送経路を説明するための説明図である。
【0031】
図3は、自動取引装置100の直接入金時の搬送経路を説明するための説明図である。
【0032】
図4は、自動取引装置100の出金時の搬送経路を説明するための説明図である。
【0033】
まず、
図2Aに実線矢印で示すように、紙幣入出金部111に投入された紙幣Bは、本体搬送部112を搬送され、鑑別部113によって紙幣Bの真贋、汚れ、角折れ等が判定される。
【0034】
その後、鑑別部113によって正常と判定された紙幣Bは、
図2Aに実線矢印で示すように、一時保留部114に搬送される。一方、鑑別部113によって異常と判定された紙幣Bは、
図2Aに破線矢印で示すように、一時保留部115に搬送される。
【0035】
次に、
図2Bに実線矢印で示すように、一時保留部114に一時的に収納された紙幣Bは、本体搬送部112、中間搬送部131、及び収納搬送部121を通って、各紙幣収納庫122~125に搬送される。一方、一時保留部115に一時的に収納された紙幣Bは、本体搬送部112、中間搬送部131、及び収納搬送部121を通って、
図2Bに破線矢印で示すように第1リジェクト庫1に搬送される。なお、一時保留部115に一時的に収納された紙幣Bは、第2リジェクト庫126に搬送される場合もある。
【0036】
図3に実線矢印で示すように、一時保留部114,115を経ずに紙幣Bが直接入金される場合、紙幣入出金部111に投入された紙幣Bは、本体搬送部112を搬送され、鑑別部113によって紙幣Bの真贋、汚れ、角折れ等が判定される。その後、鑑別部113によって正常と判定された紙幣Bは、中間搬送部132及び収納搬送部121を通って、各紙幣収納庫122~125に搬送される。一方、鑑別部113によって異常と判定された紙幣Bは、中間搬送部132及び収納搬送部121を通って、破線矢印で示すように第1リジェクト庫1に搬送される。
【0037】
図4に実線矢印で示すように、紙幣収納庫122~125から紙幣Bが出金される場合、紙幣収納庫122~125に収納された紙幣Bは、収納搬送部121、中間搬送部132、及び本体搬送部112を通って、紙幣入出金部111に搬送される。なお、紙幣収納庫122~125に収納された紙幣Bが鑑別部113によって異常と判定された場合、破線矢印で示すように、中間搬送部131及び収納搬送部121を通って、第1リジェクト庫1に搬送されるとよい。
【0038】
図5は、第1リジェクト庫1の一部(第1~第4のガイド部21~24)の内部構成を示す斜視図である。
【0039】
図6は、第1リジェクト庫1の内部構成を示す左側面図である。
【0040】
図7は、第1リジェクト庫1の落下軌道Tを説明するための説明図である。
【0041】
図8は、第1リジェクト庫1の紙幣Bの収納状態を説明するための説明図である。
【0042】
【0043】
【0044】
図5及び
図6に示すように、第1リジェクト庫1は、収納庫10と、第1~第4のガイド部21~24とを備える。また、
図6に示すように、第1リジェクト庫1は、搬送部30と、第1のリブ41と、第2のリブ42とを更に備える。
【0045】
図6に示す収納庫10は、前後方向において紙幣Bよりも幅狭の収納空間Sにおいて、
図8に示すように、水平に対して傾いた状態の紙幣Bを収納する。
【0046】
第1~第4のガイド部21~24は、収納庫10の内壁から収納空間Sに向かって突出する。第1~第4のガイド部21~24は、収納庫10の内壁から収納空間Sに向かって水平方向よりも下方に傾斜したガイド面21a~24aを有する。なお、第1~第4のガイド部21~24は、下端が例えば水平であることで、
図6に示す左側面視において三角形状を呈する。
【0047】
図6のIX部拡大図である
図9に示すように、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、収納庫10の内壁の同一面である第1の面11において互いに高さが異なる位置(高さの差h1)に横並びに配置されている。これにより、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、
図5に示すように、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドする。但し、紙幣Bの対角線が鉛直方向に近づくまで紙幣Bを傾かせると、紙幣Bの向きが変化するため、紙幣Bを傾かせる角度は、例えば45度以下であるとよい。なお、第1のガイド部21及び第2のガイド部22のうち右側に位置する第1のガイド部21が第2のガイド部22よりも上方に位置する。
【0048】
図7に落下軌道Tを一点鎖線で示すように、収納空間S内を落下する紙幣Bは、例えば、後述する搬送部30から、第1のガイド部21及び第2のガイド部22のガイド面21a,22a、第2の面12(第2のリブ42)、第3のガイド部23及び第4のガイド部24のガイド面23a,24a、第1の面11(第1のリブ41)、及び底板13の順に紙幣Bの下端が接触するように落下する。もちろん、収納空間Sにおける紙幣Bの収納枚数が増えるのに伴って、紙幣Bは、落下軌道Tの途中までの位置で積層されることになる。
【0049】
図6のX部拡大図である
図10に示すように、第3のガイド部23及び第4のガイド部24は、収納庫10の内壁のうち第1のガイド部21及び第2のガイド部22が配置された第1の面11に対向する面である第2の面12において、第1のガイド部11及び第2のガイド部12よりも下方に、互いに高さが異なる位置(高さの差h2)に横並びに配置されている。これにより、第3のガイド部23及び第4のガイド部24も、
図5に示すように、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドする。なお、第3のガイド部23及び第4のガイド部24のうち第1のガイド部21と同様に右側に位置する第3のガイド部23が第4のガイド部24よりも上方に位置する。
【0050】
ここで、第3のガイド部23と第4のガイド部24との高さの差h2は、第1のガイド部21と第2のガイド部22との高さの差h1よりも小さい差(h2<h1)であるとよい。これは、紙幣Bが既に第1のガイド部21及び第2のガイド部22によってガイドされることで、すべての辺が水平方向とは異なる角度で自由落下し、第3のガイド部23と第4のガイド部24との高さの差h2が小さくとも、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で自由落下できるためである。また、第3のガイド部23と第4のガイド部24との高さの差h2を小さくするほど、第3のガイド部23及び第4のガイド部24の周囲に積層される紙幣Bの量を増やすことができる。
【0051】
なお、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドするガイド部としては、収納庫10の内壁から収納空間Sに向かって突出する第1~第4のガイド部21~24に限られない。例えば、搬送部30が左側と右側とで異なる回転速度で紙幣Bを搬送する場合には、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように搬送部30が紙幣Bをガイドするため、搬送部30がガイド部として機能する。
【0052】
また、本実施の形態では、第1のガイド部21及び第2のガイド部22に加えて第3のガイド部23及び第4のガイド部24が配置されているが、第1のガイド部21及び第2のガイド部22のみ、或いは、第3のガイド部23及び第4のガイド部24のみが配置されていてもよいし、ガイド部の数は任意に設定されればよい。
【0053】
また、本実施の形態では、第1のガイド部21と第2のガイド部22とが異なる高さで横並びに配置され、第3のガイド部23と第4のガイド部24とが異なる高さで横並びに配置されているが、第1のガイド部21と第2のガイド部22とが一体の又は第3のガイド部23と第4のガイド部24とが一体の単一のガイド部が、左右方向に亘って高さが変化するガイド面を有していてもよい。或いは、第1のガイド部21と第2のガイド部22とが同じ高さに配置され、第3のガイド部23と第4のガイド部24とが同じ高さに配置されていても、第1のガイド部21のガイド面21aと第2のガイド部22のガイド面22aとで、或いは第3のガイド部23のガイド面23aと第4のガイド部24のガイド面24aとで、表面粗さが異なる場合などには、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドすることができる。
【0054】
図6~
図8に示す搬送部30は、搬送ローラ31~33によって第1リジェクト庫1に搬送される紙幣Bを下方に搬送し、収納空間Sにおいて自由落下させる。搬送部30は、搬送ローラ31~33に代えて或いは搬送ローラ31~33とともに、他の搬送部材(例えば羽根車)を有していてもよい。
【0055】
図6~
図8に示す第1のリブ41及び第2のリブ42は、収納庫10の内壁から突出するように、例えば絞り加工によって設けられている。このように第1のリブ41及び第2のリブ42が絞り加工によって設けられている場合には、第1の面11及び第2の面12の強度を高めることができる。なお、第1のリブ41及び第2のリブ42のそれぞれは、例えば、収納空間Sのほぼ全体の高さに亘って設けられ、左右方向に複数本(例えば3本)ずつ横並びにガイド部を挟み込むように設けられているとよい。
【0056】
第1のリブ41及び第2のリブ42は、第1~第4のガイド部21~24よりも、収納庫10の内壁からの突出量が小さい。また、第1のリブ41及び第2のリブ42の上端には、上端に向かって突出量が小さくなる上端テーパ部41a,42aが設けられている。第1のリブ41及び第2のリブ42は、紙幣Bが第1~第4のガイド部21~24のガイド面21a~24aの上端に引っ掛かるのを抑制する。
【0057】
以上説明した本実施の形態では、紙葉類収納装置の一例である第1リジェクト庫1は、紙葉類の一例である紙幣Bよりも幅狭の収納空間Sにおいて、水平に対して傾いた状態の紙幣Bを収納する収納庫10と、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドするガイド部の一例である第1~第4のガイド部21~24とを備える。
【0058】
このように第1~第4のガイド部21~24が紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドする簡素な構成によって、紙幣Bが角を下端として落下する。そのため、自由落下する紙幣Bの辺(端面)が収納済みの紙幣Bの辺に接触するのを抑制することができる。したがって、紙幣Bの辺の上に紙幣Bが積み上がるのを防ぐことができる。
【0059】
よって、本実施の形態によれば、簡素な構成で、紙幣Bよりも幅狭の収納空間Sにおける紙幣Bの収納枚数を確保することができる。また、第1リジェクト庫1ひいては自動取引装置100を簡素な構成にすることができることによって、コストダウンを図ることもできる。
【0060】
また、本実施の形態では、第1~第4のガイド部21~24は、収納庫10の内壁から収納空間Sに向かって突出する。また、第1~第4のガイド部21~24は、収納庫10の内壁から収納空間Sに向かって水平方向よりも下方に傾斜したガイド面21a~24aを有する。これにより、収納庫10の内壁から第1~第4のガイド部21~24を突出させる簡素な構成で、紙幣Bに斜め下方に重心を働かせ、第1~第4のガイド部21~24に紙幣Bがもたれ掛かるのを抑制することができる。したがって、収納空間Sにおける紙幣Bの収納枚数をより一層確保することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、第1リジェクト庫1は、第1のガイド部21及び第2のガイド部22を含む複数のガイド部を備え、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、収納庫10の内壁の同一面である第1の面11において互いに高さが異なる位置に横並びに配置されている。これにより、第1のガイド部21と第2のガイド部22との高さをずらした簡素な構成で、紙幣Bのすべての辺が水平方向とは異なる角度で収納空間Sを自由落下するように紙幣Bをガイドすることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、複数のガイド部は、第3のガイド部23及び第4のガイド部24を更に含み、第3のガイド部23及び第4のガイド部24は、収納庫10の内壁のうち第1のガイド部21及び第2のガイド部22が配置された第1の面11に対向する第2の面12において、第1のガイド部21及び第2のガイド部22よりも下方に、且つ、第1のガイド部21と第2のガイド部22との高さの差h1よりも小さい差h2で互いに高さが異なる位置に横並びに配置されている。これにより、第1のガイド部21及び第2のガイド部22によってガイドされることですべての辺が水平方向とは異なる角度で自由落下する紙幣Bを、すべての辺が水平方向とは異なる角度に維持したまま自由落下するようにガイドすることができる。更には、第3のガイド部23と第4のガイド部24との高さの差h2を高さの差h1よりも小さくすることによって、高さの差がより大きい場合と比較して、第3のガイド部23及び第4のガイド部24の周囲に積層される紙幣Bの量を増やすことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、第1リジェクト庫1は、リブの一例である第1のリブ41及び第2のリブ42を更に備える。この第1のリブ41及び第2のリブ42は、第1~第4のガイド部21~24の収納庫10の内壁からの突出量よりも小さい突出量で内壁から収納空間Sに向かって突出し、紙幣Bがガイド面21a~24aの上端に引っ掛かるのを抑制する。これにより、紙幣Bがガイド面21a~24aの上端に引っ掛かって、意図しない軌道で紙幣Bが落下するのを抑制することができる。したがって、収納空間Sにおける紙幣Bの収納枚数をより一層確保することができる。
【0064】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されず、構成要素を変形して具体化することができる。例えば、本実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 第1リジェクト庫(紙葉類収納装置)
10 収納庫
11 第1の面
12 第2の面
13 底板
21~24 第1~第4のガイド部
21a,22a,23a,24a ガイド面
30 搬送部
31,32,33 搬送ローラ
41 第1のリブ
41a 上端テーパ部
42 第2のリブ
42a 上端テーパ部
100 自動取引装置(紙葉類取扱装置)
110 本体部
111 紙幣入出金部
111a シャッタ
112 本体搬送部
113 鑑別部
114,115 一時保留部
120 収納部
121 収納搬送部
122~125 紙幣収納庫
126 第2リジェクト庫
131,132 中間搬送部
200 仕切り板
B 紙幣
h1,h2 高さの差
S 収納空間
T 落下軌道