(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】歯切り盤の工具の外形寸法を自動測定する方法
(51)【国際特許分類】
B23F 5/04 20060101AFI20230731BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20230731BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B23F5/04
B23Q17/22 D
B23Q17/24 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017249468
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】10 2017 000 072.7
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594012634
【氏名又は名称】リープヘル-フェアツァーンテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタハ シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブーヘンベルク アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ショールホーン マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ショーレンバーチ ウリ
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078186(JP,A)
【文献】特開2000-202754(JP,A)
【文献】特開2000-263440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0338201(US,A1)
【文献】特開2003-019644(JP,A)
【文献】特開平09-314419(JP,A)
【文献】特開昭60-191744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00-23/12
B23Q 17/00-17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯切り盤においてウォーム山の形態における加工領域を有する工具の外形寸法を自動的に測定するための方法であって、
上記歯切り盤が、歯付きワークの加工のために必要とする上記工具の少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つのセンサ(8)によって自動的に検出および/または測定し、
上記検出および/または決定されたパラメータを計算機処理することによって、上記工具(11)のピッチ、モジュール、直径、ウォーム幅、ウォーム山リード、および/またはV軸方向上の位置が、自動的に決定され
、
A軸の0°への位置合わせを行い、その後、工具をB軸回りに複数回回転させて、センサがその際の切替信号の変化を検出することにより、条数を求める
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記歯切り盤内での上記工具の位置と、上記工具の工具長さ、工具径、工具の条数および上記工具のリード方向の少なくとも1つとを求める
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
較正プロセスを実行して上記工具(11)に対する、および/または上記歯切り盤内での配置に対する上記センサ(8)の位置を求める
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
歯切り盤においてウォーム山の形態における加工領域を有する工具の外形寸法を自動的に測定するための方法であって、
上記歯切り盤が、歯付きワークの加工のために必要とする上記工具の少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つのセンサ(8)によって自動的に検出および/または測定し、
上記検出および/または決定されたパラメータを計算機処理することによって、上記工
具(11)のピッチ、モジュール、直径、ウォーム幅、ウォーム山リード、および/またはV軸方向上の位置が、自動的に決定され、
リード方向を求めるため、上記工具(11)の軸中心の上下
の、軸中心から離間した2箇所のそれぞれにおいて測定を実行する
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
歯切り盤においてウォーム山の形態における加工領域を有する工具の外形寸法を自動的に測定するための方法であって、
上
記歯切り盤が、歯付きワークの加工のために必要とする上記工具の少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つのセンサ(8)によって自動的に検出および/または測定し、
上記検出および/または決定されたパラメータを計算機処理することによって、上記工具(11)のピッチ、モジュール、直径、ウォーム幅、ウォーム山リード、および/またはV軸方向上の位置が、自動的に決定され、
上記工具を回転させ、上記センサ(8)および/または上記工具のV軸方向における相対移動によってリード方向を求める
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項において、
上記工具(11)を噛み合わせるために、上記工具を該工具の長手方向と一致するV軸方向に沿って移動させ、
上記V軸方向に沿った歯の位置を、上記センサ(8)によって測定する
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項において、
上記センサ(8)は、光学センサ(8)、誘導センサ(8)、容量センサ(8)、および超音波センサ(8)の少なくとも1つにより構成されていて、アナログ式またはデジタル式のセンサ(8)である
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項において、
左右の歯面がそのプロファイルにおいて異なっている非対称プロファイルの上記工具と歯付きワークとを自動的に噛み合わせるために、上記センサによって様々なパラメータの測定を行う
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1項において、
上記歯切り盤に、上記工具(11)をスキャンするためのセンサ(8)を設ける
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯切り盤のウォーム山の形態における加工領域を有する工具、特に研削ウォームの外形寸法を自動測定するための方法、および歯付きワークに対して当該工具を自動的に噛み合わせるための方法に関する。本発明は、また、本発明に係る方法を実行するための装置および歯切り盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、高速から超高速で使用される研削ウォームが、既知の実績のある低速の倣削りプロセスを用いて仕上げられ得る一方で作業速度において、すなわち遠心力のかかるストレス条件において必要とされる正確なプロファイル形状を有する、方法および装置が知られている。
【0003】
研削ウォームのプロファイルの測定を、例えば、レーザ光学距離測定のような非接触測定システムによって研削ウォームにおいて直接的に、またはサンプルワークの研削および測定を介して間接的に行うことが知られている。ここで、研削ウォームのプロファイルを、作業速度での遠心力の影響によってわずかに変形した倣削りされた研削ウォームにおいて測定することも知られている。
【0004】
プレカットされた歯車ワークを加工するための歯切り盤を設置する際には、段階的な設置プロセスが必要となる。まず、工具の外形寸法を、歯切り盤の外部で手動で測定するか、あるいは寸法に応じた工具データシートから読み取る必要がある。続けて、これらのデータを、装置制御部に記憶させなければならない。これらの形状データのいくつかは、仕上げ工具において時間の経過と共に、例えば仕上げ中にウォーム径などが変化するか、あるいは例えばリード角や圧力角に適用されるようなプロファイルエラーを回避するためにウォーム径の変化に伴って追加的に変更される必要がある。また、これらのデータは、工具の繰り返し変化に対して再利用可能となるように、研削ウォームの使用期間にわたって記録される必要がある。
【0005】
設置プロセスの別のステップでは、工具軸の回転位置に対する工具山の位置を制御部に記憶させる必要がある。この情報と、ワーク軸の回転位置に対する工具歯スペースの位置とが、作成ルーチンと結合した歯車加工プロセスをエラーなく実行できるために必要とされる。これらの別のプロセスステップは、噛み合わせと呼ばれることが多い。
【0006】
続く加工プロセスでは、加工対象の各ワークのワーク歯スペースの位置のみが噛合いセンサによって測定され、ワーク軸の適合回転位置が記憶される必要がある。そして、ワーク軸の回転位置は、加工プロセスにおいて工具軸の回転位置と同期され、それにより工具山が衝突することなく当該歯スペースに入り込み、ワークが作成ルーチン結合態様で加工され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日、この全プロセスのうちいくつかは、不利なことに、既に高度に自動化された歯切りプロセスとは別に、手動でまたは半自動的にのみ実行される。よって、作業者は、工具の形状パラメータの実質的な手動入力の後に、初回の噛み合わせにおいてワークの歯スペースに対して工具を前もって位置決めしなければならない。このために、工具は、その回転軸回りにおいて、当該工具の歯が衝突なくして歯スペースに入り込めるまで長い時間手動で回転されなければならなかった。続けて工具が送り出され、当該工具の移動または回転によって当該工具の左右の歯面間で各接触が確立され、そしてこの間の測定値が記録される。歯スペースに対する工具の歯中央位置は、これらの接触寸法から計算可能であり、工具が衝突なくして既知の歯スペースに入り込むことができる当該工具の回転位置は、当該歯中央位置から求めることができる。
【0008】
これらの手動作業ステップの全てにより、仕上げ時間が長くなることや、手動操作のために歯切り盤の設定が誤ってなされるおそれがあるなどの欠点が生じる。
【0009】
研削ウォームの作業速度における研削ウォームのプロファイル形状の測定のみが、従来より知られていた。しかしながら、ウォーム山状の加工領域を有する工具の様々な形状パラメータを測定するために非接触の測定システムを用いることは知られていない。工具パラメータが完全に自動で測定され得、ワーク加工のために歯切り盤が必要とする工具の様々な外形寸法の自動測定によって誤入力が防止され得る。
【0010】
工具は、有利には、研削ウォームであってもよい。しかしながら、切削ホブなどの似たようなデザインを有する他の工具が、そのようにして、パラメータ測定において溝によって中断されたウォーム山の特殊な特徴が考慮に入れられる場合に、当該方法の対象とされてもよい。
【0011】
したがって、本発明の目的は、研削ウォームの回転位置に対するウォーム山位置の配置をその軸周りにおいて自動的に求めるために、およびワークの歯車歯における研削ウォームの自動噛合いを可能とするために、研削ウォームのプロセス関連の外形パラメータの完全自動測定を実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、この目的は、請求項1の特徴を含む方法によって達成される。したがって、歯切り盤の研削ウォームの少なくとも1つのパラメータを自動測定するための方法が提示され、当該方法は、研削ウォームの少なくとも1つのパラメータが、少なくとも1つのセンサによって自動的に検出および/または測定され得ることを特徴とする。
【0013】
ここで、「パラメータ」の語は、ウォーム径、ウォーム幅、リード角、およびリード方向などの様々な外形寸法として、また研削ウォームの開始部の数として理解することができる。しかしながら、「パラメータ」の語は、本発明の文脈において、その他の態様を含み得る。
【0014】
「研削ウォームの噛み合わせ」は、いわゆる転がり係合が、研削ウォームと歯付きワークとの間で実現されることを意味し得る。研削ウォームのウォーム山、または多山研削ウォームの場合には複数のウォーム山の、歯付きワークの歯に対する正確な位置決めおよび位置合わせが、したがって絶対的に必要である。
【0015】
当該方法のために基本的に必要なのは、まず、研削ウォームに対するセンサの正確な配置およびその歯切り盤内での配置が測定および記憶される較正プロセスである。このことは、特に重要である。なぜなら、センサは必ずしも研削ウォームに対して中心に、または既知のもしくは規定の位置に配置されている訳ではなく、センサの位置がわからないと当該方法によって有用な結果を得ることはできないためである。
【0016】
本発明によると、パラメータは、より迅速かつより正確に、自動的に測定され得る。この方法は、また、研削ウォームのパラメータを求めるための、廉価で汚れに強い実施可能性を提供し得る。これによると、冒頭で述べた従来技術に比べて、装置操作者による誤った設定が低減され、またより迅速な工具交換が実現され得るという利点がもたらされる。
【0017】
また、温度変化または温度に起因する歯切り盤の形状変化に対応することが可能であること、および対象の移動などがセンサによって検出可能でありかつ必要に応じて補償可能であることも利点である。
【0018】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題を構成する。
【0019】
第1の好ましい実施形態によると、工具ホルダにおけるウォームのピッチ、モジュール、直径、リード、および/または位置やそのV方向における外寸が、検出および/または測定された値の計算処理によって求められ得る。
【0020】
本発明に係る方法では、研削ウォームに対するセンサの位置を求めるために、および/または歯切り盤内で位置決めするために必要とされる較正プロセスが、公知の態様で実行されてもよい。ここで、較正プロセスは、本発明に係る方法の実行に際して毎回、別のステップの前に実行可能なステップ、または当該方法の初回の実行に際して実行されて当該方法のその後の適用では省略可能なステップを意味する。歯切り盤内でのセンサの位置決めに対する当該センサの位置は、とりわけ較正プロセスにおいて求められる。ここで、センサは、実際に歯切り盤内に配置されている必要はないが、歯切り盤の構造の一部であってもよく、例えば、歯切り盤の1つの外面に設けられていてもよい。
【0021】
別の好ましい実施形態では、研削ウォームは、所定の基準点に、好ましくはA軸の0°への位置合わせに移動させられ、開始部の数が測定される。研削ウォームのB軸回りにおける複数の回転、特に3回転が、その後、センサによって検出される。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態では、研削ウォームの軸中心の上下におけるセンサによる少なくとも1つの測定が実行されてリード方向が求められてもよく、および/または研削ウォームが回転させられ、センサおよび/または研削ウォームのV方向における相対移動によってリード方向が求められてもよい。前者の変形例では、測定は、例えば、中心の上下で、特に軸方向において研削ウォームの中心から離間して実行され、続けて、研削ウォームにおける当該2箇所の測定により、計算において研削ウォームのリード方向を算出および確定することが可能である。後者の変形例では、リード方向の決定は、研削ウォームの回転および同時に生じるV方向での相対移動によって当該リード方向が求められるようになされる。リード方向が予め正しく推定されている場合、得られる信号は、センサがウォーム山と同期して移動するために一定である。このようにして、当該方向の推定の妥当性を確認することができる。もしウォーム山に対してセンサが動いたために信号が降下したら、このことから、リード方向が誤って推定されたという結論を引き出すことができ、それに応じてセンサの動く方向を適合させる必要がある。また、リード方向は、センサによって求められてもよい。
【0023】
別の好ましい実施形態によると、研削ウォームは、当該研削ウォームを噛み合わせるために、その縦軸方向、V軸方向、またはV方向に沿って移動させられてもよく、V軸方向に沿った歯の位置がセンサによって測定され、これから2つの歯の間の中心位置が計算されまたは求められる。
【0024】
好ましい実施形態によると、センサは、光学センサ、誘導センサ、容量センサ、または超音波センサであってもよく、またアナログ態様またはデジタル態様で動作するものであってもよい。異なる原理の組合せや、代わりにまたは加えて、1つよりも多くのセンサを伴う本発明の実施形態がしたがって考えられ、ここで複数のセンサは、様々に構成されていてもよい。これにより、各センサが、検出対象の研削ウォームの材質に応じて使用可能になるという利点がもたらされ、また当該方法の様々な実施形態がそれに応じて実現可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、センサによる様々なパラメータの測定が、非対称プロファイルの自動噛み合わせのために実施可能である。これにより、非対称ウォームプロファイルを有する研削ウォームの噛み合わせが、自動的に信頼性を伴って実行可能になるという利点がもたらされる。
【0026】
本発明は、また、上述した方法の1つを実行するための歯切り盤に関し、ここで、研削ウォ-ムをスキャンするためのセンサが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、従来技術に係る研削装置を示す図である。
【
図2】
図2は、傾いた研削ウォームと、本発明にしたがって設けられたセンサとを示す概略図である。
【
図3】
図3は、研削アーバを含む研削ウォームと、相補コラムと、光学センサとを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のさらなる特徴、細部、および利点について、図に例示する実施形態を参照して説明する。
【0029】
図1は、従来技術に係る研削装置を示している。研削装置の軸は、
図1において、特に完全に理解のために確認され得る。装置コラム1と、これから水平方向に離間して相補コラム3とが、歯切り盤の左手領域に示されている。シフト軸5(V軸)を有する加工ヘッド17と、研削工具11を受けるための駆動モータ18とは、装置コラム1に沿ってZ軸7の方向において鉛直方向に移動可能である。本発明にしたがって設けられるセンサ8の設置位置2は、公知の歯切り盤の相補コラム3の領域にあってもよい。本発明の説明のために、
図1と、
図1に係るカテゴリーの装置の表示には示されない本発明の細部を示す次の
図2および
図3との両方が参照される。
【0030】
較正プロセスの実行にあたっては、研削ウォーム11のA軸6が0°に位置合わせされていることに注意する必要がある。このために、研削ウォーム11は、例えば、水平向きに配置されてもよく、その目的は当該研削ウォーム11をA軸6回りに対応して回転可能にすることにある。これにより、固定された基準値が存在するという利点がもたらされる。センサ8の位置およびその切替点が、そして自動的に求められてもよい。研削ウォーム11は、センサ8が研削アーバ12の上側部を検出するまで、Z方向に移動させられる。そして、研削ウォーム11は、センサ8が研削アーバ12の下側部を検出するまで、再び移動させられる。これら2つの記憶値を平均することより、ウォーム軸に対するセンサ高さが計算されてもよい。研削ウォームからセンサ8までの軸方向距離は、研削アーバ12が、当該研削アーバ12における最大径が到達されるまで長い時間、鉛直方向に移動させられる、似たような態様で求められてもよい。研削アーバ12の直径が加工において変化しなくなると、中心工具軸からのセンサ距離は、当該直径およびセンサ信号の助けを借りて計算されてもよい。
【0031】
センサ8が装置中心(工具中心)からV方向にどの程度移動させられたかは、次のようにして求められてもよい。すなわち、研削ウォーム11が、特定のスタート位置からスタートして、センサ8が当該研削ウォーム11の主支持側(HL)における開始部(端部)を検出するまで、V方向に移動させられる。主支持と研削ウォームとの間の距離測定は、研削アーバの構成デザインを介して知られている。センサ8がどの程度まで装置中心から動かされたかは、このV値から計算可能である。センサ8の切替点を求めるために、研削ウォーム中心11が、当該センサの高さまで移動させられる。研削ウォーム11は、X軸4方向においてセンサ8から遠ざけられ、続けて、センサ8が研削アーバ12を検出するまで当該センサ8に再び近づけられる。これから、センサ8の切替点が研削ウォーム11の歯の歯元と歯先との間となるようにX軸4が設定される必要のある値を計算可能である。
【0032】
加えて、研削ウォーム11の長さを求めるために、当該研削ウォーム11が、主支持からスタートしてV方向に沿って移動させられ、センサの切替信号によって主支持側におけるウォーム開始部がまず検出される。ウォーム幅は、センサの切替信号がウォームの端部を示す時点における経路差から計算可能である。
【0033】
また、本発明に係る方法によると、研削ウォーム11の開始部の数を求めることができる。開始部の数を求められるように、ここでA軸6が0°に位置合わせされる必要があり、当該0°は、研削ウォーム11が水平向きであることを意味していてもよい。ここで、センサは、ウォーム中心に対して、ウォーム山を検出するための適合切替距離に位置合わせされる。
【0034】
センサ8、有利には光学センサ8は、B軸16回りで研削ウォーム11が3回転する際の切替信号の変化を検出するのが好ましい。ウォームリードおよび研削ウォームの回転のために、ウォーム山は、V方向に動き、そうすることで特定の数の切替信号を生じさせる。各々の歯が正歯面および逆歯面を有するため、研削ウォーム11の開始部の数は、切替信号を用いて求めることができる。歯毎に2つの信号が生じるため、受けられた切替信号の数を利用してウォーム山の数を求めることができる。切替信号の数は、多山研削ウォームに応じて倍増される。研削ウォーム11の回転において、歯面の上昇は正歯面と呼ばれ、歯面の下降は逆歯面と呼ばれる。
【0035】
よって、例えば3山研削ウォーム11の場合には、全部で18の信号が実現されまたは測定され得る。当該信号は研削ウォーム11が3回転する場合に9つの歯が考慮に入れられることから導き出すことができ、また歯毎にそれぞれ2つの信号が生じることに基づいて3山研削ウォームでは全部で18の信号が引き出されるという結論が引き出され得る。当該プロセスは、全部で12の信号が測定され得る2山研削ウォーム11や、全部で6つの信号が測定され得る1山研削ウォーム11においても同様である。
【0036】
噛み合わせプロセスは、常に、装置または装置の対応する制御部が、研削ウォーム11の回転位置に対するウォーム山の位置を認識していない場合に実行される。これは、例えば研削ウォーム11が交換された場合に相当する。
【0037】
研削プロセスでは、ワークに対する研削ウォーム11の正確な位置決めが絶対的に必要である。工具の変更に際していわゆる転がり係合を再構築するために、工具は、従来、研削ウォーム11の歯が歯車の歯スペースに入り込むまで、その回転軸回りに手動でまたは半自動的に回転させられていた。これに対し、本発明に係る方法は、V軸5に沿って移動させることで研削ウォーム11をその縦軸に沿って光学センサ8によって測定し、そして装置制御部によってV軸5に沿った歯の位置を計算し、よって手動のまたは半自動の噛み合わせプロセスを省略することのできるオプションを提供する。
【0038】
よって、研削ウォーム11は、ワーク内にまたはワークに対して自動的に噛み合わせられ得る。
【0039】
ピッチ、モジュール、リード、直径などの研削ウォーム11の他のパラメータは、計算によって別に求められる値から求めることができる。例えば、ピッチは、ウォーム山の数と関連して上昇または下降ウォーム山歯面の2つの切替信号の間の距離として計算される。また、モジュールは、求められたピッチをπで割って得られる。同様に、リードは、モジュールに山を乗じる関数に基づいて求められる。
【0040】
必要とされる精度、工具材料や使用条件などの条件に応じて、本発明に係る方法のために様々な種類のセンサを使用することができる。次のものが使用されてもよい。
・光学センサ
・誘導センサ
・容量センサ
・超音波センサ
ここで、センサは、アナログ式またはデジタル式であってもよい。このことは、測定信号の評価において考慮に入れなければならない。
【0041】
また、アナログ光学センサ8により非対称プロファイルを伴って本発明に係る方法を実現することが考えられる。その場合、ここで、センサ信号の評価に際して、センサに向かう方向における歯の接近方向を考慮しなければならず、また必要に応じて、より多くの信号ポイントを計算に含めなければならない。
【0042】
歯切り盤における本発明に係る方法の使用に加えて、当該方法は、例えば切削ホビングにおいて、別のウォーム状工具と共に使用されてもよい。しかしながら、この場合、ホブの複数の溝の配置やその信号評価への影響を考慮に入れる必要がある。
【0043】
図2は、傾いた研削ウォーム11と光学センサ8とを概略的に示している。同図は、装置中心の上方にセンサが取り付けられていない場合を示しており、それによりZ補正9およびVシフト10としての数学的補正計算が計算において必要となる。これらの補正の考慮は、好ましくは、開始部の数や歯の数の測定において、および噛み合わせにおいてなされる。
【0044】
図3は、研削アーバ12を含む研削ウォーム11と、光学センサ8が設けられた相補コラム3とを概略的に示している。研削ウォーム11に対する光学センサ8の本発明に係る構成がどのように実現されるべきかを認識できる。ここで特に、レーザビーム13が、センサによってX軸4に沿って照射されている。センサ8は、歯切り盤または相補コラム3の作業サイド15と逆作業サイド14との間に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 装置コラム
2 光学センサの設置位置
3 相補コラム
4 X軸
5 V軸
6 A軸
7 Z軸
8 光学センサ
9 Z補正
10 Yシフト
11 研削ウォーム
12 研削アーバ
13 レーザビーム
14 逆作業サイド
15 作業サイド
16 B軸
17 加工ヘッド
18 駆動モータ