(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ハーフブリッジ回路および電圧クランプ素子を有する電子回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/16 20060101AFI20230731BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20230731BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230731BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20230731BHJP
H03K 17/567 20060101ALI20230731BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
H03K17/16 F
H01L25/04 C
H02M1/08 341C
H03K17/567
H03K17/687 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018147086
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】10 2017 117 888.0
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506236358
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ オーストリア アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フールマン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バスラー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エッケル, ハンス-ギュンター
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536078(JP,A)
【文献】国際公開第2016/079039(WO,A1)
【文献】特開2010-130015(JP,A)
【文献】特開2000-116114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/08-1/096
H02M7/48-7/5395
H03K17/16
H03K17/567
H03K17/687-17/695
H01L25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチング回路を有する電子回路であって、
前記少なくとも1つのスイッチング回路が、電圧クランプ素子と、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有するハーフブリッジとを備え、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチがそれぞれ、制御ノードおよび負荷通路を備え、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの前記負荷通路が、直列に接続され、
前記電圧クランプ素子が、前記ハーフブリッジと並列に接続されていることで、前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチを接続し、かつ、前記電圧クランプ素子を前記ハーフブリッジと接続している第1の導体の第1の全体のインダクタンスが、20nH未満であるようになっていて、
前記電圧クランプ素子がダイオードを備えていて、前記ハーフブリッジの両端の電圧が、前記ダイオードのブレークスルー電圧に前記第1の全体のインダクタンスで誘導された電圧を加えた電圧レベルにクランプされるように、前記ダイオードは接続され、
前記電子回路は、前記電圧クランプ素子と並列に接続された入力キャパシタをさらに備え、
前記入力キャパシタが前記電圧クランプ素子と並列に接続されていることで、前記入力キャパシタを前記電圧クランプ素子と接続している第2の導体の第2の全体のインダクタンスが、前記第1の全体のインダクタンスよりも大きくなっている、電子回路。
【請求項2】
前記第1の全体のインダクタンスが、10nH未満または5nH未満である、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記第2の全体のインダクタンスと、前記第1の全体のインダクタンスとの間の比率が、5よりも大きく、10よりも大きく、または20よりも大きい、請求項1または2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチのうちの少なくとも1つが、
IGBT、
MOSFET、
JFET、および
HEMT
からなる群から選択される少なくとも1つのスイッチング素子を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1の導体が、
ボンドワイヤ、
半導体チップ上の接続パッド、
プリント回路基板上の配線、
フラット導体、および
絶縁基板上の金属被覆
からなる群から選択される少なくとも1つの導電性素子を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
前記電圧クランプ素子と直列に接続された整流素子をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項7】
前記整流素子がダイオードを備えるとともに、前記電圧クランプ素子の前記ダイオードおよび前記整流素子の前記ダイオードが、アノードノード同士またはカソードノード同士で接続されている、請求項6に記載の電子回路。
【請求項8】
前記電圧クランプ素子がMPSダイオードを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項9】
前記MPSダイオードが、SiC MPSダイオード、Si MPSダイオード、またはGaN MPSダイオードのうちの1つである、請求項8に記載の電子回路。
【請求項10】
2つ以上のスイッチング回路を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項11】
前記ハイサイドスイッチと並列に接続された第1のフリーホイール素子と、前記ローサイドスイッチと並列に接続された第2のフリーホイール素子とをさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項12】
少なくとも1つの前記ハーフブリッ
ジが、1つのモジュールに組み込まれた、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項13】
前記ハーフブリッジの前記ハイサイドスイッチが、少なくとも1つの第1の半導体チップを備え、前記ハーフブリッジの前記ローサイドスイッチが、少なくとも1つの第2の半導体チップを備え、前記電圧クランプ素子が、少なくとも1つの第3の半導体チップを備えるとともに、
前記モジュールが基板を備え、かつ、
前記少なくとも1つの第1の半導体チップ、前記少なくとも1つの第2の半導体チップ、および前記少なくとも1つの第3の半導体チップが前記基板に取り付けられている、請求項12に記載の電子回路。
【請求項14】
前記基板が第1の金属被覆、および前記第1の金属被覆とは別の第2の金属被覆を備え、
前記基板に取り付けられた前記少なくとも1つの第1の半導体チップおよび前記少なくとも1つの第3の半導体チップが、前記第1の金属被覆に取り付けられた前記少なくとも1つの第1の半導体チップおよび前記少なくとも1つの第3の半導体チップを備えるとともに、
前記基板に取り付けられた前記少なくとも1つの第2の半導体チップが、前記第2の金属被覆に取り付けられた前記少なくとも1つの第2の半導体チップを備える、請求項13に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電子回路に関し、特にハーフブリッジ回路を有する電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフブリッジ回路は、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを含み、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチは、それぞれが負荷通路および制御ノードを含むとともに、それらの負荷通路は直列に接続されている。通常、ハーフブリッジの出力は、回路ノードによって形成されており、そこにハイサイドスイッチおよびローサイドの両方の負荷通路が接続されている。さらに、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有する直列回路は、電源ノード間で利用可能な電源電圧を受け取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハーフブリッジ回路は、ほんの一例を挙げると、電圧インバータ、バックコンバータ、または負荷を駆動するための駆動回路といったような、様々な異なる回路用途で用いることができる。ハーフブリッジ回路の動作は、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチのスイッチモード動作を含む場合がある。このようなスイッチモード動作により、ハイサイドスイッチまたはローサイドスイッチのうちの1つに流れる電流の急激な変化が生じる場合がある。特に、ハイサイドスイッチまたはローサイドスイッチのうちの1つが、電流が導通しているオン状態から、ブロックするオフ状態に変化した場合に、このような急激な変化が生じる場合がある。ハイサイドスイッチまたはローサイドスイッチのうちの1つに流れる電流の急激な変化が、ハーフブリッジのハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを接続するとともに、ハーフブリッジを電源ノードに接続する導体の寄生インダクタンスに電圧レベルが電源電圧よりもはるかに高い電圧スパイクを誘発する場合がある。
【0004】
所与の寄生インダクタンスで、電流の変化が急激であるほど、電圧スパイクの電圧レベルは高くなる。電圧スパイクをある一定の電圧レベル未満に維持するために、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとのスイッチング速度を短縮することができる。しかしながら、これによりスイッチング損失が増大し、多くの場合、これは極めて望ましくないことである。別の選択肢としては、電圧スパイクに十分耐え得る高い電圧ブロック能力を有するハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを設計することがあろう。しかしながら、電圧ブロック能力を増大させると、どうしてもオン状態でのそれぞれのスイッチの電気抵抗であるオン抵抗が増大し、したがって導通損が増大してしまう。通常、電圧ブロック能力を増大させると、トランジスタデバイスのオンとオフとの切り換えに関連した損失であるスイッチング損失もまた増大する。やはり、これも望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの例は、少なくとも1つのスイッチング回路を有する電子回路に関する。この少なくとも1つのスイッチング回路は、電圧クランプ素子と、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを有するハーフブリッジとを含み、このハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチはそれぞれ、制御ノードおよび負荷通路を含むとともに、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチの負荷通路は、直列に接続されている。電圧クランプ素子は、ハーフブリッジと並列に接続されていることで、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチを接続し、電圧クランプ素子をハーフブリッジと接続している第1の導体の第1の全体のインダクタンスが、20ナノヘンリー(nH)未満であるようになっている。
【0006】
いくつかの例を、図面を参照しながら以下に説明する。図面は、ある一定の原理を図示する役割を果たすものであるので、これらの原理を理解するために必要な態様のみを図示している。図面は、縮尺通りではない。図面では、同一の参照符号は、同様な特徴部を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つの例によるスイッチング回路を有する電子回路を示す。
【
図2】動作時に
図1に示す電子回路で生じる信号の波形を図示するタイミング図を示す。
【
図3A】
図1に示すスイッチング回路で、どのように電子スイッチが実装され得るかの例を図示する。
【
図3B】
図1に示すスイッチング回路で、どのように電子スイッチが実装され得るかの例を図示する。
【
図3C】
図1に示すスイッチング回路で、どのように電子スイッチが実装され得るかの例を図示する。
【
図4】
図1に示すハーフブリッジ回路で、1つの電子スイッチを駆動するための駆動回路の1つの例を示す。
【
図5】別の例によるスイッチング回路を有する電子回路を示す。
【
図7】
図1に示す電子回路で用いられる電圧クランプ素子の1つの例の垂直断面図を示す。
【
図8】
図7に示す電圧クランプ素子の1つの例による水平断面図を示す。
【
図9A】
図1に示すタイプのスイッチング回路が組み込まれたモジュールの1つの例を示す。
【
図9B】
図1に示すタイプのスイッチング回路が組み込まれたモジュールの1つの例を示す。
【
図10】
図6に示すタイプのスイッチング回路が組み込まれたモジュールの1つの例を示す。
【
図11】数個のスイッチング回路を含む電子回路の1つの例を示す。
【
図12】数個のスイッチング回路が組み込まれたモジュールを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、添付の図面を参照する。図面は、説明の一部を形成し、例示目的で、本発明がどのように用いられ、また実施され得るかの例を示す。そうでないことが明確に言及されていない限り、本明細書に記載された様々な実施形態の特徴を相互に組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0009】
図1は、1つの例によるスイッチング回路を有する電子回路を示す。スイッチング回路は、ハーフブリッジと、クランプ素子2とを含む。ハーフブリッジは、以下ではハイサイドスイッチと呼ばれる第1の電子スイッチ1
1と、以下ではローサイドスイッチと呼ばれる第2の電子スイッチ1
2と、クランプ素子2とを含む。ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2はそれぞれ、制御ノード11
1、11
2、および、第1の負荷ノード12
1、12
2と、第2の負荷ノード13
1、13
2との間の負荷通路を含む。ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2の負荷通路は、直列に接続されている。ハイサイドスイッチ1
1の負荷通路12
1-13
1、およびローサイドスイッチ1
2の負荷通路12
2-13
2がそこに接続されている回路ノードが、ハーフブリッジの出力OUTを形成している。
【0010】
ハイサイドスイッチ1
1は、制御ノード11
1で第1の駆動信号S
DRV1を受信するように構成され、また、ローサイドスイッチ1
2は、制御ノード11
2で第2の駆動信号S
DRV2を受信するように構成されている。これら第1の駆動信号S
DRV1、および第2の駆動信号S
DRV2はそれぞれ、それぞれのスイッチ1
1、スイッチ1
2をオンまたはオフに切り換えるように構成されている。これら第1の駆動信号S
DRV1、および第2の駆動信号S
DRV2を生成する駆動回路は、
図1に示されていない。駆動回路の1つの例は、
図4を参照して後述する。
【0011】
クランプ素子2は、ハーフブリッジと並列に接続されている。より具体的には、クランプ素子2は、ハイサイドスイッチ11の負荷通路121-131、およびローサイドスイッチ12の負荷通路122-132を含む直列回路と並列に接続されている。さらに、ハーフブリッジ11、12は、電子回路の入力に結合されている。入力は、第1の入力ノードIN1および第2の入力ノードIN2を含むとともに、入力電圧VINを受け取るように構成されている。任意選択で、キャパシタ50が、第1の入力ノードIN1と第2の入力ノードIN2との間に接続されている。このキャパシタ50は、以下では入力キャパシタと呼ばれるが、DCリンクキャパシタと呼ばれる場合もある。
【0012】
1つの例によれば、ハーフブリッジのハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2を接続し、電圧クランプ素子2をハーフブリッジと接続する導体の全体の寄生インダクタンスが、20ナノヘンリー(nH)未満、10nH未満、またさらには5nH未満であるように、電圧クランプ素子2がハーフブリッジと並列に接続されている。この全体の寄生インダクタンスは、以下では第1の寄生インダクタンスと呼ばれ、
図1に示す回路図では、インダクタンスL
P3によって表されている。ハイサイドスイッチ1
1をローサイドスイッチ1
2と接続し、また、電圧クランプ素子2をハーフブリッジと接続する導体が、
図1に示す回路図の接続ラインによって概略的に図示されている。1つの例によれば、また、
図1に示すように、これらの導体は、電圧クランプ素子2を第1の電子スイッチ1
1の第1の負荷ノード12
1と接続する第1の導体3
1と、電圧クランプ素子2をローサイドスイッチ1
2の第2の負荷ノード13
2と接続する第2の導体3
2と、ハイサイドスイッチ1
1の第2の負荷ノード13
1、およびローサイドスイッチ1
2の第1の負荷ノード12
2を接続する第3の導体3
3とを含む。この導体3
1~3
3のグループが、以下では第1のグループの導体と呼ばれる。
【0013】
図1に示す回路図では、第1のグループの導体3
1~3
3は、接続ラインによって概略的に図示されている。電子回路の実装では、これらの導体3
1~3
3はそれぞれ、ボンドワイヤ、半導体チップ上の接続パッド、プリント回路基板上のトレース、フラット導体、または絶縁基板上の金属被覆、のうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、任意のタイプの導電性材料を用いて、これらの導体3
1~3
3を実装することができる。導電性材料の例としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、およびこれらの要素から形成された任意の合金が含まれるが、これらに限定されない。これらの導体3
1~3
3がどのように実装され得るかの例を本明細書で後述する。
【0014】
電子回路の実施態様では、導体31~33が短いように、したがって、第1の寄生インダクタンスLP3が20nH未満の低インダクタンスであるように、ハーフブリッジ11、12の付近にクランプ素子2を物理的に配置することにより、20nH未満の第1の寄生インダクタンスを得ることができる。
【0015】
図1では、L
P4は、入力IN1、IN2または入力キャパシタ50をスイッチング回路と、特に、電圧クランプ素子2と接続する第2のグループの導体の全体の寄生インダクタンスを表す。この全体のインダクタンスは、以下では、第2の寄生インダクタンスと呼ばれる。
図1を参照すると、第2のグループの導体は、第1の入力ノードIN1を電圧クランプ素子2と接続する第4の導体4
1と、第2の入力ノードIN2を電圧クランプ素子2と接続する第5の導体4
2とを含む。これらの第2のグループの導体4
1~4
2の実施態様に関して、第1のグループの導体3
1~3
3に関して上記で説明したことすべてを等しく適用する。
【0016】
1つの例によれば、ハーフブリッジ11、12、およびクランプ素子2を有するスイッチング回路は、第2の寄生インダクタンスLP4が第1の寄生インダクタンスLP3よりも大きいように、入力IN1、IN2または入力キャパシタ50に接続されている。1つの例によれば、第2の寄生インダクタンスLP4と第1の寄生インダクタンスLP3との間の比率LP4/LP3は、5よりも大きく、10よりも大きく、または20よりも大きい。
【0017】
図2は、スイッチング回路の電圧クランプ素子2の関数を図示するタイミング図を示す。特に、
図2は、ハイサイドスイッチ1
1の制御ノード11
1によって受信された第1の駆動信号S
DRV1と、電圧クランプ素子2の両端の電圧V2と、ハイサイドスイッチ1
1の両端の電圧V1
1と、ハイサイドスイッチ1
1に流れる電流I1
1、電圧クランプ素子2に流れる電流I2とのタイミング図を示す。第1の駆動信号S
DRV1は、ハイサイドスイッチ1
1をオンに切り換えるオンレベル、およびハイサイドスイッチ1
1をオフに切り換えるオフレベルのうちの1つを有する。単に例示目的で、
図2に示す例では、オンレベルは、高信号レベルとして描かれ、オフレベルは、低信号レベルとして描かれている。低信号レベルは、ゼロまたはマイナスの場合がある。
【0018】
図2に示すタイミング図は、ハイサイドスイッチ1
1に流れる電流I1
1がゼロよりも大きくなり、ハーフブリッジの両端の電圧V1が入力電圧V
INと実質的に等しくなるように、ハイサイドスイッチ1
1がオンに切り換わったときに始まる。
図2では、t1は、ハイサイドスイッチ1
1をオフに切り換えるために、第1の駆動信号S
DRV1の信号レベルが、オンレベルからオフレベルに変わる時間を表示する。この第1の時間t1で始まり、ハイサイドスイッチ1
1に流れる電流I1
1は、以下ではハイサイド電流と呼ばれるが、それはゼロに向かって減少し始める。ハイサイド電流I1
1のこの変化は、第1の寄生インダクタンスL
P3の誘導電圧V3(
図1を参照)、および第2の寄生インダクタンスL
P4の誘導電圧V4に関連している。第1の寄生インダクタンスL
P3で誘導された電圧V3は、次の等式により得られる。
V3=L
P3・dI
1/dt(1)、
式中、L
P3は第1の寄生インダクタンスを表示し、dI
1/dtは、ハイサイド電流I1
1の経時的変化を表示する。等式1からわかるように、誘導電圧V3の電圧レベルは、第1の寄生インダクタンスL
P3に比例し、また、ハイサイド電流I1
1の変化dI
1/dtに比例している。ハイサイド電流の変化dI
1/dtは、ハイサイドスイッチ1
1のスイッチング速度に依存する。すなわち、ハイサイドスイッチ1
1が、いかに速くオン状態からオフ状態に切り換わるかに依存する。ハイサイドスイッチ1
1またはローサイドスイッチ1
2のスイッチング速度をどのように調節し得るかの一例は、本明細書で
図4を参照して後述する。
【0019】
ハイサイドスイッチ1
1がオフに切り換わると、第2の寄生インダクタンスL
P4で誘導された電圧は、電圧クランプ素子2の両端の電圧V2を、入力電圧V
INを上回るまで上昇させる。クランプ素子2の両端の電圧V2がクランプ素子2のブレークスルー電圧に達すると、クランプ素子2は導通を開始し、したがって、実質的にクランプ素子2のブレークスルー電圧によって与えられる電圧レベルに電圧V2をクランプする。
図2では、t2は、クランプ素子2が導通を開始した時間を表示し、またt3は、クランプ素子2に流れる電流がゼロをなるように、ハーフブリッジの両端の電圧V1がクランプ素子2のブレークスルー電圧未満に低下した時間を表示する。
【0020】
図2は、電圧V1
1、V2および電流I1
1、I2のタイミング図を概略的に図示する。寄生効果に起因する発振がこれらの電圧および電流に重ね合わせられている場合がある。しかしながら、このような発振は
図2には示されていない。
【0021】
クランプ素子2の両端の電圧V2をクランプすると、ハーフブリッジ11、12の両端の電圧V1が、実質的にクランプ素子2のブレークスルー電圧によって与えられた電圧に、ハイサイド電流I11の変化によって第1の寄生インダクタンスLP3で誘導された電圧V3を加えた電圧レベルにクランプされるという効果がある。第1の寄生インダクタンスLP3が20nH未満であるように、クランプ素子2がハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12を有するハーフブリッジ回路の付近に配置されているので、ハイサイドスイッチ11が急速にオフに切り換わっても、ハーフブリッジの両端の電圧V1は、クランプ電圧よりもわずかに大きいにすぎず、これにより、ハイサイド電流I11の急激な変化が生じる場合がある。このように、クランプ素子2は、ハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12のスイッチング速度が高速であっても、ハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12を有するハーフブリッジを過電圧から保護する。このように、ハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12のスイッチング速度は、それぞれの用途のニーズに適合させることが可能であり、過電圧からハーフブリッジを保護するために、寄生インダクタンスで誘導された電圧を低く保つように適合させる必要がない。
【0022】
1つの例によれば、電圧クランプ素子2は、入力電圧V
INよりも大きな電圧をブロックする能力を有するダイオードを含み、アバランシェ(Avalanche)モードで繰り返し動作させることが可能である。単に例示目的で、電圧クランプ素子2は、
図1に示す例ではダイオードとして描かれている。ダイオードのカソードノード22は、第1の供給電位が利用可能な第1の入力ノードIN1に接続され、また、アノードノード21は、第2の供給電位が利用可能な第2の入力ノードIN2に接続されている。入力電圧V
INは、第1の供給電位と第2の供給電位との間の差である。さらに、第1の入力ノードIN1で利用可能な第1の供給電位は、第2の入力ノードIN2で利用可能な第2の供給電位よりも高い。
【0023】
ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2は、
図1に示す例の電子スイッチとして、概略的に図示されているにすぎない。これらの電子スイッチ1
1、1
2は、様々な方法で実装することが可能である。いくつかの例が、
図3Aから
図3Cに図示されている。
図3Aから
図3Cでは、参照符号1は、ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2のうちの任意の1つを表示し、また、参照符号11、12、および13は、電子スイッチ1の制御ノード、第1の負荷ノード、および第2の負荷ノードをそれぞれ表示する。
図3Aを参照すると、電子スイッチ1は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)として実装することができる。IGBTで実装した場合には、IGBTのゲートノードが制御ノード11を形成し、IGBTのコレクタノードが第1の負荷ノード12を形成し、また、IGBTのエミッタノードが第2の負荷ノード13を形成する。任意選択で、IGBTは、第1の負荷ノード12と第2の負荷ノード13との間に接続された、集積ダイオードを含む(
図3Aに破線で図示されている)。
【0024】
図3Bに示す別の例によれば、電子スイッチ1は、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を含む。MOSFETで実装した場合には、MOSFETのゲートノードが電子スイッチ1の制御ノード11を形成し、MOSFETのドレインノードが第1の負荷ノード12を形成し、また、ソースノードが第2の負荷ノード13を形成する。
図3Cに示すさらに別の例によれば、電子スイッチ1は、JFET(接合型電界効果トランジスタ)、またはHEMT(高電子移動度トランジスタ)を含む。JFETまたはHEMTで実装した場合には、JFETまたはHEMTのゲートノードが第1の制御ノード11を形成し、ドレインノードが第1の負荷ノード12を形成し、また、ソースノードが第2の負荷ノード13を形成する。
【0025】
1つの例によれば、同一のタイプの電子スイッチを用いて、ハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12を実装する。別の例によれば、タイプの異なる電子スイッチを用いて、ハイサイドスイッチ11およびローサイドスイッチ12を実装する。さらに、ハイサイドスイッチ11またはローサイドスイッチ12のうちの1つを形成するために、2つ以上のトランジスタデバイスを並列に接続することができる。この文脈において「並列に接続された」とは、個々のトランジスタデバイスの負荷通路が並列に接続され、また、個々のトランジスタデバイスが同じ駆動信号を受信するように、これらのトランジスタデバイスの制御ノードが接続されていることを意味する。並列に接続されるトランジスタデバイスは、同じタイプのトランジスタデバイスとすることができる。すなわち、2つ以上のIGBT、MOSFET、JFETまたはHEMTを並列に接続することができる。しかしながら、例えば、少なくとも1つのMOSFETが少なくとも1つのIGBTと並列に接続されるように、タイプの異なるトランジスタデバイスを並列に接続させることもまた可能である。しかしながら、これは単なる一例である。他の組み合わせを用いてもまたよい。
【0026】
図1を参照すると、任意選択で、第1のフリーホイール素子5
1が、ハイサイドスイッチ1
1の負荷通路12
1-13
1と並列に接続されており、第2のフリーホイール素子5
2が、ローサイドスイッチ1
2の負荷通路12
2-13
2と並列に接続されている。1つの例によれば、フリーホイール素子5
1、5
2は、ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2に対する追加的ディスクリートデバイスである。別の例によれば、フリーホイール素子5
1、5
2は、ハイサイドスイッチ1
1またはローサイドスイッチ1
2に組み込まれている。例えば、ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2がMOSFETである場合には、MOSFETの内部ボディダイオードをそれぞれのフリーホイール素子として用いることができる。
【0027】
ハイサイドスイッチ1
1またはローサイドスイッチ1
2を駆動することが可能な駆動回路5の1つの例が、
図4に示されている。
図4は、1つの駆動回路5、および1つの電子スイッチ1を示す。
図4に示す電子スイッチ1は、ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2のうちの任意の1つを表す。
図4に示すタイプの2つの駆動回路は、1つはハイサイドスイッチ1
1を駆動するために、もう1つはローサイドスイッチ1
2を駆動するために、電子回路で実装することができる。単に例示目的で、電子スイッチ1は、
図4に示す例ではIGBTとして描かれている。しかしながら、これは単なる一例である。IGBTの代わりに、任意の他のタイプの電子スイッチを用いてもまたよい。
【0028】
図4に示すIGBT1、また、
図3Aから
図3Cを参照して説明した任意の他のタイプのトランジスタデバイスも同様に、電圧制御されたデバイスである。この場合、駆動信号S
DRVは、制御ノード11と第2の負荷ノード13との間の電圧である。すなわち、駆動信号S
DRVは、IGBTでは、ゲートノード11とエミッタノード13との間の電圧である(MOSFETでは、ゲートノード11とソースノード13との間の電圧であり、また、HEMTまたはJFETでは、ゲートノード11とソースノード13との間の電圧である)。
【0029】
図4参照すると、駆動回路5は、第1のドライバ5
1と、第2のドライバ5
2とを含み、制御ノード11と第2の負荷ノード13との間に、それぞれ接続されている。第1のドライバ5
1は、電子スイッチ1の制御ノード11と第2の負荷ノード13との間に直列に接続された、第1の電圧源53
1と、第1の電子スイッチ51
1と、任意選択の第1の抵抗器52
1とを含む。第2のドライバ5
2は、電子スイッチ1の制御ノード11と第2の負荷ノード13との間に直列に接続された、任意選択の第2の電圧源53
2と、第2の電子スイッチ51
2と、任意選択の第2の抵抗器52
2とを含む。第1のドライバ5
1は、第1のスイッチ51
1がオンに切り換わると、アクティブ化され、第1のスイッチ51
1がオフに切り換わると、非アクティブ化される。第2のドライバ5
2は、第2のスイッチ51
2がオンに切り換わると、アクティブ化され、第2のスイッチ51
2がオフに切り換わると、非アクティブ化される。第1のドライバ5
1、および第2のドライバ5
2は、入力信号S
INに依存して制御回路55によってアクティブ化され、また非アクティブ化される。入力信号S
INは、電子スイッチ1をオンに切り換えるか、オフに切り換えることが望ましいかどうかを表示する。入力信号S
INが、電子スイッチ1をオンに切り換えることが望ましいことを表示すると、制御回路55は、第1の電子スイッチ51
1をオンに切り換えることにより第1のドライバ5
1をアクティブ化し、第2の電子スイッチ51
2をオフに切り換えることにより第2のドライバ5
2を非アクティブ化する。第1のドライバ5
1がアクティブ化されると、駆動信号S
DRVは、第1のドライバ5
1の電圧源53
1によって供給される電圧V51と実質的に等しくなる。入力信号S
INが、電子スイッチ1をオフに切り換えることが望ましいことを表示すると、制御回路55は、第1のスイッチ51
1をオフに切り換えることにより第1のドライバ5
1を非アクティブ化し、第2のスイッチ51
2をオンに切り換えることにより第2のドライバ5
2をアクティブ化する。第2のドライバ5
2がアクティブであるとき、駆動信号S
DRVは、実質的にゼロと等しくなるか、または、第2のドライバ5
2が電圧源53
2で実装される場合には、反転した電圧レベル-V52の電圧が電圧源53
2によって生成される。
【0030】
入力信号SINは、マイクロコントローラなどの、ハーフブリッジの出力OUTの出力電圧の所望の波形に依存する任意のタイプのコントローラによって生成することができる。
【0031】
図3Aから
図3Cに示すトランジスタデバイスのうちのいずれかのような、電圧制御された電子スイッチは、制御ノード11と第2の負荷ノード13との間に、内部キャパシタンス(通常、ゲート-エミッタキャパシタンスまたはゲート-ソースキャパシタンスと呼ばれる)を含む。この内部キャパシタンスは、
図4に示す例では、ゲートノード11と第2の負荷ノード13との間に接続されているキャパシタによって図示されている。電子スイッチ1は、内部キャパシタンスの両端の電圧が電子スイッチ1の閾値電圧よりも高いように、この内部キャパシタンスが充電されると、オンに切り換わり、この内部キャパシタンスの両端の電圧が閾値電圧よりも低いように、この内部キャパシタンスが放電されると、オフに切り換わる。この内部キャパシタンスの充電速度が速いほど、電子スイッチ1は、速くオンに切り換わり、内部キャパシタンスの放電速度が速いほど、電子スイッチ1は、速くオフに切り換わる。オンに切り換えるときにスイッチング速度を調節するために、任意選択の第1の抵抗器52
1の抵抗を適切に調節することが可能である。同様な意味合いで、オフに切り換えるときのスイッチング速度は、任意選択の第2の抵抗器52
2の抵抗を適切に調節することによって調節可能である。概して、スイッチング速度は、これらの抵抗器52
1、52
2の抵抗が減少するにつれて増大する。
【0032】
図5は、別の例による電子回路を示す。この例では、整流素子7がクランプ素子2と直列に接続されている。1つの例によれば、クランプ素子2および整流素子7はいずれも、ダイオードを含む。この場合、クランプ素子2のダイオードおよび整流素子7のダイオードは、背中合わせの構成で接続されている。
図5に示す例では、これは、整流素子7のアノードノード71をクランプ素子2のアノードノード21に接続することにより得られる。整流素子7のカソードノード72は、この例では第2の入力ノードIN2に接続されている。
図6に示す別の例によれば、クランプ素子2のダイオード、および整流素子7のダイオードは、整流素子7のカソードノード72がクランプ素子2のカソードノード22に接続された、背中合わせの構成で接続されている。整流素子7のアノードノード71は、この例では、第1の入力ノードIN1に接続されている。
【0033】
1つの例によれば、整流素子は、シリコンまたは炭化ケイ素のショットキーダイオード(Schottky diode)などの、ショットキーダイオードを含む。1つの例によれば、このショットキーダイオードの電圧ブロック能力は、入力電圧VINに左右されず、例えば、100V未満、またさらには50V未満である。一方、クランプ素子の電圧ブロック能力は入力電圧VINよりも高い。ハーフブリッジ11、12、およびクランプ素子2を有するスイッチング回路が用いられる特定の用途によっては、入力電圧VINは、数百ボルト、例えば600ボルトと、数キロボルト、例えば4キロボルトとの間の範囲から選択することができる。
【0034】
1つの例によれば、クランプ素子2は、MPS(マージドPINショットキー)ダイオードなどの、バイポーラと組み合わせたショットキーダイオードである。このタイプのダイオードは、1つのデバイスに組み込まれたショットキーダイオードと並列のバイポーラダイオードを含む。MPSダイオードの垂直断面図が、
図7に概略的に図示されている。
【0035】
図7は、MPSダイオードが組み込まれた半導体ボディ200の一区分の垂直断面図を示す。1つの例によれば、半導体ボディ200は、炭化ケイ素(SiC)半導体ボディである。半導体ボディは、第1の表面201を含む。
図7に示す垂直断面図は、第1の表面201に垂直な断面の半導体ボディ200を示す。
なお、MPSダイオードは、SiまたはGaNからなっていてもよい。
【0036】
半導体ボディ200に組み込まれたMPSダイオードは、n型のベース領域23、およびn型の第1のエミッタ領域24を含む。第1のエミッタ領域24は、ベース領域23、および第1の表面201に対向する第2の表面202に隣接している。第1のエミッタ領域24は、MPSダイオードのカソードノード22に接続されているか、またはカソードノード22を形成している。1つの例(図示されない)によれば、金属被覆が第1のエミッタ領域24上に形成され、第1のエミッタ領域24とオーム性接触を形成している。この場合には、金属被覆は、MPSダイオードのカソードノード22を形成している。
【0037】
図7を参照すると、MPSダイオードは、少なくとも1つの第1の区分20
1、および少なくとも1つの第2の区分20
2を含む。第1の区分20
1および第2の区分20
2はそれぞれ、ベース領域23および第1のエミッタ領域24からなる区分を含む。第1の区分20
1では、MPSダイオードは、p型の第2のエミッタ領域25を追加で含む。第2のエミッタ領域25は、ベース領域23に隣接し、第1の表面201の上の第1の金属被覆26にオーム性接続されている。第2の区分20
2では、ベース領域23は、第1の表面201まで延在し、ショットキー接触が、ベース領域23と、第1の表面201の上の第2の金属被覆27との間に形成されている。第1の金属被覆26および第2の金属被覆27はいずれも、MPSダイオードのアノードノード21に接続されているか、または、アノードノード21を形成している。
図7に示すMPSダイオードは、第1の金属被覆26と、第2のエミッタ領域25と、ベース領域23の区分とによって第1の区分20
1に形成されたバイポーラダイオード、および第2の金属被覆27と、ベース領域23の区分と、第1のエミッタ領域24の区分とによって第2の区分20
2に形成されたショットキーダイオードを含む。バイポーラダイオードおよびショットキーダイオードは、第1のエミッタ領域24を共通に有することによって、また、第1の金属被覆26および第2の金属被覆27がアノードノード21に接続されていることにより、並列に接続されている。
【0038】
1つの例によれば、第1の金属被覆26は、ニッケル-アルミニウム(NiAl)合金、アルミニウム-銅(AlCu)合金、アルミニウム-ケイ素-銅(AlSiCu)合金、銅(Cu)、またはアルミニウム(Al)のうちの少なくとも1つを含む。第2の金属被覆27は、1つの例によれば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、窒化モリブデン(MoN)、または窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも1つを含む。1つの例によれば、同一タイプの金属が第1の金属被覆26、および第2の金属被覆27に用いられる。例えば、ベース領域23のドーピング濃度が1E18cm-3よりも低いか、1E17cm-3よりも低いか、または1E16cm-3よりも低い場合には、第1の金属被覆26用の文脈で、本明細書で上述した金属または金属の合金は、第2の金属被覆にもまた用いることができる。この場合、p型の第2のエミッタ領域25とオーム性接触を形成するこれらの金属または金属の合金は、ベース領域23とショットキー接触を形成する。
【0039】
図7に示すタイプのMPSダイオードは、高いアバランシェ堅牢性を有する。すなわち、MPSダイオードは、出力が破損した、または破壊された状態で、アバランシェモードで繰り返し動作させることができる。第2のエミッタ領域25とベース領域23との間のpn接合を逆バイアスする、アノードノード21とカソードノード22との間に電圧が印加されると、MPSダイオードは、アバランシェモードで動作する。この電圧の電圧レベルがMPSダイオードのアバランシェ降伏レベルに達すると、pn接合でアバランシェ降伏が生じ、これにより、電圧がアバランシェ降伏レベル未満に降下するまで、MPSダイオードに電流を導通させる。アバランシェ降伏は、第1の表面201から距離を置いて配置されたpn接合で、すなわち、半導体ボディ200の深部で生じる。これにより、MPSダイオードは、アバランシェ降伏に繰り返し耐え得るのに適したものになる。
【0040】
1つの例によれば、クランプ素子2および整流素子7は、同じ半導体ボディ200に組み込まれている。
図7を参照すると、これは、n型エミッタ領域24とカソードノード22との間にショットキー接触を形成することにより得ることができる。このようなショットキー接触の形成は、n型エミッタ領域上にショットキーメタル73を形成することを含ことができる。このショットキーメタルは、第2の金属被覆に関して本明細書の上記で説明した金属、または金属の合金のうちの1つを含むことができる。
【0041】
図7は、MPSダイオードの1つの区分だけを示している。MOSダイオードは、
図7に示すタイプの素子構造を複数個含むことができる。1つの例が
図8に図示されており、第2のエミッタ領域25を貫通し、ベース領域23の領域に隣接する断面A-A(
図8を参照)におけるMPSダイオードの水平断面図を示す。
図8に示す例では、MPSダイオードは、ベース領域23の区分によって分けられた複数の第2のエミッタ領域25を含む。単に例示目的で、第2のエミッタ領域25は、
図8に示す例では矩形である。しかしながら、これは、単なる一例である。第2のエミッタ領域25は、円形、または六角形などの、任意の他のタイプの形状で同様に実装することができる。
【0042】
1つの例によれば、ハーフブリッジと、任意選択のフリーホイール素子5
1、5
2と、クランプ素子2とを有するスイッチング回路は、半導体モジュールに組み込まれている。スイッチング回路が組み込まれている半導体モジュールの1つの例が、
図9Aおよび
図9Bに示されている。
図9Aは、モジュールの上面図を示し、
図9Bは、断面B-Bの垂直断面図を示す。
図9Aおよび
図9Bでは、モジュールの個々の特徴部の参照符号の隣、または参照符号の下の括弧内の参照符号は、そのモジュールのそれぞれの特徴部によって形成されているスイッチング回路の特徴部を表示する。
【0043】
図9Aおよび
図9Bを参照すると、モジュールは、絶縁性のキャリア61と、キャリア61の上にいくつかの金属被覆62、63、64とを有する基板60を含む。個々の金属被覆62、63、64は、互いに距離を置いて配置されている。1つの例によれば、基板60は、DCB(ダイレクト・カッパ-ボンディング)基板である。この例では、キャリア61は、セラミック材料を含み、金属被覆62、63、64は、銅を含む。さらに、モジュールは、ハイサイドスイッチ1
1が組み込まれている第1の半導体チップ71
1と、ローサイドスイッチ1
2が組み込まれている第2の半導体チップ71
2と、クランプ素子2が組み込まれている第3の半導体チップ72と、第1のフリーホイール素子5
1が組み込まれている第4の半導体チップ75
1と、第2のフリーホイール素子5
2が組み込まれている第5の半導体チップ75
2とを含む。第1の半導体チップ71
1、および第2の半導体チップ71
2はそれぞれ、第1の表面上に制御パッド711
1、711
2を、第2の表面上に第1の負荷パッド712
1、712
2(
図9Bを参照)を、そして第1の表面上に第2の負荷パッド713
1、713
2を有する。制御パッド711
1、711
2は、それぞれの半導体チップ71
1、71
2に組み込まれた電子スイッチの制御ノード11
1、11
2を形成し、第1の負荷パッド712
1、712
2は、第1の負荷ノード12
1、12
2を形成し、また第2の負荷パッド713
1、713
2は、第2の負荷ノード13
1、13
2を形成している。第1の半導体チップ71
1、および第2の半導体チップ71
2の第1の負荷パッド712
1、712
2は、基板に取り付けられている。特に、第1の半導体チップ71
1の第1の負荷パッド712
1は、第1の金属被覆62に取り付けられ、かつ、電気的に接続されている。また、第2の半導体チップ71
2の第1の負荷パッド712
2は、第2の金属被覆63に取り付けられ、かつ、電気的に接続されている。第1の負荷パッド712
1、712
2の第1の金属被覆62、および第2の金属被覆63への取り付けは、これらの第1の負荷パッド712
1、712
2をはんだ付け、溶接、または接着のうちの1つによって、それぞれの金属被覆に取り付けることを含むことができる。しかしながら、はんだ付け層、溶接層、または接着層は、
図9Bに示されていない。
【0044】
クランプ素子2が組み込まれた第3の半導体チップ72は、第1の表面上に第1の負荷パッド721、および第2の表面上に第2の負荷パッド722を含む。第1の負荷パッド721は、クランプ素子2のアノードノード21を形成し、第2の負荷パッド722は、クランプ素子2のカソードノード22を形成している。
図9Aおよび
図9Bに示す例では、第3の半導体チップ72の第2の負荷パッド722は、第1の金属被覆62に取り付けられ、かつ、電気的に接続されており、これにより、第1の金属被覆62を介して、第3の半導体チップ72に組み込まれたクランプ素子のカソードノード22、および第1の半導体チップ71
1に組み込まれたハイサイドスイッチ1
1の第1の負荷ノード12
1が、電気的に接続されるようになっている。
【0045】
第1のフリーホイール素子5
1および第2のフリーホイール素子5
2がそれぞれ組み込まれた、第4の半導体チップ75
1および第5の半導体チップ75
2はそれぞれ、第1の表面上に第1の負荷パッド751
1、751
2を、および第2の表面上に第2の負荷パッド(
図9Aおよび
図9Bでは見えない)を含む。第1の負荷パッド751
1、751
2は、それぞれのフリーホイール素子5
1、5
2の第1の負荷ノード51
1、51
2(
図1を参照)を形成し、第2の負荷パッドは、第2の負荷ノード52
1、52
2を形成している。1つの例によれば、フリーホイール素子5
1、5
2は、ダイオードである。この例では、第1の負荷ノード51
1、51
2はアノードノードであり、第2の負荷ノード52
1、52
2はカソードノードである。
図9Aに示す例では、第4の半導体チップ75
1の第2の負荷パッドは、第1の金属被覆62に取り付けられ、かつ、電気的に接続されており、これにより、第2の金属被覆62を介して、第4の半導体チップ75
1に組み込まれたフリーホイール素子5
1の第2の負荷ノード52
1が、第1の半導体チップ71
1に組み込まれたハイサイドスイッチ1
1の第1の負荷ノード12
1と電気的に接続されるようになっている。さらに、第5の半導体チップ75
2の第2の負荷パッドは、第2の金属被覆63に取り付けられ、かつ、電気的に接続されており、これにより、第2の金属被覆63を介して、第2のフリーホイール素子5
2の第2の負荷ノード52
2が、第2の半導体チップ71
2に組み込まれたローサイドスイッチ1
2の第1の負荷ノード12
2と電気的に接続されるようになっている。
【0046】
モジュールは、複数の導体をさらに含む。単なる例示目的で、これらの導体は、
図9Aに示す例ではボンドワイヤとして描かれている。このようなボンドワイヤは、
図9Aでは、参照符号を付さずに太線で表されている。いくつかの例では、数個のボンドワイヤが、同じ接続パッドまたは金属被覆間で並列に接続されている。数個のボンドワイヤを並列に用いると、電気抵抗および寄生インダクタンスの低減に役立つ場合がある。しかしながら、数個のボンドワイヤを並列に有することは、単なる一例である。数個の並列のボンドワイヤの代わりに、1つのボンドワイヤだけを用いてもよい。あるいは、1つまたは複数のボンドワイヤの代わりに、フラット導体、銅クリップ、またはリボン接合を用いてもよい。
【0047】
図9Aを参照すると、ハイサイドスイッチ1
1の第2の負荷ノード13
1を形成する第1の半導体チップ71
1の第2の負荷パッド713
1は、第4の半導体チップ75
1の第1の負荷パッド751
1に接続されており、これにより、ハイサイドスイッチ1
1の第2の負荷ノード13
1を、第1のフリーホイール素子5
1の第1の負荷ノード51
1と電気的に接続するようになっている。同様な意味合いで、第2の半導体チップ71
2の第2の負荷パッド713
2は、第5の半導体チップ75
2の第1の負荷パッド751
2と電気的に接続されており、これにより、ローサイドスイッチ1
2の第2の負荷ノード13
2を、第2のフリーホイール素子5
2の第1の負荷ノード51
2と電気的に接続するようになっている。これらの電気的接続は、
図9Aに示す例では、数個のボンドワイヤによって形成されている。しかしながら、これは単なる一例である。任意の他のタイプの導体を用いて、これらのパッドを電気的に接続することができる。
【0048】
図9Aを参照すると、モジュールは、入力と、出力と、制御ポートとをさらに含む。これらのポートはそれぞれ、モジュールのハウジング9から突き出たフラット導体によって形成することができる。ハウジングは、
図9Aおよび9Bに破線で図示されている。ハウジングは、基板60および半導体チップ71
1、71
2、72、75
1、75
2を覆っている。1つの例によれば、基板60のキャリア61は、半導体チップに面していない側の表面では、ハウジング9で覆われていないことにより、(図面に示されていない)冷却素子に基板60を直接取り付けることが可能になる。別の例によれば、基板60は、完全成形されており、したがって、やはりハウジングによって覆われている。
【0049】
図9Aを参照すると、モジュールは、第1の入力ノードIN1および第2の入力ノードIN2をそれぞれ形成する、第1の入力ポート81、および第2の入力ポート82を含む。
図9Aに示す例では、第1の入力ポート81、および第2の入力ポート82はそれぞれ、2つのフラット導体を含む。第1の入力ノードを形成するフラット導体81は、第1の金属被覆62に電気的に接続されており、第2の入力ノードを形成するフラット導体82は、第3の金属被覆64に電気的に接続されている。モジュールは、さらなるフラット導体によって形成された出力ポート83をさらに含む。この出力ポート83は、第2の金属被覆63に電気的に接続されている。例えば、
図9Aに示すように、これらのポートのうちの1つと、これらの金属被覆のうちの1つとの間の電気的接続はそれぞれ、1つまたは複数のボンドワイヤを含む。
【0050】
図9Aを参照すると、モジュールは、第1の一対の制御ポート84
1、85
1、および第2の一対の制御ポート84
2、85
2をさらに含む。これらの対はそれぞれ、第1の制御ポート84
1、84
2、および第2の制御ポート85
1、85
2を含む。第1の一対の制御ポート84
1、85
1は、ハイサイドスイッチ1
1に対する駆動信号を受信する役割を果たし、第2の一対の制御ポート84
2、85
2は、ローサイドスイッチ1
2に対する駆動信号を受信する役割を果たす。第1の一対のうちの第1の制御ポート84
1は、第1の半導体チップ71
1の制御パッド711
1に接続されており、第1の一対のうちの第2の制御ポート85
1は、第1の半導体チップ71
1の第2の負荷パッド713
1に接続されている。同様な意味合いで、第2の一対のうちの第1の制御ポート84
2は、第2の半導体チップ71
2の制御パッド711
2に接続されており、第2の一対のうちの第2の制御ポート85
2は、第2の半導体チップ71
2の第2の負荷パッド713
2に接続されている。例えば、
図9Aに示すように、制御ポートのうちの1つと、制御パッドまたは負荷パッドのうちの1つとの間の電気的接続はそれぞれ、1つまたは複数のボンドワイヤを含む。
【0051】
さらに、
図9Aに示すモジュールでは、第2の半導体チップ71
2に組み込まれたローサイドスイッチ1
2の第2の負荷ノード13
2を第2の入力ノードIN2に接続するために、第2の半導体チップ71
2の第2の負荷パッド713
2が第3の金属被覆64に接続され、第3の半導体チップ72に組み込まれたクランプ素子2の第1の負荷ノード21を第2の入力ノードIN2に接続するために、第3の半導体チップ72の第1の負荷パッド721が第3の金属被覆64に接続され、また、第1の半導体チップ71
1に組み込まれたハイサイドスイッチ1
1の第2の負荷ノード13
1、および第4の半導体チップ75
1に組み込まれた第1のフリーホイール素子5
1の第1の負荷ノード51
1を出力OUTに接続するために、第1の半導体チップ71
1の第2の負荷パッド713
1、および第4の半導体チップ75
1の第1の負荷パッド751
1が第2の金属被覆63に接続されている。例えば、
図9Aに示すように、これらの負荷パッドのうちの1つと、これらの金属被覆のうちの1つとの間の電気的接続はそれぞれ、1つまたは複数のボンドワイヤを含む。
【0052】
図9Aおよび
図9Bに示すハーフブリッジ回路では、ハイサイドスイッチ1
1およびローサイドスイッチ1
2を接続し、かつ、ハーフブリッジをクランプ素子2と接続する導体は、金属被覆62、63、64、およびボンドワイヤによって形成されている。例えば、
図1に示す第1の導体3
1は、第2の半導体チップ72の第2の負荷パッド722、第1の金属被覆、および第1の半導体チップ71
1の第1の負荷パッド712
1によって実質的に形成されており、第2の導体3
2は、第1の半導体チップ71
1の第1の負荷パッド713
1と、この第1の負荷パッド713
1を第2の金属被覆63に接続する接続部と、第2の金属被覆63と、第2の半導体チップ71
2の第1の負荷パッド712
2とによって実質的に形成されており、そして、第3の導体3
3は、第2の半導体チップ71
2の第2の負荷パッド713
2と、この第2の負荷パッド713
2を第3の金属被覆64に接続する接続部と、第3の金属被覆64を第3の半導体チップ72の第1の負荷パッド721に接続する接続部と、第3の半導体チップ72の第1の負荷パッド721とによって実質的に形成されている。モジュールの内部にクランプ素子2を配置することによって、クランプ素子2をハーフブリッジと接続し、ハイサイドスイッチ1
1とローサイドスイッチ1
2とを接続する導体の、低寄生の第1のインダクタンスが得られる。
【0053】
図10は、
図9Aおよび
図9Bに示すモジュールの変形例の上面図を示す。この例では、モジュールは、
図6に示すような整流素子7を追加で含む。整流素子7は、第6の半導体チップ77に組み込まれている。この第6の半導体チップ77、およびクランプ素子を有する第3の半導体チップ72は、第3の半導体チップ72に組み込まれたクランプ素子2の第2の負荷ノード、および第6の半導体チップ77に組み込まれた整流素子7の第2の負荷ノードが、第4の金属被覆65を介して電気的に接続されているように、第4の金属被覆65に取り付けられている。クランプ素子2の第2の負荷ノードは、第3の半導体チップ72の第2の負荷パッドによって形成されており、整流素子7の第2の負荷ノードは、第6の半導体チップ77の第2の負荷パッドによって形成されている。これらの第2の負荷パッドは、
図10には見えないところにある。
図6に示すような、1つの例によれば、クランプ素子2および整流素子7の第2の負荷ノードがカソードノードであることで、カソードノードが第4の金属被覆65によって接続されるようなっている。
【0054】
第3の半導体チップ72および第6の半導体チップ77はそれぞれ、クランプ素子2および整流素子7の第1の負荷ノードを形成する第1の負荷パッド721、771を含む。1つの例によれば、第1の負荷ノードはアノードノードである。これらの第1の負荷パッド721、771は、第4の金属被覆65に面していない側の、第3の半導体チップ72および第6の半導体チップ77の表面上に配置されている。この例では、クランプ素子2の第1の負荷ノード(アノードノード)12を第2の入力ノードIN2に接続するために、第3の半導体チップ72の第1の負荷パッド721が第3の金属被覆64に接続され、また、整流素子7の第1の負荷ノード(アノードノード)71を第1の入力ノードIN1に接続するために、第6の半導体チップ77の第1の負荷パッド771が第1の金属被覆62に接続されている。
【0055】
図5に示すように、クランプ素子2のアノードノードと整流素子7のアノードノードとが接続されているのであれば、モジュール内の第3の半導体チップ72および第6の半導体チップ77の位置が変わり、これらの第3の半導体チップ72、および第6の半導体チップ77が反転し、第4の金属被覆65が、アノードノードを形成する第2の負荷パッド722、772を接続し、クランプ素子2のカソードノードが第1の入力IN1を形成する第1の金属被覆62に接続され、整流素子7のカソードノードが第2の入力IN2を形成する第3の金属被覆64に接続されるようにする。
【0056】
別の例(示されていない)によれば、整流素子7を有する第6の半導体チップ77、およびクランプ素子2を有する第3の半導体チップ72は、
図9Aに示すタイプのモジュール内にチップ・オン・チップ構成で配置されている。例えば、第6の半導体チップ77の第1の負荷パッドが、第3の半導体チップ72の第1の負荷パッド721に接続され、第6の半導体チップ77の第2の負荷パッド772が、第3の金属被覆に接続されるように、第3の半導体チップ72と、第3の金属被覆64に接続されたボンドワイヤとの間に第6の半導体チップ77が配置されている。
【0057】
図1および
図5に示す電子回路はそれぞれ、1つのスイッチング回路を含む。しかしながら、これは単なる一例である。
図11を参照すると、数個のこのようなスイッチング回路を1つの電子回路に含むことができる。単に例示目的で、
図11に示す電子回路は、3つのスイッチング回路I、II、IIIを含む。これらのスイッチング回路はそれぞれ、
図5に示すスイッチング回路に従って実装されている。これらのスイッチング回路I、II、IIIでは、
図5におけるものと同じ参照符号は、同じ特徴部を表示し、ここではスイッチング回路Iの参照符号は、_Iで補足され、スイッチング回路IIの参照符号は、_IIで補足され、また、スイッチング回路IIIの参照符号は、_IIIで補足されている。これらのスイッチング回路はそれぞれ、入力IN1、IN2に接続されている。個々のスイッチング回路の整流素子7
I、7
II、7
IIIは、省略することができ、省略すれば、
図1に示すタイプのスイッチング回路I、II、IIIになる。
図11に示すタイプの電子回路は、例えば、三相インバータで用いることができる。
【0058】
図12は、電子回路が
図11に示すタイプの3つのスイッチング回路I、II、IIIを有するとともに、任意選択の整流素子7
I、7
II、7
IIIが省略されているモジュールを図示する。
図12に示すモジュールは、共通のハウジング9内に配置された3つのサブモジュールを含む。これらのサブモジュールはそれぞれ、それ自体の基板を含み、
図9Aおよび
図9Bに示すモジュールと同じやり方で実装されている。整流素子7
I、7
II、7
IIIを追加で実装するためには、これらのサブモジュールをそれぞれ、
図10に示すタイプのモジュールに置き換えることができる。これらのサブモジュールでは、
図9Aおよび
図9Bにおけるものと同じ参照符号は、同じ特徴部を表示し、ここでは、スイッチング回路Iを実装するサブモジュールの参照符号は、_Iで補足され、スイッチング回路IIを実装するサブモジュールの参照符号は、_IIで補足され、また、スイッチング回路IIIを実装するサブモジュールの参照符号は、_IIIで補足されている。
図12に示すモジュールでは、3つのサブモジュールは、第1の入力ポート81を共通で有し、また、第2の入力ポート82を共通で有する。
【符号の説明】
【0059】
1 電子スイッチ
11 ハイサイドスイッチ
12 ローサイドスイッチ
2 クランプ素子
31 第1の導体
32 第2の導体
33 第3の導体
41 第4の導体
42 第5の導体
5 駆動回路
51 第1のフリーホイール素子
52 第2のフリーホイール素子
7、7I、7II、7III 整流素子
9 ハウジング
11、111、112 制御ノード
12、121、122 第1の負荷ノード
13、131、132 第2の負荷ノード
121-131 負荷通路
122-132 負荷通路
201 第1の区分
202 第2の区分
21 アノードノード
22 カソードノード
23 ベース領域
24 第1のエミッタ領域
25 第2のエミッタ領域
26 第1の金属被覆
27 第2の金属被覆
50 入力キャパシタ
511、512 第1の負荷ノード
521、522 第2の負荷ノード
531 第1の電圧源
532 第2の電圧源
55 制御回路
60 基板
61 キャリア
62 第1の金属被覆
63 第2の金属被覆
64 第3の金属被覆
65 第4の金属被覆
71 アノードノード
711 第1の半導体チップ
712 第2の半導体チップ
72 第3の半導体チップ
73 ショットキーメタル
751 第4の半導体チップ
752 第5の半導体チップ
77 第6の半導体チップ
81 第1の入力ポート
82 第2の入力ポート
83 出力ポート
841、842 第1の制御ポート
851、852 第2の制御ポート
200 半導体ボディ
201 第1の表面
202 第2の表面
7111、7112 制御パッド
7121、7122 第1の負荷パッド
7131、7132 第2の負荷パッド
721 第1の負荷パッド
722 第2の負荷パッド
7511、7512 第1の負荷パッド
771 第1の負荷パッド
I11 ハイサイド電流
I2 電流
IN1 第1の入力ノード
IN2 第2の入力ノード
LP3 第1の寄生インダクタンス
LP4 第2の寄生インダクタンス
OUT 出力
SDRV 駆動信号
SDRV1 第1の駆動信号
SDRV2 第2の駆動信号
SIN 入力信号
t1、t2、t3 時間
VIN 入力電圧
V1、V11、V2 電圧
V3、V4 誘導電圧
V51、V52 電圧
I、II、III スイッチング回路