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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/435 20180101AFI20230731BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20230731BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20230731BHJP
   F21S 41/675 20180101ALI20230731BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20230731BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230731BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20230731BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20230731BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20230731BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20230731BHJP
   F21Y 115/00 20160101ALN20230731BHJP
【FI】
F21S45/435
F21S41/19
F21S41/25
F21S41/675
F21S41/663
F21V29/503
F21V29/67
F21V29/76
F21V14/04
F21W102:10
F21Y115:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018229924
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020092055
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】村松 鉄平
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031777(JP,A)
【文献】特開2009-010212(JP,A)
【文献】特開2014-216049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/435
F21S 41/19
F21S 41/25
F21S 41/675
F21S 41/663
F21V 29/503
F21V 29/67
F21V 29/76
F21V 14/04
F21W 102/10
F21Y 115/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を搭載した光源ユニットと、前記光源ユニットの光を灯具前方に投影する投影レンズを搭載したレンズユニットと、前記光源ユニットおよび前記レンズユニットを支持する放熱部材と、前記放熱部材に送風して放熱部材の熱を放散するファンと、を備えた灯具ユニットであって、
前記放熱部材は、ベース部と、前記ベース部に互いに平行となるように立設された複数のフィンと、前記フィンの間に形成された複数の通風路と、を含み、
前記フィンの一部に、前記通風路と非平行な向きに前記ファンの風を通過させる切欠部を形成し、
前記切欠部の切り欠きの深さは、前記フィンの高さよりも小さく設けられ、
前記ファンは、前記フィンのフィン面に向けて送風する位置に配置可能であり、
前記切欠部は、前記フィン面に向かう前記ファンの風を通過させることを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
前記発光素子の光を反射する反射面を回転軸周りに回転させる回転リフレクタを搭載したリフレクタモジュールを備え、
前記放熱部材は、前記反射面で反射された発光素子の光を前記投影レンズに入射させるように前記リフレクタモジュールを支持する請求項1に記載の灯具ユニット。
【請求項3】
前記切欠部は、前記通風路と非平行な風向きの風上側から風下側に向かって段階的に小さくなるように設けられた請求項1または2に記載の灯具ユニット。
【請求項4】
前記フィンは、前記フィンの断面が、略ハの字となるように配置され、前記略ハの字の頂上部に前記切欠部を備えた請求項1~3のいずれか一項に記載の灯具ユニット。
【請求項5】
前記ファンを支持するブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記ファンを、前記通風路と平行な向きに送風する第1の姿勢と、前記通風路と非平行な向きに送風する第2の姿勢とに、選択的に取り付け可能な取付構造を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記切欠部が、曲線部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱部材に送風するファンの配置を変更できる灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源ユニットから出射した直進光を回転軸周りに回転する反射面を備えた回転リフレクタで反射させ、灯具前方に複雑な配光パターンを投影するブレードスキャン方式に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、回転リフレクタを利用して、車両前方を広範囲に照射する技術が記載されている。また、特許文献2には、回転リフレクタを用いて形成した配光パターンをずらして重畳させることにより、明暗境界近傍の明るさ変化を緩和する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-067523号公報
【文献】特開2018-073485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレードスキャン方式を採用した灯具ユニットでは、光源ユニット、回転リフレクタ、レンズ等の構成部品を配光制御に適した姿勢で支持しつつ、ユニットから生ずる熱を放熱させる役割を有する放熱部材が設けられている。
【0005】
また、放熱部材は、熱を放散するヒートシンクを備え、ヒートシンクは、導熱用のフィンを複数備えている。導熱用のフィンは、通風路を隔てて略平行に立設されており、通風路に空気が流れ込むと、空気の流れがフィンの熱を放散し、光源ユニットが冷却される。
【0006】
しかし、従来のヒートシンクによれば、図11,12に示すように、通風路93と平行に送風できる位置、つまり、ファン10i,10jの位置にファンを配置する必要があり、例えば、ファンを10kの位置に配置すると、フィン92の表面で空気の流れが遮られ、通風路93に空気を送りこむことができなかった。このため、ファンの位置が固定され、灯具ユニット全体の自由なレイアウトの妨げとなり、灯具ユニットのデザインの改良や小型化が難しくなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ファンの配置を変更しても、フィンに空気を送り込むことの可能な灯具ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の灯具ユニットは、発光素子を搭載した光源ユニットと、光源ユニットの光を灯具前方に投影する投影レンズを搭載したレンズユニットと、光源ユニットおよびレンズユニットを支持する放熱部材と、放熱部材に送風して放熱部材の熱を放散するファンと、を備え、放熱部材は、ベース部と、ベース部に互いに平行となるように立設された複数のフィンと、フィンの間に形成された複数の通風路と、を含み、フィンの一部に、通風路と非平行な向きにファンの風を通過させる切欠部を形成したことを特徴とする。
【0009】
また、灯具ユニットは、発光素子の光を反射する反射面を回転軸周りに回転させる回転リフレクタを搭載したリフレクタモジュールを備え、放熱部材は、反射面で反射された発光素子の光を投影レンズに入射させるようにリフレクタモジュールを支持する。
【0010】
このとき、切欠部は、通風路と非平行な風向きの風上側から風下側に向かって段階的に小さくなるように設けられていても良い。また、フィンは、断面が略ハの字となるように配置され、略ハの字の山頂部に切欠部を備えていても良い。
【0011】
さらに、灯具ユニットは、ファンを支持するブラケットを備え、ブラケットは、ファンを、通風路と平行な向きに送風する第1の姿勢と、通風路と非平行な向きに送風する第2の姿勢とに、選択的に取り付け可能な取付構造を含むことも好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の灯具ユニットによれば、フィンに切り欠きを設けたため、切り欠きを通じて通風路にファンの風を送り込むことが可能となり、ファンの配置の自由度が高まるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例を示す灯具ユニットを装備した、車両用灯具の断面図である。
図2図1の灯具ユニットの斜視図である。
図3図2の灯具ユニットを展開した展開斜視図である。
図4】リフレクタモジュールの模式図である。
図5】(a)灯具ユニットの底面図、(b)ヒートシンクを灯具ユニット底面方向から視た斜視図である。
図6図5の灯具ユニットを、(a)側方から視たA-A断面図、(b)背面方向から視たB-B断面図である。
図7】ヒートシンクの変形例を示す。添え字は、1:底面図、2:A-A断面図、3:B-B断面図を示す。
図8】ヒートシンクの変形例を示す。添え字は、1:底面図、2:A-A断面図、3:B-B断面図を示す。
図9】ヒートシンクの変形例を示す。添え字は、1:底面図、2:A-A断面図、3:B-B断面図を示す。
図10】ファンの取付構造を示す。
図11】従来の、(a)灯具ユニットの底面図、(b)ヒートシンクを灯具ユニット底面方向から視た斜視図である。
図12図11の灯具ユニットを、(a)側方から視たA-A断面図、(b)背面方向から視たB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を車両用灯具に裝備される灯具ユニットに具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。各図において、同一の符号は同一または類似する構成要素を示す。
【0015】
図1~3に示すように、本実施例の灯具ユニット2は、車両用灯具1のアウターレンズ11および灯具ボディ12の間に形成された灯室13の内部に配置される。灯具ユニット2は、第1,2光源ユニット3,4と、リフレクタモジュール5と、レンズユニット6から構成される。また、灯室13の内部には、灯具ユニット2の一部を灯具前方から遮蔽するエクステンション14が設けられている。
【0016】
また、灯具ユニット2は放熱部材7と、放熱部材7に送風するファン10を備える。放熱部材7は、第1,2光源ユニット3,4と、リフレクタモジュール5と、レンズユニット6を支持し、第1,2光源ユニット3,4の搭載面7a,7bの背後に、第1,2光源ユニット3,4を主とする、灯具ユニット2から生ずる熱を放散するためのヒートシンク9を備えている。また、放熱部材7は、エイミング調整部材15により灯具ボディ12に保持されている。
【0017】
第1光源ユニット3は、発光素子21と、発光素子21を搭載した基板23を備え、第2光源ユニット4は、発光素子22と、発光素子22を搭載した基板24を備える。また、リフレクタモジュール5は、回転軸Rの周りで回転する回転リフレクタ25と、回転リフレクタ25を保持するリフレクタケース29と、回転リフレクタ25を駆動するモータ26を備える。
【0018】
発光素子21から出射した光L1は、第1レンズ31を透過し、第2レンズ32に入射する。一方、第2光源ユニット4から出射した光L2は、回転リフレクタ25の反射面25aで反射され、第2レンズ32に入射する。第2レンズ32に入射した第1,2光源ユニットの光L1,L2は、灯具前方に投影されて所望の配光パターンを形成する。直接光L1と回転リフレクタを経た反射光L2の双方を第2レンズ32に向けるため、基板23,24は、非平行に設けられている。
【0019】
次に、リフレクタモジュール5について詳説する。図4に示すように、リフレクタモジュール5は、略分割円盤状の反射面25aを回転軸Rの周りに回転自在に設けた回転リフレクタ25と、回転リフレクタ25を駆動するモータ26と、回転リフレクタ25を保持するリフレクタケース29を備える。リフレクタケース29は、回転リフレクタ25の外周を囲む立壁29bを備える。
【0020】
図4(b)に示すように、回転リフレクタ25は、中心部において回転軸Rと接続され、回転軸Rは、リフレクタケース29の底面に開口した穴29aを通じてモータ26と接続されている。また、モータ26は、コイル26aと通電により回転するヨーク26bを含む。リフレクタケース29の外側底面には、モータ26を制御する制御回路を搭載した制御回路基板27が配置されている。
【0021】
続いて、放熱部材7に設けられたヒートシンク9について、図5~10に基づいて詳説する。図5,6に示すように、ヒートシンク9は、ベース部91と、ベース部91に互いに平行となるように立設された複数の導熱用のフィン92と、フィンの間に形成された複数の通風路93から構成される。ヒートシンク9の近傍には、通風路93と平行な気流の風を送風するファン10i,10j、または、通風路93と非平行な気流の風を送風するファン10kを配置することができる。
【0022】
ここで、フィン92には、通風路93と非平行に流れる風を通過させる切欠部94が設けられている。図6において、網掛部分はフィン92の残存部分を示し、網掛されていない部分は切欠部94を示す。切欠部94は、ファン10kの風上から風下に向かうにつれて、段階的に小さくなるように設けられている。このため、ファン10kからの風は、切欠部94から侵入した後に通風路93に流れ込み、フィン92の熱を放散する。このように、ファンを、ファン10i,10j,10kのいずれの位置に配置しても、通風路93に風を送り込むことができ、フィン92の熱を放散することができる。
【0023】
図7~9に、ヒートシンク9の変形例を示す。図7~9においても、網掛部分はフィン92の残存部分を示し、網掛されていない部分は切欠部94を示す。図7,8では、いずれもファン10kの風上から風下に向かうにつれて、フィン92の面積が小さくなり、ファン10kの風が段階的に取り込まれるように設けられている。図9では、フィン92のA-A断面が略ハの字状となるように形成し、略ハの字状の山頂部に隙間ないし切欠部94が設けられている。この場合には、略ハの字状の頂上部がファン10kの風上を向くように配置したため、ファン10kからの風がフィン92の表面を伝って、よりスムーズに通風路93に導くことが可能となる。
【0024】
図10に示すように、ファン10i,10j,10kは、ブラケット16を介して灯具ユニット2に支持される。ブラケット16は、通風路93と平行な向きに送風する第1の姿勢を有するファン10i,10jと、通風路93と非平行な向きに送風する第2の姿勢を有するファン10kとに選択的に取り付け可能な取付構造を備えている。
【0025】
以上の構成の灯具ユニット2によれば、フィン92に切欠部94を設けたため、フィン92の通風路93と非平行な向きに送風するファン10kからの風を取り込み、通風路93へ導くことが可能となる。また、ファン10kの風上から風下に向けて、段階的に切欠部94を小さくなるように設けたため、風上側の通風路から風下側の通風路に至るまで、より均等に風を取り込むことが可能となる。このため、ファン配置の自由度が高まり、車両用灯具や車両のレイアウトに合わせてファンの配置を変更することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状ならびに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 車両用灯具
2 灯具ユニット
3 第1光源ユニット
4 第2光源ユニット
5 リフレクタモジュール
6 レンズユニット
7 放熱部材
8 レンズホルダ
9 ヒートシンク
10 ファン
11 アウターレンズ
12 灯具ボディ
13 灯室
14 エクステンション
15 エイミング調整部材
21,22 発光素子
23,24 基板
25 回転リフレクタ
26 モータ
27 制御回路基板
29 リフレクタケース
31 第1レンズ
32 第2レンズ(投影レンズ)
91 ベース部
92 フィン
93 通風路
94 切欠部
L 光
R 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12