(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用のヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20230731BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A24F47/00
H05B3/20 367A
H05B3/20 367B
(21)【出願番号】P 2018562507
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2017062303
(87)【国際公開番号】W WO2017220274
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デュック ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】タバッソ アラン
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】西村 泰英
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/064684(WO,A1)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】国際公開第2015/117702(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/177043(WO,A1)
【文献】特開平10-223357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔のあるガラス基体およびヒーター要素を備えるエアロゾル発生システム用のヒーター組立品であって、
前記ヒーター要素が前記ガラス基体内に提供されており、
前記穿孔が、1ミクロン~500ミクロンの幅を有し、
前記ガラス基体の前記穿孔間の距離が、1ミクロン~1000ミクロンである、
ヒーター組立品。
【請求項2】
前記ヒーター要素がメッシュまたは
グリッドを形成するように配置されており、
前記メッシュまたは前記グリッドの各セルが一つの穿孔を含む、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記ガラス基体の面積が、25平方ミリメートル以下である、請求項
2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記ガラス基体の表面積の25~56パーセントが流体透過性である、請求項
2または
3のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記ガラス基体の長さが3ミリメートルであり、かつ
前記ガラス基体の幅が5ミリメートルである
、請求項1~
4のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記ヒーター要素が前記ガラス基体上の薄膜として提供されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記ヒーター要素が隣接したエアロゾル形成基体から分離されるように、前記ガラス基体に組み込まれて提供されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記ヒーター要素が前記穿孔内に提供されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記ヒーター組立品が穿孔のあるガラス基体2個を備え、また前記ヒーター要素が前記穿孔のあるガラス基体2個の間に提供されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のヒーター組立品。
【請求項10】
エアロゾル発生システムであって、
電池、電気回路およびマウスピースを備える本体と、
交換可能もしくは再充填可能な液体貯蔵部分とを備え、前記液体貯蔵部分が前記本体に取り付け可能なように提供されており、
前記本体が請求項1~
9のいずれか一項に記載のヒーター組立品をさらに備える、エアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記ヒーター要素の加熱によって液体貯蔵部分内のエアロゾル形成基体が気化されうるように、前記液体貯蔵部分が前記本体に取り付けられた時に、前記ヒーター要素が前記液体貯蔵部分に隣接して配置されている、請求項
10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記ヒーター要素が前記本体のマウスピース内に配置されている、請求項
10または
11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
エアロゾル発生システム用のヒーター組立品を製造するプロセスであって、
穿孔のあるガラス基体を提供する工程と、
ヒーター要素をガラス基体内に提供する工程とを含み、
前記穿孔が、1ミクロン~500ミクロンの幅を有し、
前記ガラス基体の前記穿孔間の距離が、1ミクロン~1000ミクロンである、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム用のヒーター組立品、およびこのヒーター組立品を含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池および電気回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジと、電気的に作動する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムが周知である。メッシュヒーターは、気化器として利用されうる。こうしたメッシュヒーターは、例えば、第WO 2015/117702 A1号で開示されており、ここでメッシュヒーターは複数の導電性の金属フィラメントによって提供されている。この従来的なメッシュヒーターは、カートリッジ内の液体貯蔵部分とともに提供されている。カートリッジは、貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が一旦消耗されると、(液体貯蔵部分およびメッシュヒーターと一緒に)廃棄される単回使用カートリッジとして提供されることがよくある。従って、望ましくない廃棄物が生じる。また、繰り返しの使用中にメッシュヒーターの表面上に燃焼残渣が発生することがあり、これはメッシュヒーターのその後の使用において望ましくない燃焼を起こしかねない。
【0003】
掃除が簡単でかつ再使用可能であり、カートリッジのコストを低減するヒーター組立品を提供することが望ましい。また、望ましくない生成物の生成のリスクを低減し、かつ温度によって劣化しないヒーター組立品を提供することが望ましい。その上、カートリッジ毎に、より一貫した性能を達成することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によると、穿孔のあるガラス基体およびヒーター要素を備えるエアロゾル発生システム用のヒーター組立品が提供されており、ここでヒーター要素はガラス基体内またはガラス基体上に提供されている。
【0005】
穿孔のあるガラス製基体を提供することには、多数の利点がある。ガラスは有利にも高い耐熱性を有する。従って、ガラス基体に隣接したヒーター要素が加熱されて、液体エアロゾル形成基体を気化する時に、望ましくない加熱生成物が阻止される。言い換えれば、ガラス基体内またはガラス基体上のヒーター要素は、ガラス基体を損傷することなく、かつ基体またはガラス基体上の燃焼残渣の燃焼によって望ましくない加熱生成物を生成することなく、比較的高い温度に加熱されうる。
【0006】
さらなる利点として、ガラス基体が劣化することなく、多数回の加熱とその後の冷却のプロセスが、ヒーター要素によって実施されうるように、ガラスには温度安定性がある。従って、液体エアロゾル形成基体の気化中にヒーター組立品によって発生するエアロゾルの品質は、ヒーター組立品を繰り返し使用中に、一貫した高い品質に維持されうる。
【0007】
穿孔のあるガラス基体、および好ましくはヒーター要素は、ガラスの有利な表面特性のため、簡単に掃除されうる。より詳細には、ガラス基体がガラス基体の掃除中に損傷や危害を受けないように、ガラスは滑らかで硬い表面を有しうる。燃焼残渣および汚染物は、ガラス基体の表面から簡単に掃除されうる。
【0008】
穿孔のあるガラス基体は、液体エアロゾル形成基体がガラス基体を通って流れて、ヒーター組立品のヒーター要素によって気化されることを可能にするように提供されている。よって、ガラス基体には、液体エアロゾル形成基体がガラス基体を通って流れることを可能にする直径を有する穿孔が提供されている。
【0009】
ガラス基体は、手持ち式システムへの組み入れを可能にする、任意の適切なサイズおよび形状を有する一般的に平坦な要素である。ガラス基体の面積は小さくてもよく、40平方ミリメートル以下、30平方ミリメートル以下または20平方ミリメートル以下であることが好ましい。ガラス基体の厚さは、2ミリメートル以下、1ミリメートル以下または0.5ミリメートル以下としうる。
【0010】
ガラス基体は長方形のまたは円形の形状を有しうる。ガラス基体の形状は、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分の寸法に適合されることが好ましい。
【0011】
一部の実施形態において、ガラス基体の穿孔は、1ミクロン~500ミクロン、好ましくは5ミクロン~250ミクロン、最も好ましくは10ミクロン~150ミクロンの幅を有する。
【0012】
こうした幅を有するガラス基体内に穿孔を提供することによって、適切な量の液体エアロゾル形成基体がガラス基体を通って流れうる。ガラス基体を通って流れうる液体エアロゾル形成基体の量は、ユーザーがエアロゾル発生システムを使用する時に、十分なエアロゾルがヒーター組立品によって発生するように選択される。
【0013】
ガラス基体の穿孔間の距離は、1ミクロン~1000ミクロン、好ましくは5ミクロン~750ミクロン、最も好ましくは10ミクロン~500ミクロンである。
【0014】
穿孔間にこうした距離を提供することによって、ガラス基体が使用中や掃除中に破壊されにくく、および簡単に変形しないように、ガラス基体の寸法安定性が提供されている。その上、上記の幅を有するガラス基体の穿孔間の距離を提供することによって、ガラス基体の表面積が拡大される一方で、ガラス基体およびヒーター組立品の比較的高い寸法安定性が提供されている。
【0015】
ヒーター組立品のガラス基体の15~70パーセント、より好ましくは20~60パーセント、最も好ましくは25~55パーセントは流体透過性でもよい。
【0016】
従って、十分な量の液体エアロゾル形成基体が、気化されるヒーター組立品を通して浸透できる一方、ヒーター組立品は寸法的に安定している。メッシュまたはアレイの形態のヒーター組立品のヒーター要素を提供することによって、液体エアロゾル形成基体の気化に利用されることができる表面積が最適化されうる。
【0017】
ヒーター要素は、液体エアロゾル形成基体を気化するために提供されている。気化された液体エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成し、これがエアロゾル発生システムのユーザーによって吸入されうる。ヒーター要素は、電流によって加熱されうる電気抵抗ヒーターであることが好ましい。ヒーター要素は、アルミニウムまたは銅などの導電性材料でできていることが好ましい。また、その他任意の適切な導電性材料が、ヒーター要素用の材料として使用されることもある。
【0018】
ヒーター要素はガラス基体の表面に提供されうる。ヒーター要素はガラス基体の表面上に直に提供されることが好ましい。ヒーター要素は、被覆または薄膜として、好ましくは金属被覆または金属薄膜として提供されてもよい。
【0019】
ヒーター要素はガラス基体内に提供されてもよい。ヒーター要素は、ヒーター要素がガラス基体によって封入または包囲されるように、ガラス基体に組み込まれうる。ヒーター要素は、2層のガラス基体の間に挟まれた金属被覆または薄い金属箔として提供されうる。ヒーター要素をガラス基体内に封入することによって、またはヒーター要素を2層のガラス基体の間に挟むことによって、ヒーター要素は、環境との接触から、特に液体エアロゾル形成基体との接触から実質的に保護される。液体エアロゾル形成基体は、高温のヒーター要素とは直接接触せず、ガラス基体とのみ接触するため、液体エアロゾル形成基体の気化中または気化後、液体エアロゾル形成基体の燃焼残渣がヒーター要素上で発生する可能性は低い。
【0020】
さらに、金属薄膜の剥離は、被覆されたセラミックヒーター要素で特に、よく観察される問題である。金属ヒーター薄膜を2層のガラス基体の間に挟むことによって、金属薄膜の剥離が効率的に防止されうる。
【0021】
ヒーター要素はガラス基体の全幅にわたり延びうる。発熱体はまた、多数の線状の加熱ストリップとして提供されてもよく、または加熱ストリップのメッシュを形成してもよい。発熱体はまた、代替的または追加的にガラス基体の穿孔の内側に提供されることもある。
【0022】
ヒーター要素が穿孔内にのみ提供される実施形態において、電流がヒーター要素を通って流れ、ヒーター要素を加熱しうるように、ヒーター要素はそれぞれ接触部分を有しうる。ヒーター要素が穿孔内にのみ提供されている場合、液体は穿孔を通過する時に直に加熱される。こうした実施形態において、ガラス基体全体を高温に加熱する必要はない。その代わり、穿孔に引き出される限定的な量の液体のみが一度に加熱される。従って、液体エアロゾル形成基体の蒸発においては、著しく少ないエネルギーが必要であることが予測される。
【0023】
ヒーター組立品には、ガラス基体内またはガラス基体上に提供される発熱体と接触するための導電性接触領域が提供されている。接触領域は、ガラス基体の周辺部に提供されてもよく、制御ユニットとエアロゾル発生システムの電源への電気接点を確立するよう適合されうる。
【0024】
本発明の第二の態様によると、上述の通り、本体およびヒーター組立品を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。一部の実施形態において、本体はヒーター組立品を備えうる。本体は、電池、電気回路、マウスピースをさらに備えうる。その上、エアロゾル発生システムは、交換可能または再充填可能な液体貯蔵部分を収容するよう適合されうる。液体貯蔵部分は本体に取り付け可能なように提供されうる。本体は、ユーザーがエアロゾル発生システムを吸う時に検出するセンサー、好ましくは流れセンサーを備えうる。この検出に続き、電気回路は、電池からヒーター要素を通って流れる電流を制御する。
【0025】
ヒーター組立品は、本体の一体型の部品として提供されてもよい。エアロゾル発生システムは、組み立てられた状態で、ヒーター組立品が液体貯蔵部分に隣接して位置し、かつ流体連通するように構成されている。
【0026】
液体貯蔵部分は、使用前に適切な封止要素によって封止されうる開口部を有するハウジングを備えてもよい。封止要素は、液体貯蔵部分をエアロゾル発生システムに挿入する前に、または挿入した後に、ユーザーによって除去されることができる箔としうる。液体貯蔵部分は液体エアロゾル形成基体をさらに含み、この液体エアロゾル形成基体は液体貯蔵部分内に提供された毛細管要素に完全にまたは部分的に吸収されうる。毛細管要素は、液体貯蔵部分のハウジングの開口部のすぐ近くににある、液体貯蔵部分内に配置されることが好ましい。
【0027】
エアロゾル発生システムに挿入する時、液体貯蔵部分の開口部は、液体貯蔵部分の毛細管要素がヒーター組立品と直接接触するように、ヒーター組立品に隣接して位置する。このようにして、液体エアロゾル形成基体が、液体貯蔵部分から毛細管要素を通ってヒーター組立品に向けて運ばれうることを確実にする。従って、ヒーター要素は液体エアロゾル形成基体で加湿される。
【0028】
適切な毛細管材料は、海綿状または繊維質の構造を有しうる。これは、液体エアロゾル形成基体が毛細管作用によって液体貯蔵部分からヒーター組立品に運ばれることを可能にする。毛細管材料は、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分から漏れるのを防止しうる。
【0029】
液体貯蔵部分はカートリッジの一部でもよく、ここでカートリッジは液体貯蔵部分およびマウスピースを備える。カートリッジは、液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体が消耗された時に廃棄される単回使用カートリッジとして提供されてもよい。別の方法として、液体貯蔵部分は再充填可能な液体貯蔵部分でもよい。
【0030】
マウスピース部分は、ヒンジによる接続によって、装置の本体に接続されうる。これは、マウスピース部分と本体が一緒にあることを確実にし、ユーザーがマウスピース部分または本体の一方を失う可能性を低減する。また、装置への液体貯蔵部分の簡単な挿入、および装置からのカートリッジの取り外しを可能にする。マウスピース部分は、留め金機構によって閉位置に保持されうる。留め金機構が解除ボタンを備えており、解除ボタンが押された時にマウスピース部分を解除するように構成されうる。マウスピース部分は、磁石式留め具などのその他の機構によって、または双安定型のヒンジ機構を使用して閉位置に保持されてもよい。しかし、ねじ式の取付またはスナップ式の装着など、マウスピース部分を本体に接続するその他の手段が可能である。
【0031】
マウスピース部分は空気吸込み口および空気出口を含むことができ、ユーザーが空気出口を吸って、マウスピース部分を通して空気吸込み口から空気出口へと空気を引き出すことを可能にするように構成されうる。マウスピース部分は、マウスピース部分を通して空気吸込み口から空気出口へと、カートリッジ内の気化器を通過して引き出される空気を方向付けるように構成されたバッフルを含みうる。すべての気流をマウスピース部分内に保つことによって、本体の設計を非常に単純なものにできる。これはまた、長く使用した後で装置のマウスピース部分のみを掃除または交換する必要があることを意味する。しかし、その他の気流パターンが可能であること、および装置内での液体貯蔵部分のその他の向きが可能であることは明白である。
【0032】
ヒーター要素は本体のマウスピース内に配置されてもよい。本体のマウスピース内にヒーター要素を提供することによって、ヒーター要素は、液体貯蔵部分が本体に接続されている時に、液体貯蔵部分に直に隣接して提供されている。こうして、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分からヒーター要素に簡単に運ばれ、その後マウスピースを通してユーザーによって吸入されうる。
【0033】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生システム用のヒーター組立品を製造するためのプロセスが提供されている。プロセスは、穿孔のあるガラス基体を提供する工程と、ヒーター要素をガラス基体内またはガラス基体上に提供する工程とを含む。
【0034】
穿孔のあるガラス基体は、相分離プロセス、焼結プロセスまたはゾルゲルプロセスによって製造され、提供されうる。
【0035】
ヒーター要素がガラス基体上に提供される時、ヒーター要素は導電性の薄膜として提供されてもよい。従って、ガラス基体は、ヒーター要素がガラス基体の表面上に直に提供されるように、ヒーター要素で被覆される。結果として、ヒーター要素はガラス基体と実質的に同一の寸法で提供されうる。言い換えれば、ヒーター要素は、ガラス基体に関連して上述した通り、実質的に同一の寸法を有する穿孔を含みうる。その上、ヒーター要素は、ガラス基体に関連して上述した通り、流体透過性であってもよい。
【0036】
ヒーター要素がガラス基体内に提供される時、ガラス基体の第一の部分が提供されることが好ましい。次に、ヒーター要素がガラス基体の第一の部分上に、好ましくは薄膜として提供されている。その後、ガラス基体の第二の部分が第一の部分上、およびヒーター要素上に提供されている。こうして、ガラス基体の第一の部分と第二の部分は一緒に、ヒーター要素を封止または包囲する。ヒーター要素の接触部分のみが、ガラス基体によって封止されないことが好ましい。言い換えれば、ヒーター要素はガラス基体の第一の部分と第二の部分の間に挟まれうる。ガラス基体の穿孔内において、液体エアロゾル形成基体が穿孔内で気化されうるように、ヒーター要素は露出されてもよい。より詳細には、ヒーター要素は、穿孔内の液体エアロゾル形成基体とのみ直接接触するように、ガラス基体の第一の部分と第二の部分の間に挟まれうる。従って、ヒーター要素は、穿孔内の液体エアロゾル形成基体に直接露出されうる一方、ヒーター要素の残りの部分は、ガラス基体の第一の部分と第二の部分によって液体エアロゾル形成基体から分離される。
【0037】
一態様に関して説明される特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0038】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明のヒーター組立品の三つの実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本発明のヒーター組立品の実施形態の穿孔を示す。
【
図3】
図3は、液体貯蔵部分を有する本発明のヒーター組立品の実施形態の断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明によるエアロゾル発生システムの一実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明のヒーター組立品の三つの実施形態を示す。ヒーター組立品は、穿孔のあるガラス基体10およびヒーター要素12、14、16を備える。
【0041】
ガラス基体10は、5×5平方ミリメートルのサイズおよび1ミリメートルの厚さを有する、一般に平坦な長方形の要素である。小さい貫通孔または穿孔18は、ガラス基体10の表面全体に規則的なパターンで提供されている。穿孔18は、50ミクロンの幅を有し、相互に50ミクロン離れて分離されている。
【0042】
発熱体12、14、16は、穿孔18の間に提供されている。
図1aにおいて、発熱体12、14、16は、導電性の金属薄膜の平行な細片16として、交互の穿孔18の列の間に提供されている。
【0043】
図1bにおいて、発熱体12、14、16は、加熱用メッシュまたは加熱用グリッドを形成する導電性の金属薄膜の平行な細片および横断する細片14の形態で提供されており、ここでメッシュのそれぞれのセルは一つの穿孔18を含む。
【0044】
図1cにおいて、発熱体12、14、16は、穿孔18を囲むガラス基体10の表面上に提供された一様な薄膜12の形態で提供されている。
【0045】
図2は、単一の穿孔18の拡大図である。
図2において図示した通り、金属製の加熱用薄膜はまた、穿孔18の周囲内に延びてもよい。
【0046】
図1および
図2において、ヒーター要素12、14、16は、ガラス基体10の表面上に提供されている。別の方法として、ヒーター要素12、14、16はまた、ガラス基体10内に提供されてもよい。ヒーター要素12、14、16をガラス基体10内に提供する一つの方法は、ヒーター要素12、14、16を2層のガラス基体10、10aの間に挟むことである。ヒーター要素12、14、16が穿孔18の周辺に完全に延びない実施形態において、ヒーター組立品は、ヒーター要素12、14、16と液体エアロゾル形成基体との間の接触が避けられうるか、または少なくとも実質的に低減されるように構成されうる。
【0047】
使用時に、穿孔のあるヒーター組立品は、
図3に図示した通り、液体貯蔵部分20と接触するようになる。液体貯蔵部分20は、ヒーター組立品と接触する毛細管材料を備えることができて、これは液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分20から毛細管要素を通ってヒーター組立品へと運ばれることを確実にする。従って、ヒーター要素12、14、16は常に、液体エアロゾル形成基体で加湿される。ヒーター要素12、14、16に電力がかかると、ヒーター組立品が加熱され、液体エアロゾル形成基体が蒸発されて、ユーザーによって吸引されうるエアロゾルを最終的に形成する。
【0048】
図4は、本体22を備えるエアロゾル発生システムを示す。本体22は、電気回路24および電池26を備える。その上、本体22は上述の通り、ヒーター組立品を備える。電池26は、ヒーター要素12、14、16の接触部分によって、ヒーター要素12、14、16に電気的に接続されている。電気回路24は、ユーザーがエアロゾル発生システムを起動した時にヒーター要素12、14、16が加熱されるように、電池26からヒーター要素12、14、16への電流の流れを制御する。エアロゾル発生システムを起動するために、エアロゾル発生システムは、ユーザーがエアロゾル発生システムを吸う時を検出する流れセンサーを備えうる。
【0049】
図4において、ヒーター要素12、14、16は、マウスピース28内に配置されている。マウスピース28は本体22の一部として提供されている。マウスピース28はヒンジ接続によって本体22に接続されており、
図4に示す開位置と閉位置の間で移動可能である。マウスピース部分28は、液体貯蔵部分20の挿入および取り外しを可能にするように開位置に定置され、またエアロゾルを発生するためにシステムが使用される時に閉位置に定置される。マウスピース28は、複数の空気吸込み口30および空気出口32を備える。使用時に、ユーザーは出口32で吸引または吸煙をして、空気吸込み口30からマウスピース28を通して出口32に空気を引き出し、その後空気はユーザーの口または肺に入る。内部バッフル34は、マウスピース28を通して液体貯蔵部分20を通過する空気の流れを強制するために提供されている。マウスピース28の外壁と一体型で成形されている内部バッフル34は、空気が吸込み口30から出口32に引き出されるにつれ、液体エアロゾル形成基体が気化されているヒーター組立品を越えて流れることを確実にする。空気がヒーター組立品を通過するにつれ、気化された基体は気流に混入し、出口32から出る前に冷却されてエアロゾルを形成する。従って、使用時に、エアロゾル形成基体は気化されるにつれ、ガラス基体10内の穿孔18およびヒーター要素12、14、16を通過することによって、ヒーター組立品を通過する。
【0050】
液体貯蔵部分20は、液体エアロゾル形成基体を収容する。液体貯蔵部分20は交換可能である。液体貯蔵部分20は、液体貯蔵部分20内の液体エアロゾル形成基体が枯渇すると交換される。
【0051】
エアロゾル発生システムは、マウスピース28を吸うユーザーによる負の圧力を感知する本体22内のセンサーによって起動されうる。その後、電気回路24は、電池26からヒーター組立品のヒーター要素12、14、16への電流の流れを制御する。
【0052】
液体貯蔵部分20は、液体貯蔵部分20が本体22に挿入される前に除去されるシール用箔36を備える。シール用箔36は、液体貯蔵部分20が本体22に完全に挿入され、かつマウスピース28が枢動して閉位置に戻る前に、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分20から漏れるのを防止する。
【0053】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことによって、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。
【符号の説明】
【0054】
10、10a ガラス基体
12、14、16 ヒーター要素
18 穿孔
20 液体貯蔵部分
22 本体
24 電気回路
26 電池
28 マウスピース
30 空気吸込み口
32 空気出口
34 内部バッフル
36 シール用箔