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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ボーディングブリッジの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/305 20060101AFI20230731BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B64F1/305
G01B11/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019078105
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020175728
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】沖 欣起
(72)【発明者】
【氏名】古賀 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】寺本 和法
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012648(WO,A1)
【文献】特開2016-225713(JP,A)
【文献】特開2018-187982(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096773(WO,A1)
【文献】特開2002-029350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部を備えるボーディングブリッジの制御システムであって、
前記航空機に設けられた第1の特徴部及び第2の特徴部を同一画像内に収めた第1撮像画像を取得するための第1撮像部と、
前記第1撮像部とは異なる位置に設けられ、前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部を同一画像内に収めた第2撮像画像を取得するための第2撮像部と、
前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像を取得する通信部と、
前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像を用いて、所定の直交座標系における前記乗降口の位置に関連付けられた目標点の位置を算出する目標位置算出部と、
前記所定の直交座標系における前記ヘッド部の位置を算出するヘッド位置算出部と、
前記目標位置算出部によって算出された前記目標点の位置と、前記ヘッド位置算出部によって算出された前記ヘッド部の位置とに基づいて、前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置及び相対角度の少なくとも一方を算出する相対位置算出部と
を具備し、
前記目標位置算出部は、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部との位置関係に基づいて設定された変換パラメータを用いて、前記第2撮像部によって撮像された前記第2撮像画像の視点変換を行い、第3撮像画像を生成する画像変換部と、
前記第3撮像画像と前記第1撮像画像とにそれぞれ含まれる前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部から所定の前記直交座標系における前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部の座標を算出し、算出した前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部の座標から前記目標点の座標を算出する座標算出部と
を具備するボーディングブリッジの制御システム。
【請求項2】
前記変換パラメータは、前記第1撮像部と前記第2撮像部との位置関係が既知とされた仮想の撮像部である仮想撮像部を想定し、前記仮想撮像部と前記第2撮像部との位置関係に基づいて設定されている請求項に記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項3】
前記目標位置算出部は、
前記第1撮像画像に含まれる前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部と、前記第3撮像画像に含まれる前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部との特徴差分が所定の許容範囲内となるまで前記仮想撮像部の位置を調整し、調整後の前記仮想撮像部の位置を用いて前記変換パラメータを変更するパラメータ調整部を備え、
前記画像変換部は、最新の前記変換パラメータを用いて前記第2撮像画像の視点変換を行う請求項に記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項4】
前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御する請求項1からのいずれかに記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項5】
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、エプロンに駐機された前記航空機との位置関係が既知である物体に設けられている請求項1からのいずれかに記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項6】
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、ターミナル建物に設けられている請求項1からのいずれかに記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項7】
前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記ヘッド部の操縦をガイダンスするためのガイダンス部を備える請求項1からのいずれかに記載のボーディングブリッジの制御システム。
【請求項8】
前記ヘッド部を駆動する駆動部の状態を検出する検出部と、
前記航空機の乗降口を含む画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記検出部によって検出された前記駆動部の状態と、前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記検出部によって検出された前記駆動部の状態を維持したまま、前記ヘッド部が前記航空機に到達したと仮定したときの前記ヘッド部の設置位置を推測する推測部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記推測部によって推測された前記ヘッド部の前記設置位置を前記画像に重ね合わせて前記表示部に表示させる請求項1からのいずれかに記載のボーディングブリッジの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーディングブリッジの制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機とターミナル建物を結ぶ可動式のボーディングブリッジ(搭乗橋)では、航空機の乗降口と、ボーディングブリッジのヘッドの開口部を接続するため、オペレータが手動で各装置を操作することが一般的である。
【0003】
ボーディングブリッジの操作には、走行装置によってヘッド及びトンネルを航空機側へ移動させるだけでなく、ヘッドの旋回方向、高さ位置、水平方向の位置及びヘッドの床の傾斜角度など複数項目の調整を短時間で行う必要がある。したがって、オペレータの操作には熟練度を要する。そこで、ボーディングブリッジの動作を自動化することが試みられている。例えば、予め記憶された位置データを目標にして、その位置まで自動で移動させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-43900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、上述したとおり、ボーディングブリッジの操作には、複数項目があり、移動動作以外にも自動化されることが望まれている。しかし、実際には、航空機の停止位置が基準に対してずれている。また、積載荷重が異なるため航空機の高さ位置に幅がある。そのため、予め記憶されたデータを目標にして、ヘッドの旋回方向、高さ位置及びヘッドの床の傾斜角度についても自動的に調整することは困難である。
【0006】
上記特許文献1には、オペレータがボーディングブリッジのヘッド部に設けられたカメラの位置を航空機扉に合わせることによって、ボーディングブリッジを航空機扉へ自動接機させる技術が開示されている。しかし、カメラの向きをパン方向、チルト方向及びロール方向に変更して航空機の扉を捉える必要があり、照準点を合わせる操作も容易ではない。また、カメラにはカメラの方向を検出するセンサを設け、かつ、カメラを自在に駆動させる駆動装置を設ける必要がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、接続対象の航空機の乗降口に対するヘッド部の位置を簡易に算出することのできるボーディングブリッジの制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部を備えるボーディングブリッジの制御システムであって、前記航空機に設けられた第1の特徴部及び第2の特徴部を同一画像内に収めた第1撮像画像を取得するための第1撮像部と、前記第1撮像部とは異なる位置に設けられ、前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部を同一画像内に収めた第2撮像画像を取得するための第2撮像部と、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像を取得する通信部と、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像を用いて、所定の直交座標系における前記乗降口の位置に関連付けられた目標点の位置を算出する目標位置算出部と、前記所定の直交座標系における前記ヘッド部の位置を算出するヘッド位置算出部と、前記目標位置算出部によって算出された前記目標点の位置と、前記ヘッド位置算出部によって算出された前記ヘッド部の位置とに基づいて、前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置及び相対角度の少なくとも一方を算出する相対位置算出部とを具備するボーディングブリッジの制御システムである。
【0009】
この構成によれば、第1撮像部によって取得された第1撮像画像及び第2撮像部によって撮像された第2撮像画像にそれぞれ含まれる第1の特徴部及び第2の特徴部の位置に基づいて、目標位置算出部によって、乗降口の位置に関連付けられた目標点の位置が算出される。また、その一方で、ヘッド位置算出部により、ヘッド部の位置が算出される。そして、目標位置とヘッド部の位置とに基づいて、乗降口に対するヘッド部の相対位置及び相対角度の少なくとも一方が相対位置算出部によって算出される。
このように、乗降口に対するヘッド部の相対位置及び相対角度の少なくとも一方を算出することにより、自動的にヘッド部を乗降口に到達させたり、オペレータによるヘッドの操縦を支援することが可能となる。
【0010】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記目標位置算出部は、前記第1撮像部及び前記第2撮像部との位置関係に基づいて設定された変換パラメータを用いて、前記第2撮像部によって撮像された前記第2撮像画像の視点変換を行い、第3撮像画像を生成する画像変換部と、前記第3撮像画像と前記第1撮像画像とにそれぞれ含まれる2つの前記特徴部から所定の前記直交座標系における前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部の座標を算出し、算出した前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部の座標から前記目標点の座標を算出する座標算出部とを備えていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、第1撮像部及び第2撮像部の設置位置の相対関係に基づいて設定された変換パラメータを用いて第2撮像画像の視点変換が行われて、第3撮像画像が生成される。そして、この第3撮像画像と第1撮像画像とにそれぞれ含まれている第1の特徴部及び第2の特徴部の位置から所定の直交座標系における第1の特徴部及び第2の特徴部の座標がそれぞれ算出され、算出された前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部の座標から乗降口に仮想的に設けられた目標点の座標が算出されることとなる。
【0012】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記変換パラメータは、前記第1撮像部と前記第2撮像部との位置関係が既知とされた仮想の撮像部である仮想撮像部を想定し、前記仮想撮像部と前記第2撮像部との位置関係に基づいて設定されていてもよい。
より具体的には、前記第1撮像部と垂直方向に並んで設けられた仮想撮像部を想定することとしてもよい。
【0013】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記目標位置算出部は、前記第1撮像画像に含まれる前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部と、前記第3撮像画像に含まれる前記第1の特徴部及び前記第2の特徴部との特徴差分が所定の許容範囲内となるまで前記仮想撮像部の位置を調整し、調整後の前記仮想撮像部の位置を用いて前記変換パラメータを変更するパラメータ調整部を備え、前記画像変換部は、最新の前記変換パラメータを用いて前記第2撮像画像の視点変換を行うこととしてもよい。
【0014】
このような構成によれば、第1撮像画像に含まれる第1の特徴部及び第2の特徴部と第3撮像画像に含まれる第1の特徴部及び第2の特徴部との特徴差分が所定の許容範囲内となるまで変換パラメータが調整されるので、目標点の位置の算出精度を向上させることが可能となる。
【0015】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部を更に備え、前記駆動制御部は、前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御することとしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、算出された乗降口に対するヘッド部の上下又は左右の相対位置又は相対角度に基づいて、ヘッド部の駆動が制御される。これにより、例えば、ヘッド部の旋回方向、高さ位置、水平方向の位置又はヘッド部の床の傾斜角度を、停止している航空機の乗降口に合わせることが可能となる。
【0017】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、エプロンに駐機された前記航空機との位置関係が既知である物体に設けられていてもよい。
【0018】
上記ボーディングブリッジの制御システムにおいて、前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、ターミナル建物に設けられていてもよい。
【0019】
上記ボーディングブリッジの制御システムは、前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記ヘッド部の操縦をガイダンスするためのガイダンス部を更に備えていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、オペレータによるヘッド部の操縦を支援することが可能となり、オペレータの負担を軽減することが可能となる。
【0021】
上記ボーディングブリッジの制御システムは、前記ヘッド部を駆動する駆動部の状態を検出する検出部と、前記航空機の乗降口を含む画像を表示部に表示させる表示制御部と、前記検出部によって検出された前記駆動部の状態と、前記相対位置算出部によって算出された前記乗降口に対する前記ヘッド部の相対位置に基づいて、前記検出部によって検出された前記駆動部の状態を維持したまま、前記ヘッド部が前記航空機に到達したと仮定したときの前記ヘッド部の設置位置を推測する推測部とを更に備え、前記表示制御部は、前記推測部によって推測された前記ヘッド部の前記設置位置を前記画像に重ね合わせて前記表示部に表示させることとしてもよい。
【0022】
この構成によれば、航空機の乗降口を含む画像が表示部に表示される。また、検出部によって検出された駆動部の状態と、相対位置算出部によって算出された乗降口に対するヘッド部の上下又は左右の位置に基づいて、検出部によって検出された駆動部の状態を維持したまま、ヘッド部が航空機に到達したと仮定したときのヘッド部の設置位置が推測される。そして、推測部によって推測されたヘッド部の設置位置が航空機の乗降口を含む画像に重畳されて表示部に表示される。
例えば、前記表示制御部は、前記第1撮像画像又は前記第2撮像画像又は前記第1撮像画像と前記第2撮像画像を視点変換した第3撮像画像とを合成した合成画像を前記画像として前記表示部に表示させてもよい。また、表示部に表示させる前記画像は、他の撮像手段によって撮像されたカメラ画像であってもよいし、シミュレーション画像であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、接続対象の航空機の乗降口に対するヘッド部の位置を簡易に算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジを示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジを示す縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る航空機の乗降口付近に設定された特徴点及び目標点について説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る第1撮像画像の一例を示した図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る第2撮像画像の一例を示した図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る制御装置が備える機能を模式的に示した機能ブロック図である。
図8図7に示した目標位置算出部の構成を示した図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る第1カメラ、第2カメラ、仮想カメラの位置関係を説明するための図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る変換パラメータについて説明するための図である。
図11図5に示した第2撮像画像から生成された第3撮像画像の一例を示した図である。
図12】本発明の第1実施形態に係るパラメータ調整部によって実行される処理について説明するための図である。
図13】XZ平面における特徴点の傾斜角度について説明するための図である。
図14図7に示した相対位置算出部及び駆動制御部の構成を示した図である。
図15】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
図16】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
図17】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
図18】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
図19】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジの制御手順の一例を示したフローチャートである。
図20】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジの制御手順の一例を示したフローチャートである。
図21】本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジが備える構成を示したブロック図である。
図22】本発明の第2実施形態に係る合成画像の一例を示した図である。
図23】本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジの制御手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジの制御システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態に係るボーディングブリッジの制御システムは、例えば、後述する第1カメラ42a、第2カメラ42b、及び制御装置10を主な構成として備えるものである。
【0026】
本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビルと航空機との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。
ボーディングブリッジ1は、航空機到着前の接続準備のための待機位置と、航空機と接続されるときの接続位置との間で移動する。
【0027】
ボーディングブリッジ1は、図1及び図2に示すように、ターミナルビルへ通じる固定橋に固定して設けられるロタンダ2と、ロタンダ2に対して水平方向及び垂直方向に回動可能に接続されている基端トンネル3と、基端トンネル3の先端側(航空機側)で、入れ子式に基端トンネル3の外側に嵌合され、移動可能な先端トンネル4と、先端トンネル4の先端部に固定されたヘッド5などを備える。なお、ボーディングブリッジ1のロタンダ2、基端トンネル3、先端トンネル4及びヘッド5の内部には、乗客が通行する通路がロタンダ2からヘッド5に向けて設置される。
【0028】
ロタンダ2の下部には、固定脚6が地面に固定して設置される。先端トンネル4の長手方向先端側には、可動脚7が設けられる。ボーディングブリッジ1は、固定脚6と可動脚7とによって支持される。基端トンネル3、先端トンネル4及びヘッド5は、可動脚7によって移動可能な通路部205を構成する。なお、ロタンダ2は、ターミナルビルによって支持されて、下部に固定脚6が設置されない場合もある。
【0029】
先端トンネル4の中空部の横断面積は、基端トンネル3の横断面積よりも大きい。先端トンネル4は、基端トンネル3の外周面に沿って移動する。先端トンネル4が航空機の駐機側へ移動することで通路部205の全長が伸長し、先端トンネル4がロタンダ2側へ移動することで通路部205の全長が収縮する。なお、本実施形態に係るトンネル部は、基端トンネル3と先端トンネル4の二つのトンネルの組み合わせに限定されず、三つ以上のトンネルが連結されて、2段以上の伸縮機構を有するものでもよい。
【0030】
基端トンネル3は、ロタンダ2に対して、ロタンダ2に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、基端トンネル3は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。
【0031】
先端トンネル4は、可動脚7に設けられた走行駆動部9が駆動して可動脚7が移動することによって、基端トンネル3または先端トンネル4の長手方向及び左右方向に移動可能とされている。
【0032】
走行駆動部9は、モータで駆動する車輪11と、車輪11が設置された台車12とを有している。例えば、図2に示すように、2輪で1対の車輪11が台車12に設置されている。2輪の車輪11は互いに連結され、鉛直方向に平行な回転軸13を中心にして旋回可能である。
【0033】
走行駆動部9の走行速度は、車輪11の回転速度を変更することによって調整可能である。車輪11における先端トンネル4の長さ方向に対する旋回角度(ステアリング角度)は、2輪の車輪11のそれぞれの回転速度の差、及び、2輪の車輪11のそれぞれの回転方向(正転又は逆転)を変更することによって調整可能である。
【0034】
基端トンネル3は、ロタンダ2に設けられた水平方向に平行な回動軸周りに回動可能である。可動脚7には、昇降駆動部14(図14参照)が設けられる。昇降駆動部14は、例えばモータとボールねじであり、先端トンネル4及びヘッド5の高さを変更する。昇降駆動部14によって、可動脚7の高さが調整され、基端トンネル3,先端トンネル4及びヘッド5が、回動軸を中心にして上下方向に回動することによって、航空機の高さに応じて傾斜される。
【0035】
このようにボーディングブリッジ1が伸縮したり、ロタンダ2に設けられた回動軸を中心にして左右方向及び上下方向に回動したりするため、航空機の駐機状態に応じて、ボーディングブリッジ1を航空機に対して適切に接続することができる。
【0036】
ヘッド5は、先端側に開口が形成され、先端側が航空機の乗降口に接続される。ヘッド5の内部には、ボーディングブリッジ1の走行駆動部9の駆動を開始させたり、走行駆動部9の車輪11の走行方向(ステアリング角度)を操作したりするための操作盤80が設けられている。
【0037】
ヘッド5は、先端トンネル4に対して、ヘッド5に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、ヘッド5は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。ヘッド5には、旋回駆動部15(図14参照)が設けられる。旋回駆動部15は、先端トンネル4に対するヘッド5の旋回角度を変更する。
【0038】
また、ヘッド5には、調整床(アジャスタブルフロア)8と、調整床駆動部16(図14参照)が設置される。調整床駆動部16は、例えば、油圧シリンダである。調整床駆動部16は、調整床8を駆動して、調整床8の水平度を調整可能である。調整床8は、例えば、ヘッド5の開口部の縁部に対して斜め方向のヒンジ部を有する板材であり、ヘッド5の固定床に対する調整床8の角度を変更することによって、航空機のヘッド5の床の水平度を調整できる。なお、調整床8の構成は上述した例に限定されない。
【0039】
また、ヘッド5には、NSS受信機18が設置される。NSS受信機18は、航法衛星システム(NSS:Navigation Satellite System)で用いられる航法衛星から送信される電波を受信する。これにより、NSS受信機18によって、NSS受信機18が設置された位置に関する位置情報が取得される。本実施形態で使用される航法衛星システム(NSS)は、全地球航法衛星システム(例えばGPS等)でもよいし、地域航法衛星システム(例えばQZSS等)でもよい。なお、NSS受信機18は、先端トンネル4又は可動脚7に設けられてもよい。NSS受信機18は、航法衛星から電波を受信やすい先端トンネル4、ヘッド5又は可動脚7の上面に設置されることが望ましい。
【0040】
ロタンダ2と接続されるターミナルビルには、第1カメラ(第1撮像部)42a及び第2カメラ(第2撮像部)42bが設置される。第1カメラ42a及び第2カメラ42bの各々は、接続対象の航空機200に設けられた第1の特徴部と第2の特徴部とを撮像する。本実施形態では、第1の特徴部及び第2の特徴部の一例として、図3に示すような2つの特徴点P1、P2を例示して説明する。
【0041】
なお、第1の特徴部及び第2の特徴部は、図3に示した特徴点P1(例えば、第1の特徴部)、特徴点P2(例えば、第2の特徴部)に限定されない。例えば、第1の特徴部及び第2の特徴部のそれぞれは、航空機200に必ずしも設けられている必要はなく、目標点Ptとの位置が既知の関係であり、かつ、ヘッド5を乗降口201に接続させる際に、第1カメラ42a、第2カメラ42bによって撮像可能な位置に設けられていればよい。第1の特徴部及び第2の特徴部は、例えば、航空機200の機首、車輪、または翼等にマークとして設けられていてもよいし、機首や車輪を特徴部自体として取り扱うこととしてもよい。また、第1の特徴部を機首に、第2の特徴部を車輪に設けることとしてもよい。また、航空機の構成部材または該構成部材に描かれた模様(例えば、1本線)の一端部を第1の特徴部とし、他端部を第2の特徴部としてもよい。
【0042】
一例として、第1の特徴部及び第2の特徴部は、窓枠上、ドア枠上に設けられていてもよいし、航空機に設けられた模様の線による交点や、ドア枠下に設けられたプレートの左右端部に設けられていてもよい。また、模様もどのようなものでもよく、例えば、四角形、三角形の他、複雑な形状等のものでもよい。
また、本実施形態では、2つの特徴部を設けているが、特徴部の数についてはこの例に限定されず、2つ以上の特徴部が設けられていてもよい。
【0043】
第1カメラ42aは、ターミナルビルにおいて、例えば、図3に示したように、接続対象の航空機200に設けられた2つの特徴点P1、P2を少なくとも同一画像内に撮像可能な位置に取り付けられている。図4は、第1カメラ42aによって取得される第1撮像画像G1の一例を示した図である。
【0044】
第2カメラ42bは、ターミナルビルにおいて第1カメラ41aと異なる位置に設けられるとともに、図3に示した航空機200に設けられた2つの特徴点P1、P2を少なくとも同一画像内に撮像可能な位置に取り付けられている。図5は、第2カメラ42bによって取得される第2撮像画像G2の一例を示した図である。図5に一例として示した第2撮像画像G2には、乗降口201の下縁部201aが含まれているが、この下縁部201aについては、必ずしも同一画像内に含まれる必要はない。なお、図5に示されている目標点Ptは、乗降口201の下縁部201aに仮想的に設定された基準となる点であり、この目標点Ptが航空機200にマーカ等によって記されているわけではない。
【0045】
なお、本実施形態において、第1カメラ42a及び第2カメラ42bは、ターミナルビルに設けられている場合を想定しているが、必ずしもこの例に限定されず、他の場所に設けられていてもよい。この場合、第1カメラ42a及び第2カメラ42bは、エプロンに駐機している航空機200との位置関係が固定されている物体に取り付けられることが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態においては、特徴点P1、P2は、図3に示すように、乗降口201の下方に所定の距離をあけて設けられ、更に、特徴点P1、P2を結ぶ線分202が乗降口201の下縁部201aと平行になるように、特徴点P1、P2が設けられている場合を例示して説明する。このように特徴点P1、P2を設定することで、特徴点P1、P2の座標位置から下縁部201aの水平方向における傾きについても後述する目標位置算出部40(図7参照)によって容易に算出することが可能となる。
【0047】
第1カメラ42a及び第2カメラ42bによって取得された第1撮像画像G1及び第2撮像画像G2は、後述する制御装置10の総合判断部20に送信される。
【0048】
第1カメラ42a、第2カメラ42bのそれぞれは、2次元データの静止画又は動画を取得する撮像装置でもよいし、複数のカメラによる撮像データから3次元データを取得することが可能なステレオカメラでもよい。
【0049】
図6は、ボーディングブリッジ1を制御する制御装置10のハードウェア構成の一例を示した図である。制御装置10は、例えば、CPU(中央演算処理装置)101、補助記憶装置102、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置103、外部の機器と通信を行うことにより情報の授受を行う通信装置104、キーボードやマウスなどの入力部105、及びディスプレイ等の出力部106等を備えている。補助記憶装置102は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0050】
後述する各部の機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で補助記憶装置102に記憶されており、このプログラムをCPU101が主記憶装置103に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
なお、プログラムは、上述した補助記憶装置102に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0051】
図7は、制御装置10が備える機能を模式的に示した機能ブロック図である。図7に示すように、制御装置10は、総合判断部20と、駆動制御部30とを備えている。
総合判断部20は、例えば、通信部25、目標位置算出部40、ヘッド位置算出部50、及び相対位置算出部60を備えている。
ここで、制御装置10は、ボーディングブリッジ1に設けられていてもよいし、ターミナルビル等のように、ボーディングブリッジ1以外の場所に設けられていてもよいし、クラウド上に設けられていてもよい。このように、制御装置10の設置場所については特に限定されない。
【0052】
通信部25は、例えば、ターミナルビルに設けられた第1カメラ42a及び第2カメラ42bと相互通信が可能な構成とされ、第1カメラ42aによって取得された第1撮像画像G1及び第2カメラ42bによって取得された第2撮像画像G2を受信し、目標位置算出部40に出力する。
目標位置算出部40は、第1カメラ42aによって撮像された第1撮像画像G1及び第2カメラ42bによって撮像された第2撮像画像G2を画像処理し、航空機の乗降口201に仮想的に設けられた目標点Ptの座標位置を算出する。
【0053】
目標位置算出部40は、例えば、図8に示すように、画像変換部41、パラメータ調整部42、及び座標算出部43を備えている。
以下、各部によって実行される処理について説明する。なお、以下の説明において、図9に示すように、第1カメラ42aの基準点を原点とし、原点を通り垂直方向に延びる座標軸をY軸、原点を通り水平方向に延びる座標軸をX軸、原点を通りXY平面に垂直な座標軸をZ軸と規定する。
【0054】
画像変換部41は、第2カメラ42bによって取得された第2撮像画像G2を視点変換処理し、第3撮像画像G3を生成する。
第3撮像画像G3は、例えば、図9に示すように、第1カメラ42aと同じZ軸座標上に配置され、第1カメラ42aと同じ画角で撮像する仮想カメラ42cを想定し、第2カメラ42bによって撮像された第2撮像画像G2をあたかも仮想カメラ42cから撮像した画像のように変換することにより生成される画像である。ここで、仮想カメラ42cの配置については、第1カメラ42aと第2カメラ42bとの位置関係が既知であればよく、必ずしも第1カメラ42aと同じZ軸座標上に配置されていなくてもよい。
【0055】
ここで、図9に示すように、第2カメラ42bと仮想カメラ42cとのX軸方向における距離を「H」、第2カメラ42bと仮想カメラ42cとのY軸方向における距離を「V」、第1カメラ42aと仮想カメラ42cとのY軸方向における距離を「L」と定義する。また、図示されていないが、第1カメラ42aと第2カメラ42bとのZ軸方向における距離を「D」と定義する。
【0056】
このような位置関係において、画像変換部41は、第2撮像画像G2の各ピクセルを仮想カメラ42cを基準とした第2カメラ42bの角度で回転させ、更に、回転後の第2撮像画像の各ピクセルを第2カメラ42bから仮想カメラ42cの位置まで平行移動させることにより、第3撮像画像G3を生成する。
具体的には、画像変換部41は、視点変換処理を行うための変換パラメータ(角度α、β、γ及び距離H、V)を予め保有しており、これらの変換パラメータα、β、γ、H、Vを用いて第2撮像画像G2を視点変換処理することにより、第3撮像画像G3を得る。
【0057】
図10は、XYZ座標軸上における第2撮像画像G2の回転角の一例を示した図である。変換パラメータの角度αは、X軸方向に対する第2カメラ42bの設置角度、角度βはY軸方向に対する第2カメラ42bの設置角度、角度γはZ軸方向に対する第2カメラ42bの設置角度である。角度α、β、γは、第2カメラ42bと仮想カメラ42cとの配置関係から予め取得することができる既知の値である。第2撮像画像G2の各ピクセルを平行移動させるための変換パラメータである距離H、Vも第2カメラ42bと仮想カメラ42cの位置に基づいて予め設定される。
【0058】
画像変換部41は、変換パラメータα、β、γを用いて第2撮像画像G2の各ピクセルを各座標軸を基準として回転させ、更に、角度回転後の第2撮像画像G2の各ピクセルを変換パラメータHを用いてX軸方向に平行移動させるとともに、変換パラメータVを用いてY軸方向に平行移動させる。
これにより、例えば、図5に示した第2撮像画像G2は、図11に示すような第3撮像画像G3に変換される。
【0059】
次に、パラメータ調整部42は、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3に基づいて、画像変換部41が用いる変換パラメータを適切な値に調整する。
具体的には、パラメータ調整部42は、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3にそれぞれ含まれる2つの特徴点P1、P2を特定し、第1撮像画像G1において特定した2つの特徴点P1、P2と、第3撮像画像G3において特定した2つの特徴点P1、P2の特徴が所定の許容範囲内であるか否かを判定する。
【0060】
具体的には、パラメータ調整部42は、第1撮像画像G1上で特定した特徴点P1の大きさと、第3撮像画像G3上で特定した特徴点P1の大きさとの差分Ca(例えば、直径の差分)を算出する。同様に、パラメータ調整部42は、第1撮像画像G1上で特定した特徴点P2の大きさと、第3撮像画像G3上で特定した特徴点P2の大きさとの差分Cb(例えば、直径の差分)を算出する。そして、これらの差分Ca、Cbがいずれも予め設定されている許容範囲内であるか否かを判定する。
更に、パラメータ調整部42は、第1撮像画像G1における特徴点P1とP2との間の距離及び第3撮像画像G3における特徴点P1とP2との間の距離をそれぞれ算出し、これらの距離の差分Ccが所定の許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0061】
この結果、差分Ca、Cb、Ccのいずれかが許容範囲外であった場合には、パラメータ調整部42は、その差分Ca、Cb、Ccが許容範囲内となるように、仮想カメラ42cのZ軸上における仮想位置を調整し、調整後の仮想カメラ42cの位置に基づいて画像変換部41が用いる変換パラメータ(α、β、γ)を調整する。
【0062】
具体的には、図12に示すように、Z軸方向における仮想カメラ42cの位置をZ軸方向に前後させ、上記差分Ca、Cb、Ccがいずれも許容範囲内となるまで、第2カメラ42bと仮想カメラ42cとの間の距離Dを調整する。そして、差分Ca、Cb、Ccがいずれも許容範囲内となるような距離D±dに第2カメラ42bと仮想カメラ42cとの間の距離が調整されると、調整後の仮想カメラ42cの位置及び第2カメラ42bの位置に基づいて、変換パラメータα´、β´、γ´を再度算出し、算出した変換パラメータα´、β´、γ´を新たな変換パラメータとして登録する。このように、パラメータ調整部42によって変換パラメータの調整が行われた場合には、画像変換部41は、最新の変換パラメータα´、β´、γ´を用いて、第2撮像画像G2の視点変換処理を行い、第3撮像画像G3を生成する。
【0063】
座標算出部43は、第1カメラ42aと仮想カメラ42cとの位置関係と、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3とを用いて、第1カメラ42aから特徴点P1、P2を含むXY平面までの距離を算出する。そして、算出した距離と、特徴点P1、P2と目標点Ptとの既知の位置関係とを用いて、目標点Ptの座標を算出する。
【0064】
より具体的には、座標算出部43は、Y軸方向における第1カメラ42aと仮想カメラ42cとの距離L(図9参照)と、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3のそれぞれに含まれる特徴点P1、P2の画像座標から算出される視差とを用いて、ステレオ視の原理により、第1カメラ42aから特徴点P1、P2までの距離を算出するとともに、特徴点P1、P2のX座標値及びY座標値を算出する。
【0065】
続いて、算出した特徴点P1、P2のXYZ座標値を用いて、これら特徴点P1、P2と既知の位置関係に配置されている目標点Ptの座標及び乗降口201の下縁部201aの傾斜角度を算出する。なお、下縁部201aの傾斜角度については、水平方向(XY平面)における傾斜角度αt及び奥行き方向(XZ平面)における傾斜角度γtを算出する。
【0066】
傾斜角度γtは、例えば、以下のように定義される。
まず、図13は、航空機200を上方から見た場合(Y軸方向から見た場合)の特徴点P1、P2の位置関係を示した図である。換言すると、図13は、XZ平面における特徴点P1、P2の位置を示した図である。例えば、航空機200がエプロンに設置している理想的な姿勢状態を想定した場合の特徴点P1、P2のXZ平面における位置をそれぞれ目標特徴点P1t、P2tと定義する。そして、座標算出部43は、この目標特徴点P1t、P2tを通る直線L1に対する実際の特徴点P1、P2を通る直線の角度を傾斜角度γtとして算出する。
座標算出部43は、算出した目標点PtのXYZ座標値、水平方向における傾斜角度αt、及び奥行き方向における傾斜角度γtを相対位置算出部60に出力する。
【0067】
ヘッド位置算出部50は、ヘッド5の位置を算出する。例えば、ヘッド位置算出部50は、NSS受信機18による検出結果、すなわち、取得された位置情報に基づいて、ヘッド5の位置を算出する。上述したとおり、NSS受信機18が設置された位置と、ヘッド5において乗降口201と接続されるヘッド5の開口部の縁部5aやヘッド5の調整床8の縁部8aとの位置とは異なる。しかしながら、ヘッド5の開口部の縁部5aとNSS受信機18との位置関係及びヘッド5の調整床8の縁部8aとNSS受信機18との位置関係を予め登録しておくことにより、NSS受信機18の受信結果から容易にヘッド5の所望の位置の座標を特定することができる。
【0068】
なお、NSS受信機18によって受信される位置情報の座標軸系と、目標位置算出部40が用いる位置情報の座標軸系とは異なる。したがって、座標軸系を統一させるために、例えば、第1カメラ42aの近傍にNSS受信機18を設置し、あるいは、第1カメラ42aの設置位置におけるNSS受信機18の位置情報を予め取得して登録しておくことにより、両者の直交座標系における位置座標の変換を可能とすることができる。
すなわち、ヘッド位置算出部50は、NSS受信機18によって取得された位置情報、NSS受信機18とヘッド5における各基準点(例えば、開口部の縁部5aや調整床8の縁部8a)との位置関係、及び直交座標系の変換情報を用いて、図9に示した直交座標系におけるヘッド5の位置座標を算出する。
【0069】
なお、上述したヘッド5の各基準点の位置座標取得方法については一例であり、他の公知の手法を採用することが可能である。例えば、ターミナルビル、具体的には、ターミナルビルに設けられた第1カメラ42aとロタンダ2との位置関係及びロタンダ2と基端トンネル3との位置関係については既知であり、不変である。また、基端トンネル3からヘッド5の移動量については、ヘッド5に設けられたジャイロや加速度を用いた慣性航法を用いて演算によって算出することが可能である。したがって、基端トンネル3に対するヘッド5の位置情報を算出することにより、第1カメラ42aに対するヘッド5の位置及び姿勢を算出することができる。
【0070】
相対位置算出部60は、目標位置算出部40によって算出された目標点Ptの位置及び乗降口の姿勢及びヘッド位置算出部50によって算出されたボーディングブリッジ1のヘッド5の位置及び姿勢に基づいて、乗降口201に対するヘッド5の相対的な位置及び姿勢を算出し、更に、ヘッド5を乗降口201に適切に接続させるための制御補正量を算出する。なお、本実施形態においては、相対位置算出部60が乗降口に対するヘッド部の相対位置及び相対角度の両方を算出する場合について説明するが、この例に限定されず、例えば、相対位置及び相対角度の少なくともいずれか一方を算出することとし、算出した相対位置及び相対角度の少なくともいずれか一方に基づいてボーディングブリッジ1の駆動制御を行うこととしてもよい。
【0071】
図14に示すように、相対位置算出部60は、例えば、水平度算出部61、高さ位置算出部62、平行度算出部63、及び平行位置算出部64を備えている。
【0072】
水平度算出部61は、図15に示すように、航空機の乗降口201の下縁部201aに対する調整床8の縁部8aの水平度のずれ量を算出し、このずれ量を所定の許容範囲内とするための制御補正量を算出する。
ここで、水平度とは、ヘッド5側から航空機200を正面視したときの、航空機200の乗降口201の下縁部201aとヘッド5の調整床8の縁部8aとのなす角度、すなわち、XY平面において下縁部201aとヘッド5の開口部の縁部5aとがなす角度である。
【0073】
高さ位置算出部62は、図16に示すように、乗降口201の目標点Ptとヘッド5の開口部に設けられた縁部5aの基準点Prとの間の高さのずれ量ΔH、換言すると、Y軸方向における位置ずれ量を算出し、このずれ量ΔHを所定の許容範囲内とするための制御補正量を算出する。
【0074】
平行度算出部63は、図17に示すように、航空機の乗降口201の下縁部201aに対するヘッド5の開口部の縁部5aの平行度のずれ量を算出し、このずれ量を所定の許容範囲内とするための制御補正量を算出する。
ここで、平行度とは、航空機及びボーディングブリッジ1を平面視したときの、航空機の乗降口201の下縁部201aとヘッド5の開口部の縁部5aとのなす角度、すなわち、XZ平面において下縁部201aとヘッド5の開口部の縁部5aとがなす角度である。
【0075】
平行位置算出部64は、図18に示すように、乗降口201の目標点Ptとヘッド5の開口部に設けられた縁部5aの基準点Prとの間の水平方向のずれ量ΔW、すなわち、X軸方向における位置のずれ量を算出し、このずれ量ΔWを所定の許容範囲内とするための制御補正量を算出する。
【0076】
駆動制御部30は、相対位置算出部60によって算出された制御補正量に基づいて、ヘッド5を駆動して、ヘッド5の位置及び姿勢を調整する。駆動制御部30は、図14に示すように、調整床駆動制御部31、昇降駆動制御部32、旋回駆動制御部33、及び走行駆動制御部34を備えている。
【0077】
調整床駆動制御部31は、調整床駆動部16の駆動を制御する。調整床駆動制御部31は、例えば、調整床駆動部16の駆動の開始及び停止、調整床駆動部16における駆動量などを制御する。調整床駆動制御部31は、水平度算出部61によって算出された制御補正量に基づいて、調整床駆動部16を駆動させる駆動信号を生成する。
【0078】
調整床駆動部16は、調整床駆動制御部31で生成された駆動信号に基づいて制御されて、調整床8を駆動する。調整床駆動部16は、調整床8を移動させて、XY平面におけるヘッド5の調整床8の縁部の傾きを制御する。
【0079】
昇降駆動制御部32は、昇降駆動部14の駆動を制御する。昇降駆動制御部32は、例えば、昇降駆動部14の駆動の開始及び停止、昇降駆動部14における駆動量などを制御する。昇降駆動制御部32は、高さ位置算出部62によって算出された制御補正量に基づいて、昇降駆動部14を駆動させる駆動信号を生成する。
【0080】
昇降駆動部14は、昇降駆動制御部32で生成された駆動信号に基づいて制御されて、可動脚7を駆動する。昇降駆動部14は、可動脚7を移動させて、ヘッド5の開口部の縁部の高さ、すなわち、Y軸方向における位置を制御する。
【0081】
旋回駆動制御部33は、旋回駆動部15の駆動を制御する。旋回駆動制御部33は、例えば、旋回駆動部15の駆動の開始及び停止、旋回駆動部15における駆動量などを制御する。旋回駆動制御部33は、平行度算出部63によって算出された制御補正量に基づいて、旋回駆動部15を駆動させる駆動信号を生成する。
【0082】
旋回駆動部15は、旋回駆動制御部33で生成された駆動信号に基づいて制御されて、ヘッド5を駆動する。旋回駆動部15は、ヘッド5を旋回させて、XZ平面におけるヘッド5の開口部の縁部の傾きを制御する。
【0083】
走行駆動制御部34は、走行駆動部9の駆動を制御する。走行駆動制御部34は、例えば、走行駆動部9の駆動の開始及び停止、走行駆動部9における車輪11の回転速度及び回転方向などを制御する。走行駆動制御部34は、平行位置算出部64によって算出された制御補正量に基づいて、走行駆動部9を駆動させる駆動信号を生成する。
【0084】
走行駆動部9は、走行駆動制御部34で生成された駆動信号に基づいて制御されて、車輪11を駆動する。走行駆動部9は、ヘッド5を移動させて、ヘッド5の開口部の縁部の水平位置、すなわち、X軸方向における位置を制御する。
【0085】
次に、図19を参照して、本実施形態に係るボーディングブリッジ1の動作を制御する制御方法について説明する。図19は、本実施形態に係るボーディングブリッジの制御手順の一例を示したフローチャートである。
【0086】
まず、例えば操作盤80において駆動開始の入力が行われると、走行駆動部9の駆動が開始され、車輪11が回転する(SA1)。そして、ヘッド5は、航空機の近傍まで移動する。ヘッド5の移動は、手動で行われてもよいし、自動で行われてもよい。ヘッド5が航空機の数メートル手前まで到達したとき、以下の動作が行われる。
【0087】
まず、第1カメラ42a及び第2カメラ42bによる撮像が行われ、第1撮像画像G1及び第2撮像画像G2に基づく目標位置算出処理が行われる(SA2)。以下、この処理の具体的な手順について図20を参照して説明する。
【0088】
まず、第1カメラ42aによって第1撮像画像G1が取得され、第2カメラ42bによって第2撮像画像G2が取得される(図20のSB1)。
続いて、予め登録されている変換パラメータα、β、γ、H、Vを用いて、第2撮像画像G2を視点変換し、第3撮像画像G3を生成する(SB2)。
次に、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3のそれぞれに2つの特徴点P1、P2が含まれているか否かを判定する(SB3)。この結果、含まれていない場合には(SB3:NO)、ステップSB1に戻り、第1カメラ42a及び第2カメラ42bによる撮像が再度行われ、以降の処理が繰り返し行われる。
【0089】
一方、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3のそれぞれに2つの特徴点P1、P2が含まれている場合には(SB3:YES)、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3において2つの特徴点P1、P2をそれぞれ特定する(SB4)。続いて、特定した特徴点の特徴差分Ca、Cb、Ccが許容範囲内であるか否かを判定する(SB5)。
【0090】
この結果、特徴差分Ca、Cb、Ccのいずれかが許容範囲外であった場合には(SB5:NO)、その差分Ca、Cb、Ccが許容範囲に近づくように、仮想カメラ42cのZ軸上における仮想位置を所定量調整し(SB6)、調整後の仮想カメラ42cの位置に基づいて画像変換部41が用いる変換パラメータα、β、γを更新し(SB7)、ステップSB2に戻る。これにより、最新の変換パラメータα´、β´、γ´を用いた第2撮像画像G2の視点変換処理が再度行われることとなる。
【0091】
一方、ステップSB5において、特徴点P1、P2の特徴差分が許容範囲内であると判定された場合には(SB5:YES)、ステップSB8に進む。ステップSB8では、第1撮像画像G1及び第3撮像画像G3を用いて、第1カメラ42aを原点として定義されるXYZ座標系において、2つの特徴点P1、P2の座標が算出される。そして、算出された2つの特徴点P1、P2の座標から目標点PtのXYZ座標値及び目標点Ptを含む乗降口201の下縁部201aの傾斜角度が算出される(SB9)。
【0092】
このようにして、目標点Pt等の位置が算出されると、図19のフローに戻り、ヘッド位置算出処理を行う(図19のSA3)。これにより、第1カメラ42aの位置を原点とする所定のXYZ座標系におけるヘッド5の位置座標及び姿勢が算出される。
続いて、ステップSA2で算出された目標点Pt等の位置及びステップSA3において算出されたヘッド5の位置及び姿勢に基づいて、航空機200の乗降口201に対するヘッド5の相対位置及び相対姿勢が算出され、各制御補正量の算出が行われる(SA4)。そして、各制御補正量を用いて駆動信号が生成され、生成された各種駆動信号に基づいて各種駆動部が駆動されることにより、ヘッド5の位置姿勢が制御され、目標点Ptに向けて徐々に移動する(SA5)。
【0093】
続いて、ヘッド5が乗降口201に到達したか否かを判定し(SA6)、到達していなければ(SA6:NO)、ステップSA3に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。そして、ヘッド5が乗降口201に到達することにより、ヘッド5の開口部と航空機200の乗降口201とが接続されると(SA6:YES)、ヘッド5に設置されたキャノピーを航空機200に対して装着させる(SA7)。
【0094】
なお、上述のように、ヘッド5が乗降口201に到達するまで自動で運転することとしてもよいし、ヘッド5が乗降口201の所定範囲内に到達したときに、手動運転に切り替えることとしてもよい。この場合でも、ヘッド5の位置及び姿勢は、乗降口201の位置に応じて適切な位置に設定されているので、オペレータはそのままの姿勢でヘッド5を直進させることにより、容易にヘッド5を乗降口201に到達させることが可能となる。
【0095】
以上、本実施形態によれば、ヘッド5の旋回方向、高さ位置、水平方向の位置又はヘッド5の床の傾斜角度が、実際に停止している航空機200の乗降口201に合うように自動的に調整されるため、オペレータの操作が簡易化され、省力化される。特に、本実施形態は、航空機200の乗降口201との配置位置が既知とされた2つの特徴点P1、P2を設け、この2つの特徴点P1、P2を第1カメラ42a及び第2カメラ42bによって撮像し、これら撮像された2つの撮像画像G1、G2に基づいて航空機200の乗降口201と関連付けられた目標点Ptの座標位置が算出されるため、航空機200とヘッド5が近接した位置(例えば数m以内)において、ボーディングブリッジ1のヘッド5の開口部と、航空機200の乗降口201とを接近させる動作において効果的である。
【0096】
なお、航空機200とヘッド5が接触する着機作業において、撮像された2次元データでは、航空機200までの距離(離間距離)が正確に把握できない場合がある。このため、ヘッド5が低速で航空機200へ接近しながら、ヘッド5の先端部に設置した前進停止リミットスイッチの検知によって着機完了と判断するという制御を行ってもよい。
【0097】
〔第2実施形態〕
次に、図21を参照して、本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジの制御システムについて説明する。例えば、上述した第1実施形態では、相対位置算出部60によって算出されたヘッド5の相対位置及び姿勢を用いて、主に自動でヘッド5を乗降口201に到達させる場合について説明したが、本実施形態では、相対位置算出部60によって算出されるヘッドの相対位置及び姿勢を用いてオペレータの操縦を支援するためのガイダンス情報を提供する点が異なる。なお、もちろん、上述した第1実施形態に係る自動によるボーディングブリッジ1の運転制御と、本実施形態に係るオペレータへの操縦支援とを組み合わせた態様とすることも可能である。
以下では、第1実施形態と重複する構成については詳細な説明を省略し、異なる部分について主に説明する。
【0098】
本実施形態に係るボーディングブリッジは、図21に示すように、例えば、ヘッド5の内部に設けられた操作盤80等に設置される表示部82と、ヘッド5に設けられ、ヘッド5の旋回角度又はヘッド5の旋回方向の駆動量(旋回量)を検出するヘッド旋回角度検出部70と、車輪11又は回転軸13に設けられ、車輪11の旋回角度又は車輪11の旋回方向の駆動量(旋回量)を検出する車輪旋回角度検出部72とを備えている。
また、制御装置10´は、表示部82の表示を制御する表示制御部84と、ヘッド5が航空機200に到達したと仮定したときのヘッド5の仮想位置を推測する推測部86などを更に備えている。
【0099】
表示制御部84は、例えば、総合判断部20から出力される第1撮像画像G1と第3撮像画像G3とを特徴点P1、P2に基づいて合成することにより合成画像G4を生成し、この合成画像G4を表示部82に表示させる。図22に合成画像G4の一例を示す。
また、表示制御部84は、推測部86によって推測されたヘッド5の仮想設置位置を合成画像G4に重ね合わせて表示部82に表示させる。
【0100】
推測部86は、ヘッド旋回角度検出部70及び車輪旋回角度検出部72によって検出された走行駆動部9及び旋回駆動部15の状態と、総合判断部20の相対位置算出部60によって算出された航空機200の乗降口201に対するヘッド5の相対的な位置及び姿勢に基づいて、ヘッド旋回角度検出部70及び車輪旋回角度検出部72によって検出された走行駆動部9及び旋回駆動部15の状態を維持したまま、ヘッド5が航空機200に到達したと仮定したときの航空機200に対するヘッド5の設置位置を推測し、その設置位置を仮想設置位置と決定する。
【0101】
次に、図23を参照して、本実施形態に係るボーディングブリッジの動作について説明する。図23は、本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジの制御手順の一例を示したフローチャートである。ヘッド5の仮想設置位置は、例えば、以下のとおり、推測される。
【0102】
まず、制御装置10´は、上述した第1実施形態と同様の手法により、航空機200の乗降口201に対するヘッド5の相対的な位置及び姿勢を算出する(SC1)。
続いて、制御装置10´は、ヘッド5に設けられたヘッド旋回角度検出部70によって検出されたヘッド5の旋回角度及び走行駆動部9に設けられた車輪旋回角度検出部72によって検出された車輪11の旋回角度を取得する(SC2)。
【0103】
次に、制御装置10´は、ステップSC1において算出した乗降口201に対する現在のヘッド5の相対的な位置及び姿勢に基づいて、車輪旋回角度検出部72によって検出された車輪11の旋回角度と、ヘッド旋回角度検出部70によって検出されたヘッド5の旋回角度が維持されたままヘッド5が移動して、ヘッド5が航空機200に到達したと仮定したときのヘッド5の設置位置をヘッド5の仮想位置として推測する(SC3)。
そして、制御装置10´は、推測したヘッド5の仮想設置位置を合成画像G4に重ね合わせて表示部82に表示させる(SC4)。
これにより、表示部82には、例えば、2つの特徴点P1、P2及び乗降口201が含まれる合成画像上に、仮想設置位置が重畳された画像が表示される。
【0104】
以上より、ボーディングブリッジ1のオペレータは、表示部82に表示されたヘッド5の仮想設置位置を目安にして、車輪11の旋回角度及びヘッド5の旋回角度を操縦することができる。したがって、操作の熟練度に関わらず、ヘッド5を航空機に対して接近させることができる。
【0105】
なお、本実施形態では、表示部82に合成画像G4を表示し、この合成画像G4に対して、仮想設置位置を重畳させていたが、表示部82に表示される画像は、航空機の乗降口が含まれる画像であればよく、上記例に限定されない。例えば、表示部82に表示される画像は、第1撮像画像又は第2撮像画像でもよいし、他の撮像手段によって撮像されたカメラ画像またはシミュレーション画像であってもよい。
また、本実施形態では、表示部82にヘッド5の仮想設置位置を表示する場合について説明したが、このようなオペレータへのガイダンスは、表示部82による視覚に訴えるものに限られない。例えば、表示部82に代えて、又は、加えて、ヘッド5の仮想設置位置と乗降口201との相対的な位置・姿勢関係に基づいて、ヘッド5を乗降口201に適切に到達させるための操作ガイダンスを音声によって通知する音声ガイダンス部を更に設け、オペレータの操作支援を行うこととしてもよい。
【0106】
例えば、音声ガイダンス部は、「右へ」、「左へ」、「前へ」、「ゆっくり」などの音声を出力することにより、オペレータの操作支援を行うことが可能である。
また、「現在の速度は〇m/分です。」等のようにヘッド5の移動速度を音声で通知してもよい。
また、「残り〇mです。」等のように、乗降口201までのヘッド5の到達状況に応じた音声を発することとしてもよい。この場合、例えば、ヘッド5と乗降口201との距離に応じて報知間隔が変化するような音を発することとしてもよい。このようにすることで、オペレータにヘッド5がどの程度乗降口に近づいているかを直感的に把握させることが可能となる。
また、障害物を検知することにより、緊急停止をしなければならないような事象が発生した場合には、「障害物を検知しました。緊急停止致します。」などの音声を発することにより、現在の状況を容易にオペレータに通知することが可能となる。
【0107】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0108】
例えば、上述した実施形態では、位置だけでなく姿勢についても考慮してボーディングブリッジ1の自動制御を行うこととしたが、少なくとも位置に基づいて自動制御やガイダンスによるオペレータの操縦支援を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 :ボーディングブリッジ
2 :ロタンダ
3 :基端トンネル
4 :先端トンネル
5 :ヘッド
5a :縁部
6 :固定脚
7 :可動脚
8 :調整床
8a :縁部
9 :走行駆動部
10 :制御装置
10´ :制御装置
11 :車輪
12 :台車
13 :回転軸
14 :昇降駆動部
15 :旋回駆動部
16 :調整床駆動部
18 :NSS受信機
20 :総合判断部
25 :通信部
30 :駆動制御部
31 :調整床駆動制御部
32 :昇降駆動制御部
33 :旋回駆動制御部
34 :走行駆動制御部
40 :目標位置算出部
41 :画像変換部
41a :第1カメラ
42 :パラメータ調整部
42a :第1カメラ
42b :第2カメラ
42c :仮想カメラ
43 :座標算出部
50 :ヘッド位置算出部
60 :相対位置算出部
61 :水平度算出部
62 :高さ位置算出部
63 :平行度算出部
64 :平行位置算出部
70 :ヘッド旋回角度検出部
72 :車輪旋回角度検出部
80 :操作盤
82 :表示部
84 :表示制御部
86 :推測部
101 :CPU
102 :補助記憶装置
103 :主記憶装置
104 :通信装置
105 :入力部
106 :出力部
200 :航空機
201 :乗降口
201a :下縁部
202 :線分
205 :通路部
図1
図2
図3
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