(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 57/20 20060101AFI20230731BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20230731BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20230731BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20230731BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A01N57/20 G
A01P13/00
A01N25/02
A01N25/00 101
A01N25/30
(21)【出願番号】P 2019089712
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2018128289
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】宇井 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄彦
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125445(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029893(WO,A1)
【文献】特表平09-506615(JP,A)
【文献】特表2002-542267(JP,A)
【文献】特表2013-522265(JP,A)
【文献】特表2013-517249(JP,A)
【文献】特表2003-535056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N57/20
A01P13/00
A01N25/00-25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分~
(D)成分を含有する除草剤組成物であって、
(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、
0.30以上
0.45以下である、
除草剤組成物。
(A)成分:
グリホサート又はその塩
(B)成分:下記一般式(b1)で表される化合物又はその酸塩
【化1】
〔式中、R
1bは、炭素数8以上14以下の
アルキル基であり、A
1bOは、
エチレンオキシ基である。m、nは、それぞれ独立に、A
1bOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、mとnの合計は、0以上
20以下の数である。R
2b、R
3bは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。〕
(C)成分:下記一般式(c1)で表される化合物
R
1c-O-(A
1cO)
s-H (c1)
〔式中、R
1cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、A
1cOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。sは、A
1cOの平均付加モル数であり、2以上
24以下の数である。〕
(D)成分:下記一般式(d1)で表される化合物
【化2】
〔式中、R
1d
は、炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R
2d
、R
3d
は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であり、R
4d
は、メチル基、エチル基、又はベンジル基である。X
-
は陰イオンである。〕
【請求項2】
(B)成分と(C)成分の合計含有量が3.0質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
(B)成分の一般式(b1)において、mとnの合計が5以上15以下の数である、請求項1又は2に記載の除草剤組成物。
【請求項4】
(B)成分と(C)成分の合計含有量と、(A)成分の含有量との質量比[(B)+(C)]/(A)が、0.04以上1.4以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項5】
更に水を含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項6】
(C)成分の含有量と(D)成分の含有量との質量比(C)/(D)が、3以上6以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項7】
(C)成分として、下記一般式(c2)で表される化合物(以下、(C
A)成分という)と下記一般式(c3)で表される化合物(以下、(C
B)成分という)を含有する、請求項1~6の何れか1項に記載の除草剤組成物。
R
2c-O-(EO)
r-H (c2)
〔式中、R
2cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、EOは、エチレンオキシ基である。rは、EOの平均付加モル数であり、2以上
24以下の数である。〕
R
3c-O-[(EO)
p/(PO)
q]-H (c3)
〔式中、R
3cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、EOは、エチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。p、qは、それぞれ、EO、POの平均付加モル数であり、pは0以上、qは0を超える数であり、pとqの合計は、2以上
20以下の数である。“/”はEOとPOの配列がブロックでもランダムでもよいことを示す。〕
【請求項8】
(D)成分の含有量が、0.1質量%以上20質量%以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項9】
請求項1~
8の何れか1項に記載の除草剤組成物から調製した除草剤散布液を植物に散布する除草方法。
【請求項10】
下記(B)成分
、(C)成分
及び(D)成分を含有する除草剤用効力増強剤組成物であって、
(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、
0.30以上
0.45以下である、
除草剤用効力増強剤組成物。
(B)成分:下記一般式(b1)で表される化合物又はその酸塩
【化3】
〔式中、R
1bは、炭素数8以上14以下の
アルキル基であり、A
1bOは、
エチレンオキシ基である。m、nは、それぞれ独立に、A
1bOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、mとnの合計は、0以上
20以下の数である。R
2b、R
3bは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。〕
(C)成分:下記一般式(c1)で表される化合物
R
1c-O-(A
1cO)
s-H (c1)
〔式中、R
1cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、A
1cOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。sは、A
1cOの平均付加モル数であり、2以上
24以下の数である。〕
(D)成分:下記一般式(d1)で表される化合物
【化4】
〔式中、R
1d
は、炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R
2d
、R
3d
は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であり、R
4d
は、メチル基、エチル基、又はベンジル基である。X
-
は陰イオンである。〕
【請求項11】
(B)成分と(C)成分の合計含有量が3.0質量%以上10質量%以下である、請求項10に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
【請求項12】
(B)成分の一般式(b1)において、mとnの合計が5以上15以下の数である、請求項
10又は
11に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
【請求項13】
更に水を含有する、請求項
10~
12の何れか1項に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
【請求項14】
(C)成分の含有量と(D)成分の含有量との質量比(C)/(D)が、3以上6以下である、請求項10~13の何れか1項に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
【請求項15】
(C)成分として、下記一般式(c2)で表される化合物(以下、(C
A)成分という)と下記一般式(c3)で表される化合物(以下、(C
B)成分という)を含有する、請求項
10~
14の何れか1項に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
R
2c-O-(EO)
r-H (c2)
〔式中、R
2cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、EOは、エチレンオキシ基である。rは、EOの平均付加モル数であり、2以上
24以下の数である。〕
R
3c-O-[(EO)
p/(PO)
q]-H (c3)
〔式中、R
3cは、炭素数10以上22以下の
アルキル基又はアルケニル基であり、EOは、エチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。p、qは、それぞれ、EO、POの平均付加モル数であり、pは0以上、qは0を超える数であり、pとqの合計は、2以上
20以下の数である。“/”はEOとPOの配列がブロックでもランダムでもよいことを示す。〕
【請求項16】
(D)成分の含有量が、0.1質量%以上20質量%以下である、請求項10~15の何れか1項に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
【請求項17】
前記除草剤用効力増強剤組成物を、下記(A)成分と配合し、(B)成分と(C)成分の合計配合量と(A)成分の配合量との質量比[(B)+(C)]/(A)が、0.04以上1.4以下となるように配合して用いる、請求項
10~
16の何れか1項に記載の除草剤用効力増強剤組成物。
(A)成分:
グリホサート又はその塩
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤組成物、除草方法、及び除草剤用効力増強剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農薬の効果を十分に引き出すために、農薬含有組成物に各種界面活性剤が利用されている。除草剤として最も多く使用されている原体の一つであるグリホサート塩の様なアミノ酸系農薬においては、他の農薬で良く用いられるノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤の適用はアミノ酸系農薬との相溶性が低いことから困難であるが、四級化された、あるいはポリオキシエチレン化された長鎖アミンがこの目的のために有効であることが知られている。グリホサート塩の様なアミノ酸系農薬においては、特にポリオキシエチレン化されたタローアミンが、その優れたコストパフォーマンス性から幅広く利用されている。しかし、このポリオキシエチレン化されたタローアミンは生分解性が極めて低いこと、魚毒性が強いことなどから、近年、その環境への影響性が懸念され、代替品が望まれている。
【0003】
特許文献1には、界面活性剤およびグリホセートまたはその塩もしくはエステルを含有する水性混合物を含む、草木の成長を妨害するのに有用な処方であって、該界面活性剤の性質および該処方の組成が、該処方の植物への適用に際して、該界面活性剤を含む液晶が植物の普通葉の上に形成されるものであることを特徴とする該処方が開示されている。
【0004】
特許文献2には、(A):特定の3-アリールウラシル、(B):グリホサート、(C):ポリオキシアルキレンアルキルアミンをベースとする非イオン性界面活性剤の少なくとも1種と、ポリオキシアルキレンアルキルアミンをベースとする界面活性剤以外の非イオン性界面活性剤の少なくとも1種の組み合わせ;並びに(D):水を含む、除草剤組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、特定のエトキシレート型化合物、特定のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、特定のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、特定の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、及び特定のアルキルサッカライドから選ばれる一種以上の化合物(A)、プロピレンオキシ基を含む特定のアルコキシレート化合物又は特定の脂肪族アルコール(B)、特定のアミン型界面活性剤(C)、特定の農薬原体(D)、並びに水を、特定条件で含有する農薬組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2003-535056号公報
【文献】特開平11-292717号公報
【文献】特開2014-125445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの従来技術では、十分な除草効果が得られていない。
本発明は、除草効果に優れる除草剤組成物、及び前記除草剤組成物を用いた除草方法、並びに除草効果を増強できる除草剤用効力増強剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(A)成分~(C)成分を含有する除草剤組成物であって、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.25以上0.6以下である、
除草剤組成物に関する。
(A)成分:アミノ酸系除草剤の農薬原体
(B)成分:下記一般式(b1)で表される化合物又はその酸塩
【0009】
【0010】
〔式中、R1bは、炭素数8以上14以下の炭化水素基であり、A1bOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。m、nは、それぞれ独立に、A1bOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、mとnの合計は、0以上50以下の数である。R2b、R3bは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。〕
(C)成分:下記一般式(c1)で表される化合物
R1c-O-(A1cO)s-H (c1)
〔式中、R1cは、炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、A1cOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。sは、A1cOの平均付加モル数であり、2以上50以下の数である。〕
【0011】
また本発明は、前記除草剤組成物から調製した除草剤散布液を植物に散布する除草方法に関する。
【0012】
また本発明は、前記(B)成分、及び前記(C)成分を含有する除草剤用効力増強剤組成物であって、
(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.25以上0.6以下である、
除草剤用効力増強剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、除草効果に優れる除草剤組成物、及び前記除草剤組成物を用いた除草方法、並びに除草効果を増強できる除草剤用効力増強剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔除草剤組成物〕
本発明の除草剤組成物が除草効果に優れる理由は必ずしも定かではないが以下のように推定される。化合物(B)と化合物(C)を所定の比率で併用することにより植物クチクラの構造を変化させ、化合物(A)の葉の内部および根部への移行性を両立でき、高い除草効果を発揮できるものと推察される。
【0015】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、アミノ酸系除草剤の農薬原体である。
アミノ酸系除草剤の農薬原体(有効成分)としては、グリホサート〔N-(ホスホノメチル)グリシン又はその塩〕、ビアラホス[ソディウム・ソルト・オブL-2-アミノ-4-〔(ヒドロキシ)(メチル)=ホスフィノイル〕ブチリル-L-アラニル-L-アラニン]、及びグルホシネート〔アンモニウム-DL-ホモアラニン-4-イル(メチル)ホスフィネート〕が挙げられ、除草効果を増強させる観点及び除草剤組成物の配合安定性に優れる観点から、好ましくはグリホサート又はグルホシネートであり、より好ましくはグリホサートである。これらは農業的に許容できる塩であってもよい。また除草剤組成物に配合するにあたり、これらを含有する水溶液、液剤、水和剤等として使用することもできる。
【0016】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、下記一般式(b1)で表される化合物又はその酸塩である。
【0017】
【0018】
〔式中、R1bは、炭素数8以上14以下の炭化水素基であり、A1bOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。m、nは、それぞれ独立に、A1bOの平均付加モル数であり、0以上の数であり、mとnの合計は、0以上50以下の数である。R2b、R3bは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。〕
【0019】
R1bは、除草効果増強の観点から、炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基、更に好ましくは直鎖のアルキル基である。R1bの炭素数は、除草効果増強の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、そして、14以下である。
A1bOは、除草効果増強の観点から、炭素数2以上、そして、4以下、好ましくは3以下のアルキレンオキシ基であり、エチレンオキシ基がより好ましい。
mとnの合計は、除草効果増強の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、そして、除草効果増強、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下の数である。mとnの合計は、さらなる配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、そして、0以上であり、また0であってもよい。
R2b、R3bは、mとnとの合計が0超の場合、好ましくは水素原子であり、mとnとの合計が0の場合、好ましくはメチル基である。
一般式(b1)の化合物は、酸塩の形態で除草剤組成物中に存在してもよく、酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
【0020】
(B)成分としては、さらなる除草効果増強の観点からは、R2b、R3bが水素原子で、mとnの合計が0超である成分(以下、(BA)成分ともいう)が好ましく、さらなる配合安定性及び生産性の観点からは、R2b、R3bがメチル基で、mとnの合計が0である成分(以下(BB)成分ともいう)が好ましい。(B)成分としては、除草効果増強と配合安定性とをさらに高める観点から、(BA)成分と(BB)成分とを併用することできる。
【0021】
<(C)成分>
本発明の(C)成分は、下記一般式(c1)で表される化合物である。
R1c-O-(A1cO)s-H (c1)
〔式中、R1cは、炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、A1cOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基である。sは、A1cOの平均付加モル数であり、2以上50以下の数である。〕
【0022】
R1cは、除草効果増強の観点から、炭化水素基、好ましくは直鎖の炭化水素基、より好ましくは直鎖のアルキル基又はアルケニル基である。R1cの炭素数は、除草効果増強及び雑草等のリグロース抑制の観点から、10以上、好ましくは12以上、そして、配合安定性及び生産性の観点から、22以下、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
R1cがアルキル基の場合、R1cの炭素数は、除草効果増強及び雑草等のリグロース抑制の観点から、10以上、好ましくは12以上、そして、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは14以下であり、より好ましくは12である。R1cがアルケニル基の場合、R1cの炭素数は、除草効果増強の観点及び配合安定性の観点から、好ましくは16以上、そして、22以下、好ましくは18以下であり、より好ましくは18である。
A1cOは、除草効果を増強させる観点から、炭素数2以上、そして、4以下、好ましくは3以下のアルキレンオキシ基であり、エチレンオキシ基がより好ましい。
A1cO中、エチレンオキシ基の割合は、除草効果増強の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
sは、除草効果増強の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、そして、除草効果増強、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは10以下の数である。
【0023】
一般式(c1)におけるA1cOが炭素数3又は4のアルキレンオキシ基である化合物の割合は、全(C)成分中、除草効果向上の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下であり、また0質量%であってもよい。
【0024】
本発明の除草剤組成物は、配合安定性及び生産性の観点から、(C)成分として、下記一般式(c2)で表される化合物(以下、(CA)成分という)と下記一般式(c3)で表される化合物(以下、(CB)成分という)を含有することが好ましい。
R2c-O-(EO)r-H (c2)
〔式中、R2cは、炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、EOは、エチレンオキシ基である。rは、EOの平均付加モル数であり、2以上50以下の数である。〕
R3c-O-[(EO)p/(PO)q]-H (c3)
〔式中、R3cは、炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、EOは、エチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。p、qは、それぞれ、EO、POの平均付加モル数であり、pは0以上、qは0を超える数であり、pとqの合計は、2以上50以下の数である。pが0超の場合、“/”はEOとPOの配列がブロックでもランダムでもよいことを示す。〕
【0025】
(CA)成分について、R2c、及びrの好ましい態様は、それぞれ、前記(C)成分における一般式(c1)のR1c、及びsの好ましい態様と同様である。
【0026】
(CB)成分について、R3cの好ましい態様は、前記(C)成分における一般式(c1)のR1cの好ましい態様と同様である。
pは、除草効果向上の観点から、0以上、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、そして、配合安定性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下の数である。
qは、配合安定性の観点から、0を超え、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上、そして、除草効果向上の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下の数である。
pとqの合計は、配合安定性及び生産性の観点から、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは6以上、そして、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下の数である。
qと、pとqの合計との比〔q/(p+q)〕は、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、そして、除草効果増強の観点から、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。
POとEOの配列は、配合安定性及び生産性の観点から、ブロック配列であることが好ましく、R3c-O-にEOp1・POq・EOp2の順にブロック配列していることがより好ましい。ここで、p1とp2は、それぞれ、EOの平均付加モル数であり、p1とp2の合計がpであり、好ましい範囲もpと同じである。
【0027】
<組成等>
本発明の除草剤組成物は、(A)成分を、除草効果増強の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、配合安定性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下含有する。
【0028】
本発明の除草剤組成物は、(B)成分を、除草効果増強の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、そして、配合安定性と経済性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下含有する。
なお、本発明において、(B)成分に係る質量に関する記述(質量%や質量比)は、酸塩ではない、即ち未中和のアミンとして換算した場合の量に基づいて算出される。
【0029】
本発明の除草剤組成物は、(C)成分を、除草効果増強の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
【0030】
本発明の除草剤組成物中、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、除草効果増強の観点から、0.25以上、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、そして、除草効果増強の観点から、0.60以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下、更に好ましくは0.45以下、より更に好ましくは0.40以下である。
【0031】
本発明の除草剤組成物において、(C)成分として、(CA)成分と(CB)成分を含有する場合、(C)成分の含有量に対する、(CA)成分と(CB)成分の合計含有量の割合〔(CA)+(CB)〕/(C)は、除草効果増強の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
【0032】
本発明の除草剤組成物において、(C)成分として、(CA)成分と(CB)成分を含有する場合、(CA)成分の含有量と、(CB)成分の含有量との質量比(CA)/(CB)は、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは2以下である。
【0033】
本発明の除草剤組成物中、(B)成分と(C)成分の合計含有量は、除草効果増強の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは4.0質量%以上、より更に好ましくは5.0質量%以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0034】
本発明の除草剤組成物中、(B)成分と(C)成分の合計含有量と、(A)成分の含有量との質量比[(B)+(C)]/(A)は、除草効果増強の観点から、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.08以上、より更に好ましくは0.09以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.5以下である。
【0035】
本発明の除草剤組成物は、配合安定性及び生産性の観点から、更に(D)成分として、下記一般式(d1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0036】
【0037】
〔式中、R1dは、炭素数8以上18以下の炭化水素基であり、R2d、R3dは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、R4dは、メチル基、エチル基、又はベンジル基である。X-は陰イオンである。〕
【0038】
R1dは、配合安定性及び生産性の観点から、炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくは直鎖アルキル基である。R1dの炭素数は、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。
R2d、R3dは、配合安定性及び生産性の観点から、それぞれ独立に、好ましくはメチル基又はヒドロキシエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
R4dは、配合安定性及び生産性の観点からは、好ましくはメチル基であり、除草効果増強の観点からは、好ましくはベンジル基である。
X-は、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、メチル硫酸イオン、又はエチル硫酸イオンであり、より好ましくは塩化物イオンである。
【0039】
本発明の除草剤組成物は、(D)成分を、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0040】
本発明の除草剤組成物中、(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比(C)/(D)は、経済性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上、そして、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
【0041】
本発明の除草剤組成物は、配合安定性の観点から、液体組成物であることが好ましく、水を含有する液体組成物であることがより好ましい。本発明の除草剤組成物は、水を、配合安定性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下含有する。
水としては、本発明の除草剤組成物の効果を阻害しない範囲で、水道水、蒸留水、脱イオン水などを使用することができ、安定性の観点から、好ましくは脱イオン水である。
【0042】
本発明の除草剤組成物は、任意に、(A)~(D)成分、及び水以外の化合物、例えば、キレート剤、pH調節剤、無機塩類、消泡剤、及び増粘剤等を含有することができる。
【0043】
本発明は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有し、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.25以上0.6以下である組成物の除草剤としての使用を提供する。本発明の除草剤としての使用には、本発明の除草剤組成物で述べた態様を適宜適用することができる。本発明の除草剤としての使用において、(A)成分、(B)成分、(C)成分、任意成分及びこれらの好ましい態様は、本発明の除草剤組成物で述べたものと同じである。
【0044】
〔除草方法〕
本発明の除草方法は、本発明の除草剤組成物から調製した除草剤散布液を植物に散布する除草方法である。前記除草剤散布液は、本発明の除草剤組成物に水を添加して調製することが好ましい。
本発明の除草方法においては、本発明の除草剤組成物で述べた態様を適宜適用することができる。
【0045】
本発明の除草方法では、本発明の除草剤組成物を、前記除草剤散布液中の(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計含有量が、除草効果向上の観点から、好ましくは1,000ppm以上、より好ましくは1,500ppm以上、更に好ましくは2,000ppm以上、そして、経済性の観点から、好ましくは10,000ppm以下、より好ましくは8,000ppm以下、更に好ましくは6,000ppm以下となるように水で希釈して用いられる。
【0046】
本発明の除草方法では、前記除草剤散布液を、農薬の効力を得る観点から、好ましくは0.5L/ha以上、より好ましくは50L/ha以上、更に好ましくは200L/ha以上、より更に好ましくは500L/ha以上の割合で散布し、そして、経済性の観点及び環境負荷低減の観点から、好ましくは2000L/ha以下、より好ましくは1500L/ha以下、更に好ましくは1200L/ha以下、より更に好ましくは1000L/ha以下の割合で散布する。
【0047】
本発明の除草方法は、駆除対象となる植物である雑草に所定の散布液を施すものである。雑草は、農業分野では農耕地やその周辺に生育して作物生産に害を与える草本として認識される。また、農業以外の分野では、例えば、農耕地に限らず道路、線路敷、堤防、工場敷地、造成地、芝生地、庭園などの非農耕地に自然に生育し、その土地の機能を妨害したり、防災上、景観上の問題を発生させたりする草本として認識される。本発明では、これらいずれの草本をも雑草として包含する。雑草には、広葉雑草、イネ科雑草などがある。広葉雑草は、イネ科雑草のように線形葉をもつ雑草や葉脈が平行になっている雑草とは異なり、葉脈が網目状になっている。
【0048】
本発明の除草方法の対象となる雑草としては、イネ科雑草が挙げられる。イネ科雑草としては、イヌビエ、エノコログサ、キンエノコロ、ムラサキエノコロ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、ニワホコリ、アキメヒシバ、メヒシバ、カゼクサ、カモガヤ(オーチャードグラス)、ススキ、スズメノヒエ、チガヤ、チカラシバ、ヨシ、ササ類が挙げられ、農薬の効力の観点から、好ましくはイヌビエである。
【0049】
本発明の除草方法は、広葉雑草及びイネ科雑草から選ばれる雑草を対象とすることができる。更に、本発明の除草方法は、イヌビエを対象とすることができる。
【0050】
〔除草剤用効力増強剤組成物〕
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、(B)成分、及び(C)成分を含有する除草剤用効力増強剤組成物であって、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.25以上0.6以下である除草剤用効力増強剤組成物である。
本発明の除草剤用効力増強剤組成物に配合される成分からは、(A)成分は除かれる。また(A)成分を含有しない前記除草剤用効力増強剤組成物も本発明の除草剤用効力増強剤組成物に含まれる。
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、アミノ酸系除草剤の農薬原体((A)成分)、好ましくはグリホサート又はグルホシネート、より好ましくはグリホサートを含有する除草剤用として好適である。
本発明の除草剤用効力増強剤組成物に(A)成分を配合することで、本発明の除草剤組成物を調製することができる。すなわち、本発明の除草剤組成物の製造方法は、前記除草剤用効力増強剤組成物と(A)成分とを混合する、製造方法とすることができる。
本発明の除草剤用効力増強剤組成物には、本発明の除草剤組成物及び除草方法で述べた態様を適宜適用することができる。本発明の除草剤用効力増強剤組成物において、(A)成分、(B)成分、(C)成分及びこれらの好ましい態様は、本発明の除草剤組成物で述べたものと同じである。
【0051】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、(B)成分を、除草効果向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、そして、配合安定性と経済性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
なお、本発明において、(B)成分に係る質量に関する記述(質量%や質量比)は、酸塩ではない、即ち未中和のアミンとして換算した場合の量に基づいて算出される。
【0052】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、(C)成分を、除草効果増強の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下含有する。
【0053】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物中、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、除草効果増強の観点から、0.25以上、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、そして、除草効果増強の観点から、0.60以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下、更に好ましくは0.45以下、より更に好ましくは0.40以下である。
【0054】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物において、(C)成分として、前記(CA)成分と前記(CB)成分を含有する場合、(C)成分の含有量に対する、(CA)成分と(CB)成分の合計含有量の割合〔(CA)+(CB)〕/(C)は、除草効果増強の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
【0055】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物において、(C)成分として、(CA)成分と(CB)成分を含有する場合、(CA)成分の含有量と、(CB)成分の含有量との質量比(CA)/(CB)は、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは2以下である。
【0056】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物中、(B)成分と(C)成分の合計含有量は、除草効果増強の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは5.0質量%以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0057】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、配合安定性及び生産性の観点から、更に(D)成分を含有することが好ましい。(D)成分及びその好ましい態様は、本発明の除草剤組成物で述べたものと同じである。
【0058】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、(D)成分を、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0059】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物中、(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比(C)/(D)が、経済性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上、そして、配合安定性及び生産性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
【0060】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、取扱い易さの観点から、液体組成物であってよい。また水を含有する液体組成物であることが好ましい。
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、水を、配合安定性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下含有する。
水としては、本発明の除草剤用効力増強剤組成物の効果を阻害しない範囲で、水道水、蒸留水、脱イオン水などを使用することができ、安定性の観点から、好ましくは脱イオン水である。
【0061】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物は、任意に、(A)~(D)成分以外の化合物、例えば、油や界面活性剤として使用される化合物を含有することができる。
【0062】
本発明の除草剤用効力増強剤組成物と、(A)成分とを配合する場合、(B)成分と(C)成分の合計配合量と(A)成分の配合量との質量比[(B)+(C)]/(A)が、除草効果増強の観点から、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.08以上、より更に好ましくは0.09以上、そして、除草効果増強と配合安定性の観点から、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.5以下となるように配合して用いることが好適である。すなわち、本発明の除草剤の製造方法は、前記除草剤用効力増強剤組成物と(A)成分とを、(B)成分と(C)成分の合計量と(A)成分の量との質量比[(B)+(C)]/(A)が前記範囲となるように混合して製造することが好ましい。
【0063】
本発明は、(B)成分、及び(C)成分を含有し、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.25以上0.6以下である組成物の除草剤用効力増強剤としての使用を提供する。本発明の除草剤用効力増強剤としての使用は、本発明の除草剤組成物、除草方法及び除草剤用効力増強剤組成物で述べた態様を適宜適用することができる。本発明の除草剤用効力増強剤としての使用において、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及びこれらの好ましい態様は、本発明の除草剤組成物で述べたものと同じである。
【実施例】
【0064】
実施例1、比較例1
下記配合成分を用いて、表1、2に示す除草剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1、2に示す。表1、2の除草剤組成物は、常法により調製した。即ち、適量のイオン交換水に(A)成分~(D)成分、(B’)成分を表中の配合量で添加し、室温(25℃)で溶解させた。なお、表1、2中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。
【0065】
<配合成分>
(A)成分
・グリホサートイソプロピルアミン塩:ALDRICH社製
【0066】
(B)成分
・ポリオキシエチレン(5)ココアミン:花王(株)製、「AMIET105」、一般式(b1)中、R1bが、炭素数12、14の直鎖アルキル基を主成分とし、A1bOがエチレンオキシ基、mとnの合計が5、R2bとR3bが水素原子である化合物
・ジメチルラウリルアミン:花王(株)製、「ファーミンDM2098」、一般式(b1)中、R1bが、炭素数12の直鎖アルキル基、mとnの合計が0、R2bとR3bが水素原子である化合物
・ポリオキシエチレン(10)ラウリルアミン:青木油脂工業(株)製、「BLAUNON L210」、一般式(b1)中、R1bが、炭素数12の直鎖アルキル基、A1bOがエチレンオキシ基、mとnの合計が10、R2bとR3bが水素原子である化合物
・ポリオキシエチレン(15)ラウリルアミン:ラウリルアミン(花王(株)製、「ファーミン D20」)に、エチレンオキシドを平均15モル常法にて付加反応させた合成品、一般式(b1)中、R1bが、炭素数12の直鎖アルキル基、A1bOがエチレンオキシ基、mとnの合計が15、R2bとR3bが水素原子である化合物
【0067】
(B’)成分((B)成分の比較成分)
・ポリオキシエチレン(15)タローアミン:青木油脂工業(株)製、「BLAUNON S215T」、一般式(b1)中、R1bが、炭素数16、18の直鎖のアルキル基又はアルケニル基を主成分とし、A1bOがエチレンオキシ基、mとnの合計が15、R2bとR3bが水素原子である化合物
【0068】
(C)成分
・ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数12の直鎖アルキル基、rが12である化合物
・ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数12の直鎖アルキル基、rが6である化合物
・ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数12の直鎖アルキル基、rが9である化合物
・ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数12の直鎖アルキル基、rが23である化合物
・ポリオキシエチレン(7)デシルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数10の直鎖アルキル基、rが7である化合物
・ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数12の直鎖アルキル基、rが10である化合物
・ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル:(CA)成分、一般式(c2)中、R2cが炭素数18の直鎖アルケニル基、rが10である化合物
・POE(3)POP(1.5)POE(3)C12-14エーテル:(CB)成分、一般式(c3)中、R3cが炭素数12又は14の直鎖アルキル基、R3c-O-にEOp1・POq・EOp2の順にブロック配列しており、p1が3、qが1.5、p2が3である化合物
【0069】
(D)成分
・ココアルキルトリメチルアンモニウムクロライド:一般式(d1)中、R1dが炭素数12、14の直鎖のアルキル基を主成分とし、R2d、R3d、R4dは、メチル基であり、X-は塩化物イオンである化合物
・ココアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:一般式(d1)中、R1dが炭素数12、14の直鎖のアルキル基を主成分とし、R2d、R3dはメチル基であり、R4dはベンジル基であり、X-は塩化物イオンである化合物
【0070】
[除草性試験]
9cmポットにイヌビエを生育させ、草丈が40cm程度の植物体を試験に供した。水1Lに表1、2の各除草剤組成物6.7gを添加し、均一に撹拌し、各除草剤散布液を作製した。調製した各除草剤散布液を、5つのポットのイヌビエに25L/10aに相当する散布量で前記植物体全体にかかるように葉面散布した。葉面散布から21日後の除草性を評価した。
除草性の評価は、目視で判定し、評点として、除草剤を散布しない未処理のポットの状態を0点、イヌビエの地上部が完全枯死した状態を10点として評価した。評価はポットごとに除草性効果を判定し、その評価点の平均値を表1、2に示した。この数値が高いほど、除草効力が高いことを示す。
【0071】
[配合安定性試験]
表2の調製直後の均一液体である除草剤組成物10gをガラス製透明容器(容量20mL)中に入れ、55℃の恒温器に1日保存したもの、室温(約25℃)で1日保存したもの、及び0℃の恒温器に1日保存したものの外観をそれぞれ目視により観察し、以下の基準により配合安定性を判定した。結果を表2に示す。
均一:二層に分離せず均一である。
分離:二層に分離している。
【0072】
【0073】
【0074】
表1、2中、配合した(B)成分の質量%において、( )内の数字は、(B)成分相当の質量%である。また配合した(B’)成分には(B)成分が含まれるが、その含有量は微量であるため無視するものとした。
【0075】
実施例2、比較例2
実施例1、比較例1に記載した配合成分を用いて、表3に示す除草剤用効力増強剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表3に示す。表3の除草剤用効力増強剤組成物は、常法により調製した。即ち、適量のイオン交換水に(B)成分~(D)成分、(B’)成分を表中の配合量で添加し、室温(25℃)で溶解させた。なお、表3中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。また、配合した(B)成分の質量%において、()内の数字は、(B)成分相当の質量%である。また配合した(B’)成分には(B)成分が含まれるが、その含有量は微量であるため無視するものとした。
【0076】
[生産性試験]
表3の各除草剤用効力増強剤組成物5.85g、(A)成分としてグリホサートイソプロピルアミン塩4.15g、及び長さ10mmのPTFE撹拌子をガラス製透明容器(容量20mL)中に入れ、室温(25℃)にて、バイアルホットスターラー(型番:HSH-10VA、アズワン株式会社製)を用い、攪拌速度200rpmで攪拌した。目視にて均一透明になることを確認し、攪拌開始から均一透明になるまでの均一化所要時間を測定した。結果を表3に示す。なお実施例2-1~2-16の除草剤用効力増強剤組成物から得られた除草剤組成物の前記した除草試験の評価は7.5点以上であり、比較例2-1の除草剤用効力増強剤組成物から得られた除草剤組成物の前記した除草試験の評価は6.5点であった。
【0077】