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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】アイスシャベル
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/20 20180101AFI20230731BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20230731BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
F25C5/20 305
F25D25/00 Z
F25D17/08 307
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019140126
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021021557
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 郁夫
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-186391(JP,A)
【文献】実開昭52-001623(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 5/20
F25D 25/00
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に載置面を有する底壁と、前記載置面の左右の側端部から立ち上がる左右の突状部と、前記載置面の後端部から立ち上がる後壁とを備える採氷部と、
前記突状部の上方において前記後壁の左右の側端部から前方に向かって延びる左右一対の挟持部を備え、
前記挟持部が、前記採氷部の上方において互いに近接及び離隔する方向に移動可能に設けられたアイスシャベルにおいて、
前記挟持部の前端が前記採氷部の前端より前方に位置し
前記挟持部の先端部は、後方へ行くほど下方へ傾斜する第1傾斜部を備え、
前記第1傾斜部に沿って後方へ延長する延長線より後方に前記採氷部が位置するアイスシャベル。
【請求項2】
上側に載置面を有する底壁と、前記載置面の左右の側端部から立ち上がる左右の突状部と、前記載置面の後端部から立ち上がる後壁とを備える採氷部と、
前記突状部の上方において前記後壁の左右の側端部から前方に向かって延びる左右一対の挟持部を備え、
前記挟持部が、前記採氷部の上方において互いに近接及び離隔する方向に移動可能に設けられたアイスシャベルにおいて、
前記挟持部の前端が前記採氷部の前端より前方に位置し
前記挟持部の先端部は、後方へ行くほど上方へ傾斜する第2傾斜部を備え、
前記第2傾斜部を接地すると、アイスシャベルの重心が前記第2傾斜部の上方に位置するアイスシャベル。
【請求項3】
前記挟持部は、互いの対向面から突出する突起を備える請求項1又は2に記載のアイスシャベル。
【請求項4】
前記挟持部は、前記後壁より左右方向外方へ延びる根元部と、根元部より前方へ向かって延びる延出部とを備える請求項に記載のアイスシャベル。
【請求項5】
前記根元部の断面二次モーメントが、前記延出部の断面二次モーメントより大きい請求項に記載のアイスシャベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アイスシャベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の貯氷容器に貯められている氷を取り出してコップ等に入れるために、アイスシャベルが用いられる場合がある。
【0003】
一般的なアイスシャベルは、氷が載る部分である本体部と、本体部に取り付けられたハンドルとからなる。本体部は、氷が載る載置面と、載置面の左右端部から立ち上がる左右の側壁と、載置面の後端部から立ち上がる後壁とからなり、これらの壁が載置面を左右及び後から囲った形状をしている。
【0004】
このようなアイスシャベルでは、貯氷容器から多数の氷をすくってコップ等に移すのに適した形状であるが、少数(例えば1個)の氷をすくい取るのは必ずしも容易ではなかった。
【0005】
そこで、載置面の左右端部から立ち上がる左右の側壁に前端部から後方に向かって伸びるスリットを備え、左右の側壁のスリットよりも下の部分に設けられた採氷部と、左右の側壁のスリットよりも上の部分に互いに近接及び離隔する方向に移動可能に設けられた挟持部とを備えたアイスシャベルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1のアイスシャベルでは、挟持部が広がった状態にあると、多数の氷をすくったり、多数の氷をコップ等に移したりすることができ、力を加えて挟持部を狭めると、採氷部への氷の出入りが阻害され、少数の氷をすくい取ったり、すくい取った少数の氷をコップ等に移したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-186391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のアイスシャベルでは、採氷部が邪魔になり貯氷容器に収納された氷をつまみ取るのは必ずしも容易ではない。
【0009】
そこで本発明では、氷をすくい取ったり、つまみ取ったりしやすく使い勝手のよいアイスシャベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態のアイスシャベルは、上側に載置面を有する底壁と、前記載置面の左右の側端部から立ち上がる左右の突状部と、前記載置面の後端部から立ち上がる後壁とを備える採氷部と、前記左右の突状部より上方において前記後壁の左右の側端部から前方に向かって延びる左右一対の挟持部を備え、前記挟持部が、前記採氷部の上方において互いに近接及び離隔する方向に移動可能に設けられたアイスシャベルにおいて、前記挟持部の前端が前記採氷部の前端より前方に位置し、前記挟持部の先端部は、後方へ行くほど下方へ傾斜する第1傾斜部を備え、前記第1傾斜部に沿って後方へ延長する延長線より後方に前記採氷部が位置するものである。
また、本発明の他の実施形態のアイスシャベルは、上側に載置面を有する底壁と、前記載置面の左右の側端部から立ち上がる左右の突状部と、前記載置面の後端部から立ち上がる後壁とを備える採氷部と、前記突状部の上方において前記後壁の左右の側端部から前方に向かって延びる左右一対の挟持部を備え、前記挟持部が、前記採氷部の上方において互いに近接及び離隔する方向に移動可能に設けられたアイスシャベルにおいて、前記挟持部の前端が前記採氷部の前端より前方に位置し、前記挟持部の先端部は、後方へ行くほど上方へ傾斜する第2傾斜部を備え、前記第2傾斜部を接地すると、アイスシャベルの重心が前記第2傾斜部の上方に位置するものである。

【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の冷蔵庫の断面図。
図2】実施形態のアイスシャベルの平面図。
図3】実施形態のアイスシャベルの斜視図。
図4】実施形態のアイスシャベルの図2のA-Aでの断面図。
図5】実施形態のアイスシャベルの挟持部で氷を挟む状態を示す図。
図6】実施形態のアイスシャベルを直立させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき説明する。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る冷蔵庫10は冷蔵空間20と冷凍空間30とを有する。冷蔵空間20は、冷蔵温度(例えば、0~4℃)に冷却される空間であって、必要に応じて内部がさらに区画されている。例えば図1の冷蔵庫10の場合は、冷蔵空間20の内部が仕切板によって上下に区画され、上は複数段の載置棚が設けられた冷蔵室22に、下は引き出し式の収納容器24が配置された野菜室26となっている。冷凍空間30は、冷凍温度(例えば、-18℃以下)に冷却される空間であって、自動製氷機を備えた製氷室32と、冷凍室34とが設けられている。冷蔵室22、野菜室26、製氷室32、冷凍室34等の貯蔵室の前方開口部は、それぞれ、観音式や引き出し式等の扉により閉塞されている。
【0014】
製氷室32には、氷を造る製氷皿36と、製氷皿36の下に配置され、製氷皿36から落ちた氷が貯蔵される貯氷容器38とが設けられている。製氷室32にはアイスシャベル40が備えられている。例えば図示するように貯氷容器38の内部にアイスシャベル40が備えられている。この場合、貯氷容器38の内部のアイスシャベル40の置き場は仕切板39で区画されていても良い。
【0015】
図2図4に示すように、本実施形態のアイスシャベル40は、本体部50とその後方のハンドル70とを備える。アイスシャベル40は全体が合成樹脂で一体に形成されている。なお、ここで、説明の便宜上、特に断らない限り、前方X1、後方X2及び左右方向Yは、図2における左方向、右方向及び上下方向をいい、上方Z1及び下方Z2は、図4における上方向及び下方向をいう。また、左右方向内方及び左右方向外方は、後述する挟持部60が近づく方向及び遠ざかる方向をいう。
【0016】
本体部50は、採氷部56と、採氷部56の上方に設けられた挟持部60とを備える。
【0017】
採氷部56は、上側に氷が載る載置面51を有する底壁52と、載置面51の左右両側端から立ち上がる左右の突状部53と、載置面51の後端から立ち上がる後壁54とを備えており、前方及び上方に開口している。
【0018】
載置面51の平面視での形状は限定されないが、その前方X1の部分が先細りの形状となっていることが望ましい。特に、載置面51の前端部が鋭角をなすように、その前方X1の部分が先細りになっていることが望ましい。ただし図示するように、載置面51の前端部付近の部分は丸められてR部となっていても良い。その場合、R部から連続する左右の2辺が、これらが交わった場合に鋭角をなすような角度関係であれば良い。また、先端部51aは、先端へ行くほど上方に向くように傾斜しても良い。
【0019】
左右の突状部53は、後壁54の下部から載置面51の左右の縁部に沿って前方X1へ延びる突条をなしている。左右の突状部53は、後端が後壁54に連結され、後壁54から前方X1に向かって延び、載置面51の先端部51aの途中で終端している。
【0020】
後壁54は、載置面51の後端から後方X2に行くほど載置面51に対する傾斜が大きくなるように立ち上がる断面円弧状の湾曲面からなる。後壁54の上端部における左右の側端部には、前方に向かって延びる左右一対の挟持部60が設けられている。
【0021】
左右一対の挟持部60は、左右の突状部53の上方に間隔をあけて設けられており、これにより、採氷部56と挟持部60との間にスリット55、55が形成されている。採氷部56に設けられた突状部53、スリット55及び挟持部60は、載置面51の左右両端から立ち上がる左右の側壁を構成する。
【0022】
左右の側壁の高さ、つまり、挟持部60,60の上端の位置は、限定されないが、製氷皿36で製造される略直方体の氷の最も長い辺の長さよりも高いことが好ましい。また、スリット55、55の載置面51からの高さは、限定されないが、例えば製氷皿36で製造される略直方体の氷の最も短い辺の長さよりも低いことが好ましい。
【0023】
上記のようにアイスシャベル40は全体が合成樹脂で一体に形成されているため、左右一対の挟持部60、60は弾性変形可能である。そのため、左右一対の挟持部60、60は、力が加わると、互いに近接及び離隔する方向に移動可能である。左右一対の挟持部60、60が互いに近接するように指で力が加えられると、挟持部60は狭まり、その力が除かれると、挟持部60は元の状態に戻る。挟持部60はその前方の部分ほど大きく動く。左右の挟持部60は、その前方先端に設けられた保持部63が製氷皿36で造られる氷1個を挟むことができるまで狭まる。
【0024】
左右一対の挟持部60は、後壁54の左右の側端部より左右方向外方へ延びる根元部61と、根元部61より前方X1へ向かって延びる延出部62と、延出部62の先端側に設けられ挟持部60の先端部を構成する保持部63とを備える。図2に示すような平面視において、左右一対の挟持部60は、挟持部60に外部から力が加わっていない状態(自然状態)で、採氷部56より前方X1へ突出するとともに、採氷部56よりも左右方向外方に位置し、採氷部56と上下に重なり合わないように配置されている。
【0025】
具体的には、根元部61は、図2に示すような平面視において、左右方向外方へ行くほど前方X1に向かうように湾曲しており、その先端に延出部62が設けられている。
【0026】
延出部62は、平面視において左右方向内方へ緩やかに窪んだ押圧部62aと、押圧部62aの先端側に左右方向内方へ折れ曲がる屈曲部62bが設けられている。屈曲部62bの先端側には、屈曲部62bから前方X1に沿って延びる保持部63が設けられている。
【0027】
根元部61は、延出部62より断面二次モーメントが大きいことが好ましい。本実施形態では、根元部61及び延出部62は、高さ寸法(上下方向の寸法)が略一定に設けられている。また、根元部61は、後壁54から延出部62に達するまで後壁54から離れるに従って厚みが薄くなっている。延出部62は、厚みが略一定となっている。これにより、根元部61の断面二次モーメントが延出部62の断面二次モーメントより大きくなっている。
【0028】
図2及び図4に示すように、保持部63は、その前端が採氷部56の前端Pより前方X1に位置するように、屈曲部62bから前方X1へ延びている。つまり、一対の挟持部60が、採氷部56より前方X1へ突出している。一対の保持部63は、左右方向Yに対向する略平行な対向面63aを有している。
【0029】
対向面63aには、左右方向内方へ突出する上突起64及び下突起65を設けることが好ましい。上突起64及び下突起65は突出方向先端側が尖った形状であることが好ましく、前後方向及び上下方向にずれた位置に上突起64と下突起65を設けることが好ましい。
【0030】
図4の場合では、上突起64が対向面63aの上端縁に前後方向に間隔をあけて2つ設けられ、下突起65が対向面63aの下端縁に2つの上突起64の間に位置するように設けられている。一方の対向面63aに設けられた上突起64及び下突起65と、他方の対向面63aに設けられた上突起64及び下突起65とは、挟持部60に外部から力が加わっていない自然状態で、左右方向に対向している。
【0031】
屈曲部62b及び保持部63は、左右方向外方へ突出する補強リブ66、66が形成され、押圧部62aより断面二次モーメントが大きいことが好ましい。
【0032】
保持部63の先端部は、後方X2へ行くほど下方Z2へ傾斜する第1傾斜部63bと、後方へ行くほど上方へ傾斜する第2傾斜部63cとを備え、第1傾斜部63bの上端に第2傾斜部63cの下端が繋がっている。
【0033】
保持部63の先端部は、根元部61及び延出部62より下方Z2へ突出しており、当該先端部の高さ寸法(上下方向の寸法)が、根元部61及び延出部62の高さ寸法より大きくなっている。
【0034】
第1傾斜部63bの斜面に沿って後方X2へ延長する直線を延長線Lとすると、少なくとも、挟持部60に外部から力が加わっていない自然状において、採氷部56の前端Pが延長線Lより後方X2に位置している。前後方向に対する延長線Lの角度θは、鈍角であることが好ましく、100度以上130度以下であることがより好ましい。なお、一対の挟持部60は、根元部61を基点として互いに近接及び離隔移動するため、挟持部60が互いに近接すると挟持部60の先端位置が後方X2へ移動する。一対の挟持部60が最も近接する状態において採氷部56の前端Pが延長線Lより後方X2に位置することが好ましい。
【0035】
保持部63の先端部には、左右方向内方へ突出する爪部67が第1傾斜部63bに沿って設けられている。爪部67は、突出方向先端側に行くほど厚みが薄くなる断面三角形状の突条からなることが好ましい。なお、爪部67の突出量は、保持部63の対向面63aから突出する上突起64及び下突起65の突出量より大きい、又は上突起64及び下突起65の突出量と同一であることが好ましい。
【0036】
第2傾斜部63cは、図6に示すようにアイスシャベル40を直立させた時に接地する面であり、アイスシャベル40を直立させると、アイスシャベル40の重心Gが第2傾斜部63cの上方にくるように、上下方向に対して第2傾斜部63cが傾斜している。
【0037】
ハンドル70は、本体部50の後壁54から後方X2に間隔を空けて設けられた把持部72と、把持部72と後壁54とを連結する連結部71とを備える。本実施形態の場合は、連結部71は、本体部50の後壁54の上部から後方に向かって伸びている。把持部72は、連結部71の後端から下方に向かって伸びている。よってハンドル70は全体としてL字形となっている。把持部72は、把持部72に対する挟持部60が延びる方向、すなわち前後方向に対して、垂直な方向又は垂直な方向に近い方向(例えば垂直な方向に対して20度以内の角度だけずれた方向)に伸びていることになる。
【0038】
以上の構造のアイスシャベル40の製造方法としては、射出成形機で成形する方法や、3次元プリンタにより製造する方法等が挙げられる。
【0039】
使用者がこのアイスシャベル40を持つ場合、少なくとも2本の指で挟持部60を左右方向外方から持つとともに、少なくとも1本の指を把持部72にかける。例えば、親指と人差し指、又は親指と人差し指と中指とで挟持部60をつまむように持つとともに、残りの指を把持部72にかける。
【0040】
そして、使用者は、挟持部60に加える力の大きさを加減して、挟持部60を開いたり閉じたりしながら、アイスシャベル40を使用することで、使用者が望む数の氷を移すことができる。
【0041】
例えば、使用者が挟持部60に力を加えない自然状態では、挟持部60は開いた状態になる。この場合、挟持部60は載置面51上への氷の出入りを阻害しない。そのため、使用者は、挟持部60に力を加えずこれを開いた状態にしておくことにより、載置面51上に多数の氷をすくい取ったり、載置面51上にある多数の氷を一度にコップ等に入れたりすることができる。
【0042】
また、使用者が挟持部60に対しこれをつまむように力を加えると、挟持部60の保持部63の間隔は狭まる。この場合、保持部63は載置面51上への氷の出入りを阻害する。そのため、使用者は、挟持部60に力を加えてこれを狭めて氷をすくうことにより、載置面51上に少数の氷だけをすくい取ることができる。また、使用者は、載置面51上の氷をコップ等に入れる際に、挟持部60に力を加えてこれを狭めることにより、載置面51上に多数の氷があったとしても、それらのうち少数の氷だけをうまくコップ等に入れることができる。
【0043】
また、使用者が挟持部60に対しこれを強くつまむように力を加えると、挟持部60の保持部63の間隔が非常に狭くなり、上突起64及び下突起65で1個の氷をつまむことができるようになる。そのため、使用者は、アイスシャベル40で貯氷容器38から氷を1個だけつまんで取り出すことができる。また、使用者は、載置面51上に多数の氷を載せた状態で、挟持部60に強く力を加えて上突起64及び下突起65の間隔を氷が1個だけ通過できる間隔とすることにより、コップ等に氷を1個ずつ入れることができる。またこのようにすることにより、水筒のような口の狭い容器に対しても、氷を1個ずつ入れることができる。
【0044】
また、使用者は、挟持部60に対しこれを強くつまむように力を加えると、挟持部60の保持部63の間隔が非常に狭くなり、保持部63に設けられた上突起64及び下突起65で1個の氷をつまむことができるようになる。そのため、使用者は、アイスシャベル40で貯氷容器38から氷を1個だけつまんで取り出すことができる。
【0045】
本実施形態のアイスシャベル40では、挟持部60の前端が採氷部56の前端Pより前方X1に位置しているため、挟持部60で氷をつまむ際に採氷部56が邪魔になりにくく、アイスシャベル40の使い勝手を向上することができる。
【0046】
また、本実施形態のように保持部63の先端部に第1傾斜部63bを設けると、貯氷容器38の底面38aなどに面接触している氷をつまんで取り出しやすくなる。
【0047】
つまり、貯氷容器38の底面38aに面接触している氷を挟持部60でつまんで取り出す場合、挟持部60の先端が氷と底面38aとの界面と平行になるように、アイスシャベル40の前方X1を鉛直方向下方に向けるため、手首や肘を大きくねじってアイスシャベル40を直立する向きにする必要がある。
【0048】
しかし、本実施形態のように保持部63の先端部に第1傾斜部63bを設けると、アイスシャベル40を直立する向きにすることなく、図5に示すように、保持部63の先端部に設けられた第1傾斜部63bが、氷と底面38aとの界面と平行になるようにアイスシャベル40を傾斜させることで、氷をつまんで取り出すことができる。そのため、使用者が手首や肘を大きくねじることなく容易に底面38aなどに面接触している氷を取り出すことができる。
【0049】
しかも、本実施形態のように第1傾斜部63bに沿って爪部67が設けられていると、氷と底面38aの間に爪部67の先端を対向させ、この状態から使用者が挟持部60に力を加えて保持部63の間隔を狭くすることで、氷と底面38aの間に爪部67の先端を押し込み、氷を底面38aから引き離すことができる。そのため、氷が貯氷容器38の底面38aなどに密着していう場合でも容易に1個の氷を取り出すことができる。
【0050】
また、本実施形態のように保持部63の対向面63aに上突起64や下突起65を設けると、対向面63aで挟持した氷を確実に保持することができる。
【0051】
しかも、本実施形態のように上突起64及び下突起65が、図2に示すような平面視において互いに重なり合わないように、前後方向及び上下方向にずれた位置に上突起64と下突起65を設けることで、アイスシャベル40を射出成形する金型の構造を簡略化することができる。
【0052】
また、本実施形態のように保持部63の先端部に第2傾斜部63cを設けると、第2傾斜部63cを接地することで、他の支えなくアイスシャベル40を直立させることができる。そのため、アイスシャベル40を使わないときに汚れが付きにくくなったり、狭いスペースで安定して置くことができ、洗った後に水切りしやすい。また、アイスシャベル40を直立させると挟持部60が接地面から離れるため、アイスシャベル40をつかみ取りやすい。
【0053】
また、本実施形態のように挟持部60が、後壁54より左右方向外方へ延びる根元部61と、根元部61より前方X1へ向かって延びる延出部62とを備える場合、挟持部60に対してつまむような力を加えた時に応力が局所的に集中することなく根元部61に分散するため、アイスシャベル40の耐久性を向上させることができる。
【0054】
その際、本実施形態のように根元部61の断面二次モーメントが、延出部62の断面二次モーメントより大きいと、根元部61にかかる応力を低減することができ、アイスシャベル40の耐久性を向上させることができる。
【0055】
なお、採氷部56と挟持部60との間に形成されるスリット55、55は、根元部61の下方位置まで延びていることが好ましく、根元部61と後壁54との連結部分の下方位置まで延びていることがより好ましい。このようにスリット55,55を設けることで、挟持部60の可動範囲が大きくなるとともに、根元部61にかかる応力を低減することができ、アイスシャベル40の耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、図2に示すような平面視において、挟持部60が採氷部56と上下方向に互いに重なり合わないように配置されているため、アイスシャベル40を射出成形する金型の構造を簡略化することができる。
【0057】
また、本実施形態のように平面視において左右方向内方へ緩やかに窪んだ押圧部62aを延出部62に設けると、使用者が押圧部62aをつかんで力を加える際に、使用者の指から入力される力が分散され延出部62へ伝わりやすくなる。また、押圧部62aを設けることで、使用者の指が当たる部分の間隔を狭くして掴みやすさを維持しつつ、根元部61を比較的大きなR形状として根元部61への応力集中を緩和することができる。
【0058】
また、本実施形態のように屈曲部62b及び保持部63に補強リブ66を設け、押圧部62aより屈曲部62b及び保持部63の断面二次モーメントが大きく場合であると、保持部63で氷を挟持する力が低下するのを防ぐことができ、氷をしっかりと保持することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
10…冷蔵庫、40…アイスシャベル、50…本体部、51…載置面、52…底壁、53…突状部、54…後壁、55…スリット、56…採氷部、60…挟持部、61…根元部、62…延出部、62a…押圧部、62b…屈曲部、63…保持部、63a…対向面、63b…第1傾斜部、63c…第2傾斜部、64…上突起、65…下突起、66…補強リブ、67…爪部、70…ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6