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  • 特許-ヒューズ素子プロテクタ 図1
  • 特許-ヒューズ素子プロテクタ 図2
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  • 特許-ヒューズ素子プロテクタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ヒューズ素子プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/20 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
H01H85/20 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019145876
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021026960
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘人
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-151056(JP,U)
【文献】実開昭57-112451(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2000-0067717(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャル型のヒューズ素子用のヒューズ素子プロテクタであって、
上記ヒューズ素子の素子本体を嵌入する孔部と、
上記ヒューズ素子の2つのリード線をそれぞれ嵌入する2つの溝部を有し、
上記溝部は、上記孔部と上記ヒューズ素子プロテクタの周縁部を連通するように形成されているとともに、上記2つの溝部が一直線上に形成されており、
上記孔部の内側壁には、上記素子本体を把持するための3つ以上の凸部が形成されており、
上記凸部の数が奇数であり、上記一直線上に形成された2つの溝部を連続させた線を基準線とし、上記凸部を上記基準線に平行移動させたと仮定したとき、上記凸部が略等間隔となっており、上記基準線で対向するそれぞれの上記凸部が入れ違いで配置されるようになっていることを特徴とするヒューズ素子プロテクタ。
【請求項2】
アキシャル型のヒューズ素子用のヒューズ素子プロテクタであって、
上記ヒューズ素子の素子本体を嵌入する孔部と、
上記ヒューズ素子の2つのリード線をそれぞれ嵌入する2つの溝部を有し、
上記溝部は、上記孔部と上記ヒューズ素子プロテクタの周縁部を連通するように形成されているとともに、上記2つの溝部が一直線上に形成されており、
上記孔部の内側壁には、上記素子本体を把持するための3つ以上の凸部が形成されており、
上記孔部について上記一直線上に形成された2つの溝部を連続させた線を基準線とし、該基準線によって上記孔部を区画したとき、上記凸部の数が多い側の区画における上記凸部近傍の壁の厚さが、上記凸部の数が少ない側の区画における上記凸部近傍の壁の厚さよりも厚いことを特徴とするヒューズ素子プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱装置や回路基板等に設置されるヒューズ素子の保護部品に係り、特に、容易且つ確実に装着できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、暖房装置や解氷装置、或いは、回路基板や二次電池のような発熱する装置には、温度の過昇防止のため、所定温度に達すると通電が遮断されるように、ヒューズ素子が設置されている(例えば、特許文献1参照)。このヒューズ素子に対して、位置決めの正確性向上や、組立時の外力からの保護などを目的として、プロテクタが設置されることがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-185896公報:トヨタ自動車
【文献】特開2001-35333公報:内橋エステック
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に示すようなプロテクタは、単にヒューズ素子の形状と同様の形状の嵌合用孔を形成し、その嵌合用孔にヒューズ阻止を嵌め入れるのみのものとなっている。ヒューズ素子の固定にあたっては、別に用意した接着剤や粘着テープ、収縮チューブを使用することとなっており、工数が多く組立の作業性に劣るものであった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、容易且つ確実に装着が可能なヒューズ素子プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく、本発明によるヒューズ素子プロテクタは、ヒューズ素子用のヒューズ素子プロテクタであって、上記ヒューズ素子の素子本体を嵌入する孔部と、上記ヒューズ素子の2つのリード線をそれぞれ嵌入する2つの溝部を有し、上記溝部は、上記孔部と上記ヒューズ素子プロテクタの周縁部を連通するように形成されており、上記孔部の内側壁には、上記素子本体を把持するための3つ以上の凸部が形成されていることを特徴とするものである。
また、上記ヒューズ素子がアキシャル型であり、上記2つの溝部が一直線上に形成されていることが考えられる。
また、上記一直線上に形成された2つの溝部を連続させた線を基準線としたとき、該基準線に対して対向する位置に、上記凸部が重複していないことが考えられる。
また、上記凸部の数が奇数であり、上記凸部を上記基準線に平行移動させたと仮定したとき、上記凸部が略等間隔となっており、基準線で対向するそれぞれの上記凸部が入れ違いで配置されるようになっていることが考えられる。
また、上記孔部について上記一直線上に形成された2つの溝部を連続させた線を基準線とし、該基準線によって上記孔部を区画したとき、上記凸部の数が多い側の区画における上記凸部近傍の壁の厚さが、上記凸部の数が少ない側の区画における上記凸部近傍の壁の厚さよりも厚いことが考えられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、孔部に素子本体を、溝部にリード線をそれぞれ嵌入するだけの簡単な工程でプロテクタを装着することが可能である。また、3つ以上の凸部が形成されていることにより、ヒューズ素子の素子本体の把持が確実に維持されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるヒューズ素子プロテクタの斜視図である。
図2】本発明によるヒューズ素子プロテクタの別の面の斜視図である。
図3】ヒューズ素子に本発明によるヒューズ素子プロテクタを装着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明によるヒューズ素子プロテクタの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
まず、図1図2を参照して実施の形態1を説明する。ヒューズ素子プロテクタ10は、ポリカーボネート樹脂からなり、縦5mm、横18mm、厚さ1.9mmの略板形状のものである。ヒューズ素子プロテクタ10には、両主面に貫通するように長径10mm、短径2.6mmの孔部11が形成されている。また、孔部11の内側壁には、3つの凸部13a,13b,13cが0.6mm突出するように形成されている。図1に示すように、ヒューズ素子プロテクタ10の一方の主面には、孔部11とヒューズ素子プロテクタ10の周縁部を連通するように幅1mm、深さ1.5mmの2つの溝部12a、12bが形成されている。2つの溝部12a,12bは、一直線上に形成されている。
【0011】
このようなヒューズ素子プロテクタ10は、図3に示すようにして、ヒューズ素子20に装着される。ヒューズ素子20はアキシャル型であり、長さ8mm、直径1.65mmの略円筒形状の素子本体21の両端から、直径0.6mmの1対の電極22a,22bが一直線上に導出される構造となっている。本実施の形態によるヒューズ素子プロテクタ10は、このようなアキシャル型のヒューズ素子20の形状に対応した構成となっている。ヒューズ素子20の素子本体21は、ヒューズ素子プロテクタ10の孔部11に配置され、3つの凸部13a,13b,13cによって把持される。また、ヒューズ素子20のリード線22a,22bは、ヒューズ素子プロテクタ10の溝部12a,12bの中に嵌入にされる。
【0012】
図4に示すように、上記一直線上に形成された2つの溝部12a,12bを連続させた線を基準線L(図4にて鎖線で示す)としたとき、基準線Lに対して対向する位置に、3つの凸部13a,13b,13cは何れも重複していない。また、3つの凸部13a,13b,13cについて、図4中において矢印で示すように、基準線Lに平行移動させたと仮定したとき、3つの凸部13a,13b,13cが略等間隔となっており、基準線Lで対向する凸部13a,13cと凸部13bが入れ違いで配置されるようになっている。これにより、凸部13a,13b,13cにより素子本体21を把持する際に、素子本体21への過度の圧力がかからず、素子本体21を破損させることなく安定的に保持させることができる。
【0013】
また、基準線Lによって孔部11を区画したとき、凸部の数が多い側の区画における凸部近傍の壁14aの厚さが、凸部の数が少ない側の区画における凸部近傍の壁14bの厚さよりも厚くなっている。より詳しく説明すると、2つの凸部13a,13cが形成された区画11aにおける凸部近傍の壁14aの厚さは1.2mmであり、1つの凸部13bが形成された区画11bにおける凸部近傍の壁14bの厚さは0.6mmである。このように、凸部の数が少ない側の区画における凸部近傍の壁の厚さを薄くすることで、凸部の数が少ない側の壁が撓みやすくなり、素子本体の配置が容易となるとともに、素子本体への過度の圧力を緩和することができる。
【0014】
上記のようにして、ヒューズ素子プロテクタ10はヒューズ素子20に装着されることになる。この状態のみでも、ヒューズ素子20は十分に保持固定されることになるが、より確実な固定のため、ヒューズ素子プロテクタ10はヒューズ素子20の間隔を接着剤等で充填固定することも考えられる。また、ヒューズ素子20の配置箇所に、ヒューズ素子プロテクタ10を接着テープや接着剤によって貼り付けることも考えられる。
【0015】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、ヒューズ素子20について、リード線22a,22bの導出がアキシャル型でなく、ラジアル型であってもよい。その場合、ヒューズ素子プロテクタには、並行した2つの溝部が形成されることになる。また、ヒューズ素子について、温度ヒューズではなく、電力ヒューズであっても良い。更には、ヒューズ素子でなく、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、ダイオード、トランジスタなどの回路素子にも適用が可能である。
【0016】
ヒューズ素子プロテクタ10の材質については、使用される環境等によって適宜設計すれば良い。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料、熱可塑性エラストマー、各種ゴム材料、セラミックスなど種々のものが挙げられる。また、ヒューズ素子プロテクタ10の外径寸法、孔部11の寸法や形状、溝部12a等の寸法、凸部13a等の寸法や形状についても、ヒューズ素子の形状や寸法等によって適宜設計すれば良い。また、補強のためのリブなどを形成しても良い。
【0017】
孔部11は、両主面に貫通するものだけでなく、一方の主面で開口し、一方の主面は封止されているものであっても構わない。要は、素子本体21が十分に入るだけの寸法と形状になっていれば良い。
【0018】
凸部の個数については、実施の形態のように3つであることに限定されない。3つ以上であればよいが、実施の形態のように基準線Lで対向する凸部が入れ違いで配置されるようになっている場合は、圧力の均等のため、奇数である方が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上詳述したように本発明によれば、容易且つ確実に装着が可能なヒューズ素子プロテクタを得ることができる。このようなヒューズ素子プロテクタは、温度ヒューズ、電力ヒューズといったヒューズ素子、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、ダイオード、トランジスタなどの回路素子に使用することができる。また、このようなヒューズ素子プロテクタを装着したヒューズ素子は、例えば、家庭用暖房器具、自動車内装用暖房装置、産業用加熱装置、各種除雪解氷装置、防曇装置、加熱調理器具、温熱治療機などの加熱装置、或いは、回路基板や二次電池などのような熱発生装置に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0020】
10 ヒューズ素子プロテクタ
11 孔部
12a,12b 溝部
13a,13b,13c 凸部
14a,14b 壁
20 ヒューズ素子
21 素子本体
22 リード線
図1
図2
図3
図4