(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】高強度6XXXアルミニウム合金及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
C22F 1/05 20060101AFI20230731BHJP
C22C 21/16 20060101ALI20230731BHJP
C22F 1/053 20060101ALI20230731BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
C22F1/05
C22C21/16
C22F1/053
C22F1/00 602
C22F1/00 613
C22F1/00 623
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 640A
C22F1/00 661D
C22F1/00 661Z
C22F1/00 673
C22F1/00 681
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 691A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 692B
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019151676
(22)【出願日】2019-08-22
(62)【分割の表示】P 2017551195の分割
【原出願日】2016-12-16
【審査請求日】2019-09-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイニー・アーメッド
(72)【発明者】
【氏名】ラジーブ・ジー・カマット
(72)【発明者】
【氏名】コッラード・バッシ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・フロレイ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・ブザンソン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ティム
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・レヴラ
(72)【発明者】
【氏名】オード・デスポワ
(72)【発明者】
【氏名】サゾル・クマール・ダス
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】羽鳥 友哉
【審判官】佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-240424(JP,A)
【文献】特開2006-9140(JP,A)
【文献】特開平6-136478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C21/00-21/18
C22F1/04-1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金金属製品の製造方法であって、
インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することであって、前記アルミニウム合金は、0.9~1.5重量%のCu、0.7~1.1重量%のSi、0.7~1.2重量%のMg、0.06~0.15重量%のCr、0.05~0.3重量%のMn、0.1~0.3重量%のFe、最大で0.2重量%のZr、最大で0.2重量%のSc、最大で0.25重量%のSn、最大で0.2重量%のZn、最大で0.15重量%のTi、最大で0.07重量%のNi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlであるアルミニウム合金を鋳造することと、
前記インゴットを均質化することと、
プレート、シェート、またはシートを製造するために前記インゴットを熱間圧延することと、
前記プレート、シェート、またはシートを520℃~590℃の温度で溶体化することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記均質化は、インゴットを520~580℃の温度に加熱することで行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記熱間圧延は、500℃~540℃の入口温度で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱間圧延する工程の出口温度は、250℃~380℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶体化の後に、前記プレート、シェート、またはシートを焼入れすることを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記焼入れは、水または空気を使用して実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プレート、シェート、またはシートは焼入れの後、時効させることを更に含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記時効は、180℃~225℃においてある期間加熱することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
0.9~1.5重量%のCu、0.7~1.1重量%のSi、0.7~1.2重量%のMg、0.06~0.15重量%のCr、0.05~0.3重量%のMn、0.1~0.3重量%のFe、最大で0.2重量%のZr、最大で0.2重量%のSc、最大で0.25重量%のSn、最大で0.2重量%のZn、最大で0.15重量%のTi、最大で0.07重量%のNi、及び最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、アルミニウム合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/269,385号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高強度アルミニウム合金及びそれを作製及び加工する方法に関する。本発明は更に、改善された機械的強度、成形性、耐腐食性、及び陽極酸化された品質を呈する6XXXシリーズ合金に関する。
【背景技術】
【0003】
高強度のリサイクル可能なアルミニウム合金は、輸送手段(例えば、トラック、トレーラー、列車、船舶を包含するがこれらに限定されない)用途、電子用途、及び自動車用途を含む多くの用途において改善された製品性能のために望ましい。例えば、トラックまたはトレーラーにおける高強度アルミニウム合金は、従来の鋼合金よりも軽く、排出物に関する新たなより厳しい政府の規制を満たすために必要とされる大幅な排出物減少を提供する。そのような合金は、高強度、高成形性、及び耐腐食性を呈するべきである。
【0004】
しかしながら、そのような合金を提供する加工条件及び合金組成を特定することが課題であると判明している。また、所望の特性を呈する可能性を有する組成物の熱間圧延は、しばしば、端部亀裂の問題及び熱間割れの傾向をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本発明の対象となる実施形態は、この概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この概要は、本発明の様々な態様の高レベルな概説であり、以下の詳細な説明のセクションで更に記載するコンセプトの一部を紹介している。この概要は、特許請求された主題の肝要なまたは本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求された主題の範囲を決定するために分離して使用されることも意図していない。主題は、明細書全体の適切な部分、任意のまたは全ての図面、及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書では、6XXXシリーズアルミニウム合金を調製する方法、アルミニウム合金、及びその合金を含む製品が提供される。
【0007】
一態様は、アルミニウムを加工する方法に関する。例えば、アルミニウム合金金属製品を製造する方法であって、インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することであって、そのアルミニウム合金は、約0.9~1.5重量%のCu、約0.7~1.1重量%のSi、約0.7~1.2重量%のMg、約0.06~0.15重量%のCr、約0.05~0.3重量%のMn、約0.1~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約0.2重量%のZn、最大で約0.15重量%のTi、最大で約0.07重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、鋳造することと、インゴットを均質化することと、プレート、シェート(shate)、またはシートを製造するためにインゴットを熱間圧延することと、プレート、シェート、またはシートを約520℃~約590℃の温度で溶体化することと、を含む、方法が開示されている。この出願を通して、全ての元素は、合金の全重量を基準として重量百分率(wt.%)で記載されている。いくつかの例では、均質化工程は、インゴットを約520℃~約580℃の温度に加熱することを含み得る。いくつかの場合では、熱間圧延工程は、約500℃~約540℃の入口温度及び約250℃~約380℃の出口温度で行われ得る。任意に、方法は、プレート、シェート、またはシートをアニールすることを含み得る。いくつかのそのような場合には、アニール工程は、約30~約120分間の浸漬時間で約400℃~約500℃の温度で実施され得る。更に他の態様では、方法は、プレート、シェート、またはシートを冷間圧延することを含み得る。いくつかの場合では、方法は、溶体化工程後にプレート、シェート、またはシートを焼入れすることを含み得る。いくつかの他の態様では、方法は、プレート、シェート、またはシートを時効させることを含む。いくつかのそのような場合では、時効工程は、プレート、シェート、またはシートを約180℃~約225℃においてある期間加熱することを含む。
【0008】
別の態様は、アルミニウムを加工する方法であって、インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することであって、そのアルミニウム合金は約0.6~0.9重量%のCu、約0.8~1.3重量%のSi、約1.0~1.3重量%のMg、約0.03~0.25重量%のCr、約0.05~0.2重量%のMn、約0.15~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約0.9重量%のZn、最大で約0.1重量%のTi、最大で約0.07重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、鋳造することと、インゴットを均質化することと、圧延された製品を製造するためにインゴットを熱間圧延または冷間圧延することと、圧延された製品を溶体化することであって、溶体化温度は約520℃~約590℃である、溶体化することと、により生産することを含む方法に関する。いくつかの例では、均質化工程は、インゴットを約520℃~約580℃の温度に、ある期間加熱することを含み得る一工程均質化である。他の例では、均質化工程は、インゴットを約480℃~約520℃の温度に、ある期間加熱することと、更にインゴットを約520℃~約580℃の温度に、ある期間加熱することと、を含み得る二工程均質化である。いくつかの場合では、熱間圧延工程は、約500℃~約540℃の入口温度及び約250℃~約380℃の出口温度で行われ得る。いくつかの場合では、方法は、溶体化工程後に、圧延された製品を焼入れすることを含み得る。いくつかの他の態様では、方法は、圧延された製品を時効させることを含む。いくつかのそのような場合では、時効工程は、プレート、シェート、またはシートを約180℃~約225℃においてある期間加熱することを含む。
【0009】
別の態様は、アルミニウムを加工する方法であって、インゴットを形成するためにアルミニウム合金を鋳造することであって、そのアルミニウム合金は約0.5~2.0重量%のCu、約0.5~1.5重量%のSi、約0.5~1.5重量%のMg、約0.001~0.25重量%のCr、約0.005~0.4重量%のMn、約0.1~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約4.0重量%のZn、最大で約0.15重量%のTi、最大で約0.1重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、鋳造することと、インゴットを均質化することと、圧延された製品を製造するためにインゴットを熱間圧延または冷間圧延することと、圧延された製品を溶体化することであって、溶体化温度は約520℃~約590℃である、溶体化することと、により生産することを含む方法に関する。いくつかの例では、均質化工程は、インゴットを約520℃~約580℃の温度に、ある期間加熱することを含み得る一工程均質化である。他の例では、均質化工程は、インゴットを約480℃~約520℃の温度に、ある期間加熱することと、更にインゴットを約520℃~約580℃の温度に、ある期間加熱することと、を含み得る二工程均質化である。いくつかの場合では、熱間圧延工程は、約500℃~約540℃の入口温度及び約250℃~約380℃の出口温度で行われ得る。いくつかの場合では、方法は、溶体化工程後に、圧延された製品を焼入れすることを含み得る。いくつかの他の態様では、方法は、圧延された製品を時効させることを含む。いくつかのそのような場合では、時効工程は、シートを約180℃~約225℃においてある期間加熱することを含む。
【0010】
また、約0.9~1.5重量%のCu、約0.7~1.1重量%のSi、約0.7~1.2重量%のMg、約0.06~0.15重量%のCr、約0.05~0.3重量%のMn、約0.1~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約0.2重量%のZn、最大で約0.15重量%のTi、最大で約0.07重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、アルミニウム合金が開示される。
【0011】
また、約0.6~0.9重量%のCu、約0.8~1.3重量%のSi、約1.0~1.3重量%のMg、約0.03~0.25重量%のCr、約0.05~0.2重量%のMn、約0.15~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約0.9重量%のZn、最大で約0.1重量%のTi、最大で約0.07重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、アルミニウム合金が開示される。任意に、アルミニウム合金は、約0.55:1~約1.30:1のMgに対するSiの重量比を有する。任意に、アルミニウム合金は、以下により詳細に記載するように、-0.5~0.1の過剰Si含有量を有する。
【0012】
また、約0.5~2.0重量%のCu、約0.5~1.5重量%のSi、約0.5~1.5重量%のMg、約0.001~0.25重量%のCr、約0.005~0.4重量%のMn、約0.1~0.3重量%のFe、最大で約0.2重量%のZr、最大で約0.2重量%のSc、最大で約0.25重量%のSn、最大で約0.3重量%のZn、最大で約0.1重量%のTi、最大で約0.1重量%のNi、及び最大で約0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、アルミニウム合金が開示される。
【0013】
更に、本明細書で提供される方法に従って得られた合金を含む製品(例えば、輸送手段用ボディ部品、自動車ボディ部品、または電子デバイスハウジング)が開示される。
【0014】
本発明の更なる態様、目的、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面を検討することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】T4焼戻しへの加工後の合金組成物TB1、TB2、TB3、及びTB4の引張特性間の比較を示すチャートである。
【
図2】T4焼戻しへの加工後の合金組成物TB1、TB2、TB3、及びTB4の曲げ性間の比較を示すチャートである。
【
図3】T6焼戻しへの加工後の合金組成物TB1、TB2、TB3、及びTB4の引張特性間の比較を示すチャートである。
【
図4】φ2=0°、45°、及び65°それぞれでの断面において描かれたTB1合金の方位分布関数(ODF)グラフを示している。サンプル(a)は、F焼戻しを直接的に溶体化することにより得られた通常のT4条件対照である一方で、サンプル(b)は、F焼戻し合金をアニールし、次いでアニールされたままのO焼戻しを溶体化することにより調製された改変T4条件合金である。
【
図5】アニールして(右バーのチャート)及びアニールしないで(左バーのチャート)T6焼戻しに加工した後の工業用合金TB1の引張特性間の比較を示すチャートである。
【
図6】550℃~560℃の範囲の温度(SHT温度1として示される)での合金組成物P7、P8、及びP14の(T4条件での)均一伸長及び(T6条件での)降伏強度を示すチャートである。
【
図7】560℃~570℃の範囲の温度(SHT温度2として示される)での合金組成物P7、P8、及びP14の(T6条件での)降伏強度を示すチャートである。
【
図8】570℃~580℃の範囲の温度(SHT温度3として示される)での合金組成物P7、P8、及びP14の(T6条件での)降伏強度を示すチャートである。
【
図9】合金組成物SL1(各セットにおける左のヒストグラムバー)、SL2(各セットにおける左のヒストグラムバーから2番目)、SL3(各セットにおける左のヒストグラムバーから3番目)、及SL4(各セットにおける右のヒストグラムバー)の降伏強度(Rp02)を示すチャートである。その図は、溶体化熱処理工程(SHT)のための低い及び高いピーク金属温度(PMT)で調製したサンプルからの比較結果を示している。
【
図10】合金組成物SL1(各セットにおける左のヒストグラムバー)、SL2(各セットにおける左のヒストグラムバーから2番目)、SL3(各セットにおける左のヒストグラムバーから3番目)、及SL4(各セットにおける右のヒストグラムバー)の極限引張強度(Rm)を示すチャートである。その図は、溶体化熱処理工程のための低い及び高いPMTで調製したサンプルからの比較結果を示している。
【
図11】合金組成物SL1(各セットにおける左のヒストグラムバー)、SL2(各セットにおける左のヒストグラムバーから2番目)、SL3(各セットにおける左のヒストグラムバーから3番目)、及SL4(各セットにおける右のヒストグラムバー)の均一伸長の量(Ag)を示すチャートである。その図は、溶体化熱処理工程のための低い及び高いPMTで調製したサンプルからの比較結果を示している。
【
図12】合金組成物の全伸長の量(A80)を示す合金SL3の引張曲線を示すチャートである。
【
図13】合金組成物SL1(各セットにおける左のヒストグラムバー)、SL2(各セットにおける左のヒストグラムバーから2番目)、SL3(各セットにおける左のヒストグラムバーから3番目)、及SL4(各セットにおける右のヒストグラムバー)の均一伸長の量(Ag)についての曲げ結果を示すチャートである。その図は、低い及び高いPMT均質化で調製されたサンプルの比較結果を示している。その図は、低い及び高いPMT均質化で調製されたサンプルの比較結果を示している。
【
図14】合金組成物SL1、SL2、SL3、及びSL4についての曲げ結果に対する降伏強度の結果(Rp02)を示すチャートである。
【
図15】変位の関数として適用されたエネルギー及び適用された負荷を示すT6焼戻しでの合金SL3の破砕試験の結果を示すチャートである。
【
図16A】破砕試験後の合金SL3のサンプル2のデジタル画像である。
【
図16B】破砕試験後の合金SL3のサンプル2の
図16Aのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図16C】破砕試験後の合金SL3のサンプル2のデジタル画像である。
【
図16D】破砕試験後の合金SL3のサンプル2の
図16Cのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図16E】破砕試験後の合金SL3のサンプル2のデジタル画像である。
【
図16F】破砕試験後の合金SL3のサンプル2の
図16Eのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図17A】破砕試験後の合金SL3のサンプル3のデジタル画像である。
【
図17B】破砕試験後の合金SL3のサンプル3の
図17Aのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図17C】破砕試験後の合金SL3のサンプル3のデジタル画像である。
【
図17D】破砕試験後の合金SL3のサンプル3の
図17Cのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図17E】破砕試験後の合金SL3のサンプル3のデジタル画像である。
【
図17F】破砕試験後の合金SL3のサンプル3の
図17Eのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図18】変位の関数として適用されたエネルギー及び適用された負荷を示すT6焼戻しでの合金SL3の破砕試験の結果を示すチャートである。
【
図19A】破砕試験後の合金SL3のサンプル2のデジタル画像である。
【
図19B】破砕試験後の合金SL3のサンプル2の
図19Aのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図19C】破砕試験後の合金SL3のサンプル2のデジタル画像である。
【
図19D】破砕試験後の合金SL3のサンプル2の
図19Cのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図20A】破砕試験後の合金SL3のサンプル3のデジタル画像である。
【
図20B】破砕試験後の合金SL3のサンプル3の
図20Aのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図20C】破砕試験後の合金SL3のサンプル3のデジタル画像である。
【
図20D】破砕試験後の合金SL3のサンプル3の
図20Cのデジタル画像から導かれた線図である。
【
図21】合金SL2の降伏強度(Rp02)及び曲げ性に対する異なる焼入れの効果を示すチャートである。
【
図22】異なる熱処理後の合金S164、S165、S166、S167、S168、及びS169の降伏強度の結果(Rp02)を示すチャートである。各セットにおける左のヒストグラムバーは、図の説明文においてT8xとして示されている熱処理を表す。各セットにおける左のヒストグラムバーから2番目は、図の説明文においてT62-2として示されている熱処理を表す。各セットにおける左のヒストグラムバーから3番目は、図の説明文においてT82として示されている熱処理を表す。各セットにおける右のヒストグラムバーは、図の説明文においてT6として示されている熱処理を表す。
【
図23】異なる溶体化条件の後の合金S164、S165、S166、S167、S168、及びS169の硬度の測定結果を示すチャートである。
【
図24】本明細書に記載の例示的な合金の引張強度を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。
【
図25】本明細書に記載の例示的な合金の成形性を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。
【
図26】本明細書に記載の例示的な合金の成形性に対する本明細書に記載の例示的な合金の引張強度を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。
【
図27】本明細書に記載の例示的な合金の引張強度の増加を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。合金を様々な焼戻し条件をもたらす様々な時効方法に付した。
【
図28】本明細書に記載の例示的な合金の伸長を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。
【
図29】本明細書に記載の例示的な合金の引張強度を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。合金を2mm及び10mmのゲージに圧延した。合金を、T6焼戻し条件をもたらす時効方法に付した。
【
図30】本明細書に記載の例示的な合金の成形性を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZnを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。合金を、T4焼戻し条件をもたらす時効方法に付した。
【
図31】本明細書に記載の例示的な合金の成形性を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。合金を、T6焼戻し条件をもたらす時効方法に付した。
【
図32】本明細書に記載の例示的な合金の最大腐食深さを示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図33】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図34】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図35】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図36】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図37】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【
図38】腐食試験後の本明細書に記載の例示的な合金の断面図のデジタル画像である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義及び説明
本明細書で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」、及び「本発明」という用語は、この特許出願及び以下の特許請求の範囲の主題の全てを広く指すことを意図している。これらの用語を含有する記述は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものではないと理解すべきである。
【0017】
この明細書では、「シリーズ」または「6XXX」などのアルミニウム工業の名称により特定される合金について述べる。アルミニウム及びその合金の命名及び特定に最も一般的に使用される番号名称システムの理解については、いずれもThe Aluminium Associationにより発行された「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照。
【0018】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」の意味は、文脈が他に明確に指示していない限り、単数及び複数の言及を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、プレートは概して約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、15mmを超える、20mmを超える、25mmを超える、30mmを超える、35mmを超える、40mmを超える、45mmを超える、50mmを超える、または100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品のことを指し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、シェート(シートプレートとも称される)は概して約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、または15mmの厚さを有し得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、シートは概して約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品のことを指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.1mm未満の厚さを有し得る。
【0022】
この出願では、合金焼戻しまたは条件について述べる。最も一般的に使用される合金の焼戻しの記載の理解のためには、「American National Standards(ANSI)H35 on Alloy and Temper Designation Systems」を参照。F条件または焼戻しは、製作された時のアルミニウム合金のことを指す。O条件または焼戻しはアニール後のアルミニウム合金のことを指す。T4条件または焼戻しは、溶体化熱処理(SHT)(すなわち、溶体化)に続く自然時効後のアルミニウム合金のことを指す。T6条件または焼戻しは、溶体化熱処理に続く人工時効(AA)後のアルミニウム合金のことを指す。
【0023】
以下のアルミニウム合金は、それらの元素組成に関して、合金の全重量を基準として重量百分率(wt.%)で記載されている。各合金の所定の例において、全ての不純物の総和について0.15%の最大重量%を有し、残りはアルミニウムである。
【0024】
合金組成物
以下に新規な6xxxシリーズアルミニウム合金が記載されている。所定の態様では、合金は、高強度、高成形性、及び耐腐食性を呈する。合金の特性は、記載されたプレート、シェート、及びシートを製造するために合金を加工する方法に起因して達成される。合金は、表1に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表1】
【0025】
他の例では、合金は、表2に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表2】
【0026】
他の例では、合金は、表3に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表3】
【0027】
プレート及びシェートを調製するためのアルミニウム合金
一例では、合金は、表4に提供されるように以下の元素組成を有し得る。所定の態様では、その合金はアルミニウムプレート及びシェートを調製するために使用される。
【表4】
【0028】
別の例では、アルミニウムプレート及びシェートの調製において使用されるアルミニウム合金は、表5に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表5】
【0029】
別の例では、アルミニウムプレート及びシェートの調製において使用されるアルミニウム合金は、表6に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表6】
【0030】
所定の例では、開示されている合金は、合金の全重量を基準として、約0.6%~約0.9%(例えば、0.65%~0.9%、0.7%~0.9%、または0.6%~0.7%)の量の銅(Cu)を含む。例えば、合金は、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、または0.9%のCuを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0031】
所定の例では、開示されている合金は、合金の全重量を基準として、約0.8%~約1.3%(例えば、0.8%~1.2%、0.9%~1.2%、0.8%~1.1%、0.9%~1.15%、1.0%~1.1%、または1.05~1.2%)の量のケイ素(Si)を含む。例えば、合金は、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、0.93%、0.94%、0.95%、0.96%、0.97%、0.98%、0.99%、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、または1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、または1.3%のSiを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0032】
所定の例では、開示されている合金は、合金の全重量を基準として、約1.0%~約1.3%(例えば、1.0%~1.25%、1.1%~1.25%、1.1%~1.2%、1.0%~1.2%、1.05%~1.3%、または1.15%~1.3%)の量のマグネシウム(Mg)を含む。例えば、合金は、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、または1.3%のMgを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0033】
所定の態様では、Cu、Si、及びMgは、合金中に析出物を形成して、より高い強度を有する合金をもたらすことができる。これらの析出物は、溶体化熱処理後において時効プロセスの間に形成し得る。析出プロセスの間に、準安定なギニアプレストン(Guinier Preston)(GP)ゾーンが形成し、これは、開示された合金の析出強化に寄与するβ’’針状の析出物に順次移行する。所定の態様では、Cuの添加は旋盤形状のL相析出の形成につながり、それはQ’析出物相形成の前駆体であり、強度に更に寄与する。所定の態様では、Cu及びSi/Mg比は、耐腐食性に対する悪い効果を回避するために制御される。
【0034】
所定の態様では、以下に更に記載されているように、強化、成形性、及び耐腐食性を組み合わせた効果のために、合金は約0.9重量%未満のCu含有量を有し、それと共に、Mgに対するSiの制御された比及び制御された過剰Si範囲を有する。
【0035】
Mgに対するSiの重量比は、約0.55:1~約1.30:1であり得る。例えば、Mgに対するSiの重量比は、約0.6:1~約1.25:1、約0.65:1~約1.2:1、約0.7:1~約1.15:1、約0.75:1~約1.1:1、約0.8:1~約1.05:1、約0.85:1~約1.0:1、または約0.9:1~約0.95:1であり得る。所定の態様では、Mgに対するSiの比は0.8:1~1.15:1である。所定の態様では、Mgに対するSiの比は0.85:1~1:1である。
【0036】
所定の態様では、合金は、高過剰なSiアプローチの代わりに、合金設計において、ほとんど均衡のとれたSi~わずかに均衡のとれていないSiアプローチを使用し得る。所定の態様では、過剰Siは約-0.5~0.1である。本明細書で使用される場合、過剰Siは方程式:
【数1】
により定義される。
【0037】
例えば、過剰Siは、-0.50、-0.49、-0.48、-0.47、-0.46、-0.45、-0.44、-0.43、-0.42、-0.41、-0.40、-0.39、-0.38、-0.37、-0.36、-0.35、-0.34、-0.33、-0.32、-0.31、-0.30、-0.29、-0.28、-0.27、-0.26、-0.25、-0.24、-0.23、-0.22、-0.21、-0.20、-0.19、-0.18、-0.17、-0.16、-0.15、-0.14、-0.13、-0.12、-0.11、-0.10、-0.09、-0.08、-0.07、-0.06、-0.05、-0.04、-0.03、-0.02、-0.01、0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.10であり得る。所定の態様では、合金はCu<0.9重量%を有し、Si/Mg比は0.85~0.1であり、過剰Siは-0.5~0.1である。
【0038】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.03%~約0.25%(例えば、0.03%~0.15%、0.05%~0.13%、0.075%~0.12%、0.03%~0.04%、0.08%~0.15%、0.03%~0.045%、0.04%~0.06%、0.035%~0.045%、0.04%~0.08%、0.06%~0.13%、0.06%~0.22%、0.1%~0.13%、または0.11%~0.23%)の量のクロム(Cr)を含む。例えば、合金は、0.03%、0.035%、0.04%、0.045%、0.05%、0.055%、0.06%、0.065%、0.07%、0.075%、0.08%、0.085%、0.09%、0.095%、0.1%、0.105%、0.11%、0.115%、0.12%、0.125%、0.13%、0.135%、0.14%、0.145%、0.15%、0.155%、0.16%、0.165%、0.17%、0.175%、0.18% 0.185%、0.19%、0.195%、0.20%、0.205%、0.21%、0.215%、0.22%、0.225%、0.23%、0.235%、0.24%、0.245%、または0.25%のCrを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0039】
所定の例では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.05%~約0.2%(例えば、0.05%~0.18%または0.1%~0.18%)の量のマンガン(Mn)を含み得る。例えば、合金は、0.05%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.061%、0.062%、0.063%、0.064%、0.065%、0.066%、0.067%、0.068%、0.069%、0.07%、0.071%、0.072%、0.073%、0.074%、0.075%、0.076%、0.077%、0.078%、0.079%、0.08%、0.081%、0.082%、0.083%、0.084%、0.085%、0.086%、0.087%、0.088%、0.089%、0.09%、0.091%、0.092%、0.093%、0.094%、0.095%、0.096%、0.097%、0.098%、0.099%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.2%のMnを含み得る。全て重量%で表示されている。所定の態様では、そのMn含有量を使用して構成粒子の粗大化を最小限にした。
【0040】
所定の態様では、一部のCrを使用して分散質を形成する際にMnを置換する。MnをCrで置換することにより、分散質を有利に形成することができる。所定の態様では、合金は約0.15~0.6のCr/Mn重量比を有する。例えば、Cr/Mn比は、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、または0.60であり得る。所定の態様では、Cr/Mn比は適切な分散質を促進し、改善された成形性、強化、及び耐腐食性を導く。
【0041】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.15%~約0.3%(例えば、0.15%~約0.25%、0.18%~0.25%、0.2%~0.21%、または0.15%~0.22%)の量の鉄(Fe)も含む。例えば、合金は、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、または0.30%のFeを含み得る。全て重量%で表示されている。所定の態様では、そのFe含有量は粗い構成粒子の形成を減少させる。
【0042】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.2%(例えば、0%~0.2%、0.01%~0.2%、0.01%~0.15%、0.01%~0.1%、または0.02%~0.09%)の量のジルコニウム(Zr)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.2%のZrを含み得る。所定の態様では、Zrは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0043】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.2%(例えば、0%~0.2%、0.01%~0.2%、0.05%~0.15%、または0.05%~0.2%)の量のスカンジウム(Sc)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.2%のScを含み得る。所定の態様では、Scは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0044】
所定の態様では、Sc及び/またはZrを上述の組成物に添加して、Al3Sc、(Al,Si)3Sc、(Al,Si)3Zr、及び/またはAl3Zr分散質を形成した。
【0045】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.25%(例えば、0%~0.25%、0%~0.2%、0%~0.05%、0.01%~0.15%、または0.01%~0.1%)の量のスズ(Sn)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、または0.25%を含み得る。所定の態様では、Snは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0046】
所定の態様では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.9%(例えば、0.001%~0.09%、0.004%~0.9%、0.03%~0.9%、または0.06%~0.1%)の量の亜鉛(Zn)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、0.4%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.48%、0.49%、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、または0.9%のZnを含み得る。全て重量%で表示されている。所定の態様では、Znは、曲げ及びプレート製品における曲げ異方性の減少を含む成形のためになり得る。
【0047】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.1%(例えば、0.01%~0.1%)の量のチタン(Ti)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.05%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.1%のTiを含み得る。全て重量%で表示されている。所定の態様では、Tiは粒微細化剤(grain-refiner)として使用される。
【0048】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.07%(例えば、0%~0.05%、0.01%~0.07%、0.03%~0.034%、0.02%~0.03%、0.034~0.054%、0.03%~0.06%、または0.001%~0.06%)の量のニッケル(Ni)を含む。例えば、合金は、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.041%、0.042%、0.043%、0.044%、0.045%、0.046%、0.047%、0.048%、0.049%、0.05%、0.0521%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.061%、0.062%、0.063%、0.064%、0.065%、0.066%、0.067%、0.068%、0.069%、または0.07%のNiを含み得る。所定の態様では、Niは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0049】
任意に、合金組成物は、それぞれ約0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で、時に不純物と称される他のマイナー元素を更に含み得る。これらの不純物には、V、Ga、Ca、Hf、Sr、またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、V、Ga、Ca、Hf、またはSrは、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で合金中に存在していてよい。所定の態様では、全ての不純物の総和は0.15%を超えない(例えば、0.1%)。全て重量%で表示されている。所定の態様では、合金の残りの百分率はアルミニウムである。
【0050】
シートを調製するためのアルミニウム合金
また、アルミニウムシートの調製に使用されるアルミニウム合金が記載されている。例えば、アルミニウム合金を使用して自動車ボディシートを調製することができる。任意に、そのような合金の非限定例は、表7に提供されるように以下の元素組成を有し得る。
【表7】
【0051】
そのような合金の別の非限定例は、表8に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表8】
【0052】
そのような合金の別の非限定例は、表9に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表9】
【0053】
そのような合金の別の非限定例は、表10に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表10】
【0054】
そのような合金の別の非限定例は、表11に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表11】
【0055】
そのような合金の別の非限定例は、表12に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表12】
【0056】
そのような合金の別の非限定例は、表13に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表13】
【0057】
そのような合金の別の非限定例は、表14に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表14】
【0058】
そのような合金の別の非限定例は、表15に提供されるように以下の元素組成を有する。
【表15】
【0059】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.5%~約2.0%(例えば、0.6~2.0%、0.7~0.9%、1.35%~1.95%、0.84%~0.94%、1.6~1.8%、0.78%~0.92%、0.75%~0.85%、または0.65%~0.75%)の量の銅(Cu)を含む。例えば、合金は、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、0.93%、0.94%、0.95%、0.96%、0.97%、0.98%、0.99%、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、1.3%、1.31%、1.32%、1.33%、1.34%、または1.35%、1.36%、1.37%、1.38%、1.39%、1.4%、1.41%、1.42%、1.43%、1.44%、1.45%、1.46%、1.47%、1.48%、1.49%、1.5%、1.51%、1.52%、1.53%、1.54%、1.55%、1.56%、1.57%、1.58%、1.59%、1.6%、1.61%、1.62%、1.63%、1.64%、1.65%、1.66%、1.67%、1.68%、1.69%、1.7%、1.71%、1.72%、1.73%、1.74%、1.75%、1.76%、1.77%、1.78%、1.79%、1.8%、1.81%、1.82%、1.83%、1.84%、1.85%、1.86%、1.87%、1.88%、1.89%、1.9%、1.91%、1.92%、1.93%、1.94%、1.95%、1.96%、1.97%、1.98%、1.99%、または2.0%のCuを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0060】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.5%~約1.5%(例えば、0.5%~1.4%、0.55%~1.35%、0.6%~1.24%、1.0%~1.3%、または1.03~1.24%)の量のケイ素(Si)を含む。例えば、合金は、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、0.93%、0.94%、0.95%、0.96%、0.97%、0.98%、0.99%、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、1.3%、1.31%、1.32%、1.33%、1.34%、1.35%、1.36%、1.37%、1.38%、1.39%、1.4%、1.41%、1.42%、1.43%、1.44%、1.45%、1.46%、1.47%、1.48%、1.49%、または1.5%のSiを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0061】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.5%~約1.5%(例えば、約0.6%~約1.35%、約0.65%~1.2%、0.8%~1.2%、または0.9%~1.1%)の量のマグネシウム(Mg)を含む。例えば、合金は、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、0.93%、0.94%、0.95%、0.96%、0.97%、0.98%、0.99%、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、1.3%、1.31%、1.32%、1.33%、1.34%、1.35%、1.36%、1.37%、1.38%、1.39%、1.4%、1.41%、1.42%、1.43%、1.44%、1.45%、1.46%、1.47%、1.48%、1.49%、または1.5%のMgを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0062】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.001%~約0.25%(例えば、0.001%~0.15%、0.001%~0.13%、0.005%~0.12%、0.02%~0.04%、0.08%~0.15%、0.03%~0.045%、0.01%~0.06%、0.035%~0.045%、0.004%~0.08%、0.06%~0.13%、0.06%~0.18%、0.1%~0.13%、または0.11%~0.12%)の量のクロム(Cr)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.02%、0.025%、0.03%、0.035%、0.04%、0.045%、0.05%、0.055%、0.06%、0.065%、0.07%、0.075%、0.08%、0.085%、0.09%、0.095%、0.1%、0.105%、0.11%、0.115%、0.12%、0.125%、0.13%、0.135%、0.14%、0.145%、0.15%、0.155%、0.16%、0.165%、0.17%、0.175%、0.18% 0.185%、0.19%、0.195%、0.20%、0.205%、0.21%、0.215%、0.22%、0.225%、0.23%、0.235%、0.24%、0.245%、または0.25%のCrを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0063】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.005%~約0.4%(例えば、0.005%~0.34%、0.25%~0.35%、約0.03%、0.11%~0.19%、0.08%~0.12%、0.12%~0.18%、0.09%~0.31%、0.005%~0.05%、及び0.01~0.03%)の量のマンガン(Mn)を含み得る。例えば、合金は、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.041%、0.042%、0.043%、0.044%、0.045%、0.046%、0.047%、0.048%、0.049%、0.05%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.061%、0.062%、0.063%、0.064%、0.065%、0.066%、0.067%、0.068%、0.069%、0.07%、0.071%、0.072%、0.073%、0.074%、0.075%、0.076%、0.077%、0.078%、0.079%、0.08%、0.081%、0.082%、0.083%、0.084%、0.085%、0.086%、0.087%、0.088%、0.089%、0.09%、0.091%、0.092%、0.093%、0.094%、0.095%、0.096%、0.097%、0.098%、0.099%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2% 0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、または0.4%のMnを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0064】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、約0.1%~約0.3%(例えば、0.15%~0.25%、0.14%~0.26%、0.13%~0.27%、0.12%~0.28%、またはから)の量の鉄(Fe)を含む。例えば、合金は、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、または0.3%のFeを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0065】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.2%(例えば、0%~0.2%、0.01%~0.2%、0.01%~0.15%、0.01%~0.1%、または0.02%~0.09%)の量のジルコニウム(Zr)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.2%のZrを含み得る。所定の態様では、Zrは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0066】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.2%(例えば、0%~0.2%、0.01%~0.2%、0.05%~0.15%、または0.05%~0.2%)の量のスカンジウム(Sc)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、または0.2%のScを含み得る。所定の場合では、Scは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0067】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約4.0%(例えば、0.001%~0.09%、0.4%~3.0%、0.03%~0.3%、0~1.0%、1.0%~2.5%、または0.06%~0.1%)の量の亜鉛(Zn)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、0.4%、0.41%、0.42%、0.43%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.48%、0.49%、0.5%、0.51%、0.52%、0.53%、0.54%、0.55%、0.56%、0.57%、0.58%、0.59%、0.6%、0.61%、0.62%、0.63%、0.64%、0.65%、0.66%、0.67%、0.68%、0.69%、0.7%、0.71%、0.72%、0.73%、0.74%、0.75%、0.76%、0.77%、0.78%、0.79%、0.8%、0.81%、0.82%、0.83%、0.84%、0.85%、0.86%、0.87%、0.88%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、0.93%、0.94%、0.95%、0.96%、0.97%、0.98%、0.99%、1.0%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.05%、1.06%、1.07%、1.08%、1.09%、1.1%、1.11%、1.12%、1.13%、1.14%、1.15%、1.16%、1.17%、1.18%、1.19%、1.2%、1.21%、1.22%、1.23%、1.24%、1.25%、1.26%、1.27%、1.28%、1.29%、1.3%、1.31%、1.32%、1.33%、1.34%、または1.35%、1.36%、1.37%、1.38%、1.39%、1.4%、1.41%、1.42%、1.43%、1.44%、1.45%、1.46%、1.47%、1.48%、1.49%、1.5%、1.51%、1.52%、1.53%、1.54%、1.55%、1.56%、1.57%、1.58%、1.59%、1.6%、1.61%、1.62%、1.63%、1.64%、1.65%、1.66%、1.67%、1.68%、1.69%、1.7%、1.71%、1.72%、1.73%、1.74%、1.75%、1.76%、1.77%、1.78%、1.79%、1.8%、1.81%、1.82%、1.83%、1.84%、1.85%、1.86%、1.87%、1.88%、1.89%、1.9%、1.91%、1.92%、1.93%、1.94%、1.95%、1.96%、1.97%、1.98%、1.99%、2.0%、2.01%、2.02%、2.03%、2.04%、2.05%、2.06%、2.07%、2.08%、2.09%、2.1%、2.11%、2.12%、2.13%、2.14%、2.15%、2.16%、2.17%、2.18%、2.19%、2.2%、2.21%、2.22%、2.23%、2.24%、2.25%、2.26%、2.27%、2.28%、2.29%、2.3%、2.31%、2.32%、2.33%、2.34%、2.35%、2.36%、2.37%、2.38%、2.39%、2.4%、2.41%、2.42%、2.43%、2.44%、2.45%、2.46%、2.47%、2.48%、2.49%、2.5%、2.51%、2.52%、2.53%、2.54%、2.55%、2.56%、2.57%、2.58%、2.59%、2.6%、2.61%、2.62%、2.63%、2.64%、2.65%、2.66%、2.67%、2.68%、2.69%、2.7%、2.71%、2.72%、2.73%、2.74%、2.75%、2.76%、2.77%、2.78%、2.79%、2.8%、2.81%、2.82%、2.83%、2.84%、2.85%、2.86%、2.87%、2.88%、2.89%、2.9%、2.91%、2.92%、2.93%、2.94%、2.95%、2.96%、2.97%、2.98%、2.99%、3.0%、3.01%、3.02%、3.03%、3.04%、3.05%、3.06%、3.07%、3.08%、3.09%、3.1%、3.11%、3.12%、3.13%、3.14%、3.15%、3.16%、3.17%、3.18%、3.19%、3.2%、3.21%、3.22%、3.23%、3.24%、3.25%、3.26%、3.27%、3.28%、3.29%、3.3%、3.31%、3.32%、3.33%、3.34%、3.35%、3.36%、3.37%、3.38%、3.39%、3.4%、3.41%、3.42%、3.43%、3.44%、3.45%、3.46%、3.47%、3.48%、3.49%、3.5%、3.51%、3.52%、3.53%、3.54%、3.55%、3.56%、3.57%、3.58%、3.59%、3.6%、3.61%、3.62%、3.63%、3.64%、3.65%、3.66%、3.67%、3.68%、3.69%、3.7%、3.71%、3.72%、3.73%、3.74%、3.75%、3.76%、3.77%、3.78%、3.79%、3.8%、3.81%、3.82%、3.83%、3.84%、3.85%、3.86%、3.87%、3.88%、3.89%、3.9%、3.91%、3.92%、3.93%、3.94%、3.95%、3.96%、3.97%、3.98%、3.99%、または4.0%のZnを含み得る。所定の態様では、Znは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0068】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.25%(例えば、0%~0.25%、0%~0.2%、0%~0.05%、0.01%~0.15%、または0.01%~0.1%)の量のスズ(Sn)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、または0.25%を含み得る。所定の場合では、Snは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0069】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.15%(例えば、0.01%~0.1%)の量のチタン(Ti)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.05%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、または0.15%のTiを含み得る。全て重量%で表示されている。
【0070】
所定の態様では、合金は、合金の全重量を基準として、最大で約0.1%(例えば、0.01%~0.1%)の量のニッケル(Ni)を含む。例えば、合金は、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%、0.02%、0.021%、0.022%、0.023%、0.024%、0.025%、0.026%、0.027%、0.028%、0.029%、0.03%、0.031%、0.032%、0.033%、0.034%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.04%、0.05%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.1%のNiを含み得る。所定の態様では、Niは合金中に存在しない(すなわち、0%)。全て重量%で表示されている。
【0071】
任意に、本明細書に記載の合金組成物は、それぞれ約0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で、時に不純物と称される他のマイナー元素を更に含み得る。これらの不純物には、V、Ga、Ca、Hf、Sr、またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、V、Ga、Ca、Hf、またはSrは、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下の量で合金中に存在していてよい。所定の例では、全ての不純物の総和は約0.15%を超えない(例えば、0.1%)。全て重量%で表示されている。所定の例では、合金の残りの百分率はアルミニウムである。
【0072】
例示的な合金は、1.03%のSi、0.22%のFe、0.66%のCu、0.14%のMn、1.07%のMg、0.025%のTi、0.06%のCr、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0073】
別の例示的な合金は、1.24%のSi、0.22%のFe、0.81%のCu、0.11%のMn、1.08%のMg、0.024%のTi、0.073%のCr、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0074】
別の例示的な合金は、1.19%のSi、0.16%のFe、0.66%のCu、0.17%のMn、1.16%のMg、0.02%のTi、0.03%のCr、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0075】
別の例示的な合金は、0.97%のSi、0.18%のFe、0.80%のCu、0.19%のMn、1.11%のMg、0.02%のTi、0.03%のCr、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0076】
別の例示的な合金は、1.09%のSi、0.18%のFe、0.61%のCu、0.18%のMn、1.20%のMg、0.02%のTi、0.03%のCr、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0077】
別の例示的な合金は、0.76%のSi、0.22%のFe、0.91%のCu、0.32%のMn、0.94%のMg、0.12%のTi、3.09%のZn、及び最大で0.15%の全不純物を含み、残りはAlである。
【0078】
合金の特性
いくつかの非限定的な例では、開示された合金は、従来の6XXXシリーズ合金と比較して、T4焼戻しでの非常に高い成形性及び曲げ性、ならびにT6焼戻しでの非常に高い強度及び良好な耐腐食性を有する。所定の場合では、合金は非常に良好な陽極酸化された品質も示す。
【0079】
所定の態様では、アルミニウム合金は、少なくとも約340MPaの使用中強度(車両上の強度)を有し得る。非限定的な例では、使用中強度は、少なくとも約350MPa、少なくとも約360MPa、少なくとも約370MPa、少なくとも約380MPa、少なくとも約390MPa、少なくとも約395MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約410MPa、少なくとも約420MPa、少なくとも約430MPa、または少なくとも約440MPa、少なくとも約450MPa、少なくとも約460MPa、少なくとも約470MPa、少なくとも約480MPa、少なくとも約490MPa、少なくとも約495MPa、または少なくとも約500MPaである。いくつかの場合では、使用中強度は約340MPa~約500MPaである。例えば、使用中強度は、約350MPa~約495MPa、約375MPa~約475MPa、約400MPa~約450MPa、約380MPa~約390MPa、または約385MPa~約395MPaであり得る。
【0080】
所定の態様では、合金は、T4焼戻しにおいて約1.3以下(例えば、1.0以下)のR/t曲げ性を満たすのに十分な延性または靭性を有する任意の使用中強度を包含する。所定の例では、R/t曲げ性は、約1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、または0.4以下であり、Rは使用される道具(ダイ)の半径であり、tは材料の厚さである。
【0081】
所定の態様では、合金は、T4焼戻しにおいて95°未満及びT6焼戻しにおいて140°未満の曲げ角度を示す、より薄いゲージ合金シートにおける曲げ性を提供する。いくつかの非限定的な例では、T4焼戻しにおける合金シートの曲げ角度は、少なくとも90°、85°、80°、75°、70°、65°、60°、55°、50°、45°、40°、35°、30°、25°、20°、15°、10°、5°、または1°であり得る。いくつかの非限定的な例では、T6焼戻しにおける合金シートの曲げ角度は、少なくとも135°、130°、125°、120°、115°、110°、105°、100°、95°、90°、85°、80°、75°、70°、65°、60°、55°、50°、45°、40°、35°、30°、25°、20°、15°、10°、5°、または1°であり得る。
【0082】
所定の態様では、合金は、20%以上の均一伸長及び25%以上の全伸長を提供する。所定の態様では、合金は、22%以上の均一伸長及び27%以上の全伸長を提供する。
【0083】
所定の態様では、合金は、ASTM G110規格で200μm以下の粒間腐食(IGC)攻撃深さを提供する耐腐食性を有し得る。所定の場合では、IGC腐食攻撃深さは、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、または更に150μm以下である。いくつかの更なる例では、合金は、ISO11846規格で、より厚いゲージシェートの場合には300μm以下、より薄いゲージシートの場合には350μm以下のIGC攻撃深さを提供する耐腐食性を有し得る。所定の場合では、IGC腐食攻撃深さは、合金シェートの場合、290μm以下、280μm以下、270μm以下、260μm以下、250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、または更に150μm以下である。所定の場合では、IGC腐食攻撃深さは、合金シェートの場合、340μm以下、330μm以下、320μm以下、310μm以下、300μm以下、290μm以下、280μm以下、270μm以下、260μm以下、250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、または更に150μm以下である。
【0084】
アルミニウム合金の機械的特性は、所望の使用に応じて様々な時効条件によって制御され得る。一例として、合金は、T4焼戻しまたはT6焼戻しまたはT8焼戻しで製造(または提供)され得る。溶体化熱処理され自然に時効させたプレート、シェート、またはシートのことを指すT4プレート、シェート(すなわち、シートプレート)、またはシートが提供され得る。これらのT4プレート、シェート、及びシートは、任意に、受け取り時の強度要件を満たすために追加的な時効処理に付され得る。例えば、T4合金材料を本明細書に記載のまたは他の当業者に知られている適切な時効処理に付すことにより、T6焼戻しまたはT8焼戻しなどの他の焼戻しでプレート、シェート、及びシートは供給され得る。
【0085】
プレート及びシェートの調製方法
所定の態様では、開示された合金組成物は、開示された方法の製品である。本発明を限定しようとするものではなく、アルミニウム合金の特性は、合金の調製中に微細構造の形成によって部分的に決定される。所定の態様では、合金組成物の調製方法は、合金が所望の用途に適した特性を有するかどうかに影響を及ぼすか、または決定することさえし得る。
【0086】
本明細書に記載の合金は、当業者に知られている鋳造方法を使用して鋳造され得る。例えば、鋳造プロセスは、直接冷却(Direct Chill)(DC)鋳造プロセスを含み得る。DC鋳造プロセスは、当業者に知られているようなアルミニウム工業で一般的に使用されている規格に従って実施される。任意に、鋳造プロセスは連続鋳造(CC)プロセスを含み得る。次いで、鋳造された製品は更なる加工工程に付され得る。1つの非限定的な例では、加工方法は、均質化、熱間圧延、溶体化、及び焼入れを含む。いくつかの場合では、加工工程は、所望の場合には、アニール及び/または冷間圧延を更に含む。
【0087】
均質化
均質化工程は、本明細書に記載の合金組成物から調製されたインゴットを加熱して、約または少なくとも約520℃(例えば、少なくとも520℃、少なくとも約530℃、少なくとも540℃、少なくとも550℃、少なくとも560℃、少なくとも570℃、または少なくとも580℃)のピーク金属温度(PMT)を達成することを含み得る。例えば、インゴットは、約520℃~約580℃、約530℃~約575℃、約535℃~約570℃、約540℃~約565℃、約545℃~約560℃、約530℃~約560℃、または約550℃~約580℃の温度に加熱され得る。いくつかの場合では、PMTへの加熱速度は、約100℃/時間以下、75℃/時間以下、50℃/時間以下、40℃/時間以下、30℃/時間以下、25℃/時間以下、20℃/時間以下、または15℃/時間以下であり得る。他の場合では、PMTへの加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。
【0088】
次いで、インゴットをある期間浸漬する(すなわち、指示された温度に保持する)。1つの非限定的な例によれば、インゴットを最大で6時間(例えば、包括的に約30分~約6時間)浸漬する。例えば、少なくとも500℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間、またはそれらの任意の間、インゴットは浸漬され得る。
【0089】
熱間圧延
均質化工程に続いて、熱間圧延工程が実施され得る。所定の場合では、インゴットを横たわらせ、約500℃~540℃の入口温度範囲で熱間圧延する。入口温度は、例えば、約505℃、510℃、515℃、520℃、525℃、530℃、535℃、または540℃であり得る。所定の場合では、熱間圧延出口温度は、約250℃~380℃(例えば、約330℃~370℃)の範囲であり得る。例えば、熱間圧延出口温度は、約255℃、260℃、265℃、270℃、275℃、280℃、285℃、290℃、295℃、300℃、305℃、310℃、315℃、320℃、325℃、330℃、335℃、340℃、345℃、350℃、355℃、360℃、365℃、370℃、375℃、または380℃であり得る。
【0090】
所定の場合では、インゴットは、約4mm~約15mmの厚さゲージ(例えば、約5mm~約12mmの厚さゲージ)に熱間圧延され得、これはシェートと称される。例えば、インゴットは、約4mmの厚さゲージ、約5mmの厚さゲージ、約6mmの厚さゲージ、約7mmの厚さゲージ、約8mmの厚さゲージ、約9mmの厚さゲージ、約10mmの厚さゲージ、約11mmの厚さゲージ、約12mmの厚さゲージ、約13mmの厚さゲージ、約14mmの厚さゲージ、または約15mmの厚さゲージに熱間圧延され得る。所定の場合では、インゴットは15mmの厚さを超えるゲージ(すなわち、プレート)に熱間圧延され得る。他の場合では、インゴットは4mm未満のゲージ(すなわち、シート)に熱間圧延され得る。圧延されたままのプレート、シェート、及びシートの焼戻しは、F-焼戻しと称される。
【0091】
任意の加工工程:アニール工程及び冷間圧延工程
所定の態様では、合金は、熱間圧延工程の後で任意のその後の工程の前に(例えば、溶体化工程の前に)更なる加工工程を受ける。更なるプロセス工程はアニール手順及び冷間圧延工程を含み得る。
【0092】
アニール工程は、スタンピング、引抜き(drawing)または曲げなどの成形操作の間に異方性が低減された改良されたテクスチャを有する合金(例えば、改善されたT4合金)をもたらし得る。アニール工程を適用することにより、改質焼戻しでのテクスチャは、よりランダムになるようにかつ強い成形性異方性(例えば、Goss、Goss-ND、またはCube-RD)を生じ得るそれらのテクスチャ成分(TC)を減少させるように制御/設計される。この改善されたテクスチャは、曲げ異方性を潜在的に減少させることができ、引抜きまたは円周スタンピングプロセスが関与する成形における成形性を改善させることができるが、その理由は、それが異なる方向で特性の変動性を減少させるように作用するからである。
【0093】
アニール工程は、合金を室温から約400℃~約500℃(例えば、約405℃~約495℃、約410℃~約490℃、約415℃~約485℃、約420℃~約480℃、約425℃~約475℃、約430℃~約470℃、約435℃~約465℃、約440℃~約460℃、約445℃~約455℃、約450℃~約460℃、約400℃~約450℃、約425℃~約475℃、または約450℃~約500℃)に加熱することを含み得る。
【0094】
プレートまたはシェートはその温度においてある期間浸漬され得る。1つの非限定的な例では、プレートまたはシェートを最大でおよそ2時間(例えば、包括的に約15分~約120分)浸漬する。例えば、プレートまたはシェートは、約400℃~約500℃の温度で、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、もしくは120分、またはそれらの任意の間、浸漬され得る。
【0095】
所定の態様では、合金はアニール工程を受けない。
【0096】
溶体化工程の前に、冷間圧延工程が任意に合金に適用され得る。
【0097】
所定の態様では、熱間圧延工程からの圧延された製品(例えば、プレートまたはシート)は薄いゲージのシート(例えば、約4.0~4.5mm)に冷間圧延され得る。所定の態様では、圧延された製品は、約4.0、約4.1mm、約4.2mm、約4.3mm、約4.4mm、または約4.5mmに冷間圧延され得る。
【0098】
溶体化
溶体化工程は、プレートまたはシェートを室温から約520℃~約590℃(例えば、約520℃~約580℃、約530℃~約570℃、約545℃~約575℃、約550℃~約570℃、約555℃~約565℃、約540℃~約560℃、約560℃~約580℃、または約550℃~約575℃)の温度に加熱することを含み得る。プレートまたはシェートはその温度においてある期間浸漬され得る。所定の態様では、プレートまたはシェートを最大でおよそ2時間(例えば、包括的に約10秒~約120分)浸漬する。例えば、プレートまたはシェートは、約525℃~約590℃の温度で、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、65秒、70秒、75秒、80秒、85秒、90秒、95秒、100秒、105秒、110秒、115秒、120秒、125秒、130秒、135秒、140秒、145秒、もしくは150秒、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、もしくは120分、またはそれらの任意の間、浸漬され得る。
【0099】
所定の態様では、熱間または冷間圧延工程の直後に熱処理が実施される。所定の態様では、アニール工程の後に熱処理が実施される。
【0100】
焼入れ
所定の態様では、次いで、プレートまたはシェートを、選択されたゲージに基づく焼入れ工程おいて約50℃/秒~400℃/秒で変動し得る焼入れ速度で約25℃の温度に冷却され得る。例えば、焼入れ速度は、約50℃/秒~約375℃/秒、約60℃/秒~約375℃/秒、約70℃/秒~約350℃/秒、約80℃/秒~約325℃/秒、約90℃/秒~約300℃/秒、約100℃/秒~約275℃/秒、約125℃/秒~約250℃/秒、約150℃/秒~約225℃/秒、または約175℃/秒~約200℃/秒であり得る。
【0101】
焼入れ工程では、プレートまたはシェートは、液体(例えば、水)及び/または気体、または別の選択された焼入れ媒体で急速に焼入れされる。所定の態様では、プレートまたはシェートは水で急速に焼入れされ得る。所定の態様では、プレートまたはシェートは空気で焼入れされる。
【0102】
時効
プレートまたはシェートはある期間、自然時効されてT4焼戻しをもたらし得る。所定の態様では、T4焼戻しでのプレートまたはシェートは、約180℃~225℃(例えば、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、または225℃)においてある期間、人工時効(AA)され得る。任意に、プレートまたはシェートは、約15分~約8時間(例えば、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間、またはそれらの任意の間)の期間、人工時効されてT6焼戻しをもたらし得る。
【0103】
コイル製造
所定の態様では、製造中にアニール工程を適用して、改善された生産性または成形性のために、プレートまたはシェート材料をコイル形態で製造することもできる。例えば、コイル形態の合金は、熱間または冷間圧延工程及び熱間または冷間圧延工程に続くアニール工程を使用して、O焼戻しで供給され得る。形成はO焼戻しで起こり、これに溶体化熱処理、焼入れ、及び人工時効/塗料焼き付けが続く。
【0104】
所定の態様では、F焼戻しと比較して高成形性を有するコイル形態のプレートまたはシェートを製造するために、本明細書に記載のようなアニール工程がコイルに適用され得る。本発明を限定する意図はないが、アニール及びアニールパラメータの目的は、(1)成形性を獲得するために材料において加工硬化を解放することと、(2)大幅な粒成長を引き起こさずに材料を再結晶化または回収することと、(3)成形のために及び成形性の間に異方性を減少させるために適するようにテクスチャを設計または変換することと、(4)前から存在する析出粒子の粗雑化を回避することと、を含み得る。
【0105】
シートの調製方法
所定の態様では、開示された合金組成物は、開示された方法の製品である。本発明を限定しようとするものではなく、アルミニウム合金の特性は、合金の調製中に微細構造の形成によって部分的に決定される。所定の態様では、合金組成物の調製方法は、合金が所望の用途に適した特性を有するかどうかに影響を及ぼすか、または決定することさえし得る。
【0106】
本明細書に記載の合金は、当業者に知られている鋳造方法を使用して鋳造され得る。例えば、鋳造プロセスは、直接冷却(Direct Chill)(DC)鋳造プロセスを含み得る。DC鋳造プロセスは、当業者に知られているようなアルミニウム工業で一般的に使用されている規格に従って実施される。任意に、鋳造プロセスは連続鋳造(CC)プロセスを含み得る。次いで、鋳造された製品は更なる加工工程に付され得る。1つの非限定的な例では、加工方法は、均質化、熱間圧延、溶体化熱処理、及び焼入れを含む。
【0107】
均質化
均質化工程は、一工程均質化または二工程均質化を含み得る。均質化工程の一例では、本明細書に記載の合金組成物から調製されたインゴットを加熱して、約または少なくとも約520℃(例えば、少なくとも520℃、少なくとも約530℃、少なくとも540℃、少なくとも550℃、少なくとも560℃、少なくとも570℃、または少なくとも580℃)のPMTを達成する一工程均質化が実施される。例えば、インゴットは、約520℃~約580℃、約530℃~約575℃、約535℃~約570℃、約540℃~約565℃、約545℃~約560℃、約530℃~約560℃、または約550℃~約580℃の温度に加熱され得る。いくつかの場合では、PMTへの加熱速度は、約100℃/時間以下、75℃/時間以下、50℃/時間以下、40℃/時間以下、30℃/時間以下、25℃/時間以下、20℃/時間以下、15℃/時間以下、または10℃/時間以下であり得る。他の場合では、PMTへの加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。
【0108】
次いで、インゴットをある期間浸漬する(すなわち、示された温度で保つ)。1つの非限定的な例によれば、インゴットを最大で8時間(例えば、包括的に約30分~約8時間)浸漬する。例えば、少なくとも500℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、またはそれらの任意の間、インゴットは浸漬され得る。
【0109】
均質化工程の別の例では、本明細書に記載の合金組成物から調製されたインゴットを加熱して、約または少なくとも約480℃~約520℃の第1の温度を達成する二工程均質化が実施される。例えば、インゴットは、約480℃、490℃、500℃、510℃、または520℃の第1の温度に加熱され得る。所定の態様では、第1の温度への加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。他の態様では、第1の温度への加熱速度は、約10℃/時間~約100℃/時間(例えば、約10℃/時間~約90℃/時間、約10℃/時間~約70℃/時間、約10℃/時間~約60℃/時間、約20℃/時間~約90℃/時間、約30℃/時間~約80℃/時間、約40℃/時間~約70℃/時間、または約50℃/時間~約60℃/時間)であり得る。
【0110】
次いで、インゴットをある期間浸漬する。所定の場合では、インゴットを最大で約6時間(例えば、包括的に30分~6時間)浸漬する。例えば、約480℃~約520℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間、またはそれらの任意の間、インゴットは浸漬され得る。
【0111】
二工程均質化プロセスの第2工程では、インゴットは第1の温度から約520℃を超える第2の温度(例えば、520℃超、530℃超、540℃超、550℃超、560℃超、570℃超、または580℃超)に更に加熱され得る。例えば、インゴットは、約520℃~約580℃、約530℃~約575℃、約535℃~約570℃、約540℃~約565℃、約545℃~約560℃、約530℃~約560℃、または約550℃~約580℃の第2温度に加熱され得る。第2の温度への加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。
【0112】
他の態様では、第2の温度への加熱速度は、約10℃/時間~約100℃/時間(例えば、約10℃/時間~約90℃/時間、約10℃/時間~約70℃/時間、約10℃/時間~約60℃/時間、約20℃/時間~約90℃/時間、約30℃/時間~約80℃/時間、約40℃/時間~約70℃/時間、または約50℃/時間~約60℃/時間)であり得る。
【0113】
次いで、インゴットをある期間浸漬する。所定の場合では、インゴットを最大で約6時間(例えば、包括的に30分~6時間)浸漬する。例えば、インゴットは、約520℃~約580℃の温度で、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、もしくは6時間、またはそれらの任意の間、浸漬され得る。
【0114】
熱間圧延
均質化工程に続いて、熱間圧延工程が実施され得る。所定の場合では、インゴットを横たわらせ、約500℃~540℃の入口温度範囲で熱間圧延する。例えば、入口温度は、約505℃、510℃、515℃、520℃、525℃、530℃、535℃、または540℃であり得る。所定の場合では、熱間圧延出口温度は、約250℃~約380℃(例えば、約330℃~約370℃)の範囲であり得る。例えば、熱間圧延出口温度は、約255℃、260℃、265℃、270℃、275℃、280℃、285℃、290℃、295℃、300℃、305℃、310℃、315℃、320℃、325℃、330℃、335℃、340℃、345℃、350℃、355℃、360℃、365℃、370℃、375℃、または380℃であり得る。
【0115】
所定の場合では、インゴットは、約4mm~約15mmの厚さゲージ(例えば、約5mm~約12mmの厚さゲージ)に熱間圧延され得、これはシェートと称される。例えば、インゴットは、約4mmの厚さゲージ、約5mmの厚さゲージ、約6mmの厚さゲージ、約7mmの厚さゲージ、約8mmの厚さゲージ、約9mmの厚さゲージ、約10mmの厚さゲージ、約11mmの厚さゲージ、約12mmの厚さゲージ、約13mmの厚さゲージ、約14mmの厚さゲージ、または約15mmの厚さゲージに熱間圧延され得る。所定の場合では、インゴットは15mmの厚さを超えるゲージ(すなわち、プレート)に熱間圧延され得る。他の場合では、インゴットは4mm未満のゲージ(すなわち、シート)に熱間圧延され得る。
【0116】
冷間圧延工程
熱間圧延工程に続いて冷間圧延工程が実施され得る。所定の態様では、熱間圧延工程からの圧延された製品はシート(例えば、およそ4.0mm未満)に冷間圧延され得る。所定の態様では、圧延された製品は、約0.4mm~1.0mm、1.0mm~3.0mm、または3.0mm以上4.0mm未満の厚さに冷間圧延され得る。所定の態様では、合金は、約3.5mm以下、3mm以下、2.5mm以下、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、または0.5mm以下に冷間圧延される。例えば、圧延された製品は、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm 1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、または3.0mmに冷間圧延され得る。
【0117】
溶体化熱処理
溶体化処理(SHT)工程は、シートを室温から約520℃~約590℃(例えば、約520℃~約580℃、約530℃~約570℃、約545℃~約575℃、約550℃~約570℃、約555℃~約565℃、約540℃~約560℃、約560℃~約580℃、または約550℃~約575℃)の温度に加熱することを含み得る。シートはその温度においてある期間浸漬され得る。所定の態様では、シートを最大でおよそ2時間(例えば、包括的に約10秒~約120分)浸漬する。例えば、シートは、約525℃~約590℃の温度で、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、65秒、70秒、75秒、80秒、85秒、90秒、95秒、100秒、105秒、110秒、115秒、120秒、125秒、130秒、135秒、140秒、145秒、もしくは150秒、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、もしくは120分、またはそれらの任意の間、浸漬され得る。
【0118】
焼入れ
所定の態様では、次いで、シートを、選択されたゲージに基づく焼入れ工程おいて約200℃/秒~400℃/秒で変動し得る焼入れ速度で約25℃の温度に冷却され得る。例えば、焼入れ速度は、約225℃~約375℃、約250℃~約350℃、または約275℃~約325℃であり得る。
【0119】
焼入れ工程では、シートは、液体(例えば、水)及び/または気体、または別の選択された焼入れ媒体で急速に焼入れされる。所定の態様では、シートは水で急速に焼入れされ得る。所定の態様では、シートは空気で焼入れされる。
【0120】
時効
所定の態様では、シートは、任意に、約80℃~約120℃(例えば、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、または約120℃)においてある期間、事前時効され得る。任意に、シートは、約30分~約12時間の期間(例えば、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、または12時間)またはそれらの任意の間、事前時効され得る。
【0121】
シートはある期間、自然時効されてT4焼戻しをもたらし得る。所定の態様では、T4焼戻しにおけるシートは、約180℃~約225℃(例えば、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、または225℃)においてある期間、人工時効され得る。任意に、シートは、約15分~約8時間(例えば、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間、またはそれらの任意の間)の期間、人工時効されてT6焼戻しをもたらし得る。任意に、シートは、約10分~約2時間(例えば、15分、20分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、またはそれらの任意の間)の期間、人工時効されてT8焼戻しをもたらし得る。
【0122】
使用方法
本明細書に記載の合金及び方法は、商用の車両、航空機、または鉄道の用途などの自動車、電子機器、及び輸送手段の用途において使用され得る。例えば、合金は、強度を獲得するために、シャーシ、クロスメンバ、及びシャーシ内コンポーネント(商用の車のシャーシにおける2つのCチャネル間の全てのコンポーネントを包含するが、これらに限定されない)に使用され得、高強度鋼の十分なまたは部分的な代替品として機能する。所定の例では、合金は、F、T4、T6x、またはT8xの焼戻しで使用され得る。所定の態様では、合金は補強材と共に使用されて、追加的な強度を提供する。所定の態様では、合金は、加工及び動作温度がおよそ150℃以下である用途において有用である。
【0123】
所定の態様では、合金及び方法を使用して動力車両用のボディ部品製品を調製することができる。例えば、開示されている合金及び方法は、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラーレインフォースメント(例えば、A-ピラー、B-ピラー、及びC-ピラー)、インナーパネル、サイドパネル、フロアパネル、トンネル、構造パネル、レインフォースメントパネル、インナーフード、またはトランクリッドパネルなどの自動車ボディ部品製品を調製するために使用され得る。開示されているアルミニウム合金及び方法は、例えば、外部及び内部パネルを調製するために、航空機または鉄道車両の用途においても使用され得る。所定の態様では、開示された合金は、自動車のバッテリプレート/シェートなどの他の特殊用途に使用され得る。
【0124】
所定の態様では、合金及び方法から作り出された製品はコーティングされ得る。例えば、開示された製品は、リン酸Znで処理され、電着(E-コーティング)され得る。コーティング手順の一部として、コーティングされたサンプルを焼いて、E-コーティングを約180℃で約20分間乾燥させることができる。所定の態様では、塗料焼き付け応答が観察され、その場合に合金は降伏強度の増加を呈する。所定の例では、塗料焼き付け応答は、プレート、シェート、またはシートの形成の間に焼入れ法により影響を受ける。
【0125】
記載された合金及び方法は、携帯電話及びタブレットコンピュータを含む電子デバイス用のハウジングを調製するためにも使用され得る。例えば、合金は、陽極酸化の有無にかかわらず、携帯電話(例えば、スマートフォン)の外側ケーシング及びタブレットのボトムシャーシ用のハウジングを調製するために使用され得る。例示的な家庭用電子機器には、携帯電話、オーディオデバイス、ビデオデバイス、カメラ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、家電機器、ビデオ再生装置、及び記録装置などが含まれる。例示的な家庭用電子機器部品には、外部ハウジング(例えば、外装(facade))及び消費者用電子製品用の内部ピースが含まれる。
【0126】
以下の実施例は本発明を更に解説する役割を果たすが、そのいかなる限定も構成しない。それどころか、本明細書の記載を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な実施形態、改変、及びその等価物に対して手段が与えられ得ることが明確に理解されるべきである。他に述べない限り、以下の実施例に記載の研究の間は従来の手順に従った。手順の一部を解説の目的のために以下に記載する。
【実施例】
【0127】
実施例1:アルミニウム合金TB1、TB2、TB3、及びTB4の特性
4種の例示的なアルミニウム合金のセットを調製した:TB1、TB2、TB3、及びTB4(表16)。
【表16】
【0128】
成分をインゴットにDC鋳造し、インゴットを520℃~580℃で1~5時間均質化することにより合金を調製した。次いで、均質化されたインゴットを横たわらせ、500℃~540℃の入口温度範囲及び250℃~380℃の熱間圧延出口温度範囲で熱間圧延した。次いで、540℃~580℃で15分間~2時間、溶体化熱処理工程を実施し、続いて水を使用した室温焼入れ及び自然時効を実施してT4焼戻しを達成した。T6焼戻しは、T4合金を180℃~225℃で15分~8時間時効させることにより達成された。
【0129】
TB1~TB4合金の特性は、その技術において慣用の試験手順を使用して決定し、対照合金AA6061、AA6013、及びAA6111(表17)と比較した。
【表17】
【0130】
現行の商用の高強度6XXX合金、例えば、AA6061、AA6111、及びAA6013と比較して、本発明の合金のこれらの例は、T4での均一伸長(UE)及び曲げ性(
図1及び
図2)ならびにT6での降伏強度(YS)及び耐腐食性の大幅な改善を示す(
図3)(表17)。TB1~TB4合金は約25~28%のUEに達した。
【0131】
実施例2:アニールの効果
この実施例は、アニール工程なしで同様のプロセスにより製造された対照TB1合金に対して、T4条件でのアニールされたTB1合金の特性を比較する。
【0132】
TB1合金の組成は表16において上記で論じたとおりである。実施例1と同様に、両方のサンプルの初期加工は、規則的なDC鋳造と、10~100°/Cの加熱速度での均質化と、520~580℃のピーク金属温度での1~5時間の浸漬と、500~540℃の入口温度範囲及び250~380℃の熱間圧延出口温度範囲での熱間圧延と、を含んでいた。圧延されたままのプレート/シェートはF焼戻しにあるものとしてマークした。
【0133】
対照合金については、次いで、540~580℃での15分~2時間の浸漬時間での溶体化、及びこれに続く水焼入れ及び自然時効によりT4焼戻しに変換した。対照は、介在するアニール工程なしでF焼戻しからT4焼戻しに直接変換された。
【0134】
アニールされた合金については、F焼入れプレート/シェートは、400~500℃の温度範囲及び30~120分間の浸漬時間でアニールされた。生じたアニールされたままのO焼戻しプレート/シェートは次いで、540~580℃で15分~2時間の浸漬時間での溶体化、これに続く水焼入れ及び自然時効によりT4焼戻しに変換された。
【0135】
図4は、生じた対照及びアニールされた合金の配向分布関数(ODF)グラフを示している。ODFグラフは、φ2=0°、45°、65°のセクションにそれぞれある。検査は、高いr-45°TC(黄銅、Cuなど)及び高いr-0/180°TC(Goss、Goss-ND、Cube-RDなど)の強度が対照と比較してアニールされた合金で減少したことを示しており、改善されたテクスチャを示している。この改善されたテクスチャは、曲げ性異方性を潜在的に減少させることができ、引抜きまたは円周スタンピングプロセスが関与する成形における成形性を改善させることができるが、その理由は、それが異なる方向(すなわち、異方性)で特性の変動性を減少させるように作用するからである。
【0136】
合金サンプルを180℃~225℃で15分~8時間更に時効させた。合金の引張特性の調査は、アニールが最終T6強度に悪影響を及ぼさなかったことを示した(
図5)。
【0137】
実施例3:異なるSHTを有するアルミニウム合金P7、P8、及びP14の特性
3種の例示的なアルミニウム合金のセットを調製した:P7、P8、及びP14(表18)。
【表18】
【0138】
溶体化熱処理浸漬工程をより短い期間(45または120秒)で実施したこと以外は実施例1の手順に従って合金を調製した。
【0139】
P7、P8、及びP14合金の(T4条件における)最大伸長及び(T6条件における)降伏強度をその技術において慣用の試験手順を使用して決定した(
図6)。550℃~580℃の範囲の温度を含む異なるSHT条件を使用してフォローアップ実験を実施した(
図7及び8)。
【0140】
AA6061、AA6111、及びAA6013(実施例1参照)などの現行の商用の高強度6xxx合金と比較して、P7、P8、及びP14合金は、T6での降伏強度及び耐腐食性ならびに均一伸長の大幅な改善を示す。そのような改善は、良好に設計された化学組成と熱機械加工との組み合わせによりもたらされる。
【0141】
実施例4:SLシリーズアルミニウム合金の特性
アルミニウム合金の追加的なセットを調製した(表19)。
【表19】
【0142】
実施例1の手順に従って合金を調製した。合金SL1、SL2、SL3、及びSL4の4種の特性は、それらの降伏強度(
図9)、引張強度(
図10)、及び伸長特性(
図11及び12)を確立するためにEN10002-1に従う標準的な手順により幅広く試験した。曲げ性はVDA238-100に従って試験した(
図13)。300mmの長さの破砕チューブ(U形状)ならびに10mm/秒の破砕速さ及び185mmの全変位で準静的破砕試験を実施した(
図15)。80mmのパンチ直径、10mm/秒の速さ、及び100mmの変位で横破砕試験を実施した。曲げチューブをバックプレートと横プレートとの間に70°の外角で構築した(
図18)。低いPMT(例えば、520~535℃)及び高いPMT(例えば、約536~560℃)で調製されたサンプルについて比較結果を収集した。試験したサンプルはSL1の場合は2mmの厚さまたは2.5mmであった。曲げの結果については、外側曲げ角度を使用した。合金は、T4焼戻しでは90°未満、及びT6焼戻しでは135°未満の曲げ角度を示した。
【0143】
2.0mmで角度を正規化するために、以下の式を使用した。
【数2】
(式中、α
測定は外側曲げ角度であり、t
測定はサンプルの厚さであり、t
正規は正規化された厚さであり、α
正規は生じた正規化した角度である。)降伏強度と曲げ性との比較は、試験された合金の中でSL4が最も良好に機能することを示した(
図14)。
【0144】
準静的破砕試験は、330MPaのRp02及び403MPaの非常に高いRmを有するT6焼戻し条件(180℃で10時間時効)での合金SL3について良好な破砕性を示した。T6焼戻しは、無色の段階におけるボディまたは昇温環境下で動作する動力キャリアにおける部品についての最悪の場合のシナリオを試験するために選択された。合金SL3は、適正な外側曲げ角度(アルファ約68°)及び400MPaを超える高いUTSを提供するため、B-ピラー、A-ピラー、C-ピラー。またはフロアパネルを含む自動車の構造的な用途に好適である。高いUTS(Rm>400MPa)は1.7重量%のCuレベルに起因する。典型的には、少なくとも1.5重量%が良好な破砕性のためには必要である。
図15は、変位の関数としてエネルギー及び負荷を示すT6焼戻しでの合金SL3の破砕試験の結果を示すグラフである。
図16A~
図16Fは、破砕試験後の合金SL3のサンプル2の破砕サンプルのデジタル画像及び付随する線画である。線画は明確にするために示されている。
図17A~
図17Fは、破砕試験後の合金SL3のサンプル3の破砕サンプルのデジタル画像及び付随する線画である。
【0145】
横破砕試験は、330MPaのRp02及び403MPaの非常に高いRmを有するT6焼戻し条件(180℃で10時間時効)での合金SL3について良好な曲げ性を示した。準静的破砕試験により示され、横方向破砕試験により実証されるように、合金SL3は自動車の構造的な用途に好適である。
図18は、変位の関数としてエネルギー及び負荷を示すT6焼戻しでの合金SL3の破砕試験の結果を示すグラフである。
図19A~
図19Dは、破砕試験後の合金SL3のサンプル1の破砕サンプルのデジタル画像及び付随する線画である。
図20A~
図20Dは、破砕試験後の合金SL3のサンプル2の破砕サンプルのデジタル画像及び付随する線画である。
【0146】
実施例5:SL2の特性に対する異なる焼入れの効果
550℃のPMTで調製された合金組成物SL2について、降伏強さ及び曲げ性に対する異なる焼入れ条件の効果を試験した(
図21)。空気焼入れ、50℃/秒での水焼入れ、及び150℃/秒での水焼入れを実施例4のような標準的な焼入れ条件を使用して全て試験した。結果は、降伏強度に大きな効果はなかったが、水焼入れから曲げ性の改善を示唆していた。
【0147】
実施例6:硬度に対する効果
アルミニウム合金の追加的なセットを調製した(表20)。
【表20】
【0148】
鋳造を、ブックモールドを使用して実施したこと以外は、実施例1に従って合金を調製した。異なる熱処理後の合金S164、S165、S166、S167、S168、及びS169の降伏強度を、実施例4のような標準的な条件を使用して試験した(
図22)。より高い時効温度(例えば、225℃)は過度に時効された条件に至った。
【0149】
3回の熱処理(
図6~8のSHT1、SHT2、及びSHT3)後のそれらの十分に時効したT6条件でも異なる合金の硬度を試験した。溶体化熱処理中の時間及び温度は、合金の硬度に影響を与えた(
図23)。
【0150】
実施例7:Znの効果
アルミニウム合金の追加的なセットを調製した(表21)。
【表21】
【0151】
成分をDC鋳造してインゴットとすることにより合金を調製し、鋳造はブックモールドを使用して実施した。インゴットを520℃~580℃で1~15時間均質化した。次いで、均質化されたインゴットを横たわらせ、500℃~540℃の入口温度範囲及び250℃~380℃の熱間圧延出口温度範囲で熱間圧延した。次いで、540℃~580℃で15分間~2時間、溶体化熱処理工程を実施し、続いて水を使用した室温焼入れ及び自然時効を実施してT4焼戻しを達成した。T6焼戻しは、T4合金を180℃~225℃で15分~12時間時効させることにより達成された。T8焼戻しは、T6合金を180℃~215℃で10分~2時間時効させることにより達成された。
【0152】
例示的な合金の引張強度を
図24に示す。Znの添加は、T4焼戻しで合金の強度を増加させたが、より重要なことに、T6焼戻し及びT8焼戻しで合金の強度を増加させた。そのグラフは、T6焼戻しにおいて合金を事前に歪ませることなく、370MPaを超える引張強度を達成することが可能であることを示している。そのグラフは、T8焼戻しにおいて最大で約3重量%のZnを含む合金の場合、340MPaを超える引張強度を達成することが可能であることを示している。PXは、溶体化及び焼入れ後の事前時効または再加熱を示している。事前時効は、90℃~110℃の温度で1~2時間の期間実施される。
【0153】
例示的な合金の曲げの結果を
図25に示す。Znの添加は、曲げデータに明確な傾向を示していない。データは、成形性のわずかな低下を示している。
図26は、例示的な合金の増加した強度と成形性とを比較している。Znの添加は、例示的な合金における成形性の無視できる劣化を提供する。
【0154】
例示的な合金の塗料焼き付けの結果が
図27に示されている。そのデータは、特に事前加熱後のZn添加によって塗料焼き付け応答は影響されないことを示している。
【0155】
例示的な合金の伸長が
図28に示されている。そのグラフは、例示的な合金の伸長がZnの添加後に劣化しないことを示している。Znの添加に起因する強度増加は、高強度アルミニウム合金においてより高い成形性を提供する。最大で3重量%のZnの添加は、成形性または伸長を大幅に低下させることなく、例示的な合金の強度を増加させる。
【0156】
実施例8:例示的なアルミニウム合金TB7、TB8、PF5、TB13、TB14、PF4、TB15、TB16、PF11、PF12、及び比較アルミニウム合金PF13及びTB5の特性
10種の例示的なアルミニウム合金のセットを調製した:TB7、TB8、PF5、TB13、TB14、PF4、TB15、TB16、PF11、PF12、及びTB5(表22)。
【表22】
【0157】
成分をインゴットにDC鋳造し、インゴットを520℃~580℃で1~5時間均質化することにより合金を調製した。次いで、均質化されたインゴットを横たわらせ、500℃~540℃の入口温度範囲及び250℃~380℃の熱間圧延出口温度範囲で熱間圧延した。次いで、540℃~580℃で15分間~2時間、溶体化熱処理工程を実施し、続いて水を使用した室温焼入れ及び自然時効を実施してT4焼戻しを達成した。T6焼戻しは、T4合金を150℃~250℃で15分~24時間時効させることにより達成された。
【0158】
TB7、TB8、PF5、TB13、TB14、PF4、TB15、TB16、PF11、及びPF12合金の特性は、その技術において慣用の試験手順を使用して決定され、対照合金PF13及びTB5と比較した(表23)。ISO11846規格に従って腐食試験を実施した。
【表23】
【0159】
全体として、例示的な合金は、比較用PF13及びTB5合金と比較した場合、改善された降伏強度及び耐腐食性を示した。
【0160】
実施例9:例示的なアルミニウム合金PF1、PF2、及びPF6の特性
3種の例示的なアルミニウム合金のセットを調製した:PF1、PF2、及びPF6(表24)。
【表24】
【0161】
成分をインゴットにDC鋳造し、インゴットを520℃~580℃で1~5時間均質化することにより合金を調製した。次いで、均質化されたインゴットを横たわらせ、500℃~540℃の入口温度範囲及び250℃~380℃の熱間圧延出口温度範囲で熱間圧延した。次いで、540℃~580℃で15分間~2時間、溶体化熱処理工程を実施し、続いて水を使用した室温焼入れ及び自然時効を実施してT4焼戻しを達成した。T6焼戻しは、T4合金を150℃~250℃で15分~24時間時効させることにより達成された。PF1、PF2、及びPF6合金の特性は、その技術において慣用の試験手順を使用して決定した。ISO11846規格に従って腐食試験を実施した。
【0162】
図29は、例示的な合金PF1、PF2、及びPF6(「-LET」は低い出口温度のことを指す)の引張強度を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mm及び10mmのゲージに圧延した。合金を、T6焼戻し条件をもたらす時効方法に付した。その合金は、T6焼戻しでの両方のゲージについて高い引張強度を示す。
【0163】
図30は、例示的な合金PF1、PF2、及びPF6の成形性を示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。合金を、T4焼戻し条件をもたらす時効方法に付した。合金は、T4焼戻しでの2mmのゲージの場合、90°未満の曲げ角度を呈する。
図31は、2mmゲージに圧延され、T6焼戻し条件をもたらす時効方法に付された例示的な合金PF1、PF2、及びPF6の成形性を示すチャートである。Zrを含有する合金(PF2及びPF6)は、T6焼戻しでの2mmゲージの合金の場合、135°未満の曲げ角度を呈する。
【0164】
図32は、例示的な合金PF1、PF2、及びPF6の最大腐食深さを示すチャートである。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。Zrを含有する合金は、より低い最大腐食深さにより示される腐食に対する増加した耐性を示した。
図33~38は、腐食試験後の例示的な合金PF1、PF2、及びPF6の断面図の顕微鏡写真である。合金は組成物中に様々な量のZrを含む。合金を2mmのゲージに圧延した。合金PF1は、合金PF2及びPF6と比較して、より高い腐食深さを呈した。
図33及び34は合金PF1における腐食を示している。
図35及び36は合金PF2における腐食を示している。
図37及び38は合金PF6における腐食を示している。Zrを含有する合金(PF2及びPF6)は、腐食に対してより高い耐性を示した。
【0165】
上で引用した全ての特許、刊行物、及び要約は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的の実現において記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識すべきである。以下の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの変性及びその適合が当業者には容易に明らかであろう。