(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】炭酸飲料用注出ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 1/14 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
B67D1/14 A
(21)【出願番号】P 2019151861
(22)【出願日】2019-08-22
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】柳田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 佐紀
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-160196(JP,A)
【文献】特表2005-537192(JP,A)
【文献】特開2017-105524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料原液注出口から飲料原液と、炭酸水注出口から炭酸水とを炭酸飲料となるように飲用容器内に注出する炭酸飲料用注出ノズルであり、
下端
に鉛直方向下向きに開口して炭酸水を注出する前記炭酸水注出口を有して直線状に延びる炭酸水通路が形成された筒形をしたノズル本体と、
前記ノズル本体の外周面にて斜め下方に開口する前記飲料原液注出口が形成され、前記炭酸水通路の内部から前記飲料原液注出口に延びる飲料原液通路とを備えたことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記ノズル本体には前記炭酸水注出口
の内側から下方に延びて炭酸水を下方に案内するガイド突起部を設けたことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項3】
請求項2に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記ガイド突起部の外周面には上下に延びる複数の突条を形成したことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記飲料原液通路の少なくとも一部を前記飲料原液注出口に向けて斜め下方に傾斜させたことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記飲料原液通路の少なくとも一部を前記飲料原液注出口に向けて水平方向に径が拡がるように形成したことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記炭酸飲料用注出ノズルは、前記炭酸飲料用注出ノズルの下側に前記飲用容器を前後に傾動可能に載置する受台と、前記受台に載置した前記飲用容器の下部を前方に押し出して前記飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾動させる受台傾動装置とを備えた飲料注出装置の注出コックに用いられるものであり、
前記飲料原液注出口が前方に開くように配置したことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項7】
請求項6に記載の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記炭酸水通路は前記炭酸水注出口の左右の径より前後の径が狭くなるように下方に向けて内径を細く形成したことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【請求項8】
請求項6または7の炭酸飲料用注出ノズルにおいて、
前記ノズル本体には前記飲料原液注出口が前方に開く位置で前記飲料注出装置の注出コックに取り付けられるための位置決め係合部を設けたことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料原液と炭酸水とを炭酸飲料となるように飲用容器に注出する炭酸飲料用注出ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には炭酸水注出バルブが開示されており、炭酸水注出バルブは、炭酸水の通路を開閉する炭酸水の供給弁と飲料原液の通路を開閉する飲料原液の供給弁とを備えたバルブ本体と、炭酸水の供給弁と飲料原液の供給弁を開閉するバルブレバーと、バルブ本体の下部に設けられて炭酸水の通路から供給される炭酸水と飲料原液の通路から供給される飲料原液とを炭酸飲料注出口から注出するノズルとを備えている。
【0003】
特許文献1の炭酸水注出バルブのバルブ本体には円筒状空間部が形成されており、円筒状空間部の上部には炭酸水の供給源の下流側となる炭酸水通路が開口している。バルブ本体の円筒状空間部には減圧機構を構成する円筒状コーンが内装されており、円筒状コーンは外コーンと、外コーンの内側に隙間空間を介して配置される内コーンを備えている。炭酸水通路から円筒状空間部に供給される炭酸水は外コーンと内コーンの間の隙間空間を通ってノズル内に流入する。また、バルブ本体の円筒状空間部には飲料原液が供給される飲料原液供給管部が下方に延出して設けられている。飲料原液供給管部の下端開口は炭酸水が通過するノズル内に配置されており、飲料原液供給管部から供給される飲料原液はノズル内に流入する。ノズル内に流入した飲料原液と炭酸水はノズル内で混ざって炭酸飲料注出口から炭酸飲料として注出される。
【0004】
特許文献2には炭酸水注出バルブが開示されており、炭酸水注出バルブは、炭酸水の通路を開閉する炭酸水の供給弁と飲料原液の通路を開閉する飲料原液の供給弁とを備えたバルブ本体と、炭酸水の供給弁と飲料原液の供給弁を開閉するバルブレバーと、バルブ本体の下部に設けられて炭酸水の通路から供給される炭酸水を炭酸水注出口から注出するノズルと、バルブ本体からノズルを貫通して炭酸水注出口の下側まで延出する飲料原液供給管部とを備えている。
【0005】
特許文献2の炭酸水注出バルブのバルブ本体には円筒状空間部が形成されており、円筒状空間部の上部には炭酸水の供給源の下流側となる炭酸水通路が開口している。バルブ本体の円筒状空間部には減圧機構を構成する円筒状コーンが内装されており、円筒状コーンは外コーンと、外コーンの内側に隙間空間を介して配置される内コーンを備えている。炭酸水通路から円筒状空間部に供給される炭酸水は外コーンと内コーンの間の隙間空間を通ってノズル内に流入する。また、バルブ本体の円筒状空間部には飲料原液が供給される飲料原液供給管部が下方に延出して設けられており、飲料原液供給管部の下端開口はノズルの炭酸水注出口より下側に配置されている。ノズルに流入した炭酸水は下端の炭酸水注出口から注出され、飲料原液供給管部の下端開口から供給される飲料原液は炭酸水注出口から注出される炭酸水と混ざって飲用容器に注がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-117502号公報
【文献】特開2018-020801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の炭酸水注出バルブにおいては、飲料原液供給管部の下端開口は炭酸水が通過するノズル内に配置されており、バルブ本体の円筒状コーンを通過した炭酸水はノズル内で飲料原液と混ざって炭酸飲料注出口から炭酸飲料として注出される。飲料原液供給管部の下端開口が炭酸水が通過するノズル内に開放されているので、炭酸水はノズル内で飲料原液と混合されるときに乱流となって泡立つことで炭酸ガスが抜けやすく、炭酸飲料は飲用容器内で泡立ちやすく炭酸ガスの溶解量が低下する問題があった。
【0008】
上述した特許文献2の炭酸水注出バルブにおいては、飲料原液供給管部の下端開口は、炭酸水が通過するノズル内に配置されていないものの、炭酸水が注出される炭酸水注出口の直ぐ下側に配置されている。このため、炭酸水注出口から注出される炭酸水は直ぐ下側の飲料原液供給管部の下端開口から注出される飲料原液と混ざるときに乱流となって泡立つことで炭酸ガスが抜けやすく、炭酸飲料が飲用容器内で泡立ちやすく炭酸ガスの溶解量が低下する問題があった。特に、強炭酸飲料と呼ばれる炭酸ガスの溶解量の多い炭酸飲料を注出するときには、炭酸ガスの溶解量の多い炭酸水がノズル内で飲料原液と混ざるとき、または、ノズルの炭酸水注出口の直ぐ下流で飲料原液と混ざるときに泡立つことで炭酸ガスが抜けやすく、炭酸ガスの溶解量の多い炭酸飲料とならないおそれがあった。本発明は、飲料原液と炭酸水とを炭酸飲料となるように飲用容器に注出しても、炭酸ガスの溶解量が低下しにくい炭酸飲料用注出ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、飲料原液注出口から飲料原液と、炭酸水注出口から炭酸水とを炭酸飲料となるように飲用容器内に注出する炭酸飲料用注出ノズルであり、下端に鉛直方向下向きに開口して炭酸水を注出する炭酸水注出口を有して直線状に延びる炭酸水通路が形成された筒形をしたノズル本体と、ノズル本体の外周面にて斜め下方に開口する飲料原液注出口が形成され、炭酸水通路の内部から飲料原液注出口に延びる飲料原液通路とを備えたことを特徴とする炭酸飲料用注出ノズルを提供するものである。
【0010】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズルは、下端に鉛直方向下向きに開口して炭酸水を注出する炭酸水注出口を有して直線状に延びる炭酸水通路が形成されたノズル本体と、ノズル本体の外周面にて斜め下方に開口する飲料原液注出口が形成され、炭酸水通路の内部から飲料原液注出口に延びる飲料原液通路とを備えている。炭酸水はノズル本体の炭酸水通路を通って下端にて鉛直方向下向きに開口する炭酸水注出口から飲用容器に注出され、飲料原液はノズル本体の飲料原液通路を通ってノズル本体の外周面にて斜め下方に開口する飲料原液注出口から飲用容器に注出される。炭酸水はノズル本体の炭酸水通路及び炭酸水注出口から注出されて飲用容器に流下しているときにも飲料原液に衝突することなく飲用容器に注がれるので、炭酸水は泡立ちによる炭酸抜けが抑えられて炭酸ガスの溶解量が低下せずに飲用容器に注出され、この炭酸水と飲用容器内で飲料原液が混ざった炭酸飲料も炭酸ガスの溶解量があまり低下しないようになる。
【0011】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズルにおいては、ノズル本体には炭酸水注出口の内側から下方に延びて炭酸水を下方に案内するガイド突起部を設けるのが好ましい。このようにしたときには、炭酸水注出口から流れ落ちる炭酸水はガイド突起部によって周囲に拡がることなく下側の飲用容器に案内されるようになり、炭酸水が飲用容器からこぼれにくくなる。この場合において、ガイド突起部の外周面には上下に延びる複数の突条を形成するのが好ましい。このようにしたときには、炭酸水の注出を終えたときに、炭酸水が炭酸水注出口とガイド突起部との間に表面張力によって残りにくくすることができ、炭酸水が炭酸水注出口から後だれしにくくなる。
【0012】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズルにおいては、飲料原液通路の少なくとも一部を飲料原液注出口に向けて斜め下方に傾斜させるのが好ましい。このようにしたときには、飲料原液注出口から注がれる飲料原液は斜め下方に流れ落ちるので、飲料原液は炭酸飲料用注出ノズルの下側の飲用容器からこぼれにくくすることができる。
【0013】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズルにおいては、飲料原液通路の少なくとも一部を飲料原液注出口に向けて水平方向に径が拡がるように形成するのが好ましい。このようにしたときには、飲料原液注出口から注出される飲料原液の勢いを抑えることができ、飲料原液が炭酸飲料用注出ノズルの下側の飲用容器からこぼれにくくすることができる。
【0014】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズルにおいては、炭酸飲料用注出ノズルは、炭酸飲料用注出ノズルの下側に飲用容器を前後に傾動可能に載置する受台と、受台に載置した飲用容器の下部を前方に押し出して飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾動させる受台傾動装置とを備えた飲料注出装置の注出コックに用いられるものであり、飲料原液注出口が前方に開くように配置するのが好ましい。
【0015】
このようにしたときには、炭酸水注出口から注出される炭酸水は飲用容器の底部にぶつかることなく斜めに傾斜させた飲用容器の周壁内面に沿って流れ落ちるので、炭酸水が飲用容器内に流入したときの衝撃を低減させて飲用容器内で泡立つのを抑制することができる。また、前方に開くように配置された飲料原液注出口から注出される飲料原液は斜め後上方を向くように傾斜した飲用容器の上面開口から飲用容器内に放物線を描くように流入する。これにより、炭酸水が流下する過程で飲料原液と衝突することで炭酸ガスが抜けにくくなるだけでなく、炭酸水が飲用容器の周壁内面に沿って流れ落ちるので、炭酸ガスが抜けにくいように飲用容器内に注出され、さらに、飲料原液が飲用容器からこぼれないように注出することができるようになる。
【0016】
この場合において、炭酸水通路は炭酸水注出口の左右の径より前後の径が狭くなるように下方に向けて内径を細く形成するのが好ましい。飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾斜させると、飲用容器の上面開口は上方から見ると前後の幅が狭くなるが、炭酸水通路は炭酸水注出口の左右の径より前後の径が狭くなるように下方に向けて内径を細く形成しているので、炭酸水注出口から注出される炭酸水は前後に拡がりにくくなり、炭酸水は傾斜させた飲用容器で確実に受けられるようになる。
【0017】
この場合において、ノズル本体には飲料原液注出口が前方に開く位置で飲料注出装置の注出コックに取り付けられるための位置決め係合部を設けるのが好ましい。このようにしたときには、飲料原液注出口が前方に開く位置で確実に飲料注出装置の注出コックに取り付けることができ、上記の作用効果を確実に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による炭酸飲料用注出ノズルを用いた飲料自動注出装置の斜視図である。
【
図2】左右方向の中央部の前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図3】第1自動注出ユニットの飲料経路の概略図である。
【
図4】第2自動注出ユニットの飲料経路の概略図である。
【
図5】第1自動注出ユニットの前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図6】第2自動注出ユニットの前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図7】第2自動注出ユニットの注出コックの斜視図(a)、カバーを取り外した状態の斜視図(b)である。
【
図8】第2自動注出ユニットの平面図(a)、A-A断面図(b)、B-B断面図(c)である。
【
図9】
図7(b)の斜視図でスリーブと第1及び第2開閉レバーが見えるように一部を破断した斜視図(a)、操作レバーを左側に移動させた斜視図(b)、操作レバーを右側に移動させた斜視図(c)である。
【
図12】炭酸飲料用注出ノズルの正面図(a)、右側面図(b)、左斜め上方から見た斜視図(c)、E-E断面図(d)、F-F断面図(e)、G-G断面図(f)、H-H断面図(g)である。
【
図13】第2自動注出ユニットの注出コックからディフューザと炭酸飲料用注出ノズルを取り外した状態の斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図14】第1自動注出ユニットの制御装置と各機器との接続を示すブロック図(a)と、第2自動注出ユニットの制御装置と各機器との接続を示すブロック図(b)である。
【
図15】ガイド突起部を円柱状としたときの炭酸飲料用ノズルの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明による炭酸飲料用注出ノズルを用いた飲料自動注出装置(飲料注出装置)の実施形態を図面を参照して説明する。この実施形態の飲料自動注出装置10は、注出コックからグラスやジョッキ等の飲用容器にビール等の発泡性飲料と、ハイボール等の炭酸飲料を自動注出するものである。
図1に示したように、この実施形態の飲料自動注出装置10は、装置本体11の前部の右側に第1自動注出ユニット12Rと、左側に第2自動注出ユニット12Lとを備えている。
【0020】
図1及び
図3に示したように、右側に配置される第1自動注出ユニット12Rはビール等の発泡性飲料をグラスやジョッキ等の飲用容器に自動注出するものであり、注出コック110、コック操作装置120、容器受台装置130及び受台傾動装置140を備えている。
図1及び
図4に示したように、左側に配置される第2自動注出ユニット12Lはビールのように発泡しないものの炭酸ガスが含まれるハイボール等の炭酸飲料をジョッキ等の飲用容器に自動注出するものであり、注出コック210、コック操作装置220、容器受台装置230及び受台傾動装置240を備えている。特に、この第2自動注出ユニット12Lは別々に供給される飲料原液と炭酸水とを飲用容器内に炭酸飲料として注出するものであって、炭酸ガスの溶解量の多い炭酸水の泡立ちを抑えて炭酸ガスの溶解量の多い炭酸飲料を飲用容器に自動注出するものである。
【0021】
図2に示したように、飲料自動注出装置10は、装置本体11内の上部に冷却水を貯えた冷却水槽13と、装置本体11の下部の機械室に冷却水槽13内の冷却水を冷却する冷凍装置14とを備えている。
図2及び
図3に示したように、冷却水槽13内には飲料冷却管15が設けられており、飲料冷却管15は上述した第1自動注出ユニット12Rで注出するビール等の発泡性飲料(以下、主に発泡性飲料と記載する。)を冷却する。飲料冷却管15は冷却水槽13内の冷却水に浸漬されており、発泡性飲料は飲料冷却管15を通過するときに冷却水によって冷却される。飲料冷却管15の導入端部は飲料供給管T1を介してビア樽等の発泡性飲料容器Tに接続されており、飲料冷却管15の導出端部は装置本体11の右側上部に設けた第1自動注出ユニット12Rの注出コック110に接続されている。発泡性飲料容器Tにはガス供給管G1を介してガスボンベ(ガス供給源)Gが接続されており、発泡性飲料容器T内の発泡性飲料はガスボンベGから供給される炭酸ガスの圧力によって飲料冷却管15を通って注出コック110に送られる。
【0022】
図2及び
図4に示したように、冷却水槽13内には炭酸水生成装置20を構成する炭酸水生成タンク21が設けられており、炭酸水生成タンク21は第2自動注出ユニット12Lにて注出するハイボール等の炭酸飲料の原料となる炭酸水を生成するものである。炭酸水生成タンク21は冷却水槽13内の冷却水に浸漬されており、炭酸水生成タンク21内にて生成された炭酸水は冷却水槽13内の冷却水によって冷却されている。炭酸水生成タンク21にはガス供給管G2を介してガスボンベGが接続されており、炭酸水生成タンク21内はガスボンベGから送られる炭酸ガスが供給されることで加圧されている。炭酸水生成タンク21内には水位センサ22が設けられており、水位センサ22は炭酸水生成タンク21内の上限水位と下限水位とを検知する。
【0023】
炭酸水生成タンク21の上部には給水管23が接続され、炭酸水生成タンク21の底部には炭酸水送出管27が接続されている。給水管23は水道等の水の給水源の水を炭酸水生成タンク21に送出するものであり、炭酸水生成タンク21内に送出された水はガスボンベGから送られた炭酸ガスが溶けて炭酸水となる。給水管23には給水源側となる上流側から給水弁24と送水ポンプ25と逆止弁26が介装されている。給水管23の逆止弁26より下流側は炭酸水生成タンク21とともに冷却水槽13の冷却水に浸漬されており、給水源の水は給水管23を通過するときに冷却水槽13内の冷却水によって冷却されて炭酸水生成タンク21に送られる。給水弁24は給水管23を開閉するものであり、給水源の水は給水弁24の開放によって給水管23を通過可能となる。送水ポンプ25は炭酸ガスによって加圧状態の炭酸水生成タンク21に給水管23から供給される水を圧送する。水位センサ22により下限水位を検知すると、給水弁24が開放されるとともに送水ポンプ25が作動するように制御され、水位センサ22により上限水位を検知すると、給水弁24が閉止されるとともに送水ポンプ25の作動が停止されるように制御されている。逆止弁26は加圧状態の炭酸水生成タンク21の炭酸ガスが給水管23に流入するのを防いでいる。
【0024】
また、炭酸水送出管27は炭酸水生成タンク21内にて生成した炭酸水を第2自動注出ユニット12Lの注出コック210に送出するものであり、炭酸水送出管27の導出端部は第2自動注出ユニット12Lの注出コック210に接続されている。炭酸水送出管27は炭酸水生成タンク21とともに冷却水槽13の冷却水に浸漬されており、炭酸水生成タンク21内にて生成した炭酸水は炭酸水送出管27を通過するときにも冷却水槽13内の冷却水によって冷却されて注出コック210に送られる。
【0025】
冷却水槽13内には飲料原液冷却管16が設けられており、飲料原液冷却管16は第2自動注出ユニット12Lにて注出するハイボール等の炭酸飲料の原料となるウイスキー等の飲料原液(以下、主に飲料原液と記載する。)を冷却する。飲料原液冷却管16は冷却水槽13内の冷却水に浸漬されており、飲料原液は飲料原液冷却管16を通過するときに冷却水によって冷却される。飲料原液冷却管16の導入端部は飲料原液供給管B1を介してウイスキーボトル等の飲料原液容器Bに接続されており、飲料原液冷却管16の導出端部は装置本体11の左側上部に設けた第2自動注出ユニット12Lの注出コック210に接続されている。
【0026】
飲料原液供給管B1にはガスポンプPが介装されており、ガスポンプPにはガス供給管G3を介してガスボンベGが接続されている。ガスポンプPは、飲料原液容器B内の飲料原液を飲料原液供給管B1に送出するものであり、ガスボンベGから供給される炭酸ガスの圧力でピストンが駆動するものである。注出コック210の後述する第1供給路開閉弁212aが閉止された状態では、ガスポンプP内のピストンは飲料原液の圧力が炭酸ガスの圧力に応じた値まで上昇して駆動停止した状態となる。注出コック210の第1供給路開閉弁212aが開放されると、ガスポンプP内の飲料原液の圧力が低下して、ガスポンプP内の飲料原液の圧力が炭酸ガスの圧力に応じた値まで上昇するまでピストンが駆動して、飲料原液容器Bの飲料原液は飲料原液供給管B1を通って飲料原液冷却管16に送られる。飲料原液冷却管16に送られた飲料原液は冷却水槽13内の冷却水によって冷却されて注出コック210に送られる。
【0027】
図1、
図3及び
図5に示したように、装置本体11の右側には第1自動注出ユニット12Rが設けられており、第1自動注出ユニット12Rは装置本体11の右側前面上部に注出コック110を備えている。第1自動注出ユニット12Rの注出コック110はグラスやジョッキ等の飲用容器(以下、主に飲用容器と記載する。)に主として発泡性飲料を注出するものである。注出コック110は、弁機構部111aを内蔵した筒状の本体部111の上部に操作レバー112と、下部に注出ノズル113(113a,113b)とを備えている。本体部111の弁機構部111aは開放状態とすることによって発泡性飲料容器T内の発泡性飲料を飲料供給管T1と飲料冷却管15とを通過させて注出ノズル113に導く。また、この注出コック110は発泡性飲料を液状態または泡状態で注出することを可能とするために、弁機構部111aを液用開放状態で開放することで発泡性飲料を液状態で液用の注出ノズル113bに導き、弁機構部111aを泡用開放状態で開放することで発泡性飲料を泡状態で泡用の注出ノズル113aに導くようになっている。
【0028】
操作レバー112は弁機構部111aを閉止状態と液用または泡用開放状態との開閉操作を行うものである。操作レバー112は、垂直に起立した起立位置にあるときには弁機構部111aを閉止状態とし、前方に傾動(前傾)させると弁機構部111aを液用開放状態で開放させ、後方に傾動(後傾)させると弁機構部111aを泡用開放状態で開放させる。注出ノズル113は弁機構部111aを通過した飲料を飲用容器に注出するものであり、本体部111の下面前部に飲料を泡状態で注出する泡用の注出ノズル113aと、本体部111の下面後部に飲料を液状態で注出する液用の注出ノズル113bとを備えている。
【0029】
図5に示したように、コック操作装置120は注出コック110の弁機構部111aを開閉操作するものである。コック操作装置120は筐体121内に注出コック110の操作レバー112を前後に傾動させる操作機構部122を有しており、操作機構部122によって操作レバー112を前後に傾動させることで弁機構部111aを開閉操作させる。操作機構部122はサーボモータ123と、前後に移動可能に支持されたスライダ124とを備えている。操作機構部122は、サーボモータ123の駆動によってスライダ124を前後に移動させ、操作レバー112を前後に移動するスライダ124により前後に傾動させることで、弁機構部111aを開閉操作している。
【0030】
図1及び
図5に示したように、容器受台装置130は、注出コック110から注出される発泡性飲料をできるだけ泡立つことのないように飲用容器内で受けることを目的として、飲用容器を前後方向に傾斜させることを可能としている。容器受台装置130は、上端部が装置本体11の前部に設けたブラケット131aに水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板131と、傾動基板131に取り付けた受台132(132a,132b)とを備えている。受台132は傾動基板131の上下方向の中間部と下部とに上下2段に取り付けた受台132a,132bとを備えている。上段の受台132aは主としてグラス等の小型の飲用容器を載置するものであり、下段の受台132bは主としてグラスよりも容量の多いジョッキ等の大型の飲用容器を載置するものである。上段の受台132aは傾動基板131に対して水平軸線回りに回動可能に支持されており、下段の受台132bに飲用容器を載置するときには、上段の受台132aを前方に突出した使用位置から傾動基板131に沿う退避位置まで退避させる。
【0031】
図5に示したように、受台傾動装置140は、傾動基板131を起立姿勢から傾斜姿勢の間で傾動させることで、受台132a,132bに載置した飲用容器を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させるものである。受台傾動装置140は、サーボモータ141と、サーボモータ141の駆動によって前後に回動するアーム142とを有している。受台傾動装置140は、サーボモータ141によりアーム142を前方に延びるように回動させて、容器受台装置130の傾動基板131とともに飲用容器を前方に押し出して起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させる。受台傾動装置140は、サーボモータ141によりアーム142を後方に退避させるように回動させて容器受台装置130の傾動基板131を後方に戻して、容器受台装置130の傾動基板131とともに飲用容器を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させる。
【0032】
受台傾動装置140はマイクロスイッチ143を備え、マイクロスイッチ143は傾動基板131が傾斜姿勢及び起立姿勢であることを検知することにより、受台132に載置した飲用容器が傾斜姿勢及び起立姿勢であることを検知する。この実施形態では、傾動基板131の傾斜姿勢は鉛直方向から40°に傾斜する角度に設定されており、マイクロスイッチ143は傾動基板131が40°に傾斜すると傾斜姿勢であると検知する。受台傾動装置140はマイクロスイッチ143による傾動基板131の傾斜姿勢の角度を40°以外の角度にも設定可能となっている。なお、マイクロスイッチ143を用いずにサーボモータ141の回動角度を制御することによって、傾動基板131及び飲用容器の傾斜姿勢の角度を制御してもよい。傾動基板131及び飲用容器の傾斜姿勢は40°に限られるものでなく、40°以外の角度であってもよい。
【0033】
図1、
図4及び
図6に示したように、装置本体11の左側には第2自動注出ユニット12Lが設けられており、第2自動注出ユニット12Lは装置本体11の左側前面上部に注出コック210を備えている。第2自動注出ユニット12Lの注出コック210は飲用容器に主としてハイボール等の炭酸飲料を注出するものであり、特に、強炭酸飲料と呼ばれる炭酸ガスの溶解量が多い炭酸飲料を注出するのに適したものである。
図7及び
図8に示したように、注出コック210は、ベースプレート211とカバー211aを備え、ベースプレート211の後部上面には飲料原液供給路212と炭酸水供給路213が設けられている。
図8(b)、(c)に示したように、飲料原液供給路212と炭酸水供給路213の各々には第1及び第2供給路開閉弁212a,213aが左右に並んだ位置で介装されている。第1及び第2供給路開閉弁212a,213aには第1及び第2開閉レバー212b,213bが設けられており、第1及び第2供給路開閉弁212a,213aは第1及び第2開閉レバー212b,213bを前側に押動させると開放される。第1及び第2供給路開閉弁212a,213aは第2自動注出ユニット12Lの注出コック210の弁機構部を構成している。
【0034】
図7~
図9に示したように、ベースプレート211の後部には第1及び第2開閉レバー212b,213bの上側にブラケット214が前後に揺動可能となるように水平軸線回りに回動可能に設けられており、ブラケット214はばね部材214aによって後側に付勢されている。ブラケット214には左右に延びるシャフト214bが設けられており、シャフト214bには第1及び第2開閉レバー212b,213bの直ぐ後側にスリーブ214cが左右に移動可能に設けられている。シャフト214bにはスリーブ214cの左右両側にばね部材214dが設けられており、スリーブ214cはばね部材214dによって左右の中央にて両方の第1及び第2開閉レバー212b,213bの直ぐ後側に位置するように付勢されている。スリーブ214cには操作レバー214eが設けられており、スリーブ214cは操作レバー214eによって前側と左右方向に移動操作される。
【0035】
図9(a)に示したように、操作レバー214eを操作していないときには、スリーブ214cは、左右方向の中央の第1操作位置に位置して、第1及び第2開閉レバー212b,213bの直ぐ後側に配置されている。このとき、第1及び第2開閉レバー212b,213bが前側に押動されてないので、第1及び第2供給路開閉弁212a,213aは閉止状態が維持される。操作レバー214eを前側に傾動させると、スリーブ214cが操作レバー214eにより前側に移動し、両方の第1及び第2開閉レバー212b,213bが前側に押動され、両方の第1及び第2供給路開閉弁212a,213aが開放され、飲料原液供給路212の飲料原液と炭酸水供給路213の炭酸水が通過する。
【0036】
図9(b)に示したように、操作レバー214eを左側の第2操作位置に移動させるように操作して、スリーブ214cを左側に移動させると、スリーブ214cは第2開閉レバー213bの後側に配置されずに第1開閉レバー212bの後側にだけ配置される。操作レバー214eを前側に傾動させると、スリーブ214cが操作レバー214eにより前側に移動し、第1開閉レバー212bが前側に押動され、第1供給路開閉弁212aが開放され、飲料原液供給路212の飲料原液が通過する。
【0037】
図9(c)に示したように、操作レバー214eを右側の第3操作位置に移動させるように操作して、スリーブ214cを右側に移動させると、スリーブ214cは第1開閉レバー212bの後側に配置されずに第2開閉レバー213bの後側にだけ配置される。操作レバー214eを前側に傾動させると、スリーブ214cが操作レバー214eにより前側に移動し、第2開閉レバー213bが前側に押動され、第2供給路開閉弁213aが開放され、炭酸水供給路213の炭酸水が通過する。このように、注出コック210は、飲料原液と炭酸水とを同時に注出させるだけでなく、飲料原液だけを注出させたり、炭酸水だけを注出させることができる。
【0038】
図10及び
図11に示したように、ベースプレート211の前部には円形孔211bが形成されており、ベースプレート211の前部には円形孔211bの上側に飲料原液供給路212と炭酸水供給路213を炭酸飲料用注出ノズル218に接続する接続部215が設けられている。接続部215は下側に開口した円筒部215aと、円筒部215aの径方向の中央部で下方に延びる飲料原液供給管部215bとを備えている。
図11に示したように、飲料原液供給管部215bには飲料原液供給路212と連通する連通口215b1が開口している。円筒部215aと飲料原液供給管部215bとの間には円筒状空間215cが形成されており、円筒状空間215cには炭酸水供給路213と連通する連通口215c1が開口している。
【0039】
図10及び
図11に示したように、円筒状空間215cには減圧機構を構成する円筒状コーン216が内装されており、円筒状コーン216は外コーン216aと、外コーン216aの内側に隙間空間を介して配置される内コーン216bを備えている。外コーン216aはOリングよりなるシール材を介して円筒部215aの内周面に嵌合されている。内コーン216bはOリングよりなるシール材を介して飲料原液供給管部215bの外周面に嵌合されている。円筒状空間215cの上部に流入した炭酸水は外コーン216aと内コーン216bの間の隙間空間を通過するときに減圧される。
【0040】
図10及び
図11に示したように、ベースプレート211の前部には接続部215の下側に炭酸飲料用注出ノズル218が取り付けられている。この炭酸飲料用注出ノズル218は、炭酸飲料を構成する炭酸水が泡立ちによる炭酸抜けとなりにくいようにして、飲料原液と炭酸水とを炭酸飲料として飲用容器内に注出する。特に、この炭酸飲料用注出ノズル218は、炭酸ガスの溶解量の多い炭酸飲料を注出するのに適しており、この炭酸飲料用注出ノズル218の下側に飲用容器を前後に傾動可能に載置する受台232と、受台232に載置した飲用容器の下部を前方に押し出して飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾動させる受台傾動装置240とを備えた飲料自動注出装置10の注出コック210に用いたときに、炭酸水が泡立ちにより炭酸抜けとなりにくいように注出できるようにしている。以下に、この炭酸飲料用注出ノズル218について詳述する。
【0041】
図10~
図12に示したように、炭酸飲料用注出ノズル218は筒形をしたノズル本体218aを備えており、ノズル本体218aは下端に炭酸水注出口218cを有する鉛直方向に直線状に延びる炭酸水通路218bを備えている。炭酸水通路218b内には円筒状コーン216の下側に筒状のディフューザ217が配設されており、円筒状コーン216を通過して減圧させた炭酸水は炭酸水通路218b内を通るときにディフューザ217によって整流されて流れ落ちる。
図12(d)~(f)に示したように、炭酸水通路218bは下部の内径が細くなるように形成されているが、炭酸水通路218bの下部は炭酸水注出口218cの左右の径(
図12(d)に示した)に比べて前後の径(
図12(e)に示した)が狭くなるように徐々に絞られている。炭酸水注出口218cから注がれる炭酸水は前後に拡がることなく飲用容器に注がれる。
【0042】
図10~
図12に示したように、ノズル本体218aの上端部にはエラストマーよりなるシール部218dが一体的に設けられており、シール部218dの上面には上側に突出する2つの環状突部が形成されている。シール部218dの2つの環状突部が接続部215の円筒部215aの外周部に弾性変形して密着することにより、ノズル本体218aは接続部215に液密にシールされた状態で取り付けられている。
【0043】
図12及び
図13に示したように、ノズル本体218aの上端部にはシール部218dの外側に突出する3つの係合部218eが周方向に等間隔に形成されており、ベースプレート211の円形孔211bの周囲には係合部218eを通過させる凹部211cが周方向に等間隔に形成されている。凹部211cに係合部218eを通過させてから、炭酸飲料用注出ノズル218を約20°時計回りに回動させると、炭酸飲料用注出ノズル218がベースプレート211に着脱可能に取り付けられる。ノズル本体218aの上端部には係合部218eより小さな位置決め係合部218fが外側に突出して形成されており、ベースプレート211の円形孔211bの周囲には位置決め係合部218fを通過させる位置決め凹部211dが形成されている。位置決め係合部218fは後述する飲料原液注出口218iが前方に開く向きとなるように、炭酸飲料用注出ノズル218をベースプレート211に取り付けるためのものである。
【0044】
図10及び
図12(d),(e)に示したように、ノズル本体218aの下部には炭酸水通路218bの内部に管状の飲料原液通路218gが設けられており、飲料原液通路218gの上端は飲料原液供給管部215bに接続されている。飲料原液通路218gの上端にはエラストマーよりなるシール部218hが設けられており、シール部218hの上面には上側に突出する2つの環状突部が形成されている。シール部218hの2つの環状突部が飲料原液供給管部215bの下端に弾性変形して密着することにより、飲料原液通路218gは飲料原液供給管部215bに液密にシールされた状態で接続されている。管状の飲料原液通路218gは飲料原液供給管部215bと実質的に凹凸がない状態で接続されており、炭酸水通路218bを通過する炭酸水は飲料原液供給管部215bと飲料原液通路218gの接続部分を通過するときにも泡立ちにくくなっている。
【0045】
飲料原液通路218gは炭酸水通路218b内に延びる鉛直部218g1と、鉛直部218g1の下端から斜め前下方に延びる傾斜部218g2とを備えている。鉛直部218g1はノズル本体218aの炭酸水通路218b内で上下方向の中間部より少し下側から下部まで延びている。飲料原液通路218gの傾斜部218g2の先端はノズル本体218aの外周面で開口する飲料原液注出口218iとなっており、飲料原液注出口218iは前方にて斜め下方(斜め前下方)に開くように形成されている。
図12(g)に示したように、飲料原液通路218gの傾斜部218g2は飲料原液注出口218iに向けて左右方向(水平方向)に径が拡がるように形成されており、飲料原液注出口218iから注出される飲料原液の勢いが低く抑えられている。
【0046】
図12(a),(b),(d),(e)及び
図13に示したように、ノズル本体218aの下部には飲料原液通路218gの鉛直部218g1の下端から下方に延びるガイド突起部218jが設けられており、ガイド突起部218jは炭酸水注出口218cから下方に延びている。ガイド突起部218jは炭酸水注出口218cから注出される炭酸水を下側の飲用容器に案内するものである。
図13に示したように、ガイド突起部218jには上下に延びる4本の突条218kが周方向に等間隔に形成されており、炭酸水は突条218kによって炭酸水注出口218cとガイド突起部218jとの間に表面張力によって残りにくくなっている。
【0047】
図6に示したように、コック操作装置220は注出コック210の第1及び第2供給路開閉弁212a,213aを開閉操作するものである。コック操作装置220は筐体221内に注出コック210の操作レバー214eを前側に傾動させる操作機構部222を有しており、操作機構部222によって操作レバー214eを前側に傾動させることで第1及び第2供給路開閉弁212a,213aを開閉操作させる。操作機構部222はサーボモータ223と、前後に移動可能に支持されたスライダ224とを備えている。操作機構部222は、サーボモータ223の駆動によってスライダ224を前後に移動させ、操作レバー214eを前後に移動するスライダ224により前側に傾動させることで、飲料原液供給路212と炭酸水供給路213を開閉する第1及び第2供給路開閉弁212a,213aを開閉操作している。
【0048】
図6に示したように、容器受台装置230は、注出コック210から注出されるハイボール等の炭酸飲料の原料となる炭酸水から炭酸ガスが抜けないようにすることを目的として、飲用容器を前後方向に傾斜可能としている。容器受台装置230は、上端部が装置本体11の前部に設けたブラケット231aに水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板231と、傾動基板231に取り付けた受台232とを備えている。
【0049】
図6に示したように、受台傾動装置240は、傾動基板231を起立姿勢から傾斜姿勢の間で傾動させることで、受台232に載置した飲用容器を傾斜姿勢に傾動させるものである。受台傾動装置240は、サーボモータ241と、サーボモータ241の駆動によって前後に回動するアーム242とを有している。受台傾動装置240は、サーボモータ241によりアーム242を前方に延びるように回動させて、容器受台装置230の傾動基板231とともに飲用容器を前方に押し出して起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させる。受台傾動装置240は、サーボモータ241によりアーム242を後方に退避させるように回動させて容器受台装置230の傾動基板231とともに飲用容器を後方に戻して、容器受台装置230の傾動基板231とともに飲用容器を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させる。
【0050】
受台傾動装置240はマイクロスイッチ243を備え、マイクロスイッチ243は傾動基板231が傾斜姿勢及び起立姿勢であることを検知することにより、受台232に載置した飲用容器が傾斜姿勢及び起立姿勢であることを検知する。この実施形態では、傾動基板231の傾斜姿勢は鉛直方向から20°に傾斜する角度に設定されており、マイクロスイッチ243は傾動基板231が20°に傾斜すると傾斜姿勢であると検知する。受台傾動装置240はマイクロスイッチ243による傾動基板231の傾斜姿勢の角度を20°以外の角度にも設定可能となっている。なお、マイクロスイッチ243を用いずにサーボモータ241の回動角度を制御することによって、傾動基板231及び飲用容器の傾斜姿勢の角度を制御してもよい。傾動基板231及び飲用容器の傾斜姿勢は20°に限られるものでなく、20°以外の角度であってもよい。
【0051】
装置本体11の下部には受台132,232の下側にドレンパン17が左右に設けられており、左右のドレンパン17は各受台132,232に載置した飲用容器から溢出した飲料や、注出コック110,210から垂れる飲料を受ける。
【0052】
図14に示したように、第1及び第2自動注出ユニット12R,12Lは飲用容器に発泡性飲料と炭酸飲料を注出するのを制御する制御装置150,250を備えている。第1自動注出ユニット12Rの制御装置150は、コック操作装置120のサーボモータ123と、受台傾動装置140のサーボモータ141とマイクロスイッチ143と、に接続されている。第2自動注出ユニット12Lの制御装置250は、炭酸水生成装置20の水位センサ22と給水弁24と送水ポンプ25と、コック操作装置220のサーボモータ223と、受台傾動装置240のサーボモータ241とマイクロスイッチ243と、に接続されている。第1及び第2自動注出ユニット12R,12Lの各コック操作装置120,220の前面には操作パネル151,251が設けられており、各操作パネル151,251は各々の制御装置150,250に接続されている。
【0053】
第1自動注出ユニット12Rの制御装置150のメモリにはビール等の発泡性飲料を自動注出する第1自動注出プログラムが記憶されており、第1自動注出プログラムの注出条件は飲用容器や発泡性飲料の種類に応じて設定可能となっている。操作パネル151の自動注出スイッチを操作して、第1自動注出ユニット12Rの第1自動注出プログラムを実行させたときには、制御装置150は受台傾動装置140により傾動基板131を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させて受台132に載置した飲用容器を傾斜させ、コック操作装置120により注出コック110の操作レバー112を前側に傾動させ、弁機構部111aを液用開放状態で開放させる。発泡性飲料容器T内の発泡性飲料は飲料冷却管15を通過するときに冷却され、液用の注出ノズル113bから傾斜させた飲用容器の周壁内面に沿って注出される。このとき、液用の注出ノズル113bから注出される液状態の発泡性飲料は飲用容器の周壁内面に沿って流れ落ちるので飲用容器内で泡立たないように注出される。
【0054】
傾斜させた飲用容器に約6割の発泡性飲料を注出すると、制御装置150は、受台傾動装置140により傾動基板131を傾斜姿勢から起立姿勢に戻して受台132に載置した飲用容器を起立させ、起立した飲用容器に7~8割の液状態の発泡性飲料が注出されると、コック操作装置120により注出コック110の操作レバー112を後側に傾動させ、弁機構部111aを液用開放状態で開放させているのを閉止状態を経て泡用開放状態で開放させる。起立した飲用容器の上部に1~2割の泡状態の発泡性飲料が注出されると、制御装置150はコック操作装置120により注出コック110の弁機構部111aを泡用開放状態から閉止状態に戻し、第1自動注出プログラムを終了する。
【0055】
第2自動注出ユニット12Lの制御装置250のメモリにはハイボール等の炭酸飲料を自動注出する第2自動注出プログラムが記憶されており、第2自動注出プログラムの注出条件は飲用容器や炭酸飲料(飲料原液及び炭酸水)の種類に応じて設定可能となっている。特に、この第2自動注出プログラムは、強炭酸飲料と呼ばれる炭酸ガスの溶解量の多い炭酸飲料を飲用容器内で泡立つのを防ぐように自動注出するのに適したプログラムである。
【0056】
操作パネル251の自動注出スイッチを操作して、第2自動注出ユニット12Lの第2自動注出プログラムを実行させたときには、制御装置250は受台傾動装置240により傾動基板231を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させて受台232に載置した飲用容器を傾斜させ、コック操作装置220により注出コック210の操作レバー214eを前側に傾動させ、第1及び第2供給路開閉弁212a,213aを開放させる。第1供給路開閉弁212aの開放によって、飲料原液容器B内の飲料原液は飲料原液冷却管16を通過するときに冷却され、炭酸飲料用注出ノズル218の飲料原液注出口218iから飲用容器に注出される。また、第2供給路開閉弁213aの開放によって、炭酸水生成タンク21内にて生成された炭酸水は炭酸水送出管27を通過するときにさらに冷却され、炭酸飲料用注出ノズル218の炭酸水注出口218cから飲用容器に注出される。
【0057】
炭酸水注出口218cから注出される炭酸水は飲用容器の周壁内面に沿って流れ落ちるので飲用容器内で泡立ちが抑えられた状態で注出される。また、飲料原液注出口218iから斜め前下方に注ぎ出される飲料原液は、上面開口が飲料原液注出口218i側となる斜め後上方を向くように傾斜させた飲用容器に注がれるので、飲用容器からこぼれることなく注がれる。傾斜させた飲用容器に6~7割の飲料原液と炭酸水とからなる炭酸飲料が注出されると、制御装置250は、受台傾動装置240により傾動基板231を傾斜姿勢から起立姿勢に戻して受台232に載置した飲用容器を起立させ、起立した飲用容器に8~9割の飲料原液と炭酸水とからなる炭酸飲料が注出されると、コック操作装置220により注出コック210の操作レバー214eを元の位置に戻し、第1及び第2供給路開閉弁212a,213aを閉止させ、第2自動注出プログラムを終了する。
【0058】
上記のように構成した炭酸飲料用注出ノズル218は、下端に炭酸水を注出する炭酸水注出口218cを有する鉛直方向に直線状に延びる炭酸水通路218bが形成された筒形をしたノズル本体218aと、飲料原液注出口218iがノズル本体218aの外周面に形成され、炭酸水通路218bの内部から飲料原液注出口218iに延びる飲料原液通路218gとを備えている。炭酸水はノズル本体218aの炭酸水通路218bを通って下端の炭酸水注出口218cから飲用容器に注出され、飲料原液はノズル本体218aの飲料原液通路218gを通ってノズル本体218aの外周面の飲料原液注出口218iから飲用容器に注出される。炭酸水はノズル本体218aの炭酸水通路218b及び炭酸水注出口218cから注出されて飲用容器に流下しているときにも飲料原液に衝突することなく飲用容器に注がれるので、炭酸水は泡立ちによる炭酸抜けが抑えられて炭酸ガスの溶解量が低下せずに飲用容器に注出され、この炭酸水と飲用容器内で飲料原液が混ざった炭酸飲料も炭酸ガスの溶解量があまり低下しないようになる。
【0059】
ノズル本体218aには炭酸水注出口218cから下方に延びて炭酸水を下方に案内するガイド突起部218jが設けられている。炭酸水注出口218cから流れ落ちる炭酸水はガイド突起部218jによって周囲に拡がることなく下側の飲用容器に案内されるようになり、炭酸水が飲用容器からこぼれにくくなる。なお、
図15に示したように、ガイド突起部218jを円柱状としたときにも、炭酸水注出口218cから流れ落ちる炭酸水を周囲に拡がることなく下側の飲用容器に案内することができる。また、ガイド突起部218jの外周面には上下に延びる4本(複数)の突条218kが形成されている。炭酸水注出口218cから炭酸水の注出を終えたときに、炭酸水が炭酸水注出口218cとガイド突起部218jとの間に表面張力によって残りにくくすることができ、炭酸水が炭酸水注出口218cから後だれしにくくなる。
【0060】
飲料原液通路218gは少なくとも一部として傾斜部218g2を飲料原液注出口218iに向けて斜め下方に傾斜させている。飲料原液注出口218iから注がれる飲料原液は斜め下方に流れ落ちるので、炭酸飲料用注出ノズル218の下側の飲用容器からこぼれにくくすることができる。
【0061】
飲料原液通路218gは少なくとも一部として傾斜部218g2を飲料原液注出口218iに向けて水平方向に径が拡がるように形成している。飲料原液注出口218iを飲料原液通路218gより拡げているので、飲料原液注出口218iから注出される飲料原液の勢いを抑えることができ、飲料原液が炭酸飲料用注出ノズル218の下側の飲用容器からこぼれにくくすることができる。また、飲料原液注出口218iを上下に拡げると、飲料原液の勢いを同様に抑えることができるものの、飲料原液が下側の飲用容器を超えて注がれるおそれがあるが、傾斜部218g2を飲料原液注出口218iに向けて水平方向に径が拡がるようしているので、飲料原液が下側の飲用容器からこぼれにくくすることができる。
【0062】
この炭酸飲料用注出ノズル218は、炭酸飲料用注出ノズル218の下側に飲用容器を前後に傾動可能に載置する受台232と、受台232に載置した飲用容器の下部を前方に押し出して飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾動させる受台傾動装置240とを備えた飲料自動注出装置(飲料注出装置)10の第2自動注出ユニット12Lの注出コック210に用いられている。
図2の2点鎖線に示したように、受台232に載置した容器Cは受台傾動装置240によって飲用容器Cの上面開口が斜め後上方に向くように傾斜し、炭酸水注出口218cから注出される炭酸水は斜めに傾斜させた飲用容器Cの周壁内面に沿って流れ落ちるので、炭酸水が飲用容器内に流入したときの衝撃を低減させて飲用容器内で泡立ちによる炭酸ガスの抜けを抑制することができる。
【0063】
また、
図2の2点鎖線に示したように、炭酸水注出口218cから注出される炭酸水が衝撃を受けにくいように傾斜させた飲用容器Cは上面開口が斜め後上方を向いており、飲料原液注出口218iは傾斜させた飲用容器Cの上面開口を向くように前方に開く位置に配置されている。前方に開く飲料原液注出口218iから注出される飲料原液は放物線を描くように斜めに傾斜した飲用容器Cの上面開口から飲用容器C内に流入する。これによって、炭酸水が流下する過程で飲料原液と衝突することで発泡するのを抑制できるだけでなく、炭酸水が飲用容器内の周壁にぶつかる衝撃を抑えた状態で飲用容器内に注出できるとともに、飲料原液が飲用容器からこぼれないように注出することができる。これらのことから、飲料原液注出口218iをノズル本体218aの外周面の前部に配置することで、この炭酸飲料用注出ノズル218は炭酸飲料を自動で注出する飲料自動注出装置10の第2自動注出ユニット12Lの注出コック210に特に好適のものとなっている。
【0064】
また、炭酸水通路218bは炭酸水注出口218cの左右の径よりも前後の径が狭くなるように徐々に絞られている。飲用容器の上面開口を斜め後上方に向くように傾斜させると、飲用容器の上面開口は上方から見ると前後の幅が狭くなるが、炭酸水通路218bは
炭酸水注出口218cの左右の径より前後の径が狭くなるように下方に向けて内径を細く形成したものであるので、炭酸水注出口218cから注出される炭酸水は前後に拡がりにくくなり、炭酸水は傾斜させた飲用容器で確実に受けられるようになる。
【0065】
また、ノズル本体218aには飲料原液注出口218iが前方に開く位置で注出コック210に取り付けられるための位置決め係合部218fが設けられている。飲料原液注出口218iが前方に開く位置で確実に注出コック210に取り付けることができ、上述した作用効果を確実に得られることができるようになる。
【符号の説明】
【0066】
10…飲料注出装置(飲料自動注出装置)、210…注出コック、218…炭酸飲料用注出ノズル、218a…ノズル本体、218b…炭酸水通路、218c…炭酸水注出口、218g…飲料原液通路、218i…飲料原液注出口、218j…ガイド突起部、218k…突条、232…受台、240…受台傾動装置。