(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ビーム整形装置、ビーム整形方法及び回折光学素子
(51)【国際特許分類】
G02B 27/09 20060101AFI20230731BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G02B27/09
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2019158397
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】507407777
【氏名又は名称】古河電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】堤 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤
(72)【発明者】
【氏名】志賀 紀之
(72)【発明者】
【氏名】手塚 宏茂
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187636(JP,A)
【文献】特開平02-052311(JP,A)
【文献】特開2015-174100(JP,A)
【文献】特開2017-113785(JP,A)
【文献】特開2018-051607(JP,A)
【文献】特開2017-104883(JP,A)
【文献】特開平11-309595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
B23K 26/00-26/70
G02B 5/18,5/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有する回折光学素子と、
前記回折光学素子に入射するビームのスポットの大きさを調節する光学系と、
を備え、
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、回折光を形成するための構造を含み、
前記第1領域及び前記第2領域の他方は、回折光を形成するための構造を含まず、
前記光学系によって調節される前記スポットの前記大きさは、前記スポットが前記第1領域の少なくとも一部分と重なる第1状態と、前記スポットの前記大きさが前記第1状態における前記スポットの前記大きさより大きく、かつ前記スポットが前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部分と、重なる第2状態と、を含む、ビーム整形装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビーム整形装置において、
前記光学系は、前記スポットの前記大きさを、前記第1状態と前記第2状態との間で調節する、ビーム整形装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のビーム整形装置において、
前記第1領域は、前記スポットの形状と相似な形状を有する、ビーム整形装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のビーム整形装置において、
前記第1領域及び前記スポットのそれぞれは、円形状を有する、ビーム整形装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のビーム整形装置において、
前記第1領域は、回折光を形成するための構造を含まず、
前記第2領域は、回折光を形成するための構造を含む、ビーム整形装置。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のビーム整形装置において、
前記第1領域は、回折光を形成するための構造を含み、
前記第2領域は、回折光を形成するための構造を含まない、ビーム整形装置。
【請求項7】
第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域の一方が回折光を形成するための構造を含み、前記第1領域及び前記第2領域の他方が回折光を形成するための構造を含まない回折光学素子に入射するビームのスポットの大きさを、光学系によって、前記スポットが前記第1領域の少なくとも一部分と重なる第1状態に調節することと、
前記ビームの前記スポットの前記大きさを、前記光学系によって、前記スポットの前記大きさが前記第1状態における前記スポットの前記大きさより大きく、かつ前記スポットが前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部分と、重なる第2状態に調節することと、
を含む、ビーム整形方法。
【請求項8】
第1領域と、
前記第1領域を囲む第2領域と、
を備え、
前記第1領
域は、回折光を形成するための構造を有
さず、
前記第2領
域は、回折光を形成するための構造を有
し、
前記第1領域は、円形状を有
し、
ビームが前記ビームのスポットの全体が前記第1領域の内側に位置するように照射されたとき、及び前記第1領域の直径よりも大きい直径のビームが照射されたときに、点パターンの光及びリングパターンの光を含む光を形成し、
前記ビームが前記ビームのスポットの全体が前記第1領域の内側に位置するように照射されたときよりも、前記第1領域の直径よりも大きい直径のビームが照射されたときの方が、前記点パターンの光の強度に対する前記リングパターンの光の強度が大きい、
回折光学素子。
【請求項9】
第1領域と、
前記第1領域を囲む第2領域と、
を備え、
前記第1領
域は、回折光を形成するための構造を有し、
前記第2領
域は、回折光を形成するための構造を有さず、
前記第1領域は、円形状を有し、
ビームが前記ビームのスポットの全体が前記第1領域の内側に位置するように照射されたとき、及び前記第1領域の直径よりも大きい直径のビームが照射されたときに、点パターンの光及びリングパターンの光を含む光を形成し、
前記ビームが前記ビームのスポットの全体が前記第1領域の内側に位置するように照射されたときよりも、前記第1領域の直径よりも大きい直径のビームが照射されたときの方が、前記リングパターンの光の強度に対する前記点パターンの光の強度が大きい、
回折光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム整形装置、ビーム整形方法及び回折光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ溶接、レーザ切断等のレーザ加工を行うための様々なレーザ加工装置が開発されている。レーザ加工装置は、ビーム整形装置を備えている。ビーム成形装置は、回折光学素子を有している。ビーム成形装置は、光源(例えば、レーザ発振器)から送られた光(ビーム)を回折光学素子によって整形する。ビーム整形装置によって、対象物には、所望のパターンの光(ビーム)が照射される。
【0003】
特許文献1には、ビーム整形装置の回折光学素子の一例について記載されている。この回折光学素子は、回折格子を有し、かつ矩形形状を有する第1領域と、当該第1領域を囲み、かつ回折格子を有しない第2領域と、を備えている。特許文献1には、回折光学素子をスライドさせて、ビームのスポットが回折光学素子の第1領域と重なるようにすることと、ビームのスポットが回折光学素子の第1領域からずれて回折光学素子の第2領域と重なるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、回折光学素子から出射される光のパターンを新規な方法によって調節することを検討した。
【0006】
本発明の目的の一例は、回折光学素子から出射される光のパターンを新規な方法によって調節することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有する回折光学素子と、
前記回折光学素子に入射するビームのスポットの大きさを調節する光学系と、
を備え、
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、回折光を形成するための構造を含み、
前記第1領域及び前記第2領域の他方は、回折光を形成するための構造を含まず、
前記光学系によって調節される前記スポットの前記大きさは、前記スポットが前記第1領域の少なくとも一部分と重なる第1状態と、前記スポットの前記大きさが前記第1状態における前記スポットの前記大きさより大きく、かつ前記スポットが前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部分と、重なる第2状態と、を含む、ビーム整形装置である。
【0008】
本発明の他の一態様は、
第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域の一方が回折光を形成するための構造を含み、前記第1領域及び前記第2領域の他方が回折光を形成するための構造を含まない回折光学素子に入射するビームのスポットの大きさを、光学系によって、前記スポットが前記第1領域の少なくとも一部分と重なる第1状態に調節することと、
前記ビームの前記スポットの前記大きさを、前記光学系によって、前記スポットの前記大きさが前記第1状態における前記スポットの前記大きさより大きく、かつ前記スポットが前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部分と、重なる第2状態に調節することと、
を含む、ビーム整形方法である。
【0009】
本発明のさらに他の一態様は、
第1領域と、
前記第1領域を囲む第2領域と、
を備え、
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、回折光を形成するための構造を有し、
前記第1領域及び前記第2領域の他方は、回折光を形成するための構造を有さず、
前記第1領域は、円形状を有する、回折光学素子である。
【0010】
本発明のさらに他の一態様は、
第1領域と、
前記第1領域を囲む第2領域と、
を備え、
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、回折光を形成するための構造を有し、
前記第1領域及び前記第2領域の他方は、回折光を形成するための構造を有さず、
前記第1領域は、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に入射するビームのスポットの形状と相似な形状を有する、回折光学素子である。
【0011】
本発明のさらに他の一態様は、
第1領域と、
前記第1領域を囲む第2領域と、
を備え、
前記第1領域は、回折光を形成するための構造を有さず、
前記第2領域は、回折光を形成するための構造を有する、回折光学素子である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上述した態様によれば、回折光学素子から出射される光のパターンを新規な方法によって調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係るレーザ加工装置を説明するための図である。
【
図2】実施形態1に係る回折光学素子の第2面の平面図である。
【
図3】
図2に示した回折光学素子と、第1状態の大きさを有するスポットと、の関係の一例を示す図である。
【
図4】
図3におけるスポットが形成された場合における回折光学素子から出射された光のパターンの一例(点パターン)を示す図である。
【
図5】
図2に示した回折光学素子と、第2状態の大きさを有するスポットと、の関係の一例を示す図である。
【
図6】
図5におけるスポットが形成された場合における回折光学素子から出射された光のパターンの一例(点パターン及びリングパターン)を示す図である。
【
図7】
図2に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図8】
図2に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図9】
図2に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図10】
図7から
図9に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図7から
図9に示したリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、を示すグラフである。
【
図11】
図7から
図9に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図7から
図9に示したリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、を示すグラフである。
【
図12】実施形態2に係る回折光学素子の第2面の平面図である。
【
図13】
図12に示した回折光学素子と、第1状態の大きさを有するスポットと、の関係の一例を示す図である。
【
図14】
図13におけるスポットが形成された場合における回折光学素子から出射された光のパターンの一例(リングパターン)を示す図である。
【
図15】
図12に示した回折光学素子と、第2状態の大きさを有するスポットと、の関係の一例を示す図である。
【
図16】
図15におけるスポットが形成された場合における回折光学素子から出射された光のパターンの一例(点パターン及びリングパターン)を示す図である。
【
図17】
図12に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図18】
図12に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図19】
図12に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図20】
図12に示した回折光学素子に入射するビームのスポットの複数の大きさ(スポットの複数の直径)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
【
図21】
図17から
図20に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図17から
図20に示したリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、を示すグラフである。
【
図22】
図17から
図20に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図17から
図20に示したリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、を示すグラフである。
【
図23】
図1に示した光学系の詳細の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るレーザ加工装置20を説明するための図である。
【0016】
レーザ加工装置20は、ビーム整形装置10、光源12及び光ファイバ14を備えている。光源12は、例えば、レーザ発振器であり、レーザ光を生成する。レーザ光は、例えば、近赤外線波長域の光(例えば、波長1064nmの光)である。ただし、レーザ光は、他の波長域の光、例えば、近赤外線波長域より長波長域の光、可視光又は紫外線波長域の光であってもよい。光源12によって生成された光は、光ファイバ14を経由してビーム整形装置10に送られる。ビーム整形装置10は、光源12から送られた光(ビームB)を整形する。ビーム整形装置10によって整形されたビームBは、対象物Oに向けて照射される。対象物Oは、ビーム整形装置10から出射されたビームBによって加工される。レーザ加工装置20は、レーザ加工、例えば、レーザ溶接又はレーザ切断に用いられる。
【0017】
ビーム整形装置10は、回折光学素子100、光学系200、集光レンズ300及び収容体400を備えている。ビーム整形装置10は、例えば、レーザヘッドである。回折光学素子100、光学系200及び集光レンズ300は、収容体400に収容されている。光ファイバ14を経由して光源12からビーム整形装置10に送られた光(ビームB)は、光学系200を経由して回折光学素子100の第1面102に入射する。光学系200は、回折光学素子100に入射するビームBのスポットSのサイズを調節する。光学系200は、コリメートレンズ210を有している。したがって、回折光学素子100に入射する光(ビームB)は、コリメート光となっている。回折光学素子100に入射した光(ビームB)は、回折光学素子100を透過して、回折光学素子100の第2面104(第1面102の反対側の面)から集光レンズ300に送られる。つまり、回折光学素子100は、透過型の回折光学素子である。回折光学素子100の第2面104から出射されたビームBは、集光レンズ300によって、対象物Oの一部分に集光される。ビームBの光軸OAは、コリメートレンズ210の中心、回折光学素子100の中心及び集光レンズ300の中心を通過している。
【0018】
図2は、実施形態1に係る回折光学素子100の第2面104の平面図である。
【0019】
回折光学素子100は、例えば、透過性を有する基板、例えば、石英基板から形成されている。回折光学素子100は、第1領域110及び第2領域120を有している。第1領域110は、例えば、第2面104の中心に位置している。第2領域120は、第1領域110を囲んでいる。回折光学素子100の第2領域120における第2面104には、回折光を形成するための凹凸(レリーフ)が形成されている。すなわち、第2領域120は、回折光を形成するための構造を有している。これに対して、第1領域110は、回折光を形成するための構造を有していない。すなわち、第1領域110を透過した光は、回折光学素子100によって回折されずに、回折光学素子100を透過する。例えば、回折光学素子100の第1領域110における第2面104は、回折光を形成するための凹凸を有しておらず、平坦になっている。
【0020】
回折光を形成するための構造は、上述した例に限定されない。例えば、第2領域120は、屈折率の空間分布を有していてもよい。屈折率の空間分布によっても、回折光を形成することができる。第2領域120が屈折率の空間分布を有するとき、第1領域110は、屈折率の空間分布を有していなくてもよい。
【0021】
図3は、
図2に示した回折光学素子100と、第1状態の大きさを有するスポットSと、の関係の一例を示す図である。
図4は、
図3におけるスポットSが形成された場合における回折光学素子100から出射された光のパターンの一例(点パターンPP)を示す図である。
図5は、
図2に示した回折光学素子100と、第2状態の大きさを有するスポットSと、の関係の一例を示す図である。
図6は、
図5におけるスポットSが形成された場合における回折光学素子100から出射された光のパターンの一例(点パターンPP及びリングパターンRP)を示す図である。
図6におけるリングパターンRPは、点パターンPPに関して回転対称に配置された8点のパターンを含んでいる。
【0022】
図3から
図6を用いて、ビーム整形装置10の動作の一例を説明する。
【0023】
光学系200(
図1)によって調節されるスポットSの大きさは、第1状態(
図3)及び第2状態(
図5)を含んでいる。第1状態(
図3)において、スポットSは、第1領域110の少なくとも一部分と重なっている。第2状態(
図5)におけるスポットSの大きさは、第1状態(
図3)におけるスポットSの大きさより大きくなっている。第2状態(
図5)において、スポットSは、第1領域110と、第2領域120の少なくとも一部分と、重なっている。より詳細には、第1状態(
図3)では、スポットSは、第1領域110より小さくなっている。さらに、スポットSの全体が回折光学素子100の第1領域110の内側に位置している。第2状態(
図5)では、スポットSは、第1領域110より大きくなっている。さらに、第1領域110の全体がスポットSの内側に位置している。
【0024】
スポットSの大きさが第1状態(
図3)であるとき、
図4に示すように、回折光学素子100から出射される光は、第2領域120の回折光の影響を受けずに、点パターンPPを形成する。点パターンPPは、第1領域110の透過光によって形成される。スポットSの大きさが第2状態(
図5)であるとき、
図6に示すように、回折光学素子100から出射される光は、第2領域120の回折光の影響を受けて、第1状態におけるパターンと異なるパターンを形成する。
図6に示す例において、回折光学素子100から出射される光は、点パターンPP及びリングパターンRPを形成している。点パターンPPは、第1領域110の透過光及び第2領域120の回折の0次光によって形成される。リングパターンRPは、第2領域120の回折のn次光(nは1以上の自然数である。)によって形成される。例えば、点パターンPPの強度は、リングパターンRPに含まれる8点のパターンのいずれの強度よりも低くなっている。
【0025】
図1に示した光学系200は、スポットSの大きさを、第1状態(
図3)と第2状態(
図5)との間で調節可能になっている。スポットSの大きさに応じて、点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比を調節することができる。具体的には、スポットSの大きさが大きくなるほど、回折光学素子100の全透過光に対して、第2領域120の回折光の割合が多くなる。したがって、スポットSの大きさが大きくなるほど、点パターンPPの強度に対するリングパターンRPの強度(例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の合計又は平均)の比が高くなる。
【0026】
図3及び
図5に示す例において、第1領域110は、スポットSの形状と相似な形状を有している。具体的には、スポットSは、円形状を有している。このため、第1領域110も、スポットSの円形状と相似な形状、すなわち、円形状を有している。さらに、第1領域110の中心とスポットSの中心とは互いに一致している。この場合、スポットSの大きさが第1領域110の大きさより大きくなったとき、第1領域110の外縁に沿ってほぼ一様な強度の光を第2領域120に照射することができる。この場合、第2領域120の回折光によって形成されるパターン(例えば、
図6のリングパターンRP)の強度分布を一様にしやすい。
【0027】
第1領域110及びスポットSのそれぞれの形状は、
図3及び
図5に示す例に限定されない。例えば、スポットSが円形状と異なる形状、例えば矩形形状を有するとき、第1領域110は、スポットSの矩形形状と相似な矩形形状を有していてもよい。また、第1領域110の形状は、スポットSの形状と相似でなくてもよい。例えば、スポットSが円形状を有し、第1領域110が矩形形状を有していてもよい。
【0028】
図3から
図6に示す例では、第2領域120の回折光は、互いに回転対称に配置された8点のパターン(
図6のリングパターンRP)を形成している。ただし、第2領域120の回折光によって形成されるパターンは、この例に限定されるものでない。第2領域120の回折光によって形成されるパターンは、第2領域120の構造の設計に応じて調節することができる。
【0029】
図3から
図6に示す例では、第1状態(
図4)において、点パターンPPのみが形成されている。ただし、第1状態においては、点パターンPPだけでなく、リングパターンRP(
図6)も形成されてもよい。例えば、スポットSの大きさが第1状態において、スポットSは、第1領域110より大きくてもよく、かつ第1領域110の全体がスポットSの内側に位置してもよい。この場合においてスポットSの大きさが一定の大きさであるとき、点パターンPP及びリングパターンRPの双方を形成することができる。
【0030】
第1状態における点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比は、特に限定されない。例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度以上であってもよいし、又は点パターンPPの強度以下であってもよい。また、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度より圧倒的に低くてもよく、例えば、点パターンPPの強度に対して実質的にゼロとみなせてもよい。
【0031】
第2状態における点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比は、特に限定されない。例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度以上であってもよいし、又は点パターンPPの強度以下であってもよい。また、点パターンPPの強度は、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均より圧倒的に低くてもよく、例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均に対して実質的にゼロとみなせてもよい。
【0032】
図7から
図9の各図は、
図2に示した回折光学素子100に入射するビームB(
図1)のスポットSの複数の大きさ(スポットSの複数の直径φ)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
図7から
図9では、回折光学素子100の第1領域110は、直径3mmの円形状を有している。スポットSは、直径φの円形状を有している。スポットSの中心と第1領域110の中心とは、互いに一致している。
図7は、スポットSの直径φが1mm(上段左側図)、2mm(上段中央図)、3mm(上段右側図)、4mm(下段左側図)、5mm(下段中央図)及び6mm(下段右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
図8は、スポットSの直径φが7mm(上段左側図)、8mm(上段中央図)、9mm(上段右側図)、10mm(下段左側図)、12.5mm(下段中央図)及び15mm(下段右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
図9は、スポットSの直径φが17.5mm(上段左側図)、20mm(上段中央図)、22.5mm(上段右側図)及び25mm(下段図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
【0033】
図7から
図9に示すように、スポットSの直径が小さく、おおよそ1mmから3mmにおいては、点パターン(
図4及び
図6に示した点パターンPPに相当するパターン)のみが現れ、リングパターン(
図6に示したリングパターンRPに相当するパターン)は現れない。これに対して、スポットSの直径がおおよそ4mmから5mmまで増加すると、リングパターンが現れる。スポットSの直径がさらに増加すると、スポットSの直径が大きくなるほど、点パターンに対するリングパターンの強度比が大きくなっている。
【0034】
図10は、
図7から
図9に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図7から
図9に示したリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、を示すグラフである。
図10に示すグラフの横軸は、スポットSの直径φ(mm)を示している。
図10に示すグラフの縦軸は、点パターンの強度に関する強度比(グラフ内の白丸及び破線で示される項目)及びリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比(グラフ内の黒丸及び実線で示される項目)を示している。
図10において、点パターンの強度に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の合計との和に対する点パターンの強度の比を示している。リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の合計との和に対するリングパターンの8点のパターンの強度の合計の比を示している。さらに、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比とは、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、の和が10となるように規格化されている。
【0035】
図10に示すように、点パターンの強度に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、減少している。これに対して、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、増加している。
【0036】
図11は、
図7から
図9に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図7から
図9に示したリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、を示すグラフである。
図11に示すグラフの横軸は、スポットSの直径φ(mm)を示している。
図11に示すグラフの縦軸は、点パターンの強度に関する強度比(グラフ内の白丸及び破線で示される項目)及びリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比(グラフ内の黒丸及び実線で示される項目)を示している。
図11において、点パターンの強度に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の平均との和に対する点パターンの強度の比を示している。リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の平均との和に対するリングパターンの8点のパターンの強度の平均の比を示している。さらに、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比とは、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、の和が10となるように規格化されている。
【0037】
図11に示すように、点パターンの強度に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、減少している。これに対して、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、増加している。
【0038】
次に、実施形態1に係るレーザ加工装置20の使用方法の一例を説明する。
【0039】
実施形態1に係るレーザ加工装置20は、例えば、レーザ切断に用いられる。例えば、対象物Oが比較的薄い板(例えば、金属板)であるとき、狭い範囲に弱いパワーのレーザを対象物Oに照射すればよい。したがって、回折光学素子100に入射するビームBのパワーを低くしつつ、スポットSの大きさを第1状態にすることができる。これに対して、対象物Oが比較的厚い板(例えば、金属板)であるとき、広い範囲に強いパワーのレーザを対象物Oに照射する必要がある。したがって、回折光学素子100に入射するビームBのパワーを高くしつつ、スポットSの大きさを第2状態にすることができる。
【0040】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る回折光学素子100の第2面104の平面図である。実施形態2に係る回折光学素子100は、以下の点を除いて、実施形態1に係る回折光学素子100と同様である。
【0041】
第1領域110は、例えば、第2面104の中心に位置している。第2領域120は、第1領域110を囲んでいる。実施形態2に係る回折光学素子100の第1領域110は、実施形態1に係る回折光学素子100の第2領域120と同様にして、回折光を形成するための構造を有している。回折光を形成するための構造は、例えば、実施形態1において説明した構造と同様である。これに対して、実施形態2に係る回折光学素子100の第2領域120は、実施形態1に係る回折光学素子100の第1領域110と同様にして、回折光を形成するための構造を有していない。
【0042】
図13は、
図12に示した回折光学素子100と、第1状態の大きさを有するスポットSと、の関係の一例を示す図である。
図14は、
図13におけるスポットSが形成された場合における回折光学素子100から出射された光のパターンの一例(リングパターンRP)を示す図である。
図15は、
図12に示した回折光学素子100と、第2状態の大きさを有するスポットSと、の関係の一例を示す図である。
図16は、
図15におけるスポットSが形成された場合における回折光学素子100から出射された光のパターンの一例(点パターンPP及びリングパターンRP)を示す図である。
図16におけるリングパターンRPは、点パターンPPに関して回転対称に配置された8点のパターンを含んでいる。
【0043】
図13から
図16を用いて、ビーム整形装置10の動作の一例を説明する。
【0044】
光学系200(
図1)によって調節されるスポットSの大きさは、第1状態(
図13)及び第2状態(
図15)を含んでいる。第1状態(
図13)において、スポットSは、第1領域110の少なくとも一部分と重なっている。第2状態(
図15)におけるスポットSの大きさは、第1状態(
図13)におけるスポットSの大きさより大きくなっている。第2状態(
図15)において、スポットSは、第1領域110と、第2領域120の少なくとも一部分と、重なっている。より詳細には、第1状態(
図13)では、スポットSは、第1領域110より小さくなっている。さらに、スポットSの全体が回折光学素子100の第1領域110の内側に位置している。第2状態(
図15)では、スポットSは、第1領域110より大きくなっている。さらに、第1領域110の全体がスポットSの内側に位置している。
【0045】
スポットSの大きさが第1状態(
図13)であるとき、
図14に示すように、回折光学素子100から出射される光は、第1領域110の回折光の影響を受けて、リングパターンRPを形成する。リングパターンRPは、第1領域110の回折のn次光(nは1以上の自然数である。)によって形成される。スポットSの大きさが第2状態(
図15)であるとき、
図16に示すように、回折光学素子100から出射される光は、第2領域120の透過光の影響を受けて、第1状態におけるパターンと異なるパターンを形成する。
図16に示す例において、回折光学素子100から出射される光は、点パターンPP及びリングパターンRPを形成している。点パターンPPは、第1領域110の回折の0次光及び第2領域120の透過光によって形成される。リングパターンRPは、第2領域120の回折のn次光(nは1以上の自然数である。)によって形成される。例えば、点パターンPPの強度は、リングパターンRPに含まれる8点のパターンのいずれの強度よりも高くなっている。
【0046】
図1に示した光学系200は、スポットSの大きさを、第1状態(
図13)と第2状態(
図15)との間で調節可能になっている。スポットSの大きさに応じて、点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比を調節することができる。具体的には、スポットSの大きさが大きくなるほど、回折光学素子100の全透過光に対して、第2領域120の透過光の割合が多くなる。したがって、スポットSの大きさが大きくなるほど、点パターンPPの強度に対するリングパターンRPの強度(例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の合計又は平均)の比が低くなる。
【0047】
図13及び
図15に示す例において、第1領域110は、スポットSの形状と相似な形状を有している。具体的には、スポットSは、円形状を有している。このため、第1領域110も、スポットSの円形状と相似な形状、すなわち、円形状を有している。さらに、第1領域110の中心とスポットSの中心とは互いに一致している。この場合、スポットSの大きさが第1領域110の大きさより大きくなったとき、第1領域110の外縁に沿ってほぼ一様な強度の光を第1領域110に照射することができる。この場合、第1領域110の回折光によって形成されるパターン(例えば、
図14及び
図16のリングパターンRP)の強度分布を一様にしやすい。
【0048】
第1領域110及びスポットSのそれぞれの形状は、
図13及び
図15に示す例に限定されない。例えば、スポットSが円形状と異なる形状、例えば矩形形状を有するとき、第1領域110は、スポットSの矩形形状と相似な矩形形状を有していてもよい。また、第1領域110の形状は、スポットSの形状と相似でなくてもよい。例えば、スポットSが円形状を有し、第1領域110が矩形形状を有していてもよい。
【0049】
図13から
図16に示す例では、第1領域110の回折光は、互いに回転対称に配置された8点のパターン(
図13及び
図16のリングパターンRP)を形成している。ただし、第1領域110の回折光によって形成されるパターンは、この例に限定されるものでない。第1領域110の回折光によって形成されるパターンは、第1領域110の構造の設計に応じて調節することができる。
【0050】
図13から
図16に示す例では、第1状態(
図14)において、リングパターンRPのみが形成されている。ただし、第1状態においては、リングパターンRPだけでなく、点パターンPPも形成されてもよい。例えば、点パターンPPは、第1領域110の回折の0次光によって形成されてもよい。また、例えば、スポットSの大きさが第1状態において、スポットSは、第1領域110より大きくてもよく、かつ第1領域110の全体がスポットSの内側に位置してもよい。この場合においてスポットSの大きさが一定の大きさであるとき、点パターンPP及びリングパターンRPの双方を形成することができる。
【0051】
第1状態における点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比は、特に限定されない。例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度以上であってもよいし、又は点パターンPPの強度以下であってもよい。また、点パターンPPの強度は、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均より圧倒的に低くてもよく、例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均に対して実質的にゼロとみなせてもよい。
【0052】
第2状態における点パターンPPとリングパターンRPとの間の強度比は、特に限定されない。例えば、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度以上であってもよいし、又は点パターンPPの強度以下であってもよい。また、リングパターンRPに含まれる8点の強度の平均は、点パターンPPの強度より圧倒的に低くてもよく、例えば、点パターンPPの強度に対して実質的にゼロとみなせてもよい。
【0053】
図17から
図20の各図は、
図12に示した回折光学素子100に入射するビームB(
図1)のスポットSの複数の大きさ(スポットSの複数の直径φ)のそれぞれにおいて形成されたパターンの測定結果を示す図である。
図17から
図20では、回折光学素子100の第1領域110は、直径12mmの円形状を有している。スポットSは、直径φの円形状を有している。スポットSの中心と第1領域110の中心とは、互いに一致している。
図17は、スポットSの直径φが1mm(上段左側図)、2mm(上段中央図)、3mm(上段右側図)、4mm(下段左側図)、5mm(下段中央図)及び6mm(下段右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
図18は、スポットSの直径φが7mm(上段左側図)、8mm(上段中央図)、9mm(上段右側図)、10mm(下段左側図)、11mm(下段中央図)及び12mm(下段右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
図19は、スポットSの直径φが13mm(上段左側図)、14mm(上段中央図)、15mm(上段右側図)、16mm(下段左側図)、18mm(下段中央図)及び20mm(下段右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
図20は、スポットSの直径φが22mm(左側図)及び24mm(右側図)のそれぞれの場合におけるパターンを示している。
【0054】
図17から
図20に示すように、スポットSの直径が小さく、おおよそ1mmから11mmにおいては、リングパターン(
図14及び
図16に示したリングパターンRPに相当するパターン)のみが現れ、点パターン(
図16に示した点パターンPPに相当するパターン)は現れない。これに対して、スポットSの直径がおおよそ11mmまで増加すると、点パターンが現れる。スポットSの直径がさらに増加すると、スポットSの直径が大きくなるほど、リングパターンに対する点パターンの強度比が大きくなっている。
【0055】
図21は、
図17から
図20に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図17から
図20に示したリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、を示すグラフである。
図21に示すグラフの横軸は、スポットSの直径φ(mm)を示している。
図21に示すグラフの縦軸は、点パターンの強度に関する強度比(グラフ内の白丸及び破線で示される項目)及びリングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比(グラフ内の黒丸及び実線で示される項目)を示している。
図21において、点パターンの強度に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の合計との和に対する点パターンの強度の比を示している。リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の合計との和に対するリングパターンの8点のパターンの強度の合計の比を示している。さらに、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比とは、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比と、の和が10となるように規格化されている。
【0056】
図21に示すように、点パターンの強度に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、増加している。これに対して、リングパターンの8点のパターンの強度の合計に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、減少している。
【0057】
図22は、
図17から
図20に示した点パターンの強度に関する強度比と、
図17から
図20に示したリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、を示すグラフである。
図22に示すグラフの横軸は、スポットSの直径φ(mm)を示している。
図22に示すグラフの縦軸は、点パターンの強度に関する強度比(グラフ内の白丸及び破線で示される項目)及びリングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比(グラフ内の黒丸及び実線で示される項目)を示している。
図22において、点パターンの強度に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の平均との和に対する点パターンの強度の比を示している。リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比は、点パターンの強度とリングパターンの8点のパターンの強度の平均との和に対するリングパターンの8点のパターンの強度の平均の比を示している。さらに、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比とは、点パターンの強度に関する強度比と、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比と、の和が10となるように規格化されている。
【0058】
図22に示すように、点パターンの強度に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、増加している。これに対して、リングパターンの8点のパターンの強度の平均に関する強度比は、スポットSの直径φが増加するにつれて、減少している。
【0059】
実施形態1及び実施形態2において、回折光学素子100は、透過型の回折光学素子である。ただし、回折光学素子100は、反射型の回折光学素子であってもよい。回折光学素子100が反射型の回折光学素子であるとき、回折光学素子100に照射された光は、回折光学素子100によって回折され、かつ回折光学素子100によって反射される。
【0060】
(光学系)
図23は、
図1に示した光学系200の詳細の一例を説明するための図である。
図23の上段図、中段図及び下段図は、光学系200の異なる状態を示している。
【0061】
光学系200は、コリメートレンズ210を有している。コリメートレンズ210、回折光学素子100及び集光レンズ300を透過するビームBの光軸OAは、コリメートレンズ210の中心、回折光学素子100の中心及び集光レンズ300の中心を通過している。コリメートレンズ210を透過したビームは、回折光学素子100に入射する。コリメートレンズ210は、光軸OAに沿って移動可能になっている。回折光学素子100に入射するビームBのスポットSの大きさ(光軸OAに垂直な断面における大きさ)は、コリメートレンズ210が回折光学素子100に近づくほど(
図23の上段図から
図23の下段図に向かうにつれて)大きくなる。すなわち、光学系200は、コリメートレンズ210の位置に応じて、回折光学素子100に入射するビームBのスポットSの大きさを調節可能になっている。
【0062】
図24は、
図23の変形例を説明するための図である。
図24の上段図、中段図及び下段図は、光学系200の異なる状態を示している。
【0063】
光学系200は、第1レンズ222、第2レンズ224及び第3レンズ226を有している。第1レンズ222、第2レンズ224、第3レンズ226、回折光学素子100及び集光レンズ300を透過するビームBの光軸OAは、第1レンズ222の中心、第2レンズ224の中心、第3レンズ226の中心、回折光学素子100の中心及び集光レンズ300の中心を通過している。第1レンズ222は、両凸レンズである。第2レンズ224は、両凹レンズである。第3レンズ226は、コリメートレンズである。光学系200に送られたビームBは、まず、第1レンズ222を通過する。この場合、ビームBの直径(光軸OAに垂直な断面における直径)は、第1レンズ222によって縮小される。次いで、ビームBは、第2レンズ224を透過する。この場合、ビームBの直径(光軸OAに垂直な断面における直径)は、第1レンズ222によって拡大される。次いで、ビームBは、第3レンズ226を通過する。この場合、ビームBは、第3レンズ226によってコリメート光となる。次いで、ビームBは、回折光学素子100に入射する。
【0064】
第2レンズ224は、第1レンズ222と第3レンズ226の間において、光軸OAに沿って移動可能になっている。回折光学素子100に入射するビームBのスポットSの大きさ(光軸OAに垂直な断面における大きさ)は、第2レンズ224が第3レンズ226から離れるほど(
図24の上段図から
図24の下段図に向かうにつれて)大きくなる。すなわち、光学系200は、第2レンズ224の位置に応じて、回折光学素子100に入射するビームBのスポットSの大きさを調節可能になっている。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0066】
10 ビーム整形装置
12 光源
14 光ファイバ
20 レーザ加工装置
100 回折光学素子
102 第1面
104 第2面
110 第1領域
120 第2領域
200 光学系
210 コリメートレンズ
222 第1レンズ
224 第2レンズ
226 第3レンズ
300 集光レンズ
400 収容体
B ビーム
O 対象物
OA 光軸
PP 点パターン
RP リングパターン
S スポット