(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】アーム型助力装置
(51)【国際特許分類】
B66F 19/00 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
B66F19/00 D
(21)【出願番号】P 2019187912
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】若杉 諭
(72)【発明者】
【氏名】松本 成隆
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-147698(JP,A)
【文献】実開平06-032500(JP,U)
【文献】特開平04-069175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に軸線が延びる支柱と、
前記支柱の上端において水平方向へ旋回可能な第1支持部と、
前記第1支持部に基端部が上下方向へ揺動可能に支持された第1アームと、
前記第1アームの先端部に上下方向へ揺動可能に支持された第2支持部と、
前記第2支持部の上端において水平方向へ旋回可能に基端部が支持された第2アームと、
前記第2アームの先端部から前記鉛直方向に沿って下方へ延設される第3アームと、
前記第3アームの下端において水平方向へ旋回可能に支持された操作部と、
前記操作部と一体の荷保持部と、を有し、
前記第1アームは、
第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第1部材と、
前記第1支持部に対して前記第1部材を揺動させる駆動エアシリンダと、
前記第1部材に対して平行に延び、第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第2部材と、を有し、
前記第1支持部、前記第1部材、前記第2支持部、及び前記第2部材は平行リンクを構成するとともに、前記平行リンクは前記駆動エアシリンダの駆動によって助力され、
前記駆動エアシリンダの圧力制御を行う制御装置を有するとともに、
前記制御装置によって圧力制御されるエアシリンダを前記第3アームに備えており、前記エアシリンダのピストンロッドの突出端に前記操作部が支持され、
前記第2アームの軸線方向への寸法は、前記第1アームの軸線方向への寸法より大き
く、
前記駆動エアシリンダのシリンダチューブが前記第1部材を構成するアーム型助力装置。
【請求項2】
鉛直方向に軸線が延びる支柱と、
前記支柱の上端において水平方向へ旋回可能な第1支持部と、
前記第1支持部に基端部が上下方向へ揺動可能に支持された第1アームと、
前記第1アームの先端部に上下方向へ揺動可能に支持された第2支持部と、
前記第2支持部の上端において水平方向へ旋回可能に基端部が支持された第2アームと、
前記第2アームの先端部から前記鉛直方向に沿って下方へ延設される第3アームと、
前記第3アームの下端において水平方向へ旋回可能に支持された操作部と、
前記操作部と一体の荷保持部と、を有し、
前記第1アームは、
第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第1部材と、
前記第1支持部に対して前記第1部材を揺動させる駆動エアシリンダと、
前記第1部材に対して平行に延び、第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第2部材と、を有し、
前記第1支持部、前記第1部材、前記第2支持部、及び前記第2部材は平行リンクを構成するとともに、前記平行リンクは前記駆動エアシリンダの駆動によって助力され、
前記駆動エアシリンダの圧力制御を行う制御装置を有するとともに、
前記制御装置によって圧力制御されるエアシリンダを前記第3アームに備えており、前記エアシリンダのピストンロッドの突出端に前記操作部が支持され、
前記第2アームの軸線方向への寸法は、前記第1アームの軸線方向への寸法より大き
く、
前記操作部には、前記エアシリンダの前記ピストンロッドの上下動を前記操作部の上下動にガイドする3本以上のガイドロッドが連結されているアーム型助力装置。
【請求項3】
前記3本以上の前記ガイドロッドのうちの1本は、前記エアシリンダの前記ピストンロッドである請求項
2に記載のアーム型助力装置。
【請求項4】
鉛直方向に軸線が延びる支柱と、
前記支柱の上端において水平方向へ旋回可能な第1支持部と、
前記第1支持部に基端部が上下方向へ揺動可能に支持された第1アームと、
前記第1アームの先端部に上下方向へ揺動可能に支持された第2支持部と、
前記第2支持部の上端において水平方向へ旋回可能に基端部が支持された第2アームと、
前記第2アームの先端部から前記鉛直方向に沿って下方へ延設される第3アームと、
前記第3アームの下端において水平方向へ旋回可能に支持された操作部と、
前記操作部と一体の荷保持部と、を有し、
前記第1アームは、
第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第1部材と、
前記第1支持部に対して前記第1部材を揺動させる駆動エアシリンダと、
前記第1部材に対して平行に延び、第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第2部材と、を有し、
前記第1支持部、前記第1部材、前記第2支持部、及び前記第2部材は平行リンクを構成するとともに、前記平行リンクは前記駆動エアシリンダの駆動によって助力され、
前記駆動エアシリンダの圧力制御を行う制御装置を有するとともに、
前記制御装置によって圧力制御されるエアシリンダを前記第3アームに備えており、前記エアシリンダのピストンロッドの突出端に前記操作部が支持され、
前記第2アームの軸線方向への寸法は、前記第1アームの軸線方向への寸法より大き
く、
荷役物の荷重を検出する荷重センサと、
前記第1支持部、前記第2支持部、及び前記操作部の旋回を規制するロック機構と、
前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに対する圧力制御を行う空圧機器と、を備え、
前記制御装置には前記荷重センサが信号接続されるとともに、前記制御装置は前記ロック機構を制動状態又は非制動状態に切換可能であり、
前記操作部の非操作状態では、前記制御装置は、前記ロック機構を制動状態に制御するとともに、前記荷重センサの検出値に基づいた前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダの圧力を常に制御し、かつ前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダへのエアの供給が停止されており、
前記操作部の操作が検出されると、前記制御装置は、前記ロック機構を非制動状態に切り換えるとともに、前記荷重センサの検出値に基づいて算出された前記圧力が前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに供給されるアーム型助力装置。
【請求項5】
前記荷重センサは前記操作部に設けられるとともに、前記制御装置及びエア供給源は前記支柱に設置され、前記支柱、前記第1支持部、前記第1アーム、前記第2支持部、前記第2アーム、及び前記第3アームは一繋がりの中空部を有し、
前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに対し前記エア供給源からエアを供給する配管と、
前記エア供給源から前記ロック機構にエアを供給する配管と、
前記荷重センサを前記制御装置と接続する配線は、前記中空部内に配設されている請求項
4に記載のアーム型助力装置。
【請求項6】
前記第3アームは、前記第2アームの上端から下側に向けて延設されている請求項1
~請求項5のうちいずれか一項に記載のアーム型助力装置。
【請求項7】
前記第3アームは、前記エアシリンダにおけるピストンの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材を備える請求項1~請求項
6のうちいずれか一項に記載のアーム型助力装置。
【請求項8】
前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記操作部の旋回範囲はそれぞれ360度未満である請求項1~請求項
7のうちいずれか一項に記載のアーム型助力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーム型助力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的重い部品や荷などの荷役物を移動するときには、アーム型助力装置を使用し、作業者の負荷を軽減している。アーム型助力装置としては、例えば、特許文献1の荷役機械が挙げられる。荷役機械は、鉛直に立設された支柱を有し、この支柱の上部には制御ボックスが設けられている。制御ボックス内には、空気圧シリンダが設けられている。空気圧シリンダは、エア制御系を介してエア源に接続されている。
【0003】
荷役機械は、第1~第3のアームを有する昇降機構を備えている。第1のアームは、上下方向に所定の角度に回動可能であり、空気圧シリンダによって駆動されるようになっている。また、第1のアームは、支柱の中心軸を中心にして水平方向に旋回するように支持されている。第1のアームの先端部には、第2のアームが、関節部を介して常に水平状態を保持する状態で連結され、さらに、第2のアームの先端部には、鉛直方向に延びる第3のアームが水平方向に旋回可能な状態で連結されている。第3のアームの下端部には、例えばエアの吸引により荷役物を保持する操作部としての吸着機構が取り付けられている。
【0004】
そして、吸着機構で荷役物を吸着し持ち上げると、第1~第3のアーム側には、荷役物の重量と荷役機械の第1~第3アームの重量との和に相当する力が下方向に働く。この下方向に働く力に抗するように空気圧シリンダの内圧を上げることで、荷役物を吊り上げた状態を維持したバランス状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の荷役機械において、吸着機構が移動できる範囲を水平方向や上下方向で増やしたい場合、第1~第3のアームの軸線方向への寸法である長さを長くすることで対応することができる。しかし、第1~第3アームを長くすると、第1~第3アームの重量が増大することに伴って上記した下方向に働く力も大きくなり、この力にバランスするために空気圧シリンダが大型化してしまう。空気圧シリンダの大型化に伴い、シリンダチューブ内でのピストンの摺動抵抗が増大し、操作性が低下する虞がある。
【0007】
本発明の目的は、操作性を低下させることなく操作部の移動範囲を広げることができるアーム型助力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するためのアーム型助力装置は、鉛直方向に軸線が延びる支柱と、前記支柱の上端において水平方向へ旋回可能な第1支持部と、前記第1支持部に基端部が上下方向へ揺動可能に支持された第1アームと、前記第1アームの先端部に上下方向へ揺動可能に支持された第2支持部と、前記第2支持部の上端において水平方向へ旋回可能に基端部が支持された第2アームと、前記第2アームの先端部から前記鉛直方向に沿って下方へ延設される第3アームと、前記第3アームの下端において水平方向へ旋回可能に支持された操作部と、前記操作部と一体の荷保持部と、を有し、前記第1アームは、第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第1部材と、前記第1支持部に対して前記第1部材を揺動させる駆動エアシリンダと、前記第1部材に対して平行に延び、第1端部が前記第1支持部に上下方向へ揺動可能に支持されるとともに第2端部が前記第2支持部に上下方向へ揺動可能に支持された第2部材と、を有し、前記第1支持部、前記第1部材、前記第2支持部、及び前記第2部材は平行リンクを構成するとともに、前記平行リンクは前記駆動エアシリンダの駆動によって助力され、前記駆動エアシリンダの圧力制御を行う制御装置を有するとともに、前記制御装置によって圧力制御されるエアシリンダを前記第3アームに備えており、前記エアシリンダのピストンロッドの突出端に前記操作部が支持され、前記第2アームの軸線方向への寸法は、前記第1アームの軸線方向への寸法より大きいことを要旨とする。
【0009】
また、アーム型助力装置について、前記第3アームは、前記第2アームの上端から下側に向けて延設されていてもよい。
また、アーム型助力装置について、前記駆動エアシリンダのシリンダチューブが前記第1部材を構成してもよい。
【0010】
また、アーム型助力装置について、前記操作部には、前記エアシリンダの前記ピストンロッドの上下動を前記操作部の上下動にガイドする3本以上のガイドロッドが連結されていてもよい。
【0011】
また、アーム型助力装置について、前記3本以上の前記ガイドロッドのうちの1本は、前記エアシリンダの前記ピストンロッドであってもよい。
また、アーム型助力装置について、荷役物の荷重を検出する荷重センサと、前記第1支持部、前記第2支持部、及び前記操作部の旋回を規制するロック機構と、前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに対する圧力制御を行う空圧機器と、を備え、前記制御装置には前記荷重センサが信号接続されるとともに、前記制御装置は前記ロック機構を制動状態又は非制動状態に切換可能であり、前記操作部の非操作状態では、前記制御装置は、前記ロック機構を制動状態に制御するとともに、前記荷重センサの検出値に基づいた前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダの圧力を常に制御し、かつ前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダへのエアの供給が停止されており、前記操作部の操作が検出されると、前記制御装置は、前記ロック機構を非制動状態に切り換えるとともに、前記荷重センサの検出値に基づいて算出された前記圧力が前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに供給されてもよい。
【0012】
また、アーム型助力装置について、前記荷重センサは前記操作部に設けられるとともに、前記制御装置及びエア供給源は前記支柱に設置され、前記支柱、前記第1支持部、前記第1アーム、前記第2支持部、前記第2アーム、及び前記第3アームは一繋がりの中空部を有し、前記駆動エアシリンダ及び前記エアシリンダに対し前記エア供給源からエアを供給する配管と、前記エア供給源から前記ロック機構にエアを供給する配管と、前記荷重センサを前記制御装置と接続する配線は、前記中空部内に配設されていてもよい。
【0013】
また、アーム型助力装置について、前記第3アームは、前記エアシリンダにおけるピストンの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材を備えていてもよい。
また、アーム型助力装置について、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記操作部の旋回範囲はそれぞれ360度未満であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作性を低下させることなく操作部の移動範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】(a)は初期状態のアーム型助力装置の構造を模式的に示す図、(b)は動作位置にあるアーム型助力装置の構造を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、アーム型助力装置を具体化した一実施形態を
図1~
図10にしたがって説明する。
図1に示すように、アーム型助力装置11は、支柱12と、支柱12に支持された第1支持部21と、第1支持部21に支持された第1アーム31と、第1アーム31に支持された第2支持部41と、第2支持部41に支持された第2アーム51と、第2アーム51に連結された第3アーム61と、を備える。また、アーム型助力装置11は、第3アーム61に支持された操作部71及び荷保持部81を備える。本実施形態では、荷保持部81はフック型吊下げ具によって構成されている。なお、荷保持部81は、フック型吊下げ具以外の構成でもよく、荷役物を吸着保持する構成や、荷役物をロボットハンドで保持する構成であってもよい。さらに、アーム型助力装置11は、第1支持部21に対して第1アーム31を揺動させることによって第2支持部41を移動させるアクチュエータ90を含む。
【0017】
図8に示すように、操作部71には荷重センサ72が内蔵されている。荷重センサ72は、荷保持部81に吊下げ保持された荷役物を含めた荷重を検出する。荷重センサ72は検出値に関する信号を、アーム型助力装置11の駆動を制御する制御装置15に出力する。また、操作部71には検出スイッチ73が内蔵されている。検出スイッチ73は、制御装置15に信号接続されている。検出スイッチ73は、操作部71が操作されることを検出すると、オンされるとともにオン信号を制御装置15に出力する。
【0018】
アーム型助力装置11の作動は、圧縮したエアを用いている。アーム型助力装置11にはエア供給源14から圧縮されたエアが供給される。以下の説明において、圧縮されたエアを単に「エア」と記載する。アーム型助力装置11は、後述する空圧機器の制御や、エアの圧力調整などを行う制御装置15を備える。制御装置15は、アーム型助力装置11によって吊り下げられた荷役物の重量をバランスするために、アーム型助力装置11に供給すべきエアの圧力などを算出する。制御装置15は収容ケース15aに収容されている。
【0019】
図5(a)に示すアーム型助力装置11の状態を初期状態として説明する。アーム型助力装置11の初期状態では第1アーム31と第2アーム51はほぼ水平位置にあるとともに、第1アーム31と第2アーム51が上下方向に重なり合うように支柱12側に折り返されている。アーム型助力装置11の初期状態では、第3アーム61は、支柱12に隣接し、水平方向に重なり合う。また、アーム型助力装置11の初期状態では、操作部71が第3アーム61に最も接近した位置にある。
【0020】
図2に示すように、支柱12の上端には、第1回転ジョイント17aが設置されるとともに、第1回転ジョイント17a上には、第1支持部21の旋回を規制する第1ロック機構161が設置されている。
図3に示すように、第1回転ジョイント17aは、内筒部171と、内筒部171の外周面に対し間隔を空けて配置された外筒部172とを備える。
【0021】
図8に示すように、内筒部171内には、エア供給源14と接続された操作エア配管181、第1エア配管P1、第2エア配管P2及び制御装置15に接続された後述の配線が挿通されている。操作エア配管181は、後述する第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、第1~第3ロック機構161~163を操作するための操作エアを供給するための配管である。第1エア配管P1は、第1アーム31に対するバランス圧力の供給を行うための配管であり、第2エア配管P2は、第3アーム61に対するバランス圧力の供給を行うための配管である。
【0022】
操作エア配管181には空圧機器の一つとしての3ポート弁13が設けられている。3ポート弁13は、エア供給源14から供給されたエアをアーム型助力装置11に供給する位置と、アーム型助力装置11からエアを排出する位置の2位置を取り得る。3ポート弁13は、配線W3によって制御装置15に信号接続されている。なお、3ポート弁13は、収容ケース15aに収容されている。
【0023】
第1ロック機構161は、回転ロックディスクをロックパッドで挟持することで制動状態となり、ロックパッドによる回転ロックディスクの挟持が解除されることで非制動状態となる。第1ロック機構161内には、上記操作エア配管181、第1エア配管P1、第2エア配管P2、制御装置15に接続された後述の配線が挿通されている。また、第1ロック機構161には、操作エア配管181から分岐した第1ロック用エア配管B1が接続されている。エア供給源14から操作エア配管181及び第1ロック用エア配管B1を介して第1ロック機構161に所定圧力以上のエアが供給されると、ロックパッドが回転ロックディスクから離間し、第1ロック機構161は非制動状態となる。また、第1ロック機構161に対し供給されるエアの供給が所定圧力未満になると、図示しない付勢部材によってロックパッドが回転ロックディスクに向けて付勢され、回転ロックディスクをロックパッドで挟持し、第1ロック機構161は制動状態となる。したがって、第1ロック機構161は、第1ロック用エア配管B1を介して操作エア配管181から供給されるエアによって操作される。
【0024】
次に、第1支持部21について説明する。
図1又は
図2に示すように、第1支持部21は、第1ロック機構161の上部に固定されている。第1支持部21は、第1ロック機構161を介して第1回転ジョイント17aに支持されている。したがって、第1支持部21は、支柱12の上端面において、水平方向へ旋回可能に支持されている。第1支持部21は、支柱12の軸線Lに沿う第1鉛直軸Zを中心に旋回する。第1支持部21の旋回範囲は360度未満であり、本実施形態では300度である。
【0025】
図4に示すように、第1支持部21は、下端部に円盤状の基板21aを有するとともに、基板21aから上方に向けて立設された一対の第1軸支部21bを有する。一対の第1軸支部21bは間隔を空けて対向している。
【0026】
第1支持部21と対をなす第2支持部41は、上端部に円盤状の支持板41aを有するとともに、支持板41aから鉛直方向に沿って下方へ立設された板状の第2軸支部41bを有する。
【0027】
図4又は
図5(a)に示すように、第1アーム31は、中空状のアーム本体32と、アーム本体32の軸線方向の一端に連結された第1軸支部材33と、アーム本体32の軸線方向の他端に連結された第2軸支部材34と、第2部材46と、を有する。アーム本体32はアルミニウムの押出材である。
【0028】
第1アーム31は、軸線方向の一端側に、第1軸支部材33によって形成された板状の基端部35を備えるとともに、軸線方向の他端側に、第2軸支部材34によって形成された二股状の先端部36を備える。
【0029】
第1アーム31の基端部35は、第1支持部21の一対の第1軸支部21bの間に配置されている。第1軸支部21b及び第1軸支部材33には第1水平軸H1が挿通されている。そして、第1支持部21に支持された第1水平軸H1により、第1アーム31の基端部35が第1支持部21に対し上下方向へ揺動可能に支持されている。
【0030】
また、第1アーム31の先端部36の間に、第2支持部41の第2軸支部41bが配置されている。第2軸支部41b及び第2軸支部材34には第2水平軸H2が挿通されている。そして、第2水平軸H2により、第1アーム31の先端部36に対し、第2支持部41が上下方向へ揺動可能に支持されている。
【0031】
第1アーム31において、アーム本体32の主体は駆動エアシリンダ91のシリンダチューブ91aによって構成されている。シリンダチューブ91aの外面には、シリンダチューブ91aの径方向に対向する第1カバー部材95が固定されるとともに、一対の第1カバー部材95の上端の間には第2カバー部材96が固定されている。また、一対の第1カバー部材95の下端の間には、第2部材46が配置されている。そして、シリンダチューブ91aと、一対の第1カバー部材95と、一つの第2カバー部材96とからアーム本体32が構成されている。
【0032】
上記アーム本体32の軸線方向の一端部となるシリンダチューブ91aの一端部には第1軸支部材33が固定され、アーム本体32の軸線方向の他端部となるシリンダチューブ91aの他端部には第2軸支部材34が固定されている。そして、アーム本体32と、第1軸支部材33と、第2軸支部材34と、は第1部材45を構成する。
【0033】
第1部材45と、第1支持部21と、第2支持部41と、第2部材46とから平行リンクが構成されている。また、第1軸支部材33は、第1支持部21に上下方向へ揺動可能に支持された第1端部を構成し、第2軸支部材34は、第2支持部41に上下方向へ揺動可能に支持された第2端部を構成する。
【0034】
第2部材46の軸線は、第1部材45の軸線に対し平行に延びている。第2部材46は、角棒形状である。第2部材46の第1端部47は、第3水平軸H3を介して第1支持部21に対し上下方向へ揺動可能に支持され、第2部材46の第2端部48は、第4水平軸H4を介して第2支持部41に対し上下方向へ揺動可能に支持されている。
【0035】
第1アーム31にはアクチュエータ90が内蔵されている。アクチュエータ90は、上記駆動エアシリンダ91と、第1アーム31の軸線方向に沿って移動する駆動エアシリンダ91の作動ロッド92と、基端部が第1支持部21に揺動可能に支持され、かつ作動ロッド92に対して傾斜して伸びるリンク部材93とを有する。さらに、アクチュエータ90は、作動ロッド92に連結されるとともにリンク部材93の先端部が回動自在に接続された連結体94を有している。
【0036】
アーム本体32のシリンダチューブ91a内には、ピストン91bが移動自在に収容され、シリンダチューブ91a内には、ピストン91bによってピストン室Sが区画されている。ピストン91bの外周面には図示しないシール部材が装着されている。ピストン91bには作動ロッド92の一端が連結されている。ピストン91bは、作動ロッド92の移動に伴って第1アーム31の軸線方向に沿って移動する。
【0037】
そして、第1支持部21、第1部材45、第2支持部41、及び第2部材46によって、平行四辺形を形成する平行リンクが構成されている。
図5(b)に示すように、駆動エアシリンダ91の作動ロッド92の移動に伴い、第1支持部21に対して第1部材45及び第2部材46が上下方向へ揺動すると、第2支持部41が上下方向へ平行移動する。第1部材45及び第2部材46は、平行四辺形の長辺を構成し、第1支持部21及び第2支持部41は、平行四辺形の短辺を構成する。
【0038】
図8に示すように、駆動エアシリンダ91のピストン室Sには第1開閉弁V1が接続されている。第1開閉弁V1は、第1エア配管P1とピストン室Sとを連通させる又は遮断する。つまり、第1開閉弁V1は、ピストン室Sに対するエアの流入及び流出を阻止し、ピストン室Sの圧力を保持する状態と、ピストン室Sの圧力が常時制御される状態とを切り替える。3ポート弁13の開閉により、操作エア配管181の圧力がオンオフされる。
【0039】
操作用分岐エア配管Pは、第1開閉弁V1の操作用として第1開閉弁V1の操作ポートに接続されている。第1開閉弁V1の操作ポートには、操作用分岐エア配管Pを介して操作エア配管181からパイロットエアが供給されている。したがって、操作エア配管181は、第1開閉弁V1を操作するための操作エアを供給するための配管である。第1エア配管P1には第1電空レギュレータK1が接続されている。第1電空レギュレータK1は、収容ケース15aに収容されている。
【0040】
操作エア配管181は、エア供給源14から支柱12、第1ロック機構161の内側、第1回転ジョイント17aの内側、及び第1支持部21の内側を通過し、第1アーム31内に引き込まれている。また、操作エア配管181から分岐した操作用分岐エア配管Pは、第1アーム31内に引き込まれている。第1電空レギュレータK1は、空圧機器の一つである。
【0041】
制御装置15は、荷重センサ72の検出値に基づいてバランス圧力を算出する。第1電空レギュレータK1は、第1アーム31が支える第2支持部41から荷保持部81まで及び荷役物を含めた重量をバランスするように第1アーム31の平行リンクに作用させる駆動エアシリンダ91のバランス圧力を常に算出するように常時制御されている。3ポート弁13によって操作エア配管181にエア供給源14からエアが供給されるとともに、操作用分岐エア配管Pから第1開閉弁V1の操作ポートにエアが供給されると第1開閉弁V1は開状態となる。そして、制御装置15によって算出されたバランス圧力が第1電空レギュレータK1によって制御されてピストン室Sに供給され、バランス圧力が制御状態となる。
【0042】
一方、3ポート弁13により、操作エア配管181のエアが排出されると、操作用分岐エア配管Pからもエアが排出され、第1開閉弁V1は遮断されるとともに、エアの流入及び流出が阻止される。
【0043】
操作部71の操作状態では、3ポート弁13によって第1開閉弁V1が開状態となり、荷重をバランスさせるバランス圧力が駆動エアシリンダ91に供給されている。そして、荷重がバランスされるとともに、荷重をバランスされた状態で維持されている。
【0044】
操作部71を上下に手動で移動させたとき、駆動エアシリンダ91のピストン室Sの容積が変化するが、制御装置15は、荷重センサ72の検出値に基づいてバランス圧力を算出する。第1電空レギュレータK1は、第1アーム31の平行リンクを介した力がバランスされるようにバランス圧力を駆動エアシリンダ91のピストン室Sに供給する。このため、アーム型助力装置11のバランス圧力が制御され、バランスされている状態が維持されることにより、作業者は小さい力で操作部71を操作できる。
【0045】
操作部71の非操作状態では、荷重をバランスさせる制御は常に維持されたままであるが、3ポート弁13により第1開閉弁V1が閉状態となり、ピストン室Sへのエアの流入・排出が阻止されることにより、アーム型助力装置11の上下方向の動作が抑制される。つまり、第1開閉弁V1が閉状態とされることにより、ピストン室Sは、圧力制御が及ばない状態となるため、ピストン室Sの圧力が、操作部71の操作による動作に抗する力として働き、操作部71の位置を維持しようとする。
【0046】
図2に示すように、第2支持部41の支持板41aには、第1回転ジョイント17aと同じ構成の第2回転ジョイント17bが連結され、この第2回転ジョイント17bには、第1ロック機構161と同じ構成の第2ロック機構162が一体化されている。操作エア配管181は、第1アーム31から第2支持部41の内側、第2回転ジョイント17bの内側及び第2ロック機構162の内側を通過し、第2アーム51に引き込まれている。操作エア配管181から分岐した第2ロック用エア配管B2は、第2ロック機構162に接続されている。
【0047】
エア供給源14から操作エア配管181及び第2ロック用エア配管B2を介して第2ロック機構162にエアが供給されると、ロックパッドが回転ロックディスクから離間し、第2ロック機構162は非制動状態となる。また、エア供給源14からのエアの供給が停止されると、図示しない付勢部材によってロックパッドが回転ロックディスクに向けて付勢され、回転ロックディスクをロックパッドで挟持し、第2ロック機構162は制動状態となる。したがって、第2ロック機構162は、第2ロック用エア配管B2を介して操作エア配管181から供給されるエアによって操作される。
【0048】
第2回転ジョイント17bは、第2支持部41上において水平方向へ旋回可能である。この第2回転ジョイント17bに一体の第2ロック機構162の上部には第2アーム51が一体化されている。このため、第2アーム51は、水平方向へ旋回可能に構成されている。なお、第2ロック機構162は、制動状態において第2アーム51の旋回を規制する。また、第2回転ジョイント17bと一体の第2支持部41の旋回範囲は360度未満であり、本実施形態では300度である。
【0049】
第2アーム51は、四角筒状の第1筒部52と、第1筒部52に連結された第2筒部53とから構成されるL形状である。第2アーム51の軸線方向への寸法は、第1アーム31の軸線方向への寸法より大きい。具体的には、第2アーム51における第1筒部52の軸線方向への寸法は、第1アーム31の軸線方向への寸法より大きい。第1筒部52は、矩形板状の上壁52aと、下壁52bと、上壁52aと下壁52bを上下方向に接続する一対の側壁52cとを有する。
【0050】
第2アーム51の基端部511において、第1筒部52の下壁52bが第2ロック機構162に固定されている。第2アーム51において、第2筒部53の上端を構成する上壁52aの上面は、第2筒部53の上面と同一面上にある。第2筒部53の対向する一対の側壁には把持部54が設けられている。
【0051】
図6に示すように、第3アーム61は、第2筒部53の先端部512の外側面に固定されている。第3アーム61は、第2アーム51の上端から下側に向けて延設されている。第3アーム61は、筒状のアーム本体62と、アーム本体62に内蔵されたエアシリンダ63と、一対のガイドロッド75とを備える。エアシリンダ63は、アクチュエータとして機能する。そして、第2アーム51に引き込まれた操作エア配管181と第2エア配管P2は、第2アーム51を通過して第3アーム61に引き込まれている。
【0052】
アーム本体62の軸線方向は鉛直方向に延びる。アーム本体62は、第2筒部53の外側面に固定される矩形板状の接合壁62aと、接合壁62aの上下に延びる一対の側縁から立設された一対の縦壁62bと、一対の縦壁62bの上下に延びる一対の側縁同士を繋ぐ湾曲壁62cと、アーム本体62の下端を塞ぐ閉塞壁61dと、を備える。湾曲壁62cは、鉛直方向の上側から見て、接合壁62aから離れるに従い円弧状に膨らむ形状である。
【0053】
接合壁62aの上部には、第2アーム51の第1筒部52に連通する連通孔62fが形成され、第2アーム51に引き込まれた操作エア配管181及び第2エア配管P2は、連通孔62fから第3アーム61のアーム本体62内に引き込まれている。
【0054】
アーム本体62の内面のうち、接合壁62aによって形成される内面にはエアシリンダ63のシリンダチューブ63aが固定されている。エアシリンダ63は、シリンダチューブ63aの軸線が上下方向に延びる状態で接合壁62aに固定されている。エアシリンダ63のシリンダチューブ63aは、駆動エアシリンダ91のシリンダチューブ91aより小径である。シリンダチューブ63a内にはピストン63bが収容されている。ピストン63bの外周面には図示しないシール部材が装着されている。シリンダチューブ63a内において、ピストン63bより下側にはピストン室65が区画されている。ピストン63bの外周面に設けたシール部材により、ピストン室65からのエア漏れが抑止されている。
【0055】
エアシリンダ63において、ピストン63bにはピストンロッド63dの一端が連結されている。ピストンロッド63dは、シリンダチューブ63aの下端及び閉塞壁61dを貫通してアーム本体62の下端から突出している。
【0056】
シリンダチューブ63aの上端壁には、衝撃緩和部材67が設置されている。衝撃緩和部材67は所謂ショックアブソーバである。衝撃緩和部材67は、移動端に上昇してきたピストン63bに接触して移動端に位置するときの衝撃を吸収する。
【0057】
図8に示すように、ピストン室65には第2開閉弁V2が接続されている。第2開閉弁V2は、第2エア配管P2とピストン室65とを連通させる又は遮断する。つまり、第2開閉弁V2は、ピストン室65に対するエアの流入及び流出を阻止し、ピストン室65のエアを保持する状態と、ピストン室65の圧力が常時制御される状態とを切り替える。
【0058】
操作エア配管181は、第2開閉弁V2の操作用として、第2開閉弁V2の操作ポートに接続されている。第2開閉弁V2の操作ポートには、操作エア配管181からパイロットエアが供給されている。したがって、操作エア配管181は、第2開閉弁V2を操作するための操作エアを供給するための配管である。第2エア配管P2には第2電空レギュレータK2が接続されている。第2電空レギュレータK2は、収容ケース15aに収容されている。第2電空レギュレータK2は空圧機器の一つである。そして、上述の3ポート弁13、第1電空レギュレータK1、及び第2電空レギュレータK2は、駆動エアシリンダ91及びエアシリンダ63に対する圧力制御を行う空圧機器として機能する。
【0059】
制御装置15は、荷重センサ72の検出値に基づいてバランス圧力を算出する。第2電空レギュレータK2は、第3アーム61のエアシリンダ63に作用する力として、ピストンロッド63dに接続されている先端側の重量がバランスされるようにバランス圧力を常に算出するように常時制御されている。3ポート弁13によって操作エア配管181にエア供給源14からエアが供給されるとともに、操作エア配管181から第2開閉弁V2の操作ポートにエアが供給されると第2開閉弁V2は開状態となる。そして、制御装置15によって算出されたバランス圧力が第2電空レギュレータK2によって制御されてピストン室65に供給され、バランス圧力が制御状態となる。一方、3ポート弁13により、操作エア配管181のエアが排出されると、第2開閉弁V2は遮断され、エアの流入及び流出が阻止される。
【0060】
第2開閉弁V2が開状態に制御されると、エアシリンダ63のピストン室65には、第2電空レギュレータK2によって制御されたバランス圧力が供給され、重量バランスが取られ、バランス状態となる。よって、制御装置15は、荷重センサ72の検出値に基づいたエアシリンダ63に対するバランス圧力を常に制御している。
【0061】
一方、第2開閉弁V2が閉状態に制御されると、エアシリンダ63のピストン室65からのエアの流出が停止されることにより、エアシリンダ63の動きが抑制される。
上記構成のアーム型助力装置11において、図示しない電源の投入と同時に、荷重センサ72の検出値が制御装置15に入力される。制御装置15は、第3アーム61のエアシリンダ63がバランスするためのバランス圧力を算出するとともに第2電空レギュレータK2によって第2エア配管P2の圧力制御を開始し、常時制御モードとなる。なお、電源投入時は、第2開閉弁V2は閉状態である。
【0062】
そして、操作部71が操作状態となると、第2開閉弁V2が開状態となり、エアシリンダ63のピストン室65にバランス圧力が供給される。このとき、エアシリンダ63は、バランス状態とされるだけでありエアシリンダ63が動作することはない。そして、操作部71が手動操作されて操作部71が上下動されると、ピストン室65の容積が変化するが、第2電空レギュレータK2によるバランス圧力の制御によってバランス状態が維持される。
【0063】
図6に示すように、ピストンロッド63dの突出端には、第1回転ジョイント17aと同じ構成の第3回転ジョイント17cが連結され、この第3回転ジョイント17cの下端面には第1ロック機構161と同じ構成の第3ロック機構163が一体化されている。そして、第3ロック機構163の下端面には操作部71が固定されている。第3回転ジョイント17cは、水平方向へ旋回可能である。この第3回転ジョイント17cに一体の第3ロック機構163の下部に操作部71が一体化されているため、操作部71は、水平方向へ旋回可能に構成されている。操作部71の旋回範囲は360度未満であり、本実施形態では300度である。
【0064】
図6又は
図7に示すように、操作部71には、一対のガイドロッド75の下端がロッドブロック64、第3回転ジョイント17c及び第3ロック機構163を介して連結されている。各ガイドロッド75は円筒状である。一対のガイドロッド75は、エアシリンダ63のピストン63bの上下動を操作部71の上下動にガイドする。一対のガイドロッド75は、アーム本体62の閉塞壁61dを貫通している。アーム本体62の閉塞壁61dの下面には、一対の転がり軸受77が固定され、転がり軸受77にガイドロッド75が挿通されている。各ガイドロッド75は、転がり軸受77によって鉛直方向へ円滑に移動するように支持されている。各ガイドロッド75はパイプ状である。また、各ガイドロッド75は焼き入れされており、硬度が高い。
【0065】
一対のガイドロッド75の上端はアーム本体62内に位置している。一対のガイドロッド75は、板状の保持部材76及び取付ブラケット76aによって一定の間隔を維持する状態に保持されている。アーム本体62の閉塞壁61dの内面には、衝撃緩和部材66が設置されている。衝撃緩和部材66は所謂ショックアブソーバである。衝撃緩和部材66は、移動端に下降してきた保持部材76に接触して移動端に位置するときの衝撃を吸収する。
【0066】
操作部71の重心は、一対のガイドロッド75の中心軸と、エアシリンダ63のピストンロッド63dの中心軸を繋ぐ三角形の重心に位置している。そして、荷保持部81に保持された荷役物は、一対のガイドロッド75とエアシリンダ63のピストンロッド63dの3本のロッドによって支持される。したがって、エアシリンダ63のピストンロッド63dは、操作部71の上下動を案内するガイドロッドとしても機能し、3本のロッドの重心から各ロッドの位置する方向での剛性が高まり、モーメントに耐えうる構造となっている。
【0067】
また、取付ブラケット76aには、ケーブルベア(登録商標)78の一端が固定され、ケーブルベア78の他端は、アーム本体62の湾曲壁62cの内面に固定されている。
図8に示すように、荷重センサ72は、配線W4によって制御装置15に信号接続されている。また、検出スイッチ73は、配線W5によって制御装置15に信号接続されている。検出スイッチ73は、操作部71が操作されることを検出すると、オンされるとともにオン信号を制御装置15に出力する。操作部71には操作ハンドル74が一対設けられている。上記した検出スイッチ73は、作業者が操作ハンドル74を把持した操作状態になると、操作部71が操作されることを検出し、オンされる。一方、作業者が操作ハンドル74を把持していない非操作状態では、オフされている。
【0068】
制御装置15に接続された配線W4,W5は、支柱12、第1回転ジョイント17aの内側、第1ロック機構161の内側、第1支持部21の内側、第1アーム31、第2支持部41の内側、第2回転ジョイント17bの内側、第2ロック機構162の内側、第2アーム51、及び第3アーム61内に引き込まれている。そして、支柱12、第1回転ジョイント17a、第1ロック機構161、第1支持部21、第1アーム31、第2回転ジョイント17b、第2ロック機構162、第2支持部41、第2アーム51、及び第3アーム61は、一繋がりの中空部を構成し、この中空部内に配線W4,W5及び操作エア配管181が配設されて保護されている。
【0069】
第3アーム61内において、配線W4,W5と、操作エア配管181から分岐した第3ロック用エア配管B3とは、ケーブルベア78の他端からケーブルベア78内に収容され、ケーブルベア78の一端から引き出されている。さらに、配線W4,W5は、一方のガイドロッド75内に挿入され、第3回転ジョイント17cの内側及び第3ロック機構163の内側を通過して荷重センサ72及び検出スイッチ73に接続されている。また、第3ロック用エア配管B3は、他方のガイドロッド75内に挿入され、第3回転ジョイント17cを通過して第3ロック機構163に接続されている。
【0070】
そして、エア供給源14から操作エア配管181及び第3ロック用エア配管B3を介して第3ロック機構163にエアが供給されると、ロックパッドが回転ロックディスクから離間し、第3ロック機構163は非制動状態となる。また、エア供給源14からのエアの供給が停止されると、図示しない付勢部材によってロックパッドが回転ロックディスクに向けて付勢され、回転ロックディスクをロックパッドで挟持し、第3ロック機構163は制動状態となる。したがって、第3ロック機構163は、第3ロック用エア配管B3を介して操作エア配管181から供給されるエアによって操作される。そして、制動状態の第3ロック機構163は、操作部71の旋回を規制する。
【0071】
次に、アーム型助力装置11の操作について説明する。
図5(a)に示すように、アーム型助力装置11が初期状態にあり、作業者による操作が行われていない状態、つまり、操作ハンドル74が把持されず、かつ荷保持部81に荷役物が保持されていない非操作状態では、検出スイッチ73はオフされている。制御装置15は、3ポート弁13を非通電状態として操作エア配管181の圧力を排出状態にしている。また、制御装置15は、荷重センサ72の検出値に応じて第1電空レギュレータK1及び第2電空レギュレータK2の圧力を制御している。荷重センサ72の検出値は、支柱12によって支持されている部材の総重量に値する。
【0072】
そして、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2の操作エアは操作エア配管181から供給されており、前記の排出状態であるため、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2は閉状態であり、ピストン室S,65に対するエアの出入りが無い状態である。一方、第1エア配管P1及び第2エア配管P2にはバランス圧力が第1電空レギュレータK1及び第2電空レギュレータK2から供給されているが、ピストン室S,65には供給されていない状態である。
【0073】
図5(b)、
図9又は
図10に示すように、作業者が操作ハンドル74を把持し、操作部71の操作状態となると、検出スイッチ73がオンされ、制御装置15は検出スイッチ73からのオン信号を受信する。検出スイッチ73からのオン信号を受信すると、制御装置15は、操作エア配管181にエア供給源14から操作エアが供給されるように3ポート弁13を制御する。すると、操作用分岐エア配管Pから第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2にパイロットエアが供給され、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2が開状態となる。各ピストン室S,65には、第1エア配管P1及び第2エア配管P2からバランス圧力が供給され、駆動エアシリンダ91及びエアシリンダ63はバランス状態となる。同時に第1~第3ロック機構161~163にも操作エア配管181から操作エアが供給され、制動状態が解除され、非制動状態とされる。その結果、アーム型助力装置11の上下動及び旋回が可能になり、荷役物が移動可能な状態になる。
【0074】
荷保持部81に荷役物を保持させ、荷役物をアーム型助力装置11に吊り下げると、荷役物の重量に応じてピストン63bが移動しようとしてピストン室65の容積が減少してエアの圧力が上昇しようとするが、エアが排出されて、荷重センサ72の検出した荷重に見合った圧力に一定に制御され、吊り下げ状態が維持される。
【0075】
また、荷役物を下げるべく操作部71を下げると、ピストン63bが移動してピストン室65の容積が減少してエアの圧力が上昇するが、エアが排出されて、荷重センサ72の検出した荷重に見合った圧力に一定に制御され、吊り下げ状態が維持される。
【0076】
さらに、作業者が操作部71を操作すると、操作部71の上下方向の位置変更に伴い平行リンクが変位し、平行リンクの変位に伴い、リンク部材93及び作動ロッド92を介して駆動エアシリンダ91のピストン91bが移動する。ピストン91bの移動に伴い、ピストン室Sの容積が変更される。ピストン室Sの容積変更が生じても、荷重センサ72の信号に基づいたバランス圧力が第1電空レギュレータK1によって常時制御されている。
【0077】
具体的には、操作部71が操作されて第2支持部41が上方へ移動すると、ピストン91bが移動してピストン室Sの容積が増大してエアの圧力が低下しようとするが、エアが供給されて、荷重センサ72の検出した荷重に見合った圧力に一定に制御される。このため、第2支持部41の移動が伴っても重量バランスが維持される。
【0078】
一方、アーム型助力装置11が操作されて第2支持部41が下方へ移動すると、ピストン91bが移動してピストン室Sの容積が減少してエアの圧力が上昇しようとするが、エアが排出されて、荷重センサ72の検出した荷重に見合った圧力に一定に制御される。このため、第2支持部41の移動が伴っても重量バランスが維持される。
【0079】
また、
図9に示すように、第1支持部21が支柱12上で旋回することで、第1アーム31が旋回し、操作部71は水平方向において旋回し、旋回範囲の中で移動する。さらに、
図10に示すように、第1支持部21及び第2支持部41が旋回し、第1アーム31及び第2アーム51が旋回することで、操作部71の旋回半径が変化する。
【0080】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)アーム型助力装置11において、第1アーム31に第2支持部41を介して第2アーム51を支持させ、さらに第2アーム51に第3アーム61を連結した。そして、駆動エアシリンダ91による第1アーム31の助力に加えて第3アーム61にエアシリンダ63を内蔵し、荷役物を吊り下げたときの重量バランスのための助力を駆動エアシリンダ91に加えエアシリンダ63でも行うことで上下方向の移動範囲を広げることができる。アーム型助力装置11における荷保持部81の移動領域を2箇所のアクチュエータに分散させることで、アーム型助力装置11が支持する重量及びモーメントを低減している。また、第2アーム51の軸線方向への寸法を第1アーム31の軸線方向への寸法より大きくし、第1アーム31の軸線方向の寸法を抑えることで、平行リンクの変換効率の低下を抑制しながら荷保持部81の水平移動範囲を増やすことができる。よって、駆動エアシリンダ91のみで助力する場合と比べて駆動エアシリンダ91を小径化でき、駆動エアシリンダ91におけるピストン91bの摺動低下を低減できる。その結果、アーム型助力装置11の操作性を低下させることなく、移動範囲を広げることができる。
【0081】
(2)第3アーム61にエアシリンダ63を設けることで、エアシリンダ63のピストンロッド63dの上下動により、荷役物の上下位置の微調節が可能になる。
(3)第3アーム61は、第2アーム51の上端面から下側に向けて延設されている。第2アーム51に対する第3アーム61の取付位置を上にするほど、操作部71及び荷保持部81を初期位置の高さに位置させるために、第3アーム61の鉛直方向への長さが長くなり好ましくない。このため、第2アーム51の上端から第3アーム61を延設することで、操作部71及び荷保持部81を所定の高さに位置させるための第3アーム61の長さが長くならずに済む。
【0082】
(4)駆動エアシリンダ91のシリンダチューブ91aは、平行リンクの一つの部材を構成するとともに、駆動エアシリンダ91の作動ロッド92と第2部材46の第1端部とがリンク部材93によって連結されている。このため、駆動エアシリンダ91のシリンダチューブ91aを平行リンクの構造体として用いることで、平行リンクの剛性を高めるとともに軽量化及び簡素化できる。
【0083】
(5)操作部71には、一対のガイドロッド75と、エアシリンダ63のピストンロッド63dが連結されている。このため、操作部71は、3本のロッドによって三点で支持される。このため、荷役物の重心が荷保持部81の重心からずれても、偏心によりモーメントを三箇所に分散してガイドロッド75及びピストンロッド63dに作用する負荷を軽減できる。
【0084】
(6)第3アーム61に対する操作部71の上下動をガイドする3本のガイドロッドのうちの1本は、エアシリンダ63のピストンロッド63dである。例えば、エアシリンダ63とは別にガイドロッドを設ける場合と比べると、操作部71及び荷保持部81を支持する構成を簡素化でき、第3アーム61の重量を低減できる。
【0085】
(7)荷役物を荷保持部81に保持しておらず、かつ操作ハンドル74が操作されていない非操作状態では、第1~第3ロック機構161~163は制動状態に切り換えられた状態である。また、操作部71の非操作状態では、バランス圧力が常時制御されている状態ではあるが、ピストン室S,65へのエアの出入りが第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2により遮断された状態である。つまり、アーム型助力装置11の不要な動作が抑制された状態である。そして、荷役物が荷保持部81に保持されると、荷重センサ72の検出値が変化し、検出値に応じたバランス圧力が算出され、圧力制御値が変更される。そして、操作ハンドル74が操作されると、制御装置15は、第1~第3ロック機構161~163を非制動状態に切り換えるとともに、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2が開状態となり、バランス圧力がピストン室S,65に導入される。このため、荷役物に応じて速やかにバランス状態にできる。
【0086】
(8)アーム型助力装置11において、支柱12、第1支持部21、第1回転ジョイント17a、第1ロック機構161、第1アーム31、第2支持部41、第2回転ジョイント17b、第2ロック機構162、及び第3アーム61は、一繋がりの中空部を構成している。そして、中空部内に、操作エア配管181、第1~第3ロック用エア配管B1~B3、及び配線W4,W5が収容されている。このため、各種の配管と配線とを中空部で保護できるとともに、アーム型助力装置11の美観の低下を抑制できる。
【0087】
(9)第3アーム61内には、一対のガイドロッド75が下降したときの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材66が設けられるとともに、エアシリンダ63のピストン63bが上昇したときの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材67が設けられている。駆動エアシリンダ91とエアシリンダ63とでは、エアシリンダ63の方が小径であり、ピストン63bのパッキンも小径であるため、パッキンの摺動抵抗が小さくなる。すると、荷役物を上下方向へ移動させるとき、エアシリンダ63のピストン63bの方が駆動エアシリンダ91のピストン91bより先に動きやすくなり、移動端へ達しやすいが、移動端に衝撃緩和部材66,67を設けることで、エアシリンダ63における移動端での衝撃を緩和できる。
【0088】
(10)第1支持部21による第1アーム31の旋回範囲は360度未満であり、第2支持部41による第2アーム51の旋回範囲は360度未満である。また、操作部71の旋回範囲は360度未満である。このため、第1アーム31及び第2アーム51の旋回に伴って第1支持部21及び第2支持部41が旋回しても、操作エア配管181、配線W4,W5の捻れを抑制できる。同様に、操作部71が旋回しても、操作エア配管181、配線W4,W5の捻れを抑制できる。
【0089】
(11)第1アーム31よりも上側に第2アーム51を支持した。第2アーム51の軸線方向への寸法を第1アーム31の軸線方向への寸法より大きくして、第1アーム31の先端部より先に第2アーム51が位置していても作業者に干渉しにくい。
【0090】
(12)第2アーム51の軸線方向への寸法を、第1アーム31の軸線方向への寸法より大きくし、第2アーム51の先端部に第3アーム61を連結した。このため、第1アーム31より上側に第2支持部41を介して第2アーム51を支持し、第2アーム51に第3アーム61を連結しても、第3アーム61を第1アーム31に干渉させることなく、第1アーム31と第2アーム51を上下に重ねることができ、アーム型助力装置11をコンパクトにできる。
【0091】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 第1支持部21による第1アーム31の旋回範囲は360度を超えてもよいし、第2支持部41による第2アーム51の旋回範囲は360度を超えてもよい。また、操作部71の旋回範囲は360度を超えてもよい。
【0092】
○ 操作部71を下降させたときの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材をエアシリンダ63に設けてもよい。また、操作部71を上昇させたときの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材をガイドロッド75側に設けてもよい。操作部71を上昇及び下降させたときの移動端での衝撃を緩和する衝撃緩和部材をそれぞれエアシリンダ63に設けてもよいし、ガイドロッド75に設けてもよい。
【0093】
○ 衝撃緩和部材66,67は無くてもよい。
○ 操作エア配管181、操作用分岐エア配管P、第1エア配管P1、第2エア配管P2、及び配線W4,W5の全部又は一部は、アーム型助力装置11の中空部より外側に露出していてもよい。
【0094】
○ 一対のガイドロッド75と、エアシリンダ63のピストンロッド63dは、三角形状に配置されていなくてもよい。例えば、ピストンロッド63dを一対のガイドロッド75で挟むように、ピストンロッド63dとガイドロッド75が一列に並んでいてもよい。
【0095】
○ ガイドロッド75は無くてもよい。
○ ガイドロッド75は1本でもよいし、3本以上でもよい。
○ 第3アーム61の上端は、第2アーム51における第1筒部52の上壁52aの上面より上側に位置していてもよいし、下側に位置していてもよい。
【0096】
○ 平行リンクの第1部材を駆動エアシリンダ91で構成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0097】
K1…空圧機器を構成する第1電空レギュレータ、K2…空圧機器を構成する第2電空レギュレータ、V1…空圧機器を構成する第1開閉弁、V2…空圧機器を構成する第2開閉弁、L…軸線、W3,W4,W5…配線、12…支柱、14…エア供給源、15…制御装置、21…第1支持部、31…第1アーム、35,511…基端部、36,512…先端部、41…第2支持部、45…第1部材、46…第2部材、47…第1端部、48…第2端部、51…第2アーム、61…第3アーム、63…エアシリンダ、63d…ピストンロッド、75…ガイドロッド、66,67…衝撃緩和部材、71…操作部、72…荷重センサ、81…荷保持部、91…駆動エアシリンダ、91a…シリンダチューブ、161~163…第1~第3ロック機構、181…第1エア配管。