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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】監視装置、及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20230731BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20230731BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G01D7/00 302P
G08B23/00 510D
G05B23/02 301P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019205494
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021076551
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉原 良
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-145727(JP,A)
【文献】特開平7-141019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00 - 7/12
G08B 23/00 - 31/00
G05B 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1監視対象の第1計測信号値と、前記第1監視対象と異なる第2監視対象の第2計測信号値とを取得する取得部と、
前記第1計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、前記第1計測信号値に基づき、所定色の最大色濃度と最小色濃度の間の第1色濃度と、
前記第2計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、前記第2計測信号値に基づき、前記所定色の最大色濃度と前記最小色濃度の間の第2色濃度と、を演算する色濃度演算部と、
前記第1計測信号値に応じた前記第1色濃度の第1画像領域と、第1画像領域内に表示され、前記第1計測信号値に応じて形状が変化する第1表示形態と、を有し、前記第1表示形態の表示面積よりも、前記第1画像領域の表示面積の方が大きく表示される第1表示領域の画像と、
前記第2計測信号値に応じた前記第2色濃度の第2画像領域と、第2画像領域内に表示され、前記第2計測信号値に応じて形状が変化する第2表示形態と、を有し、前記第2表示形態の表示面積よりも、前記第2画像領域の表示面積の方が大きく表示される第2表示領域の画像と、を少なくとも並べた表示画像の画像情報を生成する表示制御部と、
前記表示画像の画像情報を時系列に記憶する記憶部と、を備え、
前記表示制御部は、前記表示画像の画像情報に基づき、前記表示画像を表示部に時系列に並べて表示させる、
監視装置。
【請求項2】
前記色濃度演算部は、前記第1計測信号値の第1設定値が前記最大色濃度となり、前記第1計測信号値の第2設定値が前記最小色濃度となるように、前記第1計測信号値と前記第1色濃度との関係を正規化する演算を行う、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記表示部は、赤、緑、及び青の輝度の組み合わせで色を表現するRGBカラーモデルを使用しており、RGBカラーモデルにおける赤、緑、及び青の輝度の中の少なくとも一色の所定の最小値が前記第1設定値に対応し、所定の最大値が前記第2設定値に対応する、請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記色濃度演算部は、前記第2計測信号値の第3設定値が前記最大色濃度となり、前記第2計測信号値の第4設定値が前記最小色濃度となるように、前記第2計測信号値と前記第2色濃度との関係を正規化する演算を行い、
前記表示制御部は、
前記第1表示領域と、前記第2表示領域と、を並べて表示部に表示させる、請求項2又は3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第1計測信号値の時間変動の状態を示す数値を演算する時間変動演算部を更に備え、
前記表示制御部は、前記数値に基づく色濃度で第1変動表示領域を表示する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
前記最大色濃度に対応する前記第1設定値と、前記最小色濃度に対応する前記第2設定値と、前記第1表示領域の表示位置と、を設定する設定部を更に備える、請求項4に記載の監視装置。
【請求項7】
第1監視対象の第1計測信号値と、前記第1監視対象と異なる第2監視対象の第2計測信号値とを取得する取得部工程と、
前記第1計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、前記第1計測信号値に基づき、所定色の最大色濃度と最小色濃度の間の第1色濃度と、
前記第2計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、前記第2計測信号値に基づき、前記所定色の最大色濃度と前記最小色濃度の間の第2色濃度と、を演算する色濃度演算工程と、
前記第1計測信号値に応じた前記第1色濃度の第1画像領域と、第1画像領域内に表示され、前記第1計測信号値に応じて形状が変化する第1表示形態と、を有し、前記第1表示形態の表示面積よりも、前記第1画像領域の表示面積の方が大きく表示される第1表示領域の画像と、
前記第2計測信号値に応じた前記第2色濃度の第2画像領域と、第2画像領域内に表示され、前記第2計測信号値に応じて形状が変化する第2表示形態と、を有し、前記第2表示形態の表示面積よりも、前記第2画像領域の表示面積の方が大きく表示される第2表示領域の画像と、を少なくとも並べた表示画像の画像情報を生成する生成工程と、
前記表示画像の画像情報を時系列に記憶する記憶工程と、
前記表示画像の画像情報に基づき、前記表示画像を表示部に時系列に並べて表示させる表示制御工程と、
を備える監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視装置、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視画面では、各計測信号に対応する各指示計が一覧表示される。各指示計に対応する監視対象に危険や緊急対応の必要があるか否かは、アナログ信号回路に別途設けられた警報設定器の警報信号などを用いて別に監視される。この場合、監視機能に付帯した上下限の設定値による警報機能が利用される。
【0003】
ところが、これらの警報機能では、計測信号が上下限の設定値に至るまでの状態が、緊急対応の必要がある状態なのか否かを把握する事は困難である。また、計測信号毎に緊急を要する値が異なるので、計測信号の指示計を並べた状態での表示だけでは、各計測信号の上下限の警報設定値に至る前の予兆や傾向を把握する事が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-24869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、警報状態に至る前の予兆や傾向を把握する事が可能な監視装置、及び監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、監視装置は、取得部と、色濃度演算部と、表示制御部と、を備える。取得部は、第1監視対象の第1計測信号値を取得する。色濃度演算部は、第1計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、第1計測信号値に基づき、所定色の最大色濃度と最小色濃度の間の色濃度を演算する。表示制御部は、第1計測信号値に関する情報を示す第1表示形態と、第1計測信号値に応じた色濃度の第1画像領域とを、有する第1表示領域を表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による監視装置の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態による計測信号に基づく表示画像例を示す図。
図3】第1実施形態による2つの計測信号に基づく表示画像例を示す図。
図4】第1実施形態による計測センサからの各計測信号に基づく表示画像の例を示す図。
図5】第1実施形態による表示画像の時系列変化の例を示す図。
図6】第1実施形態による監視装置の制御方法の一例を示すフローチャート。
図7】第2実施形態による監視装置の構成を示すブロック図。
図8】第2実施形態による計測信号及び標準偏差に基づく表示画像例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る監視装置、及び監視方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る監視装置1の構成を示すブロック図である。監視装置1は、処理装置2と、入力部3と、表示部4を、備える。
【0010】
処理装置2は、計測センサS1~Snからの各計測信号に関する情報を各計測信号値に応じた色濃度で表示可能な装置であり、取得部10と、設定部20と、記憶部30と、色濃度演算部40と、表示制御部50とを、有する。この処理装置2は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部30に記憶されるプログラムを実行することにより各処理部を構成する。
【0011】
記憶部30は、監視設定記憶部32と、位置設定記憶部(並び位置設定記憶部)34と、画像記憶部36と、を有する。図1では、更に計測センサS1~Snと、信号線SLが図示される。
【0012】
入力部(監視設定部)3は、例えばマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。入力部3は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力情報を設定部20に出力する。例えば、入力部3は、最大色濃度値に対応する各計測信号の設定値、最小色濃度値に対応する各計測信号の設定値、および各計測信号に対応する表示領域の表示位置の設定、各計測信号の計測信号名の設定などを受け付ける。
【0013】
表示部4は、例えば液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。表示部4は、各種の情報を表示する。表示制御部50の制御により例えば、後述する図2乃至5の画像を表示する。表示部4は、例えば赤、緑、及び青の輝度の組み合わせで色を表現するRGBカラーモデルを使用している。
【0014】
取得部10は、各計測センサS1~Snは計測信号を取得する。計測センサS1~Snは、監視対象の物理量を計測する。例えば、本実施形態に係る計測センサS1~Snは、例えば下水道の各エンジンポンプ場における各ポンプ井の水位上昇を計測する計測センサである。この場合、計測センサS1~Snは、例えば水位をメートルの単位で計測した計測信号を出力する。なお、本実施形態ではエンジンポンプ場におけるポンプ井の水位を例に説明するがこれに限定されない。例えば、計測センサS1~Snの計測対象は、航空機における、燃料、エンジン出力、速度、高度、気圧などでもよい。また、計測センサS1~Snの計測対象は、例えば物理量であれば、関連性の無い物理量でもよい。
【0015】
設定部20は、入力部3からの入力に基づき、最大色濃度値に対応する各計測信号の設定値と、最小色濃度値に対応する各計測信号の設定値とを、記憶部30の監視設定記憶部32に設定する。また、設定部20は、各計測信号に対応する表示領域の表示位置と、計測信号名とを、位置設定記憶部34に設定する。この場合、各計測信号の全てを位置設定記憶部34に設定する必要はなく、表示部4に表示させる計測信号の表示位置を、位置設定記憶部34に設定すればよい。
【0016】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。上述のように、監視設定記憶部32は、最大色濃度値に対応する各計測信号の最大濃度設定値maxと、最小色濃度値に対応する各計測信号の最小濃度設定値minとを記憶する。位置設定記憶部34は、各計測信号に対応する表示領域の表示位置を記憶する。画像記憶部36は、後述する表示制御部50で生成された画像情報を時系列に記憶する。
【0017】
色濃度演算部40は、計測センサS1~Snの各計測信号値の変動に応じて色濃度が変動するように、各計測信号値に基づき、所定色の最大色濃度と最小色濃度の間の色濃度を演算する。ただし、最大色濃度と最小色濃度は、計測センサS1~Snによらず、同一の値を用いる。これにより、計測センサS1~Snの計測対象が、例えば関連性の無い物理量であっても、色濃度の変化範囲を同等の範囲に設定できる。
【0018】
ここで、色濃度演算部40の処理例を説明する。色濃度演算部40は、例えばRGBカラーモデルを使用して、色濃度を演算する。RGBカラーモデルでは、赤・緑・青の輝度の組み合わせで様々な色が表現される。例えば、表示部3を構成するディスプレイには一つのピクセルに24ビットまでの情報を使用している。これにより、8ビット分を赤・緑・青にそれぞれ割り当てることで色相ごとに256通りの濃度(明度)や輝度を与えることが可能となる。
【0019】
色濃度演算部40は、計測信号値の最大濃度設定値maxが最大色濃度値となり、計測信号値の最小濃度設定値minが最小色濃度値となるように、計測信号値と色濃度との関係を正規化する演算を行う。例えば、計測信号値の最大濃度設定値maxは警報の発報レベルに対応する。逆に、計測信号値の最小濃度設定値minは、例えば危険度が0のレベルに対応する。
【0020】
例えば、最大濃度設定値maxを4メートル、最小濃度設定値minを2メートルとして設定し、RGB値(255、255-X、255-X)の値を0から255とした場合、色濃度演算部40は、X=255÷(max-min)×(x-min)なる演算を行う。xは計測信号値を示す。これにより、色濃度演算部40は、計測信号値xが、最小濃度設定値の2メートルである場合、X=255÷(4-2)×(2-2)=0となり、RGB値(255、255、255)として演算する。これにより、計測信号値xが、2メートルである場合、色濃度は純白色となる。
【0021】
一方で、計測信号値xが、最大濃度設定値の4メートルである場合、X=255÷(4-2)×(4-2)=255となり、RGB値(255、0、0)として演算する。これにより、計測信号値xが、4メートルである場合、最高濃度の赤色となる。
【0022】
また、計測信号値xが4メートルより小さく、且つ2メートルより大きい場合には、Xには、0より大きく、255よりも小さな値が正規化して割振られる。例えば、計測信号値xが、3メートルである場合、X=255÷(4-2)×(3-2)≒128となり、RGB値(255、127、127)として演算する。これにより、計測信号値xが、3メートルである場合、最高濃度の赤色と、白色の中間色濃度のピンク色となる。このように、色濃度演算部40は、最小濃度設定値と最大濃度設定値との間の計測信号値を色濃度に1対1に対応して設定する。これにより、計測信号に対応する監視対象の危険度と赤色の色濃度を比例させることが可能となる。
【0023】
また、Xの値が上記計算の結果で255を超過する場合はXを255とし、0未満の場合は0とし、小数点以下を四捨五入して整数化する。なお、エラー対策処理群に関して、RGB値として着色に使用する前に行う。また、上記例ではポンプ場の水位なので、水位が高い場合が危険であるが、値が低い場合が危険な場合や中間値以外が危険な場合も、同様に実現可能であり、必要に応じて実施する。
【0024】
例えば、最大濃度設定値maxを2メートル、最小濃度設定値minを4メートルとして設定する場合、RGB値を(255、X、X)とし、X=255÷(min-max)×(x-max)なる演算を行う。xは計測信号値を示す。この場合、2メートルが警報の発報レベルであり、RGB値(255、0、0)として演算される。これにより、計測信号値xが、2メートルである場合、最高濃度の赤色となる。一方で、4メートルが危険度0のレベルであり、RGB値(255、255、255)として演算される。これにより、計測信号値xが、4メートルである場合、純白色となる。
【0025】
表示制御部50は、色濃度演算部40の演算結果と、記憶部30に記憶される情報を用いて、表示部4の表示に用いる画像情報を生成する。
図2乃至5は、表示制御部50が生成する画像情報の例を示す図である。これらの図を用いて、表示制御部50が生成する画像情報を説明する。
【0026】
図2は、計測信号に基づく表示画像例を示す図である。図2に示すように、表示制御部50は、表示領域400内に、計測信号名を表示する信号名領域402と、計測信号値に関する情報を示す表示形態404、406と、画像領域408との画像情報を生成する。
【0027】
表示領域400の大きさと画像内の位置は、位置設定記憶部34に設定された情報に基づき、設定される。信号名領域402には、計測信号に対応して位置設定記憶部34に設定された信号名、例えば「取水井水位」が表示される。
【0028】
表示制御部50は、表示形態404として、計測信号値を示す画像情報を時系列に生成し、表示部4に表示させる。また、表示制御部50は、表示形態406として、計測信号値の大きさに応じて変動する長方形の画像情報を時系列に生成し、表示部4に表示させる。表示形態406は、例えば指示計に対応する。これら表示形態404、406により、監視者は、計測信号の大きさを把握可能である。なお、表示形態404、406は、いずれか一方でもよい。或いは、計測信号値を示す画像情報を他の表示形態で示してもよい。
【0029】
表示制御部50は、色濃度演算部40により演算された計測信号値xに応じた色濃度RGB(255、255-X、255-X)値の画像を生成し、画像領域408として表示部4に表示させる。これにより、危険度を色の濃さで示すことが可能となり、危険度の視認性が向上する。また、色濃度の画像領域408を、例えば表示領域400内の25パーセント以上の領域とする。或いは、画像領域408の大きさを表示形態406よりも大きく構成する。このように、色濃度の画像領域408を、所定範囲以上とすることにより、危険度の認知時間がより短縮される。
【0030】
表示制御部50は、画像領域408を表示形態404、406と並べて表示する。これにより、表示形態404、406の情報と画像領域408の情報を同時に視認することが可能となる。なお、本実施形態において、画像領域408と表示形態404、406とを並べる状態は、画像領域408が表示形態404、406を囲む状態、および表示形態404、406が画像領域408を囲む状態を含むことを意味する。
【0031】
図3は、2つの計測信号に基づく表示画像例を示す図である。図3に示すように、表示制御部50は、第1表示領域400a内に、第1計測信号名を表示する第1信号名領域402aと、計測信号値に関する情報を示す第1表示形態404a、406aと、第1画像領域408aの画像情報とを生成する。同様に、表示制御部50は、第2表示領域400b内に、第2計測信号名を表示する第2信号名領域402bと、計測信号値に関する情報を示す第2表示形態404b、406bと、第2画像領域408bの画像情報とを生成する。これにより、危険度を同一色の色濃度で示すことが可能となる。例えば各計測信号値が全く安全であれば、純白色とし表示し、危険度が高いほど濃い赤色として表示する。このように、危険度と赤色の濃度を比例させて表示(より赤色が濃い信号を一番危険性が高い信号としている)している。このため、色の濃さを比較することにより、第1表示領域400aに対応する監視対象と、第2表示領域400bに対応する監視対象と、の危険度を容易に比較可能となる。
【0032】
図4は、計測センサS1~Snからの各計測信号に基づく表示画像500の例を示す図である。図4に示すように、表示制御部50は、各計測信号に対応する表示領域400を並べて、表示画像500として表示することも可能である。このように、各計測信号の危険度を同一色の色濃度で示すことにより、複数の信号を監視する場合にも、必要な対処の優先順位が色の濃さにより把握可能となる。これにより、対処の優先順序が明確になり対処速度を向上させ、的確で迅速かつ時間的に余裕をもった冷静な対処の機会を提供できる。このように、色濃度により統一的に危険度を認識できるので、迷いのない瞬時対処のための優先順序判断が可能となる。
【0033】
仮に、燃料低下の警報が起これば、次にエンジン出力が低下し、次に速度低下し、更に高度低下が予想され、警報の連鎖が想定できるが、これら警報は連鎖してほぼ同時に発生する事となる。この状況に至った時点で、航空機操縦者は一番高度低下への対処が最重要課題となるが、根本原因が何なのかを把握して最終的に高度回復する必要がある。但し、速度低下やエンジン出力低下やその他の計測値も無視はできない。しかしながら、警報が連鎖同時多発されれば、早急かつ適切な優先順序による対処は困難となる場合もあることが容易に予想できる。
【0034】
これに対して、本実施形態によれば、計測センサS1~Snからの各計測信号が航空機に関する燃料、エンジン出力、高度などである場合、或いはプラントの運転に関する物理量である場合にも、図4に示すように、各計測信号に対応する表示領域400を並べて、表示画像500として表示するこが可能である。
【0035】
各計測信号値に対応する危険度と色濃度を比例させて示すことができるので、航空機やプラントの運転状態の全般的傾向の瞬時把握と警報発報前の事前対処とが可能となる。また、計測信号の性質の違いや相互関連の無い信号も、同時に各計測信号に対する瞬時把握が可能となり、危険性と安全性を判断できる。
【0036】
図5は、表示画像500の時系列変化の例を示す図である。表示制御部50は、表示画像500の時系列データを生成し、表示部4に表示させる。時系列データの時間間隔は、設定部20により任意に設定可能である。例えば、2時間と設定すると、現在画像、2時間前の画像、4時間前の画像、6時間前の画像が表示される。この場合、矢印502により経過時間を容易に把握可能となる。また、例えば、1日と設定すると、現在画像、1日前の画像、2日前の画像、3日前の画像が表示される。このように、各計測信号の危険度を同一色の色の濃さで示しているので、各計測信号の時系列変化を、容易に比較可能となる。なお、各時系列画像は、同時に表示する必要はなく、順番に表示してもよい。
【0037】
上述したように、各計測信号値に対応する危険度と色濃度を比例させて画像領域408(図4)に表示させることにした。これにより、各計測信号を対象として同時に、表示領域400内のより多くの領域を常に危険度を示す情報表示に使用可能となる。このため、人間の敏感な感覚である色覚に働きかけることで、視認性を高く保つと同時に、見落としの可能性も大幅に低下させることが可能となる。このように、各計測信号の監視対象に対する対処必要事項に対して、瞬時対処のための確実な対処の優先順序判断を促すことが可能となる。
【0038】
また、各計測信号値に設けられた例えば閾値で発せられる警報、例えば故障信号が発報される前に、通常時のプラントなどにおける運転状態を示す計測信号値の全般的傾向を瞬時に把握可能となり、事前対処が容易となる。さらに、各計測信号の危険度を同一色の色の濃さで示しているので、計測信号の性質の違いや相互関連性の度合いによらず、画像領域408(図4)の色濃度の傾向が表す危険性及び安全性を、同時且つ瞬時に把握可能となる。
【0039】
図6は、監視装置1の制御方法の一例を示すフローチャートである。ここでは、エンジンポンプ場におけるポンプ井の水位を例として、各計測信号値の最大濃度設定値、及び最小濃度設定値の監視者による設定から、表示画像500(図4)を生成するまでの制御例を説明する。
【0040】
先ず、監視者は、各計測信号値に対する最大濃度設定値max、及び最小濃度設定値minを過去のデータなどを分析し、準備する(ステップS100)。
次に、監視者は、入力部3を介して、各計測信号に対応する最小濃度設定値minを入力する(ステップS102)。続けて、設定部20は、入力部3の入力に応じて、各計測信号に対応する最小濃度設定値minを記憶部30に設定する(ステップS104)。
【0041】
次に、監視者は、入力部3を介して、各計測信号に対応する最大濃度設定値maxを入力する(ステップS106)。続けて、設定部20は、入力部3の入力に応じて、各計測信号に対応する最大濃度設定値maxを記憶部30に設定する(ステップS108)。
【0042】
次に、取得部10は、計測センサS1~Snからの各計測信号を取得する(ステップS110)。
次に、色濃度演算部40は、記憶部30に設定された各計測信号に対応する最小濃度設定値minと、各計測信号に対応する最大濃度設定値maxと、取得部10が取得した各計測信号値xを用いて画像領域408(図4)毎の各色濃度RGB値(255、255-X、255-X)をX=255÷(max-min)×(x-min)なる式に従い演算する(ステップS112)。
【0043】
次に、表示制御部50は、色濃度演算部40の演算結果に基づき、画像領域408(図4)毎の各色濃度RGB値(255、255-X、255-X)を変更して表示部4に表示させる(ステップS114)。
このように、各計測信号値xに対応する最小濃度設定値min、最大濃度設定値maxを設定し、画像領域408(図4)毎の各色濃度RGB値(255、255-X、255-X)をX=255÷(max-min)×(x-min)なる式に従い演算する。これにより、各計測信号の色濃度の最大濃度と最小濃度とが同一の値となり、各計測信号の危険度を同一色の色の濃さで示すことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、設定部20が各計測信号値xに対応する最小濃度設定値min、最大濃度設定値maxを設定し、画像領域408(図4)毎の各色濃度RGB値(255、255-X、255-X)をX=255÷(max-min)×(x-min)なる式に従い演算する。これにより、各計測信号の色濃度の最大濃度と最小濃度とが同一の値となり、各計測信号の危険度を同一色の色の濃さで統一的に示すことができる。このため、人間の敏感な感覚である色覚に働きかけることで、視認性を高く保つと同時に、見落としの可能性も大幅に低下させることが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る監視装置1は、各計測信号の時間的な変動量を更に示すことが可能である点で、第1の実施形態に係る監視装置1と相違する。以下に、第1実施形態に係る監視装置1と相違する点に関して説明する。
【0046】
図7は、第2実施形態に係る監視装置1の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、第2実施形態に係る監視装置1は、時間変動演算部60を更に備える。
【0047】
設定部20は、各計測信号の最大標準偏差に対応する最小標準偏差設定値smin、最大標準偏差設定値smaxを記憶部30の監視設定記憶部32に設定する。
【0048】
時間変動演算部60は、各計測信号の時間的な変動量を演算する。例えば、時間変動演算部60は、各計測信号の時間に対する標準偏差sを演算する。
【0049】
色濃度演算部40は、計測信号値の最大標準偏差設定値smaxが最大色濃度値となり、計測信号値の最小標準偏差設定値sminが最小色濃度値sminとなるように、計測信号値と標準偏差sとの関係を正規化する演算を行う。例えば、最大標準偏差設定値を2メートル、最小濃度設定値1メートルとし、RGB値(255-X、255、255-X)の値を0から255とした場合、色濃度演算部40は、X=255÷(smax-smin)×(s-smin)なる演算を行う。これにより、色濃度演算部40は、例えば標準偏差sが、最小標準偏差設定値の1メートルである場合、X=255÷(2-1)×(1-1)=0となり、RGB値(255、255、255)として演算する。これにより、標準偏差sが、1メートルである場合、色濃度は純白色となる。
【0050】
一方で、標準偏差sが、例えば最大標準偏差設定値の2メートルである場合、X=255÷(2-1)×(2-1)=255となり、RGB値(0、255、0)として演算する。これにより、標準偏差sが、2メートルである場合、最高濃度の緑色となる。
【0051】
図8は、計測信号及び標準偏差に基づく表示画像例を示す図である。図8に示すように、表示制御部50は、表示領域400内に、色濃度RGB値(255-X、255、255-X)である変動表示領域410の画像情報を更に生成する。これにより、計測信号の時間に対する変動が大きくなるにしたがい濃い緑となるので、計測信号の時間に対する変動の状態を把握可能となる。また、赤色と緑色は補色の関係にあるので、識別がより容易になる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、設定部20が各計測信号の標準偏差sに対応する最小標準偏差設定値smin、最大標準偏差設定値smaxを設定し、変動表示領域410(図8)毎の各色濃度RGB値(255-X、255、255-X)をX=255÷(smax-smin)×(s-smin)なる式に従い演算する。これにより、各計測信号の色濃度の最大濃度と最小濃度とが同一の値となり、各計測信号の時間に対する変動度を同一色の色の濃さで統一的に示すことができる。このため、人間の敏感な感覚である色覚に働きかけることで、視認性を高く保つと同時に、見落としの可能性も大幅に低下させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1:監視装置、4:表示部、10:取得部、30:記憶部、40:色濃度演算部、50:表示制御部、60:時間変動演算部、400a:第1表示領域、400b:第2表示領域、404b、406b:第2表示形態、408a:第1画像領域、408b:第2画像領域、410:変動表示領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8