(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
F25D19/00 560Z
F25D19/00 510C
F25D19/00 530D
(21)【出願番号】P 2019211611
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 由美
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-253223(JP,A)
【文献】特開2005-140410(JP,A)
【文献】特開2017-219277(JP,A)
【文献】特開2003-121049(JP,A)
【文献】特開平09-280717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が収容された電装箱と、
可燃性冷媒が封入された冷媒管と、
前記電装箱が載置された第1の架台と、
前記第1の架台と間隔を空けて水平方向に並べて配され、上面に前記冷媒管が配設された第2の架台と、を備える冷却装置であって、
前記第2の架台の上面には、前記冷媒管の前記第1の架台側に、気体の通過を規制する離隔遮蔽壁が立設されて
おり、
前記第1の架台には、前記冷媒管が配管された凝縮器がさらに載置され、
前記凝縮器は、前記電装箱について前記離隔遮蔽壁とは異なる側に配され、
前記冷媒管の一部は、前記凝縮器において外部に露出するように配管され、
前記凝縮器と前記電装箱との間には、前記凝縮器において前記冷媒管が露出した部位に対向するように、気体の通過を規制する対向遮蔽壁が形成されている、冷却装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、底壁の周縁部に周壁が立設された機械室の内部に配されるものであって、
前記可燃性冷媒は、空気より重く、
前記離隔遮蔽壁と前記周壁との間には、気体の流通を許容する流通路が設けられている、請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却貯蔵庫の貯蔵室等を冷却するための冷却装置において、環境への配慮から、フロン系の冷媒から代替冷媒への移行が進められている。代替冷媒の多くは、主として可燃性のプロパンやイソブタン等からなるため、配管等から漏出すると引火する危険がある。冷却装置の近傍には、例えば冷却装置を構成する凝縮器に隣接するように、冷却装置の運転制御に係るリレー部品等の電気部品が収容された電装箱が配されることがあり、電装箱に可燃性冷媒が侵入すると、電気部品が着火源となって着火事故が発生する危険が高くなる。そこで、例えば下記引用文献1には、電装箱と凝縮器との間に、電装箱の側面に対向する遮蔽壁を設けた冷凍ユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された冷凍ユニットにおいて、電装箱への可燃性冷媒の侵入を一層抑制してさらなる安全性の向上を図るには、電装箱のうち凝縮器が配されない側にも、当該側の側面に対向する遮蔽壁を追加形成して、電装箱の周囲を遮蔽壁で覆うことが考えられる。しかしながら、このように電装箱を遮蔽壁で包囲すると、遮蔽壁の形成面積が大きくなってコストアップを招くだけでなく、電装箱内の発熱部品の排熱がスムーズに行えなくなって部品温度が上昇し、電気部品の故障等が誘発される虞がある。
【0005】
本明細書に開示する技術は、上記事情等を考慮して完成されたものであり、可燃性冷媒を使用する冷却装置において、電気部品の故障等を抑制しながら、安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される冷却装置は、下記(1)の構成を有する。
(1) 電気部品が収容された電装箱と、
可燃性冷媒が封入された冷媒管と、
前記電装箱が載置された第1の架台と、
前記第1の架台と間隔を空けて水平方向に並べて配され、上面に前記冷媒管が配設された第2の架台と、を備える冷却装置であって、
前記第2の架台の上面における前記冷媒管の前記第1の架台側には、気体の通過を規制する離隔遮蔽壁が設けられている。
【0007】
第1の架台と第2の架台とを備えた構成の冷却装置では、第2の架台側において可燃性冷媒が漏出した場合、漏出した可燃性冷媒が、第1の架台に載置された電装箱に向けて流れることがある。上記構成によれば、このような可燃性冷媒の流れが、離隔遮蔽壁によって規制される。この結果、離隔遮蔽壁が立設されていない構成と比較すると、可燃性冷媒が電装箱に到達して侵入する可能性を低下させることができる。ここで、離隔遮蔽壁は、第1の架台と間を空けて配された第2の架台に設けられており、電装箱から離隔しているため、電装箱に近接して遮蔽壁を設けた場合と比較して、電装箱からの熱の排出を妨げ難いものとなる。この結果、温度上昇に起因する電気部品の故障を抑制しながら、電装箱内への可燃性冷媒の侵入を低減して冷却装置の安全性を向上させることができる。なお、離隔遮蔽壁は、ごく簡易な構造で効果を発揮できるため、これを追加配設することによるコストアップも抑制できる。
【0008】
本明細書によって開示される冷却庫は、下記(2)の構成を有していてもよい。
(2) 上記(1)において、前記第1の架台には、前記冷媒管が配管された凝縮器がさらに載置され、前記凝縮器は、前記電装箱について前記離隔遮蔽壁とは異なる側に配され、前記冷媒管の一部は、前記凝縮器において外部に露出するように配管され、前記凝縮器と前記電装箱との間には、前記凝縮器において前記冷媒管が露出した部位に対向するように、気体の通過を規制する対向遮蔽壁が設けられている。
【0009】
電装箱と同じ第1の架台上に配された凝縮器から可燃性冷媒が漏出すると、漏出した可燃性冷媒が電装箱内に容易に侵入してしまう。上記構成によれば、凝縮器において可燃性冷媒が漏出し易く、また漏出した場合に特に電装箱内に可燃性冷媒が侵入し易い冷媒管の露出部位と対向するように対向遮蔽壁を設けたことで、電装箱内に侵入する可燃性冷媒を大幅に低減できる。このように、電装箱の一の面側に近接して対向遮蔽壁を設けた場合であっても、電装箱の他の面側に設けた離隔遮蔽壁は電装箱から離隔しているため、電装箱内の熱は他の面側から排出できる。この結果、電気部品の不具合等を抑制しながら、電装箱への可燃性冷媒の流入を抑制して着火事故の危険を低下させ、安全性を向上させることができる。
【0010】
本明細書によって開示される冷却庫は、下記(3)の構成を有していてもよい。
(3) 上記(1)又は(2)において、前記冷却装置は、底壁の周縁部に周壁が立設された機械室の内部に配されるものであって、前記可燃性冷媒は、空気より重く、前記離隔遮蔽壁と前記周壁との間には、気体の流通を許容する流通路が設けられている。
【0011】
空気よりも重い可燃性冷媒は、第2の架台側から漏出すると第2の架台の上面に沿って移動する。離隔遮蔽壁が周壁に当接するように設けられた構成では、第2の架台側から漏出した可燃性冷媒は、機械室の内部において離隔遮蔽壁で仕切られた第2の架台側の領域に滞留してしまうため、可燃性冷媒の濃度が高い領域が生じ易い。上記構成によれば、第2の架台の上面に沿って移動した可燃性冷媒は、流通路を通って機械室の外周部や第1の架台側にも拡散するため、可燃性冷媒の局所的な濃度上昇が抑制される。この結果、着火事故が発生する危険性が低下し、冷却装置の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書によって開示される技術によれば、可燃性冷媒を使用する冷却装置において、電気部品の故障等を抑制しながら、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る冷却装置を備えた冷却貯蔵庫の一部切欠正面図
【
図3】断熱箱体の天井壁に取り付けられた冷却装置を右前上方から見た斜視図
【
図4】断熱箱体の天井壁に取り付けられた冷却装置の平面図
【
図5】断熱箱体の天井壁に取り付けられた冷却装置を左方から見た側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態に係る冷却装置30を備えた冷却貯蔵庫R1について、
図1から
図5に基づいて説明する。以下の説明では、
図1における紙面手前側を前(正面)、右側を右、上側を上とする。
図3では、紙面左下側が前、右下側が右、紙面手前上側が上となる。なお、以下では、複数の同一部材に関し、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る冷却貯蔵庫R1は、6ドア冷蔵庫であって、前面開口型の断熱箱体10が底部に設けられた脚13によって支持され、断熱箱体10の上方に機械室20が設けられた構成である。断熱箱体10の内部は貯蔵室12とされており、貯蔵室12は、右寄りの位置に配された鉛直方向の仕切壁11により、左側の冷凍室12Fと右側の冷蔵室12Rの2室に仕切られている。なお、以下において、冷凍室12Fと冷蔵室12Rの双方に対応する構成が含まれている場合、これらを区別する場合には、前者に添え字F、後者に添え字Rを付して示し、特に区別しない場合には、添え字を付さずに記すことがある。断熱箱体10の左側に形成された冷凍室12Fの開口部には、鉛直方向の1本の仕切枠14Aが取り付けられて、左右2列に分割されている。また、冷凍室12Fから冷蔵室12Rの開口部に亘るように水平方向の1本の仕切枠14Bが取り付けられて、上下2段に分割されている。これにより、冷却貯蔵庫R1の前面には、全体として3列×上下2段、計6つの開口が形成され、各開口に扉15が装着されている。左側2列×2段の4つの扉15により閉止される空間が冷凍室12F、右側1列×2段の2つの扉15により閉止される空間が冷蔵室12Rである。冷凍室12Fや冷蔵室12Rの内部には、例えば棚板を設けて、棚板の上に貯蔵物を載置して収容するように構成できる。
【0016】
図1及び
図2に示すように、貯蔵室12の上方に設けられた機械室20は、断熱箱体10の上面に周壁21が立設されることで画成されている。周壁21は、機械室20の底壁を構成する断熱箱体10の天井壁16の前縁に沿って設けられた前壁21Aと、左右両側縁に沿って設けられた側壁21B(
図1参照)とからなり、機械室20の上面と背面は開放されている。なお、
図2の一部は、冷凍室12Fの縦断面を示している。
【0017】
図2等に示すように、機械室20の内部に、冷却装置30が配設される。
図3は、機械室20内部に設置された冷却装置30を、右上方から視た斜視図である(同図において、周壁21の図示は省略している)。
図3に示すように、本実施形態に係る冷却装置30は、第1ユニット31Fと、第2ユニット31Rと、を備える。第1ユニット31Fは、第1架台(第1の架台)32Fを有し、冷凍室12Fの上方に配される。第2ユニット31Rは、第2架台(第2の架台)32Rを有し、冷蔵室12Rの上方に配される。
【0018】
図2から
図4に示すように、本実施形態に係る冷却装置30では、第1ユニット31Fの第1架台32Fの上面に、後面に凝縮器ファン34(
図4等参照)が付設された凝縮器35や、圧縮機33等が載置される。他方、
図3及び
図4に示すように、第2ユニット31Rの第2架台32Rの上面には、これらの機器は配されず、第1ユニット31Fから連結された冷媒管38のみが配管される。
【0019】
図2及び
図5に示すように、第1架台32Fの下面には、冷凍室12F内を冷却するための第1冷却器37Fが取り付けられており、第1架台32Fを上下に貫通した冷媒管38(
図3から
図5等参照)によって圧縮機33、凝縮器35及び第1冷却器37Fが循環接続され、周知の冷凍サイクルが形成されている。冷媒管38内には、プロパンやイソブタンからなる、空気よりも重い可燃性冷媒が封入される。他方、図には表されていないが、第2ユニット31Rの第2架台32Rの下面にも、冷蔵室12R内を冷却するための第2冷却器が取り付けられており、冷媒管38によって圧縮機33、凝縮器35と循環接続され、冷凍サイクルが形成されている。冷媒管38は、圧縮機33から吐出された冷媒が第1冷却器37Fもしくは第2冷却器へと向かう吐出側冷媒管と、第1冷却器37Fもしくは第2冷却器を通過した冷媒が圧縮機33に還流される還流側冷媒管と、に分けることができる。このうち、比較的低温の冷媒が還流される還流側冷媒管には、結露を抑制するため、例えば発泡体等からなる断熱材が巻回される。吐出側冷媒管と還流側冷媒管とが並行する区間では概ね、吐出側冷媒管も断熱材中に挿入されて、両冷媒管をまとめた状態で配設される。以下、冷媒管38のうち、断熱材が巻回されていない状態で単独で配設されている部分の吐出側冷媒管を、吐出側冷媒管38Pと称することがある。
図4及び
図5等に示すように、吐出側冷媒管38Pには、第1ユニット31F上において三方弁39が設けられており、圧縮機33から吐出され凝縮器35で凝縮された可燃性冷媒が、第1冷却器37F用の吐出側冷媒管38P-Fと第2冷却器用の吐出側冷媒管38P-Rに分流されて、第1冷却器37Fのみならず第2冷却器内も循環するように構成されている。
【0020】
断熱箱体10の天井壁16のうち、冷凍室12F及び冷蔵室12Rのそれぞれの天井略中央位置には、
図1及び
図2に表されているように窓孔17F,17Rが設けられており、これらの窓孔17F,17Rを上方から塞ぐように、架台32F,32Rが配設される(
図2参照)。
図1及び
図2に示すように、窓孔17F,17Rの前縁(
図2における左側)の下側からは、冷却ダクトを兼ねたドレンパン18F,18Rが、断熱箱体10の後壁に向かって下り勾配となるように張設されて、架台32F,32Rとドレンパン18F,18Rとの間に、それぞれ第1冷却器室40Fもしくは第2冷却器室(図示せず)が形成される。架台32F,32Rが窓孔17F,17Rの上面を塞ぐように設置されると、上記した第1冷却器37F及び第2冷却器は、第1冷却器室40Fもしくは第2冷却器室内において、架台32F,32Rから吊り下げられた状態で収容される。ドレンパン18F,18Rの後側には、第1冷却器室40Fから冷凍室12F内に冷気を吹き出すための第1吹出部41Fもしくは第2冷却器室から冷蔵室12R内に冷気を吹き出すための第2吹出部が形成されている。また、ドレンパン18F,18Rの前側には、モータで駆動される庫内ファン19F,19Rが装備される。なお、
図1に表されているように、体積の大きな冷凍室12Fの天井には、冷蔵室12Rの窓孔17Rよりも大きな窓孔17Fが設けられており、冷蔵室12Rのドレンパン18Rよりも面積の大きなドレンパン18Fが取り付けられる。冷蔵室12Rのドレンパン18Rには、1つの庫内ファン19Rが取り付けられているのに対し、冷凍室12Fのドレンパン18Fには、3つの庫内ファン19Fが取り付けられている。
【0021】
冷却運転時には、圧縮機33、庫内ファン19F,19R及び凝縮器ファン34が駆動される。
図2に矢印で示すように、庫内ファン19Fが駆動されると、冷凍室12Fの空気が第1冷却器室40F内に吸引され、第1冷却器37Fを通過する間に熱交換されて生成された冷気が、第1吹出部41Fから冷凍室12F内に吹き出される。例えば、図示しない庫内サーミスタによって冷凍室12Fの温度を検知して、この検知温度が設定温度よりも低くなると、圧縮機33及び庫内ファン19Fを停止し、検知温度が設定温度よりも高くなると、圧縮機33及び庫内ファン19Fを再駆動するといった制御を繰り返すことで、冷凍室12F内がほぼ設定温度に維持されるように構成してもよい。冷蔵室12Rも、冷凍室12Fと同様にして冷却できる。なお、圧縮機33と庫内ファン19F,19Rは必ずしも同時に駆動/停止する必要はなく、冷凍室12Fもしくは冷蔵室12Rの一方の温度のみが設定温度から外れた場合には、庫内ファン19F,19Rのうち何れか一方のみを駆動もしくは停止させるようにしてもよい。
【0022】
ここで、冷却装置30の配置構成について、改めて説明する。
図3及び
図4に示すように、第1架台32F及び第2架台32Rは、略同等の寸法形状を有する平板状に形成されている。第1架台32F及び第2架台32Rには同形状の部材を用いてもよい。このように、同じ部材を架台32F,32Rの双方に使用可能とすれば、部材コストを抑制できるとともに管理等を簡素化できる。本実施形態では、架台32F,32Rの左右方向の寸法は、断熱箱体10の右側1/3程度を占めるように形成された冷蔵室12Rの左右幅と略同等で、前後方向の寸法は、断熱箱体10の前後幅よりも若干小さいものとされている。
図4等に示すように、左右方向について、第1架台32Fは冷凍室12Fの中央位置に、第2架台32Rは冷蔵室12Rの真上に、それぞれ配される。前後方向については、架台32F,32Rは何れも、天井壁16のやや後寄りの位置に、前後に隙間を空けて配される。
【0023】
第1ユニット31Fに配設される機器等について説明する。
図3から
図5に示すように、第1架台32F上面の左寄りの位置には、凝縮器35及び圧縮機33が前後に並ぶように載置される一方、
図2及び
図5に示すように、第1架台32F下面後寄りの位置に、第1冷却器37Fが取り付けられている。圧縮機33によって吐出された可燃性冷媒は、凝縮器35内を通過する間に凝縮される。可燃性冷媒が封入された吐出側冷媒管38Pは、凝縮器35内において、上下複数段に亘って水平方向に延出する直線部と、凝縮器35の左右両側面においてU字状をなすように屈曲された屈曲部38PXと、を有して蛇行配管されており、直線部に溶接接続された屈曲部38PXが、凝縮器35の左右両側面において露出されている。凝縮器35において凝縮された可燃性冷媒は、既述したように、吐出側冷媒管38Pに設けられた三方弁39で、吐出側冷媒管38P-Fと吐出側冷媒管38P-Rに分流される。このうち、第1冷却器37F用の吐出側冷媒管38P-Fは、圧縮機33の後方において、圧縮機33へと還流される還流側冷媒管を含む冷媒管38の断熱材中に挿入され、還流側冷媒管と並行しながら圧縮機33左方において立ち上げられた第1立上部38YFを通過して第1架台32Fを貫通した後、第1冷却器37Fに連結される。第1冷却器37Fから冷媒を還流させるための還流側冷媒管は、第1冷却器37Fから導出された後、既述したように、吐出側冷媒管と並行しながら第1架台32Fを貫通し第1立上部38YFを通過した後に、圧縮機33に接続される。
【0024】
図3及び
図4に示すように、第1架台32F上面の右寄りの位置には、リレー部品等の電気部品を内部に収容した電装箱51が載置される。なお、リレー部品は、冷却貯蔵庫R1に備えられた各種サーミスタ等からの信号等を中継して、冷却貯蔵庫R1の運転を制御するために必要とされる部品であるが、電装箱51内に収容される電気部品等の用途や構造は特に限定されるものではない。なお、電装箱51の左側面には、内部に収容される部品や基板等を取り付けるための取付孔や、内部に収容された部品に接続されるリード線を導通するための導通孔を含む貫通孔等が、複数穿孔されていてもよい。電装箱51の後方で圧縮機33の右方には、電装箱51よりも小型のレギュレータボックス52が載置される。レギュレータボックス52には、可燃性冷媒の漏出検知用のガスセンサの電源基板等が収容される。
【0025】
第2ユニット31Rに配設される機器等について説明する。既述したように、本実施形態では、第2架台32Rの上面には、冷媒管38を除き、冷凍サイクルや運転制御等に係る機器は配置されない。冷媒管38としては、第1ユニット31Fに配された吐出側冷媒管38Pから三方弁39において分流された第2冷却器用の吐出側冷媒管38P-Rが、第1立上部38YFの後方に配された冷媒管38の断熱材中に挿入され、吐出側冷媒管と還流側冷媒管とが並行しながら、
図3及び
図4に示すように、第1架台32Fの後方を通り、天井壁16の後縁に沿って第2架台32Rの後左端に至るように配設される。そして、第2架台32Rの左寄りの位置において上方に立ち上げられた第2立上部38YRを通過して第2架台32Rを貫通した後に、第2架台32Rの下面に取り付けられた第2冷却器と循環接続される。
【0026】
さて、本実施形態に係る冷却装置30では、
図3及び
図4に示すように、第2架台32Rの第1架台32F側の側縁、すなわち左側縁の全長に沿って、気体の通過を規制する離隔遮蔽壁61が立設されている。離隔遮蔽壁61には、例えば金属製の板材等を必要に応じて折り曲げたもの等を使用できる。離隔遮蔽壁61は、気体の通過を規制できるものであれば材質は特に限定されないが、安全性等を考慮すると、難燃性の材料で形成することが好ましい。本実施形態に係る離隔遮蔽壁61は、第2立上部38YRと略同等の高さを有し、第2架台32Rと略同等の前後幅を有する略矩形平板状の概形をなす。離隔遮蔽壁61は、左方に折り曲げられた下縁部を第2架台32Rの左側縁に合わせてネジ止めすることにより、第2架台32Rに固着されている。また、前後の縁部も左方に折り曲げられることにより、補強されている。既述したように、第2架台32Rの前後幅は、機械室20底壁(天井壁16)の前後幅よりも小さく、第2架台32Rは、
図4等に示すように、離隔遮蔽壁61の前端と前壁21Aとの間に隙間S1が存在するように、機械室20内に配されている。隙間S1は、気体の流通が可能な流路として機能するものであり、離隔遮蔽壁61の前に隙間S1が設けられていることで、機械室20内の空気が循環可能とされる。
【0027】
本実施形態に係る冷却装置30ではさらに、
図3及び
図4に示すように、第1ユニット31Fの上面に、凝縮器35と電装箱51との間において電装箱51の左側面と対向するように、気体の通過を規制する対向遮蔽壁62が配設されている。対向遮蔽壁62は、気体の通過を規制できるものであれば材質は特に限定されず、離隔遮蔽壁61と同様の材料で形成できる。例えば金属製の板材等を必要に応じて折り曲げたもの等を使用できる。本実施形態に係る対向遮蔽壁62は、電装箱51の後面よりもやや後方から、第1架台32Fの前縁に至る前後幅と、凝縮器35及び電装箱51とほぼ同じ高さと、を有する略矩形平板状の鉛直部62Aと、鉛直部62Aの前寄り位置の上端が水平に屈曲形成された水平部62Bと、を有する。鉛直部62Aの下縁部は屈曲されており、この下縁部が第1架台32F上面の適当な位置にネジ止めされることにより、対向遮蔽壁62が第1架台32Fに固着されている。鉛直部62Aの前寄りの部分は、ほぼ隙間なく電装箱51の左側面全域に沿ってこれを覆う一方、後寄りの部分は、電装箱51の後端から電装箱51側に折り曲げられている。水平部62Bは、凝縮器35の上面にネジ止めされ、凝縮器35の右側面において露出する冷媒管38の屈曲部38PXの上方を覆うように配設されている。
【0028】
以上記載したように、本実施形態に係る冷却装置30は下記のような構成を有しており、次のような作用効果を得ることができる。
リレー部品(電気部品)が収容された電装箱51と、可燃性冷媒が封入された冷媒管38と、電装箱51が載置された第1架台(第1の架台)32Fと、第1架台32Fと間隔を空けて水平方向に並べて配され、上面に冷媒管38が配設された第2架台(第2の架台)32Rと、を備える冷却装置30であって、第2架台32Rの上面における冷媒管38の第1架台32F側には、気体の通過を規制する離隔遮蔽壁61が設けられている。
【0029】
第1架台32Fと第2架台32Rとを備えた冷却装置30では、第2架台32R側において可燃性冷媒が漏出した場合、漏出した可燃性冷媒が、第1架台32Fに載置された電装箱51に向けて流れることがある。上記構成によれば、このような可燃性冷媒の流れが、離隔遮蔽壁61によって規制される。この結果、離隔遮蔽壁61が立設されていない構成と比較すると、可燃性冷媒が電装箱51に到達して侵入する可能性を低下させることができる。ここで、離隔遮蔽壁61は、第1架台32Fと間を空けて配された第2架台32Rに立設されており、電装箱51から離隔して配されることとなるため、電装箱51に近接して遮蔽壁を設けた場合と比較して、電装箱51からの熱の排出を妨げ難いものとなる。この結果、温度上昇に起因する電気部品の故障を抑制しながら、電装箱51内への可燃性冷媒の侵入を低減して冷却装置30の安全性を向上させることができる。離隔遮蔽壁61は、簡易な構造で効果を発揮できるため、これを追加配設することによるコストアップも抑制できる。
【0030】
本実施形態に係る冷却装置30において、第1架台32Fには、冷媒管38が配管された凝縮器35がさらに載置され、凝縮器35は、電装箱51について離隔遮蔽壁61とは異なる側に配され、屈曲部38X(冷媒管38の一部)は、凝縮器35において外部に露出するように配され、凝縮器35と電装箱51との間には、屈曲部38Xが露出した部位に対向するように、気体の通過を規制する対向遮蔽壁62が設けられている。
【0031】
電装箱51と同じ第1架台32F上に配された凝縮器35から可燃性冷媒が漏出すると、漏出した可燃性冷媒が電装箱51内に容易に侵入してしまう。上記構成によれば、凝縮器35において可燃性冷媒が漏出し易く、また漏出した場合に電装箱51内に特に可燃性冷媒が侵入し易い冷媒管の露出部位(屈曲部38X)と対向するように対向遮蔽壁62を設けたことで、電装箱51内に可燃性冷媒が侵入する危険性を大幅に低減できる。このように、電装箱51の一の面側に近接して対向遮蔽壁62を設けた場合であっても、電装箱51の他の面側に設けた離隔遮蔽壁61は電装箱51から離隔しているため、電装箱51内の熱を電装箱51の他の面側から排出できる。この結果、電装箱51内の温度上昇に起因する電気部品の不具合等を抑制しながら、電装箱への可燃性冷媒の流入を抑制して着火事故の危険を低下させ、安全性を向上させることができる。なお、第1架台32F上には、凝縮器ファン34が配されており、これが駆動されている間は、例え可燃性冷媒が漏出したとしても、漏出した可燃性冷媒は対流によって拡散されるため、第1架台32F上に滞留して部分的に高濃度となったり、電装箱51に流入したりする可能性は、比較的低くなる。すなわち、対向遮蔽壁62は、凝縮器ファン34が適宜停止されるような構成の冷却装置30において、特に効果的に機能する。
【0032】
本実施形態に係る冷却装置30は、底壁の周縁部に周壁21が立設された機械室20の内部に配されるものであって、前記可燃性冷媒は、空気より重く、離隔遮蔽壁61と前壁21A(周壁21)との間には、気体の流通を許容する隙間(流通路)S1が設けられている。
【0033】
空気よりも重い可燃性冷媒は、第2架台32R側から漏出すると第2架台32Rの上面に沿って移動する。離隔遮蔽壁61を周壁21に当接するように設けた構成では、第2架台32R側から漏出した可燃性冷媒が、機械室20の内部において離隔遮蔽壁61で仕切られた第2架台32R側の領域に滞留するため、可燃性冷媒の濃度が高い部分が生じ易くなる。上記構成によれば、第2架台32Rの上面に沿って移動した可燃性冷媒は、隙間S1を通って機械室20の外周部や第1架台32F側にも拡散し循環するため、可燃性冷媒の局所的な濃度上昇が抑制される。この結果、着火事故が発生する危険性が低下し、冷却装置30の安全性を高めることができる。
【0034】
<その他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0035】
(1)上記実施形態では、離隔遮蔽壁が第2の架台の一側縁の全長に沿って立設されるものとしたが、このようなものに限定されない。離隔遮蔽壁は、第2の架台に配設された冷媒管の他の側にも設けられていてもよい。具体的には、
図6の変形例に示すように、第1ユニット31Fと第2ユニット231Rとを備える冷却装置230において、第2架台32Rの左側縁(第1架台32F側の側縁)に沿って立設した側面部261Aと、前縁に沿って立設した前面部261Bと、後縁に沿って立設した後面部261Cと、からなる離隔遮蔽壁261を設け、第2架台32Rの上面を三方から取り囲むことが考えられる。この場合、第2架台32R側で漏出した可燃性冷媒を、機械室の右側壁に設けた換気口等から外部に流出させるようにしてもよい。或いは、特に可燃性冷媒が漏出し易い部分の第1の架台側のみに設けられていてもよい。例えば、第2立上部38YRは、冷媒管38を構成する複数の配管を溶接接続して形成されており、溶接部分に亀裂等が生じることによって可燃性冷媒が漏出する虞が比較的高い部分と言える。具体的には、
図7の他の変形例に示すように、第1ユニット31Fと第2ユニット331Rとを備える冷却装置330において、第2架台32Rに配された冷媒管38のうち第2立上部38YRの溶接部分を三方から取り囲むように、第2架台32Rの左側縁(第1架台32F側の側縁)の一部に沿って側面部361Aを、第2立上部38YRの前方に前面部361Bを、同後方に361Cを立設して、離隔遮蔽壁361を形成してもよい。なお、冷却装置230,330は、離隔遮蔽壁261,361を除き、実施形態に記載した冷却装置30と同じ構成を有するものとする。
【0036】
(2)上記実施形態では、離隔遮蔽壁が平板状の概形をなす場合について記載したが、このようなものに限定されない。上記した離隔遮蔽壁261,361のように、複数の平板状部材を組み合わせて離隔遮蔽壁を構成しても構わない。また、離隔遮蔽壁は、部分的に、或いは全体的に、湾曲していたり、凹凸が設けられていたりしてもよい。
【0037】
(3)上記実施形態では、底壁の左右側縁と前縁に周壁が立設されてなる機械室について記載したが、これに限定されない。例えば、底壁の後縁にも周壁が立設されて、機械室の四方が周壁によって包囲されるように構成してもよい。特にこのような場合、機械室内の空気を循環させる観点からは、離隔遮蔽壁の前後等に複数の流通路(隙間)が設けられていることが望ましいが、一の流通路が設けられているだけでも、可燃性冷媒を拡散させる効果を得ることができる。
【0038】
(4)上記実施形態では、矩形平板状の概形をなす離隔遮蔽壁と、対向遮蔽壁の鉛直部とが、電装箱を挟んだ左右において略前後方向に延在するように配される場合について記載したが、このようなものに限定されない。例えば、第1の架台において、凝縮器等を前側に、電装箱を後側に載置して、これらの間に左右方向に延在するように対向遮蔽壁を設けてもよい。この場合、凝縮器から漏出した可燃性冷媒を、機械室の前壁に設けた換気口等から流出させるようにしてもよい。或いは、凝縮器等を後側に配設して、機械室の後面から可燃性冷媒が流出し易いように構成してもよい。
【0039】
(5)上記実施形態では、冷却装置が、第1架台32Fと第2架台32Rの2つの架台を備えるものとしたが、これに限定されず、3つ以上の架台を備えるものであってもよい。また、上記実施形態では、第2の架台に圧縮機や凝縮器が配されない場合について記載したが、このようなものに限定されない。第1の架台のみならず第2の架台上にも圧縮機や凝縮器等が配設された構成の冷却装置にも、本技術は適用可能である。
【0040】
(6)上記実施形態では、6ドアの冷凍冷蔵庫に用いられる冷却装置について記載したが、このようなものに限定されない。本技術に係る冷却装置は、複数の架台を備えており、異なる温度に冷却される複数の貯蔵室を備えた冷却庫に使用するのに適しているが、単独の貯蔵室を備える冷却庫や、複数の貯蔵室が同じ設定温度に冷却される冷却庫等にも、適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
R1…冷却貯蔵庫、10…断熱箱体、12F…冷凍室、12R…冷蔵室、16…天井壁、20…機械室、21…周壁、21A…前壁、21B…側壁、30,230,330…冷却装置、31F…第1ユニット、31R…第2ユニット、32F…第1架台(第1の架台)、32R…第2架台(第2の架台)、33…圧縮機、34…凝縮器ファン、35…凝縮器、37F…第1冷却器、38…冷媒管、38PX…屈曲部、38YF…第1立上部、38YR…第2立上部、39…三方弁、51…電装箱、61,261,361…離隔遮蔽壁、62…対向遮蔽壁、S1…隙間(流通路)