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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】真空包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
B65B31/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019227846
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095176
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 義之
(72)【発明者】
【氏名】金築 陽太
(72)【発明者】
【氏名】横山 千穂
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150759(JP,A)
【文献】特開平10-016916(JP,A)
【文献】特開平05-162703(JP,A)
【文献】特開2019-142511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバベースの上側をチャンバカバーにより開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバと、
前記チャンバベースに上下動可能に設けた下側ブロック、前記チャンバカバーに設けた上側ブロック、及び、前記下側ブロックを昇降させる昇降機構を有し、前記昇降機構により前記下側ブロックを前記上側ブロックに押圧することによって前記包装袋の開口周縁部を挟持した状態で、前記包装袋の開口周縁部を封止して前記包装袋を密封する封止装置と、
前記チャンバ内の密閉空間を脱気して負圧化させる真空ポンプと、
前記チャンバ内の圧力を検出する真空センサと、
前記真空ポンプを作動させることによって前記チャンバカバーを前記チャンバベースに負圧吸引させた状態で前記チャンバ内を負圧化させ、前記チャンバ内が所定の設定圧力以下となる、または、前記チャンバ内の負圧化を開始後に所定の設定時間が経過すると、前記封止装置により前記包装袋の開口周縁部を封止するように制御して前記包装袋を真空包装するための包装プログラムを有した制御装置とを備えた真空包装機であって、
前記包装プログラムは、前記真空ポンプを作動開始後に、前記真空センサにより検出される検出圧力が、前記下側ブロックを前記上側ブロックに押圧した状態でも前記チャンバカバーが前記チャンバベースに負圧吸引されて、前記チャンバカバーが開放されずに前記包装袋の開口周縁部を前記封止装置により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力以下となるのを判定する封止可能圧力判定手段と、
前記封止可能圧力判定手段により前記封止可能圧力以下となったと判定されると、前記チャンバ内が所定の設定圧力以下となる前、または、前記設定時間の経過前であっても、前記封止装置により前記包装袋の開口周縁部を封止不可な状態から封止可能な状態に遷移させる状態遷移手段とを含むことを特徴とする真空包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記封止装置に前記包装袋の開口周縁部を封止させるための操作信号を出力する操作スイッチを有する操作パネルを備え、
前記制御装置は、前記状態遷移手段によって前記包装袋の開口周縁部を封止可能な状態に遷移させたときに、前記操作スイッチが操作可能な状態であることを前記操作パネルに表示するように制御したことを特徴とする真空包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内を真空ポンプにより脱気して負圧化させ、チャンバ内に収容した包装袋の開口周縁部を封止装置によって封止することにより、包装袋内を脱気した状態にて密封する真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には食材、調理物等の被包装物を入れた包装袋を真空包装する真空包装機が開示されている。この真空包装機は、チャンバベースの上側をチャンバカバーにより開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバと、チャンバ内に設けられて包装袋の開口周縁部を熱溶着によって封止する封止装置と、ケーシングの下部にチャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備えている。封止装置は、チャンバベースに上下動可能に設けた下側ブロックと、チャンバカバーに設けた上側ブロックと、下側ブロックを昇降させる昇降機構と、下側ブロックに設けられて包装袋を熱溶着させるヒータとを備えている。チャンバ内に収容した包装袋の開口周縁部は、昇降機構により上昇する下側ブロックが上側ブロックに押圧されることで挟持され、下側ブロックのヒータの熱で溶着されて封止される。
【0003】
この真空包装機は真空ポンプと封止装置の作動を制御する制御装置を備えており、制御装置のメモリにはチャンバ内に収容した包装袋を真空包装する包装プログラムが記憶されている。包装プログラムの実行によって、チャンバ内は真空ポンプによって設定した真空度となるまで脱気され、チャンバ内の包装袋内も脱気される。チャンバ内の包装袋が脱気された後で、包装袋の開口周縁部は封止装置の下側及び上側ブロックにより挟持された状態でヒータの加熱によって溶着されて封止され、包装袋は脱気された状態で密封されることによって真空包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-150759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の真空包装機の包装プログラムは、チャンバ内を設定した真空度となるまで脱気した後で、包装袋の開口周縁部を封止装置の下側ブロックと上側ブロックとで挟持した状態でヒータの加熱によって溶着して封止している。この真空包装機を使用するユーザによっては、チャンバ内を設定した真空度となる前であっても十分に脱気されていると考え、チャンバ内を設定した真空度に脱気する途中に包装袋の開口周縁部を封止して、包装袋の真空包装を終了させたいときがある。しかし、特許文献1の真空包装機の包装プログラムは、設定した真空度となる前に包装袋の開口周縁部を封止することができないばかりか、仮に、設定した真空度となる前に包装袋の開口周縁部を封止できるようにしても、チャンバカバーがチャンバベースに十分に負圧吸引されていないタイミングで、封止装置の下側ブロックを上昇させて上側ブロックに押圧させると、十分に負圧吸引されていないチャンバカバーがチャンバベースから開放され、包装袋を封止できないおそれがあった。本発明は、チャンバカバーが上昇する下側ブロックによって開かないタイミングで、包装袋の開口周縁部を封止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、チャンバベースの上側をチャンバカバーにより開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバと、チャンバベースに上下動可能に設けた下側ブロック、チャンバカバーに設けた上側ブロック、及び、下側ブロックを昇降させる昇降機構を有し、昇降機構により下側ブロックを上側ブロックに押圧することによって包装袋の開口周縁部を挟持した状態で、包装袋の開口周縁部を封止して包装袋を密封する封止装置と、チャンバ内の密閉空間を脱気して負圧化させる真空ポンプと、チャンバ内の圧力を検出する真空センサと、真空ポンプを作動させることによってチャンバカバーをチャンバベースに負圧吸引させた状態でチャンバ内を負圧化させ、チャンバ内が所定の設定圧力以下となる、または、チャンバ内の負圧化を開始後に所定の設定時間が経過すると、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止するように制御して包装袋を真空包装するための包装プログラムを有した制御装置とを備えた真空包装機であって、包装プログラムは、真空ポンプを作動開始後に、真空センサにより検出される検出圧力が、下側ブロックを上側ブロックに押圧した状態でもチャンバカバーがチャンバベースに負圧吸引されて、チャンバカバーが開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力以下となるのを判定する封止可能圧力判定手段と、封止可能圧力判定手段により封止可能圧力以下となったと判定されると、チャンバ内が所定の設定圧力以下となる前、または、設定時間の経過前であっても、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止不可な状態から封止可能な状態に遷移させる状態遷移手段とを含むことを特徴とする真空包装機を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した真空包装機においては、包装プログラムの実行時に、封止可能圧力判定手段によって、真空センサにより検出される検出圧力が、下側ブロックを上側ブロックに押圧した状態でもチャンバカバーがチャンバベースに負圧吸引されて、チャンバカバーが開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力以下になったと判定されるまでは、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止不可な封止不可状態が維持される。これによって、チャンバカバーがチャンバベースに十分に負圧吸引されない状態では、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止できないように制御され、下側ブロックを上側ブロックに押圧することに起因してチャンバカバーがチャンバベースから開放されるのを防ぎ、包装袋が封止できなくなるのを防ぐことができる。
【0008】
包装プログラムの実行時に、封止可能圧力判定手段によって、真空センサにより検出される検出圧力が下側ブロックを上側ブロックに押圧した状態でもチャンバカバーがチャンバベースに負圧吸引されて、チャンバカバーが開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力以下となったと判定されると、チャンバ内が所定の設定圧力以下となる前、または、設定時間の経過前であっても、状態遷移手段によって、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止不可な状態から封止可能な状態に遷移する。この状態では、チャンバカバーがチャンバベースに十分に負圧吸引されているので、封止装置により包装袋の開口周縁部を封止するときに、下側ブロックを上側ブロックに押圧させても、チャンバカバーがチャンバベースから開放されない。これにより、チャンバの脱気を中止して包装袋の開口周縁部を封止させても、チャンバカバーがチャンバベースから開放されることがなく、包装袋を確実に真空包装できるようになる。
【0009】
上記のように構成した真空包装機においては、封止装置に包装袋の開口周縁部を封止させるための操作信号を出力する操作スイッチを有する操作パネルを備え、制御装置は、状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部を封止可能な状態に遷移させたときに、操作スイッチが操作可能な状態であることを操作パネルに表示するように制御するのが好ましい。このようにしたときには、状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部が封止可能な状態に遷移されて、操作スイッチにより操作できる状態となったことを操作パネルで視認できるので、ユーザが状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部が封止可能な状態に遷移されて操作スイッチにより操作できる状態となったことを簡単に知ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の真空包装機の斜視図である。
図2図1のチャンバカバーを開放した状態の斜視図である。
図3】A-A断面図である。
図4】真空包装機の概略図である。
図5】操作パネルの拡大斜視図である。
図6】制御装置のブロック図である。
図7】包装プログラムを示すフローチャートである。
図8】封止不可状態のときの操作パネルを示す図(a)、封止可能状態のときの操作パネルを示す図(b)である。
図9】設定時間の経過によりチャンバ内の脱気を終了する包装プログラムを示すフローチャートである。
図10図9のフローチャートの包装プログラムを実行しているときの、封止不可状態のときの操作パネルを示す図(a)、封止可能状態のときの操作パネルを示す図(b)、封止可能状態のときの真空度の数値表示を省略した(b)に相当する図(c)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の真空包装機の一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1図4に示したように、本発明の真空包装機10は、チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、チャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を封止装置30によって封止することにより、包装袋内を脱気した状態にて密封して真空包装するものである。真空包装機10は、ケーシング11の上部に設けられたチャンバ20と、チャンバ20内にて包装袋の開口周縁部を密封する封止装置30と、ケーシング11でチャンバ20の下側となる下部にチャンバ20内を脱気して負圧化させる真空ポンプ40とを備えている。
【0012】
図1図3に示したように、ケーシング11は略直方体形状をし、ケーシング11の上部にはチャンバ20が設けられている。チャンバ20は、ケーシング11の上部に設けたチャンバベース21と、チャンバベース21の上側で水平軸線回りに回動可能に支持されたチャンバカバー22とを備え、チャンバベース21の上側をチャンバカバー22により開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されている。
【0013】
図2に示したように、チャンバベース21は、上面が開口した浅い箱形をし、ステンレス等の板金部材をプレス加工によって形成したものである。図3に示したように、チャンバベース21の前部には他の部分より浅く形成された段部21aが形成されており、段部21aの上側には封止装置30を構成する下側ブロック31が上下に移動可能に設けられている。
【0014】
図1及び図2に示したように、チャンバカバー22は、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル材等の透明性のある材料を用いた蓋体であり、チャンバベース21との間に包装袋を収容する密閉空間を形成するものである。チャンバカバー22の後端部はケーシング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に軸支されており、チャンバカバー22の前部は上下に回動可能となっている。図1に示したように、チャンバカバー22は水平位置にあるときにはチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置となっている。図2に示したように、チャンバカバー22の前部を上側に回動させると、チャンバカバー22は傾斜位置になってチャンバベース21の上面を開放する開放位置となる。
【0015】
図2及び図3に示したように、チャンバカバー22の下面の周縁部にはシール部材としてゴム製のパッキン23が設けられており、パッキン23はチャンバカバー22を閉じて閉塞位置としたときにチャンバベース21とチャンバカバー22との間を気密にシールする。ケーシング11の後部にはガススプリング(付勢部材)12が設けられている。ガススプリング12は、チャンバカバー22の前部を上方に付勢しており、チャンバカバー22をチャンバベース21から開放する開放位置に付勢している。ケーシング11の右側面の前端部にはストッパ13が水平軸線回りに回動可能に設けられており、ストッパ13はチャンバカバー22の前部上面に係止して、チャンバカバー22が開放位置に回動するのを防ぐ機能を有している。
【0016】
図4に示したように、ケーシング11の後部にはチャンバカバー22の開閉状態を検知するカバー開閉検知器14が設けられている。カバー開閉検知器14はリードスイッチ等の近接スイッチを用いたものであり、チャンバカバー22の後部にはカバー開閉検知器14によりチャンバカバー22が閉止状態であることを検知させる磁石15が設けられている。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置にあるときには、磁石15はカバー開閉検知器14に近接して、カバー開閉検知器14はオン信号を出力することで閉止状態を検知する。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を開放する開放位置にあるときには、磁石15はカバー開閉検知器14から離間し、カバー開閉検知器14はオフ信号を出力することで開放状態を検知する。
【0017】
図3及び図4に示したように、チャンバ20の前部には封止装置30が設けられている。封止装置30はチャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を熱溶着によって封止して包装袋を密封するものである。封止装置30は包装袋の開口周縁部を挟持する下側及び上側ブロック31,32を備えている。下側ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース21の段部21aの上側に着脱可能かつ上下に移動可能に支持されている。下側ブロック31の上面にはニクロム材よりなる帯板形状のヒータ33が設けられている。上側ブロック32は弾性変形可能なシリコーン製のブロック体よりなり、下側ブロック31の上側に対向する位置にて、チャンバカバー22の下面前部に取り付けられている。
【0018】
図3及び図4に示したように、チャンバベース21の段部21aの下面には下側ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34が設けられている。各昇降機構34はチャンバベース21の段部21aの底壁を貫通する支持軸35と、支持軸35を上下動させる昇降シリンダ36とを備えている。図4に示したように、支持軸35の軸方向の中間部には鍔部37が設けられており、鍔部37は昇降シリンダ36内を上部空間36aと下部空間36bとに気密に仕切っている。昇降シリンダ36の上部空間36aには支持軸35の外周にばね部材38が介装されており、ばね部材38は鍔部37を介して支持軸35を下側に付勢している。
【0019】
図3及び図4に示したように、ケーシング11内の下部には真空ポンプ40が設けられている。真空ポンプ40は、主としてチャンバ20内を吸引し、チャンバ20内の密閉空間の空気を排気して、チャンバ20内を負圧吸引するものである。真空ポンプ40は油によりロータ、ステータ、翼板等の部品の間の気密及び無効空間の減少を図っている容積位相式真空ポンプである。
【0020】
図4に示したように、ケーシング11内には真空ポンプ40とチャンバ20とを接続する吸引管(吸引経路)41が設けられており、吸引管41には真空弁42が介装されている。チャンバ20内の空気は真空弁42の開放によって真空ポンプ40により吸引可能となる。吸引管41にはチャンバ20と真空弁42との間に外気を導入する外気導入管43が接続されており、外気導入管43は第1管部43aと、第1管部43aから分岐した第2管部43bとを備えている。第1及び第2管部43a,43bにはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁44,45が介装されている。第1外気導入弁44は第2外気導入弁45より弁口径が大きく形成されており、第1外気導入弁44を開放したときにはチャンバ20内に速く外気が導入され、第2外気導入弁45を開放したときには、第1外気導入弁44を開放したときよりもチャンバ20内にゆっくりと外気が導入される。
【0021】
吸引管41には外気導入管43の第1管部43aを介して圧力検出管46が接続されており、圧力検出管46にはチャンバ20の圧力を検出する真空センサ47が設けられている。チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気していないときには、真空センサ47により検出されるチャンバ20内の圧力は大気圧と同じ100kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、真空センサ47により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。なお、真空センサ47によって直接検出されるのはチャンバ20内の圧力であるが、以後の説明では、真空センサ47によって検出された圧力をチャンバ20内の真空度Pに置き換えて説明をする。
【0022】
吸引管41には真空ポンプ40と真空弁42との間からシリンダ管48が分岐しており、シリンダ管48は昇降シリンダ36の上部空間36aに接続されている。シリンダ管48には三方弁49が介装されており、三方弁49の2つのポートはシリンダ管48の真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側に接続され、三方弁49の残る1つのポートは外気側に開放されている。三方弁49の真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側を連通状態で真空ポンプ40を作動させると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化され、支持軸35はばね部材38の付勢力に抗して上昇する。三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通状態にすると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化されないようになり、支持軸35はばね部材38の付勢力によって下降する。
【0023】
図3及び図4に示したように、チャンバ20には収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知部50が設けられている。膨らみ検知部50はチャンバカバー22の下面前部に水平軸線回りに回動可能に支持された膨らみ検知板51と、膨らみ検知板51の後端に固定した磁石52と、磁石52を介して膨らみ検知板51の位置を検出するリードスイッチ等の近接スイッチよりなる膨らみ検知器53とを備えている。
【0024】
膨らみ検知板51は下側及び上側ブロック31,32と同様に左右方向に広がる帯板形状をしている。膨らみ検知板51は、チャンバカバー22の下面の上側ブロック32の直ぐ後側に配置され、後側が上下動するように前部が水平軸線回りに回動可能に支持されている。膨らみ検知板51の左端部の後端には磁石52が固定されており、磁石52は膨らみ検知板51の回動によって上下動する。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんでいないときには、膨らみ検知板51は斜め下方に傾斜しており、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の下部に位置(下位置)する(図3及び図4の実線にて示した)。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんだときには、膨らみ検知板51は膨らんだ包装袋によって持ち上げられて回動し、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の上部に位置(上位置)する(図3及び図4の二点鎖線で示した)。
【0025】
膨らみ検知器53は、包装袋が膨らんだときに上側に回動する膨らみ検知板51の後端の磁石52の位置を検知することで包装袋の膨らみを検知するものである。膨らみ検知器53はチャンバベース21の外側にて上位置となった膨らみ検知板51の磁石52に対向する位置に配置されている。包装袋が膨らんでなくて膨らみ検知板51の磁石52が下位置にあるときには、膨らみ検知器53は下位置にある磁石52が離間していることでオフ信号を出力する。包装袋が膨らんで膨らみ検知板51の磁石52が上位置にあるときには、膨らみ検知器53は上位置にある磁石52が近接することでオン信号を出力する。
【0026】
図1及び図2に示したように、ケーシング11の前面には操作パネル60が設けられており、操作パネル60には各種操作スイッチ61と、液晶パネルよりなる表示パネル62とが設けられている。図5に示したように、操作スイッチ61は第1~第6操作スイッチ61a~61fを備えている。第1操作スイッチ61aは包装プログラムを実行可能な状態と実行不可な状態とを切り替える操作スイッチである。第2操作スイッチ61bは表示パネル62にて選択項目を決定する操作スイッチである。第3操作スイッチ61cは水抜き運転プログラムを実行するための操作スイッチである。第4操作スイッチ61dは表示パネル62にて表示されている階層を1つ上の階層に戻すための操作スイッチである。第5及び第6操作スイッチ61e,61fは表示パネル62にて表示される各種選択項目を選択するのに用いる操作スイッチである。また、第6操作スイッチ61fは、後述するチャンバ20内の脱気による負圧化を中止して、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止する操作にも用いられる。
【0027】
真空包装機10は制御装置70を備えており、図6に示したように、この制御装置70はカバー開閉検知器14と、ヒータ33と、真空ポンプ40と、真空弁42と、第1及び第2外気導入弁44,45と、真空センサ47と、三方弁49と、膨らみ検知器53と、操作パネル60とに接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0028】
制御装置70は、包装袋を脱気した状態で密封して真空包装する包装プログラムがROMに記憶されている。制御装置70のROMには、常温以下の温度の食材及び調理物の包装に適した通常の包装プログラムと、常温より温度の高い食材及び調理物の包装に適したホットパック用の包装プログラムとが記憶されている。通常の包装プログラムとホットパック用の包装プログラムの各々は真空度等の制御条件の異なる複数の包装プログラムが設定されており、真空度等の制御条件を調理物に応じて変更可能としている。
【0029】
通常の包装プログラムは、真空ポンプ40を作動させることによってチャンバカバー22をガススプリング(付勢部材)12の付勢力に抗してチャンバベース21に負圧吸引させた状態でチャンバ20内を負圧化させ、チャンバ20内が設定真空度Py以上(設定圧力以下)となると、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止するように制御して包装袋を真空包装するものである。この通常の包装プログラムは、さらに、チャンバ20内を設定真空度Py以上(設定圧力以下)に負圧化させるまでに、チャンバ20内の設定真空度Py以上に負圧化させる処理をスキップ可能として、チャンバ20内を設定真空度Pyに負圧化させる前であっても、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止できるようにしたものである。
【0030】
通常の包装プログラムを図7に示したフローチャートにより説明する。包装プログラムの実行前は、真空弁42、第2外気導入弁45が閉止状態となっており、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とが連通されている(真空ポンプ40側が閉止状態となっている)。また、包装プログラムを開始させた直後は、操作パネル60の操作スイッチ61(第6操作スイッチ61f)を操作しても、包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止不可な状態(以下、封止不可状態とも記す)が維持されている。
【0031】
通常の包装プログラムを実行するときに、操作パネル60の操作スイッチ61を操作して通常の包装プログラムを選択した状態では、図7に示したように、制御装置70は、ステップ101にて、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されたか否かを判定している。チャンバカバー22が閉じられるまでは、カバー開閉検知器14からオン信号が入力されないので、制御装置70はステップ101にてNOと判定して包装プログラムを終了する。チャンバカバー22が閉じられるまで、制御装置70がステップ101の判定処理でNOの判定を繰り返し実行しており、包装袋B(図3の二点鎖線で示した)の開口周縁部が下側ブロック31の上側に載るようにして、包装袋Bをチャンバベース21に寝かせて置き、チャンバカバー22が閉じられて磁石15がカバー開閉検知器14に接近すると、カバー開閉検知器14から制御装置70にオン信号が入力され、制御装置70はステップ101にてYESと判定してステップ102に進める。
【0032】
制御装置70は、ステップ102にて、真空弁42を開放させ、第1外気導入弁44を閉止させるとともに真空ポンプ40を作動させると、チャンバカバー22がガススプリング12の付勢力に抗してチャンバベース21に負圧吸引され、チャンバ20内は真空ポンプ40によって脱気されて負圧化していく。
【0033】
真空ポンプ40を作動開始させた直ぐ後は、チャンバカバー22がチャンバベース21に十分な負圧の力で吸引されているわけでなく、この状態で封止装置30の下側ブロック31を上側ブロック32に押圧して包装袋の開口周縁部を下側ブロック31と上側ブロック32とで挟持させると、チャンバカバー22がチャンバベース21から開放されるおそれがある。下側ブロック31を上側ブロック32に押圧した状態でもチャンバカバー22がチャンバベース21に負圧吸引されて、包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力に対応する封止可能真空度Px(この実施形態では真空度22%)以上(封止可能圧力以下)となると、下側ブロック31を上側ブロック32に押圧した状態でもチャンバカバー22がチャンバベース21に負圧吸引されて、チャンバ20内の圧力はチャンバカバー22が開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止可能な圧力となる。
【0034】
このため、制御装置70は、ステップ103にて、真空センサ47により検出される真空度Pが封止可能圧力に対応する封止可能真空度Px以上となったか否かを判定して、チャンバカバー22がチャンバベース21に十分に負圧吸引されたか否かを判定する(封止可能圧力判定手段)。制御装置70は、ステップ103にて真空センサ47により検出される真空度Pが封止可能真空度Px以上となるまでNOの判定を繰り返し実行し、真空センサ47により検出される真空度Pが封止可能真空度Px以上となるとYESと判定してステップ104に進める。
【0035】
制御装置70は、ステップ104にて、封止装置30による包装袋の開口周縁部の封止不可状態から、チャンバ20内の真空度が設定真空度Pyとなる前であっても、操作パネル60の操作スイッチ61の操作によって封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止可能な状態である封止可能状態に遷移させる(状態遷移手段)。図8(a)は、封止不可状態のときの操作パネル60を示しており、図8(b)は、封止可能状態の操作パネル60を示している。図8(a)に示したように、封止不可状態では、第6操作スイッチ61fは操作不可な状態となっており、第6操作スイッチ61fの直ぐ左側に配置される表示パネル62の右側部の下段部62aが空欄となっている。制御装置は、ステップ104にて、封止不可状態から封止可能状態に遷移させると、第6操作スイッチ61fは封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止させるための操作信号を出力可能となり、第6操作スイッチ61fの直ぐ左側に配置される表示パネル62の右側部の下段部62aに「スキップ」と表示され、第6操作スイッチ61fが操作可能な状態となったことが表示される。
【0036】
制御装置70は、ステップ105にて、第6操作スイッチ61fがオン操作されて、封止装置30に封止させるための操作信号が入力されたか否かを判定し、操作信号が入力されなければNOと判定してステップ106に進める。制御装置70は、ステップ106にて、真空センサ47により検出されるチャンバ20内の真空度が予め設定された真空度Py以上(設定圧力以下)となったか否かを判定し、チャンバ20内の真空度が設定された真空度Py以上となっていなければステップ105に戻す。
【0037】
制御装置70がステップ105,106の各判定処理でのNOの判定を繰り返し実行しながらチャンバ20内を脱気して負圧化させているときに、ユーザが第6操作スイッチ61fをオン操作すると、制御装置70は、ステップ105にてYESと判定して、ステップ107にて真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止し、ステップ108以後の封止処理に進める。これに対し、制御装置70がステップ105,106の各判定処理でのNOの判定を繰り返し実行しながらチャンバ20内を脱気して負圧化させているときに、ユーザが第6操作スイッチ61fをオン操作することなく、真空センサ47によるチャンバ20内の検出真空度Pが設定真空度Py以上となると、制御装置70は、ステップ106にてYESと判定して、ステップ107にて真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止し、ステップ108以後の封止処理に進める。
【0038】
制御装置70は、ステップ108にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と真空ポンプ40側とを連通させることにより(外気側を閉止状態とすることにより)、昇降シリンダ36の上部空間36aを真空ポンプ40によって負圧化させ、支持軸35をばね部材38の付勢力に抗して上昇させて、下側ブロック31を上昇する支持軸35によって上昇させる。下側ブロック31は上昇する支持軸35によって上側ブロック32に押しつけられ、包装袋の開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とによって挟持される。制御装置70は、ステップ109にて、ヒータ33に通電させて発熱させると、包装袋の開口周縁部は熱溶着によって閉じられる。
【0039】
制御装置70は、ステップ110にて、真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放し、ステップ111にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通させる(真空ポンプ40側を閉止状態とする)。チャンバ20内は第1外気導入弁44から導入される外気によって大気圧に戻され、チャンバカバー22は負圧吸引されずにガススプリング12の付勢力によって開放される。また、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを開放させたことで、昇降シリンダ36の上部空間36aに外気が導入されて負圧状態が解除され、支持軸35はばね部材38の付勢力によって下降し、下側ブロック31は上側ブロック32から離間し、包装袋の開口周縁部は下側及び上側ブロック31,32から挟持された状態が解除される。このようにして、包装袋は脱気された状態(真空状態)で密封される。
【0040】
図7に示したフローチャートは、真空センサ47により検出される真空度が設定真空度Py以上となるまでチャンバ20内を脱気して負圧化させるようにしてから、封止装置30により包装袋の開口部周縁を封止するように制御する包装プログラムであるが、図9に示したフローチャートは、所定の設定時間(この実施形態では例えば1分)が経過するまでチャンバ20内を脱気して負圧化させるようにしてから、封止装置30により包装袋の開口部周縁を封止するように制御する包装プログラムである。
【0041】
図9に示したフローチャートは、図7に示したフローチャートのステップ106の処理をステップ106Aの処理に代えたものであり、制御装置70は、ステップ106Aにて、ステップ102で計時開始してから所定の設定時間が経過したか否かを判定している。図10(a)は、図9に示したフローチャートの実行時の封止不可状態のときの操作パネル60を示しており、図10(b)は、図9に示したフローチャートの実行時の封止可能状態の操作パネル60を示している。図7に示したフローチャートを実行しているときには、図8(a),(b)の表示パネル62の中央部に示したように、真空センサ47により検出された真空度が「現在 XX.X%」と表示され、チャンバ20内を脱気しているときの真空度が表示されるのに対し、図9に示したフローチャートを実行しているときには、図10(a),(b)の表示パネル62の中央部に示したように、「残り XX秒」と表示され、包装プログラムが終了するまでの残り時間が表示される。
【0042】
図10(a),(b)の表示パネル62の下部に示したように、真空センサ47により検出された真空度を、進捗ゲージ(プログレスバー)62bとともに、進捗ゲージ62bの左側に数値で表示するようにしているが、操作スイッチ61b~61fの何れかを操作することで、図10(c)の表示パネル62の下部に示したように、数値の記載を省略して進捗ゲージ(プログレスバー)62bだけを表示させるように変更できるようにしてもよい。
【0043】
図9に示したフローチャートでは、制御装置70は、ステップ105にて、第6操作スイッチ61fのオン操作による封止装置30により封止させる封止操作信号が入力されたか否かを判定処理でのNOの判定と、ステップ106Aにて、ステップ102で計時開始してから所定の設定時間が経過したか否かの判定処理でのNOの判定とを繰り返し実行しながらチャンバ20を脱気して負圧化させているときに、ユーザが第6操作スイッチ61fをオン操作すると、制御装置70は、ステップ105にてYESと判定して、ステップ107にて真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止し、ステップ108以後の封止処理に進める。これに対し、制御装置70がステップ105,106Aの各判定処理でのNOの判定を繰り返し実行しながらチャンバ20内を脱気して負圧化させているときに、ユーザが第6操作スイッチ61fをオン操作することなく、所定の設定時間が経過すると、制御装置70は、ステップ106AにてYESと判定して、ステップ107にて真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止し、ステップ108以後の封止処理に進める。これ以外については、上述した図7に示したフローチャートの説明と同様である。
【0044】
上記のように構成した真空包装機10は、チャンバベース21の上側をチャンバカバー22により開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されるチャンバ20と、チャンバカバー22を開放するように付勢するガススプリング(付勢部材)12と、チャンバベース21に上下動可能に設けた下側ブロック31、チャンバカバー22に設けた上側ブロック32、及び、下側ブロック31を昇降させる昇降機構34とを有し、昇降機構34により下側ブロック31を上側ブロック32に押圧することによって包装袋の開口周縁部を挟持した状態で、包装袋の開口周縁部を封止して包装袋を密封する封止装置30と、チャンバ20内の密閉空間を脱気して負圧化させる真空ポンプ40と、チャンバ内の圧力を検出する真空センサ47とを備えている。
【0045】
真空包装機10は、包装袋を真空包装するための包装プログラムを有した制御装置70を備えており、制御装置70は、包装プログラムを実行することで、真空ポンプ40を作動させることによってチャンバカバー22をガススプリング12の付勢力に抗してチャンバベース21に負圧吸引させた状態でチャンバ20内を負圧化させ、チャンバ20内が所定の設定圧力に対応した設定真空度Py以上となる(ステップ106でのYESの判定)、または、チャンバ20内の負圧化を開始後に所定の設定時間が経過する(ステップ106AでのYESの判定)と、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止するように制御している。
【0046】
包装プログラムは、真空ポンプ40を作動開始後に、真空センサ47により検出される検出圧力が、下側ブロック31を上側ブロック32に押圧した状態でもチャンバカバー22がチャンバベース21に負圧吸引されて、チャンバカバー22が開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力に対応する封止可能真空度Px以上(封止可能圧力以下)となるのを判定する封止可能圧力判定手段(ステップ103の判定処理)と、封止可能圧力判定手段により封止可能圧力以下となったと判定されると、チャンバ20内が所定の設定真空度Py以上(設定圧力以下)となる前、または、設定時間の経過前であっても、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止不可な状態から封止可能な状態に遷移させる状態遷移手段(ステップ104の処理)とを含んでいる。
【0047】
この真空包装機10においては、包装プログラムの実行時に、ステップ103の封止可能圧力判定手段によって、チャンバ20内の圧力が下側ブロック31を上側ブロック32に押圧した状態でもチャンバカバー22がチャンバベース21に負圧吸引されて、チャンバカバー22が開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力に対応する封止可能真空度Px以上(封止可能圧力以下)となったと判定されるまでは、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止不可な封止不可状態が維持される。これによって、チャンバカバー22がチャンバベース21に十分に負圧吸引されない状態では、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止できないように制御され、下側ブロック31を上側ブロック32に押圧することに起因してチャンバカバー22が開放されるのを防ぎ、包装袋が封止できなくなるのを防ぐことができる。
【0048】
ステップ103の封止可能圧力判定手段によって、チャンバ20内の圧力が下側ブロック31を上側ブロック32に押圧した状態でもチャンバカバー22がチャンバベース21に負圧吸引されて、チャンバカバー22が開放されずに包装袋の開口周縁部を封止装置30により封止可能な圧力として設定された封止可能圧力に対応する封止可能真空度Px以上(封止可能圧力以下)となったと判定されると、チャンバ20内が所定の設定真空度Py以上(設定圧力以下)となる前、または、設定時間の経過前であっても、ステップ104の状態遷移手段によって、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止不可な状態から封止可能な状態に遷移する。この状態では、チャンバカバー22がチャンバベース21に十分に負圧吸引されることになり、第6操作スイッチ61fをオン操作して、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止するときに、下側ブロック31を上側ブロック32に押圧させても、チャンバカバー22がチャンバベース21から開放されない。これにより、チャンバ20の脱気を中止して包装袋の開口周縁部を封止させるときに、チャンバカバー22が開放されることがなく、包装袋を確実に真空包装できるようになる。
【0049】
この真空包装機10においては、封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止させるための第6操作スイッチ61fを有する操作パネル60を備え、制御装置70は、ステップ104の処理(状態遷移手段)で、封止装置30を封止不可状態から封止可能状態に遷移させたときに、封止装置30が包装袋の開口周縁部を封止できるように、第6操作スイッチ61fが操作可能となるように制御している。これにより、包装袋の開口周縁部を封止不可な状態では、第6操作スイッチ61fを操作しても封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止できず、ステップ104の処理(状態遷移手段)で封止可能状態に遷移させたときだけ、第6操作スイッチ61fの操作によって封止装置30により包装袋の開口周縁部を封止させることができるので、誤操作によりチャンバカバー22が開放されるのを防ぐことができる。
【0050】
この真空包装機10においては、制御装置70は、ステップ104の処理(状態遷移手段)によって包装袋の開口周縁部を封止可能な状態に遷移させたときに、第6操作スイッチ61fが操作可能な状態であることを操作パネル60の表示パネル62に「スキップ」として表示させている。これによって、状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部が封止可能な状態に遷移されて、第6操作スイッチ61fにより封止装置30の操作ができる状態となったことを操作パネル60の表示パネル62で視認でき、ユーザが状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部が封止可能な状態に遷移されて第6操作スイッチ61fにより操作できる状態となったことを簡単に知ることができるようになる。なお、この実施形態では、状態遷移手段によって包装袋の開口周縁部を封止可能な状態に遷移させたときに、第6操作スイッチ61fが操作可能な状態であることを操作パネル60の表示パネル62に「スキップ」として表示させているが、これに限られるものでなく、表示パネル62に他の文字情報等で表示させてもよいし、第6操作スイッチ61fに例えばランプを設け、ランプを点灯または点滅させることにより、第6操作スイッチ61fが操作可能な状態であることを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…真空包装機、20…チャンバ、21…チャンバベース、22…チャンバカバー、30…封止装置、31…下側ブロック、32…上側ブロック、34…昇降機構、40…真空ポンプ、47…真空センサ、60…操作パネル、61f…操作スイッチ(第6操作スイッチ)、70…制御装置。
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