(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】樹脂建材
(51)【国際特許分類】
E06B 1/26 20060101AFI20230731BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20230731BHJP
E06B 3/20 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
E06B1/26
E06B1/32
E06B3/20
(21)【出願番号】P 2019233152
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】大垣 博範
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-303743(JP,A)
【文献】特開2000-343579(JP,A)
【文献】特開2007-138614(JP,A)
【文献】特開2017-159468(JP,A)
【文献】特開平3-176585(JP,A)
【文献】特開2020-79532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル樹脂材料からなる基材と、未使用樹脂材料からなり基材の表面に設けられる表面層と、躯体開口部もしくは他の部材に取り付けるための取付部を有し、
取付部は、
躯体開口部もしくは他の部材に取り付けるためのビス孔を有し、ビス孔が設けられる部分は未使用樹脂材料により形成され
、他の部分はリサイクル樹脂材料から形成されている樹脂建材
【請求項2】
本体部材と、別体部材とを備え、
本体部材は、リサイクル樹脂材料からなる基材と、未使用樹脂材料からなり基材の表面に設けられる表面層と、別体部材が取り付けられる被取付部を有し、
別体部材は、リサイクル樹脂材料からなる基材と、未使用樹脂材料からなり基材の表面に設けられる表面層と、本体部材に取り付けるための取付部を有し、
本体部材の被取付部は、未使用樹脂材料により形成されており、
別体部材の取付部は、未使用樹脂材料により形成されている樹脂建材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル樹脂材料を用いて形成された樹脂建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料によって表面層を形成してなる樹脂建材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す樹脂建材は、基材をリサイクル樹脂材料により形成し、表面に未使用樹脂による表面層を形成することで、建具のコストダウンを図ることができる。
しかし、特許文献1に示す樹脂建材は、基材がリサイクル樹脂によって形成されていることから、完全に取り除くことのできない異物の混入によって耐久性の点や精密な成形を行う場合などには不安な点があった。
【0005】
本実施形態の樹脂建具は、リサイクル樹脂材料からなる基材に未使用樹脂材料からなる表面層を形成してなる樹脂建材に対して、十分な耐久性や施工性を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料からなる表面層を有する樹脂建材であって、基材は、躯体開口部もしくは他の部材に取り付けるための取付部を備え、取付部は、躯体開口部もしくは他の部材に取り付けるためのビス孔を有し、ビス孔が設けられる部分は未使用樹脂材料により形成され、他の部分はリサイクル樹脂材料から形成されている樹脂建材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、リサイクル樹脂材料によって形成した建材に対して、十分な耐久性や施工性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂サッシの竪断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る樹脂サッシの横断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る樹脂サッシの下枠の竪断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る樹脂サッシの外障子の戸先框の横断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る樹脂建具の外障子の召合框の上部拡大図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の横断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は竪框の竪断面図であり、(b)は竪框と上框との接合部分の図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は端部キャップの図であり、(b)は竪框と上框との接合部分の図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は竪框と上框との接合部分の図であり、(b)は竪框の竪断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、
図1,2に示す、枠体1の内周に、内、外障子2、3を開閉自在に支持してなる引違い窓を用いて説明する。
【0010】
(全体の構成)
本実施形態の引違い窓の枠体1は、合成樹脂等の樹脂材料からなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,13を四周組して形成されている。
内、外障子2、3は、それぞれ合成樹脂等の樹脂材料からなる上框21,31、下框22,32及び左右の竪框23,24,33,34を四周組してなる框体を形成し、框体の内周に複層ガラス等のパネル体25,35を保持して形成されている。
【0011】
(上枠部分の構成)
枠体1を構成する上枠11は、躯体開口部の内周に配置され、複数の中空部を備える上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部111bと、上枠本体部111aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部111cと、上枠本体部111aの室内寄りの内周面から下方に延びる中空形状の上内レール部111dと、上枠本体部111aの室外寄りの内周面から下方に延びる中空形状の上外レール部111eと、上枠本体部111aの外周面から外周方向に延びる取付片部111fと、上枠本体部111aの室内側から室内方向に延びるアングル部111gを有している。
そして、上枠11は、取付片部111f及びアングル部111gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0012】
内、外障子2,3を構成する上框21,31は、上框本体211,311と押縁212,312を有している。
上框本体211,311は、中空部を有する上框本体部211a,311aと、上框本体部211a,311aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部211b,311bと、上框本体部211a,311aの外周に形成され上枠11の上内レール部111d,上外レール部111eに案内される上レール案内部211c,311cを有しており、ガラス間口壁部211b,311bと押縁212,312によってガラス間口が形成されている。
【0013】
(下枠部分の構成)
枠体1を構成する下枠12は、躯体開口部の内周に配置され、複数の中空部を備える下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部121bと、下枠本体部121aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部121cと、下枠本体部121aの室内寄りの内周面から上方に延びる中空形状の下内レール部121dと、下枠本体部121aの室外寄りの内周面から上方に延びる中空形状の下外レール部121eと、下枠本体部121aの外周面から外周方向に延びる取付片部121fと、下枠本体部121aの室内側から室内方向に延びるアングル部121gを有している。
【0014】
下内レール部121d及び下外レール部121eの上端部位には、それぞれ金属材料からなる下レールR,Rが配置されている。
そして、下枠12は、取付片部121f及びアングル部121gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0015】
下枠12の室内側壁部121bと下内レール部121dの間及び下内レール部121dと下外レール部121eとの間には、カバー部材C,Cが配置されている。
【0016】
内、外障子2,3を構成する下框22,32は、下框本体221,321と押縁222,322と、戸車9,9を有している。
下框本体221,321は、中空部を有する下框本体部221a,321aと、下框本体部221a,321aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部221b,321bと、下框本体部221a,321aの外周に形成され下枠12の下内レール部121d,下外レール部121eに案内される下レール案内部221c,321cを有しており、ガラス間口壁部221b,321bと押縁222,322によってガラス間口が形成されている。
【0017】
戸車9,9は、下框22,32の下框本体部221a,321aに配置されており、下枠12の下内レール部121d及び下外レール部121eの上端部位に配置された下レールR,Rに案内される。
【0018】
(竪枠部分の構成)
枠体1を構成する左、右竪枠13,13は、躯体開口部の内周に配置される竪枠本体部131a,131aと、竪枠本体部131a,131aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部131b,131bと、竪枠本体部131a,131aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部131c,131cと、竪枠本体部131a,131aの室内寄りの内周面から内方方向に延びる中空形状の内突出部131d,131dと、竪枠本体部131a,131aの室外寄りの内周面から内方方向に延びる中空形状の外突出部131e,131eと、竪枠本体部131a,131aの外周面から外周方向に延びる取付片部131f,131fと、竪枠本体部131a,131aの室内側から室内方向に延びるアングル部131g,131gを有している。
【0019】
そして、左、右竪枠13,13は、取付片部131f,131f及びアングル部131g,131gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0020】
内、外障子2,3を構成する戸先框24,33は、戸先框本体241,331と押縁242,332を有している。
戸先框本体241,331は、中空部を有する戸先框本体部241a,331aと、戸先框本体部241a,331aの室内側内周に形成されるガラス間口壁241b,331bと、戸先框本体部241a,331aの外周に形成される外周側溝部241c,331cを有している。
【0021】
そして、内、外障子2,3の閉鎖時には、内障子2の外周側溝部241cは、右竪枠13の内突出部131dを収容し、外障子3の外周側溝部331cは、左竪枠13の外突出部131eを収容する。
ガラス間口壁241b,331bと押縁242,332によってガラス間口が形成されている。
【0022】
内、外障子2,3を構成する召合框23,34は、召合框本体231,341と、押縁232,342と、カバー部材233,343を有している。
召合框本体231,341は、中空部を有する召合框本体部231a,341aと、召合框本体部231a,341aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部231b,341bを有しており、ガラス間口壁部231b,341bと押縁232,342によってガラス間口が形成されている。
召合框本体部231a,341aの外周には、カバー部材233,343を取り付けるための溝状部231d,341dが形成されている。
【0023】
カバー部材233,343は、召合框23,34の外周面を覆う外周部233a,343aと、外周部233a,343aの見込み方向一方より内周方向に延びる見付部233b,343bを有しており、見付部233b,343bに気密材取付部及び煙返し片が形成されている。
カバー部材233,343は、外周部233a,343aの内周面に係合爪233c,343cが形成されており、召合框本体部231a,341aの外周に形成された溝状部231d,341dに係合爪233c,343cを係合することでカバー部材233,343が取り付けられ、内、外障子3、4の召合部に煙返し及び気密部が形成される。
【0024】
(樹脂枠材、樹脂框材の構成)
本実施形態の枠体1を構成する各枠材及び内、外障子2,3を構成する各框材等の建材は、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料からなる表面層を有して構成されている。
なお、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料からなる表面層を有する樹脂建材は、例えばリサイクル樹脂材料を基材成形用のダイを用いて押出成形した基材の表面に未使用樹脂材料を供給し、さらに建材成形用のダイを用いて押出成形することで得ることができる。
以下、本実施形態の枠材(建材)及び框材(建材)の構成について、下枠12及び外障子3の戸先框33を用いて説明する。
【0025】
-下枠の実施例-
本実施形態の下枠12は、
図3に示すように、リサイクル樹脂材料からなる基材E121の表面に未使用樹脂材料からなる表面層F121が設けられて形成されている。
未使用樹脂材料からなる表面層F121は、基材E121の全表面に設けられていなくてもよく、本実施形態の下枠12においては、躯体開口部に下枠12が取付けられた際に室内及び室外に露出する部位の表面に設けられている。
【0026】
具体的には、下枠12の基材E121は、下枠本体部E121aと、室内側壁部E121bと、室外側壁部E121cと、下内レール部E121dと、下外レール部E121eと、取付片部E121fを有しており、下枠本体部E121a及び室外側壁部121cの室外側面A1、室外側壁部E121cの室内側面A2、室外側壁部E121cと下外レール部E121eとの間の下枠本体部E121aの上面A3、下外レール部E121eの室外側面A4、下外レール部E121eの室内側面A5、下外レール部E121eと下内レール部E121dとの間の下枠本体部E121aの上面A6、下内レール部E121dの室外側面A7、下内レール部E121dの室内側面A8、下内レール部E121dと室内側壁部E121bとの間の下枠本体部E121aの上面A9、室内側壁部121bの室外側面A10、室内側壁部E121bの上面A11、下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12に未使用樹脂材料からなる表面層F121が設けられている。
【0027】
一方、本実施形態の下枠12においては、躯体開口部に下枠12が固定された際に室内及び室外に露出しない下枠本体部E121aの下面と取付片部E121fの表面には未使用樹脂材料からなる表面層は設けられていない。
【0028】
そして、本実施形態の下枠12は、下枠12を躯体開口部に取り付けるための取付部である取付片部E121fの先端に未使用樹脂材料からなる取付片部F121fが基材E121及び表面層F121と一体的に形成されており、取付片部F121fに固定手段bのためのビス孔hが形成されている。
また、同じく下枠12の下枠本体部E121aの室内側に取付部であるアングル部F121gが未使用樹脂材料によって基材E121及び表面層F121と一体的に形成されており、アングル部F121gに固定手段bのためのビス孔hが形成されている。
【0029】
これは、下枠12の基材E121がリサイクル樹脂材料を用いた押出成形によって形成されているので、躯体開口部への取付部にビス孔などを設けることなどで強度が低下して、下枠12を取り付けるために十分な強度を得ることができない可能性があることから、下枠12を躯体開口部に対して取り付けるための取付部(取付片部121f及びアングル部121g)を未使用樹脂材料により形成したものである。
【0030】
以上の構成によって、下枠12を躯体開口部に取り付けるための取付部(取付片部121f及びアングル部121g)にビス孔を設ける際の精度が向上するとともに、ビス孔等を設けることによる強度低下が限定的になるので、下枠を躯体開口部等に確実に取り付けることが可能となる。
【0031】
なお、上記実施形態の下枠12において、未使用樹脂材料から形成される取付部としては、躯体開口部に取り付けるための取付片部121fやアングル部121gに限定されるものではなく、例えば竪材に対して取り付けられる横材(もしくは横材に対して取り付けられる竪材)に設けられるビスホール等の取付部を未使用樹脂材料により形成してもよい。
【0032】
-戸先框の実施例-
本実施形態の外障子3の戸先框33は、
図4に示すように、戸先框33の本体部材である戸先框本体331と、別体部材である押縁332を有しており、それぞれ基材E331,E332の表面に未使用樹脂材料からなる表面層F331,F332が設けられて形成されている。
【0033】
具体的には、戸先框本体331の基材E331は、中空部を有する戸先框本体部E331aと、戸先框本体部E331aの室外側内周に形成されるガラス間口壁部E331bと、戸先框本体部E331aの外周に形成される外周側溝部E331cを備えており、戸先框33の室内側面A21及び室外側面A22に未使用樹脂材料からなる表面層F331が設けられている。
【0034】
押縁332の基材E332は、中空形状の押縁本体部E332aを有しており、押縁本体部E332aの室内側面A23に未使用樹脂材料からなる表面層F332が設けられている。
なお、未使用樹脂材料からなる表面層F331,F332は、基材E331,E332の全表面に設けられていなくてもよく、外障子3の戸先框33の露出する部位の表面にだけ設けられていてもよい。
【0035】
そして、戸先框本体331の戸先框本体部E331aの室内側外周には、押縁332を取り付けるための被取付部331dが未使用樹脂材料によって基材E331及び表面層F331と一体的に形成されているとともに、押縁332の押縁本体部E232aの外周には、戸先框本体部E331aの被取付部F331dに係合する取付部F332bが未使用樹脂材料によって基材E332及び表面層F332と一体的に形成されている。
なお、未使用樹脂材料によって形成される戸先框本体部E331aの被取付部F331dの表面は、表面層F331に連続するように形成されていることが好ましい。
【0036】
すなわち、本体部材である戸先框33の戸先框本体331に別体部材である押縁322を取り付けるための被取付部F331d及び取付部F332bは、未使用樹脂材料によって形成されている。
【0037】
これは、戸先框33の戸先框本体331の基材E331及び押縁332の基材E332がリサイクル樹脂材料を用いた押出成形によって形成されているので、戸先框本体331に対して押縁332を取付けるための取付部および被取付部の押出形状が安定せず、また係合部分の強度が低下して、押縁332を戸先框本体331に取り付けるために十分な精度及び強度を得ることができない可能性があることから、押縁332を戸先框本体331に対して取り付けるための取付部(戸先框本体部E331aの被取付部F331d及び押縁332の取付部F332b)を未使用樹脂材料により形成したものである。
【0038】
-未使用樹脂材料部分を覆うための他の構成-
以上、リサイクル樹脂を利用した樹脂建材について説明したが、リサイクル樹脂を利用した樹脂建材において、未使用樹脂による表面層の形成が困難もしくは非効率的な部位については、未使用樹脂からなるキャップ等の別部材によって露出を防いでもよい。
【0039】
例えば、
図5(a)に示すように、外障子3の召合せ框34の外周面を召合せカバー343によって完全に覆うことができない場合がある。また、召合せ框34に対して切り欠きや加工を施した時などに、未使用樹脂F34が削られるなどして、リサイクル樹脂E34が露出する場合がある。
そのような場合、
図5(b)に示すように、召し合せ框34のリサイクル樹脂E34が露出する部分を、振れ止め部品、カバー部材、止水板部材などの端部部品5でリサイクル樹脂E34の露出を防止してもよい。
【0040】
また、
図6に示す開き建具のように、障子4の戸先框(右竪框)44の外周面に、ハンドル45aを操作することでロックピン45bを上下させてロックを可能にするスライドプレート45cをスライド可能に保持するためのスライドプレート溝44aが設けられることがある。
【0041】
戸先框44の外周面に設けられるスライドプレート溝44aは、
図7(a)に示すように、大部分においてスライドプレート45cが配置されるので、スライドプレート溝44aのスライドプレート45cが配置される部位の内側の面は未使用樹脂の表面層がなくてもリサイクル樹脂は露出されない。
【0042】
しかし、
図7(b)に示すように、スライドプレート45cは、戸先框44の全長にわたって配置されるものではないため、スライドプレート溝44aの上下領域xは、リサイクル樹脂E44が露出してしまう危険性があった。
そこで、本実施形態の樹脂建材からなる建具においては、スライドプレート溝44aの上下端部に端部キャップ6を装着可能に配置することでスライドプレート45cと協働してリサイクル樹脂E44の露出を防止している。
以下、端部キャップ6について、戸先框44の上部に配置される端部キャップ6を用いて説明する。
【0043】
本実施形態の建具の障子4は、上框41、下框及び左、右竪框43,44は、同じ断面形状をしており、框材の端部を45度の角度で切断して端面同士を当接し溶着などによって框組しており、障子4の外周面には、スライドプレート溝が形成されている。
【0044】
そして、
図7(a),(b)に示すように、戸先框44のスライドプレート溝44aには、ロックピン45bを上下するためのスライドプレート45cが上下動自在に配置されているが、スライドプレート45cの上端部の移動領域yを含むスライドプレート溝44aの上方領域xにおいては、スライドプレート45cによってスライドプレート溝44aを完全に覆うことができなかった。
端部キャップ6は、スライドプレート溝44aの上方領域xを覆うために配置されるものである。
【0045】
障子4の角部に取付けられる端部キャップ6は、
図8(a)に示すように、竪プレート6aと上プレート6bを有する断面略L字形状をしており、竪プレート6aの裏面には右竪框44のスライドプレート溝44aに挿入するスライド脚部6cが設けられており、上プレート6bの下面(裏面)には上框41の外周面に形成されたスライドプレート溝41aに嵌め込まれる係止部6dが設けられている。
端部キャップ6は、竪プレート6aの下方部分がスライド脚部6cの下端より下方に延びてヒレ部6eが形成されている。
【0046】
そして、端部キャップ6は、
図8(b)に示すように、上框41と戸先框44との接合部に対して、スライド脚部6cが右竪框44のスライドプレート溝44aに上方より挿入されるように取り付けられる。
スライドプレート溝44aにスライド脚部6cが挿入された端部キャップ6は、やがて上プレート6bの下面に形成された係止部6dが上框41のスライドプレート溝41aに係合することで、
図9(a),(b)に示すように、上框41と戸先框44との角部に固定される。
【0047】
上框41と右竪框(戸先框)44との角部に固定された端部キャップ6は、ヒレ部6eによってスライドプレート溝44aのスライドプレート45cの上端部の移動領域yを覆い、竪プレート6aとヒレ部6eによってスライドプレート溝44aの上方領域xを覆うことができる。
すなわち、上框41と右竪框44との角部に固定された端部キャップ6は、竪框44のスライドプレート溝44aのリサイクル樹脂E44が露出する部分を覆うことができる。
【0048】
以上の構成によって、複数の樹脂部材からなる樹脂建材について、樹脂部材同士の連結部(取付部)を未使用樹脂材料によって形成し、取付部の形状を安定させて確実な取付をすることができるとともに、破損等の危険性を減少させることができる。
【0049】
上記実施形態の樹脂建材において、未使用樹脂材料からなる取付部は、戸先框の戸先框本体に設けられた被取付部及び押縁の押縁本体に設けられた取付部にのみに限定して採用されるものではなく、例えば内障子2の召合框23のカバー部材233を召合框本体部231aに取り付けるための係合爪(取付部)233cを未使用樹脂材料によって形成するなど、樹脂建材のいずれの取付部を未使用樹脂材料から形成してもよい。
【0050】
また、加工、製造上、未使用樹脂材料によって被覆することが効率的ではない部分などには、キャップ等を配置してリサイクル樹脂の露出を防止することができるので、未使用樹脂の節約ができ、また、生産性を低下させることを防止できる。
【0051】
なお、本実施形態においては、樹脂建材を構成する基材の表面のうち露出しない面には、未使用樹脂材料からなる表面層を設けていないが、必要に応じて設けてもよい。
【0052】
また、上記の技術は、樹脂建具を構成する枠体もしくは框体のいずれの部位に適用できるものである。また、樹脂建材に限定されることなく、アルミと樹脂を複合した建具の建材の樹脂部分においても適用できるものである。
【0053】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
12 :下枠
121f :取付片部
121g :アングル部
F121 :表面層
F121f :ビス止め部分
E121 :基材
3 :外障子
33 :戸先框
E331 :基材
F331 :表面層
F331d :被取付部
332 :押縁
E332 :基材
F332 :表面層
F332b :取付部