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特許7321941特に小売店用途の温白色LEDスペクトル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】特に小売店用途の温白色LEDスペクトル
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230731BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20230731BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230731BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20230731BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20230731BHJP
   C09K 11/59 20060101ALI20230731BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230731BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V9/38
F21S2/00 625
C09K11/80
C09K11/64
C09K11/59
F21Y115:10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019560101
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018060707
(87)【国際公開番号】W WO2018202534
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】17168963.1
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17169476.3
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス マルティヌス ペトルス ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェフ レネ テオドルス
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-166825(JP,A)
【文献】特表2013-502711(JP,A)
【文献】特開2012-056970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0215938(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357531(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102760820(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイス光を供給するように構成された照明デバイスであって、前記照明デバイスは、430~455nmの範囲から選択されるピーク波長を有する青色光を供給するように構成された固体光源と、前記青色光の一部を第1の発光材料光に変換するように構成された第1の発光材料と、前記青色光及び前記第1の発光材料光のうちの1つ以上の一部を第2の発光材料光に変換するように構成された第2の発光材料と、を含み、前記固体光源、前記第1の発光材料、及び前記第2の発光材料は、前記照明デバイスの第1の設定において、少なくとも90のCRI、少なくとも100の色域指数、少なくとも70のR値、及び最大455nmのR50値を有する、白色照明デバイス光を供給するように選択され、前記R50値は、前記第1の設定における前記白色照明デバイス光のスペクトル分布における第1の波長として定義され、前記第1の波長は、前記ピーク波長に最も近いが、前記青色光の前記ピーク波長よりも長い波長であり、前記第1の波長は、ピーク強度が前記ピーク波長における強度の50%であり、
前記第1の発光材料光は、CIE u'を有する緑色及び黄色のうちの1つ以上において強度を有し、前記第2の発光材料光は、CIE u'を有する橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有し、前記第1の発光材料及び前記第2の発光材料は、CIE u'と、CIE u'=1.58*CIE u'+0.255であるCIE u'との最大比、及び、CIE u'と、CIE u'=2.3*CIE u'+0.04であるCIE u'との最小比、によって定義される、前記第1の発光材料光及び前記第2の発光材料光を供給するように選択される、発光デバイス。
【請求項2】
前記青色光は、435~445nmの範囲から選択されるピーク波長を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の設定において、101~120の範囲の色域指数を有する白色照明デバイス光を供給するように構成された、請求項1又は2の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の設定において、最大450nmのR50値を有する白色照明デバイス光を供給するように構成された、請求項1乃至3の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記第1の設定において、黒体軌跡よりも少なくとも0.005下方にCIE v'を有し、黒体軌跡よりも最大0.025下方にCIE v'を有する、白色照明デバイス光を供給するように構成された、請求項1乃至4の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第1の設定において、-0.014≦Duv≦-0.005である白色照明デバイス光を供給するように構成されている、請求項1乃至5の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記第1の発光材料は緑色及び黄色のうちの1つ以上に強度を有し、CIE v'値は0.55~0.58の範囲にあり、前記第2の発光材料は橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有し、CIE v'値は0.52~0.55の範囲にある、請求項1乃至6の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第1の設定において、2700~4000Kの範囲から選択される相関色温度を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されている、請求項1乃至7の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第1の発光材料は、M12:Ce3+を含み、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、及びLuからなる群から選択され、AはAl、Ga、Sc、及びInからなる群から選択され、AはGa及びAlを含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記第2の発光材料は、MAlSiN:Euを含み、Mは、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群から選択される1つ以上の元素を含み、前記第2の発光材料は、異なるMAlSiN:Eu化合物を含み、前記化合物は、Mが少なくともCaを含む第1の化合物、及びMが少なくともSrを含む第2の化合物を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記固体光源は、435~445nmの範囲から選択されるピーク波長を有する青色光を供給するように構成され、
前記固体光源はLEDダイを有し、前記照明デバイスは、前記第1の発光材料及び前記第2の発光材料を含む光変換器を備え、前記光変換器は、前記LEDダイと物理的に接触しており、
前記第1の発光材料は、M12:Ce3+を含み、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、及びLuからなる群から選択され、AはAl、Ga、Sc、及びInからなる群から選択され、AはGa及びAlを含み、
前記第2の発光材料は、MAlSiN:Euを含み、Mは、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群から選択される1つ以上の元素を含み、前記第2の発光材料は、異なるMAlSiN:Eu化合物を含み、前記化合物は、Mが少なくともCaを含む第1の化合物、及びMが少なくともSrを含む第2の化合物を有し、
前記発光デバイスは、前記第1の設定において、最大455nmのR50値を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されている、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記第1の設定において、前記青色光に対して11~13%、前記第1の発光材料光に対して40~47%、及び前記第2の発光材料光に対して30~48%の範囲にスペクトル分布を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されている、請求項1乃至11の何れか一項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の発光デバイスと、前記発光デバイスを制御するように構成された制御システムとを備える、照明システム。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の発光デバイスの、小売店照明における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイス、そのような照明デバイスを備える照明システム、並びにそのような照明デバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
白色照明デバイスが当該技術分野において知られている。例えば、国際公開第2013/150470号は、400~440nmの波長範囲の放出ピークを有する白色出力光を生成するように適合された発光モジュールについて記載しており、発光モジュールは、440~460nmの第1の波長範囲内に放出ピークを有する光を発するように適合された少なくとも1つの第1の発光要素と、第1の発光要素によって発せられた光を受光するように構成され、緑色から赤色の波長範囲内に放出ピークを有する光を発することができる少なくとも1つの波長変換材料と、400~440nmの第2波長範囲内に放出ピークを有する光を発するように適合された少なくとも1つの第2の発光要素と、を備える。このようなモジュールは、「クリスプホワイト(Crisp White)」効果を有する白色光を供給する。
【0003】
国際公開第2015/124755(A1)号は、白色光の第1のカラーポイントを有する第1の光を発する第1のモジュールと、440~470nmの範囲のピーク波長を有する青色光のピークを発する第2のモジュールと、を備える発光モジュールについて開示している。
【0004】
国際公開第2017/021087(A1)号は、400~440nmの範囲の深青色(deep blue)放射及び440~490nmの範囲の青色光を生成する光源と、光源からの光の少なくとも一部の変換のための第1及び第2の発光材料と、を含む照明デバイスについて開示している。
【0005】
国際公開第2015/015363(A1)号は、440~460nmの範囲に発光ピークを有する青色発光要素と、400~440nmの範囲に発光ピークを有する深青色発光要素と、狭帯域波長変換材料と、広帯域波長変換材料と、を含む発光構成について開示している。
【0006】
米国特許出願公開第2016/116124(A1)号は、変化する電力を受け取るように構成されている発光ダイオードと、第1の蛍光体と、電力が変化するにつれて変化する変換効率を有する第2の蛍光体とを備え、LED、第1の蛍光体、及び第2の蛍光体からの光が組み合わされて発光を形成する照明システムについて開示している。
【0007】
欧州特許出願公開第2587559(A1)号は、LEDと、LEDからの光を変換する蛍光体材料とを有する白色発光半導体デバイスについて開示している。蛍光体材料は、緑色蛍光体及び広帯域赤色蛍光体を含む。
【0008】
欧州特許出願公開第2432037(A1)号は、LED、青色光を生成する第1の蛍光体、緑色光を生成する第2の蛍光体、及び赤色光を生成する第3の蛍光体、を有する白色発光半導体デバイスについて開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
小売店照明のために、多くの場合、CDM(ceramic discharge metal halide、セラミック放電メタルハライド)照明が適用される。CDM技術は、店舗での商品の照明のために大量に採用されてきた。
【0010】
代替的な照明デバイスを採用するためのキーは、高効率(特に>100lm/W)、及び高演色性(特にCRI≧90)、及び最適な白色知覚(これは、国際公開第2013/150470号において、ランプ発光スペクトルの深青波長を介した光学的光沢剤の励起によって達成される)と思われる。
【0011】
LEDの導入により、上記のCDM技術の代替が可能である。小売店照明に適用される主LED光源は、チップオンボード(Chip on Board、CoB)である。CoBの小直径(発光源)は、狭いビーム角度でのスポット照明を可能にする。しかし、これらLEDソリューションの一般的な受け入れは、効率化の遅れ、色及び白色の知覚によって妨げられてきた。
【0012】
小売店用のLED照明におけるブレイクスルーは、国際公開第2013/150470号のクリスプホワイトの発明であった(上記も参照)。深青色発光ピークの追加により、白色布地、塗料、及びプラスチック中に存在する蛍光増白剤が励起される。これにより、白色度の知覚が大幅に改善される。このクリスプホワイト源は、白色度及び演色性の観点から、CDMの代替として市場に受け入れられている。
【0013】
発光スペクトルに深青色光を追加することの代替策は、放出された光源のカラーポイントを、BBLよりもはるかに低いカラーポイントに変化させることである。主流の小売店照明のCCTは3000Kであり、付随するカラーポイントは黒体線(黒体軌跡(black body locus、BBL))よりも有意に低く、例えば、CIE yはBBL(CIE 1931)よりも少なくとも0.05低い。良好な結果が、約2500~3500Kの範囲の色温度、及び、BBLよりも(従って)少なくとも0.05低いCIE y(CIE 1931)で得られる可能性がある。
【0014】
これにより、上述のように、発光スペクトルが追加の深青色を有することなく、BBLよりも低い目標カラーポイントを有する光源を提供することが可能になる。それゆえ、白色度は、追加の深青色には起因せず、カラーポイントがBBLに対して低いことに起因する。
【0015】
高いCRIは、必ずしも所望の色知覚を提供しない。色域指数の使用は、所望の光学特性を更に特徴付けるために有用と思われる。光源によってレンダリングされる色の色域は、色域指数(GAI又はGa)として知られている測定基準によって測定することができる。CRIを計算するために使用されるカラーポイントが2次元空間内で接続されている場合、それらが形成する境界領域は色域である。より高いGAIは色の飽和をもたらす。
【0016】
使用される色を、CRI内で黒体放射体で3000KのCCTにてレンダリングすると、100のCRIが生成される。黒体放射体によってレンダリングされるのと厳密に同様にはカラーポイントがレンダリングされない任意の光源については、CRIは100未満である。レンダリングされたカラーポイントを接続することにより色域が形成される。
【0017】
色域指数は、CRI用に使用されるものと同じ色のセットを使用して、光源によって形成された色域を、基準源によって形成された色域で除することによって計算される。
【0018】
制限にもかかわらず、平均演色評価数(R)は依然として、光源の演色性を評価するための、CIE標準化され広く使用されている唯一の指数である。これは、製品仕様書シートにおいて照明製造業者によって、国内及び国際標準[1~7]及び規制機関[8~11]によって、最低要件を設定するために、及びリベートプログラム[12]において使用されている。平均演色評価数は、同じ相関色温度を有する基準光と比較して、試験色票の規定されたセットに対して、ランプがどれくらい正確に演色を再現できるかの尺度である。色差のみが計算され平均化されるので、基準光と比較して、色がより多く再現されるか又はより少なく再現されるかに関わらず、色差の増加と共にRは必然的に減少することになる。Rの次に、彩度の平均変化を捕捉する第2の指数を追加することが有益であろう。
【0019】
Jostら、(http://lrt.sagepub.com/cgi/reprint/1477153514555882v1.pdf?ijkey=bIow1xbucFTGo5V&keytype=finite)(Lighting Res.Technol.2014;0:1-26)は、自然度が、Rのような忠実度ベースの指数と最もよく相関し、物体の魅力度が色域ベースの指数と最もよく相関することを見出した。試験されるランプの自然度と魅力度との間で直接、トレードオフを考慮することを可能にするために、平均演色評価数を計算するために使用されるのと同じ方法論及び試験色票を用いて、色域ベースの指数を計算する必要がある。この目的のために、色域指数は、参照により本明細書に組み込まれる、CIE出版物13.3-1995[13]に記載の方法及び手順に基づくものとする。このセクションは、相対色域指数を計算するための方法を含む。相対色域指数が、平均演色評価数(R)と併せて使用されるべきであることを示すために、相対色域指数を記号Gで指定する。
【0020】
相対色域指数(G)を計算する手順は、CIE出版物13.3-1995[13]のセクション5に記載されている評価手順に基づく。試験されるランプ及び基準光の両方の色域は、8つの試験色票のセットで計算されなければならず、分光放射輝度率は、CIE13.3-1995[13]のセクション8、表1に指定されている。そうするためには、最初に、8つの試験色のCIE 1931三刺激値を、試験されるランプ及び基準光の両方について決定しなければならない。次のステップは、これらの三刺激値を1960 UCS色度図の座標に変換することである。
【0021】
順応性色ずれは、D.B.Judd(Proceedings of the National Academy of Sciences,07/1966;55(6):1313-30.DOI:10.1073/pnas.55.6.1313)、によって与えられる基本原色を用いたVon Kries変換によって考慮される。
【0022】
相対色域指数は、1960均等色空間内で計算される。
【0023】
基準光に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.2に記載されているものと同じ手順が用いられる。
【0024】
基準光の許容誤差に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.3に記載されているものと同じ基準を使用するものとする。
【0025】
試験色票に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.4(及びセクション8、表1)に記載されている8つの試験色票のセットのみを使用するものとする。
【0026】
8つの試験色票のCIE1931三刺激値の決定に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.5で指定されているものと同じ手順を使用するものとする。
【0027】
1960 UCS座標への変換に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.6で指定されているものと同じ手順を使用するが、セクション8の表1に指定された8つの試験色票についてのみ使用するものとする。これにより、8つの試験色票(i=1,8)について、1960均等色空間内の色度座標が、試験されるランプ(uk,i,vk,i)、並びに基準光(ur,i,vr,i)に対して提供されることになる。
【0028】
順応性の(知覚された)色ずれの考慮に関しては、CIE13.3-1995[13]のセクション5.7で指定されているものと同じ手順を使用するが、セクション8の表1に指定された8つの試験色票についてのみ使用するものとする。これにより、8つの試験色票(i=1,8)について、順応性色ずれを考慮した後の、1960均等色空間内の色度座標(u'k,i,v'k,i)が、試験されるランプ(k)に対して提供されることになる。
【0029】
色域の決定に関しては、基準光(GAref)の色域は、以下の式を使用して、基準光(r)(上記参照)で照明された試験色票の色度座標を用いて計算されるものとする。
GAref=((ur,1×vr,2)-(ur,2×vr,1)+(ur,2×vr,3)-(ur,3×vr,2)+
(ur,3×vr,4)-(ur,4×vr,3)+(ur,4×vr,5)-(ur,5×vr,4)+
(ur,5×vr,6)-(ur,6×vr,5)+(ur,6×vr,7)-(ur,7×vr,6)+
(ur,7×vr,8)-(ur,8×vr,7)+(ur,8×vr,1)-(ur,1×vr,8))/2
【0030】
試験されるランプの色域(GAtest)は、以下の式を用いて、順応性色ずれ(上記参照)を考慮した後に、試験されるランプ(k)で照明された試験色票の色度座標を用いて計算されるものとする。
GAtest=((u'k,1×v'k,2)-(u'k,2×v'k,1)+(u'k,2×v'k,3)-(u'k,3×v'k,2)+
(u'k,3×v'k,4)-(u'k,4×v'k,3)+(u'k,4×v'k,5)-(u'k,5×v'k,4)+
(u'k,5×v'k,6)-(u'k,6×v'k,5)+(u'k,6×v'k,7)-(u'k,7×v'k,6)+
(u'k,7×v'k,8)-(u'k,8×v'k,7)+(u'k,8×v'k,1)-(u'k,1×v'k,8))/2
【0031】
相対色域指数(G)は、基準光に対する色域値(GAref)、及び試験されるランプに対する色域値(GAtest)(上記参照)を用いて次の式で計算されるものとする。
=100×GAtest/GAref
【0032】
試験色票の同じセットに基づいて、相対色域指数(G)を平均演色評価数(R)と共に使用して、光源の演色品質に関する追加情報を明らかにすることができる。それは、Rによって開示されるもの以外の情報を明らかにする。Jostらによる研究によると、Rは自然度と強く相関するのに対し、色域に基づく指数は魅力度との高い相関性を示す。Jostによって提供されるデータに関する更なる分析は、Gが魅力度と強く相関することを示している。2次元(R-G)システムでは、一方の軸が自然度に関連し、他方の軸が物体の魅力度に関連し得る。このようなトレードオフは、全ての情報が1つの単一の平均指数値に凝縮されている場合には容易に満たすことはできない。自然度と対象物の魅力度との間のバランスは意図する用途に依存するため[14]、この実験の知見を、高い自然度の領域及び高い魅力度の領域に分類するためには注意しなければならない。物体の魅力度とGaとの間の相関は平均的には高いが、色域の増加量には限界があり[15]、とりわけ、肌の色合いの演色に関しては注意しなければならない[14]。更には、高忠実度(R)スコアは、必ずしも物体の自然な演色を意味しない。
【0033】
上述のように、相対色域指数(G)を計算する手順について説明する。Rと共に使用して、忠実度スコアがより低いことの起源、すなわち基準源と比較して大きい色域にあるか又は小さい色域にあるかを示すことが最も好ましいであろう。しかし、Gもまた、全ての色ずれを1つの単一の数値に集約しているが、一方では、特定の用途においては、特定の色に対する比較的小さいずれが、他の色に対する比較的大きいずれよりも、より重要な場合がある。グラフ表現は、インデックス値R及びGを決定するために使用される全ての個々の色に関する彩度及び色相シフトの変化に関する包括的な概要を提供する。これは補助的であり、より情報に基づいた設計決定を行うのに役立つ。
【0034】
平均演色グラフを計算するための手順は、前のセクションに記載された方法論に基づいている(上記参照)。開始点は、上述の手順で決定された基準光(ur,i,vr,i)の色度座標、及び上述の手順で決定された順応性色ずれ(u'k,i,v'k,i)を考慮して試験されるランプの色度座標である。色度座標は、最初に、以下の式によってCIE 1960 UCSから、より知覚的に均一なCIE 1976 UCSに変換されるものとする。
u'=u,v'=1.5×v
【0035】
その後、白色点から8つの試験色票の色度座標のそれぞれまでの距離を計算することとする。試験されるランプの色度座標は、上述のように(CIE13.3-1995のセクション5.3)黒体軌跡に近いものとする。従って、順応性色ずれを考慮した後の、試験されるランプの白色点の色度座標は、基準光(u'wr,v'wr)の色度座標に等しい。8つの試験色票(i)の全てについて、基準白色点までの距離は、以下の式を使用して決定されるものとする。
基準源(r)について、Δu'r,i=u'r,i-u'wr、及び、Δv'r,i=v'r,i-v'wr
試験されるランプ(k)について、Δu'k,i=u'k,i-u'wr、及び、Δv'k,i=v'k,i×1.5-v'wr
【0036】
試験されるランプについては、シンボルv'k,iは既に上記に指定されている。従って、この値に1.5を乗じて、CIE 1960 UCSからCIE 1976 UCSに変換されるものとする。
【0037】
基準光と比較して、試験されるランプの相対的な色ずれの比較を可能にするために、最初に基準白色点(u'wr,v'wr)からの距離が、基準光(r)で照明された全ての個々の試験色票(i)について、最初に1に正規化されるものとする。引き続き、(u'wr,v'wr)から、試験ランプ(k)で照らされた試験色票(i)に対する色度座標までの距離が、以下の式に従って適宜スケーリングされるものとする。
Δu'r,i=Δu'r,i/(Δu'r,i +Δv'r,i 0.5,Δv'r,i=Δv'r,i/(Δu'r,i +Δv'r,i 0.5
Δu'k,i=Δu'k,i/(Δu'r,i +Δv'r,i 0.5,Δv'k,i=Δv'k,i/(Δu'r,i +Δv'r,i 0.5
【0038】
スケーリングされた色差座標を、基準源(Δu'r,i,Δv'r,i)、及び試験されるランプ(Δu'k,i,Δv'k,i)に対して、平均演色評価数として、CIE 1976 Δu',Δv'色空間内のグラフにおいて、白色点の色度座標(u'wr,v'wr)を原点として表すことができる。一例が、図8に提示される。
【0039】
演色評価数グラフの利点は、平均演色評価数(R)がなぜ100の値から逸脱しているのかを示すことである。これは、8つの試験色票の全てについての相対的な色変化を、大きさと色相シフトの両方で示している。このグラフ表現方法の欠点は、好ましい又は許容される色変化の評価基準を提供しないことである。ここでも、これは意図した用途によって決定されることが予想される。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明では、CRIを決定するための基準源とGAIを決定するための基準源が、同じになるように選択される(上記を参照、及びCIE13.3-1995[13]のセクション5.2も参照)。
【0041】
初期的なユーザ試験から、わずかに増加させた赤色彩度が好ましいことが明らかである。色域指数(CRIの計算に使用される不飽和色に基づく)を使用する代わりに、又はそれに加えて、赤色彩度指数を使用することができる。赤色過飽和の欠点は、コスト効率が犠牲になることである。更なる試験により、特に(更に)黄色及び/又は緑色飽和(90~160°の色相)の増加が、高く評価されることが示された。これら色相ビンを過飽和させることによって色域を増加させることは、効率ペナルティを限定させて行うことができる。
【0042】
最適な(小売店)照明ソリューションは、白色及び色の知覚によってだけでなく、システム効率によっても説明され得る。効率(lm/W)、白色知覚(白色度)、及び色知覚(色域指数)の間にはトレードオフがある。LEDにおける最も効率の高いソリューションは、CRI≧80を満たし、特定のGAI要件を持たないBBL(Standard CoB)上の発光スペクトルである。クリスプホワイトソリューションは、比較的低い効率を有し得る。その理由は、追加の深青色光に起因して、ワット当たりの全体的なルーメン出力は、深青色光がない場合よりも低いからである。上述のように、ユーザ試験により、赤色、及び/又は緑色/黄色のわずかな過飽和が好ましいことが明らかになっている。しかし、赤色の過飽和は効率ペナルティを伴う。小売店照明のエネルギー効率の要求を満たすためには、一般的には、適用時のLEDレベルで少なくとも105lm/Wが必要である。その結果、上記の提案されたソリューションは、特に小売店照明に関して、全ての所望の特性をもたらさない場合がある。本明細書では、色域指数GAIは、GAIとしても示される。
【0043】
それゆえ、本発明の一態様は、好ましくは上述の欠点のうちの1つ以上を更に少なくとも部分的に回避し、特に、相対的に高い効率、相対的に高いCRI、高いG(GAI)、良好な演色、及び1つ以上の色のある程度の飽和、を有する、代替的な照明デバイスを提供することである。
【0044】
良好な白色「レンダリング」は、紫色のLEDを白色光ブレンドに追加することによって得ることができるように思われるが、費用がかかり、有意な効率ペナルティを有する場合がある。高い彩度指数は、深赤色蛍光体を追加することによって、すなわち、赤色彩度を増加させることによって得ることができるが、これはまた、有意な効率ペナルティを有する場合がある。
【0045】
白色スペクトルの青色ピークをより短波長にシフトさせることにより、良好な白色レンダリング、高色域指数(彩度指数として示される場合もある)、CDM-eliteとしての知覚、及び良好な効率、のうちの1つ以上が得られることが、驚くべきことに見出された。これは、青色LED波長を調整すること、及び/又は(緑色)蛍光体の吸収を調整することなど様々な方法で実現されることができる。
【0046】
それゆえ、第1の態様では、本発明は、照明デバイス光を供給するように構成された照明デバイス(「デバイス」又は「発光デバイス」)を提供し、照明デバイスは、(a)430~455nm(「青色光源光」)の範囲から選択されるピーク波長を有する青色光を供給するように構成された固体光源と、(b)青色光の一部を第1の発光材料光に変換するように構成された第1の発光材料と、(c)青色光及び第1の発光材料光のうちの1つ以上の一部を第2の発光材料光に変換するように構成された第2の発光材料と、を含み、固体光源、第1の発光材料、及び第2の発光材料は、照明デバイスの第1の設定において、白色照明デバイス光を供給するように選択され、白色照明デバイス光は、少なくとも90のCRI、少なくとも100の色域指数(GAI)、及び少なくとも70のR値を有する。白色照明デバイス光は、最大455nmのR50値を有する。実施形態では、白色照明デバイス光は、最大450nm、特に最大445nm、より具体的には最大440nmのR50値を有する。R50値は、第1の設定における白色照明デバイス光のスペクトル分布における第1の波長(λ50)として定義され、第1の波長(λ50)は、(スペクトル分布における青色光の)ピーク波長(λPWL)に最も近いが、青色光のピーク波長(λPWL)よりも長い波長であって、ピーク強度(I50)がピーク波長(λPWL)における強度(IPWL)の50%である波長である。任意選択的に、白色照明デバイス光は、2200~4500Kの範囲から選択される相関色温度を有する。
【0047】
このような発光デバイスは、例えば、衣類、電子機器、(生鮮)食品、パーソナルケア製品などの商品を照明するために小売店で使用されてもよい。驚くべきことに、このような光源は、相対的に高い効率、相対的に高いCRI、相対的に高いGAI、及び1つ以上の色のある程度の飽和を有し得ると思われる。(消費者)テストにおいて、このような照明デバイスが、先行技術のソリューション、及び/又は上記で提案されたソリューションに対して高く評価された。デバイスはまた、レストラン、ホテル、クリニック、若しくは病院などのホスピタリティ照明に、又は他の照明用途(以下も参照)に使用されてもよい。
【0048】
本明細書では、用語「紫色光」又は「紫色発光」は、特に、約380~430nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「青色光」又は「青色発光」は、特に、約430~495nmの範囲の波長を有する(ある程度の紫色及びシアンの色相を含む)光に関連する。用語「緑色光」又は「緑色発光」は、特に、約495~570nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「黄色光」又は「黄色発光」は、特に、約570~590nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「橙色光」又は「橙色発光」は、特に、約590~620nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「赤色光」又は「赤色発光」は、特に、約620~780nmの範囲の波長を有する光に関連する。用語「ピンク色光」又は「ピンク色発光」は、青色成分及び赤色成分を有する光を指す。用語「可視」、「可視光」、又は「可視発光」は、約380~780nmの範囲の波長を有する光を指す。
【0049】
上述のように、照明デバイスは、430~455nmの範囲から選択されるピーク波長(λPWL)を有する、具体的には435~450nmの範囲から選択された、より具体的には435~445nmの範囲から選択された、更により具体的には435~440nmの範囲から選択された、ピーク波長(λPWL)を有する、青色光を供給するように構成された固体光源を備える。
【0050】
ピーク波長は、例えば固体光源の生産者によって指定されるような、固体光源のスペクトル分布の最大値を示す。ピーク波長は、エネルギースケール(y軸が光子数の代わりにエネルギー)上のスペクトル分布に関連して定義され得る。より小さい又はより大きいピーク波長は、より望ましくないGAIを有するスペクトル光分布、及び/又は効率がより劣る照明デバイスにつながる場合がある。用語「ピーク波長」の代わりに、用語「ピーク最大」も適用されてもよい。
【0051】
特に、第1の発光材料光(211)は、CIE u'を有する緑色及び黄色のうちの1つ以上に強度を有し、第2の発光材料光(221)は、CIE u'を有する橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有し、第1の発光材料(210)及び第2の発光材料(220)は、CIE u'(211)と、CIE u'(221)=1.58*CIE u'(211)+0.255であるCIE u'(221)との最大比、及び、CIE u'(211)と、CIE u'(221)=2.3*CIE u'(211)+0.04.であるCIE u'(221)との最小比、によって定義される、第1の発光材料光(211)及び第2の発光材料光(221)を供給するように選択される。これらの条件に適合する、すなわち、これらの式によって定義される比を有するか、又はこれら最大比と最小比との間の値を有する、1つ以上の発光材料が選択される場合は、特に、例えばCIE及びGAIの所望の光学特性がもたらされ、良好な効率を有する照明デバイスが提供されてもよい。
【0052】
特に、第1の発光材料(210)は緑色及び黄色のうちの1つ以上に強度を有し、CIE v'値は0.55~0.58の範囲にあり、第2の発光材料は橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有し、CIE v'値は0.52~0.55の範囲にある。
【0053】
特に、固体光源は、380~495nmのスペクトル領域におけるパワーの少なくとも80%が415~470nmの範囲、例えば420~465nmの範囲にあるスペクトル分布を提供するように構成されている。第1の光源は、最大100nmの範囲に、例えば5~50nmの範囲に半値全幅を有する青色光を供給するように特に構成されている。LEDの典型的な半値全幅は、約15~25nmの範囲に、特に約15~20nmの範囲にある。LED光源の場合、主波長及びピーク最大は、多くの場合、実質的に同一である(青色LEDについては、主波長(DWL)とピーク波長(PWL)との差は5nm程度である)。
【0054】
光源は特に、LED又はレーザダイオードなどの固体光源を備える。用語「光源」はまた、2-512、例えば2-20のような固体光源など、複数の光源に関連してもよい。それゆえ、固体光源という用語はまた、複数のLEDを指す場合もある。本明細書では、用語「光源」も適用され、特に「固体光源」を指す。複数の光源が適用される場合、光源は、5nmのビン、又は6nmのビン、又は10nmのビンなど、同じビン内に全てが存在するピーク波長(又は主波長)を有する光を供給してもよい。しかし、任意選択的に2つ以上のビンが適用されてもよい。光源はまた、COB(光源)を含んでもよい。
【0055】
同じビンから選択されたものか、又は例えば2つ以上の異なるビン内の2つ以上の光源のブサセットの何れかの、異なる光源が適用される場合は、光源又はサブセットは別々に制御されてもよい。それゆえ、照明デバイスは、光源を制御するように構成された、又は複数の光源を制御するように構成された制御システムを更に備えてもよい(以下も参照)。
【0056】
青色固体光源光のピーク波長(λPWL)は、白色光のスペクトル分布における青色光のピーク波長とはわずかに異なっていてもよい。例えば、これは、光源光のスペクトル幅にわたる発光材料による吸収の差に起因する場合がある。それゆえ、ピーク波長という用語は、ベア固体光源(ダイ)のピーク波長を指し得るが、白色照明デバイス光との関連においては、白色照明デバイス光のスペクトル分布における青色光のピーク波長を指す(例えば、図3を参照)。
【0057】
光源及び発光材料は、特に放射的に結合している。「放射的に結合する」という用語は、特に光源と発光材料とが互いに関連付けられていることにより、光源から放出された放射の少なくとも一部が発光材料によって受け取られること(そして少なくとも部分的に発光に変換されること)を意味する。
【0058】
複数の光源が適用される場合、実質的に各光源が、両方の発光材料に放射的に結合されてもよい。しかし、実施形態ではまた、第1の(サブセットの)光源は、第1の発光材料と放射的に結合されてもよく、第2の(サブセットの)光源は、第2の発光材料と放射的に結合されてもよい。なお、光源が第1の発光材料とだけ放射的に結合され、第2の発光材料が実質的に第1の発光材料とだけ放射的に結合されている実施形態さえも含まれてもよいことに留意されたい。これは、第2の発光材料が実質的に第1の発光材料光によってのみ励起可能であって、光源光によっては励起可能ではない場合であってもよい。しかし、一般的には、第2の発光材料も光源光の一部を変換する。
【0059】
用語「発光材料」は、本明細書では特に無機発光材料に関連し、これは蛍光体としても示されることもある。これらの用語は当業者には知られている。
【0060】
実施形態において、本発明は、CIE u'を有する緑色及び黄色のうちの1つ以上に強度を有する第1の発光材料光を供給するように構成された第1の発光材料と、青色光及び第1の発光材料光のうちの1つ以上の一部を、CIE u'を有する橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有する第2の発光材料光に変換するように構成された第2の発光材料と、を有する照明デバイスを提供し、第1の発光材料及び第2の発光材料は、CIE u'(211)と、CIE u'(221)=1.58*CIE u'(211)+0.255であるCIE u'(221)との最大比、及び、CIE u1'(211)と、CIE u'(221)=2.3*CIE u'(211)+0.04であるCIE u'(221)との最小比、によって定義される、第1の発光材料光及び第2の発光材料光を供給するように選択される。
【0061】
本明細書では、用語「CIE u'(211)」は、「CIE u'(第1の発光材料光)」としても示され、CIE u'として示される場合もある。本明細書では、用語「CIE u'(221)」は、「CIE u'(第2の発光材料光)」としても示され、CIE u'として示される場合もある。
【0062】
本明細書の発光材料、又は特にそれらの発光材料光は、とりわけ、CIE u'及びv'パラメータによって識別される。CIE u'v'座標はCIE 1976色空間を指し、略語CIELUVによっても知られている。例えば、3000K光(BBL上)は、CIEにおけるx,yが、0.251,0.521、又は0.437,0.403であるu',v'カラーポイントによって特徴付けられる。
【0063】
実施形態では、第1の発光材料、すなわち黄色及び/又は緑色の発光材料、並びに第2の発光材料、すなわち赤色(及び橙色)発光材料に関して、v'値は約0.52~0.58の範囲、特に黄色/緑色に関しては約0.55~0.58の範囲、橙色/赤色に関しては約0.52~0.55の範囲にある。しかし、他の値も可能であり得る。
【0064】
上述のように、実施形態では、第1の発光材料及び第2の発光材料は、CIE u'と、CIE u'(第2の発光材料光)=1.58*CIE u'(第1の発光材料光)+0.255であるCIE u'との最大比、及び、CIE u'と、CIE u'(第2の発光材料光)=2.3*CIE u'(第1の発光材料光)+0.04であるCIE u'との最小比、によって定義される、第1の発光材料光及び第2の発光材料光を供給するように選択されてもよい。しかし、他の値も可能であり得る。
【0065】
照明デバイスは、デバイスの動作中に照明デバイス光を生成するように構成されている。照明デバイス光は、固体光源光、第1の発光材料光、及び第2の発光材料光のうちの1つ以上を含んでいてもよい。それゆえ、実施形態では、照明デバイス光は白色であってもよく、他の実施形態では、照明デバイス光は着色されていてもよい。第1の状態では、照明デバイスは、固体光源光、及び第1の発光材料光及び第2の発光材料光のうちの1つ以上、特に第1の発光材料光及び第2の発光材料光の両方を含む、白色照明デバイス光を供給するように構成されている。
【0066】
上述のように、白色照明デバイス光は、(i)2200~4500Kの範囲から選択された相関色温度、(ii)少なくとも90のCRI、(iii)少なくとも70のR値、及び(iv)最大455nmのR50値、のうちの1つ以上を特に有する。
【0067】
用語「相関色温度」又は「CCT」は、当該技術分野において既知である。2200~4500K、特に2700~4000Kの値が、物品認識などの観点から、特に、消費者によって高く評価されるように思われ、及び/又は望ましい結果をもたらすように思われる。
【0068】
用語「演色」も、当該技術分野において既知である。少なくとも90の演色は、比較的高く、物品認識の観点からは特に望ましい結果をもたらす場合がある。
【0069】
用語「R値」又は「R」は、当該技術分野において既知である。CRIは、R1~R8に基づく平均値である。R9は、CRIの計算に使用されない6つの飽和試験色のうちの1つである。本明細書で使用される用語「R値」は、Rに基づく演色評価数であり、従って、タングステンハロゲンランプの場合がそうであってもよいように、(理論的に)100であり得る。従って、実施形態では、発光デバイスは、少なくとも70、例えば80のR値を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されていてもよい。
【0070】
50値は、固体光源光ピークのピーク最大に比較的最も近い波長(ただし、より長い波長)であって、強度が固体光源光ピークのピーク最大に関連付けられた最大強度の50まで低下した波長を指す。それゆえ、R50値は、第1の設定における白色照明デバイス光のスペクトル分布における第1の波長(λ50)として定義され、第1の波長(λ50)は、ピーク波長(λPWL)に最も近いが、(白色光のスペクトル分布における)青色光のピーク波長(λPWL)よりも長い波長であって、ピーク強度(I50)がピーク波長(λPWL)における強度(IPWL)の50%である波長である。良好な効率及び/又は彩度を提供するには、比較的短い短波長のR50値が望ましいことが明らかである。上述のように、白色照明デバイス光は、最大455nm、特に最大450nm、より具体的には最大445nm、更により具体的には最大440nmのR50値を有する。このような値により、相対的に高い効率及び高い色域を有する良好な白色及び赤色のレンダリングを得ることができる(以下も参照)。例えば、実施形態では、発光デバイスは、第1の設定において、少なくとも90、例えば少なくとも100の色域指数(GAI)を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されていてもよい。
【0071】
なお更なる実施形態では、発光デバイスは、特に、第1の設定(標準CIE 2°観察者)において、-0.016≦Duv≦-0.005、特に、-0.014≦Duv≦-0.005を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されていてもよい。
【0072】
なお更なる具体的な実施形態では、発光デバイスは、第1の設定において、黒体軌跡(BBL)よりも少なくとも0.005下方にCIE v'を有し、黒体軌跡(BBL)よりも最大0.025下方にCIE v'を有する、白色照明デバイス光を供給するように構成される。
【0073】
これらの条件に適合する、すなわち、これらの式によって定義される比を有するか、又はこれら最大比と最小比との間の値を有する、1つ以上の発光材料が選択される場合は、特に、例えばCIE及びGAIの所望の光学特性がもたらされ、良好な効率を有する照明デバイスが提供されてもよい。本明細書では、用語「選択する」は、発光材料データのライブラリから、どの発光材料が、及び、どの発光材料の組み合わせが、所望の特性に適合し得るか、例えば、少なくとも上記の2式によって定義される領域内にu'座標を有するか、を決定することを含んでもよい。この種の発光材料の選択は、当業者には既知である。発光材料データは、吸収波長、励起波長、発光波長、カラーポイント、CRIなどを含んでもよい。それゆえ、「発光材料データ」は、特に、発光材料の励起及び発光に関して光学データを含む。下に示したように、用語「発光材料」はまた、複数の発光材料を指してもよい。それゆえ、複数の第1の発光材料が適用される場合、関連するu'値は、複数の第1の発光材料の発光材料のスペクトル分布に基づく。同様に、複数の第2の発光材料が適用される場合、関連するu'値は、複数の第2の発光材料の発光材料のスペクトル分布に基づく(2つの第2の発光材料が適用され、1つはより橙色であり、他方はより赤色である本明細書の例も参照)。
【0074】
なお更なる実施形態では、第1の発光材料及び第2の発光材料は、(a)0.102~0.12の範囲のCIE u'(第1の発光材料光)、及び0.38~0.43の範囲のCIE u'(第2の発光材料光)、更により具体的には、0.102~0.118の範囲のCIE u'(第1の発光材料光)、及び0.38~0.415の範囲のCIE u'(第2の発光材料光)、又は、(b)0.136~0.164の範囲のCIE u'(第1の発光材料光)、及び0.4~0.47の範囲のCIE u'(第2の発光材料光)、更により具体的には、0.14~0.158の範囲のCIE u'(第1の発光材料光)、及び0.4~0.44の範囲のCIE u'(第2の発光材料光)、によって定義される第1の発光材料光及び第2の発光材料光を供給するように選択される。しかし、本発明はこれら実施形態に限定されない。
【0075】
実施形態では、照明デバイスは、青色光の一部を緑色及び黄色のうちの1つ以上に強度を有する第1の発光材料光に変換するように構成された第1の発光材料を含む。第1の発光材料は、光源による励起時に、他のスペクトル領域においても光強度を提供してもよい。しかし、特に、第1の発光材料光のスペクトル分布は、特に緑色及び/又は黄色、更により具体的には緑色である。上述のように、用語「第1の発光材料」はまた、第1の発光材料光に寄与する異なるスペクトル分布を有する複数の異なる発光材料を指してもよい。特に、第1の発光材料は、少なくとも80%のパワーが470~650nmのスペクトル領域に、より具体的には485~630nmの範囲にあるスペクトル分布を提供するように構成されている。
【0076】
特に、第1の発光材料は、M12:Ce3+を含んでもよく、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、及びLuからなる群から選択され、Aは、Al、Ga、Sc、及びInからなる群から選択される。特に、Aはアルミニウム(Al)を含むが、Aはまた、部分的にガリウム(Ga)及び/又はスカンジウム(Sc)及び/又はインジウム(In)を、特にAlの最大約20%を、更に特にAlの最大約10%を含んでもよい(すなわち、Aイオンは、基本的に90モル%以上のAlと、10モル%以下のGa、Sc及びInのうちの1つ以上から成る)。Aは、特に最大約10%のガリウムを含んでもよい。別の変形形態では、A及びOは、少なくとも部分的にSi及びNで置換されてもよい。要素Mは、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択されてもよい。用語「:Ce」又は「:Ce3+」は、発光材料中の金属イオンの一部(すなわち、ガーネットでは、「M」イオンの一部)がCeによって置換されていることを示す。例えば、(Y1-xLuAl12:Ce、を仮定すると、Y及び/又はLuの一部は、Ceによって置換されている。この表記法は当業者には既知である。Ceは一般に10%を超えないMを置換することになり、一般に、Ce濃度は、特に、0.1~4%、特に0.1~2%(Mに対して)の範囲にあることになる。1%Ce及び10%Yを仮定すると、完全な正しい式は、(Y0.1Lu0.89Ce0.01Al12となり得る。ガーネット中のCeは、当業者に既知なように、実質的に三価の状態であるか、又は三価の状態のみである。用語「YAG」は、特に、M=Y、及びA=Alを指し、用語「LuAG」は、特にM=Lu、及びA=Alを指す。特定の実施形態では、第1の発光材料は、M12:Ce3+を含み、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、及びLuからなる群から選択され、AはAl、Ga、Sc、及びInからなる群から選択され、(i)MはLuを含む、及び(ii)AはGaを含む、のうちの少なくとも1つ以上が適用される。Lu及び/又はGaを選択することにより、発光材料光の主波長は、YAGに対してより短い波長にシフトされる。
【0077】
それゆえ、好適な第1の発光材料の具体例は、510~570nm、特に515~560nmの範囲から選択されるピーク位置(すなわち、発光材料光スペクトル分布におけるピーク位置)を有し、100~150nm、例えば特に110~140nm、約120nmのような範囲から選択されるFWHMを有する発光材料である。特に、これは、セリウムでドープされたガーネットなどの比較的広い帯域を有する緑色発光材料に適用される。
【0078】
特定の実施形態では、AはGa及びAlを含む。特にそのとき、所望のスペクトル分布が得られてもよい。
【0079】
代替として又は加えて、実施形態では、第1の発光材料は、発光材料を含む二価ユーロピウムを含み、例えば、ケイ酸塩を含む二価ユーロピウム若しくは窒化物を含む二価ユーロピウム、又は酸窒化物を含む二価ユーロピウム、又はハロゲン化物を含む二価ユーロピウム、又はオキシハロゲン化物を含む二価ユーロピウム、又は硫化物を含む二価ユーロピウム、又は酸化硫化物を含む二価ユーロピウム、又はチオガリウム酸塩を含む二価ユーロピウムを含む。
【0080】
特定の実施形態では、第1の発光材料は、510~530nmの範囲から選択されるピーク最大、及び60~80nmの範囲から選択される半値全幅を有する。これは、特に、より狭い帯域の緑色発光材料に当てはまり得る(以下も参照)。
【0081】
実施形態では、第1の発光材料は、CaMg(SiOCl:Eu2+、及びCaZn(SiOCl:Eu2+、のうちの1つ以上を含む(S.Okamoto and H.Yamamoto,Electrochemical and solid-state letters,12,(12)J112-J115(2009)、に記載されているような)。更なる実施形態では、第1の発光材料はβ-SiAlON:Eu2+をベースとする緑色発光蛍光体、特に式、Eu(A1)6-z(A2)8-z(A3)2(x+z-y),を有するものであり、式中、0<z≦4.2;0≦y≦z;0<x≦0.1;A1は、Si、C、Ge、及び/又はSnであり、A2は、Al、B、Ga、及びInのうちの1つ以上を含み、A3は、F、Cl、Br、及びIのうちの1つ以上を含む。Eu(A1)6-z(A2)8-z(A3)2(x+z-y)によって記載される化合物の新しいセットは、β-Siと同じ構造を有する。要素A1及びA2の両方がSi部位上に存在し、O及びNの両方が、β-Si結晶構造の窒素部位を占める。A3アニオン(ハロゲンとして定義される)のモル量(z-y)は、窒素部位上に存在する。更に、例えば次を参照のこと。Synthesis and Photoluminescence Properties of β-sialon:Eu2+(Si6-zAl8-z:Eu2+),A Promising Green Oxynitride Phosphor for White Light-Emitting Diodes,R.-J.Xiez,N.Hirosaki,H.-L.Li,Y.Q.Li and M.Mitomo,J.Electrochem.Soc.2007 volume 154,issue 10,J314-J319.
【0082】
好適な第1の発光材料の具体例は、510~530nm、特に515~525nmの範囲から選択されるピーク位置(すなわち、発光材料光スペクトル分布におけるピーク位置)を有し、50~90nm、例えば特に60~80nm、約70nmのような範囲から選択されるFWHMを有する発光材料である。特に、これは、比較的狭い帯域の緑色発光材料に適用される。
【0083】
更に、上述のように、照明デバイスは、青色光及び第1の発光材料光のうちの1つ以上の一部を、橙色及び赤色のうちの1つ以上に強度を有する第2の発光材料光に変換するように構成された第2の発光材料を特に含む。第2の発光材料は、光源による励起時に、他のスペクトル領域においても光強度を提供してもよい。しかし、特に、第2の発光材料光のスペクトル分布は、特に橙色及び/又は赤色、更により具体的には赤色である。上述のように、用語「第2の発光材料」はまた、第2の発光材料光に寄与する異なるスペクトル分布を有する複数の異なる発光材料を指してもよい。特に、第2の発光材料は、570~760nmのスペクトル領域におけるパワーの少なくとも80%が585~720nmの範囲にあるスペクトル分布を提供するように構成されている。
【0084】
実施形態では、第2の発光材料は、(Ba,Sr,Ca)S:Eu,(Ba,Sr,Ca)AlSiN:Eu及び(Ba,Sr,Ca)Si:Euからなる群から選択される1つ以上の材料を含んでもよい。これらの化合物において、ユーロピウム(Eu)は、実質的に二価又は二価のみであり、示された二価カチオンの1つ以上を置換する。一般に、Euは、カチオンの10%よりも大きい量では存在せず、存在は、特に、置換するカチオンに対して、約0.5~10%の範囲、より具体的には、約0.5~5%の範囲にある。用語「:Eu」は、金属イオンの一部がEu(これらの例ではEu2+)で置換されていることを示す。例えば、CaAlSiN:Eu中、2%のEuを仮定すると、正しい式は、(Ca0.98Eu0.02)AlSiNであり得る。二価ユーロピウムは、一般に、上記二価アルカリ土類カチオン、特にCa、Sr又はBaなどの二価カチオンを置換する。
【0085】
材料(Ba,Sr,Ca)S:Euは、MS:Euとしても示すことができ、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物では、カルシウム若しくはストロンチウム、又はカルシウム及びストロンチウム、より具体的にはカルシウムを含む。ここで、Euが導入され、Mの少なくとも一部(すなわち、Ba、Sr及びCaのうちの1つ以上)を置換する。
【0086】
更に、材料(Ba,Sr,Ca)Si:Euはまた、MSi:Euとしても示すことができ、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物では、Sr及び/又はBaを含む。更なる特定の実施形態では、Mは、Sr及び/又はBa(Euの存在を考慮しない)からなり、特にBaは50~100%、より具体的には50~90%、及びSrは50~0%、特に50~10%であり、例えば、Ba1.5Sr0.5Si:Eu(すなわち、75%Ba;25%Sr)である。ここで、Euが導入され、Mの少なくとも一部、すなわち、Ba、Sr及びCaのうちの1つ以上)を置換する。
【0087】
同様に、材料(Ba,Sr,Ca)AlSiN:Euはまた、MAlSiN:Euとして示されてもよく、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物では、カルシウム若しくはストロンチウム、又はカルシウム及びストロンチウム、より具体的にはカルシウムを含む。ここで、Euが導入され、Mの少なくとも一部(すなわち、Ba、Sr及びCaのうちの1つ以上)を置換する。
【0088】
特定の実施形態では、第2の発光材料は、MAlSiN:Euを含み、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)、からなる群から選択される1つ以上の元素であり、特にSr及びCaのうちの1つ以上である。一実施形態では、第2の発光材料は、CaAlSiN:Eu(「eCAS」)を含み、別の実施形態では、第2の発光材料は、SrAlSiN:Eu(eSCAS)を含む。後者は、前者に対して最大約30nmシフトされた青色である。特に、これらタイプの発光材料は、第1の発光材料及び光源と共に所望の光学特性を提供し得る。更なる特定の実施形態では、第2の発光材料は、異なるMAlSiN:Eu化合物であって、Mが少なくともCaを含む第1の化合物、及びMが少なくともSrを含む第2の化合物を有する化合物を含む。ゆえに、そのような第1の化合物では、Mは主として、例えば少なくとも50%、更により具体的には、少なくとも90%はCaを含んでもよく、そのような第2の化合物では、Mは主として、例えば少なくとも50%、更により具体的には、少なくとも90%のSrを含んでもよい。Mの一部は、例えば、約0.1~4%はEuで置換される。
【0089】
好適な第2の発光材料の具体例は、610~680nm、特に616~650nmの範囲から選択されるピーク位置(すなわち、発光材料光スペクトル分布におけるピーク位置)を有し、60~150nm、例えば特に60~130nm、約80~120nmのような範囲から選択されるFWHMを有する発光材料である。
【0090】
特定の実施形態では、第2の発光材料は、610~640の範囲から選択される最初の第2のピーク最大、及び60~110nmの範囲から選択される半値全幅を有する最初の第2の発光材料と、630~680nmの範囲から選択される第2の発光材料のピーク最大を有し、60~130nmの範囲から選択される半値全幅を有する第2の発光材料と、を含み、最初の第2のピーク最大と第2のピーク最大は、少なくとも10nm、例えば15~40nmの範囲だけ異なる。最初の第2の発光材料は、第2の発光材料よりわずかに橙色が強くてもよく、(従って)第2の発光材料は、最初の第2の発光材料よりわずかに赤色が強くてもよい。
【0091】
第2の発光材料が、MAlSiN:Euを含む場合に、特に良好な結果が得られてもよく、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ以上の元素を含み、第2の発光材料は、(少なくとも2つの)異なるMAlSiN:Eu化合物であって、Mが少なくともCaを含む第1の化合物、及びMが少なくともSrを含む第2の化合物を有する化合物を含む。
【0092】
それゆえ、照明デバイスは、第1の発光材料及び/又は第2の発光材料を含み、特に、光源に放射的に結合された第1の発光材料及び第2の発光材料の少なくとも両方を含む。第1の発光材料は特に、緑色、黄色、又は任意選択的に橙色の主波長を有する第1の発光材料光を供給するように構成される。第2の発光材料は特に、赤色の主波長を有する第2の発光材料光を供給するように構成される。それゆえ、第1の発光材料及び第2の発光材料は異なる発光材料である。当然ながら、照明デバイスは、更なる発光材料を含んでもよい。
【0093】
従って、発光デバイスの特定の実施形態では、
固体光源は、430~455nm、特に435~445nmの範囲から選択されるピーク波長(λPWL)を有する青色光を供給するように構成され、
固体光源はLEDダイを有し、照明デバイスは、第1の発光材料及び第2の発光材料を含む光変換器を備え、光変換器は、LEDダイと物理的に接触しており、
第1の発光材料は、M12:Ce3+を含み、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、及びLuからなる群から選択され、AはAl、Ga、Sc、及びInからなる群から選択され、AはGa及びAlを含み、
第2の発光材料は、MAlSiN:Euを含み、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ以上の元素を含み、第2の発光材料は、異なるMAlSiN:Eu化合物であって、Mが少なくともCaを含む第1の化合物、及びMが少なくともSrを含む第2の化合物を有する化合物を含み、
発光デバイスは、第1の設定において、最大455nm、特に最大450nmのR50値を有する白色照明デバイス光を供給するように構成される。
【0094】
発光材料は、主として又は更には全体が発光材料からなる、発光材料のコーティングなどのようにそれ自体で提供されてもよく、又はシリコーンマトリックス若しくはPMMAマトリックスなどのマトリックス中に埋め込まれてもよい。これら実施形態の組み合わせも可能であり得る。異なる発光材料は、異なる方法で提供されてもよく、例えば、異なるマトリックス層内に、又は異なるマトリックス内に提供されてもよい。
【0095】
特定の実施形態では、固体光源はLEDダイを有し、照明デバイスは、第1の発光材料及び第2の発光材料を含む光変換器を備え、光変換器は、LEDダイと物理的に接触している。任意選択的に、光変換器は、発光材料のうちの1つのみを含んでもよいことに留意されたい。更に、用語「光変換器」はまた、複数の(異なる)光変換器を指す場合がある。更に、複数の光源が適用される場合、1つ以上の光源が、実質的に第1の発光材料のみを含む1つ以上の光変換器に放射的に結合されてもよく、1つ以上の光源が、実質的に第2の発光材料のみを含む1つ以上の光変換器に放射的に結合されてもよい。光変換器は、ガーネット材料、又は樹脂、PMMA若しくはシロキサンポリマーのようなポリマー材料、を含んでもよい。光変換器は、光源光及び発光材料光に対して透過性である。前述の実施形態のうちの1つ以上と組み合わされてもよい、なお更なる実施形態では、光変換器は光源と物理的に接触していないが、例えばLEDダイから一定距離に、例えばLEDダイから0.5~100mmに構成される。
【0096】
照明デバイスは特に、(第1の設定において)白色光を供給するように構成される。それゆえ、特に、照明デバイスは、照明デバイスの第1の設定において白色照明デバイス光を供給するように構成される。「照明デバイスの第1の設定において」という語句は、照明デバイスが、少なくとも「オン」などの単一の設定を少なくとも含むことを示す。それゆえ、本発明はまた、「オン」及び「オフ」以外の強度の調整が(実質的に)できない照明デバイスを提供する。2つ以上の光源が存在する場合には、特に、複数の設定が利用可能であってもよい。複数の設定が可能である場合、少なくとも1つの設定は白色光を供給してもよい。他の設定は、異なる色温度を有する白色光、又は着色光を供給してもよい。
【0097】
本明細書における白色光という用語は、当業者には既知である。特に、白色光とは、約2000~20000K、特に2700~20000K、一般的な照明に関しては、特に約2700K~6500Kの範囲、バックライトの目的に関しては、特に約7000K~20000Kの範囲の相関色温度(correlated color temperature、CCT)を有し、特に、BBL(黒体軌跡)から約15SDCM(standard deviation of color matching、等色標準偏差)の範囲内、特にBBLから約10SDCMの範囲内、更にいくつかの実施形態では、BBLから約5SDCMの範囲内である光に関連する。
【0098】
それゆえ、照明デバイスが、(光源を制御することによって)照明デバイス光を制御するように構成された制御システムを更に備える場合は特に、複数の設定が提供され得る。従って、なお更なる一実施形態では、発光デバイスは、(1つ以上の)(固体)光源に供給される電力を制御するように構成された制御システムを更に含んでもよい。代替として又は加えて、制御システムは発光デバイスの外部に(構成されて)存在していてもよい。任意選択的に、制御システムは複数の要素を含んでもよく、ある要素は発光デバイスに含まれてもよく、他の要素は発光デバイスの外部にあってもよい(遠隔ユーザインタフェースなどであり、以下も参照のこと)。発光デバイスは、例えば、本明細書に記載されたものとは別の、複数の発光デバイス及び任意の他のタイプの発光デバイスと共に、照明システムに一体化されていてもよい。
【0099】
なお更なる一実施形態では、制御システムは、ユーザインタフェースの入力信号の関数として、1つ以上の(固体)光源に供給される電力を制御するように構成される。このユーザインタフェースは、発光デバイスに一体化されていてもよいが、発光デバイスから離れていてもよい。それゆえ、ユーザインタフェースは、実施形態では、発光デバイスに一体化されていてもよいが、他の実施形態では、発光デバイスとは別個であってもよい。ユーザインタフェースは、例えば、グラフィカルユーザインタフェースであってもよい。更に、ユーザインタフェースが、例えばスマートフォン又は他の種類のアンドロイド(登録商標)デバイス用のアプリケーションによって提供されてもよい。従って、本発明はまた、記録担体(記憶媒体)上に任意選択的に実装されたコンピュータプログラムを提供し、コンピュータプログラムは、コンピュータ上で動作するとき、本明細書に記載の方法を実行し(以下を参照)、及び/又は発光デバイス(の発光デバイス光の色温度)を、本明細書に記載されるように(1つ以上の(固体)光源に供給される電力の関数として)制御することができる。
【0100】
代替として又は加えて、制御システムは、センサ信号及びタイマのうちの1つ以上の関数として、1つ以上の(固体)光源に供給される電力を制御するように構成される。この目的のために、例えば、タイマ及び/又はセンサが使用されてもよい。例えば、所定時間後にスイッチを切るためにタイマが使用されてもよい。更に、例えばセンサは、動きを感知するように構成されたモーションセンサであって、制御システムが、モーションセンサが例えば人物の動き又は存在を感知したときに発光デバイスのスイッチを入れるように構成されていてもよい。更に、センサは、例えば、(発光デバイス光によって照射された)製品によって反射された光、特に発光デバイス光を感知するための光センサであってもよい。
【0101】
それゆえ、更なる一態様において、本発明はまた、本明細書で規定されるような発光デバイス、及び発光デバイスを制御するように構成された制御システムを含む、照明システムを提供する。上述のように、制御システムはまた、照明デバイスに含まれていてもよい。照明システムは、特に、照明デバイスを制御するように構成された制御システム、並びに本明細書に記載されるような複数の照明デバイス及び任意選択的に他の照明デバイスなどの1つ以上の他のデバイスを含んでもよい。制御システムは、センサ信号及びタイマのうちの1つ以上の関数として照明デバイスを制御してもよい(上記も参照のこと)。
【0102】
上述のように、所望の光学特性を提供するために、発光材料データを有するライブラリから発光材料を選択する方法は、当業者には既知である。
【0103】
なお更なる実施形態では、照明デバイスは、照明デバイス光の第1の設定において、少なくとも80、特に少なくとも90の演色評価数(CRI)を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されている。それゆえ、特に、光源及び発光材料は、照明デバイス光のそのようなCRIを(第1の設定において)提供できるように選択される。
【0104】
更なる実施形態では、照明デバイスは、照明デバイス光の第1の設定において、少なくとも80、更により具体的には少なくとも90、なお更により具体的には少なくとも100、例えば101~120の範囲の色域指数(GAI)を有する白色照明デバイス光を供給するように構成されている。それゆえ、特に、光源及び発光材料は、そのようなGAIを(第1の設定において)提供できるように選択される。
【0105】
発光デバイスの特定の実施形態では、固体光源、第1の発光材料及び第2の発光材料は、380~495nmのスペクトル領域におけるパワーの少なくとも80%が440~480nmの範囲にあり、470~650nmのスペクトル領域におけるパワーの少なくとも80%が485~630nmの範囲にあり、570~760nmのスペクトル領域におけるパワーの少なくとも80%が585~720nmの範囲にあるスペクトル分布を提供するように構成されている。なお更により具体的には、固体光源、第1の発光材料及び第2の発光材料は、440~450nmの範囲から選択される第1の最大値を有し、15~30nmの範囲から選択される半値全幅を有するスペクトル分布(すなわち、特に光源によって提供される)と、515~545nmの範囲から選択される第2の最大値(第1の発光材料による)、及び610~630nmの範囲から選択される第3の最大値(第2の発光材料による)を有する少なくとも2つの最大部を含む帯域と、を提供するように構成され、帯域は、500~680nmの波長範囲全体にわたって、第1の最大値の少なくとも40%(ワット)の強度を有する。発光帯は、第1の発光材料及び第2の発光材料の発光によって提供される。換言すれば、このような発光デバイスの発光スペクトルの高さは、435~450nmに第1の最大を有し、500~680nmの全波長範囲にわたって、スペクトル強度は、440~450nmにおけるピーク最大の少なくとも50%の大きさである。
【0106】
更により具体的には、固体光源は、430~455nmの範囲から選択されるピーク波長を有する青色光を供給するように構成され、第1の発光材料は、M(Al,Ga)12:Ceを含み、第2の発光材料は、CaAlSiN:Eu、及びSrAlSiN:Euを(それぞれ含む、少なくとも2つの発光材料を)含み、Mは上記に定義した通りであり、特にAはAl及びGaの両方を含む。
【0107】
いくつかの好適な材料が以下に(最初の表に)示され、材料は、正しい比率で組み合わされ、青色光源と放射的に結合されたときに、動作時に、本明細書に記載される所望の特性を有する白色照明デバイス光を供給してもよい。
【0108】
【表1】
【0109】
好適な特性を有する照明デバイス光のいくつかの実施形態を以下に提供する。
【0110】
【表2】
【0111】
他の実施形態も可能であってもよい。
【0112】
例えば、この第2テーブルのデータと比較して、u'及びv'のうちの1つ以上は、これら値の最大5%異なっていてもよい。例えば、u'は、0.249*1.05、又は0.249*0.95である。又は、例えば、v'は0.512*1.05又は0.512*0.95.である。特に、この表のデータに対して、u'及びv'のうちの1つ以上は最大において、例えば、最大2%、更により具体的には最大1%、異なっていてもよい。
【0113】
例えば、この表のデータと比較して、x及びyのうちの1つ以上は、これら値の最大5%異なっていてもよい。例えば、xは0.423*1.05、又は0.423*0.95である。又は、例えば、yは0.379*1.05、又は0.379*0.95である。特に、この表のデータに対して、u'及びv'のうちの1つ以上は最大において、例えば、最大2%、更により具体的には最大1%、異なっていてもよい。
【0114】
照明デバイスは、例えば、オフィス照明システム、家庭用アプリケーションシステム、店舗照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバアプリケーションシステム、投影システム、自己点灯ディスプレイシステム、画素化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医療用照明アプリケーションシステム、インジケータ標識システム、装飾用照明システム、ポータブルシステム、自動車用アプリケーション、温室照明システム、園芸用照明、又はLCDバックライトの一部であってもよく、若しくは、それらに適用されてもよい。
【0115】
照明デバイスは、ホスピタリティ照明、小売店照明などで使用されてもよい。更に、照明デバイスは、レトロフィットランプとして構成されてもよい。更に、照明デバイスは光学素子を含んでもよい。例えば、実施形態では、照明デバイスは、放物面アルミニウム反射鏡(PAR)ランプとして構成される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
ここで、本発明の実施形態が、添付の概略図面を参照して例としてのみ説明され、図面中、対応する参照記号は、対応する部分を示す。
図1a】本発明のいくつかの態様を概略的に示す。
図1b】本発明のいくつかの態様を概略的に示す。
図1c】本発明のいくつかの態様を概略的に示す。
図2】第1の赤色又は橙色の蛍光体及び第2の橙色又は赤色の蛍光体と組み合わせて、GaYAG緑色(又は緑色/黄色)蛍光体(GaYAG)を用いて作製された、プレミアムホワイト製品のスペクトルを示す。赤色蛍光体の混合物が、CRI≧90及びR=70)を得るように調整され、波長は、使用されたLEDのピーク波長を示し、PW930は、基準のプレミアムホワイト製品を示す。
図3図2に示されている様々なスペクトルに対してR50(nm)(グラフ内でλ50として示す)を示す。
図4】標準的な2°観察者(白丸)、及びCIE 2006-10°観察者(白四角)を使用して計算されたCIE u'v'カラーポイントを示す。ラベルは、4つのサンプルのR50(nm)を与え、
図5】CIE v'カラーポイント(CIE 2006-10°観察者)を、R50(nm)の関数として示す。出発カラーポイントは、全ての場合において(0.249,0.512)である(標準CIE 2°観察者を使用して計算した)。
図6】様々なPWLを有する白色LEDスペクトルに対する、IES TM30-15(スケール-0.15から+0.15)で定義される色相ビン1-16の彩度の変化を、PW930及びCDMと比較して示す。
図7】異なる緑色蛍光体(GaYAG対LuAG)の青色LEDのPWLの関数としてのR50(nm)を示す。 概略図面は必ずしも正しい縮尺ではない。
図8】Jostらによる研究で使用された、試験光源の平均演色評価数グラフの例である。グラフは、8つのCIE1974試験色票(CIE出版物13.3-1995にて定義)の彩度及び色相シフトの変化を示す。破線円は、原点までの1の距離を示し、一方、試験光源の点を結ぶ実線は、色域の相対的増加を示す。グラフ中の矢印は、基準光に対する、8つの試験色票の彩度及び色相の変化を表す。
【発明を実施するための形態】
【0117】
図1aは、本明細書で説明されるような照明デバイス100の一実施形態を概略的に示す。照明デバイス100は、青色光源光11を供給するように構成された光源10と、光源光11の少なくとも一部を、緑色スペクトル領域及び黄色スペクトル領域のうちの1つ以上において光強度を有する第1の発光材料光211に変換するように構成された第1の発光材料210と、(i)光源光11の少なくとも一部、又は(ii)光源光11の少なくとも一部及び第1の発光材料光211の少なくとも一部を、橙色及び/又は赤色のスペクトル領域において光強度を有する第2の発光材料光221に変換するように構成された第2の発光材料220と、を含む。
【0118】
更に、照明デバイスは、光出射面110を備える。本明細書の図1aの実施形態では、これはウィンドウ105の下流面であってもよい。
【0119】
用語「上流」及び「下流」は、光生成手段(ここでは特に第1光源)からの光の伝搬に対する項目又は特徴部の配設に関するものであり、光生成手段からの光線内の第1の位置に対して、光線内で光生成手段により近い第2の位置が「上流」であり、光線内で光生成手段から更に遠い第3の位置は「下流」である。
【0120】
図1bでは、これは変換器200の下流面である。ここで、図1a~図1cでは、変換器200は、第1の発光材料210及び第2の発光材料220を、例えば、層(図1a)、又は混合物(図1b、図1c)として備える。なお、変換器200はまた、第1の発光材料210及び第2の発光材料220以外の材料及び/又は層を含んでもよいことに留意されたい。図1aでは、変換器は、ここではウィンドウ105の上流の光出射面の上流に構成されている。特に、第1の発光材料210及び第2の発光材料220の別個の層を使用する場合、後者は、第1の発光材料光211の吸収を更に促進するために、前者の下流に構成される。第2の発光材料220が第1の発光材料光211を実質的に吸収しない場合は、層の順序もまた尊重されてもよい。更に、混合物も適用されてもよい(図1b、図1cを参照)。
【0121】
更に、照明デバイス100は、光出射面110の下流に照明デバイス光101を供給するように構成されている。ここで、図1aに示すように、照明デバイス光101は、光源光11、第1の発光材料光211、及び第2の発光材料光221のうちの1つ以上を含む。上述のように、第2の発光材料220は、(i)光源光11、又は(ii)光源光11及び第1の発光材料光211、によって少なくとも部分的に飽和されるように構成されている。
【0122】
第1及び/又は第2の発光材料と、光源10、特に発光面との間の距離は参照d1で示され、図1cの場合には(実質的に)ゼロであり(d1は図1cには図示せず)、これは0.1~50mmの範囲に、特に、例えば図1a及び図1bの実施形態では1~20mmにあってもよい。概略的に示される実施形態では、距離d1は、LEDダイなどの固体光源120の光出射面(又は発光面)122間の距離である。
【0123】
図1bは、ユーザインタフェース140を含んでもよい制御システム130を概略的に更に示す。それゆえ、図1bも照明システム1000を概略的に示す。
【0124】
照明デバイス100は、白色照明デバイス光101を供給するために特に適用されてもよい。
【0125】
それゆえ、とりわけ、本発明は、青色光を供給するための光源と、第1の発光材料光を供給するための第1の発光材料と、第2の発光材料光を供給するための第2の発光材料とを提供し、青色光に対して11~14%、特に11.9~12.7%の範囲の、第1の発光材料光に対して31~35%、特に32.7~33.5%の範囲の、第2の発光材料光に対して52~57%、特に53.9~55.3%の範囲の、スペクトル分布(ワット)を有する白色照明デバイス光を(第1の設定において)供給するように構成されている。更により具体的には、本発明は、青色光を供給するための光源と、第1の発光材料光を供給するための第1の発光材料と、第2の発光材料光を供給するための第2の発光材料とを提供し、第2の発光材料は、最初の第2の発光材料光を供給するための最初の第2の発光材料と、第2の発光材料光を供給するための第2の発光材料とを含み、青色光に対して11~14%、特に11.9~12.7%の範囲の、第1の発光材料光に対して31~35%、特に32.7~33.5%の範囲の、及び最初の第2の発光材料光に対して28~50%、特に29.8~47.9%の範囲の、及び第2の発光材料光に対して5~27%、特に6~25.5%の範囲の、スペクトル分布(ワット)を有する白色照明デバイス光を(第1の設定において)供給するように構成されている。特に、これは、60~90nmの範囲など、比較的狭い帯域幅を有する第1の発光材料に適用される。
【0126】
それゆえ、とりわけ、本発明は、青色光を供給するための光源と、第1の発光材料光を供給するための第1の発光材料と、第2の発光材料を供給するための第2の発光材料とを提供し、青色光に対して11~13%、特に11.4~12.2%の範囲の、第1の発光材料光に対して40~47%、特に41~45.9%の範囲の、第2の発光材料光に対して41~49%、特に42.1~47.6%の範囲の、スペクトル分布(ワット)を有する白色照明デバイス光を(第1の設定において)供給するように構成されている。更により具体的には、本発明は、青色光を供給するための光源と、第1の発光材料光を供給するための第1の発光材料と、第2の発光材料を供給するための第2の発光材料とを提供し、第2の発光材料は、最初の第2の発光材料光を供給するための最初の第2の発光材料と、第2の発光材料光を供給するための第2の発光材料とを含み、青色光に対して11~13%、特に11.4~12.2%の範囲の、第1の発光材料光に対して40~47%、特に41~45.9%の範囲の、及び最初の第2の発光材料光に対して0~16%、特に0~14.6%の範囲の、及び第2の発光材料光に対して30~48%、特に32~46%の範囲の、スペクトル分布(ワット)を有する白色照明デバイス光を(第1の設定において)供給するように構成されている。
【0127】
スペクトル分布(可視光)の百分率を加算すると100%になる。
【0128】
最終的な白色スペクトルにおける青色励起位置の効果は、白色「レンダリング」及び色域に影響を及ぼす。青色LEDピークをより短い波長に向かってシフトさせることにより、より良好な(白色がより強い)白色「レンダリング」をもたらし、色域を増加させる。色域の拡張は、黄色及び青色の方向にあり、従って、過酷な効率ペナルティをもたらさない。黄色-青色の方向における過飽和が、CDM-elite及びCDM-ultimoのような高圧放電ランプに関しても生じ、これは一般に、最良の一般的な小売店照明スペクトルを与えるものと見られている。
【0129】
とりわけ、以下のうちの1つ以上が適用されるLEDベースの光デバイスが提案される。
1.R50(nm)≦455nm、より具体的にはR50(nm)≦450nm
2.CRI≧90
3.R≧70
4.CCT=2700~4000K
5.-0.005≧Duv≧-0.014(すなわち、BBLより約6~14ポイント下)
6.R≧100
【0130】
特に、少なくとも第1の条件が適用される。更により具体的には、他の条件のうちの1つ以上も適用される。このようにして、白色「レンダリング」、高彩度指数、CDM-eliteとしての知覚、及び良好な効率を得ることができる。良好な白色「レンダリング」は、紫色のLEDを追加することによって得ることができるが、費用がかかり、有意な効率ペナルティを有する。高彩度指数は、深赤色蛍光体を追加することによって、すなわち、赤色彩度を増加させることによって得ることができるが、これはまた、有意な効率ペナルティを有する。CDM-eliteの知覚を模倣するために、黄色-青色の方向における過飽和が必要となる場合がある。白色スペクトルの青色ピークをより短い波長にシフトさせることによって、本発明の目的が実現されることができることを、本発明者らは驚くべきことに見出した。これは、青色LED波長を調整すること、及び/又は(緑色)蛍光体の吸収を調整することなど様々な方法で実現されることができる。LEDは、GaYAG、及び第1の赤色又は橙色蛍光体と、第2の橙色又は赤色蛍光体との混合物、を使用して作製され、2つの赤色蛍光体の比を調整して、70のR、及びCRI≧90を得た。図2も参照されたい。440~455nmの異なるポンプ波長(PWL)を有する青色LEDを使用した。ターゲットのカラーポイントは、全てのサンプルについてCIE u'v'で0.249,0.512であった。異なる赤色/橙色の発光材料の比を変化させて、CRI及びRを本質的に等しく維持した。
【0131】
最終的なスペクトルにおける青色ピーク位置は、使用される蛍光体に依存することになる。最終的な白色スペクトルにおける青色ピーク位置は、R50(nm)によって特徴付けられる。R50(nm)は、青色ピークの最大強度の50%まで強度が低下した場合に、青色発光ピークの長波長側の点として定義される。異なるスペクトルのR50(nm)を、図3及び以下の表に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
より良好な白色「レンダリング」も図4によって支持される。より短波長の青色ポンプLED(又はより短いR50)を使用するスペクトルに対して、有意な赤色ずれ(CIE u')に加えて、カラーポイントもBBLの更に下方に移動している。結果として、短いR50を有するサンプルのカラーポイントは、BBLの更に下方に有意にシフトしている(BBLまでの距離が約8ptsから約13ptsに増加する)。これは、より良い(より好ましい)白色として知覚される。
【0134】
CIE v'(CIE 2006-10°観察者を使用して計算)を、R50(nm)の関数として図5に示す。
【0135】
これら光源によって誘起される彩度の変化を計算するために、IES TM30-15を使用した。IES TM30-15によって定義される16の異なる色相ビンに対して、彩度の変化がレーダープロットにプロットされている(図6)。R50(nm)を減少させることが、色相ビン4-7の彩度の増加(飽和の増加)をもたらしている。曲線の形状は、CDM-elite(多くの場合、依然として基準源と呼ばれる)について観察される彩度変化に似ている。本発明者らは、嗜好テストによって、これがCDM-eliteに近い色知覚を与えることを見出した。
【0136】
提案されたスペクトル特徴の組み合わせにより、低い効率ペナルティと、高彩度指数Rとを有する良好な白色レンダリングが組み合わされて、好ましい演色がもたらされる。IES TM30-15に定義されるようなGAIは、本明細書では「R」としても示される。
【0137】
一例では、GaYAGを、第2の橙色又は赤色蛍光体及び第1の赤色又は橙色蛍光体(上記参照)と組み合わせて使用した。後者の2つは、2つの赤色蛍光体(SrAlSiN:Eu(「橙色」)、及びCaAlSiN:Eu(「赤色」))の混合物である。
【0138】
別の例では、Intematix GAL540を、第2の橙色又は赤色蛍光体及び第1の赤色又は橙色蛍光体と組み合わせて使用することができる。上記のグラフと非常に類似したグラフを得ることができる。しかし、図7に示すように、緑色蛍光体の変化に起因する小さな(しかし有意な)R50(nm)のシフトがある。サンプルを視覚的に判断すると、R50(nm)は462nm未満であるべきだが、より好ましくは更に450nm未満であるべきことが示された。
【0139】
基準ランプは、ad PW930は、それによって生成された白色光に対して、R50=472、cie v'=0.511、の値を有することを示す。2つの代替的なスペクトル分布を作成した。
50=457nm、好ましいcie v'=0.508、及び、
50=450nm、好ましいcie v'=0.512.
【0140】
以下の表に示されるように、いくつかの組み合わせが構成された。
【0141】
【表4】
【0142】
「実質的に全ての光(substantially all light)」、又は「実質的に成る(substantially consists)」などにおける、本明細書の「実質的に(substantially)」という用語は、当業者には理解されるであろう。用語「実質的に」はまた、「全体的に(entirely)」、「完全に(completely)」、「全て(all)」などを伴う実施形態も含み得る。それゆえ、実施形態では、この形容詞はまた、実質的に削除される場合もある。適用可能な場合、用語「実質的に」はまた、95%以上、特に99%以上、更に特に99.5%以上などの、100%を含めた90%以上にも関連し得る。用語「備える(comprise)」は、用語「備える(comprise)」が「から成る(consists of)」を意味する実施形態もまた含む。用語「及び/又は」は、特に、その「及び/又は」の前後で言及された項目のうちの1つ以上に関連する。例えば、語句「項目1及び/又は項目2」、及び同様の語句は、項目1及び項目2のうちの1つ以上に関連し得る。用語「備える(comprising)」は、一実施形態では、「から成る(consisting of)」を指す場合もあるが、別の実施形態ではまた、「少なくとも定義されている種、及び任意選択的に1つ以上の他の種を包含する」も指す場合がある。
【0143】
更には、明細書本文及び請求項での、第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも、連続的又は時系列的な順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示されるもの以外の、他の順序での動作が可能である点を理解されたい。
【0144】
本明細書のデバイスは、とりわけ、動作中について説明されている。当業者には明らかとなるように、本発明は、動作の方法又は動作時のデバイスに限定されるものではない。
【0145】
上述の実施形態は、本発明を限定するものではなく、むしろ例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、多くの代替的実施形態を設計することが可能となる点に留意されたい。請求項では、括弧内のいかなる参照符号も、その請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「備える(to comprise)」及びその活用形の使用は、請求項に記述されたもの以外の要素又はステップが存在することを排除するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数のそのような要素が存在することを排除するものではない。本発明は、いくつかの個別要素を含むハードウェアによって、及び、好適にプログラムされたコンピュータによって実装されてもよい。いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、1つの同一のハードウェア物品によって具現化されてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0146】
本発明は更に、明細書本文で説明される特徴及び/又は添付図面に示される特徴のうちの1つ以上を含む、デバイスに適用される。本発明は更に、明細書本文で説明される特徴及び/又は添付図面に示される特徴のうちの1つ以上を含む、方法又はプロセスに関する。
【0147】
本特許で論じられている様々な態様は、更なる利点をもたらすために組み合わされることも可能である。更には、当業者は、実施形態が組み合わされることが可能であり、また、3つ以上の実施形態が組み合わされることも可能である点を理解するであろう。更には、特徴のうちのいくつかは、1つ以上の分割出願のための基礎を形成し得るものである。以下では、色域指数(GAI又はG)に関するいくつかの参照が提供され、その参照文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
に関する参考文献
[1]American National Standards Institution,American National Standard for electric lamps-Specification for the Chromaticity of Fluorescent Lamps,ANSI C78.376-2001
[2]American National Standards Institution,American National Standard for electric lamps-Specifications for the Chromaticity of Solid State Lighting Products,ANSI C78.377:2011。
[3]CEI/IEC 60081:1997+A1:2000.Double-capped fluorescent lamps-Performance specifications。
[4]IEC 62612:2013.Self-ballasted LED lamps for general lighting services with supply voltages>50V-Performance requirements。
[5]IEC 62717:2014.LED modules for general lighting-Performance requirements
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[7]ISO 8995:2002(E)/CIE S 008/E-2001,Lighting of indoor work places
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[10]Commission regulation(EU)No 347/2010.Amending Commission Regulation(EC)No 245/2009 as regards the eco-design requirements for fluorescent lamps without integrated ballast,for high intensity discharge lamps,and for ballasts and luminaires able to operate such lamps。
[11]Commission regulation(EU)No 1194/2012.Implementing Directive 2009/125/EC of the European Parliament and of the Council with regard to eco-design requirements for directional lamps,light emitting diode lamps and related equipment。
[12]ENERGY STAR(登録商標)Program Requirements Product Specification for Lamps(Light Bulbs)-Eligibility Criteria,Version 1.1,2014。
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図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8