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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/12 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
F25C1/12 301Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020001440
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110484
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】傅 強飛
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特許第5448618(JP,B2)
【文献】特開2011-038706(JP,A)
【文献】特開2011-033206(JP,A)
【文献】特開2017-036862(JP,A)
【文献】特開2006-017411(JP,A)
【文献】特開平10-197113(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104279806(CN,A)
【文献】特表2018-511021(JP,A)
【文献】特表2014-505232(JP,A)
【文献】特開平08-252550(JP,A)
【文献】特開平02-245282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0026985(US,A1)
【文献】特開2002-286336(JP,A)
【文献】特開2008-288026(JP,A)
【文献】特開平06-249559(JP,A)
【文献】特表2016-508592(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107192185(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 - 1/25
F28G 9/00
B08B 9/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を凍結させることで氷を製造する製氷部と、
前記製氷部を冷却する冷却装置と、
水を貯めるタンクと、
回転速度を変えることが可能なポンプモータを備えるポンプであって、前記ポンプモータの駆動に伴って前記製氷部に前記タンク内の水を供給することが可能なポンプと、
制御部と、を備え、
前記タンクは、前記製氷部に供給された水のうち、凍結しなかった水が前記タンクに貯まる構成となっており、
前記制御部は、前記冷却装置及び前記ポンプモータを動作させることで、前記製氷部で氷を製造する製氷運転を実行するものとされ、前記製氷運転では前記ポンプモータの回転速度を制御し、
前記タンクに貯められた水の水位を測定することが可能な水位センサを備え、
前記製氷部は、水が流下する製氷面を有する製氷板を備え、
前記タンクは、前記製氷板の下方に配されており、
前記制御部は、前記製氷運転中に、前記水位センサによって測定された前記水位が低くなるにつれて、前記ポンプモータの回転速度を次第に低くする処理を行う製氷機。
【請求項2】
前記製氷部の温度を検知することが可能な製氷部温度センサを備え、
前記制御部は、前記製氷運転中に、前記製氷部温度センサで検知された温度が0℃より高い所定温度以下となった場合に前記ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過した後、前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を行う請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記タンクに貯留された水の温度を検知することが可能な水温センサを備え、
前記制御部は、前記製氷運転中に、前記水温センサで検知された温度が0℃より高い所定温度以下となった場合に前記ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過した後、前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を行う請求項1に記載の製氷機。
【請求項4】
前記ポンプモータは、DCモータとされ、
前記制御部は、前記ポンプモータの回転速度が所定の回転速度以下となった場合に、前記タンクと前記製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記ポンプモータは、DCモータとされ、
前記制御部は、前記ポンプモータの電流値が所定の電流値以上となった場合に、前記タンクと前記製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記制御部は、前記冷却装置を停止させた状態で前記ポンプモータを動作させることで前記タンクと前記製氷部の間で水を循環させる洗浄運転を実行するものとされ、
前記洗浄運転中に、前記ポンプモータの回転速度を低くする処理、及び前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を交互に繰り返す請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記製氷部と前記ポンプとを接続する配管と、
前記配管の中間部から引き出され、前記タンク内の水を外部に排水するための排水管と、
前記排水管を開閉する排水バルブと、を備え、
前記製氷部は、前記ポンプよりも高い位置に配されており、
前記制御部は、前記排水バルブを開いた状態で前記ポンプモータを動作させることで、前記排水管を通じて前記タンク内の水を外部に排水する排水運転を実行するものとされ、
前記排水運転では、前記ポンプによって汲み上げられる水の高さが、前記製氷部と前記中間部の間の高さとなるように前記ポンプモータの回転速度を制御する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項8】
前記タンクに外部の水源からの水を供給するための給水管と、
前記給水管を開閉する給水バルブと、
前記製氷部と前記ポンプとを接続する配管と、
前記配管の中間部から引き出され、前記タンク内の水を外部に排水するための排水管と、
前記排水管を開閉する排水バルブと、を備え、
前記制御部は、
前記給水バルブを開くことで前記タンクに前記外部の水源からの水を供給する第1処理と、
前記第1処理の後に実行され、前記冷却装置を停止させた状態で前記ポンプモータを動作させることで前記タンクと前記製氷部の間で水を循環させる第2処理と、
前記第2処理の後に実行され、前記排水バルブを開いた状態で前記ポンプモータを動作させることで、前記排水管を通じて前記タンク内の水を外部に排水する第3処理と、を定期的に実行する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項9】
前記制御部は、当該製氷機の電源がオフ状態からオン状態に切り替わった場合に、前記第1処理、前記第2処理及び前記第3処理を実行する請求項8に記載の製氷機。
【請求項10】
前記タンク内の水に紫外線を照射することで前記タンク内の水を殺菌するUV殺菌装置を備え、
前記制御部は、前記第3処理を実行した後、前記UV殺菌装置を動作させることで、前記タンク内の水を殺菌する第4処理を実行する請求項8又は請求項9に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、タンク(製氷水タンク)に貯留された水をポンプ(循環ポンプ)によって製氷部(製氷板)に供給する構成のものが記載されている。特許文献1においては、製氷部で凍結しなかった水は、タンクに戻る構成となっている。このため、ポンプによって、タンクと製氷部との間で水(製氷水)を循環させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5448618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タンクと製氷部との間で水を循環させるためのポンプが備えるポンプモータとしては、回転速度が一定であるACモータが一般的に用いられている。ポンプモータの回転速度が一定であると、タンクと製氷部との間の水の循環量を変えることができないという問題点がある。例えば、製氷部において氷を製造する製氷運転を行う場合に、水の循環量が多いと製氷水が過冷却され易くなり、綿氷が発生する事態が懸念される。しかしながら、綿氷が発生しないように水の循環量を少なくすると、製氷運転の初期において、製氷水の冷却に時間が掛かり、製氷効率が低下してしまう。このような事情から、製氷運転中にタンクと製氷部との間の水の循環量を増減することが可能な製氷機が求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、タンクと製氷部との間の水の循環量を増減することが可能な製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される製氷機は、水を凍結させることで氷を製造する製氷部と、前記製氷部を冷却する冷却装置と、水を貯めるタンクと、回転速度を変えることが可能なポンプモータを備えるポンプであって、前記ポンプモータの駆動に伴って前記製氷部に前記タンク内の水を供給することが可能なポンプと、制御部と、を備え、前記タンクは、前記製氷部に供給された水のうち、凍結しなかった水が前記タンクに貯まる構成となっており、前記制御部は、前記冷却装置及び前記ポンプモータを動作させることで、前記製氷部で氷を製造する製氷運転を実行するものとされ、前記製氷運転では前記ポンプモータの回転速度を制御することに特徴を有する。
【0007】
上記構成では、ポンプモータを駆動させることで、タンクと製氷部との間で水(製氷水)を循環させることができる。また、ポンプモータの回転速度を増減することで、タンクと製氷部との間の製氷水の循環量を増減することができる。製氷運転の初期においては、ポンプモータを比較的高い回転速度で動作させ、製氷水の循環量を多くすることで、製氷部で製氷水を効率よく冷やすことが好ましい。しかしながら、製氷水が十分冷えた状態で、製氷水の循環量が多い状態が続くと、製氷水の過冷却によってタンクで綿氷が発生し、製氷水の循環を妨げる事態が懸念される。上記構成では、製氷運転中に制御部がポンプモータの回転速度を低くすることができるため、所定のタイミングでタンクと製氷部との間の製氷水の循環量を少なくすることができ、綿氷の発生を抑制することができる。
【0008】
また、前記製氷部の温度を検知することが可能な製氷部温度センサを備え、前記制御部は、前記製氷運転中に、前記製氷部温度センサで検知された温度が0℃より高い所定温度以下となった場合に前記ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過した後、前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を行うものとすることができる。
【0009】
製氷運転においては、製氷水が冷却され、これに伴って、製氷部の温度が低下する。製氷部の温度が所定温度(0℃より高い温度)以下となった状態(製氷水が十分冷えた状態)で、ポンプモータの回転速度を低くすると、製氷部における製氷水の流量が低下し、製氷部の温度がさらに低下することで、製氷部において、種氷が生じやすくなる。種氷が生じると、その種氷を核として氷が成長する。そして、製氷部に氷があると、製氷部における熱交換効率が低下するため、製氷水が冷やされ難くなり、過冷却が生じ難くなる。このため、ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過することで種氷が形成された後、ポンプモータの回転速度を高くすることで、綿氷の発生を抑制しつつ、氷の製造をより早く行うことができる。
【0010】
また、前記タンクに貯留された水の温度を検知することが可能な水温センサを備え、前記制御部は、前記製氷運転中に、前記水温センサで検知された温度が0℃より高い所定温度以下となった場合に前記ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過した後、前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を行うものとすることができる。
【0011】
製氷運転においては、製氷部を経由した製氷水がタンクに貯まることから、タンクの水温は、製氷部における製氷水の温度に追従したものとなっている。タンクの水温が所定温度(0℃より高い温度)以下となった状態(製氷水が十分冷えた状態)で、ポンプモータの回転速度を低くすると、製氷部における製氷水の流量が低下し、製氷部の温度がさらに低下することで、製氷部において、種氷が生じやすくなる。種氷が生じると、その種氷を核として氷が成長する。そして、製氷部に氷があると、製氷部における熱交換効率が低下するため、製氷水が冷やされ難くなり、過冷却が生じ難くなる。このため、ポンプモータの回転速度を低くし、所定時間経過することで種氷が形成された後、ポンプモータの回転速度を高くすることで、綿氷の発生を抑制しつつ、氷の製造をより早く行うことができる。
【0012】
また、前記ポンプモータは、DCモータとされ、前記制御部は、前記ポンプモータの回転速度が所定の回転速度以下となった場合に、前記タンクと前記製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定するものとすることができる。タンクと製氷部との間の水の循環経路にスケールが析出すると、水の循環の妨げとなり、ポンプモータに作用する負荷が大きくなることから、ポンプモータの回転速度が低下する。このため、制御部は、回転速度が所定の回転速度以下となった場合に、タンクと製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定することができる。
【0013】
また、前記ポンプモータは、DCモータとされ、前記制御部は、前記ポンプモータの電流値が所定の電流値以上となった場合に、前記タンクと前記製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定するものとすることができる。タンクと製氷部との間の水の循環経路にスケールが析出すると、水の循環の妨げとなり、ポンプモータに作用する負荷が大きくなることから、ポンプモータの電流が大きくなる。このため、制御部は、ポンプモータの電流値が所定の電流値以上となった場合に、タンクと製氷部との間の水の循環が正常に行われていないと判定することができる。
【0014】
また、前記タンクに貯められた水の水位を測定することが可能な水位センサを備え、前記製氷部は、水が流下する製氷面を有する製氷板を備え、前記タンクは、前記製氷板の下方に配されており、前記制御部は、前記製氷運転中に、前記水位センサによって測定された前記水位が低くなるにつれて、前記ポンプモータの回転速度を次第に低くする処理を行うものとすることができる。
【0015】
上記構成では、製氷面上の氷が成長する(大きくなる)ことに伴って、タンクの水位が低くなる。また、製氷面を水が流下する過程では水が製氷面上の氷に弾かれて飛散する場合があり、氷が大きい程、水の飛散量が多くなる。このため、水位が低くなるにつれて、ポンプモータの回転速度を次第に低くすることで、水の飛散量を減らすことができ、水をより確実にタンクに戻すことができる。また、ポンプモータの回転速度を低くすることで、タンクと製氷板の循環経路にある水の量を減らすことができる。循環経路にある水は製氷に用いられることがないため、このような水の量を減らすことで、節水を図ることができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記冷却装置を停止させた状態で前記ポンプモータを動作させることで前記タンクと前記製氷部の間で水を循環させる洗浄運転を実行するものとされ、前記洗浄運転中に、前記ポンプモータの回転速度を低くする処理、及び前記ポンプモータの回転速度を高くする処理を交互に繰り返すものとすることができる。洗浄運転では、タンクと製氷部の間で水を循環させることで、水の循環経路を洗浄することができる。そして、洗浄運転において、ポンプモータの回転速度を増減させることを繰り返すことで、循環経路において水を脈動させることができ、水の循環経路をより効率よく洗浄することができる。
【0017】
また、前記製氷部と前記ポンプとを接続する配管と、前記配管の中間部から引き出され、前記タンク内の水を外部に排水するための排水管と、前記排水管を開閉する排水バルブと、を備え、前記製氷部は、前記ポンプよりも高い位置に配されており、前記制御部は、前記排水バルブを開いた状態で前記ポンプモータを動作させることで、前記排水管を通じて前記タンク内の水を外部に排水する排水運転を実行するものとされ、前記排水運転では、前記ポンプによって汲み上げられる水の高さが、前記製氷部と前記中間部の間の高さとなるように前記ポンプモータの回転速度を制御するものとすることができる。
【0018】
ポンプを動作させることで製氷部への水の供給に加えて、タンク内の水を排水することが可能となる。そして、排水運転におけるポンプによって汲み上げられる水の高さ(揚程)は、製氷部と中間部の間の高さとなるように設定されているため、タンクの水が、製氷部に向かう事態を抑制でき、確実に排水を行うことができる。
【0019】
また、前記タンクに外部の水源からの水を供給するための給水管と、前記給水管を開閉する給水バルブと、前記製氷部と前記ポンプとを接続する配管と、前記配管の中間部から引き出され、前記タンク内の水を外部に排水するための排水管と、前記排水管を開閉する排水バルブと、を備え、前記制御部は、前記給水バルブを開くことで前記タンクに前記外部の水源からの水を供給する第1処理と、前記第1処理の後に実行され、前記冷却装置を停止させた状態で前記ポンプモータを動作させることで前記タンクと前記製氷部の間で水を循環させる第2処理と、前記第2処理の後に実行され、前記排水バルブを開いた状態で、前記ポンプモータを動作させることで、前記排水管を通じて前記タンク内の水を外部に排水する第3処理と、を定期的に実行するものとすることができる。
【0020】
製氷運転を実行した場合には、タンクと製氷部との間を循環する水は冷えた状態となる。一方、製氷運転を実行しない状態が長時間継続した場合には、タンクと製氷部との間の水の循環経路(以下、単に循環経路と呼ぶ)に残った水の水温が上昇し、菌が繁殖し易くなる事態が考えられる。第1処理~第3処理を実行することで、循環経路内に残った水を給水された水で洗浄し、排水することができる。このような第1処理~第3処理を定期的に実行することで、製氷運転を実行しない状態が長時間継続した場合であっても循環経路内をより清潔な状態で維持することができる。
【0021】
また、前記制御部は、当該製氷機の電源がオフ状態からオン状態に切り替わった場合に、前記第1処理、前記第2処理及び前記第3処理を実行するものとすることができる。循環経路に水が残っている場合において製氷機の電源がオフの状態が長時間続くと、循環経路に残った水の水温が上昇し、菌が繁殖し易くなる事態が考えられる。このため、電源がオン状態に切り替わった場合に、第1処理~第3処理をこの順番で定期的に実行することで、製氷運転を実行する前に循環経路内を清潔な状態にすることができる。
【0022】
また、前記タンク内の水に紫外線を照射することで前記タンク内の水を殺菌するUV殺菌装置を備え、前記制御部は、前記第3処理を実行した後、前記UV殺菌装置を動作させることで、前記タンク内の水を殺菌する第4処理を実行するものとすることができる。第3処理によって排水しきれなかったタンク内の水をUV殺菌装置によって殺菌することができる。これにより、タンク内をより清潔な状態にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、タンクと製氷部との間の水の循環量を増減することが可能な製氷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】製氷機を示す図
図2】製氷部を示す斜視図
図3】タンクにおいて収容管付近を拡大して示す断面図
図4】製氷機の電気的構成を示すブロック図
図5】製氷運転に係る制御部の処理を示すフローチャート
図6】除氷運転に係る制御部の処理を示すフローチャート
図7】洗浄運転に係る制御部の処理を示すフローチャート
図8】比較例の製氷機を示す図
図9】残水処理運転に係る制御部の処理を示すフローチャート
図10】残水処理運転が実行されるタイミングを示すタイミングチャート
図11】電源がオン状態になった場合の制御部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を図1から図11によって説明する。本実施形態では、製氷機として、流下式の製氷機10を例示する。製氷機10は、図1に示すように、水を凍結させることで氷を製造する複数の製氷部11と、製氷部11(より詳しくは製氷部11が備える各製氷板12)を冷却する冷却装置40と、製氷部11に供給される水を貯めることが可能なタンク13と、製氷部11で製造された氷を貯めることが可能な貯氷槽14(貯氷部)と、製氷部11にタンク13内の水を供給することが可能なポンプ15と、を備える。
【0026】
また、製氷機10は、製氷部11(より詳しくは製氷板12)の温度を検知することが可能な製氷部温度センサ16と、タンク13に貯留された水の温度を検知することが可能な水温センサ17と、製氷部11とポンプ15とを接続する配管18と、配管18の中間部19から引き出され、タンク13内の水を外部に排水するための排水管20と、排水管20を開閉する排水バルブ21と、タンク13に貯められた水の上方に配され、タンク13に貯められた水の水面58までの距離を測定することが可能な距離センサ22と、貯氷槽14に貯められた氷の上方に配され、貯氷槽14に貯められた氷の上面14D(図1の2点鎖線参照)までの距離を測定することが可能な貯氷部側距離センサ23(貯氷槽側距離センサ)と、を備える。
【0027】
製氷部11は、複数の製氷板12と、散水パイプ24と、散水ガイド25と、を備える。製氷板12は、垂直な姿勢で設けられている。複数の製氷板12において、対向配置された一対の製氷板12,12の間には、蛇行状をなす蒸発管44(冷却装置40の一部)が設けられている。製氷板12は、図2に示すように、上下方向に沿って延びる複数の製氷面12Aと、上下方向に沿って延びる複数の突条部12Bと、を有している。複数の製氷面12Aは、水平方向に沿って並んでおり、隣り合う製氷面12Aは、突条部12Bによって仕切られている。製氷面12Aは、製氷板12において蒸発管44とは反対側の面によって構成されている。散水パイプ24(散水器)は、一対の製氷板12,12毎に設けられている。ポンプ15から散水パイプ24に送られた製氷水は、散水パイプ24によって各製氷面12Aに散水される。そして、散水パイプ24から散水された製氷水は、散水ガイド25によって各製氷面12Aに案内された後、各製氷面12Aを流下する構成となっている。
【0028】
冷却装置40は、図1に示すように、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管44と、ファン46と、を備える。圧縮機41、凝縮器42、膨張弁43及び蒸発管44は、冷媒が封入された冷媒管45によって連結されている。圧縮機41は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスをファン46の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化冷媒を膨張させる。蒸発管44(蒸発器)は、膨張弁43によって膨張された液化冷媒を気化させて製氷板12を冷却する。このように、圧縮機41、凝縮器42、膨張弁43、蒸発管44及び冷媒管45は、製氷板12を冷却するための冷媒の循環サイクル(冷凍回路)を構成するものとされる。また、冷却装置40は、冷凍回路に混入した水分を除去するためのドライヤ47を備える。製氷部温度センサ16は、冷媒管45において蒸発管44の出口付近に設けられており、製氷板12の温度を検知することが可能となっている。なお、製氷部温度センサ16としては、例えばサーミスタを用いることができるが、これに限定されない。
【0029】
また、冷却装置40は、圧縮機41で圧縮された冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給するためのバイパス管49と、バイパス管49に設けられた電磁弁であるホットガス弁50と、を備える。ホットガス弁50を開くことで、圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給し、蒸発管44を加熱することが可能となっている。つまり、冷却装置40は、蒸発管44を加熱する加熱装置としての機能を有する。
【0030】
タンク13は、図1及び図3に示すように、上方に開口された箱形をなすタンク本体部26と、タンク本体部26の開口を覆う蓋体27と、を備える。タンク本体部26の内部空間には製氷に用いられる製氷水が貯留される。タンク本体部26は、製氷部11の下方に配されている。なお、蓋体27は、タンク本体部26において、製氷部11の直下に位置する箇所には設けられていない。また、タンク本体部26と製氷部11との間にはスノコ28が介在されている。これにより、製氷部11から流下した水は、スノコ28を通過して、タンク13に貯留される。
【0031】
また、一対の製氷板12,12の間には給水パイプ52(給水側の散水パイプ)が設けられている。また、製氷機10は、タンク13に水道管31(外部の水源)からの水を供給するための給水管29と、給水管29を開閉する給水バルブ30と、を備えている。給水パイプ52は、給水管29及び給水バルブ30を介して水道管31と接続されている。これにより、給水バルブ30を開くことで、水道水が製氷板12の裏面(製氷面12Aと反対側の面)を流下した後、タンク13に供給される構成となっている。また、製氷面12Aを流下する製氷水のうち、凍結しなかった水は、タンク13に貯留される構成となっている。つまり、タンク13は、製氷部11に供給された製氷水のうち、凍結しなかった水がタンク13に貯まる構成となっている。これにより、ポンプ15を動作させることで、タンク13と製氷部11との間で製氷水を循環させることが可能となっている。なお、本明細書において、製氷水とは、製氷に用いられる水に限らず、タンク13と製氷部11との間を循環する水を含むものとする。
【0032】
また、タンク13は、タンク13内の水が所定のオーバーフロー水位L1(図3の2点鎖線参照)を超えた場合に、オーバーフロー水位L1を超えた水をタンク13の外部に排水することが可能な構成とされる。より詳しくは、タンク本体部26においては、水が貯められる貯水空間A1と隣接する形でオーバーフロー空間A2が設けられている。オーバーフロー空間A2は、貯水空間A1から溢れた水を排水するための機能を有している。タンク本体部26は、オーバーフロー空間A2と貯水空間A1と仕切る立壁部32を有しており、立壁部32の上端は、タンク本体部26の側壁部の上端よりも低い位置に配されている。立壁部32の上端の高さは、タンク13のオーバーフロー水位L1と一致する。これにより、貯水空間A1の水の水位が立壁部32の上端の高さを超えた場合には、水が立壁部32の上端を超えて、オーバーフロー空間A2に流れ込み、排水される。なお、オーバーフロー空間A2は、タンク13に設けられたオーバーフロー管によって構成されていてもよい。
【0033】
ポンプ15は、回転速度を変えることが可能なポンプモータ33を備え、ポンプモータ33の駆動に伴って製氷部11にタンク13内の水を供給することが可能となっている。ポンプモータ33は、回転速度を変えることが可能なDCモータ(DCブラシレスモータ)とされる。これにより、ポンプモータ33の回転速度を増減させることで、製氷部11への水の供給量(ひいては、タンク13と製氷部11の間の水の循環量)を増減させることが可能となっている。
【0034】
また、製氷部11は、ポンプ15よりも高い位置に配されており、配管18は、ポンプ15から上方に延びている。そして、配管18の中間部19には、タンク13内の水を外部に排水するための排水管20が設けられ、排水管20には、排水管20を開閉する排水バルブ21が設けられている。これにより、排水バルブ21を開いた状態でポンプ15を動作させると、タンク13の水を排水管20を通じて排水することが可能となっている。
タンク13に清潔な水、もしくは洗剤を入れた状態でポンプ15を運転すると製氷部11の製氷面12A側を洗浄することができる。また、給水管29と配管18とは、排水管20の一部及びバルブ34を介して接続されている。これにより、給水バルブ30と排水バルブ21を閉じた状態でバルブ34を開きポンプ15を運転すると給水パイプ52を通じて製氷板12の裏面にタンク13の水を供給することができ、製氷板12の裏面を洗浄することができる。
【0035】
距離センサ22は、タンク13に貯められた水の上方に配され、タンク13内の水の水面に向かって超音波を照射することで、タンク13に貯められた水の水面までの距離を測定することが可能な超音波センサである。より詳しくは、距離センサ22は、超音波を照射する照射部と、タンク13内の水の水面によって反射した超音波を受信する受信部と、を備え、照射部から照射した超音波が反射によって受信部に戻って来るまでの時間に基づいて、距離センサ22から水面までの距離を測定することが可能となっている。距離センサ22から水面までの距離は、タンク13の水位と連動することから、距離センサ22は、タンク13に貯められた水の水位を測定することが可能な水位センサとして用いることができる。距離センサ22を水位センサとして用いることで、水位をリニアに検知することができる。
【0036】
距離センサ22は、図3に示すように、タンク13を覆う蓋体27に設けられた収容管35に収容されている。距離センサ22を収容管35に収容することで、周囲の温度変化による距離センサ22の測定誤差を低減することができる。収容管35は、上下方向に長い円管であり、蓋体27を貫通する形で配されている。また、収容管35は、下方に開口されており、その下端(開口端)は、タンク13の底面13Aとわずかな隙間を空けて対向配置されている。このため、タンク13内において、収容管35内の水の水位は、収容管35外部の水の水位と同じ高さとなる。また、収容管35の開口端部(下端部)には、切欠部36が形成されている。このような切欠部36を設けることで、収容管35内において水が波打つ事態を抑制することができ、水位の測定精度をより高くすることができる。
【0037】
また、収容管35において蓋体27よりも高い位置には、収容管35の内部と外部(タンク13の外部)とを連通する空気孔37が形成されている。空気孔37は、蓋体27よりも高い位置に配されている。収容管35内の水位が上昇した際には、水位の上昇分だけ、収容管35内の空気が空気孔37を通じて外部に排出される。
【0038】
距離センサ22は、収容管35の天井部35Aに設けられている。つまり、距離センサ22は、蓋体27よりも高い位置に配されている。このため、距離センサ22にタンク13内の水が付着する事態を抑制することができる。なお、距離センサ22から照射される超音波の指向角は、タンク13の底面13Aに照射された超音波の照射範囲H1が、収容管35の断面積とほぼ等しくなる値で設定されている。これにより、距離センサ22から照射される超音波が収容管35の内面に反射される事態を抑制することができる。なお、距離センサ22から照射される超音波の指向角は、例えば、5度~10度の範囲内で設定されているが、これに限定されない。
【0039】
また、収容管35内においては、距離センサ22を水平方向の全周から囲む形で第1吸音材38が設けられ、さらに第1吸音材38を囲む形で第2吸音材39が設けられている。第1吸音材38と第2吸音材39は互いに異なる材質とされ、例えば、第1吸音材38は、ゴム材によって構成され、第2吸音材39は、発泡材によって構成されている。第1吸音材38と第2吸音材39によって、距離センサ22を囲むことで、距離センサ22が外部の騒音を受信する事態を抑制することができ、距離センサ22の測定精度をより高くすることができる。
【0040】
また、ポンプ15と距離センサ22との間には、タンク13に貯留された水の温度を検知することが可能な水温センサ17(図1参照)が設けられている。水温センサ17は、蓋体27に取り付けられ、タンク13内の水に接触する形で設けられている。なお、水温センサ17としては、例えばサーミスタを用いることができるが、これに限定されない。
【0041】
貯氷槽14は、製氷部11で製氷された氷を貯えるもので、図1に示すように、製氷部11の下方に配されており、氷排出管51を介して製氷部11と連通されている。使用者は、製氷された氷を貯氷槽14から取り出して使用する。なお、上述したスノコ28は、氷排出管51の一部を構成する。スノコ28は、貯氷槽14における氷の入口14Aに向かうにつれて下降傾斜する姿勢で設けられている。これにより、スノコ28上に落下した氷は、入口14Aに向かって送られる構成となっている。貯氷部側距離センサ23は、貯氷槽14を構成する上壁部14Bに設けられた超音波センサであり、貯氷槽14に貯められた氷の上面14Dに対して超音波を照射することで氷の上面14Dまでの距離を測定することが可能な構成となっている。
【0042】
言い換えると、貯氷部側距離センサ23は、貯氷槽14に貯められた氷の量を測定することが可能となっている。具体的には、貯氷槽14の氷の量が増えると、氷の上面が高くなるため、貯氷部側距離センサ23から氷の上面までの距離は小さくなり、貯氷槽14の氷の量が減ると、氷の上面が低くなるため、貯氷部側距離センサ23から氷の上面までの距離は大きくなる。
【0043】
次に、製氷機10の電気的構成について説明する。製氷機10は、図4に示すように、制御部80を備える。制御部80には、冷却装置40(より具体的には圧縮機41、ファン46、ホットガス弁50)、距離センサ22、貯氷部側距離センサ23、ポンプモータ33、製氷部温度センサ16、水温センサ17、給水バルブ30、排水バルブ21、バルブ34、計時部53(タイマ)、記憶部54、UV殺菌装置70が電気的に接続されている。また、製氷機10は、使用者が操作することが可能なスイッチからなる操作部55と、エラーメッセージ等を表示することが可能な表示部56(例えば、液晶パネル)と、を備える。つまり、表示部56は、操作者にエラーを報知することが可能な報知部である。操作部55及び表示部56は制御部80とそれぞれ電気的に接続されている。
【0044】
制御部80は、例えばCPUを主体に構成され、記憶部54は、例えばROMやRAMなどによって構成されている。制御部80は、記憶部54に記憶されたプログラムを実行することで、使用者による操作部55の操作、各センサ(距離センサ22、貯氷部側距離センサ23、製氷部温度センサ16、水温センサ17)の計測値及び計時部53による計時に基づいて、各機器(冷却装置40、ポンプモータ33、給水バルブ30、排水バルブ21、バルブ34、表示部56)の動作を制御することが可能となっている。また、記憶部54には、製氷機の動作に係る各設定値が記憶されている。また、制御部80は、ポンプモータ33の回転速度及び電流値を参照することが可能となっている。
【0045】
制御部80は、製氷運転、除氷運転及び洗浄運転をそれぞれ実行することが可能となっている。製氷運転とは、冷却装置40を動作させて製氷板12を冷却しつつ、ポンプモータ33を動作させることで、製氷部11において氷を製造する運転である。除氷運転とは、冷却装置40を動作させて製氷板12を加熱しつつ、ポンプモータ33や給水バルブ30を動作させることで、製造された氷を製氷部11の製氷面12Aから脱氷する運転である。洗浄運転とは、冷却装置40を停止させた状態で、ポンプモータ33を動作させることで、タンク13と製氷部11との間で水を循環させて、製氷水の循環経路を洗浄する運転である(詳しくは後述)。
【0046】
また、制御部80は、ポンプモータ33の回転速度を制御することができる。本実施形態では、ポンプモータ33の回転速度として、高速V1、中速V2、低速V3、洗浄時高速V4A、洗浄時低速V4Bの5段階の回転速度が設定されているものを例示する。なお、V1>V2>V3であり、V4A>V1であり、V4A>V4Bであるが、各回転速度の値は適宜設定可能である。また、以下の説明では「制御部80が給水バルブ30を開いてタンク13内に水道水を供給すること」を「給水」と呼ぶ場合がある。
【0047】
次に、製氷運転における制御部80の処理について説明する。製氷運転は、例えば、使用者が操作部55を用いて製氷運転を開始するための操作を行うことで実行される。製氷運転を行う前には、制御部80は、タンク13に給水する給水処理を実行する。給水処理では、制御部80は、給水バルブ30を開くことで、タンク13内に水道水を供給する。制御部80は、距離センサ22によって検出された水面までの距離が予め設定された運転開始距離K2となった場合、言い換えると、タンク13内の水位が運転開始水位L2となった場合に給水処理を停止し、製氷運転を開始する。
【0048】
つまり、運転開始水位L2は、運転開始距離K2に対応する水面の水位である。運転開始距離K2(運転開始水位L2)は、適宜設定可能である。運転開始距離K2は、例えば、図3に示すように、運転開始水位L2が、上述したオーバーフロー水位L1よりも低い位置となるように設定されている。また、運転開始水位L2が、オーバーフロー水位L1と同じ高さでもよい。
【0049】
製氷運転においては、図5に示すように、制御部80が冷却装置40を動作させる(ステップS1)ことで製氷板12が冷却される。また、制御部80は、製氷運転では、製氷面12Aにおける氷の状態に基づいて、ポンプモータ33の回転速度を制御する。製氷運転の開始直後では、制御部80は、ポンプモータ33を高速V1で動作させる(ステップS2)。ポンプモータ33を動作させると、タンク13と製氷部11の間で製氷水が循環し、製氷水は冷却された製氷面12Aを流下する過程で冷却される。製氷運転の開始直後では、タンク13内の製氷水が水道水に近い温度(例えば20℃)であり、これを凍結させるためには0℃まで製氷水を冷やす必要がある。製氷運転の開始直後にポンプモータ33を高速V1で動作させることで、タンク13と製氷部11の間の製氷水の循環量をより多くすることができるため、製氷水を効率よく冷やすことができる。
【0050】
また、ポンプモータ33を動作させると、タンク13内の水がタンク13以外の製氷水の循環経路(配管18や製氷部11等)に送られることで、タンク13内の水位は低下する。このため、制御部80は、ポンプモータ33を高速V1で動作させてから、所定時間T1(例えば15秒)が経過した後(ステップS3で「YES」)、タンク13内の水位が運転開始水位L2となるまで給水する(ステップS4、追加給水処理)。つまり、ポンプモータ33の動作に伴ってタンク13から減った分の水をタンク13に補充する。また、制御部80は、追加給水処理が完了した時点(タンク13内の水位が運転開始水位L2に戻った時点)で、運転開始距離K2に所定値K3(所定の距離)を加算した値を運転停止距離K4として記憶部54に記憶する。距離センサ22の値が運転停止距離K4になることで製氷運転が停止する(詳しくは後述)。なお、運転停止距離K4は製氷運転開始前の時点(例えば運転開始距離K2が入力された時点)で記憶部54に記憶されていてもよい。
【0051】
運転停止距離K4は、図3に示すように、運転開始水位L2から所定値K3だけ低い水位(運転停止水位L4)における水面までの距離である。また、所定値K3は、製氷運転において製氷される氷の量に対応するものである。本実施形態では、所定値K3は、使用者が操作部55を操作することで設定することが可能となっている。つまり、本実施形態では、所定値K3を設定することで、運転停止水位L4、ひいては製氷運転において製氷される氷の量(各氷57の大きさ)を設定することが可能となっている。
【0052】
製氷水の温度が低下すると、製氷水と製氷板12との間の熱交換が抑制されることから製氷板12の温度が低下する。制御部80は、タンク13内の水位が運転開始水位L2となった後(ステップS4の後)、下記の条件FA1又は条件FA2を満たした場合(ステップS5で「YES」)に、ポンプモータ33を低速V3にする(ステップS6)。下記所定温度C1,C2は、0℃より大きい値且つ0℃付近の値であり、適宜設定可能である。所定温度C1は、例えば1℃~5℃の範囲で設定され、所定温度C2は、例えば2℃~10℃の範囲で設定されることが好ましい。言い換えると、制御部80は、製氷水の温度が0℃になる前(製氷面12Aで氷が発生する前)に、ポンプモータを低速V3にする。
条件FA1:タンク13の水温を測る水温センサ17の検知温度≦所定温度C1(例えば2.5℃)
条件FA2:製氷部温度センサ16の検知温度≦所定温度C2(例えば5℃)
【0053】
ポンプモータ33を高速V1から低速V3にすると、製氷水の循環量が減り、製氷面12Aを流下する製氷水の量が減ることから、製氷面12Aの温度はさらに低下する。これにより、製氷面12Aにおいて蒸発管44に対応する箇所(製氷面12Aにおいて特に温度が低い箇所)において、氷の核(種氷)が形成され易い状態となる。また、ポンプモータ33を低速V3にすることで、製氷水の冷却が抑制されることから、製氷水が過冷却される事態を抑制でき、タンク13において綿氷が発生する事態を抑制できる。
【0054】
次に、制御部80は、下記の条件FA3を満たした場合(ステップS7で「YES」)に、ポンプモータ33を中速V2にする(ステップS8)。下記所定温度C3は、0℃より高い温度且つ所定温度C2よりも低い温度である。
条件FA3:製氷部温度センサ16の検知温度≦所定温度C3(例えば1℃)の状態が所定時間T3(例えば120秒)継続した。
また、制御部80は、条件FA3の代わりに、製氷面12Aで種氷が生じたことを検知した場合に、ポンプモータ33を中速V2にしてもよい。なお、種氷の検知は、例えばカメラで製氷面12Aを撮影し、撮影した画像を解析することで実現することができる。
【0055】
ポンプモータを低速V3にしてから、製氷板12の温度が十分低下した後、所定時間T3経過することで、製氷面12Aにおいては、種氷が発生した状態となる。そこで、制御部80は、条件FA3を満たすことで種氷が発生したと判断し、ポンプモータ33を中速V2とし、製氷水の循環量を増やす。なお、所定時間T3は、適宜設定可能であり、例えば、試験等によって実際に種氷が生じる時間を測定することで決定することができる。
【0056】
つまり、制御部80は、ポンプモータ33を低速V3にした後、所定時間経過した後、ポンプモータ33の回転速度を高くする処理(中速V2にする)を行う。製氷面12Aにおいて種氷が発生した後の状態では、製氷水は、種氷の表面を流下する過程で凍結する。これにより、時間が経過するにつれて、製氷面12Aから突出する半月状の氷57(図1参照)が成長していく。なお、製氷面12Aに氷57が発生すると、製氷面12Aと製氷水との熱交換が氷57によって抑制されることから、製氷水の冷却速度が低下する。このため、種氷が発生した後は、ポンプモータ33の回転速度を高くしても綿氷は発生し難い。
【0057】
また、製氷面12Aにおいて氷57が成長することに伴って、タンク13内の水位は低下していく。制御部80は、ステップS8の後、回転速度低下処理を行う(ステップS9)。回転速度低下処理では、距離センサ22によって測定された水面までの距離が大きくなるにつれて(水位センサによって測定されたタンク13内の水位が低くなるにつれて)、ポンプモータ33の回転速度を次第に低くする。製氷面12A上の氷が大きくなるにつれて、製氷板12に供給された製氷水は、氷によって弾かれることで飛散し易くなる。飛散した製氷水はタンク13に戻ることがないため、製氷に用いられる水が減少し、氷が所望の大きさより小さくなってしまう。そこで、氷が成長することに伴って、ポンプモータ33の回転速度を次第に低くすることで製氷水の循環量を減らすことができ、製氷水が飛散する事態を抑制することができる。なお、回転速度低下処理では、ポンプモータ33の回転速度を連続的に低くしてもよいし、段階的に低くしてもよい。
【0058】
そして、制御部80は、タンク13内の水位が運転停止水位L4になった場合(ステップS10で「YES」、距離センサ22によって検出された水面までの距離が運転開始距離K2よりも大きい運転停止距離K4になった場合)にポンプモータ33を停止させて製氷運転を停止し、除氷運転に移行する。なお、制御部80は、ステップS10の代わりに、「タンク13内の水位が運転停止水位L4以下である状態」が所定時間T9(例えば20秒)継続したこと(タンク13内の水位が運転停止水位L4以下で安定したこと)を条件として、ポンプモータ33を停止させて製氷運転を停止し、除氷運転に移行してもよい。このようにすれば、タンク13内の水面の波打ちによる水位変化の影響を抑制できるため、製氷運転を繰り返し行った場合において製氷される氷の大きさを毎回同じ大きさにすることができる。
【0059】
また、制御部80は、製氷運転中に下記の条件FE1又は条件FE2を満たした場合に、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われていないと判定し、表示部56に「水の循環が正常に行われていないこと(エラー)」を使用者に報知するエラーメッセージを表示する。言い換えると、制御部80は、製氷運転中に下記の条件FE1又は条件FE2を満たした場合に、エラー(水の循環が正常に行われていないこと)に対応するエラー対応処理として、エラーを報知する。
条件FE1:ポンプモータ33の回転速度VX≦所定の回転速度V6
条件FE2:ポンプモータ33の電流値IX≧所定の電流値I1
【0060】
なお、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われない原因としては、製氷水の循環経路においてスケールが析出すること等が考えられる。なお、循環経路においては、流速の遅い箇所(散水パイプ24の末端や散水ガイド25の末端等)で特にスケールが析出し易い。このため、制御部80は、条件FE1又は条件FE2を満たした場合に、エラー対応処理として、洗浄運転を実行してもよい。また、制御部80は、条件FE1又は条件FE2を満たした場合に、エラー対応処理として、製氷機10の動作を停止させてもよい。
【0061】
また、制御部80は、製氷運転中に下記の条件FE3又は条件FE4を所定時間満たした場合に、エラーを報知するエラー報知処理を実行する。エラー報知処理では、制御部80は、例えば、表示部56に「タンクの水位が異常な水位であること」を使用者に報知するエラーメッセージを表示する。
条件FE3:距離センサ22によって測定された水面までの距離≧第1異常距離K5
条件FE4:距離センサ22によって測定された水面までの距離≦第2異常距離K6
なお、制御部80は、除氷運転中や洗浄運転中に条件FE3又は条件FE4を所定時間満たした場合に、エラーを報知するエラー報知処理を実行してもよい。
【0062】
第1異常距離K5は、運転停止距離K4よりも大きい値である。第2異常距離K6は、運転開始距離K2よりも小さい値である。このため、「距離センサ22によって測定された水面までの距離が第1異常距離K5以上になることは、タンク13の水位が著しく低下していることに対応している。なお、第1異常距離K5は、例えば、ポンプ15の保安水位L5に対応した値であり、保安水位L5とは、これよりも低い水位では、ポンプ15の吐出量が不安定となる水位のことである。また、距離センサ22によって測定された水面までの距離が第2異常距離K6以下になることは、タンク13の水位が著しく上昇していることに対応している。なお、図3に示すように、第2異常距離K6は、オーバーフロー水位L1よりも高い水位L6に対応した値である。このため、上記条件FE4を満たす原因としては、オーバーフロー空間A2を介したタンク13の排水が正常に行われていないことや、距離センサ22が正規の位置に取り付けられておらず、タンク13内の水位を正しく測定できていないこと等が考えられる。
【0063】
次に、除氷運転における制御部80の処理について説明する。除氷運転においては、図6に示すように、制御部80は、排水バルブ21を開いた状態で、ポンプモータ33を動作させることで、排水管20を通じてタンク13内の水を外部に排水する排水運転(排水処理)を実行する(ステップS21)。排水に伴ってタンク13の水位が低下し、距離センサ22で検出された距離が予め設定されたタンク13の底面13Aに対応した距離になる(底面13Aの高さが検出される)と、制御部80は、排水完了と判断し、ポンプモータ33を停止すると共に、排水バルブ21を閉じて排水運転を停止する。
【0064】
なお、流下式製氷機の製氷運転では、タンク13の水に含まれる不純物は製氷面12Aにおいて凍結し難く、タンク13に回収されることから、氷57は、不純物が極めて少ない状態(超純水)となっている。言い換えると、製氷運転の完了直後では、タンク13の水は、不純物の濃度が高い濃縮水となっている。このような濃縮水は、循環経路においてスケールが生じる原因となる。このため、上記のように製氷運転直後に排水運転を行って濃縮水を排水することがより好ましい。また、排水運転では、制御部80は、ポンプ15によって汲み上げられる水の高さが、製氷部11と中間部19の間の高さとなるようにポンプモータ33の回転速度(少なくとも上記低速V3よりも低い速度)を制御する。これにより、排水したいタンク13内の水が製氷部11に向かう事態を抑制でき、より確実に排水を行うことができる。
【0065】
次に、制御部80は、ファン46を停止すると共にホットガス弁50を開く(ステップS22)。これにより、圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)が蒸発管44に供給され、蒸発管44(ひいては製氷板12)を加熱することができる。また、制御部80は、給水バルブ30を開くことで、給水パイプ52を介して、製氷板12の裏面に水道水を流下させる(ステップS23)。これにより、水道水及びホットガスによって製氷板12が加熱されることで、氷57において製氷面12Aとの接触部分が溶けることで、氷57が製氷面12Aから剥がれる(脱氷する)。脱氷された氷は、スノコ28上に落下した後、貯氷槽14に貯められる。また、製氷板12の裏面を流下した水道水がタンク13に落下することで、タンク13内の水位が上昇する。タンク13内の水位が上昇し、運転開始水位L2になる(距離センサ22によって検出された水面までの距離が運転開始距離K2になる)と(ステップS24で「YES」)、制御部80は、給水バルブを閉じて給水を停止する(ステップS25)。
【0066】
なお、氷57を脱氷させる際には、氷57の一部(製氷面12Aとの接触部分)が溶けた解氷水がタンク13に回収される。このような解氷水は、不純物が少ないため、排水せずに再度製氷に用いることが好ましい。このため、ステップS24、S25のように、オーバーフロー水位L1より低い運転開始水位L2で給水を停止することで、解氷水がオーバーフローして排水される事態を抑制することができる。
【0067】
その後、制御部80は、製氷板12の温度がある程度上昇し、下記の条件FB1を満たした場合(ステップS26で「YES」)に、ポンプモータ33を中速V2で動作させる(ステップS27)。例えば、ステップS27では、ポンプモータ33を中速V2で所定時間T5(例えば15秒)動作させた後、停止し、その所定時間T6(例えば30秒)後、ポンプモータ33を例えば中速V2で所定時間T7(例えば15秒)動作させた後、停止する。このように、製氷板12の温度がある程度上昇した状態で製氷面12Aに製氷水を流すことで、氷の脱氷を促進することができる。
条件FB1:製氷部温度センサ16の検知温度≧所定温度C4(例えば4℃)
なお、氷57において製氷面12Aとの接触部分が溶けた状態では、氷57と製氷面12Aの間にある水の表面張力によって氷57が製氷面12Aから剥がれ難い状態となっている。このため、上記のように、氷57において製氷面12Aとの接触部分が溶けた後、ポンプモータ33を動作させ、製氷面12Aに製氷水を流すことで、水の力によって氷57を叩き落とすようにすることで、脱氷を促進することができる。しかしながら、圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給した場合、蒸発管44の入口側(ホットガス弁50に近い側、製氷板12の上部に対応)が蒸発管44の出口側(製氷部温度センサ16側、製氷板12の下部に対応)に比べて温まり易い。つまり、製氷面12Aにおいて上側にある氷57程製氷面12Aとの接触部分が早く溶ける。このため、本実施形態では、まず、ポンプモータ33を中速V2で所定時間T5動作させることで、比較的溶け易い製氷面12Aの上部(製氷面12Aの上半分程度)にある氷57を脱氷させる。その後、所定時間T6経過させることで、製氷面12Aの下部にある氷57の製氷面との接触部分が溶けた後、ポンプモータ33を中速V2で所定時間T7動作させることで、下部の氷57を脱氷させるようにしている。
【0068】
そして、制御部80は、下記の条件FB2を満たした(ステップS28で「YES」)後、所定時間T8(例えば60秒)経過した場合(ステップS29で「YES」)に製氷面12A上の全ての氷が脱氷されたと判定し、除氷運転を停止させ、製氷運転に移行する。なお、所定温度C4、C5は適宜設定可能であるが、所定温度C4、C5は0℃より高い温度で設定され、所定温度C5は所定温度C4よりも高い温度で設定されている。
条件FB2:製氷部温度センサ16の検知温度≧所定温度C5(例えば9℃)
【0069】
なお、制御部80は、貯氷部側距離センサ23によって測定された氷の上面14Dまでの距離(貯氷槽に貯められた氷の量に相当)が、予め設定された所定距離K7となるまで(貯氷槽の氷が所定量となるまで)、製氷運転と除氷運転とを繰り返し実行する。また、この所定距離K7(貯氷槽の氷の量)は適宜設定可能であるため、貯氷槽14内の氷の量を調整することが可能となっている。なお、2回目以降の製氷運転を行う際には、制御部80は、製氷運転前に実行する給水処理(運転開始水位L2まで水道水を給水する処理)を省略してもよい。
【0070】
また、制御部80は、製氷運転及び除氷運転のサイクルが所定回数(例えば20回)実行されたことを条件として、除氷運転後に洗浄運転を実行する。次に、洗浄運転における制御部80の処理について説明する。洗浄運転では、図7に示すように、制御部80は、冷却装置40(圧縮機41及びファン46)を停止させると共に、ホットガス弁50を閉じた状態とする(ステップS41)。次に、制御部80は、給水バルブ30を開くことでタンクに給水し(ステップS42)、距離センサ22によって測定された水面までの距離(タンク13内の水位)に基づいて、タンク13内の水位が所定の水位(例えば、オーバーフロー水位L1)となった場合(ステップS43で「YES」)に、給水バルブを閉じる(ステップS44)。
【0071】
次に、制御部80は、冷却装置40を停止させた状態で、ポンプモータ33を動作させ、バルブ34を開くことでタンク13と製氷部11(製氷板12の表面と裏面)の間で水を循環させる。洗浄運転では、制御部80は、ポンプモータ33の回転速度を低くする処理、及びポンプモータ33の回転速度を高くする処理を交互に繰り返す。具体的には、制御部80は、ポンプモータ33を高速V1よりも高い回転速度である洗浄時高速V4Aで所定時間動作させる第1動作処理を行った後(ステップS45)、洗浄時低速V4Bで所定時間動作させる第2動作処理を行う(ステップS46)。制御部80は、第1動作処理と第2動作処理とを交互に繰り返し実行する。そして、制御部80は、第1動作処理及び第2動作処理をそれぞれ所定回数実行する(ステップS47で「YES」)と、制御部80は、排水バルブ21を開くと共にバルブ34を閉じ、ポンプモータ33を動作させることで、タンク13内の水を排水する排水運転(排水処理)を実行する(ステップS48)。これにより、洗浄運転が停止する。なお、制御部80は、洗浄運転が停止した後、製氷運転に移行する。
【0072】
また、上記実施形態では、製氷運転と除氷運転のサイクルを所定回数実行したことを条件として、洗浄運転を実行するものを例示したが、これに限定されない。タンク13内の水に含まれる不純物の濃度をセンサによって測定し、不純物の濃度が所定値以上になった場合に、制御部80は、除氷運転の後、洗浄運転を実行するようにしてもよい。なお、水は不純物の濃度が高くなる程、電気伝導度が高くなる。このため、本実施形態では、電気伝導度を測定することが可能な電気伝導度センサを備えていてもよい。このような電気伝導度センサは制御部80と電気的に接続されており、電気伝導度センサによって、水の電気伝導度を測定し、制御部80は、測定された電気伝導度が所定値以上(不純物の濃度が所定値以上)になった場合に、洗浄運転を実行するようにしてもよい。なお、水温センサ17は、例えば、金属製のケース17A(水温センサ17の外殻部、図3参照)にサーミスタが収容されることで構成されている。このような構成の水温センサ17を用いた場合には、図3の2点鎖線で示すように、タンク13内の水に接する形で配された電極48を備えていてもよい。電極48は、ケース17Aと間隔を空ける形で配されており、電極48及びケース17Aは、制御部80と電気的に接続されている。制御部80は、電極48とケース17Aの双方に通電することで、電極48とケース17Aの間にある水に電流を流し、水の電気抵抗を測定することで、タンク13内の水の電気伝導度を測定することができる。つまり、電気伝導度センサを構成する一対の電極のうち一方の電極(例えば正極)を電極48によって構成し、他方の電極(例えば負極)をケース17Aによって構成してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、図1に示すように、タンク13内の水に紫外線を照射することでタンク13内の水を殺菌するUV殺菌装置70を備える。UV殺菌装置70は、紫外線ランプ又は深紫外線LEDランプであり、例えば、水の殺菌作用が高い253nm~285nmの波長の紫外線(UV)を照射可能なものとされている。UV殺菌装置70は、例えば、タンク13の蓋体27に固定され、タンク13内に貯水された水に対して紫外線を照射することが可能となっている。
【0074】
本実施形態においては、ポンプ15による排水を行った場合であっても、タンク13と製氷部11との間の水の循環経路(タンク13及び製氷部11を含む)において、部分的に水が残る事態が懸念される。以下の説明では排水しきれずに循環経路に残った水を残水と呼ぶ。残水が発生する箇所の一例としては、例えば、タンク13の底部を挙げることができる。ポンプ15の下端部には、図示しない吸水口が設けられているため、ポンプ15によって水を吸い込むためには、例えば、図1に示すように、タンク13の底面13Aに凹部13Dを設け、凹部13Dの底面13Eとポンプ15の下端部との間に隙間を設ける必要がある。このような事情から、例えば、タンク13の底部(凹部13D)には、ポンプ15で吸い込めない残水がわずかに存在する。製氷運転が長時間実行されない場合等には、残水の水温が上昇することが想定される。残水の水温が上昇すると、菌が繁殖する事態が懸念される。
【0075】
そこで、本実施形態では、制御部80は、残水を処理するための残水処理運転を実行する。残水処理運転では、図9に示すように、下記の第1処理~第4処理を順番に実行する。第1処理(残水希釈処理、ステップS51)においては、制御部80は、給水バルブ30を開くことでタンク13に水道管31からの水(水道水)を供給する。これにより、タンク13内の水(残水)が給水された水で希釈される。そして、第1処理では、制御部80は、距離センサ22によって測定されたタンク13内の水位がオーバーフロー水位L1(図3参照)になってから、さらに所定時間給水を継続した後、給水バルブ30を閉じる。これにより、希釈されたタンク13内の水の一部は、オーバーフロー空間A2から排水される。
【0076】
第1処理の後に実行される第2処理(水循環処理、ステップS52)では、制御部80は、冷却装置40を停止させた状態且つバルブ34を開いた状態でポンプモータ33を所定時間動作させることでタンク13と製氷部11(製氷板12の表面及び裏面を含む)の間で水を循環させる。これにより、タンク13以外の循環経路に残っていた残水を、循環する水によって流すことで、タンク13に送ることができる。
【0077】
第2処理の後に実行される第3処理(残水排水処理、ステップS53)では、制御部80は、排水バルブ21を開いた状態且つバルブ34を閉じた状態で、ポンプモータ33を動作させることで、排水管20を通じてタンク13内の水を外部に排水する。排水に伴ってタンク13の水位が低下し、距離センサ22で検出された距離が予め設定されたタンク13の底面13Aに対応した距離になる(底面13Aの高さが検出される)と、制御部80は、排水完了と判断し、ポンプモータ33を停止すると共に、排水バルブ21を閉じて第3処理を停止する。また、第3処理では、制御部80は、ポンプ15によって汲み上げられる水の高さが、製氷部11と中間部19の間の高さとなるようにポンプモータ33の回転速度を制御する。これにより、タンク13内の水が製氷部11に向かう事態を抑制でき、より確実に排水を行うことができる。
【0078】
第3処理の後に実行される第4処理(殺菌処理、ステップS54)では、制御部80は、UV殺菌装置70を所定時間動作させることで、タンク13内の水(排水しきれずにタンク13内に残った水)を殺菌する。
【0079】
制御部80は、図10に示すように、製氷運転及び除氷運転のいずれも実行されていない状態(言い換えると冷却装置40が停止している状態)において、所定時間T11(例えば4時間)が経過する毎に残水処理運転(第1処理、第2処理、第3処理、第4処理、ステップS51~S54)を実行する。つまり、制御部80は、製氷運転や除氷運転が実行されていない場合に残水処理運転を定期的に実行する。
【0080】
また、制御部80は、図11に示すように、製氷機10の電源がオフ状態からオン状態に切り替わった場合(ステップS61で「YES」)に、残水処理運転(第1処理~第4処理)を実行する(ステップS62)。なお、使用者は、例えば、操作部55が有する電源スイッチを操作することで製氷機10の電源のオン状態及びオフ状態の切り替えを行うことができる。
【0081】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態の製氷機10は、水を凍結させることで氷を製造する製氷部11と、製氷部11を冷却する冷却装置40と、水を貯めるタンク13と、回転速度を変えることが可能なポンプモータ33を備えるポンプ15であって、ポンプモータ33の駆動に伴って製氷部11にタンク13内の水を供給することが可能なポンプ15と、制御部80と、を備え、タンク13は、製氷部11に供給された水のうち、凍結しなかった水がタンク13に貯まる構成となっており、制御部80は、冷却装置40及びポンプモータ33を動作させることで、製氷部11で氷を製造する製氷運転を実行するものとされ、製氷運転ではポンプモータ33の回転速度を制御する。
【0082】
上記構成では、ポンプモータ33を駆動させることで、タンク13と製氷部11との間で水(製氷水)を循環させることができる。また、ポンプモータ33の回転速度を増減することで、タンク13と製氷部11との間の製氷水の循環量を増減することができる。製氷運転の初期においては、ポンプモータ33を比較的高い回転速度(高速V1)で動作させ、製氷水の循環量を多くすることで、製氷部11で製氷水を効率よく冷やすことが好ましい。しかしながら、製氷水が十分冷えた状態で、製氷水の循環量が多い状態が続くと、製氷水の過冷却によってタンク13で綿氷が発生し、製氷水の循環を妨げる事態が懸念される。上記構成では、製氷運転中に制御部80がポンプモータ33の回転速度を低くする(低速V3にする)ことができるため、所定のタイミングでタンク13と製氷部11との間の製氷水の循環量を少なくすることができ、綿氷の発生を抑制することができる。
【0083】
また、製氷部11の温度を検知することが可能な製氷部温度センサ16を備え、制御部80は、製氷運転中に、製氷部温度センサ16で検知された温度が0℃より高い所定温度C2以下となった場合にポンプモータ33の回転速度を低くし、所定時間経過した後、ポンプモータ33の回転速度を高くする処理を行う。
【0084】
製氷運転においては、製氷水が冷却され、これに伴って、製氷部11の温度が低下する。製氷部11の温度が所定温度(0℃より高い温度)以下となった状態(製氷水が十分冷えた状態)で、ポンプモータ33の回転速度を低くすると、製氷部11における製氷水の流量が低下し、製氷部11の温度がさらに低下することで、製氷部11において、種氷が生じやすくなる。種氷が生じると、その種氷を核として氷が成長する。そして、製氷部11に氷があると、製氷部11における熱交換効率が低下するため、製氷水が冷やされ難くなり、過冷却が生じ難くなる。このため、ポンプモータ33の回転速度を低くし(低速V3にし)、所定時間経過することで種氷が形成された後、ポンプモータ33の回転速度を高くする(中速V2にする)ことで、綿氷の発生を抑制しつつ、氷の製造をより早く行うことができる。
【0085】
また、タンク13に貯留された水の温度を検知することが可能な水温センサ17を備え、制御部80は、製氷運転中に、水温センサ17で検知された温度が0℃より高い所定温度C1以下となった場合にポンプモータ33の回転速度を低くし、所定時間経過した後、ポンプモータ33の回転速度を高くする処理を行う。
【0086】
製氷運転においては、製氷部11を経由した製氷水がタンク13に貯まることから、タンク13の水温は、製氷部11における製氷水の温度に追従したものとなっている。タンク13の水温が所定温度(0℃より高い温度)以下となった状態(製氷水が十分冷えた状態)で、ポンプモータ33の回転速度を低くすると、製氷部11における製氷水の流量が低下し、製氷部11の温度がさらに低下することで、製氷部11において、種氷が生じやすくなる。種氷が生じると、その種氷を核として氷が成長する。そして、製氷部11に氷があると、製氷部11における熱交換効率が低下するため、製氷水が冷やされ難くなり、過冷却が生じ難くなる。このため、ポンプモータ33の回転速度を低くし、所定時間経過することで種氷が形成された後、ポンプモータ33の回転速度を高くすることで、綿氷の発生を抑制しつつ、氷の製造をより早く行うことができる。
【0087】
また、ポンプモータ33は、DCモータとされ、制御部80は、ポンプモータ33の回転速度が所定の回転速度以下となった場合に、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われていないと判定する。タンク13と製氷部11との間の水の循環経路にスケールが析出すると、水の循環の妨げとなり、ポンプモータ33に作用する負荷が大きくなることから、ポンプモータ33の回転速度が低下する。このため、制御部80は、回転速度が所定の回転速度以下となった場合に、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われていないと判定することができる。
【0088】
また、ポンプモータ33は、DCモータとされ、制御部80は、ポンプモータ33の電流値が所定の電流値以上となった場合に、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われていないと判定する。タンク13と製氷部11との間の水の循環経路にスケールが析出すると、水の循環の妨げとなり、ポンプモータ33に作用する負荷が大きくなることから、ポンプモータ33の電流が大きくなる。このため、制御部80は、ポンプモータ33の電流値が所定の電流値以上となった場合に、タンク13と製氷部11との間の水の循環が正常に行われていないと判定することができる。
【0089】
また、タンク13に貯められた水の水位を測定することが可能な距離センサ22(水位センサ)を備え、製氷部11は、水が流下する製氷面12Aを有する製氷板12を備え、タンク13は、製氷板12の下方に配されており、制御部80は、製氷運転中に、距離センサ22によって測定されたタンク13内の水位が低くなるにつれて、ポンプモータ33の回転速度を次第に低くする処理を行う。
【0090】
上記構成では、製氷面12A上の氷が成長する(大きくなる)ことに伴って、タンク13の水位が低くなる。また、製氷面12Aを水が流下する過程では水が製氷面12A上の氷に弾かれて飛散する場合があり、氷が大きい程、水の飛散量が多くなる。このため、水位が低くなるにつれて、ポンプモータ33の回転速度を次第に低くすることで、水の飛散量を減らすことができ、水をより確実にタンク13に戻すことができる。また、ポンプモータ33の回転速度を低くすることで、タンク13と製氷板12の循環経路にある水の量を減らすことができる。循環経路にある水は製氷に用いられることがないため、このような水の量を減らすことで、節水を図ることができる。
【0091】
また、制御部80は、冷却装置40を停止させた状態でポンプモータ33を動作させることでタンク13と製氷部11の間で水を循環させる洗浄運転を実行するものとされ、洗浄運転中に、ポンプモータ33の回転速度を低くする処理、ポンプモータ33の回転速度を高くする処理を交互に繰り返す。洗浄運転では、タンク13と製氷部11の間で水を循環させることで、水の循環経路を洗浄することができる。そして、洗浄運転において、ポンプモータ33の回転速度を増減させることを繰り返すことで、循環経路において水を脈動させることができ、循環経路にある汚れ(スケール等)を水の圧力で効率良く剥がすことができるから、水の循環経路をより効率よく洗浄することができる。
【0092】
また、製氷部11とポンプ15とを接続する配管18と、配管18の中間部19から引き出され、タンク13内の水を外部に排水するための排水管20と、排水管20を開閉する排水バルブ21と、を備え、製氷部11は、ポンプ15よりも高い位置に配されており、制御部80は、排水バルブ21を開いた状態で、ポンプモータ33を動作させることで、排水管20を通じてタンク13内の水を外部に排水する排水運転を実行するものとされ、排水運転では、ポンプ15によって汲み上げられる水の高さが、製氷部11と中間部19の間の高さとなるようにポンプモータ33の回転速度を制御する。ポンプ15を動作させることで製氷部11への水の供給に加えて、タンク13内の水を排水することが可能となる。そして、排水運転におけるポンプ15によって汲み上げられる水の高さ(揚程)は、製氷部11と中間部19の間の高さとなるように設定されているため、タンク13の水が、製氷部11に向かう事態を抑制でき、確実に排水を行うことができる。
【0093】
また、水を凍結させることで氷を製造する製氷部11と、製氷部11を冷却する冷却装置40と、製氷部11に供給される水を貯めることが可能なタンク13と、タンク13に貯められた水の上方に配され、タンク13に貯められた水の水面までの距離を測定することが可能な距離センサ22と、を備える。タンク13内の水位が高くなると、距離センサ22から水面までの距離は小さくなる。このため、距離センサ22から水面までの距離を測定することでタンク13内の水の水位を検出することができる。仮に、図8の比較例の製氷機1に示すように、フロートスイッチ2を用いてタンク13内の水の水位を検出する構成とした場合には、水に接触しているフロート3(浮き子)にスケール等の異物が付着することで、フロート3の高さが変化してしまい、水位を正確に検出できない事態が懸念される。上記構成の距離センサ22は、水に接触する事態を抑制できるため、水位をより正確に検出することができる。
【0094】
また、フロートスイッチは、検出可能な水位が固定されてしまい、リニアに水位を測定することができない。例えば、図8に示すように、2箇所の水位L11,L12のみを検出可能なフロートスイッチ2を用いた場合、製氷運転の運転開始水位を水位L11とし、運転停止水位を水位L12と設定し、製氷運転を実行することが考えられる。この場合、製氷される氷の量はL11とL12の差によって決まるため製氷運転によって製氷される氷の量は毎回同じとなってしまう。
【0095】
また、フロートスイッチを用いた場合、給水に伴ってタンク13内の水位がL11に達した後、さらに所定時間給水することで、タンク13内の水を立壁部32の上端からオーバーフロー空間A2にオーバーフローさせ、その時点での水位L13(越流水位)を運転開始水位とし、運転停止水位L12となるまで製氷運転を実行することが考えられる。この場合においても、製氷される氷の量はL13とL12の差によって決まるため製氷される氷の量は毎回同じとなる。また、タンク13内の水をオーバーフローさせることになるので、節水の観点から好ましくない。本実施形態では、距離センサ22を用いることで、所定の水位で運転開始水位L2及び運転停止水位L4を設定でき、製氷運転によって製氷される氷の量は変えることができる。
【0096】
また、距離センサ22は、水面に向かって超音波を照射することで、水面までの距離を測定することが可能な構成である。上記構成の距離センサ22によれば、超音波を用いて水面までの距離を測定することでタンク13内の水の水位を測定することができる。仮に距離センサ22として、レーザを水面に照射する構成とした場合、レーザが水面において反射せず、水中に向かう場合があり、水面までの距離を正確に測定することが困難となる場合がある。超音波は水面においてより確実に反射させることができるため、水面までの距離をより確実に測定することができる。
【0097】
また、ポンプモータ33を備えるポンプ15であって、ポンプモータ33の駆動に伴って製氷部11にタンク13内の水を供給することが可能なポンプ15と、制御部80と、を備え、タンク13は、製氷部11に供給された水のうち、凍結しなかった水がタンク13に貯まる構成となっており、制御部80は、冷却装置40及びポンプモータ33を動作させることで製氷部11において氷を製造する製氷運転を実行するものとされ、さらに、距離センサ22によって検出された水面までの距離が予め設定された運転開始距離K2となった場合に、製氷運転を開始すると共に、距離センサ22によって検出された水面までの距離が運転開始距離K2よりも大きい運転停止距離K4となった場合に、製氷運転を停止する。製氷運転においては、タンク13内の水が製氷部において氷になる。このため、運転開始距離K2と運転停止距離K4の差は、製氷部11において製造された氷の量に比例する。このため、運転開始距離K2及び運転停止距離K4をそれぞれ設定することで、製氷部11において製造される氷の量を変更することができる。
【0098】
また、タンク13は、タンク13内の水が所定のオーバーフロー水位L1を超えた場合に、オーバーフロー水位L1を超えた水をタンク13の外部に排水することが可能な構成とされ、運転開始距離K2に対応する水面の水位(運転開始水位L2)が、オーバーフロー水位L1よりも低いものとされる。製氷運転がオーバーフロー水位L1よりも低い水位で開始されることから、製氷運転中に、タンク13内の水が、オーバーフロー水位L1を超えて排水される事態を抑制することができる。
【0099】
また、制御部80は、距離センサ22によって測定された水面までの距離が、運転停止距離K4よりも大きい値である第1異常距離K5以上となった場合、又は運転開始距離K2よりも小さい値である第2異常距離K6以下となった場合に、エラーを報知するエラー報知処理を実行する。タンク13内の水位が著しく低くなった場合(第1異常距離K5以上となった場合)、又はタンク13内の水位が著しく高くなった場合(第2異常距離K6以下となった場合)に、エラーを報知することで、作業者にタンク13内の水位の異常を知らせることができる。
【0100】
また、製氷部11で製造された氷を貯めることが可能な貯氷槽14(貯氷部)と、貯氷槽14に貯められた氷の上方に配され、貯氷槽14に貯められた氷の上面14Dまでの距離を測定することが可能な貯氷部側距離センサ23と、を備える。貯氷槽14に貯められた氷の量が多くなる程、氷の上面は高くなるため、貯氷部側距離センサ23から氷の上面までの距離は小さくなる。この結果、貯氷部側距離センサ23を備えることで、貯氷槽14に貯められた氷の量を測定することができる。これにより、貯氷槽14に貯められた氷の量に応じて、製氷を行うことが可能となる。また、制御部80は貯氷部側距離センサ23によって測定された氷の量を表示部56に表示してもよい。
【0101】
また、タンク13に水道管31(外部の水源)からの水を供給するための給水管29と、給水管29を開閉する給水バルブ30と、製氷部11とポンプ15とを接続する配管18と、配管18の中間部19から引き出され、タンク13内の水を外部に排水するための排水管20と、排水管20を開閉する排水バルブ21と、を備え、制御部80は、給水バルブ30を開くことでタンク13に水道管31からの水を供給する第1処理と、第1処理の後に実行され、冷却装置40を停止させた状態でポンプモータ33を動作させることでタンク13と製氷部11の間で水を循環させる第2処理と、第2処理の後に実行され、排水バルブ21を開いた状態で、ポンプモータ33を動作させることで、排水管20を通じてタンク13内の水を外部に排水する第3処理と、を定期的に実行する。
【0102】
製氷運転を実行した場合には、タンク13と製氷部11との間を循環する水は冷えた状態となる。一方、製氷運転を実行しない状態が長時間継続した場合には、タンク13と製氷部11との間の水の循環経路(以下、単に循環経路と呼ぶ)に残った水の水温が上昇し、菌が繁殖し易くなる事態が考えられる。第1処理~第3処理を実行することで、循環経路内に残った水を給水された水で洗浄し、排水することができる。このような第1処理~第3処理を定期的に実行することで、製氷運転を実行しない状態が長時間継続した場合であっても循環経路内をより清潔な状態で維持することができる。
【0103】
また、制御部80は、製氷機10の電源がオフ状態からオン状態に切り替わった場合に、第1処理、第2処理及び第3処理を実行する。循環経路に水が残っている場合において製氷機10の電源がオフの状態が長時間続くと、製氷運転や上述した定期的な残水処理運転が実行されないこと等の理由から、循環経路に残った水の水温が上昇し、菌が繁殖し易くなる事態が考えられる。このため、電源がオン状態に切り替わった場合に、第1処理~第3処理をこの順番で定期的に実行することで、製氷運転を実行する前に循環経路内を清潔な状態にすることができる。
【0104】
また、タンク13内の水に紫外線を照射することでタンク13内の水を殺菌するUV殺菌装置70を備え、制御部80は、第3処理を実行した後、UV殺菌装置70を動作させることで、タンク13内の水を殺菌する第4処理を実行する。第3処理によって排水しきれなかったタンク13内の水をUV殺菌装置によって殺菌することができる。これにより、タンク13内をより清潔な状態にすることができる。なお、本実施形態において、水道管31に塩素を除去する浄水器が設けられている場合には、より一層残水に菌が繁殖し易くなる。このため、上述した第1処理~第4処理は、浄水器が設けられている構成の場合に実行すると、特に好適である。
【0105】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、流下式の製氷機を例示したが、製氷機の方式は流下式に限定されない。本明細書に記載の技術は、タンクと製氷部の間を水が循環する他の方式(例えばセル式)の製氷機に対しても適用可能である。
(2)上記実施形態では、距離センサ22として超音波を用いるものを例示したが、これに限定されない。距離センサ22としてレーザを水面に照射することで、水面までの距離を測定する構成のものを用いてもよい。なお、レーザが水面において反射し難い場合には、水面に光反射率の高い反射部材(例えば円柱形状のフロート)を浮かべ、その反射部材に向けてレーザを照射することで、水面までの距離を測定する構成としてもよい。また、タンク13内の水位を測定する水位センサとして、距離センサ以外の水位センサを用いてもよい。
(3)上記実施形態の追加給水処理(図5のステップS4)において、例えば、タンク13の水位をオーバーフロー水位L1と同じ高さまで給水し、その水位を運転開始水位とし、この水位から所定値低い水位を運転停止水位としてもよい。また、追加給水処理を実行せず、その時点での水位を運転開始水位とし、この水位から所定値低い水位を運転停止水位としてもよい。さらに、制御部80は、追加給水処理において、タンク13の水位をオーバーフロー水位L1と同じ高さまで給水した後、さらに所定時間だけ給水し、その時点の水位(越流水位)を運転開始水位とし、この水位から所定値低い水位を運転停止水位としてもよい。
(4)追加給水処理(図5のステップS4)において、タンク13の水位をオーバーフロー水位L1と同じ高さまで給水する場合には、水位がオーバーフロー水位L1(運転開始水位)に達した後、製氷水の温度がある程度低い温度になるまで(製氷部温度センサ16や水温センサ17の検知温度が所定温度(例えば5℃)以下となるまで)、給水を継続してもよい。ポンプ15を動作させて製氷水を冷却する際には、製氷面12Aを水が流下する過程で水が飛散する。水が飛散するとタンク13の水位が低下するため、運転開始水位よりも低い水位から運転終了水位まで製氷が行われることになり、所望のサイズより小さい氷が製氷されてしまう。製氷水がある程度低い温度(0℃に近い温度)になるまで給水を継続することで、製氷水を冷却させつつ、製氷板で飛散した分の水を補充することができるため、タンク13内の水位を運転開始水位であるオーバーフロー水位L1で維持することができ、運転開始水位から運転停止水位まで減った分の水を氷にすることができることから、所望の大きさの氷をより確実に製氷することができる。
(5)上記実施形態では、使用者が操作部55を操作することで製氷運転が開始されることを例示したが、これに限定されない。例えば、制御部80は、貯氷部側距離センサ23によって測定された氷の上面までの距離(貯氷槽14に貯められた氷の量)が、予め設定された所定距離以上となった場合(貯氷槽14の氷が所定量以下となった場合)に、製氷運転を開始してもよい。つまり、制御部80は、貯氷槽14に貯まっている氷の量に基づいて製氷運転を開始してもよい。
(6)制御部80は、除氷運転中や洗浄運転中に上記条件FE3又は条件FE4を所定時間満たした場合に、エラーを報知するエラー報知処理を実行してもよい。
(7)上記実施形態において所定温度C1,C2,C3,C4,C5及び所定時間T1,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10は例示した各数値に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
(8)制御部80は、上記残水処理運転において、第4処理を実行せず、第1処理~第3処理のみを実行してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…製氷機、11…製氷部、12…製氷板、12A…製氷面、13…タンク、14…貯氷槽(貯氷部)、14D…貯氷部に貯められた氷の上面、15…ポンプ、16…製氷部温度センサ、17…水温センサ、18…製氷部とポンプとを接続する配管、19…配管の中間部、20…排水管、21…排水管を開閉する排水バルブ、22…距離センサ(水位センサ)、23…貯氷部側距離センサ、29…給水管、30…給水バルブ、33…ポンプモータ、40…冷却装置、58…水面(タンクに貯められた水の水面)、70…UV殺菌装置、80…制御部、K2…運転開始距離、K4…運転停止距離、K5…第1異常距離、K6…第2異常距離、L1…オーバーフロー水位
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