IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清医療食品株式会社の特許一覧

特許7321992食器洗浄補助装置および食器洗浄システム
<>
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図1
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図2
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図3
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図4
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図5
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図6
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図7
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図8
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図9
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図10
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図11
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図12
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図13
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図14
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図15
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図16
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図17
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図18
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図19
  • 特許-食器洗浄補助装置および食器洗浄システム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】食器洗浄補助装置および食器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20230731BHJP
   A47L 15/24 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B65G47/91 B
A47L15/24
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020217363
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102554
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594117294
【氏名又は名称】日清医療食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮太
(72)【発明者】
【氏名】玉川 圭人
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037349(JP,A)
【文献】特開昭62-183892(JP,A)
【文献】特開2006-325889(JP,A)
【文献】特開2001-239484(JP,A)
【文献】特開昭55-002545(JP,A)
【文献】特開2020-019118(JP,A)
【文献】特開2020-040159(JP,A)
【文献】実開平07-000569(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/90-47/92
A47L 15/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてくる前記食器の形状を検出する食器検出部と、
前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録して食器種類情報を登録させており、前記食器検出部により検出された前記食器の形状に基づいて前記搬送部の前記食器の種類を判別して、前記食器の種類に応じて前記食器を保持して前記搬送部から排出する排出操作部と、
を備え
前記食器種類情報を登録する食器登録部をさらに備え、
前記食器種類情報は、前記食器に関する食器関連情報を有し、
前記排出操作部は、保持アームを有し、
前記保持アームは、前記食器を保持するための複数の保持指部を有するとともに、複数の前記保持指部は、前記搬送部上の前記食器を吸引して保持し、保持した前記食器を前記搬送部から排出し、
前記食器関連情報は、前記食器の大きさに合わせて複数の前記保持指部同士の間の距離を設定させるための保持指部設定距離情報を含むことを特徴とする食器洗浄補助装置。
【請求項2】
前記食器登録部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を登録した前記食器種類情報を有する食器登録媒体を読み取ることにより、前記食器の種類を事前に登録可能であることを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項3】
前記保持指部は、エアーの吸引により前記食器を保持し、前記エアーを逆噴射することにより前記食器の保持を解除することを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項4】
前記保持指部の径が、前記食器の種類に応じて変更可能であることを特徴とする請求項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項5】
前記排出操作部は、前記食器を前記搬送部から排出する動作の速度を前記食器の種類に応じて変更可能であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項6】
前記排出操作部の付近に設けられ、前記搬送部から排出した前記食器を積み重ねておく食器置台をさらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項7】
前記食器関連情報は、前記保持指部設定距離情報に加えて、前記食器を積み重ねておく際の前記食器の積み重ねパターン情報、積み重ね可能枚数情報、前記保持指部により保持する前記食器の向きに関する情報、1枚の前記食器を積み重ねる際の嵩増しの高さ情報、および前記食器を把持して置く際の前記食器の色情報を含むことを特徴とする請求項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項8】
前記食器登録部に登録されていない未登録の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部は、未登録の前記食器を保持しないことを特徴とする請求項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項9】
前記搬送部上において、複数の前記食器が互いに近づくことで前記保持アームが複数の前記食器を保持する部分同士の間隔が所定間隔よりも小さくなった複数の前記食器の密集した状態で、複数の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部は、密集した前記食器を保持しないことを特徴とする請求項またはに記載の食器洗浄補助装置。
【請求項10】
前記搬送部上において、複数の前記食器が互いに近づくことで前記保持アームが複数の前記食器を保持する部分同士の間隔が所定間隔よりも小さくなった複数の前記食器の密集した状態で、複数の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部が、複数の前記食器の少なくともいずれかの前記食器を保持した状態の時に、前記少なくともいずれかの前記食器以外の他の前記食器を保持しないことを特徴とする請求項またはに記載の食器洗浄補助装置。
【請求項11】
前記排出操作部の前記保持指部により保持されなかった前記食器を前記搬送部から受け取る食器受け取り部をさらに備えることを特徴とする請求項9または10に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項12】
前記食器洗浄機における前記食器の投入部に設けられ、前記食器を投入する範囲を指示する食器投入範囲指示部をさらに備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項13】
前記食器洗浄機における前記食器の投入部に設けられ、下洗いした前記食器を投入するタイミングを指示する食器投入タイミング指示部をさらに備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の食器洗浄補助装置。
【請求項14】
食器を洗浄する食器洗浄機と、
前記食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された前記食器を排出するための食器洗浄補助装置と、を備える食器洗浄システムであって、
前記食器洗浄補助装置は、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてくる前記食器の形状を検出する食器検出部と、
前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録して食器種類情報を登録させており、前記食器検出部により検出された前記食器の形状に基づいて前記搬送部の前記食器の種類を判別して、前記食器の種類に応じて前記食器を保持して前記搬送部から排出する排出操作部と、
を備え、
前記食器種類情報を登録する食器登録部をさらに備え、
前記食器種類情報は、前記食器に関する食器関連情報を有し、
前記排出操作部は、保持アームを有し、
前記保持アームは、前記食器を保持するための複数の保持指部を有するとともに、複数の前記保持指部は、前記搬送部上の前記食器を吸引して保持し、保持した前記食器を前記搬送部から排出し、
前記食器関連情報は、前記食器の大きさに合わせて複数の前記保持指部同士の間の距離を設定させるための保持指部設定距離情報を含むことを特徴とする食器洗浄システム
【請求項15】
食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてくる前記食器を排出する排出操作部と、
を備え、
前記排出操作部は、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を着脱可能に保持して前記搬送部から排出する保持アームを有し、
前記保持アームは、前記食器を保持可能な複数の保持指部を有し、複数の前記保持指部同士の間の距離を変更可能であり、
前記排出操作部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録した食器種類情報を取得させており、前記食器種類情報に基づいて前記距離を変更して、前記搬送部の前記食器を保持することを特徴とする食器洗浄補助装置。
【請求項16】
食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、
前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてくる前記食器を排出する排出操作部と、
を備え、
前記排出操作部は、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を着脱可能に保持して前記搬送部から排出する保持アームを有し、
前記保持アームは、前記食器を保持可能な複数の保持指部を有し、複数の前記保持指部の配列方向を、前記搬送部の前記食器の配置方向に合わせて任意の角度に変更可能であり、
前記保持アームは、前記複数の保持指部同士の間の距離を変更可能であり、
前記排出操作部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録した食器種類情報を取得させており、前記食器種類情報に基づいて前記距離を変更して、前記搬送部の前記食器を保持することを特徴とする食器洗浄補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を順次排出する食器洗浄補助装置および食器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は、例えば食堂や、病院等の医療施設や介護施設等において用いられている。通常、この種の食器洗浄機による食器洗浄業務には、少なくとも2名の作業者が必要である。現状では、人による食器洗浄業務は、次のような作業手順で行われる。まず、下膳作業では、喫食後の食器が下膳車に載せて洗浄室に戻ってくると、作業者が残飯を処分し、食器を水に漬け置きする。漬け置きは、原則として食器の種類毎に分けて行う。
【0003】
次に、食器洗浄機の入り口側の作業では、作業者が漬け置きした食器を下洗いした後、食器洗浄機のコンベア上に食器を順次置いていく。さらに、食器洗浄機の出口側の作業では、別の作業者が、食器洗浄機から出てきた食器を、1枚ずつ食器カゴに重ねて収めていくか、または複数の食器を重ねてから食器カゴに収めていく。食器が食器カゴにおいて満載になったら、作業者は食器カゴを食器乾燥庫に移動する。
【0004】
特許文献1には、食器整理装置が提案されている。この食器整理装置では、食器洗浄機が洗浄した食器をホルダの底部に投入して、食器をホルダ内で順次積み上げながら、積み上げた食器をホルダ内で押出爪によりさらに押し上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-112225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように人による食器洗浄および食器の積み重ね業務では、食器洗浄機の入口側に食器洗浄作業者が1人と、出口側に食器の積み重ね作業者が1人の少なくとも2人の作業者が必要である。しかし、労働人口の減少により労働力の確保が難しく、食器洗浄および食器の積み重ね業務における省力化が不可欠である。
【0007】
また、特許文献1に記載の食器整理装置では、食器をホルダ内の底部に投入した後、ホルダ内ではホルダ内の底部を空けるために、底部から一旦食器を押し上げないと、次の食器をホルダ内の底部に投入できない。このため、食器をホルダ内に次々とスムーズに投入することが難しい。しかも、押し上げた状態で積み重ねた食器は、押上爪によりさらに押し上げておく必要あることから、食器のスムーズな積み重ね作業を行うことが難しい。従って、複数の食器の種類に応じて食器を保持して確実に排出することがスムーズに行えず、食器の種類を区分けして排出する動作のタクトタイムを短縮できないという課題がある。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、食器を確実に排出することができ、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる食器洗浄補助装置および食器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてくる前記食器の形状を検出する食器検出部と、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録して食器種類情報を登録させており、前記食器検出部により検出された前記食器の形状に基づいて前記搬送部の前記食器の種類を判別して、前記食器の種類に応じて前記食器を保持して前記搬送部から排出する排出操作部と、を備え、前記食器種類情報を登録する食器登録部をさらに備え、前記食器種類情報は、前記食器に関する食器関連情報を有し、前記排出操作部は、保持アームを有し、前記保持アームは、前記食器を保持するための複数の保持指部を有するとともに、複数の前記保持指部は、前記搬送部上の前記食器を吸引して保持し、保持した前記食器を前記搬送部から排出し、前記食器関連情報は、前記食器の大きさに合わせて複数の前記保持指部同士の間の距離を設定させるための保持指部設定距離情報を含むことを特徴とする本発明の食器洗浄補助装置により、解消される。
【0010】
本発明の食器洗浄補助装置では、排出操作部は、食器種類情報を事前に得て、食器検出部により検出された食器の形状に基づいて搬送部の食器の種類を判別して、食器の種類に応じて食器を保持して搬送部から排出するので、食器を確実に排出することができる。このため、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる。
また、本発明の食器洗浄補助装置では、食器登録部は、登録された食器種類情報を得て、排出操作部は、食器を食器の種類に応じて確実に排出することができる。このため、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
また、本発明の食器洗浄補助装置では、食器関連情報を用いることで、食器を食器の種類に応じて確実に排出することができる。
また、本発明の食器洗浄補助装置では、保持アームは複数の保持指部を有するので、排出操作部は、同時複数の食器を排出できる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
また、本発明の食器洗浄補助装置では、食器の大きさに合わせて複数の保持指部同士の間の距離を設定できるので、食器を確実に保持して排出できる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0012】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記食器登録部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を登録した前記食器種類情報を有する食器登録媒体を読み取ることにより、前記食器の種類を事前に登録可能であることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器登録部は、事前に食器登録媒体を読み取ることで、食器を食器の種類に応じて確実に排出することができる。
【0015】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記保持指部は、エアーの吸引により前記食器を保持し、前記エアーを逆噴射することにより前記食器の保持を解除することを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、保持指部は、エアー吸引を用いることで食器を保持し、エアーの逆噴射により保持の解除を行うことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0017】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記保持指部の径が、前記食器の種類に応じて変更可能であることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器の種類に応じて、保持指部が食器を保持できるので、食器を落下させてしまう等のトラブルを解消して、食器を確実に保持して排出できる。
【0018】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記排出操作部は、前記食器を前記搬送部から排出する動作の速度を前記食器の種類に応じて変更可能であることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、排出操作部は、食器を搬送部から排出する動作の速度を食器の種類に応じて変更可能であるため、食器Mを誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。
【0019】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記排出操作部の付近に設けられ、前記搬送部から排出した前記食器を積み重ねておく食器置台をさらに備えることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、排出操作部は、排出した食器を食器置台に積み重ねておくことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0020】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記食器関連情報は、前記保持指部設定距離情報に加えて、前記食器を積み重ねておく際の前記食器の積み重ねパターン情報、積み重ね可能枚数情報、前記保持指部により保持する前記食器の向きに関する情報、1枚の前記食器を積み重ねる際の嵩増しの高さ情報、および前記食器を把持して置く際の前記食器の色情報を含むことを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器関連情報は、食器の積み重ねパターン情報、積み重ね可能枚数情報、前記保持指部により保持する前記食器の向きに関する情報、1枚の前記食器を積み重ねる際の嵩増しの高さ情報、および前記食器を把持して置く際の前記食器の色情報を含むので、食器は、食器置台上に確実に置くことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0021】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記食器登録部に登録されていない未登録の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部は、未登録の前記食器を保持しないことを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、保持指部は、未登録の食器を保持しないようにすることで、未登録の食器と登録した食器を混ぜて排出するトラブルを防ぐことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0022】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記搬送部上において、複数の前記食器が互いに近づくことで前記保持アームが複数の前記食器を保持する部分同士の間隔が所定間隔よりも小さくなった複数の前記食器の密集した状態で、複数の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部は、密集した前記食器を保持しないことを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器が密集した状態で搬送部により搬送されてきた場合に、保持指部は、密集した食器を保持しないので、食器を排出中に落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0023】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記搬送部上において、複数の前記食器が互いに近づくことで前記保持アームが複数の前記食器を保持する部分同士の間隔が所定間隔よりも小さくなった複数の前記食器の密集した状態で、複数の前記食器が前記搬送部により搬送されてきた場合には、前記排出操作部の前記保持指部が、複数の前記食器の少なくともいずれかの前記食器を保持した状態の時に、前記少なくともいずれかの前記食器以外の他の前記食器を保持しないことを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器が密集した状態で搬送部により搬送されてきた場合に、保持指部が、複数の食器の少なくともいずれかの前記食器を保持した状態の時に、保持した食器以外の他の食器は保持しないので、食器を落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0024】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記排出操作部の前記保持指部により保持されなかった前記食器を前記搬送部から受け取る食器受け取り部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器受け取り部は、保持指部により保持されなかった食器を搬送部から自動的に回収することができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0025】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記食器洗浄機における前記食器の投入部に設けられ、前記食器を投入する範囲を指示する食器投入範囲指示部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、食器洗浄機における食器の投入する範囲が明示されることで、食器洗浄機から排出される食器は、排出操作部の保持指部により保持することがより確実に行える。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0026】
本発明の食器洗浄補助装置において、好ましくは、前記食器洗浄機における前記食器の投入部に設けられ、下洗いした前記食器を投入するタイミングを指示する食器投入タイミング指示部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の食器洗浄補助装置では、下洗いした食器を投入するタイミングを指示することで、複数の食器が密集した状態で搬送部により搬送されてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0027】
また、前記課題は、食器を洗浄する食器洗浄機と、前記食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された前記食器を排出するための食器洗浄補助装置と、を備える食器洗浄システムであって、前記食器洗浄補助装置は、前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてくる前記食器の形状を検出する食器検出部と、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録して食器種類情報を登録させており、前記食器検出部により検出された前記食器の形状に基づいて前記搬送部の前記食器の種類を判別して、前記食器の種類に応じて前記食器を保持して前記搬送部から排出する排出操作部と、を備え、前記食器種類情報を登録する食器登録部をさらに備え、前記食器種類情報は、前記食器に関する食器関連情報を有し、前記排出操作部は、保持アームを有し、前記保持アームは、前記食器を保持するための複数の保持指部を有するとともに、複数の前記保持指部は、前記搬送部上の前記食器を吸引して保持し、保持した前記食器を前記搬送部から排出し、前記食器関連情報は、前記食器の大きさに合わせて複数の前記保持指部同士の間の距離を設定させるための保持指部設定距離情報を含むことを特徴とする本発明の食器洗浄システムにより、解消される。
【0028】
本発明の食器洗浄システムでは、排出操作部は、食器種類情報を事前に得て、食器検出部により検出された食器の形状に基づいて搬送部の食器の種類を判別して、食器の種類に応じて食器を保持して搬送部から排出するので、食器を確実に排出することができる。このため、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき食器を確実に排出することができ、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる。
また、前記課題は、食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を排出する排出操作部と、備え、前記排出操作部は、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を着脱可能に保持して前記搬送部から排出する保持アームを有し、前記保持アームは、前記食器を保持可能な複数の保持指部を有し、複数の前記保持指部同士の間の距離を変更可能であり、前記排出操作部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録した食器種類情報を取得させており、前記食器種類情報に基づいて前記距離を変更して、前記搬送部の前記食器を保持することを特徴とする本発明の食器洗浄補助装置により、解消される。
また、前記課題は、食器洗浄機に並べて配置されて、洗浄された食器を排出するための食器洗浄補助装置であって、前記食器を前記食器洗浄機から搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を排出する排出操作部と、を備え、前記排出操作部は、前記搬送部により搬送されてくる前記食器を着脱可能に保持して前記搬送部から排出する保持アームを有し、前記保持アームは、前記食器を保持可能な複数の保持指部を有し、複数の前記保持指部の配列方向を、前記搬送部の前記食器の配置方向に合わせて任意の角度に変更可能であり、前記保持アームは、前記複数の保持指部同士の間の距離を変更可能であり、前記排出操作部は、前記搬送部により搬送しようとする前記食器の種類を事前に登録した食器種類情報を取得させており、前記食器種類情報に基づいて前記距離を変更して、前記搬送部の前記食器を保持することを特徴とする本発明の食器洗浄補助装置により、解消される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、食器を確実に排出することができ、食器の判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる食器洗浄補助装置および食器洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る食器洗浄システムを示す平面図である。
図2図1に示す食器洗浄システムを示す斜視図である。
図3図1に示す食器洗浄システムを別の角度から示す斜視図である。
図4図1に示す食器洗浄システムをさらに別の角度から示す斜視図である。
図5】乗継ぎ部の形状例を示す図である。
図6】排出操作部の全体構成を示す斜視図である。
図7】排出操作部とその周辺部分を示す斜視図である。
図8】排出操作部の操作ヘッドを示す斜視図である。
図9】操作ヘッドを示す正面図である。
図10】食器洗浄補助装置の制御系を示す図である。
図11】食器種類登録カードに登録されている情報例等を示す図である。
図12】食器洗浄システムの動作例を示すフロー図である。
図13】食器置台に積み重ねられた食器の例と、対象外の食器が食器受け取り部に収容された様子を示す図である。
図14】保持指部の動作例を示す図である。
図15】食器Mが第2搬送コンベアにより搬送方向Xに沿って搬送される例を示す平面図である。
図16】食器Mが第2搬送コンベアにより搬送方向Xに沿って搬送される例を示す平面図である。
図17】「食器Mの密集状態」の具体的な例を示す図である。
図18】本発明の第2実施形態を示す図である。
図19】本発明の第3実施形態を示す図である。
図20】本発明の第4実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0032】
(第1実施形態)
<食器洗浄システム1000>
図1は、本発明の実施形態に係る食器洗浄システムを示す平面図である。図2は、図1に示す食器洗浄システムを示す斜視図である。図3は、図1に示す食器洗浄システムを別の角度から示す斜視図である。図4は、図1に示す食器洗浄システムをさらに別の角度から示す斜視図である。
【0033】
図1から図4に示すように、食器洗浄システム1000は、食器洗浄機1と、食器洗浄補助装置10とから構成されている。食器洗浄システム1000は、各種の食器Mを食器洗浄機1により洗浄した後に、食器洗浄補助装置10により排出して予め定めた種類の食器Mを食器置台90上に積み上げる。しかし、予め定めた種類以外の種類の食器Nは、食器置台90上には積み上げないで、食器受け取り部95に収容することができる。食器洗浄システム1000は、食器Mを搬送する搬送方向Xに関するシステム長さをできる限り短くすることで、比較的狭い建屋の設置スペースであっても、設置できるようになっている。この食器洗浄システム1000は、例えば学校等の給食施設、会社の社員食堂等の施設、介護施設等の施設等に設置されて、多数の食器を連続して洗浄して食器を食器置台90上に積み重ねたり、食器受け取り部95に収容する作業を行う。なお、食器洗浄システム1000は、図示しない安全パネル等により囲まれて設置されていてもよい。
【0034】
<食器洗浄機1>
まず、図1図2を参照して、食器洗浄機1について説明する。
食器洗浄機1は、本体部2と、排出コンベアであるコンベア3と、食器下洗い容器4を有する。本体部2は、食器Mを洗浄して、しかも好ましくは乾燥させる機構を有する。本体部2は、入口部2Aと出口部2Bを有し、コンベア3は、入口部2Aと出口部2Bを通って水平に配置されている。コンベア3は、食器Mを載せて搬送方向Xに沿って一定速度で搬送する。食器洗浄機1の動作は、制御部100の指令により制御される。
【0035】
ここで、食器Mは、洗浄処理され好ましくは乾燥処理された食器の内の予め定めた種類の食器である。また、食器Nは、洗浄処理され好ましくは乾燥処理された食器の内の予め定めた種類以外の食器である。食器Mは、後で説明する排出操作部30の保持指部41,42により吸着して保持して食器置台90上に積み重ねていく。これに対して、食器Nは、保持指部41,42により吸着して保持することはなく、食器置台90上には積み重ねないで、食器受け取り部95内に収容されるようになっている。
【0036】
食器下洗い容器4には水と洗剤が収容されている。食器Mは、作業者により、下膳作業により残飯を処分して食器下洗い容器4の水に漬け置きされており、作業者は、漬け置きした食器Mを食器下洗い容器4の洗剤を含む水で下洗いを行う。1人の作業者が、食器下洗い容器4付近で、下洗い作業と、下洗い作業の済んだ食器M、Nを、コンベア3の上流側に下向きにして置く作業を行う。このため、食器洗浄システム1000は、1人の作業者だけで、食器洗浄作業を運用でき、食器洗浄業務の人的な省力化を図ることができる。
【0037】
作業者は、下洗いされた食器Mを下向きして、コンベア3上に順次置くことで、コンベア3は、食器Mを搬送方向Xに沿って搬送する。食器Mは、入口部2Aから本体部2に入って洗浄水による洗浄と、好ましくは例えば熱風による乾燥処理が行われ、その後出口部2Bから出てきて、次段の食器洗浄補助装置10側に送られる。なお、食器洗浄機1は、食器Mを洗浄するだけの機能を有するものであっても良い。
【0038】
図1に示すように、ガイド部材6が、好ましくは、例えば第1搬送コンベア21に対応して配置されている。このガイド部材6は、食器M、Nを第1搬送コンベア21により食器検出部50の検出可能範囲50Sに通過させて、しかも排出操作部30側へ案内するための食器の搬送軌道を設定することができる。これにより、ガイド部材6は、搬送部20上において食器M、Nを食器検出部50の検出可能範囲50Sに確実に案内でき、しかも排出操作部30側へ確実に案内できるので、食器M、Nの検出と排出をスムーズにしかも確実に行うことができる。このため、食器M、Nの検出と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
本明細書では、「タクトタイム」とは、食器Mを洗浄して回収して積み重ねる一連の作業の1枚の食器当たりの処理スピードをいい、好ましくは食器1枚当たり3.0秒以内の動作を目指している。
【0039】
図1に示すように、好ましくは、食器投入範囲指示部7が、食器洗浄機1における食器Mの投入部に設けられている。この食器投入範囲指示部7は、作業者が下洗いした食器Mをコンベア3の上流側に投入して載せるための範囲を、作業者に対して明示することができる。これにより、作業者は、食器洗浄機1における食器M、Nを投入する範囲が明確に分かる。食器洗浄機1から排出される食器M、Nは、食器検出部50による食器M、Nの検出処理のための検出可能範囲50Sに誘導でき、しかも排出操作部30の保持指部41,42により食器Mだけを吸着して保持する作業をより確実に行える。このため、食器M、Nの検出と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0040】
また、図1に示すように、好ましくは、食器投入タイミング指示部8が、食器洗浄機1における食器の投入部側に設けられている。この食器投入タイミング指示部8は、制御部100の指令により、作業者が下洗いした食器Mをコンベア3の上流側に投入するタイミングを、所定時間間隔で、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して指示することができる。これにより、作業者は、下洗いした食器Mを投入するタイミングの指示を受けながら、順次コンベア3の上流側において、食器Mを下向きにして置いていくことができる。従って、複数の食器M、Nは、搬送方向Xに沿って適正な間隔で搬送することができ、複数の食器が密集した状態で搬送されて洗浄されて搬送部20側へ搬送されてしまうトラブルをできる限り防ぐことができる。これにより、食器Mの洗浄処理の効果を上げ、しかも食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0041】
また、図1に示すように、好ましくは、報知部81が、食器洗浄機1における例えば食器の投入部側に設けられている。報知部81は、食器置台90上に積み上げられた食器Mの数が所定数以上になると、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して報知する。これにより、報知部81は、食器置台90上に積み上げられた食器Mを回収することを作業者に促すことができる。これによれば、排出操作部30が食器置台90上に積み上げられた食器Mに接触することを回避することができ、排出操作部30が破損することを抑えることができる。また、報知部81は、安全センサ(図示せず)が作業者に反応したことにより食器洗浄システム1000の動作が停止したことを、例えば音や光、あるいはその両方で、作業者に対して報知する。
【0042】
<食器洗浄補助装置10>
次に、図1から図4を参照して、食器洗浄補助装置10の好ましい構造例を説明する。
食器洗浄補助装置10は、食器洗浄機1の後段側であって、コンベア3の下流側に対して直列になるように並べて配置されている。図1図2に示すように、食器洗浄補助装置10は、食器洗浄機1において洗浄処理され好ましくは乾燥処理された食器の内の予め定めた種類の食器Mを食器置台90上に積み上げるが、予め定めた種類以外の種類の食器Nは食器置台90上には積み上げないで、食器受け取り部95内に収容するようになっている。なお、図面において、搬送方向Xは、食器Mが搬送される方向であるが、Y方向は、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の幅方向であり、Z方向は、食器洗浄機1と食器洗浄補助装置10の上下方向である。搬送方向XとY方向とZ方向は、互いに直交している。
【0043】
図1から図4に示すように、食器洗浄補助装置10は、搬送部20と、排出操作部30と、食器検出部50と、食器置台90と、食器受け取り部95と、制御部100と、を備える。搬送部20は、食器洗浄機1のコンベア3から各種の複数の食器M、Nを載せて搬送方向Xに沿って搬送する。排出操作部30は、搬送部20により搬送している予め定めた種類の食器Mだけを吸着して保持することで、搬送部20上から排出して、食器置台90上に積み重ねる。食器検出部50は、搬送部20により搬送方向Xに沿って搬送されてくる食器M、Nの形状や大きさや搬送時の向き(姿勢)等を、搬送途中であって排出操作部30の前段において、例えばレーザ光を用いて非接触で検出することができる。
【0044】
[搬送部20]
図1図2を参照して、搬送部20を説明する。図1図2に示すように、搬送部20は、食器洗浄機1のコンベア3の下流側に配置されている。搬送部20が食器M、Nを搬送する搬送方向Xは、食器洗浄機1のコンベア3が食器M、Nを搬送する搬送方向Xと同じである。コンベア3は洗浄水を下へ通し易い構造を有する。コンベア3は図示しない駆動モータにより駆動される。搬送部20は、第1搬送コンベア21と、第2搬送コンベア22と、駆動モータ23と、を有する。第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22は、水はけに優れ、食器M、Nを安定して保持しながら搬送できるベルトコンベアである。駆動モータ23は、減速ギア部23Gを介して第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22を同期して駆動でき、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22は、同じ搬送速度で食器M、Nを搬送方向Xに沿って搬送する。例えば、好ましくは第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22の搬送速度は、食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度と同じに設定されている。
しかし、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22の搬送速度は、食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度は、異なっていても良く、排出処理速度を上げたい場合には、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22の搬送速度は、食器洗浄機1のコンベア3の搬送速度よりも大きくすることができる。
【0045】
第1搬送コンベア21は、食器洗浄機1のコンベア3の下流側から排出される食器M、Nを受け取って、搬送方向Xに沿って搬送する。第2搬送コンベア22は、第1搬送コンベア21により搬送されてくる食器M、Nを受け取って、搬送方向Xに沿ってさらに搬送する。図示例では、好ましくは、第2搬送コンベア22の搬送方向Xに沿った長さは、第1搬送コンベア21の搬送方向Xに沿った長さに比べて長く設定されている。このように、第2搬送コンベア22の搬送方向Xに沿った長さが第1搬送コンベア21の搬送方向Xに沿った長さに比べて長く設定されているのは、後で説明する図6に示すような排出操作部30が、第2搬送コンベア22上の食器Mを吸着して保持して、食器置台90上に積み重ねるための作業時間を確保するためである。第1搬送コンベア21は、食器洗浄機1のコンベア3の下流側に配置されているが、第2搬送コンベア22は、排出操作部30に対応した位置に配置されている。これにより、排出操作部30は、第2搬送コンベア上に搬送されてくる食器Mを保持してスムーズに排出できる。なお、第1搬送コンベア21の長さと第2搬送コンベア22の長さは、作業スペースの大小に従って自由に設定することができる。
【0046】
図1図2に示すように、乗継ぎ部5が、食器洗浄機1のコンベア3の下流側に配置され、乗継ぎ部5は、食器洗浄機1のコンベア3の下流側と第1搬送コンベア21の上流側との間に設けられている。乗継ぎ部5は、例えばプラスチック板や金属板であり、乗継ぎ部5の形状例は、図5に示している。図5に示すように、乗継ぎ部5は、等間隔に形成された複数の半円形状の凹部5Pを有する。これらの凹部5Pは、それぞれコンベア3の回転部分3Rが当たらないようになっている。コンベア3の床面からの高さ位置は、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22の床面からの高さ位置に比べて、同じか少し高くなっている。
【0047】
これにより、仮にコンベア3の高さ位置と第1搬送コンベア21の高さ位置が異なっていても、乗継ぎ部5は、その高さの差を補い、仮にコンベア3の回転速度と第1搬送コンベア21の回転速度が異なっていても、乗継ぎ部5は、その回転速度差を吸収することができる。従って、乗継ぎ部5は、食器Mを、コンベア3から第1搬送コンベア21側へ、スムーズにしかも確実に受け渡しできる。食器洗浄機1で洗浄された軽い食器であっても重い食器であっても、あるいは食器の高さや直径などのサイズの大小にかかわらず、食器M、Nは、乗継ぎ部5を利用して確実に受け渡しをすることができる。しかも、乗継ぎ部5が配置されていることにより、搬送部20上において、「食器の密集状態」や、食器同士の重なりを起こすのを防ぐことができる。このため、食器M、Nの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
ここで、本明細書では、「食器の密集状態」とは、例えば、複数の食器Mが互いに近づくことで保持アーム32(図1図3参照)が複数の食器Mを保持する部分(例えば食器Mの中心点)同士の間隔が所定間隔よりも小さくなった状態をいう。「食器の密集状態」の例は、後で説明する。
【0048】
また、図5に表した矢印A1のように、乗継ぎ部5は、鉛直方向に移動することができる。すなわち、乗継ぎ部5の高さ方向の位置が調整可能とされている。また、図5に表した矢印A2のように、乗継ぎ部5は、水平方向に移動することができる。すなわち、搬送方向Xにおける乗継ぎ部5の位置が調整可能とされている。これにより、乗継ぎ部5は、食器Mを、コンベア3から第1搬送コンベア21側へ、より一層スムーズにしかも確実に受け渡しできる。なお、乗継ぎ部5の高さ方向および水平方向の位置は、手動により調整されてもよく、電動により調整されてもよい。
【0049】
[食器検出部50]
図1図5図7を参照して、食器検出部50を説明する。図1図5に示すように、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22との間には、第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へと受け渡される食器M、Nの形状を検出する食器検出部50が配置されている。食器M、Nは、種類によって様々な形状や高さやサイズを有するために、食器M、Nが排出操作部30に到達する前段で、食器M、Nの形状や高さや大きさを特定する必要がある。このため、食器検出部50は、排出操作部30よりも搬送方向Xについて上流側の第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へ受け渡す位置に配置されている。食器検出部50は、食器M、Nの形状を第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へ受け渡す際に、例えばレーザ光により非接触で検出できるので、搬送途中において食器M、Nの形状(大きさや搬送時の向き(姿勢))を検出して、その後排出操作部30により、予め定めた種類の食器Mだけを搬送部20から食器置台90上に積み重ねることができる。このため、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0050】
図7は、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22と食器検出部50の構造例を示している。図2図7に示すように、第1搬送コンベア21の下流側と、第2搬送コンベア22の上流側との間には、Y方向に沿って隙間領域9が設けられている。食器検出部50は、この隙間領域9に対応して配置されている。これにより、食器検出部50は、食器M、Nを第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へ受け渡す際に、隙間領域9にレーザ光を通すことにより、食器M、Nの形状(大きさや搬送時の向き(姿勢))を非接触で検出できる。
【0051】
食器検出部50の構造例をさらに詳細に説明すると、図2図7に示すように、食器検出部50は、発光部51と、発光部からのレーザ光50Lを受光する受光部52を有する。発光部51からのレーザ光50Lは、上述した隙間領域9を通過して、第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へと受け渡される食器M、Nの形状や大きさや向き(姿勢)等を検出する。いわゆる透過型の食器検出部50では、発光部51からのレーザ光50Lは、隙間領域9を通過して、第1搬送コンベア21から第2搬送コンベア22へと受け渡される食器M、Nの形状等を検出する。一方、反射型の食器検出部は、発生した光を食器で反射させて、反射した光を受光部で受光する構造である。反射型の食器検出部を用いて食器を検出しようとすると、例えば湯気や水滴等に影響されて、うまく食器を検出できない。これに対して、本発明の実施形態で採用されている透過型の食器検出部50は、湯気や水滴等に影響を受けずに、食器の形状等を確実に検出できる。このため、食器M、Nの判別動作を正確に行え、判別のタクトタイムを短縮できる。
【0052】
図2図7に示す例では、この発光部51は、搬送部20の上側に隙間領域9に対応して配置され、受光部52は、搬送部20の下側において隙間領域9に対応して、しかも発光部51に対面するようにして配置されている。しかし、発光部51が搬送部20の下側に隙間領域9に対応して配置され、受光部52が搬送部20の上側に隙間領域9に対応して配置されていても良い。発光部51は、搬送部20のY方向に沿って搬送部20の幅の約半分の位置まで配置されており、受光部52も発光部51に対応して配置されている。発光部51には、レーザ光50Lを発生する複数のレーザ発光素子が、搬送方向Xと交差する方向であるY方向に沿って配列されている。受光部52には、隙間領域9を通過したレーザ光50Lを受光する複数の受光素子が、搬送方向Xと交差する方向であるY方向に沿って配列されている。このため、食器検出部50の検出可能範囲50S内で、第1搬送コンベア21のどの位置に食器M、Nが搬送されてきても、食器M、Nの形状等を確実に検出できるので、食器M、Nの判別動作のタクトタイムを短縮できる。
【0053】
これにより、受光部52は、隙間領域9を通ったレーザ光50Lを受けることで、制御部100に受光信号を送るので、制御部100は、受光部52で受けたレーザ光50Lに基づいて、隙間領域9を通過した食器Mの形状等を非接触で判別できる。このため、図2に示す排出操作部30は、食器検出部50により検出された食器M、Nの形状に基づいて、食器Mだけを適切に吸着して保持し、第2搬送コンベア22上から確実に排出して、食器置台90の上に積み重ねることができる。従って、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。なお、発光部51と受光部52は、搬送部20のY方向の幅いっぱいに配置されていても良い。
【0054】
また、図1に示すように、食器検出部50が第1搬送コンベア21上を流れてくる食器Mを検出できる検出可能範囲50Sは、第1搬送コンベア21のY方向の幅の半分程度に設定されている。図1に示すように、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22では、検出可能範囲50Sに対応する範囲R1は、予め定めた種類の食器Mを搬送して、排出操作部30により排出して食器置台90上に積み重ねようとするための範囲である。これにより、作業者は、この範囲R1を意識して食器Mを食器洗浄機1のコンベア3の上に載せる。図1に示す食器投入範囲指示部7は、作業者がこの範囲R1を目視で区分けできるように配置されている。
【0055】
食器検出部50は、好ましくは通過する食器M、Nの一部分を検出することで、食器M、Nの向きと食器M、Nの位置を検出できる。これにより、食器検出部50は、食器M、Nの一部分を検出するだけで、食器M、Nの向きと食器M、Nの位置を検出できることから、食器M、Nの全体を検出する場合に比べて、食器M、Nの形状や種類の検出速度を上げることできる。このため、食器M、Nの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0056】
[食器置台90と食器受け取り部95]
次に、図1図2を参照して、食器置台90と食器受け取り部95を説明する。図1図2に示す食器置台90と食器受け取り部95は、Y方向に並べて配置されている。食器置台90は、第2搬送コンベア22の下流側からは外れた位置であって、排出操作部30の隣の位置に配置されている。食器受け取り部95は、第2搬送コンベア22の下流側に配置されている。食器置台90は、正方形あるいは長方形の平坦な台であり、排出操作部30の2つの保持指部41,42の動作により、予め定めた種類の複数の食器Mを、同時に積み重ねて置いていくことができる。これにより、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0057】
図2に示すように、食器受け取り部95は、予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nを、排出操作部30を用いることなく、第2搬送コンベア22から直接受け取って収容する。すなわち、予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nは、排出操作部30が第2搬送コンベア22上からはピックアップしないで流して、食器受け取り部95に回収する。これにより、排出操作部30は、予め定めた種類の食器Mだけを食器置台90上に積み重ねることができ、予め定めた種類の食器Mとそれ以外の種類の食器Nが食器置台90上に混ざって積み重なってしまうことを防止できる。
【0058】
[排出操作部30]
次に、図1図2に示す排出操作部30を、図6から図9を参照して詳しく説明する。
図6は、排出操作部30の全体構成を示す斜視図であり、図7は、排出操作部30とその周辺部分を示す斜視図である。図8は、排出操作部30の操作ヘッド33を示す斜視図であり、図9は、操作ヘッド33を示す正面図である。
図1図3に示すように、排出操作部30は、例えば6軸制御ロボットであり、第2搬送コンベア22の隣の位置であって、しかも食器置台90の隣の位置に配置されている。排出操作部30は、図6に示すような多軸構造を有しており、ベース31と、保持アーム32と、操作ヘッド33と、複数の保持指部41,42を有する。
【0059】
[保持アーム32]
図6に示すように、ベース31の基部31Bは、床面に固定され、保持アーム32は、ベース31と、第1アーム部34と、第2アーム部35と、リスト36と、関節部37,38を有する。保持アーム32は、J1軸からJ6軸を備える。ベース31は、基部31Bに対してJ1軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。第1アーム部34の一端部は、関節部37を用いてベース31に連結されており、第1アーム部34はベース31に対してJ2軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。第1アーム部34の他端部は、関節部38を用いて第2アーム部35の一端部に連結されており、第2アーム部35は第1アーム部34に対してJ3軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。第2アーム部35の他端部は、第2アーム部35の一端部に対して、J4軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。第2アーム部35の他端部は、リスト36を保持しており、リスト36は操作ヘッド33を保持している。リスト36は、第2アーム部35の他端部に対してJ5軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。操作ヘッド33は、J6軸を中心にして、回転して回転方向に関して位置決め可能である。各J1軸からJ6軸おける回転して回転方向に関して位置決めする動作は、後で説明するが、図10に示すモータMT1からMT6によりそれぞれ行う。
【0060】
[排出操作部30の操作ヘッド33と複数の保持指部41,42]
次に、操作ヘッド33と複数の保持指部41,42の構造例を、図8図9を参照して説明する。操作ヘッド33と複数の保持指部41,42の構造体は、エンドエフェクタと呼ぶこともできる。操作ヘッド33は、リスト36に対して着脱可能に取り付けられていて、J6軸を中心にして回転し、回転方向に関して位置決め可能である。操作ヘッド33は、第1駆動操作部分61と第2駆動操作部分62を有する。第1駆動操作部分61は、一方の保持指部41をP方向とQ方向に移動して位置決めする。同様にして、第2駆動操作部分62は、他方の保持指部42をP方向とQ方向に移動して位置決めする。第1駆動操作部分61と第2駆動操作部分62は、ほぼ左右対称構造を有しており、取付基部63に取り付けられている。
【0061】
図9に示すように、第1駆動操作部分61は、2枚のエアーシリンダ61A,61Bと、別のエアーシリンダ61Cと、ガイド部材61Dと、取付部材61Eを有する。エアーシリンダ61A,61Bと別のエアーシリンダ61Cは、制御部100の指令により動作する。エアーシリンダ61A,61Bのロッドの動作方向は、P方向である。別のエアーシリンダ61Cのロッドの動作方向は、Q方向である。P方向とQ方向は直交している。取付部材61Eは、エアーシリンダ61A,61Bのロッドとガイド部材61Dに固定されている。取付部材61Eの先端には、一方の保持指部41が着脱可能に取り付けられている。エアーシリンダ61A,61BのロッドがP方向に出し入れされると、一方の保持指部41は、ガイド部材61DにガイドされながらP方向に移動して位置決め可能である。また、別のエアーシリンダ61Cのロッドが出し入れされると、第1駆動操作部分61が取付基部63に対して、Q方向のガイド部材61Fに沿って移動して、Q方向に沿って複数段階で位置決め可能である。
【0062】
同様にして、第2駆動操作部分62は、2枚のエアーシリンダ62A,62Bと、別のエアーシリンダ62Cと、ガイド部材62Dと、取付部材62Eと、を有する。エアーシリンダ62A,62Bと別のエアーシリンダ62Cは、制御部100の指令により動作する。エアーシリンダ62A,62Bのロッドの動作方向は、P方向である。別のエアーシリンダ62Cのロッドの動作方向は、Q方向である。取付部材62Eは、エアーシリンダ62A,62Bのロッドとガイド部材62Dに固定されている。取付部材62Eの先端には、他方の保持指部42が着脱可能に取り付けられている。エアーシリンダ62A,62BのロッドがP方向に出し入れされると、他方の保持指部42は、ガイド部材62DにガイドされながらP方向に移動して位置決め可能である。また、別のエアーシリンダ62Cのロッドが出し入れされると、第2駆動操作部分62が取付基部63に対して、Q方向のガイド部材62Fに沿って移動して、複数段階で位置決め可能である。
これにより、一方の保持指部41と他方の保持指部42同士の距離SRは、距離SR1、距離SR2、距離SR3で例示するように、保持しようとする食器の形状や大きさに応じて、複数段階で変更することができる。
【0063】
図8図9に示す一方と他方の保持指部41,42は、同じ形状と大きさを有しており、耐熱性を有し、柔軟に弾性変形する合成ゴムやプラスチック等により作られている。食器洗浄機1は、食器を高温の湯、例えば85℃の湯で洗浄処理されるので、洗浄処理の直後の食器は湯により濡れており高温になっている。このため、保持指部41,42は、100℃以下の高温でも機能する吸着パッドである必要がある。また、保持指部41,42は、連続して食器を吸着して保持し、そして保持を解除するために、消耗品であり劣化を起こす。このため、保持指部41,42は、操作ヘッド33において交換可能になっている。保持アーム32が保持指部41,42を到達させることができる範囲としては、例えば第2搬送コンベア22の搬送に用いる範囲と、食器置台90上の食器を置くための全範囲である。
【0064】
保持指部41,42は、制御部100の指令によりエアー操作部110からエアー供給されることにより、図1に示す第2搬送コンベア22上の食器Mの底部を吸着して保持し、エアーを逆噴射することにより食器Mの底部の保持状態を直ちに解除できる。図6に示す保持アーム32は複数の保持指部41,42を有するので、排出操作部30は、同時に複数の食器Mを吸着して保持しながら、第2搬送コンベア22上から排出できる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
また、図9に示すように、複数の保持指部41,42同士の間の距離SRが複数段階で変更可能であることから、第2搬送コンベア22により搬送されてくる食器Mの形状や大きさに応じて、各保持指部41,42は互いに食器Mを干渉させることがなく、確実に保持できる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0065】
保持指部41,42は、エアー吸着力を用いることで食器Mの保持をスムーズにしかも確実に行えるので、食器Mを把持する形式のものに比べて短時間で食器Mを保持でき、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。また、保持指部41,42は、エアーの逆噴射を用いることで、食器Mの保持を素早くしかも確実に解除でき、洗浄済みの食器Mに水分が残っていたり、保持指部41,42に水分が残っていたとしても、保持指部41,42と食器Mから水分を飛ばして除去させることができる。このため、保持指部41,42は、次の洗浄済みの食器Mに水分が残っていたとしても食器Mをエアー吸着力で保持することができる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0066】
図8図9に示すように、操作ヘッド33の中央位置には、排出操作部30の周囲の環境を認識するための環境認識用のカメラCAを備える。このカメラCAは、例えばCCD(電荷結合素子)のカラー撮像カメラであり、図1に示す第2搬送コンベア22上の食器M、Nの認識をしたり、食器置台90上に積み重ねられている食器Mの積み重ね状況等を取得して、取得情報Vを制御部100に送る。
【0067】
[食器洗浄補助装置10の制御系]
次に、図10を参照して、食器洗浄補助装置10の制御系について説明する。図10は、食器洗浄補助装置10の制御系を示している。
図6に示すように、上述した排出操作部30の保持アーム32は、J1軸からJ6軸を備えている。図10に示すように、モータMT1からモータMT6が、J1軸からJ6軸において回転して回転方向について位置決め動作するために設けられている。モータMT1からモータMT6は、制御部100の指令により制御される。
【0068】
図10に示すカメラCAは、排出操作部30の周囲環境を認識して、認識した周囲環境の取得情報Vを制御部100に送る。図11には、カメラCAが、制御部100に対して送る取得情報Vの例を示している。カメラCAの取得情報Vとしては、例えば第2搬送コンベア22の位置認識情報V1、第2搬送コンベア22上の食器Mの位置認識情報V2、食器置台90の位置認識情報V3、食器置台90に積み重ねられている食器Mの積み重ね情報V4等がある。制御部100は、取得情報Vに基づいて、排出操作部30の保持アーム32の動作と、操作ヘッド33の保持指部41,42の動作を適切に制御する。
【0069】
図10に戻ると、食器投入タイミング指示部8は、制御部100の指令により、作業者が下洗いした食器M、Nを図1に示すコンベア3の上流側に投入するタイミングを、所定時間間隔で、例えば音や光、あるいはその両方で指示する。これにより、作業者は、下洗いした食器Mを投入するタイミングの指示を受けて、リズムに乗って食器M、Nを順次コンベア3の上流側に下向きにした状態で置いていくことができる。従って、複数の食器M、Nは、搬送方向Xに沿って適正な間隔を置いて、流していくことができる。このため、複数の食器M、Nが密集した状態で洗浄されたり、搬送部20側へ搬送されてしまうトラブルを防ぐ。
【0070】
図10において、搬送部20の駆動モータ23は、制御部100の指令により制御される。操作ヘッド33の一方と他方の保持指部41,42は、エアー操作部110の電磁弁112に配管111を用いて接続されている。電磁弁112は、レギュレータ113と、フィルタ114と、ドライヤ115と、タンク116を介して、コンプレッサ117に接続されている。これにより、コンプレッサ117が制御部100の指令により動作すると、保持指部41,42は、エアー吸着力を発生して食器を即座に吸引して保持でき、エアーを逆噴射することで食器の保持状態を即座に解除することができる。エアー圧を用いて食器を吸着して保持し保持状態を解除するエアー方式の保持指部41,42は、電磁アクチュエータを用いた把持方式の保持指部に比べて、食器を保持して保持を解除する速度が速い。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮することができる。また、エアーは、食器に残っている水分や保持指部41,42のエアー供給通路に残っている水分を、勢いよく排除できるので、保持指部41,42は水分に影響を受けずに次の食器を確実に保持できる。
【0071】
図10において、食器検出部50の発光部51では、例えば複数のレーザダイオード51Dが、搬送方向Xとは交差するY方向に沿って、直列に配列されている。また、食器検出部50の受光部52では、例えば複数の受光ダイオード52Dが、搬送方向Xとは交差するY方向に沿って、直列に配列されている。発光部51の各レーザダイオード51Dは、制御部100により動作されて、レーザ光50Lを発生する。このレーザ光50Lの一部は、食器Mが搬送部20の隙間領域9を通過することで遮られるので、受光ダイオード52Dには受光されないが、食器Mに当たらないレーザ光50Lは、隙間領域9を通って受光ダイオード52Dに受光される。受光ダイオード52Dに受光された光信号Gは、制御部100に送られることで、搬送方向Xに沿って搬送される食器Mの形状や大きさや向き(姿勢)を検出することができる。
【0072】
図10において、食器登録部70が制御部100に電気的に接続されている。食器登録部70は、例えば制御部100に配置されていても良いし、排出操作部30に配置されても良い。食器登録部70は、図1に示す搬送部20により搬送方向Xに沿って搬送される予め定めた種類の食器Mの種類に関する食器種類情報Fを事前に登録しており、その食器種類情報Fを制御部100に通知する。これにより、食器登録部70は、登録された食器種類情報Fを得て、制御部100は、排出操作部30の保持指部41,42の動作を制御して、保持指部41,42が予め定めた種類の食器Mだけを吸着して保持して確実に排出することができる。このため、予め定めた種類の食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0073】
図10において、搬送部20により搬送しようとする予め定めた種類の食器Mについての食器種類情報Fは、制御部100において事前に取得している。制御部100は、食器種類情報Fの予め定めた種類の食器Mと、食器検出部50により検出された実際の食器とを比較することで、第2搬送コンベア22上の食器が予め定めた種類の食器Mであることを判別することができる。そして、排出操作部30は、予め定めた種類の食器Mに応じて実際の食器Mを保持して、図2に示す第2搬送コンベア22から排出して食器置台90上に積み重ねることができる。これにより、予め定めた種類の食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0074】
図10に示すように、食器登録部70には、予め用意された食器種類登録カード71を例えば近づけるだけで、食器種類登録カード71に記憶されている食器種類情報Fを食器登録部70に読み込ませることができる。食器種類登録カード71は、本明細書においては「食器登録媒体」の一例である。これにより、食器登録部70は、事前に食器種類情報Fを読み取ることで、排出操作部30は、食器種類情報Fに基づいて、予め定めた種類の食器Mを確実に排出することができる。
【0075】
図11は、食器種類登録カード71に登録されている情報例を示している。
図11に示すように、食器種類登録カード71は、食器種類情報Fを登録している。食器種類情報Fは、食器に関する食器関連情報GFと、食器の種類の基本情報BFと、を有する。食器関連情報GFは、既に図1の搬送部20により搬送された食器の種類KFと、これから搬送部20により搬送しようとする食器の種類LFと、保持指部41,42の保持指部設定距離情報HFと含む。食器の種類の基本情報BFは、洗浄対象になりそうなすべての種類の食器M、Nの形状や大きさや重さの情報である。これにより、制御部100は、食器登録部70を介して、食器の種類の基本情報BFを得ることで、食器M、Nの食器の種類を認識できる。
【0076】
保持指部設定距離情報HFは、食器登録部70を通じて制御部100に通知することで、食器Mの形状や大きさに合わせて、図9に示す保持指部41,42同士の間の距離SRを設定させる情報である。このため、図9に示すように、制御部100は、保持指部設定距離情報HFに基づいて、排出操作部30に指示することで、保持指部41,42同士の間の距離SRは、距離SR1、距離SR2、距離SR3で例示するように、保持しようとする食器Mの形状や大きさに応じて、保持指部41,42同士の間の距離SRが複数段階で変更することができる。これにより、予め定めた種類の食器Mを確実に保持して排出でき、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0077】
また、図11の食器関連情報GFは、保持指部設定距離情報HFに加えて、その他に好ましくは、図2に例示するように、食器置台90上に食器Mを積み重ねて置く際に利用できる「食器Mの積み重ねパターン情報U1」、「積み重ね可能枚数情報U2」、「保持指部41,42により保持する食器Mの向きに関する情報U3」、「1枚の食器Mを積み重ねる際の嵩増しの高さ情報U4」、「食器Mを把持して置く際の食器Mの色情報U5」を含んでいて、これらの情報U1からU5は、食器登録部70を通じて、制御部100に供給される。
【0078】
まず、「食器Mの積み重ねパターン情報U1」は、図2に例示するように、保持指部41,42が食器Mを食器置台90上に置く際に、食器置台90のどの箇所に食器Mを積み重ねていくかの食器置台90上の食器Mの配置パターンを予め定めている。これにより、食器Mは、食器置台90の上の所定の個所に整然と積み重ねていくことができる。「積み重ね可能枚数情報U2」は、保持指部41,42が食器Mを食器置台90上に積み重ねていく際に、食器Mの種類に応じて、積み重ねることができる枚数を予め設定している。これにより、食器Mの積み重ねる枚数を制限することで、積み重ねた食器Mが自重や振動により崩れたり、動作している保持指部41,42に当たって崩れたりするのを防ぐ。
【0079】
「保持指部41,42により保持する食器Mの向きに関する情報U3」は、保持指部41,42が保持している円形の食器ではなく例えば角型の各食器Mである場合に、各食器Mの向き(姿勢)が、食器Mを食器置台90上に積み重ねるために正常か否かを、制御部100に通知する機能である。これにより、もし各食器Mの向きが揃っておらず正常な状態でないと、保持指部41,42が保持している食器Mは、食器置台90上には積み重ねないことで、積み重ねた食器Mが崩れないようにすることができる。「1枚の食器Mを積み重ねる際の嵩増しの高さ情報U4」は、食器Mを積み重ねている食器の嵩増しの高さを示しており、制御部100が、食器の嵩増しの高さを制限する。これにより、動作している保持指部41,42が積み重ねた食器Mの山に当たって崩してしまわないようにしている。「食器Mを把持して置く際の食器Mの色情報U5」は、保持指部41,42が食器Mを把持して食器置台90上に置く際の食器Mの色情報を予め定めている。これにより、保持指部41,42は、食器Mの色情報に応じて、例えば同じ色の食器同士を把持し食器置台90上に置くことができる。
排出操作部30は、上述した各情報U1~U4を利用することにより、予め定めた種類の食器Mを、図1に示す食器置台90上にトラブルを生じないようにして確実に積み重ねて置くことができる。このため、予め定めた種類の食器Mの排出動作を確実に行え、排出動作と積み重ね動作のタクトタイムを短縮できる。また、排出操作部30は、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作の速度を食器の種類に応じて変更することができる。例えば、排出操作部30は、食器の種類の基本情報BFに含まれる食器Mの重さの情報に応じて、食器Mを搬送部20から食器置台90上に排出する動作の速度を変更することができる。これにより、保持指部41,42が食器Mを誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。
【0080】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器Mを検出した結果、食器登録部70に登録されていない予め定めた種類でない未登録の食器Nが搬送されてきたと判断した場合には、排出操作部30の保持指部41,42は、食器Nを保持しないようになっている。これにより、保持指部41,42が予め定めた種類でない未登録の食器Nと登録した予め定めた種類の食器Mを混ぜて排出して、食器置台90上に積み重ねてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0081】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器を検出した結果、複数の食器が密集した状態で搬送部20により搬送されてきたことを検出した場合には、排出操作部30の保持指部41,42は、密集した食器を保持しない。これにより、保持指部41,42は、密集した食器を保持しないので、食器を誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器の排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0082】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器Mを検出した結果、複数の食器が密集した状態で搬送部20により搬送されてきたことを検出した場合には、排出操作部30の保持指部41,42が、複数の食器の少なくともいずれかの食器を保持した状態の時に、保持した食器以外の他の食器を保持しないようになっている。これにより、食器が密集した状態で搬送部20により搬送されてきた場合には、保持指部41,42の一方が、複数の食器の少なくともいずれかの食器Mを保持した状態の時に、保持指部41,42の他方は、保持した食器M以外の他の食器Mは保持しないので、食器Mを誤って落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、予め定めた種類の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0083】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器Mを検出する際に、食器検出部50は、通過する食器Mの一部分を検出することで、食器Mの向きと食器Mの位置を検出する。これにより、食器検出部50は、食器Mの一部分を検出するだけで、食器Mの向きと食器Mの位置を検出できることから、食器Mの全体を検出する場合に比べて、予め定めた種類の食器Mの形状や種類の検出速度を上げることできる。このため、予め定めた種類の食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0084】
図1に示す食器検出部50が、搬送部20により搬送されてくる食器を検出した結果、複数のレーザダイオード51Dから発生した複数のレーザ光50Lのうち所定数以上のレーザ光50L(例えば全てのレーザ光50L)が遮られ受光ダイオード52Dに受光されない場合には、制御部100は、食器登録部70に登録されていない予め定めた種類でない未登録の物であって食器よりもはるかに大きい物(例えば食器を収容するトレイやラックなど)が搬送されてきたと判断する。この場合には、制御部100は、排出操作部30の保持アーム32を搬送部20から退避させる。これにより、食器よりもはるかに大きい物(例えば食器を収容するトレイやラックなど)が搬送部20により搬送されてきた場合に、搬送部20により搬送されてきた物が排出操作部30の保持アーム32に接触することを回避できる。これにより、排出操作部30の保持アーム32が破損することを抑えることができる。
【0085】
<食器洗浄補助装置10の動作例>
次に、図12を参照して、上述した食器洗浄システム1000の動作例を説明する。図12は、食器洗浄システム1000の動作例を示すフロー図である。
図12のステップST1では、作業者は、図1図2において、下洗いされた食器M、Nを、下向きしてコンベア3の上に順次置くことで、コンベア3は、食器M、Nを搬送方向Xに沿って搬送する。食器M、Nは、入口部Aから本体部2に入って洗浄水による洗浄と、好ましくは例えば熱風による乾燥処理が行われ、その後出口部2Bから出てきて、次段の食器洗浄補助装置10の第1搬送コンベア21側に送られる。第1搬送コンベア21が、洗浄済みの食器M、Nを搬送方向Xに沿って第2搬送コンベア22側へ搬送すると、食器M、Nは食器検出部50を通過することから、食器検出部50は食器M、Nの形状等を認識する。
【0086】
図12のステップST2では、図10に示す制御部100が、食器検出部50から得られる食器M、Nの形状と、食器登録部70から既に得られている食器種類情報Fの食器M、Nの形状とを照合する。制御部100が、食器検出部50が検出した食器の種類を、食器置台90に積み重ねようとする予め定めた種類の食器Mであると判断すると、ステップST3に移る。もし、制御部100が、食器検出部50が検出した食器の種類を、食器置台90上に積み重ねようとする予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nであると判断すると、ステップST4に移る。
【0087】
図12のステップST4では、食器検出部50が検出した食器の種類が、食器置台90上に積み重ねようとする予め定めた種類の食器M以外の種類の食器Nであることから、図1図2に示す排出操作部30は、食器検出部50が検出した食器Nを吸着しない。これにより、吸着されなかった食器Nは、図1図2に示す第2搬送コンベア22により搬送方向Xに沿って搬送されることで、図13(B)に示すように、第2搬送コンベア22から食器受け取り部95内に収容される。
【0088】
図12のステップST3に戻ると、排出操作部30のカメラCAは、食器置台90に積み重ね対象となる予め定めた種類の食器Mの形状や食器Mの中心位置と食器Mの向き等を認識して、制御部100を介して、制御部100へ排出操作部30に通知する。
ステップST4では、図9に示す排出操作部30の操作ヘッド33の保持指部41あるいは保持指部42は、図1に示す第2搬送コンベア22上の食器Mの真上であって、しかも保持指部41,42が搬送されてくる食器Mに当たらないようにするために、食器Mの高さよりも高い位置に移動される。そして、保持指部41あるいは保持指部42は下降して食器Mの底面をエアー吸着して、保持指部41,42は、それぞれ予め定めた種類の食器Mを保持する。
【0089】
図12のステップST5では、図1図2において、排出操作部30の保持アーム32は、第2搬送コンベア22側から食器置台90側に旋回して移動すると、保持指部41,42は、食器置台90側に位置される。このため、保持指部41,42がそれぞれ保持した予め定めた種類の食器Mは、食器置台90上に移動して、保持指部41,42のエアー逆噴射により予め定めた種類の食器Mの保持状態を即座に解除して、図13(A)に例示するように、食器Mを食器置台90上の所定の位置に積み重ねていく。保持指部41,42が食器Mを図13(A)に例示するように食器置台90の所定の位置に積み重ねていく際には、保持アーム32は、保持指部41,42に吸着されている各食器Mを食器置台90上に同時に置く。これにより、食器Mを第2搬送コンベア22から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮できる。
【0090】
また、ステップST5において、保持アーム32は、保持指部41,42にそれぞれ吸着されている食器Mを食器置台90上に置く際に、既に食器置台90上に積み重ねて置かれている食器Mの枚数の少ない箇所に積み重ねていく。これにより、食器置台90上の複数の位置に均等の積み重ね高さになるように食器Mを積み重ねることができる。このため、食器Mを第2搬送コンベア22から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮できる。
【0091】
さらに、ステップST5において、排出操作部30の保持指部41,42が、円形以外の形状を有する例えば角型や長方形の食器Mを食器置台90に置く際には、食器Mの向きを揃える必要がある。これらの食器Mについては、保持指部41,42により吸着する時に、食器Mの向きが互いに平行になるように保持指部41,42に吸着させることが望ましい。これにより、複数の例えば角型や長方形の食器Mが排出された後に置かれる時に、同じ向きに揃えた状態で積み重ねることができるので、排出して積み重ねる時のタクトタイムを短縮できる。このため、食器Mを第2搬送コンベア22から食器置台90上に排出する動作のタクトタイムを短縮できる。
【0092】
次に、図12のステップST6では、排出操作部30の保持アーム32は、食器置台90側から第2搬送コンベア22側へ旋回して戻し、ステップST1に戻る。その後、ステップST1からステップST5の動作を繰り返すことで、図13(A)と図13(B)に示すように、保持指部41,42がそれぞれ保持した食器Mは、食器置台90上に移動して、保持指部41,42のエアー逆噴射により食器Mの保持を解除して食器Mを食器置台90上に積み重ねていく。なお、食器検出部50が食器を認識しなくなった場合には、ステップST7において食器の排出作業は終了する。
食器洗浄補助装置10を用いることで、洗浄した食器Mを確実に排出することができ、食器Mの判別と排出動作のタクトタイムを短縮でき、食器洗浄業務の省力化を図ることができる。
【0093】
<食器洗浄補助装置10における保持指部41,42の動作例>
図14は、保持指部41,42のより詳細な動作例を示している。図14では、保持指部41,42は、第2搬送コンベア22上に載った食器Mの高さよりも少し高い位置で待機している。これにより、保持指部41,42は、第2搬送コンベア22により搬送されてくる食器Mに当たってしまうことが無く、保持指部41,42は、食器Mの底部に即座に近づいて保持することができる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0094】
しかも、保持指部41,42の内の先に食器Mを吸着しようとする保持指部41(または42)は、他の保持指部42(または41)に比べて、食器Mに近づく低い位置で待機している。これにより、食器Mを吸着しようとする保持指部41(または42)は、食器Mに近づく低い位置で待機できるので、保持指部41,42は食器Mの底部にアクセスする距離を極力小さくしてより短時間で吸着でき、食器Mの吸着動作のタクトタイムを短縮できる。さらに、保持指部41,42は、第2搬送コンベア22上に載った食器Mの底部の中心部の上方に移動してから、食器Mの底部の中心部に対して垂直に下りるようになっている。これにより、保持指部41,42は、搬送されてくる食器Mの底部の中心部に即座に近づいて保持することができる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0095】
図14(A)に示すように、搬送方向Xに沿って下流側の保持指部41は、保持指部42に比べて、先に食器Mを保持しようとするために、保持指部41は保持指部42に比べて食器Mの底部にできるだけ接近できるように、垂直方向の高さ分ZRだけ低い位置に位置決めされる。そして、図14(A)から図14(B)に示すように、保持指部41がZ1方向に下がって食器Mを保持した後にZ2方向に上がる。逆に、保持指部42は保持指部41に比べて食器Mの底部にできるだけ接近できるように、垂直方向の高さ分ZRだけ低い位置に位置決めされる。そして、図14(B)から図14(C)に示すように、保持指部42がZ1方向に下がって食器Mを保持した後にZ2方向に上がる。従って、保持指部41,42は、食器Mに当たらないようにしながら、それぞれ食器Mを即座に保持することができ、食器Mの吸着保持動作のタクトタイムを短縮できる。
【0096】
図15図16は、食器Mが第2搬送コンベア22により搬送方向Xに沿って搬送される例を示す平面図である。図15図16では、食器Mと保持指部41,42を示している。
図15(A)と図15(B)は、円形型の食器Mの例を示している。図15(A)の例では、隣り合った2枚の円形の食器Mの配列方向W-Wが搬送方向Xにほぼ平行になるように搬送されてきているので、保持指部41,42の配列方向は、2枚の食器Mの配列方向W―Wに沿っていて、保持指部41,42はそれぞれ食器Mの底部を確実に吸着して保持できる。
【0097】
これに対して、図15(B)の例では、隣り合った2枚の円形の食器Mの配列方向W-Wが搬送方向Xに対して傾いて搬送されてきているので、保持指部41,42の配列方向は、2枚の食器Mの配列方向W-Wに合うように角度を変更して、保持指部41,42はそれぞれ食器Mの底部を吸着して保持できる。例えば、図6に示す操作ヘッド33は、J6軸を中心にして回転して位置決めすることで、保持指部41,42の配列方向を、第2搬送コンベア22上における食器Mの配列方向W-Wに対して平行に維持できる。このため、複数の食器Mが必ずしも搬送方向Xに沿って並んで搬送されてこなくても、各保持指部41,42は各食器Mの位置関係に対応して各食器Mを確実に保持できる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。図15(A)と図15(B)に示すような隣り合った複数の食器Mの配列が、配列方向W-Wとなっていても、図1に示す排出操作部30は、食器置台90上に並べてきれいに積み重ねることができる。
【0098】
図15(C)と図15(D)は、角型の食器Mの例を示している。図15(C)の例では、隣り合った2枚の角型の食器Mの配列方向W-Wが搬送方向Xにほぼ平行になるように搬送されてきているので、2枚の保持指部41,42の配列方向は、2枚の角型の食器Mの配列方向W―Wに沿っていて、保持指部41,42はそれぞれ食器Mの底部を確実に吸着して保持できる。
【0099】
これに対して、図15(D)の例では、隣り合った2枚の角型の食器Mの内の1枚の食器Mが向き(姿勢)が、搬送方向Xに対して傾いて搬送されてきている。この場合には、保持指部41が一方の食器Mの底部を吸着保持した後に、例えば、図6に示す操作ヘッド33は、J6軸を中心にして所定の角度だけ回転して回転方向について位置決めすることにより、他方の保持指部42は姿勢の傾いた食器Mの底部を吸着して保持できる。このため、角型の食器Mの姿勢が搬送方向Xに対して傾いていても、各保持指部41,42は角型の食器Mの姿勢に対応して角型の食器Mの姿勢を揃えて確実に保持でき、角型の食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0100】
図16(A)と図16(B)の例では、隣り合った2枚の食器Mが密集して搬送されてきている例を示している。
図16(A)の例では、図2に示す食器検出部50が、2枚の食器Mが密集した状態で第2搬送コンベア22により搬送されてきたことを検出した場合には、一方の保持指部41が1枚の食器Mを保持した状態の時には、他方の保持指部42は他の食器Mを保持しない。これにより、他方の保持指部42が食器Mを取り損ねて食器Mを落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
図16(B)の例では、図2に示す食器検出部50が、2枚の食器Mが密集した状態で第2搬送コンベア22により搬送されてきたことを検出した場合には、保持指部41,42は、密集した食器Mを全く保持しない。これにより、食器Mを落下させてしまうトラブルを防ぐことができる。このため、食器Mの排出動作のタクトタイムを短縮できる。
【0101】
図17は、「食器Mの密集状態」の具体的な例を示している。図17(A)の例では、一方の食器Mは、第2搬送コンベア22上に正常な状態で下向きに置かれている。しかし、他方の食器Mは、食器Mの底部が下向きになってしかも傾いてしまっている。食器M同士の中心点間の距離Eは、一方の保持指部41と他方の保持指部42との間の最小の距離SRに比べて小さくなっている。
図17(B)の例では、2枚の食器Mは、ともに正常な状態で下に向けて置かれている。しかし、2枚の食器M同士の中心間の距離E1は、一方の保持指部41と他方の保持指部42との間の最小の距離SRに比べて小さくなっている。
【0102】
図16(A)~図17(B)に関して具体例を示して前述した通り、複数の食器Mが互いに近づくことで保持アーム32が複数の食器Mを保持する部分(例えば食器Mの中心点)同士の間隔が所定間隔よりも小さくなると、保持指部41,42は、複数の食器Mの少なくともいずれかの食器を保持した状態の時に、保持した食器以外の他の食器を保持しない。例えば、2枚の食器Mが互いに接触したり重なったりしている場合には、制御部100は、搬送部20により搬送された食器Mが食器種類登録カード71に登録された食器種類情報Fを有する食器であると認識しない。そのため、このような場合には、保持指部41,42は、複数の食器Mの少なくともいずれかの食器を保持した状態の時に、保持した食器以外の他の食器を保持しない。
【0103】
次に、本発明の別の実施形態を説明するが、以下に説明する各実施形態の構成要素が、上述した本発明の第1実施形態の構成要素と同様な箇所には、同じ符号を記してその説明を省略する。
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態の保持アーム32の操作ヘッド33Aを示している。図9に示す本発明の第1実施形態の操作ヘッド33では、2つのエアーシリンダ61C、62Cを用いて一方の保持指部41と他方の保持指部42との間の距離SRを、複数段階で変更可能にしている。
これに対して、図18に示す本発明の第2実施形態の操作ヘッド33Aでは、1つのエアーシリンダ62Cを用いて一方の保持指部41と他方の保持指部42との間の距離SRを、距離SR1、距離SR4、距離SR5のように複数段階で変更可能にしている。これにより、操作ヘッド33Aでは、エアーシリンダの設定数を少なくすることができるので、操作ヘッド33Aの軽量化と構造の簡単化を図ることができる。
【0104】
(第3実施形態)
図19は、本発明の第3実施形態の一方の保持指部41と他方の保持指部42を示している。保持指部41,42は、エアー供給部80に接続されている。エアー供給部80は、制御部100の指令により、食器Mの大きさや形状の大小に応じて、保持指部41,42の内部にエアーを供給することで、保持指部41,42の直径(サイズ)を、図19(A)から図19(B)に示すように大きくすることができる。これにより、図19(B)に示すように食器Mのサイズが大きく重くても、保持指部41,42の直径を大きくすることで、食器Mを落下させずに安定して吸着して保持でき、保持指部41,42は、多様な種類の食器Mの保持と排出が行える。
【0105】
(第4実施形態)
図20は、本発明の第4実施形態の食器洗浄システム1000Aを示す平面図である。
図1に示す本発明の第4実施形態の食器洗浄システム1000では、食器洗浄機1はコンベア(排出コンベア)3を備えており、食器洗浄補助装置10は、第1搬送コンベア21を備えている。これに対して、図20に示す食器洗浄システム1000Aでは、食器洗浄機1のコンベア(排出コンベア)と食器洗浄補助装置10の第1搬送コンベアが一体化された第1搬送コンベア21Aとなっている。これにより、食器洗浄システム1000Aの構成を簡単化することができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
例えば、図示した例では、2枚の保持指部41,42が用いられているが、これに限らず、3つ以上の保持指部を用いるようにしても良い。
図示した例では、搬送部20の一方の側において、排出操作部30が配置されている。しかし、搬送部20の一方の側と他方の側の両方において、排出操作部30をそれぞれ配置することもできる。搬送部20の第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22の搬送方向Xについての長さは、食器洗浄システム1000を設置する施設のスペースの大小に応じて変更することができる。
図1に示すように、ガイド部材6と食器投入範囲指示部7が設けられているが、ガイド部材6と食器投入範囲指示部7の一方または両方を設けないようしても良い。この場合には、作業者は、コンベア3と第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22のY方向の全幅に渡って食器を置く可能性がある。この場合には、食器検出部50の長さは、第1搬送コンベア21と第2搬送コンベア22のY方向の全幅に合わせて大きくすることで、検出可能範囲50Sを増やすことで、食器検出部50は食器の種類の検出ができる。
排出操作部30の保持アーム32は、6軸ロボット以外に、3軸以上のロボット、あるいはX、Y、X軸を有する3軸操作テーブルであっても良い。
【符号の説明】
【0107】
1:食器洗浄機、 2:本体部、 2A:入口部、 2B:出口部、 3:コンベア(排出コンベア)、 4:食器下洗い容器、 5:乗継ぎ部、 6:ガイド部材、 7:食器投入範囲指示部、 8:食器投入タイミング指示部、 9:隙間領域、 10:食器洗浄補助装置、 20:搬送部、 21,21A:第1搬送コンベア、 22:第2搬送コンベア、 23:駆動モータ、 30:排出操作部、 32:保持アーム、 33:操作ヘッド、 41,42:保持指部、 50:食器検出部、 50L:レーザ光、 50S:検出可能範囲、 51:発光部、 52:受光部、 61:第1駆動操作部分、 61A,61B:エアーシリンダ、 61C:エアーシリンダ、 61D:ガイド部材、 61E:取付部材、 62:第2駆動操作部分、 62A,62B,62C:エアーシリンダ、 62D:ガイド部材、 62E:取付部材、 70:食器登録部、 71:食器種類登録カード(食器登録媒体の例) 80:エアー供給部、 81:報知部、 90:食器置台、 95:食器受け取り部、 100:制御部、 110:エアー操作部、 1000,1000A:食器洗浄システム、 CA:環境認識用のカメラ、 F:食器種類情報、 M:食器、 N:食器、 MT1~MT6:モータ、 R1、R2:範囲、 SR:保持指部間の距離、 V:カメラの取得情報、 X:搬送方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20