(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】変性ポリエチレン組成物およびそれを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/00 20060101AFI20230731BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20230731BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20230731BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C08F8/00
C08K5/14
C08L23/08
C08J3/22 CES
(21)【出願番号】P 2020516871
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 US2018051151
(87)【国際公開番号】W WO2019067239
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-02
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアム、スーリヤ
(72)【発明者】
【氏名】デミロルス、ムハメド
(72)【発明者】
【氏名】カルヤラ、テラサ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス、ジョルジ カミネロ
(72)【発明者】
【氏名】ライモンディ、ギジェルモ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ルッケンハウス、ダヴィドソン
(72)【発明者】
【氏名】トリコッティ、マリエ ド ルファン
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531957(JP,A)
【文献】特表2019-515970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4、6-246
C08L23
C08J3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン樹脂の溶融強度および/または低せん断粘度を増加させるための方法であって、
a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、前記ポリエチレン組成物が、0.900g/cm
3の~0.970g/cm
3の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、
b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、前記フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより
低い分解エネルギーを有し、前記ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm
3~0.970g/cm
3の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、
c)前記ポリエチレン組成物を前記マスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
フリーラジカル発生剤の量が、前記変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、50ppm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フリーラジカル発生剤の分子量が、200~1,000ダルトンである、請求項1~2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーラジカル発生剤が、環状過酸化物である、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記マスターバッチ組成物が、150ppm未満の一次酸化防止剤を含む、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエチレン組成物が、150ppm未満の一次酸化防止剤を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエチレン組成物が、5.5~7.6のメルトフロー比I
10/I
2によってさらに特徴付けられる、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエチレン組成物が、60%未満の組成分布幅指数によってさらに特徴付けられる、請求項1~7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエチレン組成物が、0.5~7g/10分のメルトインデックスI
2によってさらに特徴付けられる、請求項1~8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエチレン組成物が、複数金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で、少なくとも1つの反応器における溶液重合により形成される、請求項1~9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、溶融強度および/または低せん断粘度を増加させる変性ポリエチレン組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン樹脂は、フィルムまたはブロー成形品の形成のために、良好な物理的特性、容易な加工、十分な溶融強度および/または収縮張力を必要とする多くの用途で使用されている。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、非常に望ましい物理的特性を有するが、大型バブルフィルム、コレーションシュリンクフィルムのような特定のフィルム用途において使用されるため、またはブロー成形用途、パイプ用途、および押出コーティング用途において使用されるために、十分な溶融強度および/または収縮張力を欠く可能性がある。多くの用途において、LLDPEとLDPEのブレンドが、加工中のLLDPEの溶融強度および/または結果として得られたフィルムの収縮張力を増加させるのに使用される。代替的に、LLDPEの溶融強度は、LLDPEの分子量を増加させることにより増加し得る。しかしながら、そのような解決策は、課題を提示し得る。例えば、高分子量を有するLLDPEは、高い押出圧力を引き起こし得、したがって押出量を低下させ、メルトフラクチャーを引き起こす可能性がある。典型的な解決策は、用途の要件に応じて、20~60%で変動する量のLDPEを添加して、加工安定性を改善することであり得るが、LDPEの添加は、引き裂き、穿刺、およびダート耐衝撃性のような機械的特性の著しい低下を引き起こす。
【0003】
したがって、増加した溶融強度および/または低せん断粘度を有するポリエチレン組成物を生成するための代替的な方法が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
ポリエチレン組成物の溶融強度および/または低剪断粘度を増加させるための方法が、本明細書の実施形態に開示されている。本方法は、a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、ポリエチレン組成物が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより高い分解エネルギーを有し、ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、c)ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、を含む。
【0005】
本明細書に開示される変性ポリエチレン組成物から形成される組成物もまた、本明細書に開示されている。変性ポリエチレン組成物は、a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、ポリエチレン組成物が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより高い分解エネルギーを有し、ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、c)ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、によって作製される。
【0006】
本明細書で開示される変性ポリエチレン組成物から形成されるフィルムまたはブロー成形物品は、本明細書にさらに開示されている。変性ポリエチレン組成物は、a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、ポリエチレン組成物が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより高い分解エネルギーを有し、ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、c)ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、によって作製される。
【0007】
実施形態のさらなる特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態に記述され、その説明から一部は当業者に容易に明らかになるか、または、以下の発明を実施するための形態を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。上述および後述の説明は、様々な実施形態を記載し、特許請求される主題の性質および特性を理解するための概要または枠組みを提供するものであることが理解されるべきである前述および以下の説明の両方が様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、ポリエチレン組成物の溶融強度および/または低せん断粘度を増加させる実施形態が詳細に参照される。増加した溶融強度を有するポリエチレン組成物を、フィルムを形成するために使用してもよい。このフィルムは、農業用フィルム、熱成形フィルム、およびコレーションシュリンク用途において使用してもよい。しかしながら、これは、本明細書に開示される実施形態の例示的な実施態様に過ぎないことに留意すべきである。実施形態は、上に論じられたものと同様の問題を起こしやすい他の技術に適用可能である。例えば、増加した溶融強度を有するポリエチレン樹脂は、ブロー成形用途、押出コーティング、およびパイプ用途において使用することができ、これらの全ては、本発明の実施形態の範囲内である。
【0009】
本明細書に記載の実施形態において、ポリエチレン組成物の溶融強度および/または低せん断粘度を増加させるための方法は、a)ポリエチレン組成物を提供することと、b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することと、b)ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、を含む。
【0010】
ポリエチレン組成
本明細書における実施形態において、ポリエチレン組成物は、エチレン、および任意に、1つ以上のアルファオレフィンコモノマーの反応生成物を含む。ポリエチレン組成物は、50重量%超のエチレンから誘導される単位、および30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、(a)55重量%以上、例えば、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、50重量%超~99重量%、50重量%超~97重量%、50重量%超~94重量%、50重量%超~90重量%、70重量%~99.5重量%、70重量%~99重量%、70重量%~97重量%、70重量%~94重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~97重量%、80重量%~94重量%、80重量%~90重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~97重量%、88重量%~99.9重量%、88重量%~99.7重量%、88重量%~99.5重量%、88重量%~99重量%、88重量%~98重量%、88重量%~97重量%、88重量%~95重量%、88重量%~94重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~97重量%、90重量%~95重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、または93重量%~97重量%のエチレンから誘導される単位、(b)任意に、30重量%未満、例えば25重量%未満、または20重量%未満、18重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~12重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.5~12重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2.5重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、3.5~12重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5%~7重量%、または4~12重量%、4~10重量%、4~8重量%、または4~7重量%の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。コモノマー含量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術、例えば、米国特許第7,498,282号に記載される13C NMR分析(参照により本明細書に組み込まれる)のような任意の好適な技術を用いて測定してもよい。
【0011】
好適なコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有するアルファ-オレフィンコモノマーを含んでもよい。1つ以上のアルファ-オレフィンは、C3-C20アセチレン性不飽和モノマーおよびC4-C18ジオレフィンからなる群から選択され得る。当業者は、選択されたモノマーが、従来のチーグラー・ナッタ触媒を破壊しないものであることが望ましいことを理解するであろう。例えば、アルファ-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ-オレフィンコモノマーには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択されてもよいか、または代替的に、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、0重量%超および30重量%未満の、オクテン、ヘキセン、またはブテンコモノマーのうちの1つ以上から誘導される単位を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、複数金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で、少なくとも1つの反応器での溶液重合により形成される。反応生成物の生成に使用される複数金属プロ触媒は、少なくとも三元金属であるが、3つを超える遷移金属もまた含み得るため、一実施形態において、より包括的に複数金属として定義され得る。これらの3つ以上の遷移金属は、触媒の生成前に選択される。特定の実施形態において、複数金属触媒は、1つの元素としてチタンを含む。
【0013】
触媒組成物は、まず調整されたハロゲン化マグネシウム系支持体の調製から始めて、調製され得る。調整されたハロゲン化マグネシウム系支持体の調製は、有機マグネシウム化合物または有機マグネシウム化合物を含む複合体を選択することから始まる。そのような化合物または複合体は、望ましくは、不活性炭化水素希釈剤中に可溶性である。成分の濃度は、好ましくは、金属または非金属ハロゲン化物などの活性ハロゲン化物と、マグネシウム複合体とが組み合わせられるとき、結果として得られるスラリーが、マグネシウムに関して約0.005~約0.25モル(モル/リットル)であるような濃度である。好適な不活性有機希釈剤の例には、液化エタン、プロパン、イソブタン、n-ブタン、n-ヘキサン、様々な異性体ヘキサン、イソオクタン、5~10個の炭素原子を有するアルカンのパラフィン混合物、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロヘキサン、ドデカン、灯油、ナフサ、およびそれらの組み合わせなどの飽和または芳香族炭化水素で構成される工業溶媒(特に任意のオレフィン化合物および他の不純物を含まない場合、かつ特に約-50℃~約200℃の範囲内の沸点を有するもの)が含まれる。エチルベンゼン、クメン、デカリン、およびそれらの組み合わせもまた、好適な不活性希釈剤として含まれる。
【0014】
好適な有機マグネシウム化合物および複合体には、例えば、マグネシウムC2-C8アルキルおよびアリール、マグネシウムアルコキシドおよびアリールオキシド、カルボキシル化マグネシウムアルコキシド、ならびにカルボキシル化マグネシウムアリールオキシドが含まれ得る。マグネシウム部分の好ましい源には、マグネシウムC2-C8アルキルおよびC1-C4アルコキシドが含まれ得る。そのような有機マグネシウム化合物または複合体は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはフッ化物などの金属または非金属ハロゲン化物源と反応させて、好適な条件下でハロゲン化マグネシウム化合物を作製し得る。そのような条件には、-25℃~100℃、あるいは、0℃~50℃の範囲の温度、1~12時間、あるいは4~6時間の範囲の時間、またはその両方が含まれ得る。結果は、ハロゲン化マグネシウム系支持体である。
【0015】
次いで、ハロゲン化マグネシウム支持体は、調節されたマグネシウムハロゲン化物支持体を形成するために好適な条件下で、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびテルルからなる群から選択された元素を含有する選択された調節化合物と反応させられる。次いで、この化合物およびハロゲン化マグネシウム支持体を、調節されたハロゲン化マグネシウム支持体をもたらすのに十分な条件下で接触させられる。そのような条件には、0℃~50℃、または代替的に、25℃~35℃の範囲の温度、4~24時間、または代替的に6~12時間の範囲の時間、またはその両方が含まれ得る。調節化合物は、特異的なモル比構成を有し、望ましい触媒性能を確保する上で重要な特徴であると考えられる。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、3:1~6:1の範囲である、マグネシウム対調節化合物のモル比を呈する。いかなる機構の理論によっても拘束されることを望むものではないが、このエイジングが、追加の金属の支持体上への吸着を促進または改良するための役割を果たすことが示唆されている。
【0016】
調節された支持体が調製され、適切にエイジングされると、それは、個別にまたは「第2の金属」との混合物として添加され得るチタン化合物と接触させられる。ある特定の好ましい実施形態において、ハロゲン化チタンまたはアルコキシド、またはそれらの組み合わせが選択され得る。条件には、0℃~50℃、代替的に、25℃~35℃の範囲内の温度、3時間~24時間、代替的に、6時間~12時間の範囲の時間、またはその両方が含まれ得る。このステップの結果は、チタン化合物の少なくとも一部の、調節されたハロゲン化マグネシウム支持体上への吸着である。
【0017】
最後に、本明細書では便宜上「第2の金属」および「第3の金属」と称される1つまたは2つの追加の金属もまた、マグネシウム系支持体上に吸着される。「第2の金属」および「第3の金属」は、独立して、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、およびタングステン(W)から選択される。これらの金属は、当業者に既知である様々な方法のいずれかで組み込まれ得るが、追加の金属を析出させて、ここで複数金属プロ触媒である「プロ触媒」と称され得るものを形成することを確保するためには、一般に、チタンを含む調節されたマグネシウム系ハロゲン化物支持体と、例えば、好適な炭化水素溶媒などの液相にある、選択された第2および第3の金属との接触が好適であるだろう。
【0018】
複数金属プロ触媒は、特異的なモル比構成を有し、プロ触媒から作製される触媒に起因し得る望ましいポリマー特性を確保する上で重要な特徴であると考えられている。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、複数金属プロ触媒を形成するのに十分な条件下で、30:1~5:1の範囲である、マグネシウム対チタンと第2および第3の金属との組み合わせのモル比を呈する。したがって、マグネシウム対チタンの全体的なモル比は、8:1~80:1の範囲である。
【0019】
プロ触媒が形成されると、それは、それと、アルミニウムのアルキルまたはハロアルキル、アルキルアルミニウムハロゲン化物、グリニャール試薬、アルカリ金属アルミニウム水素化物、アルカリ金属ホウ水素化物、アルカリ金属水素化物、またはアルカリ土類金属水素化物などの少なくとも1つの有機金属化合物からなる共触媒とを組み合わせることによって、最終触媒を形成するために使用され得る。プロ触媒と有機金属共触媒との反応からの最終触媒の形成は、その場で、または重合反応器に入る直前に実行され得る。したがって、共触媒とプロ触媒との組み合わせは、様々な条件下で起こり得る。そのような条件には、例えば、窒素、アルゴン、または他の不活性ガスなどの不活性雰囲気下、0℃~250℃、好ましくは15℃~200℃の範囲内の温度でそれらを接触させることが含まれる。触媒反応生成物の調製において、炭化水素可溶性成分を炭化水素不溶性成分から分離することは必須ではない。プロ触媒と共触媒との間の接触の時間は、望ましくは、例えば、0~240秒、好ましくは5~120秒の範囲であり得る。これらの条件の様々な組み合わせが用いられてもよい。
【0020】
本明細書に記載の実施形態において、ポリエチレン組成物は、100万部のポリエチレンポリマー当たり、少なくとも3つの異なる金属残渣の1総合重量部以上の金属触媒残渣を有し得、少なくとも3つの金属残渣は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ少なくとも3つの金属残渣のそれぞれが、0.2ppm以上で、例えば、0.2~5ppmの範囲内で存在する。0.2ppm以上からの全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、本ポリエチレン組成物は、100万部のポリエチレン組成物当たり、複数金属重合触媒から残存する、2総合重量部以上の少なくとも3つの金属残渣をさらに含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、少なくとも0.75ppmのV(バナジウム)を含む。少なくとも0.75ppmのVからの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、本ポリエチレン組成物中のVの下限は、0.75、1、1.1、1.2、1.3、または1.4ppmであり得、本ポリエチレン組成物中のVの上限は、5、4、3、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、または1ppmであり得る。本ポリエチレン組成物のバナジウム触媒金属残留濃度は、下記の金属の中性子放射化法を使用して測定することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、少なくとも0.3ppmのZr(ジルコニウム)を含む。少なくとも0.3ppmのZrの全ての個々の値および下位範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、本ポリエチレン組成物中のZrの下限は、0.3、0.4、0.5、0.6、または0.7ppmであり得る。さらに別の実施形態において、本ポリエチレン組成物中のZrの上限は、5、4、3、2、1、0.9、0.8、または0.7ppmであり得る。ポリエチレン組成物のジルコニウム触媒金属残留濃度は、下記の金属の中性子放射化法を使用して測定することができる。
【0023】
本明細書に記載の実施形態において、本ポリエチレン組成物は、0.900g/cc~0.970g/ccの密度を有する。少なくとも0.900g/cc~0.970g/ccの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレンは、0.905g/cm3~0.965g/cm3、0.905g/cm3~0.960g/cm3、0.907g/cm3~0.960g/cm3、0.910g/cm3~0.955g/cm3、0.910g/cm3~0.950g/cm3、0.910g/cm3~0.947g/cm3、0.910g/cm3~0.945g/cm3、0.910g/cm3~0.9420g/cm3、または0.910g/cm3~0.940g/cm3の密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定することができる。
【0024】
密度に加えて、ポリエチレン組成物は、2.6~3.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する。2.6~3.5の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、2.6、2.7、2.8、または3.0の下限から、3.5の上限までのMw/Mn比を有し得る。他の実施形態において、本ポリエチレン組成物は、3.0~3.5のMw/Mn比を有し得る。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比(すなわち、Mw/Mn)として記載され得、ゲル浸透クロマトグラフィー技術によって測定され得る。
【0025】
密度および分子量分布に加えて、ポリエチレン組成物は、1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基を有する。1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.25個のビニル基を有し得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.20個のビニル基を有し得る。
【0026】
密度、分子量分布、およびビニル基に加えて、ポリエチレン組成物は、0.5g/10分~7.0g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。0.5g/10分~7.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.7g/10分~7.0g/10分または0.7g/10分~1.5g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。メルトインデックスI2は、ASTM D1238(190℃および2.16kg)に従って測定することができる。
【0027】
密度、分子量分布、ビニル基、およびメルトインデックスI2に加えて、ポリエチレン組成物は、5.5~7.6のメルトフロー比I10/I2を有し得る。5.5~7.6の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、6.5の下限から、7.6、7.5、7.3、7.1、または7.0の上限の範囲のメルトフロー比I10/I2を有し得る。他の実施形態において、本ポリエチレン組成物は、6.5~7.5のメルトフロー比I10/I2を有し得る。メルトインデックスI10は、ASTM D1238(190℃および10.0kg)に従って測定することができる。
【0028】
密度、分子量分布、ビニル基、メルトインデックスI2、およびメルトフロー比I10/I2に加えて、本ポリエチレン組成物は、60%未満の組成分布幅指数CDBIを有し得る。60%未満の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、37%~60%または40%~60%のCDBIを有し得る。
【0029】
CDBIは、全モルコモノマー含量の中央値の50パーセント以内のコモノマー含量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義され得る。コモノマーを含まない直鎖ポリエチレンのCDBIは、100%と定義されている。コポリマーのCDBIは、以下に記載されるように、結晶化溶出分別(「CEF」)から得られたデータから容易に計算される。特に明記しない限り、「コモノマー含量」、「平均コモノマー含量」などの用語は、示されたインターポリマーブレンド、ブレンド成分、またはモル基準の画分のバルクコモノマー含量を指す。
【0030】
密度、分子量分布、ビニル基、メルトインデックス、I2、メルトフロー比、I10/I2、およびCDBIに加えて、本ポリエチレン組成物は、20,000~50,000g/molの数平均分子量Mn(g/mol)を有し得る。20,000~50,000g/molの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、本ポリエチレン組成物は、33,000~50,000g/mol、33,000~45,000g/mol、または33,000~40,000g/molのMnを有し得る。
【0031】
密度、分子量分布、ビニル基、メルトインデックス、I2、メルトフロー比、I10/I2、CDBI、および数平均分子量に加えて、本ポリエチレン組成物は、90,000~130,000g/molの重量平均分子量Mw(g/mol)を有し得る。90,000~130,000g/molの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、本ポリエチレン組成物は、95,000~125,000g/mol、100,000~125,000g/mol、または110,000~120,000g/molのMwを有し得る。
【0032】
密度、分子量分布、ビニル基、メルトインデックス、I2、メルトフロー比、I10/I2、CDBI、数平均分子量、および重量平均分子量に加えて、本ポリエチレン組成物は、200,000~350,000g/molのz平均分子量Mz(g/mol)を有し得る。200,000~350,000g/molの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、本ポリエチレン組成物は、250,000~350,000、275,000~350,000g/mol、または300,000~350,000g/molのMzを有し得る。
【0033】
本明細書におけるいくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、150ppm未満の一次酸化防止剤を含んでもよい。150ppm未満の一次酸化防止剤の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、または0ppmの一次酸化防止剤を含んでもよい。本明細書の他の実施形態において、本ポリエチレン組成物は、0ppm~100ppm、10ppm~100ppm、10ppm~75ppm、10ppm~50ppm、5ppm~50ppm、または5ppm~25ppmを含んでもよい。当然のことながら、本ポリエチレン組成物中に存在する150ppm未満の一次酸化防止剤の他の個々の値および部位範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。本明細書で使用される「一次酸化防止剤」は、一般に、ヒンダードフェノールまたはヒンダードアミン誘導体からなる有機分子であるラジカル捕捉剤を指す。一次酸化防止剤の例には、BASFからIRGANOX(商標)1010の名称で市販されているペンタエリスリチルテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート)、またはBASFからIRGANOX(商標)1076の名称で市販されているオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートのようなポリオレフィン産業において周知の一次酸化防止剤を含む。
【0034】
本明細書における実施形態において、二次酸化防止剤は、任意に使用され得る。いくつかの実施形態において、本ポリエチレン組成物は、500~2000ppmの二次酸化防止剤を含んでもよい。二次酸化防止剤は、熱分解およびフリーラジカルの生成の効率的な代替手段により、過酸化物を熱的に安定な非ラジカル非反応性生成物に分解することにより、追加のフリーラジカルの形成を防ぐことができる。亜リン酸塩およびチオエステルは、二次酸化防止剤として機能する機能の例である。ここには、500~2000ppmの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、本ポリエチレン組成物中の二次酸化防止剤の量は、500、700、900、1100、1300、1500、1700、または1900ppmの下限から、600、800、1000、1200、1400、1600、1800、または2000ppmの上限までであり得る。例えば、存在する場合、二次酸化防止剤は、250~2000ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、250~1500ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、250~1250ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、500~1250ppmの量で存在してもよい。
【0035】
フリーラジカル発生剤(FRG)
上記のように、マスターバッチは、フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含む。本明細書における実施形態において、フリーラジカル発生剤は、220℃で200秒未満の半減期および-250kJ/molより高い(すなわち、より負である)分解エネルギーを有する。いくつかの実施形態において、フリーラジカル発生剤は、220℃で175秒、150秒、または125秒未満の半減期を有する。他の実施形態において、フリーラジカル発生剤は、220℃で60~200秒、60~175秒、60~150秒、60~125秒、または60~120秒の半減期を有する。
【0036】
本明細書における実施形態において、フリーラジカル発生剤は、200~1,000ダルトンの分子量を有し得る。200~1,000ダルトンの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、フリーラジカル発生剤は、225~1000、250~1000、または250~700の分子量を有し得る。
【0037】
本明細書における実施形態において、フリーラジカル発生剤は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5ppm~1000ppmの範囲の量で存在する。5~1,000ppmの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対するフリーラジカル発生剤の量は、5、10、20、30、50、80、100、200、300、400、500、600、700、800、または900ppmの下限から、15、25、30、35、50、60、65、75、100、150、250、350、450、550、650、750、850、950、または1000ppmの上限までの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5~100ppmの範囲であってもよく、または代替的に、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5~80ppmの範囲であってもよく、または代替的に、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5~75ppmの範囲であってもよく、または代替的に、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、10~75ppmの範囲であってもよく、または代替的に、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5~50ppmの範囲であってもよい。他の実施形態において、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物に使用される樹脂の総量に対して、50ppmまたは30ppm未満である。さらなる実施形態において、ポリエチレン組成物と反応するフリーラジカル発生剤の量は、変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、5ppm~30ppm、10ppm~30ppm、15~25ppm、20~30ppm、または10~25ppmの範囲であってもよい。
【0038】
本明細書における実施形態において、フリーラジカル発生剤は、環状過酸化物であってもよい。好適な環状過酸化物の例は、式:
【化1】
によって表されてもよく、式中、R1-R6は、独立して、水素または不活性に置換または非置換のC1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリール、C7-C20アラルキル、またはC7-C20アルカリールである。R1-R6に含まれる不活性置換基の代表は、ヒドロキシル、C1-C20アルコキシ、直鎖または分岐C1-C20アルキル、C6-C20アリールオキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシル、ニトリル、およびアミドである。いくつかの実施形態において、R1-R6は、それぞれ独立して、例えば、C1-C10アルキルまたはC1-C4アルキルを含む低級アルキルである。
【0039】
本明細書に記載される環状過酸化物のいくつかは、市販されているが、USP3,003,000、Uhlmann,3rd Ed.,Vol.13,pp.256-57(1962)、論文「Studies in Organic Peroxides XXV Preparation,Separation and Identification of Peroxides Derived from Methyl Ethyl Ketone and Hydrogen Peroxide」、Milas,N.A.and Golubovic,A.,J.Am.Chem.Soc,Vol.81,pp.5824-26(1959)、「Organic Peroxides」、Swern,D.editor,Wiley-Interscience,New York(1970)、およびHouben-Weyl Methoden der Organische Chemie,El 3,Volume 1,page 736に記載されるように、ケトンを過酸化水素と接触させることにより作製することができる。
【0040】
他の環状過酸化物の例には、アセトン、メチルアミルケトン、メチルヘプチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルオクチルケトン、メチルノニルケトン、メチルデシルケトン、およびメチルウンデシルケトンから誘導されるものが含まれる。環状過酸化物は、単独で、または互いに組み合わせて使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、環状過酸化物は、商品名TRIGONOX 301の下でAkzoNobelから市販されている3,6,9-トリエチル-3-6-9-トリメチル-1,4,7-トリペロキソナンであってもよい。本明細書で使用される環状過酸化物は、過酸化物と、それが含まれる希釈剤(存在する場合)の融点に応じて、液体、固体、またはペーストであり得る。
【0042】
ポリエチレン樹脂
ポリエチレン樹脂は、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度および0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する。0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度および0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。
【0043】
例えば、いくつかの実施形態において、密度は、0.900、0.902、0.905、0.907、0.910、0.912、0.915、0.920、0.925、0.930、0.935、または0.940g/cm3の下限から、0.970、0.965、0.960、0.955、0.950、0.945、0.942、0.940、0.937、0.935、0.930、0.927、0.925、0.922、または0.920g/cm3の上限までの範囲である。他の実施形態において、0.905g/cm3~0.965g/cm3、0.905g/cm3~0.960g/cm3、0.907g/cm3~0.960g/cm3、0.910g/cm3~0.955g/cm3、0.910g/cm3~0.950g/cm3、0.910g/cm3~0.947g/cm3、0.910g/cm3~0.945g/cm3、0.910g/cm3~0.9420g/cm3、または0.910g/cm3~0.940g/cm3の範囲である。
【0044】
例えば、いくつかの実施形態において、メルトインデックスは、0.01、0.05、0.1、0.5、1、3、5、7、10、12、15、18、20、23、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90の下限から、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、27、25、22、20、17、15、12、10、8、5、2、1、0.9、0.7、または0.5の上限までの範囲である。他の実施形態において、メルトインデックスは、0.05g/10分~30g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~25g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~18g/10分、0.1g/15分~30g/10分、0.25g/10分~15g/10分、0.25g/10分~12g/10分、0.25g/10分~10g/10分、0.25g/10分~8g/10分、0.25g/10分~5g/10分の範囲である。
【0045】
本明細書におけるいくつかの実施形態において、ポリエチレン樹脂は、150ppm未満の一次酸化防止剤を含んでもよい。150ppm未満の一次酸化防止剤の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本ポリエチレン樹脂は、125ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、または0ppmの一次酸化防止剤を含んでもよい。当然のことながら、本ポリエチレン樹脂中に存在する150ppm未満の一次酸化防止剤の他の個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。
【0046】
本明細書におけるいくつかの実施形態において、マスターバッチ組成物は、150ppm未満の一次酸化防止剤を含んでもよい。150ppm未満の一次酸化防止剤の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、マスターバッチ組成物は、0、10、25、50、75、または100ppmの下限から、15、30、50、75、100、または150ppm未満の上限までの一次酸化防止剤を含んでもよい。本明細書における他の実施形態において、マスターバッチ組成物は、10~150ppm、10~100ppm、10~75ppm、または10~50ppmの一次酸化防止剤を含んでもよい。
【0047】
本明細書における実施形態において、二次酸化防止剤は、任意に使用され得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレン樹脂は、500~2000ppmの二次酸化防止剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、マスターバッチ組成物は、500~2000ppmの二次酸化防止剤を含んでもよい。二次酸化防止剤は、熱分解およびフリーラジカルの生成の効率的な代替手段により、過酸化物を熱的に安定な非ラジカル非反応性生成物に分解することにより、追加のフリーラジカルの形成を防ぐことができる。亜リン酸塩およびチオエステルは、二次酸化防止剤として機能する機能の例である。ここには、500~2000ppmの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、本ポリエチレン樹脂またはマスターバッチ組成物中の二次酸化防止剤の量は、500、700、900、1100、1300、1500、1700、または1900ppmの下限から、600、800、1000、1200、1400、1600、1800、または2000ppmの上限までであり得る。例えば、存在する場合、二次酸化防止剤は、500~2000ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、500~1500ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、500~1250ppmの量で存在してもよく、または代替的に、二次酸化防止剤は、750~1250ppmの量で存在してもよい。
【0048】
一実施形態において、二次酸化防止剤は、マスターバッチ組成物と混合する前にポリエチレン組成物中に存在する。別の実施形態において、二次酸化防止剤は、マスターバッチ組成物の成分である。
【0049】
ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、ポリエチレン樹脂は、LDPEである。他の実施形態において、ポリエチレン樹脂は、LLDPEである。さらなる実施形態において、ポリエチレン樹脂は、MDPEまたはHDPEである。
【0050】
ポリエチレン樹脂がLDPEである本明細書における実施形態において、LDPEは、当該技術分野で公知の任意のタイプの反応器または反応器構成を使用して、14,500psi(100MPa)超の圧において、ペルオキシドのようなフリーラジカル発生剤を使用して、オートクレーブおよび/またはチューブ反応器中で、部分的または完全に、ホモ重合化または共重合化されるか、またはそれらの任意の組み合わせである分岐のポリマーを含んでもよい(例えば、米国特許第4,599,392号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態において、LDPEは、PCT特許公開WO2005/023912(その開示が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、高レベルの長鎖分岐を付与するように設計された単相条件下のオートクレーブプロセスにおいて作製されてもよい。好適なLDPEの例には、エチレンホモポリマー、および、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはそれらの組み合わせと共重合化したエチレンを含む高圧コポリマーが含まれ得るが、これらに限定されない。エチレンはまた、アルファ-オレフィンコモノマー、例えば、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、およびそれらの混合物などの少なくとも1つのC3-C20アルファ-オレフィンと共重合化してもよい。例示的なLDPE樹脂には、The Dow Chemical Companyによって販売されている樹脂、例えば、LDPE 4016樹脂、LDPE 132I樹脂、LDPE 621I樹脂、LDPE 662I樹脂、またはAGILITY(商標)1000および2001樹脂、Westlake Chemical Corporation((Houston,TX)によって販売されている樹脂、例えば、EF412、EF602、EF403、またはEF601、LyondellBasell Industries(Houston,TX)によって販売されている樹脂、例えば、PETROTHENE(商標)M2520またはNA940、ならびにThe ExxonMobil Chemical Company(Houston,TX)によって販売されている樹脂、例えば、LDPE LD 051.LQまたはNEXXSTAR(商標)LDPE-00328が含まれるが、これらに限定されない。他の例示的なLDPE樹脂は、WO2014/051682およびWO2011/019563(当該内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0051】
ポリエチレン樹脂がLLDPEである本明細書における実施形態において、LLDPEは、均質の分岐した、もしくは不均質の分岐した、および/または単峰性もしくは多峰性(例えば二峰性)のポリエチレンであってよい。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンホモポリマー、エチレンと少なくとも1つのコモノマーのインターポリマー、およびそれらのブレンドを含む。好適なコモノマーの例には、アルファ-オレフィンが含まれ得る。好適なアルファ-オレフィンには、3~20個の炭素原子(C3-C20)を含むものが含まれ得る。例えば、アルファ-オレフィンは、C4-C20アルファ-オレフィン、C4-C12アルファ-オレフィン、C3-C10アルファ-オレフィン、C3-C8アルファ-オレフィン、C4-C8アルファ-オレフィン、またはC6-C8アルファ-オレフィンであってもよい。いくつかの実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、および1-デセンからなる群から選択される。他の実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。さらなる実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択される。
【0052】
直鎖状低密度ポリエチレンは、当該技術分野に公知の任意の型の反応器または反応器構成、例えば、流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌タンク反応器、並行、連続のバッチ反応器、および/またはそれらの任意の組み合わせを用いて、気相、液相、もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組み合わせによって作製することができる。いくつかの実施形態において、気相またはスラリー相反応器が、使用される。適当な直鎖状低密度ポリエチレンは、WO2005/111291 A1(参照により本明細書に組み込まれる)中の15~17頁および20~22頁に記載されるプロセスに従って生成してもよい。本明細書に記載される直鎖状低密度ポリエチレンを作製するために使用される触媒は、チーグラー・ナッタ、クロム、メタロセン、拘束幾何、またはシングルサイト触媒を含んでもよい。好適な直鎖状低密度ポリエチレンの例は、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、米国特許第5,733,155号、およびEP2653392(当該出願の内容は、参照により組み込まれる)にさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号(当該出願の内容は、参照により組み込まれる)におけるもののような、均質の分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物;米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるもののような、不均質の分岐したエチレンポリマー;ならびに/またはそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号または米国特許第5,854,045号に開示されているものなど)を含み、これらは全て、参照により組み込まれる。いくつかの実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、例えば、ELITE(商標)5100Gまたは5400G樹脂、ELITE(商標)AT 6401、ATTANE(商標)4201または4202樹脂、AFFINITY(商標)1840、およびDOWLEX(商標)2020、2045G、2049G、または2685樹脂を含む、The Dow Chemical Companyによって販売されているELITE(商標)、ELITE(商標)AT、ATTANE(商標)、AFFINITY(商標)、FLEXOMER(商標)、またはDOWLEX(商標)樹脂;例えば、EXCEED(商標)1012、1018、または1023JA樹脂、およびENABLE(商標)27-03、27-05、または35-05樹脂を含む、Exxon Mobil Corporationによって販売されているEXCEED(商標)またはENABLE(商標)樹脂;例えば、LLDPE LF1020またはHIFOR Xtreme(商標)SC74836樹脂を含む、Westlake Chemical Corporationによって販売されている直鎖状低密度ポリエチレン樹脂;例えば、PETROTHENE(商標)GA501およびLP540200樹脂、ならびにALATHON(商標)L5005樹脂を含む、LyondellBasell Industriesによって販売されている直鎖状低密度ポリエチレン樹脂;例えば、SCLAIR(商標)FP120およびNOVAPOL(商標)TF-Y534を含む、Nova Chemicals Corp.によって販売されている直鎖状低密度ポリエチレン樹脂;例えば、mPACT(商標)D139またはD350樹脂およびMARFLEX(商標)HHM TR-130樹脂を含む、Chevron Phillips Chemical Company,LLCによって販売されている、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂;例えば、BORSTAR(商標)FB 2310樹脂を含む、Borealis AGによって販売されている直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含んでもよい。
【0053】
ポリエチレン樹脂がMDPEである本明細書における実施形態において、MDPEは、エチレンホモポリマーまたはエチレンおよびアルファ-オレフィンのコポリマーであってもよい。好適なアルファ-オレフィンには、3~20個の炭素原子(C3-C20)を含むものが含まれ得る。例えば、アルファ-オレフィンは、C4-C20アルファ-オレフィン、C4-C12アルファ-オレフィン、C3-C10アルファ-オレフィン、C3-C8アルファ-オレフィン、C4-C8アルファ-オレフィン、またはC6-C8アルファ-オレフィンであってもよい。いくつかの実施形態において、MDPEは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、および1-デセンからなる群から選択される。他の実施形態において、MDPEは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。MDPEは、0.923g/cm3~0.935g/cm3の密度を有してもよい。全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。
【0054】
MDPEは、当該技術分野に公知の任意の型の反応器または反応器構成、例えば、流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌タンク反応器、並行、連続のバッチ反応器、および/またはそれらの任意の組み合わせを用いて、気相、液相、もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組み合わせによって作製してもよい。いくつかの実施形態において、気相またはスラリー相反応器が、使用される。いくつかの実施形態において、MDPEは、並行してまたは連続的のいずれかで二重反応器モードで操作される溶液プロセスにおいて作製される。MDPEはまた、高圧、フリーラジカル重合化プロセスによっても作製され得る。高圧、フリーラジカル重合化でMDPEを調製するための方法は、US2004/0054097(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができ、オートクレーブまたはチューブ反応器、ならびにそれらの任意の組み合わせにおいて実施することができる。本明細書に記載されるMDPEを作製するために使用される触媒は、チーグラー・ナッタ、メタロセン、拘束幾何、シングルサイト触媒、またはクロム系触媒を含んでもよい。例示的な好適なMDPE樹脂は、The Dow Chemical Companyによって販売されている樹脂、例えば、DOWLEX(商標)2038.68GまたはDOWLEX(商標)2042G、LyondellBasell Industries(Houston,TX)によって販売されている樹脂、例えば、PETROTHENE(商標)L3035、The ExxonMobil Chemical Company(Houston,TX)によって販売されているENABLE(商標)樹脂、Chevron Phillips Chemical Company LPによって販売されている樹脂、例えば、MARFLEX(商標)TR-130、ならびにTotal Petrochemicals & Refining USA Inc.によって販売されている樹脂、例えば、HF 513、HT 514、およびHR 515を含んでもよい。他の例示的なMDPE樹脂は、U.S.2014/0255674(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0055】
ポリエチレン樹脂がHDPEである本明細書における実施形態において、HDPEはまた、エチレンホモポリマーまたはエチレンおよびアルファ-オレフィンのコポリマーであってもよい。好適なアルファ-オレフィンには、3~20個の炭素原子(C3-C20)を含むものが含まれ得る。例えば、アルファ-オレフィンは、C4-C20アルファ-オレフィン、C4-C12アルファ-オレフィン、C3-C10アルファ-オレフィン、C3-C8アルファ-オレフィン、C4-C8アルファ-オレフィン、またはC6-C8アルファ-オレフィンであってもよい。いくつかの実施形態において、HDPEは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、および1-デセンからなる群から選択される。他の実施形態において、HDPEは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。使用されるコモノマーの量は、本開示を把握する当業者に明らかであろうように、温度および圧力、ならびにテロマーなどの存在または非存在のような他の因子のような処理条件を考慮し、HDPEポリマーの所望の密度、および選択される具体的なコポリマーに依存するであろう。HDPEは、0.935g/cm3~0.975g/cm3の密度を有してもよい。全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。
【0056】
HDPEは、当該技術分野に公知の任意の型の反応器または反応器構成、例えば、流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌タンク反応器、並行、連続のバッチ反応器、および/またはそれらの任意の組み合わせを用いて、気相、液相、もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組み合わせによって作製してもよい。いくつかの実施形態において、気相またはスラリー相反応器が、使用される。いくつかの実施形態において、HDPEは、並行してまたは連続的のいずれかで二重反応器モードで操作される溶液プロセスにおいて作製される。本明細書に記載されるHDPEを作製するために使用される触媒は、チーグラー・ナッタ、メタロセン、拘束幾何、シングルサイト触媒、またはクロム系触媒を含んでもよい。HDPEは、単峰性、二峰性、および多峰性であり得る。市販されている例示的なHDPE樹脂には、例えば、The Dow Chemical Company(Midland,MI)より入手可能なELITE(商標)5940G、ELITE(商標)5960G、HDPE 35454L、HDPE 82054、HDPE DGDA-2484 NT、DGDA-2485 NT、DGDA-5004 NT、DGDB-2480 NT樹脂、Equistar Chemicals,LPより入手可能なL5885およびM6020 HDPE樹脂、LyondellBasell Industries(Houston,TX)からのALATHON(商標)L5005、およびChevron Phillips Chemical Company LPからのMARFLEX(商標)HDPE HHM TR-130が含まれる。他の例示的なHDPE樹脂は、U.S.7,812,094(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0057】
変性ポリエチレン組成
上記のように、ポリエチレン組成物の溶融強度および/または低せん断粘度を増加させるための方法が、本明細書に開示されている。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載される本発明のフリーラジカル発生剤の導入は、ポリマーに長鎖分岐または同様の構造をもたらし、それにより溶融強度および/または低せん断粘度を増加させると考えられる。本方法は、a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、ポリエチレン組成物が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより高い分解エネルギーを有し、ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm3~0.970g/cm3の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、c)ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、を含む。いくつかの実施形態において、フィルムは、本明細書に記載される変性ポリエチレン組成物から形成されてもよい。フィルムは、インフレーションフィルムまたはキャストフィルムであってもよい。フィルムは、多層フィルムまたは単層フィルムであってもよい。他の実施形態において、ブロー成形物品は、本明細書に記載される変性ポリエチレン組成物から形成されてもよい。
【0058】
ポリエチレン組成物をマスターバッチ組成物と反応させることは、ポリマーが溶融してマスターバッチと混合される任意の従来の混合装置中で実施することができる。好適な装置は、当業者に公知であり、例えば、混合機、混練機、および押出機を含む。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物をフリーラジカル発生剤と反応させることは、押出機中で起こる。押出機はさらに、インフレーションフィルムまたはキャストフィルムのラインに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物をフリーラジカル発生剤と反応させることは、インフレーションフィルムまたはキャストフィルムのラインに取り付けられた押出機中で起こる。
【0059】
例示的な押出機または混練機は、例えば、単軸スクリュー押出機、二重反転二軸スクリュー押出機および共回転二軸スクリュー押出機、プラネタリーギア押出機、リング押出機、または共混練機を含む。好適な押出機および混練機は、例えば、Handbuch der Kunststoftextrusion,Vol 1 Grundlagen,Editors F.Hensen,W.Knappe,H.Potente,1989,pp.3-7,ISBN.3-446-14339-4(Vol 2 Extrusionsanlagen 1986,ISBN 3-446-14329-7)にさらに記載されている。本明細書における実施形態において、スクリュー長は、スクリュー径の1~60倍、またはスクリュー径の35~48倍の範囲であり得る。スクリューの回転速度は、1分当たり10~600回転(rpm)、または25~300rpmの範囲であってよい。最大スループットは、スクリュー径、回転速度、および駆動力に依存する。本発明のプロセスはまた、記載されるパラメータを変動させて、または投与量を送達する計量機を使用することによって、最大スループットより低いレベルで実施することもできる。
【0060】
ポリエチレン組成物およびマスターバッチは、60:40~99.9:0.1の比率でさせてもよい。全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物およびマスターバッチは、65:35~99.9:0.1、65:35~99.9:0.1、70:30~99.9:0.1、75:25~99.9:0.1、80:20~99.9:0.1、85:15~99.9:0.1、90:10~99.9:0.1、95:5~99.9:0.1、97:3~99.9:0.1、95:5~99:1、または97:3~99:1の比率でさせてもよい。ポリエチレン組成物およびマスターバッチはまた、ポリエチレン組成物中のマスターバッチの量が0.1~40重量%の範囲になるように反応させてもよい。全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物およびマスターバッチは、ポリエチレン組成物中のマスターバッチの量が、0.1~35重量%、0.1~30重量%、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、1~5重量%、または1~3重量%の範囲になるように反応させてもよい。
【0061】
ポリエチレン組成物およびマスターバッチは、ポリエチレン組成物とフリーラジカル発生剤との間の反応が起こり得るように、十分な時間、ポリマーの軟化点を超える温度に供される。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物およびマスターバッチは、280℃以下の温度に供される。280℃以下の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、温度は、280、260、250、240、220、200、180、または160℃以下であり得る。いくつかの実施形態において、温度は、120℃~280℃、140℃~280℃、160℃~280℃、180℃~280℃、または180℃~260℃である。別の実施形態において、温度は、200℃~260℃である。反応に必要な期間は、温度、反応させるべき材料の量、および使用される装置の型に応じて変動し得ることが、理解されるであろう。例示的な条件下において、ポリマーの軟化点を超える温度が維持される時間は、10秒~30分であってよい。全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示されており、例えば、時間は、10秒、20秒、30秒、1分、5分、15分、または25分の下限から、45秒、3分、8分、10分、12分、15分、18分、20分、23分、または30分の上限までであり得る。例えば、時間は、10秒~20分の範囲であり得、または代替的に、時間は、10秒~15分の範囲であり得、または代替的に、時間は、10秒~10分の範囲であり得、または代替的に、時間は、20秒~20分の範囲であり得、または代替的に、時間は、15分~30分の範囲であり得る。
【0062】
変性ポリエチレン組成物は、12~33の粘度比(0.1rad/sでの粘度/100rad/sでの粘度、両方とも190℃で測定)を有し得る。12~33の全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、変性ポリエチレン組成物は、12~30または15~30の粘度比を有し得る。
【0063】
粘度比に加えて、変性ポリエチレン組成物は、190℃で7.5~15cNの溶融強度を有し得る。190℃で7.5~15cNの全ての個々の値および部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示されている。例えば、ポリエチレン組成物は、190℃で8~14または8~13cNの溶融強度を有し得る。
【0064】
本明細書における実施形態において、変性ポリエチレン組成物は、1つ以上の添加剤を含有してもよい。添加剤には、加工助剤、成核剤、フルオロポリマー、熱安定剤、帯電防止剤、UV安定剤、清澄剤、顔料または着色剤、ステアリン酸脂肪酸、増量剤、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。変性ポリエチレン組成物は、変性ポリエチレン組成物の重量に基づいて、0.001~10重量%の1つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0065】
例示的な成核剤には、金属カルボン酸塩、金属芳香族カルボン酸塩、ヘキサヒドロフタル酸金属塩、ステアリン酸塩、有機リン酸塩、ビスアミド、ソルビトール、およびそれらの混合物のうちの1つ以上が含まれ得る。例えば、限定するものではないが、成核剤の好適な市販例には、Milliken Chemical(Spartanburg,SC)から入手可能である、Hyperform(登録商標)HPN-68L(主にビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸の二ナトリウム塩)Hyperform(登録商標)HPN-20E(ステアリン酸亜鉛と1,2-シクロヘキサンジカルボン酸のカルシウム塩の混合物)、またはHyperform(登録商標)HPN-600ei(主にビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸の二ナトリウム塩)、またはHyperform(登録商標)HPN-210Mのうちの1つ以上を含んでもよい。成核剤は、変性ポリエチレン組成物の重量に基づいて、0.001~5重量%の量で変性ポリエチレン組成物中に存在してもよい。
【0066】
試験方法
密度
密度測定のための試料は、ASTM D 4703 Annex A1の手順Cに従って調製された。約7gの試料を、「2インチ×2インチ×135ミル厚」モールドに配置し、これを3,000lbfで6分間、374°F(190℃)で圧縮した。圧力を4分間30,000lbfまで増加させた。続いて、30,000lbfで、約40℃の温度まで、15℃/分に冷却した。「2インチ×2インチ×135ミル」ポリマー試料(プラーク)をモールドから取り出し、1/2インチ×1インチのダイカッターで3つの試料をプラークから切断した。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、試料圧縮の1時間以内に行われ、3回の測定の平均が報告された。
【0067】
メルトインデックス
メルトインデックス(MI)またはI2は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kg、手順Bに従って測定し、10分当たり溶出グラム数(g/10分)で報告される。I10は、ASTM D 1238、条件190℃/10kg、手順Bに従って測定し、10分当たり溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0068】
溶融強度
溶融強度は、Goettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill、SC)を使用して、190℃で測定され、溶融物は、長さ30mm、直径2mmのフラット流入角(180度)を装備したGoettfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターで供給される。ペレットを、バレル(L=300mm、直径=12mm)に供給し、圧縮して10分間溶融させた後、所与のダイ直径において壁せん断速度38.2s-1に相当する、0.265mm/sの一定のピストン速度で押出を行う。押出物は、ダイ出口の100mm下に配置されているRheotensのホイールを通過し、ホイールによって加速度2.4mm/s2で下方へ引っ張られる。ホイールに加えられた力(cN)を、ホイールの速度(mm/s)の関数として記録する。溶融強度は、ストランドが破断する前のプラトー力(cN)として報告される。
【0069】
動的機械的分光法(DMS)
樹脂を、「3mm厚×25mm」の円形プラークに、350oF(一貫性のための℃)で5分間、25,000lbs下、空気中で圧縮成形する。次いで、試料を圧縮機から取り出し、冷却するためにカウンターに配置する。
【0070】
窒素パージ下、25mm(直径)の平行プレートを装備したTA Instrumentsの「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、一定温度周波数掃引を、実行する。試料をプレート上に配置し、190℃で5分間融解させる。次いで、プレートを「2mm」の間隔まで閉じ、試料をトリミングし(「直径25mm」プレートの円周を越えて延在する余分な試料を除去し)、試験を開始する。この方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分の遅延を組み込む。実験は、0.1~100rad/sの周波数範囲にわたって、190℃で実行される。ひずみ振幅は、10%で一定である。
【0071】
結晶化溶出分別(CEF)方法
結晶化溶出分別(CEF)技術は、Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007)に従って実行される。CEF機器には、IR-4またはIR-5検出器(PolymerChar(Spain)から市販されているものなど)および二角光散乱検出器モデル2040(Precision Detectorsから市販されているものなど)が装備される。検出器オーブンのIR-4またはIR-5検出器の前に、50mm×4.6mmの10ミクロンのガードカラム(PolymerLabsから市販されているものなど)を取り付ける。オルト-ジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレード)および2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)(Sigma-Aldrichから市販されているものなど)が、得られる。シリカゲル40(粒子サイズ0.2~0.5mm)(EMD Chemicalsから市販されているものなど)もまた、得られる。シリカゲルは、使用前に少なくとも2時間、160℃の真空オーブンで乾燥させる。ODCBを、使用前に1時間、乾燥窒素(N2)でパージする。乾燥窒素は、CaCO3および5Å分子篩に90psig未満の窒素を通過させることによって得られる。ODCBは、5グラムの乾燥シリカを2リットルのODCBに加えることにより、または乾燥シリカが充填されたカラムに0.1ml/分~1.0ml/分でポンプ輸送することによりさらに乾燥させる。試料バイアルのパージにN2などの不活性ガスを使用しない場合、800ミリグラムのBHTを2リットルのODCBに添加する。BHTを使用または使用せずに乾燥させたODCBを、以下「ODCB-m」と称される。試料溶液は、オートサンプラーを使用して、160℃で2時間振とうしながらポリマー試料をODCB-mに4mg/mlで溶解することによって調製される。300μLの試料溶液を、カラムに注入する。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃から30℃までの結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分間に設定された可溶性画分溶出時間を含む)、および3℃で30℃から140℃までの溶出である。結晶化中の流量は、0.052ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。IR-4またはIR-5信号データを、1データ点/秒で収集する。
【0072】
CEFカラムには、U.S.8,372,931に従って1/8インチのステンレスチューブを用いて125μm±6%のガラスビーズ(MO-SCI Specialty Productsからの酸洗浄で市販されているものなど)が充填されている。CEFカラムの内部液体体積は、2.1ml~2.3mlである。温度較正を、ODCB-m中のNIST標準参照材料である直鎖状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)の混合物を使用して行う。較正は、4つのステップからなる:(1)測定されたエイコサンのピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた温度オフセットとして定義される遅延体積を計算するステップ、(2)溶出温度の温度オフセットをCEF生温度データから差し引くステップ。この温度オフセットが、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意する、(3)NIST直鎖状ポリエチレン1475aが101.00℃のピーク温度を有し、かつエイコサンが30.00℃のピーク温度を有するように、溶出温度を30.00℃~140.00℃の範囲にわたって変換する直鎖状較正線を作成するステップ、(4)30℃で等温測定された可溶性画分の場合、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって溶出温度を線形外挿する。報告した溶出ピーク温度は、観察されたコモノマー含有量較正曲線が、USP8,372,931に以前に報告されたものと一致するように得られたものである。
【0073】
コモノマー分布幅指数(CDBI)
CDBIは、CEFから得られたデータから、WO/93/03093に記載される方法論を使用して計算される。CDBIは、全モルコモノマー含量の中央値の50パーセント以内のコモノマー含量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義される。これは、ポリマー中のコモノマー分布とベルヌーイ分布で予想されるコモノマー分布の比較を表す。
【0074】
CEFは、ポリオレフィンの短鎖分岐分布(SCBD)を測定するために使用される。CEFモルコモノマー含有量の較正は、0~0.108の範囲のコモノマーモル分率および28,400~174,000g/モルの範囲のMwを有する狭いSCBDを使用して、24の標準材料(例えば、ポリエチレンオクテンランダムコポリマーおよびエチレンブテンコポリマー)を使用して実行される。ln(コモノマーのモル分率)であるln(エチレンのモル分率)対1/T(K)が得られ、式中、Tは各基準材料のケルビンでの溶出温度である。基準材料のコモノマー分布は、例えば、米国特許第5,292,845号(Kawasakiら)およびJ.C.Randall in Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201-317によって記載される技術に従って13C NMR分析を使用して決定される。
【0075】
ビニル基
試料調製
試料は、約130mgの試料を、Norell 1001-7 10mm NMR管内の、3.25gの重量で50/50のテトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレンに、0.001MのCr(AcAc)3と共に加えることによって調製された。試料は、管に挿入したピペットを介して、およそ5分間、溶剤を通して窒素を通気することによりパージし、蓋をして、テフロンテープで密封し、室温で一晩浸して、試料の溶解を容易にした。試料は、均質性を保証するために、115℃で加熱してボルテックスした。
【0076】
データ獲得パラメータ
1H NMRは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、Bruker AVANCE 400MHz分光計上で、試料温度120℃で行われた。スペクトル、合計ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトル、および二重予備飽和実験を得るために、2つの実験が実行され、強いポリマー骨格ピークを抑圧し、末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にした。この対照物は、ZGパルス、4走査、AQ 1.64秒、D1(緩和遅延)14秒で実行された。二重予備飽和実験は、変性パルス配列、100走査、DS 4、AQ 1.64秒、D1(予備飽和時間)1秒、D13(緩和遅延)13秒で実行された。4.95~5.15ppmの領域を統合して、ビニル含有量を決定した。
【0077】
酸化防止剤濃度
酸化防止剤IRGANOX(商標)1010、IRGANOX(商標)1076、IRGAFOS(商標)168、およびトリス(ノニルフェニル)ホスファイト(「TNPP」)は、逆相液体クロマトグラフィー(Zorbax Eclipse XDB-C8を装備したAgilent 1260、5μm粒子、4.6×Zorbax、Eclipse XDB-C8、3.5μm粒子、4.6×50mmカラムに結合した12.5mmガードカラム、および210nmの波長でのUV吸光度検出)によって測定された。各ポリマー樹脂試料(1g)を、25mLの熱o-キシレンに溶解した後、ポリマーを50mLのメタノール(IRGANOX(商標)1010、IRGANOX(商標)1076、IRGAFOS(商標)168)、または50mLのイソプロパノール(TNPP)に再沈殿させた。ポリマー樹脂試料を沈降させた後、上澄みのアリコートを濾過して(0.2μmのPTFEシリンジフィルター)2mLのガラスオートサンプラーバイアルに入れ、バイアルにテフロンで内張りしたクリンプキャップで蓋をした。バイアルを、LC自動サンプラーに入れて分析し、平均濃度を報告した。ピーク面積に基づく外部標準化手順を使用して、定量を実施した。
【0078】
高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)
赤外線濃度検出器(IR-5)からなるPolymerChar(Valencia,Spain)の高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステムをMWおよびMWDの決定に使用される。溶媒送達ポンプ、オンライン溶媒脱ガス装置、自動サンプラー、およびカラムオーブンは、Agilent製である。カラム区画および検出器区画は、150℃で操作する。カラムは、3つのPLgel 10μm混合-Bカラム(Agilent)である。担体溶媒は、1.0mL/分の流速での1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。クロマトグラフィー用および試料調製用の両方の溶媒源は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有しており、窒素散布される。ポリエチレン試料は、注入直前に自動サンプラーに160℃で3時間TCBに溶解することにより、2mg/mLの標的ポリマー濃度で調製される。注入体積は、200μLである。
【0079】
GPCカラムセットの較正は、21の狭い分子量分布のポリスチレン標準で実行する。標準の分子量は、
580~8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量の間に少なくとも一桁の間隔を置いて6つの「カクテル」混合物中に配置する。ポリスチレン標準ピーク分子量は、以下の式を使用してポリエチレン分子量に変換される(Williams and Ward、J.Polym。Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B(1)
【0080】
ここで、Bは1.0の値を有し、実験的に決定されたAの値は約0.42である。
【0081】
三次多項式を使用して、式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点をそれらの観察された溶出体積に適合させる。実際の多項式の適合は、ポリエチレン等価分子量の対数を各ポリスチレン標準についての観察された溶出体積(および関連する力)に関連付けるために得られる。
【0082】
数平均、重量平均分子量、およびz平均分子量は、以下の式に従って計算される。
【数1】
【数2】
【数3】
式中、Wf
iは、i番目の成分の重量分率であり、M
iは、i番目の成分の分子量である。MWDは、重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比として表される。
【0083】
正確なA値は、式(3)を使用して計算されたMw重量平均分子量および対応する保持体積多項式が、120,000g/molの既知の重量平均分子量を有する直鎖状ホモポリマー参照に従って得られたMwが独立して決定した値に一致するまで式(1)におけるA値を調節することによって決定される。
【0084】
金属の中性子放射化法
約3.5グラムのペレットを予め洗浄した2ドラムポリエチレンバイアルに移すことによって、2組みの複製試料を調製する。試験された各金属に対して、それらのNIST追跡可能標準溶液(SPEXからのCerti.pure)から2ドラムポリエチレンバイアル内で標準を調製する。milli-Q純水を使用して、それらを6mlに希釈し、バイアルを熱融着させる。次いで、Mark I TRIGA原子炉を使用して、これらの元素について試料および標準を分析する。これらの要素に使用された反応および実験条件を、以下の表に要約する。ガンマ分光を行う前に、試料を、非照射のバイアルに移す。元素濃度は、CANBERRAソフトウェアおよび標準的比較技術を使用して計算する。表1は、決定のための測定パラメータを示す。
【0085】
【0086】
【0087】
半減期
C
20H
42(エイコサン)の10(w/w)%溶液としての異なるフリーラジカル発生剤(FRG)の熱分解を、等温条件下および温度スキャンモードの両方において、SensysEvo DSC機器(Setaram,France)を用いて調査した。FRGの熱分解の速度則(速度論的パラメータ)を得るために、C
20H
42(エイコサン)中のFRGの10(w/w)%溶液を、5種類の異なる走査速度、すなわち、それぞれ1℃/分、2.5℃/分、5℃/分、10℃/分、および20℃/分において75℃~350℃の温度間隔中での温度走査モードで測定した。約60mgの試料(エイコサン中のFRGの10(w/w)%)を、170mLのAl鍋に入れ、75℃(パラフィンの融点以上)窒素雰囲気下(20cc/分)にあるDSC装置に置いた。熱平衡の後、温度を上記の温度プログラムに従って走査し、サーモグラムを記録した。120℃~320℃の温度間隔で発熱ピークを記録した。放出される熱量、-ΔHr(J/g)は、各試験片のDSC曲線から決定され、それは反応の進行/温度による変換の測定を可能にする。分解速度則を記載する速度論的パラメータは、(AKTS Thermokineticソフトウェア、AKTS AG,Switzerlandを用いる)等転化率法およびSestak-Berggren自己触媒モデルによる最適なフィッティングパラメータの両方によって測定された。活性化エネルギー、E
a(kJ/mol)、および分解の進行αの関数としての見かけ上の頻度因子、ln A(α)f(α)(s
-1(-))は、Friedman微分等転化率法およびOzawa積分等転化率法を用いて測定される。Sestak-Berggren方程式の一般的な形式は、以下、
【数4】
に与えられ、上記の方程式中の活性化エネルギー、E
a、頻度因子、A、ならびに反応次数、mおよびnは、最適なフィッティング法によって決定される。次いで、E
a、A、m、およびnのパラメータは、AKTS Thermokineticソフトウェアを用いて、任意の温度におけるFRGの半減期を計算するために使用することができる。
【0088】
分解エネルギーおよびピーク分解温度
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、分解エネルギーおよびピーク分解温度を測定した。RCS(冷蔵冷却システム)を備えたTA Instruments Q2000 DSCを用いて、この分析を実行した。0.5~2mgの試料を、ガラスキャピラリーチューブに入れ、秤量し、「コールドフィンガー」デバイスを用いて冷却しながら窒素下でフレームシールした。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行った。
【0089】
試料の熱的挙動は、試料温度を上昇させて、熱流対温度プロファイルを作成することによって決定した。最初に、試料を、10℃/分の速度で0℃~400℃に加熱した。次に、試料を冷却した。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で再度加熱した(これは「再加熱」上昇である)。両方の加熱曲線を、記録した。初期熱曲線は、熱活性の開始から終了までのベースラインポイントを設定することによって分析した。再加熱は、積分の開始および終了の決定を支援するために使用された。
【0090】
フリーラジカル発生剤について、第1の熱サイクルの曲線とベースラインとの間の面積の積分によって、ピーク温度および全分解エネルギーが記録された。分解が発熱性である場合、負の熱流があるという事実のために、曲線とベースラインとの間の面積は、負として積分される。すなわち、試料は、熱を発生する。試料が吸熱性であり、熱を吸収するようにする場合、面積は、正の数として積分される。
【0091】
発熱性のピーク下の熱は、純度によって除算され、100%純粋なラジカル発生剤に外挿して推定した。
【0092】
最大インフレーションフィルム出力率
最大インフレーションフィルム出力率は、バブルの安定性が制限因子となる時点まで出力率を上げることによって決定される。最大出力率でのバブルの安定性は、エアリングに座ったままにならない時点までバブルを移動させることによって決定される。その時点で、エアリング内で気泡が再配置される場所(最大出力率)まで速度が低下する。気泡の冷却は、エアリングを調整して気泡を維持することによって調整される。このプロセスは、バブルの安定性を維持しながら、最大出力率を決定する。
【0093】
ダーツ耐衝撃性
ダーツ耐衝撃性は、ASTM D1709に従って測定される。
【0094】
耐破壊性
耐破壊性は、直径0.5インチのステンレス鋼プローブを備えた変性ASTM D5748を用いて測定される。
【0095】
MD/CDの自由収縮
機械および横断方向の自由な熱収縮は、油浴法を用いて測定される。4インチ×4インチのフィルム試料を、フィルムホルダーに入れ、所望の温度(140℃)に維持された高温の油槽中に浸漬させる。30秒後、フィルムを、油槽から取り出して冷却し、機械および横方向の両方でフィルムの寸法を測定する。自由収縮は、以下の式に従って計算し、式中、L
0は元の長さ、L
fは収縮後の長さである。
【数5】
【0096】
MD/CDの収縮張力
収縮張力は、RSA IIIレオメーター(TA Instruments)を用いて、機械および横方向で測定される。この方法は、制御された方法で25℃~160℃に加熱したときに、クランプされた長方形の試験片(65mm×12.7mm)が収縮するときの収縮力を測定する。加熱速度は、25~90℃では90℃/分、90~160℃では20℃/分に維持される。収縮張力は、以下の式に従って計算され、式中、σはMPa単位の収縮張力であり、Fはgf単位の収縮力であり、tおよびWは、それぞれ、mm単位のフィルムの厚さおよび幅である。
【数6】
【実施例】
【0097】
以下の材料を、実施例において使用した。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
PE組成物1および2
PE組成物1および2は、以下のように調製される:複数金属触媒が調製される(触媒1)。次いで、触媒1を使用して、溶液重合でPE組成物1および2を調製する。
【0102】
触媒1の調製
約109kgの0.20MのMgCl2スラリーに、7.76kgのEADC溶液(ヘプタン中15重量%)を添加し、8時間撹拌した。次いで、TiCl4/VOCl3の混合物(それぞれ、85mLおよび146mL)を添加し、続いて、Zr(TMHD)4の溶液(Isopar E中0.30Mの溶液の0.320kg)を添加した。これらの2つの添加は、互いに1時間以内に連続して実行された。得られた触媒プレミックスを、使用前にさらに8時間撹拌しながら熟成させた。
【0103】
PE組成物1および2の生成
PE組成物1および2は、以下の手順に従って作成される:全ての材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)は、反応環境に導入する前に分子篩で精製される。水素は、高純度グレードとして加圧して供給し、さらに精製されない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮機を介して反応圧力以上に加圧される。溶媒およびコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力以上に加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒で、手動でバッチ希釈され、反応圧力以上に加圧される。全ての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御システムによって独立して制御される。
【0104】
単一の反応器システムが、使用される。連続溶液重合反応器は、熱除去を伴う連続撹拌槽反応器(CSTR)と同様の液体充填非断熱式等温循環ループ反応器からなる。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が、可能である。反応器への全新鮮供給流(溶媒、モノマー、および水素)は、供給流を熱交換器に通すことによって温度制御される。重合反応器への全新鮮供給物は、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入される。新鮮供給物を制御し、各注入器は、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する。触媒成分は、注入針を通して重合反応器に注入される。一次触媒成分の供給は、特定の標的で反応器モノマー変換を維持するようにコンピュータ制御される。共触媒成分は、計算された特定のモル比に基づいて、一次触媒成分に供給される。各々の反応器供給注入場所の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と静的混合要素を用いて混合する。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。反応器ループを回る循環は、ポンプによってもたらされる。
【0105】
反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加および反応により不活性化される区域に入り、酸中和成分(ステアリン酸カルシウム)も添加される。この同じ反応器出口場所に、他の添加剤が、ポリマー安定化のために添加されてもよい(IRGAFOS(商標)168)。
【0106】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応モノマーの大部分は、精製システムを通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびモノマーを、プロセスからパージする。表2は、PE組成物1および2の重合条件を要約する。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
1,000ppmの標的過酸化物濃度を有するマスターバッチは、高速ミキサーである20リットルのHenschelミキサーを使用した吸収法によって調製された。最初に、TRIGONOX(商標)301の鉱油溶液(1:1)を、プラスチック製のミキシングジャグで調製し、20~30秒間穏やかに振とうした。LDPE 4016ペレットを、Henschelミキサーに装填し、TRIGONOX(商標)301の希釈溶液を加えて、ペレット全体に均一に分散させる。次いで、Henschelミキサーの内容物を、60秒間混合し、混合物を、ミキサーの排出バルブに固定されたアルミホイルバッグに排出した。充填されたアルミホイルバッグを密封し、さらに使用するまで保管した。
【0112】
【0113】
単層フィルムは、エアリングおよび内部気泡冷却による外部冷却に加えて、ポリエチレンDavis標準バリアIIスクリューを装備したインフレーションフィルム押出ライン(ダイ直径:8インチ、ダイギャップ:70ミル)で製造された。フィルムは、厚さ2ミル、出力速度300lb/時、2.5のブローアップ比で収集された。各インフレーションフィルムの生成に使用される一般的なインフレーションフィルムパラメータを、表7Aに示す。温度は、ペレットホッパー(バレル1)に最も近い温度であり、ポリマーがダイから押し出されるにつれて、順番に増加する。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
表7Bに示すように、発明1は、改善された溶融強度を達成するために10%の高性能LDPEを含む比較Aおよび比較Bより高い溶融強度を有する。発明1のより高い溶融強度は、より高いインフレーションフィルム出力率につながり得る。同様に、発明2および発明3は、比較C、比較D、および比較Eと比較して、より高い溶融強度およびインフレーションフィルム出力率を有し、後者の2つの組成物は、改善された溶融を達成するために10%および20%の同じ高性能LDPEを含む。本発明の組成物はまた、比較組成物と比較して、改善されたずり減粘特性を示す著しく高いDMS粘度比を有する。したがって、本発明の組成物の利点の1つは、LDPEをブレンド成分として添加する必要なく、高い溶融強度およびずり減粘特性(改善されたフィルム加工性)を達成することができることである。
【0118】
表7Cは、本発明の組成物および比較組成物の最終フィルム特性を示す。発明1は、比較Aおよび比較Bよりも高い耐破壊性を有する。発明2および発明3は、それぞれ、比較Dおよび比較Eよりも著しく高いダーツ衝撃および耐破壊性を有する。したがって、本発明の組成物は、フィルム靭性のより良い保持を達成することができる。発明1はまた、比較Aおよび比較Bよりも高い機械および横方向の収縮および収縮張力を有する。同様に、発明2および3は、比較DおよびEよりも高いまたは同等の機械および横方向の収縮および収縮張力を有する。
【0119】
本明細書に開示される寸法および値は、言及される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代替的に、特に指定がない限り、各々のそのような寸法は、言及された値とその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示されている寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0120】
存在する場合、任意の相互参照されるもしくは関連する特許または出願、および本出願がそれらの優先権または利益を主張する任意の特許出願または特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるかまたは限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文書の引用は、本明細書に開示または請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、または任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、任意のそのような発明を教示、示唆、または開示することを認めるものではない。さらに、本明細書中の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれる文書における同一の用語の任意の意味または定義と矛盾する限り、本明細書中のその用語に割り当てられた意味または定義が適用される。
【0121】
本発明の特定の実施形態が、例示および記載されているが、様々な他の変更および修正が本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限りなされ得るということは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内である全てのかかる変更および修正は、添付の特許請求の範囲内に網羅されることを意図する。
本願は以下の態様にも関する。
(1) ポリエチレン樹脂の溶融強度および/または低せん断粘度を増加させるための方法であって、
a)エチレン、および任意に、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの反応生成物を含むポリエチレン組成物を提供することであって、前記ポリエチレン組成物が、0.900g/cm
3
の~0.970g/cm
3
の範囲の密度、2.6~3.5の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1,000個の総炭素原子当たり0.10~0.27個のビニル基の特性によって特徴付けられる、提供することと、
b)フリーラジカル発生剤およびポリエチレン樹脂を含むマスターバッチ組成物を提供することであって、前記フリーラジカル発生剤が、220℃で200秒未満の半減期、および-250kJ/molより高い分解エネルギーを有し、前記ポリエチレン樹脂が、0.900g/cm
3
~0.970g/cm
3
の範囲の密度、0.01g/10分~100g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、提供することと、
c)前記ポリエチレン組成物を前記マスターバッチ組成物と反応させて、変性ポリエチレン組成物を形成することと、を含む、方法。
(2) フリーラジカル発生剤の量が、前記変性ポリエチレン組成物中の樹脂の総量に対して、50ppm未満である、上記(1)に記載の方法。
(3) 前記フリーラジカル発生剤が、220℃で60秒~120秒の半減期を有する、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記フリーラジカル発生剤の分子量が、200~1,000ダルトンである、上記(1)~(3)に記載の方法。
(5) 前記フリーラジカル発生剤が、環状過酸化物である、上記(1)~(4)に記載の方法。
(6) 前記マスターバッチ組成物が、150ppm未満の一次酸化防止剤を含む、上記(1)~(5)に記載の方法。
(7) 前記ポリエチレン組成物が、150ppm未満の一次酸化防止剤を含む、上記(1)~(6)に記載の方法。
(8) 前記ポリエチレン組成物が、5.5~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
によってさらに特徴付けられる、上記(1)~(7)に記載の方法。
(9) 前記ポリエチレン組成物が、60%未満の組成分布幅指数によってさらに特徴付けられる、上記(1)~(8)に記載の方法。
(10) 前記ポリエチレン組成物が、0.5~7g/10分のメルトインデックスI2によってさらに特徴付けられる、上記(1)~(9)に記載の方法。
(11) 前記ポリエチレン組成物が、複数金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で、少なくとも1つの反応器における溶液重合により形成される、上記(1)~(10)に記載の方法。
(12) 上記(1)~(11)に記載の変性ポリエチレン組成物から形成された、フィルム。
(13) 前記フィルムが、インフレーションフィルムである、上記(12)に記載のフィルム。
(14) 前記フィルムが、多層フィルムである、上記(12)または(13)に記載のフィルム。
(15) 前記フィルムが、単層フィルムである、上記(12)~(14)に記載のフィルム。
(16) 上記(1)~(11)に記載の変性ポリエチレン組成物から形成される、ブロー成形品。