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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】外科用エンドエフェクタの関節運動機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020524087
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018057649
(87)【国際公開番号】W WO2019089364
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】15/797,228
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハンター・モーガン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデワール・ジェイムズ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ・オースティン・イー
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/139296(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/099957(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374362(US,A1)
【文献】特表2013-542003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0058441(US,A1)
【文献】特開2006-223872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
関節継手と、
前記関節継手から遠位方向に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な駆動ピンを含む、エンドエフェクタと、
前記関節継手から近位方向に延在するシャフトと、
前記駆動ピンを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させて、前記エンドエフェクタを非関節運動構成から関節運動構成に移行させるように構成されている関節駆動部と、
前記関節駆動部から延在するピンスロットであって、前記ピンスロットは第1の部分および第2の部分を含み、前記ピンスロットは、前記駆動ピンと前記ピンスロットの前記第1の部分との間の第1のクリアランスにより前記非関節運動構成において前記駆動ピンを移動可能に収容するように構成され、前記ピンスロットは、前記駆動ピンと前記ピンスロットの前記第2の部分との間の前記第1のクリアランスよりも少ない第2のクリアランスにより前記関節運動構成において前記駆動ピンを収容するように構成されている、ピンスロットと、を備え
前記関節駆動部が長手方向軸を含み、
前記第1および第2のクリアランスは、前記関節駆動部の前記長手方向軸と同じ方向に画定されている、外科用器具。
【請求項2】
前記第1の部分が、前記駆動ピンを前記第1の位置に収容するように構成され、
前記第2の部分が、前記駆動ピンを前記第2の位置に収容するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記第1の部分の幅が前記第2の部分の幅よりも大きい、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記駆動ピンが、前記関節駆動部から独立して前記第1の部分内で移動可能である、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記駆動ピンが、前記第1の位置において第1の幅を画定する第1の向きを含み、前記駆動ピンが、前記第2の位置において第2の幅を画定する第2の向きを含み、前記第2の幅は前記第1の幅よりも大きい、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ピンスロットが、
近位壁と、
遠位壁と、を含み、前記駆動ピンは、前記関節駆動部から独立して、前記近位壁と前記遠位壁との間で移動可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記ピンスロットが、
第1の横壁であって、前記駆動ピンは、前記非関節運動構成において前記第1の横壁に当接する、第1の横壁と、
第2の横壁であって、前記駆動ピンは、前記関節運動構成において前記第2の横壁に当接する、第2の横壁と、を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記第1の部分が、前記非関節運動構成において前記駆動ピンを前記第1の位置に収容するように構成され、
前記第2の部分が、前記関節運動構成において前記駆動ピンを前記第2の位置に収容するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、外科用器具に関し、また、様々な状況において組織をステープル留めし、切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらと共に使用するためのステープルカートリッジに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書に記載する実施形態の様々な特徴は、それらの利点と共に、以下の添付図面と併せて以下の説明によって理解することができる。
図1】少なくとも1つの実施形態による、本開示の少なくとも1つの態様による外科用器具の斜視図を示す。
図2】少なくとも1つの実施形態による、組み立てられていない構成にある図1の外科用器具の交換式シャフト組立体の部分斜視図及びハンドルの斜視図である。
図3】少なくとも1つの実施形態による、図1の外科用器具のエンドエフェクタ、シャフト、及び関節継手の斜視図を示す。
図4】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある図3のエンドエフェクタの部分縦断面図を示す。
図5】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図3のエンドエフェクタの部分縦断面図を示す。
図6】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある図1の外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図7】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある図1の外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図8】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図1の外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図9】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図10】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある図9の外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図11】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図9の外科用器具の関節継手の部分縦断面図を示す。
図12】少なくとも1つの実施形態による、外科用器具のエンドエフェクタ、シャフト、及び関節継手の部分斜視図である。
図13】少なくとも1つの実施形態による、図12の外科用器具の可撓性バンドの斜視図である。
図14】少なくとも1つの実施形態による、図12の外科用器具の可撓性バンドの斜視図である。
図15】非関節運動構成にある図12の外科用器具のエンドエフェクタ、シャフト、及び関節継手の部分縦断図である。
図16】関節運動構成にある図12の外科用器具のエンドエフェクタ、シャフト、及び関節継手の部分縦断図である。
図17】少なくとも1つの実施形態による外科用器具の斜視図である。
図18】非関節運動構成にある図17の外科用器具の部分縦断図である。
図19】関節運動構成にある図17の外科用器具の部分縦断図である。
図20】非関節運動構成にある図17の外科用器具の部分縦断面図である。
図21】関節運動構成にある図17の外科用器具の部分縦断面図である。
図22】少なくとも1つの実施形態による外科用器具の斜視図である。
図23】少なくとも1つの実施形態による外科用器具の関節制御回路のブロック図である。
図24】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある外科用器具の部分縦断面図である。
図25】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図24の外科用器具の部分縦断面図である。
図26】少なくとも1つの実施形態による外科用器具の斜視図である。
図27】少なくとも1つの実施形態による、非関節運動構成にある図26の外科用器具の部分縦断面図である。
図28】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図26の外科強器具の部分縦断面図である。
図29】少なくとも1つの実施形態による、関節運動構成にある図26の外科用器具の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
明細書に記載され、添付の図面に示されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。周知の動作、構成要素、及び要素は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため、詳細に記載されていない。読者は、本明細書に記載され図示された実施形態は、非限定的な例であり、したがって本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細は、代表的及び例示的であり得ることを、理解するであろう。特許請求の範囲から逸脱することなく、それに対する変形及び変更を行うことができる。
【0004】
用語「備える(comprise)」(「comprises」及び「comprising」など、compriseの任意の語形)、「有する(have)」(「has」及び「having」など、haveの任意の語形)、「含む(include)」(「includes」及び「including」など、includeの任意の語形)、及び「含有する(contain)」(「contains」及び「containing」など、containの任意の語形)は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」外科用システム、デバイス、又は装置は、それらの1つ以上の要素を有するが、それらの1つ以上のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」、システム、デバイス、又は装置の要素は、それら1つ以上の特徴を有するが、それら1つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0005】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0006】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科手術を行うための、様々な例示的なデバイス及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、例えば開腹外科手術と関連するものを含む、多くの外科手術及び用途で使用され得ることが、読者には容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、もとからある開口部を通じて、組織に形成された切開又は穿刺穴を通じてなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを進めることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することもできる。
【0007】
本開示の様々な態様が、リニアステープラに関連して本明細書に記載されてきたが、これらの態様は、例えば、円形ステープラ及び/又は湾曲ステープラなどの他の外科用ステープラにおいて同様に実施することができる。また、本開示の様々な態様が手持ち式器具に関連して記載されているが、これらの態様は、ロボット外科用システムにおいて同様に実装することができる。様々な好適なロボット外科用システムが、2011年5月27日付けで出願された米国特許第2012/0298719号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」(現在は、米国特許第9,072,535号)に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
主に図1図3を参照すると、外科用器具10は、シャフト11と、シャフト11から延在するエンドエフェクタ12と、を備える。エンドエフェクタ12は、第1の顎部14と、第2の顎部15とを含む。第1の顎部14は、ステープルカートリッジ16を含む。ステープルカートリッジ16は、第1の顎部14のカートリッジパン又はチャネル17に挿入可能であり、そこから取り外し可能であるが、ステープルカートリッジ16が第1の顎部14から取り外し可能でないか又は少なくとも容易に交換可能ではない他の実施形態も想到される。第2の顎部15は、ステープルカートリッジ16から排出されたステープルを変形させるよう構成されたアンビル18を含む。第2の顎部15は、第1の顎部14に対して閉鎖軸を中心に枢動可能であるが、第1の顎部14が第2の顎部15に対して枢動可能である他の実施形態も想到される。
【0009】
図2を参照すると、様々な実施例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体29を含むハウジング8を含む。ハウジング8は、エンドエフェクタ12及びシャフト11の少なくとも一部分を含む交換式シャフト組立体46に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフト組立体46が、手持ち式器具と同様に、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に用いられ得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指す場合がある。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、題名SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS、に開示されている、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0010】
主に図3を参照すると、ステープルカートリッジ16は、カートリッジ本体21を含む。カートリッジ本体21は、近位端22、遠位端23、及び近位端22と遠位端23との間に延在するデッキ24を含む。使用に際し、ステープルカートリッジ16はステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビル18は組織の第2の側に位置付けられる。アンビル18がステープルカートリッジ16に向かって移動されて、組織をデッキ24に対して圧縮してクランプする。その後、カートリッジ本体21に取り外し可能に格納されたステープルは、組織内に配置され得る。カートリッジ本体21は、その内部に画定されたステープルキャビティ26を含み、ステープルは、ステープルキャビティ26内に取り外し可能に格納される。ステープルキャビティ26は、一般に、6つの長手方向列に配置される。ステープルキャビティ26の3つの列は、長手方向スロット27の第1の側に位置付けられ、ステープルキャビティ26の3つの列は、長手方向スロット27の第2の側に位置付けられる。ステープルキャビティ26及びステープルの他の配列も可能であり得る。
【0011】
以下により詳細に記載されるように、外科用器具10は、組織切断よりも先に組織ステープル留めを行うために慎重に編成された発射機構を用いることによって組織をステープル留め及び切断する。組織切断が組織ステープル留めの前に、又は組織ステープル留めなしに行われる事例を確実に回避するために、外科用器具10は様々な安全機構を備えている。
【0012】
ステープルカートリッジ16のステープルは、一般に、カートリッジ本体21内のステープル駆動部によって支持される。駆動部は、第1の、すなわち未発射位置と、ステープルキャビティ26からステープルを排出する、第2の、すなわち発射位置との間で移動可能である。駆動部は、カートリッジ本体21の底部周辺に延在するパン又は保持具によってカートリッジ本体21内に保持され、また、カートリッジ本体21を把持し、保持具をカートリッジ本体21に対して保持するように構成された、弾性部材を含む。駆動部は、スレッドによってそれらの未発射位置とそれらの発射位置との間で移動可能である。スレッドは、近位端22に隣接した近位位置と、遠位端23に隣接した遠位位置との間で移動可能である。スレッドは、駆動部の下を摺動し、駆動部を持ち上げるように構成された複数の傾斜面を含み、ステープルがその上に支持され、アンビル18に向かう。
【0013】
上記に加えて、スレッドは発射部材によって遠位に移動される。発射部材は、スレッドに接触し、スレッドを近位端22に隣接する近位位置から遠位端23に隣接する遠位位置に向かって押すように構成されている。カートリッジ本体21内に画定された長手方向スロット27は、発射部材を受容するように構成されている。アンビル18は、発射部材を受容するように構成されたスロットも含む。発射部材は、第1の顎部14に係合する第1のカムと、第2の顎部15に係合する第2のカムとを更に含む。発射部材を遠位方向に前進させる際、第1のカム及び第2のカムは、ステープルカートリッジ16のデッキ24とアンビル18との間の距離、すなわち組織間隙を制御し得る。発射部材はまた、ステープルカートリッジ16とアンビル18との中間に捕捉された組織を切除するように構成されたナイフを含む。
【0014】
シャフト11は、発射部材から近位方向に延在する、長手方向に往復積層された発射バーを通るハウジング8からの発射運動を取り囲み、誘導する。具体的には、シャフト11は、発射バーを受容する長手方向発射バースロットを含む。
【0015】
図1図3に示されるハウジング8は、外科用ステープルカートリッジ16を中で動作可能に支持するように構成された、外科用切断及び締結デバイスを含むエンドエフェクタ12を含む、交換式シャフト組立体46と接続されて示されている。ハウジング8は、種々のサイズ及びタイプのステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、種々のシャフトの長さ、サイズ、及びタイプなどを有する交換式シャフト組立体と接続されて使用するように構成されてもよい。加えて、ハウジング8はまた、例えば、高周波(RF)エネルギー、超音波エネルギー及び/又は運動などの他の運動及びエネルギーの形態を、様々な外科用途及び処置に関連して使用するように適合されたエンドエフェクタ配置に適用するように構成された組立体を含む、様々な他の交換式シャフト組立体と共に効果的に用いられてもよい。更に、エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、任意の好適な締結具を利用して組織を締結することができる。一例として、内部に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。
【0016】
図3図5を参照すると、外科用器具10は、エンドエフェクタ12が、シャフト11に対して回転する、すなわち関節運動することができるように構成された関節継手20を更に備える。エンドエフェクタ12は、非関節運動構成、すなわちホーム構成(図4)とエンドエフェクタ12が長手方向軸19との角度αを画定する関節運動構成(図5)との間で、関節継手20を通って延在する長手方向関節軸19を中心に回転可能である。
【0017】
関節継手20に関して言えば、少なくとも1つの例において、シャフト11は、旋回ピン30を含み、旋回ピン30は、エンドエフェクタ12のフレーム32に画定された旋回開口31内に受容され得る。エンドエフェクタフレーム32は、それから延びる駆動ピン33を更に含み得、駆動ピン33は関節駆動部34と動作可能に係合され得る。駆動ピン33は、関節駆動部34の遠位端36内に画定されたピンスロット35内に受容され得、それにより、駆動ピン33は、非関節運動構成、すなわちホーム構成(図4)においてピンスロット35の第1の側壁37に当接し得、関節運動構成(図5)においてピンスロット35の第2の側壁38に当接し得る。
【0018】
駆動ピン33は、それに加えられた力を受容するように、また、その力が駆動ピン33に加えられる方向に応じて、第1の方向、又はその反対の第2の方向にエンドエフェクタ12を回転させるように構成され得る。より具体的には、例えば、力が関節駆動部34によって遠位方向へ駆動ピン33に加えられると、関節駆動部34は駆動ピン33を旋回ピン30の周りで押すことができ、同様に、力が関節駆動部34によって近位方向へ駆動ピン33に加えられると、関節駆動部34は、駆動ピン33を旋回ピン30の周りで反対方向に引くことができる。例えば、駆動ピン33が関節継手20の反対側に置かれる限りにおいて、関節駆動部34が遠位方向及び近位方向に移動することで、反対の効果がエンドエフェクタ12に生じる。
【0019】
様々な実施例において、外科用器具10は、例えば腹腔鏡外科手術などの低侵襲外科手術において利用され得る。そのような実施例では、トロカールなどのアクセスポートは、外科用器具10のエンドエフェクタ12を患者の体内の手術部位に挿入するために、体壁に開口部を形成し得る。外科用器具10の残部は、患者の体外に留まり、外科用器具10のユーザーが手術部位でエンドエフェクタ12を遠隔操作することを可能にする。
【0020】
非関節運動構成ではエンドエフェクタ12をアクセスポートから挿入して、開口部を小さいサイズに維持することが望ましい。駆動ピン33とピンスロット35との間の高いクリアランスは、エンドエフェクタ12とシャフト11との間の接続を軟化することによって、アクセスポートを通じたエンドエフェクタ12の挿入を容易にする。駆動ピン33とピンスロット35との間の高いクリアランスにより、非関節運動構成、すなわちホーム構成における制限された範囲でのシャフト11に対するエンドエフェクタ12の受動的又は意図しない動きが可能である。高いクリアランスにより、エンドエフェクタ12は、シャフト11に対してわずかに揺動することが可能である。可撓性を加えることで、トロカールを通じたエンドエフェクタ12の挿入が容易になる。
【0021】
患者の体内に入ると、エンドエフェクタ12は、所望の向きに関節運動し得る。駆動ピン33とピンスロット35との間の低いクリアランスは、エンドエフェクタ12とシャフト11との間の接続を強化及び/又は堅固化することによって、動作中のエンドエフェクタ12の堅牢な関節運動構成を確実にする。駆動ピン33とピンスロット35との間の低いクリアランスは、関節運動構成、すなわちホーム構成におけるシャフト11に対するエンドエフェクタ12の受動的又は意図しない運動を低減する。
【0022】
一実施例では、図6図8に示されるように、非関節運動構成、すなわちホーム構成における高いクリアランスと、関節運動構成における低いクリアランスとの組み合わせ効果は、幅(w)を有する第1の部分35aと、幅(w)より小さい幅(w)を有する第2の部分35bとを含むピンスロット35を利用することによって達成され得る。駆動ピン33は、図6及び図7に示されるように、非関節運動構成、すなわちホーム構成における第1の部分35a、及び図8に示されるように、関節運動構成における第2の部分35bに位置付けられ得る。
【0023】
第2の部分35bに対する第1の部分35aのより大きな幅は、駆動ピン33の直径を幅(w)から差し引くことによって計算される、第1の部分35aにおける更なるクリアランス(w)を提供する。図6及び図7に示されるように、クリアランス(w)は、駆動ピン33が第1の部分35aの遠位壁39に突き当たる第1の位置と、駆動ピン33が第1の部分35aの遠位壁39の反対側の近位壁40に突き当たる第2の位置との間の第1の部分35a内で、駆動ピン33が移動又は往復運動することを可能にする。図6及び図7は、更なるクリアランス(w)のために、非関節運動構成、すなわちホーム構成においてエンドエフェクタ12がシャフト11に対して移動する、又は受動的に関節運動することが可能である可動域又は往復距離(θ)を更に示す。
【0024】
図8を参照すると、駆動ピン33は、エンドエフェクタ12が関節駆動部34によって非関節運動構成、すなわちホーム構成(図7)から関節運動構成(図8)へと移行するときに、距離(d)だけ横方向に移動される。別の言い方をすれば、駆動ピン33は、エンドエフェクタ12が関節運動される際に、ピンスロット35の第1の部分35aから第2の部分35bに移動される。関節運動構成では、駆動ピン33は、第2の部分35bの幅(w)がより小さいために、第2の部分35bにぴったり又はしっかり嵌合し、第2の部分35bのクリアランス(w)を小さくする。このクリアランス(w)は、駆動ピン33の直径を幅(w)から差し引くことによって計算される。
【0025】
第2の部分35bにぴったり嵌合されると、エンドエフェクタ12が関節運動構成に留まっている間、第2の部分35b内の駆動ピン33の移動が制限される。エンドエフェクタ12が非関節運動構成に戻される際、関節駆動部34によって駆動ピン33は横方向に移動して第1の部分35aに戻り、追加のクリアランス(w3)が、駆動ピン33が遠位壁39と近位壁40との間を移動するためのより多くの空間を提供する。
【0026】
様々な実施例では、幅(w)は、約1%~約200%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約1%~約100%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約5%~約50%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約5%~約10%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。様々な実施例では、クリアランス(w)は、例えば、約10%~約100%の範囲から選択される値だけクリアランス(w4)よりも大きい。特定の実施例では、クリアランス(w)は、例えば、約5%~約50%の範囲から選択される値だけクリアランス(w)よりも大きい。
【0027】
ここで図9図11を参照すると、外科用器具50は、多くの点で外科用器具10に類似している。例えば、外科用器具50は、シャフト11及びエンドエフェクタ12を含む。外科用器具50は、ピンスロット35の代わりにピンスロット55を利用し、駆動ピン33の代わりに駆動ピン53を利用する。駆動ピン53は、関節駆動部34の遠位端36内に画定されたピンスロット55内に受容され得、それにより、駆動ピン53は、非関節運動構成、すなわちホーム構成(図9)においてピンスロット55の第1の側壁57に当接し得、関節運動構成(図11)においてピンスロット55の第2の側壁58に当接し得る。
【0028】
エンドエフェクタ12が関節駆動部34によって関節運動されると、駆動ピン53は、ピンスロット55内で第2の側壁58に向かって並進する。駆動ピン53はまた、並進しながら回転して、非関節運動構成、すなわちホーム構成で画定された第1の向き(図9)から、関節運動構成で画定された第2の向き(図11)へと、その向きを変化させる。第1の向きでは、駆動ピン53は幅(w)を含み、第2の向きでは、駆動ピン53は幅(w)よりも大きい幅(w)を含む。外科用器具50は、異なる向きで異なる幅を含む駆動ピン53を利用することによって、非関節運動構成、すなわちホーム構成における高いクリアランスと、関節運動構成における低いクリアランスとの組み合わせ効果を達成する。
【0029】
ピンスロット55は、互いに離間して幅(w10)を画定する遠位壁59及び近位壁60を更に含む。幅(w10)は、第1の向きにおけるピンスロット55の幅(w)よりも大きい。図9及び図10に示されるように、ピンスロット55の幅(w10)から第1の向きにある駆動ピン53の幅(w)を差し引くことによって計算されるクリアランス(w)は、駆動ピン53が第1の位置と第2の位置との間で移動又は往復運動することを可能にする。第1の位置では、図9に示されるように、駆動ピン53は遠位壁59に突き当たる。第2の位置では、図10に示されるように、駆動ピン53は近位壁60に突き当たる。図9及び図10は、更なるクリアランス(w)のために、エンドエフェクタ12がシャフト11に対して移動する、又は受動的に関節運動することが可能である可動域又は往復距離(β)を更に示す。
【0030】
図11を参照すると、駆動ピン53は、エンドエフェクタ12が関節駆動部34によって非関節運動構成、すなわちホーム構成(図9)から関節運動構成(図11)へと移行するときに、距離(d)だけ横方向に移動される。別の言い方をすれば、駆動ピン53は、エンドエフェクタ12が関節運動するときに、ピンスロット55の第1の部分55a内の第1の位置及び第1の向きから、ピンスロット55の第2の部分55b内の第2の位置及び第2の向きへ横方向かつ半径方向に移動される。関節運動構成では、駆動ピン53は、第2の向きにおける駆動ピン53の幅(w)がより大きいために、第2の部分55bにぴったり又はしっかり嵌合する。図11に示されるように、クリアランス(w)は、ピンスロット55の幅(w10)から第2の向きにある駆動ピン53の幅(w)を差し引くことによって計算される。
【0031】
第2の部分55bにぴったり又はしっかり嵌合されると、エンドエフェクタ12が関節運動構成に留まっている間、第2の部分55b内の駆動ピン53の移動が制限される。エンドエフェクタ12が非関節運動構成に戻されると、関節駆動部34によって駆動ピン53は横方向かつ半径方向に移動して、第1の部分55a内の第1の位置及び第1の向きに戻り、追加のクリアランス(w7)が、駆動ピン53が近位壁60と遠位壁59との間を移動するためのより多くの空間を提供する。
【0032】
様々な実施例では、図9図11に示されるように、駆動ピン53は、異なる向きで異なる幅をもたらす楕円形状を有する。異なる向きで異なる幅を達成することが可能な他の不規則な形状が、本開示では企図される。特定の実施例では、駆動ピン53は、突出部、すなわち外向きに延在する部分を含んでもよく、突出部は、第2の部分55bにおける第2の向きでの駆動ピン53の幅に寄与するが、第1の部分55aにおける第1の向きでの駆動ピン53の幅には寄与しない。
【0033】
様々な実施例では、幅(w)は、約1%~約200%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約1%~約100%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約5%~約50%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。特定の実施例では、幅(w)は、約5%~約10%の範囲から選択される値だけ幅(w)よりも大きい。様々な実施例では、クリアランス(w)は、例えば、約10%~約100%の範囲から選択される値だけクリアランス(w)よりも大きい。特定の実施例では、クリアランス(w)は、例えば、約5%~約50%の範囲から選択される値だけクリアランス(w)よりも大きい。
【0034】
様々な実施例では、外科用器具10及び/又は外科用器具50は、近位関節駆動部及び遠位関節駆動部を含む関節駆動システムを備え得る。駆動力が近位関節駆動部に伝達されると、その駆動力は、近位方向か遠位方向かに関わらず、関節ロックを通じて遠位関節駆動部に伝達され得る。更に、このような駆動力を近位関節駆動部に付与するために、発射部材が利用され得る。好適な関節駆動システムの実施例が、2014年3月14日付けで出願された米国特許出願第13/803,210号、発明の名称「SENSOR ARRANGEMENTS FOR ABSOLUTE POSITIONING SYSTEM FOR SURGICAL INSTRUMENTS」(現在は、米国特許出願公開第2014/0263538号)に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
ここで図12図16を参照すると、外科用器具100は、多くの点で外科用器具10に類似している。外科用器具10と同様に、外科用器具100は、エンドエフェクタ12をシャフト11に対して関節運動させるように移動可能な関節駆動部34を含む関節駆動システムを含む。加えて、外科用器具100は、関節継手101と、シャフト11に対するエンドエフェクタ12の関節運動中に第1の顎部14と第2の顎部15との間の顎部開口9を維持するか、又はその変化に抵抗するように構成された適応型閉鎖駆動システム102と、を含む。
【0036】
上により詳細に記載されているように、典型的な閉鎖駆動システムは、第1の顎部14及び第2の顎部15のうちの少なくとも1つを、顎部開口9を画定する開放構成と、閉鎖又は近接構成との間で移動させる。しかしながら、関節駆動部34の長手方向軸19に対するオフセット性は、非関節運動構成と関節運動構成との間の閉鎖長の変化のために、典型的な閉鎖駆動システムをエンドエフェクタ12の関節運動中にわずかに移動させる。
【0037】
閉鎖長は、閉鎖駆動システムによって占有される距離である。非関節運動構成では、閉鎖駆動システムは、直線、又は少なくとも実質的に直線の経路をたどる。しかしながら、関節運動構成では、閉鎖駆動システムは、弓状経路をたどる。閉鎖駆動システムの直線経路から弓状経路への移行によって生じる閉鎖長の変化に適応することができず、典型的な閉鎖駆動システムは、エンドエフェクタ12上に望ましくない閉鎖力を加え、開放構成における顎部開口9を縮小する。エンドエフェクタ12の関節運動によって生じる顎部開口9の結果的な縮小は、第1の顎部14と第2の顎部15との間に組織を収容する際のエンドエフェクタ12の有効性を低減させる。
【0038】
適応型閉鎖駆動システム102は、エンドエフェクタ12の関節運動中の屈曲による閉鎖長のより小さい変化を可能にする1つ以上の可撓性構成要素を含む。図12図16に示されるように、適応型閉鎖駆動システム102は、上部及び下部遠位突出タング104、104’を有するシャフト閉鎖管セクション103を含む。エンドエフェクタ閉鎖管セクション105は、アンビル18上の開放タブと係合するための馬蹄形開口106及びタブ107を含む。馬蹄形開口106及びタブ107は、アンビル18が開放されると、アンビル18の開放タブと係合する。上部及び下部近位突出タング110、110’を有する閉鎖管セクション105が示されている。
【0039】
上記に加えて、閉鎖管セクション103は、可撓性バンド111、111’によって閉鎖管セクション105に連結され、エンドエフェクタ12の関節運動中の屈曲による閉鎖長のより小さい変化を可能にする。可撓性バンド111は、タング104とタング110との間に延在する。同様に、可撓性バンド111’は、タング104’とタング110’との間に延在する。
【0040】
使用の際に、適応型閉鎖駆動システム102は、例えばハンドル組立体29(図1)の作動に反応して、アンビル18を閉鎖するために遠位方向に並進させられる。アンビル18は、閉鎖管セクション103を遠位方向に並進させることによって閉鎖される。可撓性バンド111、111’は、閉鎖管セクション103の遠位閉鎖力を閉鎖管セクション105に伝達する。次に、閉鎖管セクション105が遠位方向に並進させられ、アンビル18を閉鎖する。アンビル18は、閉鎖管セクション103及び閉鎖管セクション105を近位方向に並進させることによって開放され、タブ107及び馬蹄形開口106をアンビル18の開放タブに接触させ、これに押し当てて、アンビル18を持ち上げる。
【0041】
可撓性であるが、バンド111、111’は、閉鎖管セクション103と閉鎖管セクション105との間で閉鎖力及び/又は開放力を伝達することができる。一実施例では、図13及び図14に示されるように、可撓性バンド111、111’は、一緒に取り付けられてバンド111、111’を形成する複数の可撓性部材112で構成される。可撓性部材112の遠位端は、一緒に屈曲され、かつ/又は溶接されて、バンド111、111’を形成し得る。可撓性バンド111、111’の遠位部分113、113’は、閉鎖管セクション105のタング110、110’に固定され得る。可撓性バンド111、111’の近位部分114、114’は、閉鎖管セクション103のタング104、104’に固定され得る。
【0042】
可撓性部材112の互いへの取り付け及び/又はバンド111、111’の閉鎖管セクション103、105への固定は、限定するものではないが、ボルト止め、ねじ込み、圧着、接着、又は任意の他の好適な技術を含む、任意の好適な技術によって達成され得る。少なくとも1つの例では、可撓性部材112の互いへの取り付け及び/又はバンド111、111’の閉鎖管セクション103、105への固定は、限定するものではないが、ガスタングステンアーク溶接、シールド金属アーク溶接、プラズマアーク溶接、レーザービーム溶接、電子ビーム溶接、又はこれらの組み合わせを含む、溶接封止を達成するための任意の好適な溶接技術又は適切な装置によって達成され得る。
【0043】
図13を参照すると、可撓性部材112は、互いに並べて取り付けられ、ある方向において別の方向より大きい可撓度を可能にし得る。可撓性部材112の数は、可撓性バンドの可撓度を決定し得る。少なくとも1つの実施例では、4つの可撓性部材112が可撓性バンド111、111’を形成するために使用される。少なくとも1つの実施例では、可撓性バンドを作製するために使用される可撓性部材の数は、2~20個の範囲である。可撓性部材112の厚さはまた、可撓性バンド111、111’の可撓性に影響を及ぼし得る。少なくとも1つの実施例では、可撓性部材112の厚さ(T1)は、可撓性バンド111、111’の厚さ(T2)の約25%であり得る。
【0044】
特定の実施例では、可撓性バンド111、111’の近位部分114、114’は、閉鎖管セクション103のタング104、104’に固定されない。代わりに、図15及び図16に示されるように、外科用器具100と多くの点で類似する外科用器具100’は、タング104、104’にそれぞれ移動可能に連結された近位部分114、114’を有する可撓性バンド111、111’を含む。
【0045】
図15及び図16に示される実施例では、タング104は、可撓性バンド111の近位部分114を移動可能に収容するように構成されたエンクロージャ115を備える。近位部分114は、エンドエフェクタ12の関節運動中に生じる閉鎖長の変化を補償するために、エンクロージャ115内で移動することが可能である。しかしながら、近位部分114は、エンクロージャ115の遠位壁116に突き当たることによって近位部分がエンクロージャ115から出ることを防止する、横方向に延在する機構を含む。遠位壁116は、そこを通る可撓性バンドの運動を可能にするが近位部分114は通さないようにサイズ決めされた開口部117を含む。エンドエフェクタ12の閉鎖中、近位部分114は、エンクロージャ115の近位壁118に突き当たる。同様に、可撓性バンド111’の近位部分114’は、タング104’のエンクロージャ内に移動可能に収容され得る。
【0046】
図17図21を参照すると、外科用器具200は、多くの点で外科用器具10に類似している。例えば、外科用器具200は、エンドエフェクタ212及びシャフト211を含む。加えて、外科用器具200は、関節継手220及び適応型閉鎖駆動システム202を含む。適応型閉鎖駆動システム102と同様に、適応型閉鎖駆動システム202は、エンドエフェクタ12の関節運動中の閉鎖長の変化に適応するように構成されている。適応型閉鎖駆動システム202は、シャフト211に対するエンドエフェクタ212の関節運動中に、第1の顎部14と第2の顎部15との間の顎部開口9を維持するか、又はその変化に抵抗するように構成されている。
【0047】
上記に加えて、適応型閉鎖駆動システム202は、上部及び下部遠位突出タング204、204’を有するシャフト閉鎖管セクション203を含む。エンドエフェクタ閉鎖管セクション205は、アンビル18上の開放タブと係合するための馬蹄形開口及びタブを含む。馬蹄形開口及びタブは、アンビル18が開放されると、アンビル18の開放タブと係合する。閉鎖管セクション205は、上部及び下部近位突出タング210、210’を有する。
【0048】
上記に加えて、閉鎖管セクション203は、二重旋回リンク230、230’によって閉鎖管セクション105に連結される。上部二重旋回リンク230は、上部近位突出タング210内の上部遠位ピンホール238、及び上部遠位突出タング204の上部近位ピンホール240とそれぞれ係合する、上向きに突出する遠位及び近位旋回ピン234、236を含む。下部二重旋回リンク230’は、下部近位突出タング210’の下部遠位ピンホール238’、及び下部遠位突出タング204’の下部近位ピンホール240’とそれぞれ係合する、下向きに突出する遠位及び近位旋回ピン234’、236’を含む。
【0049】
使用の際に、適応型閉鎖駆動システム202は、例えばハンドル組立体29(図17)の作動に反応して、アンビル18を閉鎖するために遠位方向に並進させられる。アンビル18は、閉鎖管セクション203を近位方向に並進させることによって閉鎖される。リンク230、230’は、閉鎖管セクション203の遠位閉鎖力を閉鎖管セクション205に伝達する。次に、閉鎖管セクション205が遠位方向に並進させられ、アンビル18を閉鎖する。アンビル18は、閉鎖管セクション203及び閉鎖管セクション205を近位方向に並進させることによって開放され、タブ及び馬蹄形開口をアンビル18の開放タブに接触させ、これに押し当てて、アンビル18を持ち上げる。
【0050】
図18に示されるように、ピンホール238、238’は、ピンホール240、240’よりもサイズが大きく、エンドエフェクタ12の関節運動によって生じる閉鎖長の変化に適応するために、閉鎖管セクション205がピンホール238、238’に対して移動することを可能にする。図18及び図19に示される実施例では、ピンホール238、238’が長手方向に、楕円形に伸張される。非関節運動位置では、図18に示されるように、旋回ピン234、234’は、ピンホール238、238’の近位端241に突き当たる。関節運動位置では、図19に示されるように、旋回ピン234、234’は、ピンホール238、238’の遠位端243に突き当たる。
【0051】
ここで図22図25を参照すると、外科用器具300は、多くの点で外科用器具10、100、200に類似している。例えば、外科用器具300は、シャフト311と、ホーム位置、すなわち非関節運動位置と関節運動位置との間でシャフト311に対して関節運動可能なエンドエフェクタ312とを含む。外科用器具300は、関節駆動部34を含む関節制御システム302を含む。好適な関節制御システムの例は、2014年3月14日付けで出願された米国特許出願第13/803,053号、発明の名称「INTERCHANGEABLE SHAFT ASSEMBLIES FOR USE WITH A SURGICAL INSTRUMENT」(現在は、米国特許出願公開第2014/0263564号)に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
術者は、関節制御システム302を利用して、関節運動ホーム状態位置と関節運動位置との間でエンドエフェクタ312をシャフト311に対して関節運動させることができる。加えて、術者は関節制御システム302を利用して、関節運動したエンドエフェクタ312を関節運動ホーム状態位置にリセットする又は戻すことができる。
【0053】
加えて、図23の例示的な概略ブロック図に示されるように、関節制御システム302は、制御回路301を含んでもよい。制御回路301は、コントローラ306を含み、コントローラ306は、入力信号を受信し、それに応答して電動モーター303を起動して、そのような入力信号に従ってエンドエフェクタ312を関節運動させるように構成され得る。制御回路301はまた、エンドエフェクタ312の関節運動位置を検出するように構成された1つ以上のセンサ305を含む。
【0054】
コントローラ306は、プロセッサ307及び/又は1つ以上のメモリユニット308を含んでもよい。メモリ308に記憶された命令コードを実行することにより、プロセッサ307は、モーター303など、外科用器具300の様々な構成要素を制御し得る。コントローラ306は、集積型及び/若しくは個々のハードウェア要素、ソフトウェア要素、並びに/又はそれら両者の組み合わせを用いて実装されてもよい。センサ305は、プロセッサ307と通信している。
【0055】
外科用器具300は、コントローラ306と動作可能に通信するモーターコントローラ309を含んでもよい。モーターコントローラ309は、モーター303の回転方向を制御するように構成され得る。例えば、モーター303は、例えば電池304などの電池から給電され得、モーターコントローラ309は、コントローラ306からの入力に基づいて、電池304からモーター303に加えられる電圧極性を決定し、次いでモーター303の回転方向を決定するように構成されてもよい。例えば、電池304によってモーター303に加えられる電圧極性が、コントローラ306からの入力に基づいてモーターコントローラ309によって逆転されるとき、モーター303は、その回転方向を時計回りの方向から反時計回りの方向へと逆転させることができる。
【0056】
エンドエフェクタ312を関節運動位置から関節運動ホーム状態位置へリセットするため、エンドエフェクタ312は、本明細書において非関節運動位置とも呼ばれる関節運動ホーム状態位置で、シャフト311と十分に整列して位置付けられる必要があり、それにより、エンドエフェクタ312及びシャフト311の少なくとも一部分は、軸方向の孔に損傷を与えることなく、例えば内腔の壁に位置付けられたトロカールなどのアクセスポートを通じて、患者の内腔に挿入され、又はその内腔から後退させられ得る。
【0057】
エンドエフェクタ312を関節運動ホーム状態位置に正確に戻すために、外科用器具300は、エンドエフェクタ312の運動を関節運動ホーム状態位置に向かってモーター駆動段階と非モーター駆動段階との2つの別個の段階に分割するように構成されている。モーター駆動段階は、エンドエフェクタ312を所定の位置範囲内に運ぶことを意図した高許容度段階である。一方、非モーター駆動段階は、関節運動ホーム状態位置に正確に到達するように、所定の範囲内のエンドエフェクタ312の位置を正確に調整又は微調整することを意図した低許容度段階である。
【0058】
モーター駆動段階では、コントローラ306は、エンドエフェクタ312のモーター駆動運動を所定の範囲に向けて方向付けるために依拠される。しかしながら、コントローラ306は、関節運動ホーム状態位置の正確な位置を決定することを必要としない。代わりに、コントローラ306は、エンドエフェクタ312を所定の範囲内の任意の位置に運ぶだけでよい。
【0059】
少なくとも1つの実施形態では、所定の範囲は、長手方向軸のいずれかの側で長手方向軸に対して、例えば30°以下の任意の角度を含む。少なくとも1つの実施形態では、所定の範囲は、長手方向軸のいずれかの側で長手方向軸に対して、例えば20°以下の任意の角度を含む。少なくとも1つの実施形態では、所定の範囲は、長手方向軸のいずれかの側で長手方向軸に対して、例えば10°以下の任意の角度を含む。少なくとも1つの実施形態では、所定の範囲は、長手方向軸のいずれかの側で長手方向軸に対して、例えば5°以下の任意の角度を含む。所定の範囲の他の値も本開示では企図される。
【0060】
非モーター駆動段階では、機械的センタリングシステム313は、コントローラ306よりも低い許容度で、エンドエフェクタ312を所定の範囲内で関節運動ホーム状態位置に受動的に誘導するように構成されている。いくつかの実施例では、図24及び図25に示されるように、機械的センタリングシステム313は、エンドエフェクタ312の近位部分314に画定されるノッチ315を含む。機械的位置合わせ機構316は、所定の範囲内の任意の位置でノッチ315を捕捉するように構成されている。所定の範囲は、ノッチ315の幅及び/又は深さによって画定され得る。機械的位置合わせ機構316は、エンドエフェクタ312を関節運動ホーム状態位置に正確に駆動するために、エンドエフェクタ312の近位部分314に力を加えるように構成されている。
【0061】
いくつかの実施例では、図24図25に示されるように、機械的位置合わせ機構316は、バネ式ピンである。バネ317は、機械的位置合わせ機構316をエンドエフェクタ312の近位部分314の外側表面318に対して付勢するように構成されている。機械的位置合わせ機構316がノッチ315の縁部と係合すると、機械的位置合わせ機構316の付勢力は、エンドエフェクタ312を関節運動ホーム状態位置に誘導する。バネ317は、シャフト311内のハウジング319内で支持される。機械的位置合わせ機構316の遠位部分316aは、ハウジング319の遠位壁320の開口部を通って移動可能に延在する。停止部321は、機械的位置合わせ機構316の近位部分316bが、遠位壁320の開口部を通ってハウジングから出ることを防止する。
【0062】
様々な実施例では、図24及び図25に示されるように、機械的センタリングシステム313は、初期のモーター駆動段階に続く非モーター駆動段階において、エンドエフェクタ312を所定の関節運動位置に正確に駆動するように構成され得、コントローラ306は、エンドエフェクタ312の関節を、所定の関節運動位置を包含する所定の範囲に向けて方向付ける。エンドエフェクタ312を所定の関節運動位置まで正確に運ぶために、外科用器具300は、所定の関節運動位置に向かうエンドエフェクタ312の運動を、コントローラ306によって制御されるモーター駆動段階と、機械的センタリングシステム313によって制御される非モーター駆動段階との2つの別個の段階へと分割するように構成されている。
【0063】
上記に加えて、機械的センタリングシステム313は、1つ以上の所定の関節運動位置において、近位部分314内に1つ以上のノッチ323、324を含んでもよい。例えば、図24及び図25に示されるように、近位部分314は、関節角度(α)でノッチ323を含む。
【0064】
エンドエフェクタ312を関節角度(α)の関節運動位置まで関節運動させるために、例えば、コントローラ306は、関節駆動部34を誘発して、エンドエフェクタ312を関節角度(α)の関節運動位置に向かって回転させるよう、モーター303に命令する。コントローラ306は、関節角度(α)の関節運動位置を包含する所定の範囲内の任意の位置にエンドエフェクタ312を運ぶだけでよい。所定の範囲は、ノッチ323の幅及び/又は深さによって画定され得る。
【0065】
エンドエフェクタ312が所定の範囲にあると、機械的センタリングシステム313は、図25に示されるように、エンドエフェクタ312を関節角度(α)の関節運動位置に誘導する。機械的位置合わせ機構316は、ノッチ315を所定の範囲内の任意の位置に捕捉し、エンドエフェクタ312を関節角度(α)の関節運動位置まで正確に駆動するため、エンドエフェクタ312の近位部分314に力を加えるように構成されている。
【0066】
ここで図26図29を参照すると、外科用器具400は、多くの点で外科用器具10、100、200、300に類似している。例えば、外科用器具400は、シャフト411と、ホーム位置、すなわち非関節運動位置と関節運動位置との間でシャフト411に対して関節運動可能なエンドエフェクタ412とを含む。外科用器具400は、関節駆動部34を含む関節制御システム402を含む。
【0067】
外科用器具400は、多くの点で機械的センタリングシステム313と類似している機械的センタリングシステム413を更に含む。例えば、エンドエフェクタ412の近位部分414は、エンドエフェクタ312の近位部分314のノッチ315、323、324に類似しているノッチ415、423、424を含む。機械的センタリングシステム413は、機械的位置合わせ機構316と機能が類似しているが、構造が異なる機械的位置合わせ機構416を含む。機械的位置合わせ機構316と同様に、機械的位置合わせ機構416は、ノッチ315、323、324を捕捉し、エンドエフェクタ412を、例えば、関節運動ホーム状態位置又は所定の関節運動位置などの目標位置に誘導するように構成されている。
【0068】
エンドエフェクタ312と同様に、エンドエフェクタ412は、高許容度のモーター駆動段階において、コントローラ306によって関節運動ホーム状態位置に向かって誘導され得る。コントローラ306は、ノッチ415の深さ及び/又は幅によって画定され得る所定の位置範囲内にエンドエフェクタ412を運ぶために依拠される。外科用器具300に関連して上述したように、モーター駆動段階の後は、機械的センタリングシステム413によって制御される低許容度の非モーター駆動段階が続く。エンドエフェクタ412が所定の範囲内にあると、機械的位置合わせ機構416は、エンドエフェクタ412の近位部分414に力を加えて、エンドエフェクタ412を所定の範囲内の任意の位置から関節運動ホーム状態位置へと正確に駆動する。
【0069】
図28及び図29に示されるように、エンドエフェクタ412はまた、エンドエフェクタ312と同様に、高許容度のモーター駆動段階で所定の関節運動位置へと関節運動され、その後に低許容度の非モーター駆動段階が続き得る。機械的センタリングシステム413は、機械的センタリングシステム313と同様に、所定の範囲内のエンドエフェクタ412の位置を調整又は微調整して、所定の関節運動位置に正確に到達するように構成される。
【0070】
上記に加えて、機械的位置合わせ機構416は、シャフトフレーム部分428に対して移動可能な位置である2つの端部429、430を含む、概ね弓状のフレームを含む板バネの形態である。弓状部分431は、端部429、430の間に延在する。弓状部分431は、図27に示されるように、弓状部分431の中心から遠位方向に延在する遠位尖部432を含む。
【0071】
機械的位置合わせ機構416は、非付勢構成、又は第1の付勢構成に維持される一方、尖部432はノッチ415、423、424のうちの1つに受容される。図28に示されるようにエンドエフェクタ312の近位部分414の外面418に押し付けられている間、機械的位置合わせ機構416は、第1の付勢構成よりも大きい第2の付勢構成に屈曲する。
【0072】
機械的位置合わせ機構416がノッチ415の縁部と係合すると、機械的位置合わせ機構416の付勢力は、エンドエフェクタ412を関節運動ホーム状態位置に誘導する。同様に、機械的位置合わせ機構416がノッチ415の縁部と係合すると、機械的位置合わせ機構416の付勢力は、エンドエフェクタ412をノッチ424に対応する所定の関節運動位置に誘導する。
【0073】
様々な実施例では、閉鎖管セクション105は、エンドエフェクタを関節運動ホーム状態位置でセンタリングするように構成されたプラスチック又はバネ式インサートの形態の機械的位置合わせ機構を含んでもよい。対応するノッチは、エンドエフェクタの閉鎖中に閉鎖管セクション105のインサートを受容するように構成され得る。閉鎖管セクション105の遠位閉鎖運動は、閉鎖管セクション105のインサートをノッチに押し込んで、エンドエフェクタを関節運動ホーム状態位置に誘導する。
【0074】
特定の実施形態と共に本明細書で様々なデバイスについて説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造又は特性を、1つ以上の実施形態で、任意の適切な様式で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に、1つ以上のその他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わされてよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能(複数可)を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0075】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、デバイスの分解工程、それに続くデバイスの特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後のデバイスの再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、デバイスを分解することができ、デバイスの特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、デバイスをその後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0076】
本明細書に開示のデバイスは、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、β線、γ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0077】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、又は適合を包含するものとする。
【0078】
その全体又は部分において本明細書に参照によって組み込まれるものとする全ての特許、刊行物、又はその他の開示文献は、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、記述、又はその他の開示内容と矛盾しない範囲においてのみ本明細書に組み込まれるものとする。そのようなものであるから、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【実施例
【0079】
実施例1-関節継手と、関節継手から遠位方向に延在するエンドエフェクタと、関節継手から近位方向に延在するシャフトと、関節駆動部と、を備える、外科用器具。エンドエフェクタは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な駆動ピンを含む。関節駆動部は、駆動ピンを第1の位置から第2の位置に移動させて、エンドエフェクタを非関節運動構成から関節運動構成に移行させるように構成されている。外科用器具は、関節駆動部から延在するピンスロットを更に備える。ピンスロットは、駆動ピンを非関節運動構成に移動可能に収容するように構成されている。ピンスロットは、駆動ピンを関節運動構成にしっかりと収容するように構成されている。
【0080】
実施例2-ピンスロットが、駆動ピンを第1の位置に収容するように構成された第1の部分と、駆動ピンを第2の位置に収容するように構成された第2の部分と、を含む、実施例1に記載の外科用器具。
【0081】
実施例3-第1の部分の幅が第2の部分の幅よりも大きい、実施例2に記載の外科用器具。
【0082】
実施例4-駆動ピンが、関節駆動部から独立して第1の部分内で移動可能である、実施例2又は3に記載の外科用器具。
【0083】
実施例5-駆動ピンが、第1の位置において第1の幅を画定する第1の向きを含み、駆動ピンが、第2の位置において第2の幅を画定する第2の向きを含み、第2の幅は第1の幅よりも大きい、実施例1、2、3、又は4に記載の外科用器具。
【0084】
実施例6-ピンスロットが近位壁及び遠位壁を含む、実施例1、2、3、4、又は5に記載の外科用器具。駆動ピンは、関節駆動部から独立して、近位壁と遠位壁との間で移動可能である。
【0085】
実施例7-ピンスロットが第1の横壁及び第2の横壁を含む、実施例1、2、3、4、5、又は6に記載の外科用器具。駆動ピンは、非関節運動構成において第1の横壁に当接する。駆動ピンは、関節運動構成において第2の横壁に当接する。
【0086】
実施例8-エンドエフェクタと、シャフトと、適応型閉鎖駆動システムと、を備える外科用器具。エンドエフェクタは、シャフトから遠位方向に延在している。エンドエフェクタは、非関節運動構成と関節運動構成との間でシャフトに対して移動可能である。適応型閉鎖駆動システムは、開放構成と閉鎖構成との間でエンドエフェクタを移行させるように構成されている。適応型閉鎖駆動システムは、非関節運動構成における第1の閉鎖長と、関節運動構成における第2の閉鎖長と、を含む。第1の閉鎖長は、第2の閉鎖長と異なる。
【0087】
実施例9-適応型閉鎖駆動システムが、遠位閉鎖管セクションと、近位閉鎖管セクションと、遠位閉鎖管セクションを近位閉鎖管セクションに連結するように構成された可撓性バンドと、を含む、実施例8に記載の外科用器具。
【0088】
実施例10-可撓性バンドが、遠位閉鎖管セクションに固定された遠位部分と、近位閉鎖管セクションに移動可能に連結された近位部分と、を含む、実施例9に記載の外科用器具。
【0089】
実施例11-近位閉鎖管セクションが、可撓性バンドの近位部分を移動可能に収容するように構成されたエンクロージャを含む、実施例10に記載の外科用器具。
【0090】
実施例12-適応型閉鎖駆動システムが、遠位閉鎖管セクションと、近位閉鎖管セクションと、遠位閉鎖管セクションと近位閉鎖管セクションとの間に延在するリンクと、を含む、実施例8に記載の外科用器具。
【0091】
実施例13-リンクが、第1の旋回ピン及び第2の旋回ピンを含む、実施例12に記載の外科用器具。
【0092】
実施例14-遠位閉鎖管セクションが、第1の旋回ピンを受容するように構成された第1の孔を含み、近位閉鎖管セクションが、第2の旋回ピンを受容するように構成された第2の孔を含み、第1の孔は第2の孔よりも大きい、実施例13に記載の外科用器具。
【0093】
実施例15-シャフトと、シャフトから遠位方向に延在するエンドエフェクタと、少なくとも1つの回転運動を生成するように構成されたモーターと、モーターに動作可能に連結された関節駆動部と、を備える、外科用器具。エンドエフェクタは、ホーム位置と所定の関節運動位置との間でシャフトに対して関節運動可能である。関節駆動部は、モーターの少なくとも1つの回転運動に応答して、エンドエフェクタをホーム位置から関節運動させるように構成されている。ホーム位置と所定の関節運動位置との間のエンドエフェクタの関節運動は、所定のモーター駆動関節運動及び所定の非モーター駆動関節運動を含む。
【0094】
実施例16-付勢部材が、モーターから独立して、所定の非モーター駆動関節運動を駆動するように構成されている、実施例15に記載の外科用器具。
【0095】
実施例17-位置合わせ機構が、モーターから独立して、所定の非モーター駆動関節運動を駆動するように構成されている、実施例15に記載の外科用器具。
【0096】
実施例18-所定のモーター駆動関節運動が、エンドエフェクタを第1の関節運動位置に送達するように構成されている、実施例15、16、又は17に記載の外科用器具。
【0097】
実施例19-所定の非モーター駆動関節運動が、エンドエフェクタを第2の関節運動位置に送達するように構成されている、実施例15、16、17、又は18に記載の外科用器具。
【0098】
実施例20-第2の関節運動位置が、第1の関節運動位置よりも所定の関節運動位置に近い、実施例15、16、17、18、又は19に記載の外科用器具。
【0099】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
関節継手と、
前記関節継手から遠位方向に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な駆動ピンを含む、エンドエフェクタと、
前記関節継手から近位方向に延在するシャフトと、
前記駆動ピンを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させて、前記エンドエフェクタを非関節運動構成から関節運動構成に移行させるように構成されている関節駆動部と、
前記関節駆動部から延在するピンスロットであって、前記ピンスロットは、前記非関節運動構成において前記駆動ピンを移動可能に収容するように構成され、前記ピンスロットは、前記関節運動構成において前記駆動ピンをしっかりと収容するように構成されている、ピンスロットと、を備える、外科用器具。
(2) 前記ピンスロットが、
前記駆動ピンを前記第1の位置に収容するように構成された第1の部分と、
前記駆動ピンを前記第2の位置に収容するように構成された第2の部分と、を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記第1の部分の幅が前記第2の部分の幅よりも大きい、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記駆動ピンが、前記関節駆動部から独立して前記第1の部分内で移動可能である、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記駆動ピンが、前記第1の位置において第1の幅を画定する第1の向きを含み、前記駆動ピンが、前記第2の位置において第2の幅を画定する第2の向きを含み、前記第2の幅は前記第1の幅よりも大きい、実施態様1に記載の外科用器具。
【0100】
(6) 前記ピンスロットが、
近位壁と、
遠位壁と、を含み、前記駆動ピンは、前記関節駆動部から独立して、前記近位壁と前記遠位壁との間で移動可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記ピンスロットが、
第1の横壁であって、前記駆動ピンは、前記非関節運動構成において前記第1の横壁に当接する、第1の横壁と、
第2の横壁であって、前記駆動ピンは、前記関節運動構成において前記第2の横壁に当接する、第2の横壁と、を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 外科用器具であって、
エンドエフェクタと、
シャフトであって、前記エンドエフェクタは、前記シャフトから遠位方向に延在し、前記エンドエフェクタは、非関節運動構成と関節運動構成との間で前記シャフトに対して移動可能である、シャフトと、
前記エンドエフェクタを開放構成と閉鎖構成との間で移行させるように構成された適応型閉鎖駆動システムであって、前記適応型閉鎖駆動システムは、前記非関節運動構成で第1の閉鎖長を含み、前記適応型閉鎖駆動システムは、前記関節運動構成で第2の閉鎖長を含み、前記第1の閉鎖長は前記第2の閉鎖長と異なる、適応型閉鎖駆動システムと、を備える、外科用器具。
(9) 前記適応型閉鎖駆動システムが、
遠位閉鎖管セクションと、
近位閉鎖管セクションと、
前記遠位閉鎖管セクションを前記近位閉鎖管セクションに連結するように構成された可撓性バンドと、を含む、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記可撓性バンドが、
前記遠位閉鎖管セクションに固定された遠位部分と、
前記近位閉鎖管セクションに移動可能に連結された近位部分と、を含む、実施態様9に記載の外科用器具。
【0101】
(11) 前記近位閉鎖管セクションが、前記可撓性バンドの前記近位部分を移動可能に収容するように構成されたエンクロージャを含む、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記適応型閉鎖駆動システムが、
遠位閉鎖管セクションと、
近位閉鎖管セクションと、
前記遠位閉鎖管セクションと前記近位閉鎖管セクションとの間に延在するリンクと、を含む、実施態様8に記載の外科用器具。
(13) 前記リンクが、
第1の旋回ピンと、
第2の旋回ピンと、を含む、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記遠位閉鎖管セクションが、前記第1の旋回ピンを受容するように構成された第1の孔を含み、前記近位閉鎖管セクションが、前記第2の旋回ピンを受容するように構成された第2の孔を含み、前記第1の孔は前記第2の孔よりも大きい、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 外科用器具であって、
シャフトと、
前記シャフトから遠位方向に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、ホーム位置と所定の関節運動位置との間で前記シャフトに対して関節運動可能である、エンドエフェクタと、
少なくとも1つの回転運動を生成するように構成されたモーターと、
前記モーターに動作可能に連結された関節駆動部であって、前記関節駆動部は、前記モーターの前記少なくとも1つの回転運動に応答して、前記エンドエフェクタを前記ホーム位置から関節運動させるように構成されている、関節駆動部と、を備え、
前記ホーム位置と前記所定の関節運動位置との間の前記エンドエフェクタの関節運動は、
所定のモーター駆動関節運動と、
所定の非モーター駆動関節運動と、を含む、外科用器具。
【0102】
(16) 付勢部材が、前記モーターから独立して、前記所定の非モーター駆動関節運動を駆動するように構成されている、実施態様15に記載の外科用器具。
(17) 位置合わせ機構が、前記モーターから独立して、前記所定の非モーター駆動関節運動を駆動するように構成されている、実施態様15に記載の外科用器具。
(18) 前記所定のモーター駆動関節運動が、前記エンドエフェクタを第1の関節運動位置に送達するように構成されている、実施態様15に記載の外科用器具。
(19) 前記所定の非モーター駆動関節運動が、前記エンドエフェクタを第2の関節運動位置に送達するように構成されている、実施態様18に記載の外科用器具。
(20) 前記第2の関節運動位置が、前記第1の関節運動位置よりも前記所定の関節運動位置に近い、実施態様19に記載の外科用器具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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