(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】レーザレーダ及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
G01S7/481 A
(21)【出願番号】P 2020538624
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2018081367
(87)【国際公開番号】W WO2019136854
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】201810045754.7
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810036235.4
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810045703.4
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王瑞
(72)【発明者】
【氏名】李娜
(72)【発明者】
【氏名】盧炎聰
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
(72)【発明者】
【氏名】李一帆
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151958(JP,A)
【文献】特開平10-282010(JP,A)
【文献】特開2014-209237(JP,A)
【文献】国際公開第2017/132704(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018843(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105391910(CN,A)
【文献】特表2017-534868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0008588(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106353766(CN,A)
【文献】特表2017-532580(JP,A)
【文献】特開2014-117446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G01B 11/00-11/30
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一レーザビームを形成する発射装置と、
第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割する分光装置であって、少なくとも一部分の前記第二レーザビームが被探知目標に反射されることによりエコービームを形成する分光装置と、
複数の第二レーザビームに対してコリメート処理を行うことにより複数の第二レーザビームの伝播方向を平行にするコリメートレンズと、
コリメート処理がされた第二レーザビームを集光させる合焦レンズと、
集光された第二レーザビームを反射する第一反射面を含むガルバノミラーと、
前記エコービームを受信する受信装置とを含み、
前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面の法線との間の夾角はゼロより大きいことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
前記分光装置は光軸を有し、前記光軸に垂直な平面は目標平面であり、
前記分光装置は、前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットを疎密の状態に分布させることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項3】
前記目標平面において、前記第二レーザビームが形成したスポットは前記光軸から離れる方向に向かって分布密度が漸減することを特徴とする請求項2に記載のレーザレーダ。
【請求項4】
前記分光装置は光軸に平行な調節軸を有し、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転することにより前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更することを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項5】
前記分光装置はグレーティング又は光ファイバビームスプリッダであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のレーザレーダ。
【請求項6】
前記分光装置はダンマングレーティングであることを特徴とする請求項5に記載のレーザレーダ。
【請求項7】
前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、
前記第一グレーティング周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングとし、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数である場合、
前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度は
より小さく、その式においてαは既定の画角であることを特徴とする請求項4に記載のレーザレーダ。
【請求項8】
前記分光装置の第一グレーティング周期は47μm~57μmの範囲内にあり、前記第一レーザビームの波長は895nm~915nmの範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のレーザレーダ。
【請求項9】
前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転し、
前記分光装置の光軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きく、且つ90°小さいか或いは等しいことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項10】
前記分光装置は光軸に垂直な少なくとも1つの分光方向を有し、前記分光方向と前記光軸が位置している平面は分光平面であり、
前記複数の第二レーザビームが少なくとも1つの前記分光平面に形成する投影は相互にずれており、
前記分光方向と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さいことを特徴とする請求項9に記載のレーザレーダ。
【請求項11】
前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、
前記分光方向は前記第一方向であることを特徴とする請求項10に記載のレーザレーダ。
【請求項12】
前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記複数の第二レーザビームは同一の平面に位置し、
前記第一反射面に投射される複数の第二レーザビームが位置している平面は伝播平面であり、前記第一反射面と伝播平面は交線を有し、前記振動回転軸と前記交線との間の夾角は0°より大きいことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項13】
前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転し、
前記振動回転軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きいことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項14】
少なくとも一部分の前記第二レーザビームを透過させて前記ガルバノミラーの第一反射面に入射させる半透過半反射ミラーを更に含み、
前記半透過半反射ミラーはガルバノミラーに反射されたエコービームを前記受信装置に反射する第二反射面を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項15】
前記半透過半反射ミラーから出射するエコービームを前記受信装置に集光させる受信収束レンズを更に含み、前記受信装置と受信収束レンズの焦点との間の距離は受信収束レンズの焦点深度の半分より小さいことを特徴とする請求項14に記載のレーザレーダ。
【請求項16】
前記発射装置は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に形成することを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ。
【請求項17】
前記発射装置は出光方向が少なくとも2つずつ交差する複数のレーザーを含むことを特徴とする請求項16に記載のレーザレーダ。
【請求項18】
前記発射装置は、出光方向が相互に平行である複数のレーザーと、複数のレーザーが形成する第一レーザビームを前記分光装置に集光させる収束レンズとを含み、
前記分光装置から前記収束レンズの焦点平面までの距離は収束レンズの焦点深度の半分より小さいことを特徴とする請求項16に記載のレーザレーダ。
【請求項19】
第一レーザビームを形成する発射装置と、第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割する分光装置であって、前記第二レーザビームが被探知目標に反射されることによりエコービームを形成する分光装置と、コリメートレンズと、合焦レンズと、第一反射面を含むガルバノミラーと、前記エコービームを受信する受信装置とを含むレーザレーダを提供することと、
前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記第一レーザビームを前記分光装置により伝播方向が異なっている複数の第二レーザビームに分割することと、
前記コリメートレンズにより複数の第二レーザビームに対してコリメート処理を行うことにより複数の第二レーザビームの伝播方向を平行にすることと、
コリメート処理がされた第二レーザビームを前記合焦レンズにより集光させることと、
集光された第二レーザビームを前記第一反射面により反射することと、
前記第二レーザビームの少なくとも一部分が前記被探知目標に反射されることによりエコービームを形成することと、
前記受信装置により前記エコービームを受信することを含み、
前記第一反射面は集光された第二レーザビームを反射し、前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面の法線との間の夾角はゼロより大きく、
前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割した後、前記ガルバノミラーを回転させることによりガルバノミラーに反射された第二レーザビームの伝播方向を変更することを特徴とするレーザレーダの作動方法。
【請求項20】
前記分光装置は光軸に平行な調節軸を有し、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転し、
前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割した後、既定の分解能により前記分光装置を回転させることを特徴とする請求項19に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項21】
前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、
前記第一グレーティング周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数である場合
前記調節軸を回転軸として前記分光装置を回転させる過程において、前記分光装置の回転角度は
より小さく、その式においてαは既定の画角であることを特徴とする請求項20に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項22】
前記分光装置は二次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期及び第二方向に沿う第二グレーティング周期を有し、前記第一方向と第二方向は垂直であり、
前記第一グレーティング周期はd
1であり、前記第二グレーティング周期はd
2であり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×nに分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿って形成された第二レーザビームの数量であり、nは前記第二方向に沿って形成された第二レーザビームの数量である場合、
前記調節軸を回転軸として前記分光装置を回転させる過程において、前記分光装置の回転角度の範囲は
であることを特徴とする請求項20に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項23】
前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転し、
前記振動回転軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きく、
前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記ガルバノミラーに反射された第二レーザビームの間の第一方向に沿う最小角はθ
1であり、前記走査回転軸は前記第一方向に垂直であり、
前記ガルバノミラーを回転させる過程において、ガルバノミラーの回転角度をθ
1/2より大きくするか或いは等しくすることを特徴とする請求項19に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項24】
前記発射装置は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に形成し、前記発射装置は複数のレーザーを含み、
前記発射装置により第一レーザビームを形成する工程は、既定の分解能により少なくとも1つのレーザーを起動させることにより少なくとも一つの第一レーザビームを形成することを含むことを特徴とする請求項19に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項25】
前記受信装置は複数の探知機を含み、各探知機は対応する第二レーザビームが被探知目標により反射されてくるエコービームをそれぞれ受信し、
前記受信装置により前記エコービームを受信する過程は、前記複数の探知機により前記エコービームを同時に受信するか或いは前記複数の探知機により対応するエコービームを順次に受信することを含むことを特徴とする請求項19に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項26】
前記分光装置はダンマングレーティングであることを特徴とする請求項19に記載のレーザレーダの作動方法。
【請求項27】
第一レーザビームを形成する発射装置と、
第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割する分光装置であって、少なくとも一部分の前記第二レーザビームが被探知目標に反射されることによりエコービームを形成する分光装置と、
前記エコービームを受信する受信装置と、
ガルバノミラーと、
前記発射装置及び受信装置を、前記第一レーザビームの伝播方向と非平行である走査回転軸の周りで回転させるように構成された回転機構を含
み、
前記ガルバノミラーは、前記複数の第二レーザビームを反射する第一反射面を含み、
前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記振動回転軸は前記走査回転軸と垂直であることを特徴とするレーザレーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2018年1月15日に中国専利局に提出され、出願番号が201810036235.4であり、発明の名称が「レーザレーダ及びその作動方法」である中国特許出願と、2018年1月17日に中国専利局に提出され、出願番号が201810045754.7であり、発明の名称が「レーザレーダ及びその作動方法」である中国特許出願と、2018年1月17日に中国専利局に提出され、出願番号が201810045703.4で、発明の名称が「レーザレーダ及びその作動方法」である中国特許出願との優先権を主張し、それらの全文の内容は援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光電探知分野に関し、特に、レーザレーダ及びその作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
レーザレーダは、常用されている測距センサであり、探知距離が遠く、分解能が高く、環境から受ける干渉が小さいという特徴等を有しており、インテリジェントロボット、ドローン、無人運転等の分野に広く用いられている。レーザレーダの作動原理とマイクロ波レーダの作動原理は類似し、いずれもレーダと目標との間における光波の往復にかかる時間により距離の大きさを評価することである。
【0004】
最初のレーザレーダは、単一レーザレーダであり、1つのレーザーと1つの探知機のみを備えているので、その走査の範囲が限定され、目標の検出漏れが発生しやすい。単一レーザレーダの欠点を補うため、多重レーザレーダはますます研究と商用の焦点になっている。多重レーザレーダは複数のレーザーとそれに対応する探知機を垂直方向に配列することにより垂直方向の探知範囲を増加させる。
【0005】
しかしながら、従来の多重レーダは、コストが多くかかり、且つ取付けの難易度が大きいという欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、レーザレーダ装置のコストを低減し、且つ取付けが簡単であるレーザレーダ及びその作動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においてレーザレーダを提供する。前記レーザレーダは、発射装置、分光装置および受信装置を含む。前記発射装置は第一レーザビームを形成する。前記分光装置は、第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割し、前記第二レーザビームの少なくとも一部分が被探知目標に反射されることによりエコービームを形成する。前記受信装置は前記エコービームを受信する。
【0008】
本発明の実施例において、前記分光装置は光軸を有し、前記光軸に垂直な平面は目標平面であり、前記分光装置は前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットを疎密の状態に分布させる。
【0009】
本発明の実施例において、前記目標平面において、前記第二レーザビームが形成したスポットは前記光軸から離れる方向に向かって分布密度が漸減する。
【0010】
本発明の実施例において、前記分光装置は光軸に平行な調節軸を有し、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転することにより前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更する。
【0011】
本発明の実施例において、前記分光装置はグレーティング又は光ファイバビームスプリッダである。
【0012】
本発明の実施例において、前記分光装置はダンマングレーティングである。
【0013】
本発明の実施例において、前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記第一グレーティング周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数である場合、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度は
より小さく、その式においてαは既定の画角である。
【0014】
本発明の実施例において、前記分光装置の第一グレーティング周期は47μm~57μmの範囲内にあり、前記第一レーザビームの波長は895nm~915nmの範囲内にある。
【0015】
本発明の実施例において、前記分光装置は二次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期及び第二方向に沿う第二グレーティング周期を有し、前記第一方向と第二方向は垂直であり、前記第一グレーティング周期はd
1であり、前記第二グレーティング周期はd
2であり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×nに分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に形成された第二レーザビームの数量であり、nは前記第二方向に形成された第二レーザビームの数量である場合、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度は
の範囲内にある。
【0016】
本発明の実施例において、前記分光装置の第一グレーティング周期は47μm~57μmの範囲内にあり、前記第一レーザビームの波長は895nm~915nmの範囲内にあり、前記第二グレーティング周期は47μm~57μmの範囲内にある。
【0017】
本発明の実施例において、前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転し、前記分光装置の光軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きく、且つ90°より小さいか或いは等しい。
【0018】
本発明の実施例において、前記分光装置は光軸に垂直な少なくとも1つの分光方向を有し、前記分光方向と前記光軸が位置している平面は分光平面であり、前記複数の第二レーザビームが少なくとも1つの前記分光平面に形成する投影は相互にずれており、前記分光方向と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さい。
【0019】
本発明の実施例において、前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記分光方向は前記第一方向である。
【0020】
本発明の実施例において、前記レーザレーダは前記第二レーザビームを反射する第一反射面を含むガルバノミラーを更に含み、前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面の法線との間の夾角はゼロより大きい。
【0021】
本発明の実施例において、前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記複数の第二レーザビームは同一の平面に位置し、前記第一反射面に投射される複数の第二レーザビームが位置している平面は伝播平面であり、前記第一反射面と伝播平面は交線を有し、前記振動回転軸と前記交線との間の夾角は0°より大きい。
【0022】
本発明の実施例において、前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きい。
【0023】
本発明の実施例において、前記レーザレーダは、複数の第二レーザビームに対してコリメート処理を行うことにより複数の第二レーザビームの伝播方向を平行にするコリメートレンズと、コリメート処理がされた第二レーザビームを前記ガルバノミラーの第一反射面に集光させる合焦レンズとを更に含む。
【0024】
本発明の実施例において、前記レーザレーダは少なくとも一部分の前記第二レーザビームを透過させて前記ガルバノミラーの第一反射面に入射させる半透過半反射ミラーを更に含み、前記半透過半反射ミラーはガルバノミラーにより反射されたエコービームを前記受信装置に反射する第二反射面を含む。
【0025】
本発明の実施例において、前記レーザレーダは前記半透過半反射ミラーから出射するエコービームを前記受信装置に集光させるの受信収束レンズを更に含み、前記受信装置と受信収束レンズの焦点との間の距離は受信収束レンズの焦点深度の半分より小さい。
【0026】
本発明の実施例において、前記発射装置は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に形成する。
【0027】
本発明の実施例において、前記発射装置は出光方向が少なくとも2つずつ交差する複数のレーザーを含む。
【0028】
本発明の実施例において、前記発射装置は、出光方向が相互に平行である複数のレーザーと、複数のレーザーを形成する第一レーザビームを前記分光装置に集光させる収束レンズとを含み、前記分光装置から前記収束レンズの焦点平面までの距離は収束レンズの焦点深度の半分より小さい。
【0029】
本発明において、前記レーザレーダに対応するレーザレーダの作動方法を更に提供する。前記レーザレーダの作動方法は、第一レーザビームを形成する発射装置と、第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割する分光装置であって、前記第二レーザビームが被探知目標に反射されることによりエコービームを形成する分光装置と、前記エコービームを受信する受信装置とを含むレーザレーダを提供することと、前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記第一レーザビームを前記分光装置により伝播方向が異なっている複数の第二レーザビームに分割することと、前記第二レーザビームの少なくとも一部分が前記被探知目標に反射されることによりエコービームを形成することと、前記受信装置により前記エコービームを受信することとを含む。
【0030】
本発明の実施例において、前記分光装置は光軸に平行な調節軸を有し、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転する。前記レーザレーダの作動方法において、前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割した後、既定の分解能により前記分光装置を回転させる。
【0031】
本発明の実施例において、前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記第一グレーティング周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλとであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数である場合、前記調節軸を回転軸として前記分光装置を回転させる過程において、前記分光装置の回転角度は
より小さく、その式においてαは既定の画角である。
【0032】
本発明の実施例において、前記分光装置は二次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期及び第二方向に沿う第二グレーティング周期を有し、前記第一方向と第二方向は垂直であり、前記第一グレーティング周期はd
1であり、前記第二グレーティング周期はd
2であり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×nに分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に形成された第二レーザビームの数量であり、nは前記第二方向に形成された第二レーザビームの数量である場合、前記調節軸を回転軸として前記分光装置を回転させる過程において、前記分光装置の回転角度の範囲は
である。
【0033】
本発明の実施例において、前記レーザレーダは前記第二レーザビームを反射する第一反射面を含むガルバノミラーを更に含み、前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面の法線との間の夾角はゼロより大きく、前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割した後、前記ガルバノミラーを回転させることによりガルバノミラーに反射された第二レーザビームの伝播方向を変更する。
【0034】
本発明の実施例において、前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記ガルバノミラーに反射された第二レーザビームの間の第一方向に沿う最小角はθ1であり、前記走査回転軸は前記第一方向に垂直であり、前記ガルバノミラーを回転させる過程において、ガルバノミラーの回転角度をθ1/2より大きくするか或いは等しくする。
【0035】
本発明の実施例において、前記発射装置は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に形成し、前記発射装置は複数のレーザーを含み、前記発射装置により第一レーザビームを形成する工程は、既定の分解能により少なくとも1つのレーザーを起動させることにより少なくとも1つの第一レーザビームを形成することを含む。
【0036】
本発明の実施例において、前記受信装置は複数の探知機を含み、各探知機は対応する第二レーザビームが被探知目標に反射されたエコービームをそれぞれ受信し、前記受信装置により前記エコービームを受信する過程は、前記複数の探知機が前記エコービームを同時に受信するか或いは前記複数の探知機が対応するエコービームを順次に受信することを含む。
【0037】
本発明の実施例において、前記分光装置はダンマングレーティングである。
【0038】
従来の技術と比較してみると、本発明の技術方案により下記の発明の効果を獲得することができる。
本発明の実施例に係るレーザレーダは分光装置を含み、前記分光装置は前記第一レーザビームを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビームに分割することができる。異なる方向に伝播する第二レーザビームによりいろいろな方位の被探知目標を検出することができ、それにより前記レーザレーダの画角と角分解能を増加させることができる。分光装置により第一レーザビームを複数の第二レーザビームに分割し、1つのレーザーにより複数の第二レーザビームを取得することができ、それによりレーザーの数量を大量に減少させ、かつ前記レーザレーダのコスト及び取付けの難易度を低減することができる。前記レーザレーダは、高い画角と角分解能を有し、且つコストが多くかからないという利点を有している。
【0039】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置により前記複数の第二レーザビームは前記光軸に垂直な平面において疎密の状態で分布している。それにより、前記第二レーザビームの数量を増加させず、前記光軸に垂直な一部の平面の角分解能を効果的に向上させることができ、前記複数の第二レーザビームの利用率の向上に寄与し、高角分解能と低コストを同時に獲得することができる。
【0040】
本発明の任意の実施例において、前記光軸に垂直な平面において、前記分光装置により前記複数の第二レーザビームの分布密度は前記光軸から離れる方向に向かって漸減する。前記光軸が水平面に平行である時、前記複数の第二レーザビームが疎密の状態に分布することにより、より多くの第二レーザビームは水平線に集中させ、地面に近接させることができる。それにより車両走行路線中の障害物の位置に対応する前記レーザレーダは高い角分解能を有し、前記レーザレーダにより障害物を認識する認識の正確性を効果的に向上させ、前記レーザレーダを車両に用いる将来性を広げることができる。
【0041】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置は光軸に平行な調節軸を有し、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転することにより前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更する。前記分光装置の回転により前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更し、前記レーザレーダの垂直角分解能を調節する目的を達成することができる。また、分光装置の回転により垂直方向において一部分が重なっている第二レーザビームの位置をずらし、それにより垂直角分解能を大きくする目的を達成することができる。したがって、前記分光装置を回転可能に取り付けることにより、いろいろな環境における前記レーザレーダの高角分解能と大画角との間のバランスをとることができ、前記レーザレーダの探知精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0042】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置はグレーティング又は光ファイバビームスプリッダである。前記分光装置としてグレーティングを用いる場合、前記分光装置により分光機能を実現し、レーザーの数量を減少させ、かつ前記第二レーザビームを疎密の状態に非均一に分布させることもでき、低コスト、高角分解能及び大画角を同時に獲得し、コスト制御と性能改良を同時に実現することができる。
【0043】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置はダンマングレーティングである。ダンマングレーティングは1つのビームを強度が同一である複数のビームに分割することができる回折光学素子である。したがって、前記分光装置としてダンマングレーティングを用いる場合、前記複数の第二レーザビームの光強度の均一性を効果的に向上させることができ、前記複数の第二レーザビームのうちあるビームの光強度が小さすぎることにより探知機に検出されにくいことを回避することができ、前記複数の第二レーザビームの探知距離を効果的に確保することができ、前記受信装置により前記エコービームを検出する成功率を確保することができ、前記レーザレーダの探知距離の向上に寄与し、高垂直角分解能と大探知距離を同時に実現し、前記レーザレーダにより被探知目標を検出する検出の精度と正確性を向上させることができる。
【0044】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度は
より小さい。前記分光装置の回転角度を適合に設定することにより、画角を既定の画角αより大きくすることができ、レーザレーダが高い角分解能と大きい画角を有することを確保することができる。
【0045】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置は二次元グレーティングであり、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度の範囲は
である。前記分光装置の回転角度を適合に設定することにより、レーザレーダの角分解能を大きくし、かつ隣接している第二レーザビームの間の夾角を等しくすることもでき、第二レーザビームの分布の均一性を向上させ、レーザレーダの性能改良に寄与することができる。
【0046】
本発明の任意の実施例において、前記発射装置は走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転する。前記走査回転軸の延伸方向と前記分光装置の光軸方向との間の夾角は0°より大きく、且つ90°より小さいか或いは等しい。前記発射装置の回転により、前記レーザレーダの走査範囲を効果的に拡大し、レーザレーダの探知能力の改良と探知範囲の拡大に寄与することができる。
【0047】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は光軸に垂直な少なくとも1つの分光方向を有し、前記分光方向と前記光軸が位置している平面は分光平面であり、前記複数の第二レーザビームにより少なくとも1つの前記分光平面に形成される投影は相互にずれており、前記分光方向と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さい。前記分光方向と前記走査回転軸との間の夾角を0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さくすることにより、前記第二レーザビームを走査回転軸の方向において最大限にずらすことができ、それにより第二レーザビームの数量が限定されている前提において、走査回転軸の方向に沿う角分解能を向上させる目的を達成することができる。
【0048】
本発明の任意の実施例において、前記レーザレーダは前記振動回転軸を回転軸として回転するガルバノミラーを更に含み、前記ガルバノミラーは前記第二レーザビームを反射する第一反射面を有する。前記ガルバノミラーが前記振動回転軸を回転軸として回転することにより前記第一反射面により反射された第二レーザビームの伝播方向を変更することができ、それにより前記第二レーザビームの走査範囲を大きくし、レーザレーダの画角を大きくすることができる。また、前記ガルバノミラーが回転する場合、回転前の第二レーザビームの間の最小角の範囲がいずれも走査されることができれば、取得される画角は第二レーザビームの間の最大角の範囲に達することができる。したがって、前記ガルバノミラーと分光装置を組み合わせることにより、小さいガルバノミラーの回転角度により大きい画角を取得することができる。したがって、画角の要求が同様である場合、ガルバノミラーの回転角度を効果的に小さくし、ガルバノミラーの回転周期を小さくし、レーザレーダの走査フレームレートの向上に寄与することができる。
【0049】
本発明の任意の実施例において、前記分光装置は二次元グレーティングである。二次元グレーティングと前記ガルバノミラーを組み合わせて使用することにより、前記複数の第二レーザビームの伝播範囲を効果的に拡大し、レーザレーダの各方向に沿う角分解能と画角の増加に寄与することができる。
【0050】
本発明の任意の実施例において、前記レーザレーダはエコービームと第二レーザビームを分離させる半透過半反射ミラーを更に含む。それにより、第二レーザビームが受信装置に与える干渉を防止し、第二レーザビームが検出結果に与える影響を低減し、前記レーザレーダの精度を向上させることができる。また、前記半透過半反射ミラーにより光路の重畳を実現することができ、それにより前記レーザレーダの光路を短くし、光学システムの体積を効果的に小さくし、前記レーザレーダの体積を小さくすることに寄与することができる。
【0051】
本発明の任意の実施例において、前記発射装置は伝播方向が異なっている第一レーザビームを同時に形成する。前記分光装置は、各第一レーザビームを複数の第二レーザビームに分割することができる。したがって、伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを形成することにより第二レーザビームの数量は増加することができ、且つ伝播方向が異なっている第一レーザビームにより形成される第二レーザビームの伝播方向はいずれも異なっており、それによりレーザレーダの角分解能を更に増加させることができる。
【0052】
本発明の任意の実施例において、前記発射装置は出光方向が相互に平行である複数のレーザー及び収束レンズを含み、前記収束レンズは複数のレーザーが形成する第一レーザビームを前記分光装置に集光させる。前記収束レンズは出光方向が同じである複数のレーザーが前記分光装置に集光する第一レーザビームを形成するようにする。それにより、前記複数のレーザーの取付けの難易度を低減し、かつ伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを形成こともできる。それにより前記複数のレーザーの取付けの難易度を効果的に低減し、取付けコストの低下に寄与し、前記第一レーザビームの光路の正確性を効果的に向上させ、前記レーザレーダの探知正確性と探知精度の向上に寄与することができる。
【0053】
本発明の実施例に係るレーザレーダの作動方法において、前記分光装置により第一レーザビームを複数の第二レーザビームに分割し、1つのレーザーにより複数の第二レーザビームを取得することができる。それによりレーザーの数量を大量に減少させ、かつ前記レーザレーダのコスト及び取付けの難易度を低減することができる。前記レーザレーダは、高い画角と角分解能を有し、且つコストが多くかからないという利点を有している。
【0054】
本発明の任意の実施例において、前記複数の第二レーザビームを形成した後、既定の垂直分解能により前記分光装置を回転させることにより前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更する。前記分光装置の回転により前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更し、前記レーザレーダの垂直角分解能を調節する目的を達成することができ、いろいろな環境における前記レーザレーダの高角分解能と大画角のバランスをとり、前記レーザレーダの探知精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0055】
本発明の任意の実施例において、前記発射装置は複数のレーザーを有する。したがって、前記発射装置により第一レーザビームを形成する工程において、既定の垂直分解能により少なくとも1つのレーザーを起動させることにより少なくとも1つの第一レーザビームを形成することができる。前記レーザレーダのエネルギーの消費は起動するレーザーの数量に係っているので、起動するレーザーの数量を低減することにより、前記レーザレーダのエネルギーの消費を低減し、それにより角分解能とエネルギー節約を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】多重レーザレーダのレーザーの構造を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施例に係るレーザレーダの構造を示す斜視図である。
【
図3】
図2の実施例に係るレーザレーダの発射部分の光路を示す図である。
【
図4】
図2の実施例に係るレーザレーダの受信部分の光路を示す図である。
【
図5】本発明の第二実施例に係るレーザレーダの一部分の構造を示す図である。
【
図6】前記第一方向とy正方向との間の夾角が0である時、
図5にレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図7】前記第一方向とy方向との間の鋭角がφである時、
図5のレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図8】本発明の第三実施例に係るレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図9】本発明の第四実施例に係るレーザレーダの光路を示す図である。
【
図10】
図9に示されるレーザレーダの実施例におおいて、区域41中の第一レーザビームと第二レーザビームの光路を示す拡大図である。
【
図11】
図9に示されるレーザレーダの実施例におけるエコービームの拡大光路模式図である。
【
図12】
図9に示されるレーザレーダの実施例において、ガルバノミラーが停止している時前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図13】
図9に示されるレーザレーダの実施例において、前記ガルバノミラー450がθ=dy/4l弧度回転する時に、前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図14】
図9に示されるレーザレーダの実施例において、前記ガルバノミラー450がθ=-dy/4l弧度回転する時、前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットを示す図である。
【
図15】本発明の第五実施例に係るレーザレーダの構造を示す図である。
【
図16】
図15に示されるレーザレーダの実施例において、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する前後に前記目標平面に形成したスポットの分布を示す図である。
【
図17】本発明の第六実施例に係るレーザレーダの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
レーザレーダ装置は多くの問題、例えばコストが高く、取付けの難易度が大きいという問題を有している。以下、レーザレーダを例として前記レーザレーダのコストが高く、取付けの難易度が大きい理由を分析する。
【0058】
レーザレーダ装置は、主として、レーザを発射するレーザーと被検出目標に反射されてくる光線を受信する探知機を含む。レーザレーダの作動過程において、レーザーは被検出目標にレーザを発射する。発射されたレーザは被検出目標に投射された後、被検出目標に反射されてくることにより探知機に採集される。
【0059】
従来のレーザレーダ装置は1つのレーザーと1つの探知機のみを含む。そのため、そのレーザレーダ装置は1つのレーザしか発射することができず、それによりレーザレーダの垂直角分解能が低すぎる問題を招来するおそれがある。レーザレーダの垂直角分解能を向上させるため多重レーザレーダが提案された。
【0060】
図1は多重レーザレーダのレーザーを示す構造図である。
【0061】
図1を参照すると、前記多重レーザレーダのレーザーはレーザを発射する複数のレーザー10といろいろな位置のレーザー10が発射するレーザの伝播方向を変化させるレンズ20を含む。前記複数のレーザー10はレンズ20の主光軸(
図1では水平面)に垂直な平面に分布している。
【0062】
各レーザー10は1つのレーザビームを発射する。レンズ20を通過した各レーザビームは異なるレーザ出射角度を有していることによりレーダの垂直方向における分解能を増加させることができる。前記多重レーザレーダにおいて各発射角度にレーザー10を1つずつ対応させる必要があるので、それによりレーザレーダのコストが高くなるおそれがある。また、多重レーザレーダの空間内に各レーザー10を固定させる位置を用意する必要があるので、レーザー10の取付けが難しくなるおそれがある。
【0063】
前記技術課題を解決するため、本発明は、分光装置により第一レーザビームを複数の第二レーザビームに分割し、1つのレーザーにより複数の第二レーザビームを取得することによりレーザーの数量を大量に減少させ、かつ前記レーザレーダのコスト及び取付けの難易度を低減することができるレーザレーダ及びその作動方法を提供する。前記レーザレーダは、高い画角と角分解能を有し、且つコストが多くかからないという利点を有している。
【0064】
本発明の前記目的、特徴及び利点を分かりやすくするため、以下、図面により本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0065】
図2~
図4は、本発明に係るレーザレーダの第一実施例を示す構造図である。ここで、
図2は前記レーザレーダの実施例を示す斜視構造図であり、
図3は
図2のレーザレーダの実施例の発射部分の光路を示す図を示す。
【0066】
前記レーザレーダは、発射装置110(
図3を参照)、分光装置120および受信装置130(
図3を参照)を含み、前記発射装置110は第一レーザビーム110aを発射し、前記分光装置120は第一レーザビーム110aを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビーム120bに分割し、少なくとも一部分の前記第二レーザビーム120bは被探知目標に反射されることによりエコービームが形成され、前記受信装置130は前記エコービームを受信する。
【0067】
前記分光装置120は前記第一レーザビーム110aを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビーム120bに分割することができる。異なる方向に沿って伝播する第二レーザビーム120bはいろいろな方位の被探知目標を検出することができ、それにより前記レーザレーダの画角と角分解能を増加させることができる。分光装置により第一レーザビーム110aを複数の第二レーザビーム120bに分割し、1つのレーザーにより複数の第二レーザビームを取得することができるので、レーザーの数量を大量に減少させ、かつ前記レーザレーダのコスト及び取付けの難易度を低減することができる。前記レーザレーダは、高い画角と角分解能を有し、且つコストが多くかからないという利点を有している。
【0068】
前記発射装置110は光源であり、第一レーザビーム110aを形成する。
【0069】
本実施例において、前記レーザレーダは発射受信モジュール100を有し、前記発射受信モジュール100は、前記発射装置110、前記分光装置120及び前記受信装置130を含む。
【0070】
具体的には、前記発射受信モジュール100は発射構造101及び受信装置130を含み、前記発射構造101は前記発射装置及び分光装置120を含む。
【0071】
図2に示すように、本実施例において、前記発射装置110は前記第一レーザビーム110aの伝播方向と交差する走査回転軸111を有し、前記発射装置110は前記走査回転軸111を回転軸として回転することができ、前記第一レーザビーム110aと前記走査回転軸111との間の夾角はゼロより大きい。したがって、前記発射装置110が回転することにより前記第一レーザビーム110aの伝播方向は変化することができる。前記発射装置が回転することにより、前記レーザレーダの走査範囲を効果的に拡大し、レーザレーダの探知能力の改良と探知範囲の拡大に寄与することができる。
【0072】
本実施例において、前記レーザレーダは、前記レーザレーダ全体を固定させる固定機構102と、前記発射受信モジュール100と前記固定機構102との間に位置しかつ前記発射受信モジュール100と前記固定機構102との間の連結を実現する回転機構103とを更に含む。
【0073】
具体的に、前記発射装置110は前記発射受信モジュール100内に固定され、前記回転機構103は前記発射受信モジュール100が前記走査回転軸111を回転軸として回転するように駆動し、それにより前記発射装置110は前記走査回転軸111を回転軸として回転することができる。
【0074】
本実施例において、前記レーザレーダは地面に取り付けられ、前記レーザレーダは地面に相対して(移動不可能に)固定される。前記走査回転軸111は水平面に垂直である。他の実施例において、前記レーザレーダは自動車又は飛行機に取り付けられ、前記走査回転軸は水平面と斜めに交差することもできる。
【0075】
図3に示すように、本実施例において、前記発射装置110は1つの第一レーザビーム110aを発射する。前記発射装置110は1つのレーザーである。具体的には、前記発射装置110は固体レーザー又は光ファイバレーザーである。
【0076】
また、本実施例において、前記第一レーザビーム110aの波長は895nm~915nmの範囲内にあり、例えば905nmであることができる。895nm~915nmの範囲内のレーザは高い透過能力を有している赤外線レーザであり、非可視光である。前記第一レーザビーム110aの波長範囲を適合に設定することにより前記レーザレーダが周囲の環境に干渉を与えることを効果的に低減し、かつ前記レーザレーダの探知距離を効果的に改良することもできる。
【0077】
本発明の他の実施例において、前記発射装置110は他の種類のレーザーを含むこともできる。前記第一レーザビームは波長が他の範囲内に入っているレーザであることもできる。
【0078】
前記分光装置120は分光をすることにより前記第一レーザビーム110aを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビーム120bに分割することができる。
【0079】
本実施例において、前記レーザレーダは、前記発射装置110と前記分光装置120との間における第一レーザビーム110aの光路に設けられるビーム拡大コリメート装置140を更に含む。
【0080】
前記ビーム拡大コリメート装置140は前記第一レーザビーム110aに対してビームの拡大とコリメートをする。即ち伝播の距離が同じである場合、前記第一レーザビーム110aのスポット直径を増加させ、且つ前記第一レーザビーム110aの発散角を小さくすることができる。
【0081】
前記ビーム拡大コリメート装置140は前記第一レーザビーム110aのスポット直径を増加させることによりエコービームの受信に寄与することができる。前記ビーム拡大コリメート装置140は、前記第一レーザビーム110aの発散角を小さくすることにより前記第一レーザビーム110aの伝播方向の制御の精度を向上させ、前記レーザレーダの探知精度の向上に寄与することができる。具体的に、本実施例において、前記ビーム拡大コリメート装置140は望遠鏡である。
【0082】
前記分光装置120は1つの第一レーザビーム110aを複数の第二レーザビーム120に分割することができるので、前記レーザレーダの角分解能を大きくする前提において、レーザーの数量を減少させ、レーザレーダのコストと組立の難易度を低減し、かつ性能の向上とコストの低下を同時に実現することができる。
【0083】
図3に示すように、前記分光装置120は光軸121を有し、前記光軸121の延伸方向と第二レーザビーム120bの伝播方向は一致している。前記発射装置110は走査回転軸111を有し、前記分光装置120の光軸121と前記走査回転軸111との間の夾角は、0°より大きく、且つ90°より小さいか或いは等しい。つまり、前記光軸121と前記走査回転軸111は交差している。
【0084】
図3に示すように、前記分光装置120の光軸121と前記走査回転軸111は交差し、且つ前記走査回転軸111と前記第一レーザビーム110aの伝播方向は交差しているので、前記発射装置110が回転することにより、前記第一レーザビーム110aの伝播方向は変化し、前記複数の第二レーザビーム120aの伝播方向も変化する。それにより前記複数の第二レーザビーム120aにより所定の空間を走査することができるので、前記レーザレーダの空間分解能を効果的に向上させ、前記レーザレーダの探知能力の改良に寄与することができる。
【0085】
本実施例において、前記光軸121は前記走査回転軸111に垂直であるので、前記複数の第二レーザビーム120aにより前記走査回転軸111に垂直な平面内の360°範囲を走査することを効果的に保証することができる。それにより前記レーザレーダの前記走査回転軸111に垂直な平面における画角を効果的に拡大し、前記レーザレーダの探知範囲の拡大に寄与することができる。
【0086】
本実施例において、前記分光装置120は光軸121に垂直な分光方向124を有し、前記分光方向124と前記光軸121が位置している平面は分光平面(図示せず)である。前記複数の第二レーザビーム120bが前記分光平面に形成する投影は相互にずれている。前記分光方向124と前記走査回転軸111との間の夾角は、0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さい。それにより前記分光方向124が前記走査回転軸111に垂直であることを回避することができる。
【0087】
前記分光方向124が前記走査回転軸111に垂直であることを回避することにより、前記複数の第二レーザビーム120bにより一定の発散角を形成し、それにより前記レーザレーダの垂直角分解能を効果的に向上させ、かつ前記レーザレーダの探知能力の改良に寄与することができる。したがって、形成された複数の第二レーザビーム120bは伝播方向が前記走査回転軸111の夾角と異なっている複数の第二レーザビーム120bを含み、前記レーザレーダの前記走査回転軸111に平行な角分解能と画角を増加させることができる。他の実施例において、前記複数の第二レーザビームは伝播方向が回転軸の間の夾角と同じである複数の第二レーザビームを含むこともできる。
【0088】
本実施例において、前記分光方向124と前記走査回転軸111は相互に平行であることにより、前記複数の第二レーザビーム120bの発散角を効果的に増加させることができる。それにより前記レーザレーダの垂直画角を向上させ、前記レーザレーダの探知範囲の拡大に寄与することができる。
【0089】
具体的に、前記レーザレーダは地面に取り付けられ、前記走査回転軸111は水平面に垂直である。したがって、前記分光装置120の光軸121は水平面に平行であり、前記発射装置110は水平面に垂直な前記走査回転軸111を回転軸として回転する。それにより、前記複数の第二レーザビームは水平面上の各方向へ伝播し、前記レーザレーダの水平方向に沿う画角及び水平角分解能を効果的に増加させることができる。
【0090】
特に、前記レーザレーダが自動車等の交通装置に応用される時、大きい水平方向の画角及び大きい水平角分解能により、前記レーザレーダの探知範囲を効果的に拡大し、前記レーザレーダの交通装置の周囲における障害物を検出する探知成功率を向上させることができる。
【0091】
前記分光方向124は前記走査回転軸111に平行であるので、前記分光方向は水平面に垂直である。したがって、前記分光装置120は1つの第一レーザビーム110aにより水平面に垂直な方向にずれている複数の第二レーザビーム120bを形成することができる。それにより、レーザーの数量を増加させず、レーザレーダの垂直画角を低減しない前提において、前記レーザレーダの垂直角分解能を向上させ、前記レーザレーダの交通装置の周囲における障害物を検出する探知成功率を効果的に向上させ、大画角、高角分解能および低製造コストを同時に実現し、前記レーザレーダを交通分野によく応用することができる。
【0092】
図3を参照すると、前記光軸121に垂直な平面は目標平面123であり、前記分光装置120において前記複数の第二レーザビーム120bが前記目標平面123に形成したスポットが疎密の状態に分布するようにする。つまり、前記複数の第二レーザビーム120bが前記目標平面123に投射されることにより形成されるスポットは非均一に分布している。
【0093】
前記分光装置120は前記第二レーザビーム120bが前記目標平面123に形成したスポットが非均一に分布するようにすることができるので、前記第二レーザビーム120bの数量を増加させない前提において、より多くの第二レーザビーム120bを前記目標平面123の一部の面積に集中させることができる。それにより、前記分光装置120と前記目標平面123との間の一部の空間に配列される第二レーザビーム120bの密度を向上させ、一部の空間の角分解能を向上させ、第二レーザビーム120bの利用率を向上させる目的を達成することができる。
【0094】
一方で、一部の空間の角分解能を向上させ、第二レーザビーム120bの利用率を向上させ、探知機能のない第二レーザビーム120bの数量を減少させることができるので、局部の角分解能を保証する前提において、レーザーの数量を効果的に低減し、製造コストと組立難易度の低下に寄与し、システム負荷を小さくし、走査頻度の向上に寄与し、前記レーザレーダの性能改良に寄与することができる。
【0095】
本実施例において、前記分光装置120により、前記複数の第二レーザビーム120bが前記目標平面123に形成したスポットは前記光軸121から離れる方向に向かって分布密度が漸減する。つまり、前記分光装置120はより多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121の付近に集中させる。それにより、前記光軸121の近傍の位置の前記第二レーザビーム120bの数量は多くなり、密度は大きくなり、前記光軸121から離れている位置の前記第二レーザビーム120bの数量は少なくなり、密度は小さくなる。
【0096】
より多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121の付近に集中させる場合、設備コスト、組立難易度を増加させない前提において、前記光軸121の付近の空間に位置する前記レーザレーダの角分解能を効果的に向上させ、前記第二レーザビーム120bの利用率の向上に寄与し、製造コストの低下と探知性能の向上を同時に実現することができる。
【0097】
本実施例において、前記発射装置110は前記走査回転軸111を回転軸として回転することができ、前記複数の第二レーザビーム120bの伝播方向と前記走査回転軸111は交差している。したがって、前記走査回転軸111に垂直な方向において、前記レーザレーダの角分解能は前記第二レーザビーム120bの伝播方向の変化の速度に係っている。即ち前記発射装置110の回転速度に係っている。
【0098】
前記走査回転軸111に平行な平面において、前記レーザレーダの画角の大きさ、角分解能の高さは前記第二レーザビーム120bの数量及び隣接する第二レーザビームの間の間隔に係り、前記分光方向と前記走査回転軸111の方向との間の夾角の大きさに係っている。
【0099】
本実施例において、前記分光方向124と前記走査回転軸111の方向は相互に平行であることにより、第二レーザビーム120bの数量を増加させない前提において、前記複数の第二レーザビーム120bの発散角をできる限り大きくし、大きい垂直画角を取得することができる。より多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121の付近に集中させることにより、大きい垂直画角を確保する前提において、前記光軸121の付近の隣接する前記第二レーザビーム120bの間の間隔を小さくし、垂直角分解能を向上させる目的を達成することができる。
【0100】
具体的に、本実施例において、前記レーザレーダは地面に取り付けられ、前記走査回転軸111は水平面に垂直であり、前記光軸121は水平面に平行であり、前記分光方向124は水平面に垂直である。より多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121の付近に集中させることにより、前記レーザレーダの水平面の付近における空間の垂直角分解能を効果的に向上させ、前記レーザレーダの水平面の付近における障害物を検出する探知成功率を向上させることができる。
【0101】
前記レーザレーダを自動車等の交通装置に応用する時、被探知目標は通常、歩行者、車両等の地面の付近にある障害物である。その場合、より多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121の付近に集中させる。即ち、より多くの第二レーザビーム120bを地面の付近に集中させることにより、製造コストと組立難易度を増加させず、垂直画角を低減しない前提において、前記レーザレーダの垂直角分解能を向上させ、前記複数の第二レーザビーム120bの空間の分布を実際の交通環境に適用させ、前記レーザレーダを交通分野によく応用することができる。
【0102】
一方で、水平面、地面の付近の垂直角分解能を増加させ、垂直角分解能を確保する前提において、レーザーの数量を低減し、製造コストと組立難易度の低下に寄与し、システム負荷を小さくし、走査頻度の向上に寄与し、前記レーザレーダの走査正確性の改良に寄与することができる。
【0103】
本実施例において、前記分光装置120はグレーティングである。
【0104】
グレーティングは光線の回折と干渉の作用により1つの前記第一レーザビーム110aを前記複数の第二レーザビーム120bに分割することができる。具体的に、前記分光装置120はグレーティングであり、前記分光装置120は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記分光装置120の分光方向124は前記第一方向を含む。
【0105】
【0106】
その式において、dはグレーティング周期であり、mは回折レベルであり、λは第一レーザビーム110aの波長であり、θは前記第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角である。前記グレーティングの原理を示す式によりsin(θ)=mλ/dを獲得することができる。
【0107】
角度が小さい時、角度の正弦関数値は所定のる角度値に近い。角度が小さい時、角度の正弦関数値は所定の角度値より小さい。また、角度が大きければ大きいほど、角度の正弦関数値と所定の角度値との間の差値は大きくなる。
【0108】
したがって、前記第二レーザビーム120bの回折レベルmが小さい時、前記第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θは小さく、前記夾角θと前記第二レーザビーム120bの回折レベルmは線形関係を呈している。前記第二レーザビーム120bの回折レベルmが大きい時、前記第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θは大きく、前記夾角θは前記夾角θの正弦関数値より大きくかつ前記第二レーザビーム120bの回折レベルmの線形関係より大きい。
【0109】
したがって、回折レベルmが大きくなることにより、前記第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θ、異なるレベルの第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θの差値は漸増する。即ち隣接する第二レーザビーム120bの間の夾角は漸増する。つまり、前記第二レーザビーム120bは前記グレーティング平面法線の方向に更に集中する。
【0110】
図3に示すように、前記分光装置120としてグレーティングを用いる時、前記グレーティング平面法線の方向と前記光軸121は平行であるので、前記分光装置120としてグレーティングを用いることにより、より多くの第二レーザビーム120bを前記光軸121に集中させることができる。
【0111】
したがって、前記分光装置120としてグレーティングを用いることにより、前記分光装置120の分光機能を実現し、レーザーの数量を減少させることができる。また、前記第二レーザビーム120bを疎密の状態に非均一に分布させることにより、前記第二レーザビーム120bを前記光軸121の方向に更に集中させることもできる。それにより低コスト、高角分解能及び大画角を同時に実現し、コストの制御と性能の改良に寄与することができる。
【0112】
また、グレーティングにより分光をする場合、光学素子の数が少なく、光路構造が簡単であり、前記レーザレーダの光路精度を向上させることができる。また、グレーティングは製造プロセスが成熟しかつ製造コストが低いという利点を有しているので、前記分光装置120とグレーティングを用いることにより、前記分光装置120の製造コストを効果的に低減することもできる。
【0113】
具体的に、前記分光装置120はダンマングレーティングである。
【0114】
ダンマングレーティングは、間隔が等しくなく、周期が重複している位相グレーティングである。ダンマングレーティングは1つのビームを同一の強度を有している複数のビームに分割する回折光学素子である。したがって、前記分光装置120としてダンマングレーティングを用いる場合、1つの前記第一レーザビーム110aを、異なる方向に沿うかつ光強度が等しい複数の第二レーザビーム120bに分割することができるので、前記複数の第二レーザビーム120bの光強度の均一性を効果的に向上させ、前記複数の第二レーザビーム120bのうちのあるビームの光強度が小さすぎることにより検出されにくいことを回避し、前記複数の第二レーザビーム120bの探知距離を効果的に確保し、前記受信装置130が前記エコービームを探知する成功率を確保し、前記レーザレーダの探知距離の向上に寄与し、高垂直角分解能と大探知距離を同時に実現し、前記レーザレーダの被探知目標に対する探知の精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0115】
具体的には、ダンマングレーティングは交差に配列される複数の第一区域及び第二区域を含む。ビームがダンマングレーティングを透過する過程において、前記第一区域を透過したビームの遅延位相と前記第二区域を透過したビームの遅延位相との間にはπ弧度の差値がある。隣接する第一区域の間の距離又は隣接する第二区域の間の距離はグレーティングのグレーティング周期である。ダンマングレーティングの複数の第一区域の幅は異なり、複数の第二区域の幅も異なっている。ダンマングレーティングの前記グレーティング周期、第一区域の幅及び第二区域の幅を適合に設定することにより、形成される複数の第二レーザビームの光強度を等しくすることができる。
【0116】
本実施例において、前記分光装置120は一次元ダンマングレーティングであるので、前記分光装置120において、第一区域と第二区域は延伸方向が平行であるストリップ状であり、前記第一区域と前記第二区域の延伸方向は前記分光方向に垂直である。前記分光方向124は水平面に垂直であるので、前記第一区域と前記第二区域の延伸方向は水平面に平行である。
【0117】
ダンマングレーティングにより分割されて形成されかつ強度が同一であるビームの数量が多ければ多いほど、すなわち1つの前記第一レーザビーム110aが前記分光装置120により分割されて形成された第二レーザビーム120bの数量が多ければ多いほど、前記レーザレーダの画角は大きくなり、角分解能は高くなることができる。
【0118】
本実施例において、前記分光装置120は一次元ダンマングレーティングである。一次元ダンマングレーティングは設計、製造コストが低いという利点を有しているため、前記レーザレーダの製造コストを効果的に低減することができる。具体的に、前記分光装置120は1×9に分割する一次元ダンマングレーティングである。本発明の他の実施例において、前記分光装置120は、1×5分割、1×15分割、1×32分割又は1×64分割型のダンマングレーティングであることもできる。
【0119】
グレーティングの原理方程式により把握できるとおり、前記第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θの大きさは、回折レベルm、第一レーザビーム110aの波長λ及びグレーティング周期dに係っている。したがって、第一レーザビーム110aの波長λが一定であり、前記分光装置120のパラメータが決められている場合、レベルが異なる第二レーザビーム120bとグレーティング平面法線との間の夾角θは異なり、異なる方向に伝播する複数の第二レーザビーム120bを取得することができる。
【0120】
本実施例において、前記一次元ダンマングレーティングのグレーティング周期は47μm~57μmの範囲内にあり、例えば52μmであることができる。具体的に、本実施例において、前記分光装置120の位相転換点は、0.06668、0.12871、0.28589、0.45666、0.59090であることができる。
【0121】
注意されたいことは、本発明の他の実施例において、前記分光装置として二次元ダンマングレーティングを用いることができる。二次元ダンマングレーティングにより前記第二レーザビームの水平発射角度と垂直発射角度は異なっているので、レーザレーダの垂直角分解能と水平角分解能を増加させることができる。水平方向は水平面に平行な方向であり、前記垂直方向は水平面の方向に垂直である。
【0122】
【0123】
形成された複数の第二レーザビーム120bは前記発射構造101から出射し、少なくとも一部分の前記第二レーザビーム120bは被探知目標に投射され、被探知目標に反射されることによりエコービーム130cが形成される。前記受信装置130は前記エコービーム130cを受信する。受信されたエコービーム130cを分析することにより前記被探知目標の情報を取得することができる。
【0124】
図4に示すように、本実施例において、前記受信装置130は複数の探知機131を含み、各探知機131は所定の第二レーザビームが被探知目標により反射されてくるエコービーム130cをそれぞれ受信する。具体的に、前記探知機131は、フォトダイオード、フォトマルチプライヤー、アバランシェフォトダイオード、赤外線または可視光探知機器等であることできる。
【0125】
前記受信装置130は、前記エコービーム130cを前記探知機131に集光させる受信収束レンズ132を更に含み、前記分光装置131から前記受信収束レンズ132の焦点平面までの距離は前記受信収束レンズ132の焦点深度の半分より小さい。具体的に、本実施例において、前記分光装置131は前記受信収束レンズ132の焦点平面に位置する。
【0126】
伝播方向が同じである第二レーザビーム120bにより形成されるエコービーム130cは、前記受信収束レンズ132を透過し、同一の探知機131の表面に集光する。伝播方向が異なる第二レーザビーム120bにより形成されるエコービーム130cは、前記受信収束レンズ132を透過し、異なる探知機131に集光する。したがって、前記エコービーム130cの伝播方向により前記被探知目標の方位を取得することができる。
【0127】
前記受信装置130と前記発射構造101は別に設けられる。前記受信装置130と前記発射構造101を別に設けることにより、前記エコービーム130cが前記分光装置120を通過することを回避することができ、それにより分光装置120の前記エコービーム130cの伝播方向への影響を回避し、被探知目標の位置決めに寄与することができる。
【0128】
本実施例において、前記受信装置130は分析装置(図示せず)を更に含む。前記探知機131は前記エコービーム130cを受信した後、前記エコービーム130cの光信号を電気信号に変換する。前記分析装置は前記電気信号を分析することにより前記被探知目標の位置を取得する。
【0129】
図5は本発明に係るレーザレーダの第二実施例の一部分の構造を示す図である。
【0130】
本実施例と第一実施例の同一点について本発明は再び説明しない。以下、本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記分光装置220は光軸(図示せず)に平行な調節軸225を有し、前記分光装置220は前記調節軸225を回転軸として回転することにより前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更することにある。
【0131】
前記分光装置220の回転により、前記複数の第二レーザビームの伝播方向を変更し、前記レーザレーダの角分解能を調節する目的を達成することができる。また、分光装置220の回転により、一部分が重畳している第二レーザビームの位置をずらし、それにより角分解能を大きくする目的を達成することができる。前記分光装置220を回転可能に取り付けることにより、いろいろな環境における前記レーザレーダの高角分解能と大画角との間のバランスをとり、前記レーザレーダの探知精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0132】
また、本実施例において、前記分光装置220は二次元グレーティングである。前記分光装置220は第一方向に沿う第一グレーティング周期d1及び第二方向に沿う第二グレーティング周期d2を有し、前記第二方向と前記第一方向は垂直である。具体的に、前記分光装置220は二次元ダンマングレーティングである。
【0133】
二次元ダンマングレーティングの第一区域と第二区域は第一方向と第二方向に沿ってマトリックス状に配列される。前記第一グレーティング周期d1は第一方向において隣接している第一区域の間の距離であるか或いは第一方向において隣接している第二区域の間の距離である。前記第二グレーティング周期d2は第二方向において隣接している第一区域の間の距離であるか或いは第二方向において隣接している第二区域の間の距離である。ダンマングレーティングの複数の第一区域の幅は異なっており、複数の第二区域の幅も異なっている。ダンマングレーティングの前記第一グレーティング周期d1、第二グレーティング周期d2、第一区域の幅及び第二区域の幅を適合に設計することにより、形成される複数の第二レーザビームの光強度を等しくすることができる。
【0134】
注意されたいことは、グレーティングの原理方程式により前記分光装置220としてグレーティングを用いる時、前記分光装置220により分割されて形成された複数の第二レーザビームの出射角度は前記第一レーザビームの波長λ及び前記分光装置220のパラメータに係っている。具体的に、本実施例において、前記第一レーザビームの波長λは895nm~915nmの範囲内にあり、例えば905nmであることができる。前記分光装置220の第一グレーティング周期d1は47μm~57μmの範囲内にあり、例えば52μmであり、第二グレーティング周期d2は47μm~57μmの範囲内にあり、例えば52μmであることができる。
【0135】
具体的に、
図5に示すように、分析を明確にするため、前記分光装置220に直角座標系を構築する。相互に垂直なx方向とy方向は前記分光装置220のグレーティング平面に位置し、前記分光装置220のグレーティング平面の法線方向をz方向とする。したがって、z方向は光軸方向に平行である。
【0136】
本実施例において、前記レーザレーダは地面に取り付けられ、前記光軸は水平面に平行であるので、y方向は水平面に垂直であり、x方向は水平面に平行である。つまり、x方向とz方向により確定される平面は水平面に平行である。
【0137】
本実施例において、前記分光装置220の調節軸225は前記光軸に平行であるので、前記z軸と前記調節軸225は平行である。前記分光装置220は前記調節軸225を回転軸として回転することができる。即ちx-y平面においてz方向を回転軸として回転することができる。前記分光装置220の第一方向とy方向との間の夾角の変化は、前記分光装置220が前記調節軸225を回転軸として回転する角度に係っている。
【0138】
第一レーザビームを平面波に簡略化する場合、出射する第二レーザビーム(伝播方向に係っている位相項目のみを考慮する)を
で表すことができる。
【0139】
前記第一方向とy方向は平行である。即ち前記第一方向とy方向との間の夾角が0である時、
である。
【0140】
その式において、d1は前記第一グレーティング周期であり、d2は第二グレーティング周期であり、nxとnyはそれぞれ、x方向とy方向の回折レベルを示す。
【0141】
グレーティングの原理式によると、第二レーザビームの伝播方向とグレーティング平面法線との間の夾角θは
である。
【0142】
その式から分かるように、y方向の回折レベルn
yが異なっている時、隣接している第二レーザビームの間の夾角も異なっている。しかしながら、第一グレーティング周期d
1は第一レーザビームの波長より遥かに大きいため、y方向の回折レベルn
yが異なりかつ隣接する第二レーザビームの間の夾角は略等しい。前記複数の第二レーザビームが目標平面に形成したスポットはマトリックス状に配列されている。
図6は、前記第一方向とy正方向との夾角が0である時、
図5の本実施例のレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。
【0143】
前記第一方向とy方向は平行でなく、前記第一方向とy方向との間の鋭角がφである時、形成された第二レーザビーム(伝播方向に係っている位相項目のみを考慮する)を
で表すことができる。
【0144】
【0145】
グレーティングの原理式によると、第二レーザビームの伝播方向とグレーティング平面法線との間の夾角θは
である。
【0146】
複数の第二レーザビームが目標平面に形成したスポットはマトリックス状に配列されているが、前記分光装置220が回転することによりスポットによって形成されたマトリックスも回転する。
図7は、前記第一方向とy方向との間の鋭角がφである時、
図5の実施例のレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。
【0147】
図6と
図7に示すように、x方向に配列されたスポットは前記分光装置220の回転によりずれる。目標平面上の各スポットは1つの前記第二レーザビームに対応し、y方向において隣接しているスポットの間の距離が大きければ大きいほど、対応する第二レーザビームと水平面との間の夾角は大きくなる。水平面との夾角が異なっている第二レーザビームの数量が多ければ多いほど、前記レーザレーダの垂直角分解能は高くなる。
【0148】
したがって、前記分光装置220が回転することにより、より多くの第二レーザビームと水平面との間の夾角に差異が現れている。つまり、前記分光装置220の回転により前記レーザレーダの垂直角分解能を効果的に向上させることができる。したがって、前記分光装置220を回転可能に取り付けることにより、いろいろな環境における前記レーザレーダの角分解能を獲得し、前記レーザレーダの探知精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0149】
本実施例において、前記分光装置220はm×nに分割する二次元ダンマングレーティングであり、mは前記第一方向に形成された第二レーザビームの数量であり、nは前記第二方向に形成された第二レーザビームの数量である。
【0150】
グレーティングの原理方程式により、前記第一方向とy方向との間の鋭角φは
であることを大体に得ることができる。
【0151】
注意されたいことは、本実施例において、前記第一方向とy方向は平行であり、前記第一方向とy方向との間の夾角φが0である時、前記分光装置220の位置を初期位置とする。前記分光装置220の第一方向とy方向との間の夾角の変化は、前記分光装置220が前記調節軸225を回転軸として回転する角度に係っている。したがって、前記第一方向とy方向との間の鋭角φの角度は、前記分光装置220が前記調節軸225を回転軸として回転する角度に係っている。
【0152】
本実施例において、前記分光装置220が前記調節軸225を回転軸として回転する角度は
の範囲内にあり、即ち前記第一方向とy方向との間の鋭角φは
の範囲内にある。前記分光装置220の回転角度の範囲を適合に設定することにより、レーザレーダの角分解能を大きくし、かつy方向において隣接しているスポットの間の距離を近くすることができる。それにより隣接する第二レーザビームの間の夾角を一致させ、第二レーザビームの垂直方向の分布の均一性を向上させ、レーザレーダ性能の改良に寄与することができる。
【0153】
具体的に、本実施例において、前記分光装置220は32×32に分割し、前記第一グレーティング周期d1と第二グレーティング周期d2は52μmであり、前記第一レーザビームの波長は905nmである。y方向において前記レーザレーダの画角は約30°であり、前記第二レーザビームと水平面との間の夾角は-20°~+10°の範囲内にあり、隣接する前記第二レーザビームの間の夾角は略等しい。したがって、回転をする前、前記レーザレーダの垂直角分解能は約0.9375°(30°/32)であり、回転をした後、前記レーザレーダの垂直角分解能は約0.0293°(30°/(32×32))である。以上のとおり、前記回転軸に平行な方向において、前記レーザレーダは高い角分解能を有している。本発明の他の実施例において、前記分光装置は5×5分割、8×8分割、16×16分割又は5×8分割型のダンマングレーティングであることもできる。
【0154】
注意されたいことは、本実施例において、前記分光装置として二次元ダンマングレーティングを用いることができる。しかしながら、それは本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は前記構成にのみ限定されるものでない。本発明の他の実施例において、前記分光装置として一次元グレーティングを用いることもできる。それによりグレーティングの製造コストと製造プロセスの難易度を低減し、コストを低減する目的を達成することができる。具体的に、前記分光装置として一次元ダンマングレーティングを用いることもできる。
【0155】
前記分光装置として一次元グレーティングを用いる時、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期d
1を有し、形成された第二レーザビームの伝播方向とy方向との間の夾角は、
である。
【0156】
その式において、λは第一レーザビームの波長であり、φは前記分光装置の第一方向とy方向との間の鋭角の角度である。nyはy方向の回折レベルである。
【0157】
図8は本発明の第三実施例に係るレーザレーダが目標平面に形成したスポットを示す図である。本実施例において、スポット341は前記分光装置の第一方向とy方向との間の鋭角が0である時に形成されたスポットであり、スポット342は前記分光装置の第一方向とy方向との間の鋭角がφである時に形成されたスポットである。
【0158】
前記分光装置の回転に伴い、y方向において隣接しているスポットの間の距離は小さくなり、隣接する第二レーザビームの間の夾角は小さくなり、前記レーザレーダの垂直角分解能は大きくなる。
【0159】
図8に示すように、前記分光装置の第一方向とy方向との間の鋭角が0である時、y方向において複数のスポット341の間の最大の距離はr
1であり、前記分光装置の第一方向とy方向との間の鋭角がφである時、y方向において複数のスポット342の間の最大の距離はr
2であり、r
1がr
2より大きいことは明らかである。y方向において前記スポットの間の最大の距離は前記レーザレーダの垂直画角に係っている。y方向においてスポットの間の最大の距離が大きければ大きいほど、垂直画角は大きくなる。したがって、本実施例において、前記分光装置が回転することにより前記レーザレーダの垂直画角は小さくなることができる。
【0160】
本実施例において、前記分光装置は一次元グレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記第一グレーティングの周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数であり、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する角度は
より小さい。その式において、αは既定の画角である。前記分光装置の回転角度を適合に設定することにより、画角を既定の画角αより大きくすることができる。それによりレーザレーダが高い角分解能を有することを確保し、かつレーザレーダが大きい画角を有するようにすることができる。具体的に、本実施例において、前記既定の画角αは5°より大きいか或いは等しくなる。
【0161】
注意されたいことは、前記第二実施例と前記第三実施例において、前記分光装置は前記調節軸を回転軸として回転することができる。即ち前記分光装置の第一方向とy方向との角度を調節することができるので、それをいろいろな使用環境に適応させることができる。しかしながら、本発明の他の実施例において、前記分光装置の位置は固定されることもできる。即ち前記分光装置の第一方向とy方向との角度が固定値であることにより前記レーザレーダ光路システムの安定性と正確性を向上させ、レーザレーダ性能の改良の目的を達成することができる。
【0162】
前記分光装置の位置が固定されている時、前記分光装置の第一方向とy方向との間の夾角を一定の角度にすることにより、隣接する第二レーザビームの間のy方向の夾角を小さくし、第二レーザビームの数量が限定されている状態において、y方向の角分解能を向上させる目的を達成することができる。
【0163】
具体的に、本発明の他の実施例において、前記発射装置は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸を有し、前記発射装置は前記走査回転軸を回転軸として回転することができる。前記分光装置は光軸に垂直である少なくとも1つの分光方向を有し、前記分光方向と前記光軸の位置している平面は分光平面である。前記複数の第二レーザビームが少なくとも1つの前記分光平面に形成する投影は相互にずれている。前記分光方向と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きいか或いは等しく、且つ90°より小さい。前記分光装置はグレーティングであり、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記分光方向は前記第一方向である。したがって、前記分光装置としてグレーティングを用いる時、前記分光装置において第一方向と前記走査回転軸との間の夾角を0°より大きくするか或いは等しくし、且つ90°より小さくするにより、前記第二レーザビームを走査回転軸の方向において最大限にずらし、第二レーザビームの数量が限定されている状態において、走査回転軸の方向の角分解能を向上させる目的を達成することができる。
【0164】
図9~
図11は本発明の第四実施例に係るレーザレーダの光路を示す図である。
図10は
図9のレーザレーダの実施例において区域41中の第一レーザビームと第二レーザビームの光路を示す拡大図である。
図11は
図9のレーザレーダの実施例のエコービームの光路を示す拡大図である。
【0165】
図9~
図11に示すように、本実施例と前記実施例の同一点について本発明は再び説明しない。本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記レーザレーダは前記第二レーザビームを反射する前記第一反射面450aを含むガルバノミラー450を更に含み、前記ガルバノミラー450は振動回転軸(図示せず)を有し、前記ガルバノミラー450は前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面450aの法線との間の夾角はゼロより大きいことにある。
【0166】
前記ガルバノミラー450が前記振動回転軸を回転軸として回転することにより、前記第一反射面450aにより反射された第二レーザビームの伝播方向を変更することができる。それにより前記第二レーザビームの走査範囲を大きくし、前記レーザレーダの画角を大きくすることができる。また、前記ガルバノミラー450が回転する場合、回転前の第二レーザビームの間の最小角の範囲がいずれも走査されることができれば、取得される画角は第二レーザビームの間の最大角の範囲に達することができる。したがって、前記ガルバノミラー450と分光装置420を組み合わせることにより、小さいガルバノミラー450の回転角度により大きい画角を取得することができる。したがって、画角の要求が同様である場合、ガルバノミラー450の回転角度を効果的に小さくし、ガルバノミラー450の回転周期を小さくすることができ、それによりレーザレーダの走査フレームレートの向上に寄与することができる。
【0167】
本実施例において、前記分光装置420は一次元グレーティングである。具体的に、前記分光装置420は一次元ダンマングレーティングである。前記分光装置420の分割により形成された複数の第二レーザビームは同一の平面に位置する。
【0168】
前記第一反射面450aに投射された複数の第二レーザビームが位置する平面は伝播平面(図示せず)である。前記第一反射面450aと伝播平面は交線を有し、前記振動回転軸と前記交線との間の夾角は0°より大きい。本実施例において、前記振動回転軸と前記交線との間の夾角は90°である。
【0169】
また、前記発射装置410は前記第一レーザビームの伝播方向と交差する走査回転軸(図示せず)を有し、前記発射装置410は前記走査回転軸を回転軸として回転する。前記振動回転軸と前記走査回転軸との間の夾角は0°より大きい。本実施例において、前記振動回転軸と前記走査回転軸との間の夾角は90°である。
【0170】
本実施例において、前記振動回転軸は前記第一反射面450aに平行である。前記振動回転軸は前記第一反射面450aに平行であることにより、前記ガルバノミラー450の取付けに寄与することができる。他の実施例において、前記振動回転軸と前記第一反射面との間には鋭角が形成されることもできる。
【0171】
具体的に、本実施例において、前記ガルバノミラー260はレーザ走査ガルバノミラー又はマイクロエレクトロメカニカル走査ガルバノミラーである。
【0172】
注意されたいことは、
図9と
図10に示すように、本実施例において、前記レーザレーダは、複数の第二レーザビームにコリメート処理を行うことにより複数の第二レーザビームの伝播方向を平行にするコリメートレンズ451と、コリメート処理された第二レーザビームを前記ガルバノミラー450の第一反射面450aに集光させる合焦レンズ452とを更に含む。
【0173】
前記分光装置420と前記コリメートレンズ451の焦点との間の距離は前記コリメートレンズ451の焦点深度の半分より小さい。具体的に、前記分光装置420は前記コリメートレンズ451の焦点平面に位置する。
【0174】
前記ガルバノミラー450と前記合焦レンズ452との間の距離は合焦レンズ452の焦点深度の半分より小さい。具体的に、本実施例において、前記ガルバノミラー450は前記合焦レンズ452の焦点平面に位置する。
【0175】
前記合焦レンズ452の焦点と前記コリメートレンズ451の焦点は重なり、且つ前記合焦レンズ452の光軸とコリメートレンズ451の光軸は重なる。前記コリメートレンズ451と合焦レンズ452を設けることにより、ガルバノミラー450の第一反射面に集光する第二レーザビームの数量を増加させることができる。それによりガルバノミラー450に反射される第二レーザビームの数を増加させ、レーザレーダの画角を増加させることができる。
【0176】
本実施例において、前記第一ビームは直線偏光である。直線偏光の偏光が方向性を有するので、レーザレーダの脱分極度は小さい。第一ビームの偏光方向により偏光方向の異なる迷光を濾過除去し、それによりレーザレーダのシグナルノイズ比を向上させることができる。
【0177】
図9と
図11に示すように、前記レーザレーダは、少なくとも一部分の前記第二レーザビームを透過させて前記ガルバノミラー450の第一反射面450aに入射させる半透過半反射ミラー453を更に含む。前記半透過半反射ミラー453は第二反射面453aを含み、前記第二反射面453aはガルバノミラー450に反射されてくるエコービームを前記受信装置430に反射する。
【0178】
前記半透過半反射ミラー453はエコービームと第二レーザビームを分離させることができるので、第二レーザビームが受信装置430に与える干渉を防止し、第二レーザビームが検出結果に与える影響を低減し、前記レーザレーダの精度を向上させることができる。また、前記半透過半反射ミラーにより光路の重畳を形成することより前記レーザレーダの光路を短くし、光学システムの体積を効果的に小さくし、かつ前記レーザレーダの体積を小さくすることに寄与することができる。
図9に示すように、前記半透過半反射ミラー453の第二反射面453aは前記ガルバノミラー450の第一反射面450aに向いている。
【0179】
本実施例において、前記レーザレーダは、前記半透過半反射ミラー453から出射するエコービームを前記受信装置430に集光させる受信収束レンズ454を更に含む。前記受信装置430と受信収束レンズ454の焦点との間の距離は受信収束レンズ454の焦点深度の半分より小さい。
【0180】
前記受信収束レンズ454と前記探知機との間の距離は前記受信収束レンズ454の焦点深度の半分より小さい。具体的に、本実施例において、前記探知機は前記受信収束レンズ454の焦点平面に位置する。
【0181】
前記レーザレーダは小さいガルバノミラー260の回転角度により大きい画角を取得することができる。以下、本実施例のレーザレーダの性能を分析する。
【0182】
本実施例において、前記分数装置420として1×9に分割する一次元ダンマングレーティングを用いてきたが、本発明の他の実施例において、前記分割装置として他のパラメータを有している他の種類の光学素子を用いることもできる。すなわち、本発明は前記構成にのみ制限されるものでない。
【0183】
本実施例において、前記合焦レンズ452の集光により前記複数の第二レーザビームは前記第一反射面450aの中央位置に集光する。前記被探知目標409の表面のいずれか一点に位置する平面は目標平面であり、前記目標平面と前記第一反射面450aの中央位置との間の距離は1である。注意されたいことは、本実施例において、前記目標平面は水平面に垂直である。
【0184】
図12~
図14を一緒に参照すると、その図面には、
図9のレーザレーダの実施例においてガルバノミラーの振動が異なる時刻に前記複数の第二レーザビームが前記目標平面に形成したスポットが示されている。
【0185】
前記目標平面に直角座標系を構築する。構築された直角座標系は2つずつ相互に垂直であるx方向、y方向及びz方向を含む。その直角座標系において、y方向は前記分光装置420のグレーティング周期方向に平行である。即ちy方向は前記分光装置420の分光方向に平行である。
【0186】
図12に示すように、本実施例において、前記分光装置420の分光により形成された複数の第二レーザビームは、前記第一反射面450aに反射された後、前記目標平面に投射されることにより複数のスポット441が形成される。前記複数のスポット441は前記目標平面に形成される1×9のスポット配列であり、前記スポット配列はy方向に沿う配列周期dyを有している。即ちy方向において隣接しているスポット441の間の間隔はdyである。
【0187】
注意されたいことは、本実施例において、計算を簡略化するため、前記振動回転軸は水平面に平行であり、且つ前記第一反射面450aが前記振動回転軸を回転軸として時計回りの方向に回転する時前記ガルバノミラー450の回転角度は正の値であり、前記第一反射面450aが前記振動回転軸を回転軸として反時計回りの方向に回転する時前記ガルバノミラー450の回転角度は負の値であると仮定する。
【0188】
1つの第二レーザビームにおいて、入射角度が変化しない場合、前記ガルバノミラー450がθ弧度回転すると、前記第一反射面450aの法線方向の回転角度は+θ弧度であり、光学反射原理により前記第一反射面450aに反射された第二レーザビームの回転角度は2θ弧度である。
【0189】
図13に示すように、前記ガルバノミラー450がθ=dy/4l弧度回転する時、前記第一反射面450aに反射された第二レーザビームの回転角度は2θ=dy/2l弧度であり、回転後の第二レーザビームは前記目標平面にスポット442を形成する。スポット442はスポット441のyの正方向の一側に位置し、スポット442とスポット441との間の間隔は約dy/2である。
【0190】
図14に示すように、前記ガルバノミラー450がθ=-dy/4l弧度回転する時、前記第一反射面450aに反射された第二レーザビームの回転角度は2θ=-dy/2l弧度であり、回転後の第二レーザビームは前記目標平面にスポット443を形成する。スポット443はスポット441のyの負方向の一側に位置し、スポット443とスポット441との間の間隔は約dy/2である。
【0191】
図13と
図14から分かるように、前記ガルバノミラー450の回転角度が-dy/4l弧度~dy/4l弧度との間にある時、接続されている2つの第二レーザビームの間の区域はいずれも前記第二レーザビームにより走査されることができる。したがって、前記レーザレーダの画角は前記ガルバノミラー450の最大回転角度と前記ガルバノミラー450に反射された複数の第二レーザビームの間の最大角との合計である。
【0192】
本実施例において、前記分光装置420として1×9に分割する一次元ダンマングレーティングを用いる。y方向において、前記レーザレーダの画角は9dy/1弧度である。具体的に、dy/1=10°である場合、前記ガルバノミラー450の最大回転角度は5°であり、前記レーザレーダのy方向に沿う画角は90°である。したがって、前記ガルバノミラーと分光装置の組み合わせることにより、小さいガルバノミラーの回転角度により大きい画角を取得することができる。また、画角の要求が同様である場合、ガルバノミラーの回転角度を効果的に小さくし、ガルバノミラーの回転周期を小さくすることができ、それによりレーザレーダの走査フレームレートの向上に寄与することができる。
【0193】
本実施例において、前記振動回転軸が前記伝播平面に平行であるとともに前記第一反射面450aに平行である時、前記ガルバノミラー450が前記振動回転軸を回転軸として回転することにより、レーザレーダの走査回転軸に垂直な方向に沿う画角を増加させることができる。前記振動回転軸と前記伝播平面との間の夾角が鋭角である時、前記ガルバノミラー450が前記振動回転軸を回転軸として回転することにより、レーザレーダの走査回転軸に垂直な方向及び前記走査回転軸に平行な方向に沿う画角を増加させることができる。
【0194】
本発明の他の実施例において、前記分光装置として二次元ダンマングレーティングを用いることもできる。前記振動回転軸が前記第一反射面に垂直でない時、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、小さいガルバノミラーの回転角度によりレーザレーダは走査回転軸に垂直な方向及び前記走査回転軸に平行な方向に沿う大きい画角を有し、前記複数の第二レーザビームの伝播範囲を効果的に拡大し、レーザレーダの各方向に沿う角分解能と画角の増加に寄与することができる。
【0195】
図15は本発明の第五実施例に係るレーザレーダの構造を示す図である。
【0196】
本実施例と前記実施例の同一点について本発明は再び説明しない。本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記発射装置510は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に発射することにある。
【0197】
前記分光装置520は各第一レーザビーム510aを複数の第二レーザビーム520bに分割することができる。したがって、伝播方向が異なっている複数の第一レーザビーム510aを形成することにより第二レーザビーム520bの数量を増加させることができ、且つ伝播方向が異なっている第一レーザビーム510aにより形成される第二レーザビーム520bの伝播方向は異なっていることによりレーザレーダの角分解能を更に増加させることができる。
【0198】
具体的に、
図15に示すように、本実施例において、前記発射装置510は、出光方向が相互に平行である複数のレーザー511と、複数のレーザー511が形成する第一レーザビームを前記分光装置520に集光させる収束レンズ512とを含む。
【0199】
前記収束レンズ512は、出光方向が同じである複数のレーザー511が、前記分光装置520に集光する第一レーザビーム510aを形成するようにする。それにより前記複数のレーザー511の取付けの難易度を低減し、伝播方向が異なっている複数の第一レーザビーム510aを形成することができる。また、前記複数のレーザー511の取付けの難易度を効果的に低減し、取付けコストの低下に寄与し、前記第一レーザビーム510aの光路の正確性を効果的に向上させ、前記レーザレーダの探知正確性と探知精度の向上に寄与することができる。
【0200】
本実施例において、前記レーザレーダは複数のビーム拡大コリメート装置(図示せず)を更に含み、前記複数のビーム拡大コリメート装置は前記複数のレーザー511と一対一で対応し、前記ビーム拡大コリメート装置は対応するレーザーが形成する第一レーザビームに対してビーム拡大とコリメートをそれぞれ行う。
【0201】
具体的に、本実施例において、前記収束レンズ512の光軸と前記分光装置520の光軸は重なる。前記複数のレーザー512の出光方向は前記収束レンズ512の光軸に平行である。
【0202】
したがって、前記複数のレーザー512が形成する複数の第一レーザビーム510aは、相互に平行であり、前記収束レンズ512の光軸に平行である。前記複数の第一レーザビーム510aは前記収束レンズ512を透過した後前記分光装置520に集光し、且つ異なる第一レーザビーム510aと前記分光装置520の光軸との間の夾角はいずれも異なっている。したがって、各第一レーザビーム510aが形成する複数の第二レーザビーム520aと前記分光装置520光軸との間の夾角も異なるので、前記レーザレーダの角分解能と画角を大きくする目的を達成することができる。
【0203】
具体的に、本実施例において、前記複数のレーザー510は水平面に垂直な方向に配列され、前記分光装置520の分光方向は水平面に垂直である。したがって、前記複数の第一レーザビーム510aが形成されることにより、前記レーザレーダの垂直画角を効果的に拡大し、前記レーザレーダの垂直角分解能を向上させることができる。
【0204】
注意されたいことは、本実施例において、前記分光装置520から前記収束レンズ512の焦点平面までの距離は前記収束レンズ512の焦点深度の半分より小さい。具体的に、前記分光装置520は前記収束レンズ512の焦点平面に位置する。
【0205】
本実施例において、前記分光装置520は二次元グレーティングである。具体的に、前記分光装置520は二次元ダンマングレーティングである。また、前記分光装置520は光軸に平行な調節軸を回転軸として回転することができる。
図16は、本実施例の前記分光装置520が前記調節軸を回転軸として回転する前後に前記目標平面に形成されるスポットの分布を示す図である。それから分かるように、前記複数の第一レーザビームの形成と前記分光装置520の回転を組み合わせることにより、前記レーザレーダの角分解能を効果的に向上させ、前記レーザレーダの画角を効果的に広げることができる。
【0206】
注意されたいことは、本実施例において、前記発射装置は前記収束レンズ512により伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを形成する。
図17に示すように、本発明の他の実施例において、前記発射装置は複数のレーザー611を含むことができる。前記複数のレーザー611の出光方向は少なくとも2つずつ交差し、即ち前記複数のレーザー611の出光方向は平行でないか或いは異なることができる。それにより、光学素子の数量を効果的に減少させ、前記レーザレーダの光路を簡略化することができる。
【0207】
注意されたいことは、前記実施例において、前記分光装置としてダンマングレーティングを用いてきたが、それは本発明の例示にしか過ぎないものである。本発明の他の実施例において、前記分光装置として、光ファイバビームスプリッダ、平面回折グレーティング又はブレーズドグレーティング等を含む他の光学素子を用いるか或いは設計により所定の機能を実施することができるフォトニックス結晶素子を用いることができる。また、前記分光装置は複数の光学素子(例えばレンズ、分光器等)で構成される光学システムであることもできる。前記分光装置は、光線の屈折、反射、回折又は干渉により1つの第一レーザビームを伝播方向が異なっている複数の第二レーザビームに分割することができる任意の光学システム又は光学機器であることができる。
【0208】
平面回折グレーティング、ブレーズドグレーティングは通常、一次元グレーティングである。本発明の実施例において、前記分光装置として平面回折グレーティング、ブレーズドグレーティングを用いる時、前記レーザレーダは走査機器を更に含むことにより前記レーザレーダの水平方向と垂直方向における画角と角分解能を確保する。
【0209】
本発明はレーザレーダの作動方法を更に提供する。
【0210】
前記レーザレーダの作動方法は以下のステップを含む。まずステップS100においてレーザレーダを提供する。
図2~
図4を参照すると、前記レーザレーダは、第一レーザビーム110a(
図3に示す)を形成する発射装置110(
図3に示す)と、第一レーザビーム110aを異なる方向に伝播する複数の第二レーザビーム120b(
図3に示す)に分割しかつ前記第二レーザビーム(
図3に示す)が被探知目標(図示せず)に反射されることによりエコービーム130c(如
図4所示)を形成する分光装置120(
図3に示す)と、前記エコービーム130cを受信する受信装置130(
図3に示す)とを含む。
【0211】
前記レーザレーダの具体的な技術方案は前記レーザレーダの具体的な実施例を参照することができるので、本発明はそれを再び説明しない。
【0212】
具体的に、本実施例において、前記分光装置はダンマングレーティングであり、それにより前記複数の第二レーザビームのうちあるビームの強度が小さすぎることにより検出されにくいことを回避し、前記複数の第二レーザビームの探知距離を効果的に確保し、前記受信装置が前記エコービームを検出する成功率を確保し、前記レーザレーダにより被探知目標を検出する精度と正確性の向上に寄与することができる。
【0213】
次に、ステップS200において、前記発射装置110により第一レーザビーム110aを形成し、前記分光装置120により前記第一レーザビーム110aは伝播方向が異なっている複数の第二レーザビーム120bに分割し、少なくとも一部分の前記第二レーザビーム120bが前記被探知目標に反射されることによりエコービーム130cを形成する。
【0214】
本実施例において、前記発射装置110により第一レーザビーム110aを形成するステップは、前記発射装置110のレーザーを起動させ、かつ当該レーザーにより第一レーザビーム110aを形成することである。
【0215】
その後、ステップS300において、前記受信装置130により前記エコービーム130cを受信する。
【0216】
図4に示すように、前記受信装置は複数の探知機130を含み、各探知機130は対応する第二レーザビーム(図示せず)が被探知目標により反射されることにより形成されるエコービーム130cをそれぞれ受信する。
【0217】
本実施例において、前記受信装置により前記エコービーム130cを受信するステップS300は、前記複数の探知機131で前記エコービーム130cを同時に受信することにより損失を低減し、走査頻度を向上させることを含む。
【0218】
本発明の他の実施例において、前記受信装置により前記エコービームを受信するステップS300は、前記複数の探知機が対応するエコービームを順次に受信することを含むこともできる。具体的に、前記複数の探知機は所定のタイミングに対応するエコービームを受信することにより、異なるエコービームの間の干渉を防止し、前記レーザレーダの探知精度と正確性を確保することができる。
【0219】
前記分光装置120により第一レーザビーム110aを複数の第二レーザビーム120bに分割し、1つのレーザーにより複数の第二レーザビーム120bを取得することができるので、レーザーの数量を大量に減少させ、かつ前記レーザレーダのコスト及び取付けの難易度を低減することができる。前記レーザレーダは、高い画角と角分解能を有し、且つコストが多くかからないという利点を有している。
【0220】
図5は、本発明の第二実施例に係るレーザレーダの作動方法において用いられるレーザレーダの構造を示す図である。
【0221】
本実施例と第一実施例の同一点について本発明は再び説明しない。本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記分光装置220は光軸に平行な調節軸225を有し、前記分光装置220は前記調節軸225を回転軸として回転することにある。
【0222】
したがって、前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置220により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割するステップS200を実施した後、ステップS210において、既定の垂直分解能により前記分光装置220を回転させる。
【0223】
前記分析のとおり、前記分光装置220の回転により前記レーザレーダの角分解能と画角を効果的に調節することができる。したがって、いろいろな環境により既定の分解能を設定することにより、前記レーザレーダの高角分解能と大画角を同時に獲得し、前記レーザレーダの探知精度と正確性の向上に寄与し、前記レーザレーダがいろいろな環境に応用されることを改善することができる。
【0224】
注意されたいことは、本実施例において、前記分光装置220は二次元グレーティングであり、前記分光装置220は第一方向に沿う第一グレーティング周期及び第二方向に沿う第二グレーティング周期を有し、前記第一方向と第二方向は垂直である。前記第一グレーティング周期はd
1であり、前記第二グレーティング周期はd
2であり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置220をm×nに分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に形成された第二レーザビームの数量であり、nは前記第二方向に形成された第二レーザビームの数量である場合、前記分光装置220が前記調節軸225を回転軸として回転する過程において、前記分光装置220の回転角度の範囲は
である。
【0225】
前記分光装置220の回転角度の範囲を適合に調節することにより、レーザレーダの角分解能を大きくし、かつ隣接している第二レーザビームの間の夾角を一致させることができる。それにより第二レーザビームの垂直方向の分布の均一性を向上させ、レーザレーダの性能の改良に寄与することができる。
【0226】
注意されたいことは、本発明の他の実施例において、前記分光装置として一次元グレーティングを用いることもできる。前記分光装置が一次元グレーティングである時、前記分光装置は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有する。前記第一グレーティング周期はdであり、前記第一レーザビームの波長はλであり、前記分光装置はm×1に分割するグレーティングであり、mは前記第一方向に沿うレーザビームの分割数である場合、前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する過程において、前記分光装置の回転角度は
より小さい。その式において、αは既定の画角である。前記分光装置が前記調節軸を回転軸として回転する過程において前記分光装置の回転角度を適合に制御することにより、画角を既定の画角αより大きくすることができる。それによりレーザレーダが高い角分解能を有することを確保し、かつレーザレーダは大きい画角を有することができる。具体的に、本発明の実施例において、前記既定の画角αは5°より大きいか或いは等しいことができる。
【0227】
図9~
図11は、本発明の第三実施例に係るレーザレーダの作動方法において用いられるレーザレーダの構造を示す図である。
【0228】
本実施例と前記実施例の同一点について本発明は再び説明しない。本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記レーザレーダは前記第二レーザビームを反射する第一反射面を含むガルバノミラーを更に含み、前記ガルバノミラーは振動回転軸を有し、前記ガルバノミラーは前記振動回転軸を回転軸として回転し、前記振動回転軸と前記第一反射面の法線との間の夾角はゼロより大きいことにある。
【0229】
したがって、本実施例において、前記発射装置により第一レーザビームを形成し、前記分光装置により前記第一レーザビームを前記複数の第二レーザビームに分割するステップS200を実施した後、前記ガルバノミラーを回転させることによりガルバノミラーに反射されてくる第二レーザビームの伝播方向を変更するステップS220を実施する。
【0230】
前記ガルバノミラー450と分光装置420を組み合わせることにより、小さいガルバノミラー450の回転角度により画角を取得することができる。したがって、画角の要求が同様である場合、ガルバノミラー450の回転角度を効果的に小さくし、ガルバノミラー450の回転周期を小さくすることができ、それによりレーザレーダの走査フレームレートの向上に寄与することができる。
【0231】
注意されたいことは、本実施例において、前記分光装置420はグレーティングであり、前記分光装置420は第一方向に沿う第一グレーティング周期を有し、前記ガルバノミラーに反射された第二レーザビームの間の第一方向の最小角はθ1であり、前記走査回転軸は前記第一方向に垂直である。したがって、前記ガルバノミラーを回転させる過程において、ガルバノミラーの回転角度をθ1/2より大きくするか或いは等しくする。前記ガルバノミラー450の小さい回転角度により、前記ガルバノミラー450の振動周期を効果的に短くすることができ、それにより前記レーザレーダの走査フレームレートの向上に寄与することができる。
【0232】
図15は、本発明の第四実施に係るレーザレーダの作動方法において用いられるレーザレーダの構造を示す図である。
【0233】
本実施例と前記実施例の同一点について本発明は再び説明しない。本実施例と前記実施例の相違点は、本実施例の前記発射装置は伝播方向が異なっている複数の第一レーザビームを同時に形成し、前記発射装置は複数のレーザーを含むことにある。
【0234】
したがって、前記発射装置510により第一レーザビーム510aを形成するステップS200は、既定の分解能により少なくとも1つのレーザーを起動させ、少なくとも1つの第一レーザビームを形成することを含む。
【0235】
前記分析から分かるように、前記分光装置520は一つの第一レーザビーム510aを複数の第二レーザビーム520bに分割することができ、伝播方向の異なる第一レーザビーム510を前記分光装置520により分割した後に形成した複数の第二レーザビーム520bの伝播方向は全く同じではない。
【0236】
レーザーを起動させる数量が多ければ多いほど、前記レーザレーダのエネルギー消費がより高くなり、前記レーザレーダ光学システムの負荷がより高くなる。したがって、既定の分解能によりレーザーを起動させる数量を適合に設定し、起動させるレーザーを適合に選択することにより、使用の分解能の要求を確保する前提において、前記第二レーザビームの利用率を向上させ、前記レーザレーダのエネルギー消費を効果的に制御し、前記レーザレーダ光学システムの負荷を効果的に減少させ、エネルギー節約と使用時間の延長に寄与し、損失低下と耐用年数の延長に寄与し、角分解能とエネルギー消費を同時に改善することができる。