(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】複数のデバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/06 20060101AFI20230731BHJP
C23C 14/54 20060101ALI20230731BHJP
A61B 5/1473 20060101ALI20230731BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C23C14/06 N
C23C14/54 B
A61B5/1473
A61B5/1486
(21)【出願番号】P 2020542980
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 US2019016926
(87)【国際公開番号】W WO2019157106
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-02-04
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595038051
【氏名又は名称】メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン アキル
(72)【発明者】
【氏名】ワン イフェイ
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507486(JP,A)
【文献】特開2008-240040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0234736(US,A1)
【文献】特表2018-503080(JP,A)
【文献】特表2012-517597(JP,A)
【文献】特表2009-532700(JP,A)
【文献】特表2014-504521(JP,A)
【文献】特開2012-117127(JP,A)
【文献】特開2012-178579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166612(US,A1)
【文献】特開2008-232806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 -14/58
H01L 21/285
H01L 21/203
A61B 5/1473
A61B 5/1486
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスを製造する方法であって、
基板
を物理蒸
着チャンバに配置することと、
前記
物理蒸着チャンバ内のガスの圧力を
2~250ミリトール(mTorr)の範囲に設定することと、
前記圧力下で
物理蒸着を使用して前記基板に金属を堆積させ
て、前記基板に前記金属を接着させること
であって、前記基板に前記金属が直接接触し、ピラーを含む少なくとも1つの構造化層として前記金属を堆積させることと、
前記金属上に膜を堆積させることと、
前記
金属が前記基板に接着されている間に前記膜を
複数の前記デバイスに加工する
ことであって、
前記加工は、各前記デバイスが前記金属の一部を含むように前記金属を切断することと、
切断後に各前記デバイスを前記基板から取り外すことと
であって、各前記デバイスが前記基板から取り外された前記金属の露出表面をそれぞれ含み、
前記金属の前記露出表面が検体の濃度を感知するために生体内に配置される電極を構成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記金属が、それぞれ異なる圧力で堆積された複数の層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属が、50~250mTorrの範囲の圧力で前記基板上に堆積された第1の層と、2~50mTorrの範囲の圧力で前記第1の層上に堆積された第2の層とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
物理蒸着が、
前記ガスをイオン化してイオン化ガス粒子を形成することと、
1
0ワット~100キロワットの範囲の電力を有する電場および/または磁場を使用して、前記金属を含むターゲット上に前記イオン化ガス粒子を加速することと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属が、少なくとも100Åの厚さを有する層を含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属が、600~1500Åの範囲の厚さを有する層を含み、前記
物理蒸着が、スパッタリングである、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイス
の前記電極が、電気化学的に活性な表面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力が、
前記
物理蒸着中に使用された前記圧力の関数として、前記基板への前記
金属の接着度を測定することと、
前記
金属の前記基板への所望の接着を達成する前記圧力を決定することと、を含む方法を使用して決定され
、
前記所望の接着は、前記金属が前記基板に接着されている間に前記膜を複数の前記デバイスに加工可能であり、かつ各前記デバイスを前記基板から取り外すことができる接着である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記決定することが、
複数の
物理蒸着のパラメータの関数として前記接着度を測定して、他の
物理蒸着パラメータと比較した、前記接着度に対する前記圧力の相対的な影響を決定することをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属の厚さ、前記金属の層の数、および前記
物理蒸着中に使用される電力から選択される少なくとも1つの物理蒸着パラメータを制御することと、
前記少なくとも1つの
前記物理蒸着パラメータの関数として、前記基板への前記
金属の
前記接着度を測定することと、をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に堆積された膜の接着を制御する方法およびそれを使用して製造されたデバイスに関する。
関連出願の相互参照
この出願は、2018年2月8日に出願された米国特許出願第15/892,172号の第120条に基づく優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電気化学センサは、グルコースなどの生体内検体の濃度を検出または測定するために一般的に使用される。典型的には、そのような検体感知システムでは、検体(またはそれに由来する種)は電気活性であり、センサの電極で検出可能な信号を生成する。そして、この信号は、生体サンプル内の検体の存在または濃度と相関する。いくつかの従来のセンサでは、測定される検体と反応する酵素が提供され、反応の副産物は電極で適格化または定量化される。従来のグルコースセンサの1つでは、固定化グルコースオキシダーゼがグルコースの酸化を触媒して過酸化水素を形成し、この過酸化水素は、次いで1つ以上の電極を介した電流測定(電流の変化など)によって定量化される。
【0003】
様々な電気化学的グルコースセンサは多層であり、様々な材料の層の上におよび/または様々な材料の層によってコーティングされた電極を備える。多層センサは、特定の設計パラメータ(例えば、内部層の数、層の厚さ、電極面積、アーキテクチャなど)を変更することにより、そのようなセンサの機能特性を調整できるという事実を含む、多くの望ましい特性を有している。しかしながら、本発明の発明者らは、従来のセンサにおけるアノードとカソードとの間の望ましくない相互作用がセンサ性能を低下させることを見出した。したがって、不要なカソードとアノードの相互作用を低減または防止し、それによってセンサの性能を向上させるセンサの製造方法および電極構造が必要である。本開示は、この必要性を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2005/0115832号
【文献】米国特許出願公開第2005/0008671号
【文献】米国特許出願公開第2007/0227907号
【文献】米国特許出願公開第2004/0025238号
【文献】米国特許出願公開第2011/0319734号
【文献】米国特許出願公開第2011/0152654号
【文献】米国特許出願第13/707,400号
【文献】米国特許第6,001,067号
【文献】米国特許第6,702,857号
【文献】米国特許第6,212,416号
【文献】米国特許第6,119,028号
【文献】米国特許第6,400,974号
【文献】米国特許第6,595,919号
【文献】米国特許第6,141,573号
【文献】米国特許第6,122,536号
【文献】米国特許第6,512,939号
【文献】米国特許第5,605,152号
【文献】米国特許第4,431,004号
【文献】米国特許第4,703,756号
【文献】米国特許第6,514,718号
【文献】米国特許第5,985,129号
【文献】米国特許第5,390,691号
【文献】米国特許第5,391,250号
【文献】米国特許第5,482,473号
【文献】米国特許第5,299,571号
【文献】米国特許第5,568,806号
【文献】米国特許第5,494,562号
【文献】米国特許第6,120,676号
【文献】米国特許第6,542,765号
【文献】米国特許第7,033,336号
【文献】国際出願公開2001/058348号
【文献】国際出願公開2004/021877号
【文献】国際出願公開2003/034902号
【文献】国際出願公開2003/035117号
【文献】国際出願公開2003/035891号
【文献】国際出願公開2003/023388号
【文献】国際出願公開2003/022128号
【文献】国際出願公開2003/022352号
【文献】国際出願公開2003/023708号
【文献】国際出願公開2003/036255号
【文献】国際出願公開2003/036310号
【文献】国際出願公開2008/042625号
【文献】国際出願公開2003/074107号
【文献】欧州特許第1153571号
【文献】米国特許出願公開第2010/335506号
【文献】米国特許出願公開第2007/0163894号
【文献】米国特許第4,562,751号
【文献】米国特許第4,678,408号
【文献】米国特許第4,685,903号
【文献】米国特許第4,573,994号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Richard F.Taylor(編集者)、発行者:Marcel Dekker、1991年1月7日のタンパク質固定化:基礎と応用(バイオプロセステクノロジー、Vol 14)の表1、15-29ページおよび/または表18、111~112ページ)
【発明の概要】
【0006】
本開示は、物理蒸着(PVD)プロセスを通じて金属膜の接着を制御するために開発された技術について報告する。複数の実験計画法(DOE)を通じて様々なPVDパラメータを評価した。意外にも驚くべきことに、圧力が接着に最大かつ最も顕著な影響を与えるということが発見され、PVD中の圧力を制御および変更することにより、様々なレベルの接着が達成された。
【0007】
例示的な一実施形態では、基板上に膜を堆積させる方法は、基板をPVDチャンバ内に配置することと、チャンバ内のガスの圧力を設定することと、その圧力下でPVDを使用して基板に金属を堆積させることと、金属上に膜を堆積させることと、を含む。圧力は、基板への膜の所定の接着に関連付けられており、所定の接着は、膜が基板に接着されている間に膜を1つ以上のデバイスに加工(例えば、切断)することと、基板からそのデバイスを取り外すこととを可能にする。1つ以上の例では、圧力は2~250ミリトール(mTorr)の範囲にあり、PVD電力は10Wキロワット~100キロワットの範囲にあり、金属は、少なくとも100Å(例えば、600~1500Åの範囲)の厚さを有する層を含む。1つ以上の実施形態では、金属は、それぞれが異なる圧力で堆積された複数の層(例えば、50~250mTorrの範囲の圧力で基板上に堆積された第1の層および2~50mTorrの範囲の圧力で第1の層上に堆積された第2の層)を含む。
【0008】
本開示はさらに、高度に制御可能な方法で基板/表面への表面領域接触を低減するという、金属膜における粗いまたは柱状の構造体の堆積が、堆積圧力が調節されるときの接着を制御するのに際しどのように役立つかについて報告する。したがって、1つ以上の例では、金属は、パターン化層、粗面化層、不均一層、ボイドを含む層、およびピラーを含む層から選択される少なくとも1つの構造化層である。
【0009】
一例では、圧力調節を伴うPVD堆積を使用して、グルコースセンサ用の裏面対向電極(BCE)を製造する。ここで、金属とガラス基板との接着は、加工とレーザ切断に耐えるのに十分強力であるが、組立プロセスのガラス基板からの物理的な取り外しを容易にするのには十分弱い。
【0010】
また、ここでは、PVDプロセスを使用して、センサフレックスの上面と背面の両方に電極を作成し、配置する。従来の方法では、電極をセンサフレックスの上面にのみ配置している。したがって、本発明の実施形態は、1つのデバイス内に複数のセンサフレックスを有する必要性を排除する。一例では、対向電極は、フレックスの裏面に配置され、作用電極は、センサフレックスの上面にとどまる。対向電極の例示的な電極表面金属としては、金、プラチナ、銀などが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、作用電極の従来の電気めっきプラチナ層は、プラチナピラーを含む層で置き換えられ、従来、電気めっきされた参照電極は、スクリーン印刷または分注された銀-塩化銀などを含む参照電極に置き換えられる。
【0011】
より一般的には、ここで説明する接着制御方法の用途には、例えば、フレキシブル回路アレイ、微小電気機械(MEMS)デバイス、半導体デバイス、および生体用電極(神経、心臓、グルコース、乳酸の電極など)の製造中または加工中での、接着が特定のプロセスの重要な要素であるデバイスの製造が含まれる。
【0012】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、限定ではなく例示として与えられていることを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内の多くの変更および修正を行うことができ、本発明はそのようなすべての修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】1つ以上の実施形態による、反対側にWEおよびCEを有する電流測定センサを示す。
【
図1B】1つ以上の実施形態による、反対側にWEおよびCEを有する電流測定センサを示す。
【
図1C】1つ以上の実施形態による、反対側にWEおよびCEを有する電流測定センサを示す。
【
図1D】1つ以上の実施形態による、反対側にWEおよびCEを有する電流測定センサを示す。
【
図1E】本発明の1つ以上の実施形態による、デバイスの同じ側にあるが少なくとも1マイクロメートルインチの距離Dだけ離れているWEおよびCEを有する電流測定センサを示す。
【
図1F】互いに入り組んだ作用電極および対向電極と、参照電極とを有する制御センサの構造(作用電極、対向電極、および参照電極は、片側のみにあり、望ましくない電極相互作用を示すほどに十分に接近している)を示す。
【
図1G】本発明の1つ以上の実施形態による、反対側に電極を備えるセンサを示す。
【
図1H】電流測定センサで使用される複数の平面層状要素を示す。
【
図2】本発明の実施形態での使用に適合させることができる要素である、あるタイプの皮下センサ挿入セット、遠隔測定特性モニタ送信機デバイス、およびデータ受信デバイスを示す斜視図を提供する。
【
図3】本発明の実施形態において電流を測定するために使用され得るポテンシオスタットの概略図を示す。
図3に示されるように、ポテンシオスタット300は、2つの入力:VsetおよびVmeasuredを有するように電気回路内で接続されるオペアンプ310を含んでもよい。示されているように、Vmeasuredは、参照電極と作用電極との間の電圧の測定値である。一方、Vsetは、作用電極と参照電極との間の最適な望ましい電圧である。対向電極と参照電極との間の電流が測定され、ポテンシオスタットから出力される電流測定値(isig)が生成される。
【
図4】本発明の1つ以上の実施形態による、スパッタリングを使用して材料を堆積させるための装置を示す。
【
図5】本発明の1つ以上の実施形態による、ガラス基板上の層スタックを含む試験サンプルを示す。
【
図6A】ガラス基板上の層スタックに適用されたナイフスクラッチまたはレーザ切断マークの様々なパターンA~Eを示し、それらは、本発明の1つ以上の実施形態によるグルコースセンサの電極の処理中に施され得るマークとカットのタイプをシミュレートしている。
【
図6B】ガラス基板の銀層に施されたパターンを示しており、ガラスへの銀の接着が弱すぎて銀層のマーキングを再現できないことを示している。
【
図7A】本発明の1つ以上の実施形態による、異なるスパッタリング条件下で製造されたサンプルに割り当てられた異なる接着スコアを示す。
【
図7B】本発明の1つ以上の実施形態による、異なるスパッタリング条件下で製造されたサンプルに割り当てられた異なる接着スコアを示す。
【
図7C】本発明の1つ以上の実施形態による、異なるスパッタリング条件下で製造されたサンプルに割り当てられた異なる接着スコアを示す。
【
図7D】本発明の1つ以上の実施形態による、異なるスパッタリング条件下で製造されたサンプルに割り当てられた異なる接着スコアを示す。
【
図8B】本発明の1つ以上の実施形態による、金ピラーを有する試験サンプルを示す。
【
図9】本発明の1つ以上の実施形態による、ガラス基板と金層との間の柱状界面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図10A】本発明の1つ以上の実施形態による、様々なスパッタリング条件を使用して、および例示的な電極パターンでレーザ切断した後に製造された試験サンプル上の膜を示す。
【
図10B】本発明の1つ以上の実施形態による、様々なスパッタリング条件を使用して、および例示的な電極パターンでレーザ切断した後に製造された試験サンプル上の膜を示す。
【
図10C】本発明の1つ以上の実施形態による、様々なスパッタリング条件を使用して、および例示的な電極パターンでレーザ切断した後に製造された試験サンプル上の膜を示す。
【
図10D】本発明の1つ以上の実施形態による、様々なスパッタリング条件を使用して、および例示的な電極パターンでレーザ切断した後に製造された試験サンプル上の膜を示す。
【
図11】本発明の1つ以上の実施形態による、金層とガラス基板との間の界面で金ピラーを使用して製造されたサンプルの接着に対する圧力、電力、および金の厚さを変化させたときの標準化された影響のパレート図を示す。
【
図12】本発明の1つ以上の実施形態による、圧力、電力、および金の厚さの関数としての平均レートのプロットである。
【
図13】本発明の1つ以上の実施形態による、金層の厚さおよび圧力に対するレートの等高線図である。
【
図14】本発明の1つ以上の実施形態による、ガラス基板上の層スタックを含む別の試験サンプルを示す。
【
図15A】本発明の1つ以上の実施形態による、100mTorrの圧力、1.5kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して5分間にわたって堆積された金層を含む
図6Aの試験サンプル上の膜を示す。
【
図15B】本発明の1つ以上の実施形態による、100mTorrの圧力、1.5kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して5分間にわたって堆積された第1の金層と、4mTorrの圧力、0.2kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して10分間にわたって堆積された第2の金層と、を含む、
図14の試験サンプル上の膜を示す。
【
図15C】2つの金層を有して、
図15Bの条件を使用して堆積された
図14の試験サンプル上の膜が、表面領域上の位置に応じて変化する接着を有することを示す。
【
図15D】2つの金層を有して、
図15Bの条件を使用して堆積された
図14の試験サンプル上の膜が、表面領域上の位置に応じて変化する接着を有することを示す。
【
図15E】2つの金層を有して、
図15Bの条件を使用して堆積された
図14の試験サンプル上の膜が、表面領域上の位置に応じて変化する接着を有することを示す。
【
図16】本発明の1つ以上の実施形態による、スパッタリングレートに対して圧力、電力、および金の厚さを変化させたときの標準化された影響のパレート図を示す。
【
図17】本発明の1つ以上の実施形態による、圧力、電力、および金の厚さの関数としてのスパッタリングレートの平均のプロットである。
【
図18】本発明の1つ以上の実施形態による、スパッタリング電力(kW)および圧力(mTorr)に対するスパッタリングレートの等高線図である。
【
図19】本発明の1つ以上の実施形態による、センサまたはセンサフレックスを製造する方法を示すフローチャートである。
【
図20】本明細書に記載されているPVD法を使用した裏面対向電極センサの実施形態の製造を示す。
【
図21A】制御センサ(
図1Fに示すセンサ130)のSITS結果を電流(ISIG)の時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
【
図21B】制御センサ(
図1Fに示すセンサ130)のSITS結果を電流(ISIG)の時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
【
図21C】Vcounterを時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
図21A~21Cの異なるトレースは、異なるセンサの結果を表す。
【
図21D】本発明の1つ以上の実施形態による、
図1Gのセンサ(
図1Dのセンサの性能を表す)のSITS結果を示し、ISIGを時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
【
図21E】本発明の1つ以上の実施形態による、
図1Gのセンサ(
図1Dのセンサの性能を表す)のSITS結果を示し、ISIGを時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
【
図21F】Vcounter(対向電極の電圧)を時間の関数(5月の日付)としてプロットした図である。
図21D~21Fの異なるトレースは、異なるセンサの結果を表しており、
図1Fのセンサと比較した場合の
図1Dのセンサについて、試験のセンサの機能をサポートする滑らかな裏面CE設計の能力と、存続期間にわたってセンサ間の性能のばらつきが大幅に削減され、性能の安定性が向上していることを示す。
【
図22】本発明の1つ以上の実施形態による、センサまたはセンサフレックスを製造する方法を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の1つ以上の実施形態による、
図22のフローチャートを使用してセンサまたはセンサフレックスを製造する方法を示す概略図である。
【
図24】本発明の1つ以上の実施形態による、基板上に膜を堆積させる方法を示すフローチャートである。
【
図25】本発明の1つ以上の実施形態による、基板上にデバイスを作製する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、および他の科学用語または用語は、本発明に関係する当業者によって一般に理解される意味を有することが意図される。場合によっては、一般的に理解される意味を持つ用語は、明確化および/または参照のために本明細書で定義されてもよく、本明細書におけるそのような定義の包含は、当技術分野で一般的に理解されるものに対する実質的な違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書で説明または参照される技法および手順の多くは、当業者によってよく理解されており、従来の方法論を使用して一般的に使用されている。
【0015】
整数(例えば、厚さ)以外の値で数値的に特徴付けることができる値を参照する、本明細書および関連する特許請求の範囲に記載されるすべての数は、「約」という用語によって変更されると理解されたい。値の範囲が提供されている場合、文脈において明確に別段の指示がない限り下限値の単位の10分の1まで、その範囲の上限値と下限値の間の各中間の値、およびその示された範囲のいずれかの他の示されたまたは中間の値が、本発明の範囲内に包含されると理解されたい。これらのより狭い範囲の上限値および下限値は、より狭い範囲に独立して含まれてもよく、これらも本発明内に包含され、示された範囲内でいずれかの明確に除外された境界値に従う。示された範囲が境界値の一方または両方を含む場合、含まれる境界値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。さらに、本明細書で言及されるすべての刊行物は、刊行物が引用されることに関連する方法および/または材料を開示および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示について引用されている。ここでのいかなるものも、発明者が発明のより早い優先日または以前の日付のために刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、実際の刊行日は表示されている日付とは異なる場合があり、別個に検証が必要である。
【0016】
以下で詳細に論じるように、本発明の実施形態は、注目する検体の濃度または流体中の検体の濃度または存在を示す物質の濃度を測定する電気化学センサの使用に関する。いくつかの実施形態では、センサは、持続的なデバイス、例えば、皮下、経皮、または血管内デバイスである。いくつかの実施形態では、デバイスは、複数の間欠的な血液サンプルを分析することができる。本明細書に開示されるセンサの実施形態は、侵襲性、低侵襲性、および非侵襲性の感知技術を含む、任意の既知の方法を使用して、注目する検体の濃度を示す出力信号を提供することができる。典型的には、センサは、生体内または生体外での検体の尺度として、酸素の存在下で検体と酵素との間の酵素反応の生成物または反応物を感知するタイプのものである。そのようなセンサは、典型的には、検体が移動する酵素を取り囲むメンブレンを含む。次いで、生成物は、電気化学的方法を使用して測定され、それにより、電極システムの出力が、検体の測定値として機能する。
【0017】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、例えば、糖尿病患者の血糖値の皮下または経皮モニタリングで使用されるタイプのセンサを提供する。様々な埋め込み型の電気化学バイオセンサが、糖尿病および他の生命を脅かす疾患の治療のために開発されている。多くの既存のセンサ設計は、生体特異性を達成するために何らかの形の固定化酵素を使用する。本明細書で説明する本発明の実施形態は、多種多様な既知の電気化学センサ素子、例えば、特許文献1~44(これらのそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものを含んだ電気化学センサ素子に適合しかつ実装することができる。
【0018】
A.本発明の例示的な実施形態および関連する特性
物理蒸着(PVD)金属膜の制御可能な接着は、MEMSおよび半導体産業全体、さらにはフレックス回路用途全体に広がった課題と問題である。様々な用途で、金属膜は、堆積する表面/基板への非常に特定のレベルの接着を維持する必要となることが多い。あるケースでは強い接着が必要となる一方、他の用途では弱い接着が必要となる。最も困難なケースでは、弱い接着と強い接着の混合が必要となる一方で、その接着力は、用途の特定の側面に耐えるのに十分強いが、用途の他の側面が適切に機能するのには十分弱い。
【0019】
本明細書に示されるように、本開示は、表面/基板上に堆積されたPVD膜の接着を調整および制御するための効率的な方法を説明する。PVD堆積因子と接着特性への影響を評価する包括的な一連の研究が行われ、圧力が接着を調整するための非常に重要な因子であることが発見された。この単一の要素は、PVD堆積の主要な要素であり、PVDプロセスにおいて制御可能である。そのため、圧力は、膜の接着を制御するために利用する理想的な要素である。本明細書で説明される例示的な方法は、薄いまたは厚い膜を堆積させるために利用されるすべてのPVDシステムに適用可能である。
【0020】
デバイスの観点から特に興味深いのは、圧力調節を使用して接着を制御することで、PVD層がキャリア基板と直接接触して堆積されてかつ接着メトリックに基づいて剥離することのできる、デバイスの製作と製造が可能になることである。
図1Aは、限定されないが、電極が単一のセンサフレックスの両側(上面および背面)にある連続グルコースモニタリング(CGM)センサなどの糖尿病用途に有用なデバイスなどの例を示す。本明細書に示されるように、圧力調節は、裏面電極のキャリア基板への接着を調整するための非常に効率的なアプローチを提供し、下流の製造プロセス全体の特定の時点での剥離を可能にする。センサフレックスの両側にある各電極のコンタクトパッドを配置することで、送信機への接続スキームの配列を広げることができる。さらに、接着の調整を使用して、裏面電極に新しく追加される処理ステップの量を最小限に抑えることができる。全体として、本明細書に示されている接着制御は、従来のセンサと比較して、大幅なマージンにより製造の複雑さを削減するために使用することができる。
【0021】
重要なことに、本明細書に記載されている接着を制御する新規の方法は、PVDに関連する標準的な材料、機器、設備を使用して達成できる。
【0022】
本明細書に開示される電極を含む検体センサを形成するための方法は、いくつかのステップを含むことができる。例えば、そのような方法は、ベース基板上に作用電極、対向電極および参照電極を形成すること、ならびに/またはベース基板上に複数のコンタクトパッドを形成すること、ならびに/またはベース基板上に複数の電気導管を形成することを含むことができる。本発明の特定の実施形態では、方法は、本質的に1つの作用電極、1つの対向電極、および1つの参照電極からなるユニットで集合した複数の作用電極、対向電極、および参照電極を形成することを含む。電極は、ベース基板上に形成され、これらの集合したユニットは、ユニットの繰り返しパターンでベース基板の少なくとも1つの長手方向アームに長手方向に分布している。そのような方法では任意選択で、作用電極は、ベース基板上に配置された導電性部材のアレイとして形成され、導電性部材は、円形であり、直径が10μm~400μmであり、アレイは、少なくとも10個の導電性部材を含む。方法は、作用電極上に検体感知層を形成することをさらに含むことができ、検体感知層は、検体の存在下で作用電極における電流を検出可能に変化させる。典型的には、これらの方法はまた、検体感知層上に検体調節層を形成することを含み、検体調節層はそれを通る検体の拡散を調節する。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に開示されるスパッタリングプロセスを使用して形成された金属電極組成物を保持するウェルを含むベース基板を含む検体センサ装置である。そのような実施形態では、プラチナ組成物の構造体は、中央平面領域と、中央平面領域を囲むエッジまたはリッジ状領域とを含むように形成される。そのような実施形態では、エッジにおける金属組成物の厚さまたは高さは、中央平面領域における金属組成物の平均厚さの2倍未満である。本発明の特定の実施形態では、ウェルは、ウェルを囲むリップを含み、金属組成物のエッジ領域は、ウェルのリップの下にある。通常、これらの実施形態では、両方の中央平面領域がセンサの作用電極の電気活性表面を形成する。本発明のセンサの実施形態は、典型的には、作用電極上にコーティングされた材料の追加の層、例えば、作用電極上に配置された検体感知層であって、検体の存在下で作用電極の電流を検出可能に変化させる検体感知層と、検体感知層の上に配置されてそれを通る検体の拡散を調節する検体調節層と、を含む。
【0024】
本発明の典型的な実施形態では、電極は、誘電体材料(例えば、ポリイミド)を含むベース基板のウェルに形成される。典型的には、ウェルは、ウェルの底部に配置された導電性材料(例えば、Au)を含む。任意選択で、ベース基板のウェルは長方形または円形である。本発明の特定の実施形態では、ベース基板は、マイクロアレイに形成された少なくとも10、20、または30個のウェルを含む。典型的なセンサの実施形態では、ベース基板は、ウェルを取り囲むリップを含むウェルを含むように形成される。本明細書に開示される特定のプロセスでは、金属組成物は、金属組成物がウェルのリップの下になるようにスパッタされる。さらに、様々な異なる導電性要素をベース基板上に配置することができる。本発明のいくつかの実施形態では、ベース基板は、本質的に1つの作用電極、1つの対向電極、および1つの参照電極からなるユニットで集合した複数の参照電極、複数の作用電極、および複数の対向電極を含み、集合したユニットは、ユニットの繰り返しパターンでベース基板上に長手方向に分布している。
【0025】
本発明の実施形態は、本明細書に開示されるセンサ装置とともに使用するように設計されたさらなる要素、例えば、ベース基板上に配置されたスパッタ電極から得られた電気信号データを分析するように設計されたものを含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体センサ装置は、プロセッサと、実行時にプロセッサに少なくとも1つの作用電極から得られた電気化学信号データを評価させ、次いで、作用電極から得られた電気化学信号データに基づいて検体濃度を計算させる命令を有するコンピュータ可読プログラムコードと、を含む。本発明の特定の実施形態では、プロセッサは、例えば、異なる電極を適合させて異なる検体を感知し、および/または単一検体の異なる濃度範囲に焦点を合わせるために、および/または、偽のセンサ信号(例えば、センサノイズ、干渉化合物などによって引き起こされる信号)を識別または特徴付けて、センサ読み取り値の精度を高めるために、複数の作用電極から得られる電気化学信号データを比較する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、ベース構造体は、フォトリソグラフィックマスクおよびエッチングプロセスでの使用に適した、フレキシブルであるが剛性かつ平坦な構造体を含む。これに関して、ベース構造体は、典型的には、高度に均一な平坦性を有する少なくとも1つの表面を含む。ベース構造体材料は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムおよびニッケルチタン記憶合金(例えば、NITINOL)などの金属、ならびにデルリンなどのポリマー/プラスチック材料を含むことができる。ベース構造体材料は、誘電体材料から形成されること、または誘電体材料でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、ベース構造体は、非剛性であり、例えばポリイミドなどのプラスチックなどの電気要素(例えば電極、トレースなど)をパターン化するための基板として使用される膜または絶縁層とすることができる。本発明の方法における最初のステップは、典型的には、センサのベース基板の形成を含む。任意選択で、材料の平面シートは、センサの製造中にガラスまたはセラミック板などの支持体上に形成および/または配置される。ベース構造体は、PVDによって支持体(例えば、ガラス板)上に配置することができる。次に、フォトリソグラフィおよび/または化学マスクおよびエッチングの一連の工程が続き、導電性構成要素を形成することができる。例示的な形態では、ベース基板は、電気要素をパターン化するために使用されるポリイミド基板などの絶縁材料の薄膜シートを含む。ベース基板構造体は、炭素、窒素、酸素、シリコーン、サファイア、ダイヤモンド、アルミニウム、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な元素の1つ以上を含むことができる。
【0027】
本発明の方法は、1つ以上の感知要素として機能するベース基板上に導電層を形成することを含む。典型的には、これらの検知要素には、活性電極の形状を定義するためのフォトリソグラフィ、エッチング、リンスなど、当技術分野で知られている様々な方法の1つで形成される電極、電気導管(トレースなど)、コンタクトパッドなどが含まれる。次いで、電極を、例えば作用電極にスパッタされたPtブラックを使用することにより、規定された構造を有する電気化学的に活性な材料から作製することができる。次いで、検体感知酵素層などのセンサ層を、電気化学的堆積またはスピンコーティングなどの電気化学的堆積以外の方法によって感知層上に配置した後、例えばジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドで蒸気架橋することができる。
【0028】
本発明の例示的な実施形態では、ベース基板は、最初に、電極堆積、表面スパッタリング、または他の適切なパターン化または他のプロセスステップによって、薄膜導電層でコーティングされる。一実施形態では、この導電層は、ポリイミドベース基板への化学的接着に適した最初のクロム系の層、その後の薄膜金系およびクロム系の層を順に形成することなど、複数の薄膜導電層として提供されてもよい。代替の実施形態では、他の電極層の構造または材料を使用することができる。次いで、導電層は、従来のフォトリソグラフィ技術に従って、選択されたフォトレジストコーティングで覆われ、コンタクトマスクは、適切なフォトイメージングのためにフォトレジストコーティング上に適用することができる。コンタクトマスクは、通常、フォトレジストコーティングを適切に露光するための1つ以上の導体トレースパターンを含み、その後にエッチング工程が続き、これにより、複数の導電性センサトレースがベース基板上に残る。皮下グルコースセンサとして使用するために設計された例示的なセンサ構造体では、各センサトレースは、作用電極、対向電極、および参照電極などの2つまたは3つの別個の電極に対応する2つまたは3つの平行のセンサ要素を含むことができる。
【0029】
本発明の実施形態は、複数の材料をスパッタ電極(複数可)の表面(複数可)に追加する方法を含む。本発明のそのような一実施形態は、哺乳動物内に埋め込まれるセンサ装置(例えば、グルコースセンサ)を作製する方法であって、ベース基板を提供するステップと、ベース基板上に導電層を形成するステップであって、導電層が、特定のアーキテクチャの金属柱を生成するスパッタリングプロセスから形成された電極を含む、形成するステップと、導電層上に検体感知層を形成するステップであって、検体感知層が、検体(例えば、グルコースオキシダーゼ)の存在下で導電層の電極の電流を変えることができる組成物を含む、形成するステップと、任意選択で、検体感知層上にタンパク質層を形成するステップと、検体感知層または任意選択のタンパク質層上に接着促進層を形成するステップと、接着促進層上に配置された検体調節層を形成するステップであって、検体調節層が、それを通る検体の拡散を調節する組成物を含む、形成するステップと、検体調節層の少なくとも一部の上に配置されたカバー層を形成するステップであって、カバー層がさらに検体調節層の少なくとも一部の上に開口部を含む、形成するステップと、を含む。
【0030】
本明細書に開示される本発明の実用的な実施形態では、検体感知層は、グルコースオキシダーゼを含む。任意選択で、装置は、検体感知層と検体調節層との間に配置された接着促進層を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体調節層は、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性コームコポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。典型的には、装置は、生体内に埋め込まれたときに生物学的組織または体液に接触するように適合された外面上に生体適合性材料を含む。本明細書に開示される本発明の実用的な実施形態では、検体センサ装置は、電流測定グルコースセンサであり、非常に望ましい酸素応答プロファイルを示す。そのような実施形態では、電流測定グルコースセンサは、100mg/dLのグルコースおよび5%の酸素を含む溶液中で第1の信号を生成し、100mg/dLのグルコースおよび0.1%の酸素を含む溶液中で第2の信号を生成し(すなわち、唯一の実質的な試験条件の差違は酸素の%である)、第1の信号と第2の信号の差は10%未満である。
【0031】
次いで、噴霧、浸漬などの当技術分野で知られている多種多様な方法のいずれかによって、追加の機能コーティングまたはカバー層を電極または他のセンサ要素に適用することができる。本発明のいくつかの実施形態は、作用電極の上に配置された酵素含有層の上に堆積された検体調節層を含む。検体制限メンブレン層を利用することにより、活性センサ表面に接触する検体(複数可)の量を調整する際の使用に加えて、外来物質によるセンサの汚染の問題も回避される。当技術分野で知られているように、検体調節メンブレン層の厚さは、活性酵素に到達する検体の量に影響を与える可能性がある。したがって、その適用は典型的には、定義された処理条件下で行われ、その寸法の厚さは、厳密に制御される。下層の微細加工は、検体調節メンブレン層の寸法制御、ならびに検体制限メンブレン層材料自体の正確な組成に影響を与える要因である可能性がある。これに関して、いくつかのタイプのコポリマー、例えば、シロキサンと非シロキサン部分のコポリマーが特に有用であることが発見されている。これらの材料は、制御された厚さにマイクロディスペンスまたはスピンコートすることができる。それらの最終的なアーキテクチャは、本明細書に記載されている他の個別の構造体と一致するように、パターン化およびフォトリソグラフィ技術によって設計してもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、センサは、センサ層の酵素と接触することができる検体の量を調節することができる親水性メンブレンコーティングを含む検体調節層を適用する方法によって作製される。例えば、本発明のグルコース感知要素に追加されるカバー層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層と接触するグルコースの量を調節するグルコース制限メンブレンを含むことができる。そのようなグルコース制限メンブレンは、そのような目的に適していることが知られている多種多様な材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン、ポリウレタン、酢酸セルロース、Nafion、ポリエステルスルホン酸(例えば、コダックAQ)、ヒドロゲル、またはそのような目的に適した、当業者に知られている任意の他のメンブレンから作製することができる。本発明の特定の実施形態では、検体調節層は、親水性ポリマーを含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体調節層は、線状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマーおよび/または分岐アクリレートポリマー、および/またはそのようなポリマーの混合物を含む。
【0033】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、接着促進剤層は、それらの接触を容易にするためにカバー層(例えば、検体調節メンブレン層)と検体感知層との間に配置され、センサ装置の安定性を高めるその能力のために選択される。本明細書で述べたように、接着促進剤層の組成は、センサの安定性を提供する能力に加えて、いくつかの望ましい特性を提供するように選択される。例えば、接着促進剤層で使用するためのいくつかの組成物は、干渉除去における役割を果たすとともに、所望の検体の物質移動を制御するように選択される。接着促進剤層は、そのような層間の結合を容易にするために、当技術分野で知られている多種多様な材料のいずれかから作製でき、当技術分野で知られている多種多様な方法のいずれかによって適用できる。
【0034】
そのようなプロセスによって生成された完成したセンサは、典型的には、支持構造体(使用されている場合)から、例えば、支持構造体上の各センサを取り囲む線に沿って切断し、次いでその支持構造体を剥がすことにより、迅速かつ簡単に取り外される。切断ステップは、この技術で典型的に使用される方法、例えば、ベースとカバーの層、および機能性コーティング層を、各センサを取り囲む線に沿って、典型的には導電性要素から少なくともわずかに外側に間隔を空けた関係で、十分に相互接続されたベースとカバー層の材料が残って完成したセンサのサイドエッジをシールするように切断するのに使用されるUVレーザ切断デバイスを使用できる。ここに例示されているように、ベース基板は、下にある支持体に直接十分に弱く接着されているため、センサは、大幅な追加の処理ステップまたは取り付けられたセンサを支持構造体から剥がすために過度の力が加えられることにより発生する応力に起因した潜在的な損傷もなく、支持構造体からすばやく持ち上げられて簡単に剥がすことができる。その後、支持体構造は、洗浄して再利用するか、さもなければ廃棄することができる。機能コーティング層(複数可)は、他のセンサコンポーネントが支持体構造から(例えば、切断によって)取り外される前または後のいずれかに適用できる。
【0035】
本発明の実施形態はまた、哺乳動物(例えば、糖尿病患者)の体内の検体(例えば、グルコース)を感知する方法を含み、この方法は、本明細書に開示される検体センサの実施形態を生体内環境に埋め込むことと、次いで、作用電極における電流の変化などの1つ以上の電気的変動を感知することと、電流の変化を検体の存在と相関させて、検体を感知することと、を含む。典型的には、この方法は、本明細書に開示されているグルコースセンサを糖尿病の個人の間質腔内に埋め込むことと、グルコースの存在下で作用電極における電流の変化を感知することと、次いで電流の変化をグルコースの存在と相関させて、グルコースを感知することと、を含む。本発明の典型的な実施形態は、グルコースセンサに関するが、本明細書に開示されるスパッタセンサ電極は、当技術分野で既知の多種多様なデバイスでの使用に適合させることができる。
【0036】
以下で詳細に説明するように、本発明の実施形態は、検体の感知を容易にするように設計された追加要素を含むセンサシステムを含む。例えば、本発明の特定の実施形態では、センサ電極を含むベース材料は、ハウジング(例えば、カテーテルの内腔)内に配置され、および/または検体(例えば、グルコース)感知を容易にする他の構成要素と関連する。1つの例示的なセンサシステムは、プロセッサと、第1の長手方向部材および第2の長手方向部材を含むベースであって、第1および第2の長手方向部材のそれぞれが、電気化学反応表面を有する少なくとも1つの電極を含み、電気化学反応表面が、検体の存在下でプロセッサによって評価される電気化学信号を生成するベースと、実行時にプロセッサに電極から得られた電気化学信号データを評価させ、電極から得られた電気化学信号データに基づいて、検体の存在または濃度を計算する命令を有するコンピュータ可読プログラムコードと、を備える。本明細書で説明する本発明の実施形態は、アンペロメトリックセンサ構造体、例えば、特許文献3~6に開示されるものにも適合および実装でき、これらのそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
B.本発明の実施形態で使用される例示的な検体センサ構成要素およびセンサスタック
以下の開示は、本発明のセンサの実施形態において使用される典型的な要素/構成要素の例を提供する。これらの要素は、個別のユニット(例えば、層)として説明できるが、当業者は、センサが、以下で論じる要素/構成要素の材料特性および/または機能の一部またはすべての組み合わせを持つ要素を含むように設計できることを理解する(例えば、検体感知構成要素のための支持ベース構成要素および/または導電性構成要素および/またはマトリックスの両方として機能し、さらにセンサの電極として機能する要素)。当業者は、これらの薄膜検体センサが、以下に記載されるもののような多くのセンサシステムにおける使用に適合され得ることを理解する。
【0038】
図1A~1Dは、絶縁層104a、104bの第1の側102aにある作用電極(WE)と、絶縁層104a、104bの第2の側102bにある対向電極(CEまたはBCE)と、を備え、絶縁層104a、104bがCE/BCEとWEとの間にある、検体センサ装置100a~100dの実施形態を示す。
図1A~1Dは、絶縁層104a、104bの第1の側102a上の参照電極(RE)と、REとWEとの間の絶縁106とをさらに示す。絶縁層104a、104b上に堆積された金属108は、WEに電気的に接触し、WEに接触するためのコンタクトパッド110を含む。絶縁層104a上の金属112またはCEは、CEと、CEに接触するためのコンタクトパッド114と、を含む。
図1A~1Cには、CE上のベース層116と、第1の絶縁層104a、104bおよび金属108上の第2の絶縁層118も示されている。
【0039】
WEは、電気活性表面122を有する金属組成物120を含む。
図1A~1Dに示される例では、WEは、金属組成物120を含み、電気活性表面122を有するピラー124を含む。
【0040】
図1Dは、裏面CEが、センサ装置100dの基板および電極への接着を制御することができる層である/を含む、センサ100dの実施形態を示す。
【0041】
図1Eは、基板128の第1の側(同じ側)126に作用電極WEおよびCEを備え、WEおよびCEが少なくとも1マイクロメートルインチ、例えば、1マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲の距離Dだけ空間的に離れている、検体センサ装置100eを示す。WEとCEは互いに入り組んでいない。距離Dは、WEとCEとの間の不要な相互作用を減らすのに十分な大きさである(すなわち、一方の電極での酸化反応が他方の電極での還元反応に及ぼす影響を減らし、その逆も同様である)。
【0042】
1つ以上の実施形態では、
図1A~1Eのデバイスは、PVDおよび/または電気めっきを使用して製造される。
【0043】
図1Fおよび1Gは、デバイス130の一方の側126に、互いに入り組んだ作用電極132および対向電極134と参照電極136とを有する制御センサ130の構造を、第1の側102a上に電極WEを備えて第2の側102b上に電極CEを備えた実施形態100a~100dを表す
図1Gのセンサと比較する。制御デバイス130内の作用電極132および制御電極134はまた、電極132と134との間の望ましくない相互作用を引き起こす、より小さな分離を有する。
【0044】
1つ以上の実施形態では、
図1Hに示すように、センサ100a~eは、(例えば、糖尿病用途のための)グルコースセンサとしての動作を可能にするために、(例えば、WE上の)さらなる層/コーティング/構成要素を含む。さらなる構成要素には以下が含まれる。
【0045】
ベース構成要素
本発明のセンサは、典型的には、ベース構成要素を含む(例えば、
図1Dの要素104b、
図1Hの要素402、
図1Eの要素128、または
図1A~1Dの要素116を参照)。「ベース構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、互いに積み重ねられてかつその機能しているセンサを構成する複数の構成要素の支持マトリックスを典型的に提供する装置の構成要素を指す。一形態では、ベース構成要素は、絶縁性(例えば、電気的絶縁性および/または水不透過性)材料の薄膜シートを含む。このベース構成要素は、誘電特性、水不透過性、および気密性などの望ましい品質を有する多種多様な材料で作製することができる。いくつかの材料には、金属、および/またはセラミック、および/または高分子基板などが含まれる。
【0046】
導電性構成要素
本発明の電気化学センサは、典型的には、分析対象の検体またはその副産物(例えば、酸素および/または過酸化水素)と接触するための金属を含む少なくとも1つの電極を含む、ベース構成要素上に配置された導電性構成要素を含む(例えば、
図1B~1FのWEを参照)。「導電性構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、電極、コンタクトパッド、トレースなどの導電性センサ要素を指す。この例示は、検体の濃度の変化を経験しない参照電極と比較して、検体またはその副産物の濃度の変化などの刺激への曝露、検体が検体感知構成要素410に存在する組成物(例えば、酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用するときに使用される共反応物(例えば酸素)またはこの相互作用の反応生成物(例えば、過酸化水素)への曝露に応答して電流の増加または減少を測定できる作用電極を形成する導電性構成要素である。そのような要素の例示には、過酸化水素または酸素などの可変濃度の分子の存在下で可変の検出可能な信号を生成することができる電極が含まれる。
【0047】
作用電極に加えて、本発明の分析対象センサは、典型的には、参照電極(RE)または参照電極と対向電極の組み合わせ(準参照電極または対向/参照電極とも呼ばれる)を含む。センサに対向電極/参照電極がない場合、センサに、作用電極と同じまたは異なる材料から作製し得る別個の対向電極(CE)を含んでもよい。本発明の典型的なセンサは、1つ以上の作用電極および1つ以上の対向電極、参照電極、および/または対向/参照電極を有する。本発明のセンサの一実施形態は、2つ、3つ、または4つ以上の作用電極を有する。センサ内のこれらの作用電極は、一体的に接続することも、別々にしておいてもよい。任意選択で、電極は、センサ構造の単一の表面または側面に配置することができる。あるいは、電極は、センサ構造の複数の表面または側面に配置することができる。本発明の特定の実施形態では、電極の反応性表面は、例えば、1倍の参照電極、3.2倍の作用電極および6.3倍の対向電極など、異なる相対面積/サイズのものである。
【0048】
干渉除去構成要素
本発明の電気化学センサは、電極の表面と分析対象の環境との間に配置された干渉除去構成要素を任意選択で含む。特に、特定のセンサの実施形態は、一定の印加電位での作用電極の表面での酵素反応によって生成される過酸化水素の酸化および/または還元に依存する。過酸化水素の直接酸化に基づく電流測定検出は比較的高い酸化電位を必要とするため、この検出スキームを採用するセンサは、アスコルビン酸、尿酸、アセトアミノフェンなどの生体液に存在する酸化種からの干渉を受ける可能性がある。この状況において、用語「干渉除去構成要素」は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、感知対象の検体によって生成される信号の検出を妨げるそのような酸化可能種によって生成される偽の信号を抑制するように機能するセンサのコーティングまたはメンブレンを指す。特定の干渉除去構成要素は、サイズの除外を介して機能する(特定のサイズの干渉種を除外することなどにより)。干渉除去構成要素の例には、親水性ポリウレタン、酢酸セルロース(ポリ(エチレングリコール)などの酢酸セルロース組み込み剤、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロ化イオノマーNafion(登録商標)、ポリフェニレンジアミン、エポキシなどを含む、化合物の1つ以上の層またはコーティングが含まれる。
【0049】
検体感知構成要素
本発明の電気化学センサは、センサの電極上に配置された検体感知構成要素を含む(例えば、
図1Hの要素410を参照)。「検体感知構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、その存在が検体センサ装置によって検出される検体を認識または反応することができる材料を含む構成要素を指す。典型的には、検体感知構成要素中のこの材料は、典型的には導電性構成要素の電極を介して、感知対象の検体と相互作用した後に検出可能な信号を生成する。これに関して、検体感知構成要素および導電性構成要素の電極は、組み合わされて機能して、検体センサに関連する装置によって読み取られる電気信号を生成する。典型的には、検体感知構成要素は、導電性構成要素(例えば、酸素および/または過酸化水素)の電極における電流の変化を測定することによって濃度の変化を測定できる分子と反応および/または生成することができるオキシドレダクターゼ酵素を含み、例えば酵素グルコースオキシダーゼである。過酸化水素などの分子を生成することができる酵素は、当技術分野で知られているいくつかのプロセスに従って電極上に配置することができる。検体感知構成要素は、センサの様々な電極のすべてまたは一部をコーティングすることができる。この状況において、検体感知構成要素は、電極を同等の程度にコーティングすることができる。あるいは、検体感知構成要素は、異なる電極を異なる程度に、例えば、作用電極のコーティングされた表面が、対向電極および/または参照電極のコーティングされた表面よりも大きくなるようにコーティングしてもよい。
【0050】
本発明のこの要素の典型的なセンサの実施形態は、固定比率(例えば、グルコースオキシダーゼ安定化特性のために典型的に最適化されたもの)で第2のタンパク質(例えばアルブミン)と組み合わされて、次いで電極の表面に適用されて薄い酵素構成要素を形成する、酵素(例えばグルコースオキシダーゼ)を利用する。典型的な実施形態では、検体感知構成要素は、GOxとHSAとの混合物を含む。GOxを有する検体感知構成要素の典型的な実施形態では、GOxは、感知環境(例えば、哺乳動物の体)に存在するグルコースと反応して、過酸化水素を生成する。
【0051】
上記のように、酵素および第2のタンパク質(例えば、アルブミン)は、典型的には、処理されて架橋マトリックスを形成する(例えば、タンパク質混合物に架橋剤を添加することにより)。当技術分野で知られているように、酵素の保持された生体活性、その機械的および/または操作安定性などの因子を調節するために、架橋条件を操作してもよい。例示的な架橋手順は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献45および特許文献35に記載されている。例えば、限定されないがグルタルアルデヒドなどのアミン架橋試薬をタンパク質混合物に加えることができる。タンパク質混合物に架橋試薬を添加すると、タンパク質ペーストが生成される。添加する架橋試薬の濃度は、タンパク質混合物の濃度によって異なる。グルタルアルデヒドは、例示的な架橋試薬であるが、他の架橋試薬をも使用してもよく、またはグルタルアルデヒドの代わりに使用してもよい。当業者に明らかであるように、他の適切な架橋剤を使用してもよい。
【0052】
上記のように、本発明のいくつかの実施形態では、検体感知構成要素は、導電性要素(例えば、酸素および/または過酸化水素濃度の変化を感知する電極)によって感知され得る信号(例えば、酸素および/または過酸化水素の濃度の変化)を生成することができる薬剤(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含む。しかしながら、他の有用な検体感知構成要素を、その存在が検出される標的検体と相互作用した後に導電性要素によって感知され得る検出可能な信号を生成できる任意の組成物から形成することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、感知対象の検体との反応時に過酸化水素の濃度を調節する酵素を含む。あるいは、組成物は、感知対象の検体との反応時に酸素の濃度を調節する酵素を含む。この状況において、生理学的検体との反応において過酸化水素および/または酸素を使用または生成する多種多様な酵素が当技術分野で知られており、これらの酵素は検体感知構成要素の組成物に容易に組み込むことができる。当該技術分野で既知の様々な他の酵素は、本明細書に記載のセンサ設計に組み込まれる電極などの導電性要素によってその調節を検出できる化合物を生成および/または利用することができる。そのような酵素は、例えば、非特許文献1に具体的に記載されている酵素を含み、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
タンパク質構成要素
本発明の電気化学センサは、検体感知構成要素と検体調節構成要素との間に配置されたタンパク質構成要素を任意選択で含む(例えば、
図1Hの要素416を参照)。「タンパク質構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、検体感知構成要素および/または検体調節構成要素との適合性のために選択されるキャリアタンパク質などを含む構成要素を指す。典型的な実施形態では、タンパク質構成要素は、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む。HSA濃度は、約0.5%~30%(w/v)の間で変動する。典型的には、HSA濃度は約1~10%w/vであり、最も典型的には約5%w/vである。本発明の代替の実施形態では、これらの状況で使用されるコラーゲンまたはBSAまたは他の構造タンパク質を、HSAの代わりに、またはHSAに加えて使用することができる。この構成要素は、当技術分野で受け入れられているプロトコルに従って、典型的には、検体感知構成要素上で架橋される。
【0054】
接着促進構成要素
本発明の電気化学センサは、1つ以上の接着促進(AP)構成要素を含むことができる(例えば、
図1Hの要素414を参照)。「接着促進構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、センサ内の隣接する構成要素間の接着を促進する能力のために選択された材料を含む構成要素を指す。典型的には、接着促進構成要素は、検体感知構成要素と検体調節構成要素との間に配置される。典型的には、接着促進構成要素は、任意選択のタンパク質構成要素と検体調節構成要素との間に配置される。接着促進剤構成要素は、そのような構成要素間の結合を容易にするために、当技術分野で知られている多種多様な材料のいずれかから作製でき、当技術分野で知られている多種多様な方法のいずれかによって適用できる。典型的には、接着促進剤構成要素は、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。
【0055】
検体調節構成要素
本発明の電気化学センサは、センサ上に配置された検体調節構成要素を含む(例えば、
図1Hの要素412を参照)。「検体調節構成要素」という用語は、当技術分野で受け入れられている用語に従って本明細書で使用され、典型的には、構成要素を通るグルコースなどの1つ以上の検体の拡散を調節するように動作するセンサ上にメンブレンを形成する構成要素を指す。本発明の特定の実施形態では、検体調節構成要素は、構成要素を通るグルコースなどの1つ以上の検体の拡散を防止または制限するように動作する検体制限メンブレンである。本発明の他の実施形態では、検体調節構成要素は、構成要素を通る1つ以上の検体の拡散を容易にするように動作する。任意選択で、そのような検体調節構成要素を形成して、構成要素(例えば、グルコース)を通る1つのタイプの分子の拡散を防止または制限すると同時に、構成要素(例えば、O
2)を通る他のタイプの分子の拡散を可能にするまたは容易にすることさえできる。
【0056】
グルコースセンサに関して、既知の酵素電極では、血液からのグルコースおよび酸素、ならびにアスコルビン酸および尿酸などのいくつかの干渉物質は、センサの一次メンブレンを通って拡散する。グルコース、酸素、および干渉物質が検体感知構成要素に到達すると、グルコースオキシダーゼなどの酵素が、グルコースの過酸化水素およびグルコノラクトンへの変換を触媒する。過酸化水素は、検体調節構成要素を通って拡散して戻るか、または電極に拡散して反応して酸素とプロトンを形成し、グルコース濃度に比例する電流を生成する。検体調節センサメンブレンセンブリは、グルコースの通過を選択的に可能にすることを含む、いくつかの機能を果たす(例えば、特許文献6を参照)。
【0057】
カバー構成要素
本発明の電気化学センサは、典型的には電気絶縁保護構成要素である1つ以上のカバー構成要素を含む(例えば、
図1Hの要素406を参照)。典型的には、そのようなカバー構成要素は、コーティング、シース、またはチューブの形態であることができ、検体調節構成要素の少なくとも一部に配置される。絶縁保護カバー構成要素として使用するための許容可能なポリマーコーティングには、シリコーン化合物、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマーなどの非毒性生体適合性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。また、これらのコーティングは、導電性構成要素までの開口のフォトリソグラフィック形成を容易にするために、フォトイメージャブルにすることができる。典型的なカバー構成要素は、シリコーンで紡がれたものを含む。当技術分野で知られているように、この構成要素は、市販のRTV(室温加硫)シリコーン組成物とすることができる。この状況での典型的な化学は、ポリジメチルシロキサン(アセトキシ系)である。
【0058】
図1Hは、上述の構成要素を含む、本発明の典型的なセンサの実施形態400の断面を示す。このセンサの実施形態は、典型的には、当技術分野で受け入れられている方法および/または本明細書に開示される本発明の特定の方法に従って互いに配置された様々な導電性および非導電性構成要素の層の形態である複数のコンポーネントから形成される。センサの構成要素は、例えば、
図1Hに示されるセンサ構造の容易な特徴付けを可能にするため、ここでは典型的に層として特徴付けられる。しかしながら、当業者は、本発明の特定の実施形態において、複数の構成要素が1つ以上の異種層を形成するように、センサ構成要素が組み合わされることを理解するであろう。この状況において、当業者は、層状構成要素の順序を本発明の様々な実施形態で変更できることを理解する。
【0059】
図1Hに示される実施形態は、センサ400を支持するためのベース基板層402を含む。ベース基板層402は、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー基板などの材料で作製することができ、当技術分野で知られているように、自己支持または別の材料によってさらに支持してもよい。本発明の実施形態は、ベース基板層402上に配置されるおよび/またはベース基板層402と組み合わされる導電層404を含む。典型的には、導電層404は、電極として機能する1つ以上の導電性要素を含む。動作センサ400は、典型的には、作用電極、対向電極、および参照電極などの複数の電極を含む。他の実施形態はまた、複数の作用電極および/または対向電極および/または参照電極および/または複数の機能を実行する1つ以上の電極、例えば参照電極および対向電極の両方として機能する電極を含んでもよい。
【0060】
以下で詳細に説明するように、ベース層402および/または導電層404は、多くの既知の技術および材料を使用して生成することができる。本発明の特定の実施形態では、センサの電気回路は、配置された導電層404を導電性経路の所望のパターンにエッチングすることによって画定される。センサ400の典型的な電気回路は、近位端にコンタクトパッドを形成する領域およびセンサ電極を形成する遠位端に領域を有する2つ以上の隣接する導電経路を含む。ポリマーコーティングなどの電気絶縁カバー層406は、センサ400の部分に配置することができる。絶縁保護カバー層406として使用するための許容可能なポリマーコーティングには、シリコーン化合物、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマーなどの非毒性生体適合性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。本発明のセンサでは、導電層404を外部環境に開放し、例えば、グルコースなどの検体が層に浸透して感知要素によって感知されることができるように、カバー層406を通して1つ以上の露出領域または開口408を作製することができる。開口408は、レーザアブレーション、テープマスキング、ケミカルミリングまたはエッチングまたはフォトリソグラフィ現像などを含むいくつかの技術によって形成することができる。本発明の特定の実施形態では、製造中に、二次フォトレジストを保護層406に塗布して、除去対象の開口部408を形成する保護層の領域を画定することもできる。露出した電極および/またはコンタクトパッドはまた、表面を準備し、および/または導電性領域を強化するために、追加のめっき処理などの二次処理(例えば、開口408を介して)を施すことができる。
【0061】
図1Hに示されるセンサ構成では、検体感知層410は、導電層404の露出した電極のうちの1つ以上の上に配置される。典型的には、検体感知層410は、酵素層である。最も典型的には、検体感知層410は、酸素および/または過酸化水素を生成および/または利用することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含む。任意選択で、検体感知層中の酵素は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの第2のキャリアタンパク質と組み合わされる。例示的な実施形態では、検体感知層410内のグルコースオキシダーゼなどの酸化還元酵素は、グルコースと反応して、次いで電極で電流を調節する化合物である過酸化水素を生成する。この電流の調節は、過酸化水素の濃度に依存し、過酸化水素の濃度は、グルコースの濃度に相関するため、電流のこの調節を監視することによってグルコースの濃度を決定できる。本発明の特定の実施形態では、過酸化水素は、アノードである作用電極(本明細書ではアノード作用電極とも呼ばれる)で、得られる電流が過酸化水素濃度に比例するように酸化される。過酸化水素の濃度の変化によって引き起こされる電流のそのような調節は、ユニバーサルセンサ電流測定バイオセンサ検出器などの様々なセンサ検出装置のいずれか、またはMedtronic Diabetesによって製造されたグルコース監視デバイスなどの当技術分野で既知の様々な類似のデバイスのうちの1つによって監視できる。
【0062】
本発明の実施形態では、検体感知層410は、導電層の一部の上に、または導電層の領域全体の上に適用することができる。典型的には、検体感知層410は、アノードまたはカソードであり得る作用電極上に配置される。任意選択で、検体感知層410はまた、対向電極および/または参照電極上に配置される。薄い検体感知層410を生成するための方法は、基板(例えば、プラチナブラック電極の反応性表面)に層をブラッシングすること、ならびにスピンコーティングプロセス、ディップおよびドライプロセス、低剪断噴霧プロセス、インクジェット印刷プロセス、シルクスクリーン加工などを含む。本発明の特定の実施形態では、ブラッシングは、(1)層の正確な位置特定を可能にするのに、および(2)層を電極(例えば、スパッタリングプロセスにより生成されるプラチナブラック)の反応表面のアーキテクチャの奥深くに押し込むのに使用される。
【0063】
典型的には、検体感知層410は、1つ以上の追加の層にコーティングされるか、またはその隣に配置される。任意選択で、1つ以上の追加の層は、検体感知層410上に配置されたタンパク質層416を含む。典型的には、タンパク質層416は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどのタンパク質を含む。典型的には、タンパク質層416は、ヒト血清アルブミンを含む。本発明のいくつかの実施形態では、追加の層は、検体感知層410との検体接触を調節するために検体感知層410の上に配置される検体調節層412を含む。例えば、検体調節メンブレン層412は、検体感知層に存在するグルコースオキシダーゼなどの酵素と接触するグルコースの量を調節するグルコース制限メンブレンを含むことができる。そのようなグルコース制限メンブレンは、そのような目的に適していることが知られている多種多様な材料、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリ尿素セルロースアセテート、Nafion、ポリエステルスルホン酸(例えば、コダックAQ)、ヒドロゲル、または当業者に知られている任意の他の適切な親水性メンブレンから作製することができる。
【0064】
本発明の特定の実施形態では、接着促進剤層414は、それらの接触および/または接着を容易にするために、
図1Hに示されるように、検体調節層412と検体感知層410との間に配置される。本発明の特定の実施形態では、接着促進剤層414は、それらの接触および/または接着を容易にするために、
図3に示されるように、検体調節層412とタンパク質層416との間に配置される。接着促進剤層414は、そのような層間の結合を容易にするために、当技術分野で知られている多種多様な材料のいずれか1つから作製できる。典型的には、接着促進剤層414は、シラン化合物を含む。代替の実施形態では、検体感知層410内のタンパク質または同様の分子は、接着促進剤層414がない場合に検体調節メンブレン層412を検体感知層410と直接接触して配置できるように、十分に架橋または他の方法で準備できる。
【0065】
C.本発明の典型的なシステムの実施形態
特定の例示的なシステムの実施形態は、本明細書に開示されるスパッタ/PVD電極組成物を含むグルコースセンサ、送信機および受信機、ならびにグルコースメーターからなる。このシステムでは、送信機からの無線信号を定期的な時間(例えば5分ごと)にポンプ受信機に送信して、リアルタイムのセンサグルコース(SG)値を提供できる。値/グラフをポンプ受信機のモニタに表示することができ、これによりユーザは自分で血糖値を監視し、自分のインスリンポンプを使用してインスリンを送達できる。典型的には、本明細書に開示されているセンサシステムは、有線または無線接続を介して他の医療機器/システムと通信することができる。無線通信は、例えば、RF遠隔測定、赤外線送信、光送信、音波送信および超音波送信などを介した信号の送信で発生する、放出された放射信号の受信を含むことができる。任意選択で、デバイスは、薬物注入ポンプ(例えば、インスリンポンプ)の一体部分である。典型的には、このようなデバイスでは、生理学的特性値には、血糖の複数の測定値が含まれる。
【0066】
図2は、本明細書に開示されるセンサ電極とともに使用するように適合され得る皮下センサ挿入システムの1つの一般化された実施形態の斜視図および本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ電子機器のブロック図を提供する。そのようなセンサシステムの実施形態とともに典型的に使用される追加の要素は、例えば、その内容が参照により組み込まれる特許文献46に開示されている。
図2は、ユーザの身体の選択された部位に、フレキシブルセンサ12などの活性部分を皮下配置するために設けられた皮下センサセット10を含む、遠隔測定特性モニタシステム1の斜視図を提供する。センサセット10の皮下または経皮部分は、先鋭化された先端44を有する中空のスロット付き挿入針14およびカニューレ16を含む。カニューレ16の内部には、センサ12の検知部分18があり、カニューレ16に形成された窓22を通して1つ以上のセンサ電極20をユーザの体液に露出させる。検知部分18は、導電性コンタクトパッドなどで終端する接続部分24に接合されており、これらも絶縁層のうちの1つを通して露出される。当技術分野で知られているように、接続部分24およびコンタクトパッドは、概して、センサ電極20から導出された信号に応答して、ユーザの状態を監視するディスプレイ214に結合された適切なモニタ200への直接有線電気接続に適合している。接続部分24は、特許文献24(FLEX CIRCUIT CONNECTORと題する)に示され説明されているように、コネクタブロック28(または同様のもの)によって、モニタ200または特性モニタ送信機200に電気的に便利に接続することができる。
【0067】
図2に示されているように、本発明の実施形態によれば、皮下センサセット10は、有線または無線のいずれかの特性モニタシステムと協働するように構成または形成されてもよい。センサ12の近位部分は、ユーザの皮膚上に配置するように適合された取り付けベース30に取り付けられる。取り付けベース30は、適切な感圧性接着剤層32でコーティングされた下面を有するパッドとすることができ、センサセット10が使用可能になるまで、接着剤層32を覆って保護するために通常提供される剥離紙ストリップ34を備える。取り付けベース30は、上部および下部層36および38を含み、フレキシブルセンサ12の接続部分24が、層36および38の間に挟まれている。接続部分24は、センサ12の活性感知部分18に接合された前方セクションを有し、これは、角度を付けて折り曲げられて、下部ベース層38に形成されたボア40を通って下方に延びる。任意選択で、接着層32(または生体内組織と接触する装置の別の部分)は、炎症反応を低減するための抗炎症剤および/または感染の可能性を低減するための抗菌剤を含む。挿入針14は、上部ベース層36に形成された針ポート42を通って、および下部ベース層38の下部ボア40を通って、スライドフィットの受容に適合される。挿入後、挿入針14が引き抜かれて、選択された挿入部位の適所に検知部分18およびセンサ電極20を備えたカニューレ16を残す。この実施形態では、遠隔測定特性モニタ送信機200は、センサセット10のコネクタ部分24のコネクタブロック28に電気的に結合されるコネクタ24を通ってケーブル402によってセンサセット10に結合される。
【0068】
図2に示す実施形態では、遠隔測定特性モニタ400は、プリント回路基板208と、バッテリ210と、アンテナ212と、コネクタ204を備えたケーブル202とを支持するハウジング206を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング206は、超音波溶接で密封された上ケース214および下ケース216から形成されて、水、洗浄剤、アルコールなどでの浸漬(または拭き取り)による洗浄を可能にする防水(または耐性)シールを形成する。いくつかの実施形態では、上部および下部ケース214および216は、医療グレードのプラスチックから形成される。しかしながら、代替の実施形態では、上部ケース214および下部ケース216は、スナップフィット、シーリングリング、RTV(シリコーンシーラント)などの他の方法によって一緒に接続され、一緒に結合されるか、または金属、複合材料、セラミックなどの他の材料から形成されてもよい。他の実施形態では、別個のケースをなくすことができ、アセンブリは、電子機器と互換性があり、適度な耐湿性があるエポキシまたは他の成形可能な材料に単純に埋め込まれる。示されるように、下側ケース216は、適切な感圧接着剤層218でコーティングされた下面を有してもよく、センサセット遠隔測定特性モニタ送信機200が使用可能になるまで、接着剤層118を覆って保護するために通常提供される剥離紙ストリップ220を備える。
【0069】
図2に示される例示的な実施形態では、皮下センサセット10は、ユーザの状態を表す特定の血液パラメータを監視するために使用されるタイプのフレキシブル薄膜電気化学センサ12の正確な配置を容易にする。センサ12は、身体内のグルコースレベルを監視し、特許文献47~50に記載されているように、糖尿病患者へのインスリンの送達を制御するための、外部または埋め込み可能なタイプの自動または半自動薬剤輸液ポンプと組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
図2に示される例示的な実施形態では、センサ電極10は、様々な感知用途で使用されてもよく、ベース構造上の様々な位置に構成されてもよく、さらに、様々な機能を可能にする材料を含むように形成されてもよい。例えば、センサ電極10は、あるタイプの生体分子が触媒剤として使用される生理学的パラメータ検知用途で使用することができる。例えば、センサ電極10は、センサ電極20との反応を触媒するグルコースオキシダーゼ酵素を有するグルコースおよび酸素センサにおいて使用されてもよい。センサ電極10は、生体分子または他の何らかの触媒剤とともに、血管または非血管環境の人体に配置されてもよい。例えば、センサ電極20および生体分子は、静脈内に配置され、血流にさらされてもよく、または人体の皮下または腹膜領域に配置されてもよい。
【0071】
図2に示される本発明の実施形態では、センサ信号のモニタ200はまた、センサエレクトロニクスデバイス200と称してもよい。モニタ200は、電源、センサインターフェース、処理電子機器(すなわち、プロセッサ)、およびデータフォーマット電子機器を含んでもよい。モニタ200は、接続部分24のコネクタブロック28に電気的に結合されたコネクタを介してケーブル402によってセンサセット10に結合され得る。別の実施形態では、ケーブルは省略されてもよい。本発明のこの実施形態では、モニタ200は、センサセット10の接続部分24への直接接続のための適切なコネクタを含み得る。センサセット10は、コネクタ部分24を異なる位置、例えば、センサセット上へのモニタ200の配置を容易にするように変更されてもよい。
【0072】
上記のように、センサ要素およびセンサの実施形態は、検体センサ(例えば、穿刺部材、挿入セットなどの構造要素、ならびにプロセッサ、モニタ、薬物注入ポンプなどの電子部品)とともに典型的に使用される様々な他のシステム要素に動作可能に結合されて、例えば、それらを様々な状況(例えば、哺乳動物内の埋め込み)での使用に適合させることができる。本発明の一実施形態は、感知されたユーザの生理学的特性値に基づくセンサからの信号を受信することができる入力要素と、受信信号を分析するためのプロセッサとを含む本発明の実施形態を使用してユーザの生理学的特性を監視する方法を含む。本発明の典型的な実施形態では、プロセッサは、生理学的特性値の動的挙動を決定し、そのように決定された生理学的特性値の動的挙動に基づいて観察可能なインジケータを提供する。いくつかの実施形態では、生理学的特性値は、ユーザの血中グルコース濃度の尺度である。他の実施形態では、受信信号を分析して動的挙動を決定するプロセスは、例えば、センサ機能、検体濃度測定、干渉の存在などに関する確認情報を提供するように設計された方法で比較冗長性をセンサ装置に組み込むために、生理学的特性値を繰り返し測定して一連の生理学的特性値を取得することを含む。
【0073】
図3は、本発明の実施形態において電流を測定するために使用され得るポテンシオスタットの概略図を示す。
図3に示されるように、ポテンシオスタット300は、2つの入力:VsetおよびVmeasuredを有するように電気回路内で接続されるオペアンプ310を含んでもよい。示されているように、Vmeasuredは、参照電極と作用電極との間の電圧の測定値である。一方、Vsetは、作用電極と参照電極との間の最適な望ましい電圧である。対向電極と参照電極との間の電流が測定され、ポテンシオスタットから出力される電流測定値(Isig)が生成される。
【0074】
本発明の実施形態は、感知された生理学的特性値(例えば、血中グルコース濃度)の測定からの表示データを、デバイスのユーザが容易に監視し、必要に応じてその特性値の生理学的状態を調節(例えば、インスリン投与による血糖濃度の調節)できるように調整された方法および形式で処理するデバイスを含む。本発明の例示的な実施形態は、センサから信号を受信することができるセンサ入力であって、その信号が、ユーザの感知された生理学的特性値に基づいている、センサ入力と、センサからの受信信号からのユーザの感知された生理学的特性値の複数の測定値を格納するためのメモリと、感知された生理学的特性値の複数の測定値のテキストおよび/またはグラフィック表現(例えば、テキスト、折れ線グラフなど、棒グラフなど、グリッドパターンなど、またはそれらの組み合わせ)を提示するためのディスプレイと、を備えるデバイスである。典型的には、グラフィック表現は、感知された生理学的特性値のリアルタイム測定値を表示する。そのようなデバイスは、例えば、他の医療機器と組み合わせて、様々な状況で使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、デバイスは、少なくとも1つの他の医療デバイス(例えば、グルコースセンサ)と組み合わせて使用される。
【0075】
例示的なシステムの実施形態は、グルコースセンサ、送信機およびポンプ受信機、ならびにグルコース計からなる。このシステムでは、送信機からの無線信号を5分ごとにポンプ受信機に送信して、リアルタイムのセンサグルコース(SG)値を提供できる。値/グラフをポンプ受信機のモニタに表示することができ、これによりユーザは自分で血糖値を監視し、自分のインスリンポンプを使用してインスリンを送達できる。典型的には、本明細書に開示されるデバイスの実施形態は、有線または無線接続を介して第2の医療デバイスと通信する。無線通信は、例えば、RF遠隔測定、赤外線送信、光送信、音波送信および超音波送信などを介した信号の送信で発生する、放出された放射信号の受信を含むことができる。任意選択で、デバイスは、薬物注入ポンプ(例えば、インスリンポンプ)の一体部分である。典型的には、このようなデバイスでは、生理学的特性値には、血糖の複数の測定値が含まれる。
【0076】
本明細書に開示される検体センサおよびセンサシステムは、典型的には、哺乳動物の体内に埋め込まれるように設計されているが、本明細書に開示される発明は、特定の環境に限定されず、代わりに、例えば、間質液、全血、リンパ液、血漿、血清、唾液、尿、便、発汗、粘液、涙液、脳脊髄液、鼻汁、子宮頸部または膣分泌物、精液、胸水、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃液などの生体液を含む、ほとんどの生体内および生体外の液体サンプルの分析のために多種多様な状況で使用できる。さらに、固体または乾燥したサンプルを適切な溶媒に溶解して、分析に適した液体混合物を提供することができる。
【実施例1】
【0077】
例で使用される一般的な頭字語は次のとおりである。WE:作用電極、GOx:グルコースオキシダーゼ、HSA:ヒト血清アルブミン、SITS:センサ生体内試験システム、GLM:グルコース制限メンブレン(検体調節層の実施形態)、OQ:運用資格、SAR:表面積比、BTS:重炭酸塩試験システム、およびEIS:電気化学インピーダンス分光法。例で論じているBTSおよびSITS試験は、センサの性能の側面を評価するために使用される試験である。SITSは、グルコース溶液中のセンサ信号を5~7日間測定し、センサの酸素応答、温度応答、バックグラウンド電流、直線性、安定性、アセトアミノフェン干渉および応答時間も測定する。イヌの試験は、糖尿病および非糖尿病のイヌの生体内でのグルコースセンサの性能(Isigおよび計算された血糖値)を3日間評価するために使用され、持続グルコースセンサで測定されたグルコースレベルを、グルコースメーターで測定されたものと比較する。
【0078】
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、それ自体、当然ながら変化し得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことも理解されたい。好ましい実施形態の説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施し得る特定の実施形態を例として示す添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、構造的および動作上の変更を行い得ることが理解される。
【0079】
説明および特定の例は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、限定ではなく例示として与えられている。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内の多くの変更および修正を行い得て、本発明はそのようなすべての修正を含む。
【0080】
実施例1:スパッタリング装置
図4は、スパッタリングを使用して材料(例えば、薄膜402)を堆積させるためのチャンバ400を備える装置を示す。チャンバ400内のスパッタリングガス404は、イオン化されて、イオン化ガス粒子406(例えば、Ar
+)を含むプラズマを形成する。イオン化粒子406は、金属組成物を含むスパッタリングターゲット408に衝突する。イオン化粒子406とスパッタリングターゲット408との衝突は、金属組成物を含む材料410(例えば、スパッタリングされたターゲット原子)をノックオフし、材料410を基板414上のターゲット表面に加速412し、それにより基板414上に膜402を形成する。イオン化ガス粒子406は、電圧U
-でバイアスされた電極によって印加される電場および/または磁場を使用してターゲットに向かって加速される。粒子衝突は、プロセス力(すなわち、イオン化ガス粒子がスパッタリングガスに到達するまでの電場および/または磁場の力)ならびにスパッタリングガスの圧力および組成(またはイオン化ガス粒子の組成および圧力)によって制御される。
【0081】
実施例2:接着制御のためのスパッタリング条件
以下の堆積条件は接着に影響を与え得る。
●高圧成膜条件では、応力下で成膜され、接着が低下する可能性がある。
●蒸着レートが速いとボイドポケットが発生し、接着が低下するため、接着に影響が出る可能性がある。
●成膜時の高温により、残存する吸着水が表面から蒸発して接着が向上する可能性がある。
●膜が厚くなると応力が発生し、接着性が低下し得る。
●幾何学的領域も接着に影響を与える可能性があり、膜と基板との間の界面でのピラーの形成によって制御される可能性がある。
【0082】
ここで説明する実験では、圧力、電力、温度、厚さ、およびこれらのパラメータの組み合わせを含むスパッタリングパラメータを調整して、接着への影響を決定し、電極処理に最適な接着を実現するパラメータ/パラメータ値を決定した。1つ以上の実施形態では、接着(または最適接着)のターゲットは、レーザ切断中に基板へのベースポリイミドの接着を維持するのに十分強いが、センサアセンブリのためにベースポリイミドを基板から取り外すことができるほど弱い。
【0083】
図5は、ガラス基板502上に層スタック500を含む試験サンプルを示す。層スタックは、ガラス基板上に金(Au)層504、Au層504上にクロム(Cr)層506、およびCr層506上にベースポリイミド層508を含む。
【0084】
図6Aは、ガラス基板502上の層スタック500に適用されたナイフスクラッチまたはレーザ切断マークの様々なパターンA~Eを示し、グルコースセンサまたは他のデバイスの電極の処理中に施され得るマークとカットのタイプをシミュレートしている。
【0085】
図6Bは、ガラス基板上の銀層に施されたパターン600を示しており、ガラスへの銀の接着が弱すぎて銀層上のマーキングを再現できないことを示している。
【0086】
図6Aに示されているマーキングのパターンを使用して、実現可能性-効率-互換性の研究が行われ、
図5の層構造内の金属/ガラス(例えば、金属/ガラス)の接着に対する金属(例えば、金)のスパッタリング条件の影響が発見された。
【0087】
図7A~7Dは、接着スコアがどのように割り当てられるかを示す。
図7Aは、
図6Aのパターンが最高の再現品質および解像度で層スタックに正確に適用できる場合に割り当てられるスコア0を示す(ガラス基板への層スタックの最も強い接着を表す)。スコアが増加するにつれて、接着は減少し、マーキングのパターンは層スタックで再現性が低下する(
図7Bおよび7C)。
図7Dは、
図6Aのパターンを層スタック500に正確に適用および再現することができない場合に10のスコアが割り当てられることを示す(ガラス基板への層スタックの最も弱い接着を表す)。この接着スコア法は、より定量的な分析を実行するよりも大幅に時間がかからない。
【0088】
a.実験1
図6Aの試験サンプルは、表1のスパッタリング条件を使用して製造された。
図6Bのマーキングパターンは、その後、試験サンプル上の膜のそれぞれにスクラッチ/レーザ切断され、接着スコアは、表1に示されるように、各再現に割り当てられた。
【表1】
【0089】
図7A~7Dは、試験結果を示す。
図7Dのスパッタされた構造は、100mTの圧力、1.6kWの電力、897オングストロームの金層の厚さを含む、加熱なしのスパッタリング条件を使用して製造された。
【0090】
その結果は、サンプル1~6(表1で強調表示)のスパッタリング条件が最強の接着(接着スコア0)を持ち、
図6Bのマーキングを正確に再現できることを示している。
図7A~7Dおよび表1は、低圧が非常に高い接着を達成し、高圧が低い接着を達成するという驚くべき予想外の結果を示している。
【0091】
b.実験2
図8Bは、Au層1002とガラス基板1006との間の界面にピラー1004を含むAu層1002を含む試験サンプル1000を示す。(表2に示すように)異なるスパッタリング条件下で堆積されたAu層1002を用いて、異なる試験サンプル1000を製造した。
図9は、ガラス基板1006と金層1002との間の柱状界面の走査型電子顕微鏡画像である。
【0092】
図6Bのマーキングパターンは、その後、ナイフを使用して試験サンプル1000のAu膜1002のそれぞれにスクラッチ/レーザ切断され、接着スコアは、表2に示されるように、各再現に割り当てられた。
【表2】
【0093】
図5は、ガラス基板上への金(Au)層の堆積、金層上へのクロム(Cr)層の堆積、Cr層上へのベースポリイミドを含むポリイミドの堆積、ポリイミド内の開口の形成、開口内のCr/Auスタックの堆積、ガラス基板からのAu層およびCr層ととものベースポリイミドの剥離を含む裏面対向電極の製造を示す。
【0094】
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、それ自体、当然ながら変化し得ることを理解されたい。また、使用される用語は、理解されたい。
【0095】
表2で強調表示されているサンプル(サンプル1~5および10)は、低圧スパッタリングが強力な接着(低い接着スコア)を達成することを示している。一方、サンプル6~9の結果は、高圧(55mTorrを超える、例えば100mTorr)でのスパッタリングが弱い接着を達成することを示している。金ピラーが金/ガラスの接触面積を減少させ、接着に対する圧力の影響を増加させていると仮説することができる。結果はまた、より厚い膜はガラス基板への接着が弱いことを示している。
【0096】
図10A~10Dは、例示的な電極パターンでのレーザ切断後の、様々なスパッタリング条件を使用して製造された、金ピラー1004を含む
図6Aの膜を示す。
図12Aおよび12Bは、100mTorrの圧力、0.4Wの電力、および952Åの厚さの金層(
図10A)を使用して製造された膜と、100mTorrの圧力、1.6Wの電力、および897Åの厚さの金層(
図10B)を使用して製造された膜でパターンがよく再現されていることを示している。
図10Cおよび10Dは、100mTorrの圧力、0.4Wの電力、および8922Åの厚さの金層(
図10C)を使用して製造された膜、および100mTorrの圧力、1.6Wの電力、および10806Åの厚さの金層(
図10B)を使用して製造された膜でパターンがうまく再現されていないことを示している。これらの結果は、高圧を使用すると、比較的薄い金層を使用して接着を高めることができることを示している(金層の厚さが増加すると、接着が低下する)。
【0097】
図11は、金層504とガラス基板502との間の界面で金ピラー1004を使用して製造されたサンプル500の接着に対する異なる要因(圧力、電力、および金の厚さ)の変化の標準化された影響のパレート図を示す。パレート図では、応答は、圧力、スパッタリング電力、金層の厚さの変化のレートであり、α=0.05は、接着を制御する統計的に有意な因子(1つ以上の例では、α-0.05を超える接着に対する標準化された影響を有する要因は、接着を制御する統計的に有意な要因とみなされる)を決定するために使用されるパラメータである。
【0098】
図12は、圧力、電力、および金の厚さの関数としての平均レートのプロットである。
【0099】
図13は、金層の厚さおよびスパッタリング圧力に対するレートの等高線図である。
【0100】
DOE分析(
図11、
図12、および
図13)は、ピラー1004が界面で形成される場合、圧力が接着を制御する際の支配的な要因であることを示している。具体的には、分析の結果、圧力が高く、膜の層が厚い(金など)と、接着が弱くなり、スパッタリング力による接着への影響はほとんどないことを示している。より低い温度はより弱い接着を提供することがわかった。
【0101】
c.2層の金が接着に及ぼす影響
図14は、ガラス基板1402上に層スタック1400を含む別の試験サンプルを示す。層スタック1400は、ガラス基板1402上に高圧スパッタリング条件を使用して堆積された第1の金層1404、第1の金層1404上に低圧スパッタリング条件を使用して堆積された第2の金層1406、第2のAu層1406上にスパッタリングされたクロム層1408、およびCr層1408上に堆積されたベースポリイミド層1410を含む。
【0102】
前述の手順に従って、次に、
図6Bのマーキングパターンを、ナイフまたはレーザ切断を使用して、試験サンプル中の膜1400のそれぞれにスクラッチした。表2は、サンプル1400の二重金層1406、1404(サンプル11)の接着スコアを、低圧または高圧で堆積された単一金層504のサンプル500(サンプル1~10)の接着スコアと比較する。
【0103】
図15Aは、100mTorrの圧力、1.5kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して5分間にわたって堆積された金層504を含む
図6Aの試験サンプルの膜500を示す。
図15Bは、100mTorrの圧力、1.5kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して5分間にわたって堆積された第1の金層1404、および4mTorrの圧力、0.2kWの電力を含むスパッタリング条件を使用して10分間にわたって堆積された第2の金層1406を含む
図14の試験サンプルの膜1400を示す。その結果は、二重の金層を有する試験サンプル1400(
図14)が、1つの金層を有するサンプル500(
図6A)よりも良好な接着を有することを示している。したがって、結果は、予期せずかつ驚くべきことに、高圧/低圧金層1404、1406の組み合わせが接着に大きく影響する可能性があることを示している。
【0104】
図15C、15D、および15Eは、
図15Bの条件を使用して堆積された2つの金層1404、1406が表面領域上の位置に応じて変化する接着を有する膜1400を示す。接着の均一性は、ガラス基板上の欠陥およびダストを低減し、スパッタリング装置内の堆積の均一性を改善することによって増加させ得る。
【0105】
実施例3:スパッタリングレートの制御
DOE分析を実行して、熱が加えられていないときの、ガラス基板への金のスパッタリングレートに影響を与えるプロセスパラメータを決定した。
図16は、熱が加えられていないときの、圧力、電力、および金の厚さの変化がスパッタリングレートに及ぼす標準化された影響のパレート図を示す。パレート図では、応答は1秒あたりのオングストローム単位のスパッタリングレートで、α=0.05である。
【0106】
図17は、圧力、電力、および金の厚さの関数としてのスパッタリングレートの平均のプロットである。
【0107】
図18は、スパッタリングレート対スパッタリング電力(kW)および圧力(mTorr)の等高線図である。
【0108】
DOE分析(
図16、
図17、および
図18)は、最大のスパッタリングレートに対して最適な圧力が存在し、スパッタリングレートがスパッタリング電力とともに直線的に増加することを示している。したがって、本明細書に示されているように、PVD条件は、スパッタリングレートを高くし、接着を制御するように注意深く選択することができる。1つ以上の実施形態では、DOE分析を使用して、最速の堆積レートおよび所望の接着を達成するスパッタリングパラメータを決定する。電力および圧力を使用して、スパッタリングレートおよび接着を制御し得る。
【0109】
実施例2~4はスパッタリングに関するものであるが、概してPVDを使用した蒸着(例えば、電子ビーム蒸着を含むがこれに限定されない)にも、同じ結果と発見(圧力を適切に選択することによる接着制御を含む)が当てはまる。
【0110】
実施例4:検体センサ装置の製造
図19、
図20、および
図1Dは、検体センサ装置100dを作製する方法を示す。
【0111】
ブロック1900は、ベース(例えば、剛性)基板2000(例えば、ガラス基板)を提供することを表す。
【0112】
ブロック1902は、例えばPVDを使用して、ベース基板上に金属2002a、2002b(物理蒸着金属)を堆積させることを表す。1つ以上の実施形態では、金属は、ベース基板2000上に第1の層2002a(例えば、Au層)、および第1のAu層2002a上に第2の層(例えば、CrまたはTi層)2002bを含む。1つ以上の例では、金属2002a、2002bは、コンタクトパッド110、114を形成するように横方向に延在する。
【0113】
PVD条件の例としては、2~250mTorr、70~100mTorr、または50~125mTorrの範囲の圧力、10W~100kW(例えば、0.5kW~2kW、例えば0.8kW)の範囲の電力、および各金属層の少なくとも100オングストロームの範囲の厚さ(例えば、1000~9000Å)が挙げられる。PVDステップは、本明細書で説明される圧力制御ステップ、例えば、実施例9の
図26のブロック2600~2604のステップを含むことができる。PVDプロセスの例としては、スパッタリングおよび電子ビーム蒸着が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
ブロック1904は、金属2002a、2002b上に第1の絶縁層2004を堆積させることを表す。例示的な絶縁層としては、ポリマー層(限定されないが、ポリイミドなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0115】
ブロック1906は、第1の絶縁層2004、104b上に第2の金属2006a、2006bを堆積およびパターン化することを表す。1つ以上の例では、第2の金属は、2つの層-CrまたはTiを含む第1の層2006b上の、Auを含む第2の層2006b)を含み、横方向に延在してコンタクトパッド110、114を形成する。
【0116】
ブロック1908は、第2の絶縁層2008、118を第1の絶縁層2004上に、および第2の金属2006a、2006bを第1の絶縁層2004上に堆積させることを表す。例示的な絶縁層としては、ポリマー層(限定されないが、ポリイミドなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0117】
ブロック1910は、第2の金属2006bを露出するように第2の絶縁層2004に第1の開口2010aおよび第2の開口2010bを形成することを表す。
【0118】
ブロック1912は、第3の金属を第1の開口2010a内におよび第2の金属2010b上に堆積させて、作用電極WE(
図1Dを参照)を形成することを表す。
【0119】
ブロック1914は、第4の金属を第2の開口部2010b内および第2の金属2006b上に堆積させて、参照電極(RE)を形成することを表す(
図1Dを参照)。
【0120】
ブロック1916は、第2の金属2006a、2006bを含む金属コンタクトパッド110、114b(
図1Dを参照)を露出するための第2の絶縁層118への開口の形成、および必要に応じて硬化を含む追加のステップを表す。
【0121】
ブロック1918は、金属2002a、2002b、第2の金属2006a、2006b、第1の絶縁層2004、104b、第2の絶縁層2008、118、および電極WE、REを含む膜2012内の検体センサを画定することを表す。
【0122】
ブロック1920は、ベース基板2000からの検体センサ100dの2014の取り外し(例えば、剥離)を表す。1つ以上の実施形態では、ステップは、基板2000から物理蒸着金属2002a、2002bを取り外す(例えば、剥離する)ことを含む。
【0123】
ブロック1922は、例えば
図1Dに示されるような最終結果、センサ装置を表す。金属層2002a、2002b、CEは、本明細書に記載される圧力制御方法(例えば、実施例2~3を参照)を使用してベース基板2000への接着を制御するための層と同様に、裏面対向電極BCEとして機能する。ベースのポリイミド層2004、104bは、BCEと接触するためのパターン化またはエッチングを必要としない。1つ以上の例では、実施例4の方法は、(
図1Fに示されるように片側に互いに入り込む電極を有する制御デバイスと比較して)両側に電極を有する1つのフレックスを含むデバイスの製造を可能にする。本明細書に示されるように、ベース基板から取り外された複数(例えば、少なくとも36)のセンサ100dはすべて、15%以内のISIGを示すことができる(例えば、
図21Dを参照)。
【0124】
実施例5:実施例4の単一センサのSITS結果
図21A~21Cは、
図1Fに示されるような制御センサのSITS結果を示し、
図21D~21Fは、
図1GのセンサのSITS結果を示す(実施例4の方法を使用して作製されたBCEを有する
図1Dのデバイスの性能をシミュレーションすること/表すこと)。
【0125】
図1Gのセンサは、以下の2つのフレックスを有する。
●フレックス1:送信機接続でCEコンタクトパッド上にテープが付いた公称電極E3。テープは本体に接触しない。
●フレックス2:ベースポリイミドを含む公称E3層と、Cr/Auおよび送信機接続のWEおよびREコンタクトパッド領域上のテープを含む公称E3電極。このフレックスは、金属スパッタリングプロセスによってのみ製造された公称E3フレックスであり、テープは本体に接触しない。
【0126】
図1Dのセンサは、CE、WE、およびREを含む単一のフレックスを有するが、
図1Dのデバイスの性能は、
図1Dのデバイスと
図1GのデバイスがWEとは反対側の裏面にCE電極を有しているので、2つのフレックスの
図1Gのデバイスの性能と同様であると予想される。
表3:合計3回のSITSを実行した場合の、
図1Dのデバイスの試験のSITSのまとめ。*は、統計的に有意な差を示す。試験されたデバイスの数は、
図1DのBCEデバイスではn=36、制御デバイスではn=36であった。
【表3】
【0127】
図21Aおよび21Bのデータについて、制御センサ130の作用電極132および対向電極134は、Ptを含み、制御センサ130の参照電極は、Ag/AgClを含み、
図1GのセンサのWEは、Ptを含み、
図1GのセンサのCEは、Auを含み、
図1DのセンサのREは、Ag/AgClを含む。
【0128】
ブタの生体内で試験されたセンサについての
図21D~21Fおよび表3のデータは、試験全体で長期安定性が向上し、一晩のIsigドリフトが排除され、
図1Fの制御センサと比較して、
図1GのBCEデバイス(
図1Dのデバイスを表す)についてのセンサ間での変動率(特に、低O
2濃度-ストレス条件で)がかなり(驚くほど)低いことを示している。さらに、
図1GのBCEは、温度とAC応答に大きな違いを示さず、目視検査からの否定的な観察はなかった。
【0129】
図21Cおよび21Fはまた、
図1Gのデバイスを使用したグルコース感知に応答したVcounter(Vcntr)の活動/動きが、
図1Fの制御センサの場合と比較して驚くほど減少していることも示す。さらに、そのデータは、
図1GのセンサのVcounterがより低い定常電圧でより安定しているように見えることを示している。
【0130】
実施例6:検体センサ装置の製造
図22は、グルコースセンサまたはセンサフレックス(
図1A~1Dおよび
図23も参照)を製造する方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。
【0131】
ブロック2200は、物理蒸着(例えば、スパッタリングまたは電子ビーム蒸着)を使用して(例えば、剛性)基板2302(例えば、ガラス)上に1つ以上の金属層を堆積させることを表す。例示的な金属層2300a、2300bは、限定されないが、Au、Cr、Tiおよびそれらの組み合わせを含む。1つ以上の実施形態では、層2300a、2300bは、ガラス基板2302上に堆積された1つ以上の金層を含み、その後、金層上にCrが堆積される。
【0132】
PVD条件の例としては、2~250mTorr、70~100mTorr、または50~125mTorrの範囲の圧力、10W~100kW(例えば、0.5kW~2kW、例えば0.8kW)の範囲の電力、および各金属層2300a、2300bの少なくとも100オングストロームの範囲の厚さ(例えば、1000~9000Å)が挙げられる。PVDステップは、本明細書で説明される圧力制御ステップ、例えば、実施例9の
図26のブロック2600~2604のステップを含むことができる。
【0133】
ブロック2202は、ブロック2200で形成されたスパッタリングされた金属層2300a、2300b上に第1またはベース層116を堆積させることを表す。ベース層の例としては、ポリマー層(限定されないが、第1またはベースのポリイミド層を形成するポリイミドなど)が挙げられるが、これに限定されない。1つ以上の実施形態では、ステップは、ポリマー(例えば、ポリイミド)を金属層2300a、2300b上にスピンキャストし、次いで、ポリマー(例えば、ポリイミド)を予備硬化することを含む。
【0134】
ブロック2204は、1つ以上の電極(例えば、WEおよびRE)および/または1つ以上のコンタクトパッド114の堆積のためのベース層116を任意選択でパターン化および/またはエッチングすることを表す。1つ以上の例では、パターン化は、ベース層116上にドライエッチングマスク(例えば、フォトレジストドライエッチングマスク)を堆積させること、ドライエッチングマスクの開口を通してベース層116をドライエッチングすること、およびベース層116からドライエッチングを剥がし、それによりベース層116にエッチングされたパターン(第1の開口を含む)を形成することを含む。
【0135】
ブロック2206は、CEを含む金属112(第2の金属)を、エッチングされたパターン上に堆積させることを表す。金属112の例としては、Au、Ti、およびCrならびにそれらの組み合わせ(例えば、AuおよびTiおよび/またはCr)が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の例では、ステップは、エッチングされたパターンを含むベース層116上に金属112をスパッタリングまたは電子ビームで堆積させること、ベース層116上に堆積された金属112上にマスク(例えば、フォトレジストウェットエッチングマスク)を堆積させること、マスクの開口を通して金属をエッチング(例えば、ウェットエッチング)すること、および金属112からマスクを剥がすことを含む。
【0136】
ブロック2208は、ベース層116上に絶縁層104a(第1の絶縁層)を堆積させ、112(ベース層116)上に金属を堆積させることを表す。例示的な絶縁層としては、ポリマー層(これに限定されないが、第1の絶縁ポリイミド層を形成するポリイミドなど)が挙げられるが、これに限定されない。1つ以上の例では、絶縁層104aは、金属112上にブランケット堆積される。1つ以上のさらなる例では、堆積させることは、ベース層116および金属112を覆うように絶縁層104aをスピンキャストすること、および絶縁層104aを予備硬化することを含む。
【0137】
ブロック2210は、第1の絶縁層104a上への金属108(第3の金属)を堆積させることおよびパターン化することを表す。金属の例としては、Au、Ti、およびCrならびにそれらの組み合わせ(例えば、AuおよびTiおよび/またはCr)が挙げられる。1つ以上の例では、ステップは、第1の絶縁層104aをブランケットカバーするように、第1の絶縁層104a上に金属108の膜(例えば、薄膜)をスパッタリング/電子ビームで堆積させること、第1の絶縁層104a上にスパッタされた金属上にマスク(例えば、フォトレジストウェットエッチングマスク)を堆積させること、マスクの開口を通して金属をエッチング(例えば、ウェットエッチング)すること、および金属108からマスクを剥がすことを含む。
【0138】
ブロック2212は、第1の絶縁層104a上に第2の絶縁層118を堆積させ、第1の絶縁層104a上に金属108を堆積させることを表す。第2の絶縁層の例としては、ポリマー層(これに限定されないが、第2の絶縁ポリイミド層を形成するポリイミドなど)を含むが、これに限定されない。1つ以上の例では、ステップは、第2の絶縁層118を第1の絶縁層104aおよび第1の絶縁層104a上の金属108上にスピンキャストすること、および第2の絶縁層118を予備硬化することを含む。
【0139】
ブロック2214は、例えば、フォトリソグラフィを使用して第2の絶縁層118をパターン化し、第2のウェルまたは第2の開口2304および第3のウェルまたは第3の開口2306を含む第2の絶縁層118にエッチングパターンを形成することを表す。
【0140】
ブロック2216は、ブロック2200~2214で形成された構造の最終硬化を任意選択で実行することを表す。
【0141】
ブロック2218は、例えば、O2を使用して、第2の絶縁層118から任意選択で残留物を除去することを表す。
【0142】
ブロック2220は、金属(第4の金属)およびWEを形成するために必要な他の層を堆積させることを表す。1つ以上の実施形態では、ステップは、第2の絶縁層118に形成された第2のウェル/開口2304内に金属ピラー124を堆積させることを含む。金属ピラーの例としては、プラチナまたは金ピラーが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、ステップは、第1のウェル2304にフォトレジストリフトオフマスクを堆積すること、フォトレジストリフトオフマスクの洗浄(例えば、O2プラズマデスカム)を実行すること、マスクの開口内に金属をスパッタリングして、第1のウェル2304内の金属108の露出表面から開口を通って延在する金属ピラー124を形成すること、マスクをリフトオフ/除去して、ピラー124を金属108上に残すこと、を含む。
【0143】
ブロック2222は、第3のウェルまたは第3の開口2306に基準電極(RE)を形成するために、第3のウェル/開口2306に金属(第5の金属)を堆積させることを表す。堆積方法の例としては、電気めっきまたはスクリーン印刷を使用した金属の堆積が含まれるが、これらに限定されない。RE用の金属の例としては、Pt、金、およびCrが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
ブロック2224は、化学ステップを実行することを表し、そのステップでは、WEがグルコースセンサにおいて適切な機能を有するように追加の化学的に活性な層/構成要素がWE上(例えば、ピラー上)に堆積される。例示的な構成要素としては、本明細書で記載されるような、干渉除去構成要素、検体感知構成要素410、タンパク質構成要素416、接着促進層414、および検体調節層412、および/またはカバー層のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
ブロック2226は、例えば、切断またはレーザパターン化によって、構造を個々のセンサ100に加工することを表す。
【0146】
ブロック2228は、基板2302からの個別の分析対象センサ100a~dを個別化することまたは取り外すこと(例えば、剥離)を表す。1つ以上の実施形態では、接着制御を対象とする本明細書に記載のPVD方法は、CEおよびコンタクトパッド110、114を損傷することなく、基板2302(例えばガラス)からフレックスまたはセンサ100a~dを個別化することを可能にする。1つ以上の実施形態では、ステップは、基板2002から物理蒸着金属2300a、2300bを取り外す(例えば、剥離する)ことを含む。
【0147】
ブロック2230は、
図1A~1Dに示されているように、最終結果、すなわちグルコースセンサなどの検体センサ装置100a~100dを表す。
図1A~1Dは、複数の電極を収容し、センサフレックス100a~dの両側の電極を含む様々な両面シングルフレックスセンサの実施形態を示し、センサ100a~dのコンポーネントは、フレキシブルセンサ(センサフレックス)を形成するようにフレキシブルである。フレックスまたはセンサ100a~100dは、フレックスまたはセンサの上側にWEおよびREを含み、フレックスまたはセンサの裏面にCEを含む。1つ以上の実施形態では、滑らかなCEが裏面102b上に形成され、WEで発生する電気化学反応のバランスをとるのに十分な表面領域を有する。しかしながら、1つ以上の例では、フレックスまたはセンサ100a~dの裏面102bで化学反応を起こす必要はない。追加の電極(図示せず)が、バックグラウンドセンサまたは差分センサなどのために含まれてもよく、電極は、送信機接続スキームとインターフェースしてもよい。デバイス100a~dは、
図3のポテンシオスタット回路で使用することができる。
【0148】
1つまたは例では、本明細書で説明される製造方法は、作用電極面積を増加させ、「ドリフト」効果を防止し、および/または製造プロセスを簡略化し得る。
【0149】
プロセスパラメータの調査により、優れたプロセス制御、設計制御、再現性が判明した。このプロセスは、高スループットプロセスであり、プレートと8インチウェーハとの間で簡単に移動できる。
【0150】
実施例7:膜を堆積させ、接着を制御する方法
図24は、基板上に膜を堆積させる方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。
【0151】
ブロック2400は、物理蒸着(PVD)を使用して金属を堆積させるために使用されるチャンバ内のガスの圧力を制御することを表す。1つ以上の例では、ステップはさらに、金属の厚さ、金属の層の数、および物理蒸着中に使用される電力から選択される少なくとも1つの追加のPVDパラメータを制御することを含む。
【0152】
ブロック2402は、物理蒸着(PVD)を使用して基板上に金属を堆積させることを表す。
【0153】
ブロック2404は、金属上に膜を堆積させることを表す。
【0154】
ブロック2406は、少なくとも1つのPVDパラメータ(圧力を含む)の関数として、基板への膜の接着度を測定することを表す。1つ以上の実施形態では、測定は、接着スコアを割り当てることを含む。
【0155】
PVD条件の例としては、2~250mTorr、70~100mTorr、または50~125mTorrの範囲の圧力、10W~100kW(例えば、0.5kW~2kW、例えば0.8kW)の範囲の電力、および各金属層の少なくとも100オングストロームの範囲の厚さ(例えば、1000~9000Å)が挙げられる。
【0156】
ブロック2408は、基板への膜の所望の接着を達成する圧力または他のPVDパラメータを任意選択で決定することを表す。1つ以上の例では、ステップは、少なくとも1つの物理蒸着パラメータの関数として接着度を分析して、接着度に対する少なくとも1つの物理蒸着パラメータの相対的影響を決定することを含む。1つ以上の例では、分析することは、実験計画法(DOE)分析を実行すること、およびパレート図の応答として接着度をプロットすることを含む。ブロック2408の接着スコアおよび決定/分析ステップは、実行時にプロセッサまたはコンピュータに、ブロック2406で得られた測定値の統計分析を実行させ、それにより、所望の接着を達成するPVDパラメータを決定する命令を有するコンピュータ可読プログラムコードを使用して、プロセッサまたはコンピュータで実行されてもよい。
【0157】
実施例8:デバイスを作製する方法
図25は、基板上に膜を堆積する、またはデバイスを製造する方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。
【0158】
ブロック2500は、基板(例えば、剛性基板)を物理蒸着(PVD)(例えば、スパッタリング)チャンバに配置することを表す。
【0159】
ブロック2502は、PVDを使用して材料を堆積させるために使用されるチャンバ内のガスの圧力を含むPVD条件を設定することを表す。1つ以上の例では、圧力は、実施例7に記載された方法を使用して決定される。
【0160】
ブロック2504は、圧力での物理蒸着を使用して、基板上にPVD金属を堆積させることを表す。
【0161】
1つ以上の実施形態では、金属は、それぞれ異なる圧力で堆積された複数の層を含む。
【0162】
1つ以上の実施形態では、PVDは、ガスをイオン化してイオン化ガス粒子を形成することを含む、スパッタリングまたは電子ビームによる堆積、ならびに、例えば10ワット~100kW(例えば、0.5キロワット~2キロワット)の範囲の電力を有する電場および/または磁場を使用して、金属を含むターゲット上にイオン化ガス粒子を加速すること、を含む。1つ以上の例では、ガスの圧力は、2~250mTorr、70~100mTorr、または50~125mTorrの範囲にある。1つ以上の実施形態では、PVD金属は、それぞれが少なくとも100オングストロームの範囲、例えば1000~9000Åの厚さを有する1つ以上の層を含む。1つ以上の例では、PVD金属は、50~250mTorr(または5~150mTorr)の範囲の圧力で基板上に堆積された第1の層と、2~50mTorrまたは2~30mTorrの範囲の圧力)で第1の層上に堆積された第2の層と、を含む。
【0163】
1つ以上の実施形態では、PVD堆積金属は、パターン化層、粗面化層、不均一層、ボイドを含む層、およびピラーを含む層から選択される少なくとも1つの構造化層を含む。
【0164】
ブロック2506は、例えば、実施例4および6に記載されるように、金属上に膜またはデバイス構造を堆積させることを表す。ブロック2602で選択された圧力は、基板への膜の所定の接着に関連付けられてもよく、所定の接着は、(1)膜が基板に接着されている間にデバイスへの膜の加工と、(2)基板からのデバイスの取り外し(例えば、剥離)とを可能にする。
【0165】
ブロック2508は、任意選択で膜を1つ以上のデバイスに加工することを表す。1つ以上の例では、加工は、膜をパターン化または切断することを含む。
【0166】
ブロック2510は、デバイスを基板から任意選択で剥離または取り外すことを表す。
【0167】
ブロック2512は、例えば
図1A~1Dに示されるような最終結果、デバイスを表す。1つ以上の実施形態では、デバイスは、剛性基板2000、2302から剥離された/取り外されたPVD金属2302a、2302b、2002a、2002bの露出表面Sを含む。例示的なデバイスとしては、微小電気機械(MEMS)デバイス構造体、光電子デバイス構造体、回路、バッテリ電極、燃料電池電極、または電気化学的に活性な表面122を有する電極CEを含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。マイクロアレイおよび多電極アレイを製造してもよい。
【0168】
本明細書に示すように、プロセスパラメータの調査により、優れたプロセス制御、設計制御、および再現性が判明した。このプロセスは高スループットプロセスであり、プレートと8インチウェーハとの間で簡単に移動できる。
【0169】
1つ以上の例では、検体センサ装置100a~100eにおける作用電極WEおよび対向電極CEの分離D、配置、または構成は、一定の検体濃度に応答して、電流(ISIG)が31日間にわたって15%未満だけ変動し、ならびに/または作用電極および対向電極の反応によって生成された化学生成物が、電極の性能(WE、CE)に干渉したり、有害な相互作用をしたりしない(
図21D~21Fを参照)ようなものである。
【0170】
1つ以上の例では、本明細書に記載の方法を使用して製造された少なくとも36個のセンサ100a~100eのセットにおいて、センサ100a~100eのそれぞれの動作電極WEおよび対向電極CEの分離D、配置、構成、および電気活性は、同じ検体濃度に応答して、センサのそれぞれによって出力される電流(ISIG)が15%以内であるようなものである(
図21D~21Fを参照)。
【0171】
1つ以上の実施形態では、PVD装置は、実行時にプロセッサまたはコンピュータに、PVD装置内のPVD堆積パラメータを制御させて、膜の基板への所望の接着を達成する命令を有するコンピュータ可読プログラムコードを使用するプロセッサまたはコンピュータに結合される。
【0172】
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、それ自体、当然ながら変化し得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことも理解されたい。好ましい実施形態の説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施し得る特定の実施形態を例として示す添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、構造的および動作上の変更を行い得ることが理解される。
【0173】
説明および特定の例は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、限定ではなく例示として与えられている。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内の多くの変更および修正を行い得て、本発明はそのようなすべての修正を含む。