IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガンブロ・ルンディア・エービーの特許一覧

特許7322055体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス
<>
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図1
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図2
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図3
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図3A
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図3B
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図4
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図5
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図6
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図7
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図8
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図9
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図10
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図11
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図12
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図13
  • 特許-体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230731BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61B5/00 N
A61M1/36 107
A61M1/36 100
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020550599
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019056938
(87)【国際公開番号】W WO2019180068
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】18162977.5
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100207354
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 康正
(72)【発明者】
【氏名】ロバッティ, パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ラバグリ, エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】セベリ, ステファノ
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-038947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理装置の体外セグメント(61)を流れる血液の少なくとも1つの特性を決定するための非侵襲性血液量センサ(50)であって、
-放出軸(54)に沿って信号を前記血液に向けるための少なくとも1つのソース(53)と、
-前記ソース(53)によって放出された前記信号を、前記体外セグメント(61)内を流れる前記血液を少なくとも部分的に通過した後に受信し、受信した前記信号に関係するそれぞれの出力信号を放出するための、前記放出軸に対して異なる角度に配置された複数の検出器(57)と、
-前記複数の検出器(57)から前記それぞれの出力信号を受信し、前記出力信号に基づく血液の前記特性の値を決定するために構成されたコントローラ(65)と、を備え、血液の前記特性は、血液量変動、または、血液量変動直接関係するパラメータである、非侵襲性血液量センサ。
【請求項2】
前記コントローラ(65)はさらに、前記複数の検出器(57)からの前記出力信号に基づいて補助血液パラメータの値を決定するようにさらに構成され、前記補助血液パラメータは、血漿導電率(σpl)、血漿導電率関連パラメータ、前記血液中の少なくとも1つの物質の濃度(Napl)、および前記血液中の少なくとも1つの物質の濃度関連パラメータを含む群から選択される、請求項1に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項3】
前記コントローラ(65)は、前記体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)内を流れる入口透析液のナトリウム濃度(NaIn)の値を受信するように構成され、前記コントローラ(65)は、前記入口透析液ナトリウム濃度(NaIn)に基づいて、前記血液の特性および/または前記補助血液パラメータの前記値を決定するように構成される、請求項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項4】
前記コントローラ(65)は前記体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)内を流れる入口透析液の導電率(σIn)の値を受け取るように構成され、前記コントローラ(65)は前記入口透析液の導電率(σIn)に基づいて、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータの前記値を決定するように構成される請求項~3のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項5】
前記コントローラ(65)は前記体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液の導電率(σOut)の値を受信するように構成され、前記コントローラ(65)は前記出口透析液の導電率(σOut)に基づいて、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータの前記値を決定するように構成される、請求項~4のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項6】
体外血液処理装置の体外セグメント(61)を流れる血液の少なくとも1つの特性を決定するための非侵襲性血液量センサ(50)であって、
-放出軸(54)に沿って信号を前記血液に向けるための少なくとも1つのソース(53)と、
-前記ソース(53)によって放出された前記信号を、前記体外セグメント(61)内を流れる前記血液を少なくとも部分的に通過した後に受信し、受した前記信号に関係するそれぞれの出力信号を放出するための、前記放出軸に対して異なる角度に配置された複数の検出器(57)と、
-コントローラ(65)であって、
・前記複数の検出器(57)から前記それぞれの出力信号を受信し、
・前記出力信号に基づく血液の前記特性の値を決定し、ここで、血液の前記特性は、血液量変動、または、血液量変動直接関係するパラメータであり、
・前記体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)内を流れる入口透析液のナトリウム濃度(NaIn)の値及び/又は導電率(σIn)の値を受信し、
・前記体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液の導電率(σOut)の値を受信し、
・血液の前記特性の前記値を、
記出口透析液の導電率(σOut)、並びに、前記入口透析液のナトリウム濃度(NaIn)の値、及び/又は前記入口透析液の導電率(σIn)、
に基づいて決定する、
コントローラ(65)と、を備える、
非侵襲性血液量センサ。
【請求項7】
前記コントローラ(65)は、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するための状態空間数学モデリングを使用するように構成され、前記状態空間数学モデリングは、次式を含む、請求項のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数1】
【数2】
ここで、
【表1】
【請求項8】
前記拡散時間(τDiff)は以下に等しい、請求項7に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数3】
ここで、
【表2】
【請求項9】
前記コントローラ(65)は、前記複数の検出器(57)からの前記出力信号に基づいて、血液の前記特性及び補助血液パラメータの両方を、血液の前記特性、前記補助血液パラメータおよび前記出力信号の値を線形に組み合わせた数式を用いて決定するように構成されている、請求項2~5及び7~8のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項10】
前記コントローラ(65)は、前記複数の検出器(57)からの前記出力信号に基づいて、以下の数式を用いて血液の前記特性および補助血液パラメータの両方を決定するように構成されている、請求項2~5及び7~9のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数4】
ここで、
【表3】
【請求項11】
前記コントローラ(65)は、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するための状態空間数学モデリングを使用するように構成され、前記入口透析液がルーティングされておらず、かつ、ろ過ユニットをバイパスする前記体外血液処理装置のバイパス状態において、前記状態空間数学モデリングが次式を含む、請求項3及び4のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数5】
【数6】
ここで、
【表4】
【請求項12】
前記コントローラ(65)は、入口透析液導電率(σin)および血漿導電率(σpl)の平均値としてモデル化された出口透析液導電率(σOut)にも基づいて前記補助血液パラメータを決定するように構成され、前記出口透析液導電率(σOut)は前記体外血液処理装置の使用済み透析液ライン(13)を流れる透析液の導電率であり、前記入口透析液導電率(σin)は前記体外血液処理装置の調製ライン(19)を流れる透析液の導電率であり、前記血漿導電率(σpl)は前記体外セグメント(61)を流れる前記血液の導電率である、請求項2~5及び7~11のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項13】
前記コントローラ(65)は、前記補助血液パラメータを、以下の数学的関係にも基づいて決定するように構成されている、請求項2~5及び7~12のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数7】
ここで、
【表5】
【請求項14】
前記重み付け係数(Gix )は以下のように定義される、請求項13に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数8】
ここで、
【表6】
【請求項15】
前記重み付け係数(Gix )が0.4および0.6の間に含まれる定数である、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項16】
圧回路を横切る入口透析液組成の変化の伝搬時間を考慮した前記遅延時間(τDelay)は一定である、請求項13~15のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項17】
前記コントローラ(65)は、前記体外セグメント(61)内を流れる前記血液の導電率である血漿導電率(σpl)にも基づいて前記補助血液パラメータを決定するように構成される、請求項2~5及び7~16のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項18】
前記コントローラ(65)は、前記補助血液パラメータを、以下の数学的関係にも基づいて決定するように構成される、請求項2~5及び7~17のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【数9】
ここで、
【表7】
【請求項19】
前記コントローラ(65)は、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するためのカルマンフィルタを使用するように構成される、請求項2~5及び7~18のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項20】
少なくとも1つの検出器は、フォトダイオードレシーバを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項21】
前記ソースは、
-電磁放射発光体、
-発光体、または、
-超音波発光体、のいずれかを含み、
ここで、前記ソースは、信号発光部に結合された一端部と、光された信号を前記放出軸に沿って前記血液に向けて導くように配置された他端部とを有する光ファイバを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項22】
前記ソースは、赤色および赤外線領域のピーク波長を有する同一チップ上の複数のLEDを含む多波長LED発光体を含み、前記ソースの照明ピーク波長が790および820nmの間からなることを特徴とする、請求項21に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項23】
前記複数の検出器は、各検出器の位置に依存する反射信号、散乱信号、および/または送信信号を収集するように構成され前記複数の検出器は、前記ソースの前記放軸に対して約180°に配置された1つの第1の検出器と、前記ソースの前記放軸に対して約90°に配置された1つの第2の検出器と、前記ソースの前記放軸に対して約45°に配置された1つの第3の検出器と、前記ソースの前記放軸に対して約0°に配置された1つの第4の検出器と、を備え、前記複数の検出器は前記体外血液処理装置のチューブまたは前記体外セグメント内の血の法線セクションに沿って放射状に、前記ソースによって放射される前記信号を受信するように構成される、請求項1~22のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項24】
前記複数の検出器は各検出器の受信軸に沿って直接、反射し、または屈折した信号を受信し、前記検出器の前記受信軸と前記ソース(53)の前記放軸とは同一平面内に含まれる、請求項1~23のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項25】
前記体外血液処理装置の体外セグメント(61)はチューブの一部分であり、前記チューブは円形の断面を有し、前記複数の検出器および前記ソースは前記チューブの前記一部分の周りに、同じ断面の周りに異なる角度で配置される、請求項1~24のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項26】
前記複数の検出器は、前記体外血液処理装置のチューブ内の血の法線部分に沿って放射状に前記ソースによって放出された前記信号を受信するように構成されている、請求項1~25のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項27】
前記体外血液処理装置のチューブに対して対向する形状である1つの対向する形状部分を有するハウジングをさらに備え、前記ハウジングは、前記体外セグメントの外形に対して対向する形状の通路を画定する2つ以上のピースから作られて前記体外セグメント(61)を前記通路の内部に収容し、各検出器は、前記チューブとの前記ハウジングの結合状態で前記チューブに面する前記対向する形状部分に配置されたそれぞれの端部を含み、前記ソースは、前記チューブとの前記ハウジングの結合状態で前記チューブに面する前記対向する形状部分に配置された端部を含む信号エミッタを備える、請求項1~26のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項28】
前記ソースは、前記信号エミッタに結合された一端部と、前記ハウジングに固定された他端部とを有する光ファイバを含み、前記光ファイバの前記他端部は前記対向する形状部分に配置され、前記チューブと前記ハウジングの結合状態で前記チューブに面し、少なくとも1つの検出器は、光ファイバを含み、前記チューブに対応する前記光ファイバの一端部は前記ハウジングに固定され、前記光ファイバの前記端部は前記対向する形状部分に配置され、前記体外セグメントと前記ハウジングの結合状態で前記チューブに面する、請求項27に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項29】
少なくとも1つの検出器が光ファイバを含み、一方の端部がチューブに対応して配置され、他方の端部がフォトダイオードレシーバに結合されている、請求項1~28のいずれか1項に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項30】
前記チューブに対応する前記光ファイバの前記端部は、前記体外血液処理装置の前記チューブと対向する形状である1つの部分を有するハウジングに固定され、前記光ファイバの前記端部は前記対向する形状の部分に配置され、前記ハウジングと前記体外セグメントとの結合状態で前記チューブに面する、請求項29に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項31】
トランスインピーダンス増幅のための回路を有するプリント回路基板を含み、前記検出器は、前記プリント回路基板に接続されたそれぞれのフォトダイオードレシーバを含み、トランスインピーダンス増幅のための前記回路は、電流電圧変換器であり、前記検出器の電流出力を増幅する、請求項29又は30に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項32】
前記プリント回路基板はトランスインピーダンス増幅のために前記回路を出る前記信号をフィルタリングするための低域フィルタリングを含む、ことを特徴とする請求項31に記載の非侵襲性血液量センサ。
【請求項33】
体外血液処理のための装置であって、
-処理ユニット(2)、前記処理ユニット(2)の入口に接続された回収ライン、および、前記処理ユニット(2)の出口に接続された戻りライン(7)を含む体外血液回路(60)のホルダ(71、7、73)であって、前記体外血液回路(60)が体外セグメント(61)を含む、ホルダ(71、7、73)と、
-前記体外血液処理装置を駆動するための制御ユニット(10)と、
-少なくとも1つの請求項1~32のいずれか1項に記載の非侵襲性センサ(50)と、を備える装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置であって
-二次チャンバ(4)を同じ処理ユニット(2)の一次チャンバから分離する半透膜(5)を有する前記処理ユニット(2)を有する前記体外血液回路(60)と、
-前記処理ユニット(2)の二次チャンバ(4)の入口に接続されるように構成された一端部を有する調製ライン(19)と、
-前記二次チャンバ(4)の出口に接続されるように構成された一端部を有する使用済み透析液ライン(13)と、をさらに備え、
前記制御ユニット(10)は、
・血液流量(Qb)で前記体外血液回路内の患者の血液の流れを引き起こすことと、
・流量(Qdin)で前記調製ライン(19)内を前記二次チャンバ(4)に向かって入口透析液を流すことと、
・前記使用済み透析液ライン(13)に出口透析液を流量(QdOut)で流入させることと、
・前記調製ライン(19)に流れる前記入口透析液の導電率(σIn)またはナトリウム濃度(NaIn)に関連する1つ以上の数値受信することと、
・前記使用済み透析液ライン(13)を流れる前記出口透析液の導電率(σOut)またはナトリウム濃度(NaOut )に関連する1つ以上の測定値を受信することと、
・前記体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D、K・t)の少なくとも1つの数値を、
・・前記出口透析液の前記導電率(σOut)又は前記ナトリウム濃度(NaOut )に関連する前記1つ以上の測定値
・・前記入口透析液の前記導電率(σIn)または前記ナトリウム濃度(NaInに関連する1つ以上の
・・前記体外血液回路の前記体外セグメント(61)を流れる血液の血漿導電率(σpl)又は血漿ナトリウム濃度(Naplの計算値
・・入口透析液の前記流量(QdIn)および出口透析液の前記流量(Qdout)のうちの少なくとも1つ、
に基づいて計算することと、
のステップの実行を命令するように構成される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外血液回路内を循環する血液の少なくとも1つのパラメータを決定するための装置、センサ、およびプロセスに関する。特に、本発明の装置、センサ及び処理は相対血液量変動(ΔRBV)、より詳細には、相対血液量変動パーセント(ΔRBV%)及び/又は血液若しくは血漿ナトリウム濃度(Napl)及び/又は体外回路で循環する血漿若しくは血液の導電率の非侵襲性測定に有用である。
より詳細には、本発明は、体外血液処理中または体外血漿処理(例えば、血液透析、血液ろ過、血液ろ過透析、血漿交換など)中の血液パラメータのオンライン測定に向けられる。本発明はまた、血液または血漿のパラメータの測定に基づいて、体外血液処理、特に浄化処理の進行を示すパラメータを決定するための装置および方法に関し、その目的は、血液透析または血液ろ過透析のような腎不全を軽減することである。
【0002】
本発明の装置、センサおよびプロセスは任意の体外血液または血漿処理に適用され得るが、例として、本明細書では主に、血液透析または血液ろ過または血液ろ過透析のような処置に言及する。
【0003】
血液透析は慢性腎障害患者の治療に用いられる治療法であり、通常は週3~4回実施され、3~5時間持続する。この処理は3つの主要な目標を有し、その第1の目標は、限外ろ過(UF)によって達成される、セッション間に蓄積された過剰な体内水分を除去することである。第2の目標は尿毒症性毒素を除去することであり、これもセッション間に蓄積される。第3の目標は、血液中の電解質の適切なバランスを回復させることである。
【0004】
血液透析治療では、患者の血液および血流とほぼアイソトニックな処理液が血液透析器のそれぞれの区画に循環され、その結果、血液中に存在する不純物および不要物(尿素、クレアチニンなど)が血液から処理液への拡散移動によって移動し得る。
処理液のイオン濃度は、患者の血液のイオン濃度を補正するように選択される。言い換えると、血液透析は拡散および対流の2つの現象に基づいており、それによって、血液透析フィルタ(血液透析器)の膜を横切る水および溶質の物質移動が達成される。血液透析器は、交換表面積を最大にするように設計された中空ファイバの円筒状束である。内部では、血液および透析液(透析液)が膜の反対側を向流で流れる。
【0005】
血液ろ過において、限外ろ過による対流移動は、血液ろ過器の半透膜を横切って行われる。血液ろ過透析による治療では、透析により得られる拡散移動に、半透膜の血液側と処理液側との間に生み出される正圧差に起因する限外ろ過による対流移動が加えられる。
【0006】
これらのタイプの治療において、治療が処理された血液にどのように影響しているか、または影響したかを示す1つ以上のパラメータを決定できることは興味深い。一方、特定の血液パラメータのオンラインモニタリングは最初に固定された治療条件を修正すること、又は少なくとも治療がどのように進んでいるかに関して患者及び医療従事者に知らせることを可能にするかもしれない。
以下のパラメータの1つ以上の情報、
-体外血液または血漿中の1つ以上の電解質の濃度
-体外血液または血漿中の導電率
-血液量変動、例えば、治療セッション中の相対血液量変動
-所与の溶質についての交換の実際のダイアリザンスDまたは実際のクリアランスK(交換の浄化効率を表すダイアリザンスDおよびクリアランスK)
-処理時間t経過後に投与される透析量、SargentおよびGotchの研究によれば、無次元比Kt/Vにリンクされてもよく、Kは尿素の場合の実際のクリアランス、tは経過した治療時間およびVは尿素の分布の体積、すなわち、患者中の水の総体積である (Gotch F. A. and Sargent S. A., A mechanistic analysis of the National Cooperative Dialysis Study (NCDS)", Kidney Int. 1985, Vol. 28, pp. 526-34)
は、治療の進行を追跡することを可能にし、したがって、最初に固定された治療条件の適合性を評価すること、または処理ユニットが適切に機能しているかどうかを確立すること、またはアクセス再循環の存在を評価することを助けることができる。
【0007】
上記パラメータの決定は、血液または血漿の物理的または化学的特性の正確な情報を必要とする。理解され得るように、この特性の決定は、原則として、血液の検体に対する直接測定によって得られ得る。しかし、治療上、予防上及び財政上の理由から、貧血であることが多い患者からの治療の有効性を監視するために必要な複数の検体を採取することは疑問の余地がない。さらに、汚染されている可能性のある血液の検体を取り扱うことに伴うリスクを考慮すると、一般的な傾向はそのような取り扱い作業を回避することである。最後に、血液の検体の検査分析は高価で比較的長く、これは、治療がまだ進行中である間の治療の有効性を知るという望ましい目的とは相容れない。
【0008】
現代の血液透析では生理学的情報の収集のための非侵襲性方法の開発に多くの重点が置かれており、これは患者に直接センサを適用するか、または治療中に血液透析機械にアクセスするかのいずれかによって行われる。生理学的パラメータの連続的または半連続的な監視は患者の安全のために重要であり、臨床的知識を集めることに加えて、バイオフィードバックシステムへのインプットとして特に重要である。
【0009】
調査の対象となる生理学的パラメータの例は、相対的な血量変動(ΔRBV%)、ダイアリザンス(D)および血漿導電率(σpl)である。
血液量変動(ΔRBV)はUFの効果を定量化し、そして今日、光学的または超音波手段によって連続的にモニターされる。パラメータDは透析効率を定量化し、治療中に変化することができる。σplは血漿ナトリウム濃縮Naplの代用物であり、これは、現在、直接的、持続的、および非侵襲性な方法で測定することができない。
【0010】
血液サンプルの測定を行うことなしに、血液濃度、または血液量変動および血漿導電率のような他の血液透析パラメータを体内で決定するためにいくつかの周知の方法が提案されている。
【0011】
例えば、使用済み透析液ライン中の尿素センサを使用して、血液中の尿素濃度を計算することが可能である。しかしながら、尿素センサは複雑で高価であり、正確な測定につながらない場合がある。第2のアプローチに従って、血液導電率または血液電解質濃度は、血液処理ユニット(フィルタまたは血液透析器)の入り口において、所与の物質の濃度または透析液の導電率に周期的な変化を課すことによって、および、使用済み透析液における同じ物質または導電率の変化について濃度に関して対応する効果を測定することによって、測定されてもよい。以下の特許文献には、血液の導電率、所与の物質の血液濃度、ダイアリザンス、および新鮮な透析液に摂動する他のパラメータを生体内で決定し、装置の透析液側で濃度/導電率の測定を行うための方法が開示されている。欧州特許出願公開第0547025号明細書、欧州特許出願公開第0658352号明細書、欧州特許出願公開第0920877号明細書、米国特許出願公開2001004523号明細書、欧州特許出願公開第2687248号明細書、米国特許第6187199号明細書、米国特許第5100554号明細書。この第2のタイプのアプローチの問題は、求められるパラメータ、例えば、血液中のナトリウム濃度および/またはナトリウムダイアリザンスを、多かれ少なかれ複雑な計算で決定するために、新鮮な透析液の組成を摂動させる必要があることである。さらに、透析器の下流の液体中の濃度/導電率は、高精度で測定することが困難であり得る。さらに、液圧遅延、透析器によって引き起こされる減衰効果、および機械およびその構成要素によって導入されるノイズは、センサによって検出される信号を適切に精緻化することを必要とし得る。さらに、上記のすべての方法は、血中ナトリウム濃度または血液導電率の決定に到達するために比較的複雑であり得る演算を必要とする。
【0012】
最後に、米国特許第8525533号明細書は、使用済み透析液ラインに適用され、使用済み透析液の導電率を決定することができる導電率センサを使用する。この参考文献によれば、導電率センサは4つの電極、すなわち、2つのリング状励起電極及び2つのリング状ピックアップ電極を必要とする。センサが透析液ラインに適用されるとき、血液パラメータを決定するために、上述した欠点を有する上述の方法のうちの1つを採用することが必要である。
【0013】
ここで、相対血液量変動(ΔRBV)を参照すると、この特定の血液パラメータのオンライン測定は一般に、光学的アプローチを使用する。光学的ΔRBV推定は、赤血球内にほぼ完全に含まれるヘモグロビン(Hgb)の吸光度に基づく。単純な光学センサでは、赤血球濃度の変動にリンクする吸光度変化を検出するために、LEDおよびフォトダイオードが使用される。赤血球の数は治療の間、ほぼ一定であり、そのため、血液濃縮は主に、血漿補充速度よりも大きいUFによる水除去によって引き起こされる。
【0014】
既知のセンサは、照明赤外線LEDから180°のところで血液を透過した光のみを測定するように機能する。この測定値、吸光度は、ヘマトクリット変更に依存するので、相対的な血液量損失の推定に使用される。
【0015】
相対的な血液量損失を測定するための他のデバイスは、血液によって反射された光を測定するために反射率センサを利用する。この場合、照明LEDと光学センサはキュベットの同じ側に、一定の距離を置いて配置される。
【0016】
超音波センサはまた、総タンパク質濃度の機能としてRBV損失を測定するために使用される。
【0017】
更に、異なる波長での測定のための複数LEDを有する光学系も酸素飽和度の推定及びキャリブレーション目的のために使用される。
【0018】
血液用途のための光学センサの使用は拡散されるが、ほとんどの実装はただ1つの測定チャネルを使用する。複数のチャネルが使用される場合、酸素飽和度の推定または追加のキャリブレーション(例えば、温度の影響を補償するため)のような目的のために、異なる波長の光を検出することがほとんどである。
【0019】
最近、光学センサによるΔRBV推定が電解質の濃度の変化に対する交差感度に悩まされていることが報告された。透析液ナトリウム濃度の急激な変化は、ΔRBVの過小評価または過大評価につながり得る。このような変化は、赤血球容積に対する浸透圧のアクションを考慮することによって説明することができる。ナトリウムは透析液および血漿の両方において最も濃縮された溶質のうち、浸透圧の主要な駆動因子である。透析液ナトリウムの変動は、血液透析器膜を横切る拡散のために血漿に伝播する。その結果、水の移動が赤血球の膜を横切って起こり、内部および外部の浸透圧のバランスをとり、それによってそれらの体積を変化させる。この容積変化は、局所的なHgb濃度を変化させ、血液の吸光度および散乱特性の修正をもたらす。血液濃縮、浸透圧度、および血液の光学特性の間の関係は調査の対象であるが、ΔRBV推定に対する浸透圧モル濃度の影響は特定の治療において、医師が治療の終わりに到達されるべき血液量変動目標を設定し得、ΔRBV推定値は目標に到達するためにUFを制御するためのフィードバックとして使用され得るので、取り扱うための重要な問題である。さらに、患者の健康状態を改善するためには膨大な血液量の変動を回避しなければならず、あるいは異なる用語では血液量の変動が治療セッションの過程の間にプロファイルされなければならない。明らかに、不正確なΔRBV推定は、エンドセッション水除去のための不正確なトランジェクトリにつながる可能性がある。
【0020】
全血液において、異なるトランジェクトリに沿った光伝播は、異なる名前、透過率、反射率、散乱をとる。
【0021】
文献国際公開第0033053号によるアプローチでは、測定システムが90°の追加チャネルを有するセンサを追加することによって、照明赤外LEDから180°で血液を透過した光のみを測定するデバイスの修正である。追加のチャネルは主に、キャリブレーションおよび/または補正目的を有する。従来技術の計算ユニットは、散乱光ダイオードによって提供される散乱光信号と、透過光ダイオードによって提供される透過光信号とを分割して、比信号を計算して、光学比信号を提供するように構成されている。文献国際公開第0033053号によれば、垂線散乱信号と送信信号との間の比は赤血球濃度に本質的に比例する、すなわち、比信号と赤血球濃度との間に線形関係があることが分かっている。さらに、比率信号は、酸素飽和レベル、浸透圧および血液流量にわずかしか依存しない。
【0022】
また、文献米国特許5331958号明細書から、ヘマトクリットおよび他の血液パラメータの連続オンラインモニタリングに有用な方法およびデバイスが知られている。この従来技術によれば、血中電解質組成、例えば血中ナトリウム濃度の変化の影響が考慮されている。この効果は光ビームの幾何学的形状を変化させることが見出されており、血中ナトリウム濃度測定を提供するために利用される。
デバイスは体外回路に、または透過可能であり得る身体部分に適用され得る。このデバイスは透析を最適化するために、そしてまた、光学的に検出可能な外因性高分子をモニターするために使用され得る。
【0023】
本発明の目的は、体外血液回路を循環する血液又は血漿の血液量変動(ΔRBV)及び/又は血液若しくは血漿ナトリウム濃度(Napl)及び/又は血漿若しくは血液導電率(σpl)のような少なくとも1つのパラメータを確実に決定することができる装置、センサ及び処理を提供することである。
【0024】
また、本発明の実施形態の目的は、対象のパラメータを決定するために血液または血漿のサンプリングを必要とせず、体外血液または血漿の処理または処理の実行中に連続的かつ効果的に動作することができる装置およびプロセスを提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は例えば、生理学的パラメータの簡単でしかも高度に記述的な組であると考えられる、特にΔRBV及びNaplによって表される血液透析治療中の血中濃度及び浸透圧を正確に推定するための装置及び方法を開発することである。
【0026】
また、本発明の実施形態の目的は治療処方を損なうことなく、特に、透析液回路または血液回路のいずれかに摂動を導入する必要なく、1つ以上の血液パラメータの適切な決定を可能にすることである。
【0027】
加えて、高い計算能力を必要とせず、かつ複雑な数学的モデルを伴わずに実施され得るプロセスおよび装置を提供することを目的とする。
【0028】
別の補助的な目的は、安全な方法で動作することができる装置である。
【0029】
さらなる補助的な目的は、1つまたは複数の血液または血漿パラメータの決定に基づいて、透析および/または透析用量などの治療の有効性を示すパラメータを算出することを可能にする装置およびプロセスである。
【発明の概要】
【0030】
上記の目的の少なくとも1つは、添付の特許請求の範囲の1つまたは複数による装置および/またはセンサおよび/またはプロセスによって実質的に達成される。
【0031】
本発明の態様に従い、上記のオブジェクトのうちの1つ以上を達成することができる装置およびプロセスを、ここで以下に説明する。
【0032】
第1の態様は、体外血液処理装置の体外セグメント(61)、例えばチューブセグメント内を流れる血液の少なくとも1つの特性及び/又は1つの(補助)パラメータを決定するための非侵襲性センサ(50)、特に血液量センサに関し、非侵襲性センサ(50)は、
-信号を放出軸(54)に沿って血液に向けるための少なくとも1つのソース(53)と、
-前記ソース(53)によって放出された信号を、セグメント(61)を流れる血液を少なくとも部分的に通過した後に受信し、受信された信号に関連するそれぞれの出力信号を放出するための複数の検出器(57)と、
-複数の検出器(57)からそれぞれの出力信号を受信し、出力信号に基づいて血液および/またはパラメータの前記特性の値を決定するために構成されたコントローラ(65)であって、特に、血液の前記特性は、血液量変動またはヘモグロビン濃度、または血液量変動またはヘモグロビン濃度に直接関連するパラメータであるコントローラ(65)と、を備える。
【0033】
以下の態様において、体外セグメント(61)は、非限定的な方法で、チューブセグメントと呼ばれる。
チューブセグメントが言及されるたびに、体外セグメントも代替的に言及され、より限定的な用語に置き換えられてもよいことが意図される。
【0034】
第1の態様による第2の態様において、コントローラ(65)はさらに、(補助)血液パラメータの値を決定するように構成され、前記補助パラメータは、血漿導電率(τpl)、血漿導電率関連パラメータ、血液内の少なくとも1つの物質(Napl)の濃度、例えば、Na、および、血液内の少なくとも1つの物質の濃度関連パラメータ、が含まれるグループから選択される。
【0035】
前述の態様のいずれか1つによる第3の態様では、コントローラ(65)が複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて血液の特性の数値を決定するようにさらに構成される。
【0036】
前述の態様のいずれか1つによる第4の態様では、コントローラ(65)が出力信号に基づいて前記補助血液パラメータの経時変化を決定するように構成される。
【0037】
前述の態様のいずれか1つによる第5の態様では、コントローラ(65)が出力信号に基づいて、血液の前記特性の経時変化を決定するように構成される。
【0038】
前述の態様のいずれか1つによる第6の態様では、コントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液のナトリウム濃度(Nain)の値を受け取るように構成され、コントローラ(65)は入口透析液のナトリウム濃度(Nain)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定するように構成される。
【0039】
前述の態様のいずれか1つによる第7の態様ではコントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)内を流れる入口透析液のナトリウム濃度(Nain)の値を受け取るように構成され、コントローラ(65)は入口透析液のナトリウム濃度(Nain)に基づいて血液の前記特性の値を決定するように構成される。
【0040】
前述の態様のいずれか1つによる第8の態様ではコントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液導電率(σin)の値を受け取るように構成され、コントローラ(65)は入口透析液導電率(σin)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定するように構成される。
【0041】
前述の態様のいずれか1つによる第9の態様ではコントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液導電率(σin)の値を受け取るように構成され、コントローラ(65)は入口透析液導電率(σin)に基づいて血液の前記特性の値を決定するように構成される。
【0042】
前述の2つの態様による第10の態様では、コントローラ(65)が入口透析液導電率(σin)の測定値を受け取るように構成される。
【0043】
前述の態様8または9による第11の態様では、コントローラ(65)が入口透析液導電率(σin)のための設定値を受け取るように構成される。
【0044】
前述の態様6または7による第12の態様では、コントローラ(65)が入口透析液ナトリウム濃度(Nain)の測定値を受け取るように構成される。
【0045】
前述の態様6または7による第13の態様では、コントローラ(65)が入口透析液ナトリウム濃度(Nain)の設定値を受け取るように構成される。
【0046】
前述の態様のいずれか1つによる第14の態様ではコントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液導電率(σOut)の値を受信するように構成され、コントローラ(65)は出口透析液導電率(σOut)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定するように構成される。
【0047】
前述の態様のいずれか1つによる15の態様ではコントローラ(65)が体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液導電率(σOut)の値を受け取るように構成され、コントローラ(65)は出口透析液導電率(σOut)に基づいて血液の前記特性の値を決定するように構成される。
【0048】
前述の態様14または15による第16の態様において、コントローラ(65)は、出口透析液導電率(σOut)の測定値を受信するように構成されている。
【0049】
前述の態様のいずれか1つによる第17の態様ではコントローラ(65)が血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するために状態空間数学モデリングを使用するように構成され、状態空間数学モデリングは以下の式を含む、
ここで、
【0050】
前述の態様による第18の態様では、拡散時間(τDiff)が以下と等しい、
ここで
【0051】
前述の2つの態様のいずれか1つによる第19の態様では、拡散時間が例えば1000~1200sの間に含まれる一定時間に近似される。
【0052】
前述の態様のいずれか1つによる第20の態様では、コントローラ(65)が血液の特性、補助血液パラメータ、および出力信号の値を線形結合する数式を使用して、複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて、血液の前記特性および補助血液パラメータの両方を決定するように構成される。
【0053】
前述の態様のいずれか1つによる第21の態様では、コントローラ(65)が以下の数式を使用して、複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて、血液の前記特性および補助血液パラメータの両方を決定するように構成される。
ここで、
【0054】
前述の態様のいずれか1つによる第22の態様では、コントローラ(65)が血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するための状態空間数学モデリングを使用するように構成され、入口透析液がろ過ユニットをバイパスする体外血液処理機器のバイパス状態において、状態空間数学モデリングは以下の式を含む。
ここで、
【0055】
前述の態様のいずれか1つによる第23の態様では、コントローラ(65)が入口透析液導電率(σin)および血漿導電率(σpl)の平均値、特に加重平均値としてモデル化された出口透析液導電率(σOut)にも基づいて補助血液パラメータを決定するように構成され、出口透析液導電率(σOut)は体外血液処理装置の使用済み透析液ライン(13)を流れる透析液の導電率であり、入口透析液導電率(σin)は体外血液処理装置の調製ライン(19)を流れる透析液の導電率であり、血漿導電率(σpl)はチューブセグメント(61)を流れる血液の導電率である。
【0056】
前述の態様のいずれか1つによる第24の態様では、コントローラ(65)が以下の数学的関係にも基づいて補助血液パラメータを決定するように構成される。
ここで、
【0057】
前述の態様による第25の態様では、重み付け係数(Gmix)が比例し、特に以下に等しい。
ここで、
【0058】
前述の2つの態様のいずれか1つによる第26の態様では、重み付け係数(Gmix)が一定であり、例えば、0.4と0.6との間に含まれる。
【0059】
前述の3つの態様のいずれか1つによる第27の態様では、液圧回路を横切る入口透析液成分の変化の伝搬時間を考慮するための遅延時間(τDelay)が一定であり、例えば、100秒~200秒の間に含まれる。
【0060】
前述の態様のいずれか1つによる第28の態様では、コントローラ(65)がチューブセグメント(61)内を流れる血液の導電率である血漿導電率(σpl)にも基づいて補助血液パラメータを決定するように構成される。
【0061】
前述の態様のいずれか1つによる第29の態様では、コントローラ(65)が以下の数学的関係にも基づいて補助血液パラメータを決定するように構成される。
ここで
【0062】
前述の態様のいずれか1つによる第30の態様では、コントローラ(65)が血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するためのカルマンフィルタを使用するように構成される。
【0063】
前述の態様のいずれか1つによる第31の態様ではコントローラ(65)が血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するためのカルマンフィルタを使用するように構成され、カルマンフィルタは以下の式に基づく予想ステップを含む。
ここで、
式(14)および(15)は、一般的な時間ステップk、例えば1秒の関数として与えられ、
kはろ過ユニットの入口における時間ステップkにおける入口透析液ナトリウム濃度(NaIn[k])および時間ステップkにおける入口透析液導電率(σIn[k])を含む[2x1]ベクトルであり、xk -およびxk +は補助血液パラメータ、特に血漿ナトリウム濃度(Napl[k])の予測値および補正値をそれぞれ含む[2x1]ベクトルであり、血液の特性、すなわち、時間ステップkにおける相対血液量変動(ΔRBV[k])、血漿ナトリウム濃度および相対血液量変動は状態変数であり、xk -はステップkにおける予測システム状態であり、xk-1 +およびukの関数であり、
Qはプロセスノイズの共分散を記述する[2x2]行列である。
【0064】
Aは、相対的な血量変動(ΔRBV)および血漿ナトリウム濃度(Napl)に関する関数f(・、・)の[2x2]ヤコビアン行列線形化である。
【0065】
k -とPk +は、それぞれのステップkで式(15)と(18)に従って計算された、予測および修正された[2x2]推定共分散行列である。
【0066】
先の態様による第32の態様では、初期ベクトルx0 +がゼロ血液量変動、即ち、α=0に設定され、そして、血漿ナトリウム濃度は、Napl=140mMのような、被験者平均の血漿ナトリウム濃度に等しい。
【0067】
前述の2つの態様のいずれか1つによる第33の態様において、初期対角行列P+はゼロ血液量変動、すなわち、ΔRBV=0に設定され、血漿ナトリウム濃度(Napl)は6mM未満の値、好ましくは4mMに等しい。
【0068】
前述の3つの態様のいずれか1つによる第34の態様では、機能f(・,・)が治療モードにおける態様17による方程式の離散化バージョンによって定義される。
【0069】
前述の4つの態様による第35の態様では、関数f(・,・)がバイパスモードにおける態様22による方程式の離散化されたバージョンによって定義される。
【0070】
前述の態様のいずれか1つによる第36の態様では、治療モードにおける態様17による方程式の離散化バージョンが以下の通りである。
ここで、離散化のための順方向オイラー法が使用される。
【0071】
前述の態様31~35のいずれか1つによる第37の態様では、カルマンフィルタが以下の式に基づく測定ベースの修正ステップを含む。
ここで、
kは、式(16)に従って計算された[2×5]誤差ゲイン行列であり、
Rは、[5x5]の共分散対角行列であり、特に光学的測定に関連するRの対角値は、式(9)の二乗平均平方根当てはめ残差に等しく設定される。
ここで、
であり、
出口透析導電率(σOut)に関連するRの対角値は、ダイアリザンス(D)の平均値、例えば250ml/分、からの偏差であり、
kは、測定出力の[5x1]観測列ベクトルで、信号出力(差分RP1[k]~差分RP4[k])と出口導電率(差分σOut[k])で構成されており、
g(xk -,uk)は、状態出力関数g(・,・)に従って計算された予測出力の[5x1]列ベクトルであり、機能g(・,・)は、次式で与えられる時間離散方程式(22)、(23)および(24)によって決定される。
ここで、
【0072】
Hは、血量変動(ΔRBV)および血漿ナトリウム濃度(Napl)に対する関数g(・,・)の[5×2]ヤコビアン線形化行列である。
【0073】
第38の態様では、体外血液処理装置の体外セグメント(61)、例えばチューブセグメント、内を流れる血液の少なくとも1つの特性および/または1つの補助血液パラメータを決定するために提供される非侵襲性センサ(50)、特に血液量センサは、
-放出軸(54)に沿って信号を血液に向けるための少なくとも1つのソース(53)と、
-セグメント(61)を流れる血液が少なくとも部分的に通過した後に前記ソース(53)によって放出された信号を受信し、受信した信号に関連するそれぞれの出力信号を放出するための複数の検出器(57)と、を備える。
【0074】
前述の態様のいずれか1つによる第39の態様では、少なくとも1つの検出器、特にすべての検出器はフォトダイオードレシーバを含む。
【0075】
前述の態様のいずれか1つによる40の態様では、ソースが電磁波放射源または超音波源を含む。
【0076】
前述の態様のいずれか1つによる第41態様では、ソースが光源、特に発光ダイオード光源を含む。
【0077】
前述の態様のいずれか1つによる第42の態様では、ソースが赤色および赤外帯域の選択波長を有する同じチップ上に、複数のLED、例えば5つのLEDを含む複数の波長のLED発光体を含む。
【0078】
前述の態様のいずれか1つによる第43の態様では、ソースの照明ピーク波長が790nmと820nmとの間、特に800nmと810nmとの間に含まれる。
【0079】
前述の態様のいずれか1つによる第44の態様では、ソースは、信号放射器に結合された一端と、放射された信号を放射軸に沿って血液に向けるように配置された他端とを有する光ファイバーを含む。
【0080】
前述の態様のいずれか1つによる第45の態様では、前記検出器が放射軸に対して異なる角度で配置される。
【0081】
前述の態様のいずれか1つによる第46の態様では、前記検出器がチューブセグメント内を流れる血液を透過および/または反射および/または散乱した後に、ソースによって放射された同じ信号を実質的に同時に受信する。
【0082】
前述の態様のいずれか1つによる第47の態様では、前記検出器がそれぞれの位置に応じて、反射信号、散乱信号、および/または送信信号を収集する。
【0083】
前述の態様のいずれか1つによる第48の態様では、前記検出器がそれぞれの位置に応じて、反射電磁放射、散乱電磁放射、および/または透過電磁放射を収集する。
【0084】
前述の態様のいずれか1つによる49の態様では、少なくとも1つの検出器がソースの放出軸に対して約180°に配置され、および/または少なくとも別の検出器はソースの放出軸に対して約45°に配置される。
【0085】
前述の態様のいずれか1つによる第50の態様では、少なくとも1つの検出器がソースの放出軸に対して約90°に配置され、および/または少なくとも別の検出器はソースの放出軸に対して約0°に配置される。
【0086】
前述の態様のいずれか1つによる第51の態様では、センサはソースから電磁放射を受け取るための4つの異なった検出器を含み、1つの第1の検出器はソースの放出軸に対して約180°に配置され、1つの第2の検出器はソースの放出軸に対して約90°に配置され、1つの第3の検出器はソースの放出軸に対して約45°に配置され、1つの第4の検出器はソースの放出軸に対して約0°に配置される。
【0087】
前述の態様のうちのいずれか1つによる第52の態様では、検出器が体外血液処理装置のチューブ内の血流の通常のセクションに沿ってソースによって放射状に放射される信号を受信するように構成される。
【0088】
前述の態様のいずれか1つによる第53の態様では、センサは、体外血液処理装置のチューブに対して実質的に逆形状の1つの部分を有するハウジングをさらに備え、それぞれの検出器はチューブとのホーシングの結合状態で管に面する対向する形状部分に配置されたそれぞれの端部を含み、特に、シグナルエミッタはチューブとのホーシングの結合状態でチューブに面する対向する形状部分に配置された端部を含む。
【0089】
前述の態様のうちのいずれか1つによる第54の態様では、センサが貫通路を画定する2つ以上の部品で作られたハウジングをさらに備え、ハウジングは体外血液処理装置のチューブに結合されるように、特に、貫通路の内側にチューブの一部分を完全に収容するように構成される。
【0090】
前述の態様による第55の態様では、貫通路は血液が流れる体外血液処理装置のチューブセグメントの外形と逆形状である。
【0091】
前述の3つの態様のいずれか1つによる第56の態様では、ハウジングがチューブセグメントの外面と密結合するように構成される。
【0092】
前述の4つの態様のうちのいずれか1つによる第57の態様では、ソースは、一端が信号発光部に結合され、他端が体外血液処理装置のチューブに実質的に対向する形状の一部を有するハウジングに固定された光ファイバを含み、光ファイバの他端は対向する形状の部分に配置され、ハウジングとチューブとの結合状態でチューブに面する。
【0093】
前述の態様のいずれか1つによる58の態様では、少なくとも1つの検出器、特にすべての検出器が光ファイバーを含み、一方の端部が管に対応して配置され、他方の端部が受光器、詳細にはフォトダイオード受光器に結合される。
【0094】
前述の態様による第59の態様では、チューブに対応する光ファイバの端部は、体外血液処理装置のチューブと実質的に対向する形状の一部を有するハウジングに固定され、光ファイバの端部は対向する形状の部分に配置され、チューブセグメントとのハウジングの結合状態でチューブに面する。
【0095】
前述の2つの態様のいずれか1つによる第60の態様では、センサは相互インピーダンス増幅のための回路を有するプリント回路基板を含み、検出器はプリント回路基板に接続されたそれぞれのフォトダイオードレシーバを含み、相互インピーダンス増幅のための回路は電流電圧変換器であり、検出器の電流出力を増幅する。
【0096】
前述の態様による第61の態様では、プリント回路基板が相互インピーダンス増幅のための回路を出る信号をフィルタリングするためのローパスフィルタリングを含み、特に、ローパスフィルタのカットオフ周波数は約30Hzである。
【0097】
前述の2つの態様のうちのいずれか1つによる第62の態様では、センサは電磁波妨害を防止するためのシールドケースを含み、シールドケースは相互インピーダンス増幅およびローパスフィルタリングのための回路を少なくともプリント回路基板に封入する。
【0098】
第63の態様では、体外血処理のための装置が提供され、装置は、
-処理ユニット(2)と、処理ユニット(2)の入口に接続された回収ライン6と、同じ処理ユニット(2)の出口に接続された戻りライン(7)とを含むタイプの体外血液回路(60)のホルダ(71、7、73)であって、体外血液回路(60)は、チューブセグメントなどの体外セグメント(61)を含むホルダ(71、7、73)と、-前記体外血液処理装置を駆動するための制御ユニット(10)と、
-前記態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの非侵襲性センサ(50)と、を備える。
【0099】
前述の態様による第64の態様では、非侵襲性センサ(50)のコントローラ(65)が制御ユニット(10)の一部である。
【0100】
前述の態様63による第65の態様では、非侵襲性センサ(50)のコントローラ(65)が制御ユニット(10)から分離されている。
【0101】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第66の態様では、装置が前記ホルダ(71、72、73)上に取り付けられ、前記チューブセグメント(61)が前記センサ(50)によって受けられる体外血液回路(60)を備え、前記チューブセグメント(61)は血液採取ラインまたは返血ラインのチューブセグメント(61)であり、センサ(50)が動作状態にあるとき、体外血液回路の前記セグメント(61)の外面の周りに配置され、それと接するように構成される。
【0102】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第67の態様では、センサ(50)のハウジング(51)は、
-それぞれの検出器エンドを担持する第1のハウジング部分(51a)と、
-第2のハウジング部分(51b)と、を備え、
第1のハウジング部分(51a)および第2のハウジング部分(51b)は、ハウジング(51)が開いており前記チューブセグメント(61)がハウジング内に挿入され得る前記センサ(50)の負荷状態と、ハウジングが前記チューブセグメント(61)の外面の形状に一致する長手方向シートを形成するセンサ(50)の動作状態との間で、互いに対して相対的に移動可能であり、
前記動作状態に対応して、検出器端面は、チューブセグメント開発軸に向かって半径方向に向いているチューブセグメント(61)に対向し、特に接触しており、
選択的に、第1ハウジング部(51a)は、第2ハウジング部(51b)に回動可能に結合される。
【0103】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第68の態様では、装置は、
-同じ処理ユニット(2)の一次チャンバから二次チャンバ(4)を分離する半透膜(5)を有するタイプの前記処理ユニット(2)を有する体外回路(60)と、
-前記処理ユニット(2)の第2のチャンバ(4)の入口に接続されるように構成された一端を有する調製ライン(19)と、
-前記二次チャンバ(4)の出口に接続されるように構成された一端を有する使用済み透析液ライン(13)と、を含み、
制御ユニット(10)は、以下のステップの実行を命令するように構成される、
・血液流量(Qb)で体外血液回路内の患者の血液の流れを引き起こす・流量(Qdin)で調製ライン(19)内を二次チャンバ(4)に向かって新鮮な処理液を流すこと
・使用済み透析液ライン(13)に使用済み処理液を流量(QdOut)で流入させること
・調製ライン(19)に流れる新鮮な処理液の導度(σIn)または物質の濃度(NaIn)に関連する1つ以上の数値の受信すること
・使用済み透析液ライン(13)を流れる使用済み処理液中の導電率(σOut)または該物質(NaOut)の濃度に関連する1つまたは複数の測定値を受信すること
・体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D、K・t)の少なくとも1つの数値を以下に基づいて計算すること
・・使用済み処理液の導電率(σout)又は該物質(Naout)の濃度に関連する前記1つ以上の測定値
・・新鮮な処理液の導電率(σIn)または該物質(NaIn)の濃度の1つ以上の値
・・体外血液回路の前記セグメント(61)を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl)又は濃度(Napl)の前記計算値
・・新鮮な処理液の前記流量(QdIn)および使用済みの処理液の前記流量(Qdout)のうちの少なくとも1つ
【0104】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第69の態様では、装置は、
-同じ処理ユニット(2)の一次チャンバから二次チャンバ(4)を分離する半透膜(5)を有するタイプの前記処理ユニット(2)を有する体外回路(60)と、
-前記処理ユニット(2)の第2のチャンバ(4)の入口に接続されるように構成された一端を有する調製ライン(19)と、
-前記二次チャンバ(4)の出口に接続されるように構成された一端を有する使用済み透析液ライン(13)と、を備え、
前記装置は、前記非侵襲性センサ(50)の少なくとも2つを、前記2つのセンサのうちの第1のハウジング(51)によって血液採取ラインの第1のチューブセグメント(61)が受け取られ、前記2つのセンサのうちの第2のハウジング(51)によって返血ラインの第2のチューブセグメント(61)が受け取られるように含み、前記制御ユニットは、各センサ(50)に接続され、以下のために構成される、
・血液流量(Qb)で体外血液回路内の患者の血液の流れを引き起こすこと
・流量(Qdin)で二次チャンバ(4)に向かう新鮮な処理液を調製ライン(19)内に流すこと
・使用済み透析液ライン(13)に使用済み処理液を流量(Qdout)で流入させること
・調製ライン(19)に流れる新鮮な処理液の導度(σIn)または物質の濃度(NaIn)に関連する1つ以上の数値を受信すること
・前記第1のセグメント(61)内を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl,in)または濃度(Napl,in)の値と、前記第2のセグメント(61)内を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl,out)または濃度(Napl,out)の値と、を受信または計算すること
・以下に基づいて体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D、K・t)の少なくとも1つの値を計算すること
・・前記新鮮な処理液の導電率(σIn)または前記物質(NaIn)の濃度の前記1つ以上の値
・・前記第1のセグメント(61)の内部を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl,in)または前記物質の濃度(Napl,in)の前記値、および前記第2のセグメント(61)の内部を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl,out)または前記物質の濃度(Napl,out)の前記値
・・前記血液流量(Qb)
【0105】
前述の2つの態様のいずれか1つによる第70の態様では、
・調製ライン(19)に新しい処理液を流すステップは、体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D,K・t)の少なくとも1つの値の計算のために使用される導電率または濃度の測定が行われる間、体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D,K・t)の少なくとも1つの値を演算するために使用される設定値で、新しい処理液中の物質(NaIn)または導電率(σIn)の濃度を一定に維持するサブステップを含み、
少なくとも前記時間間隔(T)の間、制御ユニットは調製ライン(19)中の新しい処理液の流量(QdIn)、体外血液回路中の患者の血液の流量(Qb)、および半透膜を通る限外ろ過の流量(QF)を一定に維持するように構成される。
【0106】
前述の3つの態様のいずれか1つによる第71の態様では、体外血処理の有効性を示すパラメータ(D,K・t)は以下の式のうちの1つを使用して計算される前記物質のダイアリザンス(D)である、
あるいは、
あるいは、
あるいは、
ここで、
【0107】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第72の態様では、装置は、体外血液回路(60)に接続可能であり、プライミング流体を調製するように構成されたオンライン流体調製セクション(100)を備える。
【0108】
前述の装置の態様のいずれか1つによる第73の態様では、装置が前記処理ユニット(2)を含み、
-調製ライン(19)は処理ユニット(2)の二次チャンバ(4)の入口に接続された一端を有し、
-使用済み透析液ライン(13)は前記二次チャンバ(4)の出口に接続された一端を有し、
-脱血ライン(6)は一次チャンバ(3)の入口に接続され、
-返血ライン(7)は一次チャンバ(3)の出口に接続される。
【0109】
第74の態様では体外血液処理装置の体外セグメント(61)、例えばチューブセグメント内を流れる血液の少なくとも1つの特性及び/又は補助パラメータを決定するためのプロセスが提供され、非侵襲性センサ(50)、特に血液量センサは、
-信号を放出軸(54)に沿って血液に向けるための少なくとも1つのソース(53)と、
-セグメント(61)を流れる血液を少なくとも部分的に通過した後に前記ソース(53)によって放出された信号を受信し、受信された信号に関連するそれぞれの出力信号を放出するための複数の検出器(57)と、を含み、
前記プロセスは、
・前記複数の検出器(57)からそれぞれの出力信号を受信することと、 ・前記出力信号に基づいて前記血液の特性の値を決定することとを含み、
特に、前記血液の特性は、血液量変動またはヘモグロビン濃度、または血液量変動またはヘモグロビン濃度に直接関連するパラメータを含む。
【0110】
前述の態様による第75の態様では、前記プロセスが補助血液パラメータの値を決定することを含み、前記補助パラメータは血漿導電率(σpl)、血漿導電率関連パラメータ、血液中の少なくとも1つの物質の濃度(Napl)、例えば、ナトリウム、および血液中の少なくとも1つの物質の濃度関連パラメータである。
【0111】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第76の態様では、プロセスは複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて、血中の特性の数値を決定することを含む。
【0112】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第77の態様では、プロセスが出力信号に基づいて前記補助血液パラメータの経時変化を決定することを含む。
【0113】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第78の態様では、プロセスは、出力信号に基づいて、血液の前記特性の経時変化を決定することを含む。
【0114】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第79の態様では、プロセスは、体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液のナトリウム濃度(Nain)の値を受け取ることと、入口透析液ナトリウム濃度(Nain)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定することとを含む。
【0115】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる80の態様では、プロセスは、体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液のナトリウム濃度(Nain)の値を受け取ることと、入口透析液ナトリウム濃度(Nain)に基づいて血液の前記特性の値を決定することとを含む。
【0116】
前述のプロセス態様のいずれか1つによる81の態様では、プロセスは、体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液の導電率(σin)の値を受け取ることと、入口透析液導電率(σin)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定することとを含む。
【0117】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第82の態様では、プロセスは、体外血液処理装置(1)の調製ライン(19)を流れる入口透析液の導電率(σin)の値を受け取ることと、入口透析液導電率(σin)に基づいて血液の前記特性の値を決定することとを含む。
【0118】
前述のステップの態様のいずれか1つによる第83の態様では、本ステップが体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液導電率(σOut)の値を受け取ることと、出口透析液導電率(σOut)に基づいて前記補助血液パラメータの値を決定することとを含む。
【0119】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第84の態様では、プロセスは、体外血液処理装置(1)の使用済み透析液ライン(13)を流れる出口透析液導電率(σOut)の値を受け取ることと、出口透析液導電率(σOut)に基づいて血液の前記特性の値を決定することとを含む。
【0120】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第85の態様では、プロセスは、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するために状態空間数学モデリングを使用することを含み、状態空間数学モデリングは以下の式を含む。
ここで、
【0121】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第86の態様では、プロセスは、血液の特性、補助血液パラメータ、および出力信号の値を線形結合する数式を使用して、複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて、血液の前記特性および補助血液パラメータの両方を決定することを含む。
【0122】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第87の態様では、このプロセスが以下の数式を使用して、複数の検出器(57)からの出力信号に基づいて、血液の前記特性および補助血液パラメータの両方を決定することを含む。
ここで、
【0123】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第88の態様では、プロセスは、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するための状態空間数学的モデリングを使用することを含み、入口透析液がろ過ユニットをバイパスする体外血液処理装置のバイパス状態において、状態空間数学的モデリングは以下の式を含む。
ここで、
【0124】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第89の態様では、プロセスは、入口透析液導電率(σin)および血漿導電率(σpl)の平均値、特に加重平均値としてモデリングされた出口透析液導電率(σOut)にも基づいて補助血液パラメータを決定することを含み、出口透析液導電率(σOut)は、体外血液処理装置の使用済み透析液ライン(13)を流れる透析液の導電率であり、入口透析液導電率(σin)は、体外血液処理装置の調製ライン(19)を流れる透析液の導電率であり、血漿導電率(σpl)は、チューブセグメント(61)を流れる血液の導電率である。
【0125】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第90の態様では、プロセスが以下の数学的関係にも基づいて補助血液パラメータを決定することを含む。
ここで、
【0126】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第91の態様では、プロセスは、チューブセグメント(61)内を流れる血液の導電率である血漿導電率(σpl)にも基づいて補助血液パラメータを決定することを含む。
【0127】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第92の態様では、プロセスは、が以下の数学的関係にも基づいて補助血液パラメータを決定することを含む。
ここで、
【0128】
前述のプロセスの態様のいずれか1つによる第93の態様では、プロセスは、血液の前記特性および/または前記補助血液パラメータを決定するためのカルマンフィルタを使用することを含む。
【0129】
●用語集
以下の用語は、体外血液処理装置の詳細な動作の以下の説明で提供される式全体にわたって一貫して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
本発明の態様は、非限定的な例として提供される添付の図面に示される。
図1】本発明の一態様による血液処理装置の概略図。
図2】本発明の別の態様による血液処理装置の代替の実施形態の概略図。
図3】本発明の一実施形態による測定システムの模式図。
図3A】内部を流れる血液を有するチューブセグメントを受容するためのハウジングの概略斜視図。
図3B】回路の幾つかの構成要素を明らかにするための測定システムのさらなるスキーム。
図4】実験装置の図。
図5】ろ過ユニットの上流の入口透析液NaInのためのナトリウムステッププロトコルであり、点線は逆のステップを有する二重プロトコルを示し、大きな黒い点は、血中ガスサンプル採取のための時間を示す。
図6】血液および透析液のための入口/出口ポートを有する血液透析器の図であり、ここで、導電率セルは、入口(σIn)および出口(σOut)透析液の導電率を測定し、点線の黒線が迂回状態を表す。
図7】基準信号の計算に使用される血液プールモデルの図。
図8】入力信号、状態変数、および出力信号の関係を示す図であり、点線は、バイパス・モード中に信頼性の低い接続を表す。
図9】バイパス条件管理のための異なるフィルタバージョン間の遷移を表す図。
図10】(a)~(f)は状態推定結果の例を示し、(a)、(b)および(c)は3つの異なった実験セッションについてのΔRBV推定を示し、(d)、(e)および(f)は対応する実験についてのNapl推定を示し、点線は参照データを表示し、明るい灰色の実線はカルマンベースの状態変数推定を表示し、点線は推定信頼区間を表示し、暗い灰色の実線は、バイパスモードで実行される推定の区間を示す。
図11図1または図2の装置のためのキャビネット構造の概略正面図。
図12】複数の角度度で測定され、治療開始時の値に正規化された光強度を示す図。
図13】正規化された45°チャネルで測定された光強度を示し、信号はRBV効果によるゆっくりとしたドリフトを除去するためにデトレンドプロシージャにかけられている。
図14】体外血液の特性および補助パラメータを決定するためのプロセスの主要なステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0131】
本発明の革新的な態様を実施することができる、血液の体外処理のための装置1の非限定的な実施形態が、図1および図2に示されている。以下の説明、ならびに図1および図2において、同じ構成要素は、同じ参照符号によって識別される。
【0132】
装置1は、1つ以上の血液または血漿パラメータの値を決定するように構成され得る少なくとも1つのセンサ50を含む。
【0133】
図1は限外ろ過、血液透析および血液ろ過透析のような処理のいずれか1つを実行するように構成された装置1を示し、一方、図2は、血液透析または限外ろ過処置を実行するように構成された装置を示す。
【0134】
装置1は半透膜5によって分離された一次チャンバ3および二次チャンバ4を有する処理ユニット2(血液フィルタ、限外フィルタ、血液ダイアフィルタ、透析器、血漿フィルタなど)を備え、処理に応じて、処理ユニット2の膜5は異なる特性および性能を有するように選択されてもよい。
【0135】
一次チャンバ3の入口には脱血ライン6が接続され、一次チャンバ3の出口には返血ライン7が接続されている。脱血ライン6、一次チャンバ3、および返血ライン7は、図1および図2において全体的に参照番号60で識別される体外血液回路の一部である。使用時には脱血ライン6および返血ライン7が針またはカテーテルまたは他のアクセスデバイス(図示せず)に接続され、これらは次いで、患者の血管系と流体連通して配置され、その結果、血液は脱血ラインを通って抜き取られ、一次チャンバを通って流れ、次いで、返血ラインを通って患者の血管系に戻され得る。
バブルトラップ8のような空気分離器は、返血ライン上に存在してもよく、体外血液回路は従来の方法で装置1の支持フレームワーク70によって提供される1つ以上のホルダによって支持される。例えば、図11に示すように、体外血液回路60は、バブルトラップを保持するホルダ71と、処置ユニット2を保持するホルダ72と、血液ポンプに対応して配置されたホルダ73とによって支持されてもよい。
【0136】
制御ユニット10によって制御される安全クランプ9は、バブルトラップ8の下流の返血ライン上に存在してもよい。気泡センサ8a、例えば、バブルトラップ8に関連付けられているか、またはバブルトラップ8とクランプ9との間のライン7の一部に結合されているものが存在してもよく、存在する場合、気泡センサは制御ユニット10に接続され、ある安全閾値を超える1つ以上の気泡が検出された場合にクランプ9の閉鎖を引き起こすように制御ユニットに対する信号を制御ユニットに送る。血液ラインを通る血流は、脱血ライン(図1に示されるよう)または返血ラインのいずれかに作用する血液ポンプ11(例えば、蠕動血液ポンプ)によって制御され得る。オペレータは血液流量Qbの設定値を入力することができ、制御ユニット10は処理中に、設定された血液流量に基づいて血液ポンプを制御するように構成される。制御ユニット10はまた、オペレータの入力(とりわけ、血液流量の設定値など)を受信し、装置の出力を表示する、ユーザインタフェース12、例えば、グラフィックユーザインタフェースに接続されてもよいことに留意されたい。例えば、グラフィックユーザインタフェース12は出力を表示し、ユーザ入力を可能にするタッチスクリーン、又は表示スクリーン及びユーザ入力が入力されるためのハードキー、又はこれらの組合せを含むことができる。
【0137】
二次チャンバ4から来る廃液を排出するように構成された使用済み透析液ライン13は、一端で二次チャンバ4の出口に接続され、他端で、排出導管または二次チャンバから抽出された流体を収集する廃液容器14(図1および2の破線)であり得る廃棄物に接続される。廃液ポンプ17は、制御ユニット10の制御のもとで使用済み透析液ライン13上で作動して、使用済み透析液ラインを通る廃液の流量Qdoutを調節する。正味の限外ろ過(すなわち、処理ユニット2の半透膜を横切って血液から除去される正味の流体)は新鮮な透析液ライン19上の透析液ポンプ21と廃液ポンプ17との間の流量差によって決定され得る。代替的に(または組み合わされて)、装置はまた、使用済み透析液ライン13から分岐する限外ろ過ライン25を含んでもよく、これは限外ろ過ラインに沿って流量QFを引き起こすように制御ユニット10によって制御される対応する限外ろ過ポンプ27を備える。図1の実施形態は脱血ラインに接続された前希釈流体ライン15を提示し、このライン15は、前希釈流体ラインの一端に接続された注入流体容器16から置換流体を供給する。
図1は注入流体源として容器16を示すが、これは限定的な方法で解釈されるべきではなく、実際に、注入流体は代わりに、オンライン調製セクションから来てもよい。前希釈流体ラインの代わりに、図1の装置は、注入流体容器または注入溶液のオンライン調製セクションを返血ラインに接続する後希釈流体ライン(図1には図示せず)を含んでもよいことに留意されたい。最後に、さらなる代替案(図1には示されていない)として、図1の装置は前希釈および後注入流体ラインの両方を含んでもよく、この場合、各注入流体ラインはそれぞれの注入流体容器に接続されてもよく、または同じ注入流体容器またはオンライン調製セクションなどの同じ注入流体源から注入流体を受け取ってもよい。注入流体がオンラインで調製される場合、注入流体源は装置1のオンライン調製セクション部分(すなわち、以下に記載されるオンライン調製セクション100として)、またはセクション100に類似し、注入ラインに接続され、後および/または前希釈ラインに流体を供給するように構成された別個のデバイスであり得る。さらに、注入ポンプ18が注入ライン15上で作動して、注入ライン15を通る流量Qrep1を調節する。なお、2つの注入ライン(前希釈および後希釈)の場合、各注入ラインは、それぞれの注入ポンプを備えることができる。
【0138】
図1の装置は、一端が給水口に接続され、他端がろ過ユニットの二次チャンバ4の入口に接続され、新鮮な処理液を二次チャンバ4に供給するための流体調製ライン19をさらに含む。透析液ポンプ21は、前記制御ユニット10の制御のもとで流体調製ライン上で作動し、新鮮な処理液のソース(新鮮な透析液をオンラインで調製するための容器または区画100など)から第2のチャンバに流量QdInで流体を供給する。
【0139】
図1および図2の例では、ライン19は透析液を調製するように構成されたオンライン調製セクション100に血液透析器または血液ダイアフィルタ2をリンクしており、セクション100はメインライン101を備え、その上流端は水の供給に接続されるように設計されている。第1の二次ライン102および第2の二次ライン103は、メインライン101に接続され、少なくとも必要な量の緩衝液および必要な量の電解質を供給するように構成される。メインライン101上にループ状に戻すことができる第1の二次ライン102は、緩衝液を収容するバッグまたはカートリッジまたは他の容器などの第1の容器104を取り付けるように構成される。ライン102はさらに、バッファを新鮮な処理液に投与するための第1の計量ポンプ105を備えており、図1に示すように、ポンプは、第1の容器104の下流に配置することができる。ポンプ105の操作は、1)メインライン101と第1の二次ライン102との接合部で形成される溶液の緩衝液濃度の設定値と、2)メインライン101と第1の二次ライン102との間の接合部のすぐ下流の第1の容器104の下流またはメインライン101のいずれかに配置された第1のプローブ106を介して測定されたこの混合物の緩衝液濃度の値との比較に基づいて、制御ユニット10によって制御されてもよい。さらに、第2の二次ライン103の自由端は濃縮生理食塩水、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび塩化カリウムなどの電解質を含有する第2の容器107から流体を受容することが意図される。変形例では、第2の二次ライン103がメインライン101上にループバックされてもよい。さらに、それぞれの容器から別個の電解質または電解質組成物を供給することを望む場合には、複数の独立した第2の二次ライン103を想定することが可能である。なお、第2の二次ライン103は新鮮な処理液に電解質を注入するための第2の計量ポンプ108を備えており、第2の計量ポンプの操作は、1)メインライン101と第2の二次ライン103との接合部で形成される溶液の導電率設定点値または電解質濃度設定点値と、2)第2の容器107の下流の第2の二次ラインまたはメインライン101と二次ライン103との接合部のすぐ下流のメインライン101のいずれかに位置する第2のプローブ109を介して測定されるこの溶液の導電率または電解質濃度の値との比較に依存する。なお、容器104および107に収容される濃縮物の特定の性質は、状況および調製されるべき新鮮な処理液のタイプに依存して変化し得る。さらに、第1および第2のプローブの性質および位置は、使用される緩衝液のタイプ、採用される電解質濃縮物のタイプ、ならびにメインラインおよび二次ラインによって形成される回路の特定の構成に依存し得る。さらに、既に述べたように、それぞれの濃縮液容器およびそれぞれの計量ポンプを備えた2つ以上の二次ラインは、新鮮な処理液の調製のために複数の異なるタイプの物質を添加する必要がある場合にもあり得る。
【0140】
第2のプローブは一般に、ろ過ユニット2の上流で透析液の導電率σInを測定するように構成された導電率計である。
もちろん、透析液導電率σInは、オペレータによって設定されるか、または処理中に装置によって設定および制御される。これに対応して、装置はろ過ユニット2の下流の透析液の導電率σoutを感知するために、使用済み透析液ライン13上に配置された導電率計112さらにを含む。導電率計109及び112の両方は、それぞれの測定信号を装置制御ユニット10に供給する。
【0141】
図2の実施形態は、血液透析および限外ろ過のような治療のいずれか1つを実行するために設計された代替の装置1を示す。図2に示された装置において、図1の実施形態について説明された同じ構成要素は、同じ参照符号によって識別され、したがって、再度の説明はされない。実際には、図1の血液ろ過透析装置とは異なり、図2の装置にはいかなる注入ラインも存在しない。
【0142】
上述の各実施形態では、流量センサ110、111(容積型または質量型のいずれか)を使用して、各ライン内の流量を測定することができる。流量センサは、制御ユニット10に接続されている。注入ライン15および限外ろ過ライン25がそれぞれの容器またはバッグ16、23に通じている図1の例では、計量器を使用して、送出または収集された流体の量を検出することができる。例えば、図1の装置は、限外ろ過容器23内に収集された流体の量に関する重量情報W1を提供するように動作する第1の計量器33と、注入容器16から供給される流体の量に関する重量情報W2を提供するように動作する第2の計量器34とを含む。図2の実施形態では、装置が限外ろ過容器23内に収集された液体の量に関する重量情報W1を提供するように動作する第1の計量器33を含む。計量器は全て制御ユニット10に接続され、各容器内の流体の実際の量、並びに各容器によって供給されるか又は各容器内で受け取られる流体の実際の流量を決定するために、制御ユニットに重量情報Wiを提供する。
【0143】
図1および図2の例では、二次チャンバ4に供給される流体の量と二次チャンバから抽出される流体の量との間の流体バランスを制御するために、新鮮な透析液ライン上および使用済み透析液ライン13上に配置された流量センサ110、111は、制御ユニット10に、それぞれのラインを通る流体の流れを示す信号を提供し、1つまたは複数の計量器は制御ユニットが限外ろ過ライン25を通る、および存在する場合には注入ライン15を通る流量を導出することを可能にする重量情報を提供する。制御ユニットは、少なくともポンプ17、21、27(図3の場合にはポンプ18)を制御して、例えばユーザインタフェース12を介して制御ユニットに提供される処方箋によって要求されるように、所定の治療時間の経過中に予め定められた患者の体液除去が達成されることを確実にするように構成される。なお、他の流体バランスシステムが使用されてもよく、例えば、装置は、新鮮な処理液のソースとしての容器および廃棄物を収集するための容器を含む場合、計量器は各容器によって送出または収集された流体の量を検出し、次いで、それに応じて制御ユニットに通知するために使用されてもよい。さらなる代替として、調製ライン19および使用済み透析液ライン13が各瞬間に、ライン19に流入する液体の量が、ライン13から出る流体の量と同一であることを保証するバランスチャンバシステムに接続される、体積制御に基づくシステムが使用されてもよい。
【0144】
構造上の観点から、容器104、107、16、23は使い捨てプラスチック容器であってもよい。血液ライン6、7およびろ過ユニットはまた、処理セッションの開始時に取り付けられ、次いで処理セッションの終了時に廃棄されてもよいプラスチック製の使い捨て構成要素であってもよい。ポンプ、例えば、蠕動ポンプまたは容積式ポンプはラインの各々を通る液体の流れを調節するために手段であると記載されているが、他の流量調節手段、例えば、バルブまたはバルブとポンプとの組合せが代わりに採用されてもよい。計量器は、圧電センサ、または歪みゲージ、またはばねセンサ、またはそれに加えられる力を感知することができる任意の他のタイプのトランスデューサを備えることができる。
【0145】
●測定システム
本発明の一態様によれば、装置1は、体外血液回路60の少なくとも1つのセグメント61に対応して配置可能であるように構成された少なくとも1つの血液または血漿パラメータセンサ50を含む。
【0146】
センサ50は非侵襲性センサであり、すなわち、体外血液回路60の内部を流れる血液と接触することはなく、特に、体外血液処理装置のセグメントの外側に適用される。以下において、言及される体外血液処理装置のセグメントは、非限定的なアプローチにおいて、チューブセグメントである。構造上の観点から、センサ50は、付属の図面に概略的にのみ表されているプラスチックハウジング51を含む。ハウジング51は、血液または血漿パラメータを測定する必要がある体外血液回路60の血液ラインセグメント61にしっかりと結合するように設計される。
ハウジング51は、独立した本体であってもよいし、装置1の支持フレームワーク70に取り付けられていてもよいし、その一部であってもよい。例えば、図11は、支持フレームワーク70の前面パネルに取り付けられ、体外血液回路の少なくとも1つの(図面の例では1つのみの)セグメント61を受け入れるように構成されたハウジング51を概略的に示す。この目的のために、ハウジング51は血液ラインチューブの一部、すなわち、脱血ライン6または返血ライン7の可撓性透明プラスチックチューブの円形断面セグメントに直接対向する形状であってもよい。ハウジングは、血液回路のチューブを受け入れるように意図された内部貫通通路52を画定する開閉ハウジングであってもよい。
【0147】
特に、ハウジング51は2つ以上の部分51a、51bから、分離されているか、または連結されている(例えば、一緒にヒンジ留めされている)かのいずれかで作製され得、その結果、連結されていない構成(図3Aを参照)および連結された構成(図3を参照のこと)を規定する。連結された構成では、貫通通路52がチューブと完全に結合するように受け入れられる管に対向する形状とされ、チューブを受け入れる。
【0148】
概略図は、可撓性血液チューブがセンサ50に結合される状況を示す。
しかしながら、ハウジング51は、剛性キュベット(Gambro LundiaのHemoscan(登録商標)センサ用のキュベットなど)と結合するように代替的に成形されてもよい。このような場合、血液回路の可撓性チューブは体外血液回路60内を流れる血液がキュベット自体を通過するように、適切に適用された剛性キュベットを有し、この後者の場合、貫通通路はキュベットの表面に対して逆形状であり、このキュベットの表面は必ずしも丸くなくてもよいが、代わりに、平坦な表面(多角形断面)を有する可能性がある。
【0149】
ハウジングが体外血液回路60の円形の可撓性チューブに適用される場合、脱血ライン6または返血ライン7に沿ったセンサの任意の位置が適切であることは明らかである。センサ50が特定のキュベットに対して対向形状の貫通通路を有する場合、センサは、適切な作業のためにキュベット自体に対応して適用されるべきである。
【0150】
ハウジング51は、外部の環境光がレシーバに到達するのを防止する高吸収材料で作ることができる。
【0151】
センサ50は、信号を放出軸54に沿って血液に向けるための少なくとも1つの信号源53を備える。
【0152】
信号源53は、血液が流れているチューブの内側に向かって適切な放射信号を導く光学素子または音響エミッタなどの任意の適切な信号エミッタを含むことができる。
【0153】
本発明の実施形態では、信号源53が電磁放射源、特にLED源などの光源を含む。
【0154】
以下の説明では光エミッタを参照し、詳細にはLEDエミッタ55を参照するが、これは限定的なものと解釈してはならない。
【0155】
信号源のピーク波長は、通常、吸収が酸素化に依存しないHgb吸収スペクトルの点に対応する800~810nmに設定される。この場合も、これは、限定的な態様と見なされるべきではない。
【0156】
信号源53の具体的な実装は発光のために使用される多波長LEDエミッタ(すなわち、MTMD6788594SMT6、Marktech Optoelectronics、NY、米国)を含む。特にエミッタ55は同じチップ上に5個のLEDを含み、赤色/赤外線領域のピーク波長を有する。ソース53は、信号エミッタ55に結合された一端56aと、ハウジング51に固定され、光信号を放射軸54に沿って血液に向けるように配置された他端56bとを有する光ファイバ56をさらに備える。図3に示すように、放出器光ファイバ56の第2の端部56bは、対向形状部分に配置され、チューブセグメント61とのハウジングとの結合状態でチューブに面する。
【0157】
センサ50は、ソースによって放出された信号を、血液を少なくとも部分的に通過した後に受信するための複数の検出器57を備え、特に、検出器57は、それぞれの位置に応じて反射信号、散乱信号、および/または送信信号を収集する。エミッタ55は、LEDエミッタであるので、検出器57はフォトダイオードレシーバ58を含む。
【0158】
有利な実施形態では、光検出器57が放射軸54に対して異なる角度で配置される。より詳細には図3のセンサ50が信号源53からの電磁放射線を受け取るための4つの異なる検出器57を含み、1つの第1フォトダイオードレシーバPD1は信号源の発光軸54に対して約180°に配置され、1つの第2フォトダイオードレシーバPD2は信号源の発光軸に対して約90°に配置され、1つの第3フォトダイオードレシーバPD3は信号源の発光軸に対して約45°に配置され、1つの第4フォトダイオードレシーバPD4は信号源の発光軸に対して約0°に配置される。もちろん、特定の必要性に応じて、4つより多い(または少ない)レシーバを使用することができ、2つ以上のレシーバを放射軸54に対して同じ角度で配置することもできる。
【0159】
各検出器57は、体外血液処理装置の管内の血流の法線断面に沿って半径方向に信号源によって放出された(正しく反射された、散乱された、または透過された)信号を受信するように構成される。この新しい測定システムはエミッタに対して異なる幾何学的角度で光を収集し、反射光、散乱光、および透過光の間の識別を可能にするために、従来の設計のアーキテクチャを拡張する。散乱の増加による透過光の損失は、同時に散乱光が別のレシーバによってピックアップされる場合、吸光度の増加として誤検出されない。
【0160】
上記構成を達成するために、各検出器57はそれぞれの光ファイバ59を含み、一端はチューブセグメント61に対応して配置され、他端はレシーバに結合され、詳細にはフォトダイオードレシーバである。より詳細には、チューブに対応する光ファイバ59の端部は、ハウジング51に固定され、対向する形状の部分に配置され、ハウジングとチューブセグメントとの結合状態でチューブと対向する。上述のように、信号を受信するための全てのチャネルは、放射ファイバ56の配置を可能にするために流れの方向に沿ってわずかにシフトされた反射チャネル(0°)を除いて、血流の通常のセクションに沿って半径方向に配置される。放射光と収集光の両方が、例えばプラスチックファイバーオプティクス(ESKA GH4001、三菱レイヨン)を使用して、血液ラインと結合され、そこから出る。
【0161】
フォトダイオードレシーバ58は図3のPD1-4に対応する、集光チャネルのための特定のファイバカップリング機構(例えば、IFD91、Industrial Fiber Optics、Tempe、USA)を有していてもよい。
【0162】
フォトダイオードレシーバ58は相互インピーダンス増幅62のためのアナログ回路と共にプリント回路基板60上に収容され、相互インピーダンス増幅62のための回路が電流電圧変換器(例えば、演算増幅器を使用して実装される)を含む。回路62は、フォトダイオードレシーバ58の電流出力を増幅するために使用することができる。電流電圧変換器は、電圧応答よりも線形性の高い電流応答を持つフォトダイオードと共に使用される(広範囲の光入力で電流応答が1%よりも良い線形性を持つことが一般的である)。相互インピーダンス増幅器はフォトダイオードに低いインピーダンスを与え、演算増幅器の出力電圧から絶縁する。相互インピーダンス増幅器にはいくつかの異なる構成があるが、それらすべてが共通している1つの要素はセンサの低レベル電流を電圧に変換する要件である。
【0163】
プリント回路基板60は更に、ローパスフィルタリングステージ63とゲインステージ増幅とを含む。ローパスフィルタ63のカットオフ周波数は、例えば30Hzに設定される。ゲインは、事前テスト及びキャリブレーションに基づいて、チャネル特性値に設定される。次いで、アナログ信号は、適切なコンバータ64によってデジタル信号に変換される。より詳細には、アナログ出力は、NI USB-6008 DAQカード(National Instruments Italy Srl、Milano、Italy)を使用して、12ビット分解能で100Hzのレートでサンプリングされ、カスタムLabView Virtual Instrumentによって記録される。
【0164】
マルチLEDエミッタ、信号調整ボード、およびDAQカードは、3Dプリントハウジング上に一緒に組み立てられ、電磁シールドのために接地された金属性ボックス(図3参照)の内側に配置され、光ファイバー56、59、データ接続および電力供給用の開口部が設けられた。
【0165】
デジタル信号は以下の詳細な説明から明らかなように、体外血液処理装置のチューブセグメント61内を流れる血液の1つ以上のパラメータを検出する際に使用されるために、コントローラ65に入力される。
【0166】
●モデル化と推定
非侵襲性センサを用いて関連する血液または血漿パラメータを決定するための一般的な物理的原理は、浸透圧変化が赤血球の形状を変化させ、したがってそれらの光学特性がそれに応じて変化するという事実に関連する。浸透圧は、溶液1リットル当たりの溶質の浸透圧モル数として定義される溶質濃度の尺度である。説明したように、ナトリウムは透析液および血漿の両方において最も濃縮された溶質であり、したがって、それは浸透圧の主要な駆動因子である。
【0167】
従って、本出願人は血液量変動推定のための手順において(例えば、光)検出器から測定される(例えば、光)応答信号が、赤血球濃度および浸透圧の両方によって(したがって、主に血液/血漿ナトリウム含量によって)影響されることを理解した。
【0168】
さらに、出願人は驚くべきことに、体外血液が流れるチューブセグメントに対して異なるアンギュレーションで配置されたいくつかの検出器は、ヘマトクリット(HCT)/血液量変動(ΔRBV)および浸透圧(OSM)/ナトリウム含有量(Napl)の変化の組み合わせに対して異なる応答があることも明らかにした。基本原則は、1つ以上の数学的公式を使用して、N個の検出器からの一般的なN個のチャネルからのデータに基づいて、HCTおよびNaplの影響を切り離すことである。このアプローチは血液をサンプリングする必要なしに、または測定中の処置に影響を及ぼすことなしに、関心のある多数の血液パラメータを決定することを可能にし、関連するパラメータは例えば、以下の関係に従って、相対的な血液量変動(ΔRBV)および血漿ナトリウム濃度であるように選択され得る。
ΔRBV(t)=function1(I0(t),I1(t),I2(t),….,I_N(t));
Napl(t)=function2(I0(t),I1(t),I2(t),….,I_N(t)).
ここで、I0は検出器0からの出力信号を識別し、I_Nは検出器Nからの出力信号を識別する。各検出器は、それ自身のチャネルi=1~Nを有する。
【0169】
上述の関数には多くの可能な公式化がある。例えば、可能な公式は特定の血液特性が特定の角度位置で捕捉された信号に及ぼす影響に応じて、各チャネルが対応するパラメータに多かれ少なかれ影響を及ぼすように、場合によっては力率まで上昇されたチャネル値の線形結合である。
ΔRBV(t)=K0*(I0(t))^a0+K1*(I1(t))^a1+, …., +K_N*(I_N(t))^aN;
Napl(t)= J0*(I0(t))^b0+J1*(I1(t))^b1+, …., +J_N*(I_N(t))^bN.
【0170】
より複雑な分類器またはニューラルネットワークは、別の可能性である。
例えば、ニューラルネットワークは、様々な検出器からの信号に加えて(おそらく)血液量変動および血漿ナトリウム濃度に関連する他の入力変数、例えば透析液回路(ろ過ユニットの上流および下流の両方)における導電率および/または新鮮な透析液中のナトリウム濃度を入力として受信するように訓練されてもよい。ニューラルネットワークは出力として所望の血液パラメータの値を提供し、それによって、赤血球濃度の光学効果および浸透圧に起因する形状変化を切り離すことに成功する。
【0171】
浸透圧の影響が検出され、切り離され得る場合、血液量変動のより良好な推定が得られ得ることが明らかである。同時に、血漿ナトリウム濃度Naplの推定値も導き出すことができることに注目することは極めて重要である。言い換えると、血液または血漿中のナトリウム含有量が浸透圧に主な影響を及ぼすので、そのような影響を決定および除去することは、処理中の血液量変動の適切な推定を可能にし、さらに、血漿ナトリウム濃度の影響が切り離されるので、そのようなパラメータの推定も利用可能になる。結果はいくつかの特定のチャネルが特定のパラメータに対してほとんどセンシティブであるが、他のチャネルの挙動は特性(ヘマトクリットおよび浸透圧)の混合により似ていることを示す。
【0172】
図12は異なる角度で測定された光強度を示し、処理開始時の値に正規化されている。セットアップの修正を可能にするために、記録が中断された短い領域が中央にある。前述のセンサ実装に関して、グラフは135°に配置された追加の光検出器からの信号を含む。しかしながら、本明細書で説明する一般的概念は、様々な検出器の数および位置に依存しない。
【0173】
図12は、0°チャネル(反射光、赤線)が限外ろ過およびRBV変動にほとんど依存することを示す。
【0174】
図13は、正規化された45°チャネル(散乱光、青色の線)を示す。この信号はRBV効果による緩慢なドリフトを除去するために、トレンド除去プロシージャにかけられている。このプロシージャはリアルタイムアルゴリズムでは適用されなかったが、線形結合アプローチはリアルタイムトレンド除去を生成するために使用され得る。図に示されるように、トレンド除去された45°チャネルは、透析液ナトリウム濃度変化によって引き起こされる浸透圧モル濃度変動を検出することができる。一次応答は主に、血液ナトリウム濃度を透析液ナトリウム値に調整するのに必要な時間に起因する。
【0175】
言い換えると、様々な角度位置で検出される様々な信号は、血漿ナトリウムおよび相対的な血液量の変化によって異なる影響を受ける。したがって、適切な信号操作により、リアルタイムで非侵襲性に、2つの言及された血液パラメータをより正確に決定することが可能である。
【0176】
言及した血液パラメータ、すなわち、血液量変動ΔRBV及び血漿ナトリウム濃度Napl、又はヘモグロビン濃度又は血漿導電率のようなΔRBV、Naplに厳密に関連するパラメータを決定することを可能にするための方程式を構築するために可能なアプローチは、図7に示すように血液の一区画モデルからスタートする。次式はモデリングを定義するために用いられる(次式中の用語は用語集の項で定義される)。
【0177】
用語集には、変数の定義が記載されている。
【0178】
式(1)は、絶対血液量V(t)及び流量の間の関係を定義する。
【0179】
式(2)は、絶対血液量V(t)に基づいて相対血液量ΔRBV(t)を定義する。式(3)はΔRBV(t)を微分形式で記述している。JUF(t)は既知であり、体外血液処理装置1によって(すなわち、制御ユニット10によって)センサ50のコントローラ65に提供されてもよい。
【0180】
Napl(t)は式(4)に従って計算され、ここで、NaIn(t)およびJREF(t)は実験的に決定され、VB(t)は式(2)から計算され、ナトリウムの膜拡散係数であるKDiffは、典型的な250ml/minに設定され得るか、または使用される膜に基づいて設定され得る。Napl(t)の計算には初期値が必要である。Napl(t)を計算する予備的試みは、機器の再校正及びナトリウムの電極の交換のような、セッション間の事象に関連するセッション特有のオフセットの存在を明らかにした。したがって、Napl(t)を計算する際に、このオフセットを考慮するために基準調整が適用された。
【0181】
●状態空間モデリングと推定
ΔRBV(t)及びNapl(t)を推定するために、観測中のシステムを完全に記述する状態変数として扱う状態空間法アプローチを選択した。一組のモデル化方程式は状態変数の発展と入出力関係を記述する。推定は以下の説明から明らかなように、モデル化方程式に適用されるカルマンフィルタリング技法を用いて達成された。センサデータの入力または出力のいずれであるかの分類は、各センサによって監視される特定の変数がシステム状態を摂動させるか、またはそれによって決定されるかに依存する。入口透析液ナトリウム濃度NaIn(t)及び入口透析液導電率σIn(t)は、入力変数を構成する。これらの変数はオペレータが通常、入口透析液導電率σIn(t)または電解液(例えば、ナトリウム)濃度を設定するので、既知の変数である。一方の変数が設定されると、もう一方の変数が自動的に決定される。さらに、入口透析液導電率σIn(t)および入口透析液ナトリウム濃度NaIn(t)の一方または両方を測定することができる。例えば、図1および図2の第2のプローブ109は、導電率計であってもよく、それによって、経時的に入口透析液導電率σIn(t)を測定する。
【0182】
血液透析装置は、NaIn(t)の実効値を、オペレータによって設定された値の臨床的に許容可能な境界内に維持する。電解質溶液の一般的な特性、およびナトリウムが血漿および透析液中で最も濃縮された電解質であるという事実のために、2つの流体の導電率とナトリウム濃度との間に良好な相関関係を見出すことができる。出力センサデータは、(光学)出力ΔRP1(t)~ΔRP4(t)および出口導電率σOut(t)から構成される。特に、出口導電率σOut(t)は、使用済み透析液ライン13内に配置された補助導電率計112を使用して体外血液処理装置によって測定することができる。
【0183】
常微分方程式(6)および(7)は血中プールダイナミクスをモデル化し、式(3)および(4)から臨床実践中に未知のパラメータ(VB,0,JRef、NaRef)を有する項を除去することによって開発された。推定プロシージャの一つの重要な部分は非モデル化項の扱いである。カルマンフィルタの性質のおかげで、いくつかの項の欠如、逆に式(3)-(4)に含まれ、式(6)-(7)に含まれていないことが、プロセスモデリングにおけるノイズとして説明することができる。このように、補充特性および初期血液量は正確には知られていないが、推定の信頼性に対するそれらの影響が考慮される。
【0184】
式(3)はより良い理論的記述であろうが、VB,0及びJRef(t)は臨床ルーチンでは知られていない。式(6)による近似版を採用することにより、ΔRBVの時間依存発展は予測されないが、カルマンフィルタ技術はモデル予測に適用される測定ベースの補正ステップを含んでいる。この補正は各時間ステップにおける静的ΔRBV値に適用され、従ってΔRBVを準静的変数とする。
【0185】
式(7)は式(4)を近似するものである。補充プロセスのパラメータが治療中に臨床的に利用可能ではなく、したがって、血漿ナトリウムがNain(t)にどのように関連するかを記述するために、拡散時定数τDiffを使用することによって、ナトリウム拡散のみがモデル化される。τDiffは式(5)からのV(t)/KDiffの推定値と見なすことができる。KDiff=250ml/min(ナトリウムの現実的な数値)およびV=51(時間非依存的な平均値)の場合、τDiff≒1200であることが分かった。出口導電率τOut(t)の一次ステップレスポンスを実験データに、当てはめることにより、τDiff≒1000sの推定値が得られた。したがって、フィルタモデルでは、τDiff≒1100sの中間値が使用される可能性がある。
【0186】
式(8)に記載されているΔRPi(t)に対して線形公式を選択することができ、ここで、i=1,...,4は、レシーバの出力チャネルを示す。式(9)の[4×3]行列GOptは、多変量回帰分析によって推定された信号検出器のすべてのチャネルについての重み係数を含む。
【0187】
最後のアウトプット要素、すなわち出口透析液導電率σOut(t)は、入口および血漿導電率の加重平均としてモデル化される。(10)式では、σOutがダイアリザンスDと透析流量Jに基づく加重平均である。より単純な公式は、前式(11)式から導かれる。ここで、GMix=D/Jである。近似として、Jは500ml/分に固定されてもよく、D=250ml/分の平均値が与えられると、混合定数Gmixについて0.5の値が課されてもよい。遅延項τdelayは、液圧回路を横切る入口透析液成分の変化の伝搬時間を考慮するために含まれた。σOut(t)のステップ応答遅延を、ナトリウム濃度ステップが適用されたセッションで測定することにより、τdelay=140sの値が推定された。
【0188】
血漿の導電率σPl(t)は、式(12)で、血漿のソーダ濃度Napl(t)の線形関数としてモデル化される。係数GNa,GainとGNa,Offsetは実験データから始めて線形回帰により推定した。
【0189】
図8に、入力信号、状態変数、および出力信号の間の関係を示す。血液透析機械は安全上の理由または内部再校正の目的のいずれかのために、周期的にバイパスモードに入る。バイパス中、限外ろ過は中断され、透析液の血液透析器への液圧連結は短絡され(図6(点線)参照)、これは、入口の新鮮な透析液がろ過ユニットに入ることなく流出ラインに向かって直接的にルートが形成されるので、導電率セル(σIn(t)、σOut(t))からのデータがバイパス条件中に役に立たないことを意味する。バイパス条件を考慮すると、物理システムのそのような一時的な変更を反映するために、モデル化された方程式の所定の変化が必要である。バイパス中、限外ろ過の一時的な中止はJUF(t)=0であることを示唆し、処理中にJRef(t)についての情報が欠けることを考えると、式(6)はなお、ΔRBVモデルリングのための最良の利用可能な近似である。このため、式(6)は保持され、置き換えられない。バイパス中のろ過ユニット、例えば血液透析器、の液圧切断は拡散が中断されていることを示唆し、ここでは式(7)を次式(13)に置き換えることによってモデル化される。
【0190】
この一時的な置き換えは、Napl(t)に対するプロセスノイズに対する修正によっても反映される。バイパス中、導電率セルから来るデータは、ろ過ユニットの流体チャンバ内を経路としない透析液の異なる液圧経路のために有用ではない。これは、バイパス中に、τIn(t)と、τOut(t)に関連するフィルタの感度を0に設定することで反映される。図9は、標準モード、バイパスモードおよびビルドアップモード間のカルマンフィルタのスイッチングを調整する遷移モデルを示す。ビルドアップモードの間、バイパス条件に関連するフィルタ構造の変形は追加の時間τDelayの間維持され、デフォルトフィルタ操作に戻る前に、σIn(t)の必要な遅延の累積を可能にする。
【0191】
カルマン・フィルタリングは基本的には統計的ノイズやその他の不正確さ(例えば方程式の単純化による)を含む、経時的に観測された一連の測定値を使用し、各タイムフレームの変数にわたって同時確率分布を推定することによって、単一の測定値のみに基づくものよりも正確な傾向にある未知の変数の推定値を生成するアルゴリズムである。このアルゴリズムは、2ステッププロセスで動作する。予測ステップにおいて、カルマンフィルタはそれらの不確実性と共に、現在の状態変数の推定値を生成する。一旦次の測定の結果(必然的にランダムノイズを含む、いくらかの量の誤差で乱れた)が観測されると、これらの推定値は、より高い確実性で推定値に与えられるより多くの重み付けを伴って、加重平均を使用して更新される。アルゴリズムは再帰的であり、現在の入力測定値と、以前に計算された状態と、その不確実性行列とだけを使用してリアルタイムで実行することができ、追加の情報は必要とされない。
【0192】
次式(14)~(18)は、本実施形態に従って用いられ得るカルマンフィルタの一例を定義する。
【0193】
これらの上記の式は一般的な時間ステップkの関数として与えられ、例えば、1sの時間ステップを選択することができる。式(14)および(15)は予測ステップを表し、ここで、システムのモデル化知識が採用され、式16から18は、測定ベースの補正ステップを表す。
【0194】
入力uはNaIn[k]とτIn[k]を含む[2x1]ベクトルである。ベクトルx とx (両方とも[2x1])は状態変数の予測値と補正値、つまり、ΔRBV[k]とNapl[k]を含む。x はステップkでの予測されるシステム状態で、xk-1 とuの関数f(・,・)である。最初のベクトルx の要素は、ΔRBV=0およびNapl=140mMに設定することができる。換言すれば、初期ベクトルは、ゼロ血液量変動および被験者平均血漿ナトリウム濃度を含む。
【0195】
関数f(・,・)は、標準モードにおける方程式(6)および(7)の離散化されたバージョンによって、および、バイパスモードにおける離散化された方程式(6)および(13)によって定義される。式(6)、(7)、(13)の離散化は、それぞれ順方向オイラー法で実行され、離散化方程式はそれぞれ次のようになる。
【0196】
通過条件中、式20の代わりに式21が使用される。[2x2]行列Qはプロセスノイズ共分散を記述する。行列Aは、ΔRBVおよびNaplに対するf(・,・)の[2x2]ヤコビアン線形化である。
【0197】
標準のQstd行列は、通常のフィルタ動作中に使用され、バイパスモード中にQbypass置き換えられる。Qの両方のバージョンは、プロセス方程式の非モデル化条件に対する現実的な最大値に基づいて、その要素が事前に計算される対角行列である。誤差ゲインEは、式(16)に従って計算された[2x5]行列である。
【0198】
測定ノイズは、所定の対角行列とされる[5x5]共分散行列Rによって特徴づけられる。光学測定に関連したRの対角値は、式(9)の自乗平方根当てはめ残渣に等しく設定した。σOutモデル化に関連するRの対角値は、式(11)について考慮された平均値からのDの現実的な偏差に基づいて選択された。
【0199】
観測ベクトルZは、光学出力ΔRP[k]~ΔRP[k]および出口導電率σOut[k]から構成される、実験的に測定されたシステム出力の[5x1]列ベクトルである。g(x ,u)は、状態出力関数g(・,・)に従って計算された予測出力の[5x1]列ベクトルである。関数g(・,・)は、それぞれによって与えられる式(9)および(11)の時間離散バージョンによって決定される。
【0200】
式(23)では、kDelayがτDelayの離散版であり、σPl[k]は(12)式の離散版であり以下に従って計算される。
【0201】
式(16)および(18)からの行列Hは、ΔRBVおよびNaplに関するg(・,・)の[5x2]ヤコビアン線形化である。Hには、HstdとHbypassの2種類のバージョンがある。デフォルトのマシン操作ではHstdが使用される。バイパス中、HstdはHbypassに置き換えられ、測定に基づく補正ステップがσIn[k]とσOut[k]に鈍感であることを保証する。行列P とP はそれぞれ予測され修正された[2x2]推定共分散である。
両方の行列は、ΔRBVおよびNaplの最初の不確実性がそれぞれ0および4mMに設定された対角行列Pによって開始される式(15)および(18)に従って、各々のステップkで計算される。ΔRBVを開始する際のゼロ不確実性は、ΔRBVが相対的な変動であり、その開始値が常に既知であり、0に等しいという事実によって与えられる。Naplの最初の不確実性は、処理開始時の患者についての136~144mMの生理学的レンジの想定に基づいている。
【0202】
の計算はカルマンフィルタの重要な特徴であり、状態変数の共分散を表すことを前提とする。式(15)及び(18)で述べたように、推定共分散は、モデル化及び測定プロセスの共分散により影響される。このことから、Pは推計の不確実性に関する有益な追加情報源であり、不確実性の指標として式(18)のPにおける対角成分P11及びP22の平方根を用いることを選択し、結果としてΔRBV±√(P11)及びNapl±√(P22)の信頼区間をもたらす。
【0203】
簡略化された血液プールモデル方程式およびカルマンフィルタアプローチの使用は時間に沿って状態変数を決定および監視することを可能にし、すなわち、相対的な血液量変動ΔRBVおよび血漿ナトリウム濃度Naplは系に知られており、それぞれのタイムスタンプkで更新される。実質的にリアルタイムでの血液パラメータの知識は、体外血液処理機がフィルタ効率などの他の関連する処理態様を決定すること、および/または患者値の適切なプロファイリングにより正確に従うことを可能にする。
【0204】
上述の態様によれば、コントローラ65は、検出器57によって受信された出力信号に基づいて、体外血液回路60のセグメント61を通って流れる流体中に存在するナトリウムの濃度を計算するように構成される。例えば、セグメントが脱血ラインの一部であり、流体が血液である場合、コントローラ65は脱血ラインを通って流れる血液中に存在するナトリウムの濃度を連続的に決定し得、一方、セグメントが返血ラインの一部であり、流体が血液である場合、制御ユニットまたは検出回路は、返血ラインを通って流れる血液中に存在するナトリウムの濃度を連続的に計算し得る。
【0205】
体外回路内を循環する血液のNaplは計算されてもよく、血液量の変化(浸透圧から独立している)は例えば、コントローラ65によって決定することがされてもよい。
【0206】
さらに、コントローラ65(または対応して装置制御ユニット10)はチューブセグメントを循環する血液の血漿ナトリウム濃度の測定値に基づいて(例えば、体外血液処理中の血漿ナトリウム濃度の測定値に基づいて)、体外血液処理の有効性を示すパラメータ(D、K・t)の少なくとも1つの値を決定するように構成されてもよい。
【0207】
詳細には、コントローラ65が以下のステップの実行を命令するように構成されてもよい。
・例えば、一旦体外回路がそれぞれのホルダに適切に取り付けられ、患者に接続されると、血液ポンプ11を作動させて、血液流量Qbで体外血液回路60内の患者の血液の流れを起こさせること。
・新鮮な処理液を、流量(QdIn)で調製ライン19内を二次チャンバ4に向かって流すこと。例えば、これはポンプ21を作動させることによって達成されてもよく、装置が調製セクション100を備えるケースではポンプ105および108も適切に調整する。
・使用済みの処理液を使用済み透析液ライン13内に流量Qdoutで流すこと。これは、ポンプ17および選択的にポンプ27を作動させることによって達成することができる。
・調製ライン19を流れる新鮮な処理液の導電率(σIn)または物質の濃度に関する1つ以上の値を受信すること。物質は1つの電解質または電解質のグループなどの1つの単一要素であってもよい。例えば、センサ109は制御ユニット10に、所与の物質、例えば、ナトリウム、伝導率または濃度に関する情報を提供することができる。または、物質の導電率または濃度に関する設定値を使用することができる。
・使用済み透析液ライン13を流れる使用済み処理液中の導電率(σOut)または前記物質の濃度(NaOut)に関連する1つまたは複数の測定値を受け取ること。ここで導電率または濃度を検出することができるセンサ112、例えば、従来の濃度または導電率センサは、所与の物質の導電率または濃度に関連する情報を制御ユニット10に提供することができる。
・以下に基づいて体外血液処理の有効性を示すパラメータD、K・tの少なくとも1つの数値を計算すること。
・・使用済み処理液の導電率(σOut)又は該物質(NaOut)の濃度に関連する1つ以上の測定値
・・新鮮な処理液の導電率(σIn)または該物質(NaIn)の濃度の1つ以上の設定または測定値
・・体外血液回路60の部分61を流れる血液中の血漿導電率σpl又は物質の血漿ナトリウム濃度Naplの計算値
・・新鮮な処理液の流量QdIn及び使用済みの処理液の流量QdOutのうちの少なくとも1つ。
【0208】
あるいは、装置が少なくとも2つの記載された電気パラメータセンサ50を備えることができ、これら2つのセンサ50の各々は2つのセンサ50の第1のハウジング本体に受け入れられた脱血ラインの第1のチューブ状セグメント61と、2つのセンサ50の第2のハウジング本体に受け入れられた返血ラインの第2のチューブ状セグメント61とを備えた、上記のセンサ50の特徴を有することになる。この代替例では、コントローラ65(各血液/血漿パラメータセンサ50に接続された)が以下のように構成されてもよい。
・血液流量Qで、体外血液回路内の患者の血液の流れを引き起こす。例えば、体外回路がそれぞれのホルダに適切に取り付けられ、患者に接続されると、血液ポンプ11が動作する。
・新鮮な処理液を、流量QdInで、調製ライン19内を二次チャンバ4に向かって流すこと。例えば、これはポンプ21を動作させることによって達成されてもよく、装置が調製セクション100を備えるケースではポンプ105および108も適切に調整する。
・使用済みの処理液を使用済み透析液ライン13内に流量QdOutで流す。これは、ポンプ17および任意選択でポンプ27を作動させることによって達成することができる。
・調製ライン19を流れる新鮮な処理液の導電率(σIn)または物質(NaIn)の濃度に関連する1つまたは複数の値を受信する。物質は1つの電解質または1組の電解質のグループなどの1つの単一要素であってもよい。例えば、センサ109は制御ユニット10に、所与の物質の導電率または濃度に関する情報を提供することができる。または、物質の導電率または濃度の設定値を使用することができる。
・上述のように脱血および返血ラインに設置された2つのセンサ50を使用して、第1のセグメント(61)内を流れる血液中の前記物質の導電率(σpl,in)または濃度(Napl,in)の値と、第2のセグメント(61)内を流れる血液中の物質の導電率(σpl,out)または濃度(Napl,out)の値とを受信または計算する。
・以下に基づいて体外血液処理の有効性を示すパラメータD、K・tの少なくとも1つの数値を計算する。
・・新鮮な処理液の導電率(σIn)または物質の濃度(NaIn)の1つ以上の値
・・第1のセグメント(61)の内部を流れる血液中の物質の導電率(σpl,in)または物質の濃度(Napl,in)の値と、第2のセグメントの内部を流れる血液中の物質の導電率(σpl,out)または物質の濃度(Napl,out)の値
・・血液流量Qb
【0209】
なお、体外血液回路内の流体(血液)の血漿ナトリウム濃度Naplの情報が与えられている場合、体外血液回路内の流体(血液)の導電率を決定することができ、調製ライン19内に新鮮な処理液を流すステップは、少なくとも導電率または濃度の測定が行われる時間間隔Tの間、新鮮な処理液内の物質(Nain)の濃度または導電率(σin)を、パラメータDの少なくとも1つの値を計算するために使用される設定値で一定に維持するサブステップを含み、パラメータD,K・Tは体外血液処理の有効性を示す。少なくとも時間間隔Tの間、制御ユニット10は、調製ライン19内の新鮮な処理液の流量Qdin、体外血液回路内の患者の血液の流量Q、および半透膜を通る限外ろ過フローの流量Qを一定に保つように構成される。
【0210】
実際には、透析または透析用量の決定に到達するために導電率を変更する必要はない。
【0211】
体外血液処理の有効性を示すパラメータは、以下の式の1つを用いて計算される、前記物質のダイアリザンスDである。
あるいは、
あるいは、
あるいは、
ここで、
【0212】
いったんダイアリザンスが計算されると、ダイアリザンスの瞬間値はそれ自体公知であり、本明細書ではさらに説明しない方法でK・t値の決定に到達するために、時間積分されてもよい。
【0213】
本発明はまた、センサ50および/または上記で開示されたような、または添付の特許請求の範囲のいずれか1つに請求されたような血液の体外処理のための装置を使用して、血液または血漿パラメータを決定するプロセスに関する。図14は、体外血液に向けて信号を送ることと、チューブセグメントの周りの様々な角度位置に配置されたレシーバによって反射、透過、及び/又は散乱信号を受信することとを含む、処理の主なステップを示す。このプロセスは、血液特性(例えば、血液量変動ΔBV)及び/又は補助血液パラメータ(例えば、Napl)を(上述のように)決定することを含む。血液特性および補助血液パラメータを決定するためのフロープロセスは図8に示され、ここで、入力信号、状態変数、および出力信号の間の関係が示され、点線はバイパスモードの間に信頼できない接続を表す。これらの態様は、プロセス実装に関する追加の詳細を提供する。
【0214】
●制御ユニット
すでに示されているように、本発明による装置は、制御ユニット10および少なくとも1つのコントローラ65のセンサを利用する。特に、センサ50のコントローラ65は、体外血液処理装置の制御ユニット10の一部(ソフトウェアおよび/またはハードウェア部分)であってもよく、または別個の処理ユニットであってもよい。
【0215】
制御ユニット10およびコントローラ65の両方は、メモリ(または複数のメモリ)を有するデジタルプロセッサ(CPU)、アナログタイプの回路、または1つまたは複数のデジタル処理ユニットと1つまたは複数のアナログ処理回路との組合せを備えることができる。本明細書および特許請求の範囲において、制御ユニット/コントローラは特定のステップを実行するように「構成される」または「プログラムされる」ことが示され、これは実際には制御ユニット/コントローラを構成またはプログラムすることを可能にする任意の手段によって達成され得る。例えば、1つまたは複数のCPUを備える制御ユニット/コントローラの場合、1つまたは複数のプログラムが適切なメモリに格納され、1つまたは複数のプログラムは制御ユニット/コントローラによって実行されると、制御ユニットに、制御ユニット/コントローラに関連して説明および/または特許請求されるステップを実行させる命令を含む。あるいは、制御ユニット/コントローラがアナログタイプである場合、制御ユニット/コントローラの回路は使用時に、本明細書に開示される制御ユニット/コントローラステップを実行するような電気信号を処理するように構成された回路を含むように設計される。
【0216】
●実験セッション
ΔRBVおよび/またはNaplの摂動を伴う生体外の血液透析セッションのための実験プロトコルは、上記で提案され、記載された推定装置および方法の開発および検証のためのロバストかつ代表的なデータを収集するように設計された。
【0217】
12の生体外の血液透析セッションを、新鮮なヘパリン化ウシ血液およびArtis(登録商標)血液透析機械(Baxter、Medolla、Italy)を使用して実施した。各セッションの前に、ヘマトクリットをキャピラリー遠心分離法で測定し、血液を生理食塩水で希釈して30%ヘマトクリットを達成した。毎回、血液の開始量はVB,0=5lであった。J=300ml/min、J=500ml/minとし、血液流量Jと透析液流量Jを設定した。
【0218】
臨床的血液透析中、患者の血液プールからの水の除去は、生理学的血圧を維持するために液体が他の身体区画から循環系に移動する現象である補充によって部分的に補償される。補充は、セッションにおいて、蠕動ポンプと、血漿に類似した化学組成を有する新鮮な透析液の容器とを使用することによってシミュレートされる。セットアップの概略図については図4を参照のこと。
【0219】
限外ろ過速度をJUF=0.8L/hに設定し、補充速度をJRef=0.63L/hに設定することによって、相対的な血液量喪失を実施した。これらの流れの間の差は、約10%の生理学的エンドセッションΔRBVに到達することを可能にした。
【0220】
血漿ナトリウム濃度Naplの変化は、入口透析液ナトリウム濃度NaInにステップを適用することによって実施された。NaInの変化は、一次応答として近似できる態様で、血液透析器の膜を横切る拡散によってNaplに伝播する。濃度は最初に140mMに設定され、次いで、140mMに戻す前に、±7mMの2ステップ(140mMベースラインに対して)が適用される。各濃度値が45分間維持された。
正負のステップの順序は、セッション間で変更される。プロトコルを図5に示す。各セッションは、1時間の調整フェーズと、それに続く3時間の実験フェーズから構成された。調整フェーズは、各新鮮な体積のウシ血液が異なる血漿濃度の電解質を伴い得るので、実験セッションの再現性を改善するために、透析液と血液との間の平衡を達成するように設計された。調整フェーズ中、NaInは一定に維持される。このようにして、血液は、実際の実験の開始前に標準初期条件に達する。このフェーズでは、JUF=JRef=0.8L/hとすることにより、電解質の濃縮平衡の達成が促進され、血液量が一定に保たれる。表記の目的のために、t=0は、3時間の実験フェーズの開始を示す。8回のセッションが、UF、補充およびナトリウムステップを用いて実行された。JUF=JRef=0で2つのセッションが実行され、計測系でのNapl変動の分離された影響を評価した。ΔRBVの分離された影響を評価するために、一定のNaIn濃縮で2回のセッションが実行された。最後の2回のセッションのうち、一方はNapl(0)=NaRef=140mMで、他方はNapl(0)=NaRef=145mMで実行され、高ナトリウム血症患者の現実的なケースをシミュレートした。
【0221】
血液ガス分析のためのサンプルが、セッションの開始時および終了時、並びにその間の45分ごとに採取された(図5に黒い点として示す)。Stat Profile pHOx Ultra blood gas analyzer (Nova Biomedical、Waltham MA、USA)を使用して、電解質濃度を決定した。それぞれのセッションの終わりに、血液透析機の内部セッションログをダウンロードして、内部センサデータ(限外ろ過速度JUF、透析液入口導電率σIn、透析液出口導電率σOut)にアクセスした(図6参照)。
【0222】
光学測定システムから記録されたデータは、アーチファクト除去のための中央値フィルタリング(10サンプルウィンドウ)、続いて移動平均平滑化(5000サンプルウィンドウ)にかけられた。次いで、3時間実験フェーズからのデータを、以下に従って相対的な光学的パワー変動に変換した。
ここで、VOut,i(t)は記録されたアナログ電圧出力であり、iは出力チャネルを示す。
【0223】
信号JUF(t)、σIn(t)、およびσOut(t)は、F=0.1Hzの体外治療装置のセッションロガーによって記録された。光学データに関しては、3時間の実験フェーズからのデータのみを分析した。信号JUF(t)はアートファクト除去のための中央値フィルタリング(5サンプルウィンドウ)を受けたが、σIn(t)とσOut(t)は移動平均フィルタリング(5サンプルウィンドウ)によって平滑化された。
【0224】
セッションの間、血液透析機は安全上の理由または内部再キャリブレーションの目的のいずれかのために、一時的にバイパスモードに切り替えられる。バイパス中、限外ろ過は中断され、透析液の血液透析器への液圧連結は短絡され(図6(点線)参照)、これは、入口新鮮透析液がろ過ユニットに入ることなく流出ラインに向かって直接的にルートが形成されるので、導電率セル(σIn(t)、σOut(t))からのデータがバイパス条件中に役に立たないことを意味する。セッションログを使用して、導電率データが任意の所与の時間に利用可能であるかどうかを示すバイナリ信号が、各セッションについて構築された。
【0225】
血液ガス解析を用いて、t=0、45、90、135および180分における実験的血漿ナトリウム濃度Napl,Exp(t)を決定した。平均値を得るために各サンプルについて3つの分析が実行されたが、3つの各群の最初の測定は常に負のバイアスを示したが、他の2つはそれらの間で一貫していた。この理由から、Napl,Exp(t)は、それぞれのサンプルについて、第2および第3の測定値の平均として計算された。可能な説明は、第1の測定が分析器の非活動期間の後に実行される測定であり、機器の動作条件がわずかに異なる可能性があるということである。
【0226】
●実験セッションの結果
説明したように、式(9)のパラメータGOptと式(12)のGNa,GainとGNa,Offsetはモデル化の仮定に基づいていないが、実験データに当てはめられている。この理由のために、システムの性能を2つの方法で評価した。最良の性能を決定するために、推定誤差は、データセット全体に適合された経験的パラメータを有するカルマンフィルタのバージョンを使用して計算された。さらに、推定器のロバスト性を評価するために、12セッションのデータセットに対してリーブ・ワン・アウト法を採用した。各反復について、11セッションをフィッティングのために採用し、1セッションを試験のために採用した。
【0227】
推定誤差は、ΔRBVおよびNaplの両方について、参照データと推定値との間の差分絶対値として計算した。各セッションについて平均および最大誤差を最初に計算し、次に、セッション間平均±標準偏差を両方の量について計算した。結果を以下の表Iに報告する。
【0228】
全データセットからのデータと同調したカルマンフィルタは、ΔRBVとNaplを推定する際に良好な性能を示した。
【0229】
リーブ・ワン・アウト法で評価された推定誤差は、特に大きな標準偏差が考慮される場合にはデータセット全体での評価と比較して、わずかな差しか示さない。この結果はフィッティング手順が特に1つのセッションからのデータに敏感でないことを示し、提案されたフィルタアーキテクチャの信頼性を実証する。
【0230】
図10は、推定器のパラメータが完全なデータセットからのデータを使用して計算される最良の場合における状態推定結果を例示する。ΔRBVおよびNaplの推定値は、血液量損失及びナトリウム濃縮ステップの両方を伴う実験(それぞれ図10(a)および10(d))に対して、血液量損失が0に近い実験(図10(b)および10(e))に対して、および、初期高ナトリウム血症患者の状態がシミュレートされる実験(図10(c)および10(f))に対して提示される。標準フィルタ動作からバイパスモードへの切り替えは、暗い灰色の実線への一時的な遷移によって表される。図10(a)~(c)は相対的な血液量損失の評価の結果を示す。Naplの傾向はΔRBV信号に認識可能な影響を示さなかったが、推定及び基準血液量損失の間にはいくらかの差異が残っていた。この特徴は全ての実験セッションにおいて観察可能であり、浸透圧非感受性ΔRBV推定の標的に到達したことを示す。図10(f)は開始条件が最適よりも低い場合であっても、推定器の信頼できる挙動の例であり、シミュレートされた患者の開始血漿ナトリウム濃度は、カルマンフィルタの開始推定値(145対140mM)よりもはるかに高い。それにもかかわらず、推定器は実験値の方向でNaplの推定を駆動できる。セッション開始から10分未満後、によって与えられる推定信頼区間は、既に参照データを含む。そのような短期間は、Napl推定のための臨床的有用性と大いに適合する。
【0231】
各ステップで更新されるP+行列は、カルマンフィルタアルゴリズムの特性により定常状態値に収束するように拘束される。図10に示した推定値の境界区間のダイナミクスから、P+は、フィルタ動作の最初の数分(~2分)で、非常に迅速に定常状態に達することが明らかである。
【0232】
本発明は現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の変形および同等の構成を包含することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14