IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-柔軟回路を有するカテーテルハンドル 図1
  • 特許-柔軟回路を有するカテーテルハンドル 図2
  • 特許-柔軟回路を有するカテーテルハンドル 図3
  • 特許-柔軟回路を有するカテーテルハンドル 図4
  • 特許-柔軟回路を有するカテーテルハンドル 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】柔軟回路を有するカテーテルハンドル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20230731BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230731BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20230731BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61M25/092 510
H05K1/02 A
H05K3/46 Q
H05K3/46 T
H05K3/12 610B
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020566227
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019034725
(87)【国際公開番号】W WO2019232256
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】62/678,763
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ケー. オルソン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192005(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163099(WO,A1)
【文献】特開2003-324267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
H05K 1/02
H05K 3/46
H05K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、少なくとも1つの電極またはセンサを有する遠位端を含むカテーテルシャフトと、
カテーテルシャフトに結合されている導電体であって、カテーテルシャフトの遠位端に存在する電極またはセンサに通信可能に結合されている導電体と、
非平坦面を含むカテーテルハンドルであって、カテーテルシャフトの近位端に結合されているカテーテルハンドルと、
カテーテルハンドルの前記非平坦面に一致して取り付けられている柔軟回路であって、第1接続インターフェースと第2接続インターフェースを有している柔軟回路と、を備えており、
第1接続インターフェースは、柔軟回路の遠位端に位置しており、前記非平坦面内に位置しており、カテーテルシャフトの電極またはセンサと電気的に通信するように構成されており、
第2接続インターフェースは、柔軟回路の近位端に位置しており、前記非平坦面内に位置しており、電子制御ユニットと電気的に通信するように構成されているカテーテル。
【請求項2】
柔軟回路は、伸張して前記非平坦面に順応するように構成されている材料を含んでいる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
柔軟回路は、少なくとも1つの誘電体層と少なくとも1つの導電層とを含み、
誘電体層のうちの少なくとも1つと導電層のうちの少なくとも1つは、各々伸張して前記非平坦面に順応するように構成されているそれぞれの材料を含んでいる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
導電層は、印刷可能導電性ポリマーを含んでいる、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
柔軟回路内に埋め込まれた論理構成要素をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
論理構成要素は、アナログ-デジタル変換器、マルチプレクサ、フィルタ、増幅器、または、これらの組み合わせのうちの1つで構成されている、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
論理構成要素は、半導体を含んでいる、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
論理構成要素は、p型材料、n型材料またはこれらの双方を含んでいる、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
カテーテルシステムとともに使用するように構成されているハンドルであって、
前記ハンドルは、
前記ハンドルの内部に沿って含まれている非平坦面と、
カテーテルシャフトと結合するように構成されている遠位端と、
電子制御ユニットと通信するために電気ケーブルと結合するように構成されている近位端と、
前記非平坦面上に配置されている柔軟回路であって、前記非平坦面に適合される柔軟回路と、を備えており、
柔軟回路は、
柔軟回路の遠位端に位置する第1接続インターフェースであって、前記非平坦面内に位置しており、カテーテルシャフトの電極またはセンサと電気的に通信するように構成されている第1接続インターフェースと、
柔軟回路の近位端に位置する第2接続インターフェースであって、前記非平坦面内に位置しており、電子制御ユニットと電気的に通信するように構成されている第2接続インターフェースと、を含んでいる、ハンドル。
【請求項10】
柔軟回路は、伸張して前記非平坦面に順応するように構成されている材料を含んでいる、請求項9に記載のハンドル。
【請求項11】
柔軟回路は、少なくとも1つの誘電体層と少なくとも1つの導電層とを含み、
誘電体層のうちの少なくとも1つと導電層のうちの少なくとも1つは、各々伸張して前記非平坦面に順応するように構成されているそれぞれの材料を含んでいる、請求項9に記載のハンドル。
【請求項12】
導電層は、印刷可能導電性ポリマーを含んでいる、請求項11に記載のハンドル。
【請求項13】
柔軟回路内に埋め込まれた論理構成要素をさらに備える、請求項9に記載のハンドル。
【請求項14】
論理構成要素は、アナログ-デジタル変換器、マルチプレクサ、フィルタ、増幅器、または、これらの組み合わせのうちの1つで構成されている、請求項13に記載のハンドル。
【請求項15】
論理構成要素は、p型材料、n型材料これらの双方を有する半導体を含んでいる、請求項13に記載のハンドル。
【請求項16】
柔軟回路が、前記非平坦面に挿入成形されている、請求項15に記載のハンドル。
【請求項18】
柔軟回路を前記非平坦面に沿って配置することが、
少なくとも1つの誘電体層または少なくとも1つの導電層を含む第1層を前記非平坦面上に直接的に印刷することと、
少なくとも1つの誘電体層または少なくとも1つの導電層を含む第2層を第1層上に印刷することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
柔軟回路は、前記非平坦面の形状に適合され、次いで前記非平坦面に配置されて取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
柔軟回路を前記非平坦面に適合させることが、柔軟回路を型の中に位置決めすることを含み、
柔軟回路を前記非平坦面に沿って配置することが、カテーテルハンドルの前記非平坦面を柔軟回路に挿入成形することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
柔軟回路を作製することをさらに含み、
柔軟回路を作製することが、導電層を誘電体層上に配置することを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテルハンドルなど、カテーテルに関する。1つの例において、本開示は、柔軟回路を含むカテーテルハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは長年にわたって、心臓医療手術に使用されている。例えば、カテーテルは、心不整脈を診断および処置するために使用することができる。カテーテルは、そうでなければより侵襲的な処置を用いなければアクセス不可能な、身体内の特定の箇所に位置決めすることができる。多くの場合、カテーテルは、カテーテルの電極またはセンサから信号を受信するための制御ユニットと通信することができる。信号は、1つまたは複数の絶縁ワイヤを通じて通信することができる。絶縁ワイヤは、カテーテルのハンドルを通じて配線することができる。ワイヤは、電極、センサおよび制御ユニットの間の電気接続を完了するために、コネクタによって終端することができるか、または、はんだ付けすることができる。ハンドルのサイズおよび形状は、オペレータの手に収まり、オペレータによるカテーテルの適切な制御を可能にするように構成され得る。
【0003】
多くの場合、カテーテルは外科手術室内で使用される。外科手術室は、電気的雑音の多い環境であり得る。例えば、外科手術室内の電子構成要素は、外科手術室内の他のデバイスからの電磁干渉に曝され得る。一例において、電場に基づく位置決めシステムが、患者の身体内の、カテーテルなどの医療デバイスの位置を特定するために電場を生成し得る。電場は、電磁干渉に寄与する可能性がある。
【0004】
上記の論述は、当該技術分野を解説することのみを意図しており、特許請求の範囲の否認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、高密度マッピング・カテーテル、診断のためのマッピング・カテーテル、または医療処置のためのカテーテル、等のカテーテルに関する。例えば、カテーテルは、一例としてアブレーションを介して心不整脈を処置するために使用することができる。カテーテルのいくつかの例は、灌注を含むことができる。特に、本開示は、ハンドルの非平坦面上に配置されるように構成されている柔軟回路を含むハンドル等、カテーテルのハンドルに関する。本明細書において使用される場合、柔軟層または回路という用語は、非平坦面を含む、隣接する近接表面の形状に近密に適合する層または回路を意味するものとして理解されるものとする。
【0006】
一例において、カテーテルは、カテーテルシャフトと、導電体と、カテーテルハンドルと、柔軟回路を含むことができる。カテーテルシャフトは、近位端、および、少なくとも1つの電極またはセンサを有する遠位端を含むことができる。導電体は、カテーテルシャフトに結合することができる。導電体は、カテーテルシャフトの遠位端に位置する電極またはセンサに通信可能に結合することができる。ハンドルは、カテーテルシャフトの近位端に結合することができ、非平坦面を含み得る。柔軟回路は、電子制御ユニットと通信し、非平坦面に適合するように構成することができる。一例において、柔軟回路は、導電体を通じて電極またはセンサに電気的に結合することができる。様々な例において、柔軟回路は、伸張し、非平坦面に順応する材料特性を含むことができる。さらなる例において、柔軟回路は、少なくとも1つの誘電体層と、少なくとも1つの導電層を含むことができる。誘電体層のうちの少なくとも1つおよび導電層のうちの少なくとも1つは、それぞれの材料特性を含むことができる。一例において、導電層は、導電性インク等の印刷可能導電性ポリマーを含むことができる。
【0007】
いくつかの例において、柔軟回路は、柔軟回路内に埋め込まれた論理構成要素を含むことができる。論理構成要素は、導電層のうちの少なくとも1つに電気的に結合することができる。様々な例において、論理構成要素は、アナログ-デジタル変換器、マルチプレクサ、フィルタ、増幅器、または上記の組み合わせのうちの1つとして構成することができる。一例において、論理構成要素は半導体を含むことができる。例えば、論理構成要素はp型材料またはn型材料を含むことができる。
【0008】
一例において、カテーテルハンドルを作成する方法は、カテーテルハンドルの非平坦面に沿って柔軟回路を配置することを含むことができる。方法は、柔軟回路を非平坦面に適合させることをさらに含むことができる。いくつかの例において、柔軟回路は、誘電体層と、複数の導電層と、第1接続インターフェースと、第2接続インターフェースを含む。誘電体層は、誘電体材料特性を含むことができ、複数の導電層の各々は、導電性材料特性を含むことができる。第1接続インターフェースは、導電層のうちの少なくとも1つに電気的に結合することができる。第2接続インターフェースは、導電層のうちの少なくとも1つに電気的に結合することができる。いくつかの事例において、少なくとも1つの導電層は、張力緩和機構を含むことができる。一例において、導電層のうちの少なくとも1つは、印刷導電性ポリマー、導電性インク等のような印刷導電層とすることができる。さらなる例において、論理構成要素は、柔軟回路内に形成することができる。論理構成要素は半導体を含むことができる。例えば、論理構成要素はp型材料、n型材料または両方を含むことができる。
【0009】
本開示の上記のおよび他の態様、特徴、詳細、効用、および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の読解から、ならびに、添付の図面の検討から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書による、カテーテルを含む、身体内で医療デバイスをナビゲートするためのシステムの一例を示す図である。
【0011】
図2】本明細書による、柔軟回路の一例を示す図である。
【0012】
図3】本明細書による、ハンドルの非平坦面上に配置されている柔軟回路を有するカテーテルのハンドルの一例の分解図である。
【0013】
図4】本明細書による、少なくとも1つの論理構成要素を含む柔軟回路の一例の断面図である。
【0014】
図5】本明細書による、ハンドル上に配置されている柔軟回路を含むカテーテル・アセンブリを作成する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、高密度マッピング・カテーテル、診断のためのマッピング・カテーテル、または医療処置のためのカテーテル等のカテーテルに関する。例えば、カテーテルは、例としてアブレーションを介して心不整脈を処置するために使用することができる。いくつかの例において、本開示のカテーテルは、アブレーション手術中に組織を灌流するように構成されているイリゲーションカテーテルを含むことができる。特に、本開示は、ハンドルの非平坦面などの表面上に配置されるように構成されている柔軟回路を含むハンドル等、カテーテルのハンドルに関する。本開示の様々な例の詳細を、図面を具体的に参照して下記に説明する。
【0016】
図1は、身体内112で医療デバイスをナビゲートするためのシステム100の一例を示す。図示されている例において、医療デバイスは、身体112から分化されている心臓に入っているように概略的に示されているカテーテル114を備える。カテーテル114は、この例においては、身体112の心臓組織116の処置に使用するための、イリゲーション高周波(RF)アブレーション・カテーテルとして示されている。しかしながら、システム100は、診断または処置のために身体112内で使用される多種多様な医療デバイスに関連して用途を見出すことができることは理解されたい。例えば、システム100は、電気生理学的マッピング・カテーテル、心臓内心エコー(ICE)カテーテル、または、異なるタイプのアブレーション・エネルギー(例えば、冷凍アブレーション、超音波など)を使用するアブレーション・カテーテルをナビゲートするために使用されてもよい。さらに、システム100は、身体112の、心臓組織116以外の部分の診断または処置に使用される医療デバイスをナビゲートするために使用されてもよいことは理解されたい。システムおよび構成要素のさらなる説明は、参照によりその全体が、本明細書にすべて記載されているかのように本明細書に組み込まれる、2013年3月15日付けで出願された米国特許出願第13/839,963号に含まれている。
【0017】
なお図1を参照すると、アブレーション・カテーテル114は、例えば、図示されているように流体源118からの重力給送を用いる固定速度ローラ・ポンプまたは可変容量注射器ポンプを含むことができるポンプ120を通じて生理食塩水などの生体適合性灌流流体を送達するために、流体源118に接続されている。カテーテル114はまた、RFエネルギーを送達するために、アブレーション・ジェネレータ122に電気的に接続される。カテーテル114は、ハンドル124と、ハンドル124の近位端にあるケーブル・コネクタまたはインターフェース126と、シャフト128を含むことができる。シャフト128は、近位端130と、遠位端132と、1つまたは複数の電極134を含むことができる。コネクタ126は、ポンプ120およびアブレーション・ジェネレータ122から延伸する導管またはケーブルの機械的、流体的、および電気的接続を提供する。カテーテル114はまた、温度センサ、追加の電極、および対応する導体またはリード線等、本明細書には示されていない他の従来の構成要素も含むことができる。
【0018】
ハンドル124は、医師がカテーテル114を保持する箇所を与え、シャフト128を身体112内で操作または案内するための手段をさらに提供することができる。例えば、ハンドル124は、ハンドル124からカテーテル114を通じてシャフト128の遠位端132へと延伸する1つまたは複数の引張ワイヤの長さを変更する手段を含むことができる。ハンドル124の構成は変化してもよい。様々な例において、ハンドル124は、例えば、カテーテル114の動作に対する制御を可能にするために、ユーザの手の内に収まるように構成することができる。したがって、ハンドル124のサイズおよび形状は、カテーテル114の機能および有用性にとって重要であり得る。
【0019】
シャフト128は、ポリウレタンのような従来の材料から作成することができ、導電体156、流体、または手術道具を収容および/または輸送するように構成されている1つまたは複数の管腔を画定することができる。シャフト128は、従来の導入器を通じて、血管または身体112内の他の構造内に導入することができる。シャフト128はその後、ガイド・ワイヤもしくは引張ワイヤまたは遠隔制御案内システムを含む従来技術において知られている他の手段を使用して、身体112を通じて組織116などの所望のロケーションへと操作または案内することができる。シャフト128はまた、流体(灌流流体および体液を含む)、医薬、および/または手術道具もしくは器具の輸送、送達、および/または除去をも可能にすることができる。任意の数の方法を使用して、シャフト128を身体112内の領域に導入することができることに留意されたい。これは、導入器、シース、ガイド・シース、ガイド・メンバ、ガイド・ワイヤ、または他の同様のデバイスを含んでもよい。論述を容易にするために、導入器という用語が、全体を通じて使用される。
【0020】
システム100は、電場に基づく位置決めシステム136と、磁場に基づく位置決めシステム138と、ディスプレイ140と、電子制御ユニット(ECU)142(例えば、プロセッサ)とを含むことができる。例示的なシステム構成要素の各々は、下記にさらに説明する。
【0021】
電場に基づく位置決めシステム136および磁場に基づく位置決めシステム138は、身体112内のカテーテル114および同様のデバイスの位置および向きを決定するために設けられる。身体112内のカテーテル114および同様のデバイスの位置および向きは、システム136および/またはシステム138によって決定することができる。システム136は、例えば、ミネソタ州セントポール所在のSt. Jude Medical, Inc.によって販売されており、例えば、参照によりその開示全体が、本明細書にすべて記載されているかのように本明細書に組み込まれる「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location Mapping in the Heart」と題する米国特許7,263,397号に記載されているEnSite(商標)NavX(商標)システムを含んでもよい。システム136および138は、例えば、ミネソタ州セントポール所在のSt. Jude Medical, Inc.によって販売されてEnSite Precision(商標)システムを含んでもよい。システム136は、低振幅電気信号が胸部に通されるときに、身体112が分圧器(またはポテンショメータもしくはレオスタット)として作用し、結果、カテーテル114上の1つまたは複数の電極134において測定される電位または電場強度を使用して、オームの法則および基準電極(例えば、冠状静脈洞内にある)の相対位置を使用して一対の外部パッチ電極の対に対する電極の、したがってカテーテル114の位置を決定することができるという原理に基づいて動作する。
【0022】
図1に示す構成において、電場に基づく位置決めシステム136は、三次元座標系146内のカテーテル114の位置の決定に使用される電気信号を生成するために設けられる、3対のパッチ電極144をさらに含む。電極144はまた、組織116に関する電気生理学(EP)データを生成するために使用することもできる。身体112内に軸特有の電場を生成するために、パッチ電極は、身体112の対向する表面(例えば、胸部および背中、胸部の左側および右側、ならびに首および脚)上に配置され、概して直交するX軸、Y軸、およびZ軸を形成する。基準電極/パッチ(不図示)が、典型的には、胃の近くに配置され、基準値を与え、ナビゲーション・システムの座標系146の原点として作用する。
【0023】
図1に示すようなこの例示的なシステム136によれば、パッチ電極は、右側パッチ144X1、左側パッチ144X2、首パッチ144Y1、脚パッチ144Y2、胸部パッチ144Z1、および背中パッチ144Z2を含み、各パッチ電極は、スイッチ148(例えば、多重化スイッチ)および信号発生器150に接続される。パッチ電極144X1、144X2は第1(X)軸に沿って配置され、パッチ電極144Y1、144Y2は第2(Y)軸に沿って配置され、パッチ電極144Z1、144Z2は第3(Z)軸に沿って配置される。正弦波電流が、パッチ電極の各対を通じて駆動され、カテーテル114と関連付けられる1つまたは複数の位置センサ(例えば、カテーテルシャフト128の遠位端132付近に位置するリング電極134または先端電極)の電圧測定値が得られる。測定電圧は、パッチ電極からの位置センサの距離の関数である。測定電圧は基準電極における電位と比較され、ナビゲーション・システムの座標系146内の位置センサの位置が決定される。
【0024】
この例における磁場に基づく位置決めシステム138は、磁場を利用して、身体112内のカテーテル114の位置および向きを検出する。システム138は、例えば、MediGuide, Ltd.から入手可能であり、例えば、参照によりその開示全体が、本明細書にすべて記載されているかのように本明細書に組み込まれる「Medical Imaging and Navigation System」と題する米国特許7,386,339号に全体的に示され、記載されているGMPSシステムを含んでもよい。そのようなシステムにおいて、直交して配置されている3個のコイル(不図示)を有する磁場発生器152を利用して、身体112内に磁場を生成し、磁場の強度、向き、および周波数を制御することができる。磁場発生器152は、患者の上方もしくは下方(例えば、手術台の下)または別の適切なロケーションに配置することができる。コイルによって磁場が生成され、カテーテル114と関連付けられる1つまたは複数の位置センサ(不図示)の電流または電圧測定値が得られる。測定電流または電圧は、コイルからのセンサの距離に比例し、したがって、システム138の座標系154内のセンサの位置を決定することが可能になる。
【0025】
ディスプレイ140は、診断および処置を支援するために医師に情報を伝達するために設けられる。ディスプレイ140は、1つもしくは複数の従来のコンピュータ・モニタまたは他のディスプレイ・デバイスを含んでいてもよい。ディスプレイ140は、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を医師に提示することができる。GUIは、例えば、組織116の形状の画像、組織116と関連付けられる電気生理学データ、様々な電極134の経時的な電圧レベルを示すグラフ、ならびに、カテーテル114および他の医療デバイスの画像、ならびに、組織116に対するカテーテル114および他のデバイスの位置を示す関連情報を含む、様々な情報を含むことができる。
【0026】
ECU142は、カテーテル114、アブレーション・ジェネレータ122、および、磁場に基づく位置決めシステム138の磁気発生器152を含む、システム100の様々な構成要素の動作を制御するための手段を提供する。ECU142はまた、組織116の形状、組織116の電気生理学的特性、ならびに、組織116および身体112に対するカテーテル114の位置および向きを決定するための手段を提供することもできる。ECU142はまた、ディスプレイ140を制御するために使用されるディスプレイ信号を生成するための手段も提供する。
【0027】
カテーテル114が身体112および電場に基づく位置決めシステム136によって生成される電場内で動くと、電極134からの電圧読み値が変化し、結果、電場内、および、システム136によって確立される座標系146内のカテーテル114の位置が示される。リング電極134は、位置信号をECU142に通信するように適合することができる。
【0028】
図2は、柔軟回路200などの可撓性回路の一例である。柔軟回路200は、ECU142と、シャフト128の電極またはセンサとの間で信号をルーティングすることができる。例えば、信号は、電気生理学信号を含むことができる。柔軟回路200は、誘電体層202と、導電層204と、第1接続インターフェース208と、第2接続インターフェース210とを含むことができる。柔軟回路200は、ECU142と、シャフト128の電極134またはセンサとの間で信号を通信するように構成されている複数のルーティング・トレースを含むことができる。1つまたは複数の導電層204を、柔軟回路200内で信号を通信するために、誘電体層202のうちの1つまたは複数の上に配置することができる。例えば、導電層204は、柔軟回路200内で様々な信号を通信するための複数のルーティング・トレース214を含むように構成することができる。多くの場合、カテーテルは、ECU142と様々な電極134またはセンサとの間で電気信号を通信するために、絶縁ワイヤを使用する。トレース214は、高密度の回路ルーティングを提供するトレース厚さ、幅、間隔、または上記の組み合わせを含むことができる。例えば、柔軟回路200の複数のトレース214は、絶縁ワイヤよりも高い密度を有することができる。一例において、トレース214の幅は0.01~0.25mmであってもよく、トレース214の間隔は0.01~0.25mmであってもよい。他のトレース厚さ、幅、および間隔も企図される。様々な導電層204を、1つまたは複数の導電性バイアによって電気的に結合することができる。いくつかの事例において、ハンドル124のサイズが、様々な電極134およびセンサと信号を通信するために内部には位置することができる絶縁ワイヤの数を制限し得る。トレース214の密度が相対的に高いことに起因して、柔軟回路200は、対応する数の絶縁ワイヤと比較して相対的に小さいサイズを有することができる。したがって、絶縁ワイヤと比較して、柔軟回路200は、ハンドル124の制限されたサイズおよび形状を通じて、より多数の信号トレース214を通信することができる。例えば、柔軟回路200は、10個、50個、100個、200個、250個、または、導電体156の数に対応する他の数の信号を、複数の導電体156から通信することができる。
【0029】
いくつかの例において、誘電体層202および導電層204は柔軟であり得る。例えば、導電層204は柔軟であり得(本明細書においては柔軟導電層としても参照される)、誘電体層202は柔軟であり得る(本明細書においては柔軟誘電体層としても参照される)。柔軟導電層204および柔軟誘電体層202は、独立して、または、銅箔、ポリイミド、FR4などのような柔軟性の劣る材料と組み合わせて使用することができる。
【0030】
様々な例において、柔軟誘電体層の材料(誘電体材料)は、限定ではないが、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU))、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、ポリ(メチル-メタクリレート)(PMMA)、ポリ[スチレン-b-(エチレン-co-ブチレン)-b-スチレン]トリブロック共重合体(SEBS)、イオン液体[1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI)]、フッ素化共重合体、フッ素化ゴム、シリコーン、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリ(スチレン-co-エチレンブチレン-co-スチレン)、グラフェン、塩化ナトリウム(NaCl)電解質を含有するポリアクリルアミド・ヒドロゲル、ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物)(PMETAC)、二酸化ケイ素(SiO2)、ポリ(tert-ブチルアクリレート-co-アクリル酸)ポリ(TBA-co-AA)フィルム(双安定性電気活性ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを含むことができる。
【0031】
いくつかの例において、柔軟導電層の材料(導電性材料)は、限定ではないが、導電性伸縮可能ポリマー、印刷可能導電性ポリマー、導電性伸縮可能インク、酸化インジウムスズ(ITO)、単層カーボン・ナノチューブ、多層カーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノチューブ・リボン、カーボン・ナノチューブ・エーロゲル、単層または多層カーボン・ナノチューブと化合したポリ[スチレン-b-(エチレン-co-ブチレン)-b-スチレン]トリブロック共重合体、ポリ(スチレン-co-エチレンブチレン-co-スチレン)と共有結合したポリアニリン(PANI)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート)(PEDOT:PSS)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):p-トシレート(PEDOT)、金(Au)またはチタン(Ti)またはパラジウム(Pd)イオンを埋め込まれたポリアクリル酸(PAA)、銅(例えば、銅ナノ粒子)、金(例えば、金ナノ粒子)、銀(例えば、銀ナノ粒子)、亜鉛(例えば、亜鉛ナノ粒子)、球状クエン酸塩安定化Auナノ粒子、Auナノワイヤ、ガリウムヒ素(GaAs)ナノリボン、ケイ素(Si)ナノリボン、ケイ素ナノワイヤ、グラフェンおよび銀ナノワイヤ・ハイブリッド・フォームなどを含むことができる。柔軟導電層が、金、チタン、パラジウム、銅、銀、亜鉛などのような剛性材料を含む場合、導電性材料は、より柔軟な材料と組み合わせて、複合材料を形成することができる。別の例において、導電性材料は、柔軟導電性材料を形成するための導電性材料の伸展性および柔軟性を増大させるために、少なくとも1つの張力緩和機構206(後述)を含むことができる。
【0032】
誘電体層202、導電層204、またはその両方は、各々誘電体材料特性および導電性材料特性等、それぞれの材料特性(例えば、弾性特性)を含むことができる。例えば、柔軟回路200は、様々な層(例えば、誘電体層202および導電層204)、柔軟回路200の他の要素、および全体としての柔軟回路200のそれぞれの誘電体材料特性および導電性材料特性に基づいて、柔軟回路200の長さおよび幅に沿って適合性とすることができる。一例において、柔軟回路200は、柔軟回路200のそれぞれの材料特性に基づいて、第1軸(例えば、X軸216)に沿って、第2軸(例えば、Y軸218)に沿って、または同時にそれらの任意の組み合わせに沿って屈曲または伸張することができる。例えば、柔軟回路は、非平坦面に適合しながら、同時に第1軸と第2軸に素って伸張または屈曲することができる。いくつかの例において、導電性材料特性、誘電体材料特性、またはその両方は、鋼、アルミニウム、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリイミドなどの弾性率よりも低い弾性率を含むことができる。例えば、材料の弾性率は、0.1GPa~2.0GPa、0.1GPa~1.5GPa、0.1GPa~1.0GPa、または0.1GPa~0.5GPaであってもよい。さらなる例において、誘電体材料または導電性材料などの材料は、それぞれの材料特性に基づいて、非平坦面に対して伸張または適合されたときに、永続的に変形することができる。例えば、伸張または適合されたとき、誘電体材料または導電性材料は、いくつかの例において元の形状に戻らない。したがって、柔軟回路200は非平坦面に沿って配置することができる。柔軟回路200は、図3に示し、本明細書に記載されているように、非平坦面に適合することができる。一例において、柔軟回路200は、非平坦面の形状に対応する形状をとることができる。言い換えれば、柔軟回路200は、非平坦面に対して適合性とすることができる。非平坦面は、弓形状、角形状、不規則な形状、または他の平坦でない形状等、任意の平坦でない形状を含むことができる。
【0033】
一例において、導電層204は張力緩和機構206を含むことができる。張力緩和機構206は、導電層204のトレース214等、1つまたは複数のトレースの可撓性を増大させることができる。張力緩和機構206は、限定ではないが、ジグザグ形状、馬蹄形状、波形状、開ループ形状、または、張力下にあるときに導電層204の不具合を軽減することができる他の形状を含むことができる。例えば、張力緩和機構206は、トレース214の伸張可能な長さを増大させることができる。いくつかの例において、導電層204は、銅または銅合金等の金属質層とすることができる。張力緩和機構206は、導電層204に柔軟な特性を与えることができ、そのため、電層204は適合性とすることができる。例えば、導電層204の材料特性は、少なくとも部分的に、張力緩和機構206に基づくことができる。
【0034】
図2の例に示すように、柔軟回路200は、柔軟回路200の遠位端上の第1接続インターフェース208または柔軟回路200の近位端上の第2接続インターフェース210等、少なくとも1つの接続インターフェースを含むことができる。第1接続インターフェース208または第2接続インターフェース210は、限定ではないが、はんだパッド、電気コネクタ、ばね、プローブ・コンタクトなどを含んでもよい。図2の例において、第1接続インターフェース208および第2接続インターフェース210は、はんだパッドである。第1接続インターフェース208は、シャフト128の導電体156のうちの1つまたは複数への電気接続を提供することができる。第2接続インターフェース210は、ECU142またはアブレーション・ジェネレータ122への電気接続を提供することができる。したがって、柔軟回路200は、1つもしくは複数の電極132もしくはセンサ(例えば、1つまたは複数の導電体156によって)およびECU142、アブレーション・ジェネレータ122、またはそれらの任意の組み合わせに電気的に結合することができる。
【0035】
図2にさらに示すように、柔軟回路200は、少なくとも1つの論理構成要素212を含むことができる。例えば、論理構成要素212は、論理回路または集積回路に含まれるか、または、論理回路または集積回路として構成することができる。様々な例において、論理構成要素212は、限定ではないが、増幅器、多重化回路、トランジスタ、ダイオード、スイッチ、アナログ-デジタル変換器、アイソレータ(フィルタ)、メモリ、または他の論理要素を含んでいてもよい。電場に基づく位置決めシステム136によって生成される電場または磁場に基づく位置決めシステム138によって生成される磁場は、導電体156を通じて通信される信号のうちの1つまたは複数と干渉し得る。論理構成要素212は、電磁放射からの干渉を軽減するように、信号を調整することができる。例えば、信号を調整することは、限定ではないが、干渉を低減すること、信号対雑音比をブーストすること、信号電力を増幅すること、信号をフィルタリングすること、または、他の信号調整を提供することを含むことができる。ECU142において受信される信号の信号対雑音比または強度は、論理構成要素212によって増大させることができる。例えば、論理構成要素212をハンドル124内に配置することによって、干渉に曝される1つまたは複数の導電体156の長さを低減することができる。結果として、ハンドル124において受信される信号は、ECU142までの全行程を通信される対応する信号よりも干渉を少なくすることができる。したがって、論理構成要素212を使用して信号調整を提要することは、ECU142よりもハンドル124においてより効果的であり得る。したがって、論理構成要素212をハンドル124内に配置することによって、信号の完全性を増大させることができる。
【0036】
別の例において、論理構成要素212は、信号をアナログとデジタルとの間で変換することができる。いくつかの事例において、デジタル信号は、アナログ信号よりも、干渉への感受性が低いものであり得る。例えば、干渉はアナログであることが多い。アナログ干渉をデジタル信号からフィルタリングして、信号対雑音比を低減することができる。
【0037】
さらなる例において、論理構成要素212は、信号を多重化して、ECU142と通信する導電体の数を低減することができる。したがって、柔軟回路のサイズを低減することができる。対応して、ハンドル124のサイズを低減して、例えば、人間工学的形状を与えることができる。
【0038】
図3は、ハンドル324の一部分316、柔軟回路314、シャフト302、および電気ケーブル318を含むカテーテル300の一例の分解図を示す。ハンドル324は、非平坦面322などの非平坦面を含むことができる。例えば、少なくともハンドル324の内部またはその一部分は、非平坦面322を含むことができる。いくつかの例において、カテーテルハンドルは、平坦面と非平坦面との組み合わせを含んでいてもよい。別の例において、カテーテルハンドルは、平坦な側面と、当該側面と隣接する表面を接合する湾曲した辺を有することができる。非平坦面322は、限定ではないが、弓形状、角形状、不規則な形状、または他の平坦でない形状等、任意の平坦でない形状を含むことができる。図3の例に示すように、ハンドル324の部分316は、ハンドル324の下半分である。柔軟回路314は、非平坦面322に沿って等、ハンドル324内に配置することができる。例えば、柔軟回路314は、柔軟回路314の材料特性に従って、非平坦面322に対して伸張および適合することができる。柔軟回路314の一部分または柔軟回路314の全体を、非平坦面322に沿って配置することができる。いくつかの例において、柔軟回路314は、論理構成要素312(例えば、図2に示し、本明細書に記載されているような論理構成要素212)を含むことができる。論理構成要素312は、表面実装リード線、貫通孔リード線、ボール・グリッド・アレイ、ワイヤ・ボンディング、導電性接着剤等のような様々な相互接続によって、柔軟回路314に電気的に結合することができる。さらなる例において、論理構成要素312は、図4に示し、本明細書に記載されているような柔軟回路300に埋め込むことができる。
【0039】
柔軟回路300を非平坦面322(例えば、ハンドル324の内面)に対して適合させることによって、ハンドル324内の内部容積を、柔軟回路314によって閉塞されないままにすることができる。したがって、柔軟回路314は、例えば、灌流配管、引張ワイヤ等を収容するために、ハンドル324内の空間を節約することができる。
【0040】
いくつかの例において、柔軟回路314は、非平坦面322と適合するようなサイズおよび形状にすることができる。柔軟回路314の形状を非平坦面322に沿ってフィットするように適合させることによって、ハンドル324内にフィットする柔軟回路314のサイズを増大させることができる。例えば、平坦な回路を、ハンドル324の幅(例えば、直径)にわたって配置することができる。柔軟回路314は非平坦面322に(例えば、ハンドル324の断面の周縁または周に沿って)適合することができ、これによって、柔軟回路314のより大きい表面積が、ハンドル324内にフィットすることが可能になる。したがって、ハンドル324内にフィットする柔軟回路314の表面積は、サイズおよび形状が非平坦面322に適合されることによって増大することができる。したがって、信号のルーティング(例えば、トレース)および論理構成要素312に使用される面積を増大させることができる。
【0041】
いくつかの例において、柔軟回路314の少なくとも一部分を、非平坦面322に取り付けることができる。例えば、柔軟回路314またはその少なくとも一部分を、接着剤によって非平坦面322に接合することができる。接着剤は、限定ではないが、感圧接着剤、熱活性接着剤、光活性接着剤、または他の接着剤を含むことができる。別の例において、柔軟回路314の少なくとも一部分を、非平坦面322に挿入成形することができる。さらなる例において、柔軟回路314は、非平坦面322に対して熱形成または熱接合することができる。
【0042】
カテーテル300は、シャフト302および電気ケーブル318と通信可能に結合することができる。図3の例において、シャフト302および電気ケーブル318は、分解図で示されており、柔軟回路314から分離されている。シャフト302は、複数の導電体306と、導電体306のうちの1つまたは複数に通信可能に結合されている複数の電気コンタクト304を含むことができる。図3の例において、シャフト302は、可撓性回路を含むことができる。導電体306は、可撓性回路に沿ったトレースとすることができ、電気コンタクト304は、はんだパッドまたは露出した導電性パッドとすることができる。いくつかの例において、可撓性回路は、円筒形状に折り畳むか、または、形成することができる。可撓性回路の近位端は、電気コンタクト304を柔軟回路314と結合するために、より平坦な形状に移行することができる。例えば、シャフト302の電気コンタクト304は、第1接続インターフェース308等、柔軟回路314の接続インターフェースに電気的に結合することができる。いくつかの例において、電気コンタクト304は、第1接続インターフェース308にはんだ付けすることができるか、導電性接着剤によって第1接続インターフェースに接合することができるか、または、他の方法によって通信可能に結合することができる。したがって、1つまたは複数の導電体306は、柔軟回路314と通信可能に結合することができる。
【0043】
近位端において、ハンドル324は、電気ケーブル318と通信可能に結合することができる。電気ケーブル318は、複数の導電体320を含むことができる。電気ケーブル318は、1つまたは複数の可撓性回路326を含むか、または、これに電気的に結合することができる。図3の例において、電気ケーブル318は、3個の可撓性回路326を含む。導電体320は、可撓性回路326のトレースとすることができ、はんだパッドまたは露出した導電性パッドを含むことができる。導電体320は、第2接続インターフェース310等、柔軟回路314の接続インターフェースに電気的に結合することができる。いくつかの例において、導電体320は、第2接続インターフェース310にはんだ付けすることができるか、導電性接着剤によって第2接続インターフェース310に接合することができるか、または、他の方法によって通信可能に結合することができる。したがって、柔軟回路314は、導電体306と、ECU142またはアブレーション・ジェネレータ122との間で信号を通信することができる。いくつかの例において、接続インターフェース308、310、電気コンタクト304、可撓性回路、導電体320、導電体306、320などは、図3の例に示すように、柔軟とすることができる。対応して、導電体306、320は、非平坦面322などの非平坦面に沿って接続インターフェース308、310に通信可能に結合することができる。
【0044】
図4は、少なくとも1つの埋め込まれた論理構成要素418を含む柔軟回路400の断面の一例である。柔軟回路400は、少なくとも1つの誘電体層402と、複数の導電層と、少なくとも1つの半導体410を含むことができる。例えば、柔軟回路400は、第1導電層404と、第2導電層406と、第3導電層408を含むことができる。導電層404、406または408は、限定ではないが、金属箔、導電性インク、導電性ポリマー(例えば、印刷可能導電性ポリマー)、または他の導電性材料を含むことができる。第1導電層404、第2導電層406、第3導電層408、またはそれらの組み合わせなどの様々な導電層は、回路として構成することができる。例えば、導電層404、406、408の様々な組み合わせを、柔軟回路400内の1つまたは複数の導電性バイアを使用して電気的に接続することができる。
【0045】
図4の例において、第1導電層404はソース導体として構成することができ、第2導電層406はドレイン導体として構成することができる。第1導電層404および第2導電層406は、第1導電層404および第2導電層406の上に配置される半導体材料等の半導体410によって分離することができる。半導体410は、電場の存否に基づいて、導電性材料と電気絶縁材料の間で切り替えるように構成することができる。いくつかの例において、半導体は、p型またはn型半導体材料を含むことができる。誘電体材料402は、第3導電層408を、第1導電層404および第2導電層406から分離することができる。いくつかの例において、柔軟回路400は、第3導電層408を柔軟回路400内の他の導体から電気的に絶縁するための別の誘電体層412を含むことができる。図4の例において、第3導電層408はゲートとして構成することができる。ゲートの電荷は、半導体410を導電モードと絶縁モードの間で切り替えることができる。したがって、論理構成要素418は、薄膜トランジスタ(TFT)または有機薄膜トランジスタ(OTFT)等のトランジスタとすることができる。いくつかの例において、1つまたは複数の半導体(例えば、半導体410)または論理構成要素(例えば、論理構成要素418)は、バンク420によって分離することができる。バンク420は、様々な論理構成要素もしくは半導体を電気的に絶縁するか、または、異なる材料間の電荷移動を軽減することができる。
【0046】
いくつかの例において、論理構成要素418は柔軟であり得る。例えば、論理構成要素418は、伸張し、平坦でない形状と適合することができる材料特性を含むことができる。半導体は、限定ではないが、有機ポリマー(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリジメチルシロキサン、ポリ(トリアリルアミン)-ポリ(ビス(4-ブチルフェニル)-N,N-ビス(フェニル)ベンジジン)、イオン・ゲル(例えば、(ポリ(3-ヘキシルチオフェン)))、トリブロック・ポリマー(例えば、ポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート-b-スチレン)、導電性ポリマー(例えば、トリス[1-(トリフルオロエタノイル)-2-(トリフルオロメチル)エタン-1,2-ジチオレン](Mo(tfd-COCF3)3)というドーパントによってp型ドープされたポリ[(4,8-ビス-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ(1,2-b:4,5-b’)ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン-)-2-6-ジイル)](PBDTTT-c)、PMMA、ポリビニル・アルコール、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリレート、アクリレート単量体およびオリゴマー、メルカプトエステルおよびテトラヒドロフルフリル・メタクリレート)、ペンタセン、α-セクシチオフェン、ジヘキシル・ペンタチオフェン、銅フタロシアニン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)または他の半導体材料を含むことができる。したがって、論理構成要素418を中に含む柔軟回路400は、伸張して非平坦面に適合するように柔軟とすることができる。
【0047】
論理構成要素418は、論理回路または集積回路に含まれるか、または、論理回路または集積回路として構成することができる。様々な例において、論理構成要素418は、限定ではないが、増幅器、多重化回路、トランジスタ、ダイオード、スイッチ、アナログ-デジタル変換器、アイソレータ(フィルタ)、または他の論理要素を含んでいてもよい。したがって、論理構成要素418は、柔軟回路400内に埋め込むことができる。いくつかの例において、論理構成要素418は、柔軟回路400内に埋め込むことができ、他の論理構成要素(例えば、表面実装電子構成要素)を柔軟回路400に取り付ける(例えば、はんだ付けする)ことができる。さらなる例において、複数の論理構成要素418を、柔軟回路400の様々な層(例えば、導電層および誘電体層)内に積層することができる。例えば、1つまたは複数の論理構成要素418を、柔軟回路400の内層または外層内に配置することができる。したがって、論理構成要素418は、他の論理構成要素の上方、下方、または間に配置することができる。論理構成要素のすべてが柔軟回路400の外層には位置される必要はないため、1つまたは複数の論理構成要素418を柔軟回路400の内層内に配置することによって、柔軟回路400の全体的なサイズ(例えば、表面積)を低減することができる。
【0048】
さらなる例において、論理構成要素418を柔軟回路400内に埋め込むことによって、占有されるハンドル(例えば、ハンドル124、324)の内部容積を、柔軟回路400の外部層に取り付けられる集積回路構成要素よりも少なくすることができる。例えば、表面実装集積回路などの論理構成要素は、多くの場合、接続インターフェース(例えば、はんだ接続)、オーバーモールド、基板、リード線、および、論理構成要素の特定の適用を促進することがある他の構成要素を含むことができる。論理構成要素418を柔軟回路400に埋め込むことによって、論理構成要素のサイズを低減することができる。例えば、柔軟回路400の導電層404、406、408を使用して、論理構成要素418を柔軟回路400内の様々な電気回路に電気的に結合することができ、リード線、接続インターフェースまたは追加の信号ルーティングの必要が低減するかまたはなくなる。別の例において、論理構成要素418は基板414によって支持することができるため、オーバーモールドまたはカバーは不要である。例えば、基板414は、論理構成要素418または全体としての柔軟回路400の機械的構造を提供することができる。別の例において、封止材416が、半導体410などの論理構成要素418および導電層404、406を保護することができる。いくつかの例において、論理構成要素418の所望の要素のみを柔軟回路400に含めることができ、不要なまたは重複する要素は省くことができる。したがって、柔軟回路400のサイズを低減することができ、または、増大した数の論理構成要素418を柔軟回路400に含めることができる。
【0049】
図5は、本明細書における例において上述されており、例えば、図1図4に示されている、ハンドル124、ハンドル324、柔軟回路200、柔軟回路314、または柔軟回路400などの、柔軟回路を含むカテーテルのハンドルを作成する方法500の一例である。方法500の説明において、本明細書において以前に記載されている1つまたは複数の構成要素、特徴、機能、およびプロセスが参照される。好都合である場合、構成要素、特徴、プロセスなどは、参照符号を用いて参照される。与えられている参照符号は例示であり、非排他的である。例えば、方法500に記載されている特徴、構成要素、機能、プロセスなどは、限定ではないが、本明細書において与えられている対応する参照符号付きの要素を含む。本明細書において記載されている他の対応する特徴(参照符号付きと参照符号なしの両方)およびそれらの均等物も考慮される。
【0050】
502において、柔軟回路を、カテーテルハンドルの非平坦面に沿って配置することができる。非平坦面は、本明細書に記載されているような非平坦面522を含むことができる。例えば、柔軟回路は、本明細書に記載されている柔軟回路200、314、または400のいずれかを含むことができる。いくつかの例において、柔軟回路は、誘電体層202、402等、誘電体材料特性を有する誘電体層を含むことができる。柔軟回路は、導電層204、404、406、408などの複数の導電層を含むことができる。例えば、各導電層は、導電性材料特性を含むことができる。様々な例において、導電層は、本明細書において以前に記載されている導電性材料特性などの材料特性を有する柔軟導電性インク等、印刷可能導電性ポリマー(例えば、導電性インク)を含むことができる。例えば、導電層は、限定ではないが、エアロゾル・ジェット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、バルブ・ジェット印刷、フォトリソグラフィおよび化学処理、蒸着、溶融堆積、ステレオリソグラフィ、デジタル光処理等を含むプロセスを使用して誘電体層上に配置することができる。一例において。例えば、少なくとも1つの誘電体層または少なくとも1つの導電層を含む第1層を、非平坦面上に直接的に印刷することができる。少なくとも1つの誘電体層または少なくとも1つの導電層から成る第2層を、第1層または後続の層上に印刷することができる。
【0051】
さらなる例において、導電層は、本明細書に記載されている張力緩和機構206等の張力緩和機構を含むことができる。さらなる例において、柔軟回路は、導電層のうちの少なくとも1つに電気的に結合されている第1接続インターフェースと、導電層のうちの少なくとも1つに電気的に結合されている第2接続インターフェースを含むことができる。
【0052】
いくつかの例において、柔軟回路は、図示され、本明細書に記載されているような論理構成要素212、312または418のうちの1つまたは複数等、1つまたは複数の論理構成要素を含むことができる。一例において、論理構成要素は、例えば、図4に示し、本明細書において論じられている半導体410等の半導体を含むことができる。論理構成要素は、柔軟回路内に取り付けることができ、または、柔軟回路内に埋め込むことができる。
【0053】
柔軟回路を非平坦面上に配置することは、限定ではないが、柔軟回路を非平坦面に挿入成形すること、または、柔軟回路を非平坦面に接合することを含むことができる。例えば、挿入成形することは、カテーテルハンドル(例えば、非平坦面)を柔軟回路に挿入成形することを含むことができる。いくつかの例において、柔軟回路を非平坦面に接合することは、限定ではないが、感圧接着剤、熱活性接着剤、光活性接着剤、または他の接着剤を用いて、柔軟回路を非平坦面に取り付けることを含むことができる。さらなる例において、柔軟回路は、非平坦面に対して熱形成または熱接合することができる。
【0054】
504において、柔軟回路を、非平坦面に適合させることができる。非平坦面は、弓形状、角形状、不規則な形状、または他の平坦でない形状等、任意の平坦でない形状を含むことができる。本明細書で上述したように、柔軟回路は、柔軟回路の様々な層および要素、ならびに、全体としての柔軟回路200のそれぞれの材料特性に基づいて、柔軟回路200の長さおよび幅に沿って適合性とすることができる。一例において、柔軟回路200は、柔軟回路200のそれぞれの材料特性に基づいて、第1軸(例えば、X軸216)に沿って、第2軸(例えば、Y軸218)に沿って、または同時にそれらの任意の組み合わせに沿って屈曲または伸張することができる。したがって、柔軟回路200は、非平坦面に適合することができる。一例において、柔軟回路は、非平坦面の形状に対応する形状をとるために、伸張して非平坦面に適合することができる。言い換えれば、柔軟回路は、非平坦面に対して適合性とすることができる。いくつかの例において、フォームを使用して、柔軟回路を非平坦面上に配置することができる。例えば、フォームは、平坦でない形状と対応する形状を含むことができる。フォームを使用して、その場で(in situ)、または、柔軟回路が平坦でない形状上に配置される前に、柔軟回路を伸張させて、平坦でない形状に適合させることができる。例えば、柔軟回路を、平坦でない形状に適合させ、その後、カテーテルハンドルの非平坦面に取り付けることができる。平坦でない形状が柔軟回路に挿入成形されるさらなる例において、柔軟回路を非平坦面に適合させることは、柔軟回路を型の中に(例えば、カテーテルハンドルを挿入成形する前に)位置決めすることを含むことができる。
【0055】
さらなる例において、方法500は、柔軟回路を作製することを含むことができる。例えば、柔軟回路を作製することは、誘電体材料特性を有する誘電体層上に、導電性材料特性を有する導電層を配置することを含むことができる。本明細書で上述したように、柔軟回路を作製することは、1つまたは複数の誘電体層または1つまたは複数の導電層を印刷(例えば、エアロゾル・ジェット印刷)することを含むことができる。
【0056】
いくつかの例が、一定の詳細度で上述されているが、当業者であれば、本開示の思想から逸脱することなく、開示されている例に多くの改変を行うことができる。上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示されているすべての事項は、限定ではなく例示としてのみ解釈されるべきであることが意図されている。本教示から逸脱することなく、詳細または構造の変更を行うことができる。上記の説明および添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような修正および変形をカバーするように意図されている。
【0057】
本明細書において、様々な装置、システム、および方法の様々な例が説明されている。多数の特定の詳細が、本明細書において説明され、添付の図面に示されている例の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、例はこのような特定の詳細なしに実践することができることは当業者には理解されよう。他の事例において、本明細書において説明されている例を不明瞭にしないように、既知の動作、構成要素、および要素は詳細には説明されていない。本明細書において説明され、示されている例は非限定例であることは当業者には理解され、したがって、本明細書において開示されている特定の構造的および機能的詳細は代表的なものであり得、必ずしも例の範囲を限定するものではなく、その範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ確定されることが諒解され得る。
【0058】
本明細書全体を通じて「様々な例」、「いくつかの例」、「1つの例」、または「一例」などが参照されている場合、これは、その例と関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの例に含まれることを意味する。したがって、「様々な例において」、「いくつかの例において」、「1つの例において」、または「一例において」などの語句が、本明細書全体を通じた箇所に見られるとき、これは必ずしもすべてが同じ例を参照しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の例において、任意の適切な様式で組み合わせることができる。したがって、1つの例に関連して示し、または説明されている特定の特徴、構造、または特性は、限定することなく、1つまたは複数の他の例の特徴、構造、または特性と、全体的にまたは部分的に組み合わせることができる。
【0059】
「近位」および「遠位」という用語は、本明細書全体を通じて、患者を処置するために使用される機器の一端を操作している臨床医を参照して使用され得ることが理解されるであろう。「近位」という用語は、機器の、臨床医に最も近い部分を参照し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を参照する。簡潔かつ明瞭にするために、「垂直」、「水平」、「上」および「下」のような空間の用語は、本明細書においては、示されている例に対して使用され得ることがさらに理解されるであろう。しかしながら、手術器具は多くの向きおよび位置において使用することができ、これらの用語は、限定的で絶対的であるようには意図されていない。
【0060】
その全体または一部が参照により本明細書に組み込まれると記載されている任意の特許、刊行物、または他の公開資料は、その組み込まれる資料が既存の定義、記述、または他の本開示において記載されている他の公開資料と矛盾しない限りにおいてのみ本明細書に組み込まれている。このようなものとして、かつ必要な限りにおいて、本明細書において明示的に記載されているような本開示は、参照により組み込まれているいかなる矛盾する資料にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると記載されているが、本明細書に記載されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、その組み込まれている資料と既存の公開資料との間に矛盾が生じない限りにおいてのみ組み込まれることになる。
図1
図2
図3
図4
図5