(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ハニカム吸着材ならびにその製造方法およびキャニスタ
(51)【国際特許分類】
B01J 20/20 20060101AFI20230731BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230731BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230731BHJP
C04B 35/52 20060101ALI20230731BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20230731BHJP
F02M 25/08 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B01J20/20 F
B01J20/28 Z
B01J20/30
C04B35/52
C04B38/00 303Z
F02M25/08 311D
(21)【出願番号】P 2021059168
(22)【出願日】2021-03-31
(62)【分割の表示】P 2016251646の分割
【原出願日】2016-12-26
【審査請求日】2021-04-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】マーレジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】蓮見 貴志
(72)【発明者】
【氏名】大道 順平
(72)【発明者】
【氏名】山碕 弘二
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】河本 充雄
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J20/00-20/28,20/30-20/34
F02B47/00-47/06,49/00
F02M25/00-25/14
C04B38/00-38/10
C04B35/52-35/536
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子を含む活性炭の粉末をバインダとともに円柱形状に成形しかつ焼成したハニカム吸着材であって、キャニスタの複数の吸着材チャンバの中で、ドレンポートに最も近い吸着材チャンバに装填して使用されるハニカム吸着材において、
軸方向に沿った複数のセル通路と、
焼成時に消失する繊維状のメルタブルコアを加えることで形成され、ハニカム吸着材全体の重量に対し、0.15mL/g~0.35mL/gの容積を占めるマクロポアと、
を含み、
互いに隣接するセル通路の間のピッチは、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さは、0.45mm~0.60mmの範囲内にあり、
6.5g/dL以上のBWCを有
し、
通気抵抗が10Pa/cm以下であり、
上記キャニスタのDBL試験におけるブリードエミッション量が20mg以下である、
ハニカム吸着材。
【請求項2】
上記ハニカム吸着材の外形寸法とセル通路の寸法とから定まる占有率が、少なくとも50パーセントである、請求項1に記載のハニカム吸着材。
【請求項3】
上記セル通路の断面形状は、六角形、四角形、三角形、円形、のいずれかである、請求項1に記載のハニカム吸着材。
【請求項4】
上記セル通路の断面形状は、六角形である、請求項3に記載のハニカム吸着材。
【請求項5】
上記金属酸化物は酸化鉄である、請求項1に記載のハニカム吸着材。
【請求項6】
請求項1に記載のハニカム吸着材を備えたキャニスタ。
【請求項7】
少なくとも一つの追加の吸着材をさらに含む、請求項6に記載のキャニスタ。
【請求項8】
キャニスタの複数の吸着材チャンバの中で、ドレンポートに最も近い吸着材チャンバに装填して使用されるキャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法であって、
活性炭粉末に、金属酸化物粒子と、焼成時に消失する比重1.1g/cm
3~1.3g/cm
3の繊維からなり、活性炭に対する重量割合が40~100パーセントの範囲内にあるメルタブルコアと、バインダと、を加えて成形材料を準備し、
上記成形材料を、複数のセル通路をハニカム状に有する円柱形状の中間成形体に押出成形し、
上記中間成形体を焼成し、
互いに隣接するセル通路の間のピッチが、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さが、0.45mm~0.60mmの範囲内にあり、
6.5g/dL以上のBWCを有
し、
通気抵抗が10Pa/cm以下であり、
上記キャニスタのDBL試験におけるブリードエミッション量が20mg以下である、ハニカム吸着材を得るようにした、
キャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法。
【請求項9】
メルタブルコアとなる繊維は、ポリアミド樹脂繊維またはポリエステル樹脂繊維である、請求項8に記載のキャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法。
【請求項10】
メルタブルコアとなる繊維は、繊維径が10μm、繊維長が0.5mmである、請求項8に記載のキャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法。
【請求項11】
目標とするDBL試験におけるブリードエミッション量に対応して上記メルタブルコアの重量割合を最適化することをさらに含む、請求項8に記載のキャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法。
【請求項12】
目標とするDBL試験におけるブリードエミッション量は20mg以下である、請求項11に記載のキャニスタ用ハニカム吸着材の製造方法。
【請求項13】
活性炭をバインダとともに成形して焼成した
ハニカム吸着材であって、キャニスタの複数の吸着材チャンバの中で、ドレンポートに最も近い吸着材チャンバに装填して使用されるハニカム吸着材において、
軸方向に沿った複数のセル通路と、
焼成時に消失する繊維状のメルタブルコアを加えることで形成されたマクロポアと、
活性炭に比熱を高めるために加えられた金属酸化物粒子と、
を含み、
6.5g/dL以上のBWCを有し、
通気抵抗が10Pa/cm以下で
あり、
上記キャニスタのDBL試験におけるブリードエミッション量が20mg以下である、ハニカム吸着材。
【請求項14】
上記複数のセル通路は、
互いに隣接するセル通路の間のピッチが、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さが、0.45mm~0.60mmの範囲内にあるように構成されている、請求項13に記載のハニカム吸着材。
【請求項15】
上記セル通路の断面形状は、六角形である、請求項13に記載のハニカム吸着材。
【請求項16】
金属酸化物粒子を含む活性炭からな
り、キャニスタの複数の吸着材チャンバの中で、ドレンポートに最も近い吸着材チャンバに装填して使用されるハニカム吸着材において、
軸方向に沿った複数のセル通路であって、互いに隣接するセル通路の間のピッチが、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さが、0.45mm~0.60mmの範囲内にあるように構成されたセル通路と、
ISO 15901-1の測定によりハニカム吸着材全体の重量に対し、0.15mL/g~0.35mL/gの容積を占めるマクロポアと、
を含み、
6.5g/dL以上のBWCを有し、
通気抵抗が10Pa/cm以下であり、
キャニスタのDBL試験におけるブリードエミッション量が20mg以下である、ハニカム吸着材。
【請求項17】
上記金属酸化物粒子の活性炭に対する重量割合が150~250パーセントである、請求項
16に記載のハニカム吸着材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車用内燃機関の燃料蒸気の処理などに用いられる吸着材として、活性炭粉末をハニカム状に成形したハニカム吸着材およびその製造方法に関し、さらにはこのハニカム吸着材を備えたキャニスタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用内燃機関においては、車両の燃料タンクから蒸発した燃料蒸気の外部への放出を防止するために、燃料蒸気の吸着および脱離が可能なキャニスタが設けられており、車両停止後等に発生する燃料蒸気を一時的に吸着し、かつ、その後の運転中に、吸着していた燃料成分を空気の流れにより脱離させて内燃機関で燃焼処理するようにしている。
【0003】
キャニスタは、ケーシングにより構成される流路の一端にチャージポートとパージポートとを備え、他端にドレンポートを備えて構成されており、パージ時にはドレンポートから大気が流入する。ここで近年の排気規制の下では、車両の停止中に時間経過に伴ってドレンポートから漏れ出す微少な燃料成分の漏れ、いわゆるブリードエミッションを低減することが求められている。ブリードエミッションの試験として、例えば、DBL(Diurnal Breathing Loss)試験などが規定されている。
【0004】
ドレンポートからのブリードエミッションを抑制するためには、キャニスタ内におけるドレンポート側の吸着残存量を減らすことが有効である。
【0005】
特許文献1には、ドレンポート側の吸着残存量の低減のために、キャニスタのドレンポート側の吸着材チャンバ内に、吸着能力(例えばBWC(butane working capacity))の低い活性炭を配置することが開示されている。そして、活性炭をハニカム状に押出成形してなるハニカム吸着材を用いることが開示されている。
【0006】
また特許文献2には、キャニスタのドレンポート側の吸着材チャンバの通路断面積を小さくし、ここにマクロポーラスの大粒活性炭を配置することが開示されている。
【0007】
特許文献3は、メインキャニスタのドレンポートに接続されるサブキャニスタとして、ハニカム吸着材を用いた構成を開示しており、特に、ハニカム吸着材の隔壁の厚さを0.35mm以下と薄くすることによって、セルの開口面積割合を高くし、圧力損失を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第6540815号明細書
【文献】特開2009-19572号公報
【文献】特開2005-306710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
キャニスタのドレンポート側の吸着材チャンバに配設されるハニカム吸着材として、ブリードエミッション低減のために吸着残存量を少なくするには、特許文献3のようにハニカムの隔壁の厚さを薄くして脱離効率を高めることが有効な手段である。隔壁の厚さを薄くしてセルの開口面積割合を高くすれば、同時に通気抵抗が低くなる。
【0010】
しかしながら、このように脱離効率を高めるために隔壁の厚さを薄くすると、同時にBWCが低くなる。従って、チャージポート側の吸着材チャンバから拡散してくる燃料成分の量が多い場合に、この燃料成分の漏れを防止するためには、大型のハニカム吸着材が必要となってしまう。
【0011】
すなわち、ドレンポート側に位置するハニカム吸着材としては、ブリードエミッション低減と、BWCの確保と、通気抵抗の低減、の3つが重要であるが、これらを同時に満たすことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るハニカム吸着材は、活性炭の粉末をバインダとともに円柱形状に成形しかつ焼成したハニカム吸着材であって、キャニスタの複数の吸着材チャンバの中で、ドレンポートに最も近い吸着材チャンバに装填して使用される。
【0013】
このハニカム吸着材は、
軸方向に沿った複数のセル通路と、
焼成時に消失する繊維状のメルタブルコアを加えることで形成され、ハニカム吸着材全体の重量に対し、0.15mL/g~0.35mL/gの容積を占めるマクロポアと、
活性炭に対し150~250パーセントの重量割合を有する金属酸化物粒子と、
を含み、
互いに隣接するセル通路の間のピッチは、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さは、0.45mm~0.60mmの範囲内にあり、
6.5g/dL以上のBWCを有する。
【0014】
活性炭粉末は、本来的に、微細なマイクロポアおよびメソポア(微視的細孔)を有する。マクロポア(巨視的細孔)は、活性炭粉末をバインダとともに成形する際に繊維状のメルタブルコアを加えることで、より大きな細孔として形成される。マイクロポアは直径が2nm未満の細孔、メソポアは直径が2nm以上50nm未満の細孔、マクロポアは直径が50nm以上1000nm未満の細孔、とそれぞれ定義される。本発明のマクロポアは、メルタブルコアの形状に対応して細長い細孔となる。このマクロポアの存在は、脱離効率の向上に寄与する。
【0015】
金属酸化物粒子は、吸着材全体の比重を高くし、大きな比熱により熱容量を増大する。これにより、吸着材の吸着時および脱離時の温度変換が緩慢となり、吸着効率、脱離効率が高められる。なお、他の金属粒子等に比較して金属酸化物粒子は、ハニカム吸着材の製造過程での変化がなく、また活性炭の吸脱着を阻害することがない。しかも、バインダとしてハニカム吸着材の形状保持を担う粘土との親和性が高く、ハニカム吸着材の強度を低下させない、という点で有利である。
【0016】
従って、マクロポアおよび金属酸化物粒子の存在により、セル通路間の壁が比較的厚くても、DBL試験等においてドレンポートに最も近い位置にあるハニカム吸着材での燃料成分の残存量が少なくなり、ブリードエミッションが十分に低減する。本発明におけるセル通路間の壁の厚さは、既存の一般的なハニカム吸着材における壁厚に比較して大きなものであり、セル通路のピッチは逆に小さい。これにより、通気抵抗を過度に高めることなく、ブリードエミッションが低減する。
【0017】
また、6.5g/dL以上のBWCを有することにより、チャージポート側の吸着材チャンバから拡散してくる燃料成分の漏れ出しをより確実に阻止することができる。
【0018】
一つの望ましい例では、ハニカム吸着材の外形寸法とセル通路の寸法とから定まる占有率が、少なくとも50パーセントである。占有率は、ハニカム吸着材の外形寸法に基づく見かけの外形容積からセル通路の容積を減算し、見かけの外形容積により除した割合として定義される。つまり、セル通路以外の吸着材材料が存在する部分の割合を示す。
【0019】
上記セル通路の断面形状は、望ましくは、六角形、四角形、三角形、円形、のいずれかであり、さらに望ましくは、六角形である。
【0020】
上記金属酸化物としては、酸化鉄(Fe2O3)や酸化マグネシウム(MgO)などを用いることができ、比重や比熱の点から、酸化鉄が望ましい。
【0021】
本発明のハニカム吸着材を備えたキャニスタにあっては、例えばチャージポート側に位置する他の吸着材チャンバの中に、少なくとも一つの追加の吸着材をさらに含むことができる。
【0022】
次に、本発明のハニカム吸着材の製造方法は、
活性炭粉末に、該活性炭に対し150~250パーセントの重量割合を有する金属酸化物粒子と、焼成時に消失する比重1.1g/cm3~1.3g/cm3の繊維からなり、活性炭に対する重量割合が40~100パーセントの範囲内にあるメルタブルコアと、バインダと、を加えて成形材料を準備し、
上記成形材料を、複数のセル通路をハニカム状に有する円柱形状の中間成形体に押出成形し、
上記中間成形体を焼成し、
互いに隣接するセル通路の間のピッチが、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さが、0.45mm~0.60mmの範囲内にあり、
6.5g/dL以上のBWCを有するハニカム吸着材を得るようにしたものである。
【0023】
メルタブルコアとなる繊維は、ポリアミド樹脂繊維またはポリエステル樹脂繊維を用いることが望ましい。
【0024】
メルタブルコアとなる繊維は、例えば、繊維径が10μm、繊維長が1mm以下好ましくは0.5mmである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、キャニスタのドレンポート側の吸着材チャンバに好適なハニカム吸着材として、ブリードエミッション低減と、BWCの確保と、通気抵抗の低減と、を同時に満たすことができるハニカム吸着材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】セル通路のピッチPおよび壁厚Tと、BWCの値との相関をまとめたバブルチャート。
【
図5】セル通路のピッチPおよび壁厚Tと、通気抵抗との相関をまとめたバブルチャート。
【
図6】セル通路のピッチPおよび壁厚Tと、ブリードエミッション量との相関をまとめたバブルチャート。
【
図7】ナイロン繊維の配合量とブリードエミッション量との相関を示したグラフ。
【
図8】金属酸化物の配合量とブリードエミッション量との相関を示したグラフ。
【
図9】マクロポア量とブリードエミッション量との相関を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係るハニカム吸着材11が用いられるキャニスタ1の一例を示している。このキャニスタ1は、合成樹脂製のケーシング2によってUターン形状に流路が形成されているものであって、流れ方向の一端に、燃料蒸気の流入部となるチャージポート3と、燃料蒸気の流出部となるパージポート4と、が設けられており、流れ方向の他端に、大気開放口となるドレンポート5が設けられている。上記チャージポート3は例えば図示しない自動車の燃料タンクに接続され、上記パージポート4は例えば内燃機関の吸気系に接続される。上記ドレンポート5は、大気に直接に開放されている構成のほか、何らかの弁機構を備えていてもよい。
【0028】
上記ケーシング2内は、流れ方向に沿って複数の吸着材チャンバに区画されている。例えば、第1チャンバ6、第2チャンバ7および第3チャンバ8が直列に設けられており、第1チャンバ6および第2チャンバ7には、それぞれ粒状の成形活性炭ないし破砕活性炭からなる粒状吸着材9が充填されている。第1チャンバ6の粒状吸着材9と第2チャンバ7の粒状吸着材9は、互いに同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。一つの例では、第1チャンバ6の粒状吸着材9は、活性炭そのもののマイクロポアおよびメソポア(微視的細孔)は有しているが、メルタブルコアによるマクロポア(巨視的細孔)は積極的には設けられておらず、他方、第2チャンバ7の粒状吸着材9は、メルタブルコアによりマクロポアを形成したものとなっている。
【0029】
本発明のハニカム吸着材11は、円柱形状に成形されており、ドレンポート5に最も近い第3チャンバ8に装填されている。上記第1チャンバ6、第2チャンバ7および第3チャンバ8の間は、例えば通気性を有する多孔板やフィルタによって互いに区画されている。なお、第3チャンバ8が複数並列に構成されて各々にハニカム吸着材11を備えた構成も可能である。
【0030】
図2は、円柱形状をなすハニカム吸着材11の一実施例を示している。ハニカム吸着材11は、円柱形状の軸方向に沿った複数のセル通路12を有している。これらのセル通路12は、ハニカム吸着材11の端面11aにそれぞれ開口しており、つまりハニカム吸着材11を軸方向に貫通している。この例では、各々のセル通路12は、
図3に示すように、正六角形の断面形状を有し、隣接するセル通路12の間に、各々のセル通路12を仕切る一定厚さの壁13が設けられている。
図3に示すように、正六角形の中心点の間の距離によって、隣接するセル通路12の間のピッチPが定義され、また各々の壁面に直交する方向の寸法として壁13の厚さTが定義される。
【0031】
以下に、ハニカム吸着材11を、その製造方法とともに説明する。
【0032】
まず粉末状の活性炭、好ましくは粒子径が100μm以下の活性炭300gに対し、マクロポアを形成するメルタブルコアとして、繊維径10μm、繊維長1mm以下の合成樹脂短繊維(好ましくはポリアミド樹脂繊維またはポリエステル樹脂繊維)120g~300gを、乾燥した状態で混合する。
【0033】
短繊維と粉末状活性炭とを乾燥した状態で混合することにより、それぞれの分散性が向上する。
【0034】
続いて、バインダとして、やはり粉末状のベントナイト、木節粘土、シリカゾル、アルミナゾルなど、を120g~200g、成形時の保形剤としてメチルセルロースを適量、金属酸化物(好ましくは酸化鉄、酸化マグネシウムなど)の粉末(粒子径が10μm程度のもの)を450g~750g、加え、更に混合する。
【0035】
混合した粉体に、適宜に水などを加えて、押出成形用の成形材料とする。この成形材料を、押出成形により直径20~40mm程度の円内に前述した正六角形のセル通路12を備えた断面形状に押し出し、50mm~200mm程度の任意の長さで裁断して、円柱形状の中間成形体を得る。
【0036】
そして、この中間成形体を、ベルト式電気炉などを用いて脱酸素雰囲気下の650~1000℃にて焼成し、ハニカム吸着材11とする。押出成形時の断面形状(換言すれば金型形状)は、焼成後の状態において、互いに隣接するセル通路の間のピッチPが、1.5mm~1.8mmの範囲内にあり、セル通路を仕切る壁の厚さTが、0.45mm~0.60mmの範囲内にあるように、設定される。
【0037】
このように構成された本発明のハニカム吸着材11は、ブリードエミッション低減を意図してキャニスタの最もドレンポートに近い位置に配置される既存のハニカム吸着材に比較して、壁厚Tが大きなものであり、ピッチPは比較的に小さい。そして、ハニカム状をなすハニカム吸着材11の中で吸着材材料が占める割合である占有率は、比較的に高くなり、例えば、50%以上となる。これにより、ブリードエミッション低減と、十分なBWCの確保と、低い通気抵抗と、の三者を同時に満足することができる。
【0038】
次に、ハニカム吸着材11のより具体的ないくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0039】
成形材料の配合は、粉末状の活性炭(粒子径が100μm以下のもの)100重量部、ナイロン繊維(繊維径10μm、繊維長0.5mm)40重量部、バインダ(ベントナイト)67重量部、酸化鉄粉末250重量部、である。この成形材料を
図2に示したような円柱形状のハニカム状に押出成形し、かつ焼成した。なお、メルタブルコアとなるナイロン繊維(ポリアミド樹脂繊維)の比重は、1.1g/cm
3である。
【0040】
焼成後の状態におけるハニカム吸着材11は、直径30mm、長さ75mm、の円柱形状であり、セル通路12のピッチPは1.7mm、壁13の厚さTは0.55mm、である。焼成後の状態における金属酸化物(酸化鉄)の重量比は、60wt%であった。メルタブルコアであるナイロン繊維が焼成時に消失したことにより形成されたマクロポアの量(ハニカム吸着材11の単位重量あたりのマクロポアが占める容積)は、0.18mL/gであった。なお、マクロポアの容積は、例えば「ISO 15901-1」で規定される水銀圧入法によって測定できる。
【0041】
また、ハニカム状をなすハニカム吸着材11の中で吸着材材料が占める割合である占有率は、ハニカム吸着材11の外形寸法およびセル通路12の寸法、個数から幾何学的に定まるものであり、この実施例1では、54%であった。
【0042】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、BWCと、単体での通気抵抗とを測定した。
【0043】
BWCの測定は、ASTM D5228に準拠して行い、その結果は、7.3g/dLであった。
【0044】
通気抵抗は、ガスを通流させたときの前後差圧として測定した通気抵抗を、ハニカム吸着材11の長さで除して、単位長さあたりの通気抵抗[Pa/cm]とした。さらに、試験時の流量をハニカム吸着材11の断面積で除して線流速[cm/s]を求め、100cm/s時の単位長さあたりの通気抵抗を求めた。その結果は、8.2Pa/cmであった。本発明における通気抵抗の達成目標は、キャニスタ1としてのチャージ時およびパージ時のガスの流れを確保するために、10Pa/cmである。
【0045】
さらに、実施例1のハニカム吸着材11を
図1に示したような構成の試験用キャニスタ1に組み込んで、DBL試験に類似した試験を行い、ドレンポート5から漏れ出たブリードエミッションの量を測定した。その結果は、14mgであった。試験用のキャニスタ1は、
図1に示す第1チャンバ6に、直径2mm程度の造粒活性炭を1.9L充填し、第2チャンバ7に、これとは異なる特性の造粒活性炭を0.1L充填した構成であり、第3チャンバ8にハニカム吸着材11が配置される。
【0046】
試験方法としては、キャニスタ1内にチャージポート3から蒸発したガソリン成分を所定量流入させた後に、所定の空気量および流速のパージ空気でもってパージを行う。この吸脱着サイクルを数回行い、吸脱着量を安定化させる。次に、ブタンをチャージポート3からキャニスタ1に流入させて、吸着材に吸着させた後に、吸着材の温度が一定になるまで放置する。その後パージを行い、半日放置する。次に、車両のガソリンタンクにキャニスタ1を接続し、外気温変化を模擬するように温度を変化させてブリードエミッションを測定する。ブリードエミッション量は、ドレンポート5から排出される気体中の炭化水素濃度を検出し、それを重量に換算して導き出したものである。
【0047】
本発明におけるブリードエミッション量の達成目標は、北米の新しい規制で定められたキャニスタ単体での規制値に準拠して、20mgである。
【0048】
このように実施例1のハニカム吸着材11においては、ブリードエミッションを目標である20mg以下に低減することができると同時に、通気抵抗を目標である10Pa/cm以下とすることができる。また同時に、BWCは、7.3g/dLと比較的高い値を確保することができ、しかも占有率が54%と比較的高い値となるので、ハニカム吸着材11の外形寸法を基準とした見かけの単位容積当たりの吸着能力が高く得られ、小型のハニカム吸着材11でもってドレンポート5からの漏れ出しを効果的に抑制することができる。
【実施例2】
【0049】
実施例2は、実施例1に比較して、メルタブルコアとなるナイロン繊維の配合比、酸化鉄の配合比、セル通路12のピッチPおよび壁厚Tを変更したものであり、他は実施例1と同様である。
【0050】
成形材料の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維43重量部、バインダ67重量部、酸化鉄粉末233重量部、である。
【0051】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.8mm、壁13の厚さTは0.60mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、58wt%であった。マクロポア量は、0.15mL/g、占有率は、56%であった。
【0052】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、7.8g/dL、通気抵抗は、7.5Pa/cm、ブリードエミッション量は、15mgであった。
【実施例3】
【0053】
実施例3は、実施例1に比較して、メルタブルコアとなるナイロン繊維の配合比をほぼ2倍とするとともに、酸化鉄の配合比を変更したものであり、他は実施例1と同様である。
【0054】
成形材料の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維85重量部、バインダ67重量部、酸化鉄粉末233重量部、である。
【0055】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.7mm、壁13の厚さTは0.55mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、58wt%であった。マクロポア量は、0.35mL/g、占有率は、54%であった。
【0056】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、6.6g/dL、通気抵抗は、8.0Pa/cm、ブリードエミッション量は、15mgであった。
【実施例4】
【0057】
実施例4は、実施例1に比較して、酸化鉄の配合比を少なくするとともに、バインダの配合比、セル通路12のピッチPおよび壁厚Tを変更したものであり、他は実施例1と同様である。
【0058】
成形材料の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維40重量部、バインダ40重量部、酸化鉄粉末150重量部、である。
【0059】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.5mm、壁13の厚さTは0.45mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、50wt%であった。マクロポア量は、0.20mL/g、占有率は、50%であった。
【0060】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、7.6g/dL、通気抵抗は、8.3Pa/cm、ブリードエミッション量は、13mgであった。
【実施例5】
【0061】
実施例5は、実施例1に比較して、メルタブルコアとなる繊維としてポリエステル樹脂繊維を用いたものであり、酸化鉄の配合比が変更されているほかは、実施例1と同様である。
【0062】
成形材料の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ポリエステル樹脂繊維45重量部、バインダ67重量部、酸化鉄粉末233重量部、である。なお、メルタブルコアとなるポリエステル樹脂繊維の比重は、1.3g/cm3である。
【0063】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.7mm、壁13の厚さTは0.55mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、58wt%であった。マクロポア量は、0.21mL/g、占有率は、54%であった。
【0064】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、7.1g/dL、通気抵抗は、8.2Pa/cm、ブリードエミッション量は、14mgであった。
【0065】
さらに、いくつかの比較例となるハニカム吸着材11を同様に製造し、かつ試験を行った。
[比較例6]
比較例6の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維86重量部、バインダ134重量部、酸化鉄粉末466重量部、である。
【0066】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.6mm、壁13の厚さTは0.52mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、67wt%であった。マクロポア量は、0.28mL/g、占有率は、54%であった。
【0067】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、5.2g/dL、通気抵抗は、8.4Pa/cm、ブリードエミッション量は、47mgであった。従って、BWCおよびブリードエミッション量が目標を達成できない結果となった。
[比較例7]
比較例7の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維22重量部、バインダ75重量部、である。金属酸化物は配合していない。
【0068】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.5mm、壁13の厚さTは0.70mm、である。マクロポア量は、0.41mL/g、占有率は、72%であった。
【0069】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、8.2g/dL、通気抵抗は、35.5Pa/cm、ブリードエミッション量は、30mgであった。従って、通気抵抗およびブリードエミッション量が目標を達成できない結果となった。
[比較例8]
比較例8の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維22重量部、バインダ35重量部、酸化鉄粉末40重量部、である。
【0070】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.5mm、壁13の厚さTは0.70mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、23wt%であった。マクロポア量は、0.40mL/g、占有率は、72%であった。
【0071】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、7.8g/dL、通気抵抗は、35.5Pa/cm、ブリードエミッション量は、25mgであった。従って、通気抵抗およびブリードエミッション量が目標を達成できない結果となった。
[比較例9]
比較例9の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維40重量部、バインダ63重量部、酸化鉄粉末423重量部、である。
【0072】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.5mm、壁13の厚さTは0.70mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、72wt%であった。マクロポア量は、0.10mL/g、占有率は、72%であった。
【0073】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、6.5g/dL、通気抵抗は、35.5Pa/cm、ブリードエミッション量は、20mgであった。従って、通気抵抗が目標を達成できない結果となった。
[比較例10]
比較例10の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、バインダ120重量部、酸化鉄粉末240重量部、である。メルタブルコアとなるナイロン繊維は配合していない。
【0074】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.5mm、壁13の厚さTは0.70mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、52wt%であった。マクロポア量は、0.08mL/g、占有率は、72%であった。
【0075】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、7.8g/dL、通気抵抗は、35.5Pa/cm、ブリードエミッション量は、40mgであった。従って、通気抵抗およびブリードエミッション量が目標を達成できない結果となった。
[比較例11]
比較例11の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維170重量部、バインダ67重量部、酸化鉄粉末233重量部、である。
【0076】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.7mm、壁13の厚さTは0.55mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、58wt%であった。マクロポア量は、0.58mL/g、占有率は、54%であった。
【0077】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、6.3g/dL、通気抵抗は、8.6Pa/cm、ブリードエミッション量は、45mgであった。従って、BWCおよびブリードエミッション量が目標を達成できない結果となった。
[比較例12]
比較例12の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、ナイロン繊維43重量部、バインダ67重量部、酸化鉄粉末233重量部、である。
【0078】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.8mm、壁13の厚さTは0.44mm、である。焼成後の状態における酸化鉄の重量比は、58wt%であった。マクロポア量は、0.18mL/g、占有率は、43%であった。
【0079】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、5.3g/dL、通気抵抗は、5.4Pa/cm、ブリードエミッション量は、16mgであった。従って、BWCが目標を達成できない結果となった。
[比較例13]
比較例13の配合は、粉末状の活性炭100重量部に対し、バインダ400重量部、である。ナイロン繊維および酸化物は配合していない。
【0080】
焼成後の状態におけるセル通路12のピッチPは1.6mm、壁13の厚さTは0.27mm、である。マクロポア量は、0.05mL/g、占有率は、31%であった。
【0081】
このようにして得られたハニカム吸着材11について、実施例1と同様の試験を行ったところ、BWCは、4.7g/dL、通気抵抗は、5.3Pa/cm、ブリードエミッション量は、14mgであった。従って、BWCが目標を達成できない結果となった。
【0082】
以下の表1は、上述した実施例1~5および比較例6~13をまとめた示したものである。
【0083】
【0084】
次に、
図4は、上述した実施例1~5および比較例6~13に関して、セル通路12のピッチPおよび壁厚Tと、BWCの値との相関をまとめたいわゆるバブルチャートである。ここでは、円の大きさがBWCの大きさを表している。また、各円に付した数字が、実施例1~5および比較例6~13の番号に対応している。
図4においては、円が大きいほど、BWCの上で優れていることとなる。
【0085】
同様に、
図5は、実施例1~5および比較例6~13に関して、セル通路12のピッチPおよび壁厚Tと、通気抵抗との相関をまとめたバブルチャートである。ここでは、円の大きさが通気抵抗を表しており、円が小さいほど通気抵抗の点で優れている。
【0086】
同様に、
図6は、実施例1~5および比較例6~13に関して、セル通路12のピッチPおよび壁厚Tと、ブリードエミッション量との相関をまとめたバブルチャートである。ここでは、円の大きさがブリードエミッション量を表しており、円が小さいほどブリードエミッションの点で優れている。
【0087】
図5に示すように、通気抵抗に関しては、壁厚Tが小さいほど、またピッチPが大きいほど、通気抵抗が小さくなる。なお、壁厚Tが小さいほど、またピッチPが大きいほど、占有率は低くなる。
【0088】
そして、ブリードエミッションに関しては、壁厚Tを薄くすると、吸着残存量が少なくなるため、ブリードエミッション低減の上で有利となる。
【0089】
しかしながら、
図4に示すように、BWCに関しては、一般に、壁厚Tを大きくするほど、またピッチPを小さくするほど、BWCが高い傾向となる。従って、ピッチPに比較して壁厚Tを小さくした比較例12,13では、十分なBWCを確保することができない。なお、図中の一点鎖線は、BWCが目標とする6.5g/dL以上となるであろう壁厚Tの領域を示している。他方、ピッチPに比較して壁厚Tを大きくした比較例7,8,9,10などでは、BWCを確保できる反面、通気抵抗が増加するのは勿論のこと、ブリードエミッション量が増加してしまう。
【0090】
図7は、実施例1~4および比較例10,11に関して、メルタブルコアであるナイロン繊維の配合量(活性炭100gに対するナイロン繊維の重量)とブリードエミッション量との相関を示したグラフである。この図は、メルタブルコアが活性炭に対し極端に多くても極端に少なくてもブリードエミッションの悪化を来し、適当な範囲に存在すれば、ブリードエミッションが低減する、ことを表している。
【0091】
また、
図8は、実施例1~4および比較例7,9に関して、金属酸化物(酸化鉄)の配合量(活性炭100gに対する金属酸化物の重量)とブリードエミッション量との相関を示したグラフである。この図は、金属酸化物の量が極端に多くても極端に少なくてもブリードエミッションの悪化を来し、適当な範囲に存在すれば、ブリードエミッションが低減する、ことを表している。
【0092】
さらに、
図9は、実施例1~5および比較例6~13に関して、マクロポア量とブリードエミッション量との相関を示したグラフである。この
図9によれば、ブリードエミッションを低減するためには、ある適当な範囲内でマクロポア量が必要なこと、ならびに、ブリードエミッションの多少はマクロポア量のみでは定まらないことが明らかである。
【0093】
従って、マクロポアおよび金属酸化物の量をある範囲に調製した上で、セル通路12のピッチPと壁厚Tとの相関を適切に設定することにより、ブリードエミッション低減と、十分なBWCの確保と、低い通気抵抗と、の三者を同時に満足することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…キャニスタ
5…ドレンポート
11…ハニカム吸着材