(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20230731BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230731BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/13357
G02F1/1334
(21)【出願番号】P 2021110811
(22)【出願日】2021-07-02
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長谷場 康宏
(72)【発明者】
【氏名】花岡 一孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 公昭
(72)【発明者】
【氏名】本多 真理子
(72)【発明者】
【氏名】金島 充子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正
(72)【発明者】
【氏名】島田 伸二
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-097199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0237589(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112799247(CN,A)
【文献】特開2005-275184(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054521(WO,A1)
【文献】特開2009-128831(JP,A)
【文献】特開2010-217828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137-1/141
G02F 1/13357
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察面側から背面側に向かって順に、
第一の液晶パネルと、光源と、背面側光源と、第二の液晶パネルと、を備え、
前記第一の液晶パネルは、ポリマーネットワーク及び液晶成分を含む高分子分散液晶を備え、
前記光源は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射し、
前記背面側光源は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第一の液晶パネルは、フィールドシーケンシャルカラー方式で画像を表示し、
前記光源は、互いに異なる色で発光する複数の発光素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第一の液晶パネルは、更に、薄膜トランジスタを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一の液晶パネルの長辺の長さを2a[cm]とすると、
前記第一の液晶パネルと前記第二の液晶パネルとの距離はa[cm]以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記光源は、第一の光源であり、かつ、前記第一の液晶パネルの互いに向かい合う一対の端辺部分のうち一方の端辺部分に対応して設けられ、
更に、前記第一の液晶パネルと前記第二の液晶パネルとの間であって、前記一対の端辺部分のうち他方の端辺部分に対応して設けられた第二の光源を備え、
前記第二の光源は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射し、
前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する前記第一の光源からの光の入射角は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する前記第二の光源からの光の入射角と同じであることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記背面側光源は、第一の背面側光源であり、かつ、前記第一の液晶パネルの互いに向かい合う一対の端辺部分のうち一方の端辺部分に対応して設けられ、
更に、前記光源と前記第二の液晶パネルとの間であって、前記一対の端辺部分のうち他方の端辺部分に対応して設けられた第二の背面側光源を備え、
前記第二の背面側光源は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射し、
前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する前記第一の背面側光源からの光の入射角は、前記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する前記第二の背面側光源からの光の入射角と同じであることを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一の液晶パネルは、更に、前記高分子分散液晶の背面側に配置された第一の支持基板と、前記高分子分散液晶の観察面側に配置された第二の支持基板と、を備えることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第一の液晶パネルは、更に、前記第一の支持基板と前記高分子分散液晶との間、及び、前記第二の支持基板と前記高分子分散液晶との間の少なくとも一方に設けられた配向膜を備え、
前記配向膜は、前記液晶成分を当該配向膜の表面に対して平行に配向させる水平配向膜であることを特徴とする請求項
7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶成分は、正の誘電率異方性を有することを特徴とする請求項
8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第一の液晶パネルは、更に、前記第一の支持基板の背面側に設けられた透明樹脂板を備えることを特徴とする請求項
7~
9のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第一の液晶パネルは、更に、前記第一の支持基板の背面側及び前記第二の支持基板の観察面側の少なくとも一方に、正面視において光を透過させ、斜め視において光を散乱させる機能を有する異方性光拡散フィルムを備えることを特徴とする請求項
7~
10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記第二の液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、第三の支持基板と、液晶層と、第四の支持基板と、正面視において光を透過させ、斜め視において光を反射させる機能を有する異方性光反射フィルムと、を備えることを特徴とする請求項1~
11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。このような液晶表示装置は、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。
【0003】
近年、カラー画像を表示する液晶表示装置の駆動方式の1つとして、フィールドシーケンシャルカラー(FSC:Field Sequential Color)方式の開発が進められている。一般的なFSC方式は、1画面の表示期間(1フレーム期間)を3つのサブフィールドに分割し、バックライト光の光源となる赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の各LED(Light Emitting Diode)を順に切り換えると共に、それと同期して液晶パネルに各LEDの光の色に対応する色の画像信号を順に与えてその透過状態を制御し、観察者の目の網膜上で加法混色を行う方式である。
【0004】
FSC方式によれば、1つの画素に複数の副画素を形成することなくカラー表示ができるので、高解像度化が可能になる。また、LEDからの光を直接利用するので、吸収率の高いカラーフィルタを各画素に形成する必要がなくなり、各LEDの光の利用効率が向上する。
【0005】
また、近年、液晶表示装置の背面が透けて見える表示を行うことができるシースルーディスプレイが注目されている。シースルーディスプレイとして用いる液晶表示装置としては、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いた液晶表示装置が開発されている。PDLCは、ポリマーネットワーク中に液晶成分が分散されており、電圧の印加によって液晶成分の配向状態を変化させることにより液晶成分とポリマーネットワークとの屈折率差を利用して、透明状態と散乱状態とを切り替えることができる。
【0006】
FSC方式のシースルーディスプレイに関する技術として、例えば、特許文献1には、2つの液晶パネルを備え、かつ、光源をFSC駆動させることによりカラーフィルタを設けずに色表示が可能な液晶表示装置が開示されている。また、特許文献2には、FSC駆動により光源から照射された光を、一対の透明基板間に配置された光変調層に向けて入射させる液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2015/053023号
【文献】特開2016-85452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の液晶表示装置は、偏光板をFSC駆動と組み合わせることにより透明表示やカラー表示を実現しているため、透過表示時の透過率が充分ではない(例えば、25%程度)。
【0009】
また、上記特許文献2は、液晶パネルの側辺に沿って配置されたFSC駆動の光源から光変調層(例えば、高分子分散液晶)の内部に導光させる方式であるため、液晶パネル内部の薄膜トランジスタや高分子分散液晶に起因する回折や散乱等の光ロスにより、側辺からの光は液晶パネルの中央部に進行するに従い大きく減衰してしまい、液晶パネルが大型化した場合にパネル中央部における輝度が充分に得られない場合がある。そのため、液晶パネルのサイズには制約があり、中大型化が困難である。
【0010】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明状態と散乱状態とを切り替え可能であり、透明状態における透過率の低下を抑えることができるとともに、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下を抑えることができる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、観察面側から背面側に向かって順に、第一の液晶パネルと、光源と、第二の液晶パネルと、を備え、上記第一の液晶パネルは、ポリマーネットワーク及び液晶成分を含む高分子分散液晶を備え、上記光源は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射する液晶表示装置。
【0012】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、フィールドシーケンシャルカラー方式で画像を表示し、上記光源は、互いに異なる色で発光する複数の発光素子を含む、液晶表示装置。
【0013】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、更に、薄膜トランジスタを備える、液晶表示装置。
【0014】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記第一の液晶パネルの長辺の長さを2a[cm]とすると、上記第一の液晶パネルと上記第二の液晶パネルとの距離はa[cm]以下である、液晶表示装置。
【0015】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記第一の液晶パネルの長辺の長さを2a[cm]、上記第一の液晶パネルと上記光源との距離をh11[cm]、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記光源からの光の入射角をθ11[°]とすると、下記(式1-1)を満たす、液晶表示装置。
1≦h11≦{a/(tanθ11)} ・・・(式1-1)
【0016】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記光源は、第一の光源であり、かつ、上記第一の液晶パネルの互いに向かい合う一対の端辺部分のうち一方の端辺部分に対応して設けられ、更に、上記第一の液晶パネルと上記第二の液晶パネルとの間であって、上記一対の端辺部分のうち他方の端辺部分に対応して設けられた第二の光源を備え、上記第二の光源は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射し、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記第一の光源からの光の入射角は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記第二の光源からの光の入射角と同じである、液晶表示装置。
【0017】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、更に、上記光源と上記第二の液晶パネルとの間に背面側光源を備え、上記背面側光源は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射する、液晶表示装置。
【0018】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(7)の構成に加え、上記第一の液晶パネルの長辺の長さを2a[cm]、上記第一の液晶パネルと上記光源との距離をh11[cm]、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記光源からの光の入射角をθ11[°]、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記背面側光源からの光の入射角をθ21[°]とすると、下記(式1-1)及び(式2-1)を満たす、液晶表示装置。
1≦h11≦{a/(tanθ11)} ・・・(式1-1)
θ11-θ21>10° ・・・(式2-1)
【0019】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、上記背面側光源は、第一の背面側光源であり、かつ、上記第一の液晶パネルの互いに向かい合う一対の端辺部分のうち一方の端辺部分に対応して設けられ、更に、上記光源と上記第二の液晶パネルとの間であって、上記一対の端辺部分のうち他方の端辺部分に対応して設けられた第二の背面側光源を備え、上記第二の背面側光源は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対して斜め方向から光を照射し、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記第一の背面側光源からの光の入射角は、上記第一の液晶パネルの背面側の主面に対する上記第二の背面側光源からの光の入射角と同じである、液晶表示装置。
【0020】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、更に、上記高分子分散液晶の背面側に配置された第一の支持基板と、上記高分子分散液晶の観察面側に配置された第二の支持基板と、を備える、液晶表示装置。
【0021】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(10)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、更に、上記第一の支持基板と上記高分子分散液晶との間、及び、上記第二の支持基板と上記高分子分散液晶との間の少なくとも一方に設けられた配向膜を備え、上記配向膜は、上記液晶成分を当該配向膜の表面に対して平行に配向させる水平配向膜である、液晶表示装置。
【0022】
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(11)の構成に加え、上記液晶成分は、正の誘電率異方性を有する、液晶表示装置。
【0023】
(13)また、本発明のある実施形態は、上記(10)、上記(11)又は上記(12)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、更に、上記第一の支持基板の背面側に設けられた透明樹脂板を備える、液晶表示装置。
【0024】
(14)また、本発明のある実施形態は、上記(10)、上記(11)、上記(12)又は上記(13)の構成に加え、上記第一の液晶パネルは、更に、上記第一の支持基板の背面側及び上記第二の支持基板の観察面側の少なくとも一方に、正面視において光を透過させ、斜め視において光を散乱させる機能を有する異方性光拡散フィルムを備える、液晶表示装置。
【0025】
(15)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)、上記(13)又は上記(14)の構成に加え、上記第二の液晶パネルは、背面側から観察面側に向かって順に、第三の支持基板と、液晶層と、第四の支持基板と、正面視において光を透過させ、斜め視において光を反射させる機能を有する異方性光反射フィルムと、を備える、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、透明状態と散乱状態とを切り替え可能であり、透明状態における透過率の低下を抑えることができるとともに、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下を抑えることができる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態1の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
【
図2A】実施形態1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネルの透明状態を説明した断面模式図である。
【
図2B】実施形態1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネルの散乱状態を説明した断面模式図である。
【
図3】実施形態1の液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1の液晶表示装置における1フレーム期間の構成を示す図である。
【
図5】実施形態1の液晶表示装置が備える第二の液晶パネルの断面模式図である。
【
図6】実施形態2の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図7】変形例1の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図8】変形例2の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図9】変形例2の液晶表示装置が備える遮光ルーバの斜視模式図である。
【
図10A】変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
【
図10B】変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
【
図10C】変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
【
図10D】変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
【
図11A】変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの斜視模式図である。
【
図11B】変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの断面模式図である。
【
図12】変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの斜視模式図である。
【
図13A】変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの断面模式図の一例である。
【
図13B】変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの断面模式図の一例である。
【
図14】実施例1-2の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図15A】実施例1-2の液晶表示装置が備える遮光ルーバーシートの、透過率の角度依存性を示すグラフである。
【
図15C】実施例1-2の液晶表示装置が備える遮光ルーバーシートの、透過率の角度依存性の測定方法を示す模式図である。
【
図16】実施例1-3の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図17】光学フィルムの透過率の角度依存性の測定方法を示す模式図である。
【
図18】実施例1-4の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図19】実施例1-5の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図20】実施例2-1の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図21】実施例2-2の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図22】比較例1の液晶表示装置の断面模式図である。
【
図23】LED目玉の評価について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0029】
<用語の定義>
本明細書中、「観察面側」とは、高分子分散型液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、「背面側」とは、高分子分散型液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0030】
<実施形態1>
図1は、実施形態1の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、観察面側から背面側に向かって順に、第一の液晶パネル11と、上記光源としての第一の光源31Xと、第二の液晶パネル12と、バックライト50とを備える。
【0031】
図2Aは、実施形態1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネルの透明状態を説明した断面模式図である。
図2Bは、実施形態1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネルの散乱状態を説明した断面模式図である。
図2A及び
図2Bは、
図1中のX1-X2線に沿った断面模式図である。
図2A及び
図2Bに示すように、第一の液晶パネル11は、ポリマーネットワーク310及び液晶成分320を含む高分子分散液晶300を備えており、透明状態と散乱状態とを切り替え可能である。また、第一の液晶パネル11は高分子分散液晶300を備えるため、偏光板を用いることなく画像表示を行うことが可能であり、透明状態における透過率の低下を抑えることができる。
【0032】
図1に示すように、第一の光源31Xは、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射する。このような態様とすることにより、第一の光源31Xからの光が第一の液晶パネル11や高分子分散液晶300の内部を進行する場合に比べて、液晶パネルの中央部での光の減衰を抑えることが可能となり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度(より具体的には正面輝度)の低下を抑えることができる。その結果、表示画面を大型化することが可能となる。なお、本明細書において、第一の液晶パネルの背面側の主面とは、第一の液晶パネルの光源側の面をいう。また、パネル中央部とは、第一の液晶パネルの表示画面の中央部をいい、パネル面内とは、第一の液晶パネルの表示画面内をいう。
【0033】
例えば、液晶パネルの側辺に沿って配置されたFSC駆動の光源から光変調層(具体的には、高分子分散液晶)の内部に導光させる方式である上記特許文献2の液晶表示装置では、12.3型の液晶パネルにおいて、液晶パネルの長辺から光入射させる場合、実質10cm程度しか導光することができない。
【0034】
また、19型の液晶パネル(縦30cm×横40cm)において、FSC駆動させた光源の光を、パネル内部を導光させることにより、透明表示とカラー表示とを切り替えることはできる。しかしながら、当該サイズでは、パネル内部のTFTや高分子分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)に起因する回折や散乱等の光ロスにより、液晶パネルの中央部において輝度が極端に低くなってしまうと考えられる。具体的には、液晶パネルの短辺から光入射させる場合、実質20cm程度しか導光することができない。なお、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射する照射方式を、斜め入射方式ともいい、導光板やパネル内部に光を導光させる照射方法を導光方式ともいう。以下、本実施形態の液晶表示装置1について詳細に説明する。
【0035】
図2A及び
図2Bに示すように、第一の液晶パネル11は、上記一対の基板の一方の基板としての第一の基板100、高分子分散液晶300、及び、上記一対の基板の他方の基板としての第二の基板200を備える。第一の基板100は、第一の支持基板110と画素電極120とを備える。第二の基板200は、第二の支持基板210と共通電極220とを備える。
【0036】
第一の液晶パネル11は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えることが好ましい。第一の光源31Xから照射された光は液晶パネル内部のTFTに起因する回折や散乱等により減衰する場合があるが、本実施形態の液晶表示装置1では、第一の光源31Xが第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射するため、第一の液晶パネル11がTFTを備える場合であっても、上述のようなTFTに起因する光の減衰を抑えることが可能となり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下を効果的に抑制することができる。以下では、第一の液晶パネル(具体的には、第一の基板100)がTFTを備える態様について説明するが、これに限定されない。
【0037】
第一の基板100は、第一の液晶パネル11の画素のオン・オフをスイッチングするために用いられるスイッチング素子であるTFTが設けられた基板である。本実施形態では、TNモード用の第一の基板100の構成を説明する。
【0038】
第一の基板100は、背面側から観察面側に向かって順に、第一の支持基板110と、互いに平行に延設された複数のゲート線と、ゲート絶縁膜と、各ゲート線と交差する方向に互いに平行に延設され複数のソース線と、層間絶縁膜と、画素電極120と、を備える。複数のゲート線及び複数のソース線は、各画素を区画するように全体として格子状に形成されている。各ゲート線と各ソース線との交点にはスイッチング素子としてのTFTが配置されている。互いに隣接する2本のゲート線と互いに隣接する2本のソース線とに囲まれた各領域には、画素電極120が配置されている。
【0039】
各TFTは、複数のゲート線及び複数のソース線のうちの対応するゲート線及びソース線に接続され、対応するゲート線から突出した(ゲート線の一部である)ゲート電極、対応するソース線から突出した(ソース線の一部である)ソース電極、複数の画素電極のうちの対応する画素電極と接続されたドレイン電極、及び、薄膜半導体層を有する三端子スイッチである。ソース電極及びドレイン電極は、ソース線と同じソース配線層に設けられる電極であり、ゲート電極はゲート線と同じゲート配線層に設けられる電極である。
【0040】
各TFTの薄膜半導体層は、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン等からなる高抵抗半導体層と、アモルファスシリコンにリン等の不純物をドープしたn+アモルファスシリコン等からなる低抵抗半導体層とによって構成される。また、薄膜半導体層として、酸化亜鉛等の酸化物半導体層を用いてもよい。酸化物半導体層としては、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を主成分とする酸化物半導体層であるIn-Ga-Zn-O(酸化インジウムガリウム亜鉛)を挙げることができる。このようなIn-Ga-Zn-O-TFTを採用することにより、高精細化や低消費電力化の効果が得られるのに加えて、従来よりも書き込み速度を高めることができる。また、インジウム、ガリウム、亜鉛、銅(Cu)、シリコン(Si)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及び鉛(Pb)のうち少なくとも1つを含む酸化物半導体層を用いる場合にも同様の効果が得られる。
【0041】
第一の支持基板110及び第二の支持基板210は、透明基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0042】
ゲート絶縁膜は、例えば、無機絶縁膜である。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO2)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、それらの積層膜を用いることができる。
【0043】
ゲート配線層及びソース配線層は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又は、それらの合金の、単層又は複数層である。ゲート線、ソース線及びTFTを構成する各種配線及び電極は、スパッタリング法等により、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又は、それらの合金を、単層又は複数層で成膜し、続いて、フォトリソグラフィ法等でパターニングを行うことで形成することができる。これら各種配線及び電極は、同じ層に形成されるものについては、それぞれ同じ材料を用いることで製造が効率化される。
【0044】
層間絶縁膜は、例えば、無機絶縁膜である。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO2)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、それらの積層膜を用いることができる。
【0045】
画素電極120は、互いに隣接する2本のゲート線と互いに隣接する2本のソース線とに囲まれた各領域に面状(ベタ状)に配置された電極である。画素電極120は、TFTが備える薄膜半導体層を介して対応するソース線と電気的に接続されている。画素電極120は、対応するTFTを介して供給されるデータ信号に応じた電位に設定される。
【0046】
共通電極220は、画素の境界に関わらず、ほぼ一面に形成された電極である。共通電極220に対しては一定値に保たれた共通信号が供給され、共通電極220は一定の電位に保たれる。
【0047】
画素電極120及び共通電極220の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等が挙げられる。
【0048】
高分子分散液晶300は、ポリマーネットワーク310及び液晶成分320を有し、第一の基板100及び第二の基板200に挟持されている。高分子分散液晶300では、光重合性液晶化合物の硬化物の繊維状マトリクスが凝集して三次元的に連続したポリマーネットワーク310が形成されており、該ポリマーネットワーク310中に液晶成分320が相分離した状態となっている。
【0049】
高分子分散液晶300は、光重合性液晶化合物の硬化物で構成されたポリマーネットワーク310、及び、液晶成分320を含み、電圧無印加時に透明状態であり、電圧印加時に散乱状態である。このような態様とすることにより、偏光板を必要としない表示装置を実現することができる。より具体的には、電圧無印加時に透明状態であり、電圧印加時に液晶成分320の配向が変化して散乱状態となる。
【0050】
ここで、電圧無印加時とは、高分子分散液晶300への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)である時を意味し、電圧印加時とは、高分子分散液晶300への印加電圧が閾値電圧以上である時を意味する。電圧無印加時は、電圧無印加状態ともいい、電圧印加時は、電圧印加状態ともいう。
【0051】
以下に、
図2A及び
図2Bを用いて、透明状態及び散乱状態における液晶成分320の配向状態を説明する。
図2A及び
図2Bは、第一の液晶パネル11の中央部を示したものである。
【0052】
図2Aに示したように、電圧無印加時では、ポリマーネットワーク310と液晶成分320の配向方位が略等しいことが好ましい。
図2Aでは、ポリマーネットワーク310と液晶成分320がともに第一の基板100の主面及び第二の基板200の主面に対してホモジニアス配向している場合を例示した。電圧無印加時には、高分子分散液晶300の厚み方向を含むあらゆる方向において、液晶成分320とポリマーネットワーク310との異常光屈折率neの屈折率差、及び、液晶成分320とポリマーネットワーク310との常光屈折率noの屈折率差がほとんどない。そのため、光源から照射された光は高分子分散液晶300を透過し、透明状態となる。なお、高分子分散液晶300の厚み方向を含むあらゆる方向において、液晶成分320とポリマーネットワーク310との異常光屈折率neの屈折率差、及び、液晶成分320とポリマーネットワーク310との常光屈折率noの屈折率差がほとんどない状態は、液晶成分320とポリマーネットワーク310との屈折率のマッチングがとれている状態とも言える。
【0053】
透明状態とは、光に対して透明性を有する状態である。例えば、透明状態にある高分子分散液晶300の透過率は80%以上であってよく、90%以上であってよい。また、透明状態にある高分子分散液晶300の透過率の上限は、例えば100%である。本実施形態では、透明状態にある高分子分散液晶300は、可視光に対して透明である。本明細書中、透明状態にある高分子分散液晶の透過率は、透明状態にある高分子分散液晶の平行光線透過率を指す。透明状態にある高分子分散液晶の透過率は、例えば、次のようにして求めることができる。光源としてハロゲンランプを備える通常のバックライト(液晶表示装置用光源)上に、高分子分散液晶を備える電圧無印加状態の第一の液晶パネルを配置した場合の輝度、及び、上記バックライト上に何も配置しない場合の輝度を、トプコン社製の輝度計(SR-UL1)を用いて受光角2°にて測定する。測定波長は、視感度Y値であって、波長約550nmとする。上記バックライト上に電圧無印加状態の第一の液晶パネルを配置した場合の輝度を、バックライト上に何も配置しない場合の輝度で除することにより、透明状態にある高分子分散液晶の透過率を求めることができる。
【0054】
図2Bに示したように、電圧印加時には、ポリマーネットワーク310は、第一の基板100の主面及び第二の基板200の主面に対して水平配向したままであるが、液晶成分320は、垂直方向に配向している。電圧印加時は、高分子分散液晶300中に形成された電界により、液晶成分320の配向方位が変化する一方で、ポリマーネットワーク310は電界の影響を受けない。そのため、高分子分散液晶300の厚み方向を含むあらゆる方向において、液晶成分320とポリマーネットワーク310との異常光屈折率neの屈折率差、及び、液晶成分320とポリマーネットワーク310との常光屈折率noの屈折率差が大きくなる。第一の光源31Xの無偏光が斜めから高分子分散液晶300に入射すると、高分子分散液晶300に対し垂直に無偏光が入射する場合と異なり、偏光に依存せず散乱するため、高分子分散液晶300は強い散乱状態となる。なお、高分子分散液晶300の厚み方向を含むあらゆる方向において、液晶成分320とポリマーネットワーク310との異常光屈折率neの屈折率差、及び、液晶成分320とポリマーネットワーク310との常光屈折率noの屈折率差が大きい状態は、液晶成分320とポリマーネットワーク310との屈折率のミスマッチングがとれている状態とも言える。
【0055】
散乱状態とは、光を散乱する状態である。例えば、散乱状態にある高分子分散液晶300の透過率は、例えば、50%以下であってよい。また、散乱状態にある高分子分散液晶300の透過率の下限は、例えば0~1%である。本明細書中、散乱状態にある高分子分散液晶の透過率は、散乱状態にある高分子分散液晶の平行光線透過率を指す。散乱状態にある高分子分散液晶の透過率は、例えば、次のようにして求めることができる。光源としてハロゲンランプを備える通常のバックライト(液晶表示装置用光源)上に、高分子分散液晶を備える電圧印加状態の第一の液晶パネルを配置した場合の輝度、及び、上記バックライト上に何も配置しない場合の輝度を、トプコン社製の輝度計(SR-UL1)を用いて受光角2°にて測定する。測定波長は、視感度Y値であって、波長約550nmとする。上記バックライト上に電圧印加状態の第一の液晶パネルを配置した場合の輝度を、バックライト上に何も配置しない場合の輝度で除することにより、散乱状態にある高分子分散液晶の透過率を求めることができる。
【0056】
また、散乱状態にある高分子分散液晶300の光散乱率を示すヘイズは、印加された電圧に応じて変化するが、例えば、80%以上であってよく、90%以上であってよい。また、散乱状態にある高分子分散液晶300の光散乱率を示すヘイズの上限は、例えば90~100%である。本実施形態では、散乱状態にある高分子分散液晶300は、可視光を散乱する。そのため、散乱状態にある高分子分散液晶300は、曇りガラスと同様の状態である。本明細書中、ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定される。上記ヘイズは、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」等により、光源としてハロゲンランプを用いることができる。
【0057】
電圧無印加時に透明状態であり、電圧印加時に散乱状態である液晶パネルは、リバース型の液晶パネルともいう。従来、リバース型の液晶パネルは、パネルに対し垂直に無偏光を入射した場合は片偏光しか散乱に寄与しないため、散乱状態における透過率が50%程度と高めであり、光を充分に散乱させることができなかった。リバース型の液晶パネルの主面に対して光源からの光が垂直に入射した際に、液晶成分とポリマーネットワークとの屈折率のミスマッチングがとれるのは片偏光のみであるためと考えられる。一方、本実施形態では、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光が照射されるため、両偏光に対して液晶成分とポリマーネットワークとの屈折率のミスマッチングがとれるため、より強い散乱が得られると考えられる。本実施形態では、例えば、高分子分散液晶にカイラル剤が導入されたリバース型の液晶パネルを用いる場合よりも強い散乱を得ることができる。
【0058】
このように、液晶表示装置1は、高分子分散液晶300中の液晶成分320とポリマーネットワーク310とのneの屈折率差、及び、noの屈折率差を変えることで、第一の液晶パネル11を透過する光の量を調整するため、一般的な液晶表示装置で必要とされる偏光板を必要としない。
【0059】
ポリマーネットワーク310を形成するための光重合性液晶化合物としては、例えば、室温で液晶相を示して液晶成分320と相溶し、紫外線照射により硬化してポリマーが形成される場合に液晶成分320と相分離するものである。
【0060】
光重合性液晶化合物としては、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、フェニルベンゾエート基、アゾベンゼン基、及び、これらの誘導体などの置換基(以下、メソゲン基ともいう)、シンナモイル基、カルコン基、シンナミリデン基、β-(2-フェニル)アクリロイル基、桂皮酸基、及び、これらの誘導体などの光反応性基、並びに、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N-フェニルマレイミド、シロキサンなどの重合性基、を有するモノマーを挙げることができる。重合性基はアクリレートが好ましい。また、光重合性液晶化合物が有する1分子あたりの重合性基の数は特に限定されないが、1つ又は2つであることが好ましい。
【0061】
液晶成分320は、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N-フェニルマレイミド、シロキサンなどの重合性基を有していなくてよい。
【0062】
本実施形態において、液晶成分320は、下記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよいが、後述する配向膜410、420が水平配向膜である場合、正の誘電率異方性を有するものが好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動をより効果的に両立させることができる。正の誘電率異方性を有する液晶成分(液晶分子)は電界方向と平行方向に配向し、負の誘電率異方性を有する液晶成分(液晶分子)は電界方向と垂直方向に配向する。なお、正の誘電率異方性を有する液晶成分(液晶分子)はポジ型液晶ともいい、負の誘電率異方性を有する液晶成分(液晶分子)はネガ型液晶ともいう。また、液晶成分(液晶分子)の長軸方向が遅相軸の方向となる。また、電圧無印加時における液晶成分(液晶分子)の長軸の方向は、液晶成分(液晶分子)の初期配向の方向ともいう。
Δε=(液晶成分(液晶分子)の長軸方向の誘電率)-(液晶成分(液晶分子)の短軸方向の誘電率) (L)
【0063】
液晶成分320としては、例えば、トラン系の液晶材料(-C≡C-(炭素炭素三重結合)を連結基として有する液晶材料)を用いることができる。
【0064】
液晶成分320の屈折率異方性Δnは、0.18以上、0.24以下であり、液晶成分320の誘電率異方性Δεは、15以上、25以下であり、液晶成分320の回転粘性γ1は、100mPa・s以上、300mPa・s以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動の両立可能とし、かつ、ポリマーネットワークを含有しない通常の液晶表示装置と同等の応答速度を実現することができる。液晶成分320の屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε及び回転粘性γ1が全て上記の範囲内となることによりこのような効果を実現することができる。
【0065】
トラン系の液晶材料の具体例としては、下記一般式(L1)で表される構造を有する液晶材料が挙げられる。
【0066】
【化1】
(上記式中、Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に芳香環基を表し、Xは、フッ素基又はシアノ基を表し、n
1及びn
2は、それぞれ独立に0又は1を表す。)
【0067】
上記一般式(L1)におけるn1及びn2は、同時に0となることはない。すなわち、n1及びn2の和は1又は2である。
【0068】
上記一般式(L1)における芳香環基は置換基を有していてもよい。
【0069】
上記一般式(L1)中、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、下記一般式(L2-1)~(L2-7)のいずれかの構造であることが好ましい。
【0070】
【0071】
上記一般式(L1)で表わされる構造を有する液晶材料の具体的構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
【0072】
【0073】
液晶成分320とポリマーネットワーク310との重量比は、液晶成分:ポリマーネットワーク=90:10~97:3であることが好ましい。すなわち、液晶成分320の重量比が90以上、97以下であり、液晶成分320の重量比が90以上であるとき、ポリマーネットワーク310の重量比は10以下であり、液晶成分320の重量比が97以下であるとき、ポリマーネットワーク310の重量比は3以上であることが好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動を効果的に両立させることが可能となる。ポリマーネットワーク310の重量比が10を超えると強散乱は得られるが駆動電圧が高くなり、ポリマーネットワーク310の重量比が3未満であると駆動電圧は抑えられるが強散乱が得られない場合がある。
【0074】
第一の液晶パネル11は、高分子分散液晶300を挟持する一対の基板(第一の基板100及び第二の基板200)の少なくとも一方と高分子分散液晶300との間に設けられた配向膜を備えることが好ましい。このような態様とすることにより、高分子分散液晶300への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)のときに、主に配向膜の働きによって高分子分散液晶300中の液晶成分320の配向を制御することができる。
【0075】
以下では、第一の基板100と高分子分散液晶300との間に第一の配向膜410が設けられ、第二の基板200と高分子分散液晶300との間に第二の配向膜420が設けられる態様について説明するが、これに限定されない。例えば、第一の基板100と高分子分散液晶300との間、及び、第二の基板200と高分子分散液晶300との間のいずれか一方にのみ配向膜が設けられてもよく、第一の基板100と高分子分散液晶300との間、及び、第二の基板200と高分子分散液晶300との間に配向膜が設けられていなくてもよい。例えば、第一の液晶パネル11が第一の配向膜410及び第二の配向膜420のいずれか一方の配向膜のみを有し、かつ、当該配向膜が水平配向膜である場合、他方の基板側がスリッパリー(ゼロアンカリング)であれば、液晶成分320は捩れた水平配向状態をとるため、結果的に両側の基板に水平配向膜を設ける場合と同じ配向状態を実現することができる。
【0076】
第一の配向膜410及び第二の配向膜420は、液晶成分320、及び、光重合性液晶化合物の配向を制御するための配向処理がなされた層であり、ポリイミド等の液晶表示装置の分野で一般的な配向膜を用いることができる。第一の配向膜410及び第二の配向膜420は、ラビング処理が施されたラビング配向膜であってもよいし、光配向処理が施された光配向膜であってもよい。以下では、液晶成分320及び光重合性液晶化合物を、単に液晶分子ともいう。
【0077】
ラビング配向膜は、例えば、ラビング配向膜用ポリマーを含む配向膜材料を基板上に成膜し、レーヨンや綿等からなる布を巻いたローラを、回転数及びローラと基板との距離を一定に保った状態で回転させ、ラビング配向膜用ポリマーを含む膜の表面を所定の方向に擦る(ラビング法)ことにより得られる。
【0078】
上記ラビング配向膜用ポリマーとしては、例えば、ポリイミド等が挙げられる。ラビング配向膜に含まれるラビング配向膜用ポリマーは、一種であっても、二種以上であってもよい。
【0079】
光配向膜は、例えば、光官能基を有する光配向性ポリマーを含む配向膜材料を基板上に成膜し、偏光紫外線を照射して光配向性ポリマーを含む膜の表面に異方性を発生させる(光配向法)ことにより得られる。
【0080】
上記光配向性ポリマーとしては、例えば、シクロブタン基、アゾベンゼン基、カルコン基、シンナメート基、クマリン基、スチルベン基、フェノールエステル基及びフェニルベンゾエート基から選択される少なくとも一種の光官能基を有する光配向性ポリマー等が挙げられる。光配向膜に含まれる光配向性ポリマーは、一種であっても、二種以上であってもよい。光配向性ポリマーが有する光官能基は、ポリマーの主鎖に存在してもよいし、ポリマーの側鎖に存在してもよいし、ポリマーの主鎖及び側鎖の両方に存在してもよい。
【0081】
上記光配向性ポリマーの光反応の型も特に限定されないが、光分解型ポリマー、光転移型ポリマー(好ましくは光フリース転移型ポリマー)、光異性化型ポリマー、光二量化型ポリマー及び光架橋型ポリマーを好適な例として挙げることができる。これらは何れかを単独で用いることもでき、二種以上を併用することもできる。なかでも、配向安定性の観点からは、254nm付近を反応波長(主感度波長)とする光分解型ポリマー及び光分解型ポリマーが特に好ましい。側鎖に光官能基を有する光異性化型ポリマー及び光二量化型ポリマーもまた好ましい。
【0082】
上記光配向性ポリマーの主鎖構造は特に限定されないが、ポリアミック酸構造、ポリイミド構造、ポリ(メタ)アクリル酸構造及びポリシロキサン構造、ポリエチレン構造、ポリスチレン構造、ポリビニル構造を好適な例として挙げることができる。
【0083】
第一の配向膜410及び第二の配向膜420は、液晶成分320を当該配向膜の表面に対して平行に配向させる水平配向膜、又は、液晶成分320を当該配向膜の表面に対して垂直に配向させる垂直配向膜である。第一の配向膜410及び第二の配向膜420は、水平配向膜であることが好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動を効果的に両立させることができる。第一の配向膜410及び第二の配向膜420は、水平配向膜であり、液晶成分320は、正の誘電率異方性を有することがより好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動をより効果的に両立させることができる。
【0084】
第一の配向膜410及び第二の配向膜420が水平配向膜である場合、高分子分散液晶300への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)のときには、主に第一の配向膜410及び第二の配向膜420の働きによって液晶成分320の長軸が第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して水平方向を向くように制御される。
【0085】
すなわち、液晶成分320は、電圧無印加時に第一の基板100に対して水平配向(ホモジニアス配向)し、画素電極120及び共通電極220間に印加された電圧により高分子分散液晶300内に発生する電界に応じて液晶成分320の配向が変化することにより、高分子分散液晶300を透過する光の透過量を制御することができる。液晶成分320は、画素電極120及び共通電極220間に電圧が印加されていない電圧無印加時に第一の配向膜410及び第二の配向膜420の規制力によって水平配向し、画素電極120及び共通電極220間に電圧が印加されている電圧印加時に高分子分散液晶300内に発生した縦電界に応じて回転する。
【0086】
ここで、液晶成分320の長軸が第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して水平方向を向くとは、液晶成分320のチルト角(プレチルト角を含む)が、第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して0~5°であることを意味し、好ましくは0~3°、より好ましくは0~1°であることを意味する。液晶成分320のチルト角は、液晶成分320の長軸(光軸)が第一の配向膜410及び第二の配向膜420の表面に対して傾斜する角度を意味する。
【0087】
第一の配向膜410及び第二の配向膜420が垂直配向膜である場合、高分子分散液晶300への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)のときには、主に第一の配向膜410及び第二の配向膜420の働きによって液晶分子の長軸が第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して垂直方向を向くように制御される。
【0088】
すなわち、液晶成分320は、電圧無印加時に第一の基板100に対して垂直配向し、画素電極120及び共通電極220間に印加された電圧により高分子分散液晶300内に発生する電界に応じて液晶成分320の配向が変化することにより、高分子分散液晶300を透過する光の透過量を制御することができる。液晶成分320は、画素電極120及び共通電極220間に電圧が印加されていない電圧無印加時に第一の配向膜410及び第二の配向膜420の規制力によって垂直配向し、画素電極120及び共通電極220間に電圧が印加されている電圧印加時に高分子分散液晶300内に発生した縦電界に応じて回転する。
【0089】
ここで、液晶成分320の長軸が第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して垂直方向を向くとは、液晶成分320のチルト角(プレチルト角を含む)が、第一の配向膜410及び第二の配向膜420に対して86~90°であることを意味し、好ましくは87~89°、より好ましくは87.5~89°であることを意味する。
【0090】
次に、本実施形態の第一の液晶パネル11の製造方法について説明する。第一の液晶パネル11の製造方法は、第一の基板100の一方の面及び第二の基板200の一方の面に、それぞれ、配向処理が施された第一の配向膜410及び第二の配向膜420を形成する配向膜形成工程と、第一の配向膜410及び第二の配向膜420を内側にして第一の基板100及び第二の基板200を対向して配置し、第一の基板100及び第二の基板200間に、液晶成分320、上記光重合性液晶化合物及び重合開始剤を含有する組成物を注入する注入工程と、上記組成物に対して光を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を硬化させながらポリマーネットワーク310を形成する光照射工程と、を備える。
【0091】
第一の基板100及び第二の基板200は、液晶表示装置の分野において一般的に用いられる方法により作製することができる。
【0092】
上記配向膜形成工程では、第一の基板100上及び第二の基板200上のそれぞれに配向膜材料を塗布して第一の配向膜410及び第二の配向膜420を形成する。配向膜材料の塗布方法としては、インクジェット法及びロールコータ法等の塗布方法が挙げられる。次いで、第一の配向膜410及び第二の配向膜420に配向処理を施す。配向処理としては、配向膜表面をローラ等で擦るラビング処理、配向膜表面に光を照射する光配向処理等が挙げられる。光配向処理によれば、配向膜の表面に接触することなく配向処理を実施できるので、ラビング処理と異なり、配向処理中における汚れ、ごみ等の発生を抑制することができるという利点がある。光配向処理により配向処理される配向膜は、光配向膜とも呼ばれる。
【0093】
第一の配向膜410及び第二の配向膜420には、互いに反平行配向(アンチパラレル配向)となるようにラビング処理を施してもよく、互いに平行配向(パラレル配向)となるようにラビング処理を施してもよい。
【0094】
上記注入工程では、第一の配向膜410及び第二の配向膜420を内側にして、第一の基板100及び第二の基板200を対向して配置し、第一の基板100及び第二の基板200間に、液晶成分320、光重合性液晶化合物及び重合開始剤を含有する組成物を注入する。注入工程では、第一の配向膜410側の液晶分子は第一の配向膜410の配向処理方向に沿って配向し、第二の配向膜420側の液晶分子は第二の配向膜420の配向処理方向に沿って配向し、第一の配向膜410及び第二の配向膜420との間に位置する液晶分子は、その配向方位を第一の配向膜410と第二の配向膜420との間で連続的に変化させる。
【0095】
重合開始剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。重合開始剤としては、例えば、下記化学式(IN1)で表されるOmnirad184(登録商標)(IGM Resins.B.V社製)、下記化学式(IN2)で表されるOXE03(BASF社製)等を用いることができる。
【0096】
【0097】
【0098】
上記組成物おける液晶成分320及び光重合性液晶化合物の重量比は、90:10~97:3であることが好ましい。すなわち、液晶成分320の重量比が90以上、97以下であり、液晶成分320の重量比が90以上であるとき、光重合性液晶化合物の重量比は10以下であり、液晶成分320の重量比が97以下であるとき、光重合性液晶化合物の重量比は3以上であることが好ましい。このような態様とすることにより、強散乱及び低電圧駆動を効果的に両立させることが可能となる。光重合性液晶化合物の重量比が10を超えると強散乱は得られるが駆動電圧が高くなり、光重合性液晶化合物の重量比が3未満であると駆動電圧は抑えられるが強散乱が得られない場合がある。
【0099】
上記光照射工程では、上記組成物に対して光を照射することにより、上記光重合性液晶化合物を硬化させながらポリマーネットワーク310を形成する。ここで、上記注入工程において液晶分子が配向する際、光重合性液晶化合物は液晶相であるが、光照射工程において組成物に対して光が照射され、光重合性液晶化合物が光重合反応により硬化されることにより、その配向状態が保たれたまま固定化されてポリマーネットワーク310が形成され、電場応答できなくなる。よって、光重合性液晶化合物の硬化物から構成されるポリマーネットワーク310は、その後、電圧が印加されても、配向方向が電界方向に揃うことはない。一方、液晶成分320は、配向状態が固定化されていないため、電圧を印加すると配向方向が電界方向に揃うことになる。
【0100】
従って、電圧無印加時において、ポリマーネットワーク310及び液晶成分320の配向方向は、第一の基板100及び第二の基板200に対して平行方向に一致する状態となり、この状態において、両者の屈折率を一致させることにより、第一の液晶パネル11は透明状態となる。また、画素電極120及び共通電極220間に電源を接続して高分子分散液晶300に電圧を印加した電圧印加時においては、液晶成分320の配向方向が電界方向に揃うため、液晶成分320とポリマーネットワーク310との界面で屈折率の不一致により光散乱状態となり、第一の液晶パネル11は白濁状態(散乱状態)となる。
【0101】
上記光照射工程で用いる光の種類は特に限定されないが、例えば紫外線を用いることができる。紫外線としては、例えば、340nm以上、390nm以下の波長帯域にピーク波長を有する光が挙げられる。
【0102】
上記光照射工程において、上記組成物に対して5mW/cm2以上、50mW/cm2以下の照度の光を照射することが好ましい。照度を5mW/cm2以上とすることにより、より充分な散乱を得ることが可能となり、50mW/cm2以下とすることにより、照射時の温度上昇を抑え、生産歩留まりの悪化及び特性のバラツキを抑えることができる。
【0103】
上記光照射工程において、上記組成物に対して0.5J/cm2以上、5J/cm2以下の照射量の光を照射することが好ましい。照射量を0.5J/cm2以上とすることにより、光重合性液晶化合物の重合反応を充分に進行させて未反応の光重合性液晶化合物を減らし、ポリマーネットワーク310を形成することができる。その結果、第一の液晶パネル11としてのヒステリシス特性や焼付き特性を向上させることができる。また、照射量を5J/cm2以下とすることにより、生産タクトを向上させることができる。
【0104】
次に、第一の液晶パネルの画像表示方法について説明する。第一の液晶パネル11は、フィールドシーケンシャルカラー(FSC:Field Sequential Color)方式で画像を表示し、第一の光源31Xは、
図1に示すように、互いに異なる色で発光する複数の発光素子(赤色のLED(発光ダイオード)31R、緑色のLED31G及び青色のLED31B)を含むことが好ましい。ここで、一般に、カラー表示を行う液晶表示装置では、1つの画素は、赤色光を透過するカラーフィルタが設けられた赤色画素、緑色光を透過するカラーフィルタが設けられた緑色画素、及び、青色光を透過するカラーフィルタが設けられた青色画素の3つのサブ画素に分割されている。これら3つのサブ画素に設けられたカラーフィルタによってカラー表示が可能となっているが、液晶パネルに照射されるバックライト光の約3分の2がカラーフィルタで吸収される。このため、カラーフィルタ方式の液晶表示装置は光利用効率が低いという問題を有する。一方、FSC方式で画像を表示し、第一の光源31Xが、互いに異なる色で発光する複数の発光素子を有することにより、カラーフィルタを用いることなくカラー表示を行うことが可能となり、カラーフィルタ方式の液晶表示装置に比べて光利用効率が向上し、第一の液晶パネル11の輝度をより高め、かつ、低消費電力化を実現することができる。また、カラーフィルタを必要としないため、液晶表示装置1を薄型化することができる。
【0105】
FSC方式で画像を表示する液晶パネル11では、1画面の表示期間である1フレーム期間が複数のフィールドに分割されている。なお、フィールドはサブフレームとも呼ばれるが、以下の説明では、統一してフィールドの語を用いる。例えば、1フレーム期間は、入力画像信号の赤色成分に基づいて赤色の画面を表示するフィールド(赤色フィールド)と、入力画像信号の緑色成分に基づいて緑色の画面を表示するフィールド(緑色フィールド)と、入力画像信号の青色成分に基づいて青色の画面を表示するフィールド(青色フィールド)とに分割されている。以上のようにして1つずつ原色を表示することにより、液晶パネルにカラー画像が表示される。
【0106】
このように、FSC方式で画像を表示する第一の液晶パネル11では、フレーム期間を複数のフィールドに分割してフィールド毎に異なる色を表示することによってカラー表示を行うためカラーフィルタが不要となる。これにより、FSC方式の液晶表示装置1では、カラーフィルタ方式の液晶表示装置に比べて光利用効率が約3倍になる。従って、FSC方式の液晶表示装置は、高輝度化や低消費電力化に適している。
【0107】
図3は、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。本実施形態の液晶表示装置1は、前処理部1000とタイミングコントローラ2000とゲートドライバ3100とソースドライバ3200とLEDドライバ3300と第一の液晶パネル11と第一の光源31Xとによって構成されている。なお、ゲートドライバ3100又はソースドライバ3200もしくはその双方が第一の液晶パネル11内に設けられていてもよい。また、
図3では第二の液晶パネル12についての説明を省略しているが、第二の液晶パネル12は、FSC方式で画像を表示するのではなく、第二の液晶パネル12に設けられたカラーフィルタと第二の液晶パネル12の背面側に設けられたバックライトとを用いてカラー表示を行う、一般的な液晶パネルであること以外は、第一の液晶パネル11と同様の構成を有する。
【0108】
第一の液晶パネル11には、画像を表示するための表示部11Aが含まれている。前処理部1000には、信号分離回路1100とデータ補正回路1200と赤色フィールドメモリ1300(R)と緑色フィールドメモリ1300(G)と青色フィールドメモリ1300(B)とが含まれている。
【0109】
本実施形態においては、第一の光源31Xには、上記複数の発光素子として、複数のLED(発光ダイオード)が採用されている。詳しくは、
図1に示すように、赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31Bによって第一の光源31Xが構成されている。なお、本実施形態においては、タイミングコントローラ2000とゲートドライバ3100とソースドライバ3200とによって液晶パネル駆動部が実現され、LEDドライバ3300によって光源駆動部が実現されている。また、信号分離回路1100によって入力画像データ分離部が実現されている。
【0110】
図4は、実施形態1の液晶表示装置における1フレーム期間の構成を示す図である。1フレーム期間は、入力画像信号DINの赤色成分に基づいて赤色の画面の表示が行われる赤色フィールドと、入力画像信号DINの緑色成分に基づいて緑色の画面の表示が行われる緑色フィールドと、入力画像信号DINの青色成分に基づいて青色の画面の表示が行われる青色フィールドとに分割されている。赤色フィールドにおいては、フィールド開始時点から所定期間経過後に赤色のLED31Rが点灯状態となる。緑色フィールドにおいては、フィールド開始時点から所定期間経過後に緑色のLED31Gが点灯状態となる。青色フィールドにおいては、フィールド開始時点から所定期間経過後に青色のLED31Bが点灯状態となる。
【0111】
液晶表示装置1の動作中、これら赤色フィールド、緑色フィールド及び青色フィールドが繰り返される。これにより、赤色画面、緑色画面及び青色画面が繰り返して表示され、所望のカラー画像が表示部11Aに表示される。なお、フィールドの順序は特に限定されない。フィールドの順序は、例えば「青色フィールド、緑色フィールド、赤色フィールド」という順序であってもよい。また、各フィールドにおいてLEDを点灯状態にする期間の長さは、液晶の応答特性を考慮して定められるとよい。
【0112】
図3に示すように、表示部11Aには、複数本(n本)のソース線(映像信号線)SL1~SLnと複数本(m本)のゲート線(走査信号線)GL1~GLmとが配設されている。ソース線SL1~SLnとゲート線GL1~GLmとの各交差点に対応して、画素を形成する画素形成部4が設けられている。すなわち、表示部11Aには、複数個(n×m個)の画素形成部4が含まれている。上記複数個の画素形成部4はマトリクス状に配置されてm行×n列の画素マトリクスを構成している。以下、ソース線SL1~SLnを単にソース線SLともいい、ゲート線GL1~GLmを単にゲート線GLともいう。
【0113】
各画素形成部4には、対応する交差点を通過するゲート線GLにゲート端子が接続されると共に当該交差点を通過するソース線SLにソース端子が接続されたスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)40と、そのTFT40のドレイン端子に接続された画素電極120と、上記複数個の画素形成部4に共通的に設けられた共通電極220及び補助容量電極45と、画素電極120と共通電極220とによって形成される液晶容量42と、画素電極120と補助容量電極45とによって形成される補助容量43とが含まれている。液晶容量42と補助容量43とによって画素容量46が構成されている。なお、
図3における表示部11A内には、1つの画素形成部4に対応する構成要素のみを示している。
【0114】
次に、
図3に示す構成要素の動作について説明する。前処理部1000内の信号分離回路1100は、外部から送られる入力画像信号DINを赤色の入力階調データ1R、緑色の入力階調データ1G及び青色の入力階調データ1Bに分離する。前処理部1000内のデータ補正回路1200は、信号分離回路1100から出力された入力階調データ(赤色の入力階調データ1R、緑色の入力階調データ1G及び青色の入力階調データ1B)を液晶パネル11に印加する電圧に対応付けられるデータに補正し、補正後のデータを印加階調データ(赤色フィールド用の印加階調データ1r、緑色フィールド用の印加階調データ1g及び青色フィールド用の印加階調データ1b)として出力する。なお、データ補正回路1200についての詳しい説明は後述する。
【0115】
赤色フィールドメモリ1300(R)、緑色フィールドメモリ1300(G)及び青色フィールドメモリ1300(B)には、データ補正回路1200から出力された赤色フィールド用の印加階調データ1r、緑色フィールド用の印加階調データ1g及び青色フィールド用の印加階調データ1bがそれぞれ格納される。
【0116】
タイミングコントローラ2000は、赤色フィールドメモリ1300(R)、緑色フィールドメモリ1300(G)及び青色フィールドメモリ1300(B)からそれぞれ赤色フィールド用の印加階調データ1r、緑色フィールド用の印加階調データ1g及び青色フィールド用の印加階調データ1bを読み出して、デジタル映像信号DVと、ゲートドライバ3100の動作を制御するためのゲートスタートパルス信号GSP及びゲートクロック信号GCKと、ソースドライバ3200の動作を制御するためのソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK及びラッチストローブ信号LSと、LEDドライバ3300の動作を制御するためのLEDドライバ制御信号S1とを出力する。
【0117】
ゲートドライバ3100は、タイミングコントローラ2000から送られるゲートスタートパルス信号GSPとゲートクロック信号GCKとに基づいて、アクティブな走査信号の各ゲート線GLへの印加を、1垂直走査期間を周期として繰り返す。
【0118】
ソースドライバ3200は、タイミングコントローラ2000から送られるデジタル映像信号DV、ソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK及びラッチストローブ信号LSを受け取り、各ソース線SLに駆動用映像信号を印加する。このとき、ソースドライバ3200では、ソースクロック信号SCKのパルスが発生するタイミングで、各ソース線SLに印加すべき電圧を示すデジタル映像信号DVが順次に保持される。そして、ラッチストローブ信号LSのパルスが発生するタイミングで、上記保持されたデジタル映像信号DVがアナログ電圧に変換される。その変換されたアナログ電圧は、駆動用映像信号として全てのソース線SL1~SLnに一斉に印加される。
【0119】
LEDドライバ3300は、タイミングコントローラ2000から送られるLEDドライバ制御信号S1に基づいて、第一の光源31Xを構成する各LED(赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31B)の状態を制御するための光源制御信号S2を出力する。第一の光源31Xでは、光源制御信号S2に基づいて、各LEDの状態の切り替え(点灯状態と消灯状態との切り替え)が適宜行われる。なお、本実施形態においては、
図4に示したように、各LEDの状態が切り替えられる。
【0120】
以上のようにして、ゲート線GL1~GLmに走査信号が印加され、ソース線SL1~SLnに駆動用映像信号が印加され、各LEDの状態が適宜切り替えられることにより、入力画像信号DINに応じた画像が液晶パネル11の表示部11Aに表示される。
【0121】
第一の光源31Xは、互いに異なる色で発光する複数の発光素子(赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31B)を含む。第一の光源31Xは、例えば、上記複数の発光素子が直線状に配置された棒状の形状を有する。
【0122】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]、第一の液晶パネル11と第一の光源31Xとの距離をh11[cm]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第一の光源31Xからの光の入射角をθ11[°]とすると、液晶表示装置1は、下記(式1-1)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となる。なお、本明細書において第一の液晶パネルと光源との距離とは、第一の液晶パネルから、光源の第一の液晶パネル側の端部までの距離をいう。また、θ11は、光源31Xから出射される光のうち、第一の液晶パネル11の最も中央寄りを通過する光の入射角をいう。
1≦h11≦{a/(tanθ11)} ・・・(式1-1)
【0123】
図1に示すように、第一の光源31Xは、第一の液晶パネル11の互いに向かい合う一対の端辺部分11X及び11Yのうち一方の端辺部分11Xに対応して設けられ、液晶表示装置1は、更に、第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との間であって、一対の端辺部分11X及び11Yのうち他方の端辺部分11Yに対応して設けられた第二の光源31Yを備え、第二の光源31Yは、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射し、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第一の光源31Xからの光の入射角θ11は、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の光源30Yからの光の入射角θ12と同じである。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0124】
第二の光源31Yは、他方の端辺部分11Yに設けられること以外は、第一の光源31Xと同様である。
【0125】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]、第一の液晶パネル11と第二の光源31Yとの距離をh12[cm]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の光源31Yからの光の入射角をθ12[°]とすると、液晶表示装置1は、下記(式1-2)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となる。なお、θ12は、光源31Yから出射される光のうち、第一の液晶パネル11の最も中央寄りを通過する光の入射角をいう。
1≦h12≦{a/(tanθ12)} ・・・(式1-2)
【0126】
第一の光源31X及び第二の光源31Yは、下記式(式1-3)及び(式1-4)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に対して、第一の光源31X及び第二の光源31Yからの光が対称的に照射されるため、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
h11=h12 ・・・(式1-3)
θ11=θ12 ・・・(式1-4)
【0127】
第一の光源31X及び第二の光源31Yは、正面視において、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に対して線対称に配置されることが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0128】
h11及びh12、並びに、θ11及びθ12は、第一の光源31Xからの光及び第二の光源31Yからの光が、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に到達するように設定されることが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0129】
第一の液晶パネル11が19型である場合、h11及びh12は、3cm以上、12cm以下であることが好ましく、4cm以上、11cm以下であることがより好ましく、5cm以上、10cm以下であることが更に好ましい。また、θ11及びθ12は、51°以上、63°以下であることが好ましく、53°以上、61°以下であることがより好ましく、55°以上、59°以下であることが更に好ましい。
【0130】
次に、第二の液晶パネル12について説明する。本実施形態の液晶表示装置1では、第一の液晶パネル11が透明状態である場合に、第二の液晶パネル12の画像を観察面側から視認することができる。
【0131】
図5は、実施形態1の液晶表示装置が備える第二の液晶パネルの断面模式図である。
図5に示すように、第二の液晶パネル12は、背面側から観察面側に向かって順に、第一の偏光板510と、第三の基板600と、第三の配向膜710と、液晶分子を含有する液晶層800と、第四の配向膜720と、第四の基板900と、第二の偏光板520と、を有する。第三の基板600は第三の支持基板610及び複数の画素電極620を有する。第四の基板900は第四の支持基板910、カラーフィルタ層920及び共通電極930を有する。
【0132】
本実施形態では、第三の基板600が画素電極620を備え、第四の基板900が共通電極930を備える垂直配向モードの液晶表示装置について説明するが、第二の液晶パネル12の表示モードはこれに限定されず、第三の基板600又は第四の基板900に、画素電極及び共通電極の両者が設けられた水平配向モードの液晶表示装置であってもよい。垂直配向モードとは、液晶層への電圧無印加時に一対の基板(上記第一の基板及び上記第二の基板)の各々の主面に対して略垂直な方向に配向させるモードをいい、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード等が挙げられる。また、水平配向モードとは、液晶分子を、液晶層への電圧無印加時に一対の基板の各々の主面に対して略水平な方向に配向させるモードをいい、例えば、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モードが挙げられる。
【0133】
なお、略垂直とは、例えば、液晶分子のプレチルト角が、各基板の主面に対して85°以上、90°以下であることをいう。略水平とは、例えば、液晶分子のプレチルト角が、各基板の主面に対して0°以上、5°以下であることをいう。プレチルト角とは、液晶層への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)における、基板の表面に対して液晶分子の長軸が形成する角度を言い、基板面を0°、基板法線を90°とする。基板の主面とは、基板面を意味する。
【0134】
本実施形態では、バックライト50からの光が第二の液晶パネル12に入射し、かつ、液晶層800の液晶分子の配向が切り替わることによって、第二の液晶パネル12を透過する光の量が制御される。第二の液晶パネル12は、液晶表示(LCD:Liquid Crystal Display)パネルである。
【0135】
第三の支持基板610及び第四の支持基板910は、透明基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0136】
画素電極620は、第一の液晶パネル11が備える画素電極120と同様であり、共通電極930は、第一の液晶パネル11が備える共通電極220と同様である。
【0137】
カラーフィルタ層920は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタから構成され、各画素に、赤色カラーフィルタを備える絵素、緑色カラーフィルタを備える絵素及び青色カラーフィルタを備える絵素の3つの絵素がストライプ状に設けられている。
【0138】
赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタは、例えば、顔料を含有する透明樹脂で構成されている。通常、すべての画素に赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタの組み合わせが配置され、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタを透過する色光の量を制御しつつ混色させることで各画素において所望の色が得られる。
【0139】
第三の配向膜710及び第四の配向膜720は、液晶層800における液晶分子の配向を制御する機能を有し、液晶層800への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)のときには、主に配向膜の働きによって液晶層800中の液晶分子の配向が制御される。配向膜の材料としては、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の液晶表示パネルの分野で一般的な材料を用いることができる。
【0140】
液晶層800は、液晶材料を含んでおり、液晶層800に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶材料中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。
【0141】
液晶分子は、上記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよい。
【0142】
液晶分子の配向の切り替えは、複数の画素電極620及び共通電極930によって液晶層800に電圧を印加することによって行われる。画素電極620及び共通電極930との間に電圧が印加されない電圧無印加状態では、第三の配向膜710及び第四の配向膜720によって、液晶分子の初期配向が規制される。なお、画素電極620及び共通電極930との間に電圧が印加されない電圧無印加状態とは、画素電極620及び共通電極930との間に電圧が実質的に印加されない状態を含み、液晶層800への印加電圧が閾値未満の状態をいう。
【0143】
第二の液晶パネル12は、第三の基板600及び第四の基板900の液晶層800とは反対側に偏光板を更に有していてもよい。上記偏光板はいずれも吸収型偏光子であり、互いの吸収軸が直交したクロスニコルの配置関係にあることが好ましい。また、液晶層800中の液晶分子は、電圧無印加状態において、いずれかの偏光板の吸収軸と平行な方向にホモジニアス配向することが好ましい。このような態様とすることにより、液晶パネル12は、ノーマリーブラックモードとなる。
【0144】
バックライト50は、第二の液晶パネル12に対して光を照射するものであれば特に限定されない。バックライト50としては、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。バックライト50は、第二の液晶パネル12の背面に配置し、バックライト50で生じた光を、第二の液晶パネル12の透過領域を透過させ、観察者側に出射できればよく、直下型であっても、エッジライト型であってもよい。
【0145】
バックライト50は、例えば、光源及び導光板を含む。光源は、可視光を含む光を発するものであれば特に限定されず、可視光のみを含む光を発するものであってもよく、可視光及び紫外光の両方を含む光を発するものであってもよい。第二の液晶パネル12によるカラー表示を可能とするためには、白色光を発する光源が好適に用いられる。光源の種類としては、例えば、冷陰極蛍光灯(CCFL)、発光ダイオード(LED)等が好適に用いられる。導光板は、端面より入射した光を均一に面発光させる機能を有していればよく、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長380nm以上、800nm未満の光(電磁波)を意味する。バックライト50は、更に、拡散板、プリズムシート等の光学シートを適宜用いることができる。
【0146】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]とすると、第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との距離b[cm]はa[cm]以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、液晶表示装置1を薄型化することができる。また、第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との映像位置を近づけることが可能となるため、液晶表示装置1を斜めから視認する際に、一体感のある演出を行うことができる。例えば、第一の液晶パネル11及び第二の液晶パネル12に文字情報が表示される場合に好適である。
【0147】
第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との距離b[cm]はa[cm]を超えることも好ましい。このような態様とすることにより、第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との映像位置を遠ざけることが可能となるため、液晶表示装置1を斜めから視認する際に、より空間的奥行感のある演出を行うことができる。
【0148】
第一の液晶パネル11が19型であり、第二の液晶パネルが17型である場合、a=40cmであり、bは10cm以上、20cm以下であることが好ましく、11cm以上、19cm以下であることがより好ましく、12cm以上、18cm以下であることが更に好ましい。
【0149】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置1は、前面パネル(第一の液晶パネル11)をPDLCパネル、背面パネル(第二の液晶パネル12)をLCDパネルとする二重ディスプレイ(PDLCパネル+LCDパネル)であって、PDLCパネルへはFSC駆動された光源を斜め照射することで、良好な透明透過率(50%以上)、大型化(例えば19型サイズ)、及び、明るい表示(高い輝度)の三者を両立可能である表示装置を実現することができる。
【0150】
本実施形態の液晶表示装置1は、上述の部材の他、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム)等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0151】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の光源31Xと第二の液晶パネル12との間に背面側光源を備えることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。
【0152】
図6は、実施形態2の液晶表示装置の断面模式図である。
図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、第一の光源31Xと第二の液晶パネル12との間に上記背面側光源としての第一の背面側光源32Xを備え、第一の背面側光源32Xは、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射することが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態におけるパネル中央部の輝度(より具体的には正面輝度)の低下をより抑えることができる。その結果、表示画面をより大型化することが可能となる。
【0153】
第一の背面側光源32Xは、第一の光源31Xと同様に、互いに異なる色で発光する複数の発光素子(赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31B)を含むことが好ましい。第一の背面側光源32Xは、例えば、上記複数の発光素子が直線状に配置された棒状の形状を有する。
【0154】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]、第一の液晶パネル11と第一の光源31Xとの距離をh11[cm]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第一の光源31Xからの光の入射角をθ11[°]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第一の背面側光源32Xからの光の入射角をθ21[°]とすると、下記(式1-1)及び(式2-1)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となる。なお、θ21は、光源32Xから出射される光のうち、第一の液晶パネル11の最も中央寄りを通過する光の入射角をいう。
1≦h11≦{a/(tanθ11)} ・・・(式1-1)
θ11-θ21>10° ・・・(式2-1)
【0155】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]、第一の液晶パネル11と第二の光源31Yとの距離をh12[cm]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の光源31Yからの光の入射角をθ12[°]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の背面側光源32Yからの光の入射角をθ22[°]とすると、下記(式1-2)及び(式2-2)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となる。なお、θ22は、光源32Yから出射される光のうち、第一の液晶パネル11の最も中央寄りを通過する光の入射角をいう。
1≦h12≦{a/(tanθ12)} ・・・(式1-2)
θ12-θ22>10° ・・・(式2-2)
【0156】
図1に示すように、第一の背面側光源32Xは、第一の液晶パネル11の互いに向かい合う一対の端辺部分11X及び11Yのうち一方の端辺部分11Xに対応して設けられ、液晶表示装置1は、更に、第一の液晶パネル11と第二の液晶パネル12との間であって、一対の端辺部分11X及び11Yのうち他方の端辺部分11Yに対応して設けられた第二の背面側光源32Yを備え、第二の背面側光源32Yは、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光を照射し、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第一の背面側光源32Xからの光の入射角θ21は、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の背面側光源32Yからの光の入射角θ22と同じである。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0157】
第二の背面側光源32Yは、他方の端辺部分11Yに設けられること以外は、第一の背面側光源32Xと同様である。
【0158】
第一の液晶パネル11の長辺の長さを2a[cm]、第一の液晶パネル11と第二の光源31Yとの距離をh12[cm]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の光源31Yからの光の入射角をθ12[°]、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対する第二の背面側光源32Yからの光の入射角をθ22[°]とすると、下記(式1-2)及び(式2-2)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となる。
1≦h12≦{a/(tanθ12)} ・・・(式1-2)
θ12-θ22>10° ・・・(式2-2)
【0159】
第一の液晶パネル11と第一の背面側光源32Xとの距離をh21[cm]、第一の液晶パネル11と第二の背面側光源32Yとの距離をh22[cm]とすると、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yは、下記式(式2-3)及び(式2-4)を満たすことが好ましい。このような態様とすることにより、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に対して、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yからの光が対称的に照射されるため、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
h21=h22 ・・・(式2-3)
θ21=θ22 ・・・(式2-4)
【0160】
第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yは、正面視において、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に対して線対称に配置されることが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0161】
θ21及びθ22は、第一の背面側光源32Xからの光及び第二の背面側光源32Yからの光が、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に到達するように設定されることが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0162】
h21及びh22、並びに、θ21及びθ22は、第一の背面側光源32Xからの光及び第二の背面側光源32Yからの光が、一対の端辺部分11X及び11Yに平行な第一の液晶パネル11の中心線に到達するように設定されることが好ましい。このような態様とすることにより、散乱状態において、パネル面内でより均一に輝度の低下を抑えることができる。
【0163】
第一の液晶パネル11が19型である場合、h21及びh22は、4cm以上、13cm以下であることが好ましく、5cm以上、12cm以下であることがより好ましく、6cm以上、11cm以下であることが更に好ましい。また、θ21及びθ22は、62°以上、74°以下であることが好ましく、64°以上、72°以下であることがより好ましく、66°以上、70°以下であることが更に好ましい。
【0164】
第一の光源31Xと第一の背面側光源32Xとの距離d、及び、第二の光源31Yと第二の背面側光源32Yとの距離dは、1cm以上、6cm以下であることが好ましく2cm以上、5cm以下であることがより好ましい。
【0165】
(変形例1)
図7は、変形例1の液晶表示装置の断面模式図である。
図7は、
図6中のY1-Y2線に沿った断面模式図である。
図7に示すように、第一の液晶パネル11は、第一の基板100の背面側に透明樹脂板20を備えていてもよい。第一の液晶パネル11が透明樹脂板20を備えることにより、第一の液晶パネル11の強度を高めることができる。透明樹脂板20は、第一の支持基板110と同じサイズであっても、第一の支持基板110よりも大きいサイズであってもよい。透明樹脂板20としては、例えば、アクリル板が挙げられる。
【0166】
(変形例2)
図8は、変形例2の液晶表示装置の断面模式図である。
図8に示すように、液晶表示装置1は、第一の液晶パネル11の観察面側に遮光ルーバ13を備えていてもよい。このような態様とすることにより、斜め方向から液晶表示装置を観察したときに、光源(特に、光源を構成するLED)が見えないように遮光することができる。
【0167】
図9は、変形例2の液晶表示装置が備える遮光ルーバの斜視模式図である。遮光ルーバ13は、
図9に示すように、遮光層1311と透明層1312とが交互に並行配列されたルーバ層131と、ルーバ層131を教示する一対の透明フィルム132とを備える。遮光層1311及び透明層1312は、例えば、シリコーン樹脂を含む。
【0168】
(変形例3)
図10A~
図10Dは、変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例である。
図10A~
図10Dに示すように、第一の液晶パネル11は、更に、第一の支持基板110の背面側及び第二の支持基板210の観察面側の少なくとも一方に、正面視において光を透過させ、斜め視において光を散乱させる機能を有する異方性光拡散フィルム14を備えていてもよい。このような態様とすることにより、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることができる。
【0169】
例えば、
図10Aに示すように、液晶表示装置1が一対の光源(第一の光源31X及び第二の光源31Y)を備える態様において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14が配置されてもよく、
図10Bに示すように、液晶表示装置1が一対の光源(第一の光源31X及び第二の光源31Y)を備える態様において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14が配置されてもよい。また、
図10Cに示すように、液晶表示装置1が二対の光源(第一の光源31X及び第二の光源31Y、並びに、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Y)を備える態様において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14が配置されてもよく、
図10Dに示すように、液晶表示装置1が二対の光源(第一の光源31X及び第二の光源31Y、並びに、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Y)を備える態様において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14が配置されてもよい。
【0170】
異方性光拡散フィルム14は、例えば、当該異方性光拡散フィルム14の主面に対して右側及び左側の両側からの斜め視において光を拡散させる機能を有していても、いずれか一方の側からの斜め視において光を拡散させる機能を有していてもよい。
【0171】
異方性光拡散フィルム14としては、例えば、国際公開第2016/051560号に開示されている光拡散フィルム(高・低屈折率構造のハイブリットフィルム)やPDLCシート等を挙げることができる。このような異方性光拡散フィルム14を用いることにより、正面への光拡散効率が向上する。PDLCシートは、電圧無印加時に散乱状態であり、電圧印加時に透明状態であるノーマル型PDLCであり、ガラス基材の場合に比べて薄型化することができる。PDLCシートとしては、例えば、SMARTINT社製のPDLCフィルムを用いることができる。
【0172】
図11Aは、変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの斜視模式図である。
図11Bは、変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの断面模式図である。異方性光拡散フィルム14の一例を、
図11A及び
図11Bを用いて具体的に説明する。なお、
図11A及び
図11Bに示す異方性光拡散フィルム14は、第一の内部構造4020及び第二の内部構造4030が共にカラム構造(4020a、4030a)であるが、
図11Bは、第一及び第二の内部構造(4020、4030)が共にカラム構造(4020a、4030a)である場合に限らず、例えばルーバ構造等のその他の内部構造である場合も包含する包括的な図として用いる。
【0173】
図11A及び
図11Bに示すように、異方性光拡散フィルム14は、屈折率が相対的に低い領域4011の中に、屈折率が相対的に高い複数の領域(4012、4012´)としての柱状物(4012a、4012a´)を備えた第一のカラム構造4020aおよび第二のカラム構造4030aを、フィルム膜厚方向に沿って下方から順次に有する単一層の光拡散層4050を有するフィルムである。
【0174】
また、第一のカラム構造4020aにおける柱状物4012aが、フィルム膜厚方向に沿った中間点において屈曲部4014を有する。
【0175】
図12は、変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの斜視模式図である。異方性光拡散フィルム14の光拡散特性について、第一の内部構造4020および第二の内部構造4030が共にカラム構造(4020a、4030a)である場合を例に挙げて、具体的に説明する。
【0176】
図12に示すように、異方性光拡散フィルム14は、フィルム内に、第一のカラム構造4020aおよび第二のカラム構造4030aを有するとともに、第一のカラム構造4020aを構成する柱状物に屈曲部4014を設けてある。したがって、
図12に示すように、それぞれの第一のカラム構造4020a及び第二のカラム構造4030aに起因した3つの光拡散入射角度領域を適当な範囲でずらしつつ重ね合わせることで、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大することができる。
【0177】
ここで、カラム構造では、これを構成する柱状物の傾斜角度と略平行な入射角度の入射光を、損失することなく効率的に拡散させることができる。これは、このような入射角度は光拡散入射角度領域に含まれるためである。しかしながら、柱状物の傾斜角度と完全に一致する入射角度の入射光に関しては、十分に拡散させずに透過させてしまう場合がある。これに対し、異方性光拡散フィルム14であれば、この問題を有効に解決することができる。
【0178】
例えば、矢印Aで示す入射光のように、入射角度が第二のカラム構造4030aの柱状物の傾斜角度と完全に平行な入射光は、第二のカラム構造4030aにより充分に拡散されない傾向がある。しかし、
図12に示す異方性光拡散フィルム14であれば、屈曲部4014を有する柱状物により構成される第一のカラム構造4020aにより、徐々に2段階に分けて拡散させることから、最終的には十分なレベルで拡散させることができる。
【0179】
また、例えば、矢印Bで示す入射光のように、入射角度が第二のカラム構造4030aの柱状物の傾斜角度と大きく異なる入射光は、第二のカラム構造4030aの柱状物の側面により三日月状に拡散するだけで、第二のカラム構造4030aの段階では拡散が不十分になる傾向がある。しかしながら、
図12に示す異方性光拡散フィルム14であれば、屈曲部4014を有する柱状物により構成される第一のカラム構造4020aにより、最終的には充分なレベルで拡散させることができる。
【0180】
したがって、異方性光拡散フィルム14であれば、フィルム全体としての光拡散入射角度領域を効果的に拡大しつつ、入射光の入射角度の変化に伴う光拡散特性の変化を効果的に抑制することができる。
【0181】
なお、入射光が第二のカラム構造側から入射した場合を例に挙げて説明したが、入射光が第一のカラム構造側から入射した場合であっても同様である。また、3段階での拡散を例に挙げて説明したが、4段階以上の拡散であってもよい。
【0182】
図13A及び
図13Bは、変形例3の液晶表示装置が備える異方性光拡散フィルムの断面模式図の一例である。上記
図11A、
図11B及び
図12では、異方性光拡散フィルム14について第一及び第二の内部構造が共にカラム構造である場合を例に挙げて説明したが、第一及び第二の内部構造は特に制限されるものではない。具体的には、
図13Aに示すような、第一及び第二の内部構造が共にルーバ構造(4020b、4030b)である態様や、
図13Bに示すような、第一の内部構造がルーバ構造4020bであって、第二の内部構造がカラム構造4030aである態様、あるいは、第一の内部構造がカラム構造4020aであって、第二の内部構造がルーバ構造4030bである態様等が挙げられる。
【0183】
なお、カラム構造は、入射光を等方性光拡散(拡散光の平面形状が略円形となる光拡散)させるのに対し、ルーバ構造は、入射光を異方性光拡散(拡散光の平面形状が線状となる光拡散)させるという違いがある。
【0184】
上記実施形態の第二の液晶パネル12は、
図10A及び
図10Bに示すように、背面側から観察面側に向かって順に、第三の支持基板610と、液晶層800と、第四の支持基板910と、正面視において光を透過させ、斜め視において光を反射させる機能を有する異方性光反射フィルム15と、を備えてもよい。このような態様とすることにより、バックライト50からの光のリサイクル効率を向上させ、液晶表示装置1の輝度をより向上させることができる。
【0185】
異方性光反射フィルム15としては、例えば、誘電体多層膜ミラー、輝度上昇フィルム等が挙げられる。
【0186】
誘電体多層膜ミラーは、基板上に高い屈折率を有する誘電体材料と、低い屈折率を有する誘電体材料とが交互に積層された構造を有する。例えば、高い屈折率を有する誘電体材料としてTiO2が挙げられ、低い屈折率を有する誘電体材料としてSiO2が挙げられる。誘電体多層膜ミラーは、例えば、高い屈折率を有する誘電体材料と低い屈折率を有する誘電体材料とが交互に十数層から数十層積層された構造を有する。また、基板としてガラス基板等を使用することができるが、これに限定されず、透光性を有する基板であれば良い。誘電体多層膜ミラーとしては、例えば、東レ社製のPICASUS(登録商標)等が挙げられる。
【0187】
輝度上昇フィルムは、所定の方向の偏光(所定の方向に振動する光)を透過し、それ以外の偏光を反射する光学部材である。輝度上昇フィルムとしては、例えば、3M社製のDBEF(登録商標)等が挙げられる。
【0188】
図10A及び
図10Bに示すように、液晶表示装置1は、第二の液晶パネル12の観察面側であって第一の光源31Xの近傍に第一のミラー61Xを備え、第二の液晶パネル12の観察面側であって第二の光源31Yの近傍に第二のミラー61Yを備えてもよい。このような態様とすることにより、異方性光反射フィルム15により第一の光源31X及び31Yからの光を観察面側に反射させて光をリサイクルし、光の利用効率を高めることができる。
【0189】
第一のミラー61X及び第二のミラー61Yは、反射機能を有する部材であれば特に限定されない。第一のミラー61X及び第二のミラー61Yは、例えば、幅1cmである。
【0190】
図10C及び
図10Dに示すように、液晶表示装置1は、更に、第一の光源31Xの観察面側に配置された第三のミラー62Xと、第二の光源31Yの観察面側に配置された第四のミラー62Yと、第一の背面側光源32Xの背面側に配置された第五のミラー63Xと、第二の背面側光源32Yの背面側に配置された第六のミラー63Yと、を備えていてもよい。このような態様とすることにより、第一の光源31X、第一の光源31X、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yからの光が第一の液晶パネル11の中央部へ集まり易くすることができる。
【0191】
第三のミラー62X、第四のミラー62Y、第五のミラー63X及び第六のミラー63Yは、反射機能を有する部材であれば特に限定されない。
【0192】
図10C及び
図10Dに示すように、液晶表示装置1は、第一の光源31X及び第一の背面側光源32Xから照射される光を受光するように第三のミラー62X及び第五のミラー63Xとの間に配置された第一の異方性光反射フィルム70Xと、第二の光源31Y及び第二の背面側光源32Yから照射される光を受光するように第四のミラー62Y及び第六のミラー63Yとの間に配置された第二の異方性光反射フィルム70Yと、を備えていてもよい。このような態様とすることにより、第一の光源31X、第一の光源31X、第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yの少なくとも1つの光源がLEDを含む場合に、観察面側からLED目玉を見えにくくすることができる。
【0193】
第一の異方性光反射フィルム70X及び第二の異方性光反射フィルム70Yとしては、輝度上昇フィルム等が挙げられる。輝度上昇フィルムとしては上述のものが挙げられる。
【0194】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0195】
(実施例1-1)
実施例1-1の液晶表示装置として、
図1に示す上記実施形態1の液晶表示装置を作製した。
【0196】
まず、実施例1-1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネル11について説明する。ITOから構成された画素電極120を備える第一の基板100、及び、ITOから構成された共通電極220を備える第二の基板200を用意した。画素電極120の第一の支持基板110と反対側の面、及び、共通電極220の第二の支持基板210と反対側の面に、それぞれ、光異性化ポリマーを含む配向膜材料を塗布し、光配向処理を施し、第一の配向膜410及び第二の配向膜420を形成した。第一の配向膜410及び第二の配向膜420には、互いに反平行配向(アンチパラレル配向)となるように光配向処理を施した。
【0197】
続いて、第一の配向膜410及び第二の配向膜420を内側にして、第一の基板100及び第二の基板200を対向して配置し、第一の基板100及び第二の基板200間に、ポジ型液晶であるホスト液晶(液晶成分320)を90.6wt%、光重合性液晶化合物(モノマー)を8.96wt%及び重合開始剤を0.448wt%含有する組成物(高分子分散液晶材料)を注入した。液晶成分320には、Δn=0.18、Δε=+20、回転粘性γ1=206mPa・sである液晶化合物を用いた。光重合性液晶化合物としては、メソゲン基と光反応性基とアクリレート基とを有するモノマーを用いた。重合開始剤としては、OXE03(BASF社製)を用いた。
【0198】
当該高分子分散材料液晶に光照度50mW/cm2、光照射量2J/cm2、(主波長365nm)の紫外線(UV)を照射して(即ち40秒間の照射)上記モノマーをポリマー化し、第一の基板100及び第二の基板200間に高分子分散液晶300を形成し、セル厚は3μmの第一の液晶パネル11を作成した。第一の液晶パネル11には、ブラックマトリクス層及びカラーフィルタ層は設けなかった。
【0199】
実施例1-1の液晶表示装置1が備える第二の液晶パネル12には、偏光板がクロスニコルに配置された既存のVAモードの液晶パネルを用いた。更に、既存技術と同様に、第二の液晶パネル12の背面側に、導光板及び導光板の端面に配置されたLED光源を備えるバックライト50を配置した。
【0200】
第一の光源31X及び第二の光源31Yは、それぞれ、赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31Bが、各色複数個、一列に配置された棒状光源であった。第一の光源31X及び第二の光源31YをFSC駆動することにより、カラー表示を可能にした。
【0201】
実施例1-1において、
図1に示す各部分の長さ及び角度を以下のように設定した。
h11=h12=8cm
a=20cm
b=10cm
θ11=θ12=68°
【0202】
以上のようにして作製した実施例1-1の液晶表示装置が備える第一の液晶パネル11は、電圧無印加時は透明状態であり、電圧印加時に散乱状態となるリバース型(リバースモード)の液晶パネルであった。また、実施例1-1では、1≦8≦{20/tan68°}≒8.08であり、上記(式1-1)及び(式1-2)を満たしていた。
【0203】
(実施例1-2)
図14は、実施例1-2の液晶表示装置の断面模式図である。
図15Aは、実施例1-2の液晶表示装置が備える遮光ルーバーシートの、透過率の角度依存性を示すグラフである。
図15Bは、
図15Aに示すグラフの四角で囲んだ領域における拡大図である。
図15Cは、実施例1-2の液晶表示装置が備える遮光ルーバーシートの、透過率の角度依存性の測定方法を示す模式図である。
【0204】
第一の液晶パネル11の観察面側に、遮光ルーバ13として、
図15A及び
図15Bに示す透過率の角度依存性を有する、信越ポリマー社製の遮光ルーバーシートを設けたこと以外は、実施例1-1と同様にして
図14に示す実施例1-2の液晶表示装置を作製した。遮光ルーバーシートは、遮光層1311のピッチp=0.100mm、視野角48°、最大光線透過率角度0°であり、一対の透明フィルム132は各々、厚さ0.2mmのPCフィルムから構成されており、遮光ルーバーシートの厚みは0.79mmであった。
【0205】
なお、本明細書において、遮光ルーバ(例えば、上記遮光ルーバーシート)の透過率の角度依存性は、
図15Cに示す方法により、パネルモジュール評価装置LCD5200(大塚電子株式社製)を用いて求めた。具体的には、パネルモジュール評価装置LCD5200を用いて、
図15Cに示すように遮光ルーバを配置した場合の各角度θにおける輝度、及び、遮光ルーバを配置しない場合の角度θ=0°における輝度を測定した。遮光ルーバを配置した場合の各角度θにおける輝度を、遮光ルーバを配置しない場合の角度θ=0°における輝度で除することにより、各角度θにおける透過率を求めた。輝度を測定する際の光源としては、ハロゲンランプを用いた。測定波長は約550nmに設定し、受光角は約2°とした。実施例1-2で用いた遮光ルーバーシートは、θ=23.5°において透過率が1%未満であり、強い遮光性能を有していた。
【0206】
(実施例1-3)
図16は、実施例1-3の液晶表示装置の断面模式図である。
図17は、光学フィルムの透過率の角度依存性の測定方法を示す模式図である。第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を配置したこと以外は、実施例1-1と同様にして、
図16に示す実施例1-3の液晶表示装置1を作製した。
【0207】
実施例1-3では、異方性光拡散フィルム14として、下記表1の光学特性を示す異方性光拡散フィルム1-aを用いた。下記表1は、異方性光拡散フィルム1-aの透過率の角度依存性を示している。
【0208】
なお、本明細書において、異方性光拡散フィルム、異方性光反射フィルム等の光学フィルムの透過率の角度依存性は、
図17に示す方法により、パネルモジュール評価装置LCD5200(大塚電子株式社製)を用いて求めた。具体的には、パネルモジュール評価装置LCD5200を用いて、
図17に示すように光学フィルムを配置した場合の各角度θi(=θd)における輝度を測定し、各角度θi(=θd)における輝度を、角度θi=θd=0°における輝度で除することにより各角度θi(=θd)における透過率を求めた。すなわち、角度0°における透過率を100%として各角度における透過率を算出した。輝度を測定する際の光源としては、ハロゲンランプを用いた。測定波長は約550nmに設定し、受光角は約2°とした。
図17では、異方性光拡散フィルム及び異方性光反射フィルムを光学フィルムとして示している。
【0209】
【0210】
(実施例1-4)
図18は、実施例1-4の液晶表示装置の断面模式図である。第二の液晶パネル12において、第四の支持基板910の観察面側に異方性光反射フィルム15を配置し、異方性光反射フィルム15の両端に第一のミラー61X及び第二のミラー61Yを配置し、第一の光源31X及び第二の光源31Yからの光を背面側に向けて出射させ、θ11=θ12=75°に設定したこと以外は、実施例1-1と同様にして、
図18に示す実施例1-4の液晶表示装置1を作製した。
【0211】
実施例1-4では、異方性光反射フィルム15として、下記表2の光学特性を示す異方性光反射フィルムを用いた。下記表2は、異方性光反射フィルムの透過率の角度依存性を示している。
【0212】
【0213】
実施例1-4では、1≦4≦{20/tan75°}≒5.36であり、上記(式1-1)及び(式1-2)を満たしていた。
【0214】
(実施例1-5)
図19は、実施例1-5の液晶表示装置の断面模式図である。第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を配置し、第二の液晶パネル12において、第四の支持基板910の観察面側に異方性光反射フィルム15を配置し、異方性光反射フィルム15の両端に第一のミラー61X及び第二のミラー61Yを配置し、第一の光源31X及び第二の光源31Yからの光を背面側に向けて出射させ、h11=h12=4cm、b=5cm、θ11=θ12=75°に設定したこと以外は、実施例1-1と同様にして、
図19に示す実施例1-5の液晶表示装置1を作製した。
【0215】
実施例1-5では、異方性光拡散フィルム14として上記異方性光拡散フィルム1-aを用い、異方性光反射フィルム15として、上記表2の光学特性を示す異方性光反射フィルムを用いた。
【0216】
実施例1-5では、1≦4≦{20/tan75°}≒5.36cmであり、上記(式1-1)及び(式1-2)を満たしていた。
【0217】
(実施例1-6)
h11=h12=8cm、b=10cm、θ11=θ12=68°に設定したこと以外は、実施例1-5と同様にして、実施例1-6の液晶表示装置1を作製した。
【0218】
実施例1-6では、1≦8≦{20/tan68°}≒8.08であり、上記(式1-1)及び(式1-2)を満たしていた。
【0219】
(実施例2-1)
図20は、実施例2-1の液晶表示装置の断面模式図である。第一の背面側光源32X及び第二の背面側光源32Yを備えたこと以外は、実施例1-1と同様の構成を有する、
図20に示す実施例2-1の液晶表示装置1を作製した。θ21=θ22=57°に設定した。
【0220】
実施例2-1では、1≦8≦{20/tan68°}≒8.08cmであり、上記(式1-1)及び(式1-2)を満たし、θ11-θ21=θ12-θ22=68°-57°=11°>10°であり上記(式2-1)及び(式2-2)を満たしていた。
【0221】
(実施例2-2)
図21は、実施例2-2の液晶表示装置の断面模式図である。第一の液晶パネル11の観察面側に、実施例1-2で使用したものと同様の遮光ルーバ13を配置したこと以外は、実施例2-1と同様にして
図21に示す実施例2-2の液晶表示装置を作製した。
【0222】
(実施例2-3)
図10Cに示すように、第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-3の液晶表示装置1を作製した。実施例2-3では、異方性光拡散フィルム14として、上記異方性光拡散フィルム1-aを用いた。
【0223】
(実施例2-4)
図10Dに示すように、第一の液晶パネル11において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-4の液晶表示装置1を作製した。実施例2-4では、異方性光拡散フィルム14として、上記異方性光拡散フィルム1-aを用いた。
【0224】
(実施例2-5)
図10Cに示すように、第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-5の液晶表示装置1を作製した。実施例2-5では、異方性光拡散フィルム14として、下記表3の光学特性を有する異方性光拡散フィルム1-bを用いた。下記表3は、異方性光拡散フィルム1-bの透過率の角度依存性を示している。
【0225】
【0226】
(実施例2-6)
図10Dに示すように、第一の液晶パネル11において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-6の液晶表示装置1を作製した。実施例2-6では、異方性光拡散フィルム14として、上記異方性光拡散フィルム1-bを用いた。
【0227】
(実施例2-7)
図10Cに示すように、第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-7の液晶表示装置1を作製した。実施例2-7では、異方性光拡散フィルム14として、下記表4の光学特性を有する異方性光拡散フィルム1-cを用いた。下記表4は、異方性光拡散フィルム1-cの透過率の角度依存性を示している。
【0228】
【0229】
(実施例2-8)
図10Dに示すように、第一の液晶パネル11において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-8の液晶表示装置1を作製した。実施例2-8では、異方性光拡散フィルム14として、上記異方性光拡散フィルム1-cを用いた。
【0230】
(実施例2-9)
図10Cに示すように、第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-9の液晶表示装置1を作製した。実施例2-9では、異方性光拡散フィルム14として、下記表5の光学特性を有する異方性光拡散フィルム1-dを用いた。下記表5は、異方性光拡散フィルム1-dの透過率の角度依存性を示している。
【0231】
【0232】
(実施例2-10)
図10Dに示すように、第一の液晶パネル11において、第二の支持基板210の観察面側に異方性光拡散フィルム14を設けたこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-10の液晶表示装置1を作製した。実施例2-10では、異方性光拡散フィルム14として、上記異方性光拡散フィルム1-dを用いた。
【0233】
(実施例2-11)
第二の液晶パネル12において、第四の支持基板910の観察面側に異方性光反射フィルム15を配置したこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-11の液晶表示装置1を作製した。実施例2-11では、異方性光反射フィルム15として、上記表2の光学特性を示す異方性光反射フィルムを用いた。
【0234】
(実施例2-12)
第一の液晶パネル11において、第一の支持基板110の背面側に異方性光拡散フィルム14を配置し、第二の液晶パネル12において、第四の支持基板910の観察面側に異方性光反射フィルム15を配置したこと以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-12の液晶表示装置1を作製した。
【0235】
実施例2-12では、異方性光拡散フィルム14として上記異方性光拡散フィルム1-aを用い、異方性光反射フィルム15として、下記表2の光学特性を示す異方性光反射フィルムを用いた。
【0236】
(比較例1)
図22は、比較例1の液晶表示装置の断面模式図である。実施例1-1と同様にして作製した第一の液晶パネル11の背面側に、OCA等の接着部材80を介してバックライト50Rを配置して、比較例1の液晶表示装置1RFを作製した。バックライト50Rは、導光板52Rの端面にLED光源51Rを備えていた。
【0237】
(実施例及び比較例の評価)
上記実施例及び比較例について、透明状態における透過率、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度、パネル中央部の正面コントラスト、及び、斜め視からのLED目玉の見え方について評価を行った。結果を下記表6に示す。
【0238】
なお、各評価は以下の通り行った。
<透明状態における透過率>
トプコン社製の輝度計(SR-UL1)を用いて、通常のバックライト(液晶表示装置用光源)上に各実施例及び比較例の19型の第一の液晶パネルを電圧無印加状態で配置した場合の輝度、及び、上記バックライト上に何も配置しない場合の輝度を測定した。第一の液晶パネルを電圧無印加状態で配置した場合の輝度を、上記バックライト上に何も配置しない場合の輝度で除することにより、透明状態における透過率を求めた。輝度の測定では、光源としてハロゲンランプを用い、受光角は2°に、測定波長は約550nmに設定した。
【0239】
<散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度、及び、パネル中央部の正面コントラスト>
通常のバックライト(液晶表示装置用光源)上に各実施例及び比較例の19型の第一の液晶パネルを配置し、第一の液晶パネルと上記トプコン社製の輝度計との間の距離を約50cmに設定し、暗室下における散乱状態での輝度(白輝度)及び透明状態での輝度を測定した。散乱状態での輝度を、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度とした。また、散乱状態での輝度を透明状態での輝度で除することにより、パネル中央部の正面コントラストを求めた。輝度の測定では、光源としてハロゲンランプを用い、受光角は2°に、測定波長は約550nmに設定した。
【0240】
<斜め視からのLED目玉の見え方>
目視にて、赤色のLED31R、緑色のLED31G及び青色のLED31Bの輝線が視認できるかどうかで主観評価を行った。
【0241】
【0242】
上記表6において、主観評価は以下のように定義する。
◎:非常に良好
〇:良好
△:標準
×:悪い
【0243】
上記表6において、斜め視からのLED目玉の評価では、観察者にLED光が見えないことが重要である。
【0244】
また、実施例2-3、2-7~2-10及び比較例1の液晶表示装置についてNTSC比を測定した。NTSC比は、実施例2-3が5.7%、実施例2-7が2.8%、実施例2-8が2.8%、実施例2-9が2.5%、実施例2-10が2.6%、及び、比較例1が20.5%であった。なお、NTSC比は次のようにして測定した。各実施例及び比較例の第一の液晶パネルについて、トプコン社製の輝度計(SR-UL1)を用いてRGB毎の色度(x、y)を測定し、カバー色域(面積)を算出し、NTSC(色域規格)の面積と比を取ることによって、算出した。
【0245】
実施例1-1~1-6及び2-1~2-12の液晶表示装置は、第一の液晶パネルが高分子分散液晶を備えるため偏光板を用いることなく画像表示を行うことが可能であり、透明状態における透過率の低下を抑えることができた。また、実施例1-1~1-6及び2-1~2-12では、第一の液晶パネル11の背面側の主面11Pに対して斜め方向から光が照射されたため、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度、及び、パネル中央部の正面コントラストを高めることができた。一方、比較例1では、導光板52Rの端面からLED光源51Rの光を入射させたため、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度、及び、パネル中央部の正面コントラストを高めることができなかった。
【0246】
また、実施例1-1~1-6の液晶表示装置は(式1-1)及び(式1-2)を満たすため、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となった。
【0247】
また、実施例2-1~2-2の液晶表示装置は、(式1-1)及び(式1-2)、並びに、(式2-1)及び(式2-2)を満たすため、散乱状態における正面散乱成分が強くなり、散乱状態におけるパネル中央部の輝度の低下をより抑えることが可能となり、より明るい表示が可能となった。
【0248】
例えば、h11=h12=2cmとした場合、(式1-1)及び(式1-2)を満たさなくなるが、この場合、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度は100cd以下となると考えられる。
【0249】
比較例1の液晶表示装置1RFは、散乱状態におけるパネル中央部の正面輝度が60cd/m2であり、パネル中央部の正面コントラストが1.4であり、正面からの表示品位が悪く、観察者が不快に感じるレベルであった。
【0250】
図23は、LED目玉の評価について説明する模式図である。実施例1-2や実施例2-2の液晶表示装置のように、遮光ルーバ13を備える液晶表示装置では、
図23に示すように斜め方向からの観察位置2及び3から観察した場合にも、LED目玉は観察されなかった。
【符号の説明】
【0251】
1、1RF:液晶表示装置
1B、1G、1R:入力階調データ
1b、1g、1r:印加階調データ
4:画素形成部
11:第一の液晶パネル
11A:表示部
11P:背面側の主面
11X:一方の端辺部分
11Y:他方の端辺
12:第二の液晶パネル
13:遮光ルーバ
14:異方性光拡散フィルム
15:異方性光反射フィルム
20:透明樹脂板
31X:第一の光源
31Y:第二の光源
32X:第一の背面側光源
32Y:第二の背面側光源
31B、31G、31R:LED(発光ダイオード)
40:TFT(薄膜トランジスタ)
42:液晶容量
43:補助容量
45:補助容量電極
46:画素容量
50、50R:バックライト
51R:LED光源
52R:導光板
61X:第一のミラー
61Y:第二のミラー
62X:第三のミラー
62Y:第四のミラー
63X:第五のミラー
63Y:第六のミラー
70X:第一の輝度上昇フィルム
70Y:第二の輝度上昇フィルム
80:接着部材
100:第一の基板
110:第一の支持基板
120、620:画素電極
131:ルーバ層
132:透明フィルム
200:第二の基板
210:第二の支持基板
220、930:共通電極
300:高分子分散液晶
310:ポリマーネットワーク
320:液晶成分
410:第一の配向膜
420:第二の配向膜
510:第一の偏光板
520:第二の偏光板
600:第三の基板
610:第三の支持基板
710:第三の配向膜
720:第四の配向膜
800:液晶層
900:第四の基板
910:第四の支持基板
920:カラーフィルタ層
1000:前処理部
1100:信号分離回路
1200:データ補正回路
1300(R):赤色フィールドメモリ
1300(G)緑色フィールドメモリ
1300(B):青色フィールドメモリ
1311:遮光層
1312:透明層
2000:タイミングコントローラ
3100:ゲートドライバ
3200:ソースドライバ
3300:LEDドライバ
4011:屈折率が相対的に低い領域
4012、4012´:屈折率が相対的に高い領域
4012a、4012a´:柱状物
4014:屈曲部
4020:第一の内部構造
4020a、4030a:カラム構造
4020b、4030b:ルーバ構造
4030:第二の内部構造
4050:光拡散層
DIN:入力画像信号
DV:デジタル映像信号
GCK:ゲートクロック信号
GSP:ゲートスタートパルス信号
GL、GL1~GLm:ゲート線
LS:ラッチストローブ信号
S1:LEDドライバ制御信号
S2:光源制御信号
SCK:ソースクロック信号
SL、SL1~SLn:ソース線
SSP:ソーススタートパルス信号