(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】シャント、閉塞器、開窓のためのメディカルデバイスならびに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/86 20130101AFI20230731BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61F2/86
A61B17/00 500
(21)【出願番号】P 2021502485
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(86)【国際出願番号】 US2019042252
(87)【国際公開番号】W WO2020018699
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エス.コール
(72)【発明者】
【氏名】トム アール.マクダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エー.スミス
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-248105(JP,A)
【文献】特表2016-511656(JP,A)
【文献】特表2008-512211(JP,A)
【文献】特表2017-513545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/86
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的構造に適合するように構成された第一のフレーム構成要素と、
患者の解剖学的構造に適合するように構成された第二のフレーム構成要素と、
前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分と、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスであって、
前記第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離しており、
前記導管部分は前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素とを接続する膜を含み、前記導管部分はフレーム構成要素を含ま
ず、
前記導管部分は、そこを通して流れを可能にする管腔を含む、インプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項2】
前記導管部分の少なくとも一部は前記導管部分内の前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素によって半径方向に支持されていない、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は前記導管部分の展開を容易にし、前記導管部分を通る管腔を維持するように構成されている、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記第一のフレーム構成要素は第一のセットの長尺要素を含み、前記第二のフレーム構成要素は第二のセットの長尺要素を含み、そして、前記第一のセットの長尺要素と前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していない、請求項1~3のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項5】
前記第一のセットの長尺要素は第一の複数の支持体ストラットを含み、前記第二のセットの長尺要素は第二の複数の支持体ストラットを含み、前記第一の複数の支持体ストラット及び第二の複数の支持体ストラットは、前記長尺要素のそれぞれの中に支持構造を形成する、請求項4記載のデバイス。
【請求項6】
前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく第一のフレーム構成要素内に配置される及び前記第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである、請求項4~
5のいずれか1項記載デバイス。
【請求項7】
前記第一のセットの長尺要素及び第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している、請求項
6記載のデバイス。
【請求項8】
前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の部分を少なくとも部分的に覆うように延在している、請求項1~
7のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項9】
前記膜は、組織の内殖を促進して、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の少なくとも一部を覆うように構成されている、請求項
8記載のデバイス。
【請求項10】
前記第一のフレーム構成要素上に配置された第一の膜フィルム及び前記第二のフレーム構成要素上に配置された第二の膜フィルムをさらに含む、請求項1~
9のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項11】
前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を0~15mmのギャップによって分離する、請求項1~
10のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項12】
心臓の左心房と右心房との間の血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスであって、
心臓の中隔をまたがるように構成され、
管腔を含みそこを通して流体の流れを可能にするように構成された導管部分、及び、
前記導管部分の第一の側に配置された第一のセットの長尺要素と、前記導管部分の第二の側に配置された第二のセットの長尺要素とを含み、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していないフレーム構成要素、
を含む、デバイス。
【請求項13】
前記フレーム構成要素は、第一のセットの長尺要素を含む第一の側と、第二のセットの長尺要素を含む第二の側とを形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第一の側及び前記導管部分の範囲内に配置されており、前記第二のセットの長尺要素は前記第二の側及び前記導管部分の範囲内に配置されている、請求項
12記載のデバイス。
【請求項14】
前記第一のセットの長尺部材及び前記第二のセットの長尺部材は、前記導管部分から半径方向外向きに広がり、第一の角度及び第二の角度を形成し、前記第一の角度及び第二の角度は前記導管部分に対して約90°の角度である、請求項
12~
13のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項15】
前記導管部分又は前記フレーム構成要素とともに配置され、生理学的特性、血行動態、バイオマーカー、音、圧力及び電解質のうちの少なくとも1つを感知するように構成されたセンサをさらに含む、請求項
12~
14のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項16】
デバイスの耐血栓性及び開存性を促進するためのヘパリンのコーティング及び組織/細胞応答を調節するためのパクリタキセルのコーティングのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項
12~
15のいずれか1項記載のデバイス。
【請求項17】
第一のフレーム構成要素と、
第二のフレーム構成要素と、
前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分であって、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して拡張するように構成された前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を接続する膜を含む、導管部分と、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスであって、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離しており、前記導管部分はフレーム構成要素を含ま
ず、
前記導管部分は、そこを通して流れを可能にする管腔を含む、インプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項18】
前記導管部分は、患者の左心房と右心房との間の中隔をまたがるように構成され、前記導管部分は前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して中隔を拡張するように構成されている、請求項
17記載のデバイス。
【請求項19】
前記導管部分は中隔の拡張された直径を維持するように構成されている、請求項
18記載のデバイス。
【請求項20】
前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく前記第一のフレーム構成要素内に配置される及び第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく前記第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである、請求項
17記載のデバイス。
【請求項21】
前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している、請求項
20記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年7月18日に出願された仮出願第62/699,815号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、インプラント可能なメディカルデバイス、より具体的には、体液又は構造を分路及び/又は閉塞するためのインプラント可能なメディカルデバイス、ならびにそれらの関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心不全及び心臓の疾患は、世界中の何百万もの人々に影響を及ぼしている。心不全としては、心臓の左側、心臓の右側又はその両方の機能不全が挙げられる。心不全につながる可能性のある心臓の疾患としては、高血圧、肺動脈性高血圧及び心臓の先天性欠陥が挙げられる。心不全の絶えず進化する性質は治療法にとって重要な課題である。したがって、心不全を治療するための新しく適応可能な方法及びデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0004】
要旨
1つの例(「例1」)において、インプラント可能なメディカルデバイスは、患者の解剖学的構造に適合するように構成された第一のフレーム構成要素、患者の解剖学的構造に適合するように構成された第二のフレーム構成要素、ここで、前記第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離している、ならびに、前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分であって、前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素とを接続する膜を含む導管部分を含む。
【0005】
別の例(「例2」)において、例1のデバイスに加えて、前記導管部分の少なくとも一部は前記導管部分内の前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素によって半径方向に支持されていない。
【0006】
別の例(「例3」)において、例2のデバイスに加えて、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は前記導管部分の展開を容易にし、前記導管部分を通る管腔を維持するように構成されている。
【0007】
別の例(「例4」)において、例1~3のいずれか1つのデバイスに加えて、前記導管部分はフレーム構成要素を含まない。
【0008】
別の例(「例5」)において、例1~4のいずれか1つのデバイスに加えて、前記第一のフレーム構成要素は第一のセットの長尺要素を含み、前記第二のフレーム構成要素は第二のセットの長尺要素を含み、そして、前記第一のセットの長尺要素と前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していない。
【0009】
別の例(「例6」)において、例5のデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺要素は第一の複数の支持体ストラットを含み、前記第二のセットの長尺要素は第二の複数の支持体ストラットを含み、前記第一の複数の支持体ストラット及び第二の複数の支持体ストラットは、前記長尺要素のそれぞれの中に支持構造を形成する。
【0010】
別の例(「例7」)において、例6のデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺要素は複数の第一のローブを形成する。
【0011】
別の例(「例8」)において、例6のデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺要素は星形を形成する。
【0012】
別の例(「例9」)において、例5~8のいずれか1つのデバイスに加えて、前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく第一のフレーム構成要素内に配置される及び前記第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである。
【0013】
別の例(「例10」)において、例9のデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺要素及び第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している。
【0014】
別の例(「例11」)において、例1~10のいずれか1つのデバイスに加えて、前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の部分を少なくとも部分的に覆うように延在している。
【0015】
別の例(「例12」)において、例11のデバイスに加えて、前記膜は、組織の内殖を促進して、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の少なくとも一部を覆うように構成されている。
【0016】
別の例(「例13」)において、例1~12のいずれか1つのデバイスに加えて、前記デバイスはまた、前記第一のフレーム構成要素上に配置された第一の膜フィルム及び前記第二のフレーム構成要素上に配置された第二の膜フィルムを含む。
【0017】
別の例(「例14」)において、例1~3のいずれか1つのデバイスに加えて、前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を0~15mmのギャップによって分離する。
【0018】
1つの例(「例15」)において、心臓の左心房と右心房との間の血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスは、心臓の中隔をまたがるように構成され、そこを通して流体の流れを可能にするように構成された導管部分、及び、前記導管部分の第一の側に配置された第一のセットの長尺要素と、前記導管部分の第二の側に配置された第二のセットの長尺要素とを含み、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していないフレーム構成要素を含む。
【0019】
別の例(「例16」)において、例15のデバイスに加えて、前記フレーム構成要素は、第一のセットの長尺要素を含む第一の側と、第二のセットの長尺要素を含む第二の側とを形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第一の側及び前記導管部分の範囲内に配置されており、前記第二のセットの長尺要素は前記第一の側及び前記導管部分の範囲内に配置されている。
【0020】
別の例(「例17」)において、例15~16のいずれか1つのデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺部材及び前記第二のセットの長尺部材は、前記導管部分から半径方向外向きに広がり、第一の角度及び第二の角度を形成し、前記第一の角度及び第二の角度は前記導管部分に対して約90°の角度である。
【0021】
別の例(「例18」)において、例15~17のいずれか1つのデバイスに加えて、前記デバイスはまた、前記導管部分又は前記フレーム構成要素とともに配置され、生理学的特性、血行動態、バイオマーカー、音、圧力及び電解質のうちの少なくとも1つを感知するように構成されたセンサを含む。
【0022】
別の例(「例19」)において、例15~18のいずれか1つのデバイスに加えて、前記デバイスはまた、デバイスの耐血栓性及び開存性を促進するためのヘパリンのコーティング及び組織/細胞応答を調節するためのパクリタキセルのコーティングのうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
1つの例(「例20」)において、心臓の左心房と右心房との間の血圧を調節する方法は、心臓の中隔をまたがるように構成され、そこを通して流体の流れを可能にするように構成された導管部分、及び、前記導管部分の第一の側に配置された第一のセットの長尺要素と、前記導管部分の第二の側に配置された第二のセットの長尺要素とを含み、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していないフレーム構成要素を含む、インプラント可能なメディカルデバイスを、患者の体内の所望の治療位置にデリバリーすること、前記導管部分が心臓の左心房と右心房の間の中隔をまたがるように前記デバイスを位置決めすること、及び、前記導管部分が所望の量を開いて左心房と右心房との間に流体流路を提供するように、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素を展開することを含む。
【0024】
別の例(「例21」)において、例20の方法に加えて、この方法はまた、前記導管部分の直径及びそれを通る流体流速を調節するために前記デバイスに対する張力を調整することを含む。
【0025】
1つの例(「例22」)によれば、インプラント可能なメディカルデバイスは、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素、ここで、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離している、及び、前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分であって、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して拡張するように構成された前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を接続する膜を含む、導管部分を含む。
【0026】
別の例(「例23」)において、例22のデバイスに加えて、前記導管部分は、患者の左心房と右心房との間の中隔をまたがるように構成され、前記導管部分は前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して中隔を拡張するように構成されている。
【0027】
別の例(「例24」)において、例23のデバイスに加えて、前記導管部分は中隔の拡張された直径を維持するように構成されている。
【0028】
別の例(「例25」)において、例22のデバイスに加えて、前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく前記第一のフレーム構成要素内に配置される及び前記第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく前記第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである。
【0029】
別の例(「例26」)において、例25のデバイスに加えて、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している。
【0030】
上記の実施例はまさに例であり、本開示によって提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限する又は他の方法で狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0032】
【
図1】
図1は、1つの実施形態による、血圧を調節するための例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0033】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、血圧を調節するための例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0034】
【
図3A】
図3Aは、1つの実施形態による、血圧を調節するための別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスの斜視図である。
【0035】
【
図3B】
図3Bは、1つの実施形態による、
図3Aに示される、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの側面図である。
【0036】
【
図4】
図4は、1つの実施形態による、例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0037】
【
図5A】
図5Aは、1つの実施形態による、血圧を調節するための別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスの第一の斜視図である。
【0038】
【
図5B】
図5Bは、1つの実施形態による、
図5Aに示される、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの第二の斜視図である。
【0039】
【
図5C】
図5Cは、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの第三の斜視図である。
【0040】
【
図6】
図6は、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイス及び展開システムのための例示的なステントパターンである。
【0041】
【
図7】
図7は、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイス及び展開システムのための別の例示的なステントパターンである。
【0042】
【
図8A】
図8Aは、1つの実施形態による、マンドレル上に配置された例示的なインプラント可能なメディカルデバイスを示す。
【
図8B】
図8Bは、1つの実施形態による、マンドレル上に配置された例示的なインプラント可能なメディカルデバイスを示す。
【0043】
【
図8C】
図8Cは、1つの実施形態による、患者の体内にインプラントされた
図8A及び8Bの例示的なインプラント可能なメディカルデバイスを示す。
【
図8D】
図88Dは、1つの実施形態による、患者の体内にインプラントされた
図8A及び8Bの例示的なインプラント可能なメディカルデバイスを示す。
【0044】
【
図9】
図9は、1つの実施形態による、別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【0045】
【
図10】
図10は、1つの実施形態による、別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は限定的な方法で読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰属する意味内容で広く読まれるべきである。
【0047】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は互換可能に使用されることができ、記載された測定値を含み、そして記載された測定値に合理的に近いあらゆる測定値を含む測定値を指す。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる小さな調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作及び/又は同様のものなどに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0048】
【0049】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0050】
本開示の様々な態様は、体液又は構造を分流及び/又は閉塞するためのデバイスなどのインプラント可能なメディカルデバイスを対象とする。特定の例において、本開示の様々な態様は、圧力リリーフシャントを作成することによって心腔内の高くなった血圧を低減することによって心不全を治療するための方法及び装置に関する。さらに、幾つかの実施形態は、圧力リリーフシャントの治療効果を高めるために、シャントを通る血流をカスタマイズし、調整し又は操作するための方法及び装置に関する。
【0051】
図1は、1つの実施形態による血圧を調節するための例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。インプラント可能なメディカルデバイス100は、患者の心臓H内にインプラントされて示されている。デバイス100は、患者の左心房と右心房との間に配置されて示されている。特定の例において、デバイス100を使用して、心臓H内、例えば、左心房と右心房LA、RAの間の血流を調節することができる。示されるように、デバイス100は、一般に、中隔の第一の側(例えば、右心房RA内)に配置された第一のフレーム構成要素110、中隔の第二の側(例えば、左心房LA内)に配置された第二のフレーム構成要素120、及び、中隔を通って延在している導管部分130を含む。針を使用して、中隔に開口部を作成することができる。
【0052】
デバイス100の展開を容易にするために、シース140及び拘束及び/又は解放ライン(図示せず)を使用することができる。例えば、第一のフレーム構成要素110を含むデバイス100の第一の側は、シース140が中隔を通ってRAに進められた後に解放されることができ、第二のフレーム構成要素120を含む第二の側120は、中隔のLA側で解放されうる。導管部分130(例えば、
図2に示される)は開口部内に配置される。フレーム構成要素110、120及び導管部分130は、デバイス100の患者内の所望の治療領域へのデリバリー中にシース140内で圧縮され、続いて、デバイス100の展開中に拡張されうる。
【0053】
図2は、1つの実施形態による、血圧を調節するための例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。示されるように、デバイス100は第一のフレーム構成要素110及び第二のフレーム構成要素120を含む。第一のフレーム構成要素110は、患者の解剖学的構造(すなわち、例えば、中隔の第一の側)に適合するように構成されうる。第二のフレーム構成要素120は、患者の解剖学的構造(すなわち、中隔の第二の側)に適合するように構成されうる。
【0054】
特定の例において、第一のフレーム構成要素110は、第一のセットの長尺要素112を含み、第二のフレーム構成要素120は、第二のセットの長尺要素122を含む。例えば、長尺要素112、122を含む、フレーム構成要素110、120は区別され、互いに分離していることができる。例えば、第一のフレーム構成要素110は、デバイス100の第一の側100aを形成し、第二のフレーム構成要素120は、デバイス100の第二の側100bを形成する。第二のフレーム構成要素120とは区別され、分離されている第一のフレーム構成要素110は、デバイスの第二の側100bには入らず、第一のフレーム構成要素110とは区別され、分離されている第二のフレーム構成要素120は、デバイスの第一の側100aには入らない。
【0055】
特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は互いに隣接していない。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は互いに隣接していないため、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は区別され、互い分離することが可能になる。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、患者の解剖学的構造の動きに応答して、互いに別個に自由に動くことができる。このようにして、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の一方に作用する力は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の他方の内部に維持される。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の1つに作用する力は、力が作用するフレーム構成要素に隔離されうる。
【0056】
示されるように、導管部分130は、第一のフレーム構成要素と第二のフレーム構成要素との間に配置される。導管部分130の少なくとも一部は、一般に、導管部分130内の第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120によって半径方向又は周方向に支持されていない。
図2に示されるように、導管部分130は、約90度の角度(他の角度が考えられる)で第一の側100a及び第二の側100bに遷移する。導管部分130の境界は、導管部分130が第一の側100a及び第二の側100bに遷移する位置であると考えることができる。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130に対して横方向に延在している。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130の境界に実質的に入ることなく、導管部分130を支持しうる。特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130の境界の外側から横方向に導管部分130を支持する。したがって、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130を通る管腔を維持し、導管部分130を横方向に強制的に開くことによって導管部分130の展開を促進することができる。
【0057】
特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は導管部分130に張力を与えて、導管部分130をそれを通る管腔とともに展開及び維持することができる。導管部分130は、導管部分130の完全に展開された直径よりも小さい直径を有する開口部(例えば、中隔を横切る針刺し)を通して組織表面間で中隔内にて展開されうる。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の拡張によって与えられる導管部分130における張力はまた、組織表面間で中隔を所望のシャントサイズに拡張することができる。
【0058】
特定の例において、導管部分130はフレーム構成要素を実質的に含まないことができる。例えば、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、上記のように互いに隣接していないので、導管部分130の境界の外部に配置される。導管部分130は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜などの膜132を含み、第一のフレーム構成要素110と第二のフレーム構成要素120とを接続することができる。例えば、膜132は、一般に、患者の体内で適合する適切な距離で第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素を分離する。例えば、膜132は患者の体内の所望の治療位置に応じて、0~15mmのギャップで第一のフレーム構成要素110と第二のフレーム構成要素120を分離することができる。さらに、導管部分は、膜132のみから形成することができる。組織表面間の中隔内で展開するように構成された導管部分130は、第一のフレーム構成要素110及び第二のフレーム構成要素120を含まない。導管部分130は、ステント要素からの隆起が流れを中断又は妨害することなく、それを通る血流を容易にする滑らかな内部を含むことができる。したがって、導管部分130は血栓症の機会を減らすことができる。
【0059】
導管部分130を形成する膜132に加えて、膜132はまた、第一のフレーム構成要素110の少なくとも一部、第二のフレーム構成要素120の少なくとも一部、又は、第一のフレーム構成要素110及び第二のフレーム構成要素120の少なくとも一部を覆うことができる。特定の例において、第一のフレーム構成要素110及び/又は第二のフレーム構成要素120の少なくとも一部に配置された膜132は別個の膜フィルム(例えば、第一のフレーム構成要素110上に配置された第一の膜フィルム及び第二のフレーム構成要素120上に配置された第二の膜フィルム)である。これら例において、膜フィルム(1つ又は複数)は、導管部分130内の膜132に結合されうる。膜132は弾性であることができ、導管部分130の拡張を可能にし、第一のフレーム構成要素110及び/又は第二のフレーム構成要素120の部分の移動(例えば、第一のセットの長尺要素112及び/又は第二のセットの長尺要素122の移動)を可能にする。
【0060】
膜132は、第一のセットの長尺要素112及び/又は第二のセットの長尺要素122との間のギャップをまたがることができる。膜132は、特定の例において、少なくとも第一のフレーム構成要素110の組織係合側及び第二のフレーム構成要素120の組織係合側に配置される。これらの例において、膜132は、第一のフレーム構成要素110及び/又は第二のフレーム構成要素120のフレーム侵食の可能性を低減するように構成されている。膜132及び第一のセットの長尺要素112及び/又は第二のセットの長尺要素122の配置は、中隔を取り巻く組織表面に適合することができる。第一のセットの長尺要素112及び/又は第二のセットの長尺要素122は、組織表面に対して平らに横たえることができる。
【0061】
特定の例において、第一のセットの長尺要素112のそれぞれは、膜132を介して互いに取り付けられて、第一のフレーム構成要素110を形成することができる。特定の例において、第一のフレーム構成要素110は、示されているように、実質的に平坦又は二次元状のディスク形状を形成することができる。追加的に又は代わりに、第二のセットの長尺要素122もまた、膜材料132を介して互いに取り付けられて、第二のフレーム構成要素120を形成することができる。第二のフレーム構成要素120はまた、デバイス100が展開構成にあるときに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120が互いに実質的に平行であるように、実質的に平坦又は二次元状のディスク形状を形成することができる。
【0062】
特定の例において、膜132は、膜132の少なくとも一部、又は膜132の少なくとも一部にわたって組織内殖を促進するように構成されうる。特定の例において、膜132は、第一のフレーム構成要素及び/又は第二のフレーム構成要素110、120の少なくとも一部を覆うように、組織内殖を促進するように構成されており、これは、患者の体内のデバイス100の適合性及び安定性をさらに促進しうる。導管部分130内の膜132は、組織内殖を可能にしないように構成されることができ、開存性の増加につながる。特定の例において、膜132は、導管部分130内の閉塞性内殖なしに内皮化を促進するように構成されている。膜132は、導管部分130への組織の閉塞性過成長なしに内皮化を促進することができる。
【0063】
特定の例において、デバイス100は、患者の体内の所望の治療位置に薬物をデリバリーすることができる場合がある。例えば、デバイス100は、組織応答を調節するように構成された薬物を溶出することができる場合がある。特定の例において、デバイス100は、治療用コーティング、薬剤溶出性材料又は他の治療用材料又は親水性コーティングでコーティングされうる。1つの特定の例において、デバイス100は、デバイス100の耐血栓性及び開存性を促進するためにヘパリンでコーティングすることができる。代わりに又は追加的に、デバイス100は、(組織/細胞応答を調節するために)パクリタキセルを含むことができる。
【0064】
図3Aは、1つの実施形態による、血圧を調節するための別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイス100の斜視図である。示されるように、第一のセットの長尺要素112のそれぞれは、区別され、隣接する長尺要素から分離されていることができる。言い換えれば、膜132は、第一のセットの長尺要素112のそれぞれを一緒に接続しない。このようにして、第一のセットの長尺要素112のそれぞれは、互いに独立して移動し、中隔の第一の側のトポグラフィに個別に適合し、したがって、高度に適合性のある第一のフレーム構成要素110を提供することができる。第二のセットの長尺要素122のそれぞれも、区別され、隣接する長尺要素から分離されていることができる。例えば、第二のセットの長尺要素122のそれぞれは、互いに独立して移動し、第一のセットの長尺要素112が中隔の第一の側に適合するのと非常に類似的に、中隔の第二の側に個別に適合することができる。したがって、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は両方とも非常に適合性があり、患者の解剖学的構造に基づいて互いに独立して適合することができる。
【0065】
特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の第一のセット又は第二のセットの長尺要素112、122の1つは、膜132を介して互いに取り付けられてよく、一方、他のセットの長尺要素は取り付けられなくてよい(例えば、それらは区別され、隣接する長尺要素から分離されている)。他の例において、第一のセット又は第二のセットの長尺要素112、122の一部のみが互いに取り付けられてよく、一方、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122の他の長尺要素は取り付けられない。したがって、デバイス100は、他の要因の中でもとりわけ、患者内の所望の治療位置及び欠損のサイズ及び/又は形状に応じて、患者に対して高度にカスタマイズ可能であることができる。
【0066】
デバイス100は、一般に、デリバリー構成から展開構成に展開可能又は拡張可能である。幾つかの例において、第一のセットの長尺要素112及び第二のセットの長尺要素122は、デバイスがデリバリー構成にあるときに、互いに入れ子になることができる。これにより、デバイス100をより小さなサイズに圧縮して、例えば、デバイス100をより多様な治療位置に(例えば、小さい、狭い又は複雑な通路を通って)デリバリーすることが可能になる。
【0067】
図3Bは、1つの実施形態による、
図3Aに示される、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの側面図である。
図3Bは展開構成のデバイス100を示している。示されるように、第一のセットの長尺要素112を含む第一のフレーム構成要素110及び第二のセットの長尺要素122を含む第二のフレーム構成要素120は、デバイス100が展開構成にあるときに、導管部分130の長手方向軸Lに対して半径方向外向きに配置される。例えば、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、それぞれ、第一の角度及び第二の角度114、124で配置される。第一の角度及び第二の角度114、124は、デバイスが展開構成にあるときに、長手方向軸Lに対して約90°の角度を形成することができる。これにより、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120を、中隔の第一の側及び第二の側と平行に隣接して配置することができる。特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、長手方向軸Lに対して任意の角度(例えば、長手方向軸Lに対して約0°~90°超)で配置されることができ、これにより、中隔の第一の側と第二の側の組織表面との接触が可能になる。
【0068】
特定の例において、第一の長尺要素及び第二の長尺要素112、122は、デバイス100が展開構成にあるときに互いに分離するように構成されている。
図3Bに示されるように、第一のセットの長尺要素112のそれぞれは、デバイス100が展開構成にあるときに、区別され、互いに分離しており、それにより、第一のセットの長尺要素112のそれぞれは隣接する長尺要素から独立して移動することができる。第二のセットの長尺要素122のそれぞれもまた、デバイス100が展開構成にあるときに、区別され、互いに分離していることができ、それにより、第二のセットの長尺要素122のそれぞれは隣接する長尺要素から独立して移動する。
【0069】
第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130を通る管腔を維持し、そして、導管部分130を横方向に強制的に開くことによって、導管部分130の展開を容易にすることができる。さらに、管腔は自由であり、又は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120を含まないことができる。このように、導管部分130は、追加手順(例えば、左心耳閉塞器移植)のための中隔の再交差を容易にすることができる。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、異なって構成されうる。例えば、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120のうちの一方はフレア状になることができ、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の他方は平坦である。他の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方はフレア状であることができる。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120のうちの一方は凸状であることができ、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の他方は平坦又は凹状であり、又は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方は凸状であることができる。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の一方は凹状であることができ、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の他方は平坦又は凸状であるか、又は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方は凹状であることができる。さらに、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、異なるサイズであることができる。
【0070】
第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、例えば、患者の体内のパラメータの中でもとりわけ、圧力などの様々な血行動態的パラメータを継続的に監視するために、それぞれのフレーム構成要素に統合されたセンサを含むことができる。例えば、アンテナ又はインダクタは、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120のうちの1つの周囲に巻き付けられてよく、センサはインダクタに取り付けられてよい。センサは、例えば、心臓疾患、心不全及び/又は他の心血管疾患状態を診断、モニタリング及び/又は治療するのに重要である可能性がある、温度、心臓の電気信号、血液化学、血液pHレベル、血行動態、バイオマーカー、音、圧力及び電解質などの生理学的特性を感知するように構成されうる。
【0071】
特定の例において、導管部分130はデリバリー後にかなり大きくなることができる。膜132は、導管部分130内に適用されて膜132を膨張させるバルーンによって選択的に調整可能であることができる。デバイス100は患者の解剖学的構造に適合するのに適した任意のサイズであることができる。特定の例において、導管部分の直径は3~12mmである。例えば、導管部分の直径は、患者の解剖学的構造及び/又は所望の治療位置に応じて、4~10mm又は5~8mmであることができる。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、一般に、例えば、導管部分130の直径よりも大きい直径を有し、その結果、フレーム構成要素は、デバイス100の導管部分130を中隔内に固定することができる。
【0072】
デバイス100は、患者の解剖学的構造に適合するのに適した任意の形状であることができる。例えば、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム部分110、120は、デバイス100を患者の体内に固定するための任意の様々な適切な形状であることができる。例えば、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム部分110、120は、実質的に円形、卵形、ひし形、星形、花形又は所望のとおりの任意の他の適切な形状であることができる。特定の例において、例えば、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122のうちの少なくとも1つは、星形を形成する。特定の例において、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122の両方は星形を形成する。
【0073】
特定の例において、第一のセットの長尺要素112は複数の第一のローブ116を形成し、第二のセットの長尺要素122は複数の第二のローブ126を形成する。複数の第一のローブ及び第二のローブ116、126のそれぞれは、例えば、所望に応じて、3~12のローブ、4~10のローブ又は6~8のローブを含むことができる。特定の例において、複数の第一のローブ116は複数の第二のローブ126よりも多くのローブを有することができ、他の例において、複数の第一のローブ116は複数の第二のローブ126と同数のローブ又はより少ないローブを有することができる。
【0074】
図4は、1つの実施形態による、別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイス100である。特定の例において、デバイス100は導管部分130の少なくとも一部にわたって配置されたカバー160を含むことができる。カバー160は、例えば、膜132に使用される材料などのグラフト材料によって形成されうる。カバー160は、導管部分130を通過する流体の量を減らすように、又は、特定の例において、流体が導管部分130を完全に通過するのを防ぐように構成される。したがって、カバー160は、所望に応じて、中隔を部分的又は完全に閉塞することができる。これらの場合に、デバイス100は閉塞器であることができる。閉塞器として使用されるときに、拡張された導管部分130は、標的位置(例えば、欠損部内)の中心に配置されうる。
【0075】
図5A~5Cは、様々な実施形態による、血圧を調節するための他の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスの斜視図を示す。示されるように、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122の複数の第一のローブ及び第二のローブ116、126は様々な形状を有することができる。例えば、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122の各ローブは、一般に、長尺、三角形、菱形又は花びら様形状であることができる。
【0076】
図5Aは、1つの実施形態による、血圧を調節するための別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスの第一の斜視図である。示されるように、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122は、デバイス100の第一のフレーム部分及び第二のフレーム部分110、120を形成し、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122のそれぞれは、3つのローブを含む。示されるように、複数の第一のローブ116及び/又は複数の第二のローブ126は、形状が幾分か長尺であることができる。
【0077】
デバイス100は、一般に、デリバリー構成から展開構成へ展開可能又は拡張可能である。幾つかの例において、第一のセットの長尺要素112及び第二のセットの長尺要素122は、デバイスがデリバリー構成にあるときに、互いに入れ子になっている。これにより、デバイス100をより小さなサイズに圧縮することが可能になり、例えば、デバイス100をより多様な治療位置に(例えば、小さい、狭い又は複雑な通路を通って)デリバリーすることができる。
【0078】
図5Bに示されるように、第一のセットの長尺要素112は、第二のセットの長尺要素122と概して異なる形状を有することができる。例えば、複数の第一のローブ116は形状が長尺であり、複数の第二のローブ126は形状が三角形である。示されるように、第一のセットの長尺要素112は、第一のフレーム構成要素110に取り付けられ、第二のセットの長尺要素122は、第二のフレーム構成要素120に取り付けられる。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方は、導管部分130中に延在することができる。しかしながら、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120のいずれも、反対側のフレーム構成要素中に延在しない(例えば、第一のフレーム構成要素110は第二の側100bに延在せず、第二のフレーム構成要素120は第一の側100aに延在しない)。特定の例において、導管部分130内に配置されたステント又はフレーム要素は、
図10を参照してさらに詳細に記載されるように、第三のフレーム構成要素から形成されることができる。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、導管部分130を通る管腔を維持し、導管部分130を横方向に強制的に開くことによって導管部分130の展開を容易にすることができる。
図5Cは、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの第三の斜視図である。示されるように、特定の例において、第一のセットの長尺要素112は、第一の複数の支持体ストラット118を含むことができ、第二のセットの長尺要素122は、第二の複数の支持体ストラット128を含むことができる。第一の複数の支持体ストラット及び第二の複数の支持体ストラット118、128は、一般に、各長尺要素内に支持構造を形成し、これにより、各長尺要素の強度及び/又は安定性を向上させることができる。特定の例において、支持体ストラット118、128はまた、デバイス100のデリバリーを助けることができる。例えば、支持構造は、デバイス100がデリバリー構成にあるときに、デリバリーデバイスをデバイス100に容易に取り付けることができる場所を提供することができる。
【0079】
図6は、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスの例示的なステントパターンである。特定の例において、ステントパターン300は、デバイス100を作成する方法に使用することができる。例えば、特定の例において、デバイス100は、ニチノール(NiTi)又はステンレス鋼などの材料のチューブ又はシートから作られ、これは、ステントパターン300に従って切断され、次いで、
図2~5に示されるように、デバイス100の構成に拡張される。
【0080】
図7は、1つの実施形態による、血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスのための別の例示的なステントパターンである。上記のように、ステントパターン400は、デバイス100を作成する方法に使用することができる。例えば、特定の例において、デバイス100は、ニチノール(NiTi)又はステンレス鋼などの材料のチューブ又はシートから作られ、これは、ステントパターン300に従って切断され、次いで、
図2~5に示されるように、デバイス100の構成に拡張される。他の例において、ステント構成要素は、ジグに巻かれたワイヤによって形成され、次にヒートセットされうる。
【0081】
図6及び7のデバイス100は、一般に、デリバリー構成から展開構成に展開可能又は拡張可能である。幾つかの例において、第一のセットの長尺要素112(図示せず)及び第二のセットの長尺要素122(図示せず)は、デバイスがデリバリー構成にあるときに、互いに入れ子になることができる。これにより、デバイス100をより小さなサイズに圧縮することが可能になり、例えば、デバイス100をより多様な治療位置に(例えば、小さい、狭い又は複雑な通路を通って)デリバリーすることができる。
【0082】
特定の例において、本明細書で論じられるようなデバイス100は複数のフレーム構成要素を含むことができる。フレーム構成要素は、材料の別個のチューブ又はシートから、あるいは、材料の単一のチューブ又はシートから形成されうる。他の例において、フレーム構成要素のそれぞれは、1つ以上のワイヤから個別に形成されうるか、又は、フレーム構成要素は、1つ以上のワイヤによって一緒に形成されうる。本明細書で論じられるように、長尺要素は、ストラット、ワイヤ又はフレーム構成要素の一部を形成するチューブ又はシートの材料の一部であることができる。
【0083】
図8A~8Dは、1つの実施形態による、インプラント可能なメディカルデバイス100を示している。
図8A及び8Bは、マンドレル上に配置されたデバイス100を示している。示されるように、デバイス100は、
図2、3A及び3Bに示されるように、導管部分130から半径方向外向きに配置された第一のシリーズの長尺要素及び第二のシリーズの長尺要素112、122を有する対向する第一のフレーム部分及び第二のフレーム部分110、120を含む。第一のシリーズの長尺要素及び第二のシリーズの長尺要素112、122のそれぞれは、デバイス100のデリバリーを支援するように構成されたアイレットを含むことができる。例えば、第一のシリーズの長尺要素112は第一の複数のアイレット190を含み、第二のシリーズの長尺要素122は第二の複数のアイレット192を含む。
図8C及び8Dは、患者の体内の所望の治療位置にインプラントされた
図8A及び8Bのデバイス100を示している。アイレット190、192は、インプラント可能なメディカルデバイス100の部分を拘束するために、そして特定の例では、デバイス100の再捕捉可能性のために、デリバリーシステム上のワイヤ又は縫合糸様要素とインターフェースしうる。
【0084】
図9は、1つの実施形態による別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイス100である。示されるように、第一のフレーム部分110は、第一のフレーム部分110の表面から長手方向軸に沿って外向きに延びる第一の突出部分196を含むことができる。第二のフレーム部分120はまた、第二のフレーム部分120の表面から長手方向軸に沿って外向きに延びる第二の突出部分198を含むことができる。第一の突出部分及び第二の突出部分196、198は、例えば、ステントフレームから形成することができる。第一の突出部分及び第二の突出部分196、198は、第一のフレーム部分110及び第二のフレーム部分120から独立していることができる。突出部分196、198は、第一のフレーム部分110及び第二のフレーム部分120と90°(例えば、示されているように)又は90°を超え又は90°未満の角度、例えば、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、85°又はそれらの間の任意の角度で交差することができる。第一の突出部分及び第二の突出部分196、198は、デバイス100を身体又は患者にデリバリーした後に、かなり大きくなることができる。
【0085】
特定の例において、血圧を調節するための方法は、デバイス100がデリバリー構成にある間に、デバイス100を患者の体内の所望の治療位置にデリバリーすることを含む。次に、デバイス100は、導管部分130が、例えば、心臓の左心房と右心房との間の中隔をまたがるように、又は、所望に応じて患者の体内の他の欠損部にまたがるように配置されうる。次に、デバイス100は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120が導管部分130から半径方向外向きに延びるように、デリバリー構成から展開構成に拡張され、その結果、導管部分130は、所望の量を開いて、デバイス100を通る流体流路(例えば、特定の例において、左心房と右心房との間)を提供する。特定の例において、デバイス100に対する張力を調整して、デバイス100の導管部分130の直径をさらに調整することができる。これは、例えば、デバイス100を通る流体流速を調整し、多かれ少なかれ流体を所望に応じてデバイス100の導管部分130を通過させることを可能にする。
【0086】
図10は、1つの実施形態による別の例示的なインプラント可能なメディカルデバイスである。デバイス100は、1つの実施形態により、血圧を調節するために使用することができる。示されるように、デバイス100は第一のフレーム部分110及び第二のフレーム部分112を含むことができる。以下でさらに詳細に記載されるように、デバイス100は自己拡張又はバルーン拡張によって導管部分130をプロップ開放するように構成されうる第三のフレーム構成要素150を含む。
図10に示されるように、デバイス100において、第一のフレーム構成要素110は中隔の第一の側に配置されることができ、そして第二のフレーム構成要素120は、中隔の第二の側に配置されることができる。フレーム部分110、120及び導管部分130のそれぞれは、膜132を含むことができる。膜132は第一のフレーム構成要素110の少なくとも一部、第二のフレーム構成要素120の少なくとも一部又は第一のフレーム構成要素110及び第二のフレーム構成要素120の少なくとも一部を覆うことができる。膜132は弾性であることができ、導管部分130の拡張を可能にし、第一のフレーム構成要素110及び/又は第二のフレーム構成要素120の部分の動きを可能にする。
【0087】
特定の例において、第一のセット及び第二のセットの長尺要素112、122(例えば、ストラット、ワイヤ、フレーム要素、ステント要素)は、デバイス100の第一のフレーム部分及び第二のフレーム部分110、120を形成する。
図10に示されるように、第一のセットの長尺要素112は第一のフレーム構成要素110を形成し、第二のセットの長尺要素122は第二のフレーム構成要素120を形成する。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方は、導管部分130内に延在することができる。特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120のいずれも反対側のフレーム構成要素に延在しない(例えば、第一のフレーム構成要素110は第二の側100bに延在せず、第二のフレーム構成要素120は第一の側100aに延在しない)。
【0088】
さらに、第三のフレーム構成要素150(例えば、ステント又はフレーム要素)は、導管部分130内に配置されうる。第三のフレーム構成要素150は、導管部分130内に延在している第一のフレーム構成要素及び/又は第二のフレーム構成要素110、120に追加することができ、又は、第三のフレーム構成要素150は、導管部分130内の唯一のフレーム又はステント構成要素であることができる。第三のフレーム構成要素150は、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方又はいずれかに結合されず又は接続されなくてよい。
【0089】
特定の例において、導管部分130はデリバリー後にかなり大きくなることができる。特定の例において、第三のフレーム構成要素150はバルーン拡張可能である。インプラント後に、導管部分130は、拡張するように構成されている第三のフレーム構成要素150によってサイズ調整可能でありうる。導管部分130は、バルーンによって所望の直径にサイズ調整することができる。特定の例において、第三のフレーム構成要素150は自己拡張するように構成されうる。さらに、第三のフレーム構成要素150は、導管部分130をプロップ開放するように構成されることができ、特定の例において、周囲の組織をプロップ開放するように構成されることができる。
【0090】
特定の例において、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は自己拡張型である。第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120は、中隔の両側の組織に適合するように構成されうる。特定の例において、第一のセットの長尺要素112は互いに独立して移動し、中隔の第一の側のトポグラフィに個別に適合することができ、第二のセットの長尺要素122は互いに独立して移動し、中隔の第二の側に個別に適合することができる。したがって、第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素110、120の両方は高度に適合性であることができ、患者の解剖学的構造に基づいて互いに独立して適合することができる。
【0091】
本明細書で論じられるデバイス100は取り外し可能であることができる。特定の例において、治療がもはや有効でないか又は必要とされないならば、デバイス100を交換又は除去することができる。上記のように、デバイス100は、パクリタキセルなどの薬物でコーティングされて、薬物を標的の解剖学的位置にデリバリーすることができる。特定の例において、特定の医薬品の使用は、膨張した中隔の穿刺の治癒を妨げ、心房シャントの形成をもたらす可能性がある。デバイス10は、血液が左心房から右心房に流れることを可能にする圧力リリーフバルブとして機能し、心臓への負荷を軽減することができる。
【0092】
合成ポリマー(膜成分として使用されうる)の例としては、限定するわけではないが、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機シリコーンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド及びコポリマーが挙げられ、膜材料として適している。1つの実施形態において、前記膜は、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル及びKEVLAR(登録商標)などのポリアラミド、コポリマー化ヘキサフルオロプロピレンを含む又は含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(TEFLON(登録商標)又はGORE-TEX)などのポリフルオロカーボン及び多孔質又は非多孔質ポリウレタンのクラスから作られる。特定の例において、膜は、英国特許第1,355,373号又は同第1,506,432号又は同第1,506,432号明細書又は米国特許第3,953,566号、同第4,187,390号又は同第5,276,276号明細書に記載されている延伸フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含み、これらの文献の全体を参照により取り込む。好ましいフルオロポリマーのクラスとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)とのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー及びTFEとのそのコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。導管プロテーゼで広く使用されているために特に好ましいのはePTFEである。特定の例において、膜は、上記に列挙された前記材料の組み合わせを含む。特定の例において、膜は、体液に対して実質的に不透過性である。前記実質的に不透過性の膜は、体液に対して実質的に不透過性である材料から作製することができ、又は体液に対して実質的に不透過性であるように処理又は製造された透過性材料から構築することができる(例えば、上記又は当該技術分野で知られている異なるタイプの材料を層状にすることによる)。
【0093】
膜材料の追加の例としては、限定するわけではないが、ビニリジンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ素化ポリ(エチレン-コ-プロピレン(FPEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン)(PHFP)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-テトラフルオロエチレン)(PVDF-TFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PVDF-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PTFE-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ビニルアルコール)(PTFE-VAL)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ビニルアセテート)(PTFE-VAC)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-プロペン)(PTFEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン-コ-ビニルアルコール)(PHFP-VAL)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)( PETFE)、ポリ(エチレン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PEHFP)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-クロロトリフルオロエチレン)(PVDF-CTFE)及びそれらの組み合わせ、ならびに米国公開第2004/0063805号明細書に記載されている追加のポリマー及びコポリマー(参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に取り込まれる)が挙げられる。追加のポリフルオロコポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)/ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)が挙げられる。PAVEは、本質的に米国公開第2006/019866号及び米国特許第7,049,380号明細書(これらは両方とも、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているように、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)又はペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)であることができる。他のポリマー及びコポリマーとしては、ポリラクチド、ポリカプロラクトン-グリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー、例えば、PEO-PLLA又はそれらのブレンド、ポリジメチル-シロキサン、ポリ(エチレン-ビニル酢酸)、アクリレートベースのポリマー又はコポリマー、例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリジノン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマー、セルロースエステル、及び、米国出願公開第2004/0063805号明細書(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載の任意のポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0094】
本明細書で論じられるように、膜構成要素は、少なくとも1つの一般的に平坦な表面を有する一般に平坦なリボン又はテープである結合部材を使用することによって、自己拡張型フレーム構成要素に取り付けられることができる。特定の例において、テープ部材は接着剤でコーティングされた延伸PTFE(ePTFE)から形成されている。接着剤は熱可塑性接着剤であることができる。特定の例において、熱可塑性接着剤は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)であることができる。より具体的には、ePTFEのFEPコーティングされた面は、自己拡張型フレーム構成要素及び膜構成要素の外面に面して接触し、したがって、自己拡張型フレーム構成要素を膜構成要素に取り付けることができる。フレーム構成要素を膜に取り付ける材料及び方法は、マーティンの米国特許第6,042,602号明細書に記載されており、それをあらゆる目的のために参照により本明細書に取り込む。
【0095】
本明細書で論じられるフレーム構成要素は、様々な生体適合性材料から製造することができる。これらの材料は、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン-鉄合金(「コバルト-クロム」)、L605などの他のコバルト合金、タンタル、ニッケル-チタン合金(ニチノールなど)又は他の生体適合性金属を含むことができる。特定の例において、上記で詳細に論じたように、フレーム構成要素(及び膜)は自己拡張型であることができる。プロテーゼはバルーン拡張可能であることができる。他の例において、フレーム構成要素は、ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(ピーク))及び/又は生体吸収性材料(例えば、ポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、ポリグリコール酸:炭酸トリメチレン(PGA-TMC))から形成されうる。
【0096】
ニチノールなどの様々な金属の超弾性合金は、これらのフレーム構成要素での使用に適している。材料の主な要件は、非常に薄いシート又は小径のワイヤに加工された場合でも、適切に弾力性があることである。コバルトクロム合金(例えば、ELGILOY(登録商標))、白金/タングステン合金、特にニッケル-チタン合金(例えば、ニチノール)などの他の金属合金と同様に、高い弾力性を生じるように物理的に、化学的に又は他の方法で処理された様々なステンレススチールは適切である。
【0097】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入る限り、本発明の修正及び変形を網羅することが意図される。
(態様)
(態様1)
患者の解剖学的構造に適合するように構成された第一のフレーム構成要素と、
患者の解剖学的構造に適合するように構成された第二のフレーム構成要素と、
前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分と、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスであって、
前記第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離しており、
前記導管部分は前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素とを接続する膜を含む、インプラント可能なメディカルデバイス。
(態様2)
前記導管部分の少なくとも一部は前記導管部分内の前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素によって半径方向に支持されていない、態様1記載のデバイス。
(態様3)
前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は前記導管部分の展開を容易にし、前記導管部分を通る管腔を維持するように構成されている、態様2記載のデバイス。
(態様4)
前記導管部分はフレーム構成要素を含まない、態様1~3のいずれか1項記載のデバイス。
(態様5)
前記第一のフレーム構成要素は第一のセットの長尺要素を含み、前記第二のフレーム構成要素は第二のセットの長尺要素を含み、そして、前記第一のセットの長尺要素と前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していない、態様1~4のいずれか1項記載のデバイス。
(態様6)
前記第一のセットの長尺要素は第一の複数の支持体ストラットを含み、前記第二のセットの長尺要素は第二の複数の支持体ストラットを含み、前記第一の複数の支持体ストラット及び第二の複数の支持体ストラットは、前記長尺要素のそれぞれの中に支持構造を形成する、態様5記載のデバイス。
(態様7)
前記第一のセットの長尺要素は複数の第一のローブを形成する、態様6記載のデバイス。
(態様8)
前記第一のセットの長尺要素は星形を形成する、態様6記載のデバイス。
(態様9)
前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく第一のフレーム構成要素内に配置される及び前記第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである、態様5~8のいずれか1項記載デバイス。
(態様10)
前記第一のセットの長尺要素及び第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している、態様9記載のデバイス。
(態様11)
前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の部分を少なくとも部分的に覆うように延在している、態様1~10のいずれか1項記載のデバイス。
(態様12)
前記膜は、組織の内殖を促進して、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の一方又は両方の少なくとも一部を覆うように構成されている、態様11記載のデバイス。
(態様13)
前記第一のフレーム構成要素上に配置された第一の膜フィルム及び前記第二のフレーム構成要素上に配置された第二の膜フィルムをさらに含む、態様1~12のいずれか1項記載のデバイス。
(態様14)
前記膜は、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を0~15mmのギャップによって分離する、態様1~13のいずれか1項記載のデバイス。
(態様15)
心臓の左心房と右心房との間の血圧を調節するためのインプラント可能なメディカルデバイスであって、
心臓の中隔をまたがるように構成され、そこを通して流体の流れを可能にするように構成された導管部分、及び、
前記導管部分の第一の側に配置された第一のセットの長尺要素と、前記導管部分の第二の側に配置された第二のセットの長尺要素とを含み、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していないフレーム構成要素、
を含む、デバイス。
(態様16)
前記フレーム構成要素は、第一のセットの長尺要素を含む第一の側と、第二のセットの長尺要素を含む第二の側とを形成し、前記第一のセットの長尺要素は前記第一の側及び前記導管部分の範囲内に配置されており、前記第二のセットの長尺要素は前記第二の側及び前記導管部分の範囲内に配置されている、態様15記載のデバイス。
(態様17)
前記第一のセットの長尺部材及び前記第二のセットの長尺部材は、前記導管部分から半径方向外向きに広がり、第一の角度及び第二の角度を形成し、前記第一の角度及び第二の角度は前記導管部分に対して約90°の角度である、態様15~16のいずれか1項記載のデバイス。
(態様18)
前記導管部分又は前記フレーム構成要素とともに配置され、生理学的特性、血行動態、バイオマーカー、音、圧力及び電解質のうちの少なくとも1つを感知するように構成されたセンサをさらに含む、態様14~17のいずれか1項記載のデバイス。
(態様19)
デバイスの耐血栓性及び開存性を促進するためのヘパリンのコーティング及び組織/細胞応答を調節するためのパクリタキセルのコーティングのうちの少なくとも1つをさらに含む、態様14~18のいずれか1項記載のデバイス。
(態様20)
心臓の左心房と右心房との間の血圧を調節する方法であって、
心臓の中隔をまたがるように構成され、そこを通して流体の流れを可能にするように構成された導管部分、及び、
前記導管部分の第一の側に配置された第一のセットの長尺要素と、前記導管部分の第二の側に配置された第二のセットの長尺要素とを含み、前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素は互いに隣接していないフレーム構成要素、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスを、患者の体内の所望の治療位置にデリバリーすること、
前記導管部分が心臓の左心房と右心房の間の中隔をまたがるように前記デバイスを位置決めすること、及び、
前記導管部分が所望の量を開いて左心房と右心房との間に流体流路を提供するように、
第一のフレーム構成要素及び第二のフレーム構成要素を展開すること、
を含む、方法。
(態様21)
前記導管部分の直径及びそれを通る流体流速を調節するために前記デバイスに対する張力を調整することをさらに含む、態様20記載の方法。
(態様22)
第一のフレーム構成要素と、
第二のフレーム構成要素と、
前記第一のフレーム構成要素と前記第二のフレーム構成要素との間に配置された導管部分であって、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して拡張するように構成された前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素を接続する膜を含む、導管部分と、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスであって、前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素は区別され、互いに分離している、インプラント可能なメディカルデバイス。
(態様23)
前記導管部分は、患者の左心房と右心房との間の中隔をまたがるように構成され、前記導管部分は前記第一のフレーム構成要素及び前記第二のフレーム構成要素の拡張によって与えられる、前記導管部分における張力に応答して中隔を拡張するように構成されている、態様22記載のデバイス。
(態様24)
前記導管部分は中隔の拡張された直径を維持するように構成されている、態様23記載のデバイス。
(態様25)
前記第一のフレーム構成要素は第一の側を形成し、前記第二のフレーム構成要素は第二の側を形成し、第一のセットの長尺要素は前記第二の側に交差することなく前記第一のフレーム構成要素内に配置される及び第二のセットの長尺要素は前記第一の側に交差することなく前記第二のフレーム構成要素内に配置されるの少なくとも1つである、態様22記載のデバイス。
(態様26)
前記第一のセットの長尺要素及び前記第二のセットの長尺要素のうちの少なくとも1つは前記導管部分内に延在している、態様25記載のデバイス。