(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ドア開閉検出装置及びドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/76 20150101AFI20230731BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20230731BHJP
【FI】
E05F15/76
E05F15/611
(21)【出願番号】P 2021552327
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037771
(87)【国際公開番号】W WO2021075301
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019189366
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】宮田 宗一
(72)【発明者】
【氏名】福井 兼洋
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020335(JP,A)
【文献】特開2019-124052(JP,A)
【文献】特開2004-285712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに取付けられたベースと、
一端側部分が上下方向を軸方向として前記ベースに回動可能に軸支され、前記ドアから車室内側へ操作可能に露出された把持部を他端部に有すると共に、操作されることで前記把持部が中立位置から前記ドアの閉方向へ回動した引き操作位置又は中立位置から前記ドアの開方向へ回動した押し操作位置へ回動されるハンドルと、
前記ハンドルの押し操作位置及び引き操作位置を検出する検出部と、
を備
え、
前記検出部は、押し操作位置及び引き操作位置の前記ハンドルによって作動するスイッチであり、
前記検出部は、一対の前記スイッチを有しており、
前記ハンドルは、
一端側部分が前記ベースに回動可能に軸支され、他端部に前記把持部を有するハンドル本体と、
前記ハンドル本体と同軸上に前記ベースに回動可能に軸支され、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に前記ハンドル本体と連動して回動し、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向他方側への回動時に前記ハンドル本体の回動とは非連動にされて中立位置に保持されるサブハンドルと、
を含んで構成されており、
前記ハンドル本体は、中立位置からの回動方向他方側への回動時に一対の前記スイッチの一方を作動させる本体側操作部を有し、
前記サブハンドルは、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に一対の前記スイッチの他方を作動させるサブ側操作部を有するドア開閉検出装置。
【請求項2】
前記ハンドル本体を前記サブハンドルに対して回動方向一方側へ付勢する第1付勢部材と、
前記サブハンドルを前記ベースに対して回動方向他方側へ付勢する第2付勢部材と、
を備え、
中立位置において、前記サブハンドルが前記ベースに当接して前記サブハンドルの回動方向他方側への回動が制限されると共に、前記ハンドル本体が前記サブハンドルに当接して前記ハンドル本体の回動方向一方側への回動が制限されている請求項1に記載のドア開閉検出装置。
【請求項3】
車両のドアに取付けられたベースと、一端側部分が上下方向を軸方向として前記ベースに回動可能に軸支され、前記ドアから車室内側へ操作可能に露出された把持部を他端部に有すると共に、操作されることで前記把持部が中立位置から前記ドアの閉方向へ回動した引き操作位置又は中立位置から前記ドアの開方向へ回動した押し操作位置へ回動されるハンドルと、前記ハンドルの押し操作位置及び引き操作位置を検出する検出部と、を備えたドア開閉検出装置と、
車両のドアを開閉駆動するドア開閉駆動部と、
前記ドアの開閉位置を検出するドア開閉位置検出部と、
前記ドア開閉駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記ドアが全閉位置に配置された状態でハンドルが引き操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを開方向へ回動させるドア開閉装置。
【請求項4】
前記検出部は、押し操作位置及び引き操作位置の前記ハンドルによって作動するスイッチである請求項3に記載のドア開閉装置。
【請求項5】
前記検出部は、一対の前記スイッチを有しており、
前記ハンドルは、
一端側部分が前記ベースに回動可能に軸支され、他端部に前記把持部を有するハンドル本体と、
前記ハンドル本体と同軸上に前記ベースに回動可能に軸支され、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に前記ハンドル本体と連動して回動し、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向他方側への回動時に前記ハンドル本体の回動とは非連動にされて中立位置に保持されるサブハンドルと、
を含んで構成されており、
前記ハンドル本体は、中立位置からの回動方向他方側への回動時に一対の前記スイッチの一方を作動させる本体側操作部を有し、
前記サブハンドルは、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に一対の前記スイッチの他方を作動させるサブ側操作部を有する請求項4に記載のドア開閉装置。
【請求項6】
前記ハンドル本体を前記サブハンドルに対して回動方向一方側へ付勢する第1付勢部材と、
前記サブハンドルを前記ベースに対して回動方向他方側へ付勢する第2付勢部材と、
を備え、
中立位置において、前記サブハンドルが前記ベースに当接して前記サブハンドルの回動方向他方側への回動が制限されると共に、前記ハンドル本体が前記サブハンドルに当接して前記ハンドル本体の回動方向一方側への回動が制限されている請求項5に記載のドア開閉装置。
【請求項7】
前記ハンドルには、磁石が設けられ、前記検出部は、一対の磁気センサを有しており、
前記ハンドルの回動時に、一方の前記磁気センサによって前記磁石の接近を検出することで前記ハンドルの引き操作位置を検出し、前記ハンドルの回動時に、他方の前記磁気センサによって前記磁石の接近を検出することで前記ハンドルの押し操作位置を検出する請求項3に記載のドア開閉装置。
【請求項8】
前記ドアが全閉位置に配置された状態で前記ハンドルが押し操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部の駆動を禁止させる請求項3~請求項7の何れか1項に記載のドア開閉装置。
【請求項9】
前記ドアが全開位置又は開位置に配置された状態で前記ハンドルが引き操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを閉方向へ回動させる請求項3~請求項7の何れか1項に記載のドア開閉装置。
【請求項10】
前記ドアが開位置に配置された状態で前記ハンドルが押し操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを開方向へ回動させる請求項9に記載のドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉検出装置及びドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用ドア開閉装置では、車両のドアを自動で開閉することができる。この車両用ドア開閉装置では、内側ドア開閉スイッチが、ドアのアームレストに設けられており、乗員が、内側ドアスイッチをOPENまたはCLOSEに設定することで、内側ドアスイッチ検出部が、内側ドアスイッチの操作を検出する。そして、内側ドアスイッチ検出部が、内側ドアスイッチの操作を検出すると、ドア開閉駆動部が駆動して、ドアが開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両用ドア開閉装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記車両用ドア開閉装置では、内側ドアスイッチが、所謂シーソー式のスイッチとして構成されている。一方、従来、車両の搭載される手動式のドアインナーハンドルでは、乗員がドアインナーハンドルを車室内側へ引く操作することで、ドアを開方向へ回動できるようになっている。つまり、上記車両用ドア開閉装置では、内側ドアスイッチの操作が、従来の手動式のドアインナーハンドルの操作と異なる。このため、内側ドアスイッチへの操作を乗員が直感的に認識することができず、操作性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、操作性を向上することができるドア開閉検出装置及びドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両のドアに取付けられたベースと、一端側部分が上下方向を軸方向として前記ベースに回動可能に軸支され、前記ドアから車室内側へ操作可能に露出された把持部を他端部に有すると共に、操作されることで前記把持部が中立位置から前記ドアの閉方向へ回動した引き操作位置又は中立位置から前記ドアの開方向へ回動した押し操作位置へ回動されるハンドルと、前記ハンドルの押し操作位置及び引き操作位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、押し操作位置及び引き操作位置の前記ハンドルによって作動するスイッチであり、前記検出部は、一対の前記スイッチを有しており、前記ハンドルは、一端側部分が前記ベースに回動可能に軸支され、他端部に前記把持部を有するハンドル本体と、前記ハンドル本体と同軸上に前記ベースに回動可能に軸支され、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に前記ハンドル本体と連動して回動し、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向他方側への回動時に前記ハンドル本体の回動とは非連動にされて中立位置に保持されるサブハンドルと、を含んで構成されており、前記ハンドル本体は、中立位置からの回動方向他方側への回動時に一対の前記スイッチの一方を作動させる本体側操作部を有し、前記サブハンドルは、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に一対の前記スイッチの他方を作動させるサブ側操作部を有するドア開閉検出装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドル本体を前記サブハンドルに対して回動方向一方側へ付勢する第1付勢部材と、前記サブハンドルを前記ベースに対して回動方向他方側へ付勢する第2付勢部材と、を備え、中立位置において、前記サブハンドルが前記ベースに当接して前記サブハンドルの回動方向他方側への回動が制限されると共に、前記ハンドル本体が前記サブハンドルに当接して前記ハンドル本体の回動方向一方側への回動が制限されているドア開閉検出装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両のドアに取付けられたベースと、一端側部分が上下方向を軸方向として前記ベースに回動可能に軸支され、前記ドアから車室内側へ操作可能に露出された把持部を他端部に有すると共に、操作されることで前記把持部が中立位置から前記ドアの閉方向へ回動した引き操作位置又は中立位置から前記ドアの開方向へ回動した押し操作位置へ回動されるハンドルと、前記ハンドルの押し操作位置及び引き操作位置を検出する検出部と、を備えたドア開閉検出装置と、車両のドアを開閉駆動するドア開閉駆動部と、前記ドアの開閉位置を検出するドア開閉位置検出部と、前記ドア開閉駆動部を制御する制御部と、を備え、前記ドアが全閉位置に配置された状態でハンドルが引き操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを開方向へ回動させるドア開閉装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記検出部は、押し操作位置及び引き操作位置の前記ハンドルによって作動するスイッチであるドア開閉装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記検出部は、一対の前記スイッチを有しており、前記ハンドルは、一端側部分が前記ベースに回動可能に軸支され、他端部に前記把持部を有するハンドル本体と、前記ハンドル本体と同軸上に前記ベースに回動可能に軸支され、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に前記ハンドル本体と連動して回動し、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向他方側への回動時に前記ハンドル本体の回動とは非連動にされて中立位置に保持されるサブハンドルと、を含んで構成されており、前記ハンドル本体は、中立位置からの回動方向他方側への回動時に一対の前記スイッチの一方を作動させる本体側操作部を有し、前記サブハンドルは、前記ハンドル本体の中立位置からの回動方向一方側への回動時に一対の前記スイッチの他方を作動させるサブ側操作部を有するドア開閉装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドル本体を前記サブハンドルに対して回動方向一方側へ付勢する第1付勢部材と、前記サブハンドルを前記ベースに対して回動方向他方側へ付勢する第2付勢部材と、を備え、中立位置において、前記サブハンドルが前記ベースに当接して前記サブハンドルの回動方向他方側への回動が制限されると共に、前記ハンドル本体が前記サブハンドルに当接して前記ハンドル本体の回動方向一方側への回動が制限されているドア開閉装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルには、磁石が設けられ、前記検出部は、一対の磁気センサを有しており、前記ハンドルの回動時に、一方の前記磁気センサによって前記磁石の接近を検出することで前記ハンドルの引き操作位置を検出し、前記ハンドルの回動時に、他方の前記磁気センサによって前記磁石の接近を検出することで前記ハンドルの押し操作位置を検出するドア開閉装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ドアが全閉位置に配置された状態で前記ハンドルが押し操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部の駆動を禁止させるドア開閉装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ドアが全開位置又は開位置に配置された状態で前記ハンドルが引き操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを閉方向へ回動させるドア開閉装置である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ドアが開位置に配置された状態で前記ハンドルが押し操作位置に回動された場合には、前記制御部が、前記ドア開閉駆動部を駆動させて前記ドアを開方向へ回動させるドア開閉装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係るドア開閉装置が搭載された車両を示す右側から見た側面図である。
【
図2】本実施の形態に係るドア開閉検出装置を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示されるドア開閉検出装置を示す左側から見た側面図である。
【
図4】
図2に示されるドア開閉検出装置を分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図5】
図3に示されるドア開閉検出装置の後部を示す後側から見た断面図(
図3の5-5線断面図)である。
【
図6】(A)は、
図3に示されるドア開閉検出装置の上下方向中間部を示す上側から見た断面図(
図3の6A-6A線断面図)であり、(B)は、
図3に示されるドア開閉検出装置の下部を示す上側から見た断面図(
図3の6B-6B線断面図)である。
【
図7】(A)は、
図4に示されるハンドル本体を右側から見た斜視図であり、(B)は、
図4に示されるサブハンドルを右側から見た斜視図である。
【
図8】
図4に示される第1スイッチ及び第2スイッチとハンドル本体及びサブハンドルとの位置関係を示す斜視図である。
【
図9】(A)は、
図6(A)のハンドル本体を押し操作位置へ押し操作したときの
図6(A)に対応する断面図であり、(B)は、
図6(B)のハンドル本体を引き操作位置へ引き操作したときの
図6(B)に対応する断面図である。
【
図10】(A)は、
図2に示されるドア開閉検出装置の変形例を模式的に示す上側から見た平面図であり、(B)は、ドア開閉検出装置の他の変形例を模式的に示す上側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るドア開閉装置10について説明する。
図1に示されるように、ドア開閉装置10は、車両V(自動車)に搭載されている。なお、図面において、適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、それぞれ車両Vの車両上側、車両前側、車両右側(車幅方向一方側)を示している。以下、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向、車両左右方向を示すものとする。
【0018】
ドア開閉装置10は、車両VのドアD(サイドドア)を自動で開閉する装置として構成されている。ドア開閉装置10は、ドア開閉検出装置20と、ドア開閉駆動部60と、「ドア開閉位置検出部」としてのドア開閉位置検出装置62と、制御部64と、を含んで構成されており、ドア開閉検出装置20がドアDに搭載されている。
【0019】
なお、以下の説明では、便宜上、ドア開閉検出装置20が、車両Vの右前側のドアDに搭載された例として説明する。ドアDの前端部は、ドアヒンジ(図示省略)によって上下方向を軸方向として、車両Vのフロントピラーに開閉可能に連結されている。具体的には、ドアDは、車両Vのドア開口部を閉じる全閉位置と、全閉位置から右側(車幅方向外側)へ最大に回動されてドア開口部を開く全開位置と、の間を、開閉可能に構成されている。以下、ドア開閉装置10の各構成について説明する。
【0020】
(ドア開閉検出装置20について)
図2~
図4に示されるように、ドア開閉検出装置20は、ベース22と、ハンドル30と、「第1付勢部材」としての第1付勢バネ40と、「第2付勢部材」としての第2付勢バネ42と、「検出部」及び「スイッチ」としての第1スイッチ44と、「検出部」及び「スイッチ」としての第2スイッチ46と、ノブカバー52と、を含んで構成されている。なお、以下のドア開閉検出装置20の説明では、ドアDが全閉位置に配置された状態として説明する。
【0021】
<ベース22について>
図2~
図6に示されるように、ベース22は、左側(車室内側)且つ前側へ開放された略矩形箱形状に形成されて、ドアDのインナパネル(図示省略)に固定されている。ベース22の後部における上壁と下壁との間には、支持軸24が架け渡されており、支持軸24は、上下方向を軸方向とした略円柱状に形成されている。また、ベース22の底壁(右壁)には、左側へ突出した支持片22Aが一体に形成されており、支持軸24の軸方向中間部が支持片22Aによっても支持されている。また、ベース22の後部の底壁には、後述する第1スイッチ44及び第2スイッチ46を配置するための開口部22Bが貫通形成されている。
【0022】
また、ベース22の底壁には、開口部22Bの前側縁部において、左側へ突出した略円筒状のベースストッパ部22C(
図6(B)参照)が形成されている。ベースストッパ部22Cの左端面には、左側へ開放された凹部が形成されており、当該凹部の底面には、取付孔22C1が貫通形成されている。ベースストッパ部22Cの凹部には、第1クッション26(
図6(B)参照)が取付けられている。第1クッション26は、ゴム等の弾性材によって構成されると共に、左右方向を軸方向とする略シャフト状に形成されている。そして、第1クッション26が取付孔22C1内に左側から挿入され、第1クッション26の左端部が、ベースストッパ部22Cの凹部内に嵌入されて、第1クッション26がベースストッパ部22Cに固定されている。また、第1クッション26の固定状態では、第1クッション26の左端面が、ベースストッパ部22Cよりも左側へ若干突出している。
【0023】
<ハンドル30について>
ハンドル30は、ハンドル本体32と、サブハンドル34と、を含んで構成されている。
【0024】
[ハンドル本体32について]
図2~
図7(A)に示されるように、ハンドル本体32は、前後方向に延在された略直方体ブロック状に形成されると共に、上側から見た平面視で、前側へ向かうに従い左側は若干傾斜して配置されている。ハンドル本体32の後端側部分(一端側部分)は、ハンドル取付部32Aとして構成されており、ハンドル取付部32Aは、右側へ開放された凹状に形成されている。ハンドル取付部32Aの上壁には、上側へ隆起し且つ右側及び下側へ開放された略有底円筒状の本体側軸部32Bが形成されており、本体側軸部32Bは、ハンドル取付部32Aの内部と連通されている。本体側軸部32Bの頂壁及びハンドル取付部32Aの下壁には、上下一対の本体側支持孔32Cが貫通形成されており、一対の本体側支持孔32Cは同軸上に配置されている。そして、ハンドル取付部32Aが、ベース22の下壁と支持片22Aとの間に配置され、支持軸24の下部が、本体側支持孔32C内に挿入されている。これにより、ハンドル本体32が、支持軸24を介してベース22に上下方向を軸方向として回動可能に軸支されている。
【0025】
ハンドル本体32の前端部(他端部)は、把持部32Dとして構成されている。把持部32Dには、上側且つ右側(車幅方向外側)へ開放された抉り部32Eが形成されている。また、把持部32Dの前端側部分は、平面視で、前側且つ右側へ開放されるように切り欠かれている。
【0026】
また、ハンドル本体32は、ドアDのドアトリム(内装部材)から車室内側(左側)へ回動操作可能に露出されている。これにより、乗員がハンドル本体32の把持部32Dを把持してハンドル本体32を回動操作することで、ハンドル本体32が支持軸24の軸回りを回動する構成になっている。具体的には、ハンドル本体32の把持部32Dが、
図6(A)及び(B)に示される中立位置から回動方向一方側(車室内側であり、ドアDが閉じる方向側(
図6(B)の矢印B方向側))へ回動された引き操作位置(
図9(B)に示される位置を参照)、又は中立位置から回動方向他方側(車室外側であり、ドアDが開く方向側(
図6(A)の矢印A方向側))へ回動された押し操作位置(
図9(A)に示される位置を参照)に回動可能に構成されている。
【0027】
ハンドル取付部32Aの上壁には、右側へ延出された「本体側操作部」としてのスイッチ操作部32Fが形成されている。スイッチ操作部32Fの先端部は、後述する第1スイッチ44を作動させる部位として構成されている。また、ハンドル本体32の後端部には、右下部において、本体側当接部32G(
図6(B)及び
図7(A)参照)が形成されている。本体側当接部32Gは、左右方向に対して直交する方向に沿った面として構成されている。
【0028】
[サブハンドル34について]
図2~
図6、及び7(B)に示されるように、サブハンドル34は、上下方向を軸方向とした略円柱状のサブ側軸部34Aを有している。サブ側軸部34Aの下部には、左側へ開放された第1収容部34Bが形成されており、サブ側軸部34Aの上部には、右側へ開放された第2収容部34Cが形成されている(
図5参照)。サブ側軸部34Aの上壁、下壁、及び中間壁(第1収容部34Bと第2収容部34Cとの間の壁部)には、それぞれサブ側支持孔34Dが貫通形成されている。そして、サブ側軸部34Aの下壁を除く部分が、ハンドル本体32のハンドル取付部32A内に挿入されると共に、支持軸24が、サブ側支持孔34D内を挿通している(
図5参照)。これにより、サブハンドル34が支持軸24を介してベース22に回動可能に軸支されている。すなわち、サブハンドル34がハンドル本体32と同軸上にベース22に回動可能に軸支されている。なお、サブハンドル34がベース22に軸支された状態では、サブ側軸部34Aの下壁が、ベース22の下壁とハンドル本体32との間に配置されている。
【0029】
また、サブハンドル34は、サブ側軸部34Aから後側へ延出された被取付部34Eを有しており、被取付部34Eは、ハンドル本体32のハンドル取付部32A内に挿入されている。被取付部34Eの後端部には、後側へ突出したサブストッパ部34F(
図4、
図6(B)、及び
図7(B)参照)が形成されており、サブストッパ部34Fは、左右方向を板厚方向とした板状に形成されている。サブストッパ部34Fは、ハンドル本体32における本体側当接部32Gの右側に隣接して配置されて、後述する第1付勢バネ40の付勢力によって本体側当接部32Gがサブストッパ部34Fに当接している(
図6(B)参照)。
【0030】
また、サブストッパ部34Fの左端面には、左側へ開放された凹部が形成されており、当該凹部の底面には、取付孔34Gが貫通形成されている。そして、サブストッパ部34Fの凹部には、第2クッション36(
図4及び
図6(B)参照)が取付けられている。第2クッション36は、ゴム等の弾性材によって構成されると共に、左右方向を軸方向とする略シャフト状に形成されている。そして、第2クッション36の左端部が、取付孔34G内に嵌入されて、第2クッション36が、サブストッパ部34Fから右側へ延出された状態で、サブストッパ部34Fに固定されている。また、第2クッション36の固定状態では、第2クッション36の左端面が、サブストッパ部34Fよりも左側へ若干突出している。
【0031】
また、サブハンドル34は、サブ側軸部34Aから前側へ延出されたサブ側当接部34Hを有している。サブ側当接部34Hは、左右方向を板厚方向とした略三角形板状に形成されている。サブ側当接部34Hは、ハンドル本体32における把持部32Dの後端部とベース22のベースストッパ部22Cとの間に配置されている。具体的には、サブ側当接部34Hは、ベースストッパ部22Cに当接すると共に、把持部32Dの後端部に対して右側に所定の隙間を空けて配置されている(
図6(A)及び(B)参照)。これにより、平面視で、サブハンドル34の回動方向他方側(
図6(A)の矢印A方向側)の回動がベース22によって制限されている。
【0032】
また、サブハンドル34は、サブ側軸部34Aから右側へ延出されたカム片34Jを有している。カム片34Jは、上下方向を板厚方向とした略板状に形成されている。カム片34Jの上面には、上側へ突出した「サブ側操作部」としてのカム部34Kが一体に形成されている。カム部34Kは、平面視で、サブ側支持孔34Dの中心軸を中心とした略扇形状に形成されており、カム部34Kの先端部がカム面34Lとして構成されている。また、カム部34Kの先端部には、カム面34Lの長手方向中間部において、右側及び上側へ開放された切欠部34Mが形成されている。
【0033】
<第1付勢バネ40について>
図4及び
図5に示されるように、第1付勢バネ40は、トーションバネによって構成されている。第1付勢バネ40は、サブハンドル34の第1収容部34B内に収容されると共に、支持軸24に外挿されている。第1付勢バネ40の一端部は、サブハンドル34のサブ側当接部34Hに係止され、第1付勢バネ40の他端部は、ハンドル本体32のハンドル取付部32Aに係止されており、第1付勢バネ40が、ハンドル本体32をサブハンドル34に対して引き操作位置側(回動方向一方側)へ付勢している。これにより、ハンドル本体32の本体側当接部32Gが、サブハンドル34のサブストッパ部34Fに当接して、第2クッション36が本体側当接部32Gによって圧縮変形している。
【0034】
(第2付勢バネ42について)
第2付勢バネ42は、第1付勢バネ40と同様にトーションバネによって構成されている。第2付勢バネ42は、サブハンドル34の第2収容部34C内に収容されると共に、支持軸24に外挿されている。第2付勢バネ42の一端部は、ベース22に係止され、第2付勢バネ42の他端部は、サブハンドル34の被取付部34Eに係止されており、第2付勢バネ42が、サブハンドル34を押し操作位置側(回動方向他方側)に付勢している。これにより、サブハンドル34のサブ側当接部34Hが、ベース22のベースストッパ部22Cに当接して、第1クッション26が圧縮変形している。そして、サブ側当接部34Hがベースストッパ部22Cに当接している状態が、サブハンドル34の中立位置であり、第2付勢バネ42の付勢力によって、サブハンドル34が中立位置に保持されている。また、サブハンドル34の中立位置では、第1付勢バネ40の付勢力によってハンドル本体32が中立位置に保持されている。
【0035】
そして、ハンドル本体32が中立位置から引き操作位置側へ回動操作されたときには、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fを右側へ押圧して、ハンドル本体32及びサブハンドル34が第2付勢バネ42の付勢力に抗して引き操作位置側へ回動する構成になっている。すなわち、ハンドル本体32が中立位置から引き操作位置側へ回動操作されるときには、サブハンドル34がハンドル本体32の回動に連動して回動し、サブハンドル34のサブ側当接部34Hがベース22のベースストッパ部22Cから左側へ離間する構成になっている。そして、引き操作位置においてハンドル本体32の操作を解除すると、第2付勢バネ42の付勢力によってハンドル本体32及びサブハンドル34が中立位置に復帰する構成になっている。
【0036】
一方、ハンドル本体32が中立位置から押し操作位置側へ回動操作されるときには、サブハンドル34の押し操作位置側への回動がベース22によって制限されているため、ハンドル本体32のみが押し操作位置側へ回動する構成になっている。すなわち、サブハンドル34の中立位置に配置された状態が維持されて、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fから左側へ離間するようになっている。そして、押し操作位置においてハンドル本体32の操作を解除すると、第1付勢バネ40の付勢力によってハンドル本体32が中立位置に復帰する構成になっている。
【0037】
(第1スイッチ44及び第2スイッチ46について)
図4及び
図8に示されるように、第1スイッチ44及び第2スイッチ46は、レバー式のスイッチとして構成されており、後述する制御部64に電気的に接続されている。第1スイッチ44は、ハンドル本体32におけるスイッチ操作部32Fの先端部の下側に近接して配置されている。また、第1スイッチ44では、レバーの回転軸の軸方向を左右方向とするように、第1スイッチ44が配置されている。そして、ハンドル本体32が、押し操作位置へ回動されたときには、スイッチ操作部32Fが後側へ回動して、第1スイッチ44のレバーを押圧するようになっている。これにより、第1スイッチ44が、作動して、制御部64へ検出信号を出力する構成になっている。すなわち、第1スイッチ44は、ハンドル30の押し操作位置への回動操作を検知するスイッチとして構成されている。
【0038】
第2スイッチ46は、サブハンドル34におけるカム部34Kの右側に近接して配置されている。また、第2スイッチ46では、レバーの回転軸の軸方向を上下方向とするように、第2スイッチ46が配置されている。さらに、第2スイッチ46のレバーが、カム部34Kの切欠部34M内に配置されている。そして、ハンドル本体32及びサブハンドル34が、引き操作位置へ回動されたときには、サブハンドル34のカム面34L(カム部34K)が、前方側へ回動して、第2スイッチ46のレバーを押圧するようになっている。これにより、第2スイッチ46が、作動して、制御部64へ検出信号を出力する構成になっている。すなわち、第2スイッチ46は、ハンドル30の引き操作位置への回動操作を検知するスイッチとして構成されている。
【0039】
なお、第1スイッチ44及び第2スイッチ46は、ベース22に固定されたスイッチベース48(
図4参照)に設置されると共に、スイッチホルダ50(
図4参照)によってスイッチベース48に保持されている。スイッチベース48は、左右方向を板厚方向とした略T字形板状に形成されている。また、スイッチベース48は、ベース22の開口部22Bの右側に配置されて、ネジ等の固定部材によってベース22に固定されている。スイッチホルダ50は、左右方向を板厚方向とする略矩形枠板状に形成されて、スイッチベース48の左側に隣接して配置されている。そして、スイッチホルダ50が、ネジ等の固定部材によってスイッチベース48に固定されている。
【0040】
<ノブカバー52について>
図2~
図5に示されるように、ノブカバー52は、ハンドル本体32のハンドル取付部32Aの上側に配置されて、支持軸24の上部を覆う部材として構成されている。ノブカバー52は、カバー軸部52Aを有しており、カバー軸部52Aは、上下方向を軸方向とした略円筒状に形成されている。そして、カバー軸部52Aが、ベース22の上壁と支持片22Aとの間に配置されて、支持軸24によって軸支されている。また、ノブカバー52は、カバー部52Bを有している。カバー部52Bは、カバー軸部52Aから下側へ延出されて、ハンドル本体32の本体側軸部32Bの左側から覆うように形成されている。
【0041】
(ドア開閉駆動部60)
図1に示されるように、ドア開閉駆動部60は、後述する制御部64の制御によってドアDを開閉させるための駆動部として構成されている。ドア開閉駆動部60は、一例として、駆動源としてのモータを有しており、ドアDに設けられたドアヒンジにモータの駆動を伝達して、当該ドアヒンジを回転させて、ドアDを開閉させるようになっている。また、モータのドアヒンジへの駆動伝達としては、例えば、リンク機構やギヤ機構を用いることができる。
【0042】
(ドア開閉位置検出装置62)
ドア開閉位置検出装置62は、ドアDの開閉位置を検出する装置として構成されている。ドア開閉位置検出装置62は、一例としてエンコーダ等によって構成されており、ドアヒンジに近接して配置されて、ドアヒンジの開度を検出するようになっている。また、ドア開閉位置検出装置62は、後述する制御部64に電気的に接続されており、ドアDの開閉位置に対応する検出信号を制御部64へ出力する構成になっている。なお、ドア開閉位置検出装置62としては上記構成に限らない。例えば、ドア開閉駆動部60におけるモータの出力軸の回転位置を検出するセンサをドア開閉位置検出装置62として構成して、ドアDの開閉位置を検出するように構成してもよい。
【0043】
(制御部64について)
制御部64には、前述したドア開閉検出装置20の第1スイッチ44及び第2スイッチ46と、ドア開閉駆動部60と、ドア開閉位置検出装置62と、が電気的に接続されている。そして、制御部64は、第1スイッチ44及び第2スイッチ46からの検出信号に基づいてハンドル30の回動操作状態を判別し、ドア開閉位置検出装置62からの検出信号に基づいてドアDの開閉位置(状態)を判別するようになっている。また、制御部64は、判別したハンドル30の回動操作状態及びドアDの開閉位置に基づいて、ドア開閉駆動部60を駆動制御するように構成されている。
【0044】
(作用効果)
次に、ドア開閉検出装置20の動作、及びドア開閉装置10の動作を説明しつつ、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0045】
(ドア開閉検出装置20の動作について)
図6(A)及び(B)に示されるように、ドア開閉検出装置20の非作動状態では、ハンドル30(ハンドル本体32及びサブハンドル34)が中立位置に配置されている。この状態で、乗員がハンドル本体32の把持部32Dを把持して、把持部32Dを車室外側へ押し操作をすると、ハンドル本体32が第1付勢バネ40の付勢力に抗して支持軸24の軸回りを中立位置から押し操作位置側(
図6(A)の矢印A方向側であり、回動方向他方側)へ回動する。一方、サブハンドル34では、サブハンドル34のサブ側当接部34Hがベース22のベースストッパ部22Cに当接して、サブハンドル34の押し操作位置側への回動が制限されている。このため、
図9(A)に示されるように、ハンドル本体32が押し操作されたときには、ハンドル本体32のみが中立位置から押し操作位置側へ回動して、サブハンドル34の中立位置に保持された状態が維持される。すなわち、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fから左側へ離間する。
【0046】
そして、ハンドル本体32が押し操作位置に到達すると、ハンドル本体32のスイッチ操作部32Fが、第1スイッチ44のレバーを押圧して、第1スイッチ44が作動する。これにより、第1スイッチ44が、制御部64へ検出信号を出力する。なお、ハンドル本体32が押し操作位置へ回動されるときには、上述のように、サブハンドル34の中立位置に保持された状態が維持されるため、第2スイッチ46は作動しない。
【0047】
また、押し操作位置において、ハンドル本体32に対する操作を解除すると、第1付勢バネ40の付勢力によって、ハンドル本体32が押し操作位置から中立位置側へ回動する。そして、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fに当接して、ハンドル本体32が中立位置に復帰する。
【0048】
一方、乗員がハンドル本体32の把持部32Dを把持して、把持部32Dを車室内側へ引き操作をすると、ハンドル本体32が支持軸24の軸回りを中立位置から引き操作位置側(
図6(B)の矢印B方向側であり、回動方向一方側)へ回動する。このとき、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fに当接しているため、本体側当接部32Gがサブストッパ部34Fを右側へ押圧する。これにより、
図9(B)に示されるように、ハンドル本体32及びサブハンドル34が第2付勢バネ42の付勢力に抗して中立位置から引き操作位置側へ回動すると共に、サブハンドル34のサブ側当接部34Hがベース22のベースストッパ部22Cから左側へ離間する。換言すると、ハンドル本体32の引き操作位置側への回動に連動して、サブハンドル34が中立位置から引き操作位置側へ回動する。
【0049】
そして、ハンドル本体32及びサブハンドル34が引き操作位置に到達すると、サブハンドル34におけるカム部34Kのカム面34Lが、第2スイッチ46のレバーを押圧して、第2スイッチ46が作動する。これにより、第2スイッチ46が、制御部64へ検出信号を出力する。なお、ハンドル本体32が引き操作位置へ回動されるときには、ハンドル本体32のスイッチ操作部32Fが、前側(第1スイッチ44から離間する方向)へ回動するため、第1スイッチ44は作動しない。
【0050】
そして、引き操作位置において、ハンドル本体32に対する操作を解除すると、第2付勢バネ42の付勢力によって、ハンドル本体32及びサブハンドル34が引き操作位置から中立位置側へ回動する。そして、サブハンドル34のサブ側当接部34Hがベース22のベースストッパ部22Cに当接して、ハンドル本体32及びサブハンドル34が中立位置に復帰する。
【0051】
(ドアDが全閉位置に配置された状態でハンドル30の引き操作が行われたときのドア開閉装置10の動作について)
ドアDが車両Vのドア開口部を閉じた全閉位置に配置された状態では、制御部64が、ドア開閉位置検出装置62の出力信号に基づいて、ドアDが全閉状態であることを検知する。この状態で、乗員がドア開閉検出装置20におけるハンドル本体32の把持部32Dを引き操作して、ハンドル本体32及びサブハンドル34が引き操作位置へ回動されると、制御部64が、第2スイッチ46からの検出信号に基づいて、ハンドル30の引き操作位置への回動を検知する。
【0052】
制御部64が、ハンドル30の引き操作位置への回動を検知すると、制御部64は、ドアDを全閉位置から開方向へ回動させるようにドア開閉駆動部60を駆動させる。これにより、ドアDが全閉位置から全開位置側へ回動して、車両Vのドア開口部が開かれる。
【0053】
(ドアDが全閉位置に配置された状態でハンドル30の押し操作が行われたときのドア開閉装置10の動作について)
ドアDが全閉位置に配置された状態では、上述と同様に、制御部64が、ドア開閉位置検出装置62の出力信号に基づいて、ドアDが全閉状態であることを検知する。この状態で、乗員がドア開閉検出装置20におけるハンドル本体32の把持部32Dを押し操作して、ハンドル本体32が押し操作位置へ回動されると、制御部64が、第1スイッチ44からの検出信号に基づいて、ハンドル30の押し操作位置への回動を検知する。
【0054】
制御部64が、ハンドル30の押し操作位置への回動を検知すると、制御部64は、ドア開閉駆動部60の駆動を禁止する。すなわち、制御部64は、ドア開閉駆動部60を駆動しない。これにより、ドアDが全閉位置から開方向へ回動することが防止されて、ドアDの全閉状態が維持される。
【0055】
(ドアDが全開位置又は開位置に配置された状態でハンドル30の引き操作が行われたときのドア開閉装置10の動作について)
ドアDが全閉位置から全開位置側へ回動された状態では、制御部64が、ドア開閉位置検出装置62の出力信号に基づいて、ドアDが全開位置又は開位置であることを検知する。なお、ドアDの開位置とは、ドアDの全閉位置と全開位置との間の位置をいう。この状態で、乗員がドア開閉検出装置20におけるハンドル本体32の把持部32Dを引き操作して、ハンドル本体32及びサブハンドル34が引き操作位置へ回動されると、制御部64が、第2スイッチ46からの検出信号に基づいて、ハンドル30の引き操作位置への回動を検知する。
【0056】
制御部64が、ハンドル30の引き操作位置への回動を検知すると、制御部64は、ドアDを全開位置又は開位置から閉方向へ回動させるようにドア開閉駆動部60を駆動させる。これにより、ドアDが全開位置又は開位置から全閉位置に回動して、車両Vのドア開口部が閉じられる。
【0057】
(ドアDが開位置に配置された状態でハンドル30の押し操作が行われたときのドア開閉装置10の動作について)
ドアDが開位置に配置された状態では、制御部64が、ドア開閉位置検出装置62の出力信号に基づいて、ドアDが開位置であることを検知する。この状態で、乗員がドア開閉検出装置20におけるハンドル本体32の把持部32Dを押し操作して、ハンドル本体32が押し操作位置へ回動されると、制御部64が、第1スイッチ44からの検出信号に基づいて、ハンドル30の押し操作位置への回動を検知する。
【0058】
制御部64が、ハンドル30の押し操作位置への回動を検知すると、制御部64は、ドアDを開位置から開方向へ回動させるようにドア開閉駆動部60を駆動させる。これにより、ドアDが全開位置に回動して、ドアDの開き角度が拡大される。
【0059】
以上、説明したように、本実施の形態のドア開閉検出装置20では、ハンドル30が上下方向を軸方向としてベース22に回動可能に軸支されている。ハンドル30の前端側の部分は、把持部32Dとして構成されており、把持部32Dは、ドアDから車室内側へ操作可能に露出されている。そして、ハンドル30の把持部32Dが、中立位置から車室外側(ドアDの開方向側)へ回動した押し操作位置に回動されたときには、ハンドル30のスイッチ操作部32Fによって第1スイッチ44が作動する。一方、ハンドル30の把持部32Dが、中立位置から車室内側(ドアDの閉方向側)へ回動した引き操作位置に回動されたときには、ハンドル30のカム面34L(カム部34K)によって第2スイッチ46が作動する。これにより、ハンドル30の把持部32Dに対する押し操作及び引き操作の方向を、ドアDの開閉方向に一致させつつ、ハンドル30に対する操作を検出することができる。特に、ハンドル30が中立位置から引き操作されるときの操作は、従来の車両(自動車)のサイドドアに搭載される手動式インナハンドルの操作と一致する。このため、乗員が、ドアDを開閉させるときのハンドル30に対する操作を直感的に認識することができる。したがって、乗員に対するハンドル30の操作性を向上することができる。
【0060】
また、ドア開閉検出装置20では、ハンドル30が、把持部32Dを有するハンドル本体32と、サブハンドル34と、を含んで構成されている。そして、ハンドル本体32の中立位置からの引き操作位置側(回動方向一方側)への回動時に、サブハンドル34がハンドル本体32と連動して回動する。さらに、ハンドル本体32の中立位置からの押し操作位置側(回動方向他方側)への回動時には、サブハンドル34は、ハンドル本体32の回動とは非連動にされて、中立位置に保持される。これにより、ハンドル本体32の引き操作時に、サブハンドル34のカム部34Kによって第2スイッチ46を作動させることができる共に、ハンドル本体32の押し操作時に、ハンドル本体32のスイッチ操作部32Fによって第1スイッチ44を作動させることができる。
【0061】
また、ドア開閉検出装置20では、第1付勢バネ40が、ハンドル本体32をサブハンドル34に対して引き操作位置側(回動方向一方側)へ付勢しており、第2付勢バネ42が、サブハンドル34をベース22に対して押し操作位置側(回動方向他方側)へ付勢している。さらに、ハンドル30の中立位置では、サブハンドル34のサブ側当接部34Hがベース22のベースストッパ部22Cに当接してサブハンドル34の押し操作位置側(回動方向他方側)への回動が制限されている。また、ハンドル30の中立位置では、ハンドル本体32の本体側当接部32Gがサブハンドル34のサブストッパ部34Fに当接してハンドル本体32の引き操作位置側(回動方向一方側)への回動が制限されている。このため、ハンドル本体32の中立位置からの引き操作位置側への回動時に、サブハンドル34をハンドル本体32と連動して回動させることができる。また、ハンドル本体32の中立位置からの押し操作位置側への回動時に、サブハンドル34をハンドル本体32の回動とは非連動にして中立位置に保持させることができる。
【0062】
また、ドア開閉装置10では、ドアDが全閉位置に配置された状態でハンドル30が引き操作位置に回動された場合には、制御部64が、ドア開閉駆動部60を駆動させてドアDを開方向へ回動させる。これにより、ドアDを開放させるときのハンドル30に対する操作が、従来の車両(自動車)のサイドドアに搭載される手動式のインナハンドルの操作と一致する。このため、乗員に対する操作性を一層向上することができる。
【0063】
また、ドア開閉装置10では、ドアDが全閉位置に配置された状態でハンドル30が押し操作位置に回動された場合には、制御部64が、ドア開閉駆動部60の駆動を禁止させる。このため、例えば、ドアDの全閉状態において、乗員がハンドル30の把持部32Dを不用意に押した場合でも、ドアDが開放されることを禁止できる。したがって、乗員に対する安全性を向上することができる。
【0064】
また、ドア開閉装置10では、ドアDが全開位置又は開位置に配置された状態でハンドル30が引き操作位置に回動された場合には、制御部64が、ドア開閉駆動部60を駆動させてドアDを閉方向へ回動さる。これにより、ドアDが全開位置又は開位置に配置された状態でドアDを閉じるときにおいて、ドアDを閉じる方向と、ハンドル30を操作する方向と、を一致させることができる。したがって、乗員に対する操作性を効果的に向上することができる。
【0065】
また、ドア開閉装置10では、ドアDが開位置に配置された状態でハンドル30が押し操作位置に回動された場合には、制御部64が、ドア開閉駆動部60を駆動させてドアDを開方向へ回動させる。これにより、ドアDが開位置に配置された状態でドアDをさらに開かせるときにおいて、ドアDを開く方向と、ハンドル30を操作する方向と、を一致させることができる。したがって、上述と同様に、乗員に対する操作性を効果的に向上することができる。
【0066】
なお、本実施の形態のドア開閉検出装置20では、ハンドル本体32のハンドル取付部32Aが支持軸24に支持されており、ハンドル本体32の把持部32Dがハンドル取付部32Aから前側へ延出されている。これに代えて、ドア開閉検出装置20において、ハンドル本体32の把持部32Dを前後に反転させた構成にしてもよい。あるいは、ハンドル本体32の把持部32Dを前後に反転させたものを、上下前後方向の平面上において180°回転させて配置した構成にしてもよい。
【0067】
この場合には、ハンドル本体32の把持部32Dの中立位置からの押し操作位置への回動時に、サブハンドル34をハンドル本体32と連動して回動させるように構成する。また、ハンドル本体32の把持部32Dの中立位置からの引き操作位置への回動時に、サブハンドル34をハンドル本体32の回動とは非連動にして中立位置に保持させるように構成する。すなわち、ハンドル本体32の中立位置からの押し操作位置への回動方向が、本発明の回動方向一方側となり、ハンドル本体32の中立位置からの引き操作位置への回動方向が、本発明の回動方向他方側となる。
【0068】
また、この場合には、第1スイッチ44と第2スイッチ46との位置を入れ替えるように構成する。すなわち、ハンドル本体32の中立位置からの押し操作位置への回動時に、サブハンドル34のカム部34Kによって第1スイッチ44が作動し、ハンドル本体32の中立位置からの引き操作位置への回動時に、ハンドル本体32のスイッチ操作部32Fによって第2スイッチ46が作動するように構成する。
【0069】
また、本実施の形態のドア開閉検出装置20では、第1スイッチ44によってハンドル30の押し操作位置を検出し、第2スイッチ46によってハンドル30の引き操作位置を検出しているが、ハンドル30の操作位置の検出はこれに限らない。以下、ドア開閉検出装置20の変形例として説明する。
【0070】
(ドア開閉検出装置の変形例1)
図10(A)に示されるように、変形例1では、ハンドル30において、サブハンドル34及び第2付勢バネ42が省略されており、ハンドル30がハンドル本体32のみで構成されている。また、ハンドル本体32では、スイッチ操作部32Fが、支持軸24の右側において、ハンドル本体32から右側へ突出している。スイッチ操作部32Fの先端部には、右側へ開放された溝部32F1が形成されている。これにより、スイッチ操作部32Fの先端部には、前後一対の操作片32F2が形成されており、一対の操作片32F2が溝部32F1を介して前後方向に対向して配置されている。
【0071】
また、変形例1では、第1付勢バネ40の代わりに、トーションバネ等によって構成された中立バネ(図示省略)が設けられており、中立バネによってハンドル本体32が、中立位置に保持されている。そして、ハンドル本体32が押し操作位置又は引き操作位置に回動されたときには、中立バネの付勢力によってハンドル本体32が中立位置に復帰する構成になっている。
【0072】
また、変形例1では、第1スイッチ44及び第2スイッチ46の代わりに「検出部」としてのスイッチ70が設けられている。スイッチ70は、図示しないスイッチホルダ等を介して、ベース22(
図10(A)では、不図示)に固定されると共に、制御部64に電気的に接続されている。スイッチ70は、2方向に作動可能に構成されたレバー70Aを有するディテクタスイッチとして構成されている。具体的には、レバー70Aがスイッチ操作部32Fの一対の操作片32F2の間に配置されている。
【0073】
そして、ハンドル本体32の把持部32Dが、中立位置から押し操作位置に回動されたときには、スイッチ操作部32Fの前側の操作片32F2によってレバー70Aが押圧されてスイッチ70が作動する。一方、ハンドル本体32の把持部32Dが、中立位置から引き操作位置に回動されたときには、スイッチ操作部32Fの後側の操作片32F2によってレバー70Aが押圧されてスイッチ70が作動する。これにより、変形例1においても、ハンドル30(ハンドル本体32)の把持部32Dに対する押し操作及び引き操作の方向を、ドアDの開閉方向に一致させつつ、ハンドル30に対する操作を検出することができる。したがって、変形例1においても、乗員に対するハンドル30の操作性を向上することができる。
【0074】
(ドア開閉検出装置の変形例2)
図10(B)に示されるように、変形例2では、変形例1と同様に、ハンドル30において、サブハンドル34及び第2付勢バネ42が省略されており、ハンドル30がハンドル本体32のみで構成されている。また、ハンドル本体32では、スイッチ操作部32Fが、支持軸24の右側において、ハンドル本体32から右側へ突出している。スイッチ操作部32Fの先端部には、磁石80が設けられている。また、変形例2においても、変形例1と同様に、ハンドル本体32に中立バネが設けられており、ハンドル本体32が中立位置に保持されている。
【0075】
また、変形例2では、第1スイッチ44及び第2スイッチ46の代わりに「検出部」としての一対の磁気センサ82、84が設けられている。磁気センサ82、84は、ホール素子として構成されて、図示しないセンサ基板を介してベース22(
図10(B)では、不図示)に固定されると共に、制御部64に電気的に接続されている。磁気センサ82は、磁石80の後側に配置されており、磁気センサ84は、磁石80の前側に配置されている。そして、磁気センサ82、84は、磁石80の磁束密度に応じた検出信号を制御部64に出力して、制御部64によってハンドル30の位置を検知するようになっている。
【0076】
そして、ハンドル本体32の把持部32Dが、中立位置から押し操作位置に回動されたときには、磁石80が磁気センサ82に接近して、磁気センサ82によってハンドル本体32の押し操作位置を検出する。一方、ハンドル本体32の把持部32Dが、中立位置から引き操作位置に回動されたときには、磁石80が磁気センサ84に接近して、磁気センサ84によってハンドル本体32の押し操作位置を検出する。これにより、変形例2においても、ハンドル30(ハンドル本体32)の把持部32Dに対する押し操作及び引き操作の方向を、ドアDの開閉方向に一致させつつ、ハンドル30に対する操作を検出することができる。したがって、変形例2においても、乗員に対するハンドル30の操作性を向上することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 ドア開閉装置
20 ドア開閉検出装置
22 ベース
30 ハンドル
32 ハンドル本体
32D 把持部
32F スイッチ操作部(本体側操作部)
34 サブハンドル
34K カム部(サブ側操作部)
40 第1付勢バネ(第1付勢部材)
42 第2付勢バネ(第2付勢部材)
44 第1スイッチ(検出部)(スイッチ)
46 第2スイッチ(検出部)(スイッチ)
60 ドア開閉駆動部
62 ドア開閉位置検出装置(ドア開閉位置検出部)
64 制御部
70 スイッチ(検出部)
80 磁石
82 磁気センサ(検出部)
84 磁気センサ(検出部)
D ドア
V 車両