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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/70 20200101AFI20230731BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230731BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230731BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20230731BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A24F40/70
A24F40/465
A24F40/20
H05B6/10 371
H05B6/36 A
H05B6/36 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021554598
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020056252
(87)【国際公開番号】W WO2020182759
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】62/816,316
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211084(WO,A1)
【文献】特開2009-048916(JP,A)
【文献】特開昭60-130091(JP,A)
【文献】特開2003-284638(JP,A)
【文献】特開平08-064413(JP,A)
【文献】実開昭60-089269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
H05B 6/00- 6/10
H05B 6/14- 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスインダクタコイルを形成する方法であって、
複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤを用意するステップであり、前記複数のワイヤストランドの各々が、接合可能なコーティングを備える、ステップと、
支持部材上に前記リッツワイヤからインダクタコイルを形成するステップであり、前記インダクタコイルが既定の形状を有する、ステップと、
前記インダクタコイルが前記既定の形状を実質的に保持するように、前記接合可能なコーティングを活性化するステップと、
前記インダクタコイルを前記支持部材から除去するステップと、を含む方法。
【請求項2】
インダクタコイルを形成する前記ステップが、前記リッツワイヤを前記支持部材の周りに巻き付け、以て、らせん形インダクタコイルを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記既定の形状が、前記インダクタコイルの1つ又は複数の端部に、前記インダクタコイルを電力源に接続するための接続部分を含み、前記方法が、
前記接続部分を予め定められた期間にわたってはんだに浸漬するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記期間が、秒~秒である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記はんだが、00℃~00℃の温度を有する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記接合可能なコーティングを活性化する前記ステップが、前記接合可能なコーティングを加熱することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接合可能なコーティングを活性化した後に前記インダクタコイルを冷却するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記既定の形状が、2つの接続部分を備え、それらの両方が、実質的に同じ平面内にあり、前記形成するステップが、前記接続部分のうちの少なくとも一方を、それが前記平面内にあるように曲げることを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記曲げることが、前記接続部分のうちの少なくとも一方を、それが前記平面内にあるように90度曲げることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リッツワイヤを巻き付けるステップが、前記リッツワイヤを前記支持部材の周りに~9回巻き付けることを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リッツワイヤが、撚り方向を有し、前記形成するステップが、前記リッツワイヤを前記撚り方向と同じ方向に巻き付けることを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記接合可能なコーティングが、エナメルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤから形成されるエアロゾル供給デバイス誘導コイルであって、前記ワイヤストランドの各々が、接合可能なコーティングを有し、前記接合可能なコーティングは、前記エアロゾル供給デバイス誘導コイルが、支持部材がなくても独自の形状を実質的に保持するように活性化されている、エアロゾル供給デバイス誘導コイル。
【請求項14】
前記誘導コイルが、一方の端部に接続部分を有し、前記接続部分が、前記リッツワイヤの実質的にすべての前記ワイヤストランドと電気接触状態にあるはんだで被覆される、請求項13に記載のエアロゾル供給デバイス誘導コイル。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のエアロゾル供給デバイス誘導コイルと、
エアロゾル生成材料を備える物品と
を具備する、エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスのためのインダクタコイルを形成する方法、及びエアロゾル供給デバイスに関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガー、及び同様のものなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を作成する。燃焼なしに化合物を放出する製品を作成することによって、タバコを燃焼させるこれらの物品の代替物を提供するための試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスである。材料は、例えば、タバコ、又は他の非タバコ製品であり得、これはニコチンを含有する場合としない場合とがある。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によると、エアロゾル供給デバイスインダクタコイルを形成する方法であって、
複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤを用意するステップであり、複数のワイヤストランドの各々が、接合可能なコーティングを備える、ステップと、
支持部材上にリッツワイヤからインダクタコイルを形成するステップであり、インダクタコイルが既定の形状を有する、ステップと、
インダクタコイルが既定の形状を実質的に保持するように、接合可能なコーティングを活性化するステップと、
インダクタコイルを支持部材から除去するステップと、を含む方法が提供される。
【0004】
本開示の第2の態様によると、複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤから形成されるエアロゾル供給デバイス誘導コイルであって、ワイヤストランドの各々が接合可能なコーティングを有し、接合可能なコーティングは、エアロゾル供給デバイス誘導コイルが、支持部材がなくても独自の形状を実質的に保持するように活性化されている、エアロゾル供給デバイス誘導コイルが提供される。
【0005】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して、単に例として提供される、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】エアロゾル供給デバイスの例の前面図である。
図2】外カバーが取り外された状態の図1のエアロゾル供給デバイスの前面図である。
図3図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
図4図2のエアロゾル供給デバイスの分解立体図である。
図5】Fig.5Aは、エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図である。 Fig.5Bは、Fig.5Aの加熱アセンブリの一部分の拡大図である。
図6】絶縁部材の周りに巻かれている第1及び第2のインダクタコイルの斜視図である。
図7】インダクタコイルを形成する例示的な方法のフロー図である。
図8】インダクタコイルを形成するために使用される製造設備の斜視図である。
図9】印刷回路基板に接続されている第1及び第2のインダクタコイルの斜視図である。
図10】インダクタコイルの上から見た図である。
【詳細な説明】
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル生成材料」は、加熱時に、揮発した成分を、典型的にはエアロゾルの形態で提供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含み得、製品に応じて、ニコチンを含む場合とそうでない場合とがある。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、ワックス、又は同様のものなどの形態にあってもよい。エアロゾル生成材料はまた、例えば、材料の組み合わせ又は混合物であってもよい。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」としても知られ得る。
【0008】
典型的には、エアロゾル生成材料を燃焼させること又は燃やすことなく、吸入され得るエアロゾルを形成するために、エアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。そのような装置は、時として、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」、又は同様のものとして説明される。同様に、ニコチンを含む場合とそうでない場合とがある、典型的には、液体の形態にあるエアロゾル生成材料を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスも存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入され得るロッド、カートリッジ、又はカセット、又は同様のものの形態にあり得るか、又はこれの部分として提供され得る。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒーターは、装置の「永久的な」部分として提供され得る。
【0009】
エアロゾル供給デバイスは、加熱のためのエアロゾル生成材料を備える物品を受容することができる。この文脈における「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を、及び任意選択的に使用時に他の構成要素を含む、又は含有する構成要素であり、このエアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料を揮発させるために加熱される。ユーザは、この物品を、ユーザが後に吸入するエアロゾルを生成するために物品が加熱される前に、エアロゾル供給デバイスへ挿入することができる。物品は、例えば、物品を受容するようにサイズ決定されるデバイスの加熱チャンバ内に置かれるように構成される既定又は特定のサイズのものであり得る。
【0010】
本開示の第1の態様は、エアロゾル供給デバイスにおける使用のためのインダクタコイルを形成する方法を規定する。本方法は、リッツワイヤ/ケーブルで始まる。リッツワイヤは、複数のワイヤストランドを備えるワイヤであり、交流を流すために使用される。リッツワイヤは、導体内の表皮効果損失を低減するために使用され、一緒に撚られているか、織られている複数の個々に絶縁されたワイヤを備える。この巻線の結果は、各ストランドが導体の外側にある全長の割合を等しくすることである。これは、ワイヤストランドに交流を等しく分配する効果を有し、ワイヤ内の抵抗を低減する。いくつかの例において、リッツワイヤは、ワイヤストランドのいくつかの束を備え、各束内のワイヤストランドは、一緒に撚られている。ワイヤの束は、同様の様式で一緒に撚られている/織られている。
【0011】
本開示において、複数のワイヤストランドの各々は、接合可能なコーティングを備える。接合可能なコーティングは、各ワイヤストランドを包囲するコーティングであり、リッツワイヤ内のストランドがもう1つの近隣ストランドに接合するように活性化され得る(加熱によってなど)。接合可能なコーティングは、リッツワイヤが支持部材上にインダクタコイルの形状へと形成されることを可能にし、接合可能なコーティングが活性化された後、インダクタコイルはその形状を保持する。したがって、接合可能なコーティングは、インダクタコイルの形状を「セットする」。いくつかの例において、接合可能なコーティングは、導電性芯を包囲する電気絶縁層である。しかしながら、接合可能なコーティング及び絶縁体は、別個の層であってもよく、接合可能なコーティングが絶縁層を包囲する。例において、リッツワイヤの導電性芯は銅を含む。
【0012】
リッツワイヤ(このときインダクタコイルの形状にある)は、その形状を失うことなく支持部材から除去され得る。支持部材は、リッツワイヤを既定の形状(すなわち、インダクタコイルの形状)へと形成するために使用される構造体である。したがって、支持部材は、接合可能なコーティングが活性化されるとき、リッツワイヤを既定の形状に保つ。
【0013】
したがって、例示的な方法は、経時的にその形状を保持する可能性の高いインダクタコイルを提供する。故に、デバイスが組み立てられた後には、所望の加熱効果がより長く維持され得、これがデバイスの寿命を増大させ、インダクタコイルが最も効率的に動作していることを確実にする。これは、経時的に変形又は歪曲し得るインダクタコイルを有するデバイスとは対照的である。本方法はまた、デバイスの製造中に、一層の柔軟性を提供する。例えば、インダクタコイルは、デバイスが組み立てられる時ではなく、組み立てプロセスの前に準備され得る。
【0014】
上記方法は、エアロゾル供給デバイスにおける使用のためのインダクタコイルを形成するために使用され得る。いくつかの例において、本デバイスは、2つ以上のインダクタコイルを備え得る。各インダクタコイルは、サセプタに侵入する変動地場を生成するように配置される。本明細書により詳細に説明されるように、サセプタは、変動地場によって加熱可能である導電性の物体である。エアロゾル生成材料を備える物品は、サセプタ内に受容され得るか、又はサセプタの近くに配置され得るか、又はサセプタと接触状態にあり得る。一旦加熱されると、サセプタは、熱をエアロゾル生成材料へ伝達し、これによりエアロゾルを放出する。
【0015】
特定の例において、インダクタコイルを形成するステップは、リッツワイヤを支持部材の周りに巻き付け、以て、らせん形インダクタコイルを形成することを含む。故に、インダクタコイルは、らせん形状を有し得る。例えば、支持部材は、管状又は円筒状であってもよく、リッツワイヤは、支持部材の周りに既定のらせん形状へと巻き付けられ/巻かれ得る。したがって、支持部材は、既定の形状を画定する外側断面を有し得る。例えば、支持部材は、第1の外側断面を有し得、らせん形コイルは、第2の内側断面を有し得、第1の外側断面及び第2の内側断面は、実質的に同じである。第1及び第2の断面は、例えば、形状が円形であってもよい。リッツワイヤを支持部材の周りに、及び支持部材の長さに沿って、巻き付けることにより、らせん形インダクタコイルが形成され得る。
【0016】
本方法は、インダクタコイルを支持部材から除去した後に、インダクタコイルを絶縁部材/支持体上に受容するステップをさらに含み得る。絶縁部材は、例えば、エアロゾル供給デバイス内に配置される構成要素であり得る。絶縁部材は、第1の外側断面と実質的に等しい第3の外側断面を有し得る。
【0017】
他の例において、インダクタコイルは、平坦形状、湾曲形状を有し得るか、又は双曲放物面のような形状であり得る。
【0018】
既定の形状は、インダクタコイルの1つ又は複数の端部に、インダクタコイルを電力源に接続するための接続部分を含み得る。言い換えると、インダクタコイルの少なくとも1つの端部及びリッツワイヤが、接続部分を画定し得る。インダクタコイルの各端部に接続部分が存在してもよい。接続部分(複数可)は、例えば、印刷回路基板(PCB)などの回路に接続可能であってもよい。本方法は、接続部分をある期間にわたってはんだに浸漬するステップを含み得る。溶融はんだは、絶縁体を溶融するか、又は絶縁体を複数のワイヤストランドから別途除去し、ワイヤストランドの各々とインダクタコイルが接続される構成要素との間の良好な電気接触を作成するように作用する。故に、接続部分において、ワイヤストランドの各々(又は大部分)は、インダクタコイルに接着/接合するはんだにより、互いに電気的に接続される。コネクタ部分は、電力源に接続されるインダクタコイルの部分(端部など)を備える。
【0019】
接続部分がはんだに浸漬される期間は、例えば、約2秒~約6秒、又は約3秒~約5秒であり得る。この時間の長さは、ワイヤストランドの導電性芯に損傷を及ぼすことなく、ワイヤストランドから絶縁体(及び接合可能なコーティング)を除去することと、良好な電気接続を作成することとの良好なバランスを提供するということが分かっている。期間は、約4秒~約5秒であることが好ましい。これは、上述の考慮事項間の良好なバランスを提供する。
【0020】
接続部分が浸漬されるはんだは、約400℃~約500℃、又は約400℃~約450℃の温度を有し得る。この温度のはんだは、ワイヤストランドの導電性芯に損傷を及ぼすことなく、ワイヤストランドから絶縁体(及び接合可能なコーティング)を除去するのに好適であることが分かっている。はんだは、約450℃の温度を有し得るのが好ましい。
【0021】
接合可能なコーティングを活性化するステップは、接合可能なコーティングを加熱することを含み得る。例えば、インダクタコイルが支持部材上に形成された後、リッツワイヤは、インダクタコイルが熱硬化を経るように、加熱されて、ワイヤストランドの各々における接合可能なコーティングを自己接合させ得る。特定の例において、接合可能なコーティングを加熱することは、接合可能なコーティングを約180~200℃の接合温度まで加熱することを含む。
【0022】
別の例において、接合可能なコーティングは、溶媒を介して活性化され得る。
【0023】
本方法は、接合可能なコーティングを活性化した後にインダクタコイルを冷却するステップをさらに含み得る。このプロセスは、接合可能なコーティングを冷まし、こうしてインダクタコイルの形状をセットすることができる。インダクタコイルを冷却するステップは、インダクタコイルに空気を通すことを含み得る。例えば、空気銃又はファンは、インダクタコイルに空気を吹き込むことができる。空気銃又はファンを使用することにより冷却プロセスを速めることができる。
【0024】
上で述べたように、インダクタコイルは、2つの接続部分を備えてもよく、一方はインダクタコイルの各端部へ向かって配置される。1つの例において、既定の形状は、2つの接続部分を備え、それらの両方が、実質的に同じ平面内にあり、インダクタコイルを形成するステップは、接続部分のうちの少なくとも一方を、それが平面内にあるように曲げることを含む。例えば、インダクタコイルの2つの端部は、インダクタコイルによって画定される軸線に平行である(組み立てられたエアロゾル供給デバイス内のサセプタの長手方向軸線にも平行である)軸線上にあり得る。平面は、それがインダクタコイルに対して接線方向に配置されるように、配置され得る。
【0025】
接続部分の少なくとも1つを曲げることは、約90度曲げることを含み得る。特定の例において、第1の接続部分は、らせん巻きのインダクタコイルから接線方向に延在し、第2の接続部分は、それが第1の接続部分と同じ平面にあるように、接線方向から約90度曲げられる。第2の部分は、それが曲げられる前、最初は、インダクタコイルから接線方向に延在し得る。
【0026】
リッツワイヤを巻き付けることは、リッツワイヤを支持部材の周りに約5~9回巻き付けることを含み得る。故に、約5~9巻きを備えるインダクタコイルが形成され得る。1つの例において、約6.75巻きなど、約6~7巻きを有する第1のインダクタコイルが形成される。したがって、リッツワイヤを巻き付けることは、リッツワイヤを支持部材の周りに、約6.75回など、約6~7回巻き付けることを含む。別の例において、約8.75巻きなど、約8~9巻きを有する第2のインダクタコイルが形成される。したがって、リッツワイヤを巻き付けることは、リッツワイヤを支持部材の周りに、約8.75回など、約8~9回巻き付けることを含む。巻きは、軸線の周りの完全な1回転である。
【0027】
リッツワイヤは、撚り方向を有し得、インダクタコイルを形成することは、リッツワイヤを撚り方向と同じ方向に巻き付けることを含み得る。したがって、撚り方向は、巻き付け方向を称賛(compliment)するものであり、それは、リッツワイヤ内のワイヤストランドが撚れてほどける可能性が低いことを意味する。
【0028】
接合可能なコーティングは、エナメルを含み得る。
【0029】
1つの例において、個々のワイヤは、ニューハンプシャー州、Elektrisola Inc.から市販されているThermobond STP18ワイヤである。これらのワイヤは、エアロゾル供給デバイスにおける使用に優れた適合性をもたらすことが分かっている。例えば、これらのワイヤは、デバイス内の加熱されたサセプタが接合可能なコーティングを再び軟化させることがないように、比較的高い接合温度を有する。
【0030】
第2の態様において、エアロゾル供給デバイス誘導コイルは、複数のワイヤストランドを備えるリッツ線から形成され、ワイヤストランドの各々が接合可能なコーティングを有し、接合可能なコーティングは、エアロゾル供給デバイス誘導コイルが、支持部材がなくても独自の形状を実質的に保持するように活性化されている。
【0031】
誘導コイルは、一方の端部に接続部分を有し得、接続部分は、リッツ線の実質的にすべてのワイヤストランドと電気接触状態にあるはんだで被覆される。
【0032】
上に説明された方法は、エアロゾル供給デバイスのための第2のインダクタコイルを形成するために繰り返され得る。1つの例示的な方法において、第1のインダクタコイルが形成され、第2のインダクタコイルが形成され、第1のインダクタコイルは、第2のインダクタコイルよりも短い長さを有する。特定の例において、第1のインダクタコイルを形成することは、第1のリッツワイヤを支持部材の周りに第1の長さにわたって巻き付け、以て、第1のらせん形インダクタコイルを形成することを含み、第2のインダクタコイルを形成することは、第2のリッツワイヤを支持部材の周りに第2の長さにわたって巻き付け、以て、第2のらせん形インダクタコイルを形成することを含み、第1の長さは第2の長さよりも短い。
【0033】
第1の長さ(第1のインダクタコイルの)は、約15mm~約20mmであってもよく、第2の長さ(第2のインダクタコイルの)は、約25mm~約30mmであってもよい。より詳細には、第1の長さは、約19mm(±1mm)であってもよく、第2の長さは、約28mm(±1mm)であってもよい。これらの長さは、熱い煙を低減しながら、サセプタの効果的な加熱を提供するのに好適であることが分かっている。
【0034】
第1のインダクタコイルは、約250mm~約300mmの長さを有する第1のリッツワイヤを備え得、第2のインダクタコイルは、約400mm~約450mmの長さを有する第2のリッツワイヤを備え得る。言い換えると、各コイル内のワイヤの長さは、コイルがほどかれているときの長さである。例えば、第1のリッツワイヤは、約280mm~約290mmの長さを有し得、第2のリッツワイヤは、約415mm~約425mmの長さを有し得る。特定の構成において、第1のリッツワイヤは、約285mmの長さを有し、第2のリッツワイヤは、約420mmの長さを有する。これらの長さは、熱い煙を低減しながら、サセプタの効果的な加熱を提供するのに好適であることが分かっている。
【0035】
第1のインダクタコイルは、連続した巻きの間に隙間を備え得、各隙間は、約0.9mmの長さを有し得る。第2のインダクタコイルは、連続した巻きの間に隙間を備え得、各隙間は、約1mmの長さを有し得る。これは、サセプタ構成体の効果がインダクタコイルごとに異なり得ることを意味する。より一般的には、連続した巻きの間の隙間は、インダクタコイルごとに異なり得る。隙間長さは、デバイス/サセプタの長手方向軸線に平行の方向に測定される。隙間は、コイルのワイヤが存在しない部分である(すなわち、連続した巻きの間に空間が存在する)。
【0036】
第1のインダクタコイルは、約2g~約3gの質量を有し得、第2のインダクタコイルは、約3g~約4gの質量を有し得る。例えば、第1の質量は、約3g未満、又は約2.5g未満であってもよく、第2の質量は、約3g超、又は約3.5g超であってもよい。特定の構成において、第1のインダクタコイルは、約2.4gの質量を有し、第2のインダクタコイルは、約3.5gの質量を有する。
【0037】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の例を示す。大まかには、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110を加熱して、デバイス100のユーザによって吸入されるエアロゾル又は他の吸入可能な媒体を生成するために使用され得る。
【0038】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を包囲及び収納するハウジング102(外カバーの形態にある)を備える。デバイス100は、一方の端部に開口部104を有し、これを通じて、物品110が、加熱アセンブリによる加熱のために挿入され得る。使用中、物品110は、加熱アセンブリ内へ完全に、又は部分的に挿入され得、そこで物品110は、ヒーターアセンブリの1つ又は複数の構成要素によって加熱され得る。
【0039】
この例のデバイス100は、ふた108を備える第1の端部材106を備え、このふた108は、物品110が適所にないとき開口部104を閉じるために第1の端部材106に対して移動可能である。図1では、ふた108は、開構成で示されるが、ふた108は、閉構成へと移動し得る。例えば、ユーザは、ふた108を矢印「A」の方向にスライドさせることができる。
【0040】
デバイス100はまた、押圧されるとデバイス100を動作させるボタン又はスイッチなどのユーザ操作可能な制御要素112を含み得る。例えば、ユーザは、スイッチ112を動作させることによってデバイス100をオンにすることができる。
【0041】
デバイス100はまた、デバイス100のバッテリーを充電するためにケーブルを受容することができるソケット/ポート114などの電気構成要素を備え得る。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0042】
図2は、外カバー102が取り外された状態の、及び物品110が存在していない、図1のデバイス100を描写する。デバイス100は、長手方向軸線134を画定する。
【0043】
図2に示されるように、第1の端部材106は、デバイス100の一方の端部に配置され、第2の端部材116は、デバイス100の反対の端部に配置される。第1及び第2の端部材106、116は一緒に、デバイス100の端部表面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外カバー102の縁もまた、端部表面の一部分を画定し得る。この例では、ふた108はまた、デバイス100の上表面の一部分を画定する。
【0044】
開口部104に最も近いデバイスの端部は、使用中ユーザの口に最も近いことから、デバイス100の近位端部(又は口側端部)として知られ得る。使用中、ユーザは、物品110を開口部104に挿入し、ユーザ制御部112を動作させて、エアロゾル生成材料を加熱することを開始し、デバイス内で生成されるエアロゾルを吸う。これは、エアロゾルがデバイス100を通じて流路に沿ってデバイス100の近位端部に向かって流れることを生じさせる。
【0045】
開口部104から最も遠く離れたデバイスの他方の端部は、使用中ユーザの口から最も遠く離れていることから、デバイス100の遠位端部として知られ得る。ユーザがデバイス内で生成されるエアロゾルを吸うと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端部から離れる方へ流れる。
【0046】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば、充電式バッテリー又は非充電式バッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例は、例えば、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーを含む。バッテリーは、エアロゾル生成材料を加熱するために、必要とされるとき、及びコントローラ(図示せず)の制御下で、電力を供給するために加熱アセンブリに電気的に結合される。この例では、バッテリーは、バッテリー118を適所に保持する中央支持体120に接続される。
【0047】
本デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えば、印刷回路基板(PCB)を備え得る。PCB122は、少なくとも1つの、プロセッサなどのコントローラ、及びメモリを支持し得る。PCB122はまた、デバイス100の様々な電子構成要素を一緒に電気的に接続するために1つ又は複数の電気トラックを備え得る。例えば、バッテリー端子は、電力がデバイス100全体に分配され得るように、PCB122に電気的に接続され得る。ソケット114もまた、電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合され得る。
【0048】
例示的なデバイス100において、加熱アセンブリは、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスを通じて物品110のエアロゾル生成材料を加熱するために様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性の物体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導素子、例えば、1つ又は複数のインダクタコイル、及び交流などの変動電流を誘導素子に流すためのデバイスを備え得る。誘導素子内の変動電流は、変動磁場をもたらす。変動磁場は、誘導素子に対して好適に位置付けられているサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有し、故に、この抵抗に対する渦電流の流れは、ジュール加熱によってサセプタが加熱されることを引き起こす。サセプタが、イオン、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、熱は、サセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、すなわち、変動磁場との整列の結果としての磁性材料内の磁気双極子の変化する配向によっても生成され得る。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較して、熱は、サセプタの内側に生成され、迅速な加熱を可能にする。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間にいかなる物理的接触も必要とされず、構造及び応用における高められた自由度を可能にする。
【0049】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書では「サセプタ」と称される)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。この例では、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、らせん形インダクタコイル124、126を提供するためにらせん形式で巻き付けられるリッツワイヤ/ケーブルから作製される。リッツワイヤは、複数の個々のワイヤを備え、これらは個々に絶縁され、一緒に撚られて単一のワイヤを形成する。リッツワイヤは、導体内の表皮効果損失を低減するように設計される。例示的なデバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、矩形断面を有する銅リッツワイヤから作製される。他の例では、リッツワイヤは、円形などの他の形状断面を有し得る。
【0050】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の区域を加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の区域を加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿った方向に第2のインダクタコイル126に隣接している(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は重複しない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタ、又は2つ以上の別個のサセプタを備え得る。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続され得る。
【0051】
第1及び第2のインダクタコイル124、126は、いくつかの例において、互いとは異なる少なくとも1つの特徴を有し得るこということを理解されたい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる少なくとも1つの特徴を有し得る。より詳細には、1つの例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なるインダクタンス値を有し得る。図2では、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124が、第2のインダクタコイル126よりも小さいサセプタ132の区域にわたって巻き付けられるように、異なる長さのものである。故に、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる数の巻きを備え得る(個々の巻きの間の間隔は実質的に同じであることを前提とする)。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作製され得る。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0052】
この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻き付けられる。これは、インダクタコイルが異なる時間に活性であるときに有用であり得る。例えば、最初、第1のインダクタコイル124が、物品110の第1の区域を加熱するために動作していてもよく、後に、第2のインダクタコイル126が、物品110の第2の区域を加熱するために動作していてもよい。コイルを反対方向に巻き付けることは、特定のタイプの制御回路と併せて使用されるとき、誘導コイル内に誘導される電流を低減するのを助ける。図2では、第1のインダクタコイル124は、右巻きらせんであり、第2のインダクタコイル126は、左巻きらせんである。しかしながら、別の実施形態において、インダクタコイル124、126は、同じ方向に巻き付けられ得るか、又は、第1のインダクタコイル124は、左巻きらせんであり得、第2のインダクタコイル126は、右巻きらせんであり得る。
【0053】
この例のサセプタ132は、中空であり、したがって、エアロゾル生成材料が受容されるレセプタクルを画定する。例えば、物品110は、サセプタ132に挿入され得る。この例では、サセプタ120は、円形断面を有する管状である。
【0054】
図2のデバイス100は、概して管状であり、サセプタ132を少なくとも部分的に包囲する絶縁部材128をさらに備える。絶縁部材128は、例えばプラスチックなどの任意の絶縁材料から構築され得る。この特定の例では、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構築される。絶縁部材128は、サセプタ132内で生成される熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁するのを助け得る。
【0055】
絶縁部材128はまた、第1及び第2のインダクタコイル124、126を完全に、又は部分的に支持し得る。例えば、図2に示されるように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周りに位置付けられ、絶縁部材128の半径方向外向き表面と接触状態にある。いくつかの例において、絶縁部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126に当接しない。例えば、小さい隙間が、絶縁部材128の外表面と第1及び第2のインダクタコイル124、126の内表面との間に存在し得る。
【0056】
特定の例において、サセプタ132、絶縁部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸線の周りで同軸である。
【0057】
図3は、部分断面図でデバイス100の側面を示す。この例では、外カバー102が存在する。第1及び第2のインダクタコイル124、126の矩形断面形状がより明確に視認できる。
【0058】
デバイス100は、サセプタ132を適所に保持するためにサセプタ132の一方の端部に係合する支持体136をさらに備える。支持体136は、第2の端部材116に接続される。
【0059】
本デバイスはまた、制御要素112内で関連付けられた第2の印刷回路基板138を備え得る。
【0060】
デバイス100は、デバイス100の遠位端部に向かって配置される第2のふた/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、サセプタ132へのアクセスを提供するために第2のふた140が開かれることを可能にする。ユーザは、第2のふた140を開いて、サセプタ132及び/又は支持体136を清掃することができる。
【0061】
デバイス100は、デバイスの開口部104へ向かってサセプタ132の近位端部から離れる方へ延在する拡張部材144をさらに備える。拡張部材144内に少なくとも部分的に位置するのは、デバイス100内に受容されるとき物品110に当接し、これを保持するための保持クリップ146である。拡張部材144は、端部材106に接続される。
【0062】
図4は、外カバー102が省略されている図1のデバイス100の分解立体図である。
【0063】
図5のFig.5Aは、図1のデバイス100の一部分の断面を描写する。図5のFig.5Bは、Fig.5Aのある領域の拡大を描写する。Fig.5A及びFig.5Bは、サセプタ132内に受容される物品110を示し、物品110は、物品110の外表面がサセプタ132の内表面に当接するように寸法決定される。これは、加熱が最も効率的であることを確実にする。この例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを備える。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に位置付けられる。物品110はまた、フィルター、包装材、及び/又は冷却構造体などの他の構成要素を備え得る。
【0064】
Fig.5Bは、サセプタ132の外表面が、インダクタコイル124、126の内表面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直の方向に測定される距離150だけ離間されることを示す。1つの特定の例において、距離150は、約3mm~4mm、約3mm~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0065】
Fig.5Bは、絶縁部材128の外表面が、インダクタコイル124、126の内表面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直の方向に測定される距離152だけ離間されることをさらに示す。1つの特定の例において、距離152は、約0.05mmである。別の例において、距離152は、インダクタコイル124、126が、絶縁部材128に当接し、触れるように、実質的に0mmである。
【0066】
1つの例において、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの壁厚154を有する。
【0067】
1つの例において、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0068】
1つの例において、絶縁部材128は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの壁厚156を有する。
【0069】
図6は、デバイス100の加熱アセンブリの一部を描写する。上で簡単に述べたように、加熱アセンブリは、軸線200に沿った方向に、互いに隣接して配置される第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を備える。インダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周りにらせん状に延在する。サセプタ132は、管状の絶縁部材128内に配置される。この例では、第1及び第2のインダクタコイルを形成するワイヤは、円形断面を有するが、それらは、矩形断面などの異なる形状断面を有してもよい。
【0070】
軸線200は、例えば、インダクタコイル124、126のうちの一方又は両方によって画定され得る。軸線200は、デバイス100の長手方向軸線134に平行であり、サセプタ158の長手方向軸線に平行である。各インダクタコイル124、126は、したがって、軸線200の周りに延在する。代替的に、軸線200は、サセプタ132の絶縁部材128によって画定され得る。
【0071】
使用中、第1のインダクタコイル124が最初に動作される。これにより、サセプタ132の第1の区域(すなわち、第1のインダクタコイル124によって包囲されるサセプタ132の区域)を熱くし、これが今度は、エアロゾル生成材料の第1の部分を加熱する。後に、第1のインダクタコイル124は、オフに切り替えられ得、第2のインダクタコイル126が動作され得る。これにより、サセプタ132の第2の区域(すなわち、第2のインダクタコイル126によって包囲されるサセプタ132の区域)を熱くし、これが今度はエアロゾル生成材料の第2の部分を加熱する。第2のインダクタコイル126は、第1のインダクタコイル124が動作されている間にオンに切り替えられ得、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126が動作し続けている間にオフに切り替えられ得る。代替的に、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126がオンに切り替えられる前にオフに切り替えられ得る。コントローラは、各インダクタコイルがいつ動作/励起されるかを制御することができる。
【0072】
いくつかの例において、第1のインダクタコイル124の長さ202は、第2のインダクタコイル126の長さ204よりも短い。各インダクタコイルの長さは、インダクタコイル124、126の軸線200に平行の方向に測定される。第1の、短い方のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126よりもデバイス100の口側端部(近位端部)の近くに配置され得る。エアロゾル生成材料が加熱されるとき、エアロゾルが放出される。ユーザが吸入すると、エアロゾルは、矢印206の方向に、デバイス100の口側端部の方へ引き込まれる。エアロゾルは、開口部/マウスピース104を通じてデバイス100から出て、ユーザによって吸入される。第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126よりも開口部104の近くに配置される。
【0073】
この例では、第1のインダクタコイル124は、約20mmの長さ202を有し、第2のインダクタコイル126は、約30mmの長さ204を有する。第1のインダクタコイル124を形成するためにらせん状に巻き付けられる第1のワイヤは、約285mmの非巻き付け時の長さを有する。第2のインダクタコイル126を形成するためにらせん状に巻き付けられる第2のワイヤは、約420mmの非巻き付け時の長さを有する。
【0074】
各インダクタコイル124、126は、複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤから形成される。例えば、各リッツワイヤ内には約50~約150本のワイヤストランドが存在し得る。本例では、各リッツワイヤ内に約75本のワイヤストランドが存在する。いくつかの例において、ワイヤストランドは、1つ又は複数の束へとグループ化され、各束がいくつかのワイヤストランドを備え、その結果として、すべての束内のワイヤストランドを合計するとワイヤストランドの総数となる。本例では、15本のワイヤストランドの5つの束が存在する。
【0075】
ワイヤストランドの各々が、ある直径を有する。例えば、直径は、約0.05mm~約0.2mmであってもよい。いくつかの例において、直径は、34AWG(0.16mm)~40AWG(0.0799mm)であり、AWGは、米国ワイヤゲージ規格(American Wire Gauge)である。この例では、ワイヤストランドの各々は、38AWG(0.101mm)の直径を有する。したがって、リッツワイヤは、約1mm~約2mmの半径を有し得る。この例では、リッツワイヤは、約1.3mm~約1.4mmの半径を有する。
【0076】
図6に示されるように、第1のインダクタコイル124のリッツワイヤは、軸線202の周りに約6.75回巻かれ、第2のインダクタコイル126のリッツワイヤは、軸線202の周りに約8.75回巻かれる。リッツワイヤは、リッツワイヤのいくつかの端部が、完全な巻きが完了する前に、絶縁部材128の表面から離れる方へ曲げられることから、完全数の巻きを形成しない(例えば、図10を参照)。
【0077】
図6は、連続的な巻き付け/巻きの間の隙間を示す。これらの隙間は、例えば、約0.5mm~約2mmであってもよい。
【0078】
いくつかの例において、各インダクタコイル124、126は、同じピッチを有し、ピッチは、1つの完全な巻き付けにわたるインダクタコイルの長さである(インダクタコイルの軸線200に沿って、又はサセプタの長手方向軸線158に沿って測定される)。他の例において、各インダクタコイル124、126は、異なるピッチを有する。
【0079】
この例では、第1のインダクタコイル124は、約1.4gの質量を有し、第2のインダクタコイル126は、約2.1gの質量を有する。
【0080】
1つの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、224、224、226の内径は、長さが約12mmであり、外径は、長さが約14.3mmである。
【0081】
図7は、エアロゾル供給デバイスインダクタコイルを形成するための方法300のフロー図を描写する。そのような方法は、図2図6に関連して説明されるインダクタコイル124、126のうちの一方又は両方を形成するために使用され得る。
【0082】
本方法は、ブロック302において、複数のワイヤストランドを備えるリッツワイヤを用意するステップであって、複数のワイヤストランドの各々が、接合可能なコーティングを備える、ステップを含む。例えば、上に説明されるパラメータを有するリッツワイヤが用意され得る。
【0083】
本方法は、ブロック304において、支持部材上にリッツワイヤからインダクタコイルを形成するステップであって、インダクタコイルが既定の形状を有する、ステップを含む。図8は、リッツワイヤからインダクタコイル400を形成するために使用される例示的な機械装置を描写する。示されるように、リッツワイヤ402は、ほどかれて支持部材406の周りに巻き付けられる前に、最初に、ボビン404の周りに巻き付けられてもよい。この例では、ドラム408は、ガイドレール410に対して平行に回転及び移動され、これにより、リッツワイヤが支持部材406の長さに沿ってらせん状に巻き付けられることを引き起こす。ドラム408がガイドレール410に沿って回転及び移動する速度は、インダクタコイル400における隣接する巻きの間の間隔/隙間サイズを規定する。より長いインダクタコイル400を形成するために、ドラム408は、ガイドレール410に沿ってさらに移動することができる(回転し続けながら)。より多くの数の巻きを有するインダクタコイル400を形成するために、ドラム408は、より多くの回数回転することができる。
【0084】
支持部材406は、絶縁部材128の直径に実質的に対応する直径を有する。したがって、支持部材406は、絶縁部材128の外側断面に対応する外側断面を有する。リッツワイヤ402が支持部材406の周りに巻き付けられると、既定の形状を有するインダクタコイル400が形成される。したがって、支持部材406は、インダクタコイル400の形状を少なくとも部分的に画定する。したがって、インダクタコイル400の内側断面は、支持部材406の外側断面と実質的に同じである。この例では、支持部材406は、約12mmの直径を有する。リッツワイヤは、約1.3mmの直径を有し、その結果として、インダクタコイルの外径は、約14.6mmである。異なる寸法を有するインダクタコイルが、同じ方式で形成され得る。
【0085】
一旦インダクタコイル400が所望の形状で形成されると、本方法は、ブロック306において、インダクタコイル400が既定の形状を実質的に保持するように、接合可能なコーティングを活性化するステップをさらに含む。本例では、リッツワイヤは、エナメルの接合可能なコーティングを有し、加熱により活性化される。したがって、インダクタコイル400が支持部材406上に留まったまま、熱がインダクタコイル400に印加される。本例では、加熱された空気は、インダクタコイル400を通じて移動される。例えば、空気は、接合可能なコーティングを活性化させるのに好適な活性化温度まで加熱され、ファン又は空気銃によりインダクタコイル400にわたって吹き出される。1つの例において、活性化温度は、約摂氏190度である。熱は、接合可能なコーティングを活性化させ、その結果として、接合可能なコーティングの粘度が低くなる。既定の期間後、熱の印加は停止され、接合可能なコーティングは冷め始める。いくつかの例において、冷却プロセスは、冷気の適用によって加速され得る。例えば、空気銃又はファンは、冷気/周囲空気をインダクタコイルにわたって流すことができる。接合可能なコーティングの温度が下がると、接合可能なコーティングの粘度は再び高くなる。これは、リッツワイヤ内の個々のワイヤストランドを互いに接合させる。別の例において、接合可能なコーティングは、溶媒との接触により活性化され得る。
【0086】
接合可能なコーティングが活性化された後、本方法は、ブロック308において、インダクタコイルを支持部材406から除去するステップをさらに含む。接合プロセスは、インダクタコイル400が、支持部材406から除去された後でさえも、その既定の形状を実質的に保持することを意味する。支持部材からの除去を促進するために、支持部材は、インダクタコイルが強く接着しない材料から形成、又はそれで被覆され得、その結果として、コイルは、加熱プロセス中に支持体にも接合しない。支持部材は、例えば、金属製であってもよい。
【0087】
ボビン404に格納されるリッツワイヤは、特定の撚り方向を有し得る。すなわち、リッツワイヤ内のワイヤの個々のストランドは、特定の方向に撚られる。例えば、ワイヤストランドは、左巻きの撚り方向又は右巻きの撚り方向を有し得る。リッツワイヤは、支持部材406へのリッツワイヤの巻き付け方向に対応する撚り方向を有することが好ましい。例えば、右巻きの撚り方向を有するリッツワイヤは、右巻きで巻き付けられるインダクタコイルのために使用されるべきである。左巻きの撚り方向を有するリッツワイヤは、左巻きで巻き付けられるインダクタコイルのために使用されるべきである。この構成は、ワイヤストランドがほどけるのを防ぐことが分かっており、インダクタコイルが、絶縁部材128の外表面にさらに厳密に適応することを意味する。
【0088】
他の形状のインダクタコイルが、実質的に同じ方式で形成され得る。例えば、平坦なインダクタコイルは、リッツワイヤを、好適な形状の支持部材によって支持されている間に、巻き付けることによって形成され得る。
【0089】
一旦インダクタコイル400が形成されて、支持部材406から除去されると、インダクタコイル400は、デバイス100内で組み立てられ得る。したがって、本方法は、絶縁部材128上にインダクタコイル400を受容するステップをさらに含み得る。例えば、インダクタコイル400は、絶縁部材128上へスライドされ得る。そこから、インダクタコイル400は、デバイス100内の電力源に接続され得る。
【0090】
図9は、印刷回路基板(PCB)122に接続されている第1及び第2のインダクタコイル124、126を描写する。第1のインダクタコイル124は、第1のインダクタコイル124の第1の端部130aへ向かう第1の接続部分500aを備える。したがって、第1の接続部分500aは、第1の端部130aを備える。接続部分500aは、インダクタコイル124が電力を受信することができるように、PCB122との電気接続を形成する。第1のインダクタコイル124はまた、第1のインダクタコイル124の第2の端部130bへ向かう第2の接続部分500bを備える。したがって、第2の接続部分500bは、第2の端部130bを備える。第2の接続部分500bもまた、PCB122との電気接続を形成する。いくつかの例において、接続部分500a、500bの任意の部分は、端部130a、130bではなく、PCB122に電気的に接続され得る。
【0091】
同様に、第2のインダクタコイル126は、第2のインダクタコイル126の第1の端部130cに向かう第1の接続部分500cを備える。したがって、第1の接続部分500cは、第1の端部130cを備える。第1の接続部分500cは、インダクタコイル126が電力を受信することができるように、PCB122との電気接続を形成する。第2のインダクタコイル126はまた、第2のインダクタコイル126の第2の端部130dへ向かう第2の接続部分500dを備える。したがって、第2の接続部分500dは、第2の端部130dを備える。第2の接続部分500dもまた、PCB122との電気接続を形成する。いくつかの例において、接続部分500c、500dの任意の部分は、端部130c、130dではなく、PCB122に電気的に接続され得る。
【0092】
したがって、各インダクタコイル124、126は、各端部に配置される接続部分を備える。一般に、接続部分は、電力源との電気接続を形成するインダクタコイルの部分として画定される。より詳細には、接続部分は、インダクタコイルの端部を備える。
【0093】
図9に示されるように、各インダクタコイル124、126は、2つの接続部分を備え、各々がインダクタコイルの端部に配置される。したがって、インダクタコイル124、126の形状は、接続部分によって部分的に規定される。図10は、第1のインダクタコイル124が上に位置する、第1及び第2のインダクタコイル124、126の上から見た図を描写する。
【0094】
示されるように、各インダクタコイル124、126の両方の接続部分は、実質的に同じ平面600にある。故に、図9に示されるように、各インダクタコイル124、126の第1及び第2の端部は、インダクタコイルによって画定される軸線200に平行である軸線502上にある/そこで終了する。平面600は、それがインダクタコイル124、126に対して接線方向に配置されるように配置され、その結果として、90度の角度が、平面602がインダクタコイル124と接線を形成する地点において平面600とインダクタコイル124の半径602との間に定められる。
【0095】
本方法は、ブロック304において、接続部分の少なくとも1つを、それが他の接続部分と同じ平面にあるように曲げるステップを含むことが望ましい。図10の破線は、所定の位置に曲げられる前の第1のインダクタコイル124の第2の接続部分を描写する。この初期位置において、第2の接続部分500bは、インダクタコイル124のらせん形部分から離れる方へ接線方向に延在する。インダクタコイル124を形成するために、接続部分500bは、第2の端部130bが第1の端部130aと同じ平面にあるように、約90度曲げられる。図10の実線は、所定の位置へ曲げられた後の第2の接続部分500bを示す。この例では、第1の接続部分500aは曲がっておらず、インダクタコイル124のらせん形部分から接線方向に延在する。この方式でインダクタコイル124、126を形成することにより、インダクタコイル124、126の端部は、PCB122により容易に接続され得る。
【0096】
述べられるように、接続部分は、インダクタコイルが電力源に接続されることを可能にする(例えば、PCB122を介して)。好適な電気接触を形成するために、本方法は、接続部分をある期間にわたってはんだに沈める/浸漬するステップをさらに含む。例えば、インダクタコイルの端部は、はんだに浸漬される。溶融はんだは、絶縁体を溶融するか、又は絶縁体をリッツケーブル内の複数のワイヤストランドから別途除去するように作用し、したがって良好な電気接触のための地点を作成する。
【0097】
リッツワイヤが38AWG(0.101mm)の直径を有する約75本の個々のワイヤストランドを備える本例では、はんだは、約450℃の温度にあるべきであり、接続部分は、良好な電気接触が作成されることを確実にするために約4~5秒はんだに浸漬されるべきである。一旦接続部分が形成されると、インダクタコイルは、電力源(PCB122など)に接続され得る。
【0098】
上の実施形態は、本発明の例証的な例として理解されるものとする。本発明のさらなる実施形態が想起される。任意の1つの実施形態に関連して説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、実施形態の任意の他のものの1つ若しくは複数の特徴、又は実施形態の任意の他のものの任意の組み合わせ、と組み合わせて使用されもよいということを理解されたい。さらには、上に説明されない等価物及び修正形態が、添付の特許請求の範囲に既定される本発明の範囲から逸脱することなく採用されてもよい。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10