(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】車両走行の制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230731BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230731BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20230731BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20230731BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20230731BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 V
B60W30/08
B60W30/10
B60W60/00
B60W40/04
(21)【出願番号】P 2022003035
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】202110414485.9
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 シンユー
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ニン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ジンジン
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-132149(JP,A)
【文献】特開2000-207691(JP,A)
【文献】特開2017-144857(JP,A)
【文献】特開2015-058890(JP,A)
【文献】特開2010-287109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器によって実行される車両走行の制御方法であって、
車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することであって、ここで、前記候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における前記車両の走行速度を示すことに用いられることと、
道路上の障害物の移動データに応じて、前記第1の所定期間内の前記障害物の障害物移動軌跡を予測することと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することであって、ここで、前記道路権利情報は、前記車両と前記障害物の通行優先権を示すことに用いられることと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ前記車両に対応する経路と前記目標速度情報に従って走行させるように前記車両を制御することと、を含
み、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定することは、
各前記候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を個別に決定することであって、前記候補車両軌跡は、前記第1の所定期間内に前記車両が前記候補速度情報と前記車両の対応する経路に従って走行することによって形成された車両軌跡であることと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、各前記候補車両軌跡から目標車両軌跡を決定することと、
前記目標車両軌跡に対応する候補速度情報を前記目標速度情報として決定することと、を含み、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、各前記候補車両軌跡から目標車両軌跡を決定することは、
各前記候補車両軌跡に対して、前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを順次判断することと、
交差しない場合、前記交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記候補車両軌跡の処理結果を決定することであって、ここで、前記処理結果は、前記候補車両軌跡を削除することであり、又は、前記処理結果は、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることであることと、
前記第1の集合に含まれる候補車両軌跡から、各候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定し、前記コスト関数値の最も小さい候補車両軌跡を前記目標車両軌跡として決定することと、を含み、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記候補車両軌跡の処理結果を決定することは、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、前記車両の通行優先権が前記障害物の通行優先権よりも大きいと決定すると、第2の所定期間内に前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを判断することであって、ここで、前記第1の所定期間には、前記第2の所定期間が含まれることと、
交差しない場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物と前記車両との衝突確率を決定することと、
前記衝突確率が第1の所定確率以上である場合、前記候補車両軌跡を削除することと、
前記衝突確率が第1の所定確率よりも小さい場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、を含む、
電子機器によって実行される車両走行の制御方法。
【請求項2】
前記障害物と前記車両との衝突確率を決定することは、
前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡との交差時間と交差位置を決定することと、
前記車両の現在時刻の速度、前記障害物の現在時刻の走行速度、前記交差時間及び前記交差位置に応じて、衝突確率を決定することと、を含む請求項
1に記載の車両走行の制御方法。
【請求項3】
前記車両の走行データは、前記車両の現在走行速度、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最大値、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最小値のうちの少なくとも1つを含み、
車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することは、
前記車両の現在走行速度、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最大値、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最小値に応じて、前記第1の所定期間内の各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を決定することと、
各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を組み合わせて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を得ることと、を含む請求項
1又は2に記載の車両走行の制御方法。
【請求項4】
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することは、
前記車両と前記障害物との位置関係及び通行規則に応じて、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することを含む請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両走行の制御方法。
【請求項5】
車両走行の制御装置であって、
車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することに用いられる第1の決定モジュールであって、ここで、前記候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における前記車両の走行速度を示すことに用いられる第1の決定モジュールと、
道路上の障害物の移動データに応じて、前記第1の所定期間内の前記障害物の障害物移動軌跡を予測することに用いられる予測モジュールと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することに用いられる第2の決定モジュールであって、ここで、前記道路権利情報は、前記車両と前記障害物の通行優先権を示すことに用いられる第2の決定モジュールと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ前記車両に対応する経路と前記目標速度情報に従って走行させるように前記車両を制御することに用いられる第3の決定モジュールと、を含
み、
前記第3の決定モジュールは、
各前記候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を個別に決定することに用いられる第1の決定ユニットであって、前記候補車両軌跡は、前記第1の所定期間内に前記車両が前記候補速度情報と前記車両の対応する経路に従って走行することによって形成された車両軌跡である第1の決定ユニットと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、各前記候補車両軌跡から目標車両軌跡を決定することに用いられる第2の決定ユニットと、
前記目標車両軌跡に対応する候補速度情報を前記目標速度情報として決定することに用いられる第3の決定ユニットと、を含み、
前記第2の決定ユニットは、具体的に、
各前記候補車両軌跡に対して、前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを順次判断することと、
交差しない場合、前記交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記候補車両軌跡の処理結果を決定することであって、ここで、前記処理結果は、前記候補車両軌跡を削除することであり、又は、前記処理結果は、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることであることと、
前記第1の集合に含まれる候補車両軌跡から、各候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定し、前記コスト関数値が最も小さい候補車両軌跡を前記目標車両軌跡として決定することと、に用いられ、
前記第2の決定ユニットは、具体的に、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、前記車両の通行優先権が前記障害物の通行優先権よりも大きいと決定すると、第2の所定期間内に前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを判断することであって、ここで、前記第1の所定期間には、前記第2の所定期間が含まれることと、
交差しない場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物と前記車両との衝突確率を決定することと、
前記衝突確率が第1の所定確率以上である場合、前記候補車両軌跡を削除することと、
前記衝突確率が第1の所定確率よりも小さい場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、に用いられる、
車両走行の制御装置。
【請求項6】
前記第2の決定ユニットは、具体的に、前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡との交差時間と交差位置を決定することと、
前記車両の現在時刻の速度、前記障害物の現在時刻の走行速度、前記交差時間及び前記交差位置に応じて、衝突確率を決定することと、に用いられる請求項
5に記載の車両走行の制御装置。
【請求項7】
前記車両の走行データは、前記車両の現在走行速度、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最大値、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最小値のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の決定モジュールは、具体的に、
前記車両の現在走行速度、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最大値、前記車両の
能力として発揮できる加速度の最小値に応じて、前記第1の所定期間内の各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を決定することと、
各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を組み合わせて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を得ることと、に用いられる請求項
5又は6に記載の車両走行の制御装置。
【請求項8】
前記第2の決定モジュールは、具体的に、
前記車両と前記障害物との位置関係及び通行規則に応じて、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することに用いられる請求項
5~7のいずれか一項に記載の車両走行の制御装置。
【請求項9】
電子設備であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両走行の制御方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される電子設備。
【請求項10】
コンピュータ命令が記憶される非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、コンピュータに請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両走行の制御方法を実行させることに用いられる非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されており、前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されるときに請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両走行の制御方法を実現するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コンピュータ技術における自動運転分野に関し、特に車両走行の制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転の関連技術の発展に従い、現在の自動運転車両は、走行軌跡や走行速度を自分で計画できるようになる。
【0003】
現在、自動運転車両が運転軌跡と走行速度を計画する時には、通常、道路上の障害物の軌跡を予測した後、安全原則に基づいて、決定された走行軌跡に従って、障害物と衝突しない走行速度を選択し、計算の結果、自動運転車両と障害物とがあくまでも衝突リスクが存在していると判定した場合に、自動運転車両は、回避するようにブレーキをかける。
【0004】
しかしながら、予測の障害物軌跡と実際の障害物軌跡とは、一致していない可能性があるため、予測の障害物軌跡に基づいて走行速度を計画することは、車両走行に合理性がないことを招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、車両走行の制御方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の様態によれば、車両走行の制御方法を提供し、前記車両走行の制御方法は、
車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することであって、ここで、前記候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における前記車両の走行速度を示すことに用いられることと、
道路上の障害物の移動データに応じて、前記第1の所定期間内の前記障害物の障害物移動軌跡を予測することと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することであって、ここで、前記道路権利情報は、前記車両と前記障害物の通行優先権を示すことに用いられることと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ前記車両に対応する経路と前記目標速度情報に従って走行させるように前記車両を制御することと、を含む。
【0007】
本願の第2の様態によれば、車両走行の制御装置を提供し、前記車両走行の制御装置は、
車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することに用いられる第1の決定モジュールであって、ここで、前記候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における前記車両の走行速度を示すことに用いられる第1の決定モジュールと、
道路上の障害物の移動データに応じて、前記第1の所定期間内の前記障害物の障害物移動軌跡を予測することに用いられる予測モジュールと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することに用いられる第2の決定モジュールであって、ここで、前記道路権利情報は、前記車両と前記障害物の通行優先権を示すことに用いられる第2の決定モジュールと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ前記車両に対応する経路と前記目標速度情報に従って走行させるように前記車両を制御することに用いられる第3の決定モジュールと、を含む。
【0008】
本願の第3の様態によれば、電子設備を提供し、前記電子設備は、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、ここで、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能の命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに第1の様態に記載の方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0009】
本願の第4の様態によれば、コンピュータ命令が記憶される非一時的なコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供し、ここで、前記コンピュータ命令は、コンピュータに第1の様態に記載の方法を実行させることに用いられる。
【0010】
本願の第5の様態によれば、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラムは、読取可能な記憶媒体に記憶されており、電子設備の少なくとも1つのプロセッサは、前記読取可能な記憶媒体から前記コンピュータプログラムを読み取ることができ、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して電子設備に第1の様態に記載の方法を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本願の技術によって、自動運転車両の走行合理性を向上させる。
【0012】
理解すべきなものとして、本部分で説明するコンテンツは、本願の実施例の主要又は重要な特徴を特定することを意図するものではなく、本願の範囲を制限するためにも使用されない。本願の他の特徴は、以下の明細書によって容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本案をよりよく理解するために用いられるものであり、本願について制限するものではない。ここで、
【
図1】本願の実施例によって提供される障害物予測線と車両軌跡線とが交差する模式図である。
【
図2】本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャート2である。
【
図4】本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図1である。
【
図5】本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図2である。
【
図6】本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図3である。
【
図7】本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図4である。
【
図8】本願の実施例によって提供される交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式図である。
【
図9】本願の実施例によって提供される合流道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図1である。
【
図10】本願の実施例によって提供される合流道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図2である。
【
図11】本願の実施例によって提供される少なくとも1つの候補車両軌跡の決定の実現模式図である。
【
図12】本願の実施例によって提供される候補車両軌跡の処理模式図である。
【
図13】本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャート3である。
【
図14】本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法を実行する処理ユニット模式図である。
【
図15】本願の実施例の車両走行の制御装置の構造模式図である。
【
図16】本願の実施例の車両走行の制御方法を実現するための電子設備のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面と併せて本願の例示的な実施例について説明し、ここで、理解しやすくするために本願の実施例の様々な詳細が含まれるが、単に例示的なものとして考えるべきである。したがって、当業者は、本願の範囲と要旨を逸脱することなく、ここで説明した実施例に様々な変更や修正を行うことができることを認識すべきである。同様に、明確かつ簡潔にするために、以下の説明では、公知の機能と構造についての説明を省略する。
【0015】
本願の技術案をよりよく理解するために、まず、本願に関われる関連技術について、さらに詳しく説明する。
【0016】
自動運転車両とは、例えば無人運転の車両のような自動運転モードで走行する車両である。自動運転車両は、運転手を運転関連のいくつかの役割から解放して、最小限のヒューマンコンピュータインタラクションで走行を実現することができる。
【0017】
自動運転分野において、最も重要な問題は安全性の問題であり、そして、自動運転技術の発展に伴い、自動運転車両の走行安全性を注目すると共に、ユーザの乗り心地や自動運転車両の運転合理性も特に重要となる。ここで、乗り心地の性能は、自動運転車両の快適性や知能性を総合的に反映するものであるが、運転合理性は、自動運転能力を評価するための重要な指標であり、運転合理性を備える自動運転車両は、人間の運転手と同じであるように交通ルールを守り、走行中に、車両の通行や譲りを合理的に決定すべきである。
【0018】
現行の交通法規に規定される道路通行の優先権は、本願で道路権利と定義される。
【0019】
現在、走行過程において、自動運転車両は経路の計画と速度の計画を行い、これらが軌跡の計画と総称されてもよく、軌跡には、計画された軌跡に従って走行させるように自動運転車両を制御するように、どの道に沿って走行することを示す経路が含まれ、t時刻でこの経路のどこまで走行することを示す速度も含まれ、車両走行の計画過程において、道路上の障害物を避ける必要がある。
【0020】
関連技術では、主に予測モジュールによって提供される障害物予測線に応じて障害物の行進軌跡を判断し、そして安全原則に基づいて一定時間内に全部の障害物と衝突しない走行速度を自動運転車両の速度線として選択した後、走行経路と走行速度に従って走行させるように車両を制御する。
【0021】
計算の結果、車両と障害物とがあくまでも衝突リスクが存在していると発見した場合、自動運転車両はブレーキをかけたり、減速処理を行ったりして回避する。
【0022】
しかし、障害物予測線は、障害物の実際移動軌跡と完全に一致していないが、自動運転車両の速度計画結果は、障害物予測線の結果を完全に依存するものであり、障害物予測線が合理的でない又は実際のものと一致しない場合、自動運転車両が、合理的でないブレーキのような間違い速度計画を行ってしまうことを招く。
【0023】
例えば、
図1を参照しながら理解してよく、
図1は、本願の実施例によって提供される障害物予測線と車両軌跡線とが交差する模式図である。
【0024】
図1に示すように、自動運転車両は、例えば
図1の101であってもよく、障害物車両は、例えば
図1の102であってもよく、現在自動運転車両101は8秒以内に障害物車両の軌跡線を予測し、例えば軌跡線Aを得ると共に、8秒以内に計画速度と計画経路に従って自動運転車両が例えば軌跡線Bを得ることができる。
【0025】
図1を参照すれば、障害物予測線Aの結果は、8秒後に障害物車両102が自動運転車両101の前方に到着して自動運転車両101の前進車線を遮断することを示しており、自動運転車両は、この結果に基づいて、衝突を避けるように減速して道を譲ると判断できることを確認することができる。実際に、障害物車両102は、自動運転車両101の走行状態を判断し、道路権利に応じて追い越しや車線変更の処理を行う。
【0026】
例えば、
図1に示す現在の状況は、自動運転車両101が直進しており、障害物車両102が自動運転車両の左側から追い越して車線変更する必要がある状況であり、車線変更の車両の道路権利は直進車両よりも低いため、実際に、障害物車両102は、自分の車線でまず自動運転車両101を一定の安全距離で追い越すように加速度した後、車線変更して自動運転車両101が位置する車道に切り込むことを選択し、それにより、障害物車両102が、
図1に示す自動運転車両101の後方に位置するとき、直接に切り込まないため、8秒後に衝突が実際に発生しなく、この場合、自動運転車両が行う減速計画が合理性に欠けている。
【0027】
上記説明に基づいて、関連技術の実現手段において、障害物予測線が必ずしも実際の障害物走行軌跡に合致するとは限らず、その一部の原因としては、実際のシーンで、障害物が車両であると仮定すると、障害物車両を運転する人間の運転手が道路権利規則を把握することで、障害物車両の通行優先権がより大きい場合、障害物車両は加速通過を選択する可能性があり、障害物車両の通行優先権がより小さい場合、障害物車両は適切なタイミングで通行することを選択する可能性があることであり、その他の一部の原因としては、現在得られた障害物予測線が必ずしも正確ではないことである。
【0028】
そのため、障害物予測線に完全に依存して速度計画を行うことは、自動運転車両の速度計画が合理性に欠けていることを招き、例えば、自動運転車両は、不合理な減速やブレーキなどが発生し、さらに車両の走行が合理性に欠けている恐れがある。
【0029】
従来技術の問題点に対して、本願は、以下のような技術的思想を提出し、即ち、予測の障害物の移動軌跡に道路権利情報を追加することで、道路権利情報は車両と障害物の通行優先権を示すことができ、そして、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて車両走行速度を計画し、且つ計画された走行速度に従って走行させるように車両を制御することで、車両走行の合理性を効果的に向上させるように、自動運転車両が不合理な減速やブレーキを避けることができる。
【0030】
以下、具体的な実施例と合わせて本願によって提供される車両走行の制御方法について説明し、なお、本願の各実施例の実行主体は、例えば自動運転車両内部のプロセッサであってもよいし、又は外部のプロセッサやサーバ等の設備であってもよく、データ処理とデータ送受信の機能を備えるものであれば、本実施形態は、これについて限定しなく、実際のニーズに応じて選択することができる。
【0031】
以下、
図2と合わせて本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法について説明し、
図2は、本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャートである。
【0032】
図2に示すように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0033】
S201において、車両の走行データに応じて、車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定し、ここで、候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における車両の走行速度を示すことに用いられる。
【0034】
本実施例における車両とは、自動運転の車両を示してよく、1つの可能な実施形態において、車両の走行データは、例えば車両の現在速度、車両の最小加速度、車両の最大加速度などを含んでもよく、ここでの車両走行データは、車両の候補速度情報を決定することに用いられ、本実施例は、車両走行データの具体的な実施形態について限定せず、例えば車両の走行方向、車両位置などを含んでもよく、車両の走行関連のデータであれば、いずれも本実施例における走行データとしてよく、実際のニーズに応じて選択されてもよい。
【0035】
本実施例において、車両走行の安全性を確保するために、車両の走行速度を計画する必要があり、そのため、本実施例において車両の走行データに応じて、車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することができ、候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における車両の走行速度を示してもよく、例えば、第1の所定期間は8秒であり、現在決定された候補速度情報には候補速度情報1と候補速度情報2が含まれると仮定すると、速度候補情報1は、8秒内の各時刻における車両の走行速度を示し、同様に、速度候補情報2は、8秒内の各時刻における車両の走行速度を示すことができるが、候補速度情報1と候補速度情報2とが示した走行速度は異なる。
【0036】
1つの可能な実施形態において、車両の走行データには、車両の現在速度、車両の最小加速度、及び車両の最大加速度が含まれてよく、これらの走行データに基づいて各時刻における車両が達成可能な速度を決定することができ、その後、これらの速度を特定な組み合わせにすることで、車両の少なくとも1つの候補速度情報を得ることができ、本実施例は、候補速度情報には具体的に含まれる具体的な実施形態について限定せず、実際のニーズに応じて決定されてもよい。
【0037】
S202において、道路上の障害物の移動データに応じて、第1の所定期間内の障害物の障害物移動軌跡を予測する。
【0038】
本実施例において、さらに、道路上の障害物の軌跡を予測する必要があり、ここで、道路上の障害物は、例えば車両や歩行者などを含んでもよく、本実施例は、障害物の具体的な実施形態について限定せず、自動運転車両が回避する必要のあるあらゆる対象を、いずれも本実施例における障害物とすることができる。
【0039】
本実施例において、道路上の障害物の移動データに応じて、第1の所定時間内の障害物の軌跡を予測することができ、なお、自動運転車両の走行計画は、リアルタイムの道路状況を考慮する必要があるため、常に直近の期間の軌跡を計画し、例えば、本実施例において、第1の所定時間内の軌跡を予測するとともに、上記のように速度を計画するときにも、第1の所定時間内の少なくとも1つの候補速度情報を決定し、ここで、第1の所定期間の時間は、実際のニーズに応じて選択されてもよく、例えば、8秒であってもよいし、その他の時間であってもよく、本実施例はこれについて制限しない。
【0040】
1つの可能な実施形態において、例えば、自動運転車両における感知センサによって、障害物の移動データを取得することができ、障害物の移動データは、障害物の位置、障害物の速度、障害物の走行方向のうちの少なくとも1つを含んでもよく、実際の実現過程において、障害物の移動データは、実際のニーズに応じて選択及び拡張されてもよく、障害物の軌跡を予測することに用いられる障害物関連のデータであれば、いずれも本実施例における移動データとして用いられる。
【0041】
障害物の移動データに応じて障害物の軌跡を予測する場合、例えば自動運転車両における予測ユニットによって予測することができ、ここで、予測ユニットには、特定の予測アルゴリズムの実現、又は特定の予測モデルが含まれてもよく、本実施例は、障害物軌跡予測の具体的な実現形態について特に限定せず、実際のニーズに応じて設置されてもよい。
【0042】
本実施例の可能な実施形態において、道路上には、複数の障害物が含まれてもよく、各障害物にそれぞれ対応する軌跡を個別に予測することで、各障害物にそれぞれ対応する障害物移動軌跡を得ることができる。
【0043】
S203において、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定し、ここで、道路権利情報は、車両と障害物の通行優先権を示すことに用いられる。
【0044】
障害物移動軌跡を決定した後、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することができ、本実施例における道路権利情報は、車両と障害物の通行優先権を示すことができ、例えば、現在の障害物移動軌跡に対応する道路権利情報は、車両の通行優先権がより高いことを示すことができ、又は障害物移動軌跡に対応する道路権利情報は、障害物の通行優先権がより高いことを示すことができる。
【0045】
道路権利情報の決定の実現過程において、例えば自動運転車両の現在位置と障害物の現在位置に応じて、及び道路における走行規則に応じて、対応の道路権利情報を決定することができ、車両走行過程において、例えば直進、追い越し、旋回などの複数の走行シーンがあり、これらの実際シーンに対応する規則に応じて、対応の道路権利情報を決定することは、理解されることである。
【0046】
同様に、1つの可能な実施形態において、道路上に含まれる複数の障害物に対して、各障害物移動軌跡にそれぞれ対応する道路権利情報を個別に決定してもよい。
【0047】
S204において、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と障害物移動軌跡に応じて、少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ車両に対応する経路と目標速度情報に従って走行させるように車両を制御する。
【0048】
障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定した後、道路権利情報と障害物移動軌跡に応じて少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定することができ、本実施例における目標速度情報の決定原則は、例えば自動運転車両が目標速度情報に応じて走行するとき、道路上の障害物と衝突しないことであってもよい。
【0049】
例えば、障害物移動軌跡に応じて、障害物移動軌跡と自動運転車両の移動軌跡とが交差するか否かを決定することができ、交差する場合、車両は、障害物を回避するか否かを考慮する必要があり、その後、自動運転車両が目標速度情報を決定する過程において、道路権利情報は、自動運転車両に現在減速又は譲りの必要があるか否かなどを指導し、例えば、現在道路権利情報は、自動運転車両の通行優先権がより高いであるが、関連技術では、道路権利情報が考慮されない場合、自動運転車両は、障害物との衝突リスクがあるため、最終に減速又は譲りの目標速度情報を選択することで、自動運転車両は不合理な減速やブレーキを表してしまうことを招く。
【0050】
しかし、本実施例において、道路権利情報に応じて目標速度情報の決定を行うことにより、自動運転車の通行優先権がより高い場合、減速又は譲りの速度情報を選択せず、運転性能のより優れた目標速度情報を選択することができることで、自動運転車両が不合理な減速やブレーキと表わすことを回避し、自動運転車両の走行計画の合理性を効果的に向上させることができる。
【0051】
目標速度情報を決定した後、車両に対応する経路と目標速度情報に従って走行させるように車両を制御ことができ、車両の経路は車両の走行方向を示し、車両の目標速度情報はこの経路で各時刻における車両の走行速度を示すことが理解される。
【0052】
同じ経路でも、ある速度に従って車両が障害物と衝突する恐れがあるが、他の速度に従って障害物との衝突を回避できる可能性があるため、本実施例の状況は、車両の経路が既に決定された場合に、車両と障害物とが衝突しないと共に不要な減速や譲りが発生しないように、車両の走行速度を計画することである。
【0053】
ここで、車両の経路は、例えば車両の出発地、目的地及び道路状況に応じて決定されるものであるが、本実施例では、車両の経路の具体的な決定方法について限定せず、関連する経路計画の実現形態を参照してよく、ここで繰り返して説明しない。
【0054】
本願によって提供される車両走行の制御方法は、車両の走行データに応じて、車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することであって、ここで、候補速度情報は、第1の所定期間内の各時刻における車両の走行速度を示すことに用いられることと、道路上の障害物の移動データに応じて、第1の所定期間内の障害物の障害物移動軌跡を予測することと、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することであって、ここで、道路権利情報は、車両と障害物の通行優先権を示すことに用いられることと、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と障害物移動軌跡に応じて、少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ車両に対応する経路と目標速度情報に従って走行させるように車両を制御することと、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報によって、車両と障害物の通行優先権を示し、自動運転車両の走行速度を決定するときに、道路権利情報と障害物移動軌跡に応じて、少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を選択することと、を含む。これにより、自動運転車両が不要な減速や譲りを避けて、自動運転車両の走行合理性を効果的に向上させることができる。
【0055】
上記実施例に基づいて、本願によって提供される車両走行の制御方法について、以下、
図3~
図12と合わせてさらに詳細に説明する。
図3は、本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャート2であり、
図4は、本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図1であり、
図5は、本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図2であり、
図6は、本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図3であり、
図7は、本願の実施例によって提供される非交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図4であり、
図8は、本願の実施例によって提供される交差点道路区間における道路権利情報の決定の実現模式図であり、
図9は、本願の実施例によって提供される合流道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図1であり、
図10は、本願の実施例によって提供される合流道路区間における道路権利情報の決定の実現模式
図2であり、
図11、本願の実施例によって提供される少なくとも1つの候補車両軌跡の決定の実現模式図であり、
図12、本願の実施例によって提供される候補車両軌跡の処理模式図である。
【0056】
図3に示すように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0057】
S301において、車両の現在走行速度、車両の最大加速度、車両の最小加速度に応じて、第1の所定期間内の各時刻における少なくとも1つの走行速度を決定する。
【0058】
本実施例において、車両の走行データは、車両の現在走行速度、車両の最大加速度、車両の最小加速度を含んでもよければ、これらの情報に応じて第1の所定期間内の各時刻における少なくとも1つの走行速度を決定してもよい。
【0059】
ここで例を挙げて説明すれば、車両の現在走行速度を2m/sとし、次に、最大加速度が例えば3m/s2であり、最小加速度が1m/s2であり、また、加速度は方向を有し、異なる方向によって車両の加速又は減速が示されることであってもよく、そして、これらの情報に応じると、第1の所定期間内の各時刻における車両の到達可能な速度を決定することができる。
【0060】
例えば、現在のt時刻の走行速度が2m/sであり、最大加速度が例えば3m/s2であり、最小加速度が1m/s2である場合、t+1時刻における車両の到達可能な走行速度は、2m/s、3m/s、4m/s、5m/s、1m/s、0m/sなどを含めるが、これらに限定されない。その後、t+1時刻における車両の到達可能な各走行速度、最大加速度及び最小加速度に基づいて、t+2時刻における車両の到達可能な走行速度を引き続いて決定することができ、上記プロセスが継続されることにより、第1の所定期間内の各時刻における車両の少なくとも1つの走行速度を得ることができる。
【0061】
ここで、例えば1秒を1つの時刻とし、又は0.5秒を1つの時刻とするなどであってもよく、本実施例は、時刻の具体的な単位について制限しない。
【0062】
S302において、各時刻における車両の少なくとも1つの走行速度を組み合わせて、車両の少なくとも1つの候補速度情報を得る。
【0063】
各時刻における車両の少なくとも1つの走行速度を得た後、得られた各時刻の走行速度を特定な組み合わせにすることで、車両の少なくとも1つの候補速度情報を得ることができ、例えば、1つの組み合せ形態は、各時刻の走行速度がいずれも2m/sであると決定すると、このような候補速度情報は、車両の定速走行として表されており、或いは、前のいくつかの時刻の走行速度が2m/sであり、後のいくつかの時刻の速度が1m/sであるという組み合わせ形態があってもよく、このような候補速度情報は、車両がまず定速走行し、後に減速し、減速した後に定速走行し続けるように表されており、そのため、本実施例における複数の時刻の車両走行速度を組み合わせて、車両の複数の候補速度情報を得ることができる。
【0064】
S303において、道路上の障害物の移動データに応じて、第1の所定期間内の障害物の障害物移動軌跡を決定する。
【0065】
ここで、S303の実施形態は、S202の実施形態と類似し、ここで繰り返して説明しない。
【0066】
S304において、車両と障害物との位置関係及び通行規則に応じて、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定する。
【0067】
本実施形態において障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定するときには、車両と障害物との位置関係及び通行規則に応じて決定されることができ、ここで、位置関係は、道路上に現在車両と障害物がどのような通行状況にあるかを示し、通行規則は、道路上の通行優先権を示すことができる。
【0068】
ここで、位置関係は、障害物の現在位置と車両の現在位置に応じて決定され、障害物の位置は、上述した感知センサによって決定され、車両の位置は、例えば車両における地図と位置決めモジュールによって決定されることができる。
【0069】
同時に、異なる国又は地域では、交通規則に一定の差異があり、そして、異なる走行シーンに対して、交通規則が細分化されているため、本実施例において車両が現在位置する道路属性を決定し、道路属性に応じて現在の走行シーンを決定することもできることが理解される。
【0070】
ここでの道路属性は、例えば、車両が、非交差点道路区間に位置すること、信号機を含む交差点道路区間に位置すること、又は信号機を含まない交差点道路区間に位置することを示してもよく、道路属性の決定形態は、例えば自動運転車両における高精細度地図ユニットに応じて決定されてもよい。
【0071】
以下、いくつかの具体的なシーンと合わせて、位置関係と通行規則に応じて道路権利情報を決定する可能な実施形態について説明する。
【0072】
1つの可能なシーンにおいて、例えば自動運転車両が普通の非交差点道路区間に位置するシーンであり、つまり自動運転車両と障害物とがいずれも非交差点道路区間に位置することであり、自動運転車両と障害物とが複数の位置関係を有してもよい。
【0073】
1つの可能な実施形態において、例えば、
図4を参照すれば、現在道路上に自動運転車両401と障害物車両が存在しており、自動運転車両401が道路上で直進し、障害物車両402が自動運転車両401と同じ車線の後方に位置しており、このような場合、通行規則に応じて、自動運転車両401の方は通行優先権が高いという道路権利情報が決定されることができる。
【0074】
このようなシーンにおいて1つの特別な状況が更に存在しており、現在説明したことは、障害物車両が自動運転車両と同じ車線の後方に位置することであり、特別な場合に、
図4に示すように、障害物移動軌跡と車両移動軌跡との交点が自動運転車両の真前方に位置すると決定可能であり、現在の自動運転車両401と障害物車両402との軌跡交点は、例えば
図4の403に示すように、この軌跡交点が自動運転車両402の真前方にあると見られる。
【0075】
このような状況の意味は、障害物車両402が後方から自動運転車両401を追い越して自動運転車両の前方に到達することであるが、実際には、このような状況が発生しないため、このような特別な状況では、例えばこの部分の障害物予測線を無視することを選択し、無視した後、道路上のその他の障害物の予測移動軌跡に基づいて速度の計画を行い続けるようにしてもよい。
【0076】
他の1つの可能な実施形態において、例えば、
図5を参照すれば、現在道路上に自動運転車両501と障害物車両502が存在しており、自動運転車両501が道路上で直進し、障害物車両502が自動運転車両501と同じ車線の前方に位置しており、このような場合には、通行規則に応じて、障害物車両502の通行優先権がより高いという道路権利情報を決定することができる。
【0077】
他の1つの可能な実施形態において、例えば、
図6を参照すれば、現在道路上に自動運転車両601と障害物車両602が存在しており、自動運転車両601が道路上で車線変更し、障害物車両602が自動運転車両601の車線変更先である目標車線に位置しており、このような場合には、通行規則に応じて、障害物車両602の通行優先権がより高いという道路権利情報を決定することができる。
【0078】
他の1つの可能な実施形態において、例えば、
図7を参照すれば、現在道路上に自動運転車両701と障害物車両702が存在しており、障害物車両702が道路上で車線変更し、自動運転車両701が自動運転車両702の車線変更先である目標車線に位置しており、このような場合には、通行規則に応じて、障害物車両701の通行優先権がより高いという道路権利情報を決定することができる。
【0079】
図4~
図7と合わせて上記説明したものは、非交差点道路区間のシーンにおけるいくつかの可能な実施形態であり、以下、交差点道路区間のいくつかの可能な実施形態について説明する。
【0080】
ここで、自動運転車両が交差点道路区間に位置すると決定した場合、予測された障害物車両の移動軌跡と自動運転車両の位置する車線とが交差するか否かを判定することができ、自動運転車両の位置する車線に進入しない障害物予測線については、処理しなくてもよい。
【0081】
自動運転車両の位置する車線と交差する場合、予測された障害物車両の移動軌跡の旋回タイプをさらに判定してもよく、例えば直進、左折、右折であってもよく、その後、交差点の通行規則に応じて障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定し、交差点の通行規則は、例えば旋回が直進を譲ること、車両が歩行者を譲ることなどを含んでもよく、本実施例は、交差点の通行規則について制限しない。
【0082】
現在、
図8と合わせて例示的な説明を行い、例えば、
図8を参照すれば、現在道路上に自動運転車両801と障害物車両802が存在しており、両者がいずれも交差点道路区間に位置し、そして障害物車両802に対応する移動軌跡は、
図8の804に示す軌跡であると現時点で決定することができ、これにより、障害物車両802の移動軌跡と自動運転車両801の位置する車線とが交差することが分かる場合、障害物車両802の旋回タイプが右折であり、及び自動運転車両801が直進であることをさらに決定することができ、軌跡は、例えば803に示すように、交差点通行規則に基づいて、自動運転車両801の通行優先権がより高いという道路権利情報と決定することができる。
【0083】
1つの可能な実施形態において、交差点では、例えば信号機が設けられていてもよく、信号機が設けられている交差点については、上述した決定形態に加えて、信号機の状態に応じて道路権利情報を決定してもよく、ここで、信号機の状態は、例えば上述した感知センサによって決定されるものであってもよく、例えば、赤信号に対応する車線の障害物車両に対して、その道路権利が優先であり、青信号の障害物車両に対して、自動運転車両の道路権利が優先であり、つまり信号機がある交差点に対して、信号機の状態に応じて相応的な通行規則も設けられているため、本実施例はこれについて制限しない。
【0084】
また1つの可能なシーン、つまり車両が合流交差点に位置するシーンが存在しており、例えば自動運転車両の位置を決定し、自動運転車両が合流領域の幹線道路にあるか補助道路にあるかを判断した後、合流交差点の通行規則に応じて道路権利情報を決定することであってもよい。
【0085】
1つの可能な実施形態において、例えば、
図9を参照すれば、現在道路上に自動運転車両901と障害物車両902が存在しており、ここで、自動運転車両901が補助道路に位置し、障害物車両902が幹線道路に位置しており、自動運転車両901が補助道路から幹線道路に合流する必要がある場合、通行規則に応じて、障害物車両902の通行優先権がより高いという道路権利情報を決定することができる。
【0086】
他の1つの可能な実施形態において、例えば、
図10を参照すれば、現在道路上に自動運転車両1001と障害物車両1002が存在しており、ここで、自動運転車両1001が幹線道路に位置し、障害物車両1002が補助道路に位置しており、障害物車両1002が補助道路から幹線道路に合流する必要がある場合、通行規則に応じて、自動運転車両1001の通行優先権がより高いという道路権利情報を決定することができる。
【0087】
以上、道路権利情報のいくつかの可能な実施形態を説明したが、実際の実現過程において、実際の車両位置関係や通行規則に応じて道路権利情報を決定することができ、本実施例は、道路権利情報の具体的な実現について特に限定しない。
【0088】
S305において、各候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を個別に決定し、ここで、候補車両軌跡は、第1の所定期間内に車両が候補速度情報と車両に対応する経路に応じて走行することによって形成された車両軌跡である。
【0089】
本実施例において、自動運転車両は、計画された経路に従って走行し、1つの可能な実施形態において、自動運転車両の経路は、例えば自動運転車両の経路計画ユニットによって計画して得られたものであってもよいため、自動運転車両が所定の経路に従って走行することと理解される。
【0090】
車両走行過程においては、走行経路に加えて、この経路での走行速度を決定する必要がある場合、走行軌跡と走行速度に応じて経路も速度も含む自動運転車両の軌跡を得ることができる。
【0091】
上記説明に基づいて、本実施例において、例えば自動運転車両における速度計画ユニットによって決定されたものである候補速度情報の少なくとも1つを決定することが確認される場合、それぞれの候補速度情報に対して、候補速度情報と車両に対応する経路に応じて車両が第1の所定期間内に走行することによって形成された車両軌跡を決定し、この軌跡を候補速度情報に対応する候補車両軌跡として決定し、それぞれの候補速度情報に対してこのような操作をそれぞれ行うことで、各候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を得ることができる。
【0092】
理解しやすくするために、以下、
図11と合わせて異なる速度情報での車両軌跡について説明し、
図11に示すように、現在車両が場所Aから場所Bまで走行する必要があると仮定すると、例えば、このとき、自動運転車両の経路計画ユニットが
図11の1101に示す経路を計画した場合、車両がこの経路に従って走行する。
【0093】
同時に、車両において、第1の所定期間内に2m/sの速度で定速走行するという1つの候補速度情報が存在していると仮定すると、例えば
図11の1102に示す軌跡が得られると共に、第1の所定期間内に3m/sの速度で定速走行するという1つの候補速度情報が存在していると仮定すると、例えば
図11の1103に示す軌跡が得られ、これにより、同じ経路に基づいて、走行速度が異なる場合に、同じ時間内に形成された軌跡も異なることが分かるため、本実施例においては、各候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を個別に決定することができる。
【0094】
S306において、各候補車両軌跡に対して、障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差するか否かを順次判断し、交差しない場合、S307を実行するが、交差する場合、S308を実行する。
【0095】
各候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を決定した後、各候補車両軌跡に対して、障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差するか否かを順次判断することができる。
【0096】
S307において、交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れる。
【0097】
1つの可能な実施形態において、
図12を参照すれば、障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差しない場合、自動運転車両が現在の候補車両軌跡に従って走行すれば、第1の所定期間内に、自動運転車両と障害物との衝突リスクが全くないことを示し、現在の候補車両軌跡が採用可能であることを示すため、交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れることができ、本実施例の第1の集合は、車両採用可能な候補車両軌跡を格納するためのものである。
【0098】
S308において、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、候補車両軌跡の処理結果を決定し、ここで、処理結果は、候補車両軌跡を削除することであり、又は処理結果は、候補車両軌跡を第1の集合に入れることである。
【0099】
他の1つの可能な実施形態において、障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差する場合、自動運転車両が現在の候補車両軌跡に従って走行し、且つ障害物車両が障害物移動軌跡に従って走行することを示し、第1の所定期間内に、自動運転車両が障害物車両と衝突する恐れがあり、この場合、
図12を参照すれば、本実施例において障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、候補車両軌跡の処理結果を決定することができる。
【0100】
本実施例における道路権利情報は、自動運転車両の通行優先権がより高いであると示し、又は障害物の通行優先権がより高いであると示すことができるため、道路権情報に応じて、例えば自動運転車両が譲る必要があるか否かを決定することができ、相応的に、現在トラバースされた候補車両軌跡を採用することができるか否かを決定することで、候補車両軌跡の処理結果が得られる。
【0101】
ここで、
図12に示すように、処理結果は、候補車両軌跡を削除することであってもよく、例えば、道路権情報が障害物車両の通行優先権が高いであると示すときに、自動運転車両は譲る必要がある可能性があるが、障害物車両は譲る必要がないため衝突の恐れがあり、このような場合には、例えば候補車両軌跡を削除してもよく、又は車両と障害物との衝突確率をさらに計算し、衝突確率が大きい場合に候補車両軌跡を削除してもよい。
【0102】
又は、
図12に示すように、処理結果は、候補車両軌跡を第1の集合に入れてもよく、つまり、車両が現在の候補車両軌跡を採用して走行してもよく、例えば道路権情報は自動運転車両の通行優先権がより高いであると示すときに、障害物車両は譲る必要がある可能性があるが、自動運転車両は譲る必要がないため、衝突の発生を避けることができ、このような場合には、例えば現在の候補車両軌跡を保留し、候補車両軌跡を第1の集合に入れてもよい。
【0103】
S309において、第1の集合に含まれる候補車両軌跡から、各候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定し、コスト関数値の最も小さい候補車両軌跡を目標車両軌跡として決定する。
【0104】
上述した過程において各候補車両軌跡を処理した後、少なくとも1つの候補車両軌跡を含む第1の集合が得られ、その後、第1の集合に含まれる候補車両軌跡から、最終的に自動運転車両に用いられる目標車両軌跡を選択することができる。
【0105】
1つの可能な実施形態において、各候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定することができ、ここで、候補車両軌跡に対応するコスト関数値は、例えば候補車両軌跡に対応する候補速度情報のコスト関数値であってもよく、ここで、コスト関数値は、例えばコスト関数によって決定されたものであってもよく、コスト関数は、最適解を求めるための目的関数として理解されてもよく、コスト関数の具体的な実現は、実際のニーズに応じて選択されてもよく、本実施形態はこれについて制限しない。
【0106】
第1の集合における候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定した後、コスト関数値の最も小さい候補車両軌跡を目標車両軌跡として決定することができる。
【0107】
S310において、目標車両軌跡に対応する候補速度情報を目標速度情報として決定する。
【0108】
本実施例において、多数の候補速度情報から目標速度情報を決定する必要があり、目標車両軌跡を決定した後、目標車両軌跡に対応する候補速度情報を目標速度情報として決定することができる。
【0109】
S311において、車両に対応する経路と目標速度情報に応じて走行させるように車両を制御する。
【0110】
目標速度情報を決定した後、車両に対応する計画経路及び目標速度情報に従って走行させるように車両を制御することができる。
【0111】
理解できるものとして、本実施例において決定された目標速度情報は、自動運転車両が障害物と衝突しないことを保証することができ、且つ各候補速度情報のうち、最適な走行速度であり、また、本実施例において決定された目標速度情報に従って走行すると、道路権利情報を考慮に入れるため、不要な譲りと減速が発生しないことにより、車両走行の知能性を効果的に向上させることができる。
【0112】
本願の実施例によって提供される車両走行制御方法は、各候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を決定することによって、その後、各候補車両軌跡が障害物移動軌跡と交差するか否かに応じて、衝突リスクのない候補車両軌跡をまず選別するように、交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れることで、後続の処理速度を効果的に向上させ、また、交差する候補車両軌跡に対して、道路権利情報に応じて候補車両軌跡を第1の集合に入れるか削除するかを決定し、ここで道路権利情報に応じて候補車両軌跡の処理結果を決定することは、車両が不要な減速や譲りが発生しないことを効果的に保証することができ、また、次に第1の集合において最小のコスト関数値に対応する目標車両軌跡を決定し、目標車両軌跡に応じて目標速度情報を決定することにより、複数の採用可能な速度情報から最適な速度情報を選択することを実現する。車両の走行性能を効果的に向上させる。
【0113】
上記実施例に基づいて、以下、
図13と合わせて上述した道路権利情報に応じて候補車両軌跡を決定した処理結果の可能な実施形態について説明し、
図13は、本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法のフローチャート3である。
【0114】
図13に示すように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0115】
S1301において、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、車両の通行優先権が障害物の通行優先権よりも大きいであるか否かを判断し、そうであると、S1302を実行するが、そうでないと、S1306を実行する。
【0116】
本実施例において、道路権利情報は、車両と障害物の通行優先権を示すことができるため、まず、道路権利情報に応じて、車両の通行優先権が障害物の通行優先権よりも大きいか否かを判断する。
【0117】
S1302において、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差するか否かを判断し、ここで、第1の所定期間には、第2の所定期間が含まれ、そうでないと、S1303を実行するが、そうであると、S1304を実行する。
【0118】
本実施例において、第1の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差すると決定することを前提とし、1つの可能な実施形態において、車両の通行優先権が障害物の通行優先権よりも大きいであると決定すると、予測期間を短縮し、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差するか否かを判断することができ、本実施例における第1の所定期間には、第2の所定期間が含まれる。
【0119】
1つの可能な例において、例えば第1の所定期間が現在時刻より8秒後の期間であると、第2の所定期間は、例えば現在時刻より4秒後の期間であってもよく、即ち、第2の所定期間が第1の所定期間内の期間である。
【0120】
S1303において、候補車両軌跡を第1の集合に入れる。
【0121】
1つの可能な実施形態において、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差しないと決定した場合、車両と障害物とが第2の所定期間内に衝突しないと決定することができることにより、車両が現在の候補車両軌跡を採用できるため、候補車両軌跡を第1の集合に入れることができる。
【0122】
本実施例における障害物移動軌跡が予測されて得られたものであり、予測時間が短いほど、対応の予測正確率が高くなるため、本実施例において、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差しないと判断した場合、その正確率がより高いことが理解される。
【0123】
また、現在の具体的な状況は、第1の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差すると決定したが、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差せず、且つ自動運転車両の通行優先権が障害物の通行優先権よりも高く、現在の状況に基づいて決定できるものとして、第2の所定期間内に、自動運転車両と障害物とが衝突することはなく、且つ、通行規則に応じて障害物車両が減速して譲ることを選択することが決定されるため、自動運転車両は、減速して譲ることが必要とせずに正常運転を維持することができ、そのため、本実施例において、現在の候補車両軌跡を第1の集合に入れることができる。
【0124】
S1304において、障害物と車両との衝突確率が第1の所定確率よりも小さいであるか否かを判断し、そうであると、S1303を実行するが、そうでないと、S1305を実行する。
【0125】
1つの可能な実施形態において、第2の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差すると決定した場合、第2の所定期間内に車両と障害物とが衝突するおそれがあることを決定することができ、予測時間が短縮されたが、衝突が発生する恐れが依然としてあるため、このとき、障害物と車両との衝突確率を決定する必要がある。
【0126】
1つの可能な実施形態において、障害物移動軌跡と候補車両軌跡との交差時間と交差位置を決定し、車両の現在時刻の速度、障害物の現在時刻の走行速度、交差時間及び交差位置に応じて、障害物と車両との衝突確率を決定することができる。
【0127】
ここで、衝突リスクの計算方法としては、衝突時間(Time-To-Collision、TTC)、衝突距離(Distance-To-Collision、DTC)、又は反応時間(Time-To-React、TTR)が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
本実施例において、障害物と車両との衝突確率が第1の所定確率以上であるか否かを判断してよく、本実施例における第1の所定確率は、車両の通行優先権がより高い場合に対して設置された所定確率であり、その具体的な設置形態は、実際のニーズに応じて選択してもよく、本実施例はこれを制限しない。
【0129】
1つの可能な実施形態において、障害物と車両との衝突確率が第1の所定確率よりも小さいであると決定すると、車両と障害物との衝突確率が高くないであると決定することができ、現在車両の通行優先権がより高いため、車両が現在の候補車両軌跡に従って走行することを決定することができ、そのため、現在の候補車両軌跡を第1の集合に入れることができる。
【0130】
S1305において、候補車両軌跡を削除する。
【0131】
他の1つの可能な実施形態において、障害物と車両との衝突確率が第1の所定確率以上であると決定すると、車両と障害物との衝突確率がより高いであると判定することができ、このような場合には、車両の通行優先権がより高いにもかかわらず、安全上の考慮から、現在の候補車両軌跡を用いて走行させるように車両を制御することができないため、候補車両軌跡を削除する必要がある。
【0132】
S1306において、障害物と車両との衝突確率が第2の所定確率よりも小さいであるか否かを判断し、そうであると、S1303を実行するが、そうでないと、S1305を実行する。
【0133】
他の1つの可能な実施形態において、障害物の通行優先権が車両の通行優先権よりも大きいであると決定し、且つ第1の所定期間内に障害物移動軌跡と候補車両軌跡とが交差すると決定したことを本実施例の前提とする場合に、障害物と車両との衝突確率を決定することができ、衝突確率を決定する実現形態は、上述したものと同様であるため、ここで繰り返して説明しない。
【0134】
本実施例において、障害物と車両との衝突確率が第2の所定確率以上であるか否かを判断してよく、ここで、第2の所定確率は、障害物の通行優先権がより高い場合に対して設置された所定確率であり、その具体的な設置形態は、実際のニーズに応じて選択することができ、本実施例はこれについて制限しなく、上述した第1の所定確率と同様であってもよく、異なってもよく、本実施例はこれについて制限しない。
【0135】
1つの可能な実施形態において、障害物と車両との衝突確率が第2の所定確率以上であると決定した場合、障害物と車両との衝突確率がより高いであり、且つ現在障害物の通行優先権がより高いであると決定することができるため、自動運転車両が現在の候補車両軌跡に従って走行できないと認められ、そのため、候補車両軌跡を削除することができる。
【0136】
他の1つの可能な実施形態において、障害物と車両との衝突確率が第2の所定確率よりも小さいであると決定した場合、障害物と車両との衝突リスクがより低いであると決定することができるため、車両が現在の候補車両軌跡に従って走行できると決定し、そのため、候補車両軌跡を第1の集合に入れることができる。
【0137】
本実施例によって提供される車両走行の制御方法は、第1の所定期間内に自動運転車両と障害物の軌跡が交差すると決定したことを前提とする場合、まず道路権利情報に応じて障害物と自動運転車両の両方の通行優先権を判断し、自動運転車両の通行優先権がより高い場合に予測時間を短縮し、短縮後の第2の所定期間内に自動運転車両と障害物の軌跡が交差するか否かを判断し、予測時間を短縮することで、軌跡予測の正確率を向上させることができる。また、第2の所定期間内に自動運転車両と障害物の軌跡が依然として交差すると決定した場合、衝突確率に応じて候補軌跡を削除するか候補軌跡を候補とするかを決定することにより、衝突確率が所定閾値よりも小さい候補軌跡を効果的に保留し、車両が衝突しないことを前提とする場合、候補車両軌跡をできるだけ保留することで、最初から合理的な車両軌跡の一部を除去することを避けて、その後、保留した候補車両軌跡から最適な目標車両軌跡を選択し、さらに車両の不合理な譲りや減速を避けて、車両走行の合理性を効果的に向上させることができる。
【0138】
上記実施例に基づいて、以下、
図14と合わせて本願によって提供される車両走行の制御方法について体系的に説明し、
図14は、本願の実施例によって提供される車両走行の制御方法を実行する処理ユニット模式図である。
【0139】
ここで、位置決めユニットは、自動運転車両の位置を取得することができる。
【0140】
感知ユニットは、障害物の位置と速度、及び信号機の状態を取得することができる。
【0141】
高精細度地図ユニットは、車両と障害物が位置する道路属性を取得することできる。
【0142】
予測ユニットは、一定時間内に障害物の行動予測軌跡線を取得し、障害物に対応する障害物移動軌跡を得ることができる。
【0143】
道路権利計算ユニットは、上記4つのユニットによって決定された情報及び通行規則に応じて、障害物移動軌跡の道路権利情報を決定することができ、道路上に複数の障害物が存在しており、それぞれの障害物に対応する障害物移動軌跡に道路権利情報を個別に追加することができることが理解される。
【0144】
本実施例の速度計画ユニットは、障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を取得した後、道路権利情報に応じて、上記実施例で説明された内容に応じて、少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、その後、車両に対応する経路と目標速度情報に応じて走行させるように車両を制御する。
【0145】
道路権利情報と合わせて車両速度の計画を行うことで、車両の不要な減速やブレーキを効果的に避けることができ、それにより、車両走行の合理性を効果的に向上させることができる。
【0146】
図15は、本願の実施例の車両走行の制御装置の構造模式図である。
図15に示すように、本実施例の車両走行の制御装置1500は、第1の決定モジュール1501、予測モジュール1502、第2の決定モジュール1503及び第3の決定モジュール1504を含んでもよい。
【0147】
第1の決定モジュール1501は、車両の走行データに応じて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を決定することに用いられ、ここで、前記候補速度情報は、第1の所定期間の各時刻における前記車両の走行速度を示すことに用いられる。
【0148】
予測モジュール1502は、道路上の障害物の移動データに応じて、前記第1の所定期間内の前記障害物の障害物移動軌跡を予測することに用いられる。
【0149】
第2の決定モジュール1503は、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することに用いられ、ここで、前記道路権利情報は、前記車両と前記障害物の通行優先権を示すことに用いられる。
【0150】
第3の決定モジュール1504は、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記少なくとも1つの候補速度情報から目標速度情報を決定し、且つ前記車両に対応する経路と前記目標速度情報に従って走行させるように前記車両を制御することに用いられる。
【0151】
1つの可能な実施形態において、前記第3の決定モジュール1504は、
各前記候補速度情報にそれぞれ対応する候補車両軌跡を個別に決定することに用いられる第1の決定ユニットであって、ここで、前記候補車両軌跡は、前記第1の所定期間内に前記車両が前記候補速度情報と前記車両に対応する経路に従って走行することによって形成された車両軌跡である第1の決定ユニットと、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、各前記候補車両軌跡から目標車両軌跡を決定することに用いられる第2の決定ユニットと、
前記目標車両軌跡に対応する候補速度情報を前記目標速度情報として決定することに用いられる第3の決定ユニットと、を含む。
【0152】
1つの可能な実施形態において、前記第2の決定ユニットは、具体的に、
各前記候補車両軌跡に対して、前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを順次判断することと、
交差しない場合、前記交差しない候補車両軌跡を第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報と前記障害物移動軌跡に応じて、前記候補車両軌跡の処理結果を決定することであって、ここで、前記処理結果は、前記候補車両軌跡を削除することであり、又は前記処理結果は、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることであることと、
前記第1の集合に含まれる候補車両軌跡において、各候補車両軌跡にそれぞれ対応するコスト関数値を決定し、前記コスト関数値の最も小さい候補車両軌跡を前記目標車両軌跡として決定することと、に用いられる。
【0153】
1つの可能な実施形態において、前記第2の決定ユニットは、具体的に、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、前記車両の通行優先権が前記障害物の通行優先権よりも大きいであると決定すると、第2の所定期間内に前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡とが交差するか否かを判断することであって、ここで、前記第1の所定期間には、前記第2の所定期間が含まれることと、
交差しない場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、
交差する場合、前記障害物と前記車両との衝突確率を決定することと、
前記衝突確率が第1の所定確率以上である場合、前記候補車両軌跡を削除することと、
前記衝突確率が第1の所定確率よりも小さい場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、に用いられる。
【0154】
1つの可能な実施形態において、前記第2の決定ユニットは、具体的に、
前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報に応じて、前記障害物の通行優先権が前記車両の通行優先権よりも大きいであると決定すると、前記障害物と前記車両との衝突確率を決定することと、
前記衝突確率が第2の所定確率以上である場合、前記候補車両軌跡を削除することと、
前記衝突確率が第2の所定確率よりも小さい場合、前記候補車両軌跡を前記第1の集合に入れることと、に用いられる。
【0155】
1つの可能な実施形態において、前記第2の決定ユニットは、具体的に、前記障害物移動軌跡と前記候補車両軌跡との交差時間と交差位置を決定することと、
前記車両の現在時刻の速度、前記障害物の現在時刻の走行速度、前記交差時間及び前記交差位置に応じて、衝突確率を決定することと、に用いられる。
【0156】
1つの可能な実施形態において、前記車両の走行データは、前記車両の現在走行速度、前記車両の最大加速度、前記車両の最小加速度のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の決定モジュール1501は、具体的に、
前記車両の現在走行速度、前記車両の最大加速度、前記車両の最小加速度に応じて、前記第1の所定期間内の各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を決定することと、
各時刻における前記車両の少なくとも1つの走行速度を組み合わせて、前記車両の少なくとも1つの候補速度情報を得ることと、に用いられる。
【0157】
1つの可能な実施形態において、前記第2の決定モジュール1503は、具体的に、
前記車両と前記障害物との位置関係及び通行規則に応じて、前記障害物移動軌跡に対応する道路権利情報を決定することに用いられる。
【0158】
本願は、自動運転車両の走行合理性を向上させる目的を達成するように、コンピュータ技術における自動運転分野に応用される車両走行の制御方法及び装置を提供する。
【0159】
本願の実施例によって、本願は、電子設備及び読取可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0160】
本願の実施例によって、本願は、コンピュータプログラムをさらに提供し、コンピュータプログラムは、読取可能な記憶媒体に記憶されており、電子設備の少なくとも1つのプロセッサは、読取可能な記憶媒体からコンピュータプログラムを読み取ることができ、少なくとも1つのプロセッサは、電子設備に上記いずれか1つの実施例によって提供される形態を実行させるように、コンピュータプログラムを実行する。
【0161】
図16は、本願の実施例を実施するための例示電子設備1600の模式ブロック図を示す。電子設備は、例えば、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークテーブル、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ及びその他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを目的とする。電子設備は、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及びその他の類似のコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表してもよい。本明細書で示される部品、それらの接続と関係、及びそれらの機能は、例としてのみ示されており、且つ本明細書に記載及び/又は請求されている本開示の実施を制限することを意図していない。
【0162】
図16に示すように、電子設備1600は、読取り専用メモリ(ROM)1602に記憶されたコンピュータプログラム、又は記憶ユニット1608からランダムアクセスメモリ(RAM)1603にロードされたコンピュータプログラムに応じて、様々な適切な動作と処理を実行することができるコンピューティングユニット1601を含む。RAM1603には、電子設備1600の操作に必要な各種のプログラムやデータがさらに記憶されてもよい。コンピューティングユニット1601、ROM1602及びRAM1603は、バス1604を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース1605も、バス1604に接続されている。
【0163】
電子設備1600における複数の部品は、I/Oインタフェース1605に接続され、複数の部品は、キーボードやマウスなどの入力ユニット1606と、様々なディスプレイやスピーカーなどの出力ユニット1607と、磁気ディスクや光ディスクなどの記憶ユニット1608と、ネットワークカードやモデムや無線通信トランシーバーなどの通信ユニット1609と、を含む。通信ユニット1609は、電子設備1600が、インターネットなどのコンピュータネットワーク及び/又は様々な通信ネットワークを介してその他の設備と情報/データを交換することを可能にする。
【0164】
コンピューティングユニット1601は、処理能力および計算能力を有する様々な汎用及び/又は専用な処理コンポーネントであってもよい。コンピューティングユニット1601のいくつかの例には、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用な人工知能(AI)コンピューティングチップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行するための様々なコンピューティングユニット、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどが含まれるが、これらに限定されない。コンピューティングユニット1601は、車両走行の制御方法などの上述した様々な方法や処理を実行する。例えば、いくつかの実施例において、車両走行の制御方法は、記憶ユニット1608などの機械読取可能な媒体に具体的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM1602及び/又は通信ユニット1609を介して電子設備1600にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、RAM1603にロードされてコンピューティングユニット1601によって実行されるとき、上述した車両走行の制御方法の1つ又は複数のステップが実行されてもよい。或いは、その他の実施例において、コンピューティングユニット1601は、その他の任意の適切な形態によって(例えば、ファームウェアによって)車両走行の制御方法を実行するように配置されてもよい。
【0165】
上述したシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、特定用途向け標準部品(Application Specific Standard Products、ASSP)、システムオンチップ(System on Chip、SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable logic device、CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせに実現されてもよい。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムで実施することを含んでもよく、当該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行及び/又は解釈されてもよく、当該プログラマブルプロセッサは、専用又は汎用のプログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システムと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とからデータ及び命令を受信し、データ及び命令を当該記憶システムと、当該少なくとも1つの入力装置と、当該少なくとも1つの出力装置とに送信することができる。
【0166】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されることができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されることができ、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されるとき、フローチャート及び/又はブロック図で規定された機能/操作が実行されるようにしてもよい。プログラムコードは、機械で完全に実行されてもよいし、機械で部分的に実行されてもよいし、独立なパッケージとして機械で部分的に実行され且つリモート機械で部分的に実行され、或いは、リモート機械又はサーバーで完全に実行されてもよい。
【0167】
本開示の文脈において、機械読取可能媒体は、有形の媒体であってもよく、当該媒体は、命令実行システム、装置又は設備によって使用される、或いは、命令実行システム、装置又は設備と合わせて使用されるプログラムを含む又は保存することであってもよい。機械読取可能な媒体は、機械読取可能信号媒体又は機械読取可能な記憶媒体であってもよい。機械読取可能な媒体には、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線的、又は半導体のシステム、装置又は設備、又はこれらの任意の適切な組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。械読取可能な媒体のより具体的な例としては、1つ又は複数のワイヤに基づく電気接続、携帯型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶設備、磁気記憶設備、又はこれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0168】
ユーザとの対話を提供するために、ここで説明したシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(ブラウン管、Cathode Ray Tube)又はLCD(液晶ディスプレー、Liquid Crystal Display)モニター)と、ユーザがコンピュータに入力を行うためのキーボード及びポインティング装置(例えば、マウス又はトラックボールなど)を有するコンピュータに実施されてもよい。その他の種類の装置は、ユーザとの対話を提供するためにも用いられる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚的なフィードバック(視覚的なフィードバック、聴覚的なフィードバック、又は触覚的なフィードバック)であってもよく、任意の形態(声入力、音声入力又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受け取ってもよい。
【0169】
ここで記載されるシステム及び技術は、バックグラウンド部品を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェア部品を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド部品を含むコンピューティングシステム(例えば、ユーザがここで記載されるシステム及び技術の実施形態と対話できるようなグラフィカルユーザインタフェース又はネットワークブラウザを備えるユーザコンピュータ)、又はこのようなバックグラウンド部品、ミドルウェア部品又はフロントエンド部品を含む任意の組み合わせのコンピューティングシステムに実施されてもよい。システムの部品は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体(例えば、通信ネットワーク)を介して相互に接続されてもよい。通信ネットワークの例としては、ローカルエリヤネットワーク(LAN、Local Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN、Wide Area Network)、インターネットを含む。
【0170】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含んでもよい。クライアントとサーバは、通常、互いに離れており、且つ通信ネットワークを介して対話を行う。クライアントとサーバとの関係は、対応のコンピュータで実行され、且つ互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムを介して産生される。サーバは、クラウドサーバであってもよく、クラウドサーバは、クラウドコンピューティングサーバ又はクラウドホストとも呼ばれ、管理が難しくてサービスの拡張性が弱いという従来の物理的なホストとVPSサービス(「Virtual Private Server」、又は「VPS」と略称)にある欠点を解決するための、クラウドコンピューティングサービスシステムにおけるホスト製品である。また、サーバは、分散システムのサーバ、又はブロックチェーンを組み合わせたサーバであってもよい。
【0171】
以上に示された様々な形態のフローを用いて、ステップを並べ替えたり、追加したり、削除したりすることができることを理解すべきである。例えば、本願に記載されている各ステップは、並行に実行されてもよいし、順次に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよく、本願で開示された技術案の所望の結果を実現できる限り、ここで制限されない。
【0172】
上記具体的な実施形態は、本願の保護範囲を制限するものではない。当業者にとっては、設計要求及びその他の要因に応じて、様々な変更、組み合わせ、下位組み合わせ及び置換を行われてもよいことを理解すべきである。本願の主旨の範囲内で行われた変更、均等置換及び改善などは、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。