(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】仮設住宅団地設計システム
(51)【国際特許分類】
G06V 20/64 20220101AFI20230731BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230731BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230731BHJP
【FI】
G06V20/64
G06F30/13
G06T7/00 C
(21)【出願番号】P 2022073230
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2022-10-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年度大会(東海)学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 DVD版及び冊子 一般社団法人日本建築学会 (刊行物等) https://www.aij.or.jp/tokai2021dvd.html (刊行物等) 2021年度日本建築学会大会(東海)学術講演会・建築デザイン発表会(オンライン)
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591241718
【氏名又は名称】大和リース株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓明
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕充
(72)【発明者】
【氏名】大西 康伸
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113826(JP,A)
【文献】特開2011-175387(JP,A)
【文献】特表2020-507776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 20/64
G06F 30/13
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設住宅団地の設計のための仮設住宅団地設計システムであって、
仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データを取得する点群データ取得部と、
取得された前記点群データを少なくとも敷地内の点群と敷地外の点群とに分離し、前記敷地内の点群を複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群を少なくとも敷地面の点群と敷地面以外の点群とに分離する点群データ分離部と、
前記敷地面の点群を用いて敷地面の仮想モデルを作成するモデリング部と、
を具備する、
仮設住宅団地設計システム。
【請求項2】
前記点群データ分離部は、
取得された敷地内の点群を、平面視において複数のセルに分割し、
複数の前記セルそれぞれにおいて、平面視において前記セル内に含まれる点群から導き出される点をセル点として指定し、
隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下である場合、当該隣接する前記セル内の点群を同一のクラスタにグループ分けし、隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下でない場合、当該隣接する前記セル内の点群を別々のクラスタにグループ分けする、
請求項1に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項3】
前記点群データ分離部は、
平面視においてセル内に含まれる点群のうち最も高い点と同じ高さ、かつ、平面視において前記セルの中心に設定される点を、前記セル点に指定する、
請求項2に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項4】
前記点群データ分離部は、
前記セルを500mm×500mm以下の正方形に設定する、
請求項2又は請求項3に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項5】
前記点群データ分離部は、
取得された前記点群データを敷地内の点群と敷地の周囲の道路内の点群と敷地内及び道路内以外の点群とに分離し、前記敷地内の点群及び前記道路内の点群をそれぞれ複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群及び前記道路内の点群を敷地面の点群と道路面の点群と敷地面及び道路面以外の点群とに分離し、
前記モデリング部は、
前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を用いて敷地面及び道路面の仮想モデルを作成する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項6】
前記点群データ分離部は、
敷地境界線及び道路境界線に基づいて、前記敷地内の点群と前記道路内の点群と前記敷地内及び道路内以外の点群との分離を行う、
請求項5に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項7】
前記点群データ分離部は、
取得された点群データに地図を重ね合わせることによって、前記敷地境界線又は前記道路境界線の少なくとも一方を取得する、
請求項6に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項8】
前記敷地面の点群及び前記道路面の点群それぞれにおいて、平面視における点同士の間隔が一定となるように、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を整理する整理部を具備する、
請求項5に記載の仮設住宅団地設計システム。
【請求項9】
前記モデリング部は、
前記整理部による整理後の前記敷地面の点群及び前記道路面の点群において点の欠落が生じている場合、欠落した箇所に点を補完したうえで敷地面の仮想モデルを作成する、
請求項8に記載の仮設住宅団地設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設住宅団地の設計のための仮設住宅団地設計システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本は「災害大国」と呼ばれる程、自然災害が多い国として知られている。その中には地震や台風等、広範囲に被害が及ぶ事例も少なくない。大規模災害の発生時には在住住居が全半壊した者に対して、特許文献1に記載されるような応急仮設住宅の供給が要求される。
【0003】
災害発生後の応急仮設住宅を含む仮設住宅団地の計画において、現地調査、配置計画、住戸の設計、部材の調達、現場施工、の工程に沿って、迅速な仮設住宅の供給を行うことが要求される。これら工程のうち、配置計画の期間の短縮のために、BIM等のモデリングツールを用いた自動配置プログラムが用いられる場合がある。
【0004】
しかしながら、従来の自動配置プログラムにおいては、仮設住宅の敷地の仮想モデルは設計者が手作業で作成する必要があり、これにより仮設住宅団地の設計に時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮を図ることができる仮設住宅団地設計システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、仮設住宅団地の設計のための仮設住宅団地設計システムであって、仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データを取得する点群データ取得部と、取得された前記点群データを少なくとも敷地内の点群と敷地外の点群とに分離し、前記敷地内の点群を複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群を少なくとも敷地面の点群と敷地面以外の点群とに分離する点群データ分離部と、前記敷地面の点群を用いて敷地面の仮想モデルを作成するモデリング部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記点群データ分離部は、取得された敷地内の点群を、平面視において複数のセルに分割し、複数の前記セルそれぞれにおいて、平面視において前記セル内に含まれる点群から導き出される点をセル点として指定し、隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下である場合、当該隣接する前記セル内の点群を同一のクラスタにグループ分けし、隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下でない場合、当該隣接する前記セル内の点群を別々のクラスタにグループ分けするものである。
【0010】
請求項3においては、前記点群データ分離部は、平面視においてセル内に含まれる点群のうち最も高い点と同じ高さ、かつ、平面視において前記セルの中心に設定される点を、前記セル点に指定するものである。
【0011】
請求項4においては、前記点群データ分離部は、前記セルを500mm×500mm以下の正方形に設定するものである。
【0012】
請求項5においては、前記点群データ分離部は、取得された前記点群データを敷地内の点群と敷地の周囲の道路内の点群と敷地内及び道路内以外の点群とに分離し、前記敷地内の点群及び前記道路内の点群をそれぞれ複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群及び前記道路内の点群を敷地面の点群と道路面の点群と敷地面及び道路面以外の点群とに分離し、前記モデリング部は、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を用いて敷地面及び道路面の仮想モデルを作成するものである。
【0013】
請求項6においては、前記点群データ分離部は、敷地境界線及び道路境界線に基づいて、前記敷地内の点群と前記道路内の点群と前記敷地内及び道路内以外の点群との分離を行うものである。
【0014】
請求項7においては、前記点群データ分離部は、取得された点群データに地図を重ね合わせることによって、前記敷地境界線又は前記道路境界線の少なくとも一方を取得するものである。
【0015】
請求項8においては、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群それぞれにおいて、平面視における点同士の間隔が一定となるように、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を整理する整理部を具備するものである。
【0016】
請求項9においては、前記モデリング部は、前記整理部による整理後の前記敷地面の点群及び前記道路面の点群において点の欠落が生じている場合、欠落した箇所に点を補完したうえで敷地面の仮想モデルを作成するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮を図ることができる。
【0019】
請求項2においては、敷地面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項3においては、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
【0021】
請求項4においては、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
【0022】
請求項5においては、仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮をより図ることができる。
【0023】
請求項6においては、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
【0024】
請求項7においては、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
【0025】
請求項8においては、敷地面及び道路面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
【0026】
請求項9においては、敷地面及び道路面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る仮設住宅団地設計システムの構成を示したブロック図。
【
図3】敷地面及び道路面のモデリングの手順を示したフローチャート。
【
図4】点群データの分離の処理を示したフローチャート。
【
図6】セル点を取得する方法を説明するための平面図。
【
図7】セル点同士を結ぶ直線の勾配を説明するための概略側面図。
【
図8】クラスタリングの方法を説明するための側面図。
【
図9】(a)敷地内の点群及び道路内の点群の表示の一例を示した平面図。(b)敷地面の点群及び道路面の点群が指定された状態を示した平面図。
【
図10】敷地面及び道路面のモデリングの処理を示したフローチャート。
【
図11】(a)敷地境界線内において整理後の敷地面の点群の欠落が生じている状態を示した概略平面図。(b)バウンディングボックスが作成された状態を示した概略平面図。
【
図12】(a)点が追加された状態を示した概略平面図。(b)敷地面の仮想モデルを敷地境界線で切り取った状態を示した概略平面図。
【
図13】(a)道路境界線を示した図。(b)道路境界線内に分割線を作成した状態を示した図。
【
図14】(a)分割線を中心として四角形を作成した状態を示した図。(b)点群高さの計算方法を示すための図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1について説明する。
【0029】
仮設住宅団地設計システム1は、仮設住宅を含む仮設住宅団地の設計のためのものである。本実施形態においては、仮設住宅団地設計システム1は、仮設住宅団地の設計において、BIMツールを用いて仮想モデルを作成する。仮想モデルの作成には、仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データが用いられる。点群データは、種々の方法によって取得することができ、例えばドローンによって撮影された航空写真から取得することができる。
【0030】
より詳細には、仮設住宅団地設計システム1は、仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データに基づいて、敷地を構成する面(以下、「敷地面」という)、及び敷地の周囲の道路を構成する面(以下、「道路面」という)の仮想モデルを作成(点群データをモデル化)する。一方、敷地面及び道路面以外の樹木や工作物等は形状が複雑でモデル化が困難であるため、仮設住宅団地設計システム1は、BIMツール上にて、樹木や工作物等を点群のままで表示する。以下、敷地面及び道路面をまとめて「地面」ということもある。
【0031】
仮設住宅団地設計システム1は、主としてユーザ端末10及び共有サーバ20を具備する。
【0032】
ユーザ端末10は、ユーザ(設計者)が仮設住宅の配置計画を設計する際に用いる端末である。ユーザ端末10としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。ユーザ端末10は、点群データをモデル化することができる。また、ユーザ端末10は、点群データ及びBIMモデルを用いて、仮設住宅団地の設計を行うことができる。ユーザ端末10は、複数設けられる。
図1においては、3台のユーザ端末10が示されている。ユーザ端末10の詳細については後述する。
【0033】
共有サーバ20は、各ユーザ端末10とネットワークNを介して接続されるものである。ネットワークNには、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。共有サーバ20には、BIMモデル及び各種情報が格納される。
【0034】
共有サーバ20へのアクセスにはアクセス権限を要し、アクセス権限が付与されているユーザ端末10のみが共有サーバ20にアクセスでき、共有サーバ20に格納されている各種データを共有することができる。例えば、各設計段階の都度、BIMモデルが共有サーバ20に格納され、アクセス権限が付与されているユーザ端末10は共有サーバ20にアクセスして、共有サーバ20に格納されているBIMモデルを自身のユーザ端末10に取り込んだり、自身のユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20にアップしたりすることができる。
【0035】
以下、
図2を用いて、ユーザ端末10の構成について説明する。ユーザ端末10は、通信部11、操作入力部12、演算部13及び表示部14を具備する。
【0036】
通信部11は、共有サーバ20との通信を行う部分である。通信部11は、ユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20に送信したり、共有サーバ20にて格納されているBIMモデルを受信したりすることができる。
【0037】
操作入力部12は、ユーザの操作によって各種情報を入力する部分である。操作入力部12としては、キーボードやマウス等が用いられる。ユーザは、操作入力部12を介して、BIMモデルを用いた仮設住宅団地の設計等を行うことができる。具体的には、ユーザは、操作入力部12を介して、点群データのモデル化や、データの入力等を行うことができる。
【0038】
演算部13は、各種演算を行う部分である。演算部13は、点群データの処理を行うことができる。また、演算部13は、BIMモデル設計用のアプリケーションソフトウェアを起動することで、ユーザ端末10を、BIMモデルを作成可能な状態とすることができる。
【0039】
演算部13は、各種データを格納する格納部を有する。前記格納部には、通信部11を介して共有サーバ20から読み出されたBIMモデルや各種情報が格納される。前記格納部には、ユーザ端末10で作成されたBIMモデルが格納される。前記格納部には、点群データの処理や、点群データのモデル化のためのプログラムが格納される。演算部13は、各プログラムを読み出して後述する各種処理を実行する。
【0040】
表示部14は、画像を表示するものである。表示部14は、点群データ及びBIMモデル等を表示することができる。表示部14としては、液晶ディスプレイ等の表示デバイスが用いられる。
【0041】
以下では、
図3から
図14を用いて、敷地面及び道路面の仮想モデルの作成(モデリング)の手順について説明する。
【0042】
図3に示すように、まず、仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データを取得する(ステップS1)。具体的には、敷地の上空にドローンを飛行させて、敷地等の航空写真を撮影する。そして、適宜の方法により、撮影された航空写真の画像データから、敷地及びその周辺の点群データ(以下、「全範囲点群」という)が作成される。演算部13は、通信部11を介して、全範囲点群を取得する。
【0043】
次に、点群データの分離を行う(
図3に示すステップS2)。以下、
図4を用いて、点群データの分離(ステップS2)の具体的な処理について説明する。
【0044】
まず、ステップS21において、演算部13は、ステップS1で取得した点群データ(全範囲点群)を編集及び変換する。具体的には、演算部13は、全範囲点群を、後述のステップにおいて処理可能な形式に編集及び変換する。演算部13は、当該ステップS21の処理を行った後、ステップS22に移行する。
【0045】
次に、ステップS22において、演算部13は、地図情報を取得する。具体的には、演算部13は、外部から、敷地又は敷地周辺の道路の少なくとも一方を含む地図情報を取得する。本実施形態においては、演算部13は、道路の地図情報を取得する。演算部13は、当該ステップS22の処理を行った後、ステップS23に移行する。
【0046】
次に、ステップS23において、演算部13は、敷地境界線及び道路境界線を作成する。
ここで、「敷地境界線」とは、敷地の境界(外形)を表す線のことをいい、「道路境界線」とは、道路の境界(外形)を表す線のことをいう。演算部13は、ステップS21で編集及び変換した全範囲点群を、表示部14に表示させる。そして、演算部13は、表示部14上で、ステップS22で取得した地図を全範囲点群に重ね合わせる。そして、演算部13は、地図上の敷地の外形及び/又は道路の外形に基づいて、全範囲点群中に敷地境界線及び/又は道路境界線を取得する。本実施形態においては、演算部13は、地図上の道路の外形に基づいて道路境界線を取得し、敷地境界線はユーザによって描画される。演算部13は、当該ステップS23の処理を行った後、ステップS24に移行する。
【0047】
次に、ステップS24において、演算部13は、点群の分離を行う。具体的には、演算部13は、全範囲点群を、「敷地面の点群」、「道路面の点群」、「敷地面及び道路面以外の点群」の3種類の点群に分離する。以下、
図5を用いて、点群の分離(ステップS24)の具体的な処理について説明する。
【0048】
まず、ステップS241において、演算部13は、ステップS21で編集及び変換した全範囲点群、並びにステップS23で作成した敷地境界線及び道路境界線のデータを読み込む。当該データには、敷地境界線及び道路境界線の頂点座標等が含まれる。演算部13は、当該ステップS241の処理を行った後、ステップS242に移行する。
【0049】
ステップS242において、演算部13は、全範囲点群を、「敷地内の点群」、「道路内の点群」及び「敷地内及び道路内以外の点群」の3種類の点群に分離する。以下、その方法について具体的に説明する。
【0050】
演算部13は、全範囲点群の各点が、敷地境界線の多角形内に含まれるかどうかを判定し、含まれると判定された点を「敷地内の点群」にグループ分けする。次に、演算部13は、敷地境界線の多角形内に含まれなかった点が道路境界線の多角形内に含まれるかどうかを判定し、含まれると判定された点を「道路内の点群」にグループ分けする。最後に、演算部13は、敷地境界線の多角形内及び道路境界線の多角形内に含まれなかった残りの点を全て「敷地内及び道路内以外の点群」にグループ分けする。演算部13は、当該ステップS242の処理を行った後、ステップS243に移行する。
【0051】
ステップS243において、演算部13は、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」をそれぞれセル状に分割し、その中心点を取得する。以下、その方法について具体的に説明する。
【0052】
まず、
図6に示すように、演算部13は、「敷地内の点群」、「道路内の点群」それぞれについてバウンディングボックスを取得し、平面視において「敷地内の点群」及び「道路内の点群」それぞれを複数のセルに分割する。分割するセルは、500mm×500mm以下の正方形とする。本実施形態においては、セルの大きさは250mm×250mmとする。演算部13は、平面視において点群が含まれているセルのみ選択し、選択したセルの中心点(以下、「セル点p」という)を設定する。各セル点pの高さは、平面視において当該セル内に含まれる点群の中の最高高さを持つ点と同じ高さとする。演算部13は、当該ステップS243の処理を行った後、ステップS244に移行する。
【0053】
ステップS244において、演算部13は、セル状に分割した「敷地内の点群」及び「道路内の点群」を、それぞれクラスタリングして複数のクラスタにグループ分けする。以下、クラスタリングの方法について説明する。
【0054】
図7に示すように、演算部13は、隣接するセルのセル点p同士の水平方向の距離X、及び隣接するセルのセル点p同士の高さ方向の距離Yを取得する。本実施形態においては、セルの一辺の長さが250mmであるので、セル点p同士の水平方向の距離Xも250mmである。そして、演算部13は、距離Xに対する距離Yの割合((Y/X)×100[%])、すなわち、セル点p同士を結ぶ直線Eの勾配を算出する。
【0055】
演算部13は、隣接するセルのセル点p同士を結ぶ直線Eの勾配が所定の閾値以下である場合、当該隣接するセル内の点群を同一のクラスタにグループ分けする。一方、演算部13は、隣接するセルのセル点p同士を結ぶ直線Eの勾配が所定の閾値以下でない(所定の閾値を超える)場合、当該隣接するセル内の点群を別々のクラスタにグループ分けする。
【0056】
ここで、勾配の前記所定の閾値は、敷地面及び道路面の一般的な勾配や、敷地面及び道路面以外の他の要素(例えば樹木やベンチ等の工作物)の高さを考慮して設定されることが好ましい。より詳細には、前記所定の閾値は、敷地面及び道路面の勾配の上限と考えられる値より大きく、ベンチ等の他の要素の高さから導かれる勾配よりも小さい値に設定されることが好ましい。本実施形態においては、勾配の前記所定の閾値は、20%に設定される。
【0057】
これにより、直線Eの勾配が20%よりも大きい(すなわち、直線Eの傾斜が、地面では考えられないくらい急である)場合、隣接するセル内の点群が別々のクラスタにグループ分けされる。このため、地面の点群と、樹木や工作物等の他の要素の点群とを分離し易くすることができる。一方、直線Eの勾配が20%よりも小さい(すなわち、直線Eの傾斜がなだらかである)場合、隣接するセル内の点群を同一のクラスタにグループ分けされる。このため、地面の点群が他の要素の点群として分離されるのを抑制することができ、ひいては、後述の処理(
図3のステップS3)において、地面が実際は連続しているにもかかわらず不連続にモデリングされてしまうのを抑制することができる。
【0058】
ここで、
図7に示すように、直線Eの勾配が20%であるとき、セル点p同士の高さ方向の距離Yは50mmであり、直線Eの長さεはおよそ255mmとなる(以下、長さε=255mmとして説明する)。したがって、演算部13は、実際のシステム上では、隣接するセル内の点群を別々のクラスタにグループ分けするか同一のクラスタにグループ分けするかの判断を、直線Eの長さεに基づいて行うことができる。すなわち、演算部13は、直線Eの長さεが255mm以下である場合、当該隣接するセル内の点群を同一のクラスタにグループ分けする。一方、演算部13は、直線Eの長さεが255mm以下でない(255mmを超える)場合、当該隣接するセル内の点群を別々のクラスタにグループ分けする。
【0059】
このようなクラスタリングのアルゴリズムとして、Density-based spatial clustering of applications with noise(DBSCAN)を用いることができる。DBSCANとは、「同一のクラスタとする許容距離ε」と「クラスタを形成するために必要な最小ポイント数n」の2つのパラメータを指定することで、距離がε以内のポイント同士をグループ化する方法である。
【0060】
具体的には、演算部13は、ステップS243で取得した複数のセル点pのうち、距離(半径)ε以内に他のセル点と自身の点も含めた合計がn個以上であるセル点pを「コア点」と定義し、このコア点から距離ε以内の全ての他のセル点pを同一のクラスタとする。そして、演算部13は、距離ε以内にn個以上のセル点pは無いが、距離ε以内にコア点を持つ他のセル点pを「到達可能点」と定義する。そして、演算部13は、「コア点」または「到達可能点」と定義されなかったセル点pを「ノイズ」と定義する。上述したように、本実施形態においては、許容距離εは255mmに設定される。また、最小ポイント数nは、任意の数値に設定することができ、本実施形態においてはn=1に設定される。
【0061】
図8は、クラスタリングの一例である。
図8において、縦軸は高さ方向の位置を示しており、横軸は水平方向の位置を示している。
図8において、点p1は、距離εの半径内に点p1自身も含めて3つ以上の点が含まれることにより、コア点となっている。距離εの半径内に含まれるコア点同士は同一のクラスタとなる。点p2は、コア点からεの距離の半径内に存在することにより、到達可能点となっており、当該コア点と同一のクラスタとなる。点p3は、コア点または到達可能点でないノイズであり、どのクラスタにも属さないものとなる。その結果、点群が、例えばクラスタA、クラスタB、クラスタC、クラスタD及びノイズにグループ分けされる。
【0062】
演算部13は、当該ステップS244の処理を行った後、ステップS245に移行する。
【0063】
ステップS245において、演算部13は、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」をそれぞれクラスタごとに色分けして表示部14に表示する。
図9(a)に示すように、表示部14に、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」が3Dビューで表示される。「敷地内の点群」及び「道路内の点群」は、クラスタごとに分割されている。
図9(a)において異なるハッチングで示すように、各クラスタは互いに色分けして表示される。ユーザは、操作入力部12を介して、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」それぞれの複数のクラスタから、「敷地面の点群」と考えられるクラスタ及び「道路面の点群」と考えられるクラスタを指定することができる。ユーザは、例えば、クラスタ内に表示された点をクリックすることによって、クラスタの指定を行うことができる。
【0064】
演算部13は、当該ステップS245の処理を行った後、ステップS246に移行する。
【0065】
ステップS246において、演算部13は、地面(敷地面及び道路面)のクラスタの指定があったか否かを判定する。演算部13は、地面のクラスタの指定があったと判定した場合(ステップS246で「YES」)、ステップS247に移行する。一方、演算部13は、地面のクラスタの指定がないと判定した場合(ステップS246で「NO」)、再度ステップS246の処理を行う。
【0066】
ステップS247において、演算部13は、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」それぞれで選択されたクラスタを地面の点群、その他を地面以外の点群とする。より詳細には、
図9(b)に示すように、演算部13は、ステップS246において「敷地内の点群」で選択されたクラスタを敷地面の点群、その他を敷地面以外の点群とし、ステップS246において「道路内の点群」で選択されたクラスタを道路面の点群、その他を道路面以外の点群とする。演算部13は、当該ステップS247の処理を行った後、ステップS248に移行する。
【0067】
ステップS248において、演算部13は、「敷地面以外の点群」及び「道路面以外の点群」を「敷地内及び道路内以外の点群」と統合し、「敷地面及び道路面以外の点群」とする。演算部13は、当該ステップS248の処理を行った後、
図4に示すステップS24の処理を終了する。
【0068】
このようにして点群データの分離(
図3に示すステップS2)が終了すると、次に、敷地面及び道路面のモデリングを行う(
図3に示すステップS3)。以下、
図10を用いて、敷地面及び道路面のモデリング(ステップS3)の具体的な処理について説明する。
【0069】
まず、ステップS31において、演算部13は、敷地面及び道路面以外の点群データを変換する。具体的には、演算部13は、敷地面及び道路面以外の点群データを、後述のステップにおいて処理可能な形式に編集及び変換する。演算部13は、当該ステップS31の処理を行った後、ステップS32に移行する。
【0070】
ステップS32において、演算部13は、BIMパーツの配置及び点群の表示を行う。具体的には、演算部13は、表示部14に、敷地面及び道路面以外の点群を表示させる。そして、演算部13は、道路境界線を基に、道路分割線BIMパーツ(道路境界線の分割に用いるBIMパーツ)を配置する。演算部13は、当該ステップS32の処理を行った後、ステップS33に移行する。
【0071】
ステップS33において、演算部13は、点群の整理を行う。具体的には、演算部13は、「敷地面の点群」、「道路面の点群」それぞれについてバウンディングボックスを取得し、平面視において「敷地面の点群」及び「道路面の点群」それぞれを複数のセルに分割する。分割セルは、250mm×250mmとする。次に、演算部13は、平面視において点群が含まれているセルのみ選択し、選択したセルの中心点(セル点p)を設定する(
図6と同様)。各セル点pの高さは、平面視において当該セル内に含まれる点群の平均の高さとする。セル点p以外のセル内の点群は削除される。こうして、「敷地面の点群」及び「道路面の点群」それぞれにおいて、平面視における点同士の間隔が一定となるように、点群が整理される。より詳細には、点が平面視においてX方向及びY方向に並ぶように配置されるとともに、X方向及びY方向における点同士の間隔が等間隔となるように、点群が整理される。
演算部13は、当該ステップS33の処理を行った後、ステップS34に移行する。
【0072】
ステップS34において、演算部13は、モデリングを行う。具体的には、演算部13は、ステップS33における整理後の敷地面の点群及び道路面の点群から点群の高さを参照する。そして、演算部13は、点群の高さ、並びに敷地境界線及び道路境界線に基づいて、敷地面及び道路面の仮想モデルを作成する。
【0073】
ここで、敷地面及び道路面の点群データにおいては、
図3のステップS1の点群データの取得時(航空写真の撮影時)に、樹木や工作物の陰になって、敷地面及び道路面の点群が欠落している場合がある。また、敷地面及び道路面以外の要素を分離したことで、敷地面及び道路面の点が欠落している場合がある。そこで、演算部13は、点群の整理後(ステップS33の処理後)の敷地面及び道路面において点の欠落が生じている場合、欠落した箇所に点群を補完したうえで敷地面のモデリングを行う。
【0074】
まず、
図11及び
図12を用いて、敷地面の点群の補完の方法について説明する。
【0075】
例えば、
図11(a)に示すように、敷地境界線内に点群の欠落(二点鎖線で示す部分)が生じている場合がある。この場合、
図11(b)に示すように、演算部13は、敷地境界線を囲むようにバウンディングボックスを作成する。そして、
図12(a)に示すように、演算部13は、存在する点の座標に基づいて欠落箇所の点の座標を算出し、算出した座標位置に点を作成する。そして、
図12(b)に示すように、演算部13は、全ての点から敷地面の仮想モデルを作成したうえで、敷地面の仮想モデルを敷地境界線で切り取る。このようにして、敷地面の仮想モデルが作成される。
【0076】
次に、
図13及び
図14を用いて、道路面の点群の補完の方法について説明する。
【0077】
まず、
図13(a)に示すように、演算部13は、道路境界線内の点群のベクトルデータに基づいて、道路輪郭線を取得する。次に、
図13(b)に示すように、演算部13は、道路輪郭線内に、複数の分割線を道路の延伸方向に間隔をあけて形成する。次に、
図14(a)に示すように、演算部13は、分割線を中心に四角形を作成し、四角形内の点群の平均高さを取得する。
【0078】
次に、演算部13は、演算部13は、道路境界線及び分割線によって形成される面の仮想モデル(BIMパーツ)を作成する。このとき、演算部13は、四角形内の点群の平均高さを、分割線の両端に与える。点群が欠落して分割線に高さが与えられない場合は、当該分割線の両隣の分割線の高さの差を隣の分割線からの道路境界線の長さで按分することによって、当該分割線の両端の高さを算出する。例えば、
図14(b)に示す例において、分割線Fの高さZが取得できない場合、分割線Fの高さは以下の式(1)によって算出される。
Z=Z1+(Z2-Z1)×{L1/(L1+L2)}・・・式(1)
【0079】
式(1)において、Z1、Z2はそれぞれ当該分割線の両隣の分割線の高さ、L1、L2はそれぞれ両隣の分割線から当該分割線までの道路輪郭線の長さを示している。
【0080】
演算部13は、道路輪郭線、及び分割線の高さに基づいて、道路面の仮想モデルを作成することができる。
【0081】
以上のように、欠落箇所に点を補完したうえで、敷地面及び道路面の仮想モデルを作成することにより、実際には敷地面及び道路面が連続しているにもかかわらず、敷地面及び道路面の仮想モデルが不連続になってしまうのを抑制することができる。また、敷地面及び道路面が、粗くいびつな形状となるのを抑制することができる。
【0082】
演算部13は、当該ステップS34の処理を行った後、敷地面及び道路面のモデリングを終了する。
【0083】
以上の如く、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1においては、点群データを用いて、仮設住宅団地の敷地面及び道路面の仮想モデルを自動で作成することができるので、ユーザの負担を軽減できる。また、設計時間の短縮を図ることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1においては、点群データを分離したうえで仮想モデルを作成するので、敷地面及びその他の要素を別々の部材としてモデリングすることができる。したがって、仮設住宅団地の各要素の配置の検討をし易くすることができる。
【0085】
また仮に、点群の高さ自体に基づいて地面の点群か地面以外の点群かを分離する場合、地面の高低差が比較的大きい(例えば、地面が比較的高い位置まで連続している)ときに、地面の高い位置の部分が他の要素として分離されてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1においては、点群の高さがどれだけ急激に変化したか(
図7の直線Eの勾配)に基づいて点群の分離を行うため、地面の高い位置の部分が他の要素として分離されてしまうのを抑制することができる。このように、地面の高低差が比較的大きい場合であっても、地面と地面以外の点群の分離を適切に行うことができる。
【0086】
以上の如く、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、
仮設住宅団地の設計のための仮設住宅団地設計システム1であって、
仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データを取得する(
図3のステップS1)点群データ取得部(通信部11、演算部13)と、
取得された前記点群データを少なくとも敷地内の点群と敷地外の点群とに分離し、前記敷地内の点群を複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群を少なくとも敷地面の点群と敷地面以外の点群とに分離する(
図3のステップS2)点群データ分離部(演算部13)と、
前記敷地面の点群を用いて敷地面の仮想モデルを作成する(
図3のステップS3)モデリング部(演算部13)と、
を具備するものである。
【0087】
このような構成により、仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮を図ることができる。
具体的には、仮設住宅団地の敷地の仮想モデルを自動で作成することができるので、ユーザの負担を軽減でき、また設計時間の短縮を図ることができる。
また、点群データを分離したうえで仮想モデルを作成するので、敷地面及びその他の要素を別々の部材としてモデリングすることができ、ひいては敷地面の仮想モデルの精度の向上を図ることができるとともに、各要素の配置の検討をし易くすることができる。
【0088】
また、前記点群データ分離部は、
取得された敷地内の点群を、平面視において複数のセルに分割し(
図5のステップS243)、
複数の前記セルそれぞれにおいて、平面視において前記セル内に含まれる点群から導き出される点をセル点として指定し(
図5のステップS243)、
隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下である場合、当該隣接する前記セル内の点群を同一のクラスタにグループ分けし、隣接する前記セルの前記セル点同士を結ぶ直線の勾配が所定値以下でない場合、当該隣接する前記セル内の点群を別々のクラスタにグループ分けする(
図5のステップS244)ものである。
【0089】
このような構成により、敷地面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
具体的には、隣接するセル内の点群の高さの差が比較的大きい(例えば、敷地面の勾配とは考えられないくらい急激に変化している)場合、隣接するセル内の点群を別々のクラスタにグループ分けするので、敷地面の点群と、樹木や工作物等の他の要素の点群とを分離し易くすることができる。一方、隣接するセル内の点群の高さの差が比較的小さい(例えば、敷地面の勾配の範囲内と考えられるくらいなだらかに変化している)場合、隣接するセル内の点群を同一のクラスタにグループ分けするので、敷地面が実際は連続しているにもかかわらず不連続にモデリングされてしまうのを抑制することができる。
【0090】
また、前記点群データ分離部は、
平面視においてセル内に含まれる点群のうち最も高い点と同じ高さ、かつ、平面視において前記セルの中心に設定される点を、前記セル点に指定するものである。
【0091】
このような構成により、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
具体的には、セル点の平面視における位置をセルの中心とすることにより、隣接するセルのセル点同士の水平方向の距離を測定することによって、セル点同士を結ぶ直線の勾配を算出することができる。また、セル点の高さをセル内に含まれる点群のうち最も高い点と同じ高さとすることにより、隣接するセルの各セル点の高さの基準を同一とすることができる。
【0092】
また、前記点群データ分離部は、
前記セルを500mm×500mm以下の正方形に設定するものである。
【0093】
このような構成により、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
具体的には、敷地内の点群を比較的細かく分割することができるので、より精密な点群の分離を行うことができる。
【0094】
また、前記点群データ分離部は、
取得された前記点群データを敷地内の点群と敷地の周囲の道路内の点群と敷地内及び道路内以外の点群とに分離し、前記敷地内の点群及び前記道路内の点群をそれぞれ複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群及び前記道路内の点群を敷地面の点群と道路面の点群と敷地面及び道路面以外の点群とに分離し(
図3のステップS2)、
前記モデリング部は、
前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を用いて敷地面及び道路面の仮想モデルを作成する(
図3のステップS3)ものである。
【0095】
このような構成により、仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮をより図ることができる。
具体的には、仮設住宅団地の敷地の周囲の道路の仮想モデルを自動で作成することができるので、設計者の負担を軽減でき、また設計時間の短縮を図ることができる。
また、敷地面、道路面及びその他の要素を別々の部材としてモデリングすることができ、ひいては道路面の仮想モデルの精度の向上を図ることができるとともに、各要素の配置の検討をし易くすることができる。
【0096】
また、前記点群データ分離部は、
敷地境界線及び道路境界線に基づいて、前記敷地内の点群と前記道路内の点群と前記敷地内及び道路内以外の点群との分離を行う(
図4のステップS24)ものである。
【0097】
このような構成により、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
【0098】
また、前記点群データ分離部は、
取得された点群データに地図を重ね合わせることによって、前記敷地境界線又は前記道路境界線の少なくとも一方を取得する(
図4のステップS22及びS23)ものである。
【0099】
このような構成により、点群の分離の精度の向上を図ることができる。
具体的には、点群データからは敷地境界線や道路境界線の取得が困難な場合であっても、敷地境界線や道路境界線を容易に取得することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る仮設住宅団地設計システム1は、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群それぞれにおいて、平面視における点同士の間隔が一定となるように、前記敷地面の点群及び前記道路面の点群を整理する整理部(演算部13)を具備する(
図10のステップS33)ものである。
【0101】
このような構成により、敷地面及び道路面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
【0102】
また、前記モデリング部は、
前記整理部による整理後の前記敷地面の点群及び前記道路面の点群において点の欠落が生じている場合、欠落した箇所に点を補完したうえで敷地面の仮想モデルを作成する(
図9のステップS34)ものである。
【0103】
このような構成により、敷地面及び道路面の仮想モデルの精度の向上を図ることができる。
具体的には、実際には敷地面及び道路面が連続しているにもかかわらず敷地面及び道路面の仮想モデルが不連続になったり、敷地面及び道路面が粗くいびつな形状となるのを抑制することができる。
【0104】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、本実施形態においては、仮想モデルとして、BIMモデルを用いて仮設住宅の配置計画を行うものとしたが、3次元CADを用いるものであってもよく、或いは2次元の仮想モデルを用いるものであってもよい。
【0106】
また、本実施形態においては、点群データはドローンを飛行させることによって取得されるものとしたが、点群データの取得方法はこれに限定されず、任意の方法とすることができる。
【0107】
また、本実施形態においては、ユーザが、操作入力部12を介して、「敷地内の点群」及び「道路内の点群」それぞれの複数のクラスタから、「敷地面の点群」のクラスタ及び「道路面の点群」のクラスタを指定するものとしたが、演算部13が、所定の条件に基づいて自動的に指定するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 仮設住宅団地設計システム
11 通信部
13 演算部
【要約】
【課題】仮設住宅団地の設計に要する時間の短縮を図ることができる仮設住宅団地設計システムを提供する。
【解決手段】仮設住宅団地の設計のための仮設住宅団地設計システム1であって、仮設住宅団地の敷地及びその周辺の点群データを取得する(
図3のステップS1)点群データ取得部(通信部11、演算部13)と、取得された前記点群データを少なくとも敷地内の点群と敷地外の点群とに分離し、前記敷地内の点群を複数のクラスタにグループ分けし、前記クラスタに基づいて前記敷地内の点群を少なくとも敷地面の点群と敷地面以外の点群とに分離する(
図3のステップS2)点群データ分離部(演算部13)と、前記敷地面の点群を用いて敷地面の仮想モデルを作成する(
図3のステップS3)モデリング部(演算部13)と、を具備するものである。
【選択図】
図3