IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図1
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図2
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図3
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図4
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図5
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図6
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図7
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図8
  • 特許-液体アッセイの複数検体の同時測定 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】液体アッセイの複数検体の同時測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20230731BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N21/27 Z
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089817
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2019531933の分割
【原出願日】2017-12-12
(65)【公開番号】P2022111188
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】62/435,353
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブリュネル,ジャック
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/531004(WO,A1)
【文献】特表2014-521095(JP,A)
【文献】特開2005-253478(JP,A)
【文献】特開2010-243373(JP,A)
【文献】国際公開第2009/057293(WO,A1)
【文献】特表2015-515005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~37/00
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノタイプ反応を受けるように構成された液体試験サンプルと複数の試薬との混合物を収容するテストカートリッジを受け入れるように寸法決めされ、構成された、カートリッジホルダを有するテストカートリッジ空間を囲むハウジング
前記テストカートリッジ空間を通過する第1の光ビームを生成し、前記第1の光ビームは、第1の波長範囲を有する、第1の光源と、
前記テストカートリッジ空間を通過する第2の光ビームを生成し、前記第2の光ビームは、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を有する、第2の光源と、
前記テストカートリッジ空間を通過する第3の光ビームを生成し、前記第3の光ビームは、前記第1および第2の波長範囲とは異なる第3の波長範囲を有する、第3の光源と、
第1の信号、第2の信号、および第3の信号を生成するために前記テストカートリッジ空間を通過する前記第1の光ビーム前記第2の光ビーム、および前記第3の光ビームに続く前記第1の光ビーム前記第2の光ビーム、および前記第3の光ビームのうちの1つまたは複数を受け取るように配置された少なくとも1つのサンプル検出器と、
前記第1の光源前記第2の光源、および前記第3の光源から第1の瞬間、第2の瞬間、および第3の瞬間に前記サンプル検出器によって捕捉された光を示す前記第1の信号前記第2の信号、および前記第3の信号を受信し、かつ、較正データと共に前記第1の信号前記第2の信号、および前記第3の信号を使用して、前記液体試験サンプルと複数の試薬との混合物内の少なくとも2つの対象検体の量を同時に決定するように構成されたプロセッサ、を有するコンピュータシステムと、
を備える分析器であって、
前記第1の光ビーム、前記第2の光ビーム、および前記第3の光ビームは、同様に通過し、
前記第1の信号、前記第2の信号、および前記第3の信号は、吸収読取り値(A)であり、前記較正データ(E)を用いて、マトリックス方程式としてBeer-Lambert方程式(A=C*E)を設定することにより、少なくとも2つの対象検体の濃度(C)を一度に解き、かつ、
前記少なくとも2つの対象検体は、ヘモグロビン(Hb)、グリコヘモグロビン(HbA1c)、ミクロアルブミン、クレアチニン、および脂質ベースの検体のうちの少なくとも2つを含む、患者の健康を示す検体であり
前記分析器は、前記液体試験サンプルおよび前記複数の試薬を混合させ、前記読取り値(A)を得るために 、前記カートリッジホルダおよび前記テストカートリッジを選択的に回転するように構成された、
分析器。
【請求項2】
前記分析器は、
前記テストカートリッジ内の凝集剤およびラテックスをプレウェットさせ、
前記テストカートリッジ内の前記液体試験サンプルおよび前記複数の試薬を混合させ、
前記テストカートリッジ内の前記凝集剤および前記ラテックスを混合させ、かつ、
前記読取り値(A)を得るために、
前記カートリッジホルダおよび前記テストカートリッジを選択的に回転するように構成された、
請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記第1の波長範囲は、580nm~660nmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項4】
前記第2の波長範囲が660nm~70nmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項5】
前記第2の波長範囲が700nm~740nmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項6】
前記第3の波長範囲は、480nm~580nmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項7】
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源は、前記第1の光ビーム前記第2の光ビーム、および前記第3の光ビームを生成し、出力する能力を有する単一の光源である、請求項1~のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項8】
前記単一光源は、混合波長光を生成し、前記混合波長光を受け取り、前記混合波長光を前記第1の波長範囲前記第2の波長範囲、および前記第3の波長範囲に分離するように構成された分離器をさらに含む、請求項に記載の分析器。
【請求項9】
前記第1の光源と、前記第2の光源と、前記第3の光源とは別個である、請求項1~のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項10】
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源は、単一の光源である、請求項1~のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項11】
前記分析器は、血液中の全ヘモグロビン(tHb)の百分率としてグリセートヘモグロビン(HbA1c)を測定するための試薬カートリッジと協働するように構成された、請求項1~10のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項12】
前記脂質ベースの検体は、コレステロール、トリグリセリドおよび高密度リポプロテインのうちの少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の分析器を用いて行われる方法であって、
少なくとも3つの別々の独立した波長範囲を有する光の複数のビームを使用し、液体アッセイ内の第1の検体の吸収曲線内で別々の瞬間に取得された少なくとも2つの吸収読取り値を用いて、少なくとも1つの光検出器によって、イムノタイプの反応を受ける液体試験サンプルと複数の試薬とを有する液体アッセイの複数の吸収読取り値を得て、
少なくとも1つのプロセッサおよび前記液体アッセイの較正データを使用して、複数の連立方程式で1の検体および2の検体の量を解くアルゴリズム及び複数の前記吸収読取り値を使用して前記液体アッセイ内の前記第1の検体および前記第2の検体の量を決定する、
ことを含む方法。
【請求項14】
前記液体アッセイの前記複数の吸収読取り値を得る前に、前記液体アッセイ内の前記複数の試薬を前記液体試験サンプルと混合するために前記液体アッセイを移動させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の検体がヘモグロビンである、請求項1314のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の検体がグリコヘモグロビン(HbA1c)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の光源は、2つの別々の独立した波長範囲を生成し、出力する能力を有する単一の光源である、請求項1316のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の光源が別々である、請求項1316のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか1項に記載の分析器を用いて行われる方法であって、
少なくとも1つの光源によって生成された光ビームが液体アッセイを含むテストカートリッジを受け入れるように寸法決めされ、容積にされたテストカートリッジ空間内を通過するように、光源空間内に少なくとも3つの別個の独立した波長範囲を生成するように構成された少なくとも1つの光源を取り付け、
前記光ビームが前記テストカートリッジ空間内を通過した後、少なくとも一部の前記光ビームを受け取るように少なくとも1つのサンプル光検出器が構成されるように、少なくとも1つのサンプル光検出器をンプル検出器空間に取り付け、
別々の瞬間に取得されたそれぞれの吸収読取り値を用いて、前記サンプル光検出器による、複数の試薬を有する前記液体アッセイのイムノタイプ反応中に、メインプロセッサによって実行されると、前記メインプロセッサが別々の独立した波長範囲で少なくとも3つの吸収読取り値を取得するようにするコンピュータ実行可能ロジックを有する前記メインプロセッサに、前記少なくとも1つの光源および前記少なくとも1つのサンプル光検出器を結合し、前記液体アッセイの較正データ、前記複数の吸収読取り値、および複数の連立方程式で少なくとも2つの検体の量を解決するアルゴリズムを使用して、前記液体アッセイ内の少なくとも2つの検体の量を決定する
ことを含む方法。
【請求項20】
前記メインプロセッサによって実行されると、前記液体アッセイの複数の吸収読取り値を取得する前に、前記液体アッセイ内の複数の試薬を液体試験サンプルと混合させるように前記液体アッセイを移動させるコンピュータ実行可能ロジックを前記メインプロセッサが有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の光源は、3つの別々の独立した波長範囲を生成し、出力する能力を有する単一の光源である、請求項19または20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の光源が別個である、請求項19または20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年12月16日に出願された米国仮出願第62/435,353号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも2つの別個の独立した波長範囲を使用して液体アッセイを監視および/または読み取る分析器に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の診断および治療に関連する様々なタイプの分析試験は、患者の伝染、体液、または断層から採取された液体サンプルの分析によって実施することができる。そのような装置は、ヘモグロビン、グリコヘモグロビン(HbA1c)、ミクロアルブミンおよびクレアチニン、ならびにコレステロール、トリグリセリド、および/または高密度リポプロテインなどの脂質ベースの検体を含むがこれらに限定されない、患者の健康を示す特定の検体の存在および量を検出する診断アッセイにおいて有効であることが証明されている。これらのアッセイは、典型的には、患者サンプルを含む管またはバイアルが装填された自動臨床分析器を用いて行われる。分析バイアル容器から液体サンプルを抽出し、特別な反応キュベット又はチューブ(管)内でそのサンプルを種々の試薬と結合させる。液体サンプルを分析するために、ポイント・オブ・ケア分析器も使用される。ポイント・オブ・ケア分析器は、典型的には、医師のオフィスに配置され、医師及び/又は医師のスタッフが液体サンプルを即座に得て分析することを可能にする。ポイント・オブ・ケア分析器では、液体サンプルは、通常、ポイント・オブ・ケア分析器内に配置されたカートリッジ内に手動で装填され、次いで分析される。
【0004】
自動臨床分析器に関して、通常、試料‐試薬溶液は、分析される前に、インキュベートされるか、または他の方法で処理される。
【0005】
自動臨床分析器およびポイント・オブ・ケア分析器では、分析測定は、しばしば、濁度測定、蛍光測定、吸収読取値などを生成するために、試料‐試薬の組合せと相互作用する問い合わせ放射線のビームを使用して行われる。読取り値は、終点値または速度値の判定を可能にし、そこから、患者の健康に関連する検体の量が、周知の較正技術を使用して判定され得る。上述したように、このような光学検査機は、個々の医師、看護師、および他の介護者に強力な医療診断ツールを提供する。
【0006】
ポイント・オブ・ケア位置で使用される分析器は、SiemensHealthcare Diagnosticsによって商品名DCA VANTAGEで販売されている。この分析器は、531nmの単一波長に閉じ込められた光を用いてアッセイを分析した。また、HbとHbA1cを順次検出した。他の分析器は、連続測定において2または3波長を使用し、1つの波長を使用してHbを決定し、第2の波長を使用してHbA1cを決定し(依然として(Hb + HbA1c)からHbを差し引く)、第3の波長(存在する場合)を使用して干渉物質(例えば、脂質、ビリルビン)の補正を適用した。この分析器において、第1および第2の波長は、Hbに起因するアッセイにおける第2の波長での吸収がゼロであるように選択された。
【0007】
しかし、サンプルから複数の検体を読み取る時間を改善することができることが分かっている。本開示が向けられるのは、短縮された時間量で、関心のある複数の検体を読み取るような改善された分析器である。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態では、分析器が記載される。これらの実施形態では、分析器は、ハウジング、第1の光源、第2の光源、第3の光源、試料検出器、およびコンピューターシステムを備える。ハウジングは、テストカートリッジ空間を取り囲み、この空間は、液体試験試料‐試薬混合物を収容するテストカートリッジを受容するように構成され、この液体試験試料‐試薬混合物は、イムノタイプ反応を受けるように構成される。第1の光源は、テストカートリッジ空間を通過する第1の光ビームを生成し、第1の光ビームは、第1の波長範囲を有する。第2の光源は、テストカートリッジ空間を通過する第2の光ビームを生成し、第2の光ビームは、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲を有する。第3の光源は、テストカートリッジ空間を通過する第3の光ビームを生成する。第3の光ビームは、第1および第2の波長範囲とは異なる第3の波長範囲である。少なくとも1つの試料検出器は、テストカートリッジ空間を通過する第1、第2、および第3の光ビームに続く第1、第2、および第3の光ビームのうちの1つまたは複数を受け取って、第1、第2、および第3の信号を生成するように配置される。コンピュータシステムは、第1、第2、および第3の瞬間に試料検出器によって捕捉された光を示す第1、第2、および第3の信号を受信し、第1、第2、および第3の信号を較正データと共に使用して、液体試験試料‐試薬混合物内の少なくとも2つの対象検体の量を同時に決定するように構成されたプロセッサを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの別々の独立した波長範囲を有する光の複数のビームを使用し、液体アッセイ内の第1の検体の吸収曲線内で別々の瞬間に取得された少なくとも2つの吸収読取り値を用いて、少なくとも1つの光検出器によって、イムノタイプ反応を受ける液体アッセイの複数の吸収読取値が取得される。少なくとも1つのプロセッサ、複数の連立方程式で前記第1の検体および前記第2の検体の量を解くアルゴリズム、及び液体アッセイ内の較正情報を使用して、複数の吸収読取り値を使用して、液体アッセイ内の第1の検体および第2の検体の量が決定される。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源によって生成された光ビームが液体アッセイを含むテストカートリッジを受け入れるようなサイズ及び容積にされたテストカートリッジ空間内を通過するように、光源空間内に少なくとも3つの別個の独立した波長範囲を生成するように構成された少なくとも1つの光源が取り付けられる。前記光ビームが前記テストカートリッジ空間内を通過した後、少なくとも一部の前記光ビームを受け取るように少なくとも1つのサンプル光検出器が構成されるように、少なくとも1つのサンプル光検出器が前記サンプル検出器空間に取り付けられる。これらの実施形態では、別々の瞬間に取得されたそれぞれの吸収読取り値を用いて、前記サンプル光検出器による前記液体アッセイの免疫型反応中に、メインプロセッサによって実行されると、前記メインプロセッサが別々の独立した波長範囲で少なくとも3つの吸収読取り値を取得するようにするコンピュータ実行可能ロジックを有する前記メインプロセッサに、前記少なくとも1つの光源および前記少なくとも1つのサンプル光検出器を結合させて、液体アッセイの較正情報、複数の吸収読取り値、および複数の連立方程式で少なくとも2つの検体の量を解決するアルゴリズムを使用して、液体アッセイ内の少なくとも2つの検体の量を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示およびその付随する利点の多くのより完全な理解は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって容易に理解されるであろう。
【0012】
図1】試料内の1つ以上の対象検体の量をより正確に測定するための、本開示に従って構築された例示的なポイント・オブ・ケア分析器の斜視図である。
【0013】
図2図1に示したポイント・オブ・ケア分析器と共に使用するための例示的なテストカートリッジの側面図である。
【0014】
図3図1の分析器の一実施形態のブロック図である。
【0015】
図4図1および図3の分析器の例示的な測定システムのブロック図である。
【0016】
図5図1に示す分析器内に図2のテストカートリッジを保持し支持するための例示的なカートリッジホルダの上面図である。
【0017】
図6】分析器の測定システムのバージョンの部分断面図であり、分析器内の光源、カートリッジホルダ、テストカートリッジ、および光検出器の例示的な位置を示す。
【0018】
図7】サンプル内のヘモグロビンの存在を検出するように設計された検体‐ヘモグロビン試薬混合物の吸光度曲線を示すグラフである。
【0019】
図8】サンプル内のヘモグロビンA1cの存在を検出するように設計されたサンプル‐ヘモグロビンA1c試薬混合物の吸光度曲線を示すグラフである。
【0020】
図9】本開示の発明概念に従った、関心のある複数の検体の存在についての、イムノタイプ反応を受けている液体試験サンプルを分析する例示的なシーケンスを示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な図面および実験手順によって本発明の概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の概念は、以下の説明に記載される、または図面に示される構成要素の構造および配置の詳細への適用に限定されないことを理解されたい。本発明の概念は、他の実施形態、または様々な方法で実施または実行することができる。したがって、本明細書で使用される言葉は、可能な限り広い範囲および意味が与えられることが意図されており、実施形態は、例示的であり、網羅的ではないことが意図されている。また、本明細書で使用される用語および用語は、説明の目的のためのものであり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0022】
ここで特に定義されない限り、ここで開示され請求される発明概念に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって特に必要とされない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。前述の技術および手順は、一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、そして本明細書全体にわたって引用され、議論される種々の一般的およびより具体的な参照に記載されるように実施される。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医薬および医薬化学に関連して利用される用語、ならびに実験手順および技法は、当技術分野で周知であり、一般に使用される用語である。
【0023】
本明細書に記載されたすべての特許、公開された特許出願、および非特許公開は、本発明の概念が関連する当業者の技術水準を示している。本出願の任意の部分で参照されるすべての特許、公開された特許出願、および非特許公開は、それぞれの個々の特許または公開が、参照によって組み込まれるように明確にかつ個別に示されたかのように、その全体が、参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
【0024】
本明細書に開示され、特許請求される装置、キット、および/または方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験なしに作成および実行することができる。現在開示され、特許請求されている本発明の概念の装置および方法は、好ましい実施形態に関して説明されているが、現在開示され、特許請求されている本発明の概念の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている方法の組成物および/または方法、ステップ、またはステップのシーケンスに変形形態を適用することができることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の代替物および変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の精神、範囲および概念の範囲内にあると考えられる。
【0025】
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0026】
特許請求項の範囲および/または本明細書において、用語「含む」と共に使用される場合の、語句「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたはそれ以上」の意味と一致する。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「プロセッサ」という言及は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、またはそれ以上の数のプロセッサを指すことができる。「複数」という用語は、「2つ以上」を指す。特許請求の範囲における用語「または」の使用は、明示的に示されなければ代替物のみをいうように「および/または」を意味するように用いられ、あるいは該代替物は相互に排他的であるが、開示は代替物のみおよび「および/または」をいう定義を支持する。本出願を通して、用語「約」は、ある値が、装置に固有の誤差の変動、値を決定するために使用される方法、または研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、限定ではなく、「約」という用語が利用される場合、指定された値は、開示された方法を実行するために適切であり、当業者によって理解されるように、指定された値から±20%または±10%、または±5%、または±1%、または±0.1%だけ変動し得る。用語「少なくとも1つ」の使用は、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むが、これらに限定されない、1を超える任意の量と同様に1を含むと理解される。用語「少なくとも1つ」は、それが取り付けられる用語に依存して、100または1000以上まで延在してもよく、加えて、100/1000の量は、より高い限界も満足のいく結果をもたらし得るので、限定的であると考えられるべきではない。さらに、「X、Y、Zのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、YおよびZの任意の組合せを含むと理解され、シーケンス番号の用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など)の使用は、2つ以上の項目間の区別を目的とするものであって、例えば、他の項目または追加の任意のシーケンスに対して1つの項目に対するシーケンスまたはシーケンスまたは重要性を意味するものではない。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、用語「備える」(ならびに「備える」および「備える」などの任意の形態を備える)、「有する」(ならびに「有する」および「有する」などの任意の形態を有する)、「含む」(ならびに「含む」および「含む」などの任意の形態を含む)または「含む」(ならびに「含む」および「含む」などの任意の形態を含む)は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、認識されていない要素または方法ステップを排除しない。
【0028】
本明細書で使用される「またはその組合せ」という用語は、その用語に先行する列挙された項目のすべての順列および組合せを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACBこの例を続けると、明確に含まれるのは、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCC、CBBAAAA、CABABBなどの1つまたは複数の項目または用語の反復を含む組合せである。当業者は、文脈から特に明白でない限り、典型的には、任意の組合せにおける項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0029】
本明細書で使用される用語「実質的に」は、後で説明する事象または状況が完全に発生すること、または後で説明する事象または状況がかなりの範囲まで発生することを意味する。例えば、用語「実質的に」は、後で説明する事象または状況が、少なくとも90%の時間、または少なくとも95%の時間、または少なくとも98%の時間に発生することを意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「関連する」という語句は、2つの部分の互いに対する直接的な関連付け、ならびに2つの部分の互いに対する間接的な関連付けの両方を含む。会合の非限定的な例には、直接結合によるかまたはスペーサー基を介するかのいずれかによる、1つの部分の別の部分への共有結合、1つの部分の別の部分への非共有結合、直接またはその部分に結合した特異的結合対メンバーによるかのいずれか、1つの部分の別の部分への組み込み(例えば、1つの部分を別の部分に溶解することによって、または合成によって)、および1つの部分を別の部分上にコーティングすることによる)が含まれる。
【0031】
本明細書で使用される「液体試験サンプル」という用語は、本明細書で開示され、特許請求される発明概念に従って利用され得る任意のタイプの生物流体サンプルを含むものと理解されるであろう。利用され得る生物学的サンプルの例としては、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、サリバ、スパッタ、脳スピン流体(CSF)、血管内流体、腹腔内流体、シスチック流体、スウェット、間質流体、亀裂、粘液、便器、ブラダーウォッシュ、セメン、組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ここに開示され請求された発明概念に従って利用される液体試験サンプルの体積は、約1~約100マイクロリットルである。本明細書で使用されるように、用語「体積」は、本明細書で開示され、特許請求される発明概念に従って利用される液体試験サンプルに関連するとき、約0.1マイクロリットル~約90マイクロリットル、または約1マイクロリットル~約75マイクロリットル、または約2マイクロリットル~約60マイクロリットル、または約50マイクロリットル以下を意味する。
【0032】
用語「患者」は、人間およびベタリアの被験者を含む。特定の実施形態において、患者は、動物である。特定の他の実施形態では、患者は人間である。治療の目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、家畜および農場動物、非ヒト霊長類、ならびに動物園、スポーツ、またはペット動物(例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)を含む、哺乳動物として分類される任意の動物をいう。
【0033】
用語「光」は、電磁スペクトルの可視部分内の波長および電磁スペクトルの可視部分外の波長を含む、電磁スペクトル内の波長を有する電磁放射を指す。
【0034】
次に、特定の実施形態に目を向けると、本発明の概念は、液体アッセイ、すなわち、免疫型反応を受ける液体テストサンプル-試薬混合物を読み取るための装置、キット、および方法に関する。より具体的には、ここに開示され、特許請求される発明概念は、少なくとも3つの別個の独立した波長範囲を使用して液体アッセイを監視および/または読み取る分析器に関する。
【0035】
ここで図1を参照すると、ここに示され、参照番号10で示されているのは、本発明の概念に従って構成された分析器の一実施形態である。いくつかの実施形態では、分析器10は、対象となる2つ以上の検体について液体試験サンプルを分析するために使用することができる、使い捨て試薬テストカートリッジ12(そのうちの2つを例として図1に示し、以下「テストカートリッジ」と呼ぶ)を用いて測定を行うように設計されたコンピュータ制御分光光度計である。分析器10はまた、テストカートリッジ12内の液体試験サンプルが分析されている間、1つ以上のテストカートリッジ12を一時的に受容し、1つ以上のテストカートリッジ12を支持するように設計されたカートリッジホルダ16(図5参照)を備える。いくつかの実施形態では、分析器10は、血液中の全ヘモグロビン(tHb)の百分率としてHbA1cを測定するための試薬カートリッジと協働するように構成される。
【0036】
ヘモグロビンA1cは、ヘモグロビンAoのβ鎖のN末端の非酵素的なグルコースの結合(糖化)によって形成される。ヘモグロビンA1cのレベルは、約2ヶ月間にわたって血液中のグルコースのレベルに比例する。このように、ヘモグロビンA1cは、先行する2カ月間にわたる平均的な1日の血液グルコース濃度の指標として受け入れられる。研究は、ヘモグロビンA1cの定期的な測定によって得られた臨床値が、ヘモグロビンA1c値の低下によって示されるように、ダイアベット処理の変化および代菌制御の改善をもたらすことを示している。血液中のヘモグロビンA1cの濃度パーセントを測定するために、特にヘモグロビンA1cの濃度および総ヘモグロビンの濃度の両方を測定し、その比をヘモグロビンA1cパーセントとして報告する。ヘモグロビンA1c及び全ヘモグロビンの濃度を測定するための試薬及び材料の全ては、テストカートリッジ12の1つの中に収容することができる。
【0037】
分析器10は、ハウジング20内のテストカートリッジ空間24(図6参照)へのアクセスを提供するために開放可能であり、外部光を遮断し、テストカートリッジ空間24内の望ましくない光干渉を防止するために閉鎖可能である光学ドア22を有するハウジング20を備える。一実施形態では、テストカートリッジ空間24は、カートリッジホルダ16によって支持されたテストカートリッジ12のうちの1つを受容するようなサイズおよび容積にされている。
【0038】
分析器10には、テストカートリッジ12上の識別コードを走査するように構成された1つ以上のリーダ26を設けることもできる。識別コードは、二次元コード又はバーコードのような様々な方法で実施することができる。図示の例では、分析器10は、ポータブルリーダ28と、固定リーダ30とを備えている。ハウジング20は、テストカートリッジ12の少なくとも一部を受け入れるようなサイズおよび容積にされたスロット32を形成するような形状にすることができる。固定リーダ30は、ハウジング20上又はハウジング内の様々な位置に配置することができる。例えば、固定リーダ30は、テストカートリッジ12がスロット32を通過するときにテストカートリッジ12上の識別コードを読み取るように、スロット32に隣接して配置することができる。あるいは、固定リーダ30は、光学ドア22に隣接して配置され、テストカートリッジ12がカートリッジホルダ16上に挿入されているときに、テストカートリッジ12上の識別コードを読み取ることができる。
【0039】
液体試験サンプルを分析することができる前に、テストカートリッジ12上の識別コードを走査することができる。識別コードは、ロット番号および試験名を示すことができる。識別コードから得られた情報は、使用中の試薬テストカートリッジの特定のロット番号についての適切な較正パラメータ値(較正曲線)にアクセスするために使用され得る。使用中のテストカートリッジ12の特定のロット番号について、較正曲線が分析器10によって記憶されていないか、またはアクセス可能でない場合、分析器10は適切な較正曲線を含む検量カードを走査するようにユーザに促すことができる。いくつかの実施形態では、適切な較正パラメータ値を、識別コードに符号化し、識別コードがポータブルリーダ28および/または固定リーダ30によって走査されるときに読み取ることができる。
【0040】
分析器10は、ユーザが分析器10と対話し、分析器10から情報を制御し、受信することを可能にするユーザインタフェース34を備えることもできる。例えば、液体試験サンプル‐試薬混合物内の少なくとも2つの関心のある分析物の量が決定されると、そのような量は、ユーザインタフェース34を使用してユーザに報告することができ、次いで、ヘルスケア専門家は、ユーザに報告された量に従って、手順または他のヘルスケアを患者に提供することができる。ユーザインタフェース34は、グラフィカルディスプレイ36、スピーカ38、タッチスクリーン40、プリンタ42、及びこれらの組み合わせのような様々な方法で実施することができる。
【0041】
図2には、例示的なテストカートリッジ12が示されている。適切なテストカートリッジ12は、市販されており、当業者に知られている。一般に、各テストカートリッジ12は、例えば、少なくとも2つの試薬、バッファ溶液、アグレチネータ、ラテックス、酸化剤、タブ52、少なくとも1つの混合/反応チャンバ、および流体回路の構成要素を互いに接続する少なくとも1つの流体経路、を含む流体回路(図示せず)を画定するハウジング50を含む。凝集剤(例えば、HbA1cの感光性部分の複数のコピーを含む合成ポリマー)は、HbA1c特定マウスモノクローナル(Mouse Monolonal)の産物で被覆されたラテックスの凝集を引き起こす。この凝集反応は、光の散乱の増加を引き起こし、これは、吸収の増加として測定される。緩衝液は、液体試験サンプル測定中に化学反応が起こる、透明で無色の水性マトリックスであってもよい。タブ52は、ハウジング50内の緩衝液を流体経路から隔離する。使用時には、オペレータは液体試験サンプルをテストカートリッジ12に導入する。次に、オペレータは、測定を開始する前に、テストカートリッジ12をカートリッジホルダ16に挿入し、タブ52を引っ張って緩衝液を解放する。測定シーケンスが開始した後、分析器10は、試薬、バッファ、および液体試験サンプルを様々な反応ステップで混合するために、テストカートリッジ12を選択的に回転させることができる。分析器10はまた、光学測定のために、テストカートリッジ12を様々な位置に選択的に回転させることができる。
【0042】
図3には、分析器10のブロック図が示されている。一般に、分析器10は、リーダ26と、ユーザインタフェース34と、ネットワークインタフェース60と、測定システム62と、電源64と、ファン66と、リーダ26、ユーザインタフェース34、ネットワークインタフェース60、測定システム62、およびファン66を、バスなどの任意の適切な通信経路を介して通信するメインプロセッサ68と、メインプロセッサ68に本明細書に記載の機能を実行させるための命令を格納するプロセッサ可読メモリ69と、を含む。固定リーダ30が光学ドア22および/またはカートリッジホルダ16から離れているとき、テストカートリッジ12上の識別コードが走査されると、テストカートリッジ12はテストカートリッジ空間24内に配置され、光学ドア22は閉じられ、ユーザインタフェース34は、測定システム62を作動させてテストカートリッジ12内の液体テストサンプルの測定を行うために利用される。固定リーダ30がカートリッジホルダ16に隣接して配置されると、テストカートリッジ12がカートリッジホルダ16のテストカートリッジ空間24内に配置されたときに、テストカートリッジ12上の識別コードが走査される。
【0043】
ネットワークインタフェース60は、イーサネット(登録商標)ネットワークなどの任意の適切なタイプのネットワークと通信するように設計することができ、無線インタフェースまたは有線インタフェースとすることができる。ネットワークインタフェース60は、RAPIDCOMMデータ管理システムなどのデータマネージャへの接続性を単純化するように構成されたPOCT1‐A2通信プロトコルなどの任意の適切なプロトコルを使用して、所定のデータマネージャなどの1つまたは複数の所定の外部サーバまたはコンピュータと通信するように構成することができる。メインプロセッサ68は、ネットワークインタフェース60を介してLIS/HISまたは他のデータマネージャに試験結果を自動的にアップロードするようにプログラムすることができる。さらに、プロセッサ可読メモリ69は、4000までの試験結果および1000人のオペレータ名などの履歴試験結果を記憶するのに十分なオンボードメモリを含むことができる。
【0044】
電源64は、分析器10内の様々な構成要素に適切な電力を調整し、供給することができる任意の適切なタイプの電源とすることができる。例えば、電源64は、スイッチング電源および/または電池式または太陽電池式電源とすることができる。ファン66は、ハウジング20内の空気を循環させて、ハウジング20内の様々な構成要素を選択的に冷却する。ハウジング20は、プラスチック、複合材料、金属、または可視スペクトル内の照明に対して不透明であり、試験中の照明学干渉を低減し得る任意の他の適切な材料から形成され得る。
【0045】
リーダ26には、任意の適切な通信経路を介してポータブルリーダ28をメインプロセッサ68にインタフェースするように設計された、シリアルポートまたはUSBポートなどのコードリーダインタフェース70を設けることができる。
【0046】
図4には、本開示に従って構成された測定システム62の例示的な実施形態のブロック図が示されている。一般に、測定システム62は、測定モジュール72と、環境モジュール74とを備える。測定モジュール72は、テストシーケンスを実行し、それによってテストカートリッジ12から複数の読み取りを行うように構成される。環境モジュール74は、安定した予測可能な環境を提供し、それによって、環境パラメータの変化に起因して存在し得る様々なノイズおよび/または不正確さを排除するように、温度、およびテストカートリッジ12を取り囲む周囲光などの様々な環境パラメータを制御するように構成される。図示の例では、環境モジュール74は、周囲温度サーミスタ76と、ヒータドライバ78と、1つまたは複数のプレートサーミスタ80(2つのプレートサーミスタ80aおよび80bが例として図4に示されている)と、1つまたは複数のヒータプレート82(2つのヒータプレート82aおよび82bが例として図4に示されている)とを備える。プレートサーミスタ80aおよび80bは、テストカートリッジ12の温度を測定し、テストカートリッジ12の温度を示す信号を、アナログ・デジタル変換器84およびデータ収集ロジック86を介してメインプロセッサ68に供給するように設計されている。ヒータプレート82aおよび82bは、ヒータドライバ78から電力を受け取り、それによってテストカートリッジ12の温度を調整するためにテストカートリッジ12にエネルギーを供給するように構成される。周囲温度サーミスタ76は、テストカートリッジ12の周囲の周囲温度を測定し、周囲温度を示す信号を、アナログ‐デジタル変換器84およびデータ収集ロジック86を介してメインプロセッサ68に供給する。メインプロセッサ68は、周囲温度サーミスタ76およびプレートサーミスタ80aおよび80bによって供給される情報を受信し、このような情報を使用して、ヒータドライバ78に制御信号を供給することによって、テストカートリッジ12の温度を調節する。
【0047】
図示の例では、カートリッジホルダ16は、テストカートリッジ12と接触する2つのヒータプレート82aおよび82b(ヒータ要素)を有する。各ヒータプレート82aおよび82bは、ヒータプレート82aおよび82bと熱的に接触するプレートサーミスタ80aおよび80bのそれぞれの1つを有し、各ヒータプレート82aおよび82bへの電圧は、独立して制御され得る。比例‐積分‐微分(PID)アルゴリズムを使用して、ヒータプレート82aおよび82bの温度を制御することができる。この例では、テストカートリッジ12内に温度センサは存在しない。したがって、この例では、これは、ヒータプレート82aおよび82bの温度に関する閉ループシステムであるが、テストカートリッジ12内の液体テストサンプルの温度に関する開ループシステムである。各プレートサーミスタ80aまたは80bによって測定される温度は、当業者に知られている式およびアルゴリズムを使用して計算することができる。
【0048】
環境モジュール74はまた、光学ドア22が開位置にあるか閉位置にあるかを決定するために、光学ドア検出器88、例えばスイッチを備えることができる。理想的には、光学ドア22は、光学的に不透明な材料で構成され、テストカートリッジ空間24内の望ましくない光を排除するために、閉じられたときにハウジング20で封止される。光学ドア22が開いているときにテストシーケンスが実行される場合、テストシーケンスから生じるテスト結果は廃棄されてもよい。
【0049】
測定モジュール72には、複数の光源90(または、以下で説明するように、複数の異なる波長範囲、または複数の混合波長範囲(例えば、白色光)で光を出力する能力を有する単一の光源)、1つ以上のサンプル光検出器92、1つまたは複数の基準光検出器94、光ドライバ96、原動力源98、位置センサ100、位置検出ロジック102、パワードライバ104および原動力ロジック106が提供される。光源90が複数の混合波長範囲を含む光を生成する場合、光源90はまた、混合波長範囲を別個の波長範囲に分離し、別個の波長範囲を、例えば、ライトバルブシステム(図示せず)を使用する、1つ以上のサンプル光検出器92、1つ以上の基準光検出器94、に提供する、プリズムまたは格子などのセパレータを含んでもよい。単一の光源90が使用される場合、サンプル光検出器92は、(a)所定の波長範囲内の光の波長に依存しない単一の光検出器、または(b)複数の波長選択性光検出器として実装することができる。
【0050】
測定モジュールは、例として、複数の光源90、単一の基準光検出器94、および単一のサンプル光検出器92を有するものとして以下に説明される。複数の光源90は、テストカートリッジ空間24に隣接して配置され、テストカートリッジ12を選択的に照明し、少なくとも3つの別個の波長帯域の光でテストカートリッジ12から透過率読取り値を取得する。光源90から放出された光は、テストカートリッジ12の光学窓124を通過するサンプルビーム108と、テストカートリッジ12を避ける基準ビーム110とに分割される。サンプルビーム108の光は、サンプル光検出器92によって受け取られ、サンプルビーム108の光の透過率を示すサンプル信号に変換される。基準ビーム110の光は、基準光検出器94によって受光され、テストカートリッジ12の外側の光の透過率を示す基準信号に変換される。電力は、光ドライバ96を介して複数の光源90に供給され、任意の特定の時点での放射のために選択された複数の光源90のうちの特定の1つは、制御信号を光ドライバ96に提供するメインプロセッサ68によって制御され得る。
【0051】
原動力源98は、原動力ロジック106およびパワードライバ104を介してメインプロセッサ68によって制御され得る。一実施形態では、原動力源98は、ステッピングモータとすることができ、この場合、原動力ロジック106は、ステッピングモータドライバロジックとすることができ、パワードライバ104は、ステッピングモータドライバ回路とすることができる。メインプロセッサ68は、位置センサ100と通信する位置検出ロジック102を介してテストカートリッジ12の位置を監視し、制御する。位置センサ100は、テストカートリッジ12のリアルタイム位置を直接または間接的に検出し、テストカートリッジ12のリアルタイム位置を示す信号を生成する。テストカートリッジ12のリアルタイム位置を示す信号は、信号を解釈して制御情報を生成し、次いで制御情報をメインプロセッサ68に渡す位置検出ロジック102に供給される。
【0052】
例示的なカートリッジホルダ16の上面図が図5に示されており、カートリッジホルダ16は、テストカートリッジ12を読み取ることを可能にしながら、テストカートリッジ12と嵌合し、これを支持するように設計されている。この例では、カートリッジホルダ16は、カートリッジホルダ16の現在位置に関する情報を位置センサ100に提供するために、ポスト112およびスロット114のパターンを有する支持部材111を備える。ポスト112およびスロット114のパターンは、原動力源98に面する支持部材111の表面116に成形され、そこから延在することができる。カートリッジホルダ16が回転すると、ポスト112およびスロット114は、位置センサ100から放射された光を、交互に遮断し、通過させる。カートリッジホルダ16が回転するにつれて、いくつかの回転角度は、ブロックされた状態からクリアな状態への遷移およびクリアな状態からブロックされた状態への遷移をカウントすることによって決定することができる。これにより、メインプロセッサ68は、カートリッジホルダ16を正確に位置決めするように原動力源98をどのように制御するかを理解することができる。カートリッジホルダ16の支持部材111には、ホーム空気読取り開口118、基準空気読取り開口120、サンプル読取り開口122が設けられている。ホーム空気読取り開口118、基準空気読取り開口120、およびサンプル読取り開口122は、以下に説明するように、サンプルビーム108および基準ビーム110を選択的に通過または遮断するように、様々な形状およびサイズで設計することができる。カートリッジホルダ16がホーム/空気読取り位置(例えば、モータステップ+8)に回転されると、サンプルビーム108はホーム空気読取りアパーチャ118の上部の円形部分を通過し、基準ビーム110はホーム空気読取り開口118の下部の細長い部分を通過する。サンプル読み取り位置(例えば、モータステップ+25)では、サンプルビーム108は、サンプル読取り開口122を通過し、光学窓124(図2に示すように、テストカートリッジ12の下隅に位置する)を通過する。基準ビーム110は、基準空気読取り開口120を通過し、テストカートリッジ12の下を通過する。暗読取り位置では、サンプルビーム108と基準ビーム110の両方が開口118、120、122の間に位置し、カートリッジホルダ16の支持部材111によってブロックされる。
【0053】
図6には、光源90、サンプル光検出器92、基準光検出器94、テストカートリッジ12、およびカートリッジホルダ16を含む分析器10の測定システム62の一部の断面図が示されている。測定システム62は、光源空間132、テストカートリッジ空間24、およびサンプル検出器空間134を画定する支持体130を含む。テストカートリッジ空間24は、光源空間132とサンプル検出器空間134との間に配置される。支持体130は、光源空間132、テストカートリッジ空間24、およびサンプル検出器空間134が連通することを可能にするように構成され、その結果、光源空間132内で生成された光は、テストカートリッジ空間24を通過し、サンプル検出器空間134内に受容され得る。
【0054】
測定システム62には、光源空間132とテストカートリッジ空間24との間に配置されたレンズおよび開口ホルダ136が設けられている。図示の例では、3つの光源90a、90b、および90cが光源空間132内に配置され、光源90a、90b、および90cによって生成された光がレンズおよび開口ホルダ136を通ってテストカートリッジ空間24に向けられるように配置される。レンズ及び開口ホルダ136は、第1の端部138及び第2の端部140を有する。第1の端部138は、開口(図示せず)が配置された壁142に接続されている。第2の端部140は、開口を通過する光をコリメートするように設計されたレンズ144を支持する。支持体130は、サンプル開口146と、テストカートリッジ空間24に接する基準開口148とを含む。光源90a、90b、90cの少なくとも1つによって光が生成されているとき、そのような光は壁142内の開口を通過し、レンズ144によって平行にされ、サンプル開口146および基準開口148を通過する。サンプル開口146を通過する照明はサンプルビーム108を形成し、基準開口148を通過する照明は基準ビーム110を形成する。
【0055】
サンプル光検出器92および基準光検出器94は、サンプル検出器空間134内に配置される。サンプル光検出器92は、サンプルビーム108を受け取るように配置され、基準光検出器94は、基準ビーム110を受け取るように配置される。一実施形態では、コリメート管150および152は、サンプル検出器空間134内で、テストカートリッジ空間24に隣接して配置される。コリメート管150は、サンプル光検出器92とテストカートリッジ空間24との間に配置され、テストカートリッジ空間24から光を受け取り、そのような光を平行フォーマットでサンプル光検出器92に伝達するように機能する。同様に、コリメート管152は、基準光検出器94とテストカートリッジ空間24との間に配置され、テストカートリッジ空間24から光を受け取り、そのような光を平行フォーマットで基準光検出器94に伝送するように機能する。上述したように、特定の位置では、カートリッジホルダ16およびテストカートリッジ12は、光源空間132からサンプル検出器空間134へ光を通過させるように配置され、他の位置では、カートリッジホルダ16およびテストカートリッジ12は、光源空間132からサンプル検出器空間134へ光が通過するのを阻止するように配置される。
【0056】
本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、光源90a、90b、および90cによって放出される光は、例えば、サンプル光検出器92および/または基準光検出器94によって検出される前に、処理され、調整され、フィルタリングされ、拡散され、偏光され、または他の方法で調整され得る。一実施形態では、サンプル光検出器92および/または基準光検出器94は、フォトダイオードである。
【0057】
さらに、本明細書に開示される本発明の概念のいくつかの実施形態では、光源90a、90b、および90cは、支持体130に(例えば、継手、継ぎ目、ボルト、ブラケット、締結具、溶接、またはそれらの組合せを介して)接続されることによって、または分析器10の任意の他の所望の構成要素によってなど、任意の所望の方法で光源空間132内に支持され得る。
【0058】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される本発明の概念のいくつかの実施形態では、4つ、5つ、または6つの光源90など、3つより多い光源90a、90b、および90cを実装することができる。
【0059】
図7は、反応を受け、液体試験サンプル内のヘモグロビンの存在を検出するように設計された液体試験サンプル‐ヘモグロビン試薬混合物の吸収曲線を示すグラフである。図7に示すように、液体試験サンプル‐ヘモグロビン混合物を通過する光の波長が500nmから700nmに増加するにつれて、光の吸収は減少し、約700nmで完全に減少する。図8は、液体試験サンプル内の特定のタイプのヘモグロビン、すなわちA1cの存在を検出するように設計された液体試験サンプル‐ヘモグロビンA1c試薬混合物の吸光度曲線のグラフである。図8に示されるように、反応を受ける液体試験サンプル‐ヘモグロビンA1c試薬混合物を通過する光の波長が500nmから750nmに増加するにつれて、光の吸収は減少するが、ゼロを十分に上回ったままである。
【0060】
本開示の発明概念によれば、測定システム62は、複数の光源90a、90b、および90cを含み、各光源90a、90b、および90cは、異なる波長範囲の光を放射する。図7および図8に示す例では、光源90aは480nm~580nmの範囲に閉じ込められた波長の光を放射し、光源90bは580nm~660nmの範囲に閉じ込められた波長の光を放射し、光源90cは660nm~780nmの範囲に閉じ込められた波長の光を放射する。一実施形態では、光源90aは、図7に示すヘモグロビン吸収曲線の第1の局所ピーク160に対応する約531nmの波長に閉じ込められた光を放出し、光源90bは、図7に示すヘモグロビン吸収曲線の第2の局所ピーク162に対応する約630nmの波長に閉じ込められた光を放出し、光源90cは、約720nmの波長に閉じ込められた光を放出する。光源90cによって放出される光は、図7に示されるヘモグロビン吸収曲線の透過率を超えるが、図8に示されるヘモグロビンA1c吸収曲線内にあり、テストカートリッジ12に問い合わせるために使用される場合、液体試験サンプル内のヘモグロビンA1cの量に関する情報を供給する。
【0061】
図9に示すのは、液体試験サンプル内の対象となる複数の検体の存在を決定するための例示的なプロセスを示すタイムシーケンスチャートである。図示の例では、液体試験サンプルは血液であり、対象の第1の検体はヘモグロビンであり、対象の第2の検体はヘモグロビンA1cである。シーケンス記述は、4つの主要な要素、すなわち、動作の時間(例えば、シーケンスの開始に対する秒単位)、動作(例えば、MOVE、READ)、動作を認定するパラメータ(必要な場合)、およびモータステップにおけるテストカートリッジ12の回転位置を含む。
【0062】
「時間」欄は、各動作の目標時間を示す。この列の時間0秒は、オペレータがテストカートリッジ12をカートリッジホルダ16に挿入し、光学ドア22を閉じてテストを開始した後、約5秒(重要ではない)である。カートリッジホルダ16を移動させ、かつ/または液体試験サンプルを1つ以上の所定の試薬と混合するためのモータ移動の目標時間は、移動の開始時に記録されるべきである。READ動作のタイムスタンプは、各READ動作の終了時に記録される。
【0063】
各READ動作は、典型的には、サンプル光検出器92および基準光検出器94からの液体試験サンプルおよび基準A‐Dチャネルの両方の複数の複合読取り値、例えば16の読取り値、をとり、各複合読取り値は、光源90a、90bおよび90cの所定のサブセットからの複数の個々のサブ読取り値から構成され、例えば、所定のサブセット内の光源90a、90bおよび90cは、別々の別個の瞬間に光を生成することが可能にされる。各複合読取値は、対象の特定の検体についての吸収曲線内から有用な情報を得ることが期待される光源90a、90b、および90cをイネーブルすることから得られる情報を含む。したがって、測定システム62が液体試験サンプル内のヘモグロビンの量を決定しているとき、各複合読取り値は、テストカートリッジ12を通る光源90aからの光の透過率を示す第1の透過率値と、テストカートリッジ12を通る光源90bからの光の透過率の第2の透過率値とを取得し、計算される。測定システム62が液体試験サンプル内のヘモグロビンA1cの量を決定しているとき、各複合読取り値は、光源90aからテストカートリッジ12を通る光の透過率を示す第1の透過率値、光源90bからテストカートリッジ12を通る光の透過率の第2の透過率値、および光源90cからテストカートリッジを通る光の透過率の第3の透過率値を取得し、使用する。ヘモグロビンまたはヘモグロビンA1cを決定するための複合読取り値は、個々のサブ読取り値の組合せであり、ヘモグロビンA1c読取り値のパーセンテージは、複合ヘモグロビンA1c読取り値/複合ヘモグロビン読取り値の比である。個別に(例えば、光源90a、90b、90cのうちの1つが一度に光を放射することを可能にされる)、光源90a、90b、90cと時間の別々のインスタンスにおいて順番に取られたサブ読取り値は、加算、平均化、差分などの任意の適切な数学的技法またはアルゴリズムを使用して、複合読取り値に組み合わせることができる。
【0064】
この例では、すべてのモータの動きが全モータステップで指定されることに留意されたい。モータ位置ステップ0では、カートリッジホルダ16の上面は、分析器10が載置されるベンチの表面に平行であってもよい。正のステップは、原動力源98の反対側からカートリッジホルダ16を見た場合に、時計回り(CW)方向のテストカートリッジ12の回転を示す。分析器10を正面から見ると、正の方向に歩進すると、テストカートリッジ12はオペレータに向かって回転する。
【0065】
位置欄の項目は、運転終了時のモータ位置を示している。1回転当たり200ステップのステッパモータが想定される。この例では、ステップ+8は、ホーム/エア読取り位置(また、テストカートリッジ装填位置)である。テストカートリッジ12が分析器10に装填されると、カートリッジホルダ16はホーム位置の近くにあるが、オペレータがテストカートリッジ12を挿入している間にカートリッジホルダ16をわずかに回転させている可能性があるので、各シーケンスの開始時に正確な位置を確認することができる。ステップ+16は暗読取り位置であり、ステップ+25はサンプル読取り位置である。
【0066】
パーセンテージHbA1cシーケンスのタイミングが理想的なタイミングから目立って逸脱しないことをチェックするために、測定シーケンスの開始からの実際の時間を、連続的に動作するハードウェアクロックに対してチェックすることができる。理想的なシーケンス時間と実際の経過時間との間の差が+/1.00秒を超える場合、分析器10は、液体試験サンプルの読み取りではなく、エラーをポストすることができる。
【0067】
図9に示すのは、HbA1c/ Hb読取り値百分率を決定するための例示的な配列である。しかし、シーケンスは、分析器10による他の種類の読取り値を得るように変更することができることを理解されたい。図9に示すように、シーケンスは、カートリッジホルダ16をREAD位置に移動させ、較正段階161中に光源90a、90b、および90cのそれぞれで個別の読み取りを行うことによって、別個の波長範囲のそれぞれでバッファ溶液の透過率/吸収率の複数の複合読み取りを行うことによって開始することができる。緩衝液の複合読取り値は、シーケンス中に取られた他の読取り値のすべての基準として使用することができる。次に、原動力源98を時計回り方向に作動させてプレウェッティング段階163に送り、1つまたは複数の特定の試薬を液体試験サンプルでプレウェットすることができる。示された例では、Hbに対するHbA1cの相対パーセンテージを決定するために、凝集剤およびAbラテックスとして知られる試薬は、液体試験サンプルで事前湿潤され、次いで、原動力源98は、液体試験サンプル内のHbの存在を決定するために、液体試験サンプルを特定の試薬と混合するために、第1の混合段階164まで反時計回り方向に移動される。次に、原動力源98を作動させて、カートリッジホルダ16およびテストカートリッジ12を第2の混合段階170に移動させ、液体試験サンプルをHbA1c試薬、例えば、ラテックスおよび凝集剤と混合する。上で論じたように、凝集剤(例えば、HbA1cの複数複製を含む合成ポリマー)は、HbA1cに特定マウスモノクローナル(mouse monolonal)の産物で被覆されたラテックスの凝集を引き起こす。この凝集反応は、光の散乱の増加を引き起こし、これは、吸収の増加として測定される。次に、読み取り段階172に入り、カートリッジホルダ16およびテストカートリッジ12を再びREAD位置に移動させ、バッファ溶液に対する複数の複合読取り値を取得し、次いで平均化する。HbA1cおよびHbの量の複合読取り値が得られると、HbA1cおよびHbのパーセンテージを計算し、ユーザインタフェース34を使用してユーザに報告することができる。
【0068】
読み取り段階172の間に、HbおよびHbA1cの量の複数の、例えば10の複合測定が同時に行われてもよい。各複合読取り値は、サンプル光検出器92および基準光検出器94の各チャネル上の3つのA‐D読取り値(各光源90a、90b、または90cに対して1つ)を含むことができる(複合読取り値当たり6つの全読取り値)。読取り値は、対にして、時間的に交互に、すなわち、サンプル光検出器92によるサンプルビーム108の単一の読み取り、続いて基準光検出器94による基準ビーム110の単一の読み取り(順位または読み取りは重要ではない;サンプルビーム108または基準ビーム110は、個々の読み取りが交互に行われる限り、最初に読み取ることができる)、10の複合測定に関する60の読み取り(30サンプルビーム108測定および30基準ビーム110測定)は、約6秒、例えば、読み取り当たり30ミリ秒以内に完了されるべきである。平均、標準偏差(SD)、およびパーセント変動係数(%CV)は、例えば、10回の読取り値の各セットについて計算することができる。この同じ手順に従い、任意の所望の数の読取り値を得ることができる。
【0069】
分析器10では、(1)光源90a、90b、90cがある時間だけ光を生成することを可能にし、(2)読み取りを行うことによって、同時読み取りが個別にかつ順次行われる。いくつかの実施形態では、光源90a、90b、および90cのうちの2つ以上が、望ましくない干渉の発生に起因して光を同時に生成することを可能にされるとき、読み取りは行われないことに留意されたい。読み取りが行われると、較正パラメータおよび連立方程式を解くためのアルゴリズムを使用して、液体試験サンプル‐試薬混合物内の少なくとも2つの対象検体、例えばHbおよびHbA1cの量を同時に決定することができる。
【0070】
1つの実施形態において、HbおよびHbA1cの両方を、マトリックス方程式(一連の同時方程式)としてBeer-Lambert方程式(A = C * E)を設定し、Hbの測定を単離する必要なく、HbおよびHbA1cの濃度を一度に解くことによって、同時に決定することができる。3波長では、Cは、Hb、HbA1c、および1干渉物質の濃度であり得る。Eは、関心のある検体の既知の濃度を有するサンプル試薬混合物を用いて一連の実験を実行することによって決定され得る較正パラメータの2×3行列であり得る。Aは、分析器10によって取られた読取り値の3×1行列であり得る。一組の同時方程式は、Newton法、二分割法、またはセカント法のような交差技法のような任意の適切なアルゴリズムを用いて解くことができる。連立方程式を解く他の方法を使用することもできる。
【0071】
サンプル光検出器92および基準光検出器94によって測定された電圧は、それぞれサンプルビーム108および基準ビーム110について、モータ位置ステップ+8(空気読取り位置)またはモータ位置ステップ+25(サンプル読取り位置)で測定された光を表す。各チャネルのオフセット電圧はまた、遮断された光路(例えば、モータ位置ステップ+16)で得ることができる。全ての測定は、同じ固定利得値で行われてもよい。
【0072】
ランプドリフトの間隔を最小限にするために、バッファ読取り値は、空気(100%透過率)および暗い読取り値(0%透過率)を基準とすることができる。同様に、ヘモグロビンの読取り値は空気の読取り値を参照することができる。例えば、読み取り段階172の間のヘモグロビンおよびヘモグロビンA1cの読取り値は、空気の読取り値を基準とする。
【0073】
本明細書で説明される方法およびシステムは、特定のハードウェアまたはソフトウェア構成に限定されず、多くのコンピューティング環境または処理環境において適用可能性を見出すことができる。方法およびシステムは、ハードウェアまたはソフトウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実施されてもよい。方法およびシステムは、1つまたは複数のコンピュータプログラムで実装され得、コンピュータプログラムは、1つまたは複数のプロセッサ実行可能命令を含むと理解され得る。
【0074】
メインプロセッサ68は、以下に説明するプロセッサ実行可能命令を実行するために一緒に又は独立して動作する単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを含むコンピュータシステムとして実施することができる。メインプロセッサ68の実施形態は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、特定用途向け集積回路、およびそれらの組合せを含むことができる。メインプロセッサ68は、プロセッサ可読メモリ69に結合されてもよい。非一時的プロセッサ可読メモリ69は、以下でより詳細に説明するように、RAM、ROM、フラッシュメモリなどとして実装することができる。プロセッサ可読メモリ69は、単一の非一時的プロセッサ可読メモリ、または論理的に一緒にまたは独立して機能する複数の非一時的プロセッサ可読メモリとすることができる。
【0075】
本明細書における「マイクロプロセッサ」および「プロセッサ」、または「マイクロプロセッサ」および「プロセッサ」への言及は、スタンドアロン環境および/または分散環境において通信することができる1つまたは複数のマイクロプロセッサを含むと理解することができ、したがって、他のプロセッサと有線または無線通信を介して通信するように構成することができ、そのような1つまたは複数のプロセッサは、同様または異なる装置であり得る1つまたは複数のプロセッサ制御装置上で動作するように構成することができる。したがって、そのような「マイクロプロセッサ」または「プロセッサ」用語の使用は、中央処理装置、算術論理ユニット、特定用途向け集積回路(IC)、および/またはタスクエンジンを含むと理解されてもよく、そのような例は、例示のために提供され、限定ではない。
【0076】
プロセッサ可読メモリ69への言及は、別段の指定がない限り、1つまたは複数のプロセッサ可読かつアクセス可能な一時的でないコンピュータ可読媒体および/またはメインプロセッサ68の内部、メインプロセッサ68の外部とすることができ、および/または様々な通信プロトコルを使用して有線または無線ネットワークを介してアクセスすることができ、別段の指定がない限り、外部メモリデバイスと内部メモリデバイスの組合せを含むように構成することができ、そのようなメモリは、アプリケーションに基づいて連続および/または分割することができ、そのようなメモリは、本質的に非一時的であることができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、RAM、ハードドライブ、ハードドライブアレイ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、メモリカードなど、ならびにそれらの組合せとして実装することができる。2つ以上の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体が使用される場合、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体のうちの1つは、メインプロセッサ68と同じ物理的位置に配置されてもよく、非一時的なプロセッサ可読媒体のうちの別の1つは、メインプロセッサ68から離れた位置に配置されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の物理的位置は変更されてもよく、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体は、「クラウドメモリ」、すなわち、ネットワークインタフェース60を使用してメインプロセッサ68によってアクセスされ得るネットワークに部分的にまたは完全に基づくか、またはそれを使用してアクセスされる非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体として実装されてもよい。
【0077】
メインプロセッサ68は、本明細書ではコンピュータプログラムとも呼ばれるプロセッサ実行可能命令を実行して、本明細書で説明する論理を実行することができる。本明細書におけるマイクロプロセッサ命令、マイクロプロセッサ実行可能命令、プロセッサ実行可能命令、またはコンピュータプログラムへの言及は、上記に従って、プログラマブルハードウェアを含むと理解され得る。コンピュータプログラムは、コンピュータシステムと通信するために、1つまたは複数の高レベル手順またはオブジェクト指向プログラミング言語を使用して実装することができるが、必要に応じて、プログラムをアセンブリ言語または機械言語で実装することができる。言語は、コンパイルされてもよいし、解釈されてもよい。
【0078】
本明細書で提供されるように、一実施形態では、分析器10は、独立して、またはネットワーク環境内の他の装置動作することができる。ネットワークへの言及は、別段の規定がない限り、1つまたは複数のイントラネットおよび/またはインターネットを含むことができる。ネットワークは、メインプロセッサ68と、ネットワークインタフェース60を使用してハウジング20の外部に配置された別のコンピュータシステムとの間で情報および/またはデータの双方向通信を可能にすることができる。ネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)を含んでもよく、および/またはイントラネットおよび/またはインターネットおよび/または別のネットワークを含んでもよい。ネットワークは、有線もしくは無線、またはそれらの組み合わせであってもよく、通信を容易にするために、1つ以上の通信プロトコルおよび複数のネットワークトポグラフィを使用してもよい。したがって、方法およびシステムは、複数のプロセッサおよび/またはプロセッサ装置を利用することができ、プロセッサ命令は、そのような単一または複数のプロセッサ/装置の間で分割され得る。
【0079】
本発明は、様々な図面の例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、それに限定されず、他の同様の実施形態が使用されてもよく、または説明された実施形態から逸脱することなく、本発明の同じ機能を実行するために、説明された実施形態に対して修正および追加が行われてもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、いかなる単一の実施形態にも限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に従って幅および範囲において解釈されるべきである。また、添付の特許請求の範囲は、本発明の他の変形および実施形態を含むと解釈されるべきであり、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によってなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9