(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ダイレクト情報通知システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20230731BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2022113233
(22)【出願日】2022-07-14
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2022060697
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502176052
【氏名又は名称】株式会社プレステージ・インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田石 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大志
(72)【発明者】
【氏名】相馬 朗
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-132898(JP,A)
【文献】特開2017-116998(JP,A)
【文献】特開2005-321971(JP,A)
【文献】特開2013-109412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事故の発生時に損害保険契約に関わる利用者からの事故発生の報告を受けて取得される事故発生情報が記録されるように構成された事故受付サーバーと、
前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記損害保険契約に関わる損害保険代理店として登録された代理店担当者が携帯する代理店端末に前記事故発生情報に基づく情報を送信するように構成された代理店用システムと
を備え、
前記代理店用システムは、前記事故発生情報に基づく情報を送信した他の代理店端末に関する前記事故の現場へ駆け付けるか否かの情報を前記代理店端末に送信するように構成されている、
事故対応システム。
【請求項2】
事故の発生時に損害保険契約に関わる利用者からの事故発生の報告を受けて取得される事故発生情報が記録されるように構成された事故受付サーバーと、
前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記損害保険契約に関わる損害保険代理店として登録された代理店担当者が携帯する代理店端末に前記事故発生情報に基づく情報を送信するように構成された代理店用システムと
を備え、
前記事故は、自動車事故であり、前記損害保険契約は、自動車保険契約であり、
前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記利用者にロードサービスを提供する者として登録されたロードサービス提供者又はそのスタッフに前記自動車事故の現場に出動するように要請するために必要な処理を行うように構成されたロードサービス手配システムをさらに備え、
前記代理店用システムは、前記ロードサービス手配システムにより管理された前記ロードサービスの提供状況を前記代理店端末に送信するように構成されている、
事故対応システム。
【請求項3】
前記事故受付サーバーは、前記ロードサービス提供者又はそのスタッフによって入力された事故状況に関する情報を含むロードサービス取得情報を受け取って記録するように構成されており、
前記代理店用システムは、前記ロードサービス取得情報を前記代理店端末に送信するように構成されている、
請求項
2に記載の事故対応システム。
【請求項4】
前記事故受付サーバーは、前記事故発生情報に基づく情報を送信した前記代理店端末に当該送信の後に入力された事故状況に関する情報を含む受付情報を当該代理店端末から受け取って記録するように構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の事故対応システム。
【請求項5】
前記代理店端末をさらに備え、
前記代理店端末は、入力されるべき前記受付情報に係る項目が表示されるように構成されている、
請求項4に記載の事故対応システム。
【請求項6】
前記代理店端末に送信される前記情報は、前記事故の発生場所と事故内容とを含む、請求項1乃至
3の何れかに記載の事故対応システム。
【請求項7】
前記事故受付サーバーは、前記事故受付サーバーに記録された情報のうち必要な情報を、前記損害保険契約に関わる損害保険会社に提供するように構成されている、請求項1乃至
3の何れかに記載の事故対応システム。
【請求項8】
前記事故は、自動車事故であり、前記損害保険契約は、自動車保険契約であり、
前記事故受付サーバーは、前記代理店端末に入力された事故状況に関する情報を含む受付情報を受け取って記録するように構成されており、
前記事故受付サーバーに記録された前記自動車事故に関する情報に基づいて、当該自動車事故の過失割合を算出するように構成された過失割合判定システムをさらに備え、
前記代理店用システムは、算出された前記過失割合を前記代理店端末に送信するように構成されている、
請求項1乃至
3の何れかに記載の事故対応システム。
【請求項9】
前記過失割合判定システムは、前記事故受付サーバーに記録された前記自動車事故に関するドライブレコーダーに記録された情報を用いて前記過失割合を算出するように構成されている、請求項8に記載の事故対応システム。
【請求項10】
前記事故は、火災保険の対象である事故であり、前記損害保険契約は、火災保険契約である、請求項1に記載の事故対応システム。
【請求項11】
前記事故受付サーバーに記録された前記事故に関する情報に基づいて、当該事故の損害額又は保険金支払い額を算出するように構成された損害額算定システムをさらに備える、請求項10に記載の事故対応システム。
【請求項12】
前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記事故に関する情報を収集する業者又はその担当者に前記事故の現場に出動するように要請するために必要な処理を行うように構成された業者手配システムをさらに備える、
請求項10に記載の事故対応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通知機能を有する事故対応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々の生活には種々のリスクが存在する。例えば、自動車の運転には様々なリスクが存在するため、損害保険会社と自動車保険といった損害保険の契約を締結することが一般的である。同様に、火災や様々な自然災害などに備えて、火災保険といった損害保険の契約を締結することも一般的である。事故の発生時には、契約に従って、損害保険会社から保険金が支払われる。例えば特許文献1には、自動車事故の発生の際に損害保険会社に提出される事故報告書を、事故発生場所で契約者が容易に作成できるようにするためのシステムに係る発明が開示されている。
【0003】
自動車保険や火災保険の契約は、損害保険代理店を通じて行われることがある。例えば特許文献2には、代理店の担当者が、利用者から受け取った書類を携帯端末で撮影し、得られたイメージ情報を事務センターに送信することで、迅速かつ容易に必要な書類情報が事務センターに提供されることに関する発明が開示されている。事故発生時に損害保険代理店の担当者が事故現場に駆け付けることができると、自動車保険や火災保険の契約者などの事故の当事者にとっては心強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-194736号公報
【文献】特開2012-58904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、事故の発生時に速やかに当該事故に関する情報が当該損害保険の損害保険代理店の担当者に伝わるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、事故対応システムは、事故の発生時に損害保険契約に関わる利用者からの事故発生の報告を受けて取得される事故発生情報が記録されるように構成された事故受付サーバーと、前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記損害保険契約に関わる損害保険代理店として登録された代理店担当者が携帯する代理店端末に前記事故発生情報に基づく情報を送信するように構成された代理店用システムとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、事故の発生時に速やかに当該事故に関する情報が当該損害保険の損害保険代理店の担当者に伝わるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る事故対応システムの構成例の概略を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るコールセンターのシステムに係る動作例の概略を示すフローチャートでる。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る代理店通知処理の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る代理店端末の動作の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故通知画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示されるロードサービス画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故内容1画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故内容2画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故内容3画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故受付1画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故受付2画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される事故受付3画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係る代理店端末に表示される過失割合判定の結果を示す画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る事故対応システムの構成例の概略を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係るコールセンターのシステムに係る動作例の概略を示すフローチャートでる。
【
図16】
図16は、第2の実施形態に係る代理店端末に表示される事故通知画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態に係る代理店端末に表示される事故内容画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態に係る代理店端末に表示される事故受付画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る代理店端末に表示される損害額算定画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態に係る代理店端末に表示される一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、自動車の事故が発生した際に、運転者等がサポートを受けられるように構成された事故対応システムに関する。ここで、自動車は、四輪車、二輪車等の各種自動車を含み得る。ここでの説明において、事故は、損害保険会社による保険金の支払いの対象となる損害保険業界でいうところ事故の他、損害保険会社による保険金の支払いの対象とならない損害保険業界でいうところ故障やその他のトラブル等をも含み、広く自動車に関するトラブル全般を意味する。ここで、事故の一種である損害保険会社による保険金の支払いの対象となる事故は、例えば、対人事故、車対車の事故を含む対物事故などを含み得る。また、事故の一種である故障等は、損害保険業界で故障と定義づけられている「偶然な外来の事故に直接起因しない電気的または機械的事故」のみならず、ロードサービスの対象となる各種のトラブルを含み得る。故障等は、例えば、タイヤ交換を必要とするタイヤのパンク、ケーブルをつないでのバッテリーの復旧を必要とするバッテリー上がり、開錠を必要とするインロックトラブル、ガソリンの補充を必要とするガソリン切れ等を含み得る。このシステムでサポートを受ける利用者は、損害保険会社と契約している自動車保険といった損害保険の補償対象となっている運転者等である。特に、本実施形態では、損害保険代理店を通じて保険契約が締結されている場合が想定されている。また、利用者は、保険金の支払いの有無にかかわらず、事故が発生した場合に、ロードサービスを受けることができる契約を締結していてもよい。
【0010】
[システムの構成]
図1は、事故対応システム1の構成例の概略を示すブロック図である。事故対応システム1に関わる者としては、自動車等を運転する利用者、利用者に係る自動車保険等の契約をしている損害保険会社30、当該自動車保険等に係る損害保険代理店及びその担当者、事故発生時等に利用者からの連絡を受けるコールセンター10、事故発生時等に事故現場に駆け付けて対応にあたるロードサービス提供者及びそのスタッフ等が挙げられる。
【0011】
利用者は、利用者端末61を携帯している。利用者端末61は、例えばスマートフォンや携帯電話といったものである。保険代理店の担当者は、それぞれ代理店端末21を携帯している。代理店端末21は、例えばスマートフォンやタブレット型コンピューターといったものである。なお、必ずしも全ての保険代理店の担当者が代理店端末21を携帯しているとは限らない。保険代理店の担当者の中には、代理店端末21を携帯していない担当者も含まれ得る。以下で説明する代理店端末21に関する動作は、代理店端末21を有する保険代理店の担当者と関係する動作であり、代理店端末21を携帯していない担当者に関してはこの限りでない。
【0012】
ロードサービス提供者のスタッフは、それぞれロードサービス提供者端末41を携帯している。ロードサービス提供者端末41は、例えばスマートフォンやタブレット型コンピューターといったものである。なお、ロードサービス提供者のスタッフは、必ずしもロードサービス提供者端末41を携帯していなくてもよい。ロードサービス提供者端末41を携帯していない場合、後述の出動要請などは、ロードサービス提供者端末41を介さずに行われる。
【0013】
自動車事故の発生時には、利用者は、利用者端末61を用いて、コールセンター10に事故が発生した旨の連絡をする。この連絡は、利用者がコールセンター10に電話をすることで行われてもよい。あるいは、利用者端末61には、事故受付のためのアプリケーションソフトウェア(アプリ)がインストールされており、このアプリを利用して事故発生の連絡がコールセンター10に対して行われてもよい。また、利用者端末61にインストールされるネイティブアプリに代えて、同様の機能を有するコールセンター10が提供するウェブアプリが利用されてもよい。コールセンター10は、事故発生の連絡を受けたとき、事故受付処理を行う。
【0014】
コールセンター10は、事故対応システム1において必要な各種情報、プログラム等を備える事故受付サーバー11を有する。また、コールセンター10は、代理店用システム12、過失割合判定システム13、及びロードサービス手配システム14としての機能を有する。これら事故受付サーバー11、代理店用システム12、過失割合判定システム13、ロードサービス手配システム14などは、物理的にはいくつのコンピューターによって構成されていてもよく、一つのコンピューターが複数の機能を担っていても、一つの機能が複数のコンピューターによって担われていてもよい。また、これらのコンピューターは、どこに設置されていてもよく、例えばオペレーターと離れた場所に設置されていてもよいし、複数のコンピューターが離れた場所に設置されていてもよい。
【0015】
事故受付サーバー11には、自動車保険等に関する各種情報が記録されている。例えば、損害保険会社と契約している契約者及び契約内容等の情報、当該契約に関わった保険代理店の情報、これら契約に付随する又は独立した契約に基づくロードサービスに係る情報等が記録されている。これに伴って、代理店用システム12には、各自動車保険契約と当該契約に関わる損害保険代理店の担当者が携帯する代理店端末21との関係が記録されている。ロードサービス手配システム14には、ロードサービス契約と当該契約に関わるロードサービス提供者、そのスタッフ又は当該スタッフが携帯するロードサービス提供者端末41との関係が記録されている。
【0016】
コールセンター10には、利用者からの電話連絡を受けて、事故受付手続きを行う複数のオペレーターがいる。各オペレーターは、電話機18で電話を受け、端末17を用いて必要情報を参照しながら利用者から発生した事故に関する必要情報を聞き取り、端末17を用いて聞き取った情報を事故発生情報として入力していく。入力された事故発生情報は、事故受付サーバー11に記録される。記録される事故発生情報は、入力された情報であっても、それが加工された情報であってもよい。
【0017】
また、利用者端末61で動作する事故受付アプリは、上述の発生した事故に関して報告すべき情報が利用者や利用者端末61のシステムによって入力されるように構成されている。利用者端末61は、入力された事故発生情報をコールセンター10に送信するように構成されている。コールセンター10は、アプリ受付システム16を備える。アプリ受付システム16は、利用者端末61から送信された事故発生情報を受信し、受信した情報を処理する事故受付処理を行う。事故発生情報は、事故受付サーバー11に記録される。記録される事故発生情報は、受信した情報であっても、それが加工された情報であってもよい。
【0018】
ここでは、利用者がコールセンター10に事故が発生した旨の連絡をする手段として、通話による方法と、アプリを用いる方法とが用意されている場合を例示したが、これに限らない。事故対応システム1には、これら手段のうち何れか一つの手段が用意されているだけでもよい。また、同様の目的を達成できる他の手段が用いられてもよい。
【0019】
利用者が事故発生時にロードサービスの提供を受ける契約を結んでいる場合、事故受付時にロードサービス手配システム14は、ロードサービスのスタッフを事故現場に派遣する処理を行う。ロードサービス手配システム14は、受け付けた事故内容、事故発生場所等に応じて、適切なロードサービススタッフを事故現場に派遣するように構成されている。例えば、ロードサービス手配システム14は、契約上当該利用者にロードサービスを提供すべきロードサービス提供者として登録されているロードサービス提供者のスタッフの中から、事故発生現場に近く、発生した事故内容に対処可能であるスタッフを選択し、当該スタッフに対して事故現場への出動を要請する。
【0020】
この際、一つの手段として、ロードサービススタッフが携帯するロードサービス提供者端末41が用いられる。ロードサービス提供者端末41には、例えば、専用のアプリがインストールされている。ロードサービス手配システム14は、全てのロードサービス提供者端末41と通信できるように構成されている。
【0021】
ロードサービススタッフは、ロードサービス提供者端末41を介して出動要請を受けて、現場へ駆け付ける。ロードサービススタッフは、ロードサービス提供者端末41の専用アプリを用いて必要情報を取得することができる。また、ロードサービススタッフは、ロードサービス提供者端末41の専用アプリを用いて、事故現場で収集した事故状況に関する情報をロードサービス手配システム14に送信することができる。事故現場で収集した情報には、例えば、事故現場の検分した状況、取得した写真、ドライブレコーダーの記録などが含まれ得る。ロードサービススタッフは、ロードサービス提供者端末41のみを用いて、必要な一連の処理を行うことができる。
【0022】
ロードサービス手配システム14は、ロードサービススタッフの駆け付け状況、サービス提供状況等を管理する。また、ロードサービス手配システム14は、ロードサービススタッフから提供される事故状況等に関する情報を取得して事故受付サーバー11に記録する。
【0023】
ロードサービス提供者端末41を携帯しているロードサービススタッフの派遣について説明したが、全てのロードサービススタッフがロードサービス提供者端末41を携帯しているとは限らない。ロードサービス提供者端末41を有しないロードサービススタッフに対しては、他の手段が用いられ得る。
【0024】
例えば、パーソナルコンピューターなどの通信端末が、ロードサービススタッフが所属するロードサービス提供者の拠点に設けられており、この通信端末が用いられてもよい。事故現場へのロードサービススタッフの出動の要請が、この通信端末を介して行われてもよい。また、事故処理後にロードサービススタッフがこの通信端末を用いて、事故に関する情報をロードサービス手配システム14に送信してもよい。
【0025】
また、例えば、ロードサービススタッフが携帯する電話機などが用いられてもよい。この場合、コールセンター10には、ロードサービス手配システム14を利用するオペレーターが配置されている。ロードサービススタッフの出動の要請は、このオペレーターを介して通話等を活用して行われ得る。ロードサービススタッフから提供された事故に関する情報は、オペレーターによってロードサービス手配システム14に入力されてもよい。このように、事故対応システム1は、ロードサービス手配に関して複数の手段を備え得る。
【0026】
以上のような仕組みにより、ロードサービススタッフは、素早く事故現場に駆け付けることができる。したがって、利用者は、コールセンター10に事故発生の連絡をすることで、素早くロードサービスの提供を受けることができる。
【0027】
自動車保険が代理店を通じて契約されている場合、代理店用システム12は、事故受付を行った事故に関する事故発生情報を代理店端末21を介して当該自動車保険契約に関係する代理店担当者に提供する。代理店担当者が携帯する代理店端末21には、例えば、専用のアプリがインストールされている。代理店担当者は、携帯する代理店端末21を介して事故発生情報の提供を受けることで、事故発生直後に事故に関する情報を取得することができる。その結果、代理店担当者は、事故発生直後に事故現場に駆け付けることができ、事故現場において利用者をサポートすることが可能となる。
【0028】
また、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、代理店担当者は、事故現場において、代理店端末21の専用アプリを用いて、損害保険会社30による保険金支払いのために必要な情報を入力することができる。この情報には、例えば、事故現場の検分した状況、取得した写真などが含まれ得る。また、この情報には、ドライブレコーダーの記録やその他の情報などが含まれてもよい。代理店担当者は、事故現場において、収集した情報に基づいて保険金支払いのための事故内容の確認を含む受付処理を行うことができる。代理店端末21の専用アプリは、この受付処理を行うことができるように構成されている。代理店端末21は、受付処理において必要な受付情報を代理店用システム12に送信するように構成されている。事故現場において、代理店担当者によって適切に受付処理を行えることで、その後の保険金支払いまでの処理が円滑に行われ得るようになる。代理店担当者は、代理店端末21のみを用いて、必要な一連の処理を行うことができる。
【0029】
コールセンター10が備える過失割合判定システム13は、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、事故受付サーバー11に蓄積された自動車事故に関する情報に基づいて、事故の当事者間の過失割合の参考値を算出する。過失割合の算出は、所定のアルゴリズムに従って行われる。過失割合判定システム13には、人工知能(AI)が用いられてもよい。過失割合判定システム13で算出された過失割合は、代理店端末21を介して、代理店担当者に提供され得る。したがって、代理店担当者は、例えば事故現場において、利用者に参考値ではあるものの過失割合を示すことができる。その結果、利用者は一定の安心感、納得感などを得ることができる。
【0030】
損害保険会社30は、損害保険会社サーバー31と、事故受付システム32と、代理店連絡システム33とを備える。損害保険会社30の事故受付システム32は、コールセンター10の事故受付サーバー11と通信し、損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故に関する情報を取得する。ここで取得される情報は、コールセンター10で初めに取得された利用者からの情報、ロードサービス提供者端末41を介してロードサービススタッフから提供された事故状況に関する情報、代理店端末21を介して代理店担当者から取得した受付情報などが含まれ得る。これらの情報は、損害保険会社サーバー31で処理されて、利用者への保険金の支払い等に活用される。また、損害保険会社30は、必要に応じて代理店連絡システム33を介して、代理店担当者と情報交換を行う。
【0031】
[システムの動作]
〈コールセンターのシステムの動作〉
コールセンター10のシステムに係る動作例の概略について
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
ステップS101において、コールセンター10は、事故発生の連絡があるまで待機する。事故発生の連絡があったとき、ステップS102において、事故受付処理が行われる。例えば、事故発生時に利用者は、利用者端末61を用いてコールセンター10に電話連絡をする。利用者端末61からコールセンター10の電話機18に呼び出しがあったとき、コールセンター10のオペレーターは、電話を受け、受付処理を開始する。受付処理において、オペレーターは、利用者から必要情報を聞き取り、端末17を操作してそれら情報を記録する。これらの情報は、事故受付サーバー11に事故発生情報として記録される。あるいは、事故発生時に利用者は、利用者端末61で動作する事故受付アプリを操作して必要情報を入力し、当該情報をコールセンター10に送信する。利用者端末61からコールセンター10のアプリ受付システム16に事故に係る情報が送信されたとき、アプリ受付システム16は、この情報を受け取り、必要な処理を行う。取得された情報は、事故受付サーバー11に事故発生情報として記録される。
【0033】
事故受付を行ったとき、事故受付サーバー11は、いくつかの処理を行う。一つには、ステップS103において、事故受付サーバー11は、事故受付を行ったときに直ちに、ロードサービス手配システム14を用いて事故現場にロードサービススタッフを向かわせるロードサービス手配処理を行う。例えば、ロードサービス手配システム14には、複数のロードサービス業者やロードサービススタッフが登録されており、ロードサービス手配システム14はこれらの中から事故現場に近いスタッフ等や事故内容に応じたスタッフ等を選択し、当該スタッフに対して事故現場において事故対応にあたるよう出動要請を行う。ロードサービススタッフ等は、ロードサービス提供者端末41やその他の情報端末、電話機等を用いて、要請を受け、必要な手続きを行う。最初に要請を受けたロードサービススタッフが出動できなければ、別のスタッフに出動要請が行われる。
【0034】
スタッフ等が出動要請に応じたとき、ステップS104において、ロードサービス手配システム14は、当該ロードサービスに係る情報を、事故受付サーバー11に記録する。ロードサービス手配システム14は、例えばロードサービス提供者端末41から必要情報を取得する。例えば、事故現場に向かうロードサービススタッフの情報が事故受付サーバー11に記録される。ステップS105で当該事故に係るロードサービスが完了したか否かが判定され、サービスが完了するまで、ロードサービス手配システム14は、ロードサービスに係る情報を、例えばロードサービス提供者端末41から取得する。得られた情報は、事故受付サーバー11に記録される。例えば、ロードサービススタッフが事故現場へ向かっている途中では、スタッフの現在位置や事故現場への到着予定時刻などが記録されてもよい。また、スタッフが事故対応を開始した時刻や、サービスの提供状況、スタッフが入手した事故状況に関する情報を含むロードサービス取得情報などが、記録されてもよい。ロードサービスが完了したとき、ロードサービス手配システム14による処理は終了する。なお、ロードサービス手配処理は、全てコンピューターで自動的に行われてもよいし、その一部はオペレーターが介在することで行われてもよい。
【0035】
ロードサービススタッフがロードサービス提供者端末41を携帯している場合、ロードサービス手配システム14は、上述のような必要な情報をリアルタイムで取得することができる。一方で、ロードサービススタッフがロードサービス提供者端末41を携帯していない場合、ロードサービス手配システム14が取得できる情報、その取得のタイミング等は制限されることがある。このような場合にも、ロードサービス手配システム14は、可能な範囲で上述のような情報を取得する。
【0036】
また、事故受付サーバー11は、事故受付を行ったときに直ちに、ステップS106において、代理店用システム12を用いて代理店通知処理を行う。代理店通知処理について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップS201において、代理店用システム12は、利用者の損害保険契約に係る代理店として登録された代理店の担当者が有する代理店端末21に対して、事故受付サーバー11に記録された当該事故に係る通知を送信する。当該代理店が複数の担当者を擁している場合、代理店用システム12は、各担当者の代理店端末21に通知を送信する。各代理店端末21の処理として、以下の処理が行われる。コールセンター10から提供された事故発生情報に基づいて、各代理店端末21は、必要な情報を表示したり、担当者による各種入力を受け付けたりする。代理店端末21への入力は、代理店用システム12に送信され、事故受付サーバー11に記録される。
【0038】
ステップS202において、代理店用システム12は、代理店端末21から、ロードサービスの状況に関する照会があったか否かを判定する。照会がなかったとき、処理はステップS204に進む。照会があったとき、処理はステップS203に進む。ステップS203において、代理店用システム12は、要求されたロードサービスの状況に関する情報を代理店端末21に送信する。このロードサービスに関する情報は、上述のステップS104によって事故受付サーバー11に蓄積された情報に基づく。この情報は、例えば、ロードサービススタッフが事故現場に到着しているのか、あるいはあと何分で到着する予定であるのかといった情報や、ロードサービススタッフが行っている事故処理の状況に関する情報などを含むロードサービスの提供状況の情報などであり得る。また、この情報は、ロードサービススタッフが取得した事故状況に関する情報を含むロードサービス取得情報であり得る。ロードサービスに関する情報の送信後、処理はステップS204に進む。
【0039】
ステップS204において、代理店用システム12は、代理店端末21から、事故内容に関する照会があったか否かを判定する。照会がなかったとき、処理はステップS206に進む。照会があったとき、処理はステップS205に進む。ステップS205において、代理店用システム12は、要求された事故内容に関する情報を代理店端末21に送信する。この事故内容に関する情報は、上述のステップS102によって事故受付サーバー11に蓄積された事故発生情報に基づく。また、この情報には、ロードサービススタッフが取得した情報が含まれていてもよい。この情報は、例えば、利用者の情報、事故の発生現場、事故の状況、事故を起こした車両の情報、けが人の有無などを含み得る。事故内容に関する情報の送信後、処理はステップS206に進む。
【0040】
ステップS206において、代理店用システム12は、代理店端末21で事故現場へ駆け付けるか否かの入力がされたかを判定する。駆け付けるか駆け付けないか決定されていないとき、処理はステップS202に戻り、要求に応じてロードサービスや事故内容の情報を送信する。代理店担当者が事故現場へ駆け付けない旨の決定がされ、その旨が代理店端末21に入力されたとき、本代理店通知処理は終了する。代理店担当者が事故現場へ駆け付ける旨の決定がされ、その旨が代理店端末21に入力されたとき、処理はステップS207に進む。
【0041】
ステップS207において、代理店用システム12は、当該代理店担当者が事故現場に駆け付ける旨を事故受付サーバー11に記録する。
【0042】
事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、以下のステップS208以降の処理が行われる。事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象とならない故障等の場合、後述の事故受付の処理及び過失割合判定の処理は行われないので、以上の処理で、本代理店通知処理は終了する。
【0043】
ステップS208において、代理店用システム12は、代理店端末21から、保険金支払いのための事故受付処理に関する受付情報を受信したか否かを判定する。受付情報を受信していないとき、処理はステップS210に進む。一方、受付情報を受信したとき、処理はステップS209に進む。ステップS209において、代理店用システム12は、代理店端末21から事故受付に関する受付情報を取得し、当該情報に対して所定の処理を行い、その情報を事故受付サーバー11に記録する。その後、処理はステップS210に進む。
【0044】
ステップS210において、代理店用システム12は、代理店端末21から、過失割合判定の要求があったか否かを判定する。要求がなかったとき、処理はステップS212に進む。要求があったとき、処理はステップS211に進む。ステップS211において、代理店用システム12は、コールセンター10、ロードサービススタッフ、代理店担当者等によって取得され事故受付サーバー11に蓄積された情報に基づいて、過失割合を判定するように、過失割合判定システム13に要求する。なお、過失割合は最終的には損害保険会社30で決定されるので、ここでの判定は参考値という意味合いのものである。過失割合判定システム13は、所定のアルゴリズムを用いて、事故受付サーバー11に蓄積された当該事故に係る情報に基づいて、利用者と事故の相手方との間の事故の過失割合について算出する。この過失割合の算出にあたっては、例えば人工知能(AI)が用いられてもよい。過失割合の算出のために利用される情報には、ドライブレコーダーにより記録された情報も含まれ得る。例えば、事故前後の自車及び相手車の状況、走行軌跡、事故発生時の前方及び車内の映像などが用いられ得る。代理店用システム12は、過失割合判定システム13が導出した過失割合に関する判定結果などを代理店端末21に送信する。その後、処理はステップS212に進む。
【0045】
ステップS212において、代理店用システム12は、代理店担当者による事故対応が終わったか否かを判定する。事故対応が終わっていないとき、処理はステップS208に戻り、上述の事故対応に係る処理が継続される。一方、事故対応が終わったとき、本代理店通知処理は終了する。
【0046】
図2に戻って説明を続ける。ステップS106の代理店通知処理の後、処理はステップS107に進む。ステップS107において、代理店通知処理において代理店担当者による保険金支払いのための事故受付の処理がなされたか否かを判定する。事故受付処理がなされていないとき、代理店用システム12による処理は終了する。代理店担当者による事故受付処理がなされたとき、処理はステップS108に進む。ステップS108において、代理店用システム12は、代理店担当者によって行われた受付処理に基づいて、事故受付サーバー11に記録された情報に事故受付情報を追加するなどの情報更新を行う。その後、代理店用システム12による処理は終了する。
【0047】
また、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、ステップS109の処理が行われる。事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象とならない故障等の場合、ステップS109の処理は行われない。ステップS109において、事故受付サーバー11は、損害保険会社30へ、事故に関する情報提供を行う。ここで提供される情報は、事故受付サーバー11に蓄積された情報であり、コールセンター10で取得された事故発生情報、ロードサービス提供者端末41を用いてロードサービススタッフによって取得された事故状況に関する情報、代理店端末21を用いて代理店担当者によって取得された情報、ステップS108で更新された代理店担当者による事故受付情報等の少なくとも何れかを含み得る。これにより、損害保険会社30は、各種情報を取得することができる。損害保険会社30は、これら情報を、保険金支払いを含めた各種手続きに活用することができる。
【0048】
ここで示した処理は一例であり、処理の一部が追加されたり、削除されたり、順序が入れ替えられたりなど、処理は適宜に変更され得る。例えば、ステップS102においてコールセンター10で事故の連絡を受け、それと共にステップS103に係るロードサービスの手配が同時に行われてもよい。この場合、例えば、コールセンター10で事故発生場所や事故の概要が把握されたときにまずロードサービスの手配のための連絡が行われ、ロードサービススタッフが現場へ向かっている間などに、コールセンター10のオペレーターによる事故の詳細の聞き取りが行われるなどしてもよい。あるいは、例えば、利用者からロードサービスの要請がまずあり、ロードサービスの手配が開始されてから、それに応じて事故受付が開始されてもよい。同様に、利用者から事故の一報が入ったときに、その情報が代理店端末21に通知され、その後、コールセンター10による事故の詳細情報の取得が行われる等してもよいし、代理店端末21への通知とロードサービス提供者端末41への通知とは、どちらが先でも同時でもよい。
【0049】
〈代理店端末の動作〉
代理店端末21の動作について、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。この動作は、
図3を参照して説明した代理店通知処理と対をなすものである。また、代理店端末21の動作に応じて、代理店端末21に表示される画面の一例を
図5乃至13を参照して説明する。
【0050】
ステップS301において、代理店端末21は、上述のステップS201で送信された事故通知を受けるまで待機する。事故通知を受け、代理店担当者が代理店端末21を操作したとき、処理はステップS302に進む。代理店端末21は、代理店担当者の操作に応じて、ステップS302において、受信した事故通知に基づいて、事故情報を表示する。
【0051】
図5は、ここで表示される事故通知画面の一例を示す図である。「事故通知」タブにおいて、事故基本情報、契約情報、事故発生位置、情報確認状況が表示されている。事故基本情報は、例えば、コールセンター10で取得した情報であって、事故受付を行ってからの経過時間、事故受付時に付与された受付番号、事故発生時間の情報、事故を起こした車両に係る情報、事故発生場所に係る情報、事故を通知した利用者に係る情報などを含み得る。車両に係る情報は、自動車保険の契約に係る情報から取得されてもよい。位置に係る情報は、利用者が口頭で説明した位置に係る情報であってもよいし、利用者端末61が衛星測位システム等を利用して取得した情報等をコールセンター10が取得することで得られた情報であってもよい。また、契約情報としては、損害保険に関する基本情報として、例えば、証券番号、契約者の情報、保険期間に関する情報などが含まれ得る。契約情報は、一般的に予め事故受付サーバー11に記録されている。
【0052】
また、事故発生位置は、
図5に示すように、地図で表示されてもよい。また、代理店端末21の現在位置に基づいて、事故発生位置まで行く道順や所要時間が表示されてもよい。情報確認状況としては、当該保険契約に係る代理店の担当者一覧が表示され、各担当者がこの事故通知情報を確認したか否か、また、確認してこの事故現場へ駆け付けることにしたか否かなどの情報が含まれ得る。
図5に示すように、情報確認状況欄には、「駆け付け」ボタンが設けられている。担当者は、事故現場に駆け付ける場合にはこの「駆け付け」ボタンを選択することで、当該担当者が事故現場に駆け付ける意思があることが代理店用システム12に送信される。この情報が共有されることで、各担当者は、他の何れの担当者が事故現場に向かっているかといった状況を把握することができる。
【0053】
図4に戻って説明を続ける。ステップS303において、代理店端末21は、
図5の上部に示されている「ロードサービス」タブが操作者である代理店担当者によって選択されることで、ロードサービスの状況を確認することが要求されたか否かを判定する。ロードサービス状況確認についての要求がないとき、処理はステップS305に進む。一方、ロードサービス状況確認についての要求があるとき、処理はステップS304に進む。
【0054】
ステップS304において、代理店端末21は、ロードサービスに係る現在の状況を代理店用システム12に問い合わせる。この照会に応じて上述のステップS203で送信されるロードサービス情報を、代理店端末21は取得する。代理店端末21は、取得した情報に基づいて、ロードサービスの状況について表示する。
【0055】
図6は、ここで表示されるロードサービス画面の一例を示す図である。「ロードサービス」タブにおいて、受付基本情報、契約情報、現場位置、依頼情報が表示されている。受付基本情報としては、例えば、ロードサービス提供者の受付番号、入電があった日時、例えば利用者である要請者に係る情報、事故を起こした車両に係る情報、事故発生場所に係る情報などが含まれ得る。また、現場位置として、ロードサービススタッフの現在位置が地図上に示され得る。依頼情報としては、連絡内容、緊急度、報告に係る情報、トラブル内容に係る情報などが含まれ得る。代理店担当者は、ロードサービスの対応状況に関する情報を閲覧することで、事故現場の状況について知ることができる。
【0056】
図4に戻って説明を続ける。ステップS305において、代理店端末21は、
図5又は6の上部に示されている「事故内容」タブが代理店担当者によって選択されることで、事故内容を確認することが要求されたか否かを判定する。事故内容についての要求がないとき、処理はステップS307に進む。一方、事故内容についての要求があるとき、処理はステップS306に進む。
【0057】
ステップS306において、代理店端末21は、事故内容を代理店用システム12に問い合わせる。この照会に応じて上述のステップS205で送信される事故内容情報を、代理店端末21は取得する。代理店端末21は、取得した情報に基づいて、事故内容について表示する。
【0058】
図7乃至9は、ここで表示される事故内容画面の一例を示す図である。「事故内容」タブにおいて、
図7に示す「事故内容1」画面、
図8に示す「事故内容2」画面、
図9に示す「事故内容3」画面が選択可能である。
【0059】
図7に示すように、事故内容1として、契約情報、事故受付情報、車両情報、運転者情報、免許証情報などが含まれ得る。契約情報としては、証券番号、保険種類、契約特定可否、保険期間などの情報が含まれ得る。事故受付情報としては、事故日時、通知者、受付方法、契約者との関係、けが人、事故区分、事故種類、事故届出区分、臨場有無、受理番号、届出警察、担当官などに係る情報が含まれ得る。車両情報としては、登録番号、車両区分、車名、年式、車色、車台番号、型式、用途車種に係る情報などが含まれ得る。運転者情報としては、運転者個人に係る各種情報が含まれ得る。免許証情報としては、運転者の運転免許証の情報などが含まれ得る。
【0060】
図8に示すように、事故内容2としては、事故状況、車両損傷状況などの情報が含まれ得る。事故状況としては、事故発生場所、日時、天候、事故車、事故類型、その他などの情報が含まれ得る。図による記載や自由記載欄が設けられていてもよい。車両損傷状況としては、車両の部位ごとの損傷の有無、程度などの情報が含まれ得る。図による記載や自由記載欄が設けられていてもよい。
【0061】
図9に示すように、事故内容3としては、対物、車両、対人などの損害に係る情報、医療機関、修理工場、自賠責保険、運転者に係る情報など、各種情報が含まれ得る。
【0062】
図7乃至9では、これら情報欄が空白で示されているが、すでに取得されている情報に関しては、対応する情報欄に表示される。これらの情報の一部は、損害保険契約時やロードサービス契約時に取得されて予め事故受付サーバー11に記録されていた情報であり得る。また、こられの情報の一部は、事故受付時にコールセンター10で取得された事故発生情報に基づく情報であり得る。また、こられの情報の一部が、駆け付けたロードサービススタッフによって取得された情報であってもよい。
【0063】
図4に戻って説明を続ける。ステップS307において、代理店端末21は、操作者である代理店担当者が事故現場に駆け付けるか否かを決定したかを判定する。いまだ決定していないとき、処理はステップS302に戻り、事故通知、ロードサービス又は事故内容に係る情報の表示を行う。なお、上述の説明では、これら情報を表示画面のタブが選択されるたびに代理店用システム12から取得するように説明したが、初めに全ての情報が取得され、タブが選択されるたびに表示が変更されるように構成されていても勿論よい。また、ロードサービススタッフから得られる情報などがプッシュ型で更新されてもよい。上記したような各種情報は、代理店担当者が事故現場に駆け付けるか否かを判断する際の参考になり得る。また、代理店担当者は、場合によってはこれらの情報を参考にして、事故現場に駆け付けるのではなく、利用者に電話をかけることで対応するという判断を行うこともできる。例えば、自動車を壁に擦ってしまったといった事故であれば、代理店担当者が利用者に電話をかけることで対応可能かもしれない。例えば人身事故を起こしてしまったという場合には、利用者が多大な不安を抱えており、代理店担当者が事故現場に駆け付けることが有効であるかもしれない。
【0064】
ステップS307において、駆け付けないと決定されたと判定されたとき、本処理は終了し、処理はステップS301に戻り、次の事故通知まで待機する。一方、駆け付けると判定されたとき、処理はステップS308に進む。
【0065】
ステップS308において、代理店端末21は、当該代理店担当者が事故現場に駆け付ける旨を代理店用システム12に送信する。この情報に基づいて、上述のステップS207で駆け付ける旨が登録される。
【0066】
事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、以下のステップS309以降の処理が行われる。事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象とならない故障等の場合、後述の事故受付の処理及び過失割合判定の処理は行われないので、以上の処理で、この代理店端末21の処理はステップS301に戻り、次の事故通知まで待機する。
【0067】
ステップS309において、代理店端末21は、
図5乃至9の上部に示されている「事故受付」タブが、事故現場に駆け付けた代理店担当者によって選択されることで、事故受付に係る処理が行われるか否かを判定する。事故受付が行われないとき、処理はステップS311に進む。一方、事故受付が行われるとき、処理はステップS310に進む。
【0068】
ステップS310において、代理店端末21は、代理店事故受付処理を実行する。代理店事故受付処理は、保険金支払いのために必要な受付情報を登録するための受付処理である。
図10乃至12は、代理店事故受付処理の際に表示される事故受付画面の一例を示す図である。「事故受付」タブにおいて、
図10に示す「事故受付1」画面、
図11に示す「事故受付2」画面、
図12に示す「事故受付3」画面が選択可能である。これら事故受付1乃至3画面は、それぞれ、
図7乃至9を参照して説明した事故内容1乃至3画面に対応する。すでに取得されている情報については、これら画面に予め表示される。
【0069】
代理店事故受付処理では、事故現場に駆け付けた代理店担当者は、
図10乃至12に示す画面で情報欄を選択しながら、現場で取得した情報に基づいて、これら情報を入力したり修正したりする。これら入力される情報欄は、事故受付に必要な項目となっている。事故現場では、代理店担当者自らが現場を検分する等によって、事故に係る情報が取得され得る。また、事故現場では、代理店担当者が例えば事故当時者や事故目撃者からの聞き取りを行い、事故に係る情報が取得され得る。また、事故現場では、撮影装置や計測器を用いて、写真、数値など事故に係る情報が取得され得る。また、事故現場の位置、関係する対象物の位置、目標となる目印の位置などが、衛星測位システム等を用いて取得され得る。また、例えば、事故車両に搭載されたドライブレコーダー等の情報が事故現場で取得されてもよい。記録にあたって地図情報が必要な場合には、外部データベースから地図情報を代理店端末21に読み込み、その地図に必要情報を書き加えるといったことも可能である。これら情報が代理店端末21に入力されることによって、保険金支払いのための事故受付処理に必要な受付情報が代理店用システム12に送信され、事故受付処理が行われる。必要な全ての情報が入力されることが好ましいが、諸事情により事故現場では全ての情報が得られない場合もあり得る。このような場合には、必要な情報のうち一部が不足することもあり得る。
【0070】
ステップS311において、代理店端末21は、
図5乃至12の上部に示されている「AI過失割合判定」タブが、事故現場に駆け付けた代理店担当者によって選択されることで、過失割合判定が要求されているか否かを判定する。過失割合判定が要求されていないとき、処理はステップS313に進む。一方、過失割合判定が要求されているとき、処理はステップS312に進む。
【0071】
ステップS312において、代理店端末21は、事故受付処理により得られた情報等も含めて取得した情報を代理店用システム12に送信し、過失割合判定を代理店用システム12に要求する。この要求を受けて、上述のステップS211において過失割合判定システム13による過失割合判定が行われ、その結果が代理店端末21に送信される。代理店端末21は、代理店用システム12から過失割合に関する判定結果を取得し、当該結果を表示する。
【0072】
図13は、過失割合判定の結果を示す画面の一例を示す図である。「AI過失割合判定」タブにおいて、過失割合判定結果の情報が示され得る。また、判定結果と共に、契約情報や、事故現場の地図、ドライブレコーダーの映像など判定の根拠になった情報も示され得る。代理店担当者は、参考情報として事故現場で利用者に過失割合に関する情報を提示することができる。このような情報提供により、事故処理の見通しが立ち、利用者の安心感が得られる。また、現場における事故の相手方との情報確認等において、これら情報を参照することで、事実誤認等を防止することも期待される。
【0073】
ステップS313において、代理店端末21は、代理店担当者による事故現場での事故対応を終了する旨の入力があったか否かを判定する。事故対応を終了しないとき、処理はステップS309に戻り、事故現場での処理が継続される。事故対応を終了するとき、処理はステップS301に戻り、次の事故通知まで待機する。
【0074】
ここで示した処理は一例であり、処理の一部が追加されたり、削除されたり、順序が入れ替えられたりなど、処理は適宜に変更され得る。
【0075】
[事故対応システムについて]
本実施形態に係る事故対応システム1によれば、利用者からの事故発生の連絡があったときに、素早くロードサービススタッフが事故現場に駆け付けて事故対応にあたることができ、また、素早く保険代理店の担当者が事故現場に駆け付けて利用者をサポートすることができる。さらに、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合、必要な情報が適切かつ迅速に事故受付サーバー11に蓄積されることで、損害保険会社30による保険金の支払いまでの処理が円滑に行われ得る。
【0076】
事故発生時の代理店への連絡については、例えばファクシミリが用いられることがある。この場合、ファクシミリが代理店の事務所等に届くため、例えば担当者が外出している場合、当該担当者は情報を取得することができず、事故現場に駆け付けることができない。
【0077】
また、コールセンターで事故発生の連絡を受けた後に、その情報が損害保険会社に提供され、所定の処理がなされた後に損害保険会社から保険代理店に事故発生の連絡がなされることがある。この場合も、代理店担当者は、リアルタイムで事故発生の情報を受け取ることができず、事故現場に駆け付けることができない。
【0078】
これらに対して、本実施形態に係る事故対応システム1によれば、利用者から事故発生の連絡があった直後に、代理店担当者が携帯する代理店端末21に情報が届くので、代理店担当者は、常に迅速に事故発生の情報を受け取ることができる。これにより、代理店担当者は、必要な全ての場合に直ちに事故現場へ駆け付けることが可能になり、顧客満足度を向上させることができる。
【0079】
利用者と信頼関係が構築された代理店担当者によるきめ細かなサービスが提供されることには価値がある。いわゆるダイレクト型の損害保険もある状況において、いわゆる代理店型の損害保険の価値が向上し得る。
【0080】
また、代理店担当者は、専用アプリがインストールされた代理店端末21のみを用いることで、事故に関する情報、各種サービスの提供状況、手続きの進捗状況などを知ることができる。代理店端末21で扱える情報は、文書、図面、写真、動画、地図、位置情報等、多種類に及び、利便性が高い。
【0081】
例えば、ドライブレコーダーで取得された情報などは、一般には代理店担当者が目にすることが少ない情報であるが、本実施形態に係る事故対応システム1によれば、こういった情報も代理店担当者が把握することができる。
【0082】
また、上述のように各種の情報を取り扱えることで、保険手続きに必要な全ての情報を収集、記録等することが可能である。また、例えば保険金支払いのための事故受付処理の際には、必要となる情報の項目が画面に表示されるので、これら情報を入力していくことで、必要な情報を漏れなく登録することができる。このように、一つの代理店端末21で代理店担当者に必要な全ての処理が完結する。また、情報が代理店端末21に集約されているので、セキュリティーに関する管理も比較的容易である。
【0083】
また、事故対応システム1では、事故受付に関する情報が集約されて必要情報が共有されるので、各関係者が必要な範囲内で各種手続き、状況や進捗等をリアルタイムで把握することが可能である。また、従来共有されていなかった情報を必要な範囲で共有することも可能である。これらの情報に基づけば、利用者を適切にサポートすることを行いやすくなる。
【0084】
また、例えば、自動車販売店等が代理店となっていることがある。例えば故障等によりロードサービスが提供された際に、その情報が代理店である自動車販売店等に共有されることで、代理店である自動車販売店等は当該自動車のメンテナンスに関する提案等を利用者にすることができ、利用者の満足につながる可能性もある。
【0085】
以上、第1の実施形態について、好ましい態様を示して説明したが、第1の実施形態は、前述した態様にのみ限定されるものではなく、種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0086】
例えば、上述の事故対応システム1の全ての要素が含まれていなくてもよい。例えば、事故対応システム1は、保険代理店の担当者に関する部分を含み、ロードサービス提供者に関する部分を含まなくてもよい。逆に、事故対応システム1は、ロードサービス提供者に関する部分を含み、保険代理店の担当者に関する部分を含まなくてもよい。あるいは、事故対応システム1は、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合の処理を含み、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象とならない故障等の場合の処理を含まなくてもよい。逆に、事故対応システム1は、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象とならない故障等の場合の処理を含み、事故が損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故の場合の処理を含まなくてもよい。その他、例えば過失割合判定システム13を備えないなど、事故対応システム1は、上述の一部を含み、その他の部分を含まなくてもよいし、上述の事項以外を含んでも当然よい。
【0087】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態が自動車保険に関するものであるのに対して、第2の実施形態は、火災保険に関する。第2の実施形態に係る事故対応システムは、多くの部分で第1の実施形態に係る事故対応システムに類似している。このシステムでサポートを受ける利用者は、損害保険会社と契約している火災保険といった損害保険の契約者等である。本実施形態でも、損害保険代理店を通じて保険契約が締結されている場合が想定されている。この場合の事故は、火災、風災、水災、外部からの物体の飛来、盗難、地震、賠償責任が発生する事態などを含み得る。
【0088】
[システムの構成]
図14は、本実施形態に係る事故対応システム2の構成例の概略を示すブロック図である。事故対応システム2に関わる者としては、火災保険の契約者又は被保険者などである利用者、利用者に係る火災保険等の契約をしている損害保険会社30、当該火災保険等に係る損害保険代理店及びその担当者、事故発生時等に利用者からの連絡を受けるコールセンター10、損害を受けた建物等の状態を確認する業者及びその担当者等が挙げられる。
【0089】
利用者の利用者端末61、保険代理店の担当者の代理店端末21については、第1の実施形態の場合と同様である。損害保険会社30に関する構成も、第1の実施形態の場合と同様である。コールセンター10に関する構成は、第1の実施形態のロードサービス手配システム14及び過失割合判定システム13が、それぞれ業者手配システム74及び損害額算定システム73に置き換わっている以外は、基本的には第1の実施形態の場合と同様である。
【0090】
業者の担当者は、それぞれ業者端末81を携帯している。業者端末81は、例えばスマートフォンやタブレット型コンピューターといったものである。なお、業者の担当者は、必ずしも業者端末81を携帯していなくてもよい。業者端末81を携帯していない場合、後述の建物等の状態の確認の要請などは、業者端末81を介さずに行われる。
【0091】
第1の実施形態の場合と同様に、火災等の事故の発生時には、利用者は、利用者端末61を用いて、コールセンター10に事故が発生した旨の連絡をする。この連絡は、電話で行われても、アプリを利用して行われてもよい。コールセンター10は、事故発生の連絡を受けたとき、事故受付処理を行う。
【0092】
コールセンター10は、事故対応システム2において必要な各種情報、プログラム等を備える事故受付サーバー11を有する。また、コールセンター10は、代理店用システム12、例えばAIを用いた損害額算定システム73、及び業者手配システム74としての機能を有する。第1の実施形態の場合と同様に、これら事故受付サーバー11、代理店用システム12、損害額算定システム73、業者手配システム74などは、物理的にはいくつのコンピューターによって構成されていてもよい。また、これらのコンピューターは、どこに設置されていてもよい。
【0093】
事故受付サーバー11には、火災保険等に関する各種情報が記録されている。例えば、損害保険会社と契約している契約者及び契約内容等の情報、当該契約に関わった保険代理店の情報等が記録されている。これに伴って、代理店用システム12には、各火災保険契約と当該契約に関わる損害保険代理店の担当者が携帯する代理店端末21との関係が記録されている。業者手配システム74には、業者、その担当者、担当者が携帯する業者端末81などが記録されている。
【0094】
オペレーターが利用者から聞き取った事故発生情報や、利用者がアプリで入力した事故発生情報は、事故受付サーバー11に記録される。
【0095】
事故発生情報の受付時には、業者手配システム74は、損害を受けた建物等の状態の確認のために、業者を事故現場に派遣する処理を行う。業者手配システム74は、受け付けた事故内容、事故発生場所等に応じて、適切な業者の担当者を事故現場に派遣するように構成されている。例えば、業者手配システム74は、登録されている業者の担当者の中から、事故発生現場に近く、発生した事故内容に対処可能である担当者を選択し、当該担当者に対して事故現場への出動を要請する。この際、一つの手段として、業者の担当者が携帯する業者端末81が用いられる。業者端末81には、例えば、専用のアプリがインストールされている。業者手配システム74は、全ての業者端末81と通信できるように構成されている。
【0096】
業者の担当者は、業者端末81を介して出動要請を受けて、現場へ駆け付ける。担当者は、業者端末81の専用アプリを用いて必要情報を取得することができる。また、業者の担当者は、業者端末81の専用アプリを用いて、事故現場で収集した事故状況に関する情報を業者手配システム74に送信することができる。事故現場で収集した情報には、例えば、事故現場の検分した状況、取得した写真などが含まれ得る。担当者は、業者端末81のみを用いて、必要な一連の処理を行うことができる。
【0097】
業者手配システム74は、担当者の駆け付け状況、情報収集状況等を管理する。また、業者手配システム74は、担当者から提供される事故状況等に関する情報を取得して事故受付サーバー11に記録する。
【0098】
業者端末81を携帯している担当者の派遣について説明したが、全ての担当者が業者端末81を携帯しているとは限らない。業者端末81を有しない担当者に対しては、他の手段が用いられ得る。例えば、パーソナルコンピューターなどの通信端末が、担当者が所属する業者の拠点に設けられており、この通信端末が用いられてもよい。事故現場への担当者の出動の要請が、この通信端末を介して行われてもよい。また、状況確認後に担当者がこの通信端末を用いて、事故に関する情報を業者手配システム74に送信してもよい。このように、事故対応システム2は、業者の担当者の手配に関して複数の手段を備え得る。
【0099】
火災保険が代理店を通じて契約されている場合、代理店用システム12は、事故受付を行った事故に関する事故発生情報を代理店端末21を介して当該火災保険契約に関係する代理店担当者に提供する。代理店担当者が携帯する代理店端末21には、例えば、専用のアプリがインストールされている。代理店担当者は、携帯する代理店端末21を介して事故発生情報の提供を受けることで、事故発生情報を受け付けた直後に事故に関する情報を取得することができる。その結果、代理店担当者は、事故発生情報を受け付けた直後に事故現場に駆け付けることができ、事故現場において利用者をサポートすることが可能となる。
【0100】
また、代理店担当者は、事故現場において、代理店端末21の専用アプリを用いて、損害保険会社30による保険金支払いのために必要な情報を入力することができる。この情報には、例えば、事故現場の検分した状況、取得した写真などが含まれ得る。代理店担当者は、事故現場において、収集した情報に基づいて保険金支払いのための事故内容の確認を含む受付処理を行うことができる。代理店端末21の専用アプリは、この受付処理を行うことができるように構成されている。代理店端末21は、受付処理において必要な受付情報を代理店用システム12に送信するように構成されている。事故現場において、代理店担当者によって適切に受付処理を行えることで、その後の保険金支払いまでの処理が円滑に行われ得るようになる。代理店担当者は、代理店端末21のみを用いて、必要な一連の処理を行うことができる。
【0101】
コールセンター10が備える損害額算定システム73は、保険金の支払額又はその参考値を算出する。支払額等の算出は、所定のアルゴリズムに従って行われる。損害額算定システム73には、人工知能(AI)が用いられてもよい。損害額算定システム73で算出された支払額又はその参考値は、事故受付サーバー11を介して、損害保険会社30に提供される。また、支払額又はその参考値は、代理店端末21を介して、代理店担当者に提供され得る。したがって、代理店担当者は、例えば事故現場において、利用者に支払額を示すことができる。その結果、利用者は一定の安心感などを得ることができる。
【0102】
損害保険会社30は、損害保険会社サーバー31と、事故受付システム32と、代理店連絡システム33とを備える。損害保険会社30の事故受付システム32は、コールセンター10の事故受付サーバー11と通信し、損害保険会社30による保険金支払いの対象となる事故に関する情報を取得する。ここで取得される情報は、コールセンター10で初めに取得された利用者からの情報、業者端末81を介して業者の担当者から提供された事故状況に関する情報、代理店端末21を介して代理店担当者から取得した受付情報、損害額算定システム73で算出された損害額及び保険金支払い額の情報などが含まれ得る。これらの情報は、損害保険会社サーバー31で処理されて、利用者への保険金の支払い等に活用される。また、損害保険会社30は、必要に応じて代理店連絡システム33を介して、代理店担当者と情報交換を行う。
【0103】
[システムの動作]
〈コールセンターのシステムの動作〉
コールセンター10のシステムに係る動作例の概略について
図15に示すフローチャートを参照して説明する。
【0104】
ステップS401において、コールセンター10は、事故発生の連絡があるまで待機する。事故発生の連絡があったとき、ステップS402において、事故受付処理が行われる。すなわち、コールセンター10は、オペレーター又はアプリを介して事故発生に関する情報を取得して、事故発生情報を事故受付サーバー11に記録する。ステップS403において、コールセンター10は、損害保険会社30に事故発生情報を提供する。
【0105】
ステップS404において、コールセンター10は、代理店への通知、及び/又は、業者の手配を行う。すなわち、火災保険が代理店を通じて契約されている場合、代理店用システム12は、事故受付を行った事故に関する事故発生情報を、代理店端末21を介して当該火災保険契約に関係する代理店担当者に提供する。このとき、代理店用システム12は、代理店の担当者が、事故現場の住宅に駆け付けるか否かに関する情報を取得する。また、事故現場の住宅に駆け付けた代理店の担当者が、損害額算定に必要な情報を収集するか否かに関する情報を取得する。
【0106】
また、火災保険が代理店を通じて契約されていないとき、火災保険が代理店を通じて契約されているが代理店の担当者が事故現場の住宅に駆け付けないとき、又は、代理店担当者が事故現場の住宅に駆け付けるが損害額算定に必要な情報を収集できないときなどには、業者手配システム74は、業者の手配を行う。すなわち、業者手配システム74には、複数の業者やその担当者が登録されており、業者手配システム74はこれらの中から事故現場の住宅に近い担当者等を選択し、当該担当者に対して事故現場において必要情報を取得するよう出動要請を行う。業者の担当者は、業者端末81やその他の情報端末、電話機等を用いて、要請を受け、必要な手続きを行う。最初に要請を受けた担当者が出動できなければ、別の担当者に出動要請が行われる。
【0107】
ステップS405において、コールセンター10は、代理店担当者又は業者担当者から事故受付に関する情報や損害額算定に必要な情報を取得して、その情報を事故受付サーバー11に記録された情報に追加するなどの情報更新を行う。
【0108】
ステップS406において、損害額算定システム73は、代理店担当者又は業者担当者から取得した情報を用いて、損害額及び/又は保険金支払い額の算出を行う。算出された損害額及び/又は保険金支払い額は、代理店端末21に提供されてもよい。
【0109】
ステップS407において、事故受付サーバー11は、更新された事故受付情報や、損害額算定システム73で算定された損害額等の情報を損害保険会社30に提供する。これにより、損害保険会社30は、各種情報を取得することができる。損害保険会社30は、これら情報を、保険金支払いを含めた各種手続きに活用することができる。
【0110】
以上により、一連の処理は終了する。以上の処理が、事故連絡を受けるごとに繰り返される。
【0111】
〈代理店端末の動作〉
代理店端末21の動作の概略について、代理店端末21に表示される画面の一例の概略を参照しながら説明する。
【0112】
図16は、上述の処理のステップS404で行われる代理店通知の際に、代理店端末21に表示される画面の一例を示す。この図の例では、画面左側には、コールセンター10で最初に受け付けた事故の情報や事故受付サーバー11等に記録されていた契約者等の情報が表示されている。契約者等の情報は、例えば、証券番号や、保険の種類、契約者及び被保険者の名前、住所及び連絡先等を含み得る。最初に受け付けた事故の情報は、例えば、事故発生日、報告日、事故内容、事故原因等を含み得る。
図16では、これら情報欄が空白で示されているが、すでに取得されている情報に関しては、対応する情報欄に表示される。これらの情報の一部は、損害保険契約時に取得されて予め事故受付サーバー11に記録されていた情報であり得る。また、こられの情報の一部は、事故受付時にコールセンター10で取得された事故発生情報に基づく情報であり得る。代理店の担当者は、この情報に基づいて、事故の概要を知ることができる。
【0113】
画面右側には、事故発生位置、情報確認状況が表示されている。事故発生位置は、地図で表示されてもよい。また、代理店端末21の現在位置に基づいて、事故発生位置まで行く道順や所要時間が表示されてもよい。情報確認状況としては、当該保険契約に係る代理店の担当者一覧が表示され、各担当者がこの事故通知情報を確認したか否か、また、確認してこの事故現場へ駆け付けることにしたか否かなどの情報が含まれ得る。情報確認状況欄には、「駆け付け」ボタンが設けられている。担当者は、事故現場に駆け付ける場合にはこの「駆け付け」ボタンを選択することで、当該担当者が事故現場に駆け付ける意思があることが代理店用システム12に送信される。この情報が共有されることで、各担当者は、他の何れの担当者が事故現場に向かっているかといった状況を把握することができる。
【0114】
図17は、代理店端末21の画面の「事故内容」タブが代理店担当者によって選択されたときの画面の一例を示す。この画面では、収集された最新の情報が反映された事故内容等に関する情報が表示される。
【0115】
図18は、代理店端末21の画面の「事故受付」タブが代理店担当者によって選択されたときの画面の一例を示す。「事故受付」画面を利用して、保険金の請求に必要な事故受付処理が行われ得る。この画面では、「事故内容」タブと同様の内容が表示されるが、代理店担当者は、それらの情報について入力することができる。各欄には代理店担当者が事故現場等に駆け付けて被保険者等から聞き取った情報などが入力される。入力された情報は代理店用システム12を介して、事故受付サーバー11に送信されて記録される。必要書類をアップロードすること等も可能である。
【0116】
図19は、代理店端末21の画面の「AI損害額算定」タブが代理店担当者によって選択されたときの画面の遷移の一例を示す。(a)に示す開始画面で「開始」ボタンを押すと、必要情報の入力が順に要求される。例えば、(b)に示すように、文字による説明文の入力と、写真撮影及び得られた画像のアップロードとが要求される。(c)に示すように、写真をアップロードし、さらに質問に答える形で必要情報の文字情報の入力が行われる。全ての入力がなされると、それら情報を取得した損害額算定システム73によって、損害額の算出、及び、支払われる保険金の算出が行われる。
【0117】
算出された情報が代理店端末21に送信され、(d)に示すようにそれら情報が代理店端末21に表示される。この時点では参考情報ではあるものの、代理店担当者は、事故現場で利用者に保険金の支払い予定額に関する情報を提示することができる。このような情報提供により、利用者の安心感が得られる。
【0118】
また、算出された損害額及び保険金支払い額の情報は、損害保険会社30に提供される。この情報が用いられることで、保険金の支払いは迅速化される。
【0119】
上述の
図16乃至
図19は個別の事故案件に関する画面である。
図20は、代理店端末21で動作する代理店アプリの一覧画面の一例である。代理店アプリには、当該代理店の顧客の情報、契約に関する情報、その他、見積作成のための機能、保険金請求のための機能、報告書作成のための機能などが設けられている。
【0120】
ここでは、代理店端末21の動作の一例について説明したが、業者端末81の動作にも類似するものが含まれる。例えば、業者端末81にも、必要に応じて事故受付のための情報が入力され、業者端末81は、必要な情報を、業者手配システム74を介して事故受付サーバーへ11へと送信する機能を有する。特に、業者端末81は、
図19の例のように、損害額算定に必要な情報を取得するように構成され得る。
【0121】
図16乃至
図20を参照して説明した手順は、代理店の担当者が保険金請求のための事故受付や、損害額算定のために必要な情報の収集を行う例であったが、これらの一部又は全部が、コールセンター10又は業者によって行われてもよい。例えば、代理店担当者が事故の発生した建物に駆け付けないとき、利用者と連絡を取りながらコールセンター10が保険金請求のための事故受付を行い、事故の発生した建物に派遣された業者の担当者が損害額算定のために必要な情報の収集を行ってもよい。
【0122】
[事故対応システムについて]
本実施形態に係る事故対応システム2によれば、利用者からの事故発生の連絡があったときに、素早く代理店担当者又は業者担当者が事故現場に駆け付けて、利用者のサポート、事故に関する情報の収集などにあたることができる。これにより、事故の受付処理や、保険金の額の算定などが、迅速に行われるようになる。
【0123】
例えば、保険金の支払いまでの従来の手続き手順の一例としては、以下のようなものがある。
(1)住宅被害等を伴う事故が発生したとき、保険の契約者が損害保険会社に連絡する。
(2)損害保険会社は、事故受付を行い、契約者に保険金の申請書類を郵送する。
(3)契約者は、発生した被害に関する修理を行う業者を選定し依頼する。
(4)修理業者は、現地調査を行って修理の見積書を作成する。
(5)契約者は、保険金申請書類及び修理業者作成の見積書を損害保険会社に郵送する。
(6)損害保険会社は、内容を検討し、審査を行って、保険金の支払いを行う。
【0124】
このような手順を経ると、複数回の郵便による書類送受、利用者自身による修理業者の手配、申請書類の作成などのため、保険金の支払いまでに数カ月を要することもある。
【0125】
これに対して本実施形態に係る事故対応システム2によれば、例えば、保険金の支払いまでの手続き手順の一例は、以下のようなものになる。
(1)住宅被害等を伴う事故が発生したとき、保険の契約者がコールセンターに連絡する。
(2)コールセンターは事故受付を行い、代理店担当者又は業者担当者を事故現場に向かわせる。
(3)代理店担当者又はコールセンターは、必要情報の入力などの保険金請求のための受付処理を行う。
(4)代理店担当者又は業者担当者は、現場で写真撮影や必要情報の取得などを行う。
(5)損害額算定システムは、入力された情報に基づいて損害額の算出を行い、算出額を損害保険会社に提供する。
(6)損害保険会社は、内容を検討し、審査を行って、保険金の支払いを行う。
【0126】
このような手順により、即時の情報収集、オンラインによる必要情報の送信、損害額算定システムによる損害額の算出などにより、保険金の支払いに要する期間を数日程度まで短縮させることができる。その他、本実施形態に係る事故対応システム2によれば、第1の実施形態の場合と同様の利点が得られる。
【0127】
ここで示した処理は一例であり、処理の一部が追加されたり、削除されたり、順序が入れ替えられたりなど、処理は適宜に変更され得る。
【0128】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0129】
例えば、第1の実施形態と第2の実施形態とは、組み合わせられてもよく、コールセンター10は、自動車保険と火災保険との両方の受付を行ってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1、2 事故対応システム
10 コールセンター
11 事故受付サーバー
12 代理店用システム
13 過失割合判定システム
14 ロードサービス手配システム
16 アプリ受付システム
17 端末
18 電話機
21 代理店端末
30 損害保険会社
31 損害保険会社サーバー
32 事故受付システム
33 代理店連絡システム
41 ロードサービス提供者端末
61 利用者端末
73 損害額算定システム
74 業者手配システム
81 業者端末
【要約】
【課題】事故の発生時に当該事故に関する情報が損害保険の代理店の担当者に伝わるようにする。
【解決手段】事故対応システム1は、自動車事故の発生時に損害保険契約に関わる利用者からの事故発生の報告を受けて取得される事故発生情報が記録されるように構成された事故受付サーバー11と、前記利用者からの前記事故発生の報告があったら、前記損害保険契約に関わる損害保険代理店として登録された代理店担当者が携帯する代理店端末に前記事故発生情報に基づく情報を送信するように構成された代理店用システム12とを備える。
【選択図】
図1