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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/04 20060101AFI20230731BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20230731BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
A61J1/14 522
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023092314
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2023-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523212667
【氏名又は名称】武田 真実
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】武田 真実
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0214347(US,A1)
【文献】特開2019-181131(JP,A)
【文献】登録実用新案第3145318(JP,U)
【文献】登録実用新案第3122591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/04
A61J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長の略直方体形状に形成されると共にその長手方向に間隔をおいて設けられる隔壁により各々一回分の薬剤及び/又はサプリメントを収容可能な複数の個室に区画され、前記複数の個室は上部開口を有し、前記上部開口は相互に独立したヒンジ開閉式の小蓋で個別に開閉可能とされており、薬剤及び/又はサプリメントが収容される個室の小蓋に該個室に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用日付を示す表示情報が前記小蓋の外側から認識できるように表示されている複数の小箱と、
前記複数の個室がマトリクス状に平面配置されるように前記複数の小箱を整列収納可能な略直方体形状に形成されており、上部を開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋を有する大箱と、を備え、
前記複数の小箱と前記大箱は少なくとも底部が透明で内部が透けて見えるように形成されており、
前記大蓋には前記大箱に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用時間帯を示す表示情報を前記大蓋の外側から認識できるように表示する表示板が取り付けられており、前記複数の小箱において前記服用日付を示す表示情報が表示されている小蓋と相対向する個室の底部には前記小蓋に表示されている表示情報と同じ表示情報が前記個室の底部の外側から認識できるように表示されていることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
横長の略直方体形状に形成されると共にその長手方向に間隔をおいて設けられる隔壁により各々一回分の薬剤及び/又はサプリメントを収容可能な複数の個室に区画され、前記複数の個室は上部開口を有し、前記上部開口は相互に独立したヒンジ開閉式の小蓋で個別に開閉可能とされており、薬剤及び/又はサプリメントが収容される個室の小蓋には該個室に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用日付を示す表示情報が前記個室の外側から認識できるように表示されている複数の小箱と、
前記複数の個室がマトリクス状に平面配置されるように前記複数の小箱を整列収納可能な略直方体形状に形成されており、上部を開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋を有する大箱と、を備え、
前記複数の小箱と前記大箱は少なくとも底部が透明で内部が透けて見えるように形成されており、
前記複数の小箱において前記服用日付を示す表示情報が表示されている小蓋と相対向する個室の底部には前記小蓋に表示されている表示情報と同じ表示情報が前記個室の底部の外側から認識できるように向けて表示されており、前記底部に表示されている表示情報は前記小蓋に表示されている表示情報よりも小さく且つ前記底部の隅部に寄せられた位置に配置されていることを特徴とする収納容器。
【請求項3】
前記大箱はその底部が上方へ突出する横断面概ねへ字形又はアーチ形の凸条部で複数の凹部に区画されており、
前記複数の小箱はすべて前記凸条部の下端に接するように収納されることを特徴とする請求項1又は2記載の収納容器。
【請求項4】
前記大箱はその底部の周縁に前記周縁と直交する方向に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤やサプリメントを服用する日付及び時間帯ごとに収容して服用忘れや重複服用を防止するための収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤やサプリメント(薬剤等)の服用忘れや重複服用を防止するために、例えば特許文献1に示される収納容器1が提案されている。この収納容器1は、それぞれヒンジ開閉式の上蓋8に1~31日までの日付7を表示した31個の小箱3と、それらの小箱3を暦に従って平面マトリクス状に収容可能な大箱2とからなり、大箱2は朝、昼、晩などの時間帯別に複数設けられて上下に積み重ねられるように構成されている。
【0003】
特許文献1には、大箱2から小箱3を取り出す際の操作部として小箱の上部の周囲に段差11や凸条部12を設けること、大箱2と小箱3に朝、昼、晩の識別手段として異なる色彩を付すこと、移動時における小箱落下防止のために大箱に開閉蓋を設けること、小箱どうしを連結及び分離可能とする連結手段24を設けて朝、昼、晩の一日分又は数日分の薬剤等を収納可能な小箱を連結して持ち運べるようにすることなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3122591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の収納容器を適切に運用すれば、薬剤等の服用忘れや重複服用が防止されるが、必要な薬剤等が小箱に正しく投入されているか、間違いなく服用されているか等を確認する際や、手先を器用に動かせなかったり、手に力が入らなかったりする高齢者が薬剤等を取り出したりする際には下記のような問題がある。
【0006】
小箱3への薬剤等の投入は手作業で行われるため、例えば複数種類ある薬剤等の一部を入れ漏らしたり、個数を間違えたりするミスは避けられない。したがって、斯かるミスを 修正するために、作業終了後、小箱3の上蓋8をすべて開口したままで内部を目視点検して足りない分の薬剤等を追加投入したり、多く入れ過ぎた薬剤等を取り出したりする修正作業が必要になる。しかし、小さな小箱3がバラバラに置かれた状態では各小箱3の内部に入れられた薬剤等に対して視線が定まりにくく的確に目視点検することは難しい。
【0007】
大箱2に収容すれば小箱3が整然と並べられて視線は定まり易くなるが、それでも上蓋8の開き具合が不十分であったり、逆に大きく開かれた上蓋8でその陰にある小箱3の開口が覆われたりすれば、すべての小箱3を迅速且つ的確に目視点検することは難しい。薬剤等の服用忘れ等を点検する場合にも小箱3の内部を目視点検する必要があるが、そのために各小箱3の上蓋8を一々開けることは面倒であり、蓋付きの大箱に収容されていればその蓋も開ける必要があり煩わしい。
【0008】
薬剤等を服用する際には大箱2から服用当日の日付が表示されている小箱3を取り出し、その上蓋8を開いて上下反転させることで薬を取り出せるが、大箱2から小箱3を取り出す際の操作部9は小箱3の上部周囲に設けられた僅かな段差部10や小さな凸条部12であるため、これらを把持して引き出す作業は、手先を器用に動かせず力も入りにくい高齢者には大変負担になる。服用後は小箱3を取り出した元の場所に戻し入れるが、これは元の場所に対して角度も位置も一致するように嵌め込まねばならず高齢者には大変やり辛い。また、大箱2を持ち運ぶ際、高齢者は握力が弱く上手く掴めずに手から滑り落ちて、収納容器1を落下破損させる恐れもある。
【0009】
上記事情に鑑みて、本発明は薬の入れ間違い等を迅速且つ的確に目視点検可能で、手先を器用に動かせず力も入りにくい高齢者でも容易に取り扱える収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、
横長の略直方体形状に形成されると共にその長手方向に間隔をおいて設けられる隔壁により各々一回分の薬剤及び/又はサプリメントを収容可能な複数の個室に区画され、前記複数の個室は上部開口を有し、前記上部開口は相互に独立したヒンジ開閉式の小蓋で個別に開閉可能とされており、薬剤及び/又はサプリメントが収容される個室の小蓋に該個室に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用日付を示す表示情報が前記小蓋の外側から認識できるように表示されている複数の小箱と、
前記複数の個室がマトリクス状に平面配置されるように前記複数の小箱を整列収納可能な略直方体形状に形成されており、上部を開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋を有する大箱と、を備え、
前記複数の小箱と前記大箱は少なくとも底部が透明で内部が透けて見えるように形成されており、
前記大蓋には前記大箱に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用時間帯を示す表示情報を前記大蓋の外側から認識できるように表示する表示板が取り付けられており、前記複数の小箱において前記服用日付を示す表示情報が表示されている小蓋と相対向する個室の底部には前記小蓋に表示されている表示情報と同じ表示情報が前記個室の底部の外側から認識できるように表示されていることを特徴とする収納容器
を提供する。
【0011】
請求項2の発明は、
横長の略直方体形状に形成されると共にその長手方向に間隔をおいて設けられる隔壁により各々一回分の薬剤及び/又はサプリメントを収容可能な複数の個室に区画され、前記複数の個室は上部開口を有し、前記上部開口は相互に独立したヒンジ開閉式の小蓋で個別に開閉可能とされており、薬剤及び/又はサプリメントが収容される個室の小蓋には該個室に収容される薬剤及び/又はサプリメントの服用日付を示す表示情報が前記個室の外側から認識できるように表示されている複数の小箱と、
前記複数の個室がマトリクス状に平面配置されるように前記複数の小箱を整列収納可能な略直方体形状に形成されており、上部を開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋を有する大箱と、を備え、
前記複数の小箱と前記大箱は少なくとも底部が透明で内部が透けて見えるように形成されており、
前記複数の小箱において前記服用日付を示す表示情報が表示されている小蓋と相対向する個室の底部には前記小蓋に表示されている表示情報と同じ表示情報が前記個室の底部の外側から認識できるように向けて表示されており、前記底部に表示されている表示情報は前記小蓋に表示されている表示情報よりも小さく且つ前記底部の隅部に寄せられた位置に配置されていることを特徴とする収納容器
を提供する。
【0012】
請求項3の発明は、
前記大箱はその底部が上方へ突出する横断面概ねへ字形又はアーチ形の凸条部で複数の凹部に区画されており、
前記複数の小箱はすべて前記凸条部の下端に接するように収納されることを特徴とする請求項1又は2記載の収納容器
を提供する。
【0013】
請求項4の発明は、
前記大箱はその底部の周縁に前記周縁と直交する方向に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の収納容器
を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る収納容器を示す図。
図2】収納容器の大箱の大蓋を閉じた状態を示す図。
図3】小箱の一つを示す図。
図4】小箱の小蓋をすべて閉じた状態を示す図。
図5】大箱を示す図。
図6】収納容器の断面図。
図7】収納容器のセットを示す図。
図8】立てた収納容器を底面側から見た図。
図9】小箱の取り出しについて説明する図。
図10】収納容器の側面図。
図11】収納容器の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本実施形態に係る収納容器1)
以下、本発明の実施形態である薬剤(服用薬)の収納容器1について図面参照しながら説明する。収納容器1は、図1、2に示すように横長の略直方体形状に形成される8つの小箱2(2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h)と、略直方体形状に形成されて上記8つの小箱2を左右に長くなるように向けた状態で、横2列、縦4段のマトリクス状に整列させて収納する大箱3と、を備えてなる。
【0016】
(小箱2)
小箱2は、有彩色の透明プラスチック素材で内部が全体的に透けて見える(内容物を目視確認できる)ように形成されており、図3、4に示すように上部開口を有する小箱本体21が長手方向に間隔をおいて設けられる3つの隔壁22により4つの個室23に区画されている。各個室23は、1回服用分の薬剤を収容可能な大きさを有しており、上部開口が相互に独立したヒンジ開閉式の小蓋(上蓋)24で個別に開閉可能とされている。すなわち、小箱2は個別に開閉する個室23が横方向に4個連続するように一体的に形成されている。各小蓋24は、上部開口の縁部において前後方向に回動自在となるように支持されており、その自由端に閉鎖時のロック24aが設けられており、ロック24aは小箱本体21に設けられるロック受け21aと離脱可能に嵌合する。なお、小蓋24を閉じることにより各個室は密閉されるようになっている。
【0017】
上記8つの小箱2には、全部で32個の個室23があり、1~12月のすべての月の1か月(28~31日)分に対応する服用回数(28~31回)の薬剤を収容可能であり、各個室に収容された1回服用分の薬剤は、その小蓋24のみを開いて小箱2を上下反転させることで個別に取り出すことができる。各小蓋24の中央部には、各個室23に収容される薬剤の服用日付を示す表示情報として「1」~「31」の数字が、図1に示すように個室23の外側(上面側)へ向けられるようにして小蓋24の外側から高齢者等でも容易に視認できるように大きく表示されている。
【0018】
具体的には、小箱2aに「1」~「4」、小箱2bに「5」~「8」、小箱2cに「9」~「12」、小箱2dに「13」~「16」、小箱2eに「17」~「20」、小箱2fに「21」~「24」、小箱2gに「25」~「28」、小箱2hに「29」~「31」の数字がそれぞれ小さいものから順番に左から右へ並ぶように表示されている。各数字は、印字又は印字シールを貼付することにより表示されており、小箱2hの右端に位置する個室23の小蓋24への表示はない。
【0019】
上記のとおりであるから、上記8つの小箱2を大箱3に適宜に整列収納することにより、図1に示すように、32個の個室23が上下方向で重なることなく横8列、縦4段のマトリクス状に平面配置されると共に、図中の左奥側から右手前側へ向かう1~3段目の8個と4段目の7個からなる31個の個室23において1か月分の服用日付となる「1」~「31」の数字を左側から右側へ向けて小さいものから順番に並ぶように且つ奥側から手前側へ向けて大きくなるように配置することができる。
【0020】
上記31個の各個室23には、図3に示すように小蓋24の中央に大きく表示されている服用日付を示す数字と同じ数字(表示情報)が小蓋24と相対向する底部25にもそれぞれ個室の外側(底面側)へ向けられるようにして前記底部の外側から視認できるように印字又は印字シールを貼付することにより表示されている。底部25に表示される数字は、小蓋24に表示される数字に比べて小さく且つ各底部25の隅部(底部を上面から見たときの右上隅)に寄せられた位置に配置されている。なお、各小箱本体21には服用日付を示す数字に加えて、側面に、服用時間帯を示す文字(表示情報)として「あさ」の文字が前記側面の外側から視認できるように印字又は印字シールを貼付することにより表示されている。
【0021】
(大箱3)
大箱3は、無色又は白色の透明プラスチック素材で小箱2と同様に内部が全体的に透けて見えるように形成されており、図1、2及び5に示すように、上記8つの小箱2を整列収納可能な大箱本体31と、その上部開口を小箱2と同様に前後方向に開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋(上蓋)32と、を有してなり、小箱2を一纏めにして保護する。大蓋32は、前後方向に回動自在とされており、その自由端に閉鎖時のロック32aが設けられており、ロック32aは大箱本体31に設けられるロック受け31aと離脱可能に嵌合する。
【0022】
大箱本体31は、図1に示すように、収納した小箱2が上方へ僅かに高く突出する程度の深さを有する略矩形状のトレイ体であり、底部31bの長手方向の中央には、図5、6に示すように短手方向の全体に亘って上方に突出する略左右対称で横断面概ねへ字形の凸条部31cが形成されている。凸条部31cは底部31bを2つの略矩形状の凹部31dに区画し、すべての小箱2が凸条部31cの下端(裾部分)に接するように収納される。なお、大蓋32が閉じられると、その下面が小箱2の上面と近接することにより小箱2の上下方向のガタつきが抑えられるため、小箱2が凸条部31cを乗り越えて横ずれすることはなく整列状態が乱れることもない。
【0023】
大蓋32の上面には、図2に示すように、大箱3に収容される薬剤の服用時間帯を示す文字(表示情報)を記載したステッカー(表示板)33が貼り付けられており、これにより薬剤の服用時間帯が大箱2の外側に向けられるようにして外部から視認できるように表示される。大蓋32の下面には、図1、5に示すように、大箱3に収容される薬剤の服用時間帯、薬剤の名称、1回分の服用量(数量)、効用等を示す文字(表示情報)を記載したステッカー(表示板)34が貼り付けられており、これらにより大蓋3を開いたときにその内側へ向けられるように上記文字が表示される。ステッカー33、34には収納容器1を用いる使用者(薬剤を服用する者)の名前を示す文字を表示するようにしても良い。
【0024】
ところで、図1~5に示す収納容器1、小箱2及び大箱3は、何れも朝に服用する薬剤を収納するもので、小箱2、ステッカー33、34に表示される情報は、服用時間帯が「朝(あさ)」である旨が記載されているが、図7に示すように、「昼(ひる)」、「夜(よる)」、「就寝前(ねるまえ)」等の相互に異なる時間帯を記載した複数の収納容器1を用意することにより、これらを組み合わせた収納容器セットとして使用することができる。
【0025】
この場合、使用者が服用時間帯の異なる薬をうっかり取り違える可能性を減らすと共に正しい時間帯の薬を直感的に選択できるように、また、字が読めない未就学児でも服用時間を判断できるようにするため、ステッカー33には上記文字情報に加え、服用時間帯を示す表示情報として、服用時間帯に応じて相互に異なる図柄やメッセージを記載したり、ステッカーの地色を相互に異ならせたりする措置を講じる。
【0026】
例えば、朝の薬剤を収容する朝の収納容器のステッカーは朝をイメージさせる「小鳥」の図や「おはよう」の文字(挨拶)を記載し、地色は朝の空を連想させる「青色」で着色する。図7に具体的な記載はしていないが、例えば昼の収納容器のステッカーは「太陽」の図や「こんにちは」の文字(挨拶)を記載し、地色は日中の太陽を連想させる「黄色」で着色する。夜の収納容器のステッカーは「月」の図や「こんばんは」の文字(挨拶)を記載し、地色は黄昏を連想させる「ピンク色」で着色する。就寝前の収納容器のステッカーは「眠る動物」の図や「おやすみ」の文字(挨拶)を記載し、地色は安らぎを連想させる「緑色」で着色する。
【0027】
それでも所定時間帯(例えば朝)の薬剤を収容した小箱2を異なる服用時間帯(例えば夜)を示す表示情報を表示したステッカーを取り付けた大箱3に収納し間違えると誤飲を生じる。そこで、小箱2と大箱3の組み合わせを間違えないように、小箱2の色合いは服用時間帯が同じ大箱のステッカー33の色合いに揃えられる。すなわち小箱2の色合いは、ステッカーと同様に朝用は「青色」、昼用は「黄色」、夜用は「ピンク色」、就寝前用は「緑色」に着色される。但し小箱2は個室内部に収容する薬剤を外部から容易に視認できるように光の透過率を高くするために薄く着色される。
【0028】
(本実施形態に係る収納容器1の作用)
本実施形態に係る収納容器1は上記のように構成されていることで下記の作用を奏する。
【0029】
本実施形態に係る収納容器1は、薬剤を直接収容する複数の小箱2とそれを収納する大箱3の両方が透明プラスチック素材で内部が透けて見えるように形成されており、しかも大箱3に小箱2を整列収納することによりすべての個室23がマトリクス状に平面配置された状態になるため、小箱2が大箱3に収納した状態で、小箱2の各個室23の内容物を大箱3の外側から個別に目視確認することができる。したがって、1か月分の薬剤を小箱2に投入した後で入れ漏らしや個数を間違えたりするミスがないか点検する場合に、小蓋2を閉じた小箱2を大箱3に収納し、視線を各個室23に沿って直線的に移動させながら迅速かつ的確に点検を済ませることができる。薬剤の服用忘れがないかを目視点検する場合にも一目で確認することができる。
【0030】
本実施形態に係る収納容器1は、大箱3の大蓋32にステッカー33、34が取り付けられていて、大蓋32を閉じると一部の個室23が見えなくなるが、大箱本体31の底部側には視線を遮るものが取り付けられておらず、大箱を図8に示すように立てたり、あるいは上下反転させたりすれば、大蓋32を開けたり、小箱2を取り出したりしなくても、すべての個室23について内部の状況を大箱3の底部31b側の外側から見透すことができる。各個室23の底部25にはそれぞれ服用日付を示す数字が表示されていて、これらの数字も大箱3の外部から視認(認識)することができるので、入れ漏らしや個数の間違いを発見したときに該当する個室をその底部に表示されている数字で容易に特定することができる。したがって、小箱2を取り出して足りない分の薬を追加投入したり、多く入れ過ぎた薬を取り出したりする修正作業は、大蓋32を開けて小蓋24に表示されている数字を目当てに効率よく実施することができる。
【0031】
本実施形態に係る収納容器1は、各個室23の底部25に表示されている服用日付の数字が、上部の小蓋24の中央に表示されている数字よりも小さく、図8に示すようにこれらの数字が正しい上下向きとなるように大箱3の姿勢を整えたときには数字が底部25の上方の片隅に位置し、逆に薬剤は底部25の下方に位置することになるため、数字があることで薬剤の目視点検が妨げられることはない。高齢者や障碍者を世話する家族や介護ヘルパーが服用し忘れがないか点検する際にも小箱2が収納されて大蓋32を閉じられた大箱3をそのまま立てたり、上下反転させたりして底部側から一瞥するだけで済む。なお、図8に示す収納容器1においては1日~6日まで服用済みであることが一目瞭然である。
【0032】
本実施形態に係る収納容器1は、小箱2が複数個の個室23を連続させるように一体的に形成されており、或る程度の大きさを有するため、枕元や床に落としたりしたときに小さすぎて見失ってしまうということが防止される。また、外出時に小箱2を取り出して個別に携行する場合にもバッグの中で他の物に紛れて行方が分からず服用しそびれることが防止される。なお、小箱2は服用日付を示す数字(表示情報)だけではなく、服用時間帯を示す文字(表示情報)も表示されており、服用時間帯に応じて異なる色合いに着色されているため、服用時間帯の異なる複数の小箱を携行した場合でも取り違えることなく服用することができる。
【0033】
本実施形態に係る収納容器1は、大箱3の底部31bが上方(内側)へ突出する横断面概ねへ字形(山形)の凸条部31cで2つの凹部31dに区画されている。8つの小箱2はすべて、図6に示すように凸条部31cの下端(麓部)に接するように収納されて、横方向で凸条部31c挟むようにして相互に隣り合う小箱2との間に凸条部31cと同幅の隙間gを有するように配置される。収納容器1の使用者が小箱2を取り出す際には、図9(a)に示すように小箱2の端に指先を掛けて隙間gの方へ傾けるか、図9(a)に示すように隙間gに指先を差し入れて上方へ引き出すことで取り出しが容易になる。
【0034】
本実施形態に係る収納容器1は、小箱2を元の位置に戻し入れる際には、隣り合う小箱との間に隙間gの分だけ寸法的な余裕があることにより、正確な位置にぴったり宛がわなくても楽に戻し入れられて、しかも凸条部31cの傾斜により自然に元の位置に整列収納することができる。凸条部31cは、外側から見ると、図10に示すように大箱3を手で掴んだときに指を掛けられる溝状の凹みとなり、これにより、握力の弱い高齢者でも持ち運び時に手から滑り落とさないように確り保持することができる。
【0035】
本実施形態に係る収納容器1は、小箱2のプラスチック素材の色と、小箱2を収納する大箱3に取り付けられているステッカー33の地色の色が、同じ服用時間帯のもの同士で同色系に統一されており、それぞれ異なる服用時間帯のものとは明らかに区別することができる色合い(青色、黄色、ピンク色、緑色)に着色されているため、小箱2を異なる服用時間帯の大箱3に入れ間違えることによる誤飲が確実に防止される。
【0036】
本実施形態に係る収納容器1は、大箱3における大蓋32の開閉方向と、大箱3に収納された状態の小箱2における小蓋24の開閉方向が同じ前後方向に揃えられているので、大蓋32を前方へ開いて小箱2を取り出した後、小箱2の向きを変えることなく、そのまま小蓋24を大蓋32と同じように前方へ開くことができるので、手の動きが簡単になり、認知機能が衰えている高齢者等にとって取り扱い易い。
【0037】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、図8に収納容器1に収納されている薬剤の剤形として錠剤とカプセル剤が描かれているが、包材に封入された散剤又は顆粒材をそのまま収納しても良い。また、収納容器1には、薬剤(服用薬)とサプリメントを合わせて収納しても良く、又はサプリメントのみを収納することとしても良い。
【0038】
上記実施形態では、収納容器1は、それぞれ4つの個室を有してなる8つの小箱2を横方向に長く向けて、大箱3において横2列、縦4段に整列させ、32個の個室を横8列、縦4段の平面的に並ぶように収納したが、複数の個室が上下方向で重ならずマトリクス状に平面的に配置されるのであれば、これに限らず他のレイアウトを採用しても良い。一つの小箱に設けられる個室の数は3つ以下でも5つ以上でも良く、大箱3において小箱2は横1列又は3列以上、縦3段以下又は5段以上に整列させるようしても良い。例えば7つの個室を有してなる5つの小箱を、大箱において横1列、縦5段に整列させて、35個の個室が横7列、縦5段のマトリクス状に平面配置されるようにしても良い。
【0039】
上記実施形態では、小箱2において服用日付や服用時間帯を示す情報を各小蓋24や小箱本体21に直接印字するか又は印字シールを貼付することにより表示したが、視覚障碍者等による使用に対応するため、これらに加えて、各小蓋24の上面や小箱本体21の外側面に点字で表示して小蓋や小蓋本体の外側から指で認識できるようにしても良い。また、大箱3において服用時間帯、使用者(服用者)の名前、薬剤の名称、1回分の服用量(数量)、効用等を示す情報を印字したステッカー33、34を貼付することにより表示したが、これらに加えて、大蓋の外側面や内側面に点字で表示して指で認識できるようにしても良い。点字を表示する方法としては、凹凸プリント、点字シールの貼付、点字のインジェクション成形などが採用される。
【0040】
上記実施形態では、収納容器1は、小箱2と大箱3は透明プラスチック素材で形成されて、個室の内部が全体的に透けて見えるものとしたが、これに限らず、小箱2も大箱3も底部のみが透明でそこから個室の内部が透けて見えるように形成しても良い。薬によっては光が当たらない状態で保存することが絶対必要であるか、光を当てないようにすることが好ましいものがあり、それに対応するためである。
【0041】
上記実施形態では、収納容器1は、大箱3の底部31bに形成される凸条部31cが長手方向の中央に1本だけであったが、小箱の配置レイアウトに応じて複数本形成してもよく、更に縦横に交差するように形成することとしても良い。また、凸条部の横断面形状は、小箱を起こしたり、小箱の側方に指先を掛けたりするための隙間を設けることができて、小箱をその傾斜に沿って滑らせることにより、自然に整列位置に収納させるようにするものであれば、へ字形に限らず、アーチ形に形成することとしても良い。あるいは凸条部を一切設けないこととしても良い。
【0042】
上記凸条部31cに加えて、図11に示すように、大箱の底部の周縁において周縁と直交する方向に傾斜する傾斜部31eを設けるようにしても良い。傾斜部31eによって小箱2と大箱3の間に隙間が設けられることにより、凸条部を設けるのと同様に小箱2に指先を掛け易くなり、小箱2を容易に取り出せるようになる。その他、本発明は、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更をなし得る。
【符号の説明】
【0043】
1 収納容器
2 小箱
21 小箱本体
21a ロック受け
22 隔壁
23 個室
24 小蓋
24a ロック
25 底部
3 大箱
31 大箱本体
31a ロック受け
31b 底部
31c 凸条部
31d 凹部
31e 傾斜部(変形例)
32 大蓋
32a ロック
33 ステッカー
34 ステッカー
【要約】
【課題】 薬の入れ間違い等を迅速且つ的確に目視点検可能で、手先を器用に動かせず力も入りにくい高齢者でも容易に取り扱える収納容器を提供する。
【解決手段】 略直方体形状に形成されてその長手方向において各々一回分の薬剤等を収容可能な複数の個室に区画されて上部開口を有する小箱本体に上部開口を個別に開閉可能とするヒンジ開閉式の小蓋を有し個室の小蓋に収容される薬剤等の服用日付を示す数字が表示されている複数の小箱と、複数の個室がマトリクス状に平面配置されるように複数の小箱を整列収納可能な略直方体形状に形成されて上部を開閉可能とするヒンジ開閉式の大蓋を有する大箱と、を備え、
複数の小箱と大箱は少なくとも底部が透明で内部が透けて見えるように形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11