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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】伸縮装置の撤去工法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/06 20060101AFI20230801BHJP
   E01C 11/02 20060101ALI20230801BHJP
   B28D 1/08 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E01D19/06
E01C11/02 A
B28D1/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022083185
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593184363
【氏名又は名称】コンクリートコーリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391059414
【氏名又は名称】コンクリートコーリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丈達 康太
(72)【発明者】
【氏名】長塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】坂田 圭信
(72)【発明者】
【氏名】井上 尚也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由貴路
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 浩太
(72)【発明者】
【氏名】小澤 純
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183404(JP,A)
【文献】特開2015-200078(JP,A)
【文献】特開2016-003535(JP,A)
【文献】特開2018-066227(JP,A)
【文献】特開2005-139773(JP,A)
【文献】特開2018-145668(JP,A)
【文献】特開平02-008403(JP,A)
【文献】特開2003-193418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/06
E01D 22/00
E01D 24/00
E01C 11/02-11/14
E01C 23/09
B28D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、
前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、鉛直方向に縁切り切断する工程と、
前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、鉛直方向に縁切り切断する工程と、
前記橋台側ジョイント部材と前記橋台との固定部近傍を、前記床版を支持する主桁と前記橋台との間に設けられている遊間を利用して配置したワイヤーソーを使用して、水平方向に縁切り切断する工程と、
を備えることを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮装置の撤去工法において、前記ワイヤーソーを駆動する駆動機構を、前記道路地盤に沿う壁高欄の外側に配置することを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項3】
請求項2に記載の伸縮装置の撤去工法において、
前記床版を支持する主桁の上面であって、前記橋台との間に設けられた遊間に露出する部分に、橋軸直角方向に延在するガイド部材を設け、
該ガイド部材で、前記遊間に露出する前記ワイヤーソーを支持することを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項4】
橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、
前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、
前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、
を備え、
ワイヤーソーを駆動する駆動機構を、前記道路地盤に沿う壁高欄の外側に配置するとともに、
前記床版を支持する主桁の上面であって、前記橋台との間に設けられた遊間に露出する部分に、橋軸直角方向に延在するガイド部材を設け、
該ガイド部材で、前記遊間に露出する前記ワイヤーソーを支持し、
前記橋台側ジョイント部材と前記橋台との固定部近傍を、前記ワイヤーソーを使用して水平方向に縁切り切断することを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項5】
橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、
前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、
前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、
前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍の壁高欄を、一部切断して形成した前記床版側の先行切断部と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台背面側の道路地盤との固定部近傍の壁高欄を、一部切断して形成した前記道路地盤側の先行切断部とを、それぞれ撤去する工程と、
撤去された前記床版側の先行切断部と前記道路地盤側の先行切断部との間に位置する残置部分を、前記床版側ジョイント部材とともに一体撤去する工程と、
を備えることを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項6】
請求項5に記載の伸縮装置の撤去工法において、
前記床版側の先行切断部を、下方が幅狭となる形状に切断することを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【請求項7】
請求項1に記載の伸縮装置の撤去工法において、
前記床版側ジョイント部材と前記橋台側ジョイント部材とを、つなぎ材により連結し同時に撤去することを特徴とする伸縮装置の撤去工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁と橋台との遊間を跨いで設置されている伸縮装置の撤去工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、温度変化に伴って橋軸方向に伸縮する橋桁と橋台との間には、その伸縮量を吸収するべく遊間が設けられている。遊間は、橋桁上に設けられている床版と橋台とに跨って設置される伸縮装置により覆われ、これにより、遊間の上方で橋軸方向の平面的な連続性が確保されている。
【0003】
このような伸縮装置は、例えば特許文献1で示すように、一対の継手部材と、継手部材の側面に設けられたアンカー部材を備える。特許文献1において、一対の継手部材は、一方が床版に設けられるとともに他方が橋台に設けられ、互いに対向する端部に凹凸状の先端面が、隙間を空けた状態で噛合するように配置されている。
【0004】
また、アンカー部材は、継手部材における床版もしくは橋台と対向する側面にそれぞれ設けられている。このアンカー部材は、床版もしくは橋台の端部上面に設けられた凹部に配置されるとともに、凹部に充填されたコンクリートに埋設される。これにより、伸縮装置は、床版及び橋台の両者に固定され一体化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-108278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で示したような伸縮装置は、経年使用により老朽化することから、定期的に交換する必要が生じる。交換にあたり、既設の伸縮装置を床版及び橋台各々から分離する作業は一般に、両者を固定するコンクリートをブレーカーやウォータージェットにより斫り取る。このため、作業が煩雑であるとともに多大な時間を要する。
【0007】
また、伸縮装置だけでなく壁高欄の伸縮装置に接続する範囲も、伸縮装置とともに撤去する。このとき、壁高欄の撤去部分を伸縮装置に接続させたまま同時に撤去しようとすると、これらを揚重した際、壁高欄の撤去部分と残置部分との間で競り合いを生じて、揚重作業に手間を要する場合が多い。
【0008】
このため、一般的には、伸縮装置に接続する壁高欄の撤去部分を、伸縮装置から切断分割させたうえで、伸縮装置の撤去前に先行して撤去する。このように、伸縮装置の撤去は、コンクリートの斫り作業と撤去部分の分割作業が基本であるため、多大な手間を要していた。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、橋桁と橋台との遊間を跨いで設置されている伸縮装置を撤去する際の、作業の簡素化及び効率化を図り、工期短縮を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明の伸縮装置の撤去工法は、橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、鉛直方向に縁切り切断する工程と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、鉛直方向に縁切り切断する工程と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台との固定部近傍を、前記床版を支持する主桁と前記橋台との間に設けられている遊間を利用して配置したワイヤーソーを使用して、水平方向に縁切り切断する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、前記ワイヤーソーを駆動する駆動機構を、前記道路地盤に沿う壁高欄の外側に配置することを特徴とする。
【0012】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、前記床版を支持する主桁の上面であって、前記橋台との間に設けられた遊間に露出する部分に、橋軸直角方向に延在するガイド部材を設け、該ガイド部材で、前記遊間に露出する前記ワイヤーソーを支持することを特徴とする。
【0013】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、を備え、ワイヤーソーを駆動する駆動機構を、前記道路地盤に沿う壁高欄の外側に配置するとともに、前記床版を支持する主桁の上面であって、前記橋台との間に設けられた遊間に露出する部分に、橋軸直角方向に延在するガイド部材を設け、該ガイド部材で、前記遊間に露出する前記ワイヤーソーを支持し、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台との固定部近傍を、前記ワイヤーソーを使用して水平方向に縁切り切断することを特徴とする。
【0014】
本発明の伸縮装置の撤去工法によれば、床版側ジョイント部材と床版との固定部近傍、及び橋台側ジョイント部材と橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍が、いずれも切断作業により縁切りされる。これにより、従来より実施していたブレーカーやウォータージェットによるコンクリートの斫り作業を省略でき、伸縮装置を撤去する作業の簡素化及び効率化を図ることが可能となる。
【0015】
また、橋台側ジョイント部材と橋台との固定部近傍を、ワイヤーソーを使用して水平方向に縁切り切断するとともに、ワイヤーソーを駆動する駆動機構を壁高欄の外側に配置する。これにより、道路地盤側の空間を他の作業に有効活用できるため、さらに撤去作業の効率化を図ることが可能となる。加えて、遊間に露出するワイヤーソーを橋軸直角方向に延在するガイド部材で支持するため、水平切断作業時に生じる恐れのある、ワイヤーソーの垂れ下がりを防止することも可能となる。
【0016】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍の壁高欄を、一部切断して形成した前記床版側の先行切断部と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台背面側の道路地盤との固定部近傍の壁高欄を、一部切断して形成した前記道路地盤側の先行切断部とを、それぞれ撤去する工程と、撤去された前記床版側の先行切断部と前記道路地盤側の先行切断部との間に位置する残置部分を、前記床版側ジョイント部材とともに一体撤去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、前記床版側の先行切断部を、下方が幅狭となる形状に切断することを特徴とする。
【0018】
本発明の伸縮装置の撤去工法は、前記床版側ジョイント部材と前記橋台側ジョイント部材とを、つなぎ材により連結し同時に撤去することを特徴とする。
【0019】
本発明の伸縮装置の撤去工法によれば、先行して撤去された前記床版側の先行切断部と前記道路地盤側の先行切断部との間に位置する後行撤去部を、前記床版側ジョイント部材ととともに一体撤去する。これにより、これらを分割して個別に撤去する場合と比較して、撤去作業の効率化を図ることができる。また、壁高欄における床版側の先行切断部を下方が幅狭となる形状に切断すると、壁高欄の後行撤去部を床版側ジョイント部材ととともに一体撤去する際、床版上に残置される壁高欄との間で生じる競り合いを防止でき、撤去作業をより迅速に実施することが可能となる。
【0020】
さらに、床版側ジョイント部材と橋台側ジョイント部材とをつなぎ材により連結すれば、伸縮装置全体を壁高欄の後行撤去部とともに一体撤去でき、伸縮装置の撤去作業に係る工期を大幅に短縮にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の伸縮装置の撤去工法によれば、床版側ジョイント部材と床版との固定部近傍、及び橋台側ジョイント部材と橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍が、いずれも切断作業により縁切りされるから、伸縮装置の撤去作業の簡素化及び効率化を図ることができるとともに、工期短縮を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における橋桁と橋台の遊間を跨いで設置された伸縮装置の概略を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における伸縮装置の撤去工法の手順を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における事前準備工程(コア削孔)を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における壁高欄の切断撤去工程(ワイヤーソー切断)を示す図である。
図5】本発明の実施の形態における壁高欄の切断撤去工程(切断装置の配置)を示す図である。
図6】本発明の実施の形態における壁高欄の切断撤去工程(先行撤去)及び吊り孔(ケビン棒用)の形成工程を示す図である。
図7】本発明の実施の形態における伸縮装置の縁切り工程(フラットソー切断:その1)を示す図である。
図8】本発明の実施の形態における伸縮装置の縁切り工程(フラットソー切断:その2)を示す図である。
図9】本発明の実施の形態における伸縮装置の縁切り工程(ワイヤーソー切断:その1)を示す図である。
図10】本発明の実施の形態における伸縮装置の縁切り工程(ワイヤーソー切断:その2)を示す図である。
図11】本発明の実施の形態における伸縮装置の撤去工程(その1)を示す図である。
図12】本発明の実施の形態における伸縮装置の撤去工程(その2)を示す図である。
図13】本発明の実施の形態における伸縮装置の撤去工法で使用する治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、橋桁と橋台の遊間を跨いで設置された既設の伸縮装置を、撤去する際に実施する作業を簡素化及び効率化し、工期短縮を図るものである。伸縮装置の撤去工法で対象とする既設の伸縮装置は、いずれの構造を有するものでも良く、また、橋梁の構造も何ら限定されるものではない。
【0024】
本実施の形態では、主桁に設置された既設のコンクリート床版を新設床版に取替える道路橋の床版取替工事において、伸縮装置の撤去工法を実施する場合を事例に挙げ、以下に図1から図13を参照しつつ、その詳細を説明する。
【0025】
伸縮装置の撤去工法を説明するに先立ち、伸縮装置の設置構造、及び伸縮装置が設置されている近傍の道路構造について、その概略を説明する。
【0026】
≪≪≪伸縮装置と近傍の道路構造≫≫≫
図1(a)~(c)で示すように、伸縮装置10を挟んだ一方側には道路橋20が位置し、他方側には橋台30及びその背面の土工部40が位置している。
【0027】
道路橋20は、図1(b)で示すように、主桁21とその上面に設置された床版22とを備え、図1(a)で示すように、床版22の上面両側に沿って壁高欄23と地覆部24とが配置されている。床版22上は道路として供用されており、図1(a)では2車線道路である場合を例示している。また、図示を省略しているが、主桁21は、複数が橋軸直角方向に間隔を設けて並列配置されている。
【0028】
一方、橋台30には図1(b)で示すように、その背面に土工部40と踏掛版41が設けられ、踏掛版41上に舗装層を含む道路地盤42が形成されている。道路地盤42の上面にも両側に沿って、図1(a)で示すような、壁高欄43と地覆部44とが配置されている。そして、図1(c)では、これら道路地盤42側の壁高欄43及び地覆部44の端部と、床版22側の壁高欄23及び地覆部24の端部との間に、縦目地シールSが設置されている場合を例示している。
【0029】
伸縮装置10は、図1(b)で示すように、上記の構成を有する道路橋20の主桁21と橋台30との間に設けられている遊間Gを覆うように設置されている。その構造は、床版側ジョイント部材11及び橋台側ジョイント部材12と、アンカー筋13と、後打ちコンクリート部141、142とによりなる。
【0030】
床版側ジョイント部材11及び橋台側ジョイント部材12は、互いに対向する内側面に橋軸方向に伸縮する伸縮構造15を有する。また、外側面にそれぞれ、アンカー筋13が突設されている。このアンカー筋13とこれを埋設する後打ちコンクリート部141とにより、床版側ジョイント部材11は主桁21上の床版22に固定されている。また、橋台側ジョイント部材12は、アンカー筋13とこれを埋設する後打ちコンクリート部142とにより、橋台30に固定されている。こうして伸縮装置10は、床版22と橋台30の両者に一体化されている。
【0031】
≪≪≪伸縮装置の撤去工法≫≫≫
上記のとおり、床版22と橋台30に一体化されている伸縮装置10を撤去する手順を、図2のフローに沿って図3図13を参照しつつ説明する。
【0032】
伸縮装置10を撤去する手順を説明するにあたり、「水平」及び「鉛直」について、次のように取り扱う。図1を参照すると、床版22側において、「水平」は橋軸方向に略平行を指し、「鉛直」は橋軸方向及び橋軸直角方向に略直交を指す。また、橋台30及びその背面の土工部40側において、「水平」は道路地盤42上のセンターラインCLに略平行を指し、「鉛直」はセンターラインCL及び道路幅方向に略直交を指す。
【0033】
≪≪事前準備工程:STEP1≫≫
事前準備工程では図3で示すように、伸縮装置10の近傍に連続コア51及びパイロット孔521、522を形成するためのコア削孔を実施する。
【0034】
連続コア51は鉛直方向の貫通孔である。後述する「伸縮装置の縁切り工程(STEP4)」で実施するフラットソー切断時に、ブレードが届きにくい部分を補助切断するために設ける。連続コア51を形成する位置は、伸縮装置10における道路のセンターラインに沿う位置であり、図3では、床版22側と土工部40側の両者に設ける場合を例示している。
【0035】
パイロット孔521、522は、後述する壁高欄の切断撤去工程(STEP2)で実施するワイヤーソー切断時に、ワイヤーソーを挿通するための水平方向に延在する貫通孔であり、床版22側及び土工部40側に設ける。
【0036】
床版22側のパイロット孔521は、壁高欄23に設定した先行切断部231を切断する際に使用し、地覆部24における後打ちコンクリート部141の近傍位置に設ける。ここでは、パイロット孔521を橋軸方向に2つ並列して設けている。一方、土工部40側のパイロット孔522は、壁高欄43に設定した先行切断部431を切断する際に使用し、地覆部44における遊間Gの近傍位置に設ける。
【0037】
≪≪壁高欄の切断撤去工程:STEP2≫≫
壁高欄の切断撤去工程では図4~6で示すように、事前準備工程で設けたパイロット孔522を利用して、土工部40側の壁高欄43に設定した先行切断部431を切断し、先行撤去する。また、事前準備工程で設けたパイロット孔521を利用して、床版22側の壁高欄23に設定した先行切断部231を切断し、先行撤去する。
【0038】
≪土工部側の切断≫
土工部40側の壁高欄43に設定した先行切断部431は、図4(a)及び(b)で示すように、橋台側ジョイント部材12を固定する後打ちコンクリート部142に近接する範囲である。具体的には、床版22側の壁高欄23と当接する端部近傍から、後述する「伸縮装置の縁切り工程(STEP4)」で実施する予定の、図7(a)で示すような、道路地盤42と後打ちコンクリート部142とを縁切りするために設ける切断線C3を含む範囲である。
【0039】
この先行切断部431を切断するべく、ワイヤーソーにより水平切断及び鉛直切断を実施する。先行切断部431の鉛直切断は、図4(a)で示すように、先行切断部431における土工部40側を、壁高欄43の天端から地覆部44に向かって切断し、鉛直状の切断線C2を設ける。
【0040】
次に、先行切断部431の水平切断は、図5で示すように、切断線C2と地覆部44に設けたパイロット孔522にワイヤーソー110を挿通させて、壁高欄43の道路地盤42側から外面側に向けて引切りする。これにより、先行切断部431の底部に、図4(b)で示すような切断面F1が形成される。
【0041】
≪床版側の切断≫
一方、床版22側の壁高欄23に設定した先行切断部231は、図4(a)及び(b)で示すように、床版側ジョイント部材11を固定する後打ちコンクリート部141に近接する範囲である。具体的には、後述する伸縮装置の縁切り工程(STEP4)で実施する予定の、図7(a)で示すような、床版22と後打ちコンクリート部141とを縁切りするために設ける切断線C6を含む範囲である。
【0042】
この先行切断部231の切断作業は、ワイヤーソーにより実施し、図4(b)で示すように、事前に設けたパイロット孔521にワイヤーソーを貫通させて斜め上方に引切りする。このような作業を、併設した2つのパイロット孔521でそれぞれ実施することにより、V字状に切断線C1を形成する。
【0043】
上記のワイヤーソーによる切断作業はいずれも、図5で示すように、ワイヤーソー110に一定の緊張力と高速回転力を付与する駆動機構120を含む切断装置100を、道路の外側に配置する。もしくは、切断装置100を壁高欄23、43の上部に配置して実施できる。したがって、ワイヤーソー110による切断作業中も、床版22上及び道路地盤42上の作業空間を他の作業に有効活用でき、撤去作業の効率化を図ることが可能となる。
【0044】
≪先行切断部の揚重撤去≫
上記の切断作業が終了したのち、床版22側の先行切断部231と、土工部40側の先行切断部431を先行撤去する。図4(b)で示すように、床版22側の先行切断部231は、下方が幅狭な下向き三角形状に形成されている。したがって、両側に残置されている壁高欄23と競り合うことなく容易に撤去できる。
【0045】
一方、土工部40側の先行切断部431は、図4(b)で示すような、床版22側の壁高欄23と対向する端部に設けられている縦目地シールSを取り去ることで、容易に揚重撤去できる。なお、先行切断部231、431ともに、揚重用の玉掛けワイヤを挿通する玉掛け孔(図示せず)を、「事前準備工程(STEP1)」、もしくは揚重する直前に設けるとよい。
【0046】
これにより、図6(a)(b)で示すように、床版22側の先行切断部231と土工部40側の先行切断部431とを撤去した跡には空間が形成される。また、両者の間には、図6(b)で示すように、略台形形状の後行撤去部232が、床版側ジョイント部材11及び後打ちコンクリート部141に接続された状態で、残置される。
【0047】
≪≪吊り孔(ケビン棒用)の形成工程:STEP3≫≫
上記の先行切断部231、431を切断撤去する工程と同時に、もしくはこれと前後して、図6(a)で示すように、床版側ジョイント部材11を固定する後打ちコンクリート部141に、橋軸直角方向に間隔を設けて複数の吊り孔53を形成するためのコア削孔を実施する。
【0048】
吊り孔53は、後述する「伸縮装置の撤去工程(STEP5)」で使用する、図11で示すような、剥離装置300のケビン棒330を貫通させる孔である。したがって、主桁21の近傍に配置され、後打ちコンクリート部141とその下部に残置された床版22の切断片221とを貫通するようにして設ける。
【0049】
≪≪伸縮装置の縁切り工程:STEP4≫≫
床版22側の先行切断部231と土工部40側の先行切断部431を撤去したのち、伸縮装置10の縁切り切断を行う。
【0050】
≪土工部側の伸縮装置10の縁切り切断(鉛直方向)≫
図7(a)及び(b)で示すように、橋台側ジョイント部材12を固定する後打ちコンクリート部142もしくはその近傍と、土工部40側の道路地盤42との間に橋台30に至る深さの切断線C3を設ける。切断作業は、ブレードを3枚重ねたフラットソーを利用して実施する。
【0051】
こうして、橋台側ジョイント部材12及び後打ちコンクリート部142と、道路地盤42及び橋台30とは、鉛直方向に縁切りされる。このとき、図7(a)で示すように、切断線C3における地覆部44近傍は、フラットソーで切断できない恐れがある。このため、切断線C3を設ける前後のいずれかの時点で、連続コア51を設けて切断を補助するとよい。
【0052】
次に、フラットソーを利用して、道路のセンターラインCLに沿う位置に、「事前準備工程(STEP1)」で設けた連続コア51に接続するようにして、道路地盤42から橋台30に至る深さの切断線C4を設ける。これにより、図8(a)で示すように、橋台側ジョイント部材12と後打ちコンクリート部142は、切断線C3及び切断線C4の形成跡である切断溝C3’、C4’に囲まれて、鉛直方向に分離される。
【0053】
≪土工部側の伸縮装置の縁切り切断(水平方向)≫
切断溝C3’及び切断溝C4’が形成されたのち、走行車線側における橋台側ジョイント部材12から切断溝C3’に至る領域の橋台30に、図8(b)で示すような、水平方向の切断面F2を設ける。切断作業は、ワイヤーソー切断により実施する。
【0054】
切断面F2を形成するための水平切断は、図9(a)及び(b)で示すように、切断溝C3’、C4’と遊間Gを利用してワイヤーソー110を配置する。このとき、図9(b)で示すように、遊間Gに張り出す主桁21上に、長尺なガイド部材200を橋軸直角方向に延在するようにして配置する。
【0055】
このガイド部材200にワイヤーソー110を支持させて、図9(a)で示すように、切断線C4の形成跡である切断溝C4’から壁高欄43に向けて引切りする。これにより、切断溝C3’、C4’と遊間Gで囲まれた範囲の橋台30に、図10(b)で示すように、水平方向の切断面F2が形成され、橋台30と、橋台側ジョイント部材12及び後打ちコンクリート部142とは、水平方向に縁切りされる。
【0056】
上記のように、あらかじめ切断線C3、C4を形成しておくことで、ワイヤーソー110を備える切断装置100は、図5と同様に、壁高欄43の外側に配置することができる。また、遊間Gにガイド部材200を設けることにより、ワイヤーソー110の垂れ下がりを防止でき、引切りであっても精度よく、切断面F2を形成することができる。
【0057】
図9(a)では、走行車線側に切断面F2を形成する方法を例示した。同様の手順を用いて追越車線側にも、切断面F2を形成する。このような切断面F2は、走行車線側と追越車線側とで段階的に別途形成してもよいし、連続して形成してもよい。
【0058】
切断面F2を、走行車線側と追越車線側とで連続して設ける場合には、「事前準備工程(STEP1)」で図3を参照しつつ説明したような、連続コア51を道路のセンターラインに沿って設ける作業を省略できる。
【0059】
≪床版側の伸縮装置10の縁切り切断≫
一方、床版22側は、図7(a)及び(b)で示すように、フラットソーを利用して、道路のセンターラインに沿う位置に、「事前準備工程(STEP1)」で設けた連続コア51に接続するようにして、床版22を切断する深さの切断線C5を設ける。これにより、図8(a)で示すように、床版側ジョイント部材11と後打ちコンクリート部141は、橋軸直角方向に分割される。
【0060】
また、床版側ジョイント部材11の後打ちコンクリート部141もしくはその近傍と、床版22の一般部との間に、床版22を切断する深さの切断線C6を設ける。切断作業は、フラットソーを利用したいわゆる2条切りにより実施する。すると、2条切り間にはコンクリート片が生じる。
【0061】
このコンクリート片は、最終工程で伸縮装置10を撤去する際の競り合いを防止するべくチッパーなどを利用して撤去し、図8(a)及び(b)で示すように、切断線C5、C6の形成跡に切削溝C5’、C6’を設けておく。こうして、床版側ジョイント部材11及び後打ちコンクリート部141と、床版22の一般部とは、鉛直方向に縁切りされる。なお、上記の切断線C5、C6のうち、橋軸方向に沿う切断線C5は必ずしも設けなくてもよい。
【0062】
上記のとおり、伸縮装置10の撤去工法において、「事前準備工程(STEP1)」~「伸縮装置の縁切り工程(STEP4)」のいずれの工程においても、ブレーカーやウォータージェットによるコンクリートの斫り作業が不用である。このため、作業の簡素化及び効率化を図ることが可能となる。
【0063】
こうして縁切りされた伸縮装置10は、床版側ジョイント部材11及び後打ちコンクリート部141と、橋台側ジョイント部材12及び後打ちコンクリート部142とを、別途撤去し搬出してもよいし、両者を一体にして同時に撤去搬出してもよい。後述する「伸縮装置の撤去工程(STEP5)」では、両者を一体にして同時に撤去する場合を事例に挙げ、伸縮装置の搬出工程を説明する。
【0064】
≪≪伸縮装置の撤去工程:STEP5≫≫
伸縮装置10の縁切り切断が終了したのち、伸縮装置10を揚重撤去するための事前準備作業として、床版22側では、図11で示すように、後打ちコンクリート部141の下面に残置された床版22の切断片221と主桁21との引き剥がし作業を行う。その一方で、土工部40側では、図10(a)及び(b)で示すように、揚重用の玉掛けワイヤを挿通する吊りピース61を橋台側ジョイント部材12に取付ける作業を行う。
【0065】
≪土工部側の撤去準備作業≫
橋台側ジョイント部材12に設ける吊りピース61は、図13(a)で示すように、玉掛ワイヤーを挿通するための挿通孔611を設けた金属製ピースよりなる。吊りピース61は、図10(a)で示すように、橋台側ジョイント部材12の上面であって道路幅方向に間隔を設けて複数配置され、溶接もしくは接着剤などの固着手段により固定される。
【0066】
また、図示は省略するが、後打ちコンクリート部142にも同様の形状を有する吊りピース61を、あと施工アンカーなどにより固着してもよい。これにより、橋台側ジョイント部材12及び後打ちコンクリート部142は、揚重撤去可能となる。
【0067】
≪床版側の撤去準備作業≫
後打ちコンクリート部141の下面に残置された床版22の切断片221と主桁21との引き剥がし作業は、図12で示すような、剥離装置300を採用して実施する。
【0068】
剥離装置300は、伸縮装置10を跨いで配置された門型形状の架台310と、架台310の上面に載置された複数のセンターホールジャッキ320と、複数のセンターホールジャッキ320各々に装着されたケビン棒330とにより構成される。ケビン棒330はその下部が、前述した「吊り孔(ケビン棒用)の形成工程(STEP3)」で設けた吊り孔53、もしくは床版側ジョイント部材11に設けたケビン棒用ピース62のいずれかに装着される。
【0069】
ケビン棒用ピース62は、図10(a)で示すように、複数の吊り孔53各々に対応して、橋軸方向に平行な同軸上に配置されている。その構造は、図13(b)で示すように、取付板621と、取付板621を支持する一対の脚部622とを有し、取付板621にケビン棒330の取付孔6211が形成されている。そして、図10(b)で示すように、ケビン棒用ピース62の脚部622が、床版側ジョイント部材11の上面に溶接もしくは接着剤などの固着手段により固定されている。
【0070】
ケビン棒用ピース62へのケビン棒330の装着手順は、次のとおりである。図11で示すように、取付板621の取付孔6211にケビン棒330を貫通させるとともに、ケビン棒330の下端近傍にナット331を取付ける。このナット331をケビン棒330に沿って上昇させ、取付板621の下面に当接させる。
【0071】
一方、ケビン棒330の吊り孔53への装着手順は、次のとおりである。まず、吊り孔53にケビン棒330を貫通させるとともに、ケビン棒330の下端近傍にナット331を取付ける。このナット331をケビン棒330に沿って上昇させ、後打ちコンクリート部141の下面に残置する床版22の切断片に当接させる。
【0072】
こののち、センターホールジャッキ320を作動させてケビン棒330を上昇させると、床版22の切断片221と主桁21とが剥離される。これにより、床版側ジョイント部材11及び後打ちコンクリート部141は、揚重撤去可能となる。
【0073】
≪伸縮装置の同時撤去≫
こののち、図12で示すように、床版側ジョイント部材11と橋台側ジョイント部材12とに跨ってつなぎ材63を固定し、両者を接続する。つなぎ材63はいずれの形状でもよいが、例えば図13(c)では、並列配置された一対の脚片632とこれらを連結する連結片631とにより形成した断面コの字型の金属ピースを例示している。
【0074】
このような形状の場合につなぎ材63は、コの字の開口を下方に向けて、床版側ジョイント部材11と橋台側ジョイント部材12との両者に溶接や接着剤などを用いて固着する。つなぎ材63の固定作業と同時に、もしくは前後して、橋台側ジョイント部材12に設けた吊りピース61に、玉掛ワイヤーを取り付ける。また、床版側ジョイント部材11には、剥離装置300を利用するなどして、玉掛ワイヤーを取り付ける。
【0075】
こののち、玉掛ワイヤーを介して揚重機により楊重する。すると、後打ちコンクリート部141、142を含む伸縮装置10と、床版側ジョイント部材11に接続された状態の、壁高欄23の残置部分である後行撤去部232を一体撤去できる。これにより、撤去作業の効率化を図ることができる。
【0076】
また、図4(b)を参照して説明したように、床版22側の壁高欄23における先行切断部231を下方が幅狭となる形状に切断し、図6(b)を参照して説明したように、この先行切断部231を先行撤去している。これにより、図12で示すように、壁高欄23の後行撤去部232を床版側ジョイント部材11ととともに一体撤去する際、残置される壁高欄23との間で生じる競り合いを防止でき、撤去作業をより迅速に実施することが可能となる。
【0077】
伸縮装置10の撤去作業が終了したのち、伸縮装置10を撤去した跡の橋台30や主桁21に対して、ウォータージェットなどを用いた表面処理を施すなどして、新設の伸縮装置の設置に備える。
【0078】
本発明の伸縮装置10の撤去工法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
例えば、本実施の形態では、「事前準備工程(STEP1)」で、床版22側及び土工部40側の両者ともに道路のセンターラインCLに沿う連続コア51を設けた。また、これに連続する切断線C4、C5を、伸縮装置の縁切り工程(STEP4)で設けた、しかし、伸縮装置10は、必ずしもこのように2分割しなくてもよく、その一方で、3分割以上分割する構成としてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、「壁高欄の切断撤去工程(STEP2)」で設けた水平方向の切断面F1、及び「伸縮装置の縁切り工程(STEP4)」で設けた水平方向の切断面F2ともに、ワイヤーソー切断により形成した。しかし、これに限定するものではなく、例えば、水平切断可能なフラットソーを採用するなどしてもよい。
【0081】
さらに、「伸縮装置の撤去工程(STEP5)」において、伸縮装置10を剥離装置300とともに撤去する場合を事例に挙げた。しかし、剥離装置300を取り外したうえで伸縮装置10を撤去してもよい。
【0082】
また、伸縮装置10を撤去する手順は、図2で示したフローに限定されるものではなく、例えば、「吊り孔(ケビン棒用)の形成工程(STEP3)」を「事前準備工程(STEP1)」と同時に実施する等、適宜順序を変更してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 伸縮装置
11 床版側ジョイント部材
12 橋台側ジョイント部材
13 アンカー筋
141 後打ちコンクリート部(固定部)
142 後打ちコンクリート部(固定部)
15 伸縮構造
20 道路橋
21 主桁
22 床版
23 壁高欄
231 先行切断部
232 後行撤去部(残置部分)
24 地覆部
30 橋台
40 土工部
41 踏掛版
42 道路地盤(舗装層を含む)
43 壁高欄
431 先行切断部
44 地覆部
51 連続コア
521 パイロット孔(鉛直方向)
522 パイロット孔(水平方向)
53 吊り孔
61 吊りピース
62 ケビン棒用ピース
63 つなぎ材
100 切断装置
110 ワイヤーソー
120 駆動機構
200 ガイド部材
300 剥離装置
310 架台
320 センターホールジャッキ
330 ケビン棒
G 遊間
C1~C6 切断線
C1’~C6’ 切断溝
F1~F2 切断面
【要約】
【課題】橋桁と橋台との遊間を跨いで設置されている伸縮装置を撤去する際の、作業の簡素化及び効率化を図り、工期短縮を実現することである。
【解決手段】橋梁の床版に固定された床版側ジョイント部材と、該床版側ジョイント部材に対向し橋台に固定された橋台側ジョイント部材とを有する伸縮装置を撤去するための、伸縮装置の撤去工法であって、前記床版側ジョイント部材と前記床版との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、前記橋台側ジョイント部材と前記橋台及び橋台背面側の道路地盤との固定部近傍を、縁切り切断する工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13