(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】車両用後方視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20230801BHJP
B60R 1/12 20060101ALI20230801BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B60R1/06 D
B60R1/12 A
B60Q1/34 B
(21)【出願番号】P 2019108505
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】串田 祐輔
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-155515(JP,A)
【文献】特開平09-267689(JP,A)
【文献】特開2007-308073(JP,A)
【文献】特開2013-065401(JP,A)
【文献】特開2008-001231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
B60R 1/12
B60Q 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外に取り付けられる後方視認アセンブリと、
前記後方視認アセンブリに装備されている車両用部品と、
を備え、
前記後方視認アセンブリは、カバー部材を有し、
前記カバー部材には、開口部が設けられていて、
前記車両用部品は、前記カバー部材の内側に配置されている本体部分
と、前記本体部分から突設されていて、前記開口部中に配置されている突出部分と、を有し、
前記本体部分には、凹部が形成されていて、
前記カバー部材には、前記凹部中に配置されているリブ部が、設けられてい
て、
前記凹部または前記リブ部の少なくとも一方には、前記凹部と前記リブ部との間の隙間を保ち、前記カバー部材の表面と前記突出部分の表面との面一状態を保つ位置決め凸部が、設けられている、
ことを特徴とする車両用後方視認装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記車両用部品の前記本体部分、前記突出部分およびリブ部分により、形成されていて、
前記位置決め凸部は、
前記リブ部の内側面または外側面の少なくとも一方に設けられていて、
前記凹部の前記突出部分または前記リブ部分の少なくとも一方に当接し、併せて、前記凹部の前記本体部分に当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用後方視認装置。
【請求項3】
前記後方視認アセンブリは、車両用アウトサイドミラー装置であって、
車体に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に取り付けられているミラーハウジングと、
前記ミラーハウジングに取り付けられているミラーと、
を備え、
前記ミラーハウジングの一部分は、前記カバー部材から構成されていて、
前記車両用部品は、サイドターンシグナルランプであって、
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている光源と、
を備え、
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズの一部分は、前記本体部分を構成し、
前記ランプレンズの他の部分は、
前記突出部分を構成し、
前記突出部分を構成する前記ランプレンズは、前記光源からの光を外部に照射する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用後方視認装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなし、
前記開口部は、前記カバー部材の車両の前側から外側を経て後側にかけて設けられていて、
前記リブ部は、少なくとも、車両の後側の部分を除いた部分に設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用後方視認装置。
【請求項5】
前記後方視認アセンブリは、
車体に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に取り付けられているハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられている後方視認ユニットと、
を備え、
前記ハウジングの一部分は、前記カバー部材を構成し、
前記後方視認ユニットは、ミラーまたはカメラの少なくとも一方であり、
前記車両用部品は、サイドターンシグナルランプ、カメラまたは警告灯の少なくともいずれか1つである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用後方視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用後方視認装置に関する。詳しくは、車両用部品を装備する車両用後方視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用部品を装備する車両用後方視認装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、特許文献1の車両用ドアミラーについて説明する。
【0003】
特許文献1の車両用ドアミラーは、サイドターンランプを備える。すなわち、特許文献1の車両用ドアミラーは、ミラーハウジングと、ミラーと、サイドターンランプと、を備える。サイドターンランプは、ミラーハウジング内に配置されている。サイドターンランプのレンズは、ミラーハウジングの切欠部に配置されている。ミラーハウジングとサイドターンランプのベースとの間には、シール材が介在されている。特許文献1の車両用ドアミラーは、シール材により、風切音の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-96684号公報
【文献】特開2007-308074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車両用ドアミラーは、シール材を必要とするため、構成部品点数が多く、組立工程数が多く、製造コストが高価となる傾向にある。
【0006】
そこで、特許文献2のアウターミラーが発明された。特許文献2のアウターミラーは、ハウジング本体およびハウジングカバーと、ミラーと、ウインカランプと、備える。ウインカランプは、ハウジング本体とハウジングカバーとの間に配置されている。ウインカランプとハウジングカバーとの一方に設けられている弾性片は、他方に密着している。
【0007】
特許文献2のアウターミラーは、ウインカランプとハウジングカバーとの一方に設けられている弾性片が他方に密着しているため、風切音の発生を抑制することができる。また、特許文献2のアウターミラーは、シール材を使用しないため、構成部品点数を少なく、組立工程数を少なく、製造コストを安価にすることができる。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、風切音の発生を抑制することができ、また、構成部品点数を少なく、組立工程数を少なく、製造コストを安価にすることができ車両用後方視認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の車両用後方視認装置は、車外に取り付けられる後方視認アセンブリと、後方視認アセンブリに装備されている車両用部品と、を備え、後方視認アセンブリが、カバー部材を有し、カバー部材には、開口部が設けられていて、車両用部品が、カバー部材の内側に配置されている本体部分を有し、本体部分には、凹部が形成されていて、カバー部材には、凹部中に配置されているリブ部が、設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明の車両用後方視認装置において、凹部またはリブ部の少なくとも一方には、凹部とリブ部との間の隙間を保つ位置決め凸部が、設けられている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用後方視認装置において、後方視認アセンブリが、車両用アウトサイドミラー装置であって、車体に取り付けられる取付部材と、取付部材に取り付けられているミラーハウジングと、ミラーハウジングに取り付けられているミラーと、を備え、ミラーハウジングの一部分が、カバー部材から構成されていて、車両用部品が、サイドターンシグナルランプであって、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されている光源と、を備え、ランプハウジングおよびランプレンズの一部分が、本体部分を構成し、ランプレンズの他の部分が、突出部分を構成し、突出部分を構成するランプレンズが、光源からの光を外部に照射する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用後方視認装置において、カバー部材が、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなし、開口部が、カバー部材の車両の前側から外側を経て後側にかけて設けられていて、リブ部が、少なくとも、車両の後側の部分を除いた部分に設けられている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用後方視認装置において、後方視認アセンブリが、車体に取り付けられる取付部材と、取付部材に取り付けられているハウジングと、ハウジングに取り付けられている後方視認ユニットと、を備え、ハウジングの一部分が、カバー部材を構成し、後方視認ユニットが、ミラーまたはカメラの少なくとも一方であり、車両用部品が、サイドターンシグナルランプ、カメラまたは警告灯の少なくともいずれか1つである、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の車両用後方視認装置は、風切音の発生を抑制することができ、また、構成部品点数を少なく、組立工程数を少なく、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用後方視認装置の実施形態1を示す要部の一部縦断面図(
図5におけるI-I線断面図)である。
【
図2】
図2は、要部を示す一部横断面図(
図5におけるII-II線断面図)である。
【
図4】
図4は、使用状態を示す正面図(
図3におけるIV矢視図)である。
【
図5】
図5は、使用状態を示す側面図(
図3におけるV矢視図)である。
【
図6】
図6は、使用状態を示す斜視図(
図3におけるVI矢視図)である。
【
図7】
図7は、車両用部品であるサイドターンシグナルランプを示す正面図(車両の前側から後側を見た図)である。
【
図8】
図8は、後方視認アセンブリである車両用アウトサイドミラー装置のミラーハウジングの一部分であるカバー部材を示す背面図(車両の後側から前側を見た図)である。
【
図9】
図9は、サイドターンシグナルランプをカバー部材に取り付ける前の状態を示す説明図であって一部正面図である。
【
図10】
図10は、サイドターンシグナルランプをカバー部材に取り付けた状態を示す説明図であって一部断面の一部正面図である。
【
図11】
図11は、この発明にかかる車両用後方視認装置の実施形態2を示す説明図であって、サイドターンシグナルランプをカバー部材に取り付けた状態の一部断面の一部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用後方視認装置の実施形態(実施例)の2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略し、あるいは、断面の一部を省略する。
【0017】
この明細書、特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用後方視認装置を車両(図示せず)に装備した際の前、後、上、下、左、右である。図面において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。
【0018】
(実施形態1の構成の説明)
図1~
図10は、この発明にかかる車両用後方視認装置の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置の構成について説明する。
図1~
図6において、符号1は、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置である。車両用後方視認装置1は、後方視認アセンブリ2と、車両用部品3と、を備える。
【0019】
(後方視認アセンブリ2の説明)
後方視認アセンブリ2は、車外(車両の外側)に取り付けられる。後方視認アセンブリ2は、この例では、車両用アウトサイドミラー装置であって、車両用のドアミラー(以下、「ドアミラー2」と称する)である。ドアミラー2は、車両の左右のドア(図示せず)にそれぞれ装備される。
【0020】
以下、左のドアに装備されるドアミラー2について説明する。ここで、左のドアに装備されるドアミラー2において、車両の外側は、左側となり、一方、車両の内側は、右側となる。なお、右のドアに装備されるドアミラーは、左のドアに装備されるドアミラー2の構成とほぼ左右対称である。このために、右のドアに装備されるドアミラーの説明を省略する。
【0021】
後方視認アセンブリとしてのドアミラー2は、
図1~
図6に示すように、取付部材4と、ハウジングとしてのミラーハウジング5と、後方視認ユニットとしてのミラー6と、を備える。
【0022】
(取付部材4の説明)
取付部材4は、
図3~
図6に示すように、取付部40と、ベース部41と、シャフト部(図示せず)と、を備える。取付部40は、垂直板状部材(縦板状部材)から構成されていて、車両のドア(車体)に取り付けられる。ベース部41は、水平板状部材(横板状部材)から構成されていて、取付部40に設けられている。シャフト部は、丸棒状部材から構成されていて、ベース部41に設けられている。取付部材4は、取付部40を介して、車体に取り付けられる。
【0023】
(ミラーハウジング5の説明)
ミラーハウジング5は、
図1~
図6に示すように、取付部材4のシャフト部に、取付機構(図示せず)を介して、少なくとも使用位置と後方格納位置との間を回転可能に取り付けられている。取付機構は、電動格納機構や手動格納機構などから構成されている。この結果、ミラーハウジング5は、取付機構により、取付部材4に対して、使用位置と後方格納位置との間を電動回転もしくは手動回転する。また、ミラーハウジング5は、取付機構のクラッチ作用により、緩衝のために、前方側および後方側に回転する。
【0024】
ミラーハウジング5は、光不透過性の部材から構成されている。ミラーハウジング5は、中空形状をなす。ミラーハウジング5は、取付機構などを収納する。ミラーハウジング5の車両の後側の部分には、ミラー配置用開口部50が設けられている。ミラーハウジング5の平面形状は、
図3に示すように、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなす。
【0025】
ミラーハウジング5は、本体部材51と、カバー部材52と、リム部材53と、を備える。本体部材51は、ミラーハウジング5の上側部分から中間部分までの約3分の2を構成する。一方、カバー部材52は、ミラーハウジング5の下側部分から中間部分までの約3分の1を構成する。リム部材53は、ミラー配置用開口部50の縁部分に配置されている。
【0026】
前記の通り、ミラーハウジング5の一部分は、カバー部材52から構成されている。これにより、後方視認アセンブリとしてのドアミラー2は、カバー部材52を有する。
【0027】
(カバー部材52の説明)
カバー部材52は、
図1、
図2、
図5、
図6、
図8~
図10に示すように、いわゆる、フィニッシャーである。カバー部材52の平面形状は、
図2に示すように、ミラーハウジング5の平面形状(
図3参照)と同様に、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなす。
【0028】
カバー部材52の車両の前側から外側を経て後側にかけての部分には、開口部54が横長に設けられている。カバー部材52の内側面であって、開口部54の縁には、リブ部55が設けられている。
【0029】
リブ部55は、車両の後側の部分を除いた部分に設けられている。すなわち、リブ部55は、
図8~
図10に示すように、車両の後側から前側を見て(背面視)、横長の上側部分55Uと、同じく横長の下側部分55Dと、短い縦の内側部分55Rと、からなる横長のC字形状(コの字形状)をなす。リブ部55は、
図1に示すように、後述するランプレンズ8の凹部85中に配置される。
【0030】
(ミラー6の説明)
ミラー6は、
図2、
図4に示すように、ミラーハウジング5のミラー配置用開口部50に、パワーユニット(図示せず)を介して配置されている。ミラー6は、パワーユニットにより、水平軸(図示せず)回りに上下方向に、また、垂直軸(図示せず)回りに左右方向に、それぞれ、回転可能である。すなわち、ミラー6は、鏡面をドライバーの視線に合わせて調整できる。パワーユニットは、取付機構と同様に、ミラーハウジング5内に収納されている。
【0031】
ミラー6は、鏡面で、車両の後方の情報をドライバーの視線側に反射させる。これにより、ドライバーは、ミラー6を介して、車両の後方の情報を視認できる。
【0032】
(車両用部品3の説明)
車両用部品3は、後方視認アセンブリとしてのドアミラー2に装備されている。車両用部品3は、この例では、サイドターンシグナルランプ3である。サイドターンシグナルランプ3は、ドアミラー2のカバー部材52に装備されている。
【0033】
サイドターンシグナルランプ3は、
図1、
図2、
図4~
図7、
図9、
図10に示すように、灯室30を形成するランプハウジング7およびランプレンズ8と、灯室30内に配置されている光源(図示せず)および導光部材(図示せず)と、を備える。サイドターンシグナルランプ3の平面形状は、
図2に示すように、カバー部材52の平面形状と同様に、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなす。
【0034】
ランプハウジング7は、光不透過性の板状部材から構成されている。一方、ランプレンズ8は、光透過性の部材から構成されている。ランプレンズ8は、ランプハウジング7に対向する側の部分が開口していて、ランプハウジング7に対向する側に対して反対側の部分が閉塞した形状をなす。ランプレンズ8の開口部分の全周の縁部は、ランプハウジング7に固定されている。これにより、灯室30が形成される。
【0035】
(ランプレンズ8の説明)
ランプレンズ8は、固定脚部分80と、連結部分81、82と、光照射部分83と、から構成されている。
【0036】
固定脚部分80は、ランプレンズ8の開口部分の全周の縁部に設けられている。固定脚部分80は、ランプハウジング7に対して垂直である。固定脚部分80の端面(ランプハウジング7に対向する面)は、ランプハウジング7に、適宜の固定手段(たとえば、レーザー溶着、超音波溶着、接着、加締め付け、クリップ、ボルトナット、スクリューなど)により、固定されている。これにより、灯室30が形成される。
【0037】
連結部分81、82は、固定脚部分80と光照射部分83との間であって、ランプレンズ8の閉塞部分の全周に設けられている。連結部分81、82は、固定脚部分80側のランプハウジング7と平行である第1連結部分81と、光照射部分83側のランプハウジング7に対して垂直である第2連結部分82と、から構成されている。
【0038】
光照射部分83は、ランプレンズ8の閉塞部分の中央部に、ランプハウジング7に対して反対側に突出して設けられている。光照射部分83は、光源からの直射光、あるいは、光源からの光であって導光部材を経た光(以下、単に「光」と称する)を、外部(灯室30外)の所定の方向に、所定の配光パターンで、照射する。
【0039】
光照射部分83の平面形状は、
図2に示すように、サイドターンシグナルランプ3の平面形状およびカバー部材52の平面形状と同様に、車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなす。この結果、光照射部分83は、光を、所定の配光パターンで、車両の前側から外側を経て後側にかけて照射する。ここで、
図2、
図4に示すように、光照射部分83の後側端面87は、ドアミラー2のリム部材53よりも外側に突出(露出)している。
【0040】
所定の配光パターンは、この例では、サイドターンシグナルランプ3の配光パターンである。サイドターンシグナルランプ3の配光パターンの照射範囲は、
図2中の進行軸Vに対してのθ1-θ2の範囲、および、
図1中の水平軸Hに対してのθ3の範囲である。ここで、
図2中の車両の進行軸Vに対してθ1は60°(日本および欧州)または70°(北米)であり、θ2は5°(日本および欧州)または30°(北米)であり、また、
図1中の車両の水平軸Hに対してθ3は15°(日本および欧州および北米)である。
【0041】
(車両用部品3としてのサイドターンシグナルランプ3の説明)
車両用部品3としてのサイドターンシグナルランプ3は、本体部分と、突出部分と、リブ部分84と、を有する。
【0042】
サイドターンシグナルランプ3のランプハウジング7およびランプレンズ8の一部分である固定脚部分80および第1連結部分81は、本体部分を構成する。本体部分(7、80、81)は、カバー部材52の内側に配置されている。
【0043】
サイドターンシグナルランプ3のランプレンズ8の他の部分である第2連結部分82および光照射部分83は、突出部分を構成する。突出部分(82、83)は、本体部分(7、80、81)から突設されていて、カバー部材52の開口部54中に配置されている。突出部分(82、83)の突出方向は、光照射部分83の突出方向である。ここで、
図1に示すように、光照射部分83の表面とカバー部材52の表面とは、面一であり、意匠面を形成する。
【0044】
リブ部分84は、本体部分の第1連結部分81から突設されていて、カバー部材52の内側に配置されている。リブ部分84の突出方向は、突出部分(82、83)の突出方向および光照射部分83の突出方向である。
【0045】
リブ部分84は、カバー部材52のリブ部55と同様に、車両の後側の部分を除いた部分に設けられている。すなわち、リブ部分84は、
図7、
図9、
図10に示すように、車両の後側から前側を見て(背面視)、横長の上側部分84Uと、同じく横長の下側部分84Dと、短い縦の内側部分84Rと、からなる横長のC字形状(コの字形状)をなす。
【0046】
本体部分の第1連結部分81、突出部分の第2連結部分82およびリブ部分84により、凹部85が形成されている。この凹部85中には、カバー部材52のリブ部55が配置されている。このとき、凹部85の内側面とリブ部55の外側面とのには、所定の隙間が形成されていてかつ保っている。
【0047】
(ドアミラー2とサイドターンシグナルランプ3の説明)
図2に示すように、カバー部材52の開口部54を形成する後側の縁部には、嵌合凹部56が設けられている。一方、
図2、
図7に示すように、ランプレンズ8の後側の縁部には、嵌合凸部86が設けられている。嵌合凹部56と嵌合凸部86とが相互に嵌合することにより、ドアミラー2とサイドターンシグナルランプ3とが相互に強固に取り付けられる。
【0048】
図8~
図10に示すように、カバー部材52のリブ部55の内側面(ランプレンズ8の第2連結部分82に対向する面)には、複数個の位置決め凸部57が、適宜な間隔を置いて、設けられている。すなわち、位置決め凸部57は、リブ部55の上側部分55U、下側部分55Dおよび内側部分55Rに、それぞれ、設けられている。
【0049】
カバー部材52の位置決め凸部57がランプレンズ8の第2連結部分82に当接することにより、カバー部材52の開口部54の内側面とランプレンズ8の突出部分の第2連結部分82の外側面との間の隙間は、所定の間隔に、保たれる。しかも、カバー部材52の表面と光照射部分83の表面との面一状態も、保たれる。
【0050】
この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0051】
ドアミラー2のミラー6は、車両の後側の情報をドライバー側に反射させる。これにより、ドライバーは、ミラー6に反射された車両の後側の情報を視認することができる。
【0052】
サイドターンシグナルランプ3の光源を点灯発光させる。すると、光源からの直射光、あるいは、光源からの光であって導光部材を経た光は、サイドターンシグナルランプ3のランプレンズ8の光照射部分83から外部に、所定の配光パターン、すなわち、サイドターンシグナルランプ3の配光パターンで、照射される。これにより、他車のドライバーは、自車のサイドターンシグナルランプ3の点灯発光を視認することができる。
【0053】
この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0054】
この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、ドアミラー2のカバー部材52の開口部54の縁部にリブ部55を設け、一方、サイドターンシグナルランプ3のランプレンズ8の本体部分および突出部分にリブ部分84からなる凹部85を設け、その凹部85中にリブ部55を配置したものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52の開口部54の縁部の内側面とランプレンズ8の本体部分および突出部分の外側面との間の隙間に、リブ部55と凹部85とからなるラビリンス構造を形成するものである。これにより、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、外側の空気がカバー部材52の開口部54とランプレンズ8との間の隙間を通って内部中に入り込み難くなり、風切音の発生を抑制することができる。
【0055】
また、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52にリブ部55を設け、ランプレンズ8に凹部85を設けるものであるから、シール材を使用しない。この結果、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、構成部品点数を少なく、組立工程数を少なく、製造コストを安価にすることができる。
【0056】
さらに、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52のリブ部55とランプレンズ8の凹部85とからなるラビリンス構造により風切音の発生を抑制するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、弾性片の密着により風切音の発生を抑制する特許文献2のアウターミラーと比較して、風切音の発生を一定にかつ確実に抑制することができる。
【0057】
すなわち、特許文献2のアウターミラーにおいては、風切音の発生の抑制効果が弾性片の密着状態によって影響される。これに対して、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、風切音の発生の抑制効果がラビリンス構造によって影響されるようなことが無い。
【0058】
この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52のリブ部55の内側面に複数個の位置決め凸部57を適宜な間隔を置いて設けたものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52の位置決め凸部57をランプレンズ8の第2連結部分82に当接させることにより、カバー部材52の開口部54の内側面とランプレンズ8の突出部分83の外側面との間の隙間を所定の間隔に保つことができる。これにより、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、リブ部55と凹部85とからなるラビリンス構造による風切音の発生の抑制効果を向上させることができる。
【0059】
しかも、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、位置決め凸部57を第2連結部分82に当接させることにより、カバー部材52の表面と光照射部分83の表面との面一状態を保つことができる。これにより、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52の表面と光照射部分83の表面との間の段差による風切音の発生を抑制することができ、その上、見栄えの低下を防止できる。
【0060】
この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、カバー部材52の平面形状が車両の前側から外側を経て後側にかけて湾曲した形状をなすので、車両の走行時において、風は、主に、
図2中の実線矢印に示すように、車両の前側から後側に、カバー部材52の湾曲に沿って流れる。一方、
図2中の二点鎖線矢印に示すような、車両の外側から内側に流れる風は、ほとんど無い。これにより、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、リブ部55と凹部85とからなるラビリンス構造が車両の後側の部分に設けられていない場合であっても、
図2中の二点鎖線矢印に示すような風が、車両の後側の部分のカバー部材52とランプレンズ8との間の隙間に入り込むことは、ほとんど無い。この結果、この実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、リブ部55と凹部85とが構造上や意匠上により車両の後側の部分に設けられない場合(
図7~
図10を参照)であっても、風切音の発生の抑制効果に影響が無い。
【0061】
(実施形態2の構成、作用、効果の説明)
図11は、この発明にかかる車両用後方視認装置の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用後方視認装置100の構成、作用、効果について説明する。図中、
図1~
図10と同符号は、同一物を示す。
【0062】
前記の実施形態1にかかる車両用後方視認装置1は、
図7、
図8に示すように、リブ部55と凹部85とを、車両の後側の部分に設けなかったものである。これに対して、この実施形態2にかかる車両用後方視認装置100は、リブ部55と凹部85とを、車両の後側の部分まで設けたものである。
【0063】
この実施形態2にかかる車両用後方視認装置100は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1にかかる車両用後方視認装置1と同様の作用、効果を達成することができる。特に、この実施形態2にかかる車両用後方視認装置100は、リブ部55と凹部85とを、環形状に設けるので、風切音の発生の抑制効果を向上させることができる。
【0064】
(実施形態1、2以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2においては、位置決め凸部57をランプレンズ8の第2連結部分82に当接させるものである。しかしながら、この発明においては、位置決め凸部57をランプレンズ8のリブ部分84に当接させるものであっても良い。また、位置決め凸部57を、ランプレンズ8の第2連結部分82とランプレンズ8のリブ部分84とにそれぞれ当接させるものであっても良い。しかも、これらと併せて、位置決め凸部57をランプレンズ8の第1連結部分81に当接させるものであっても良い。
【0065】
また、前記の実施形態1、2においては、後方視認アセンブリとしてドアミラー2を使用するものである。しかしながら、この発明においては、後方視認アセンブリとして、ドアミラー2以外のもの、たとえば、車両用周辺視認装置などを使用するものであっても良い。この車両用周辺視認装置は、車体に取り付けられる取付部材と、取付部材に取り付けられているハウジング(開口部が設けられているカバー部材を有する)と、ハウジングに取り付けられている後方視認ユニットと、を備えるものである。
【0066】
さらに、前記の実施形態1、2においては、後方視認アセンブリとしてのドアミラーの後方視認ユニットとしてミラー6を使用するものである。しかしながら、この発明においては、後方視認アセンブリとしてのドアミラー2の後方視認ユニットとしてミラー6以外のもの、たとえば、車両の後側の情報、外側の情報、前側の情報、下側の情報を撮像するカメラなどを使用するものであっても良い。しかも、カメラとミラー6とを併用しても良い。
【0067】
さらにまた、前記の実施形態1、2においては、車両用部品としてサイドターンシグナルランプ3を使用するものである。しかしながら、この発明においては、車両用部品として、サイドターンシグナルランプ3以外のもの、たとえば、ブラインドスポットワーニングランプなどの警告灯、または、車両の後側の情報、外側の情報、前側の情報、下側の情報を撮像するカメラなどを使用するものであっても良い。なお、サイドターンシグナルランプ3、警告灯またはカメラの少なくともいずれか1つであれば良い。また、警告灯、カメラは、本体部分と、突出部分と、リブ部分と、凹部と、を有する。
【0068】
なお、この発明は、前記の実施形態1、2により限定されるものではない。すなわち、本体部分(80、81)に凹部(85)を形成し、カバー部材(52)にリブ部(55)を設けたものであれば、良い。
【符号の説明】
【0069】
1、100 車両用後方視認装置
2 ドアミラー(車両用アウトサイドミラー装置、後方視認アセンブリ)
3 サイドターンシグナルランプ(車両用部品)
30 灯室
4 取付部材
40 取付部
41 ベース部、
5 ミラーハウジング(ハウジング)
50 ミラー配置用開口部
51 本体部材
52 カバー部材
53 リム部材
54 開口部
55 リブ部
55D 下側部分
55R 内側部分
55U 上側部分
56 嵌合凹部
57 位置決め凸部
6 ミラー(後方視認ユニット)
7 ランプハウジング(本体部分)
8 ランプレンズ
80 固定脚部分(本体部分)
81 第1連結部分(本体部分)
82 第2連結部分(突出部分)
83 光照射部分(突出部分)
84 リブ部分
84D 下側部分
84R 内側部分
84U 上側部分
85 凹部
86 嵌合凸部
87 後側端面
B 後
D 下
F 前
H 水平軸
L 左
R 右
U 上
V 進行軸
θ1、θ2、θ3 角度