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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】電力伝送装置、及び、ハンドル部品
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20230801BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230801BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H01F38/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019125252
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021013217
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】上田 穂積
(72)【発明者】
【氏名】秦 隆平
(72)【発明者】
【氏名】菊地 修一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 淳子
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-164440(JP,A)
【文献】特開2011-101485(JP,A)
【文献】特開昭58-142509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00
H01F 38/14
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信コイル部を有する送信ユニットと、受信コイル部を有する受信ユニットと、を備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する電力伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、互いに対向しているとともに、回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記送信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記送信コイル部を備え、
前記受信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記受信コイル部を備えており、
前記送信コイル部と、前記受信コイル部と、の各々は、芯部を有する磁性コアと、前記芯部の周囲に巻回されているコイルと、を有し、
前記コイルの軸方向及び前記芯部の軸方向が、前記回転軸を中心とする径方向に延在している電力伝送装置。
【請求項2】
前記送信コイル部の数と前記受信コイル部の数とが互いに異なっている請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記送信コイル部の数よりも前記受信コイル部の数の方が多い請求項2に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記送信コイル部の数よりも前記受信コイル部の数の方が少ない請求項2に記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記送信ユニットに対する前記受信ユニットの回転角度が第1の角度のときには、第1の前記送信コイル部と第1の前記受信コイル部との重なり面積の方が、第2の前記送信コイル部と第2の前記受信コイル部との重なり面積よりも大きく、
前記送信ユニットに対する前記受信ユニットの回転角度が第2の角度のときには、前記第1の送信コイル部と前記第1の受信コイル部との重なり面積よりも、前記第2の送信コイル部と前記第2の受信コイル部との重なり面積の方が大きくなる請求項1から4のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記第1の送信コイル部と前記第1の受信コイル部とが正対した状態では、前記第2の送信コイル部は前記第2の受信コイル部と第3の受信コイル部との間に位置し、
前記第2の送信コイル部と前記第2の受信コイル部とが正対した状態では、前記第1の送信コイル部は前記第1の受信コイル部と第4の受信コイル部との間に位置する請求項5に記載の電力伝送装置。
【請求項7】
前記送信コイルの前記コイルには、交流電流が印加されるようになっており、
当該電力伝送装置は、各受信コイル部とそれぞれ対応して設けられた複数の整流回路を備え、
前記複数の整流回路は、互いに同方向に流れる直流電流を出力する請求項1から6のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項8】
前記磁性コアは、前記芯部における径方向内側の端部に設けられている内側鍔部と、前記芯部における径方向外側の端部に設けられている外側鍔部と、を有し、
周方向において、前記内側鍔部の寸法よりも、前記外側鍔部の寸法の方が大きい請求項1から7のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項9】
周方向における前記芯部の太さが、径方向外側に向けて拡大している請求項1から8のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の電力伝送装置と、
回転シャフトに設けられるハンドルと、
を備え、
前記受信ユニットが前記ハンドルに設けられているハンドル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力伝送装置、及び、ハンドル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電力伝送装置は、互いに対向して配置されている一対のコイル部を備えている。各コイル部は、ドーナツ状の形状に形成されている磁性コアを備えており、各磁性コアは同心円状に複数の溝を有し、溝には巻線が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000―150277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等の検討によれば、特許文献1の電力伝送装置は、コイル部の構造的強度について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、コイル部の構造的強度を十分に確保することが可能な電力伝送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、送信コイル部を有する送信ユニットと、受信コイル部を有する受信ユニットと、を備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する電力伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、互いに対向しているとともに、回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記送信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記送信コイル部を備え、
前記受信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記受信コイル部を備えている電力伝送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、送信コイル部及び受信コイル部の構造的強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電力伝送装置における送信ユニットの模式的な平面図である。
図2】第1実施形態に係る電力伝送装置における受信ユニットの模式的な平面図である。
図3図3(a)、図3(b)及び図3(c)は第1実施形態に係る電力伝送装置の模式的な平面図であり、このうち図3(b)は図3(a)の状態と比べて受信ユニットが送信ユニットに対して反時計回りに回転した状態を示し、図3(c)は図3(b)の状態と比べて更に受信ユニットが送信ユニットに対して反時計回りに回転した状態を示す。
図4図3(a)のA-A線に沿った模式的な切断端面図である。
図5】第1実施形態に係る電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態に係る電力伝送装置が備える整流回路等の回路構成を示す図である。
図7】第1実施形態に係るハンドル部品を回転軸に対して直交する方向に視たときの模式的な構造を示す図である。
図8】第2実施形態に係る電力伝送装置の模式的な平面図である。
図9】第2実施形態に係る電力伝送装置の模式的な側面図である。
図10図8のA-A線に沿った模式的な切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図1から図10を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図7を用いて第1実施形態を説明する。
なお、図3(a)、図3(b)及び図3(c)においては、送信コイル部11の内部構造について実線及び破線で示しているが、受信コイル部21の内部構造については図示を省略している。図6においては、送信ユニット10の図示を省略している。図6の回路図においては、各受信コイル部21のコイル40と、それらコイル40の後段に配置されている整流回路80及び負荷90を示している。
【0011】
図1から図4のいずれかに示すように、本実施形態に係る電力伝送装置100は、送信コイル部11(図1等)を有する送信ユニット10(図1等)と、受信コイル部21(図2等)を有する受信ユニット20(図2等)と、を備え、送信ユニット10から受信ユニット20に電力を伝送するものである。
図4に示すように、送信ユニット10と受信ユニット20とは、互いに対向しているとともに、回転軸70(図3等)を中心として相対的に回転可能となっている。図1に示すように、送信ユニット10は、回転軸70を中心として周回状に配置されている複数の送信コイル部11を備えている。図2に示すように、受信ユニット20は、回転軸70を中心として周回状に配置されている複数の受信コイル部21を備えている。
【0012】
本実施形態によれば、送信ユニット10は複数の送信コイル部11を備えて構成されており、受信ユニット20は複数の受信コイル部21を備えて構成されている。このため、送信コイル部及び受信コイル部がそれぞれ1個ずつの場合と比べて、所望の電力伝送能力を実現するのに必要とされる送信コイル部11及び受信コイル部21の個々の寸法を小さくすることができる。よって、送信コイル部11及び受信コイル部21の構造的強度並びに耐久性を十分に確保できるとともに、送信コイル部11及び受信コイル部21の製造容易性も向上する。
より詳細には、送信コイル部及び受信コイル部がそれぞれ1個ずつの場合と比べて、各送信コイル部11が有する磁性コア30(図1参照)並びに各受信コイル部21が有する磁性コア30(図2参照)の寸法を小さくすることができる。よって、各磁性コア30の構造的強度並びに耐久性を十分に確保することができるとともに、各磁性コア30の製造容易性も向上する。
【0013】
ここで、図7に示すように、電力伝送装置100は、一例として、自動車等の車両のハンドル111(ステアリング)及びその周辺の部分に取り付けて用いられ、ハンドル111に搭載されている各種の負荷90(図5図6図7:例えば、ディスプレイやスピーカなど)に電力を供給する。すなわち、受信ユニット20の各受信コイル部21は、負荷90に対して電気的に接続されており、送信ユニット10の送信コイル部11から伝送された電力を負荷90に供給する。
ここで、ハンドル111は、例えば、回転シャフト120の先端部(上端部)に連結されている。回転シャフト120は、直線状の棒状体である。回転シャフト120は、当該回転シャフト120の軸周りに回転可能な状態で、ベース121により保持されている。
電力伝送装置100の構成のうち、送信ユニット10はベース121に設けられ、受信ユニット20はハンドル111に設けられる。
このため、車両の運転者がハンドル111を回転操作すると、ハンドル111に伴って負荷90及び受信ユニット20は回転するが、ベース121に設けられている送信ユニット10は回転しない。
送信ユニット10と受信ユニット20とは、仮想の基準面130(図7)を間に挟んで互いに対向しているとともに、基準面130に対して直交する回転軸70を中心として相対的に回転可能となっている。本実施形態の場合、送信ユニット10は基準面130の下側に配置されており、受信ユニット20は基準面130の上側に配置されている。
本実施形態の場合、上記回転軸70は、例えば、回転シャフト120の中心軸である。本実施形態の場合、送信ユニット10の複数の送信コイル部11は、回転シャフト120の周囲に周回状に配置されている。同様に、受信ユニット20の複数の受信コイル部21は、回転シャフト120の周囲に周回状に配置されている。
なお、本発明において、回転軸70は、実体を伴わない仮想的なものであってもよい。例えば、送信ユニット10と受信ユニット20とが、リング状のガイド機構を介して相対回転可能な状態で相互に連結されている場合、回転軸70は、ガイド機構の中心を通過する仮想的なものとなる。
【0014】
電力伝送装置100の取付対象は、車両のハンドル111及びその周辺の部分に限らず、その他の機器に取り付けて用いられてもよい。その他の機器は、例えば、ゲーム機などのアミューズメント機器やシミュレータなどといったハンドルを有する機器を挙げることができる。ただし、その他の機器は、ハンドルを有していないが相対的に回転可能な2つの部分を有する機器であってもよく、回転シャフト120を用いずに、2つの部分が相対的に回転可能に連結されている機器であってもよい。
【0015】
また、電力伝送装置100は、受信ユニット20が予めハンドル111に組み込まれた構成のハンドル部品として提供されてもよい。
すなわち、図7に示すように、本実施形態に係るハンドル部品110は、本実施形態に係る電力伝送装置100と、回転シャフト120に設けられるハンドル111とを備え、受信ユニット20がハンドル111に設けられている。
【0016】
以下では、説明を簡単にするため、回転軸70が上下方向(鉛直方向)に延在しているものと仮定して、各構成要素の位置関係を説明する。したがって、以下の説明では、回転軸70に対して直交する方向が水平方向であるものとする。
また、回転軸70に対して直交する面内において、回転軸70を通過する方向を、径方向と称する。更に、径方向において、回転軸70に近づく方向を径方向内側、回転軸70から遠ざかる方向を径方向外側と称する。
周方向は、回転軸70の軸周り方向である。なお、回転軸70に対して直交する面内において、径方向に対して直交する方向も、便宜的に周方向とみなす。
電力伝送装置100やハンドル部品110の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、電力伝送装置100やハンドル部品110の各部が相互に組み付けられて電力伝送装置100やハンドル部品110が作製された状態での位置関係を説明したものである。
ただし、電力伝送装置100及びハンドル部品110の使用時における回転軸70の方向は、上下方向に限らない。
【0017】
図4に示すように、受信ユニット20は送信ユニット10の上方に配置されている。受信ユニット20は、送信ユニット10に対して非接触に配置されているとともに、送信ユニット10に対して近接して配置されている。
より詳細には、送信ユニット10と受信ユニット20とは、回転軸70に対して直交する仮想の平面である基準面130を間に挟んで互いに対向しているとともに、回転軸70を中心として相対的に回転可能となっている。
以下の説明においては、受信ユニット20が回転軸70を中心として送信ユニット10に対して相対回転することを、単に受信ユニット20が相対回転する、という。なお、送信ユニット10に対する受信ユニット20の相対回転は、本実施形態の場合、反時計回り方向及び時計回り方向のそれぞれに自在となっている。
【0018】
図1に示すように、送信ユニット10の複数の送信コイル部11は、回転軸70を中心とする円周(図1に示す第1の仮想円131)上に並んで配置されている。第1の仮想円131は、回転軸70に対して直交する平面内に存在している。
よって、回転軸70から各送信コイル部11までの距離は互いに等しい。
より詳細には、各送信コイル部11の中心は、第1の仮想円131の円周上に配置されている。
また、各送信コイル部11は、回転軸70に対して直交する共通の平面上に配置されている。すなわち、図4に示すように、各送信コイル部11は、回転軸70の方向において、互いに同じ位置に配置されている。
例えば、各送信コイル部11は互いに同じ寸法及び形状に形成されている。
【0019】
図2に示すように、受信ユニット20の複数の受信コイル部21は、回転軸70を中心とする円周(図2に示す第2の仮想円132)上に並んで配置されている。第2の仮想円132は、第1の仮想円131とは回転軸70の方向において異なる位置において、回転軸70に対して直交する平面内に存在している。
よって、回転軸70から各受信コイル部21までの距離は互いに等しい。
より詳細には、各受信コイル部21の中心は、第2の仮想円132の円周上に配置されている。従って、受信ユニット20が相対回転する際において、各受信コイル部21の中心は、第2の仮想円132の円周に沿って移動する。
また、各受信コイル部21は、回転軸70に対して直交する共通の平面上に配置されている。すなわち、図4に示すように、各受信コイル部21は、回転軸70の方向において、互いに同じ位置に配置されている。
そして、送信ユニット10の複数の送信コイル部11と、受信ユニット20の複数の受信コイル部21とは、回転軸70の方向において、互いにずれた位置に配置されている。
本実施形態の場合、第1の仮想円131の直径と第2の仮想円132の直径とは、互いに等しい。
例えば、各受信コイル部21は互いに同じ寸法及び形状に形成されている。更に、例えば、送信コイル部11と受信コイル部21とは互いに同じ寸法及び形状に形成されている。
【0020】
送信ユニット10は、電源(不図示)と接続されており、各送信コイル部11には電源から電流が印加されるようになっている。各送信コイル部11に電流が印加されることによって、各送信コイル部11の周囲に磁界が生じるので、受信ユニット20の複数の受信コイル部21のうち、送信コイル部11と対向する位置関係にある受信コイル部21において、誘導起電力が発生する。すなわち、本実施形態の場合、電力伝送装置100は、送信ユニット10の送信コイル部11から、受信ユニット20の受信コイル部21へと、電磁誘導方式によって電力が伝送される。
このため、送信コイル部11と受信コイル部21との重なり面積が大きくなるほど、送信コイル部11から受信コイル部21への電力伝送効率が向上する。
なお、重なり面積とは、平面視において送信コイル部11と受信コイル部21とが重なっている部分の面積を意味する。
【0021】
図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示すように、本実施形態の場合、送信ユニット10が有する複数の送信コイル部11の数と、受信ユニット20が有する複数の受信コイル部21の数と、が互いに異なっている。これにより、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度にかかわらず、いずれかの送信コイル部11といずれかの受信コイル部21とが十分な重なり面積で重なった状態となるような、送信コイル部11及び受信コイル部21の配置を、容易に実現することができる。従って、送信ユニット10と受信ユニット20との間の十分な電力伝送効率を容易に確保することができる。
【0022】
更に、本実施形態の場合、複数の送信コイル部11の数よりも複数の受信コイル部21の数の方が多い。これにより、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度にかかわらず、複数の送信コイル部11の各々がいずれかの受信コイル部21と重なった状態となるような、送信コイル部11及び受信コイル部21の配置を、容易に実現することができる。よって、各送信コイル部11から受信ユニット20に伝送される電力を、受信ユニット20の各受信コイル部21によって効率的に受電することができる。
【0023】
図1に示すように、送信ユニット10は、一例として、2つの送信コイル部11を備えている。図2に示すように、受信ユニット20は、一例として、6つの受信コイル部21を備えている。
なお、以下の説明において、2つの送信コイル部11を、それぞれ送信コイル部11a、送信コイル部11bと称する場合がある(図1参照)。同様に、以下の説明において、6つの受信コイル部21を、それぞれ受信コイル部21a、受信コイル部21b、受信コイル部21c、受信コイル部21d、受信コイル部21e、受信コイル部21f、と称する場合がある(図2参照)。受信コイル部21a~21fは、平面視において、受信コイル部21a、受信コイル部21b、受信コイル部21c、受信コイル部21d、受信コイル部21e、受信コイル部21fの順で反時計回りに並んでいる。
【0024】
そして、第2の仮想円132の円周上において、各受信コイル部21は、等間隔で配置されている。すなわち、回転軸70に対して直交する面内において、各受信コイル部21は、回転軸70を基準として、等間隔(等角度間隔)で配置されている。
つまり、本実施形態の場合、回転軸70を基準として、隣り合う受信コイル部21どうしの角度(図2に示す角度β)は、それぞれ60度となっている。
なお、受信ユニット20は、複数の受信コイル部21どうしの相対的な位置関係が保持された状態で、送信ユニット10に対して相対回転する。
【0025】
一方、第1の仮想円131の円周上における送信コイル部11どうしの間隔(角度)は、第2の仮想円132の円周上における隣り合う受信コイル部21どうしの間隔とは異なる間隔に設定されている。本実施形態の場合、回転軸70を基準とする送信コイル部11aと送信コイル部11bとの角度(図1に示す角度α)は、例えば、150度に設定されている。
【0026】
このように、第1の仮想円131の円周上における送信コイル部11どうしの間隔(角度)と、第2の仮想円132の円周上における受信コイル部21どうしの間隔(角度)と、が互いに異なっている。
このため、図3(a)に示すように、第1の送信コイル部11(例えば送信コイル部11a)が第1の受信コイル部21(例えば受信コイル部21a)とが正対した状態では、回転軸70の方向に電力伝送装置100を視たときに(つまり平面視において)、第2の送信コイル部11(例えば送信コイル部11b)は第2の受信コイル部21(例えば受信コイル部21c)と第3の受信コイル部21(例えば受信コイル部21d)との間に位置する。
また、図3(c)に示すように、第2の送信コイル部11(送信コイル部11b)が第2の受信コイル部21(受信コイル部21c)とが正対した状態では、回転軸70の方向に電力伝送装置100を視たときに、第1の送信コイル部11(送信コイル部11a)は第1の受信コイル部21(受信コイル部21a)と第4の受信コイル部21(例えば受信コイル部21f)との間に位置する。
以下、図3(a)の状態を第1の状態、図3(c)の状態を第2の状態と称する。第1の状態を起点として、受信ユニット20が送信ユニット10に対して反時計回りに30度回転することによって、第2の状態に移行する。
ここで、一の送信コイル部11と一の受信コイル部21と正対しているとは、回転軸70の方向に電力伝送装置100を視たときに、一の送信コイル部11の中心と一の受信コイル部21の中心との距離が最も小さい状態となっていることを意味する。
本実施形態の場合、一の送信コイル部11と一の受信コイル部21と正対しているときには、回転軸70の方向に電力伝送装置100を視たときに(つまり平面視において)、一の送信コイル部11の中心と一の受信コイル部21の中心とが互いに重なる(一致する)とともに、一の送信コイル部11の全体と一の受信コイル部21の全体とが互いに重なる。
電力伝送装置100は、ここで説明した条件を満たすように構成されているため、第1の状態及び第2の状態の各々において、送信コイル部11から受信コイル部21へと十分な電力伝送効率で電力を伝送することができる。すなわち、第1の状態では主として送信コイル部11aから受信コイル部21aへと電力を伝送することができ、第2の状態では主として送信コイル部11bから受信コイル部21cへと電力を伝送することができる。
【0027】
なお、第1の状態においては、送信コイル部11bについては、例えば、部分的に受信コイル部21c及び受信コイル部21dと重なっている。ただし、第1の状態において、送信コイル部11bはいずれの受信コイル部21とも重なっていなくてもよい。
同様に、第2の状態においては、送信コイル部11aについては、例えば、部分的に受信コイル部21f及び受信コイル部21aと重なっている。ただし、第2の状態において、送信コイル部11aはいずれの受信コイル部21とも重なっていなくてもよい。
第1の状態における送信コイル部11aと受信コイル部21aとの重なり面積と送信コイル部11bと受信コイル部21c及び受信コイル部21dとの重なり面積の合計値と、第2の状態における送信コイル部11bと受信コイル部21cとの重なり面積と送信コイル部11aと受信コイル部21d及び受信コイル部21aとの重なり面積の合計値とは、互いに等しい。
【0028】
また、図3(b)の状態は、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が、第1の状態と第2の状態との中間の角度となった状態である。以下、図3(b)の状態を第3の状態と称する。第1の状態を起点として、受信ユニット20が送信ユニット10に対して反時計回りに15度回転することによって、第3の状態に移行する。
第3の状態においては、送信コイル部11aは部分的に受信コイル部21aと重なっており、送信コイル部11bは部分的に受信コイル部21cと重なっている。
第3の状態では、第1の状態と比べて、送信コイル部11aと受信コイル部21aとの重なり面積が小さい代わりに、送信コイル部11bと受信コイル部21cとの重なり面積が大きい。同様に、第3の状態では、第2の状態と比べて、送信コイル部11bと受信コイル部21cとの重なり面積が小さい代わりに、送信コイル部11aと受信コイル部21aとの重なり面積が大きい。
これにより、第3の状態では、(第1の状態及び第2の状態と比べると電力伝送能力が劣る可能性はあるものの)、送信コイル部11aから受信コイル部21aに伝送される電力と送信コイル部11bから受信コイル部21cに伝送される電力との合計量を十分に確保することができる。
すなわち、第3の状態は、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が様々に変化しうるなかで、電力伝送能力が最も劣る可能性がある状態であるが、第3の状態においても、電力伝送装置100による電力伝送能力を十分に確保することができる。
このように、本実施形態によれば、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度にかかわらず、十分な電力伝送能力を確保することができる。
【0029】
ここで、第1の状態における受信ユニット20の回転角度を第1の角度、第2の状態における受信ユニット20の回転角度を第2の角度と称する。
つまり、本実施形態の場合、図3(a)に示すように、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第1の角度のときには、送信コイル部11a(第1の送信コイル部)と受信コイル部21a(第1の受信コイル部)との重なり面積の方が、送信コイル部11b(第2の送信コイル部)と受信コイル部21c(第2の受信コイル部)との重なり面積よりも大きくなる。
また、図3(c)に示すように、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第2の角度のときには、送信コイル部11a(第1の送信コイル部)と受信コイル部21a(第1の受信コイル部)との重なり面積よりも、送信コイル部11b(第2の送信コイル部)と受信コイル部21c(第2の受信コイル部)との重なり面積の方が大きくなる。
つまり、受信ユニット20の相対回転によって、送信コイル部11a(第1の送信コイル部)と受信コイル部21a(第1の受信コイル部)との重なり面積が小さくなったとしても、代わりに送信コイル部11b(第2の送信コイル部)と受信コイル部21c(第2の受信コイル部)との十分な重なり面積が確保される。
よって、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第1の角度のときと第2の角度のときとのいずれにおいても、十分な電力伝送能力を確保することができる。
【0030】
また、第3の状態における受信ユニット20の回転角度を第3の角度と称する。
図3(b)に示すように、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第3の角度のときには、送信コイル部11a(第1の送信コイル部)と受信コイル部21a(第1の受信コイル部)との重なり面積と、送信コイル部11b(第2の送信コイル部)と受信コイル部21c(第2の受信コイル部)との重なり面積が等しくなる。
送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第3の角度のときにも、十分な電力伝送能力を確保することができる。
つまり、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度にかかわらず、十分な電力伝送能力を確保することができる。
【0031】
なお、上記の説明において、送信コイル部11の数よりも受信コイル部21の数の方が多い例を説明したが、本発明はこの例に限らず、送信コイル部11の数よりも受信コイル部21の数の方が少なくてもよい。この場合においても、各送信コイル部11及び各受信コイル部21の各々は、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度にかかわらず、十分な電力伝送能力を確保することができるように配置されていることが好ましい。すなわち、電力伝送装置100は、上述した条件を満たすように構成されていることが好ましい。
【0032】
図1図2、及び図4に示すように、送信コイル部11と、受信コイル部21と、の各々は、芯部33を有する磁性コア30と、芯部33の周囲に巻回されているコイル40と、を有する。
【0033】
磁性コア30は、例えば、フェライトなどの磁性材料によって全体が一体成形されている。
本実施形態の場合、磁性コア30は、例えば、ポットコア形状に形成されている。
図1図2及び図4に示すように、磁性コア30は、例えば、円筒状の筒状部34と、筒状部34の一端側を閉塞している円盤状の閉塞部35と、を有する。筒状部34の他端側には開口部34aが形成されている。芯部33は、閉塞部35の中央部から開口部34aに向けて直線状の棒状に延びている。
なお、ここでは筒状部34が円筒状である例を説明するが、筒状部34は、多角筒状などの円筒状以外の形状であってもよい。
【0034】
コイル40は、例えば、絶縁被覆された金属製の線材により構成されている。コイル40は、線材を芯部33の周囲に巻回することにより構成されている巻回部43と、線材の両端部によりそれぞれ構成されている引出配線部(不図示)と、を有する。巻回部43は、筒状部34に収容されている。
ここで、筒状部34の周方向における一部分には、切欠形状部36(図1及び図2)が形成されている。コイル40の各引出配線部は、切欠形状部36を通して筒状部34の外部に引き出されている。
送信コイル部11の磁性コア30は、筒状部34の軸方向並びに芯部33が上下に延在し、閉塞部35が水平に配置され、且つ、開口部34aが上向きとなるように、配置されている。受信コイル部21の磁性コア30は、筒状部34の軸方向並びに芯部33が上下に延在し、閉塞部35が水平に配置され、且つ、開口部34aが下向きとなるように、配置されている。つまり、各受信コイル部21は、各送信コイル部11とは上下反転した姿勢で配置されている。
なお、各送信コイル部11及び各受信コイル部21は、切欠形状部36が径方向外方を向くように配置されていることが好ましい。
【0035】
上述のように、送信ユニット10の各送信コイル部11には、電源から電流が印加されるようになっている。本実施形態の場合、各送信コイル部11に印可される電流は、例えば、交流電流である。
このため、送信コイル部11と対向する受信コイル部21において生成される電流も、交流電流となる。
電力伝送装置100は、受信コイル部21において生成された交流電流を直流電流に整流して負荷90(図5図6及び図7参照)に供給する整流回路を備えていることが好ましい。
【0036】
図5に示すように、本実施形態の場合、電力伝送装置100は、各受信コイル部21とそれぞれ対応して設けられた複数の整流回路80(図5図6参照)を備えている。複数の整流回路80は、互いに同方向に流れる直流電流を出力するように構成されている。
このため、各受信コイル部21において生成される交流電流の向きが正逆いずれのときにも、各整流回路80から負荷90に供給される電流の向きが互いに等しくなる。よって、受信ユニット20は、常に一定方向に流れる電流を負荷90に供給することができる。
また、本実施形態の場合、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度によっては、各受信コイル部21の周囲に形成される磁界の関係上、一の受信コイル部21において生成される電流の向きと、他の受信コイル部21において生成される電流の向きとが互いに逆方向になるときがある。例えば、一の受信コイル部21が一の送信コイル部11と正対し、他の受信コイル部21の径方向における半部が他の送信コイル部11と対向しているような場合である。このような事情に対し、本実施形態によれば、各受信コイル部21と対応して個別に設けられた整流回路80が、互いに同方向に流れる直流電流を出力するので、各受信コイル部21において生成された電流どうしが相殺することを抑制でき、各受信コイル部21において生成された電流を無駄なく負荷90において有効活用することができる。
なお、複数の整流回路80は、受信ユニット20が備えていてもよいし、受信ユニット20とは別の箇所に配置されていてもよい。
【0037】
図6に示すように、各整流回路80は、例えば、4つのダイオード81a、81b、81c及び81dを備えている。
ダイオード81aのアノードには、受信コイル部21のコイル40の一端部が電気的に接続されている。ダイオード81aのカソードは、負荷90の一端に対して電気的に接続される。
ダイオード81bのカソードには、コイル40の一端部が電気的に接続されている。ダイオード81bのアノードは、負荷90の他端に対して電気的に接続される。
ダイオード81cのアノードには、コイル40の他端部が電気的に接続されている。ダイオード81cのカソードは、負荷90の一端に対して電気的に接続される。
ダイオード81dのカソードには、コイル40の他端部が電気的に接続されている。ダイオード81dのアノードは、負荷90の他端に対して電気的に接続される。
【0038】
なお、本発明において、各送信コイル部11の配置は、上述した例に限らない。すなわち、上記においては、送信コイル部11aと送信コイル部11bとの角度(図1に示す角度α)が150度である例を説明したが、角度αは、この例に限らない。例えば、角度αは、60度(又は-60度)の倍数を除くその他の角度であってもよい。
すなわち、角度αは、0度<α<60度、60度<α<120度、120度<α<180度、-60度<α<0度、-120度<α<-60度、及び、-180度<α<-120度のいずれであってもよい。
ここでいう角度は、送信コイル部11aが回転軸70を基準として12時方向にあるときの送信コイル部11bの方向を示すものであり、反時計回り方向への角度を正の角度、時計回り方向への角度を負の角度としている。
なお、角度αの絶対値は、90度よりも大きい角度であることが好ましい。
また、角度αの絶対値は、60度の倍数からなるべく離れた値であって、且つ、30度の倍数になるべく近い値であることが好ましく、30度の倍数であることが特に好ましい。
また、受信コイル部21a~21fは、第2の仮想円132の周方向において、60°間隔で配置されている例を説明したが、本発明は、この例に限らない。
また、第1の仮想円131の直径と、第2の仮想円132の直径とが互いに等しい例を説明したが、本発明はこの例に限らず、第1の仮想円131の直径と、第2の仮想円132の直径とが互いに異なっていてもよい。なお、この場合においても、一の送信コイル部11と一の受信コイル部21とが正対している状態とは、回転軸70の方向に視たときに、一の送信コイル部11の中心と一の受信コイル部21の中心との距離が最も小さい状態を意味する。
また、送信コイル部11と受信コイル部21とが互いに同一の寸法及び形状に形成されている例を説明したが、送信コイル部11と受信コイル部21とは互いに異なる寸法又は形状に形成されていてもよい。
【0039】
なお、本発明において、送信ユニット10が備える送信コイル部11の数は、上述した例に限らず、3つ以上であってもよい。同様に、受信ユニット20が備える受信コイル部21の数は、この例に限らず、7つ以上であってもよいし、5つ以下であってもよい。
また、本発明において、送信ユニット10が備える送信コイル部11の数と、受信ユニット20が備える受信コイル部21の数とは、互いに等しくてもよい。
更に、本発明において、送信ユニット10が備える送信コイル部11の数が、受信ユニット20が備える受信コイル部21の数よりも多くてもよい。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、図8から図10を用いて第2実施形態を説明する。本実施形態に係る電力伝送装置100は、それぞれ以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る電力伝送装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る電力伝送装置100と同様に構成されている。
【0041】
本実施形態の場合も、磁性コア30は、例えば、フェライトなどの磁性材料によって、その全体が一体成形されている。
【0042】
本実施形態の場合も、送信コイル部11と、受信コイル部21と、の各々は、芯部33を有する磁性コア30と、芯部33の周囲に巻回されているコイル40と、を有している。ただし、本実施形態の場合、コイル40の軸方向及び芯部33の軸方向が、回転軸70を中心とする径方向に延在している。
このため、本実施形態の場合、第1実施形態とは異なり、送信ユニット10の周方向におけるいずれの位置においても、回転軸70を基準としたときの磁束の向きが同等となる。このため、各受信コイル部21において生成される電流の向きが常に互いに同方向になる。よって、各受信コイル部21の後段に設けられる整流回路80は、各受信コイル部21に個別のものとする必要は無く、各受信コイル部21に共通の1つで足りる。
【0043】
図8から図10に示すように、本実施形態の場合、磁性コア30は、芯部33における径方向内側の端部に設けられている内側鍔部53と、芯部33における径方向外側の端部に設けられている外側鍔部54と、を有する。
内側鍔部53及び外側鍔部54の各々は、芯部33よりも、周方向に張り出した形状となっている。すなわち、周方向における内側鍔部53及び外側鍔部54の各々の寸法は、周方向における芯部33の寸法よりも大きい。
そして、周方向において、内側鍔部53の寸法よりも、外側鍔部54の寸法の方が大きい。これにより、空間内において磁性コア30が占める体積の割合(磁性コア30の配置密度)を大きくできるので、個々の送信コイル部11及び受信コイル部21の特性が向上する。よって、電力伝送装置100による単位体積当たりの電力伝送能力が向上する。
【0044】
更に、本実施形態の場合、周方向における芯部33の太さが、径方向外側に向けて拡大している。このことによっても、空間内において磁性コア30が占める体積の割合(磁性コア30の配置密度)を大きくできるので、個々の送信コイル部11及び受信コイル部21の特性が向上する。よって、電力伝送装置100による単位体積当たりの電力伝送能力が向上する。
【0045】
より詳細には、芯部33は、例えば、内側部51と、内側部51に対して径方向外側に連接されている外側部52と、を有しており、内側部51と外側部52とは互いに同軸に配置されている。
例えば、内側部51の上下寸法と外側部52の上下寸法とは互いに等しい。ただし、周方向における外側部52の幅寸法は、周方向における内側部51の幅寸法よりも大きい。換言すると、周方向における芯部33の太さが、径方向外側に向けて拡大している。より詳細には、例えば、周方向における芯部33の寸法は、内側部51と外側部52との境界において不連続に変化している。内側部51と外側部52との境界における段差面51aは、例えば、平坦に形成されているとともに、径方向に対して直交している。
なお、軸方向(径方向)に対して直交する内側部51の断面形状、並びに、外側部52の断面形状は、楕円状ないしは長円状であってもよいし、矩形状などの多角形状であってもよい。
【0046】
なお、本実施形態の場合、芯部33は、内側部51と外側部52との2つの部分を有しており、周方向における寸法(太さ)が径方向外側に向けて2段階に変化しているが、本発明は、この例に限らず、芯部33は、3つ以上の部分を有しているとともに周方向における寸法が3段階以上に変化していてもよい。
また、本実施形態の場合、周方向における芯部33の太さが不連続に変化しているが、本発明は、この例に限らず、周方向における芯部33の太さがテーパー状に(つまり連続的に)変化していてもよい。
【0047】
磁性コア30を径方向に視たときの内側鍔部53の形状は、例えば、略矩形状となっている。例えば、内側鍔部53は、鉛直に起立した平板状に形成されており、内側鍔部53の板面は径方向内側及び径方向外側を向いている。例えば、内側鍔部53における径方向内側及び径方向外側の各々の板面は、平坦に形成されており、径方向に対して直交している。また、内側鍔部53の上端面及び下端面は、それぞれ水平に配置されている。
磁性コア30を径方向に視たときの外側鍔部54の形状は、例えば、上下方向に長尺な略矩形状となっている。例えば、外側鍔部54は、鉛直に起立した略平板状に形成されており、外側鍔部54の板面は径方向内側及び径方向外側を向いている。例えば、外側鍔部54における径方向内側の板面は、平坦に形成されており、径方向に対して直交している。一方、外側鍔部54における径方向外側の板面は、例えば、凸曲面状に形成されており、平面視において、径方向外側に外方に向けて円弧状に僅かに膨出している。また、外側鍔部54の上端面及び下端面はそれぞれ水平に配置されている。
【0048】
例えば、図10に示すように、内側鍔部53の上下寸法は、外側鍔部54の上下寸法よりも大きいことが好ましい。このようにすることによって、径方向に視たときの内側鍔部53の面積の大きさと外側鍔部54の面積の大きさとを近づけることができ、磁束の漏れを抑制することができる。
【0049】
本実施形態の場合、磁性コア30は、例えば、芯部33の中心線を含む鉛直面を基準とする対称形状(鏡面対称形状)に形成されている(図8参照)。更に、磁性コア30は、例えば、芯部33の中心線を含む水平面を基準とする対称形状(鏡面対称形状)に形成されている(図10参照)。
【0050】
本実施形態の場合、コイル40を構成する線材は、芯部33の内側部51及び外側部52に巻回されている。
コイル40は、例えば、1本の線材によって構成されていてもよいし、複数本の線材によって構成されていてもよい。
【0051】
図8に示すように、本実施形態の場合、送信ユニット10は、一例として、12個の送信コイル部11を備えている。受信ユニット20は、一例として、12個の受信コイル部21を備えている。すなわち、送信コイル部11の数と受信コイル部21の数とは互いに等しい。
本実施形態の場合、複数の送信コイル部11の軸心は、回転軸70を中心とした放射状に配置されている。また、複数の送信コイル部11の軸心は、回転軸70に対して直交する共通の平面上に配置されている。複数の送信コイル部11は、第1の仮想円131の円周上に等間隔で配置されている。
同様に、複数の受信コイル部21の軸心は、回転軸70を中心とした放射状に配置されている。また、複数の受信コイル部21の軸心は、回転軸70に対して直交する共通の平面上に配置されている。複数の受信コイル部21は、第2の仮想円132の円周上に等間隔で配置されている。
複数の送信コイル部11の配置と、複数の受信コイル部21の配置とは互いに等しくなっており、図8の状態では、各送信コイル部11の上に、1つずつの受信コイル部21が重なっている。
【0052】
本実施形態の場合も、第1実施形態と同様に、各送信コイル部11及び各受信コイル部21のそれぞれの配置間隔及び配置個数は、特に限定されない。
【0053】
なお、本実施形態の場合も、第1実施形態と同様に、送信コイル部11の数と受信コイル部21の数とが互いに異なっていてもよい。この場合、例えば、送信コイル部11の数よりも受信コイル部21の数の方を多くすることができる。
【0054】
また、本実施形態の場合も、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第1の角度のときには、第1の送信コイル部11と第1の受信コイル部21との重なり面積の方が、第2の送信コイル部11と第2の受信コイル部21との重なり面積よりも大きく、送信ユニット10に対する受信ユニット20の回転角度が第2の角度のときには、第1の送信コイル部11と第1の受信コイル部21との重なり面積よりも、第2の送信コイル部11と第2の受信コイル部21との重なり面積の方が大きくなるように、複数の送信コイル部11及び複数の受信コイル部21が配置されていてもよい。
更に、本実施形態の場合も、第1の送信コイル部11と第1の受信コイル部21とが正対した状態では、第2の送信コイル部11は第2の受信コイル部21と第3の受信コイル部21との間に位置し、第2の送信コイル部11と第2の受信コイル部21とが正対した状態では、第1の送信コイル部11は第1の受信コイル部21と第4の受信コイル部21との間に位置するようになっていてもよい。
【0055】
また、本実施形態の場合も、電力伝送装置100は、各受信コイル部21とそれぞれ対応して設けられた複数の整流回路80を備え、複数の整流回路80は、互いに同方向に流れる直流電流を出力するようになっていてもよい。
【0056】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0057】
例えば、上記においては、送信ユニット10から受信ユニット20に電力を伝送する方式が電磁誘導式である例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、磁界共鳴方式を用いてもよい。
【0058】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)送信コイル部を有する送信ユニットと、受信コイル部を有する受信ユニットと、を備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する電力伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、互いに対向しているとともに、回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記送信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記送信コイル部を備え、
前記受信ユニットは、回転軸を中心として周回状に配置されている複数の前記受信コイル部を備えている電力伝送装置。
(2)前記送信コイル部の数と前記受信コイル部の数とが互いに異なっている(1)に記載の電力伝送装置。
(3)前記送信コイル部の数よりも前記受信コイル部の数の方が多い(2)に記載の電力伝送装置。
(4)前記送信コイル部の数よりも前記受信コイル部の数の方が少ない(2)に記載の電力伝送装置。
(5)前記送信ユニットに対する前記受信ユニットの回転角度が第1の角度のときには、第1の前記送信コイル部と第1の前記受信コイル部との重なり面積の方が、第2の前記送信コイル部と第2の前記受信コイル部との重なり面積よりも大きく、
前記送信ユニットに対する前記受信ユニットの回転角度が第2の角度のときには、前記第1の送信コイル部と前記第1の受信コイル部との重なり面積よりも、前記第2の送信コイル部と前記第2の受信コイル部との重なり面積の方が大きくなる(1)から(4)のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
(6)前記第1の送信コイル部と前記第1の受信コイル部とが正対した状態では、前記第2の送信コイル部は前記第2の受信コイル部と第3の受信コイル部との間に位置し、
前記第2の送信コイル部と前記第2の受信コイル部とが正対した状態では、前記第1の送信コイル部は前記第1の受信コイル部と第4の受信コイル部との間に位置する(5)に記載の電力伝送装置。
(7)前記送信コイルの前記コイルには、交流電流が印加されるようになっており、
当該電力伝送装置は、各受信コイル部とそれぞれ対応して設けられた複数の整流回路を備え、
前記複数の整流回路は、互いに同方向に流れる直流電流を出力する(1)から(6)のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
(8)前記送信コイル部と、前記受信コイル部と、の各々は、芯部を有する磁性コアと、前記芯部の周囲に巻回されているコイルと、を有し、
前記コイルの軸方向及び前記芯部の軸方向が、前記回転軸を中心とする径方向に延在している(1)から(7)のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
(9)前記磁性コアは、前記芯部における径方向内側の端部に設けられている内側鍔部と、前記芯部における径方向外側の端部に設けられている外側鍔部と、を有し、
周方向において、前記内側鍔部の寸法よりも、前記外側鍔部の寸法の方が大きい(8)に記載の電力伝送装置。
(10)周方向における前記芯部の太さが、径方向外側に向けて拡大している(8)又は(9)に記載の電力伝送装置。
(11)(1)から(10)のいずれか一項に記載の電力伝送装置と、
回転シャフトに設けられるハンドルと、
を備え、
前記受信ユニットが前記ハンドルに設けられているハンドル部品。
【符号の説明】
【0059】
10 送信ユニット
11 送信コイル部
11a 送信コイル部(第1の送信コイル部)
11b 送信コイル部(第2の送信コイル部)
20 受信ユニット
21 受信コイル部
21a 受信コイル部(第1の受信コイル部)
21b 受信コイル部
21c 受信コイル部(第2の受信コイル部)
21d 受信コイル部(第3の受信コイル部)
21e 受信コイル部
21f 受信コイル部(第4の受信コイル部)
30 磁性コア
33 芯部
34 筒状部
34a 開口部
35 閉塞部
36 切欠形状部
40 コイル
43 巻回部
51 内側部
51a 段差面
52 外側部
53 内側鍔部
54 外側鍔部
70 回転軸
80 整流回路
81 ダイオード
90 負荷
100 電力伝送装置
110 ハンドル部品
111 ハンドル
120 回転シャフト
121 ベース
130 仮想の基準面
131 第1の仮想円
132 第2の仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10