(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】番組配信装置、番組配信システムおよび番組配信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/222 20110101AFI20230801BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20230801BHJP
H04H 20/51 20080101ALI20230801BHJP
H04H 20/95 20080101ALI20230801BHJP
H04L 49/9057 20220101ALI20230801BHJP
H04N 21/2389 20110101ALI20230801BHJP
【FI】
H04N21/222
H04H20/28
H04H20/51
H04H20/95
H04L49/9057
H04N21/2389
(21)【出願番号】P 2019147559
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 正寿
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真二
(72)【発明者】
【氏名】村角 賢三
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179900(JP,A)
【文献】特開2018-064139(JP,A)
【文献】高度広帯域衛星デジタル放送運用規定 技術資料,ARIB TR-B39,2.1版(第四分冊),日本,一般社団法人電波産業会,2019年04月12日,第7-49頁 - 第7-52頁,第7-93頁 - 第7-98頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04L 45/00 - 49/9057
H04H 20/00 - 20/46
H04H 20/51 - 20/86
H04H 20/91 - 20/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置であって、
番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLV(Type Length Value)パケットを生成するTLVパケット生成部と、
前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを備え
、
前記ストリーム生成部は、生成する前記ストリームのレートが所定値になるように、前記ストリームにおけるヌルデータの量を調整するヌルデータ調整部を含み、
前記ヌルデータ調整部は、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータを前記ストリームにおいて挿入する、番組配信装置
。
【請求項2】
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信システムであって、
配信波を出力する複数の番組配信装置と、
前記複数の番組配信装置から受けた前記配信波を合成する合波器とを備え、
前記番組配信装置は、
番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するTLVパケット生成部と、
前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを含
み、
前記ストリーム生成部は、生成する前記ストリームのレートが所定値になるように、前記ストリームにおけるヌルデータの量を調整するヌルデータ調整部を含み、
前記ヌルデータ調整部は、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータを前記ストリームにおいて挿入する、番組配信システム。
【請求項3】
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置における番組配信方法であって、
番組の情報を含むIPパケットを受信するステップと、
受信した前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するステップと、
生成した前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するステップと、
生成した前記ストリームを変調して配信波を生成するステップとを含
み、
前記ストリームを生成するステップにおいては、生成する前記ストリームのレートが所定値になるように、前記ストリームにおけるヌルデータの量の調整を行い、
前記ストリームを生成するステップにおいては、生成した前記TLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータを前記ストリームにおいて挿入する前記調整を行う、番組配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、番組配信装置、番組配信システムおよび番組配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MMTP(MPEG Media Transport Protocol)パケットを用いてコンテンツを伝送する技術が開発されている。
【0003】
たとえば、ARIB STD-B32 3.4版、“デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式”、一般社団法人 電波産業会、2015年9月30日(非特許文献1)には、MMT方式を用いる放送システムが開示されている。
【0004】
この放送システムでは、音声情報および映像情報等の番組の情報を含むMMTパケットは、IPパケットのペイロードに格納される。IPパケットは、TLV(Type Length Value)パケットのペイロードに格納される。
【0005】
また、特開2013-175949号公報(特許文献1)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、TS(Transport Stream)パケットを割り当てる複数のパケット配置用スロットとヘッダ情報用の1つのスロットからなるフレームにて可変長パケットを多重伝送する送信装置であって、伝送するTSパケットと同サイズのパケット長の第3のパケットを生成し、伝送する可変長パケットを分割して各分割された当該可変長パケットのデータを前記第3のパケットに順次割り当てる可変長パケット分割部と、予め定められた複数のパケット配置用スロットを有するフレームにて前記TSパケット及び前記第3のパケットを伝送するために、前記TSパケット及び前記第3のパケットに関するフレーム中の相対的な配列位置を示すための配列位置情報と前記可変長パケットの先頭位置を示すための先頭位置情報とを含む多重フレームヘッダ情報を生成する多重フレームヘッダ生成部と、1つのフレームに1つの前記多重フレームヘッダ情報のスロットを配置し、前記TSパケット及び前記第3のパケットを当該1つのフレームのパケット配置用スロットごとに配列して多重化し、複数TS多重フレームとして構成する多重化部と、前記複数TS多重フレームの多重化信号を外部に送信する送信部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】ARIB STD-B32 3.4版、“デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式”、一般社団法人 電波産業会、2015年9月30日
【文献】International Telecommunication Union Radiocommunications Sector、”Recommendation ITU-R BT.1869”、2010年3月、[online]、[平成29年10月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/bt/R-REC-BT.1869-0-201003-I!!PDF-E.pdf〉
【文献】一般社団法人 電波産業会、”高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式 ARIB STD-B44 2.1版”、平成28年3月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようなIPパケットを用いて番組の情報を伝送する放送システムにおいて、当該番組を視聴するには、たとえば当該IPパケットに含まれる番組の情報をデコードするためのデコード装置が必要である。当該デコード装置を有しない視聴者において、当該放送システムにおける番組の視聴は困難である。
【0009】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することが可能な番組配信装置、番組配信システムおよび番組配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の番組配信装置は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置であって、番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLV(Type Length Value)パケットを生成するTLVパケット生成部と、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを備える。
【0011】
本開示の番組配信システムは、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信システムであって、配信波を出力する複数の番組配信装置と、前記複数の番組配信装置から受けた前記配信波を合成する合波器とを備え、前記番組配信装置は、番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するTLVパケット生成部と、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを含む。
【0012】
本開示の番組配信方法は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置における番組配信方法であって、番組の情報を含むIPパケットを受信するステップと、受信した前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するステップと、生成した前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するステップと、生成した前記ストリームを変調して配信波を生成するステップとを含む。
【0013】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える番組配信装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、番組配信装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える番組配信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする番組配信方法として実現され得たり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、番組配信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムの構成の比較例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるTLVパケットの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、放送波によって伝送されるTSパケットの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る放送再送信装置が送信するIPパケットの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る番組配信装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る番組配信装置における、配信用IPパケットからTLVパケットが生成される例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおけるTMCC情報のフォーマットの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおけるストリームの構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおける階層伝送方式のフレーム構成の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態に係る番組配信システムの構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおける番組配信装置が配信波を生成する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0018】
(1)本開示の実施の形態に係る番組配信装置は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置であって、番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLV(Type Length Value)パケットを生成するTLVパケット生成部と、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを備える。
【0019】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0020】
(2)好ましくは、前記ストリーム生成部は、生成する前記ストリームのレートが所定値になるように、前記ストリームにおけるヌルデータの量を調整するヌルデータ調整部を含む。
【0021】
このような構成により、たとえば放送波におけるTLVパケットからヌルデータを削除することでデータ量を低減することができるため、IPネットワークへ送信する放送再送信システムにおいて、IPパケットの受信側でヌルデータを適切に調整したストリームを生成し、配信することができる。
【0022】
(3)より好ましくは、前記ヌルデータ調整部は、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータを前記ストリームにおいて挿入する。
【0023】
このような構成により、ヌルデータを適切に調整したストリームを生成して配信するとともに、IPネットワークから受信するIPパケットのデータ量が番組配信装置の処理量を超えてオーバフロー等が生じることをより確実に防ぐことができる。
【0024】
(4)好ましくは、前記TLVパケット生成部は、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のIPパケットから、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のTLVパケットを生成する。
【0025】
このような構成により、複数の放送局について、放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。
【0026】
(5)好ましくは、前記番組配信装置は、さらに、前記IPパケットに含まれる特定の情報であって前記ストリームに含めるべき情報の内容を他の内容に変更する情報入れ替え部を備える。
【0027】
このような構成により、生成したストリームの配信先に特化した情報等を当該ストリームに含め、加入者宅に配信することができる。
【0028】
(6)本開示の実施の形態に係る番組配信システムは、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信システムであって、配信波を出力する複数の番組配信装置と、前記複数の番組配信装置から受けた前記配信波を合成する合波器とを備え、前記番組配信装置は、番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するTLVパケット生成部と、前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを含む。
【0029】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0030】
(7)本開示の実施の形態に係る番組配信方法は、高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置における番組配信方法であって、番組の情報を含むIPパケットを受信するステップと、受信した前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するステップと、生成した前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するステップと、生成した前記ストリームを変調して配信波を生成するステップとを含む。
【0031】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。したがって、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0032】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムの構成の比較例を示す図である。
【0034】
図1を参照して、放送再送信システム301は、放送再送信装置101と、複数のIP放送受信装置202とを備える。
【0035】
なお、放送再送信システム301は、複数のIP放送受信装置202を備える構成に限らず、1つのIP放送受信装置202を備える構成であってもよい。
【0036】
放送再送信装置101およびルータ121は、たとえば、IPTVセンター251に設けられる。
【0037】
ONU(Optical Network Unit)123、STB131、TV受像機132およびTVモニタ133は、加入者宅に設けられる。STB131およびTV受像機132は、IP放送受信装置202を含む。
【0038】
放送再送信装置101には、たとえば、外部アンテナ81が接続されている。放送再送信装置101は、たとえばストリームを含む放送波を受信する。
【0039】
ストリームは、番組の情報等を含む。番組の情報は、たとえば、音声情報、映像情報、EPG(Electronic Program Guide)情報、SI情報(Service Information)および字幕情報等を含む。
【0040】
音声情報および映像情報は、たとえば、所定の方式に従って、圧縮および暗号化が施されている。
【0041】
放送再送信装置101は、たとえば、放送局からのストリームを中継するための、図示しない高度広帯域衛星デジタル放送用の放送衛星から送信された放送波を外部アンテナ81経由で受信する。
【0042】
なお、放送再送信装置101は、たとえば、電波塔から送信された放送波を外部アンテナ81経由で受信してもよい。
【0043】
図2は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの一例を示す図である。
図2では、TLVパケットを用いるプロトコルスタックが示されている。
【0044】
図2を参照して、TLVパケットは、たとえば、2160pまたは4320p等の規格に従う、4K UHDTV(Ultra High Definition Television)または8K UHDTV等の送信に用いられることが多い。
【0045】
図2に示す例では、放送波は、たとえば、TMCC情報、AC情報およびTLVパケットを含む。
【0046】
図3は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおいて、放送波によって伝送されるTLVパケットの一例を示す図である。
図3には、データ種別を示す情報が格納されたヘッダを有するパケットの一例である、International Telecommunication Union Radiocommunications Sector、”Recommendation ITU-R BT.1869”、2010年3月、[online]、[平成29年10月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/bt/R-REC-BT.1869-0-201003-I!!PDF-E.pdf〉(非特許文献2)の規格に従うTLVパケットのフォーマットが示されている。
【0047】
TLVパケットは、TLVヘッダと、TLVペイロードとを含む。TLVヘッダは、「01」の値が格納された「スタートコード」のフィールド、「将来予約」のフィールド、「パケットタイプ」のフィールド、および「長さ」のフィールドを含み、これらのフィールドの長さは、それぞれ2ビット、6ビット、8ビットおよび16ビットである。
【0048】
「パケットタイプ」のフィールドには、「0x01」、「0x02」、「0x03」または「0xFF」等の値が格納される。ここで、「0x」で始まる数字は、「0x」以降の数字が16進数で表されていることを意味する。
【0049】
「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x01」が格納される場合、TLVパケット61は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPv4パケットを含む。
【0050】
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x02」が格納される場合、TLVパケット62は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPv6パケットを含む。
【0051】
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0x03」が格納される場合、TLVパケット63は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるIPパケットを含む。圧縮IPパケットは、たとえばIPヘッダが圧縮されたIPパケットである。
【0052】
また、「パケットタイプ」のフィールドにおいて「0xFF」が格納される場合、TLVパケット64は、TLVペイロードにおいて、「長さ」のフィールドに格納された値の総データ長となるヌルデータを含む。以下、TLVペイロードにおいてヌルデータを含むTLVパケットを、TLVヌルパケットとも称する。
【0053】
再び
図2を参照して、たとえば、時刻同期用のNTP(Network Time Protocol)データ、IP-SIデータ、時刻情報、MMTパケット、またはデータ伝送方式は、UDP(User Datagram Protocol)/IPパケットに格納される。MMTパケットには、映像情報、音声情報、MMT-SIデータ、および他の情報が格納される。
【0054】
TLVパケット61~63(以下、TLV情報パケットとも称する。)は、このようなUDP/IPパケットを格納する。
【0055】
図4は、放送波によって伝送されるデータのプロトコルスタックの他の例を示す図である。
図4では、TS(Transport Stream)パケットを用いるプロトコルスタックが示されている。
【0056】
図4を参照して、TSパケットは、たとえば、1080i、720pまたは480p等の規格に従う、HDTVまたはSDTV(Standard Definition Television)等の送信に用いられることが多い。なお、TSパケットは、4K UHDTVまたは8K UHDTV等の送信に用いられることもある。
【0057】
図4に示す例では、放送波は、たとえば、TMCC情報、AC情報およびTSパケットを含む。
【0058】
図5は、放送波によって伝送されるTSパケットの一例を示す図である。
図5には、TSパケットのフォーマットが示されている。
【0059】
TSパケットは、TSヘッダと、TSペイロードとを含む。TSヘッダは、「0x47」の値が格納された「同期バイト」のフィールドおよび「PID(Packet ID)等」を格納するためのフィールドを含み、これらのフィールドの長さは、それぞれたとえば1オクテットおよび3オクテットである。TSペイロードは、たとえば、PES(Packetized Elementary Stream)の全部もしくは一部、またはセクションの全部もしくは一部を格納するための「ペイロード」のフィールドを含む。このフィールドの長さは、たとえば184オクテットである。
【0060】
再び
図4を参照して、PCR(Program Clock Reference)データは、たとえばTSパケットに格納される。また、たとえば、映像情報、音声情報、字幕情報およびタイムラインは、PESパケットに格納される。
【0061】
また、たとえば、PSI-SIデータ、およびAIT(Application Information Table)の一部はセクションに含まれる。また、データカルーセル方式で伝送される、AITの残り、アプリHTMLSおよびコンテンツダウンロードは、セクションに含まれる。
【0062】
再び
図1を参照して、放送再送信装置101は、受信した放送波から番組の情報を取得し、取得した番組の情報をIPパケットに格納する。そして、放送再送信装置101は、番組の情報を含むIPパケット(以下、配信用IPパケットとも称する。)を各加入者宅152へ送信する。
【0063】
より詳細には、放送再送信装置101は、受信した放送波のストリームに含まれる1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを生成する分割処理を行い、生成したTSパケットに、当該TSパケットの送信タイミングを示すタイムスタンプ等の送信時刻情報を付加したTTSパケットを生成する。
【0064】
そして、放送再送信装置101は、生成した1または複数のTTSパケットを格納したIPパケットを生成して送信する。
【0065】
図6は、本開示の実施の形態に係る放送再送信装置が送信するIPパケットの一例を示す図である。
【0066】
図6を参照して、IPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、RTPヘッダおよびペイロードを含む。ペイロードには、たとえば、放送再送信装置101によって生成された7つのTTSパケットT_1~T_7が含まれる。
【0067】
TTSパケットには、たとえば、TLVパケットおよび分割されたTLVパケットの少なくともいずれか一方が格納される。以下、分割されたTLVパケットを分割TLVパケットとも称する。
【0068】
TTSパケットT_1には、TLVパケットAが分割された分割TLVパケットA1および分割TLVパケットA2のうちの分割TLVパケットA1が含まれる。
【0069】
TTSパケットT_2には、分割TLVパケットA2と、TLVパケットBが分割された分割TLVパケットB1および分割TLVパケットB2のうちの分割TLVパケットB1とが含まれる。
【0070】
TTSパケットT_3には、分割TLVパケットB2と、TLVパケットCが分割された分割TLVパケットC1、分割TLVパケットC2および分割TLVパケットC3のうちの分割TLVパケットC1とが含まれる。
【0071】
TTSパケットT_4には、分割TLVパケットC2が含まれる。
【0072】
TTSパケットT_5には、分割TLVパケットC3およびTLVパケットDが含まれる。
【0073】
TTSパケットT_6には、TLVパケットEおよびTLVパケットFが含まれる。TLVパケットFは、たとえば、先頭にNTPデータを含む。
【0074】
TTSパケットT_7には、
図3に示すTLVヌルパケットであるTLVパケットN1が含まれる。
【0075】
ここでは、放送再送信装置101は、たとえば、配信用IPパケットの宛先を、複数の加入者宅へ到達するようなIPマルチキャストアドレスに設定してルータ121へ送信する。
【0076】
ルータ121は、たとえば、IPマルチキャストルータであり、放送再送信装置101から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットを、通信回線の一例であるIPTV伝送網(CDN:Content Delivery Network)451へ送信する。IPTV伝送網451では、たとえば、IPプロトコルに従って、配信用IPパケットが伝送される。なお、通信回線は、インターネット等の他の通信回線であってもよい。
【0077】
また、IPTVセンター251には、ルータ121の代わりにOLT(Optical Line Terminal)が設けられてもよい。
【0078】
ONU123は、たとえば、FTTH(Fiber To The Home)の通信サービスにより放送再送信装置101から伝送される配信用IPパケットを受信する。
【0079】
より詳細には、ONU123は、たとえば、GPON(Gigabit Passive Optical Network)およびGE-PON(Gigabit Ethernet(登録商標)-PON)等における宅側装置である。
【0080】
ONU123は、光通信回線経由でIPTV伝送網451から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットをSTB131およびTV受像機132へ送信する。
【0081】
STB131におけるIP放送受信装置202は、ONU123から配信用IPパケットを受信すると、受信した配信用IPパケットから番組の情報を取得し、取得した番組の情報に基づいて音声情報および映像情報をデコードし、デコード後の音声情報および映像情報をTVモニタ133へ送信する。
【0082】
TVモニタ133は、STB131から受信した音声情報および映像情報に基づいて番組を再生する。
【0083】
また、TV受像機132におけるIP放送受信装置202は、同様にデコードした音声情報および映像情報を用いて、自己のTV受像機132におけるスピーカモジュールおよびディスプレイモジュールにおいて番組を再生する。
【0084】
[課題]
上述のように、IP放送による番組を視聴するためには、IP放送すなわち配信用IPパケットを受信して番組の情報を取得し、取得した番組の情報に基づいて音声情報および映像情報をデコードするIP放送受信装置202等の、IP放送波用のデコード装置が必要である。
【0085】
当該デコード装置は、たとえばケーブルテレビ用のデコード装置と比べて、普及率が低いためIP放送による番組の視聴が困難な視聴者も多い。
【0086】
これに対して、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムでは、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0087】
図7は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムの構成の一例を示す図である。
【0088】
図7を参照して、放送再送信システム302は、
図1に示す放送再送信システム301と比べて、さらに、番組配信装置111と、複数のケーブルテレビ放送受信装置203とを備える。
【0089】
STB134およびTVモニタ133は、加入者宅153に設けられる。STB134は、ケーブルテレビ放送受信装置203を含む。
【0090】
なお、放送再送信システム302は、複数のケーブルテレビ放送受信装置203を備える構成に限らず、1つのケーブルテレビ放送受信装置203を備える構成であってもよい。
【0091】
ここでは、放送再送信装置101は、たとえば、ある番組の情報を含む配信用IPパケットが対応の番組配信装置111の受信部へ到達するように、当該配信用IPパケットの宛先IPアドレスまたはポート番号を設定してルータ121へ送信する。
【0092】
番組配信装置111は、たとえば、IPTVセンター251から離れた地域に建てられたIPTVセンター252に設けられる。
【0093】
番組配信装置111は、放送再送信装置101から送信された配信用IPパケットを、ルータ121、IPTV伝送網451およびIPTVセンター252に設けられたルータ122経由で受信し、受信した配信用IPパケットから番組の情報を取得し、取得した番組の情報を含む配信波を生成して各加入者宅153へ送信する。
【0094】
図8は、本開示の実施の形態に係る番組配信装置の構成を示す図である。
【0095】
図8を参照して、番組配信装置111は、受信部11A,11B,11Cと、TLVパケット生成部12と、ストリーム生成部13と、配信波生成部14と、情報入れ替え部16とを備える。ストリーム生成部13は、ヌルデータ調整部15、と情報付加部17とを含む。ヌルデータ調整部15は、ヌルデータ削除部18と、ヌルデータ挿入部19とを有する。TLVパケット生成部12は、TLV化部21A,21B,21Cを含む。以下、受信部11A,11B,11Cの各々を、受信部11とも称し、TLV化部21A,21B,21Cの各々を、TLV化部21とも称する。
【0096】
受信部11Aは、たとえば、放送再送信装置101から送信された番組PGM1の情報を含む配信用IPパケットP1を、ルータ121、IPTV伝送網451およびルータ122経由で受信し、受信した配信用IPパケットP1のペイロードに含まれる1または複数のTTSパケットを取得する。
【0097】
具体的には、受信部11Aは、たとえば、
図6に示すフォーマットのTTSパケットT1_1~T1_7を配信用IPパケットP1のペイロードから取得する。
【0098】
そして、受信部11Aは、取得したTTSパケットT1_1~T1_7をTLVパケット生成部12におけるTLV化部21Aへ出力する。
【0099】
同様に、受信部11Bは、たとえば、放送再送信装置101から送信された番組PGM2の情報を含む配信用IPパケットP2を、ルータ121、IPTV伝送網451およびルータ122経由で受信し、受信した配信用IPパケットP2のペイロードに含まれる1または複数のTTSパケットを取得してTLVパケット生成部12におけるTLV化部21Bへ出力する。
【0100】
同様に、受信部11Cは、たとえば、放送再送信装置101から送信された番組PGM3の情報を含む配信用IPパケットP3を、ルータ121、IPTV伝送網451およびルータ122経由で受信し、受信した配信用IPパケットP3のペイロードに含まれる1または複数のTTSパケットを取得してTLVパケット生成部12におけるTLV化部21Cへ出力する。
【0101】
TLVパケット生成部12は、たとえば、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のIPパケットから、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のTLVパケットを生成する。
【0102】
より詳細には、TLVパケット生成部12におけるTLV化部21Aは、受信部11Aによって受信された配信用IPパケットP1から、1または複数のTLVパケットを生成する。
【0103】
図9は、本開示の実施の形態に係る番組配信装置における、配信用IPパケットからTLVパケットが生成される例を示す図である。
【0104】
図9を参照して、TLV化部21Aは、たとえば、受信部11Aから受けたTTSパケットT1_1~T1_7に含まれる各TSヘッダを取り除く。
【0105】
そして、TLV化部21Aは、TSヘッダが取り除かれたTTSパケットT1_1~T1_7をこの順で接続した連結パケットを生成する。
【0106】
次に、TLV化部21Aは、生成した連結パケットに複数のTLVパケットが含まれる場合、当該連結パケットを複数のTLVパケットに分割する。
【0107】
より詳細には、TLV化部21Aは、生成した連結パケットに含まれるTLVヘッダを検出する。そして、TLV化部21Aは、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、1つのTLVパケットを生成する。
【0108】
具体的には、TLV化部21Aは、生成した連結パケットのうちTTSパケットT1_2に相当する部分における分割TLVパケットB1のTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットAを生成する。
【0109】
TLV化部21Aは、TLVパケットAが分離された連結パケットのうちTTSパケットT1_3に相当する部分における分割TLVパケットC1のTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットBを生成する。
【0110】
TLV化部21Aは、TLVパケットAおよびTLVパケットBが分離された連結パケットのうちTTSパケットT1_5に相当する部分におけるTLVパケットDのTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットCを生成する。
【0111】
TLV化部21Aは、TLVパケットA、TLVパケットBおよびTLVパケットCが分離された連結パケットのうちTTSパケットT1_6に相当する部分におけるTLVパケットEのTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットDを生成する。
【0112】
TLV化部21Aは、TLVパケットA,B,C,Dが分離された連結パケットのうちTTSパケットT1_6に相当する部分におけるTLVパケットFのTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットEを生成する。
【0113】
TLV化部21Aは、TLVパケットA,B,C,D,Eが分離された連結パケットのうちTTSパケットT1_7に相当する部分におけるTLVパケットN1のTLVヘッダを検出し、検出したTLVヘッダの直前において当該連結パケットを分けることにより、TLVパケットFを生成する。
【0114】
TLV化部21Aは、連結パケットからTLVパケットA,B,C,D,E,Fが分離されたパケットすなわちTLVパケットN1を生成する。
【0115】
そして、TLV化部21Aは、生成した各TLVパケットをストリーム生成部13におけるヌルデータ調整部15へ出力する。
【0116】
また、TLV化部21Aは、受信部11Aによって取得された、次の配信用IPパケットP1に含まれる1または複数のTTSパケットを受信部11Aから受けて、当該1または複数のTTSパケットから、1または複数のTLVパケットを生成してヌルデータ調整部15へ出力する。
【0117】
同様に、TLV化部21Bは、受信部11Bによって取得された配信用IPパケットP2に含まれる1または複数のTTSパケットから、1または複数のTLVパケットを生成し、生成した各TLVパケットをストリーム生成部13におけるヌルデータ調整部15へ出力する。
【0118】
同様に、TLV化部21Cは、受信部11Cによって取得された配信用IPパケットP3に含まれる1または複数のTTSパケットから、1または複数のTLVパケットを生成し、生成した各TLVパケットをストリーム生成部13におけるヌルデータ調整部15へ出力する。
【0119】
ストリーム生成部13は、TLVパケット生成部12A,12B,12Cによって生成されたTLVパケットに所定情報を付加することにより、番組の情報を含むストリームを生成する。
【0120】
ヌルデータ調整部15は、ストリーム生成部13によって生成されるストリームのレートが所定値になるように、ストリームにおけるヌルデータの量を調整する。
【0121】
より詳細には、ヌルデータ調整部15は、TLVパケット生成部12A,12B,12Cの各々によって生成されたTLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除する。
【0122】
具体的には、ヌルデータ調整部15におけるヌルデータ削除部18は、TLVパケット生成部12Aから受けた各TLVパケットのうちTLVパケットN1を削除する。そして、ヌルデータ削除部18は、当該各TLVパケットのうちTLVパケットA,B,C,D,E,Fを情報付加部17へ出力する。
【0123】
情報付加部17は、1または複数のTLVパケットが格納されたストリームを生成する。より詳細には、情報付加部17は、ヌルデータ削除部18から受けた1または複数のTLVパケットが格納されたストリームST1_1を生成する。
【0124】
具体的には、情報付加部17は、たとえば、生成すべきストリームST1_1の一部として、以前にヌルデータ削除部18から受けた1または複数のTLVパケットのうち、先頭にNTPデータを含むTLVパケット以降のTLVパケットを保持している。
【0125】
情報付加部17は、ヌルデータ削除部18から受けたTLVパケットA,B,C,D,E,Fのうち、先頭にNTPデータを含むTLVパケットFを除くTLVパケットA,B,C,D,Eを上記ストリームST1_1の一部に追加することによりストリームST1_1を生成する。
【0126】
また、情報付加部17は、TLVパケットFを、生成すべき次のストリームST1_2の一部として保持する。
【0127】
同様に、情報付加部17は、TLVパケット生成部12Bからヌルデータ削除部18経由で受けた各TLVパケットのうちTLVヌルパケットを除く1または複数のTLVパケットが格納されたストリームST2、およびTLVパケット生成部12Cからヌルデータ削除部18経由で受けた各TLVパケットのうちTLVヌルパケットを除く1または複数のTLVパケットが格納されたストリームST3を生成する。
【0128】
そして、情報付加部17は、生成した各ストリームに所定情報たとえばTMCC情報を付加することにより、番組の情報を含むフレームを生成する。
【0129】
図10は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおけるTMCC情報のフォーマットの一例を示す図である。
図10には、一般社団法人 電波産業会、”高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式 ARIB STD-B44 2.1版”、平成28年3月25日(非特許文献3)の規格に従うTMCC情報のフォーマットが示されている。
【0130】
図10を参照して、TMCC情報は、先頭から順に、変更指示、伝送モード/スロット情報、ストリーム種別/相対ストリーム情報、パケット形式/相対ストリーム情報、ポインタ/スロット情報、相対ストリーム/スロット情報、相対ストリーム/伝送ストリームID対応表情報、送受信制御情報および拡張情報のフィールドで構成されている。
【0131】
変更指示のデータ長は、8ビットである。伝送モード/スロット情報のデータ長は、192ビットである。ストリーム種別/相対ストリーム情報のデータ長は、128ビットである。パケット形式/相対ストリーム情報のデータ長は、896ビットである。ポインタ/スロット情報データ長は、3840ビットである。相対ストリーム/スロット情報のデータ長は、480ビットである。相対ストリーム/伝送ストリームID対応表情報のデータ長は、256ビットである。送受信制御情報のデータ長は、8ビットである。拡張情報のデータ長は、3614ビットである。
【0132】
情報付加部17は、TMCC情報における各フィールドに4K UHDTV用の値が格納されたTMCC情報を、自己が生成した各ストリームに付加することにより、番組PGM1~PGM3の情報を含むフレームを生成し、生成したフレームをヌルデータ調整部15におけるヌルデータ挿入部19へ出力する。
【0133】
図11は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおけるストリームの構成の一例を示す図である。
図11には、非特許文献3の規格に従うフレームの構造が示されている。
【0134】
図11は、たとえば4K UHDTVにおいて用いられる、1つのフレームが3つの放送局の番組にそれぞれ対応する3つのストリームを含む場合を示す。
【0135】
図11を参照して、フレームは、120個のスロットにより構成される。すなわち、1つのストリームには、たとえば40個のスロットが割り当てられる。たとえば、ストリーム番号SN1のストリームST1-1には、スロット1からスロット40が割り当てられ、ストリーム番号SN2のストリームST2には、スロット41からスロット80が割り当てられ、ストリーム番号SN3のストリームST3には、スロット81からスロット120が割り当てられる。
【0136】
スロットには、ストリームが分割されて格納される。また、フレームの時間の長さは、33ミリ秒である。
【0137】
スロットは、先頭から順に、44880ビットの復調データと、1600ビットのTMCC情報とを含む。
【0138】
復調データは、先頭から順に、スロットヘッダ、主信号、BCH符号パリティ、スタッフビットおよびLDPC(Low Density Parity Check)符号パリティのフィールドで構成されている。
【0139】
スロットヘッダのデータ長は、176ビットである。
【0140】
主信号のデータ長は、可変長である。主信号のフィールドには、1または複数の分割されたTLVパケット等が格納される。
【0141】
復調データがTLVパケットを含む場合、スロットヘッダの先頭から16ビットは、先頭TLV指示を示す。
【0142】
先頭TLV指示は、各スロットの主信号における最初のTLVパケットの先頭ヘッダの位置を、主信号のフィールドの先頭からのバイト数で示したものである。
【0143】
BCH符号パリティのデータ長は、192ビットである。スタッフビットのデータ長は、6ビットである。LDPC符号パリティのデータ長は、可変長である。
【0144】
TMCC情報は、先頭から順に、280ビットの固定長の基本TMCC情報のフィールドと、1320ビットの固定長の伝送TMCC情報等が格納されるフィールドとで構成される。
【0145】
基本TMCC情報のフィールドは、先頭から順に、120ビットの固定長の同期信号のフィールドと、160ビットの固定長の信号点配置情報のフィールドとを含む。
【0146】
TMCC情報は、複数のスロットに分割されて格納される。より詳細には、同期信号は、24スロットにわたり格納される。信号点配置情報は、変調方式の組み合わせに応じて24スロット~120スロットにわたり格納される。
【0147】
また、1320ビット×7スロットの9240ビットと8スロット目の182ビットを足し合わせた9422ビットの伝送TMCC情報に、BCH符号パリティ192ビットおよびLDPC符号パリティ22066ビットを付加した31680ビットの情報が、24スロットにわたり格納される。
【0148】
そして、ヌルデータ挿入部19は、生成されるストリームのレートが所定値になるように、ヌルデータを当該ストリームにおいて挿入する。
【0149】
すなわち、ヌルデータ挿入部19は、情報付加部17から受けたフレームに格納されたTLVパケットのデータ量の合計が44880ビットの40スロット分すなわち1795200ビット未満である場合、当該フレームに含まれる各ストリームにおける主信号のフィールドに、TLVパケットの他にヌルデータを挿入する。
【0150】
そして、ヌルデータ挿入部19は、ヌルデータの調整後のフレームを情報入れ替え部16へ出力する。
【0151】
情報入れ替え部16は、番組配信装置111において受信されるIPパケットに含まれる特定の情報であってストリームに含めるべき情報の内容を他の内容に変更する。
【0152】
より詳細には、情報入れ替え部16は、たとえば、情報付加部17によって生成されたストリームにおける当該ストリームの配信元を示す情報、または当該ストリームの配信先に特化した情報等を格納したフィールドの値を変更することにより、当該フレームの内容を入れ替える。そして、情報入れ替え部16は、入れ替え後のフレームを配信波生成部14へ出力する。
【0153】
このような構成により、番組配信装置111において、ストリームの配信先に係る契約情報等を当該ストリームに含めることができる。
【0154】
[配信波の生成]
配信波生成部14は、ストリーム生成部13によって生成されたストリームを変調して配信波を生成する。より詳細には、配信波生成部14は、情報入れ替え部16から受けたストリームを含むフレームを変調して配信波を生成する。
【0155】
より詳細には、配信波生成部14は、たとえば、当該フレームに含まれる伝送TMCC情報に従って、当該フレームの変調処理を行う。
【0156】
そして、配信波生成部14は、変調後のフレームの周波数をたとえばケーブルテレビ網452に対応する周波数に変換して配信波を生成する。
【0157】
そして、配信波生成部14は、生成した配信波をたとえばケーブルテレビ網452を介して各加入者宅153へ送信する。
【0158】
加入者宅153におけるSTB134は、たとえば、番組配信装置111から送信される配信波をケーブルテレビ網452を介して受信する。
【0159】
より詳細には、STB134におけるケーブルテレビ放送受信装置203は、番組配信装置111からの配信波を受信すると、受信した配信波から番組の情報を取得し、取得した番組の情報に基づいて音声情報および映像情報をデコードし、デコード後の音声情報および映像情報をTVモニタ133へ送信する。
【0160】
TVモニタ133は、ケーブルテレビ放送受信装置203から受信した音声情報および映像情報に基づいて番組を再生する。
【0161】
なお、番組配信装置111は、4K UHDTVにおいて用いられる、3つの放送局の番組にそれぞれ対応する3つのストリームを含むフレームを生成する構成に限らず、たとえば8K UHDTVにおいて用いられる、1つ放送局の番組に対応する1つのストリームを含むフレームを生成する構成であってもよい。
【0162】
この場合、TLVパケット生成部12におけるいずれか1つのTLV化部21が、対応の受信部11によって取得された、配信用IPパケットに含まれる1または複数のTTSパケットから1または複数のTLVパケットを生成してストリーム生成部13へ出力する。
【0163】
ストリーム生成部13における情報付加部17は、当該TLV化部21からヌルデータ削除部18経由で受けた各TLVパケットのうちTLVヌルパケットを除く1または複数のTLVパケットが格納されたストリームを生成する。
【0164】
そして、情報付加部17は、TMCC情報における各フィールドに8K UHDTV用の値が格納されたTMCC情報を、当該ストリームに付加することにより、番組の情報を含むフレームを生成する。
【0165】
また、番組配信装置111は、放送波のストリームのレートに応じてTMCC情報における各フィールドに格納すべき値を選択する構成であってもよい。
【0166】
より詳細には、受信部11は、たとえば、自己が受信する配信用IPパケットに格納されたTTSパケットの分割前のTLVパケットが含まれていたストリームが、4K UHDTVにおいて用いられるストリームであるか、または8K UHDTVにおいて用いられるストリームであるかを判断する。
【0167】
具体的には、受信部11は、たとえば、所定期間において自己が受信する配信用IPパケットの数を数えることにより、当該配信用IPパケットに格納されたTTSパケットの分割前のTLVパケットが含まれていたストリームのレートを判断し、当該レートを示すレート情報をストリーム生成部13における情報付加部17へ出力する。
【0168】
情報付加部17は、受信部11から受けたレート情報に従い、TMCC情報における各フィールドに、当該レート情報の示すレートに対応する4K UHDTVにおいて用いられるストリーム用の値、または8K UHDTVにおいて用いられるストリーム用の値が格納されたTMCC情報を、自己が生成した各ストリームに付加する。
【0169】
ここで、放送再送信システム301において、フレームの伝送方式として、階層伝送方式が用いられることがある。階層伝送方式は、上述のフレームの伝送方式である通常伝送方式と比べて耐性が高い。
【0170】
図12は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおける階層伝送方式のフレーム構成の一例を模式的に示す図である。
【0171】
図12を参照して、4K UHDTVにおける階層伝送方式では、非特許文献3に記載の規格に従い、フレームの先頭から順に、3つの放送局の番組にそれぞれ対応する、ストリームST1のうちの16APSKで変調された35スロット(以下、高階層ストリームとも称する。)、16APSKで変調されたストリームST2、16APSKで変調されたストリームST3、およびストリームST1のうちのQPSKで変調された他の5スロット(以下、低階層ストリームとも称する。)が当該フレームに格納される。ストリームST2およびストリームST3の先頭には、それぞれ、NTPデータNTP_2およびNTPデータNTP_3が含まれる。低階層ストリームの先頭には、NTPデータNTP_1が含まれる。
【0172】
8K UHDTVにおける階層伝送方式では、非特許文献3に記載の規格に従い、フレームの先頭から順に、ストリームST1のうち、16APSKで変調された100スロットおよびQPSKで変調された20スロットが当該フレームに格納される。QPSKで変調された20スロットの先頭には、NTPデータNTP_1が含まれる。
【0173】
高階層ストリームには、たとえば、ストリームST1に含まれる番組の情報のうち、映像情報が含まれ、音声情報およびNTPデータ等が含まれない。
【0174】
低階層ストリームには、高階層ストリームと同じ番組の情報が含まれる。より詳細には、低階層ストリームには、伝送可能な情報量が小さくなるため、高階層ストリームに含まれる映像情報より低品質または縮小された映像の映像情報が含まれる。また、低階層ストリームには、ストリームST1に含まれる番組の情報のうち、音声情報およびNTPデータ等が含まれる。
【0175】
番組配信装置111は、フレームの伝送方式に応じてTMCC情報における各フィールドに格納すべき値を選択する構成であってもよい。
【0176】
より詳細には、受信部11は、たとえば、自己が受信する配信用IPパケットに格納されたTTSパケットの分割前のTLVパケットが含まれていたストリームが、通常伝送方式において用いられるストリームであるか、または階層伝送方式において用いられるストリームであるかを判断する。
【0177】
階層伝送方式では、低階層ストリームにおいて伝送可能な情報量が小さくなるため、階層伝送方式において用いられるストリームの情報量が小さくなる。これにより、受信部11によって判断される階層伝送方式において用いられるストリームのレートは、通常伝送方式において用いられるストリームのレートより小さくなる。
【0178】
すなわち、受信部11は、たとえば、所定期間において自己が受信する配信用IPパケットの数を数えることにより、自己が受信する配信用IPパケットに格納されたTTSパケットの分割前のTLVパケットが含まれていたストリームが、通常伝送方式において用いられるストリームであるか、または階層伝送方式において用いられるストリームであるかを判断する。
【0179】
そして、受信部11は、上述のレートを示すレート情報をストリーム生成部13における情報付加部17へ出力する。
【0180】
情報付加部17は、受信部11から受けたレート情報に従い、TMCC情報における各フィールドに、当該レート情報の示すレートに対応する伝送方式において用いられるストリーム用の値が格納されたTMCC情報を、自己が生成した各ストリームに付加する。
【0181】
また、情報付加部17は、受信部11によって受信された配信用IPパケットに格納されたTTSパケットの分割前のTLVパケットが含まれていたストリームが、階層伝送方式において用いられるストリームであると判断した場合、所定の方法に従って、TLV化部21からヌルデータ削除部18経由で受けた1または複数のTLVパケットから階層伝送方式において用いられるストリームを生成する。
【0182】
なお、放送再送信システム301では、階層伝送方式が用いられている場合においても、番組配信装置111が、TMCC情報における各フィールドに、通常伝送方式において用いられるストリーム用の値を格納する構成であってもよい。
【0183】
[変形例]
図13は、本開示の実施の形態に係る番組配信システムの構成を示す図である。
【0184】
図13を参照して、番組配信システム401は、3つの番組配信装置111と、合波器141とを備える。番組配信システム401は、放送再送信システム302に設けられる。なお、番組配信システム401は、3つの番組配信装置111を備える構成に額らず、1つ、2つまたは4つ以上の番組配信装置111を備える構成であってもよい。
【0185】
合波器141は、各番組配信装置111から出力された配信波を合成してたとえばケーブルテレビ網452へ出力する。
【0186】
より詳細には、合波器141は、3つの番組配信装置111によってそれぞれ生成された、3つのストリームを含むフレームまたは1つのストリームを含むフレームが変調された配信波を各番組配信装置111から受けて、当該各配信波を合成してたとえばケーブルテレビ網452へ出力する。
【0187】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0188】
図14は、本開示の実施の形態に係る放送再送信システムにおける番組配信装置が配信波を生成する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0189】
図14を参照して、まず、番組配信装置111は、番組の情報を含む配信用IPパケットを、IPTV伝送網451およびルータ122経由で受信し、受信した配信用IPパケットに含まれる1または複数のTTSパケットを取得する(ステップS101)。
【0190】
次に、番組配信装置111は、取得した1または複数のTTSパケットに基づいて、1または複数のTLVパケットを生成する(ステップS102)。
【0191】
次に、番組配信装置111は、生成した1または複数のTLVパケットのうち、TLVヌルパケットを削除する(ステップS103)。
【0192】
次に、番組配信装置111は、生成した1または複数のTLVパケットのうち、TLVヌルパケットを除く1または複数のTLVパケットが格納された1または複数のストリームを生成する(ステップS104)。
【0193】
次に、番組配信装置111は、生成した1または複数のTLVパケットを含む各ストリームに所定情報たとえばTMCC情報を付加することにより、番組の情報を含むフレームを生成する(ステップS105)。
【0194】
次に、番組配信装置111は、ストリームのレートが所定値になるように、ヌルデータをストリームにおいて挿入する(ステップS106)。
【0195】
次に、番組配信装置111は、生成したストリームを含むフレームを変調して配信波を生成する(ステップS107)。
【0196】
次に、番組配信装置111は、生成した配信波をたとえばケーブルテレビ網452を介して各加入者宅153へ送信する(ステップS108)。
【0197】
なお、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、ストリーム生成部13は、ヌルデータ調整部15を含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。ストリーム生成部13は、ヌルデータ調整部15を含まない構成であってもよい。この場合、ストリーム生成部13は、たとえば、TLVパケット生成部12から受けた、TLVヌルパケットを含むすべてのTLVパケットが格納されたストリームを生成する。
【0198】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、ヌルデータ削除部18がTLVパケット生成部12によって生成されたTLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータ挿入部19がヌルデータを当該ストリームにおいて挿入する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ヌルデータ調整部15は、たとえば、ヌルデータ削除部18を含まず、ヌルデータの削除を行わない構成であってもよい。
【0199】
この場合、TLVパケット生成部12は、生成した1または複数のTLVパケットを情報付加部17へ出力する。情報付加部17は、TLVパケット生成部12によって生成された1または複数のTLVパケットを当該TLVパケット生成部12から受けて、当該1または複数のTLVパケットから、番組の情報を含むフレームを生成してヌルデータ挿入部19へ出力する。
【0200】
ヌルデータ挿入部19は、生成されるストリームのレートが所定値になるように、ヌルデータを当該フレームに含まれるストリームにおいて挿入する。
【0201】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置は、情報入れ替え部16を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。番組配信装置111は、情報入れ替え部16を備えない構成であってもよい。
【0202】
ところで、IPパケットを用いて番組の情報を伝送する放送システムにおいて、当該番組を視聴するには、たとえば当該IPパケットに含まれる番組の情報をデコードするためのデコード装置が必要である。当該デコード装置を有しない視聴者において、当該放送システムにおける番組の視聴は困難である。
【0203】
これに対して、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、受信部11は、番組の情報を含むIPパケットを受信する。TLVパケット生成部12は、受信部11によって受信されたIPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成する。ストリーム生成部13は、TLVパケット生成部12によって生成されたTLVパケットに所定情報を付加することにより、番組の情報を含むストリームを生成する。配信波生成部14は、ストリーム生成部13によって生成されたストリームを変調して配信波を生成する。
【0204】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。
【0205】
したがって、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0206】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、ストリーム生成部13は、生成するストリームのレートが所定値になるように、当該ストリームにおけるヌルデータの量を調整するヌルデータ調整部15を含む。
【0207】
このような構成により、たとえば放送波におけるTLVパケットからヌルデータを削除することでデータ量を低減することができるため、IPネットワークへ送信する放送再送信システムにおいて、IPパケットの受信側でヌルデータを適切に調整したストリームを生成し、配信することができる。
【0208】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、ヌルデータ調整部15は、TLVパケット生成部12によって生成されたTLVパケットからヌルデータの一部または全部を削除した後、ヌルデータをストリームにおいて挿入する。
【0209】
このような構成により、ヌルデータを適切に調整したストリームを生成して配信するとともに、IPネットワークから受信するIPパケットのデータ量が番組配信装置111の処理量を超えてオーバフロー等が生じることをより確実に防ぐことができる。
【0210】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、TLVパケット生成部12は、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のIPパケットから、複数の放送局の番組の情報をそれぞれ含む複数のTLVパケットを生成する。
【0211】
このような構成により、複数の放送局について、放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。
【0212】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信装置では、情報入れ替え部16は、IPパケットに含まれる特定の情報であってストリームに含めるべき情報の内容を他の内容に変更する。
【0213】
このような構成により、生成したストリームの配信先に特化した情報等を当該ストリームに含め、加入者宅に配信することができる。
【0214】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信システムでは、複数の番組配信装置111は、配信波を出力する。合波器141は、複数の番組配信装置111から受けた配信波を合成する。
【0215】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。
【0216】
したがって、本開示の実施の形態に係る番組配信システムでは、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0217】
また、本開示の実施の形態に係る番組配信方法では、まず、番組の情報を含むIPパケットを受信する。次に、受信したIPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成する。次に、生成したTLVパケットに所定情報を付加することにより、番組の情報を含むストリームを生成する。次に、生成したストリームを変調して配信波を生成する。
【0218】
このように、番組の情報を含むIPパケットからTLVパケットを生成し、当該TLVパケットに所定情報を付加したストリームを生成し、当該ストリームが変調された配信波を生成する構成により、たとえば、遠隔地等において受信された放送波に含まれる番組の情報を格納したIPパケットをIPネットワーク経由で受信し、同軸ケーブル等を介して加入者宅に配信することができる。
【0219】
したがって、本開示の実施の形態に係る番組配信方法では、番組の情報を含む放送波を受信して他の装置へ再送信する放送再送信システムにおいて、より多様な配信形態を実現することができる。
【0220】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0221】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信装置であって、
番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLV(Type Length Value)パケットを生成するTLVパケット生成部と、
前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを備え、
前記TLVパケット生成部は、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを取得し、取得した前記複数のTSパケットに基づいて1または複数のTLVパケットを生成する、番組配信装置。
【0222】
[付記2]
高度広帯域衛星デジタル放送に用いられる番組配信システムであって、
配信波を出力する複数の番組配信装置と、
前記複数の番組配信装置から受けた前記配信波を合成する合波器とを備え、
前記番組配信装置は、
番組の情報を含むIPパケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットを生成するTLVパケット生成部と、
前記TLVパケット生成部によって生成された前記TLVパケットに所定情報を付加することにより、前記番組の情報を含むストリームを生成するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部によって生成された前記ストリームを変調して配信波を生成する配信波生成部とを含み、
前記TLVパケット生成部は、前記受信部によって受信された前記IPパケットから、1または複数のTLVパケットのデータが分割されて格納された複数のTSパケットを取得し、取得した前記複数のTSパケットに基づいて1または複数のTLVパケットを生成する、番組配信システム。
【符号の説明】
【0223】
11,11A,11B,11C 受信部
12,12A,12B,12C TLVパケット生成部
13 ストリーム生成部
14 配信波生成部
15 ヌルデータ調整部
16 情報入れ替え部
17 情報付加部
18 ヌルデータ削除部
19 ヌルデータ挿入部
21A,21B,21C TLV化部
61,62,63,64 TLVパケット
81 外部アンテナ
101 放送再送信装置
111 番組配信装置
121,122 ルータ
123 ONU
131,134 STB
132 TV受像機
133 TVモニタ
141 合波器
152,153 加入者宅
202 IP放送受信装置
203 ケーブルテレビ放送受信装置
251,252 IPTVセンター
301 放送再送信システム
451 IPTV伝送網
452 ケーブルテレビ網