(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】記録媒体搬送装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20230801BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H5/06 D
(21)【出願番号】P 2019148916
(22)【出願日】2019-08-14
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 聡
(72)【発明者】
【氏名】蔦田 公敦
(72)【発明者】
【氏名】井上 英治
(72)【発明者】
【氏名】皆川 雅人
(72)【発明者】
【氏名】瀬倉 友樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 深也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 理和子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】志村 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】村上 恵
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-118890(JP,A)
【文献】特開平08-225196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00 - 9/20
13/00 - 15/02
B65H 5/02
5/06
5/22
29/12 - 29/24
29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転が停止した状態で、搬送される記録媒体の先端を停止させる停止ロールと、
回転して記録媒体を挟んで搬送し、前記停止ロールへ前記記録媒体の先端を突き当てて停止した記録媒体にループを形成させると共に、搬送している記録媒体に生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能とされている第一搬送ロールと、
回転して記録媒体を挟んで搬送して前記第一搬送ロールに記録媒体を受け渡し、記録媒体の先端が前記停止ロールに突き当てられている状態で記録媒体を挟んでいると共に、搬送している記録媒体に生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能とされている第二搬送ロールと、
前記第二搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束又は許容する拘束機構と、
前記第一搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束又は許容する他の拘束機構と、
前記拘束機構を制御し、搬送される記録媒体が前記停止ロールに突き当たるまでは前記第一搬送ロール及び前記第二搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束し、前記停止ロールが回転すると前記軸方向の移動を許容する制御部と、
を備える記録媒体搬送装置。
【請求項2】
前記軸方向において、前記第一搬送ロールを前記第一搬送ロールの移動領域の中央部分に配置する第一配置機構と、
前記軸方向において、前記第二搬送ロールを前記第二搬送ロールの移動領域の中央部分に配置する第二配置機構と、
を備える請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項3】
前記第一配置機構は、前記第一搬送ロールの両端側に夫々設けられ、前記第一搬送ロールが移動領域の中央部分に配置された状態で、一方が他方側に前記第一搬送ロールを付勢する一対の第一付勢部材を備える請求項2に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第二配置機構は、前記第二搬送ロールの両端側に夫々設けられ、前記第二搬送ロールが移動領域の中央部分に配置された状態で、一方が他方側に前記第二搬送ロールを付勢する一対の第二付勢部材を備える請求項2又は3に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第二付勢部材の付勢力は、前記第一付勢部材の付勢力と比して弱い請求項3を引用する請求項4に記載の記録媒体搬送装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送する
請求項1~5の何れか1項に記載の記録媒体搬送装置と、
前記記録媒体搬送装置によって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体搬送装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の用紙搬送装置は、用紙を1枚ずつに捌いて搬送する捌きローラ対と、捌きローラ対にて搬送された用紙の先端を突き当てて斜行を補正するための第1レジストローラ対と、第1レジストローラ対にて搬送された用紙の先端を突き当てて斜行を補正するための第2レジストローラ対とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の記録媒体搬送装置では、搬送ロールが搬送する記録媒体の先端を停止ロールに突き当て、停止ロールが記録媒体の先端を停止させる。これにより、記録媒体にループを形成させ、搬送される記録媒体の斜行が補正される。
【0005】
搬送される記録媒体の斜行の度合が大きいと、記録媒体の幅方向において一端のループの高さと他端のループの高さとの差が大きくなる。停止ロールに対して記録媒体の搬送方向において上流側の1番目の第一搬送ロールと2番目の第二搬送ロールの軸方向の移動が拘束されている場合に、ループの高さの差が維持された状態で、停止ロールが記録媒体を搬送する。これにより、異音が発生してしまうことがある。
【0006】
本発明の課題は、停止ロールに対して記録媒体の搬送方向の上流側の第一搬送ロールが軸方向に移動可能で、第二搬送ロールの軸方向の移動が常に拘束されている場合と比して、停止ロールが記録媒体を搬送することで生じる異音を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る記録媒体搬送装置は、回転が停止した状態で、搬送される記録媒体の先端を停止させる停止ロールと、回転して記録媒体を挟んで搬送し、前記停止ロールへ前記記録媒体の先端を突き当てて停止した記録媒体にループを形成させると共に、搬送している記録媒体に生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能とされている第一搬送ロールと、回転して記録媒体を挟んで搬送して前記第一搬送ロールに記録媒体を受け渡し、記録媒体の先端が前記停止ロールに突き当てられている状態で記録媒体を挟んでいると共に、搬送している記録媒体に生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能とされている第二搬送ロールと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様に係る記録媒体搬送装置は、第1態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記軸方向において、前記第一搬送ロールを前記第一搬送ロールの移動領域の中央部分に配置する第一配置機構と、前記軸方向において、前記第二搬送ロールを前記第二搬送ロールの移動領域の中央部分に配置する第二配置機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3態様に係る記録媒体搬送装置は、第2態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記第一配置機構は、前記第一搬送ロールの両端側に夫々設けられ、前記第一搬送ロールが移動領域の中央部分に配置された状態で、一方が他方側に前記第一搬送ロールを付勢する一対の第一付勢部材を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4態様に係る記録媒体搬送装置は、第2又は第3態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記第二配置機構は、前記第二搬送ロールの両端側に夫々設けられ、前記第二搬送ロールが移動領域の中央部分に配置された状態で、一方が他方側に前記第二搬送ロールを付勢する一対の第二付勢部材を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5態様に係る記録媒体搬送装置は、第3態様を引用する第4態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記第二付勢部材の付勢力は、前記第一付勢部材の付勢力と比して弱いことを特徴とする。
【0012】
本発明の第6態様に係る記録媒体搬送装置は、第1~第5態様の何れか1態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記第二搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束又は許容する拘束機構を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第7態様に係る記録媒体搬送装置は、第6態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記第一搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束又は許容する他の拘束機構を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第8態様に係る記録媒体搬送装置は、第7態様に記載の記録媒体搬送装置において、前記拘束機構を制御し、搬送される記録媒体が前記停止ロールに突き当たるまでは前記第一搬送ロール及び前記第二搬送ロールの前記軸方向の移動を拘束し、前記停止ロールが回転すると前記軸方向の移動を許容する制御部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第9態様に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送する第1~8態様の何れか1態様に記載の記録媒体搬送装置と、前記記録媒体搬送装置によって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1態様に係る記録媒体搬送装置では、停止ロールに対して記録媒体の搬送方向の上流側の第一搬送ロールが軸方向に移動可能で、第二搬送ロールの軸方向の移動が常に拘束されている場合と比して、停止ロールが記録媒体を搬送することで生じる異音を抑制することができる。
【0017】
本発明の第2態様に係る記録媒体搬送装置では、第一搬送ロール及び第二搬送ロールが移動領域のどの位置にでも配置される場合と比して、記録媒体を搬送している状態の第一搬送ロール及び第二搬送ロールが配置される位置がばらつくのを抑制することができる。
【0018】
本発明の第3態様に係る記録媒体搬送装置では、付勢部材が第一搬送ロールの一方側だけに設けられている場合と比して、第一搬送ロールが配置される位置がばらつくのを抑制することができる。
【0019】
本発明の第4態様に係る記録媒体搬送装置では、付勢部材が第二搬送ロールの一方側だけに設けられている場合と比して、第二搬送ロールが配置される位置がばらつくのを抑制することができる。
【0020】
本発明の第5態様に係る記録媒体搬送装置では、第一付勢部材の付勢力と第二付勢部材の付勢力とが同じ場合と比して、停止ロールが記録媒体を搬送することで生じる異音を抑制することができる。
【0021】
本発明の第6態様に係る記録媒体搬送装置では、第二搬送ロールの軸方向の移動を拘束状態と許容状態とに切り替えることができる。
【0022】
本発明の第7態様に係る記録媒体搬送装置では、第一搬送ロールの軸方向の移動を拘束状態と許容状態とに切り替えることができる。
【0023】
本発明の第8態様に係る記録媒体搬送装置では、記録媒体が停止ロールに突き当たる前に、拘束される第一搬送ロール及び第二搬送ロールの軸方向の移動を許容する場合と比して、記録媒体の先端を記録媒体の幅方向に亘って停止ロールに突き当てた上で、停止ロールが記録媒体を搬送することで生じる異音を抑制することができる。
【0024】
本発明の第9態様に係る画像形成装置では、停止ロールに対して記録媒体の搬送方向の上流側の第一搬送ロール及び第二搬送ロールの軸方向の移動が常に拘束されている記録媒体搬送装置を備えている場合と比して、記録媒体を搬送することで生じる異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部を示した展開図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部であって、記録媒体の搬送状態を示した展開図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部であって、記録媒体の搬送状態を示した展開図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部であって、記録媒体の搬送状態を示した展開図である。
【
図5】(A)(B)本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部を軸方向から見た展開側面図である。
【
図6】(A)(B)本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部を軸方向から見た展開側面図である。
【
図7】(A)(B)本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部を軸方向から見た展開側面図である。
【
図8】(A)(B)本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の要部を軸方向から見た展開側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の拘束機構を示した斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置の拘束機構を示した斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置の像保持体等を示した構成図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【
図13】本発明の実施形態に対する比較形態に係る記録媒体搬送装置の要部を示した展開図である。
【
図14】本発明の実施形態に対する比較形態に係る記録媒体搬送装置の要部であって、記録媒体の搬送状態を示した展開図である。
【
図15】本発明の実施形態に対する比較形態に係る記録媒体搬送装置の要部であって、記録媒体の搬送状態を示した展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る記録媒体搬送装置、及び画像形成装置の一例を
図1~
図15に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行向を示す。
【0027】
(画像形成装置の全体構成)
画像形成装置10は、
図12に示されるように、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12と、記録媒体Pを収容する収容部18と、各部を制御する制御部28とを備えている。さらに、画像形成装置10は、収容部18に収容された記録媒体Pを搬送経路16に沿って画像形成部12へ向けて搬送し、搬送経路16に沿って搬送された記録媒体Pを反転経路26に沿って搬送させて記録媒体Pの表裏を反転させて再度画像形成部12へ向けて搬送する搬送部14を備えている。なお、画像形成方式は、電子写真方式に限らず、例えばインクジェット方式でもよい。
【0028】
この構成において、画像形成装置10では、画像形成部12によって形成されたトナー画像が、搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pの表面に形成される。さらに、トナー画像が形成された記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0029】
一方、記録媒体Pの裏面にトナー画像を形成する場合は、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pが反転経路26に沿って搬送され、再度画像形成部12によって形成されたトナー画像が、記録媒体Pの裏面に形成される。そして、記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0030】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、
図12に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によって記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着する定着装置34を備えている。
【0031】
-トナー画像形成部30-
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30が備えられている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0032】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されており、
図11に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。これにより、各色のトナー画像形成部30では、各色のトナー画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。
【0033】
また、各色の像保持体40は、
図12に示されるように、周回する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で水平方向に並んで配置されている。
【0034】
-転写部32-
転写部32は、
図12に示されるように、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられて図中矢印方向に周回する転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側に夫々配置され、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する一次転写ロール52とを備えている。
【0035】
さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられた巻掛ロール56と、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50上に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写ロール54とを備えている。そして、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、記録媒体Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
【0036】
この構成において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の順番で、転写ベルト50上にトナー画像が一次転写ロール52によって一次転写される。一方、転写ベルト50と二次転写ロール54との間に挟まれて搬送される記録媒体Pに、転写ベルト50からトナー画像が転写される。さらに、トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置34に受け渡される。
【0037】
-定着装置34-
定着装置34は、
図12に示されるように、記録媒体Pの搬送方向において転写ニップNTの下流側に配置されている。定着装置34は、記録媒体Pを搬送しながら、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱、加圧して記録媒体Pに定着させる。
【0038】
〔収容部18〕
収容部18は、
図12に示されるように、記録媒体Pを収容可能な、収容部材20と、収容部材20に積載された最上位の記録媒体Pを搬送経路16に送り出す送出ロール22とを備えている。
【0039】
〔搬送部14〕
搬送部14は、
図12に示されるように、収容部18に対して装置幅方向の一方(図中左方)に配置されており、収容部材20から送り出された記録媒体Pが搬送される搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送するようになっている。また、記録媒体Pの裏面にトナー画像を形成する場合には、搬送部14は、記録媒体Pの搬送方向を逆向きにすことで(スイッチバック搬送することで)表裏を反転させる反転経路26に沿って記録媒体Pを搬送するようになっている。なお、搬送部14については、詳細を後述する。
【0040】
(全体構成の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0041】
先ず、
図11に示す各色の帯電器42は、各色の像保持体40の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、露光装置44は、帯電した各色の像保持体40の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。さらに、各色の現像装置46は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体40の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール52によって転写ベルト50に順番に転写される。
【0042】
そこで、
図12に示す収容部材20から送出ロール22によって搬送経路16へ送り出された記録媒体Pは、転写ベルト50と二次転写ロール54とが接する転写ニップNTへ送り出される。転写ニップNTでは、記録媒体Pが転写ベルト50と二次転写ロール54との間で搬送されることで、転写ベルト50のトナー画像は、記録媒体Pの表面に転写される。
【0043】
また、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像が、定着装置34によって記録媒体Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0044】
一方、記録媒体Pの裏面にもトナー画像を形成する場合には、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pが、反転経路26に沿って搬送されることで、表裏が反転して再度転写ニップNTへ搬送される。そして、前述した工程と同様の工程を経て形成されたトナー画像が、記録媒体Pの裏面に転写される。また、記録媒体Pの裏面に転写されたトナー画像が、定着装置34によって記録媒体Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0045】
(要部構成)
次に、搬送部14について説明する。搬送部14は、記録媒体搬送装置の一例である。
【0046】
搬送部14は、
図12に示されるように、収容部材20から送り出された記録媒体Pが搬送される搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送する第一搬送ロール60と、第二搬送ロール64とを備えている。さらに、搬送部14は、搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送する停止ロール68と、排出ロール70とを備えている。
【0047】
第二搬送ロール64、第一搬送ロール60、停止ロール68、及び排出ロール70は、記録媒体Pの搬送方向(以下「媒体搬送方向」)において、上流側から下流側へこの順番で並んでいる。そして、二次転写ロール54と定着装置34とは、停止ロール68と、排出ロール70との間に配置されている。
【0048】
また、搬送部14は、媒体搬送方向において停止ロール68の上流側に配置され、搬送される記録媒体Pの先端を検知する検知センサ96(
図1参照)を備えている。
【0049】
さらに、搬送部14は、記録媒体Pの搬送方向を逆向きにすることで表裏を反転させる反転経路26に沿って記録媒体Pを搬送する転換ロール36と、搬送ロール38と、搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pを反転経路26へ案内する切替部材58とを備えている。
【0050】
また、第一搬送ロール60は、軸方向に移動可能とされており、搬送部14は、軸方向において、第一搬送ロール60を第一搬送ロール60の移動領域の中央部分に配置する第一配置機構94を備えている。さらに、第二搬送ロール64は、軸方向に移動可能とされており、搬送部14は軸方向において、第二搬送ロール64を第二搬送ロール64の移動領域の中央部分に配置する第二配置機構114を備えている。また、搬送部14は、第二搬送ロール64の軸方向の移動、及び第一搬送ロール60の軸方向の移動を拘束する拘束機構120(
図9参照)を夫々備えている。
【0051】
〔反転経路26における記録媒体Pの搬送〕
先ず、反転経路26における記録媒体Pの搬送について説明する。
反転経路26は、
図12に示されるように、媒体搬送方向において搬送経路16の下流側の部分から分岐している分岐路26aと、分岐路26aから延びており、記録媒体Pがスイッチバックする転換路26bとを有している。さらに、反転経路26は、転換路26bの端部から分岐路26aとは異なる方向に延びており、装置奥行方向から見てJ字状で、記録媒体Pを停止ロール68に向けて案内するJ字路26cを有している。
【0052】
そして、搬送部14は、分岐路26aから転換路26bに進入した記録媒体Pをスイッチバックさせる2個の転換ロール36と、スイッチバックしてJ字路26cに進入した記録媒体Pを停止ロール68へ向けて搬送する3個の搬送ロール38とを備えている。
【0053】
この構成において、切替部材58が、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pを分岐路26aへ案内する。2個の転換ロール36は、分岐路26aから転換路26bへ進入した記録媒体Pを受け取り、スイッチバックさせることで記録媒体Pの表裏を反転させてJ字路26cへ向けて搬送する。3個の搬送ロール38は、転換路26bからJ字路26cへ進入した記録媒体Pを受け取り停止ロール68へ向けて搬送し、記録媒体Pの先端を停止ロール68へ突き当てる。
【0054】
回転が停止している停止ロール68は、記録媒体Pの先端を一旦停止させて記録媒体Pの斜行を補正させた後、回転して、記録媒体Pを転写ニップNTへ搬送する。
【0055】
〔搬送経路16における記録媒体Pの搬送〕
次に、搬送経路16における記録媒体Pの搬送について説明する。
搬送経路16は、
図12に示されるように、収容部18の送出ロール22から装置幅方向の一方に延びて湾曲状に上方へ延びている湾曲路16aと、湾曲路16aの終端から上方へ延びている上方路16bとを有している。前述した分岐路26aは、上方路16bの媒体搬送方向の下流側の部分から分岐している。また、上方路16bは、前述したJ字路26cに対して画像形成部12側に配置されている。
【0056】
そして、第二搬送ロール64、第一搬送ロール60、及び停止ロール68は、収容部18から送り出された記録媒体Pを湾曲路16aに沿って搬送するように配置されている。停止ロール68は、湾曲路16aの終端に配置されており、上方路16bは、停止ロール68から上方へ延びている。
【0057】
以下、停止ロール68、第一搬送ロール60、第一配置機構94、第二搬送ロール64、第二配置機構114、及び拘束機構120について説明する。なお、
図1~
図8については、湾曲状の湾曲路16aを直線状にして各部が示されている。
【0058】
-停止ロール68-
停止ロール68は、
図1、
図5(A)に示されるように、一対の停止ロール体72a、72bを備えている。
【0059】
停止ロール体72a、72bは、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びている軸部74a、74bと、軸部74a、74bが貫通している円筒状のロール部76a、76bと、一対の軸受け78a、78bとを備えている。軸部74a、74bは、金属材料で形成され、ロール部76a、76bは、ゴム材料で形成されている。なお、停止ロール体72aと停止ロール体72bとで、特に区別しない場合には、末尾のアルファベットを省略する。
【0060】
また、ロール部76は、搬送経路16の基準線CLに対して一方側に3個、他方側に3個配置されている。また、一方側の3個のロール部76は、搬送される記録媒体Pの幅方向の一方側の部分と接触するように配置され、他方側の3個のロール部76は、搬送される記録媒体Pの幅方向の他方側の部分と接触するように配置されている。そして、一方側のロール部76から他方側のロール部76までの距離(図中L01)は、片側のロール部76からロール部76までの距離(図中P01)と比して長くなっている。さらに、軸部74は、ロール部76と一体となって軸方向の移動が、図示せぬ拘束部材で拘束されている。
【0061】
この構成において、停止ロール68は、何れか一方の停止ロール体72が図示せぬ駆動源から回転力が伝達されることで、回転するようになっている。なお、制御部28による停止ロール68の回転の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0062】
-第一搬送ロール60-
第一搬送ロール60は、
図1、
図5(A)に示されるように、一対の搬送ロール体82a、82bを備えている。
【0063】
搬送ロール体82a、82bは、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びている軸部84a、84bと、軸部84a、84bが貫通している円筒状のロール部86a、86bと、一対の軸受け88a、88bとを備えている。軸部84a、84bは、金属材料で形成され、ロール部86a、86bは、ゴム材料で形成されている。なお、搬送ロール体82aと搬送ロール体82bとで、特に区別しない場合には、末尾のアルファベットを省略する。
【0064】
また、ロール部86は、基準線CLに対して一方側に1個、他方側に1個配置されている。ロール部86の軸方向の外側(基準線CLから遠い側)の部分と、最も基準線CL側に配置されたロール部76の軸方向の内側(基準線CLに近い側)の部分とは、軸方向で重なっている。
【0065】
この構成において、第一搬送ロール60は、何れか一方の搬送ロール体82が図示せぬ駆動源から回転力が伝達されることで、回転するようになっている。そして、第一搬送ロール60は、記録媒体Pを搬送し、回転が停止した状態の停止ロール68へ記録媒体Pの先端を突き当てて一旦停止させる。なお、制御部28による第一搬送ロール60の回転の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0066】
さらに、軸部84は、ロール部86と一体となって軸方向に移動可能とされるように図示せぬ支持部材によって支持されている。本実施形態では、第一搬送ロール60が第一搬送ロール60の移動領域の中央部分に配置された状態で、軸部84は、ロール部86と一体となって片側に1.5〔mm〕移動可能とされている。1.5〔mm〕は一例であり、必要に応じてさらに大きく、あるいは少なくしてもよい。
【0067】
-第一配置機構94-
第一配置機構94は、
図1に示されるように、軸部84の両端側の部分で軸受88に対して軸方向の内側に取り付けられている円盤状の鍔部材90と、鍔部材90と軸受88との間で、圧縮状態で配置されている圧縮コイルばね92(以下「圧縮ばね92」)とを備えている。ここで、圧縮ばね92の付勢力は、第一搬送ロール60が搬送している記録媒体Pに生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能となるように決められている。圧縮ばね92は、第一付勢部材の一例である。
【0068】
この構成において、一方の圧縮ばね92は、他方の圧縮ばね92側に搬送ロール体82を付勢し、他方の圧縮ばね92は、一方の圧縮ばね92側に搬送ロール体82を付勢する。これにより、第一配置機構94は、軸方向において、第一搬送ロール60を第一搬送ロール60の移動領域の中央部分に配置する。このように、第一配置機構94は、軸方向における第一搬送ロール60の位置ばらつきを抑制するばらつき抑制手段として機能している。
【0069】
-第二搬送ロール64-
第二搬送ロール64は、
図1、
図5(A)に示されるように、搬送される記録媒体Pの先端が停止ロール68に突き当てられている状態で記録媒体Pを挟む位置に配置されている。この第二搬送ロール64は、一対の搬送ロール体102a、102bを備えている。
【0070】
搬送ロール体102a、102bは、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びている軸部104a、104bと、軸部104a、104bが貫通している円筒状のロール部106a、106bと、一対の軸受け108a、108bとを備えている。軸部104a、104bは、金属材料で形成され、ロール部106a、106bは、ゴム材料で形成されている。なお、搬送ロール体102aと搬送ロール体102bとで、特に区別しない場合には、末尾のアルファベットを省略する。
【0071】
また、ロール部106は、基準線CLに対して一方側に1個、他方側に1個配置されている。ロール部106の軸方向の外側の部分と、最も基準線CL側に配置されたロール部76の軸方向の内側の部分とは、軸方向で重なっている。
【0072】
この構成において、第二搬送ロール64は、何れか一方の搬送ロール体102が図示せぬ駆動源から回転力が伝達されることで、回転するようになっている。なお、制御部28による第二搬送ロール64の回転の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0073】
さらに、軸部104は、ロール部106と一体となって軸方向に移動可能とされるように、図示せぬ支持部材によって支持されている。本実施形態では、第二搬送ロール64が第二搬送ロール64の移動領域の中央部に配置された状態で、軸部104は、ロール部106と一体となって片側に2.5〔mm〕移動可能とされている。このように、第二搬送ロール64の移動領域は、第一搬送ロール60の移動領域と比して広くなっている。2.5〔mm〕は一例であり、第一搬送ロール60の移動領域に応じてさらに大きく、あるいは小さくなってもよい。また、第一搬送ロール60の移動領域との差は1〔mm〕に限らず、必要に応じてさらに大きく、あるいは小さくなってもよい。
【0074】
-第二配置機構114-
第二配置機構114は、
図1に示されるように、軸部104の両端側の部分で軸受108に対して軸方向の内側に取り付けられている円盤状の鍔部材110と、鍔部材110と軸受108との間で、圧縮状態で配置されている圧縮コイルばね112(以下「圧縮ばね112」)とを備えている。ここで、圧縮ばね112の付勢力は、第二搬送ロール64が搬送している記録媒体Pに生じる軸方向の力を受けて軸方向に移動可能となるように決められている。圧縮ばね112は、第二付勢部材の一例である。
【0075】
また、圧縮ばね112の付勢力は、圧縮ばね92の付勢力と比して弱い。換言すれば、第二搬送ロール64を軸方向へ単位距離移動させるのに必要な力は、第一搬送ロール60を軸方向へ単位距離移動させるのに必要な力と比して弱い。
【0076】
この構成において、一方の圧縮ばね112は、他方の圧縮ばね112側に搬送ロール体102を付勢し、他方の圧縮ばね112は、一方の圧縮ばね112側に搬送ロール体102を付勢する。これにより、第二配置機構114は、軸方向において、第二搬送ロール64を第二搬送ロール64の移動領域の中央部分に配置する。
【0077】
-拘束機構120-
拘束機構120は、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64の軸方向の一方側の部分に夫々配置されている。以下、第一搬送ロール60の軸方向の一方側に配置されている拘束機構120について説明する。
【0078】
拘束機構120は、
図9に示されるように、搬送ロール体82aの軸部84aに取り付けられた鍔部材90の一部が差し込まれるU字状の切欠き122aが形成された切欠き板122と、切欠き板122を板厚方向に移動させるソレノイドである移動部124とを備えている。ソレノイドは一例であり、切り欠き板を移動させる機能を持つ別の駆動元でもよい。
【0079】
この構成において、移動部124は、切欠き122aに鍔部材90の一部が差し込まれる差込位置(
図9参照)と、切欠き122aと鍔部材90とが軸部84aの径方向で離間する開放位置(
図10参照)とに切欠き板122を移動させる。切欠き板122が差込位置に配置された状態で、拘束機構120は、第一搬送ロール60の軸方向の移動を拘束する。一方、切欠き板122が開放位置に配置された状態で、拘束機構120は、第一搬送ロール60の軸方向の移動を許容する。なお、制御部28による拘束機構120の制御については、後述する作用と共に説明する。このように、拘束機構120は、第一搬送ロール60の軸方向を拘束又は許容する拘束許容手段として機能している。拘束機構120において、切り欠き板122と鍔部材90の配置は逆でもよい。すなわち、第一搬送ロール60に溝を備え、切り欠き板120の凸部と勘合させる構成でもよい。
【0080】
〔検知センサ96〕
搬送される記録媒体Pの先端を検知する検知センサ96は、
図1に示されるように、媒体搬送方向において第一搬送ロール60と停止ロール68との間の停止ロール68側で、かつ、搬送される記録媒体Pの厚さ方向から見て基準線CL上に配置されている。
【0081】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、比較形態に係る搬送部514と比較しつつ説明する。先ず、搬送部514の構成について、搬送部14と異なる部分を主に説明する。
【0082】
〔搬送部514の構成〕
搬送部514は、
図13に示されるように、記録媒体Pを搬送する第一搬送ロール560と、第二搬送ロール564と、停止ロール68とを備えている。媒体搬送方向において、第二搬送ロール564、第一搬送ロール560、及び停止ロール68は、この順番で並んでいる。また、搬送部514は、第一配置機構94、第二配置機構114、及び拘束機構120を備えていない。
【0083】
第一搬送ロール560は、一対の搬送ロール体582a、582bを備えている。
【0084】
搬送ロール体582a、582bは、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びている軸部84a、84bと、軸部84a、84bが貫通している円筒状のロール部86a、86bと、一対の軸受け88a、88bとを備えている。さらに、軸部84a、84bは、ロール部86a、86bと一体となって軸方向の移動が、図示せぬ拘束部材で拘束されている。この構成において、第一搬送ロール560は、何れか一方の搬送ロール体582が図示せぬ駆動源から回転力が伝達されることで、回転するようになっている。
【0085】
第二搬送ロール564は、一対の搬送ロール体602a、602bを備えている。
【0086】
搬送ロール体602a、602bは、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びている軸部104a、104bと、軸部104a、104bが貫通している円筒状のロール部106a、106bと、一対の軸受け108a、108bとを備えている。さらに、軸部104a、104bは、ロール部106a、106bと一体となって軸方向の移動が、図示せぬ拘束部材で拘束されている。この構成において、第二搬送ロール564は、何れか一方の搬送ロール体602が図示せぬ駆動源から回転力が伝達されることで、回転するようになっている。
【0087】
〔搬送部14、514の作用〕
搬送部14、514の作用について、収容部材20から送り出されて搬送される記録媒体Pが媒体搬送方向に対して沿っている場合と、記録媒体Pが媒体搬送方向に対して斜行している場合とについて説明する。なお、各部材は、制御部28によって制御されて動作している。
【0088】
-搬送される記録媒体Pが媒体搬送方向に対して沿っている場合-
収容部材20から記録媒体Pが搬送経路16へ送り出される前の状態では、第二搬送ロール64、564、第一搬送ロール60、560、及び停止ロール68の回転は、停止している。さらに、搬送部14では、拘束機構120が、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64、564の軸方向の移動を拘束している。
【0089】
収容部材20から記録媒体Pが搬送経路16へ送り出されると、
図1、
図13に示す第二搬送ロール64、564、及び第一搬送ロール60、560が、回転し、搬送経路16へ送り出された記録媒体Pを媒体搬送方向の下流側へ搬送する。
【0090】
回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、
図5(A)に示されるように、記録媒体Pの先端を停止ロール68のニップ部Nに突き当てる。回転が停止している停止ロール68は、記録媒体Pの先端を一旦停止させる。
【0091】
さらに、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、先端が一旦停止された記録媒体Pを搬送して停止する。本実施形態では、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、先端が一旦停止された記録媒体Pを、一例として5〔mm〕搬送する。
【0092】
なお、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560については、検知センサ96が記録媒体Pの先端を検知してから一定時間経過後に停止する。これにより、前述したように、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560が、記録媒体Pを搬送して停止する。
【0093】
先端が一旦停止された記録媒体Pを搬送することで、記録媒体Pの先端が記録媒体Pの幅方向に亘って停止ロール68のニップ部Nに突き当てられ、記録媒体Pの先端が停止ロール68の軸方向に沿う。
【0094】
これにより、
図5(B)に示されるように、停止ロール68と第一搬送ロール60、560との間の部分の記録媒体Pには、ループが形成される。「ループ」とは、搬送経路16に対して、記録媒体Pの厚さ方向に膨らんだ形状のことである。なお、各図に示すループの形状については、誇張して示す。
【0095】
さらに、
図6(A)、(B)に示されるように、停止ロール68が回転した後、第二搬送ロール64、564、及び第一搬送ロール60、560が回転することで、記録媒体Pは、媒体搬送方向の下流側へ搬送される。
【0096】
また、停止ロール68が回転すると、制御部28は、拘束機構120を制御して、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を許容する。換言すれば、制御部28は、拘束機構120を制御して、停止ロール68の回転が停止している間は、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を拘束する。
【0097】
ここで、「停止ロール68が回転すると、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を許容する」とは、停止ロール68が回転してから停止ロール68が2回転するまでの間に、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を許容すると言うことである。
【0098】
-搬送される記録媒体Pが媒体搬送方向に対して斜行している場合-
搬送部14では、収容部材20から記録媒体Pが搬送経路16へ送り出されると、
図2、
図3に示されるように、第二搬送ロール64、及び第一搬送ロール60が、回転し、搬送経路16へ送り出された記録媒体Pを媒体搬送方向の下流側へ搬送する。なお、各図に示す記録媒体の斜行度合、及び第一搬送ロール60、第二搬送ロール64の軸方向の移動量については、誇張して示す。
【0099】
また、搬送部514では、収容部材20から記録媒体Pが搬送経路16へ送り出されると、
図14、
図15に示すように、第二搬送ロール564、及び第一搬送ロール560が、回転し、搬送経路16へ送り出された記録媒体Pを媒体搬送方向の下流側へ搬送する。
【0100】
回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、
図7(A)に示されるように、記録媒体Pの先端を停止ロール68のニップ部Nに突き当てる。回転が停止している停止ロール68は、記録媒体Pの先端を一旦停止させる。
【0101】
さらに、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、先端が一旦停止された記録媒体Pを搬送して停止する。本実施形態では、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、先端が一旦停止された記録媒体Pを、一例として5〔mm〕搬送する。
【0102】
なお、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560については、検知センサ96が記録媒体Pの先端を検知してから一定時間経過後に停止する。これにより、回転する第二搬送ロール64、564、及び回転する第一搬送ロール60、560は、先端が一旦停止された記録媒体Pを搬送して停止する。
【0103】
先端が一旦停止された記録媒体Pを搬送することで、記録媒体Pの先端が記録媒体Pの幅方向に亘って停止ロール68のニップ部Nに突き当てられ、記録媒体Pの先端が停止ロール68の軸方向に沿う。これにより、記録媒体Pの斜行が補正され、
図7(B)に示されるように、停止ロール68と第一搬送ロール60、560との間の部分の記録媒体Pには、ループが形成される。
【0104】
ここで、媒体搬送方向に対して斜行している記録媒体Pの先端が停止ロール68の軸方向に沿う。このため、先に停止ロール68のニップ部Nに到達する記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さ(
図7(B)のH01)と、後で停止ロール68のニップ部Nに到達する記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さ(
図7(B)のH02)とに差が生じる。ここで、「ループの高さ」とは、記録媒体が記録媒体Pの厚さ方向に変形したときの厚さ方向における最大変形量である。
【0105】
そこで、搬送部514では、
図8(A)、(B)に示されるように、停止ロール68が回転した後、第二搬送ロール564、及び回転する第一搬送ロール560が、回転することで、記録媒体Pは、媒体搬送方向の下流側へ搬送される。
【0106】
しかし、前述したように、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さH01と、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さH02とに差が生じている。搬送部514では、ループの高さの差が維持された状態で、停止ロール68が記録媒体Pを搬送する。これにより、異音が発生してしまうことがある。換言すれば、何れか一方のループの高さが、搬送される記録媒体Pが媒体搬送方向に対して沿っている場合のループの高さと比して高くなることで、異音が発生してしまうことがある。
【0107】
一方、搬送部14では、
図8(A)、(B)に示されるように、停止ロール68が回転した後、第二搬送ロール64、及び回転する第一搬送ロール60が、回転することで、記録媒体Pは、媒体搬送方向の下流側へ搬送される。
【0108】
ここで、停止ロール68が回転すると、制御部28は、拘束機構120を制御して、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を許容する。このため、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64が、
図3、
図4に示されるように、搬送している記録媒体Pに生じる軸方向の力を受けて軸方向へ移動し、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さと、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さとの差が、搬送部514と比して小さくなる。搬送部14では、この状態で、停止ロール68が記録媒体Pを搬送する。
【0109】
具体的には、記録媒体Pの先端が停止ロール68のニップ部Nに突き当てられることで、媒体搬送方向に対して斜行している記録媒体Pの先端が停止ロール68の軸方向に沿う。これにより、記録媒体Pには、軸方向に移動しようとする力が生じる。より具体的には、先端を基点に、記録媒体Pには、軸方向に移動しようとする力が生じるため、先端から離れる程、軸方向に移動しようとする力が強くなる。
【0110】
このため、第二搬送ロール64の軸方向の移動量が、第一搬送ロール60の軸方向の移動量と比して大きくなる。このように、第二搬送ロール64及び第一搬送ロール60が軸方向へ移動することで、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さと、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さとの差が、搬送部514と比して小さくなる。搬送部14では、この状態で、停止ロール68が記録媒体Pを搬送する。
【0111】
(まとめ)
以上説明したように、搬送部14では、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さと、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さとの差が、搬送部514と比して小さくなった状態で、停止ロール68が記録媒体Pを搬送する。このため、搬送部14では、搬送部514と比して、停止ロール68が記録媒体Pを搬送することで生じる異音が抑制される。
【0112】
また、搬送部14では、停止ロール68に対して媒体搬送方向の上流側の第一搬送ロール60が軸方向に移動可能で、第二搬送ロール64の軸方向の移動が常に拘束されている場合と比して、停止ロール68が記録媒体Pを搬送することで生じる異音が抑制される。第二搬送ロール64の移動が常に拘束されていると、第一搬送ロール60の摺動が不十分となり、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さと、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さとの差が小さくならないからである。
【0113】
また、搬送部14では、第一配置機構94が、第一搬送ロール60を第一搬送ロール60の移動領域の中央部分に配置する。さらに、第二配置機構114が、第二搬送ロール64を第二搬送ロール64の移動領域の中央部分に配置する。これにより、第一搬送ロール及び第二搬送ロールが移動領域のどの位置にでも配置される場合と比して、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64が配置される位置のばらつきが抑制される。
【0114】
また、搬送部14では、圧縮ばね92が第一搬送ロール60の両端側に夫々設けられている。このため、圧縮ばね92が第一搬送ロール60の一方側だけに設けられている場合と比して、第一搬送ロール60が配置される位置のばらつきが抑制される。
【0115】
また、搬送部14では、圧縮ばね112が第二搬送ロール64の両端側に夫々設けられている。このため、圧縮ばね112が第二搬送ロール64の一方側だけに設けられている場合と比して、第二搬送ロール64が配置される位置のばらつきが抑制される。
【0116】
また、搬送部14では、圧縮ばね112の付勢力は、圧縮ばね92の付勢力として弱くされている。このため、圧縮ばね112の付勢力と圧縮ばね92の付勢力とが同じ場合と比して、第二搬送ロール64が第一搬送ロール60に対して軸方向に容易に移動する。そこで、圧縮ばね112の付勢力と圧縮ばね92の付勢力とが同じ場合と比して、記録媒体Pの幅方向の一端のループの高さと、記録媒体Pの幅方向の他端のループの高さとの差が小さくなる。
【0117】
また、搬送部14では、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を拘束する拘束機構120が備えられている。このため、第一搬送ロール60の軸方向の移動、及び第二搬送ロール64の軸方向の移動が、拘束状態と許容状態とに切り替えられる。
【0118】
また、搬送部14では、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を拘束する拘束機構120が備えられている。このため、記録媒体Pが停止ロール68に突き当たる前に、拘束される第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を許容する場合と比して、記録媒体Pの先端が記録媒体Pの幅方向に亘って停止ロール68のニップ部Nに突き当てられる。
【0119】
また、搬送部14では、停止ロール68の回転が停止している間は、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を拘束し、停止ロール68が回転すると第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を許容する。このため、停止ロール68の回転が停止している間は、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向への移動を許容し、停止ロール68が回転すると第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を拘束する場合と比して、記録媒体Pの先端を記録媒体Pの幅方向に亘って停止ロール68に突き当てた上で、停止ロール68が記録媒体Pを搬送することで生じる異音が抑制される。
【0120】
また、画像形成装置10では、搬送部514を有する記録媒体搬送装置を備える場合と比して、記録媒体Pを搬送することで生じる異音が抑制される。
【0121】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、記録媒体搬送装置を画像形成装置に採用した例について説明したが、画像形成装置に限らず例えば、券売機、自動改札等の記録媒体(シート部材)を搬送する装置に採用してもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、記録媒体Pの表面にトナー画像を形成させるために搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pの斜行の補正を例にとって説明したため、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64が、軸方向に移動可能とされたが、反転経路26に沿って搬送される記録媒体Pの斜行の補正の場合には、反転経路26において停止ロール68の媒体搬送方向の上流側1番目、2番目の搬送ロール38を第一搬送ロール60、第二搬送ロール64と同様の構造としてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、第一搬送ロール60及び第二搬送ロール64の軸方向の移動を拘束から許容に切り替える時期は、搬送される記録媒体Pが停止ロール68に突き当たってから、停止ロール68が回転するまでの間であればよい。ここで、「記録媒体Pが停止ロール68に突き当たってから」とは、記録媒体Pの幅方向の中央部が、停止ロール68のニップ部に到達してからである。
【0124】
また、上記実施形態では、第一搬送ロール60を移動領域の中央部分に配置する第一配置機構94、第二搬送ロール64を移動領域の中央部分に配置する第二配置機構114を備えたが、これらを備えていなくてもよい。しかし、この場合には、これらを備えることで奏する作用は奏しない。
【0125】
また、上記実施形態では、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64の両端側の部分に、圧縮ばね94、114を設けたが、引っ張りばねであってもよく、また、片側の部分だけであってもよい。この場合には、圧縮ばねを両端側の部分に設けることで奏する作用は奏しない。
【0126】
また、上記実施形態では、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64の移動を拘束する拘束機構を備えたが、例えば、第一搬送ロールのロール部、第二搬送ロールのロール部の移動を拘束してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、第一搬送ロール60、第二搬送ロール64の移動を拘束する拘束機構を備えたが、拘束機構を備えなくてもよい。しかし、この場合には、拘束機構を備えることで奏する作用は奏しない。
【符号の説明】
【0128】
10 画像形成装置
12 画像形成部
14 搬送部(媒体搬送装置の一例)
28 制御部
60 第一搬送ロール
64 第二搬送ロール
68 停止ロール
92 圧縮ばね(第一付勢部材の一例)
94 第一配置機構
112 圧縮ばね(第二付勢部材の一例)
114 第二配置機構
120 拘束機構(拘束機構及び他の拘束機構の一例)