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特許7322600画像処理装置、画像形成装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230801BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20230801BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G06F3/12 343
B41J21/00 Z
B41J29/38 301
B41J29/42 F
H04N1/00 C
G06F3/12 303
G06F3/12 332
G06F3/12 356
G06F3/12 385
H04N1/00 J
H04N1/00 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019157060
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021033943
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 信介
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047837(JP,A)
【文献】特開2016-180857(JP,A)
【文献】特開平10-035022(JP,A)
【文献】特開2013-111931(JP,A)
【文献】特開2019-022074(JP,A)
【文献】特開平10-272806(JP,A)
【文献】特開2003-271327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 21/00
B41J 29/38
B41J 29/42
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、前記プロセッサが、
媒体の色を示す第1情報を取得し、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を提示し、該候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、画像形成装置に対して、該指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をするとともに、指定された画像を前記媒体に形成させる指示をし、
前記候補は、前記画像に含まれる色に応じて決定される
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
プロセッサを有し、前記プロセッサが、
媒体の色を示す第1情報を取得し、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を提示し、該候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、画像形成装置に対して、該指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をし、
前記候補は、前記画像形成装置が用いる顔料の、前記媒体に重ねられる順序に応じて決定される
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、その旨を通知する
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記媒体の色に類似する前記マークの色で該マークが該媒体に形成された場合の画像を表示部に表示させて、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する旨を通知する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記媒体に前記非類似の色で前記マークを形成した場合の画像を前記表示部に表示させる
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記候補は、前記画像形成装置が用いる顔料の残量に応じて決定される
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記媒体の位置ごとに前記第1情報を取得し、前記画像形成装置に対して、前記位置ごとに該位置における前記媒体の色と非類似の色で前記マークを形成させる指示をする
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
プロセッサと、顔料を用いて画像を形成する画像形成部と、を有し、
前記プロセッサが、
媒体の色を示す第1情報を取得し、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を提示し、該候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、前記画像形成部に対して、該指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をするとともに、指定された画像を前記媒体に形成させる指示をし、
前記候補は、前記画像に含まれる色に応じて決定される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
プロセッサと、顔料を用いて画像を形成する画像形成部と、を有し、
前記プロセッサが、
媒体の色を示す第1情報を取得し、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を提示し、該候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、前記画像形成部に対して、該指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をし、
前記候補は、前記画像形成部が用いる顔料の、前記媒体に重ねられる順序に応じて決定される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータが有するプロセッサに、
媒体の色を示す第1情報を取得するステップと、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得するステップと、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を、指定された画像に含まれる色に応じて決定するステップと、
決定した前記候補を提示するステップと、
前記候補の中から1つの色を選択する指示を受付けるステップと、
画像形成装置に対して、前記指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をするとともに、前記画像を前記媒体に形成させる指示をするステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータが有するプロセッサに、
媒体の色を示す第1情報を取得するステップと、
前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得するステップと、
前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記媒体の色に応じた1以上の非類似の色の候補を、画像形成装置が用いる顔料の、前記媒体に重ねられる順序に応じて決定するステップと、
決定した前記候補を提示するステップと、
前記候補の中から1つの色を選択する指示を受付けるステップと、
前記画像形成装置に対して、前記指示により選択され変更された色で前記マークを前記媒体に形成させる指示をするステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンボマーク、見当標、クロップマーク、レジスターマーク等と呼ばれるマークがある。このマークは、断裁や折加工等、各種の後処理に用いる目印である。画像形成装置は、画像が形成される媒体に、その画像に用いるトナーを用いてこれらのマークも形成させることがある。
【0003】
ここで、媒体に形成する画像の上に、上述したマークを重ねて形成する場合、画像とマークとの色合いによっては、マークが目立たなくなることがある。これを解決するための技術として、例えば、特許文献1には、設定情報に基づいて、出力画像と断裁マークとが重なる部分を強調処理する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-135899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したマークを、上述した画像の上に重ねて形成しない場合であっても、媒体そのものの色によっては、マークが目立たず、利用者に見落とされることがあった。
【0006】
本発明の目的の一つは、媒体の色との関係において後処理に用いるマークが目立たなくなることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサが、媒体の色を示す第1情報を取得し、前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、画像形成装置に対して、前記媒体に該媒体の色と非類似の色で前記マークを形成させる指示をすることを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、その旨を通知する画像処理装置である。
【0009】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、該マークの色を変更する指示を受付け、変更された色で前記マークを形成させる指示をする画像処理装置である。
【0010】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、請求項3に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体の色に応じた1以上の色の候補を提示し、該候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、該指示により選択された色で前記マークを形成させる指示をする画像処理装置である。
【0011】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、請求項4に記載の態様において、前記候補は、前記画像形成装置が用いる顔料の残量に応じて決定される画像処理装置である。
【0012】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、請求項4又は5に記載の態様において、前記プロセッサは、前記画像形成装置に対して、指定された画像を前記媒体に形成させる指示をし、前記候補は、前記画像に含まれる色に応じて決定される画像処理装置である。
【0013】
本発明の請求項7に係る画像処理装置は、請求項4から6のいずれか1項に記載の態様において、前記候補は、前記画像形成装置が用いる顔料の、前記媒体に重ねられる順序に応じて決定される画像処理装置である。
【0014】
本発明の請求項8に係る画像処理装置は、請求項2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体の色に類似する前記マークの色で該マークが該媒体に形成された場合の画像を表示部に表示させて、前記旨を通知する画像処理装置である。
【0015】
本発明の請求項9に係る画像処理装置は、請求項8に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体に前記非類似の色で前記マークを形成した場合の画像を前記表示部に表示させる画像処理装置である。
【0016】
本発明の請求項10に係る画像処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、前記媒体の位置ごとに前記第1情報を取得し、前記画像形成装置に対して、前記位置ごとに該位置における前記媒体の色と非類似の色で前記マークを形成させる指示をする画像処理装置である。
【0017】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、プロセッサと、顔料を用いて画像を形成する画像形成部と、を有し、前記プロセッサが、媒体の色を示す第1情報を取得し、前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、前記画像形成部に対して、前記媒体に該媒体の色と非類似の色で前記マークを形成させる指示をすることを特徴とする画像形成装置である。
【0018】
本発明の請求項12に係るプログラムは、コンピュータが有するプロセッサに、媒体の色を示す第1情報を取得するステップと、前記媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得するステップと、前記媒体の色と前記マークの色とが類似する場合に、画像形成装置に対して、前記媒体に該媒体の色と非類似の色で前記マークを形成させる指示をするステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1、12に係る発明によれば、媒体の色との関係において後処理に用いるマークを目立たせることができる。
請求項2に係る発明によれば、媒体の色とマークの色とが類似する場合に、利用者はその旨を知る。
請求項3に係る発明によれば、媒体の色とマークの色とが類似する場合に、利用者はマークの色を変更する指示をすることができる。
請求項4に係る発明によれば、利用者は、媒体の色に応じた候補の中からマークの色を選択することができる。
請求項5に係る発明によれば、例えば、マークを形成に用いた顔料の残量がなくなって画像形成ができなくなる不具合等が防止される。
請求項6に係る発明によれば、例えば、画像に応じた課金額の範囲内で形成が可能なマークの色の候補が提示される。
請求項7に係る発明によれば、上に重ねられて目立ちやすい顔料を優先して候補にすることができる。
請求項8に係る発明によれば、利用者は媒体の色に類似する色のマークが形成された様子を、表示部の表示により確認することができる。
請求項9に係る発明によれば、利用者は媒体の色と非類似の色のマークが形成された様子を、表示部の表示により確認することができる。
請求項10に係る発明によれば、位置ごとに媒体の色が異なっていても、各位置におけるマークを目立たせることができる。
請求項11に係る発明によれば、媒体の色との関係において目立つように、後処理に用いるマークをその媒体に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画像形成システム9の全体構成の一例を示す図。
図2】画像処理装置1、及び画像形成装置2の構成の一例を示す図。
図3】画像形成部27の概略を示す図。
図4】画像処理装置1の機能的構成の一例を示す図。
図5】画像処理装置1における動作の流れの一例を示すフロー図。
図6】表示部15に表示される操作画面のレイアウトの一例を示す図。
図7】階調値表示領域A4の一例を示す図。
図8】指示領域A5の一例を示す図。
図9】マークの色の候補を提示するポップアップウインドウの一例を示す図。
図10】ステップS200における動作の流れの一例を示すフロー図。
図11】用紙Pに形成されるマークの概要を示す図。
図12】プレビュー領域に表示されるマークの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
<画像形成システムの構成>
図1は、画像形成システム9の全体構成の一例を示す図である。画像形成システム9は、1以上の画像処理装置1と、画像形成装置2と、これらを通信可能に接続する通信回線3と、を有する。通信回線3は、例えばLAN(Local Area Network)のほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0022】
なお、画像形成システム9が有する画像処理装置1、画像形成装置2、及び通信回線3のそれぞれの数は図1に示すものに限られず1つであってもよいし複数であってもよい。
【0023】
<画像処理装置の構成>
図2は、画像処理装置1、及び画像形成装置2の構成の一例を示す図である。
図2に示す画像処理装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、及び表示部15を有する。
【0024】
制御部11は、プロセッサ111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113を有し、プロセッサ111がROM112又は記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)をRAM113等に読み出して実行することにより画像処理装置1の各部を制御する。このプロセッサ111は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0025】
通信部13は、有線又は無線により通信回線3に接続する通信回路である。画像処理装置1は、通信部13により、通信回線3に接続された画像形成装置2や他の外部装置(図示せず)と情報をやり取りする。
【0026】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、利用者による操作を受付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に送る。利用者による操作は、例えば、キーボードに対する押下やタッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0027】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、制御部11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。
【0028】
記憶部12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の記憶手段であり、制御部11のプロセッサ111に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する。
【0029】
<画像形成装置の構成>
図2に示す画像形成装置2は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25、及び画像形成部27を有する。
【0030】
制御部21は、例えば制御部11と共通の構成であり、画像形成装置2の各部を制御する。記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25も、画像処理装置1の記憶部12、通信部13、操作部14、及び表示部15と共通の構成である。なお、画像形成装置2は、操作部24、及び表示部25を有しなくてもよい。
【0031】
図2に示す制御部21は、通信部23、及び通信回線3を介して画像処理装置1から利用者が指定した画像を示す画像データを取得する。そして制御部21は、画像処理装置1から取得した指示に応じて、取得した画像データが示す画像を画像形成部27に形成させる。
【0032】
画像形成部27は、顔料を含む複数のトナーを用いて指定された画像を媒体に形成するとともに、後処理に用いるマークを媒体に形成する装置である。この画像形成部27は、顔料を用いて画像を形成する画像形成部の一例である。
【0033】
図3は、画像形成部27の概略を示す図である。図3に示す画像形成部27は、収容器270、搬送機271、計測機272、現像機273、中間転写ベルト274、転写機275、及び定着器276を有する。この画像形成部27は、図2に示す制御部21の制御の下、電子写真方式により紙等の媒体に、トナーを用いて画像を形成する。
【0034】
収容器270は、予め定められたサイズにカットされた、媒体としての用紙Pを収容する容器である。
【0035】
搬送機271は、制御部21の指示により、搬送ロールによって収容器270から用紙Pを一枚ずつ取り出し、搬送路を経由して搬送方向D1に搬送する。これにより、用紙Pは、転写機275へ搬送される。なお、媒体は用紙Pに限らず、例えば樹脂製のシート等であってもよい。要するに、媒体は、表面に画像を記録し得るものであればよい。
【0036】
図3に示す計測機272は、用紙Pの色を計測する機器である。この計測機272は、例えば、白色LED等の照射装置と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の受光素子と、を有する。照射装置が搬送機271によって搬送される用紙Pの表面に白色光を照射し、その反射光を受光素子が受光して、計測機272は、その反射光の波長を計測する。計測機272は、計測した波長の情報を、制御部21に通知し、制御部21は、通信部23、通信回線3、及び通信部13を介して、この情報を制御部11に伝える。画像処理装置1の制御部11は、画像形成装置2から伝えられた情報を、媒体の色を示す情報として取得する。
【0037】
現像機273は、感光体ドラム、帯電器、露光装置、磁性現像ローラ、現像スリーブ、一次転写ロール等を有する。図3に示す現像機273は、中間転写ベルト274の周回方向D2に沿った順で、W,Y,M,C,K,G、の6つが並べられている。このW,Y,M,C,K,Gはそれぞれ、ホワイト、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、金、のそれぞれの顔料を含むトナーに対応した構成であることを意味している。
【0038】
露光装置は、帯電器により帯電した感光体ドラムの表面に、制御部21の制御の下で画像を示すデータに応じたレーザー光を照射して、静電潜像を形成する。現像スリーブは、磁界を形成する磁性現像ローラの周囲を回転する非磁性の筒状部材である。この現像スリーブは、上述したトナーと、フェライト粉等の磁性キャリアと、を含む二成分現像剤を収容する容器に面している。現像スリーブは、磁性現像ローラの作る磁界によって、その表面にトナーの付着した磁性キャリアを付着させていわゆる磁気ブラシを形成し、感光体ドラムに向けて搬送する。そして、この磁気ブラシの穂先が感光体ドラムの表面に接触することで、トナーは静電潜像の画線部に付着し、感光体ドラムに画像が形成(現像)される。一次転写ロールは中間転写ベルト274が感光体ドラムと対向する位置において予め定めた電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト274に画像を転写する。なお、現像機273の現像方式は、上述した二成分現像方式に限らず、トナーのみを用いる一成分現像方式であってもよい。
【0039】
図3に示す中間転写ベルト274は、周回方向D2に沿って周回する無端のベルト部材であり、表面に、W,Y,M,C,K,G、の順で各現像機273に保持されたトナーが重ねて転写される。そして、中間転写ベルト274上のトナーは、転写機275に向かって移動する。
【0040】
転写機275は、二次転写ロールを有する。この二次転写ロールは、中間転写ベルト274との電位差によって、中間転写ベルト274の表面に保持された1以上の層のトナーで構成される画像を搬送機271で搬送される用紙Pに転写する。このとき、用紙Pに重ねて転写されるトナーの順は、中間転写ベルト274の逆順となる。すなわち、各顔料を含むトナーは、用紙Pの上にG→K→C→M→Y→Wの順で重ねて形成される。トナーが媒体上に形成される順序は、濃度の薄い顔料を含むトナーほど上層になる順序であるとよい。媒体において、濃い顔料が薄い顔料の上に重ねて形成されると、薄い顔料が濃い顔料に覆われて視認し難くなるからである。
【0041】
搬送機271は、転写機275により画像が転写された用紙Pを定着器276へ移動させる。定着器276は、用紙Pに転写された画像を加熱して定着させる。
【0042】
<画像処理装置の機能的構成>
図4は、画像処理装置1の機能的構成の一例を示す図である。なお、図4において制御部11のROM112及びRAM113は省かれている。制御部11のプロセッサ111は、記憶部12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、第1取得部1111、第2取得部1112、判定部1113、指示部1114、通知部1115、受付部1116、及び提示部1117、として機能する。
【0043】
上述した画像形成部27の計測機272は、搬送される用紙Pの色を反射光の波長により計測し、この色を示す情報を制御部11に通知している。第1取得部1111は、図2に示す通信部23、通信回線3、及び通信部13を介して画像形成装置2から、計測機272によって計測された用紙P(すなわち、媒体の一例)の色を示す情報(第1情報という)を取得する。
【0044】
記憶部12には、予め設定されたマークの色を示す情報(第2情報という)が記憶されている。このマークは、トンボマーク、見当標、クロップマーク、レジスターマーク等と呼ばれるマークであり、断裁や折加工等、各種の後処理において位置決め等に用いる目印である。第2取得部1112は、記憶部12から、この第2情報を読出して取得する。
【0045】
判定部1113は、第1取得部1111が取得した第1情報により示される用紙Pの色と、第2取得部1112が取得した第2情報により示されるマークの色と、を比較する。そして、これらの色が互いに類似するか否かを判定する。これらの色が類似するか否かは、例えば、色差等を用いて判定される。
【0046】
指示部1114は、判定部1113により、用紙Pの色と、マークの色と、が類似すると判定された場合に、画像形成装置2に対して、用紙Pに、この用紙Pの色と非類似の色でマークを形成させる指示をする。この指示は、通信部13を介して、図2に示す通信回線3を経由し、画像形成装置2に伝えられる。ここで、用紙Pの色と非類似の色とは、用紙Pの色の補色や反対色等、用紙Pに直接、描かれたときに目立つ色である。
【0047】
したがって、第1取得部1111、第2取得部1112、判定部1113、及び指示部1114として機能するプロセッサ111は、媒体の色を示す第1情報を取得し、この媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得し、この媒体の色とマークの色とが類似する場合に、画像形成装置に対して、この媒体にこの媒体の色と非類似の色でマークを形成させる指示をするプロセッサの一例である。
【0048】
通知部1115は、判定部1113により、用紙Pの色と、マークの色と、が類似すると判定された場合に、文字列や画像等を表示部15に表示することにより、これらの色が類似する旨を通知する。この通知は、例えば、警告文を示す文字列を表示することで通知されてもよく、また、後述するプレビュー画像において、マークを強調させることで通知されてもよい。このプレビュー画像において、マークは、例えば、明滅させることや、枠で囲うこと等によって強調されればよい。つまり、この通知部1115として機能するプロセッサ111は、媒体の色とマークの色とが類似する場合に、その旨を通知するプロセッサの一例である。
【0049】
受付部1116は、判定部1113により、用紙Pの色と、マークの色と、が類似すると判定された場合に、操作部14を介して利用者からマークの色を変更する指示を受付ける。指示部1114は、画像形成装置2に対して、受付部1116により受付けられた指示に基づいて変更された色で用紙Pにマークを形成させる指示をする。つまり、この受付部1116として機能するプロセッサ111は、媒体の色とマークの色とが類似する場合に、このマークの色を変更する指示を受付け、変更された色でマークを形成させる指示をするプロセッサの一例である。
【0050】
提示部1117は、受付部1116が利用者からマークの色を変更する指示を受付ける場合に、文字列や画像等を表示部15に表示することにより、用紙Pの色に応じた1以上の色の候補を提示する。受付部1116は、提示部1117によって提示された候補の中から1つの色を選択する利用者の指示を受付ける。そして、指示部1114は、画像形成装置2に対して、受付けた指示により選択された色で用紙Pにマークを形成させる指示をする。つまり、この受付部1116として機能するプロセッサ111は、媒体の色に応じた1以上の色の候補を提示し、これらの候補の中から1つの色を選択する指示を受付け、この指示により選択された色でマークを形成させる指示をするプロセッサの一例である。
【0051】
<画像処理装置の動作>
図5は、画像処理装置1における動作の流れの一例を示すフロー図である。画像処理装置1の制御部11が有するプロセッサ111は、例えば画像形成装置2から用紙P(すなわち、媒体)の色を示す第1情報を取得し(ステップS101)、記憶部12からマークの色を示す第2情報を取得する(ステップS102)。ステップS101及びステップS102の順序は逆でもよい。
【0052】
そして、プロセッサ111は、取得した第1情報及び第2情報に基づいて、用紙Pの色とマークの色とを比較し、これらの色が類似しているか否かを判定する(ステップS103)。用紙Pの色とマークの色とが類似していない、と判定する場合(ステップS103;NO)、プロセッサ111は、これらの色で、画像及びマークを用紙Pに形成する画像形成を指示する(ステップS104)。
【0053】
一方、用紙Pの色とマークの色とが類似している、と判定する場合(ステップS103;YES)、プロセッサ111は、例えば表示部15に文字列や画像を表示することにより、これらの色が類似する旨を利用者に通知する(ステップS105)。
【0054】
図6は、表示部15に表示される操作画面のレイアウトの一例を示す図である。この操作画面は、ツールバー領域A1、プレビュー領域A2、サムネイル領域A3、階調値表示領域A4、及び指示領域A5を含む。
【0055】
ツールバー領域A1は、操作画面を表示するアプリケーションプログラム(以下、アプリともいう)に対する指示を受付けるためのツールバーが表示される。このツールバーには、例えば、このアプリを終了させる指示等が含まれる。図6に示すツールバー領域A1は、操作画面のうち上部に配置されている。
【0056】
プレビュー領域A2は、画像形成装置2が利用者の指示に沿って用紙Pに画像を形成した場合に、得られる画像形成後の用紙Pの見た目を示すプレビュー画像を表示する。図6に示すプレビュー領域A2は、操作画面のうち上述したツールバー領域A1の下で右側の領域に配置されている。
【0057】
サムネイル領域A3は、プレビュー領域A2に表示されるプレビュー画像を縮小したサムネイル画像を表示する。プレビュー領域A2には、例えば、用紙Pの一部を拡大したプレビュー画像が表示されるが、サムネイル領域A3には、用紙Pの全体を縮小したサムネイル画像が表示される。
【0058】
階調値表示領域A4は、マークの色の階調値を表示する領域である。図7は、階調値表示領域A4の一例を示す図である。図7に示す階調値表示領域A4には、カラー、種別、調整前、及び調整後の列を含む表が示される。
この表において、カラーの列は、トナーに含まれる顔料の色の名称を示す文字列を示した列であり、上から順に「(W)ホワイト(最前面)」、「(Y)イエロー」、「(M)マゼンタ」、「(C)シアン」、「(K)ブラック」、「(G)ゴールド(最背面)」の文字列がそれぞれ記述されている。このカラーの列に記述された文字列は、その文字列が示すトナーが媒体に重ねられる順に沿って並べられている。すなわち、この列において、上に記述された文字列が示すトナーほど、用紙Pの表面において上に重ねて転写される。したがって、例えば、ホワイトは最前面であり、ゴールドは最背面である。
【0059】
また、この表において、種別の列は、トナーの種別を示した列である。トナーの種別とは、特殊及び一般のいずれかであり、上述した6つのトナーは、これらのいずれかに分類される。利用者は、画像形成システム9を利用する際に、例えば、上述したツールバー等を操作して以下の3つの設定のいずれかを選択する。
【0060】
第1設定は、特殊トナー(すなわち、ホワイト及びゴールドの2色)のみを用いる設定である。第2設定は、一般トナー(すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のみを用いる設定である。そして、第3設定は、特殊トナー及び一般トナーの両方(すなわち、上述の6色全て)を用いる設定である。
【0061】
利用者に課される画像形成システム9の利用料金は、利用者が選択した3つの設定に応じてそれぞれ定められている。例えば、第1設定をした利用者には、第2設定をした利用者よりも高額の利用料が請求される。また、第3設定をした利用者には、第1設定をした利用者、及び第2設定をした利用者のいずれよりも高額の利用料が請求される。
【0062】
また、この表において、調整前の列は、調整前のマークの色を構成するトナーの含有百分率を示した列である。図7に示す例で、調整前のマークの色は、ブラックが100%であり、他のトナーは全て0%である。
【0063】
そして、この表において、調整後の列は、調整後のマークの色を構成するトナーの含有百分率を示した列である。図7に示す例では、未だマークの色が調整されていないため、この列は空欄である。
【0064】
図6に示す指示領域A5は、このアプリに対する各種の指示を受付けるための領域である。図8は、指示領域A5の一例を示す図である。図8に示す指示領域A5は、メインのチェックボックスB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7と、サブのチェックボックスB11、B12を有する。また、指示領域A5は、ボタンB31を有し、さらに、ボタンB8と、ボタンB9と、を有する。
【0065】
チェックボックスB1の右側には「画像を表示する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB1がチェックされているとき、プレビュー画像において利用者が指定した画像も表示される。
【0066】
サブのチェックボックスB11、B12は、チェックボックスB1に付随するチェックボックスである。チェックボックスB1がチェックされていないとき、これら2つのチェックボックスは、いわゆるグレーアウトの状態となり、操作を受付けない。一方、チェックボックスB1がチェックされているとき、チェックボックスB11、B12は、操作を受付ける状態となり、いずれか一方が択一的にチェックされるように制御される。
【0067】
チェックボックスB11の右側には「調整前のマーク色を表示」という文字列が表示されている。このチェックボックスB11がチェックされているとき、チェックボックスB12のチェックは強制的に外され、プレビュー画像において調整前のマーク色が表示される。このプロセッサ111は、媒体の色に類似するマークの色でこのマークがこの媒体に形成された場合の画像を表示部に表示させて、媒体の色と、マークの色とが類似する旨を通知するプロセッサの一例である。これにより、利用者は、用紙Pの色の類似するマークの色で、このままマークが形成された場合の、マークの目立ち難さの程度を、画像形成の前に確認することができる。
【0068】
チェックボックスB12の右側には「調整後のマーク色を表示」という文字列が表示されている。このチェックボックスB12がチェックされているとき、チェックボックスB11のチェックは強制的に外され、プレビュー画像において調整後のマーク色が表示される。このプロセッサ111は、媒体に非類似の色でマークを形成した場合の画像を表示部に表示させるプロセッサの一例である。これにより、利用者は、マークの色を、用紙Pの色と非類似の色に変更した場合に、マークの目立ち易さの程度を、画像形成の前に確認することができる。
【0069】
チェックボックスB2の右側には「文字を表示する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB2がチェックされているとき、プレビュー画像において利用者が指定した文字も表示される。
【0070】
チェックボックスB3の右側には「マーク色の候補を提示する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB3がチェックされているとき、用紙Pの色と非類似の色の候補がマークの色の候補として提示される。用紙Pの色とマークの色とが類似すると判定されていない場合、このチェックボックスB3は、いわゆるグレーアウトの状態となり、操作を受付けないが、類似すると判定されている場合には、操作を受付ける。
【0071】
ボタンB31は、チェックボックスB3に付随するボタンであり、チェックボックスB3がチェックされているときに限り、操作を受付ける。ボタンB31には「候補表示」という文字列が記載されており、このボタンB31を押下するとマークの色の候補が表示される。
【0072】
図9は、マークの色の候補を提示するポップアップウインドウの一例を示す図である。図9に示すポップアップウインドウは、ボタンB31を押下したときに、例えば表示部15により操作画面に重ねて表示される。このポップアップウインドウは、カラーの列と、候補A、候補B、…等、1以上の候補の列を有する表を含む。また、このポップアップウインドウは、設定を保持したまま元の画面に戻るための「OK」ボタンと、設定を破棄して元の画面に戻るための「Cancel」ボタンと、を有する。
【0073】
カラーの列には、図7で示した各トナーに含まれる顔料の色の名称を示す文字列に加えて、「選択」という文字列が記述されている。
【0074】
1以上の候補の列は、トナーの列に記述された色の名称に相当する行に、その候補の色における、その色の含有百分率が記述されている。また、各候補の列において、トナーの列の「選択」に対応する行には、それぞれチェックボックスが記述されている。
【0075】
利用者は、図9に示すポップアップウインドウにおいて列挙された1以上の候補を確認し、それらの中から1つの候補を選択する。この選択は、いずれかの候補の列に記述されたチェックボックスをチェックすることによって行われる。図9に示すポップアップウインドウにおいて、いずれかのチェックボックスをチェックすると、他のチェックボックスは、チェックが外されるように制御される。
【0076】
利用者は、いずれかのチェックボックスをチェックして候補を選択すると、「OK」ボタンを押下する。これにより、図9に示すポップアップウインドウにおいて利用者が選択した候補が調整後のマークの色として採用される。
【0077】
図8に示すチェックボックスB4の右側には「マーク色を手動で調整する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB4がチェックされているとき、マークの色は手動で調整される。例えば、チェックボックスB4がチェックされている場合、図7に示す階調値表示領域の調整後の列は、入力を受付ける状態になり、この列に入力された数値に基づいて調整後のマークの色が設定される。
【0078】
上述したチェックボックスB3及びチェックボックスB4は、いずれか一方が択一的にチェックされるように制御される。すなわち、チェックボックスB3がチェックされているとき、チェックボックスB4のチェックは強制的に外され、チェックボックスB4がチェックされているとき、チェックボックスB3のチェックは強制的に外される。
【0079】
チェックボックスB5の右側には「マーク色を画像に含まれる色に限定する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB5がチェックされているとき、マークの色は、利用者が指定した画像に含まれる色に限定される。
【0080】
チェックボックスB6の右側には「マーク色をトナー残量により制限する」という文字列が表示されている。このチェックボックスB6がチェックされているとき、マークの色は、トナーの残量により制限される。
【0081】
チェックボックスB7の右側には「文字色をマーク色に連動させる」という文字列が表示されている。このチェックボックスB7がチェックされているとき、利用者が指定した文字の色がマークの色に連動して変化する。したがって、マークの色を調整した場合、文字の色もマークと共通の色に調整される。
【0082】
ボタンB8は、行った操作を保持したまま画像形成を指示するためのボタンである。ボタンB8には「OK」という文字列が記載されており、このボタンB8を押下すると操作の結果が保持されたまま、画像形成が指示される。
【0083】
ボタンB9は、行った操作を取消すためのボタンである。ボタンB9には「Cancel」という文字列が記載されており、このボタンB9を押下すると操作の結果は取り消される。
【0084】
図6に示すサムネイル領域A3、階調値表示領域A4、及び指示領域A5は、操作画面のうち上述したプレビュー領域A2の左側にこの順で上から並べて配置されている。
【0085】
図5に示すステップS105において、プロセッサ111は、用紙Pの色と、マークの色とが類似する旨を、例えば、上述したプレビュー領域に表示して、利用者に通知する。そして、プロセッサ111は、利用者がマークの色の候補を提示するよう指示したか否かを判断する(ステップS106)。
【0086】
例えば、上述した指示領域A5のチェックボックスB4をチェックして、利用者が、マークの色を手動で調整する指示をすると、プロセッサ111は、利用者がマークの色の候補を提示するよう指示しなかったと判定し(ステップS106;NO)、利用者の手動によるマークの色の入力を受付ける(ステップS107)。
【0087】
一方、例えば、上述した指示領域A5のチェックボックスB3をチェックして、利用者が候補の提示をすると、プロセッサ111は、利用者がマークの色の候補を提示するよう指示したと判定し(ステップS106;YES)、用紙Pの色に応じた色の候補を提示する処理を実行する(ステップS200)。
【0088】
図10は、ステップS200における動作の流れの一例を示すフロー図である。図5に示すステップS200は、例えば、図10に示すステップS201からステップS207までのステップを含む。
【0089】
プロセッサ111は、利用者が、マークの色を指定した画像に含まれる色(画像含有色という)に限定する指示をしたか否かを判定する(ステップS201)。プロセッサ111は、例えば、上述したチェックボックスB5がチェックされているか否かにより、これを判定する。
【0090】
画像含有色の限定が指示されたと判定する場合(ステップS201;YES)、プロセッサ111は、マークの色を、画像含有色に限定する(ステップS202)。画像含有色の限定が指示されていないと判定する場合(ステップS201;NO)、プロセッサ111は、処理をステップS203に進める。
【0091】
プロセッサ111は、利用者が、マークの色の調整を、トナー残量によって制限する指示をしたか否かを判定する(ステップS203)。プロセッサ111は、例えば、上述したチェックボックスB6がチェックされているか否かにより、これを判定する。
【0092】
トナー残量による制限が指示されたと判定する場合(ステップS203;YES)、プロセッサ111は、マークの色を調整する範囲を、トナー残量によって制限する(ステップS204)。トナー残量による制限が指示されていないと判定する場合(ステップS203;NO)、プロセッサ111は、処理をステップS205に進める。
【0093】
プロセッサ111は、マークの色の候補を示すデータを生成する(ステップS205)。このデータは、例えば、6つのトナーの含有百分率で示される。プロセッサ111は、ステップS202において、マークの色が画像含有色に限定されている場合、候補を示すデータを、この画像含有色の組合せから生成する。このプロセッサ111により生成される候補は、指定された画像に含まれる色に応じて決定される候補の一例である。
【0094】
利用者は、この候補の中からマークの色を選択する場合、変更されるマークの色は画像含有色に限定されているので、マークを形成するために画像に含まれないトナーを必要としない。したがって、例えば、利用者が上述した第2設定をしている場合、マークの色は、第2設定で用いることが許可されている一般トナーだけで構成されるから、第2設定に対応する利用料金を超えた料金を請求されることがない。
【0095】
また、プロセッサ111は、ステップS204において、マークの色の範囲がトナー残量により制限されている場合、候補を示すデータを、このトナー残量による制限の範囲内から生成する。このプロセッサ111により生成される候補は、画像形成装置が用いる顔料の残量に応じて決定される候補の一例である。
【0096】
プロセッサ111は、ステップS205において生成された1以上の候補を、用紙Pに重ねられる順序が上のトナー(上層トナーという)の含有百分率が多いものほど優先されるように並べ替える(ステップS206)。そして、プロセッサ111は、並べ替えられたこれらの候補を表示部15により利用者に向けて表示する(ステップS207)。以上により、図5に示したステップS200の処理は実行され、用紙Pの色に応じた色の候補が利用者に提示される。
【0097】
そして、プロセッサ111は、図5に示す通り、用紙Pの色と類似していると判定されたマークの色を、類似していない新たな色に変更する指示を受付ける(ステップS108)。新たな色は、候補の選択により、又は手動による入力により決定される。ステップS108におけるこの指示は、例えば、利用者が上述した指示領域A5のボタンB8を押下したときに受付けられる。
【0098】
ステップS108によりマークの色を変更する指示が受付けられると、プロセッサ111は、処理をステップS104に進める。プロセッサ111は、ステップS104において、利用者が指定した画像を形成するとともに、上述した指示にしたがって変更された色でマークを用紙Pに形成するように、画像形成装置2に指示する。このプロセッサ111は、画像形成装置に対して、指定された画像を媒体に形成させる指示をするプロセッサの一例である。
【0099】
図11は、用紙Pに形成されるマークの概要を示す図である。図11に示す外側の矩形は用紙Pの輪郭を示しており、内側の矩形は利用者が指定した画像が形成される領域を示している。そして、図11に示す通り、外側の矩形と内側の矩形の間には、8つのマークが形成される。
【0100】
図11に示す通り内側の矩形の四隅には、それぞれその外側にコーナートンボ等と呼ばれるマークが形成される。このマークは、例えば、用紙Pを断裁する際の角の位置を示すマークである。
また、図11に示す通り内側の矩形の四辺には、それぞれその外側にセンタートンボ等と呼ばれるマークが形成される。このマークは、例えば、用紙Pを断裁する際の各辺の中央の位置を示すマークである。
【0101】
図12は、プレビュー領域に表示されるマークの例を示す図である。マークの色が、デフォルトのブラック(つまり、ブラックが100%で、他のトナーを含まない)であるとき、取得した第1情報により示される用紙Pの色がブラックに類似した色であると、例えば、図12(a)に示す通りマークが見え難い。この場合、画像処理装置1は、用紙Pの色とマークの色とが類似していると判定し、画像形成装置2に対して、用紙Pの色と非類似の色でマークを形成させる指示をする。この非類似の色は、利用者の手動による入力、又は、画像処理装置1が提示した候補の利用者による選択により決定され、例えば、図12(b)に示す通り、プレビュー領域に表示される。利用者は、この図12(b)に示すマークを確認することにより、画像形成を指示する前に調整されたマークが目立つか否か判断することができる。
【0102】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は、組合されてもよい。
【0103】
<1>
上述した実施形態において、画像形成装置2の画像形成部27が有する計測機272は、搬送される用紙Pの色を反射光の波長により計測していたが、この用紙Pの色は他の構成により特定されてもよい。
【0104】
例えば、収容器270のそれぞれに取り付けられたICチップ等に書き込まれた識別情報により、収容器270に収容された用紙Pの色が特定されてもよい。この場合、収容器270は、それぞれ決められた色の用紙Pしか収容できないように取り決められていればよい。そして、この場合、画像形成部27は、上述した計測機272を有しなくてもよい。なお、計測機272により計測される用紙の色は、用紙Pの一枚ごとに計測されるが、収容器270に取り付けられたICチップ等から特定される用紙の色は、収容器270に収容される用紙Pの束ごとに特定される。
【0105】
また、上述した実施形態において、第1取得部1111は、画像形成装置2から用紙Pの色を示す第1情報を取得していたが、他の構成からこれを取得してもよい。例えば、第1取得部1111は、操作部14を介して利用者が指定した色の情報を、用紙Pの色を示す第1情報として取得してもよい。
【0106】
<2>
上述した実施形態において、記憶部12には、予め設定されたマークの色を示す第2情報が記憶されていたが、第2情報は、他の構成により記憶されていてもよい。例えば、マークの色を示す第2情報は、制御部11のRAM113に記憶されていてもよい。また、RAM113は、予め設定されたマークの色だけでなく、現時点で設定されているマークの色を示す第2情報を記憶してもよい。
【0107】
また、上述した実施形態において、第2取得部1112は、記憶部12から、第2情報を読出して取得していたが、他の構成からこれを取得してもよい。例えば、第2取得部1112は、操作部14を介して利用者が指定した色の情報を、マークの色を示す第2情報として取得してもよい。
【0108】
<3>
上述した実施形態又は変形例において、第1取得部1111は、一枚ごとに、又は収容される束ごとに、用紙Pの色を示す第1情報を取得していたが、用紙Pの位置ごとに、その位置における用紙Pの色を示す第1情報を取得してもよい。この場合、例えば、計測機272は、一枚の用紙Pが搬送される度に、その用紙Pの決められた複数の位置における色をそれぞれ計測し、計測した色を示す第1情報を画像処理装置1に送信すればよい。
【0109】
この場合、画像処理装置1は、取得した第1情報に基づき、マークを形成する複数の位置のそれぞれについて、その媒体の色を特定し、マークの色とそれぞれ比較する。そして、媒体の色とマークの色とが類似する位置があった場合、画像処理装置1の制御部11は、画像形成装置2に対して、その位置のマークの色を、その位置の媒体の色と非類似の色に変更してマークを形成させる指示をすればよい。この指示をする制御部11のプロセッサ111は、媒体の位置ごとに第1情報を取得し、画像形成装置に対して、位置ごとにその位置における媒体の色と非類似の色でマークを形成させる指示をするプロセッサの一例である。
【0110】
ここで、マークの色が一色しか選べない場合、画像処理装置1は、例えば、特定した複数の位置における媒体の色との色差を集計して、その集計結果に基づき、それぞれの位置において、媒体の色と非類似となる色を決定すればよい。プロセッサ111は、例えば、各位置の色との色差の分散が閾値未満になり、かつ、その相加平均が閾値以上になる色をマークの色として選べばよい。
【0111】
また、複数の色がマークの色として選択可能な場合、画像処理装置1は、各位置のマークの色を、それぞれ、その位置の媒体の色と非類似の色に変更すればよい。
【0112】
例えば、グラデーション紙や飾り紙等は、その全面が均一色ではなく、位置によって色が異なる場合がある。こういった位置によってその色が異なる媒体に対してマークを形成する場合であっても、この変形例における画像処理装置1は、位置ごとに媒体の色と非類似の色に変更してマークを形成するので、媒体のどの位置においてもマークが目立たなくなり難い。
【0113】
<4>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、ステップS205で生成された1以上の候補を、ステップS206で上層トナーの含有百分率が多いものほど優先されるように並べ替えていた。しかし、プロセッサ111は、他の方法により、マークの色の候補を決定してもよい。例えば、プロセッサ111は、生成された1以上の候補のうち、上層トナーの含有百分率が決められた水準未満の候補を破棄してもよい。
【0114】
要するに、プロセッサ111により提示されるマークの色の候補は、画像形成装置が用いる顔料の、媒体に重ねられる順序に応じて決定された候補であることが望ましい。プロセッサ111が提示する候補が、この順序に応じて決定されていると、例えば、形成されるマークの一部が、利用者に指定された画像と重なる場合があっても、提示された候補の色は、その画像に影響され難い色である。
【0115】
<5>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、用紙Pの色と、マークの色と、が類似すると判定された場合に、画像形成装置2に対して、用紙Pに、この用紙Pの色と非類似の色でマークを形成させる指示をする指示部1114として機能していた。ここで、1つのマークを形成させる色は一色でなくてもよい。プロセッサ111は、例えば、画像形成装置2に対して、複数の色でマークをそれぞれ形成させる指示をしてもよい。複数の色で形成されるマークとは、例えば、中央の形状をその形状と異なる色で縁取りしたマークや、2色以上の線分が交互に繋がった破線で構成されるマーク等である。すなわち、マークは、少なくとも媒体(例えば、用紙P)と非類似の色が含まれた複数の色で形成されてもよい。
【0116】
<6>
画像処理装置1は、画像形成部27に相当する構成を有することで、画像形成装置2を兼ねてもよい。この場合、画像処理装置1は、外部装置と情報をやり取りする必要がない場合に、通信部13を有しなくてもよい。また、画像形成装置2の制御部21が、上述した画像処理装置1の制御部11の機能を実現してもよい。この場合、画像形成装置2は、通信部23を有しなくてもよい。
【0117】
<7>
上述した画像処理装置1は、プロセッサ111、ROM112、RAM113を有して各部を制御する制御部11を有していたが、画像処理装置1を制御する制御手段は他の構成であってもよい。例えば、画像処理装置1は、CPU以外にも各種のプロセッサ等を有してもよい。
【0118】
ここでプロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば上述したCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0119】
上記各実施形態におけるプロセッサ111の動作は、1つのプロセッサ111によって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0120】
<8>
上述した画像処理装置1の制御部11によって実行されるプログラムは、コンピュータに、媒体の色を示す第1情報を取得するステップと、この媒体に形成する、後処理に用いるマークの色を示す第2情報を取得するステップと、媒体の色とマークの色とが類似する場合に、画像形成装置に対して、媒体にこの媒体の色と非類似の色でマークを形成させる指示をするステップと、を実行させるためのプログラムの一例である。このプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…画像処理装置、11…制御部、111…プロセッサ、1111…第1取得部、1112…第2取得部、1113…判定部、1114…指示部、1115…通知部、1116…受付部、1117…提示部、112…ROM、113…RAM、12…記憶部、13…通信部、14…操作部、15…表示部、2…画像形成装置、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…操作部、25…表示部、27…画像形成部、270…収容器、271…搬送機、272…計測機、273…現像機、274…中間転写ベルト、275…転写機、276…定着器、3…通信回線、9…画像形成システム、A1…ツールバー領域、A2…プレビュー領域、A3…サムネイル領域、A4…階調値表示領域、A5…指示領域、B1…チェックボックス、B11…チェックボックス、B12…チェックボックス、B2…チェックボックス、B3…チェックボックス、B31…ボタン、B4…チェックボックス、B5…チェックボックス、B6…チェックボックス、B7…チェックボックス、B8…ボタン、B9…ボタン、D1…搬送方向、D2…周回方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12