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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】クリーニング装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20230801BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B65H5/00 B
G03G21/00 310
B41J29/17 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019162866
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021042010
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 俊介
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏篤
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛史
(72)【発明者】
【氏名】臼井 将人
(72)【発明者】
【氏名】佐武 健一
(72)【発明者】
【氏名】大畑 志伸
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
(72)【発明者】
【氏名】道下 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】坂根 広規
(72)【発明者】
【氏名】為国 雄介
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 譲
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-107433(JP,A)
【文献】特開平04-128861(JP,A)
【文献】特開平08-137299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
G03G 21/00
B41J 29/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部材の搬送面に付着した異物を帯状のウェブによって清掃するクリーニングユニットと、
前記クリーニングユニットを前記搬送面に接する清掃位置及び当該清掃位置から離間した離間位置に移動するユニット移動機構と、を備え、
清掃時には、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置に移動されて、回転中の前記搬送部材の前記搬送面に前記ウェブが接触されて前記異物が掻き取られ、前記搬送部材の回転方向で前記搬送面と前記ウェブの接触部の手前に前記異物が堆積し、
メンテナンス時には、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されて、前記搬送面に堆積した前記異物が前記ウェブ側の接触部に対向するように前記搬送部材が回転され、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置に移動されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニングユニットが、前記ウェブを繰り出す繰り出しローラーと、前記ウェブを前記搬送面に向けて押し付ける押圧ローラーと、前記搬送面を通過した前記ウェブを巻き取る巻き取りローラーと、を有していることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
メンテナンス時には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定長巻き取られた後に、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
メンテナンス時には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定長巻き取られて前記搬送部材が連れ回され、連れ回り方向とは逆方向に前記搬送部材が回転された後に、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されることを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
メンテナンス終了後には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定量巻き取られることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記シートに対して画像を形成する画像形成部と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のクリーニング装置とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等の画像形成装置には、各種搬送ローラーや搬送ベルト等の搬送部材によってシートの搬送経路が形成されている。これら搬送部材によるシートの搬送中に、搬送部材の搬送面に紙粉が付着すると搬送不良が生じる恐れがある。このため、画像形成装置として、搬送部材である一対のレジストローラーの表面から紙粉を除去するクリーニング装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。これらのクリーニング装置は、ウェブロールから順次繰り出されたウェブを、回転中のレジストローラーの搬送面に押し付けることでクリーニングしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-345805号公報
【文献】特開2006-117420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙粉に限らず、シートのインクやトナーが搬送部材の搬送面に付着して、後続のシートの搬送時に画像汚れの不具合が発生する場合がある。上記のクリーニング装置では、ウェブに対して搬送部材が回転されて、搬送面に付着した紙粉やインクの顔料等の異物が搬送面とウェブの接触部に堰き止められることで搬送面から異物が掻き取られる。接触部の手前に異物が堆積するため、シートの取り除き作業等のメンテナンス作業によって搬送部材が逆回転されると、接触部の手前から搬送経路に向けて異物が逆流するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、搬送部材の搬送面から異物を取り除きつつ、メンテナンス時に搬送経路への異物の逆流を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のクリーニング装置は、搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部材の搬送面に付着した異物を帯状のウェブによって清掃するクリーニングユニットと、前記クリーニングユニットを前記搬送面に接する清掃位置及び当該清掃位置から離間した離間位置に移動するユニット移動機構と、を備え、清掃時には、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置に移動されて、回転中の前記搬送部材の前記搬送面に前記ウェブが接触されて前記異物が掻き取られ、前記搬送部材の回転方向で前記搬送面と前記ウェブの接触部の手前に前記異物が堆積し、メンテナンス時には、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されて、前記搬送面に堆積した前記異物が前記ウェブ側の接触部に対向するように前記搬送部材が回転され、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置に移動される。
【0007】
前記クリーニングユニットが、前記ウェブを繰り出す繰り出しローラーと、前記ウェブを前記搬送面に向けて押し付ける押圧ローラーと、前記搬送面を通過した前記ウェブを巻き取る巻き取りローラーと、を有してもよい。
【0008】
メンテナンス時には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定長巻き取られた後に、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されてもよい。
【0009】
メンテナンス時には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定長巻き取られて前記搬送部材が連れ回され、連れ回り方向とは逆方向に前記搬送部材が回転された後に、前記ユニット移動機構によって前記クリーニングユニットが前記清掃位置から前記離間位置に移動されてもよい。
【0010】
メンテナンス終了後には、前記巻き取りローラーに前記ウェブが所定量巻き取られてもよい。
【0011】
本発明の一態様の画像形成装置は、前記シートに対して画像を形成する画像形成部と、前記クリーニング装置とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クリーニング時には、回転中の搬送部材の搬送面にウェブが押し付けられることで、ウェブによって搬送面に付着した異物が掻き取られる。メンテナンス時には、搬送面とウェブの接触部の手前に堆積した異物が、搬送面とウェブによって挟み込まれる。このため、メンテナンス作業時に搬送部材が回転されても、異物が搬送経路に向かって逆流することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の画像形成装置の模式図である。
図2A】比較例のクリーニングユニットの清掃動作の一例を示す図である。
図2B】比較例のJAM処理作業の一例を示す図である。
図3】本実施形態のクリーニング装置及びレジストローラー装置の模式図である。
図4】本実施形態のクリーニングユニットの斜視図である。
図5】本実施形態のクリーニングユニットの斜視図である。
図6】本実施形態のクリーニングユニット及びウェブ駆動機構の模式図である。
図7A】本実施形態のクリーニングユニットの移動動作の遷移図である。
図7B】本実施形態のクリーニングユニットの移動動作の遷移図である。
図7C】本実施形態のクリーニングユニットの移動動作の遷移図である。
図8A】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8B】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8C】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8D】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8E】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8F】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
図8G】本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のクリーニング装置を適用した画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置の模式図である。説明の便宜上、図1における紙面前側を画像形成装置の正面側(前側)とし、左右の向きは画像形成装置を正面から見た方向を基準として説明する。各図に適宜付される矢印L、R、U、Lo、Fr、Rrは、それぞれ画像形成装置の左側、右側、上側、下側、前側、後側を示している。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置1は、インク滴を吐出してシートSに画像を形成するインクジェット式のプリンターであり、シートSに対して片面印刷及び両面印刷を実行可能に形成されている。画像形成装置1は、各種機器が収容された箱型形状のハウジング10を備えている。ハウジング10の下部にはシートSがセットされる給紙カセット15が収容され、ハウジング10の右側面11にはシートSが手差しでセットされる手差しトレイ16が設置されている。ハウジング10の左側面12の上側には、画像形成済みのシートSが積載される排紙トレイ17が設置されている。
【0016】
ハウジング10内の右側部には、給紙カセット15からハウジング10中央の画像形成部41に向けてシートSを搬送する第1の搬送経路21が形成されている。第1の搬送経路21の上流には給紙部18が設けられ、第1の搬送経路21の下流にはレジストローラー装置30が設けられている。また、第1の搬送経路21の下流は手差しトレイ16の給紙経路24に連なり、手差しトレイ16の給紙経路24には給紙部19が設けられている。給紙部18は給紙カセット15のシート束からシートSを取り出し可能に形成され、給紙部19は手差しトレイ16のシート束からシートSを取り出し可能に形成されている。
【0017】
レジストローラー装置30は、上下に対向する一対のレジストローラー32、33を有している。一対のレジストローラー32、33の下流には画像形成部41と搬送ベルト45が設置されている。一対のレジストローラー32、33は、シートSのスキューを矯正して、画像形成部41によるインク滴の吐出動作に合わせて搬送ベルト45にシートSを送り出している。レジストローラー装置30の下部には、レジストローラー32、33を定期的に清掃するクリーニング装置60が設けられている。クリーニング装置60は、両面印刷時に下側のレジストローラー33の搬送面を帯状のウェブWによって清掃する。
【0018】
画像形成部41には、インク滴を吐出する複数(本実施形態では4つ)のラインヘッド42Bk、42C、42M、42Yが搭載されている。ラインヘッド42Bk、42C、42M、42Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインク滴を吐出する。搬送ベルト45は、画像形成部41の下方に設置された複数の張架ローラー46a-46eに掛け渡されている。搬送ベルト45には多数の貫通穴が形成されており、搬送ベルト45の内側には画像形成部41に対向する位置で搬送ベルト45の貫通穴に負圧を生じさせる吸引部47が設置されている。
【0019】
搬送ベルト45の貫通穴の負圧によって、レジストローラー32、33から送り出されたシートSが搬送ベルト45の貫通穴に吸着される。そして、各ラインヘッド42Bk、42C、42M、42Yから搬送ベルト45に吸着されたシートSに向けてインク滴が順次吐出されることで、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色によってシートSにフルカラー画像が形成される。各ラインヘッド42Bk、42C、42M、42Yの下方をシートSが通過すると、搬送ベルト45によるシートSの吸着が解除されて、画像形成済みのシートSが排紙ガイド49にガイドされつつデカール装置51に送られる。
【0020】
ハウジング10内の左側部には、デカール装置51から排紙トレイ17に向けてシートSを搬送する第2の搬送経路22が形成されている。第2の搬送経路22の中間には分岐部材25が設けられており、第2の搬送経路22の下流には排紙部55が設けられている。デカール装置51は、インクが乾燥してシートSに生じたカールを、搬送ベルト52と矯正ローラー53によって矯正する。分岐部材25は、シートSの排出先を排紙トレイ17と後述する第3の搬送経路23に切り替える。排紙部55は、ハウジング10の左側面12の排紙口56から排紙トレイ17に画像形成済みのシートSを排出可能に形成されている。
【0021】
ハウジング10内の上部には、第2の搬送経路22の途中の分岐部材25から第1の搬送経路21の下流のレジストローラー装置30にシートSを搬送する第3の搬送経路23が形成されている。第3の搬送経路23の途中には、シートSを表裏反転させるシート反転部26が設けられている。第3の搬送経路23にシートSが搬送されると、シート反転部26によってシートSがスイッチバックされることで、表裏反転されたシートSがレジストローラー装置30に向けて搬送される。これにより、シートSの裏面を上に向けた状態で、レジストローラー32、33から画像形成部41にシートSが搬入される。
【0022】
画像形成装置1による画像形成時には、給紙部18、19によって給紙カセット15又は手差しトレイ16からシートSが取り出されてレジストローラー装置30に送られる。画像形成動作にタイミングを合わせて、レジストローラー装置30から搬送ベルト45にシートSが送られて、画像形成部41によってシートSの表面に画像が形成される。片面印刷時には、デカール装置51によってシートSに生じたカールが矯正された後、第2の搬送経路22を通って排紙口56にシートSが搬送されて、排紙部55によって片面に画像が形成されたシートSが排紙トレイ17に排出される。
【0023】
両面印刷時には、デカール装置51によってシートSに生じたカールが矯正された後、第3の搬送経路23によって表面印刷後のシートSが表裏反転されて、レジストローラー装置30に向けて再び搬送される。レジストローラー装置30から搬送ベルト45にシートSが送られて、画像形成部41によってシートSの裏面に画像が形成される。そして、デカール装置51によってシートSに生じたカールが矯正された後、第2の搬送経路22を通って排紙口56にシートSが搬送されて、排紙部55によって両面に画像が形成されたシートSが排紙トレイ17に排出される。
【0024】
両面印刷動作では、画像が形成されたシートSの表面を下向きにした状態で、第3の搬送経路23からレジストローラー装置30にシートSが搬送される。このとき、シートSの表面のインクの顔料が下側のレジストローラー33に付着すると、下側のレジストローラー33から上側のレジストローラー32に顔料が転写されて、一対のレジストローラー32、33によって後続のシートSが顔料で汚される場合がある。また、レジストローラー32、33とシートSの摩擦によって紙粉が生じ、紙粉がレジストローラー32、33に付着することでシートSの搬送不良が生じる場合がある。
【0025】
このため、レジストローラー装置30は、下側のレジストローラー33の搬送面に付着したインクの顔料や紙粉等の異物がクリーニング装置60によって除去されている。クリーニング装置60の帯状のウェブWが下側のレジストローラー33の搬送面に押し付けられることで、ウェブWによってレジストローラー33の搬送面から異物が掻き取られる。また、クリーニング装置60は、帯状のウェブWが間欠的に送り出されるように形成されており、ウェブWの使用済み部分が回収されると同時に、ウェブWの未使用部分がレジストローラー33の搬送面に接触される。
【0026】
図2Aに示すように、下側のレジストローラー33の清掃時には、クリーニング装置60の押圧ローラー67によってウェブWがレジストローラー33の搬送面34に押し付けられたままレジストローラー33が回転される。ウェブWとレジストローラー33の搬送面34の接触部65によって搬送面34に付着した異物Dが堰き止められることで当該搬送面34から異物Dが掻き取られる。このため、ウェブWとレジストローラー33の搬送面34の接触部65付近、すなわちレジストローラー33の回転方向(図示の反時計回り方向)で接触部65の手前に粉状になった異物Dが堆積される。
【0027】
図2Bに示すように、レジストローラー装置30付近にJAMが生じると、搬送経路からシートSを取り除かなければならない。一対のレジストローラー32、33に挟まれたシートSを取り出す際に、一対のレジストローラー32、33が逆回転されると、接触部65の手前に堆積した異物Dが下側のレジストローラー33の搬送面34によって搬送経路側に運ばれる。これにより、搬送経路や一対のレジストローラー32、33等が異物Dによって汚染される。また、上記のJAM処理作業に関わらず、他のメンテナンス作業時に意図せずにレジストローラー33を動かしてしまう場合がある。
【0028】
そこで、本実施形態では、JAM処理作業等のメンテナンス作業時に、下側のレジストローラー33と押圧ローラー67によって異物Dを挟み込むようにしている(図8F参照)。これにより、下側のレジストローラー33が回転しても、押圧ローラー67によってウェブWを介して異物Dがレジストローラー33の搬送面34に押さえ付けられて、搬送面34に付着した異物Dが搬送経路側に逆流することがない。よって、メンテナンス作業時に異物Dによって搬送経路や一対のレジストローラー32、33等が汚染されることが防止される。
【0029】
以下、クリーニング装置について説明する。図3は、本実施形態のクリーニング装置及びレジストローラー装置の模式図である。図4及び図5は、本実施形態のクリーニングユニットの斜視図である。図6は、本実施形態のクリーニングユニット及びウェブ駆動機構の模式図である。
【0030】
図3に示すように、レジストローラー装置30は、シートSの搬送経路が形成されたレジストハウジング31を有している。レジストハウジング31の側壁には上下一対のレジストローラー32、33が回転可能に支持されている。一対のレジストローラー32、33には動力伝達機構(不図示)を介してレジスト用モーター35が接続されている。一対のレジストローラー32、33のニップNにシートSが挟み込まれて、レジスト用モーター35の駆動力によって一対のレジストローラー32、33が回転されることでシートSが画像形成部41(図1参照)に向けて搬送される。
【0031】
上側のレジストローラー32は、金属製ローラーによって形成されている。下側のレジストローラー33は、ゴム製ローラーの外周面にPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブが嵌め込まれて形成されている。上側のレジストローラー32の回転中心と下側のレジストローラー33の回転中心を結ぶ直線Lは、鉛直方向に対して鋭角(例えば10度)に傾斜している。すなわち、上側のレジストローラー32に対して下側のレジストローラー33が、シートSの搬送方向の上流側(右側)に僅かに外れた位置に設置されている。
【0032】
レジストローラー装置30の下方にはクリーニング装置60が設置されている。クリーニング装置60は、ハウジング10に対して着脱可能に設置されたクリーニングユニット61と、ハウジング10に固定的に設置されたユニット移動機構62及びウェブ駆動機構63(図6参照)とを備えている。クリーニングユニット61がハウジング10に装着されることで、クリーニングユニット61にユニット移動機構62及びウェブ駆動機構63が連結される。ユニット移動機構62によってクリーニングユニット61が上下方向に移動され、ウェブ駆動機構63からクリーニングユニット61にウェブ駆動用の動力が伝達される。
【0033】
クリーニングユニット61は、下側のレジストローラー33の搬送面34に付着した異物Dを帯状のウェブWによって清掃するように形成されている。クリーニングユニット61には、ウェブWを繰り出す繰り出しローラー66と、ウェブWを搬送面34に向けて押し付ける押圧ローラー67と、搬送面34を通過したウェブWを巻き取る巻き取りローラー68とが設けられている。繰り出しローラー66の外周面にはロール状にウェブWが巻かれたウェブロールWRが装着され、ウェブロールWRから繰り出されたウェブWの先端が押圧ローラー67の外周面に掛けられた後に巻き取りローラー68の外周面に固定されている。
【0034】
ウェブWは、不織布等の帯状の布材料によって形成されており、押圧ローラー67によって下側のレジストローラー33の搬送面34に押圧されている。押圧ローラー67の外周面はスポンジ等の弾性材料によって形成されており、押圧ローラー67がレジストローラー33に押し付けられることで、押圧ローラー67の外周面が部分的に潰れてウェブWとレジストローラー33の搬送面34が面接触される。レジストローラー33が回転した状態で、押圧ローラー67の外周のウェブWに接触することで、ウェブWによってレジストローラー33の搬送面34から異物Dが取り除かれる。
【0035】
繰り出しローラー66からウェブWが間欠的に繰り出されることで、巻き取りローラー68によってウェブWの使用済み部分が回収され、押圧ローラー67によってウェブWの未使用部分がレジストローラー33に押し付けられる。レジストローラー33と押圧ローラー67の接触部65にウェブWの未使用部分が間欠的に送られることで、レジストローラー33に対するクリーニングユニット61の清掃能力が維持される。また、ウェブWの巻き取り方向は一方向であり、ウェブWの逆巻きや弛みを防止するために、繰り出しローラー66に制動機構(不図示)、巻き取りローラー68にワンウェイクラッチ(不図示)が設けられている。
【0036】
図4及び図5に示すように、クリーニングユニット61は、下側のレジストローラー33(図3参照)に沿った長尺状に形成されており、繰り出しローラー66、押圧ローラー67、巻き取りローラー68を両持ちで支持するクリーニングフレーム71を有している。クリーニングフレーム71は、前後方向に対向する一対の支持フレーム72、73と、一対の支持フレーム72、73の下部を連結する下部フレーム74と、一対の支持フレーム72、73の右側部を連結する側部フレーム75とによって形成されている。このため、クリーニングフレーム71の上面が開放されて、押圧ローラー67に折り返されたウェブWが露出されている。
【0037】
一対の支持フレーム72、73の上部には押圧ローラー67が回転可能に支持されている。押圧ローラー67の下方において、一対の支持フレーム72、73の右側部には繰り出しローラー66が回転可能に支持されている。また、押圧ローラー67の下方において、一対の支持フレーム72、73の左側部には巻き取りローラー68が回転可能に支持されている。これら3つのローラー66、67、68が一対の支持フレーム72、73に支持されると共に、下部フレーム74及び側部フレーム75によって一対の支持フレーム72、73が連結されることで、クリーニングフレーム71の剛性が確保されている。
【0038】
押圧ローラー67のシャフトには、トルクリミッター76が設けられている。一対のレジストローラー32、33(図3参照)にシートSが挟持された状態でシートSのJAMが発生すると、一対のレジストローラー32、33からシートSを引き抜く必要がある。この際、下側のレジストローラー33から押圧ローラー67に回転力が伝達される。このため、レジストローラー33から押圧ローラー67に過度な回転力が伝わると、トルクリミッター76によって押圧ローラー67がロックされて、繰り出しローラー66のウェブロールWRからウェブWが繰り出されることが防止されている。
【0039】
一対の支持フレーム72、73の左下部には、ユニット移動機構62(図3参照)に連結する支持ピン77が一対の支持フレーム72、73の外面に突設されている。一対の支持フレーム72、73の右上部には、ハウジング10(図3参照)に対するクリーニングユニット61の移動をガイドするガイドコロ78が一対の支持フレーム72、73の外面に突設されている。前側の支持フレーム72の右下部には、ウェブ駆動機構63(図6参照)に連結する入力ギヤ79が支持されている。入力ギヤ79は、クリーニングフレーム71内に設置された動力伝達機構(不図示)を介して巻き取りローラー68に連結されている。
【0040】
下部フレーム74は、クリーニングフレーム71の底面を形成しており、ウェブW等から落下した異物Dの受け皿になっている。側部フレーム75は、クリーニングフレーム71の右側面の上半部を覆っており、クリーニングフレーム71の右側面の下半部を開放している。この右側面の開口からウェブロールWRを視認することで、ウェブロールWRの残量の少ないクリーニングユニット61がハウジング10に誤装着されることが防止される。また、下部フレーム74には、クリーニングフレーム71の左側面を覆って、搬送ベルト45(図1参照)側への異物Dの飛散を防止するシート部材80が取り付けられている。
【0041】
図3に示すように、ユニット移動機構62は、清掃位置P1と、清掃位置P1の下方の離間位置P2(図7B参照)と、離間位置P2の下方の着脱位置P3(図7A参照)との間でクリーニングユニット61を移動するように形成されている。清掃位置P1はクリーニングユニット61がレジストローラー33の搬送面34に接する位置であり、離間位置P2は清掃位置P1から離間した位置であり、着脱位置P3はハウジング10にクリーニングユニット61が着脱可能な位置である。清掃位置P1ではクリーニングユニット61とウェブ駆動機構63(図6参照)が連結され、離間位置P2ではクリーニングユニット61とウェブ駆動機構63の連結が解除される。
【0042】
ユニット移動機構62は、ハウジング10に回転可能に支持された支持シャフト91と、支持シャフト91に固定された前後一対(後側のみ図示)の揺動アーム92と、支持シャフト91に動力伝達機構を介して連結されたクリーニング用モーター94とを有している。揺動アーム92の基端側は支持シャフト91に固定されており、揺動アーム92の先端側にはクリーニングユニット61の支持ピン77を係止するフック93が形成されている。フック93は揺動アーム92の側縁が長孔状に切り欠かれて形成され、フック93の切り欠きにクリーニングユニット61の支持ピン77が入り込むことで、一対の揺動アーム92によってクリーニングユニット61が相対回転可能に支持される。
【0043】
クリーニング用モーター94から一対の支持シャフト91に駆動力が伝達され、揺動アーム92が支持シャフト91を中心にして上下に揺動されて、クリーニングユニット61が清掃位置P1、離間位置P2、着脱位置P3に位置付けられる。また、ユニット移動機構62には、クリーニングユニット61の位置を検出するための第1、第2のセンサー95、96が設けられている。第1のセンサー95は、クリーニング用モーター94の出力軸に固定されたパルス板97からクリーニング用モーター94の回転量を検出する。第2のセンサー96は、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置付けられたことを検出する。
【0044】
第1のセンサー95は、パルス板97の回転に応じたパルス信号を制御装置120に出力している。制御装置120では、第1のセンサー95からのパルス信号に基づいてクリーニング用モーター94の回転量が検出される。クリーニングユニット61の着脱位置P3を基準として、クリーニング用モーター94の回転量からクリーニングユニット61の位置が検出される。第2のセンサー96は、清掃位置P1に位置付けられたクリーニングユニット61の検出信号を制御装置120に出力している。制御装置120では、第2のセンサー96からの検出信号に基づいて清掃位置P1のクリーニングユニット61が検出される。
【0045】
クリーニング用モーター94には制御装置120が接続されており、制御装置120からクリーニング用モーター94に回転量がフィードバックされている。これにより、クリーニング用モーター94がサーボ制御されながら、クリーニングユニット61の移動量が調整される。なお、第1のセンサー95は、クリーニング用モーター94の回転量を検出可能であればよく、第2のセンサー96は、清掃位置P1のクリーニングユニット61を検出可能であればよい。よって、第1、第2のセンサー95、96は、それぞれフォトインタラプタ又はフォトリフレクタによって構成されてもよい。また、ユニット移動機構62の動作については後述する。
【0046】
図6に示すように、ウェブ駆動機構63は、クリーニングユニット61に駆動力を入力してレジストローラー33(図3参照)の搬送面34に向けて未使用のウェブWを送り出させるように形成されている。上記したように、ウェブ駆動機構63は、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置付けられることで、クリーニングユニット61に対して動力伝達可能に連結される。ウェブ駆動機構63には駆動源としてウェブ用ソレノイド101が設けられており、ウェブ用ソレノイド101の駆動によってクリーニングユニット61の巻き取りローラー68が回転されて間欠的にウェブWが送られる。
【0047】
ウェブ用ソレノイド101の上部からは伸縮ロッド102が突出しており、制御装置120からの駆動指令をウェブ用ソレノイド101が受けることで伸縮ロッド102が伸縮される。ウェブ用ソレノイド101の左隣りには伸縮ロッド102の伸縮動作を回転動作に変換する揺動レバー103が設けられている。揺動レバー103は、支持シャフト104を介してハウジング10に揺動可能に支持されており、支持シャフト104から側方に延びる側方レバー105と、支持シャフト104から下方に延びる下方レバー106とによって逆L字状に形成されている。側方レバー105の側端には伸縮ロッド102の先端が連結され、下方レバー106の下端には検出片107が設けられている。
【0048】
支持シャフト104の後端には支持シャフト104と一体に揺動する出力ギヤ108が設けられている。支持シャフト104にはワンウェイクラッチを介して揺動レバー103が連結されており、揺動レバー103が一方向に揺動したときのみ支持シャフト104と出力ギヤ108が回転される。本実施形態では、揺動レバー103が時計回りに回転したとき、すなわちウェブ用ソレノイド101の伸縮ロッド102が収縮したときに出力ギヤ108が回転される。ウェブ駆動機構63の出力ギヤ108には、複数の伝達ギヤ111、112を介してクリーニングユニット61の入力ギヤ79が連結されている。
【0049】
また、下方レバー106の下方には、検出片107を検出する第3のセンサー109が設けられている。第3のセンサー109は、下方レバー106の下端の検出片107を検出する度に制御装置120に検出信号を出力する。制御装置120は、第3のセンサー109から出力される検出片107の検出回数に応じてウェブロールWRの繰り出し量を算出している。検出回数が所定回数になった場合には、制御装置120によってクリーニングユニット61の交換メッセージが操作パネル(不図示)に表示される。なお、第3のセンサー109は、検出片107を検出可能であればよく、例えばフォトインタラプタ又はフォトリフレクタによって構成されてもよい。
【0050】
ウェブ駆動機構63のウェブWの送り出し動作では、制御装置120からの駆動指令に応じてウェブ用ソレノイド101の伸縮ロッド102が伸縮される。伸縮ロッド102の伸長時には揺動レバー103が反時計回りに揺動され、ワンウェイクラッチによって支持シャフト104に対して揺動レバー103が空転される。一方で、伸縮ロッド102の収縮持には揺動レバー103が時計回りに揺動され、ワンウェイクラッチを介して揺動レバー103と支持シャフト104が一体に回転される。これにより、支持シャフト104の後端の出力ギヤ108から伝達ギヤ111、112を介してクリーニングユニット61の入力ギヤ79に駆動力が伝達される。
【0051】
そして、クリーニングユニット61において、入力ギヤ79から動力伝達機構(不図示)を介して巻き取りローラー68に駆動力が伝達され、巻き取りローラー68によって繰り出しローラー66のウェブロールWRからウェブWが巻き取られる。このように、ウェブ駆動機構63は、ウェブ用ソレノイド101の伸縮ロッド102の僅かなストロークを利用して、ウェブロールWRからウェブWを送り出している。なお、ウェブ駆動機構63では、揺動レバー103が揺動する度に、第3のセンサー109によって検出片107が検出されて、ウェブロールWRからのウェブWの繰り出し量が検出される。
【0052】
また、クリーニング装置60の制御装置120は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。メモリには、クリーニング装置60の異物Dの挟み込み動作の制御プログラムが記憶されている。
【0053】
クリーニング装置の移動動作について簡単に説明する。図7A図7Cは、本実施形態のクリーニングユニットの移動動作の遷移図である。
【0054】
図7Aに示すように、ユニット移動機構62は、クリーニングユニット61を着脱位置P3から清掃位置P1(図7C参照)までガイドする前後一対(後側のみ図示)のガイド部115を有している。各ガイド部115には、クリーニングユニット61のガイドコロ78に接するガイド面116が形成されている。クリーニングユニット61が着脱位置P3に位置付けられた状態では、揺動アーム92のフック93が下方に向けられており、このフック93によってクリーニングユニット61の支持ピン77が支持されている。また、クリーニングユニット61のガイドコロ78がガイド部115のガイド面116から離間している。
【0055】
制御装置120からの駆動指令によってクリーニング用モーター94が駆動されると、支持シャフト91に固定された揺動アーム92が上方に揺動される。揺動アーム92のフック93によってクリーニングユニット61の支持ピン77が押し上げられ、クリーニングユニット61のガイドコロ78がガイド部115のガイド面116上を転がることで、クリーニングユニット61が着脱位置P3から上方に移動する。このとき、揺動アーム92のフック93にクリーニングユニット61の支持ピン77が相対回転可能に支持されているため、揺動アーム92の揺動に応じてクリーニングユニット61がスムーズに持ち上げられる。
【0056】
図7Bに示すように、揺動アーム92がさらに揺動すると、クリーニングユニット61が離間位置P2に位置付けられる。レジストローラー33の非清掃時には、クリーニングユニット61が離間位置P2に待機される。図7Cに示すように、制御装置120からの清掃指令がクリーニング用モーター94に入力されると、揺動アーム92がさらに揺動して、クリーニングユニット61が清掃位置P1に位置付けられる。このとき、レジストローラー33に対して押圧ローラー67が下方から押し付けられ、一対のレジストローラー32、33、押圧ローラー67が各ローラーの中心を通る直線L上に並べられる。
【0057】
また、クリーニングユニット61とウェブ駆動機構63(図6参照)が連結される。そして、クリーニングユニット61の押圧ローラー67によってウェブWがレジストローラー33の搬送面34に押し付けられた状態で、レジストローラー33が回転することで、ウェブWによってレジストローラー33の搬送面34が清掃される。なお、クリーニングユニット61によるレジストローラー33の清掃中に、制御装置120からクリーニング用モーター94に励磁電流が供給され続けることで、揺動アーム92の下方への揺動が抑えられてクリーニングユニット61が清掃位置P1に保持される。
【0058】
続いて、JAM処理作業等のメンテナンス時のクリーニング装置の異物の挟み込み動作について説明する。図8A図8Gは、本実施形態のメンテナンス時の異物の挟み込み動作の遷移図である。なお、異物の挟み込み動作は、レジストローラー、ユニット移動機構、ウェブ駆動機構が制御装置によって制御されることで実施されている。
【0059】
図8Aに示すように、清掃時にはユニット移動機構62(図3参照)によってクリーニングユニット61が清掃位置P1に移動される。押圧ローラー67によってウェブWがレジストローラー33に押し付けられ、押圧ローラー67の外周面が僅かに潰れて、押圧ローラー67とレジストローラー33の間に凹面状の接触部65が形成される。そして、反時計回りに回転中のレジストローラー33の搬送面34にウェブWが接触されて異物Dが掻き取られ、レジストローラー33の回転方向で搬送面34とウェブWの接触部65の手前に異物Dが堆積する。制御装置120によってJAMの発生が検出されると、レジスト用モーター35が停止されてレジストローラー33の回転が停止される。
【0060】
次に、図8Bに示すように、ウェブ駆動機構63(図6参照)によって巻き取りローラー68が回転されて、巻き取りローラー68にウェブWが所定長巻き取られる。ウェブWの巻き取りによって接触部65の手前に堆積した異物Dが部分的に送られることで、搬送面34に残った異物Dの堆積量が減らされる。よって、レジストローラー33と押圧ローラー67による異物Dの挟み込み量を減らして、クリーニングユニット61からの異物Dの落下が防止される。このとき、ウェブWによってレジストローラー33が時計回りに連れ回されて、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物Dが移動する。
【0061】
次に、図8Cに示すように、レジスト用モーター35(図3参照)によってレジストローラー33が、連れ回り方向とは逆の反時計回りに回転される。ウェブWによるレジストローラー33の連れ回り量は、ウェブWの巻き取り径に応じてバラツキがあるが、レジストローラー33が連れ回り量以上に回転することで接触部65の手前に異物Dが戻される。レジストローラー33の連れ回り量にバラツキが生じても、搬送面34に堆積した異物Dが接触部65の手前に位置付けられ、この接触部65の手前位置を基準にしてレジストローラー33の回転量を調整することができる。
【0062】
次に、図8Dに示すように、ユニット移動機構62(図3参照)によってクリーニングユニット61が清掃位置P1から離間位置P2に移動される。これにより、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物DからウェブWが離間される。また、クリーニングユニット61が離間位置P2に移動することで、クリーニングユニット61とウェブ駆動機構63の連結が解除される。次に、図8Eに示すように、レジスト用モーター35によってレジストローラー33が反時計回りに回転して、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物DがウェブW側の接触部65の対向位置に位置合わせされる。
【0063】
より詳細には、一対のレジストローラー32、33と押圧ローラー67の中心を結ぶ直線L上に、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物Dが位置付けられる。レジストローラー33が連れ回された後に、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物Dが接触部65の手前に戻されているため、レジストローラー33を一定量だけ回転させることで直線L上に異物Dを移動させることができる。よって、レジストローラー33の連れ回り量にバラツキが生じた場合であっても、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物DをウェブW側の接触部65に対して精度よく位置付けることができる。
【0064】
次に、図8Fに示すように、ユニット移動機構62(図3参照)によってクリーニングユニット61が離間位置P2から清掃位置P1に移動される。上記したガイド面116(図7A参照)の離間位置P2と清掃位置P1の間が直線Lと平行に形成されており、押圧ローラー67が直線Lと平行に動かされて、押圧ローラー67によってレジストローラー33の直線L上の異物DにウェブWが押し付けられる。これにより、レジストローラー33の搬送面34に堆積した異物Dが、搬送面34とウェブWによって挟み込まれる。また、クリーニングユニット61が清掃位置P1に移動することで、クリーニングユニット61とウェブ駆動機構63が再び連結される。
【0065】
次に、クリーニング装置60の挟み込み動作が完了すると、JAM処理作業をユーザーに促すメッセージが操作パネル(不図示)に表示される。一対のレジストローラー32、33からシートSが引き抜かれることで、レジストローラー33が回転されても、搬送面34とウェブWに挟み込まれた異物Dが第1の搬送経路21に向けて逆流することがない。また、レジストローラー33から押圧ローラー67に過度な回転力が伝わると、トルクリミッター76(図4参照)によって押圧ローラー67の回転がロックされる。このため、レジストローラー33の搬送面34とウェブWの接触部65から異物Dが抜け出すことがない。
【0066】
異物Dは紙粉やインクの顔料等の粉体であるため、レジストローラー33の搬送面34とウェブWに異物Dが挟み込まれたままでは、粉状の異物Dがレジストローラー33に対して研磨剤として機能する。このため、図8Gに示すように、メンテナンス終了後に、ウェブ駆動機構63(図6参照)によって巻き取りローラー68が回転されて、巻き取りローラー68にウェブWが所定長巻き取られる。レジストローラー33の搬送面34とウェブWの接触部65から異物Dが抜け出して、接触部65の手前に異物Dが位置付けられる。これにより、レジストローラー33の摩耗による劣化が抑えられている。
【0067】
上記したように、レジストローラー33の搬送面34とウェブWに挟み込まれた異物Dは、レジストローラー33が回転しても接触部65から抜け出さないが、ウェブWが送られることで接触部65から抜け出している。これはウェブWが不織布によって形成され、不織布の繊維によって異物Dを強く捕らえているからである。また、メンテナンス終了は、画像形成装置1のハウジング10の各扉の開閉状態等によって制御装置120によって検出される。また、操作パネルにメンテナンス作業の終了ボタンを表示して、終了ボタンの入力結果に応じて制御装置120にメンテナンス終了が検出されてもよい。
【0068】
以上、本実施形態によれば、クリーニング時には、回転中のレジストローラー33の搬送面34にウェブWが押し付けられることで、ウェブWによって搬送面34に付着した異物Dが掻き取られる。繰り出しローラー66から新たなウェブWが繰り出されるため、ウェブWの清掃性能の低下を抑えつつレジストローラー33の搬送面34を清掃することができる。メンテナンス時には、搬送面34とウェブWの接触部65の手前に堆積した異物Dが、搬送面34とウェブWによって挟み込まれる。このため、JAM等のメンテナンス作業時にレジストローラー33が回転されても、異物Dが第1の搬送経路21に向かって逆流することが防止される。
【0069】
また、画像形成装置1に上記のクリーニング装置60が備えられているため、レジストローラー33に付着した紙粉によるシートSの搬送不良や、レジストローラー33に付着したインクの顔料によるシートSの画像汚れを防止することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、メンテナンス時に巻き取りローラーにウェブが所定長巻き取られた後に、ユニット移動機構によってクリーニングユニットが清掃位置から離間位置に移動される構成にしたが、この構成に限定されない。メンテナンス時に、巻き取りローラーにウェブが所定長巻き取られることなく、ユニット移動機構によってクリーニングユニットが清掃位置から離間位置に移動されてもよい。すなわち、図8B及び図8Cの動作が省略されて、クリーニング装置の異物の挟み込み動作が実施されてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、ウェブ駆動機構によって巻き取りローラーが回転される構成にしたが、この構成に限定されない。クリーニングユニットにモーター等の駆動源が設けられて、クリーニングユニットの駆動源によって巻き取りローラーが回転されてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、ユニット移動機構によってクリーニングユニットが清掃位置、離間位置、脱着位置に移動される構成にしたが、この構成に限定されない。ユニット移動機構は、クリーニングユニットを清掃位置及び離間位置に移動させる構成であればよい。
【0073】
また、本実施形態では、異物として紙粉及びインクの顔料を例示したが、異物は紙粉及びインクの顔料に限定されない。例えば、異物にはハウジング内で発生した塵埃が含まれてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、レジストローラーの搬送面をクリーニング装置によって清掃する構成について説明したが、この構成に限定されない。本実施形態のクリーニング装置によって他の搬送ローラーを清掃してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、画像形成装置として、インクジェット式のプリンターを例示したが、この構成に限定されない。画像形成装置は、電子写真式のプリンターでもよいし、コピー機及びファクシミリの他、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機でもよい。
【0076】
また、本実施形態において、シートSは、画像の形成対象となるシート状のものであればよく、例えば、普通紙、コート紙、トレーシングペーパー、OHP(Over Head Projector)シートでもよい。
【0077】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0078】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0079】
1 :画像形成装置
21:第1の搬送経路(搬送経路)
33:レジストローラー(搬送部材)
34:搬送面
41:画像形成部
60:クリーニング装置
61:クリーニングユニット
62:ユニット移動機構
63:ウェブ駆動機構
65:接触部
66:繰り出しローラー
67:押圧ローラー
68:巻き取りローラー
D :異物
P1:清掃位置
P2:離間位置
S :シート
W :ウェブ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G