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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230801BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127Z
B41J29/38
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019169109
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021048467
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】筬島 健太郎
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-148228(JP,A)
【文献】特開2012-249183(JP,A)
【文献】特開2019-016857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された格納領域にデータを格納する機能を複製するための複製データを他の装置から受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた複製データに、当該機能がデータを格納する格納領域に複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されている旨の情報が含まれる場合、当該機能の実行を制御するための制限情報を有効化する有効化手段と、
当該機能の実行が指示および前記制限情報が有効化された場合に前記機能の実行を制限する制限手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
予め設定された格納領域にデータを格納する機能を他の装置に複製する際に、当該機能がデータを格納する格納領域に前記複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されているの情報が含まれた複製データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された複製データを出力する出力手段と、
をさらに備えた請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制限手段により機能の実行が制限される場合に、前記機能の実行が制限される旨の警告画面をネットワークを示す情報と共に表示するよう制御する表示制御手段をさらに備える請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
利用者を識別する識別情報を受け付ける受付手段を備え、
前記表示制御手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者のものである場合、表示する警告画面に、前記機能の実行の承認を受け付ける操作子を表示するように制御する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制限手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者のものである場合、前記操作子が選択された場合に、前記制限情報を無効化する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制限手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者以外のものである場合、前記機能の実行が制限される旨の警告画面を表示した後に前記機能の実行を終了する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
利用者を識別する識別情報を受け付ける受付手段を備え、
前記表示制御手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、自装置の管理者のものである場合、前記自装置で実行される前に、複数の機能の実行を一括で承認するための一括承認画面を表示するように制御する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、複数の機能が自装置に複製された後に、前記複数の機能の実行を一括で承認するための一括承認画面を表示するように制御する請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制限手段は、前記一括承認画面において、複数の機能の実行が一括で承認された場合には、一括承認された機能の制限情報を無効化する請求項7又は8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記機能は、ユーザにより設定された設定内容に基づいて特定の処理を実行するための機能である請求項1から9のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
予め設定された格納領域にデータを格納する機能を複製するための複製データを他の装置から受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた複製データに、当該機能がデータを格納する格納領域に複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されている旨の情報が含まれる場合、当該機能の実行を制御するための制限情報を有効化する有効化ステップと、
当該機能の実行が指示および前記制限情報が有効化された場合に前記機能の実行を制限する制限ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像処理装置が備える機能を実行するための設定情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された設定情報に従って機能を実行する実行手段と、実行手段が記憶手段に記憶された設定情報に従って機能を実行するのにユーザによる作業が必要か否かを判定する判定手段と、判定手段による判定の結果に従って、設定情報に従った機能の実行を情報処理装置からの指示に基づいて自動的に実行することを許可するか否かを示す属性情報を設定情報に付加する付加手段と、付加手段が属性情報を付加した設定情報を情報処理装置へ送信する送信手段とを備えた画像処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、アプリケーションと、アプリケーションの管理者であるアプリ管理者と互いに関連づけて記憶する記憶手段と、アプリケーションを管理するための操作を受け付ける受付手段と、受付手段にてアプリケーションを管理するための操作を受け付けた場合に、アプリケーションに関連づけられたアプリ管理者と、アプリケーションを管理するための操作を行った操作者とを比較する比較手段と、比較手段による比較結果に基づいてアプリケーションを管理するための操作を許可する許可手段とを備えたアプリ管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-049738号公報
【文献】特開2017-204221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットワークに接続可能な格納領域等の親展ボックスにデータを格納する機能を他の装置から複製する場合に、複製先の装置に存在する同じ識別子の親展ボックスを自装置でそのまま利用してしまうと、複製先の装置の親展ボックスが他のネットワークに接続されていた場合に、ユーザが意図しないネットワークに送信されてしまうこととなる。
【0006】
本発明の目的は、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行する場合に、機能の実行を制限しない場合と比較して、ユーザの意図しないネットワークの情報に基づいて機能が実行されてしまうのを抑制することが可能な画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、
予め設定された格納領域にデータを格納する機能を複製するための複製データを他の装置から受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた複製データに、当該機能がデータを格納する格納領域に複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されている旨の情報が含まれる場合、当該機能の実行を制御するための制限情報を有効化する有効化手段と、
当該機能の実行が指示および前記制限情報が有効化された場合に前記機能の実行を制限する制限手段と、
を備えた画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、予め設定された格納領域にデータを格納する機能を他の装置に複製する際に、当該機能がデータを格納する格納領域に前記複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されているの情報が含まれた複製データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された複製データを出力する出力手段と、をさらに備えた請求項1記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記制限手段により機能の実行が制限される場合に、前記機能の実行が制限される旨の警告画面をネットワークを示す情報と共に表示するよう制御する表示制御手段をさらに備える請求項1記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、利用者を識別する識別情報を受け付ける受付手段を備え、前記表示制御手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者のものである場合、表示する警告画面に、前記機能の実行の承認を受け付ける操作子を表示するように制御する請求項3記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記制限手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者のものである場合、前記操作子が選択された場合に、前記制限情報を無効化する請求項4記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記制限手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、前記機能の所有者又は自装置の管理者以外のものである場合、前記機能の実行が制限される旨の警告画面を表示した後に前記機能の実行を終了する請求項4記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、利用者を識別する識別情報を受け付ける受付手段を備え、前記表示制御手段は、前記受付手段により受け付けられた識別情報が、自装置の管理者のものである場合、前記自装置で実行される前に、複数の機能の実行を一括で承認するための一括承認画面を表示するように制御する請求項3記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記表示制御手段は、複数の機能が自装置に複製された後に、前記複数の機能の実行を一括で承認するための一括承認画面を表示するように制御する請求項7記載の画像形成装置である。
【0015】
請求項9に係る本発明は、前記制限手段は、前記一括承認画面において、複数の機能の実行が一括で承認された場合には、一括承認された機能の制限情報を無効化する請求項7又は8記載の画像形成装置である。
【0016】
請求項10に係る本発明は、前記機能は、ユーザにより設定された設定内容に基づいて特定の処理を実行するための機能である請求項1から9のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0017】
[プログラム]
請求項11に係る本発明は、
予め設定された格納領域にデータを格納する機能を複製するための複製データを他の装置から受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた複製データに、当該機能がデータを格納する格納領域に複数のネットワークのうち使用するネットワークが設定されている旨の情報が含まれる場合、当該機能の実行を制御するための制限情報を有効化する有効化ステップと、
当該機能の実行が指示および前記制限情報が有効化された場合に前記機能の実行を制限する制限ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行する場合に、機能の実行を制限しない場合と比較して、ユーザの意図しないネットワークの情報に基づいて機能が実行されてしまうのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、自装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を他の装置で実行する場合に、機能の実行を制限しない場合と比較して、ユーザの意図しないネットワークの情報に基づいて機能が実行されてしまうのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行する前に、ネットワークを示す情報と共に機能の実行が制限されることをユーザが把握することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、機能の所有者又は自装置の管理者の承認を受け付けた場合に、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、機能の所有者又は自装置の管理者の承認を受け付けた場合に、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、利用者が機能の所有者又は自装置の管理者以外の者であって、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行する場合に、機能の実行を制限することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、利用者が自装置の管理者である場合に、複数の機能の実行を一括で承認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、利用者が自装置の管理者である場合に、複数の機能の実行を一括で承認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
請求項9に係る本発明によれば、複数の機能の実行が一括で承認された場合に、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0027】
請求項10に係る本発明によれば、ユーザにより設定された設定内容に基づいて特定の処理を実行することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0028】
請求項11に係る本発明によれば、他の装置から複製したネットワークに接続可能な格納領域にデータを格納する機能を自装置で実行する場合に、機能の実行を制限しない場合と比較して、ユーザの意図しないネットワークの情報に基づいて機能が実行されてしまうのを抑制することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10、40のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10、40の機能構成を示すブロック図である。
図4】クローニング元の画像形成装置10においてクローニングデータを生成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図5】クリーニング元の画像形成装置10においてクローニングデータを生成する際に操作パネル上に表示される表示画面例を示す図である。
図6】画像形成装置10、40のそれぞれにおける親展ボックスの設定状態を説明するための図である。
図7】クローニング先の画像形成装置40においてワンタッチアプリを実行する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図8】クローニング先の画像形成装置40においてワンタッチアプリ起動時に操作パネル上に表示される表示画面例を示す図である。
図9】クローニング先の画像形成装置40においてワンタッチアプリ起動時に操作パネル上に表示される表示画面例を示す図である。
図10】クローニング先の画像形成装置40においてワンタッチアプリをクローニングした際の管理者画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0032】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、40、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0033】
そして、本実施形態では、画像形成装置10上において生成されたアプリケーションプログラム(以下、アプリと略す。)を画像形成装置40にクローニングする場合について説明する。
【0034】
ここで、クローニングとは、ある装置で生成されたデータやアプリ、ある装置における設定情報等を他の装置に複製することを意味する。具体的には、複数の画像形成装置を設置する際に1台の画像形成装置において、ユーザの使用環境に対する設定やユーザデータの入力等を行って、その1台の画像形成装置の設定情報や各種データを他の画像形成装置にも複製する場合等にクローニングは用いられる。また、画像形成装置の置き換えの際に、置き換え前の画像形成装置の設定情報や各種データ等をクローニングデータとして保存しておき、置き換え後の画像形成装置に複製する場合や、データが壊れた場合のバックアップとして保存しておいたクローニングデータをリストアする場合等にもこのクローニングは用いられる。
【0035】
このようなクローニングを行うことにより、ある画像形成装置で作成したワンタッチアプリ等を新たな画像形成装置において作成し直すという手間が省くことが可能となる。ここで、ワンタッチアプリとは、ユーザにより設定された設定内容に基づいて特定の処理を実行するための機能である。
【0036】
なお、本実施形態では、一例として、スキャンしたデータを簡単な操作で親展ボックスに保存することができる「かんたんボックス保存」というアプリを画像形成装置10から画像形成装置40にクローニングする場合を用いて説明する。この「かんたんボックス保存」というアプリは、ユーザにより作成されたワンタッチアプリであり、原稿をスキャナにセットして「かんたんボックス保存」というアプリを起動することにより、ワンタッチつまり1回の操作により、予め設定されたカラーモード、解像度等の条件でスキャンを行って読み取った画像データを指定された親展ボックスに格納するような処理が実行される。
【0037】
なお、ワンタッチアプリには、1人のユーザのみが使用可能なプライベートアプリと、登録した複数人のユーザにより利用可能なパブリックアプリとが存在する。
【0038】
ここで、親展ボックスとは、各種データを保存しておくための格納領域を意味する。親展ボックスには、それぞれ所有者が設定されており、その所有者のみが保存された各種データを閲覧や取り出すことができるようにしたり、複数人のユーザのみが各種データを閲覧や取り出すことができるようにしたりすることが可能となっている。
【0039】
そして、この親展ボックスは、識別子であるボックス番号により管理されており、各アプリにボックス番号を設定することにより処理後のデータを指定した親展ボックスに格納するようなことが可能となっている。さらに、親展ボックスには、使用するネットワークを設定することができ、格納された文書データに対して予め設定された処理、例えば特定の宛先に転送したり、FAX送信したり、メール送信したりするというような処理を実行する機能を設定することができる。
【0040】
また、本実施形態における画像形成装置40は、ネットワーク30とインターネット50に接続されている。つまり、画像形成装置40は、複数のネットワークに接続可能な状態であるマルチインタフェースを備えている。画像形成装置40は、親展ボックスごとに、使用するネットワークを設定することができ、画像形成装置40の親展ボックスには、それぞれ使用するネットワークに関する情報を含む指示書を属性として関連付けて設定することができる。
【0041】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10、40のハードウェア構成を図2に示す。なお、本実施形態では、画像形成装置10、40を、それぞれ、複製元の画像形成装置および複製先の画像形成装置として説明するが、いずれも同様な構成となっている。
【0042】
画像形成装置10、40は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0043】
プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0044】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0045】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10、40の機能構成を示すブロック図である。
【0046】
本実施形態の画像形成装置10、40は、図3に示されるように、受付部31と、操作入力部32と、表示部33と、データ送受信部34と、制御部35と、画像読取部36と、データ記憶部37と、画像出力部38とを備えている。
【0047】
受付部31は、画像形成装置10、40を利用する利用者であるユーザを識別する識別情報を受け付ける。つまり、受付部31は、利用者が、ワンタッチアプリを生成した所有者か自装置の管理者であるか、所有者又は管理者以外の者であるか否かの情報を受け付ける。
【0048】
操作入力部32は、ユーザからの各種操作の入力を受け付ける。表示部33は、ユーザに対して各種情報を表示する。
【0049】
画像読取部36は、セットされた原稿から画像を読み取る。画像出力部38は、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。データ記憶部37は、制御部35により生成された印刷データ等の各種データを格納する。なお、親展ボックスに格納されるデータは、実際にはデータ記憶部37に記憶される。
【0050】
制御部35は、受付部31又は操作入力部32により受け付けた操作に基づいて、画像読取部36、画像出力部38、表示部33等の制御を行って、プリント動作、スキャン動作等の各種動作の制御を行う。
【0051】
データ送受信部34は、ネットワークを介して他の装置との間でデータの送受信を行う。クローニングが行われる場合には、データ送受信部34は、生成されたクローニングデータを外部に出力したり、外部の装置において生成されたクローニングデータを受け付けたりする処理を行う。つまり、データ送受信部34は、予め設定された親展ボックスにデータを格納する機能を実行するためのクローニングデータを他の装置から受け付ける受付手段として機能する。
【0052】
ここで、クローニングデータとは、データや各種アプリ等の機能をクローニングする際に用いられるデータである。本実施形態では、特定のデータを予め設定された親展ボックスに格納する機能の一例である「かんたんボックス保存」というワンタッチアプリを実行するためのデータをクローニングデータとして画像形成装置10から出力して、画像形成装置40に入力する場合であって、画像形成装置10、40には、それぞれ親展ボックスに、格納されたデータを特定の宛先に転送する機能が設定されている場合を例にして説明する。
【0053】
制御部35は、「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリを他の装置にクローニングする際に、このワンタッチアプリがデータを格納する親展ボックスにネットワークが設定されているか否かの情報が含まれたクローニングデータを生成する。このとき、制御部35は、クローニングデータを生成する生成手段として機能する。また、制御部35は、生成されたクローニングデータを出力する出力手段として機能する。
【0054】
また、制御部35は、データ送受信部34により受け付けられたクローニングデータに、「かんたんボックス保存」のアプリの格納先である親展ボックスに複数のネットワークが設定されている旨の情報が含まれる場合、「かんたんボックス保存」のアプリの実行を制限するための制限情報である未承認フラグをオンにして有効化する。このとき、制御部35は、未承認フラグを有効化する有効化手段として機能する。
【0055】
また、制御部35は、「かんたんボックス保存」のアプリの実行が指示され、未承認フラグが有効化されている場合に「かんたんボックス保存」のアプリの実行を制限する。すなわち、制御部35は、「かんたんボックス保存」のアプリが実行ができないように制御する。このとき、制御部35は、「かんたんボックス保存」のアプリの実行を制限する制限手段として機能する。
【0056】
また、制御部35は、未承認フラグが有効化され、「かんたんボックス保存」のアプリの実行が制限される場合に、このアプリの実行が制限される旨の警告画面を表示部33に表示するよう制御する。この警告画面には、「かんたんボックス保存」のアプリの実行が制限される旨とネットワークを示す情報が表示される。制御部35は、表示部33を制御する表示制御手段として機能する。
【0057】
また、制御部35は、受付部31により受け付けられた識別情報が、「かんたんボックス保存」のアプリの所有者又は自装置の管理者のものである場合、表示部33の警告画面に、「かんたんボックス保存」のアプリの実行の承認を受け付ける操作子である承認ボタンを表示するように制御する。そして、この警告画面において、承認ボタンが押下された場合に、制御部35は、未承認フラグをオフにして無効化する。すなわち、「かんたんボックス保存」のアプリの実行ができるようになる。
【0058】
また、制御部35は、受付部31により受け付けられた識別情報が、「かんたんボックス保存」のアプリの所有者又は自装置の管理者以外のものである場合、「かんたんボックス保存」のアプリの実行が制限される旨の警告画面を表示した後に、このアプリの実行を中止して処理を終了する。
【0059】
また、複数のワンタッチアプリが自装置にクローニングされた後であって、いずれかのワンタッチアプリが自装置で実行される前に、受付部31により受け付けられた識別情報が、自装置の管理者のものである場合、制御部35は、表示部33に、複数のワンタッチアプリの実行を一括で承認するための一括承認画面を表示するように制御する。
【0060】
そして、制御部35は、一括承認画面において、複数のワンタッチアプリの実行が一括で承認された場合には、一括承認されたワンタッチアプリの未承認フラグをオフにして無効化する。
【0061】
そして、制御部35は、未承認フラグが無効化されたワンタッチアプリが実行される場合には、「かんたんボックス保存」の実行が制限される旨の警告画面や、「かんたんボックス保存」の実行を承認する承認画面を表示部33に表示しないでワンタッチアプリを実行する。
【0062】
このようにクローニングがされた後に、ワンタッチアプリの実行を制限する未承認フラグをオンにして有効化するようにしているのは、クローニング先の画像形成装置においてネットワーク設定された親展ボックスの登録が行われている場合、クローニングするワンタッチアプリが使用している親展ボックスと同番号の親展ボックスに別のネットワークが設定されている可能性があるからである。
【0063】
クローニングする際にクローニング先の装置における親展ボックスのネットワーク設定を確認して、クローニングするアプリの親展ボックスの登録を行うようにすれば問題は発生しない。しかし、クローニングするアプリの数が多い場合、そのような操作を行う手間は膨大になる。
【0064】
もし、クローニング先の装置の親展ボックスのネットワーク設定を無視して、クローニング先に同じボックス番号の親展ボックスの登録をしてしまうと、クローニング先の装置の親展ボックスで設定されていたネットワークにデータが送信されてしまう可能性がある。
【0065】
さらに、親展ボックスには、格納された文書データに対して予め設定された処理、例えば特定の宛先に転送したり、FAX送信やメール送信するようというような処理を設定することができるような機能が存在するため、予め登録されていた親展ボックスにデータを保管してしまうと意図しない宛先に送信されてしまうという可能性もある。
【0066】
そのため、本実施形態では、このような様々な状況に応じて、ネットワークが設定された親展ボックスを利用するワンタッチアプリをある装置から他の装置にクローニングし、クローニング先の装置において親展ボックスに複数のネットワークが設定可能な状態であって、未承認フラグが有効である場合に、ワンタッチアプリを利用する際に、警告画面を表示するようにしている。
【0067】
次に、本実施形態の画像形成装置の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0068】
先ず、クローニング元の画像形成装置10においてスキャンしたデータを予め設定した親展ボックスに保存する「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリを生成する際の処理について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0069】
先ず、利用者であるユーザが、ステップS101において、画像形成装置10の操作パネルを操作することにより「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリを生成するためのデータの生成を指示する。
【0070】
そして、ステップS102において、「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリによってスキャンしたデータを格納する格納先を、例えば親展ボックス番号001に設定し、これらを設定情報として保存する。
【0071】
そして、ステップS103において、「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリの格納先である親展ボックス番号001に、使用するネットワーク情報を設定する。親展ボックスに設定されたネットワーク情報は属性として、「かんたんボックス保存」のアプリデータとともにクローニングデータとして生成される。具体的には、画像形成装置10の操作パネルには、図5に示されているように、親展ボックス番号001に使用可能なネットワークとして例えば「LAN1」、「LAN2」、「Wi-Fi(登録商標)」が表示される。そして、3つの中から使用するネットワークが選択されて、「設定する」ボタンが押下されることにより、格納先の親展ボックス番号001に使用するネットワークが設定される。
【0072】
そして、ステップS104において、このようにして生成された「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリは、クローニングデータとして画像形成装置10のデータ記憶部37に保存される。
【0073】
そして、管理者が、画像形成装置10のデータ記憶部37に保存されたクローニングデータをUSBメモリ経由またはネットワーク30経由にて画像形成装置40に移動して、画像形成装置40に対してクローニングデータの取り込みを指示する。具体的には、「かんたんボックス保存」のワンタッチアプリをクローニングデータとして取り込みを指示する。その際、このクリーニングデータが未承認であることを示す未承認フラグを有効化する。
【0074】
なお、以下の説明においては、画像形成装置10、40のそれぞれにおいて図6に示すような親展ボックスの登録が行われているものとして説明する。
【0075】
クローニング元の画像形成装置10には、親展ボックス番号001にスキャン文書を保存する「かんたんボックス保存」のアプリが保存されている。また、画像形成装置10の親展ボックス番号001には、使用するネットワークとしてネットワークXが設定され、ネットワークXのアドレス0001へ転送する旨の指示書が属性として保存されている。
【0076】
クローニング先の画像形成装置40の親展ボックス番号001には、使用するネットワークとしてネットワークYが設定され、ネットワークYのアドレス0001へ転送する旨の指示書が属性として保存されている。
【0077】
このような状態で、画像形成装置40において「かんたんボックス保存」というワンタッチアプリが起動された場合の動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
先ず、ステップS201において、ユーザが「かんたんボックス保存」のアプリを起動する。すると、ステップS202において、クローニングデータである「かんたんボックス保存」のアプリにネットワーク情報が設定されているか否かの判定が行われる。そして、「かんたんボックス保存」のアプリにネットワーク情報が設定されていない場合、ステップS207において「かんたんボックス保存」のアプリを実行する。
【0079】
また、クローニングデータである「かんたんボックス保存」のアプリにネットワーク情報が設定されている場合、ステップS203において、未承認フラグが有効か否かの判定が行われる。そして、未承認フラグが有効でない場合、ステップS207において「かんたんボックス保存」のアプリを実行する。つまり、未承認フラグが有効でない、すなわち未承認フラグが無効化された状態では、後述する図8に示すような警告画面や図9に示すような承認画面は表示されずに、「かんたんボックス保存」のアプリを実行することができる。
【0080】
また、ステップS203において、未承認フラグが有効である場合、ステップS204において、利用者が、この「かんたんボックス保存」のアプリの所有者か自装置の管理者か否かの判定が行われる。
【0081】
そして、受付部31により受け付けられた識別情報により、利用者が、「かんたんボックス保存」のアプリの所有者又は自装置の管理者以外のものである場合、ステップS208において、画像形成装置40の操作パネル上に例えば図8に示すような表示が行なわれて、「かんたんボックス保存」のアプリの実行が制限される旨の警告画面が表示される。
【0082】
この図8に示した表示画面例は、「かんたんボックス保存」のアプリを実行すると、画像形成装置40の親展ボックス番号001の機能により自動的にネットワーク通信が開始されるため、この親展ボックス番号001に設定されたネットワーク種別が正しいかの確認を求める警告画面となっている。さらに、この警告画面は、そのままでは実行することができない旨をユーザに通知するための警告画面となっている。なお、このとき画像形成装置40の親展ボックス番号001に設定されている対象ネットワークの情報を表示してもよい。具体的には、親展ボックス番号001に格納すると、クローニング元のネットワークXと異なるネットワークYへ転送されてしまうため、クリーニング元と異なるアドレスへ転送される可能性がある旨の警告画面が表示されるようにしてもよい。
【0083】
そして、図8に示した表示画面を確認したユーザが、ステップS209において、「かんたんボックス保存」のアプリの実行を中止して終了する。
【0084】
また、ステップS204において、受付部31により受け付けられた識別情報により、利用者が、「かんたんボックス保存」のアプリの所有者又は自装置の管理者である場合、ステップS205において、画像形成装置40の操作パネル上に例えば図9に示すような表示が行なわれて、「かんたんボックス保存」のアプリの実行の承認を受け付ける承認画面が表示される。
【0085】
この図9に示した表示画面例は、「かんたんボックス保存」のアプリを実行すると、画像形成装置40の親展ボックス番号001の機能により自動的にネットワーク通信が開始されるため、このワンタッチアプリの実行を許可する承認を求める承認画面となっている。なお、このとき画像形成装置40の親展ボックス番号001に設定されている対象ネットワークの情報を表示してもよい。具体的には、親展ボックス番号001に格納すると、クローニング元のネットワークXと異なるネットワークYへ転送されてしまうため、このアプリの実行を承認するかどうかをユーザに確認するための承認画面が表示されるようにしてもよい。
【0086】
そして、図9に示した表示画面を確認した「かんたんボックス保存」のアプリの所有者又は自装置の管理者が、「承認する」ボタンを選択して押下することにより、ステップS206において、未承認フラグがオフにされ無効化される。そして、ステップS207において、「かんたんボックス保存」のアプリのジョブが実行される。
【0087】
図10は、ステップS205における承認画面の変形例を示す図である。
【0088】
上述したステップS204において、受付部31により受け付けられた識別情報により、利用者が、自装置の管理者である場合、ステップS205において、操作パネル上に例えば図10に示すような表示が行なわれる。つまり、クローニングするデータとして複数のワンタッチアプリが表示され、ワンタッチアプリごとに実行を許可する承認を受け付ける承認ボタンが表示される。さらに、複数のワンタッチアプリの実行の一括承認を受け付ける一括承認ボタンが表示される。つまり、複数のワンタッチアプリが自装置にクローニングされた後であって、ワンタッチアプリを最初に実行する前に、複数のワンタッチアプリをワンタッチアプリごとに実行を承認し、又は、複数のワンタッチアプリの実行を一括で承認するための承認画面が表示される。
【0089】
そして、図10に示した表示画面を確認した自装置の管理者が、各ワンタッチアプリの「承認する」ボタンを選択し、「OK」ボタンを押下すると、承認されたワンタッチアプリの未承認フラグが無効化されて、承認されたワンタッチアプリのジョブが実行可能な状態となる。また、図10に示した表示画面を確認した自装置の管理者が、「一括承認する」ボタンを押下し、複数のワンタッチアプリの実行を一括で承認されると、一括承認されたワンタッチアプリの未承認フラグが無効化されて、一括承認されたワンタッチアプリのジョブが実行可能な状態となる。
【符号の説明】
【0090】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
31 受付部
32 操作入力部
33 表示部
34 データ送受信部
35 制御部
36 画像読取部
37 データ記憶部
38 画像出力部
40 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10